以下、複数の実施形態による高圧ポンプを図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。また、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位は、同一または同様の作用効果を奏する。
(第1実施形態)
第1実施形態による高圧ポンプを図1に示す。
本実施形態の高圧ポンプ10は、図示しない車両の内燃機関(以下、「エンジン」という)9のエンジンヘッド18に取り付けられる。
車両に搭載された燃料タンクには、燃料としてのガソリンが貯留される。図示しない燃料ポンプは、燃料タンク内の燃料を汲み上げ吐出する。供給燃料配管101は、燃料ポンプと高圧ポンプ10とを接続する。これにより、燃料ポンプで汲み上げられ吐出された燃料は、供給燃料配管101を経由して高圧ポンプ10に流入する。
エンジン9には高圧ポンプ10とともに燃料レールが設けられる。エンジン9は、例えば4気筒のガソリンエンジンである。燃料レールは、エンジン9のエンジンヘッド18に設けられる。図示しない燃料噴射弁は、噴孔がエンジン9の燃焼室内に露出するよう設けられる。燃料噴射弁は、エンジン9の気筒数に合わせて4つ設けられる。燃料レールには、4つの燃料噴射弁が接続される。
高圧ポンプ10と燃料レールとは、高圧燃料配管102により接続される。供給燃料配管101から高圧ポンプ10に流入した燃料は、高圧ポンプ10で加圧され、高圧燃料配管102を経由して燃料レールに供給される。これにより、燃料レール内の燃料は比較的高圧に保たれる。燃料噴射弁は、図示しないECUからの指令により開閉弁し、燃料レール内の燃料をエンジン9の燃焼室内に噴射する。このように、燃料噴射弁は、所謂直噴式(DI)の燃料噴射弁である。
図1に示すように、高圧ポンプ10は、ハウジング20、プランジャ11、吸入弁部50、筒部材40、電磁駆動部60、吐出部17、制振部材80等を備えている。
ハウジング20は、上ハウジング21、下ハウジング22、シリンダ23、ホルダ支持部24、カバー30等を有している。
上ハウジング21、下ハウジング22、シリンダ23、ホルダ支持部24は、例えばステンレス等の金属により形成されている。
上ハウジング21は、略直方体状に形成されている。上ハウジング21は、穴部211、吸入穴部212、吐出穴部213を有している。穴部211は、上ハウジング21の中央を円筒状に貫くよう形成されている。吸入穴部212は、上ハウジング21の長手方向の一方の端面と穴部211とを接続するよう円筒状に形成されている。吐出穴部213は、上ハウジング21の長手方向の他方の端面と穴部211とを接続するよう円筒状に形成されている。
下ハウジング22は、略板状に形成されている。下ハウジング22は、穴部221、穴部222を有している。穴部221は、下ハウジング22の中央を板厚方向に円筒状に貫くよう形成されている。下ハウジング22は、穴部221が上ハウジング21の穴部211と同軸になるよう上ハウジング21に当接して設けられている。穴部222は、下ハウジング22を板厚方向に貫くよう穴部221の周囲に複数形成されている。
シリンダ23は、シリンダ穴部231を有している。シリンダ穴部231は、円柱状の部材の一方の端面から他方の端面側へ延びるよう円筒状に形成されている。すなわち、シリンダ23は、筒部、および、筒部の一端を塞ぐ底部を有する有底筒状に形成されている。
シリンダ23は、下ハウジング22の穴部221を通り、上ハウジング21の穴部211に底部側の外壁が嵌合するよう上ハウジング21および下ハウジング22と一体に設けられている。シリンダ23は、吸入開口部232、吐出開口部233を有している。吸入開口部232は、シリンダ穴部231の底部側の端部と上ハウジング21の吸入穴部212とを接続するよう形成されている。吐出開口部233は、シリンダ穴部231の底部側の端部と上ハウジング21の吐出穴部213とを接続するよう形成されている。すなわち、吸入開口部232と吐出開口部233とは、シリンダ23の軸を挟んで対向するよう形成されている。
ホルダ支持部24は、下ハウジング22の穴部222の周囲から上ハウジング21とは反対側に略円筒状に延びるようにして形成されている。本実施形態では、ホルダ支持部24は、下ハウジング22と一体に形成されている。ホルダ支持部24は、シリンダ23の一端の径方向外側においてシリンダ23と同軸になるよう形成されている。
プランジャ11は、例えばステンレス等の金属により略円柱状に形成されている。プランジャ11は、大径部111、小径部112を有している。小径部112は、外径が大径部111の外径より小さい。プランジャ11は、大径部111側がシリンダ23のシリンダ穴部231に挿入されるようにして設けられている。シリンダ穴部231のシリンダ23の内壁とプランジャ11の大径部111側の端部との間に加圧室200が形成されている。すなわち、ハウジング20は、加圧室200を有している。加圧室200は、吸入開口部232および吐出開口部233に接続している。ここで、ハウジング20のうちシリンダ23、上ハウジング21および下ハウジング22は、特許請求の範囲における「加圧室形成部」に対応している。
プランジャ11の外径は、シリンダ23の内径、すなわち、シリンダ穴部231の径よりやや小さく形成されている。そのため、プランジャ11は、外壁がシリンダ23の内壁と摺動しつつ、シリンダ穴部231内を軸方向に往復移動可能である。プランジャ11がシリンダ穴部231内を往復移動するとき、加圧室200の容積が増減する。
本実施形態では、ホルダ支持部24の内側にシールホルダ14が設けられている。シールホルダ14は、例えばステンレス等の金属により筒状に形成されている。シールホルダ14は、外壁がホルダ支持部24の内壁に嵌合するよう設けられている。また、シールホルダ14は、内壁とプランジャ11の小径部112の外壁との間に略円筒状のクリアランスを形成するよう設けられている。シールホルダ14の内壁とプランジャ11の小径部112の外壁との間には、環状のシール141が設けられている。シール141は、径内側のフッ素樹脂製のリングと径外側のゴム製のリングとからなる。シール141により、プランジャ11の小径部112周囲の燃料油膜の厚さが調整され、エンジン9への燃料のリークが抑制される。また、シールホルダ14のシリンダ23とは反対側の端部には、オイルシール142が設けられている。オイルシール142により、プランジャ11の小径部112の周囲のオイル油膜の厚さが調整され、オイルのリークが抑制される。
なお、プランジャ11の大径部111と小径部112との間の段差面とシール141との間には、プランジャ11の往復移動時に容積が変化する可変容積室201が形成されている。
ここで、下ハウジング22とシリンダ23の外壁とホルダ支持部24の内壁とシールホルダ14との間に環状の空間である環状空間202が形成されている。環状空間202は、下ハウジング22の穴部222に接続している。また、環状空間202は、シールホルダ14の内壁とシリンダ23の外壁との間の円筒状の空間を経由して可変容積室201に接続している。
プランジャ11の小径部112の大径部111とは反対側の端部には、略円板状のスプリングシート12が設けられている。シールホルダ14とスプリングシート12との間には、スプリング13が設けられている。スプリング13は、例えばコイルスプリングであり、一端がスプリングシート12に当接し、他端がシールホルダ14に当接するよう設けられている。スプリング13は、スプリングシート12を経由してプランジャ11を加圧室200とは反対側に付勢している。
高圧ポンプ10は、エンジン9のエンジンヘッド18に取り付けられるとき、プランジャ11の小径部112の大径部111とは反対側の端部にリフタ5が取り付けられる。
高圧ポンプ10がエンジン9に取り付けられたとき、リフタ5は、エンジン9の駆動軸に連動して回転するカム軸のカム4に当接する。これにより、エンジン9が回転しているとき、カム4の回転により、プランジャ11が軸方向に往復移動する。このとき、加圧室200および可変容積室201の容積は、それぞれ周期的に変化する。
カバー30は、例えばステンレス等の金属により形成されている。カバー30は、カバー筒部31、カバー底部32等を有している。
カバー筒部31は、筒状に形成されている。より具体的には、カバー筒部31は、略八角筒状に形成されている。カバー底部32は、カバー筒部31の一端を塞ぐようカバー筒部31と一体に形成されている。すなわち、カバー30は、有底筒状に形成されている。なお、本実施形態では、カバー30は、例えば板状の部材をプレス加工することにより形成されている。そのため、カバー30は、肉厚が比較的小さい。
カバー30は、カバー開口部35、36を有している。
カバー開口部35、36は、それぞれ、カバー筒部31の内壁と外壁とを接続するよう円筒状に形成されている。カバー開口部35とカバー開口部36とは、カバー筒部31の軸を挟んで対向するよう形成されている。
カバー30は、内側に上ハウジング21を収容し、カバー筒部31のカバー底部32とは反対側の端部が、下ハウジング22の上ハウジング21側の面に当接するよう設けられている。カバー30は、上ハウジング21、下ハウジング22、シリンダ23との間に燃料室300を形成している。ここで、カバー筒部31の端部と下ハウジング22とは、例えば溶接により周方向の全域に亘り接合されている。これにより、カバー筒部31と下ハウジング22との間は、液密に保たれている。また、カバー30は、カバー開口部35と上ハウジング21の吸入穴部212とが対応し、カバー開口部36と上ハウジング21の吐出穴部213とが対応するよう設けられている。
このように、カバー30は、シリンダ23、上ハウジング21および下ハウジング22の少なくとも一部を覆い、シリンダ23、上ハウジング21および下ハウジング22との間に燃料室300を形成している。
カバー30には、インレット8が設けられている(図2参照)。インレット8は、カバー筒部31のカバー開口部35とカバー開口部36との間に設けられている。インレット8は、筒状に形成され、一端がカバー筒部31の外壁に接続するよう設けられている。インレット8は、内側の空間が燃料室300に連通するよう設けられている。インレット8の他端には、供給燃料配管101が接続される。これにより、燃料ポンプから吐出される燃料は、供給燃料配管101、インレット8を経由して燃料室300に流入する。
吸入弁部50は、上ハウジング21の吸入穴部212に設けられている。吸入弁部50は、弁座部51、吸入弁52、弁ストッパ53、スプリング54、ニードル55、ニードル支持部56、スプリング57、可動コア58等を有している。
弁座部51は、例えばステンレス等の金属により筒状に形成され、外壁が上ハウジング21の吸入穴部212の壁面に嵌合するよう設けられている。弁座部51の加圧室200側の面において中央の穴部の外側に環状の吸入弁座511が形成されている。
吸入弁52は、例えばステンレス等の金属により略円板状に形成され、弁座部51に対し加圧室200側に設けられている。吸入弁52は、一方の端面の外縁部が吸入弁座511に当接可能に設けられている。吸入弁52は、吸入弁座511から離間したとき、開弁し、吸入穴部212における燃料の流れを許容する。一方、吸入弁52は、吸入弁座511に当接したとき、閉弁し、吸入穴部212における燃料の流れを遮断可能である。以下、適宜、吸入弁52が開弁するときに移動する方向を「開弁方向」といい、吸入弁52が閉弁するときに移動する方向を「閉弁方向」という。
弁ストッパ53は、例えばステンレス等の金属により略円板状に形成され、外縁部が上ハウジング21の吸入穴部212の壁面に嵌合するよう設けられている。弁ストッパ53は、吸入弁52に対し加圧室200側に設けられている。吸入弁52は、吸入弁座511と弁ストッパ53との間で軸方向、すなわち、開弁方向または閉弁方向に往復移動可能に設けられている。吸入弁52は、加圧室200側の面が弁ストッパ53に当接可能である。弁ストッパ53は、吸入弁52が当接したとき、吸入弁52の開弁方向の移動を規制可能である。
スプリング54は、例えばコイルスプリングであり、吸入弁52と弁ストッパ53との間に設けられている。スプリング54は、吸入弁52を吸入弁座511側に付勢している。
筒部材40は、例えば磁性材料により略円筒状に形成されている。筒部材40は、カバー30のカバー開口部35に挿通され、一端が上ハウジング21の吸入穴部212にねじ込まれるようにして設けられている。
上ハウジング21には、吸入穴部212と燃料室300とを接続する穴部214が形成されている。燃料室300の燃料は、穴部214、弁座部51の内側、吸入弁52の周囲、吸入開口部232を経由して加圧室200に流通可能である。
筒部材40の外壁とカバー30のカバー開口部35の周囲とは、例えば溶接により筒部材40の周方向の全域に亘り接合されている。これにより、カバー開口部35と筒部材40の外壁との間は液密に保たれている。
ニードル支持部56は、例えばステンレス等の金属により筒状に形成され、外壁が筒部材40の内壁に嵌合するよう設けられている。
ニードル55は、例えばステンレス等の金属により棒状に形成され、外壁がニードル支持部56の内壁に摺動可能に設けられている。ニードル支持部56は、ニードル55を軸方向に往復移動可能に支持している。ニードル55の一端は、吸入弁52の加圧室200とは反対側の端面の中央に当接可能である。ここで、ニードル55は、一端がハウジング20のカバー30の内側に位置し、他端がハウジング20のカバー30の外側に位置している。なお、ニードル55は、軸がシリンダ23およびプランジャ11の軸Ax1に略直交するよう設けられている。また、筒部材40は、軸がニードル55の軸に沿うようニードル55の径方向外側に設けられている。
スプリング57は、例えばコイルスプリングであり、ニードル支持部56の内側に設けられている。スプリング57は、一端がニードル55に当接し、他端がニードル支持部56に当接している。これにより、スプリング57は、ニードル55を吸入弁52側に付勢している。
スプリング57の付勢力は、スプリング54の付勢力より大きく設定されている。そのため、ニードル55に対しスプリング57以外からの外力が作用していない状態では、吸入弁52は、スプリング57およびニードル55により加圧室200側に付勢された状態となる。このとき、吸入弁52は、吸入弁座511から離間し、開弁した状態である。
可動コア58は、例えば磁性材料により略円筒状に形成され、ニードル55の他端に嵌合するようにして設けられている。
電磁駆動部60は、ニードル55および筒部材40の他端側に設けられている。電磁駆動部60は、筒部材40の他端側に接続している。すなわち、筒部材40は、ハウジング20と電磁駆動部60とを接続している。
電磁駆動部60は、磁気絞り部61、固定コア62、コイル63、ヨーク64、コネクタ65等を有している。
磁気絞り部61は、例えば非磁性材料により略円筒状に形成されている。磁気絞り部61は、筒部材40と同軸となるよう筒部材40に対し上ハウジング21とは反対側に設けられている。ここで、可動コア58の吸入弁52とは反対側の端面は、磁気絞り部61の内側に位置している。
固定コア62は、例えば磁性材料により略円柱状に形成されている。固定コア62は、磁気絞り部61と同軸となるよう磁気絞り部61に対し筒部材40とは反対側に設けられている。スプリング57がニードル55を加圧室200側に付勢し吸入弁52が吸入弁座511から離間した状態では、固定コア62と可動コア58との間に隙間が形成される。
コイル63は、導線631を有している。導線631は、例えば銅等の電気伝導材により線状に形成されている。コイル63は、導線631を巻くことにより略円筒状に形成されている。コイル63は、固定コア62と同軸となるよう、磁気絞り部61および固定コア62の径方向外側に設けられている。すなわち、コイル63は、軸がニードル55の軸に沿うよう設けられている。
ヨーク64は、ヨーク641、642を有している。ヨーク641は、例えば磁性材料により有底筒状に形成されている。ヨーク641は、コイル63を覆うようコイル63と同軸に設けられている。ヨーク641の底部は、固定コア62に当接している。
ヨーク642は、例えば磁性材料により板状かつ環状に形成されている。ヨーク642は、ヨーク641の開口端を塞ぐとともに、内縁部が筒部材40の他端の外周壁に嵌合するよう設けられている。ここで、ヨーク642の内縁部と筒部材40の外周壁とは、例えば溶接により接合されている。
なお、筒部材40は、外径がヨーク641の外径より小さい。
コネクタ65は、ヨーク641の周方向の一部に形成された切欠きから径方向外側へ突出するよう形成されている。コネクタ65は、端子651を有している。端子651は、コイル63の導線631に電気的に接続されている。コネクタ65には、ハーネス6が接続される。これにより、ハーネス6および端子651を経由してコイル63に電力が供給される。
コイル63は、ECUからの指令によりハーネス6および端子651を経由して通電されると、電磁力を生じる。これにより、磁気絞り部61を避けて、ヨーク641、642、筒部材40、可動コア58、固定コア62に磁気回路が形成される。これにより、可動コア58は、ニードル55とともに固定コア62側に吸引される。そのため、吸入弁52は、スプリング54の付勢力により吸入弁座511側に移動する。その結果、吸入弁52は、吸入弁座511に当接し、閉弁する。このように、電磁駆動部60は、コイル63に通電されると電磁力を生じ、ニードル55を吸入弁52の閉弁方向へ駆動し、吸入弁52を閉弁可能である。
コイル63に通電されていないとき、吸入弁52は開弁しており、燃料室300は、加圧室200に連通した状態である。このとき、プランジャ11がカム4側に移動すると、加圧室200の容積が増大し、燃料室300内の燃料は、吸入穴部212に流れ、燃料が吸入開口部232を経由して加圧室200に吸入される。
さらに、吸入弁52が開弁した状態で、プランジャ11がカム4とは反対側に移動すると、加圧室200の容積が減少し、加圧室200内の燃料は、吸入開口部232を経由して吸入弁52側に流れる。
プランジャ11がカム4とは反対側に移動しているとき、コイル63に通電されると、吸入弁52が閉弁し、燃料室300と加圧室200との間の燃料の流れが遮断される。
吸入弁52が閉弁した状態で、プランジャ11がカム4とは反対側にさらに移動すると、加圧室200の容積がさらに減少し、加圧室200内の燃料が加圧される。
このように、プランジャ11がカム4とは反対側に移動しているとき、電磁駆動部60により吸入弁52を閉弁することにより、加圧室200で加圧する燃料の量が調整される。
このように、本実施形態では、吸入弁部50と電磁駆動部60とは、ノーマリーオープンタイプの弁装置を構成している。
吐出部17は、カバー30のカバー開口部36および上ハウジング21の吐出穴部213に挿入された状態で設けられている。吐出部17は、吐出部本体171を有している。
吐出部本体171は、例えばステンレス等の金属により略円筒状に形成されている。吐出部本体171は、一端が上ハウジング21の吐出穴部213にねじ込まれた状態で設けられている。吐出部本体171の外壁とカバー30のカバー開口部36の周囲とは、例えば溶接により吐出部本体171の周方向の全域に亘り接合されている。これにより、カバー開口部36と吐出部本体171の外壁との間は液密に保たれている。
吐出部本体171の他端は、高圧燃料配管102に接続される。これにより、供給燃料配管101から高圧ポンプ10のインレット8を経由して燃料室300に流入した燃料は、加圧室200で加圧され、吐出部本体171の内側を経由して高圧燃料配管102に吐出される。高圧燃料配管102に吐出された高圧の燃料は、高圧燃料配管102を経由して燃料レールに供給される。
吐出部本体171の内側には、弁座部71、吐出弁72、スプリング73、リリーフ弁75、スプリング76等が設けられている。
弁座部71は、例えばステンレス等の金属により略円柱状に形成されている。弁座部71は、外壁が吐出部本体171の内壁に嵌合するよう設けられている。弁座部71は、吐出弁通路711、吐出弁座712、リリーフ弁通路713、リリーフ弁座714を有している。
吐出弁通路711は、弁座部71の加圧室200側の面と加圧室200とは反対側の面とを接続するよう形成されている。吐出弁座712は、弁座部71の加圧室200とは反対側の面の中央に開口する吐出弁通路711の周囲に環状に形成されている。
リリーフ弁通路713は、弁座部71の加圧室200側の面と加圧室200とは反対側の面とを接続するよう形成されている。ここで、リリーフ弁通路713は、吐出弁通路711と連通していない。すなわち、リリーフ弁通路713と吐出弁通路711とは、非連通となるよう形成されている。リリーフ弁座714は、弁座部71の加圧室200側の面の中央に開口するリリーフ弁通路713の周囲に環状に形成されている。
吐出弁72は、略円板状に形成され、一方の端面の外縁部が吐出弁座712に当接可能に設けられている。スプリング73は、例えばコイルスプリングであり、吐出弁72を吐出弁座712側に付勢している。
加圧室200内の燃料の圧力が所定値以上に高まると、吐出弁72は、スプリング73の付勢力および吐出弁72の高圧燃料配管102側の燃料の圧力に抗して、高圧燃料配管102側に移動する。これにより、吐出弁72が吐出弁座712から離間し、開弁する。そのため、弁座部71に対し加圧室200側の燃料は、吐出弁通路711、吐出弁座712を経由して高圧燃料配管102側に吐出される。
リリーフ弁75は、略円板状に形成され、一方の端面の外縁部がリリーフ弁座714に当接可能に設けられている。スプリング76は、例えばコイルスプリングであり、リリーフ弁75をリリーフ弁座714側に付勢している。
弁座部71に対し高圧燃料配管102側の燃料の圧力が異常な値にまで上昇すると、リリーフ弁75は、スプリング76の付勢力およびリリーフ弁75の加圧室200側の燃料の圧力に抗して、加圧室200側に移動する。これにより、リリーフ弁75がリリーフ弁座714から離間し、開弁する。そのため、弁座部71に対し高圧燃料配管102側の燃料は、リリーフ弁通路713、リリーフ弁座714を経由して加圧室200側に戻される。このようなリリーフ弁75の作動により、高圧燃料配管102側の燃料の圧力が異常な値になるのを抑制することができる。
本実施形態では、高圧ポンプ10は、パルセーションダンパ15、支持部材16をさらに備えている。
パルセーションダンパ15は、例えば円形皿状の金属薄板を2枚合わせ、外縁部を溶接により接合することによって形成されている。パルセーションダンパ15の内側には、窒素またはアルゴン等、所定圧の気体が封入されている。
パルセーションダンパ15は、燃料室300内の上ハウジング21とカバー底部32との間に設けられている。
支持部材16は、環状に形成され、外壁がカバー30のカバー筒部31の内壁に嵌合するよう設けられている。支持部材16は、燃料室300内においてパルセーションダンパ15を支持している。
なお、本実施形態では、加圧室200を形成するシリンダ23と上ハウジング21との接合部、上ハウジング21と筒部材40との接合部、および、上ハウジング21と吐出部本体171との接合部が燃料室300内に位置するよう、カバー30が各接合部を覆っているため、加圧室200から高圧の燃料が漏れたとしても燃料室300に留めておくことができる。
本実施形態では、高圧ポンプ10は、ホルダ支持部24がエンジンヘッド18の取付穴部180に嵌合するようにしてエンジン9に取り付けられる(図1参照)。高圧ポンプ10は、下ハウジング22がボルト等によりエンジンヘッド18に固定されることにより、エンジン9に固定される。ここで、高圧ポンプ10は、プランジャ11の軸Ax1が鉛直方向に沿うような姿勢でエンジン9に取り付けられる。
制振部材80は、第1部材81、第2部材82を有している(図2〜4参照)。第1部材81、第2部材82は、例えば非磁性材料により形成されている。
第1部材81、第2部材82は、軸を含む平面で円筒状の部材を切断することにより得られる形状に形成されている。つまり、第1部材81、第2部材82は、それぞれ、円筒状の部材の軸に直交する平面による断面が円弧状となるよう形成されている(図3参照)。
制振部材80は、第1部材81、第2部材82の周方向の端部同士が当接するよう形成されている。よって、制振部材80は、略円筒状に形成されている(図3、4参照)。
図2〜4に示すように、第1部材81と第2部材82とは、間に筒部材40を挟むようにして設けられている。つまり、制振部材80は、ハウジング20のカバー30と電磁駆動部60との間において筒部材40の径方向外側に設けられている。ここで、第1部材81と第2部材82とは、プランジャ11の軸Ax1に直交する仮想平面Vp1の面方向、すなわち、水平方向に並ぶようにして設けられている。より具体的には、第1部材81と第2部材82とは、プランジャ11の軸Ax1を含み仮想平面Vp1に直交する仮想平面Vp2を、周方向の端部同士で挟むようにして設けられている(図3、4参照)。
制振部材80は、外縁部が、コイル63の外周壁を含む仮想筒状面Vt1の外側に位置するよう設けられている(図3参照)。制振部材80は、外径がヨーク641の外径より小さい。なお、筒部材40は、仮想筒状面Vt1の内側に位置している。
制振部材80は、両端部がハウジング20のカバー30および電磁駆動部60に当接可能である(図1、2、4参照)。
制振部材80は、内径が筒部材40の外径と略同じに設定され、内周壁が筒部材40の外周壁に当接可能である。ここで、制振部材80は、筒部材40に対し相対移動可能に設けられている。
本実施形態では、第1部材81、第2部材82は、それぞれ、カバー30に対し相対移動不能なよう、一端がカバー30の外壁に溶接され固定されている。また、第1部材81、第2部材82は、それぞれ、電磁駆動部60に対し相対移動不能なよう、他端が電磁駆動部60のヨーク642に溶接され固定されている。すなわち、制振部材80は、両端部がハウジング20のカバー30および電磁駆動部60に接続するよう設けられている。
なお、本実施形態では、制振部材80の鉛直方向の上下の部位が平面状に面取りされている(図2参照)。図3、4では、簡単のため、当該面取りについて表示せず、制振部材80を模式的に示している。
本実施形態では、製造工程において、例えば、電磁駆動部60と一体の筒部材40を上ハウジング21の吸入穴部212にねじ込み、筒部材40の外周壁とカバー30の外壁とを溶接する。その後、第1部材81および第2部材82を筒部材40の両側から挟むようにして制振部材80を組み付ける。その後、制振部材80の軸方向の両端部をカバー30の外壁およびヨーク642に溶接する。
次に、本実施形態の高圧ポンプ10の作動について、図1に基づき説明する。
「吸入工程」
電磁駆動部60のコイル63への電力の供給が停止されているとき、吸入弁52は、スプリング57およびニードル55により加圧室200側へ付勢されている。よって、吸入弁52は、吸入弁座511から離間、すなわち、開弁している。この状態で、プランジャ11がカム4側に移動すると、加圧室200の容積が増大し、吸入弁座511に対し加圧室200とは反対側すなわち燃料室300側の燃料は、加圧室200側に吸入される。
「調量工程」
吸入弁52が開弁した状態で、プランジャ11がカム4とは反対側に移動すると、加圧室200の容積が減少し、加圧室200内の燃料は、吸入弁座511に対し燃料室300側に戻される。調量工程の途中、コイル63に電力を供給すると、可動コア58がニードル55とともに固定コア62側に吸引され、吸入弁52が吸入弁座511に当接し閉弁する。プランジャ11がカム4とは反対側に移動するとき、吸入弁52を閉弁することにより、加圧室200から燃料室300側に戻される燃料の量が調整される。その結果、加圧室200で加圧される燃料の量が決定される。吸入弁52が閉弁することにより、燃料を加圧室200から燃料室300側に戻す調量工程は終了する。
「加圧工程」
吸入弁52が閉弁した状態でプランジャ11がカム4とは反対側にさらに移動すると、加圧室200の容積が減少し、加圧室200内の燃料は、圧縮され加圧される。加圧室200内の燃料の圧力が吐出弁72の開弁圧以上になると、吐出弁72が開弁し、燃料が加圧室200から高圧燃料配管102側、すなわち、燃料レール側に吐出される。
コイル63への電力の供給が停止され、プランジャ11がカム4側に移動すると、吸入弁52は再び開弁する。これにより、燃料を加圧する加圧工程が終了し、燃料室300側から加圧室200側に燃料が吸入される吸入工程が再開する。
上記の「吸入工程」、「調量工程」、「加圧工程」を繰り返すことにより、高圧ポンプ10は、吸入した燃料室300内の燃料を加圧、吐出し、燃料レールに供給する。高圧ポンプ10から燃料レールへの燃料の供給量は、電磁駆動部60のコイル63への電力の供給タイミング等を制御することにより調節される。
なお、上述の「吸入工程」、「調量工程」等、吸入弁52が開弁しているときにプランジャ11が往復移動すると、燃料室300内の燃料に、加圧室200の容積の増減に起因する圧力脈動が生じることがある。燃料室300に設けられたパルセーションダンパ15は、燃料室300内の燃圧の変化に応じて弾性変形することで、燃料室300内の燃料の圧力脈動を低減可能である。
また、プランジャ11が往復移動しているとき、可変容積室201の容積の増減に起因する圧力脈動が生じることがある。この場合も、パルセーションダンパ15は、燃料室300内の燃圧の変化に応じて弾性変形することで、燃料室300内の燃料の圧力脈動を低減可能である。
また、プランジャ11が往復移動すると可変容積室201の容積が増減するため、燃料室300と穴部222、環状空間202、可変容積室201との間で燃料が行き来する。これにより、プランジャ11とシリンダ23との摺動による熱、および、加圧室200での燃料の加圧による熱で高温になったシリンダ23およびプランジャ11を、低温の燃料により冷却することができる。これにより、プランジャ11およびシリンダ23の焼き付きを抑制することができる。
また、加圧室200で高圧となった燃料の一部は、プランジャ11とシリンダ23とのクリアランスを経由して可変容積室201に流入する。これにより、プランジャ11とシリンダ23との間に油膜が形成され、プランジャ11およびシリンダ23の焼き付きを効果的に抑制することができる。なお、加圧室200から可変容積室201に流入した燃料は、環状空間202、穴部222を経由して燃料室300に戻る。
本実施形態では、エンジン9が運転を継続しているとき、カム4が回転するため、プランジャ11は軸方向、すなわち、鉛直方向上下に往復移動する。そのため、高圧ポンプ10のハウジング20に振動が生じるおそれがある。また、電磁駆動部60が作動するとき、ニードル55、可動コア58、吸入弁52がニードル55の軸方向に往復移動するため、高圧ポンプ10が振動するおそれがある。また、車両の振動により高圧ポンプ10が振動するおそれもある。これにより、振動に起因して高圧ポンプ10から騒音が発生するおそれがある。
ここで、電磁駆動部60は、ヨーク64の外径が筒部材40の外径より大きく、筒部材40のハウジング20とは反対側の端部においてマスとなり、ハウジング20に対し鉛直方向上下および水平方向に相対的に振動するおそれがある。
本実施形態では、ハウジング20のカバー30と電磁駆動部60との間において筒部材40の径方向外側に制振部材80が設けられている。制振部材80は、両端部がハウジング20のカバー30および電磁駆動部60に当接可能なよう設けられている。また、第1部材81、第2部材82は、それぞれ、カバー30に対し相対移動不能なよう、一端がカバー30の外壁に溶接され固定されている。また、第1部材81、第2部材82は、それぞれ、電磁駆動部60に対し相対移動不能なよう、他端が電磁駆動部60のヨーク642に溶接され固定されている。そのため、エンジン9の運転時、および、電磁駆動部60の作動時等、電磁駆動部60は、ハウジング20との間の制振部材80により、ハウジング20に対する振動が抑制される。つまり、制振部材80は、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制可能である。これにより、振動に起因して高圧ポンプ10から発生する騒音を抑制することができる。
次に、制振部材80による高圧ポンプ10からの騒音を抑制する効果について、図5に基づき説明する。図5に、制振部材80を備えない比較形態による高圧ポンプから発生する騒音のレベル(以下、「騒音レベル」)を破線で示し、制振部材80を備えた本実施形態の高圧ポンプ10の騒音レベルを実線で示す。図5に示すように、本実施形態は、比較形態と比べ、特に所定の周波数範囲において騒音レベルが大きく低下している。これは、制振部材80によりハウジング20に対する電磁駆動部60の振動が抑制されたことにより、騒音レベルが低下したものと考えられる。
また、本実施形態では、制振部材80が非磁性材料により形成されているため、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制するために制振部材80を設けたり制振部材80の体格を大きくしたりしても、電磁駆動部60の特性および性能に影響を与えることはない。
以上説明したように、(1)本実施形態の高圧ポンプ10は、ハウジング20とプランジャ11と吸入弁52とニードル55と電磁駆動部60と筒部材40と制振部材80とを備えている。
ハウジング20は、燃料室300、および、燃料室300に連通する加圧室200を有している。
プランジャ11は、軸方向に往復移動可能に設けられ、加圧室200内の燃料を加圧可能である。
吸入弁52は、開弁したとき燃料室300と加圧室200との間の燃料の流れを許容し、閉弁したとき燃料室300と加圧室200との間の燃料の流れを遮断可能である。
ニードル55は、一端がハウジング20の内側に位置し、他端がハウジング20の外側に位置し、一端が吸入弁52に当接可能なよう設けられている。
電磁駆動部60は、ニードル55の他端側に設けられている。電磁駆動部60は、導線631を巻くことにより筒状に形成され軸がニードル55の軸に沿うよう設けられたコイル63、および、磁性材料により形成されコイル63を覆うよう設けられたヨーク64を有し、コイル63に通電されると、ニードル55を吸入弁52の閉弁方向へ駆動し、吸入弁52を閉弁可能である。
筒部材40は、磁性材料により筒状に形成され、外径がヨーク64の外径より小さく、軸がニードル55の軸に沿うようニードル55の径方向外側に設けられ、ハウジング20と電磁駆動部60とを接続している。
制振部材80は、ハウジング20と電磁駆動部60との間において筒部材40の径方向外側に設けられ、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制可能である。
本実施形態では、ハウジング20と電磁駆動部60との間において筒部材40の径方向外側に設けられた制振部材80により、高圧ポンプ10の作動時等、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制可能である。これにより、振動に起因して高圧ポンプ10から発生する騒音を抑制することができる。
また、(2)本実施形態では、制振部材80が非磁性材料により形成されている。そのため、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制するために制振部材80を設けたり制振部材80の体格を大きくしたりしても、電磁駆動部60の特性および性能に影響を与えることはない。
このように、本実施形態では、電磁駆動部60の特性に影響を与えることなく、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制可能である。
また、(3)本実施形態では、制振部材80は、少なくとも一部が、コイル63の外周壁を含む仮想筒状面Vt1の外側に位置するよう設けられている。そのため、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制する効果をより高めることができる。
また、(4)本実施形態では、制振部材80は、ハウジング20および電磁駆動部60に接続するよう設けられている。そのため、ハウジング20に対し電磁駆動部60が振動するとき、振動により生じる力が制振部材80とハウジング20および電磁駆動部60との接続部に作用する。これにより、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制する効果をより一層高めることができる。
また、(5)本実施形態では、制振部材80は、筒状に形成されている。制振部材80が単純な形状のため、制振部材80を容易に製造することができる。
また、(6)本実施形態では、制振部材80は、断面円弧状の第1部材81および第2部材82を有している。
第1部材81と第2部材82とは、間に筒部材40を挟むようにして設けられている。
そのため、製造工程において、制振部材80の第1部材81および第2部材82を容易に組み付けることができる。
また、(14)本実施形態では、制振部材80は、筒部材40に対し相対移動可能に設けられている。そのため、電磁駆動部60がハウジング20に対し振動するとき、制振部材80は、筒部材40に対し相対移動可能である。
なお、本実施形態では、制振部材80の第1部材81、第2部材82は、それぞれ、カバー30に対し相対移動不能なよう、一端がカバー30の外壁に固定されている。また、制振部材80の第1部材81、第2部材82は、それぞれ、電磁駆動部60に対し相対移動不能なよう、他端が電磁駆動部60のヨーク642に固定されている。
また、(16)本実施形態では、ハウジング20は、加圧室形成部としてのシリンダ23、上ハウジング21および下ハウジング22、カバー30、ならびに、カバー開口部35を有している。シリンダ23は、加圧室200を形成している。カバー30は、加圧室200が内側に位置するようシリンダ23、上ハウジング21および下ハウジング22の少なくとも一部を覆い、シリンダ23、上ハウジング21および下ハウジング22との間に燃料室300を形成している。カバー開口部35は、カバー30の内壁と外壁とを接続するよう形成されている。この構成では、燃料室300の容積を比較的大きくすることができる。
筒部材40は、一端がカバー開口部35を経由して上ハウジング21に接続している。制振部材80は、カバー30と電磁駆動部60との間に設けられている。そのため、カバー30を大きくして燃料室300の容積を大きくしつつ、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態による高圧ポンプの一部を図6に示す。第2実施形態は、制振部材80の構成が第1実施形態と異なる。
制振部材80の第1部材81は、移動規制部811、812を有している。制振部材80の第2部材82は、移動規制部821、822を有している。
第1部材81の移動規制部811は、電磁駆動部60のヨーク642を向くよう、制振部材80の軸に直交する仮想平面Vp3上に形成されている。第1部材81の移動規制部812は、制振部材80の軸を挟んで移動規制部811とは反対側においてハウジング20のカバー30を向くよう、仮想平面Vp3上に形成されている。
第2部材82の移動規制部821は、移動規制部811に対向し当接するよう仮想平面Vp3上に形成されている。第2部材82の移動規制部822は、制振部材80の軸を挟んで移動規制部821とは反対側において移動規制部812に対向し当接するよう仮想平面Vp3上に形成されている。
上記構成により、第1部材81は、第2部材82に対し電磁駆動部60側へ移動するとき、移動規制部811が移動規制部821に当接し、電磁駆動部60側への移動が規制される。また、第2部材82は、第1部材81に対し電磁駆動部60側へ移動するとき、移動規制部822が移動規制部812に当接し、電磁駆動部60側への移動が規制される。
さらに、第1部材81は、第2部材82に対しハウジング20側へ移動するとき、移動規制部812が移動規制部822に当接し、ハウジング20側への移動が規制される。また、第2部材82は、第1部材81に対しハウジング20側へ移動するとき、移動規制部821が移動規制部811に当接し、ハウジング20側への移動が規制される。
このように、移動規制部811、812、821、822は、第1部材81と第2部材82とが、制振部材80の軸方向に相対移動するのを規制可能である。
第2実施形態は、上述した点以外の構成は、第1実施形態と同様である。
以上説明したように、(7)本実施形態では、制振部材80は、第1部材81と第2部材82との相対移動を規制可能な移動規制部811、812、821、822を有している。そのため、高圧ポンプ10の作動時等、第1部材81と第2部材82との相対移動を抑制し、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動をさらに効果的に抑制することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態による高圧ポンプの一部を図7に示す。第3実施形態は、制振部材80の構成が第2実施形態と異なる。
制振部材80の第1部材81は、移動規制部813、814をさらに有している。制振部材80の第2部材82は、移動規制部823、824をさらに有している。
第1部材81の移動規制部813は、ハウジング20のカバー30を向くよう、制振部材80の軸に直交する仮想平面Vp4上に形成されている。第1部材81の移動規制部814は、制振部材80の軸を挟んで移動規制部813とは反対側において電磁駆動部60のヨーク642を向くよう、仮想平面Vp4上に形成されている。
第2部材82の移動規制部823は、移動規制部813に対向し当接するよう仮想平面Vp4上に形成されている。第2部材82の移動規制部824は、制振部材80の軸を挟んで移動規制部823とは反対側において移動規制部814に対向し当接するよう仮想平面Vp4上に形成されている。
上記構成により、移動規制部813、814、823、824は、第1部材81と第2部材82とが、制振部材80の軸方向に相対移動するのを規制可能である。したがって、第3実施形態では、第2実施形態と比べ、第1部材81と第2部材82との相対移動をより一層効果的に規制することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態による高圧ポンプの一部を図8に示す。第4実施形態は、制振部材80の構成が第1実施形態と異なる。
制振部材80の第1部材81は、移動規制部815、816を有している。制振部材80の第2部材82は、移動規制部825、826を有している。
第1部材81の移動規制部815は、電磁駆動部60のヨーク642を向くよう、制振部材80の軸に傾斜して交わる仮想平面Vp5上に形成されている。第1部材81の移動規制部816は、制振部材80の軸を挟んで移動規制部815とは反対側においてハウジング20のカバー30を向くよう、制振部材80の軸に傾斜して交わる仮想平面Vp6上に形成されている。
第2部材82の移動規制部825は、移動規制部815に対向し当接するよう仮想平面Vp5上に形成されている。第2部材82の移動規制部826は、制振部材80の軸を挟んで移動規制部825とは反対側において移動規制部816に対向し当接するよう仮想平面Vp6上に形成されている。
上記構成により、移動規制部815、816、825、826は、第1部材81と第2部材82とが、制振部材80の軸方向に相対移動するのを規制可能である。
(第5実施形態)
第5実施形態による高圧ポンプの一部を図9に示す。第5実施形態は、制振部材80の構成が第4実施形態と異なる。
制振部材80の第1部材81は、移動規制部817、818をさらに有している。制振部材80の第2部材82は、移動規制部827、828をさらに有している。
第1部材81の移動規制部817は、ハウジング20のカバー30を向くよう、制振部材80の軸に傾斜して交わる仮想平面Vp7上に形成されている。第1部材81の移動規制部818は、制振部材80の軸を挟んで移動規制部817とは反対側において電磁駆動部60のヨーク642を向くよう、制振部材80の軸に傾斜して交わる仮想平面Vp8上に形成されている。
第2部材82の移動規制部827は、移動規制部817に対向し当接するよう仮想平面Vp7上に形成されている。第2部材82の移動規制部828は、制振部材80の軸を挟んで移動規制部827とは反対側において移動規制部818に対向し当接するよう仮想平面Vp8上に形成されている。
上記構成により、移動規制部817、818、827、828は、第1部材81と第2部材82とが、制振部材80の軸方向に相対移動するのを規制可能である。したがって、第5実施形態では、第4実施形態と比べ、第1部材81と第2部材82との相対移動をより一層効果的に規制することができる。
(第6実施形態)
第6実施形態による高圧ポンプの一部を図10に示す。第6実施形態は、制振部材80の第1部材81と第2部材82との間の構成が第1実施形態と異なる。
第6実施形態は、中間弾性部材91をさらに備えている。中間弾性部材91は、例えばゴム等、弾性率が所定値以下の弾性変形可能な材料により形成されている。中間弾性部材91は、例えば矩形の板状に形成され、第1部材81および第2部材82の周方向の両端部の間に設けられている。すなわち、中間弾性部材91は、制振部材80の軸を挟むようにして合計2つ設けられている。
中間弾性部材91は、第1部材81の周方向の端部と第2部材82の周方向の端部とにより板厚方向に圧縮されている。そのため、中間弾性部材91と第1部材81および第2部材82との間に摩擦力が作用する。これにより、第1部材81と第2部材82とが、制振部材80の軸方向に相対移動するとき、中間弾性部材91は弾性変形する。したがって、第1部材81と第2部材82との相対移動が抑制される。ここで、第1部材81と第2部材82との間に設けられた中間弾性部材91は、ダンパとして働き、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を減衰することができる。
第6実施形態は、上述した点以外の構成は、第1実施形態と同様である。
以上説明したように、(8)本実施形態は、中間弾性部材91をさらに備えている。中間弾性部材91は、第1部材81と第2部材82との間に設けられ、弾性変形可能である。第1部材81と第2部材82との間に設けられた中間弾性部材91は、ダンパとして働き、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を減衰することができる。したがって、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動をより効果的に抑制可能である。これにより、振動に起因して高圧ポンプ10から発生する騒音をより効果的に抑制することができる。
(第7実施形態)
第7実施形態による高圧ポンプの一部を図11に示す。第7実施形態は、制振部材80の構成が第1実施形態と異なる。
第1部材81と第2部材82とは、プランジャ11の軸Ax1および筒部材40の軸を含む仮想平面Vp2の面方向、すなわち、鉛直方向に並ぶようにして設けられている。より具体的には、第1部材81と第2部材82とは、筒部材40の軸を含みプランジャ11の軸Ax1および仮想平面Vp2に直交する仮想平面Vp1を、周方向の端部同士で挟むようにして設けられている。
第7実施形態は、上述した点以外の構成は、第1実施形態と同様である。
(第8実施形態)
第8実施形態による高圧ポンプの一部を図12、13に示す。第8実施形態は、制振部材80の構成が第1実施形態と異なる。
制振部材80は、例えば非磁性材料により、略円筒状に形成されている。すなわち、制振部材80は、第1実施形態で示した第1部材81と第2部材82とを一体に形成したような形状である。
本実施形態では、制振部材80は、筒部材40に対し相対移動不能なよう、内縁部が筒部材40の外周壁に溶接され固定されている。
本実施形態では、製造工程において、例えば、電磁駆動部60と一体の筒部材40に制振部材80を設け、制振部材80の端部をヨーク642に溶接し、制振部材80の内縁部を筒部材40の外周壁に溶接する。その後、電磁駆動部60および制振部材80と一体の筒部材40を上ハウジング21の吸入穴部212にねじ込み、筒部材40の外周壁とカバー30の外壁とを溶接する。
第8実施形態は、上述した点以外の構成は、第1実施形態と同様である。
以上説明したように、(5)本実施形態では、制振部材80は、筒状に形成されている。制振部材80が単純な形状のため、制振部材80を容易に製造することができる。
また、(15)本実施形態では、制振部材80は、筒部材40に対し相対移動不能なよう筒部材40に固定されている。そのため、高圧ポンプ10の作動時等、制振部材80と筒部材40との相対移動を抑制し、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動をさらに効果的に抑制することができる。
(第9実施形態)
第9実施形態による高圧ポンプの一部を図14に示す。第9実施形態は、制振部材80の構成が第8実施形態と異なる。
制振部材80は、切欠き部85を有している。切欠き部85は、略円筒状の制振部材80の周方向の一部を切り欠くようにして形成されている。切欠き部85の幅は、筒部材40の外径よりやや大きく設定されている。そのため、切欠き部85を経由して制振部材80を筒部材40に取り付けることが可能である。
本実施形態では、製造工程において、例えば、電磁駆動部60と一体の筒部材40を上ハウジング21の吸入穴部212にねじ込み、筒部材40の外周壁とカバー30の外壁とを溶接する。その後、切欠き部85を経由して制振部材80を鉛直方向上側から筒部材40に取り付ける。その後、制振部材80の軸方向の両端部をカバー30の外壁およびヨーク642に溶接する。さらに、制振部材80の切欠き部85と筒部材40とを溶接する。
第9実施形態は、上述した点以外の構成は、第8実施形態と同様である。
以上説明したように、(9)本実施形態では、制振部材80は、周方向の一部に切欠き部85を有している。そのため、切欠き部85を経由して制振部材80を筒部材40に取り付けることが可能である。これにより、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制可能な高圧ポンプ10を容易に製造することができる。
(第10実施形態)
第10実施形態による高圧ポンプの一部を図15に示す。第10実施形態は、制振部材80とハウジング20および電磁駆動部60との間の構成が第8実施形態と異なる。
第10実施形態は、端部弾性部材92をさらに備えている。端部弾性部材92は、例えばゴム等、弾性率が所定値以下の弾性変形可能な材料により形成されている。端部弾性部材92は、例えば環状の板状に形成され、筒部材40の径方向外側において、制振部材80の軸方向の一端とハウジング20のカバー30との間、および、制振部材80の軸方向の他端と電磁駆動部60のヨーク642との間に設けられている。すなわち、端部弾性部材92は、合計2つ設けられている。
本実施形態では、制振部材80は、筒部材40に対し相対移動可能に設けられている。
2つの端部弾性部材92は、それぞれ、制振部材80の軸方向の両端部とハウジング20のカバー30および電磁駆動部60のヨーク642とにより板厚方向に圧縮されている。制振部材80が筒部材40に対し軸方向に相対移動するとき、端部弾性部材92は弾性変形する。したがって、制振部材80と筒部材40との相対移動が抑制される。ここで、制振部材80の両端部とハウジング20および電磁駆動部60との間に設けられた端部弾性部材92は、ダンパとして働き、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を減衰することができる。
第10実施形態は、上述した点以外の構成は、第8実施形態と同様である。
以上説明したように、(13)本実施形態は、端部弾性部材92をさらに備えている。端部弾性部材92は、制振部材80とハウジング20との間、および、制振部材80と電磁駆動部60との間に設けられ、弾性変形可能である。制振部材80とハウジング20との間、および、制振部材80と電磁駆動部60との間に設けられた端部弾性部材92は、ダンパとして働き、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を減衰することができる。したがって、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動をより効果的に抑制可能である。これにより、振動に起因して高圧ポンプ10から発生する騒音をより効果的に抑制することができる。
(第11実施形態)
第11実施形態による高圧ポンプの一部を図16に示す。第11実施形態は、制振部材80の構成等が第10実施形態と異なる。
制振部材80は、複数の分割部材801を有している。分割部材801は、例えば非磁性材料により、略円環状に形成されている。分割部材801は、筒部材40の軸方向に並ぶよう3つ設けられている。
第11実施形態は、中間弾性部材93をさらに備えている。中間弾性部材93は、例えばゴム等、弾性率が所定値以下の弾性変形可能な材料により形成されている。中間弾性部材93は、例えば環状の板状に形成され、筒部材40の径方向外側において、3つの分割部材801の間に設けられている。すなわち、中間弾性部材93は、合計2つ設けられている。
2つの中間弾性部材93は、それぞれ、複数の分割部材801により板厚方向に圧縮されている。分割部材801が筒部材40に対し軸方向に相対移動するとき、中間弾性部材93は弾性変形する。したがって、制振部材80の分割部材801と筒部材40との相対移動が抑制される。ここで、複数の分割部材801の間に設けられた中間弾性部材93は、ダンパとして働き、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を減衰することができる。
なお、制振部材80の軸方向の一端とハウジング20のカバー30との間、および、制振部材80の軸方向の他端と電磁駆動部60のヨーク642との間には、第10実施形態と同様、端部弾性部材92が設けられている。
第11実施形態は、上述した点以外の構成は、第10実施形態と同様である。
以上説明したように、(10)本実施形態では、制振部材80は、筒部材40の軸方向に並ぶよう設けられる複数の分割部材801を有している。また、本実施形態は、中間弾性部材93をさらに備えている。中間弾性部材93は、複数の分割部材801の間に設けられ、弾性変形可能である。複数の分割部材801の間に設けられた中間弾性部材93は、ダンパとして働き、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を減衰することができる。したがって、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動をより効果的に抑制可能である。これにより、振動に起因して高圧ポンプ10から発生する騒音をより効果的に抑制することができる。
(第12実施形態)
第12実施形態による高圧ポンプの一部を図17、18に示す。第12実施形態は、制振部材の構成が第1実施形態と異なる。
制振部材87は、例えば非磁性材料により長方形の板状に形成されている。すなわち、制振部材87は、長尺状に形成されている。
制振部材87は、長手方向が筒部材40の軸Ax1に対し平行になるよう筒部材40の周囲に設けられている。制振部材87は、筒部材40の周方向に等間隔で4つ設けられている。
複数の制振部材87は、それぞれ、カバー30に対し相対移動不能なよう、長手方向の一端がカバー30の外壁に溶接され固定されている。また、複数の制振部材87は、それぞれ、電磁駆動部60に対し相対移動不能なよう、長手方向の他端が電磁駆動部60のヨーク642に溶接され固定されている。すなわち、複数の制振部材87は、両端部がハウジング20のカバー30および電磁駆動部60に接続するよう設けられている。
複数の制振部材87は、それぞれ、板厚方向が、筒部材40の外周壁を通る仮想円の接線に対し平行となるような姿勢で設けられている。ここで、制振部材87は、筒部材40の外周壁から離間している(図17、18参照)。
なお、4つの制振部材87のうち2つは、プランジャ11の軸Ax1に直交する仮想平面Vp1上に位置している。残りの2つは、プランジャ11の軸Ax1を含み仮想平面Vp1に直交する仮想平面Vp2上に位置している。
また、制振部材87は、短手方向の一部が、コイル63の外周壁を含む仮想筒状面Vt1の外側に位置するよう設けられている(図17参照)。
なお、本実施形態では、制振部材87が板状に形成されているため、ハウジング20に対し電磁駆動部60が振動するとき、制振部材87は、撓むように弾性変形する。そのため、ハウジング20と電磁駆動部60との間に設けられた制振部材87は、ダンパとして働き、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を減衰することができる。
第12実施形態は、上述した点以外の構成は、第1実施形態と同様である。
以上説明したように、(11)本実施形態では、制振部材87は、長尺状に形成され、長手方向が筒部材40の軸に対し平行になるよう筒部材40の周囲に複数設けられている。
ハウジング20と電磁駆動部60との間において筒部材40の径方向外側に設けられた複数の制振部材87により、高圧ポンプ10の作動時等、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制可能である。
また、(12)本実施形態では、制振部材87は、筒部材40の周方向に等間隔で複数設けられている。そのため、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を筒部材40の周方向において均一に抑制可能である。
(第13実施形態)
第13実施形態による高圧ポンプの一部を図19、20に示す。第13実施形態は、制振部材の構成が第12実施形態と異なる。
複数の制振部材87は、それぞれ、面方向が、筒部材40の外周壁を通る仮想円の接線に対し平行となるような姿勢で設けられている(図19参照)。すなわち、制振部材87は、端面が筒部材40の外周壁に対向するよう設けられている。
また、制振部材87は、すべての部位が、コイル63の外周壁を含む仮想筒状面Vt1の外側に位置するよう設けられている(図19参照)。
なお、本実施形態では、制振部材87が板状に形成されているため、ハウジング20に対し電磁駆動部60が振動するとき、制振部材87は、撓むように弾性変形する。そのため、第12実施形態と同様、ハウジング20と電磁駆動部60との間に設けられた制振部材87は、ダンパとして働き、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を減衰することができる。
本実施形態では、制振部材87は端面が筒部材40の外周壁に対向するよう設けられており、筒部材40に対する制振部材87の向きが第12実施形態とは異なる。そのため、第12実施形態と比べ、ハウジング20に対し電磁駆動部60が振動するとき、第13実施形態の制振部材87は撓み易い。したがって、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を減衰する効果を高めることができる。
(第14実施形態)
第14実施形態による高圧ポンプの一部を図21、22に示す。第14実施形態は、制振部材の構成が第12実施形態と異なる。
制振部材87は、短手方向の端部が筒部材40の外周壁に当接するよう形成されている。また、制振部材87は、筒部材40に対し相対移動不能なよう、短手方向の端部が筒部材40の外周壁に溶接され固定されている。
第14実施形態は、上述した点以外の構成は、第12実施形態と同様である。
(第15実施形態)
第15実施形態による高圧ポンプを図23に示す。第15実施形態は、高圧ポンプ10の構成の一部が第1実施形態と異なる。
第15実施形態では、上ハウジング21には、第1実施形態で示した穴部214は形成されていない。その代わり、筒部材40に穴部401が形成されている。穴部401は、カバー筒部31の外周壁の内側において筒部材40の内周壁と外周壁とを接続するよう形成されている。そのため、穴部401は、吸入穴部212と燃料室300とを接続している。穴部401は、例えば筒部材40の周方向に等間隔で4つ形成されている。
本実施形態では、カバー筒部31の外側において筒部材40の径方向外側には、溶接リング400が設けられている。溶接リング400は、例えば金属により略円筒状に形成されている。溶接リング400は、加圧室200側の端部が径方向外側に拡がるよう形成され、カバー筒部31の外周壁のカバー開口部35の周囲に当接している。溶接リング400は、加圧室200側の端部が周方向の全範囲に亘りカバー筒部31の外周壁に溶接され、加圧室200とは反対側の部位が周方向の全範囲に亘り筒部材40の外周壁に溶接されている。これにより、燃料室300の燃料がカバー開口部35と筒部材40の外周壁との間の隙間を経由してカバー30の外部に漏れることが抑制されている。
本実施形態では、カバー筒部31の外側において吐出部本体171の径方向外側には、溶接リング170が設けられている。溶接リング170は、例えば金属により略円筒状に形成されている。溶接リング170は、加圧室200側の端部が径方向外側に拡がるよう形成され、カバー筒部31の外周壁のカバー開口部36の周囲に当接している。溶接リング170は、加圧室200側の端部が周方向の全範囲に亘りカバー筒部31の外周壁に溶接され、加圧室200とは反対側の部位が周方向の全範囲に亘り吐出部本体171の外周壁に溶接されている。これにより、燃料室300の燃料がカバー開口部36と吐出部本体171の外周壁との間の隙間を経由してカバー30の外部に漏れることが抑制されている。
本実施形態では、リリーフ弁75は、棒状形成されている。また、リリーフ弁75のリリーフ弁座714側の端面がテーパ状に形成されており、当該端面に対応しリリーフ弁座714がテーパ状に形成されている。
本実施形態では、パルセーションダンパ15は、燃料室300に2つ設けられている。2つのパルセーションダンパ15は、軸方向に重なるようにして燃料室300内の上ハウジング21とカバー底部32との間に設けられている。
本実施形態では、ホルダ支持部24は、下ハウジング22と別体に形成されている。
本実施形態では、第1実施形態と同様、制振部材80の第1部材81と第2部材82とは、間に筒部材40を挟むようにして設けられている。ただし、本実施形態では、第1部材81および第2部材82のカバー30側の端面の一部が、溶接リング400の形状に対応して凹むよう形成されている点が第1実施形態と異なる。
本実施形態は、上述した点以外の構成は、多少の形状の違いを除き、第1実施形態と同様である。
本実施形態では、第1実施形態と同様、ハウジング20と電磁駆動部60との間において筒部材40の径方向外側に、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制可能な制振部材80が設けられている。よって、高圧ポンプ10の作動時等、ハウジング20に対する電磁駆動部60の振動を抑制可能である。これにより、振動に起因して高圧ポンプ10から発生する騒音を抑制することができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、ニードル55と吸入弁52とが別体に形成される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、ニードル55と吸入弁52とを一体に形成してもよい。すなわち、ニードル55は、一端が吸入弁52に接続するよう形成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、吸入弁部50と電磁駆動部60とが、ノーマリーオープンタイプの弁装置を構成する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、吸入弁部50と電磁駆動部60とは、ノーマリークローズタイプの弁装置を構成してもよい。
また、上述の実施形態では、制振部材の少なくとも一部が、コイル63の外周壁を含む仮想筒状面Vt1の外側に位置するよう設けられる例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、制振部材は、すべてが仮想筒状面Vt1の内側に位置するよう設けられることとしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、制振部材は、ハウジングまたは電磁駆動部の少なくとも一方との間に隙間を形成していてもよい。また、制振部材は、非磁性材料に限らず、磁性材料等、どのような材料により形成されていてもよい。
また、上述の第11実施形態では、制振部材80が3つの分割部材801を有する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、制振部材80は、2つまたは4つ以上の分割部材801を有することとしてもよい。
また、上述の第10、11実施形態では、制振部材80とハウジング20との間、および、制振部材80と電磁駆動部60との間の両方に端部弾性部材92を設ける例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、制振部材80とハウジング20との間、または、制振部材80と電磁駆動部60との間の一方に端部弾性部材92を設けることとしてもよい。
また、上述の第12、13、14実施形態では、制振部材87を、筒部材40の周方向に等間隔で4つ設ける例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、制振部材87は、筒部材40の周方向にいくつ設けてもよく、不等間隔に設けてもよい。
また、上述の複数の実施形態は、構成上の阻害要因がない限り、どのように組み合わせてもよい。例えば、第7実施形態と第2実施形態とを組み合わせ、鉛直方向上下に並ぶ第1部材81と第2部材82とに移動規制部811、812、821、822を形成するといった具合である。また、例えば、第15実施形態の高圧ポンプ10において、第2〜14実施形態に示した制振部材80、87を適用してもよい。
また、上述の実施形態では、ハウジング20が、加圧室200を形成するシリンダ23、加圧室200が内側に位置するようシリンダ23の一部を覆いシリンダ23、上ハウジング21、下ハウジング22との間に燃料室300を形成するカバー30、および、カバー30の内壁と外壁とを接続するカバー開口部35を有し、筒部材40の一端がカバー開口部35を経由して上ハウジング21に接続する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、カバー30にカバー開口部35を形成せず、カバー30が上ハウジング21およびシリンダ23の上面を覆うよう設けられることとしてもよい。この場合、加圧室200はカバー30の外側に位置し、カバー30と上ハウジング21およびシリンダ23の上面との間に燃料室300が形成され、筒部材40はカバー30の外側において上ハウジング21に接続することとなる。
また、本発明の他の実施形態では、高圧ポンプを、ディーゼルエンジン等、ガソリンエンジン以外の内燃機関に適用してもよい。また、高圧ポンプを、車両のエンジン以外の装置等へ向けて燃料を吐出する燃料ポンプとして用いてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。