(実施形態1)
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、実施形態1に係る空調機1の構成を示す模式図である。実施形態1に係る空調機1は、室外機2、室内機3、該室外機2と該室内機3とを接続し冷媒が循環する冷媒回路を構成するための冷媒配管10、及び空調機1の運転操作を行うリモコン4を備える。このように、空調機1は室内機3と室外機2とからなるセパレート型空調機である。
室外機2は、冷媒を圧縮する圧縮機21、圧縮機21の吐出管と接続され冷媒の経路を切り換える四路切換弁23、外気と熱交換を行う室外熱交換器24、冷媒を減圧する膨張弁25、圧縮機21の吸入管と接続され冷媒の気液分離を行うアキュムレータ22、及び室外熱交換器24に外気を送風する室外ファン26を備える。
圧縮機21は、インバータによって圧縮機21のモータの回転数を制御するようにしてあり、冷媒循環量を増減することができる容量可変型の圧縮機21であり、例えば ロータリー型又はスクロール型である。圧縮機21によって圧縮される冷媒は、例えば、R32又はR32を65重量%以上含む混合冷媒を含む。R32又はR32を65重量%以上含む混合冷媒を用いることによって、低GWP(Global Warming Potential)に寄与する空調機を提供することができる。
圧縮機21の吐出管、すなわち圧縮機21の吐出ポートと四路切換弁23とを接続する配管には、圧縮機21が吐出した冷媒の温度を検知する吐出温度センサ212が、配置してある。又は、吐出温度センサ212は、圧縮機21に内蔵され、吐出ポートから吐出される冷媒の温度を検知するように配置してあってもよい。
膨張弁25は、ステッピングモータによって弁開度を制御するようにしてある電動弁である。室外ファン26は、例えばDCモータによって回転駆動するプロペラファンである。
室外熱交換器24の風上側には、外気温度センサ241が配置してあり、室外熱交換器24を通過する前の外気の温度(外気温度)を検知する。アキュムレータ22と四路切換弁23とを接続する配管又は圧縮機21の吸入管には、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検知する吸入温度センサ211が、配置してある。
室外機2は、室外制御基板27を備え、室外制御基板27は、圧縮機21、室外ファン26、四路切換弁23及び膨張弁25と電気的に接続してあり、圧縮機21、室外ファン26、四路切換弁23及び膨張弁25の駆動制御及び駆動状態の検知を行う。また、室外制御基板27は、外気温度センサ241、吸入温度センサ211及び吐出温度センサ212と電気的に接続してあり、夫々のセンサが検知し出力した値を取得する。また、室外制御基板27は、後述する室内制御基板36と通信可能に接続してあり、室内制御基板36と協働して、空調機1の全体の制御を行う。
室内機3は、室内の空気と熱交換を行う室内熱交換器31、室内熱交換器31に室内の空気を送風する室内ファン34、及び室内ファン34で送風した空気の吹き出し方向を定める風向板35を備える。室内ファン34は、例えばDCモータによって回転駆動するクロスフローファンである。なお、室内ファン34は、プロペラファン、ターボファン又はシロッコファンであってもよい。
室内熱交換器31は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、フィン(図示せず)及びフィンを貫通して設けられた伝熱管312を備える。伝熱管312は、室内熱交換器31内において複数回往復し、分岐管(図示せず)によって分岐することによって、伝熱管312の管長、すなわち有効長を長くするようにしてある。伝熱管312又は分岐管313には、室内熱交換器31の温度を検知するための室内熱交換器温度センサ311が、配置してある。室内熱交換器31の風上側、すなわち空気の吸い込み側には、室内の空気の温度を検知する吸込空気温度センサ32、及び当該空気の湿度(相対湿度)を検知する吸込空気湿度センサ33が配置されている。
室内機3は、室内制御基板36を備え、室内制御基板36は、室内ファン34及び風向板35と電気的に接続してあり、室内ファン34及び風向板35の駆動制御及び駆動状態の検知を行う。室内制御基板36は、室内熱交換器温度センサ311、吸込空気温度センサ32及び吸込空気湿度センサ33と電気的に接続してあり、夫々のセンサが検知し出力した値を取得する。室内制御基板36は、リモコン4からの空調機1の運転操作を受け付ける受付部(図示せず)と電気的に接続してあり、受け付けた運転操作に関する情報に基づいて、室外制御基板27と通信を行い、空調機1の制御を行う。
リモコン4は、受付部を介して室内機3と通信可能に接続してあり、入力部(図示せず)、表示部(図示せず)、リモコン内基板41及び、リモコン4の周辺空気すなわち披空調空間である室内の空気の温度を取得するリモコン内温度センサ42を備える。
室外機2と室内機3とは、冷媒配管10によって接続され、冷媒が循環する冷媒回路が、構成される。図1に示す如く、冷房運転時、四路切換弁23は実線のとおり切り換えてあり、圧縮機21、四路切換弁23、室外熱交換器24、膨張弁25、室内熱交換器31、四路切換弁23、及びアキュムレータ22の順で接続され、室外熱交換器24は凝縮器、室内熱交換器31は蒸発器として機能する。
暖房運転時、四路切換弁23は破線のとおり切り換えてあり、圧縮機21、四路切換弁23、室内熱交換器31、膨張弁25、室外熱交換器24、及びアキュムレータ22の順で接続され、室外熱交換器24は蒸発器、室内熱交換器31は凝縮器として機能する。従って、冷房運転時は、冷媒は、膨張弁25が接続されている冷媒配管10側の伝熱管312を入口として室内熱交換器31に流入し、四路切換弁23が接続されている冷媒配管10側の伝熱管312を出口として室内熱交換器31から流出する。暖房運転時は、冷媒は、四路切換弁23が接続されている冷媒配管10側の伝熱管312を入口として室内熱交換器31に流入し、膨張弁25が接続されている冷媒配管10側の伝熱管312を出口として室内熱交換器31から流出する。
図2は、実施形態1に係る空調機1の構成を示すブロック図である。空調機1は、圧縮機21の回転数の制御を行う制御部50、及び当該制御を行うために必要なプログラム51Pとデータを記憶する記憶部51を備える。
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、記憶部51に予め記憶されたプログラム51P及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行う。制御部50は、内蔵されているクロック等又は通信可能に接続してある時計部(図示せず)と連携することにより、計時機能を有する。CPU等は、室外制御基板27、室内制御基板36又はリモコン4内制御基板のいずれかの基板上に実装してある。又は、夫々の基板に実装されているCPU等が相互に通信し協働して、制御部50として機能するように構成してあってもよい。又は、制御部50は、図示しない外部ネットワークに、空調機1と通信可能に接続された制御サーバ上に実装してあってもよい。
記憶部51は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してあり、CPU等と同様に室外制御基板27、室内制御基板36又はリモコン4内制御基板のいずれかの基板上に実装してある。
制御部50は、外気温度センサ241、吸入温度センサ211、吐出温度センサ212、室内熱交換器温度センサ311、吸込空気温度センサ32、及び吸込空気湿度センサ33と電気的に接続してあり、各センサが検知し出力した値を取得する。制御部50は、リモコン4と通信可能に接続してあり、リモコン4から送信された運転操作に関する情報、及びリモコン内温度センサ42が検知した温度に関する情報を受付け、当該情報に基づき空調機1の全体の制御を行う。
制御部50は、圧縮機21、膨張弁25、室内ファン34、室外ファン26、四路切換弁23及び風向板35と電気的に接続してあり、これらアクチュエータの駆動制御、及び駆動状態の検知を行う。従って、制御部50は、圧縮機21の回転数、膨張弁25の開度、室内ファン34及び室外ファン26の回転数、四路切換弁23の切換状態、及び風向板35の方向等を含む空調機1の運転に関する運転情報を取得する取得部として機能する。
空調機1は、吐出温度検出部、室内温度検出部及び外気温度検出部を備える。吐出温度検出部は、圧縮機21によって圧縮され吐出された冷媒の温度を検出する機能を有し、圧縮機21の吐出管に配置された吐出温度センサ212を含む。室内温度検出部は、室内機3が載置された披空調空間の空気の温度を検出する機能を有し、室内機3に配置された吸込空気温度センサ32、リモコン内に配置されたリモコン内温度センサ42又は被空調空間内に設けられ制御部50と通信可能に接続された温度センサ(図示せず)を含む。外気温度検出部は、室外機2が載置された空間の気温、すなわち外気温度を検出する機能を有し、室外熱交換器24の風上側に配置された外気温度センサ241を含む。なお、リモコン内温度センサ42は無くてもよい。
制御部50は、空調負荷に応じて、圧縮機21の回転数の制御を行う。空調負荷とは、被空調空間に対し必要な空調を行うために負荷であり、運転条件、被空調空間の室温及び外気温度等によって決定される。運転条件は、例えば、暖房及び冷媒等の運転モード、室内ファンの回転数(室内に供給する風量)、又は被空調空間の目標温度を定める設定温度を含む。制御部50は、空調負荷に応じて、圧縮機21の回転数及び、室内ファン34、室外ファン26、膨張弁25等のアクチュエータを制御し、空調機1が必要な能力を発揮できるようにしてある。
図3は、圧縮機21の最大回転数及び最小回転数の制御に関する説明図である。図4は、圧縮機21の回転数の最大変化率及び最小変化率の制御に関する説明図である。制御部50は、圧縮機21の回転数を制御するにあたり、圧縮機21の保護のため、最大回転数及び最小回転数を設定してある。制御部50は、例えば、単位時間として1分等の所定時間内における回転数の変化率の最大値(最大変化率)、最小値(最小変化率)を設定し、回転数が、急激に変化しないようにして、圧縮機21に過度なストレスが、かからないようにしている。
最大回転数、最小回転数、回転数の最大変化率及び最小変化率は、運転条件に基づいて、各々設定してあり、制御部50が空調負荷に応じて圧縮機21の回転数の制御を適切に行うようにしてある。これら最大回転数、最小回転数、回転数の最大変化率及び最小変化率の最小値は、記憶部51に記憶してある。
外気温度が低い状態で、暖房運転を開始する場合、圧縮機21内にある冷媒は、液冷媒となっている冷媒の寝込み状態となっている。寝込み状態の場合、圧縮機内のオイルが液冷媒により希釈される。そのため、オイルの潤滑性が低下し、その状態で高速回転すると内部部品が摩耗し圧縮機故障の原因となる。また、液冷媒を圧縮する場合、圧縮機21にかかる負荷が大きくなる。そのため、制御部50は、最大回転数及び回転数の最大変化率を低下させ、圧縮機21を保護するようにしてある。液冷媒を圧縮する場合、圧縮機21の回転トルクが不足すると、脱調することがあるため、制御部50は、最小回転数及び回転数の最小変化率を上昇させ、必要な回転トルクを発揮できるようにしてある。
制御部50は、室内温度検出部が検出した室内温度、吐出温度検出部が検出した吐出温度を取得し、図3及び図4に示すごとく、圧縮機21の回転数の制御を適切に行うため、最大回転数、最小回転数、回転数の最大変化率及び最小変化率の変更を行う。
制御部50は、圧縮機21の最大回転数を低下させるか否かの判定を、取得した室内温度(Tin)及び吐出温度(Td)に基づいて行う。制御部50は、室内温度に基づいて、第1吐出閾値温度を導出する。第1吐出閾値温度の導出は、例えば、室内温度に、圧縮機21の機種特性等から決定される所定の温度(Tdown、以降、第1所定温度とする)を加算(第1吐出閾値温度=第1所定温度+室内温度)して行う。
制御部50は、導出した第1吐出閾値温度と、吐出温度とを比較し、吐出温度が第1吐出閾値温度以下の場合は、圧縮機21の最大回転数を低下させる。従って、同一の運転条件下において、吐出温度が第1吐出閾値温度以下の場合の圧縮機21の最大回転数は、吐出温度が第1吐出閾値温度よりも大きい場合の圧縮機21の最大回転数より、低くなるようにしてある。
室内温度は、空調機1の暖房運転を開始した直後は室内熱交換器31の温度と同等とみなすことができ、空調機1の暖房運転が開始され所定期間が経過した後は室内熱交換器31の温度との相関関係を有し、空調機1の運転状態を把握するための入力因子とすることができる。従って、吐出温度が第1吐出閾値温度以下(吐出温度≦第1吐出閾値温度)の場合、制御部50は、圧縮機21内の冷媒の湿り度が高いと判定し、圧縮機21の最大回転数を低くして、潤滑不良や液圧縮による過度な負荷から圧縮機21を保護するようにしてある。従って、冷媒の状態によって温度分布に偏りが発生する室内熱交換器31の温度の影響を受けることなく、吐出温度と、室内温度に基づいて導出した第1吐出閾値温度とを比較することによって、圧縮機21の回転数の制御を適切に行うことができる。
この判定は、吐出温度から室内温度を減算した差異温度と、第1所定温度とを比較することによって行ってもよい。上述のとおり、吐出温度が、室内温度と第1所定温度を加算して導出した第1吐出閾値温度以下である場合(吐出温度≦第1所定温度+室内温度)は、吐出温度から室内温度を減算した差異温度が、第1所定温度以下である場合(吐出温度−室内温度≦第1所定温度)と等価である。吐出温度から室内温度を減算した差異温度は、吐出温度から、暖房運転時の室内熱交換器31の温度、すなわち冷媒の凝縮温度を減算した吐出加熱度と相関関係を有する。従って、冷媒の状態によって温度分布に偏りが発生する室内熱交換器31の温度の影響を受けることなく、吐出温度と室内温度との差異温度と、圧縮機21の機種特性によって決定される第1所定温度とを比較することによって、圧縮機21の回転数の制御を適切に行うことができる。
第1吐出閾値温度は、第1所定温度に室内温度を加算して導出するとしたが、これに限定されない。室内温度の数値夫々に対応して、第1吐出閾値温度の数値夫々を決定し、室内温度の数値と第1吐出閾値温度の数値との対応関係を、例えばテーブル表に登録し、記憶部51に記憶してもよい。吐出温度から室内温度を減算した差異温度と、第1所定温度とを比較して判定するとしたが、これに限定されない。吐出温度及び室内温度の夫々の数値の組合せからなるマトリックス表において、個々の組合せにおける圧縮機21の回転数の最大回転数の低下の要否を登録し、記憶部51に記憶してあってもよい。
制御部50は、圧縮機21の最小回転数を上昇させる否かの判定を、取得した室内温度(Tin)及び吐出温度(Td)に基づいて行う。制御部50は、室内温度に基づいて、第2吐出閾値温度を導出する。第2吐出閾値温度の導出は、例えば、室内温度に、圧縮機21の機種特性等から決定される所定の温度(Tup、以降、第2所定温度とする)を加算(第2吐出閾値温度=第2所定温度+室内温度)して行う。
制御部50は、導出した第2吐出閾値温度と、吐出温度とを比較し、吐出温度が第2吐出閾値温度以下の場合は、圧縮機21の最小回転数を上昇させる。従って、同一の運転条件下において、吐出温度が第2吐出閾値温度以下の場合の圧縮機21の最小回転数は、吐出温度が第2吐出閾値温度よりも大きい場合の圧縮機21の最小回転数より、高くなるようにしてある。
室内温度は、空調機1の暖房運転を開始した直後は室内熱交換器31の温度と同等とみなすことができ、空調機1の暖房運転が開始され所定期間が経過した後は、室内熱交換器31の温度との相関関係を有し、空調機1の運転状態を把握するための入力因子とすることができる。吐出温度が第2吐出閾値温度以下の場合(吐出温度≦第2吐出閾値温度)、制御部50は、圧縮機21内の冷媒の湿り度が高いと判定し、圧縮機21の最小回転数を高くして、液圧縮に対応するための必要な回転トルクを発揮させ、脱調の発生を防止するようにしてある。従って、冷媒の状態によって温度分布に偏りが発生する室内熱交換器31の温度の影響を受けることなく、吐出温度と、室内温度に基づいて導出した第2吐出閾値温度とを比較することによって、圧縮機21の回転数の制御を適切に行うことができる。
この判定は、吐出温度から室内温度を減算した差異温度と、第2所定温度とを比較することによって行ってもよい。上述のとおり、吐出温度が、室内温度と第2所定温度を加算して導出した第2吐出閾値温度以下である場合(吐出温度≦第2所定温度+室内温度)は、吐出温度から室内温度を減算した差異温度が、第2所定温度以下である場合(吐出温度−室内温度≦第2所定温度)と等価である。従って、冷媒の状態によって温度分布に偏りが発生する室内熱交換器31の温度の影響を受けることなく、吐出温度と室内温度との差異温度と、圧縮機21の機種特性によって決定される第2所定温度とを比較することによって、圧縮機21の回転数の制御を適切に行うことができる。
第2吐出閾値温度は、第2所定温度に室内温度を加算して導出するとしたが、これに限定されない。室内温度の数値夫々に対応して、第2吐出閾値温度の数値夫々を決定し、室内温度の数値と第2吐出閾値温度の数値との対応関係を、例えばテーブル表に登録し、記憶部51に記憶してもよい。吐出温度から室内温度を減算した差異温度と、第2所定温度とを比較して判定するとしたが、これに限定されない。吐出温度及び室内温度の夫々の数値の組合せからなるマトリックス表において、個々の組合せにおける圧縮機21の回転数の最小回転数の上昇の要否を登録し、記憶部51に記憶してあってもよい。
図4に示すごとく、制御部50は、吐出温度及び室内温度に基づいて、圧縮機21の回転数の最大変化率の低下、又は最小変化率の上昇を行う。制御部50は、圧縮機21の回転数の最大変化率を低下させるか否かの判定を、取得した室内温度(Tin)及び吐出温度(Td)に基づいて行う。制御部50は、室内温度に基づいて、第1吐出閾値温度を導出する。第1吐出閾値温度の導出は、例えば、室内温度に、圧縮機21の機種特性等から決定される第1所定温度(Tdown)を加算して行う。
制御部50は、導出した第1吐出閾値温度と、吐出温度とを比較し、吐出温度が第1吐出閾値温度以下の場合は、圧縮機21の回転数の最大変化率を低下させる。従って、同一の運転条件下において、吐出温度が第1吐出閾値温度以下の場合の圧縮機21の回転数の最大変化率は、吐出温度が第1吐出閾値温度よりも大きい場合の圧縮機21の回転数の最大変化率より、低くなるようにしてある。吐出温度が第1吐出閾値温度以下の場合(吐出温度≦第1吐出閾値温度)、制御部50は、圧縮機21内の冷媒の湿り度が高いと判定し、圧縮機21の回転数の最大変化率を低下させる。従って、回転数の急激な変更を抑制して液圧縮による過度な負荷から圧縮機21を保護することができる。圧縮機の最大回転数の制御と同様に、この判定を吐出温度から室内温度を減算した差異温度と、第1所定温度とを比較することによって行ってもよい。
制御部50は、圧縮機21の回転数の最小変化率を上昇させるか否かの判定を、取得した室内温度(Tin)及び吐出温度(Td)に基づいて行う。制御部50は、室内温度に基づいて、第2吐出閾値温度を導出する。第2吐出閾値温度の導出は、例えば、室内温度に、圧縮機21の機種特性等から決定される第2所定温度(Tup)を加算して行う。
制御部50は、導出した第2吐出閾値温度と、吐出温度とを比較し、吐出温度が第2吐出閾値温度以下の場合は、圧縮機21の回転数の最小変化率を上昇させる。従って、同一の運転条件下において、吐出温度が第2吐出閾値温度以下の場合の圧縮機21の回転数の最小変化率は、吐出温度が第2吐出閾値温度よりも大きい場合の圧縮機21の回転数の最小変化率より、高くなるようにしてある。吐出温度が第2吐出閾値温度以下の場合(吐出温度≦第2吐出閾値温度)、制御部50は、圧縮機21内の冷媒の湿り度が高いと判定し、圧縮機21の回転数の最小変化率を上昇する。従って、液圧縮に対応するための必要な回転トルクを発揮させ、脱調の発生を防止することができる。圧縮機の最小回転数の制御と同様に、この判定を吐出温度から室内温度を減算した差異温度と、第2所定温度とを比較することによって行ってもよい。
従って、冷媒の状態によって温度分布に偏りが発生する室内熱交換器31の温度の影響を受けることなく、圧縮機21の回転数の最大変化率又は最小変化率の制御を適切に行うことができる。
圧縮機21の最大回転数及び最小回転数の制御と同様に、室内温度の数値夫々に対応して、第1吐出閾値温度及び第2吐出閾値温度の数値夫々を決定し、例えばテーブル表に登録し、記憶部51に記憶してもよい。又は、吐出温度及び室内温度の夫々の数値の組合せからなるマトリックス表において、個々の組合せにおける圧縮機21の回転数の最大変化率の低下又は最小変化率の上昇の要否を登録し、記憶部51に記憶してあってもよい。
制御部50は、室内温度に基づいて第1吐出閾値温度及び第2吐出閾値温度を導出し、圧縮機21の最大回転数、最小回転数、回転数の最大変化率及び最小変化率の上昇又は低下させる上述の制御を任意に組み合わせて行ってもよい。又は、制御部は50、吐出温度から室内温度を減算した差異温度を求め、当該差異温度と、第1所定温度又は第2所定温度との大小関係に基づき、圧縮機21の最大回転数、最小回転数、回転数の最大変化率及び最小変化率の上昇又は低下させる上述の制御を任意に組み合わせて行ってもよい。制御部50は、外気温度検出部が検出した外気温度を取得し、外気温度が所定値以下の場合、圧縮機21の最大回転数、最小回転数、回転数の最大変化率及び最小変化率の上昇又は低下させる制御を行ってもよい。
第1吐出閾値温度とは異なる第3吐出閾値温度(Tdown’)が設定してあり、制御部50は、吐出温度が第3吐出閾値温度以下の場合(吐出温度≦第3吐出閾値温度)、圧縮機21の最大回転数を低下してもよい。室内温度に関わらず、液圧縮による負荷から圧縮機21を保護するための第3吐出閾値温度を設定することにより、圧縮機21の運転の信頼性を担保させることができる。第3吐出閾値温度は、第1所定温度よりも大きい、すなわち高い温度であることが好ましい。
第2吐出閾値温度とは異なる第4吐出閾値温度(Tup’)が設定してあり、制御部50は、吐出温度が第4吐出閾値温度以下の場合(吐出温度≦第4吐出閾値温度)、圧縮機21の最小回転数を上昇してもよい。室内温度に関わらず、液圧縮に対応する回転トルクを発揮するための第4吐出閾値温度を設定することにより、圧縮機21の運転の信頼性を担保させることができる。第4吐出閾値温度は、第2所定温度よりも小さい、すなわち低い温度であり、最小回転数は、第2吐出閾値温度以下による最小回転数よりも第4吐出閾値温度以下による最小回転数の方が高い方が、好ましい。
制御部50による圧縮機21の回転数の制御に関する処理の流れについて、以下のとおりフローチャートを用いて説明する。制御部50は、空調機1の運転を開始の際、又は運転中において、常時的に以下の処理を実行する。図5は、実施形態1(最大回転数)に係る処理手順を示すフローチャートである。実施形態1の制御部50は、第1吐出閾値温度を導出し、圧縮機21の最大回転数の制御を行う。
制御部50は、所定の低回転数で圧縮機21を運転する(S11)。所定の低回転数とは、圧縮機21の運転を開始するにあたって、潤滑油の状態を安定化させ、圧縮機21に過度な負荷を与えないための保護制御を行うための回転数である。制御部50は、所定時間が経過したか否かを判定する(S12)。所定時間が経過していない場合(S12:NO)、S11の処理に戻るループ処理を行う。従って、圧縮機21の運転開始時に、所定の低回転数で圧縮機21を運転することによって、圧縮機21に過度な負荷を与えることを確実に抑制することができる。
所定時間が経過した場合(S12:YES)、制御部50は、吐出温度検出部が検出した吐出温度(Td)を取得する(S13)。制御部50は、室内温度検出部が検出した室内温度(Tin)を取得する(S14)。室内温度の取得は圧縮機運転前に実施してもよい。圧縮機運転前に実施する事で安定した温度を取得する事が可能である。
制御部50は、取得した室内温度(Tin)に基づいて、第1吐出閾値温度を導出する。制御部50は、取得した吐出温度が導出した第1吐出閾値温度以下(吐出温度≦第1吐出閾値温度)であるか否かの判定を行う(S15)。第1吐出閾値温度の導出は、例えば、室内温度(Tin)に、圧縮機21の機種特性等から決定される第1所定温度(Tdown)を加算(Tdown+Tin)して行う。S15の判定は、吐出温度(Td)から室内温度(Tin)を減算した差異温度と、第1所定温度(Tdown)とを比較することによって行ってもよい。すなわち、制御部50は、この差異温度が、第1所定温度以下(吐出温度−室内温度≦第1所定温度)であるか否かの判定を行ってもよい。
吐出温度が導出した第1吐出閾値温度以下の場合(S15:YES)、すなわち差異温度が第1所定温度以下の場合、制御部50は、運転条件によって予め定められている最大回転数よりも低くなるように、圧縮機21の最大回転数を低下する(S16)。制御部50は、低下させた最大回転数を上限として、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S17)。従って、冷媒の状態によって温度分布に偏りが発生する室内熱交換器31の温度の影響を受けることなく、吐出温度と、室内温度に基づいて導出した第1吐出閾値温度とを比較することによって、圧縮機21の最大回転数の制御を適切に行うことができる。
吐出温度が導出した第1吐出閾値温度よりも大きい場合(S15:NO)、すなわち差異温度が第1所定温度よりも大きい場合、制御部50は、運転条件によって予め定められている最大回転数を上限として、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S151)。
制御部50は、圧縮機21の回転数制御(S17又はS151)を実施し、処理を終了する。又は、制御部50は、S13の処理を再度実行すべく、ループ処理を行ってもよい。なお、制御部50は、S11及びS12の処理を行うことなく、S13の処理から実行するようにしてあってもよい。
(実施形態2)
図6は、実施形態2(最小回転数)に係る処理手順を示すフローチャートである。実施形態2の制御部50は、第2吐出閾値温度を導出し、圧縮機21の最小回転数の制御を行う。制御部50は、実施形態1のS11,S12,S13及びS14の処理と同様に、S21,S22,S23及びS24の処理を行う。
制御部50は、取得した室内温度(Tin)に基づいて、第2吐出閾値温度を導出する、制御部50は、取得した吐出温度が導出した第2吐出閾値温度以下(吐出温度≦第2吐出閾値温度)であるか否かの判定を行う(S25)。第2吐出閾値温度の導出は、例えば、室内温度(Tin)に、圧縮機21の機種特性等から決定される第2所定温度(Tup)を加算(Tup+Tin)して行う。S15の判定は、吐出温度(Td)から室内温度(Tin)を減算した差異温度と、第2所定温度(Tup)とを比較することによって行ってもよい。すなわち、制御部50は、この差異温度が、第2所定温度以下(吐出温度−室内温度≦第2所定温度)であるか否かの判定を行ってもよい。
吐出温度が導出した第2吐出閾値温度以下の場合(S25:YES)、すなわち差異温度が第2所定温度以下の場合、制御部50は、運転条件によって予め定められている最小回転数よりも高くなるように、圧縮機21の最小回転数を上昇する(S26)。制御部50は、上昇させた最小回転数を下限として、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S27)。従って、冷媒の状態によって温度分布に偏りが発生する室内熱交換器31の温度の影響を受けることなく、吐出温度と、室内温度に基づいて導出した第2吐出閾値温度とを比較することによって、圧縮機21の最小回転数の制御を適切に行うことができる。
吐出温度が導出した第2吐出閾値温度よりも大きい場合(S25:NO)、すなわち差異温度が第2所定温度よりも大きい場合、制御部50は、運転条件によって予め定められている最小回転数を下限として、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S251)。
制御部50は、圧縮機21の回転数制御(S27又はS251)を実施し、処理を終了する。又は、制御部50は、S23の処理を再度実行すべく、ループ処理を行ってもよい。なお、制御部50は、S21及びS22の処理を行うことなく、S23の処理から実行するようにしてあってもよい。
(実施形態3)
図7は、実施形態3(外気温度)に係る処理手順を示すフローチャートである。実施形態3の制御部50は、外気温度が所定値以下の場合、第1吐出閾値温度及び第2吐出閾値温度を導出し、圧縮機21の最大回転数及び最小回転数の制御を行う。制御部50は、実施形態1のS11及びS12の処理と同様に、S31及びS32の処理を行う。
制御部50は、外気温度検出部が検出した外気温度を取得する(S32)。制御部50は、取得した外気温度が、所定値以下であるか否かの判定を行う(S33)。この所定値とは、圧縮機21内にて冷媒が液化する傾向にある温度であり、例えば、冷媒がR32である場合、所定値は0℃である。外気温度が所定値よりも大きい場合(S33:NO)、制御部50は、S33の処理を再度実行すべく、ループ処理を行う。
外気温度が所定値よりも大きい場合(S33:YES)、制御部50は、実施形態1の処理(S13,S14)と同様に、吐出温度及び室内温度を取得する(S34,S35)。制御部50は、実施形態1の処理S15と同様に、吐出温度が導出した第1吐出閾値温度以下、すなわち差異温度が第1所定温度以下であるか否かの判定を行う(S36)。
吐出温度が導出した第1吐出閾値温度以下である場合(S36:YES)、制御部50は、実施形態2の処理(S25)と同様に、吐出温度が導出した第2吐出閾値温度以下、すなわち差異温度が第2所定温度以下であるか否かの判定を行う(S37)。
吐出温度が導出した第2吐出閾値温度以下である場合(S37:YES)、制御部50は、実施形態1の処理(S16)と同様に、圧縮機21の最大回転数を低下する(S38)。制御部50は、実施形態2の処理(S26)と同様に、圧縮機21の最小回転数を上昇する(S39)。制御部50は、低下させた最大回転数を上限とし、上昇させた最小回転数を下限として、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S40)。
吐出温度が導出した第2吐出閾値温度よりも大きい場合(S37:NO)、制御部50は、実施形態1の処理(S16)と同様に、圧縮機21の最大回転数を低下する(S371)。制御部50は、低下させた最大回転数を上限とし、予め定めてある最小回転数を下限として、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S372)。
吐出温度が導出した第1吐出閾値温度以下である場合(S36:NO)、制御部50は、実施形態2の処理(S25)と同様に、吐出温度が導出した第2吐出閾値温度以下、すなわち差異温度が第2所定温度以下であるか否かの判定を行う(S361)。
吐出温度が導出した第2吐出閾値温度以下である場合(S361:YES)、制御部50は、実施形態2の処理(S26)と同様に、圧縮機21の最小回転数を上昇する(S362)。制御部50は、上昇させた最小回転数を下限として、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S363)。
吐出温度が導出した第2吐出閾値温度よりも大きい場合(S361:NO)、制御部50は、運転条件によって、予め定められている最大回転数を上限とし、予め定められている最小回転数を下限として、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S500)。
なお、制御部50は、S31及びS32の処理を行うことなく、S33の処理から実行するようにしてあってもよい。制御部50は、圧縮機21の回転数制御(S40,S372,S363又はS500)を実施し、処理を終了する。又は、制御部50は、S33の処理を再度実行すべく、ループ処理を行ってもよい。制御部50は、外気温度が所定値以下である場合、圧縮機21の最大回転数又は最小回転数の制御を行うことによって、空調機1の能力が不必要に抑制されることを低減することができる。
(実施形態4)
図8は、実施形態4(最大変化率)に係る処理手順を示すフローチャートである。実施形態4の制御部50は、第1吐出閾値温度を導出し、圧縮機21の回転数の最大変化率の制御を行う。制御部50は、実施形態1のS11,S12,S13,S14及びS15の処理と同様に、S41,S42,S43,S44及びS45の処理を行う。
吐出温度が導出した第1吐出閾値温度以下の場合(S45:YES)、すなわち差異温度が第1所定温度以下である場合、制御部50は、圧縮機21の回転数の最大変化率を低下する(S46)。制御部50は、実施形態1の処理(S16)と同様に、圧縮機21の最大回転数を低下する(S47)。制御部50は、低下させた回転数の最大変化率及び低下させた最大回転数を、夫々の上限とし、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S48)。従って、冷媒の状態によって温度分布に偏りが発生する室内熱交換器31の温度の影響を受けることなく、吐出温度と、室内温度に基づいて導出した第1吐出閾値温度とを比較することによって、圧縮機21の回転数の最大変化率の制御を適切に行うことができる。
吐出温度が導出した第1吐出閾値温度よりも大きい場合(S45:NO)、すなわち差異温度が第1所定温度よりも大きい場合、制御部50は、運転条件によって予め定められている最大回転数及び回転数の最大変化率を上限として、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S451)。
制御部50は、圧縮機21の回転数制御(S48又はS451)を実施し、処理を終了する。又は、制御部50は、S43の処理を再度実行すべく、ループ処理を行ってもよい。なお、制御部50は、S41及びS42の処理を行うことなく、S43の処理から実行するようにしてあってもよい。
(実施形態5)
図9は、実施形態5(最小変化率)に係る処理手順を示すフローチャートである。実施形態5の制御部50は、第2吐出閾値温度を導出し、圧縮機21の回転数の最小変化率の制御を行う。制御部50は、実施形態2のS21,S22,S23,S24及びS25の処理と同様に、S51,S52,S53,S54及びS55の処理を行う。
吐出温度が導出した第2吐出閾値温度以下の場合(S55:YES)、すなわち差異温度が第2所定温度以下である場合、制御部50は、圧縮機21の回転数の最小変化率を上昇する(S46)。制御部50は、実施形態2の処理(S26)と同様に、圧縮機21の最小回転数を上昇する(S57)。制御部50は、上昇させた回転数の最小変化率及び上昇させた最小回転数を、夫々の下限とし、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S58)。従って、冷媒の状態によって温度分布に偏りが発生する室内熱交換器31の温度の影響を受けることなく、吐出温度と、室内温度に基づいて導出した第2吐出閾値温度とを比較することによって、圧縮機21の回転数の最小変化率の制御を適切に行うことができる。
吐出温度が導出した第2吐出閾値温度よりも大きい場合(S55:NO)、すなわち差異温度が第2所定温度よりも大きい場合、制御部50は、運転条件によって予め定められている最小回転数及び回転数の最小変化率を下限として、圧縮機21の回転数の制御を、空調負荷に応じて行う(S551)。
制御部50は、圧縮機21の回転数制御(S58又はS551)を実施し、処理を終了する。又は、制御部50は、S53の処理を再度実行すべく、ループ処理を行ってもよい。なお、制御部50は、S51及びS52の処理を行うことなく、S53の処理から実行するようにしてあってもよい。
本発明に係る空調機1は、圧縮機21と、前記圧縮機21の回転数を制御する制御部50と、前記圧縮機21の吐出温度を検出する吐出温度検出部と、被空調空間の室内温度を検出する室内温度検出部とを備えた空調機1であって、前記制御部50は、前記室内温度検出部が検出した前記室内温度、及び前記吐出温度検出部が検出した前記吐出温度に基づいて、前記圧縮機21の回転数を制御するための所定の設定値を変更することを特徴とする。
本発明によれば、室内温度及び吐出温度に基づいて圧縮機21の回転数を制御するための所定の設定値を変更することによって、室内熱交換器31内の冷媒の状態に影響をうけることなく、圧縮機21の回転数制御を適切に行うことができる。
本発明に係る空調機1は、前記設定値は、前記圧縮機21の最大回転数を含み、前記制御部50は、前記室内温度検出部が検出した前記室内温度に基づいて、第1吐出閾値温度を導出し、前記吐出温度検出部が検出した前記吐出温度が、前記第1吐出閾値温度以下の場合、前記圧縮機21の最大回転数を低下するようにしてもよい。
本発明によれば、室内温度に基づいて、第1吐出閾値温度を導出し、第1吐出閾値温度以下の場合、圧縮機21の最大回転数を低下させる。吐出温度が第1吐出閾値温度以下の場合の最大回転数は、第1吐出閾値温度よりも大きい場合の最大回転数よりも、小さくなる。従って、液圧縮時の圧縮機21の負荷を低減させることができる。室内熱交換器31内の冷媒の状態に影響をうけることなく、圧縮機21の回転数制御を適切に行うことができる。
本発明に係る空調機1は、前記設定値は、前記圧縮機21の最小回転数を含み、前記制御部50は、前記室内温度検出部が検出した前記室内温度に基づいて、第2吐出閾値温度を導出し、前記吐出温度検出部が検出した前記吐出温度が、前記第2吐出閾値温度以下の場合、前記圧縮機21の最小回転数を上昇するようにしてもよい。
本発明によれば、室内温度に基づいて、第2吐出閾値温度を導出し、第2吐出閾値温度以下の場合、圧縮機21の最小回転数を上昇させる。吐出温度が第2吐出閾値温度以下の場合の最小回転数は、第2吐出閾値温度よりも大きい場合の最大回転数よりも、大きくなる。従って、液圧縮に対応する回転トルクを発揮させることができる。室内熱交換器31内の冷媒の状態に影響をうけることなく、圧縮機21の回転数制御を適切に行うことができる。
本発明に係る空調機1は、前記設定値は、前記圧縮機21の回転数の最大変化率を含み、前記制御部50は、前記室内温度検出部が検出した前記室内温度に基づいて、第1吐出閾値温度を導出し、前記吐出温度検出部が検出した前記吐出温度が、前記第1吐出閾値温度以下の場合、前記圧縮機21の回転数の最大変化率を低下するようにしてもよい。
本発明によれば、室内温度に基づいて、第1吐出閾値温度を導出し、第1吐出閾値温度以下の場合、圧縮機21の回転数の最大変化率を低下する。吐出温度が第1吐出閾値温度以下の場合の回転数の最大変化率は、第1吐出閾値温度よりも大きい場合の最大変化率よりも、小さくなる。従って、液圧縮時、圧縮機21の負荷の急激な変動を抑制させることができる。室内熱交換器31内の冷媒の状態に影響をうけることなく、圧縮機21の回転数制御を適切に行うことができる。
本発明に係る空調機1は、前記設定値は、前記圧縮機21の回転数の最小変化率を含み、前記制御部50は、前記室内温度検出部が検出した前記室内温度に基づいて、第2吐出閾値温度を導出し、前記吐出温度検出部が検出した前記吐出温度が、前記第2吐出閾値温度以下の場合、前記圧縮機21の回転数の最小変化率を上昇するようにしてもよい。
本発明によれば、室内温度に基づいて、第2吐出閾値温度を導出し、第2吐出閾値温度以下の場合、圧縮機21の回転数の最小変化率を上昇する。吐出温度が第2吐出閾値温度以下の場合の回転数の最小変化率は、第2吐出閾値温度よりも大きい場合の最小変化率よりも、大きくなる。従って、液圧縮に対応する回転トルクを適切に発揮させることができる。室内熱交換器31内の冷媒の状態に影響をうけることなく、圧縮機21の回転数制御を適切に行うことができる。
本発明に係る空調機1は、外気温度を検出する外気温度検出部を備え、前記制御部50は、前記外気温度検出部が検出した前記外気温度が、所定値以下の場合、前記圧縮機21の回転数を制御するための前記所定の設定値を変更するようにしてもよい。
本発明によれば、外気温度検出部が検出した前記外気温度が、所定値以下の場合、圧縮機21の回転数を制御するための所定の設定値を変更することによって、圧縮機21の設定値が不必要に変更されることを抑制し、適切に空調機1の運転を行うことができる。
本発明に係る空調機1は、前記圧縮機21が圧縮する冷媒は、R32又はR32を65重量%以上含む混合冷媒のいずれかであるとしてもよい。
本発明によれば、冷媒をR32又はR32を65重量%以上含む混合冷媒とすることによって、低GWPに寄与する空調機1を提供することができる。R32は、R410Aと比較して、吐出温度が、約20℃、高くなる。また、凝縮過程における2相状態での比エンタルピーの差異、すなわち飽和状態における渇き度1と渇き度0との比エンタルピーの差異において、R32の比エンタルピーの差異は、R410Aの比エンタルピーの差異の略1.3倍となる。すなわち、R32は、R410Aと比較して、圧縮機21から吐出した冷媒の凝縮器(暖房時の室内熱交換器31)における温度変化が大きく、二相状態も長くなる。従って、室内熱交換器31における温度の偏りが、R32は、R410Aよりも大きくなる傾向があるところ、室内温度に基づき、圧縮機21の回転数の制御を行うことによって、室内熱交換器31の冷媒の状態に関わらず、圧縮機21の回転数を適切に制御することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。