以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1に示されるように、本実施形態の車両制御装置1は、主ブレーキ装置及び補助ブレーキ装置を具備する車両2に搭載されている。車両制御装置1は、主ブレーキ装置及び補助ブレーキ装置の制動力を制御する。車両2は、例えばトレーラ3を牽引するトラクターである。なお、適用される車両2は限定されるものではなく、車両2としては、主ブレーキ装置及び補助ブレーキ装置を具備するものであれば、その他、トラック、バス又は重機等の大型車両や、中型車両、普通乗用車、小型車両又は軽車両等であってもよい。
車両2及びトレーラ3は、互いに連結及び切り離しが可能となっている。すなわち、車両2に対するトレーラ3の連結状態としては、車両2及びトレーラ3が互いに連結された状態と、車両2及びトレーラ3が切り離された状態と、が含まれる。車両2に対するトレーラ3の連結状態は、車両2及びトレーラ3が切り離された状態から互いに連結された状態となる変化、及び、車両2及びトレーラ3が互いに連結された状態から切り離された状態となる変化が可能である。
図2に示されるように、車両制御装置1は、例えば、車速センサ11、レーダセンサ12、ヨーレートセンサ13、ステアリング角センサ14、画像センサ15、Gセンサ16、連結センサ(検出部)17、駐車ブレーキセンサ(検出部)18、及び荷室ドアセンサ(検出部)19を備えている。これらのセンサ11〜19は、通信線4を介して複数のECU[Electronic Control Unit]21〜25に接続されている。
車速センサ11は、車両2の速度を検出する検出器である。車速センサ11としては、例えば、車両2の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサ11は、検出した情報(車輪速情報)をECU21〜25の少なくとも何れかに送信する。
レーダセンサ12は、電波(例えばミリ波)又は光を利用して車両2の周辺の物体を検出する検出機器である。レーダセンサ12には、例えば、ミリ波レーダが含まれる。レーダセンサ12は、電波又は光を車両2の周辺に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。レーダセンサ12は、検出した物体に関する情報をECU21〜25の少なくとも何れかへ送信する。
ヨーレートセンサ13は、車両2の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサ13としては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサ13は、検出した車両2のヨーレートの情報をECU21〜25の少なくとも何れかへ送信する。
ステアリング角センサ14は、例えばステアリングホイールの軸付近に取り付けられ、ステアリング角(操舵角)を検出する検出器である。ステアリング角センサ14は、運転者によるステアリング操作を検出し、検出した操舵角の情報をECU21〜25の少なくとも何れかへ送信する。
画像センサ15は、例えば車両2の前部に取り付けられ、車両2の前方の撮像画像を取得する。画像センサ15は、車両2の前方の撮像画像の情報をECU21〜25の少なくとも何れかへ送信する。
Gセンサ16は、例えば車両2の重心位置付近で水平に取り付けられ、車両2の重心位置における前後方向及び左右方向の加速度(加減速度)を検出する。Gセンサ16は、検出した加減速度の情報をECU21〜25の少なくとも何れかへ送信する。
連結センサ17は、車両2とトレーラ3との連結部に取り付けられ、車両2に対するトレーラの連結状態を検出する検出器である。連結センサ17は、周知の構成のものを採用することができる。連結センサ17は、連結部においてカプラのジョーによってトレーラ3のキングピンが挟持されたことを検知した場合、車両2及びトレーラ3が互いに連結された状態であるとの連結状態を検出する。連結センサ17は、連結部においてカプラのジョーによってトレーラ3のキングピンが挟持されたことを検知していない場合、車両2及びトレーラ3が切り離された状態であるとの連結状態を検出する。連結センサ17は、検出した連結状態の情報を車両制御ECU24へ送信する。
駐車ブレーキセンサ18は、例えば車両2の運転席付近に設けられた駐車ブレーキ装置のオンオフを切り替えるためのスイッチの状態に応じて、車両2の駐車ブレーキの状態(オンかオフか何れかの状態)を検出する検出器である。駐車ブレーキセンサ18は、周知の構成のものを採用することができる。駐車ブレーキセンサ18は、検出した駐車ブレーキの状態の情報を車両制御ECU24へ送信する。
荷室ドアセンサ19は、車両2の荷室ドア付近に設けられ、荷室ドアの開閉操作を検出する検出器である。連結センサ17は、周知の構成のものを採用することができる。荷室ドアセンサ19は、検出した連結状態の情報を車両制御ECU24へ送信する。荷室ドアセンサ19は、トレーラ3の荷室ドア付近に設けられていてもよい。
連結センサ17によりトレーラ3の連結状態に変化があった旨が検出された場合、車両2がトレーラ3を牽引するか否かが変化することで、車両2の重量変化が生じる蓋然性が高いと考えられる。なお、ここでの車両2の重量変化には、トレーラ3の有無に応じて車両2の主ブレーキ装置26が負担する実質的な重量が変化することも含まれる。駐車ブレーキセンサ18により駐車ブレーキの状態がオンの旨が検出された場合、例えば車両2が停車している状態で荷物の積み込み又は荷下ろしが行われ、車両2の重量変化が生じる可能性があると考えられる。荷室ドアセンサ19により荷室ドアの開閉操作が検出された場合、荷室ドアが開けられて荷物の積み込み又は荷下ろしが行われ、車両2の重量変化が生じる可能性があると考えられる。すなわち、連結センサ17、駐車ブレーキセンサ18、及び荷室ドアセンサ19は、車両2の重量変化に関する情報を検出する検出部として機能する。なお、以下の説明では、これらのセンサ17〜19を単に「検出センサ17〜19」と記す場合がある。
車両制御装置1は、複数のECU21〜25として、例えば、エンジンECU21、AMTECU22、EBSECU(第1制御部)23A、車両制御ECU(第2制御部)24、及びクルーズECU(クルーズ制御部)25を備えている。各ECU21〜25は、車両2の各種機能を制御する。各ECU21〜25は、通信線4を介して互いに電気的に接続されている。
各ECU21〜25は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、CAN[Controller Area Network]通信回路等を有する電子制御ユニットである。各ECU21〜25では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。
エンジンECU21は、車両2のエンジンの制御を司る制御部であり、例えば、エンジンの点火時期、燃料噴射量、弁開閉等を制御する。エンジンECU21は、例えばクルーズECU25から出力された指令信号に基づいて、車両2のエンジンの出力トルクを制御する。
AMTECU22は、車両2の機械式自動変速機として構成されたAMT[Automated Manual Transmission]の制御を司る制御部であり、例えば、AMTのギヤの切替え、クラッチの断接等を制御する。
EBSECU23は、主ブレーキ装置26の制動力を制御する制御部である。EBSECU23は、車両2の運転者によるブレーキペダルの操作に応じて車両2に制動力を付与するように主ブレーキ装置26の動作を制御する。EBSECU23は、後述のクルコン制動力に応じて車両2に制動力を付与するように主ブレーキ装置26の動作を制御する。EBSECU23は、主ブレーキ装置26の制御に係る信号を主ブレーキ装置26に送信する。
また、EBSECU23は、所定の学習条件下で主ブレーキ装置26の制動力の学習制御を実行する(詳しくは後述)。
車両制御ECU24は、車両2全体の制御を司る制御部である。ここでの車両制御ECU24は、補助ブレーキ装置27の制動力を制御する。車両制御ECU24には、補助ブレーキ装置27のオンオフを切り替えるための操作スイッチ(不図示)からのオンオフ信号が入力される。操作スイッチは、例えば車両2の運転席内に設けられている。車両制御ECU24は、運転者による操作スイッチの操作に応じて補助ブレーキ装置27の動作を制御する。また、車両制御ECU24は、後述のクルーズECU25からクルコン制動力の情報を受信した場合、車両2に制動力を付与するように補助ブレーキ装置27の動作を制御してもよい。EBSECU23は、主ブレーキ装置26の制御に係る信号を主ブレーキ装置26に送信する。
また、車両制御ECU24は、主ブレーキ装置26の制動力の学習を促進させる学習促進モードを有している。学習促進モードでは、車両制御ECU24は、補助ブレーキ装置の動作を禁止する(詳しくは後述)。
クルーズECU25は、車両2を目標車速で走行させるクルーズコントロール制御を司る制御部である。クルーズECU25は、目標車速を一定として車両2を走行させてもよいし、車両2の先行車に追従するように目標車速を変化させるACC[Adaptive Cruise Control]制御を実行してもよい。クルーズECU25は、クルーズコントロール制御において車両2に付与すべき制動力であるクルコン制動力を算出する。クルコン制動力は、車速センサ11で検出した車両2の車速を目標車速に近付けるために車両2に付与することが必要となる制動力である。クルコン制動力は、周知の手法により、例えば車両2の車速と目標車速との偏差に基づいて算出することができる。クルーズECU25は、クルーズコントロール制御中において、車両2に付与すべき制動力である要求制動力としてクルコン制動力の情報をEBSECU23及び車両制御ECU24に送信する。
車両制御装置1は、車両2のブレーキ系統として、主ブレーキ装置26と補助ブレーキ装置27とを備えている。主ブレーキ装置26及び補助ブレーキ装置27は、通信線4を介して複数のECU21〜25に接続されている。
主ブレーキ装置26は、車両2において主要な制動を担う制動装置であり、いわゆるサービスブレーキである。主ブレーキ装置26は、車両2及びトレーラ3の車輪のそれぞれに設けられており、各車輪の回転を摩擦力によって制動する。
補助ブレーキ装置27は、主ブレーキ装置26の補助として用いられる制動装置である。補助ブレーキ装置27としては、例えば、リターダ、排気ブレーキ及びブレーキ加圧装置等の少なくとも1つが用いられている。
次に、EBSECU23及び車両制御ECU24の機能的構成について、図3及び図4を参照しつつ説明する。第1実施形態では、EBSECU23の一例としてEBSECU23Aを例示し、車両制御ECU24の一例として車両制御ECU24Aを例示する。
図3に示されるように、EBSECU23Aは、要求制動力認識部31と、学習部32と、学習リセット部33と、主ブレーキ動作制御部34と、を備えている。
要求制動力認識部31は、車両2に付与すべき制動力である要求制動力を認識する。要求制動力は、主ブレーキ装置26及び補助ブレーキ装置27の少なくとも何れか一方を動作させることによって実現され得る。要求制動力認識部31は、車両2の運転者によるブレーキペダルの操作量に基づいて周知の手法で算出された制動力を要求制動力として認識する。また、要求制動力認識部31は、クルーズコントロール制御中において、クルーズECU25からのクルコン制動力の情報に基づいて、クルコン制動力を要求制動力として認識する。
学習部32は、所定の学習条件下で主ブレーキ装置26の制動力の学習制御を実行する。学習制御では、車両2に所望の減速度を付与するために車両2の各車輪に付与すべき制動力の配分を各車輪ごとに算出すると共に記憶する。学習制御の手法は、周知の手法を採用することができる。
学習条件とは、車両2の各車輪に付与すべき制動力の配分に対する実際の配分のずれ分を適切に取得できるような条件である。学習条件は、例えば、主ブレーキ装置26の動作時間が所定の時間閾値以上で継続した条件が挙げられる。学習条件は、主ブレーキ装置26の制動による減速度が一定範囲内の減速度となっている条件が含まれてもよい。
学習リセット部33は、所定の学習リセット条件下で学習制御の学習値の初期化処理である学習リセットを実行する。学習リセットの手法は、周知の手法を採用することができる。
学習リセット条件とは、既に実行した学習制御の結果を継続して使用することが妥当ではなくなった状況に相当する条件である。より詳しくは、学習リセット条件は、車両2に所望の減速度を付与するために車両2の各車輪に付与すべき制動力の配分が変わってしまう条件であり、例えば、車両2の重量変化が生じた状況に相当する条件である。学習リセット条件には、トレーラ3の有無に応じて車両2の主ブレーキ装置26が負担する実質的な重量が変化した状況に相当する条件も含まれる。
主ブレーキ動作制御部34は、車両2に制動力を付与するように主ブレーキ装置26の動作を制御する。主ブレーキ動作制御部34は、例えば、要求制動力認識部31で認識した要求制動力を付与するように主ブレーキ装置26の動作を制御する。主ブレーキ動作制御部34は、学習リセット部33が学習リセットを実行した場合、要求制動力としてクルコン制動力で車両2に制動力を付与するように主ブレーキ装置26の動作を制御する。
図4に示されるように、車両制御ECU24Aは、スイッチ操作認識部41と、学習リセット推定部42と、補助ブレーキ動作制御部43と、を備えている。
スイッチ操作認識部41は、車両制御ECU24に入力された操作スイッチの信号に基づいて、補助ブレーキ装置27のオンオフを切り替えるための運転者による操作スイッチの操作を認識する。
学習リセット推定部42は、検出センサ17〜19の検出結果に基づいて、学習リセット部33による学習リセットの実行を推定する。第1実施形態では、EBSECU23Aで学習リセット部33により学習リセットが実行された旨の情報を直接的に利用するのではなく、車両制御ECU24Aで学習リセット部33による学習リセットの実行を推定する。
学習リセット推定部42は、検出センサ17〜19の検出結果の少なくとも1つに基づいて車両2の重量変化が生じる蓋然性が高いと考えられる場合、学習リセットの実行を推定する。具体的には、学習リセット推定部42は、車両2に対するトレーラ3の連結状態に変化があった場合に、学習リセットの実行を推定する。学習リセット推定部42は、例えば、車両2に対するトレーラ3の連結状態に変化があった場合に、学習リセットの実行を推定する。学習リセット推定部42は、駐車ブレーキセンサ18により駐車ブレーキの状態がオンの旨が検出された場合に、学習リセットの実行を推定する。学習リセット推定部42は、荷室ドアセンサ19により荷室ドアの開閉操作が検出された場合に、学習リセットの実行を推定する。
補助ブレーキ動作制御部43は、スイッチ操作認識部41の認識結果及び学習リセット推定部42の推定結果に基づいて、補助ブレーキ装置27の動作を制御する。より詳しくは、補助ブレーキ動作制御部43は、学習リセット推定部42により学習リセットの実行が推定されていない場合、スイッチ操作認識部41の認識結果に応じて補助ブレーキ装置27の動作を制御する。一方、補助ブレーキ動作制御部43は、学習リセット推定部42により学習リセットの実行が推定された場合、学習条件下を含む所定の期間において補助ブレーキ装置27の動作を禁止する。一例として、補助ブレーキ動作制御部43は、学習リセット推定部42により学習リセットの実行が推定された場合においてクルーズECU25によりクルーズコントロール制御が実行されているとき、所定の期間において補助ブレーキ装置27の動作を禁止する。
補助ブレーキ動作制御部43は、学習条件下を含む所定の期間として、学習促進モードを設定してもよい。学習促進モードは、主ブレーキ装置26の制動力の学習制御を、学習制御の対象ではない補助ブレーキ装置27の制動力を除いた状態で実行することで、学習制御を迅速に実行する(学習の完了を促進する)ためのモードである。学習促進モードは、学習リセットの後に再度の学習制御を実行する機会がある期間となるように設定することができる。
ここでの学習促進モードは、一例として、学習リセット推定部42により学習リセットの実行が推定された場合においてクルーズECU25によりクルーズコントロール制御が実行されているときの所定の期間となるように設定することができる。所定の期間は、補助ブレーキ動作制御部43が学習促進モードを開始してから学習促進モードを解除するまでの期間として規定され、例えば主ブレーキ装置26のみによる所定の制動が所定の減速回数行われるまでの期間であってもよい。
より詳しくは、補助ブレーキ動作制御部43は、学習リセット推定部42により学習リセットの実行が推定された場合、減速回数を0にリセットすると共に学習促進モードを開始する。補助ブレーキ動作制御部43は、例えば主ブレーキ装置26のみによる制動が所定時間継続した場合、学習部32による学習制御の実行がなされたものとして、減速回数を1回増加させる。補助ブレーキ動作制御部43は、主ブレーキ装置26のみによる制動が繰り返された結果として減速回数が所定の解除閾値以上となった場合、学習制御が十分になされたものとして、学習促進モードを解除する。補助ブレーキ動作制御部43は、学習促進モードを開始してから学習促進モードを解除するまでの期間において、補助ブレーキ装置27の動作を禁止する。
このようにして、補助ブレーキ動作制御部43は、学習促進モード中ではない場合、スイッチ操作認識部41で補助ブレーキ装置27をオンに切り替える操作スイッチの操作を認識したとき、補助ブレーキ装置27が車両2に制動力を付与するように補助ブレーキ装置の動作を制御する。補助ブレーキ動作制御部43は、学習促進モード中ではない場合、スイッチ操作認識部41で補助ブレーキ装置27をオフに切り替える操作スイッチの操作を認識したとき、補助ブレーキ装置27が車両2に制動力を付与しないように補助ブレーキ装置の動作を制御する。補助ブレーキ動作制御部43は、学習促進モード中である場合、スイッチ操作認識部41で補助ブレーキ装置27をオンに切り替える操作スイッチの操作を認識したとしても、補助ブレーキ装置の動作を禁止する。
次に、第1実施形態の車両制御装置1による処理の一例について、図5を参照して説明する。図5では、例えば、車両2及びトレーラ3が切り離された状態から互いに連結された状態となった後、車両2が走行を開始してクルーズコントロール制御の実行が開始された状況において、図5に示されるフローチャートの処理が実行される場合を例示している。
図5に示されるように、連結センサ17は、S10において、車両2の重量変化に関する情報を検出する。ここでは、連結センサ17は、車両2に対するトレーラ3の連結状態として、車両2及びトレーラ3が切り離された状態から互いに連結された状態となったことを検出する。
EBSECU23Aは、S11において、学習リセット部33により、学習制御の学習値の初期化処理である学習リセットの実行を行う。学習リセット部33は、所定の学習リセット条件が成立したとして、学習リセットを実行する。
車両制御ECU24Aは、S12において、学習リセット推定部42により、学習リセットの実行の推定を行う。学習リセット推定部42は、例えば連結センサ17の検出結果に基づいて、トレーラ3の連結状態の変化に応じて車両2の重量変化が生じた蓋然性が高いとして、学習リセット部33による学習リセットの実行を推定する。車両制御ECU24Aは、S13において、補助ブレーキ動作制御部43により、減速回数のリセットを行う。補助ブレーキ動作制御部43は、S10の連結センサ17の検出結果に基づいて、減速回数をリセットする。車両制御ECU24Aは、S14において、補助ブレーキ動作制御部43により、S10の連結センサ17の検出結果に基づいて、学習促進モードの開始を行う。補助ブレーキ動作制御部43は、学習促進モードを開始してから学習促進モードを解除するまでの期間において、補助ブレーキ装置27の動作を禁止する。
クルーズECU25は、S15において、クルコン制動力の算出を行う。クルーズECU25は、例えば車両2が走行する道路の勾配が下り勾配になったこと等により車両2に制動力を付与すべきとして、車両2の車速を維持するようにクルコン制動力を算出する。
EBSECU23Aは、S16において、主ブレーキ動作制御部34により、算出されたクルコン制動力に基づいて、主ブレーキ装置26の動作の制御を行う。要求制動力認識部31は、算出されたクルコン制動力を車両2の要求制動力として認識する。主ブレーキ動作制御部34は、クルコン制動力で車両2に制動力を付与するように主ブレーキ装置26の動作を制御する。
主ブレーキ装置26は、S17において、クルコン制動力での制動を行う。主ブレーキ装置26は、EBSECU23Aからの信号に応じて、クルコン制動力で車両2に制動力を付与する。なお、ここでは補助ブレーキ装置27の動作が禁止されているため、補助ブレーキ装置27によっては車両2に制動力が付与されない。
EBSECU23Aは、S18において、学習部32により、学習制御の実行を行う。学習部32は、所定の学習条件が成立したとき、主ブレーキ装置26の制動力の学習制御を実行する。
車両制御ECU24Aは、S19において、補助ブレーキ動作制御部43により、学習促進モードの解除を行う。補助ブレーキ動作制御部43は、例えば主ブレーキ装置26のみによる制動が所定時間継続した場合、学習部32による学習制御の実行がなされたものとして、減速回数を1回増加させる。補助ブレーキ動作制御部43は、減速回数が所定の解除閾値以上となった場合、学習制御が十分になされたものとして、学習促進モードを解除する。補助ブレーキ動作制御部43は、学習促進モードの解除後にあっては、運転者による操作スイッチの操作に応じて、又は、クルコン制動力に応じて、車両2に制動力を付与するように補助ブレーキ装置27の動作を制御する。その後、車両制御装置1では、図5の処理が終了される。
[第1実施形態の作用及び効果]
以上説明したように、車両制御装置1では、学習リセット推定部42により、検出センサ17〜19で検出された車両の重量変化に関する情報に基づいて、学習リセットの実行が推定される。よって、車両制御ECU24Aは、EBSECU23Aで学習リセットが実行された旨の情報を直接的に利用できなかったとしても、学習リセットの実行が推定される場合に、補助ブレーキ装置27の動作を禁止する。これにより、例えば学習リセットの後に再度の学習制御を実行する際に、学習制御の対象ではない補助ブレーキ装置27の制動力を除いた状態で、主ブレーキ装置26の制動力の学習制御を実行することができる。その結果、主ブレーキ装置26の制動力の学習制御を適切且つ迅速に実行することが可能となる。
車両制御装置1では、車両2は、トラクターであり、検出センサ17〜19は、車両2に対するトレーラ3の連結状態を検出する連結センサ17を含み、学習リセット推定部42は、車両2に対するトレーラ3の連結状態に変化があった場合に、学習リセットの実行を推定する。この場合、トレーラ3の連結状態の変化に応じて車両2の重量変化が生じる蓋然性が高いと考えられる。そこで、トレーラ3の連結状態に変化があった場合には、車両2の重量変化が生じたものとして学習リセット推定部42により学習リセットの実行を推定することで、補助ブレーキ装置27の動作を適切に禁止することができる。
車両制御装置1は、車両2を目標車速で走行させるクルーズコントロール制御を実行すると共に、クルーズコントロール制御において車両2に付与すべき制動力であるクルコン制動力を算出するクルーズECU25を更に備える。EBSECU23Aは、学習リセット部33が学習リセットを実行した場合、クルコン制動力で車両2に制動力を付与するように主ブレーキ装置26の動作を制御する。車両制御ECU24Aは、学習リセット推定部42により学習リセットの実行が推定された場合においてクルーズECU25によりクルーズコントロール制御が実行されているとき、所定の期間において補助ブレーキ装置27の動作を禁止する。これにより、車両2に付与すべきクルコン制動力を主ブレーキ装置26で実現しつつ、主ブレーキ装置26の制動力の学習制御を適切且つ迅速に実行することができる。
[第2実施形態]
次に、車両制御装置1の他の形態について、図6〜図8を参照しつつ説明する。第2実施形態では、EBSECU23及び車両制御ECU24の機能的構成が、第1実施形態と異なっており、その他の構成は、第1実施形態の車両制御装置1と同様に構成されている。第2実施形態では、EBSECU23の他の例としてEBSECU23Bを例示し、車両制御ECU24の他の例として車両制御ECU24Bを例示する。
図6に示されるように、EBSECU23Bは、要求制動力認識部31、学習部32、学習リセット部33、及び主ブレーキ動作制御部34に加えて、リセット信号送信部(送信部)35を更に備えている。要求制動力認識部31、学習部32、学習リセット部33、及び主ブレーキ動作制御部34は、第1実施形態のEBSECU23Aのものと同一の機能を有している。リセット信号送信部35は、学習リセット部33により学習リセットが実行された旨の信号を車両制御ECU24Bに送信する。
図7に示されるように、車両制御ECU24Bは、スイッチ操作認識部41及び補助ブレーキ動作制御部43を備えると共に、学習リセット推定部42に代えて、リセット信号受信部44を備えている。スイッチ操作認識部41は、第1実施形態の車両制御ECU24Aのものと同一の機能を有している。リセット信号受信部44は、リセット信号送信部35からの信号を受信する。
つまり、第2実施形態では、EBSECU23Bで学習リセット部33により学習リセットが実行された旨の情報を、車両制御ECU24Bで直接的に利用することが可能に構成されている。
車両制御ECU24Bでは、補助ブレーキ動作制御部43は、リセット信号受信部44によりリセット信号送信部35からの信号が受信された場合、学習条件下を含む所定の期間において補助ブレーキ装置27の動作を禁止する。補助ブレーキ動作制御部43は、リセット信号受信部44によりリセット信号送信部35からの信号が受信された場合においてクルーズECU25によりクルーズコントロール制御が実行されているとき、所定の期間において補助ブレーキ装置27の動作を禁止する。学習条件、所定の期間、学習リセット条件等は、第1実施形態と同様とすることができる。
次に、第2実施形態の車両制御装置1による処理の一例について、図8を参照して説明する。図8では、例えば、学習リセット条件が成立した後、車両2が走行を開始してクルーズコントロール制御の実行が開始された状況において、図8に示されるフローチャートの処理が実行される場合を例示している。
図8に示されるように、EBSECU23Bは、S20において、学習リセット部33により、学習リセットの実行を行う。EBSECU23Bは、S21において、リセット信号送信部35により、学習リセット部33により学習リセットが実行された旨の信号を車両制御ECU24Bに送信する。
車両制御ECU24Bは、S22において、リセット信号受信部44により、リセット信号送信部35からの信号を受信する。車両制御ECU24Bは、S23において、補助ブレーキ動作制御部43により、減速回数のリセットを行う。補助ブレーキ動作制御部43は、S22のリセット信号送信部35からの信号の受信に応じて、減速回数をリセットする。車両制御ECU24Bは、S24において、補助ブレーキ動作制御部43により、S22のリセット信号送信部35からの信号の受信に応じて、学習促進モードの開始を行う。補助ブレーキ動作制御部43は、学習促進モードを開始してから学習促進モードを解除するまでの期間において、補助ブレーキ装置27の動作を禁止する。以下、S25からS29までの処理は、図5に示される第1実施形態の車両制御装置1によるS15からS19までの処理と同様であるため、重複する説明を省略する。
[第2実施形態の作用及び効果]
以上説明したように、車両制御装置1では、EBSECU23Bにおいて学習リセットが実行された旨の信号は、リセット信号送信部35により車両制御ECU24Bに送信される。リセット信号送信部35からの信号は、車両制御ECU24Bにおいてリセット信号受信部44により受信される。よって、車両制御ECU24Bは、EBSECU23Bで学習リセットが実行された旨の情報を直接的に利用して、補助ブレーキ装置27の動作を禁止する。これにより、例えば学習リセットの後に再度の学習制御を実行する際に、学習制御の対象ではない補助ブレーキ装置27の制動力を除いた状態で、主ブレーキ装置26の制動力の学習制御を実行することができる。その結果、主ブレーキ装置26の制動力の学習制御を適切且つ迅速に実行することが可能となる。
車両制御装置1は、車両2を目標車速で走行させるクルーズコントロール制御を実行すると共に、クルーズコントロール制御において車両2に付与すべき制動力であるクルコン制動力を算出するクルーズECU25を更に備えている。EBSECU23Bは、学習リセット部33が学習リセットを実行した場合、クルコン制動力で車両2に制動力を付与するように主ブレーキ装置26の動作を制御する。車両制御ECU24Bは、リセット信号受信部44により信号が受信された場合においてクルーズECU25によりクルーズコントロール制御が実行されているとき、所定の期間において補助ブレーキ装置27の動作を禁止する。これにより、車両2に付与すべきクルコン制動力を主ブレーキ装置26で実現しつつ、主ブレーキ装置26の制動力の学習制御を適切且つ迅速に実行することができる。
[変形例]
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述した各実施形態に限られるものではない。
例えば、上記第1実施形態では、車両制御装置1は、検出部として、連結センサ17、駐車ブレーキセンサ18、及び荷室ドアセンサ19を例示したが、これらに限定されるものではない。これら検出センサ17〜19の一部又は全部が省略されていてもよい。また、例えば、検出部として、車両制御ECU24が車両2の停車時間を検出するように機能してもよい。この場合、学習リセット推定部42は、車両2の停車時間が所定の時間閾値以上の場合に、例えば荷物の積み込み又は荷下ろしが行われ、車両2の重量変化が生じる可能性があるとして、学習リセットの実行を推定することができる。
上記第2実施形態では、車両制御装置1は、連結センサ17、駐車ブレーキセンサ18、及び荷室ドアセンサ19を備えていたが、これら検出センサ17〜19の一部又は全部が省略されていてもよい。
上記第1実施形態と第2実施形態とを、組み合わせてもよい。この場合、補助ブレーキ動作制御部43は、補助ブレーキ装置27の動作を禁止するために、リセット信号受信部44によるリセット信号送信部35からの信号の受信結果を利用してもよいし、学習リセット推定部42による学習リセットの実行の推定結果を利用してもよい。
上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1制御部及び第2制御部として、互いに別体のECUであるEBSECU23と車両制御ECU24とを例示したが、第1制御部及び第2制御部は、1つのECUとして構成されていてもよい。
図5及び図8の例では、車両2のクルーズコントロール制御の実行中の処理を示したが、車両2のクルーズコントロール制御の実行中でなくてもよい。この場合、学習促進モードは、一例として、学習リセット推定部42により学習リセットの実行が推定された場合の所定の期間となるように設定することができる。
学習促進モードは、上述の例に限定されない。学習促進モードは、学習条件下を含む期間であれば、その他の種々の期間を採用することができる。また、学習促進モードの解除のタイミングは、上述の減速回数を用いる例に限定されない。例えば、EBSECU23が、学習部32による学習が完了された旨の信号を車両制御ECU24に送信可能な送信部を有し、車両制御ECU24が、当該信号を受信可能な受信部を有している場合には、当該信号が車両制御ECU24の受信部により受信されたときを学習促進モードの解除のタイミングとしてもよい。