JP2012255450A - 高圧ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダの変形を抑制することの可能な高圧ポンプを提供する。
【解決手段】シリンダ14は、プランジャ13を軸方向に往復移動可能に収容する。ポンプボディ11は、プランジャ13の往復移動により燃料が加圧される加圧室121、燃料入口と加圧室121とを連通する低圧側燃料通路101、および加圧室121と燃料出口91とを連通する吐出通路114を有する。低圧側燃料通路101を吸入弁部30が開放又は閉塞する。吐出通路を吐出弁部90が開放又は閉塞する。シリンダ14は、軸方向加圧室側の肉厚が軸方向可変容積室側の肉厚よりも厚いテーパ状に形成される。シリンダ14とプランジャ13との隙間の燃圧の変化に対応してシリンダ14をテーパ状に形成することにより、加圧室121の燃料圧力に対し、シリンダ14の変形を抑制することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、エンジンに用いられる高圧ポンプに関する。
従来、エンジンへ燃料を供給する燃料供給系には、燃料タンクから供給される燃料を加圧する高圧ポンプが設けられる。高圧ポンプで加圧された燃料はデリバリパイプに蓄圧され、そのデリバリパイプに接続するインジェクタからエンジンの各気筒内に噴射される。
一般に、高圧ポンプは、エンジンヘッドに取り付けられ、カムシャフトの回転により駆動されるプランジャがシリンダ内を往復移動することで、プランジャのカムシャフトと反対側に形成された加圧室の燃料が加圧される。
ところで、このような構成の高圧ポンプは、エンジンからの受熱等によりシリンダが変形すると、シリンダとプランジャとの接触により生じる摩擦熱がシリンダとプランジャの温度を徐々に上昇させ、シリンダとプランジャに焼き付きが起きるおそれがある。これにより、デリバリパイプの燃圧が低下し、インジェクタから燃料が噴射されなくなり、エンジンが停止することが懸念される。
このような問題に対処するため、特許文献1に記載の高圧ポンプでは、ポンプボディに設けられた穴にシリンダホルダを介し、耐熱性の高い円筒状のブッシュをシリンダとして取り付けることで、エンジンからの伝熱によるシリンダの変形を抑制している。
また、特許文献2の明細書の段落「0043」、「0044」には、シリンダホルダに熱伝導率の小さい材料を用いること、及びシリンダホルダのねじ部に樹脂コーティングすることで、ポンプボディからシリンダへの伝熱を抑制することが記載されている。
また、特許文献3、4に記載の高圧ポンプにおいても、ポンプボディに設けられた穴に耐熱性の高いブッシュをシリンダとして取付け、シリンダの変形を抑制している。
特許文献5に記載の高圧ポンプでは、プランジャの加圧室と反対側に、プランジャの往復移動によって容積の変化する可変容積室が形成されている。シリンダの可変容積室側の径外方向の外壁に複数の溝が設けられている。この溝は、シリンダの軸に対象に2個又は4個設けられている(特許文献5の図11及び図16参照)。この溝を経由し、可変容積室に吸入及び排出する燃料が流れることで、シリンダの可変容積室側の端部が冷却される。
なお、特許文献5の明細書の段落「0088」〜「0090」には、熱伝量は、流速に比例して増大するので、溝の数を増やす場合は、径方向の距離を短くすることで、流速の低下を抑制することが記載されている。
特許文献6に記載の高圧ポンプは、シリンダの径方向外側に筒状の隙間が設けられている。この隙間は、加圧室及びこの加圧室に燃料を供給する低圧側燃料通路と連通している。
特開2008−2361号公報 特開2003−35239号公報 特開2008−525713号公報 独国特許出願公開第10322599A1号明細書 特開2010−106741号公報 米国特許第7707996B2号明細書
しかしながら、上述した特許文献1〜4に記載の高圧ポンプは、シリンダ、シリンダホルダ及びポンプボディが別部材で構成され、部品点数が増加している。また、熱伝導率の小さい材料でシリンダホルダを形成し、さらにシリンダホルダのねじ部に樹脂コーティングする等、構成が複雑になるので、加工工数が増加することが懸念される。
また、シリンダ、シリンダホルダ及びポンプボディが面接触しているので、エンジンの放射熱等がポンプボディからシリンダへ伝熱するおそれがある。
特許文献5に記載の高圧ポンプは、シリンダの溝がシリンダの可変容積室側の端部にのみ設けられているので、シリンダ全体を冷却することができない。さらに、シリンダの溝は、シリンダの周方向の一部にのみ設けられているので、シリンダの端部の全周を冷却することが困難である。
また、特許文献5に記載の高圧ポンプは、溝の断面積を小さく形成し、溝を流れる燃料の流速を高めることで、シリンダの冷却効果を向上している。このため、例えば内燃機関の高温再始動時など、内燃機関が高温かつ低回転時のシリンダの冷却効果が低下することが懸念される。
特許文献6に記載の高圧ポンプは可変容積室が形成されておらず、シリンダの径方向外側の隙間は低圧側燃料通路に連通しているのみである。このため、加圧室からのリーク燃料以外、燃料の流通がほとんど期待できない。したがって、隙間の燃料が高温になり、シリンダの冷却効果が低下するおそれがある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、シリンダの変形を抑制することの可能な高圧ポンプを提供することにある。
本発明によると、シリンダは、プランジャを軸方向に往復移動可能に収容する。ポンプボディは、プランジャの往復移動により燃料が加圧される加圧室、燃料入口と加圧室とを連通する低圧側燃料通路、および加圧室と燃料出口とを連通する吐出通路を有する。低圧側燃料通路を吸入弁部が開放又は閉塞する。吐出通路を吐出弁部が開放又は閉塞する。シリンダは、軸方向加圧室側の肉厚が軸方向可変容積室側の肉厚よりも厚いテーパ状に形成される。
高圧ポンプの加圧室には、高い燃圧が作用する。このため、シリンダとプランジャとの隙間の燃料は、ハーゲン・ポアズイユの式に示されるように、加圧室側から可変容積室側に向かい燃圧が小さくなる。そこで本発明では、この燃圧の変化に対応してシリンダをテーパ状に形成することにより、加圧室の燃料圧力に対し、シリンダの変形を抑制することができる。シリンダの変形が抑制されることにより、シリンダとプランジャとの摺動による摩擦熱の発生を抑制することができる。
また、ポンプボディとシリンダとが別体の場合、シリンダの組み付け時において、シリンダの軸方向加圧室側の径外方向外壁をポンプボディに圧入する場合、シリンダが径方向内側へ変形することを抑制することができる。
なお、シリンダの径外側に筒状空間を形成する場合、筒状空間を軸方向加圧室側に延ばすことで、シリンダの冷却効果を高めることができる。
本発明の第1参考例による高圧ポンプ備える燃料供給系統の構成図である。 本発明の第1参考例による高圧ポンプの断面図である。 図2のIII方向の部分断面図である。 図2のIV−IV線の断面図である。 本発明の第1参考例による高圧ポンプの動作を示す図である。 本発明の第1実施形態による高圧ポンプの断面図である。 本発明の第2参考例による高圧ポンプの断面図である。 本発明の第3参考例による高圧ポンプの断面図である。 本発明の第4参考例による高圧ポンプの断面図である。 本発明の第5参考例による高圧ポンプの断面図である。 本発明の第6参考例による高圧ポンプの断面図である。 本発明の第2実施形態による高圧ポンプの断面図である。
以下、本発明の参考例および実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1参考例)
本発明の第1参考例および後述する実施形態の高圧ポンプの設けられる燃料供給系統を図1に示す。
図1中で、破線で囲まれた部分が高圧ポンプ10のポンプボディ11を示し、この破線の中に示されている機構及び部品は、高圧ポンプ10のポンプボディ11に組み込まれていることを示す。
燃料タンク1の燃料は、電子制御ユニット(ECU)2から伝送される信号に基づき低圧ポンプ3によって汲み上げられ、適切な圧力に加圧される。この燃料は、低圧燃料配管4を通り、高圧ポンプ10の燃料入口20に送られる。
燃料入口20を通過した燃料は、フィルタ28を通り、ダンパ室201、導入通路111を経由して吸入弁部30の供給通路100に至る。
フィルタ28は、燃料タンク1から燃料入口20までの間に存在する異物が燃料の流れにより高圧ポンプ10に侵入することを防ぐ。また、ダンパ室201は、圧力脈動を減衰する。
本参考例および後述する実施形態において、燃料入口20とダンパ室201との間の燃料通路、ダンパ室201、導入通路111および供給通路100を低圧側燃料通路101と称する。この低圧側燃料通路101は、特許請求の範囲に記載の「低圧側燃料通路」に相当する。
吸入弁部30は、供給通路100を流れる燃料の動圧、及び電磁駆動部70により駆動され、供給通路100を開放及び閉塞する。加圧室121に吸入された燃料は、カムシャフト5の回転により往復運動するプランジャ13により加圧される。加圧室121で加圧された燃料は、吐出通路114を開放及び閉塞する吐出弁部90の動作により燃料出口91から吐出される。
なお、高圧ポンプ10の構成及び作動の詳細については、後述する。
高圧ポンプ10から吐出された燃料は、コモンレール6へ圧送される。コモンレール6には、インジェクタ7、圧力センサ8が装着されている。インジェクタ7は、内燃機関の気筒数に合わせて装着されており、ECU2の制御信号にしたがって開閉弁し、燃料を図示しない内燃機関の各気筒に噴射する。
次に、高圧ポンプ10の構成および作動を詳細に説明する。図2及び図3に示すように、高圧ポンプ10は、ポンプボディ11、プランジャ13、ダンパ室201、吸入弁部30、電磁駆動部70、吐出弁部90及び圧力調整部50などを備えている。
ポンプボディ11とプランジャ13について説明する。
本参考例において、ポンプボディ11は、円筒状のシリンダ14を一体で有している。シリンダ14には、プランジャ13が軸方向に往復移動可能に収容されている。プランジャ13は、加圧室121に臨むように設けられている。プランジャ13の加圧室121と反対側に設けられたヘッド17は、スプリング座18と結合している。スプリング座18と後述するオイルシールホルダ25との間には、スプリング19が設けられている。スプリング19は、一方の端部がオイルシールホルダ25に当接し、他方の端部がスプリング座18に当接しており、軸方向へ伸びる力を有している。このスプリング19の弾性力により、スプリング座18はエンジンのカムシャフト5の方向へ付勢される。これにより、プランジャ13は、タペット27を介してカムシャフト5のカムと接することで軸方向に往復移動する。プランジャ13の往復移動により、加圧室121の容積が変化することで燃料が加圧される。
次に、ダンパ室201について説明する。
ポンプボディ11には、シリンダ14の反対側に、シリンダ側14に凹む筒状の凹部203が設けられている。凹部203は、ポンプボディ11の外側に開口している。この凹部203の開口204を蓋部材12が塞いでいる。凹部203と蓋部材12によって、ダンパ室201が形成される。
ダンパ室201には、パルセーションダンパ210、ボディ側支持部材211、蓋側支持部材212及び波ばね213が収容されている。
パルセーションダンパ210は、2枚の金属ダイアフラムから構成され、内部に所定圧の気体が密封されている。パルセーションダンパ210は、2枚の金属ダイアフラムがダンパ室201の圧力変化に応じて弾性変形することで、ダンパ室207の燃圧脈動を低減する。
ボディ側支持部材211は、筒状に形成され、径方向に燃料を通す孔を有している。ボディ側支持部材211は、ポンプボディ11に設けられた窪み110に嵌入している。これにより、ボディ側支持部材211は、径方向の移動が制限される。蓋側支持部材212もまた、筒状に形成されている。蓋側支持部材212とボディ側支持部材211は、パルセーションダンパ210を上下から挟持している。
波ばね213は、蓋側支持部材212と蓋部材12との間に設けられ、蓋側支持部材212をポンプボディ11側に押圧している。これにより、蓋側支持部材212、パルセーションダンパ210及びボディ側支持部材211がダンパ室201内に固定される。
ダンパ室201は、図示しない燃料通路を通じて図示しない燃料入口と連通している。この燃料入口には図示しない燃料タンクから燃料が供給される。したがって、ダンパ室201には、燃料入口から燃料通路を通じて燃料タンクの燃料が供給される。
続いて、吸入弁部30について説明する。
ポンプボディ11には、シリンダ14の中心軸と略垂直に筒部15が設けられている。筒部15の内側には供給通路100が形成されている。供給通路100は、加圧室121の径方向外側に形成され、深部が加圧室121に連通している。
ダンパ室201と供給通路100とを導入通路111が連通している。燃料入口とダンパ室201との間の燃料通路、ダンパ室201、導入通路111および供給通路100を経由して加圧室121に燃料が供給される。
弁ボディ31は、供給通路100に収容されている。弁ボディ31は、小径筒部32と大径筒部33を有している。大径筒部33の底部に凹テーパ状の弁座34が形成されている。
吸入弁35は弁ボディ31の大径筒部33の内側に配置されている。吸入弁35は、小径筒部32に設けられた孔の内壁に案内されて往復移動する。吸入弁35の弁座34側に、この弁座34に着座可能な凸テーパ状の外周面が形成されている。
弁ボディ31の大径筒部33の内壁にストッパ40が固定されている。このストッパ40は、吸入弁35の開弁方向(図2の右方向)への移動を規制する。ストッパ40の内側と吸入弁35との間には第1スプリング21が設けられている。第1スプリング21は、吸入弁35を弁座34に着座させる方向、すなわち閉弁方向へ付勢している。
ストッパ40には、ストッパ40の軸に対して傾斜する傾斜通路102が周方向に複数形成されている。
次に電磁駆動部70について説明する。
電磁駆動部70は、コイル71、固定コア72、可動コア73、フランジ75などから構成される。コイル71は樹脂製のスプール78に巻回されている。固定コア72は磁性材料で作られ、コイル71の内側に収容されている。可動コア73は磁性材料で作られ、固定コア72と対向して配置されている。可動コア73は、フランジ75の内側に軸方向に往復移動可能に収容されている。
フランジ75は磁性材料で作られ、ポンプボディ11の筒部15に取り付けられている。固定コア72とフランジ75との間の磁気的な短絡を非磁性材料で作られた筒部材79が防止している。フランジ75は、固定コア72及びコネクタ77をポンプボディ11に保持するとともに、筒部15の端部を塞いでいる。フランジ75の中央に設けられた孔の内壁には、筒状のガイド筒76が取り付けられている。
ニードル38は略円筒状に形成され、ガイド筒76の内壁に案内されて往復移動する。ニードル38は、一方の端部が可動コア73と一体に組み付けられ、他方の端部が吸入弁35の電磁駆動部70側の端面に当接するように設置されている。
固定コア72と可動コア73との間に第2スプリング22が設けられている。この第2スプリング22は、ストッパ40側の第1スプリング21が吸入弁35を閉弁方向に付勢する力よりも強い力で、可動コア73を吸入弁35側へ付勢している。
コイル71に通電していないとき、可動コア73は固定コア72に吸引されず、第2スプリング22の弾性力により互いに離れている。このため、可動コア73と一体のニードル38が吸入弁35側へ移動し、ニードル38の端面が吸入弁35を押圧することで吸入弁35が開弁する。
次に可変容積室122について説明する。
プランジャ13は、ヘッド17側に小径部131を有し、加圧室121側に大径部133を有している。小径部131と大径部133との接続部分には段差面132が形成される。段差面132に向き合うように、シリンダ14の端部に略円環状のプランジャストッパ23が設けられている。
プランジャストッパ23は、加圧室121側の端面に、加圧室121と反対側へ略円板状に凹む凹部231と、凹部231から径外方向へプランジャストッパ23の外縁まで延びる溝路232とを有している。溝路232は、放射状に複数形成されている。プランジャストッパ23の中央部にはプランジャストッパ23を板厚方向に貫く孔233が形成されている。プランジャストッパ23は、孔233にプランジャ13の小径部131が挿通されている。また、プランジャストッパ23は、加圧室121側の端面がシリンダ14の端面に当接している。
ポンプボディ11には、シリンダ14が開口する側の外壁に、加圧室121側へ略円環状に凹む凹部105が設けられている。凹部105には、オイルシールホルダ25が嵌め込まれている。オイルシールホルダ25は、プランジャ13の小径部131が挿通されている。オイルシールホルダ25は、プランジャストッパ23との間にシール部材24を挟んで、凹部105の内壁に固定されている。シール部材24は、小径部131周囲の燃料油膜の厚さを規制し、プランジャ13の摺動によるエンジンへの燃料のリークを抑制する。オイルシールホルダ25の加圧室121と反対側の端部には、オイルシール26が装着されている。オイルシール26は、小径部131周囲のオイル油膜の厚さを規制し、プランジャ13の摺動によるオイルのリークを抑制する。
プランジャ13の段差面132、小径部131の外壁、シリンダ14の内壁、プランジャストッパ23の凹部231、溝路232、およびシール部材24に囲まれる空間により可変容積室122が形成される。
本参考例および後述する実施形態では、上述したプランジャ13の段差面132、小径部131の外壁、シリンダ14の内壁、プランジャストッパ23、オイルシールホルダ25、シール部材24およびオイルシール26が、特許請求の範囲に記載の「可変容積室形成手段」を構成している。なお、可変容積室形成手段は、シリンダの加圧室と反対側で可変容積室を形成することの可能なものであればよい。
オイルシールホルダ25の内壁と凹部105の内壁との間には、略筒状の筒状空間80が形成されている。筒状空間80は、シリンダ14の径方向外側にシリンダ14と略同軸に形成されている。
筒状空間80は、オイルシールホルダ25の軸方向加圧室121側で、シリンダ14の径外側に形成される径方向に広い第1筒状空間81と、オイルシールホルダ25の径方向内側の内壁とシリンダ14の径方向外側の外壁との間に形成される径方向に狭い第2筒状空間82とから構成されている。
第1筒状空間81はポンプボディ11に形成された連通路83を経由してダンパ室201に連通している。第2筒状空間82はプランジャストッパ23の溝路232から可変容積室122に連通している。これにより、筒状空間80はダンパ室201と可変容積室122とに連通する。
筒状空間80は、可変容積室122からシリンダ14と略同軸に軸方向加圧室121側へ延び、シリンダ14の径方向外側を取り巻いて形成されている。
筒状空間80を加圧室121側に近づけ、供給通路100と筒状空間80の軸方向加圧室121側の内壁との間の肉厚Aを薄くすると、供給通路100の燃圧によって供給通路100を構成するポンプボディ11の内壁が変形するおそれがある。これにより、供給通路100が変形すると、吸入弁部30を構成する各部に隙間が生じ、燃料漏れを生じることが懸念される。このため、供給通路100と筒状空間80の軸方向加圧室121側の内壁との間の肉厚Aは、高圧ポンプ10の通常使用時において、供給通路100の燃圧によって生じる供給通路100の変形が許容可能な程度となるような厚さに形成されている。このような肉厚Aを確保することが可能な位置に筒状空間80の軸方向加圧室121側の内壁は設けられている。
また、筒状空間80の内径を小さくし、シリンダ14の径方向の肉厚Bを薄くすると、シリンダ14とプランジャ13との間の燃圧によってシリンダ14が変形するおそれがある。シリンダ14が変形すると、シリンダ14の内壁とプランジャ13の摩擦熱が大きくなり、シリンダ14とプランジャ13に焼き付きが起きることが懸念される。このため、シリンダ14の径方向の肉厚Bは、高圧ポンプ10の通常使用時において、シリンダ14とプランジャ13との間の燃圧によって生じるシリンダ14の変形が許容可能な程度となるような厚さに形成されている。このような肉厚Bを確保することが可能な位置に筒状空間80の径方向内側の内壁は設けられている。
次に吐出弁部90について説明する。
吐出弁部90は、加圧室121において加圧された燃料の排出を許容または遮断する。この吐出弁部90は、吐出弁92、規制部材93、スプリング94などから構成されている。
ポンプボディ11には、シリンダ14の中心軸と略垂直に吐出通路114が形成されている。吐出通路114は、加圧室121の径方向外側に形成され、加圧室121と燃料出口91とを連通している。
吐出弁92は、有底筒状に形成され、吐出通路114に往復移動可能に収容されている。吐出弁92は、ストローク方向にのみ運動するように、吐出通路114の内壁によりガイドされている。吐出弁92は、吐出通路114に形成された弁座95(図3参照)に着座することで吐出通路114を閉塞し、弁座95から離座することで吐出通路114を開放する。
吐出弁92の燃料出口91側に設けられた筒状の規制部材93は、吐出通路114の内壁に固定されている。規制部材93は、吐出弁92の燃料出口91側への移動を規制する。
吐出弁92の開弁のストロークは、規制部材93によって適切に設定されている。仮にストロークが大きすぎると、吐出弁92の閉じ遅れにより、吐出通路114へ吐出された燃料が、再び加圧室121に逆流し、高圧ポンプ10のポンプ効率が低下する。
スプリング94は、一端が規制部材93に当接し、他端が吐出弁92に当接している。スプリング94は、吐出弁92を加圧室121側へ付勢している。
加圧室121の燃圧が上昇し、加圧室121側の燃料から吐出弁92が受ける力がスプリング94の弾性力と燃料出口91側の燃料から受ける力との和よりも大きくなると、吐出弁92は弁座95から離座する。これにより、加圧室121内の燃料は、燃料出口91から高圧ポンプ10の外部へ吐出される。
一方、加圧室121の燃圧が低下し、加圧室121側の燃料から吐出弁92が受ける力がスプリング94の弾性力と燃料出口91側の燃料から受ける力との和よりも小さくなると、吐出弁92は弁座95に着座する。これにより、燃料出口91側の燃料が加圧室121へ逆流することが防止される。
次に、圧力調整部50について、図2を参照して説明する。
ポンプボディ11には、シリンダ14の中心軸と略垂直にリリーフ通路51が形成されている。リリーフ通路51は、加圧室121の径方向外側に形成され、吐出通路114と加圧室121とを連通している。なお、リリーフ通路51のポンプボディ11の外壁側の開口は、プラグ55によって閉塞されている。
圧力調整部50は、リリーフ弁52、アジャストパイプ53、スプリング54及び定残圧弁60などから構成されている。
リリーフ弁52は、筒状に形成され、リリーフ通路51に往復移動可能に設けられている。リリーフ弁52は、内側に内側通路が形成され、この内側通路に定残圧弁60などを収容している。
スプリング54は、一方の端部がリリーフ弁52に接し、他方の端部がアジャストパイプ53に接している。リリーフ弁52は、スプリング54の付勢力により、リリーフ通路51の内壁に形成される弁座56側へ付勢されている。
リリーフ弁52は、弁座56に着座することによりリリーフ弁52の径外側のリリーフ通路51を閉塞し、弁座56から離座することによりリリーフ弁52の径外側のリリーフ通路51を開放する。
アジャストパイプ53のリリーフ通路51への圧入により、スプリング54の荷重が調整され、これによりリリーフ弁52の開弁する所定圧が設定される。本参考例では、リリーフ弁52の開弁する所定圧を例えばエンジンの通常運転におけるデリバリパイプの燃圧以上、電磁式のインジェクタが燃料噴射不能となる圧力未満とすることが例示される。
定残圧弁60は、逆止弁であり、デリバリパイプ内の燃圧が所定圧以上で開弁するように設定される。この所定圧は、例えばエンジンの停止後にデリバリパイプ内に発生するベーパを許容値以下とし、かつインジェクタからの燃料漏れを許容値以下とすることのできる圧力とすることが例示される。
次に高圧ポンプ10の作動について、図2及び図5を参照して説明する。
(1)吸入行程
カムシャフト5の回転により、プランジャ13が上死点から下死点に向かって下降すると、加圧室121の容積が増加し、燃料が減圧される。吐出弁92は弁座95に着座し、吐出通路114を閉塞する。吸入弁35は、加圧室121と供給通路100との差圧により、第1スプリング21の付勢力に抗して図2の右方向に移動し、開弁状態となる。このとき、コイル71への通電は停止されているので、可動コア73及びこの可動コア73と一体のニードル38は第2スプリング22の付勢力により図2の右方向に移動する。したがって、ニードル38と吸入弁35とが当接し、吸入弁35は開弁状態を維持する。これにより、低圧側燃料通路101から加圧室121に燃料が吸入される。
なお、図5では、コイル71へ通電するECUの制御信号を「ソレノイド制御信号」と示し、ニードル38の位置を「ニードル位置」と示している。
吸入行程では、プランジャ13の下降により、可変容積室122の容積が減少する。したがって、可変容積室122の燃料は、筒状空間80及び連通路83を経由し、ダンパ室201へ送り出される。このとき、第2筒状空間82から第1筒状空間81に流出する燃料は、シリンダ14の径外方向の外壁に沿って流れ、シリンダ14を冷却する。
ここで、大径部133と可変容積室122の断面積比は概ね1:0.6である。したがって、加圧室121の容積の増加分と可変容積室122の容積の減少分の比も1:0.6となる。よって、加圧室121が吸入する燃料の約60%が可変容積室122から筒状空間80、低圧側燃料通路101等を経由して供給され、残りの約40%が燃料入口から吸入される。これにより、加圧室121への燃料の吸入効率が向上する。
(2)調量行程
カムシャフト5の回転により、プランジャ13が下死点から上死点に向かって上昇すると、加圧室121の容積が減少する。このとき、所定の時期まではコイル71への通電が停止されているので、第2スプリング22の付勢力によりニードル38と吸入弁35は図2の右方向に位置する。これにより、供給通路100は開放した状態が維持される。このため、一度加圧室121に吸入された低圧燃料が、吸入弁部30を経由し、低圧側燃料通路101へ戻される。したがって、加圧室121の圧力は上昇しない。
プランジャ13が下死点から上死点に向かって上昇する途中の所定の時刻に、ECU2からの制御信号により、コイル71へ通電される。するとコイル71に発生する磁界により、固定コア72と可動コア73との間に磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力が第2スプリング22の弾性力と第1スプリング21の弾性力との差よりも大きくなると、可動コア73とニードル38は固定コア72側(図2の左方向)へ移動する。これにより、吸入弁35に対するニードル38の押圧力が解除される。吸入弁35は、第1スプリング21の弾性力、及び加圧室121からダンパ室201側へ排出される低圧燃料の流れによって生ずる力により、弁座34側へ移動する。したがって、吸入弁35は弁座34に着座し、供給通路100が閉塞される。
(3)加圧行程
吸入弁35が弁座に着座した時から、加圧室121の燃料圧力は、プランジャ13の上死点に向かう上昇と共に高くなる。加圧室121の燃料圧力が吐出弁92に作用する力が、吐出通路114の燃料圧力が吐出弁92に作用する力およびスプリング94の付勢力よりも大きくなると、吐出弁92が開弁する。これにより、加圧室121で加圧された高圧燃料は吐出通路114を経由して燃料出口91から吐出する。
なお、加圧行程の途中でコイル71への通電が停止される。加圧室121の燃料圧力が吸入弁35に作用する力は、第2スプリング22の付勢力より大きいので、吸入弁35は閉弁状態を維持する。
調量行程及び加圧行程では、プランジャ13の上昇により、可変容積室122の容積が増大する。したがって、ダンパ室201の燃料は、連通路83及び筒状空間80を経由し、可変容積室122へ流入する。ダンパ室201には、燃料入口から比較的低温の燃料が流入するので、この燃料が筒状空間80と可変容積室122に流入することで、シリンダ14の全周が比較的低温の燃料に満たされる。これにより、シリンダ14全体が冷却される。
このとき、加圧室121がダンパ室201側へ排出した低圧燃料の容積の約60%が、ダンパ室201から連通路83及び筒状空間80を経由して可変容積室122に吸入される。これにより、燃圧脈動の約60%が低減される。
高圧ポンプ10は、(1)から(3)の行程を繰り返し、内燃機関に必要な量の燃料を加圧して吐出する。
コイル71へ通電するタイミングを制御することで、高圧ポンプ10から吐出される高圧燃料の量を制御することができる。
ECUの指令によりコイル71へ通電するタイミングを早くすれば、調量行程の時間が短くなると共に、加圧行程の時間が長くなる。これにより、加圧室121から低圧側燃料通路101へ戻される燃料が少なくなり、吐出通路114から高圧吐出される燃料が多くなる。
一方、ECUの指令によりコイル71へ通電するタイミングを遅くすれば、調量行程の時間が長くなると共に、吐出行程の時間が短くなる。これにより、加圧室121から低圧側燃料通路101へ戻される燃料が多くなり、吐出通路114から高圧吐出される燃料が少なくなる。
このように、ECUがコイル71へ通電するタイミングを制御することで、高圧ポンプ10から吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することができる。
本参考例では、以下の作用効果を奏する。
本参考例では、シリンダ14の径方向外側の全周で空間をなす筒状空間80が形成されている。この筒状空間80は、可変容積室122と低圧側燃料通路101とに連通している。このため、プランジャ13の往復移動により可変容積室122の容積が可変することで、筒状空間80には、低圧側燃料通路101と可変容積室122の燃料が交互に入れ替わる。これにより、筒状空間80には、常に比較的低温の燃料が流れる。したがって、シリンダ14の全周を確実に冷却することができる。
また、本参考例では、シリンダ14の軸方向中央部分の径方向外側に位置する第1筒状空間81の容積が、シリンダ14の可変容積室122側の端部の径方向外側に位置する第2筒状空間82の容積よりも大きく形成されている。これにより、シリンダ14の軸方向中央部分の全周を冷却する第1筒状空間81の冷却効率を高めることが可能である。また、第2筒状空間82は、流速の速い燃料によりシリンダ14の可変容積室側の端部の全周を冷却することが可能である。したがって、シリンダ14の可変容積室122側の端部に熱が発生した場合、まず第2筒状空間82によって冷却されると共に、その熱はシリンダ14を軸方向に伝熱し、第1筒状空間81によって確実に冷却される。したがって、シリンダ14の冷却効果を高めることができる。
ここで、燃料の熱伝導率は、例えばガソリンであれば0.01〜0.07kcal/m・h・℃であり、金属の熱伝導率と比較して非常に小さい。このため、高圧ポンプ10の取り付けられるエンジンヘッドからポンプボディ11に伝わる熱、またはポンプボディ11が受熱するエンジンルームの放射熱は、筒状空間80を流れる燃料により、ポンプボディ11からシリンダ14への伝熱が抑制される。
シリンダ14とプランジャ13との摺動による温度上昇は、シリンダ14の加圧室121側の内壁140で大きく発生する。このため、本参考例では、供給通路100と筒状空間80の軸方向加圧室121側の内壁との間の肉厚Aが、供給通路100の変形を許容可能な程度の厚さで形成されている。このように、筒状空間80を軸方向に延ばすことで、シリンダ14とプランジャ13との摺動によるシリンダの温度上昇の抑制効果を高めることができる。また、ポンプボディ11からシリンダ14へ伝熱の抑制効果を高めることができる。
また、本参考例では、シリンダ14の径方向の肉厚Bが、シリンダ14の変形を許容可能な程度の厚さで形成されている。このように、筒状空間80の内径を小さくし、シリンダ14を薄くすることで、シリンダ14とプランジャ13との摺動による温度上昇の抑制効果を高めることができる。これにより、シリンダ14の熱による許容範囲外の変形が抑制され、シリンダ14とプランジャ13の焼き付きを抑制することができる。
さらに、本参考例では、シリンダ14の径方向の肉厚Bがシリンダ14の変形を許容可能な厚さで形成されているので、シリンダ14は内圧により許容範囲内の変形が可能である。そのため、仮にシリンダ14の真直度や円筒度等が必要公差から若干程度逸脱している場合においても、シリンダ14が許容範囲内の変形を許容するので、シリンダの肉厚を厚くし、剛性を保つ設計と比べ、シリンダ14とプランジャ13が焼付き難い設定となっている。これにより、シリンダの加工を容易にすると共に、高圧ポンプの信頼性を向上することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図6に示す。以下、複数の実施形態および参考例において、上述した第1参考例と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、筒状空間84は、軸方向加圧室121側の内径が軸方向可変容積室122側の内径よりも大きいテーパ状に形成されている。これにより、シリンダ14は、加圧室121側にテーパ部141を有し、可変容積室122側に小径部142を有し、一体に形成される。シリンダ14のテーパ部141は、軸方向加圧室121側の肉厚Cが軸方向可変容積室122側の肉厚Dよりも厚いテーパ状に形成されている。
プランジャ13の往復移動により加圧室121には、高い燃圧が作用する。シリンダ14とプランジャ13との隙間には、燃料による油膜が形成されている。この隙間の燃料は、ハーゲン・ポアズイユの式に示されるように、加圧室121側から可変容積室122側に向かい燃圧が小さくなる。この燃圧の変化に対応し、シリンダ14にテーパ部141を設けることで、シリンダ14の変形が抑制される。これにより、シリンダ14とプランジャ13との摺動による摩擦熱の発生を抑制することができる。
(第2参考例)
本発明の第2参考例を図7に示す。本参考例では、筒状空間80とダンパ室201とを連通する連通路83が複数設けられている。複数の連通路83は、吸入弁部30、吐出弁部90及び圧力調整部50を避け、シリンダ14と平行に軸方向に延びている。複数の連通路83は、一端がダンパ室201の内壁に開口し、他端が筒状空間80の軸方向加圧室121側の内壁にそれぞれ開口している。このため、筒状空間80の内壁には、連通路の開口831が周方向に複数箇所設けられる。
プランジャ13の往復移動に伴う可変容積室122の容積変化により、可変容積室122の燃料と筒状空間80の燃料とが循環する。これと共に、筒状空間80の内壁に複数箇所設けられた開口831から連通路83を経由し、筒状空間80の燃料とダンパ室201の燃料とが循環する。ダンパ室201には、燃料タンクから比較的低温の燃料が供給されている。このため、可変容積室122および筒状空間80の燃料が低温になる。
本参考例では、筒状空間80とダンパ室201とを連通する連通路83を複数設け、この複数の連通路83の開口831を筒状空間80の内壁に複数箇所設けている。これにより、筒状空間80とダンパ室201との燃料の循環を良くすることができる。したがって、筒状空間80の燃料が低温になるので、ポンプボディ11からシリンダ14への伝熱の抑制効果、およびシリンダ14の冷却効果を高めることができる。
(第3参考例)
本発明の第3参考例を図8に示す。本参考例では、ポンプボディ11とシリンダ14とが別体で構成されている。シリンダ14の加圧室121側端部の径外方向の外壁は、ポンプボディ11の内壁に圧入、溶接などにより固定されている。
本参考例では、シリンダ14を例えばマルテンサイト系ステンレス等の比較的硬度の高い材料から形成し、ポンプボディ11を例えばフェライト系ステンレス等のシリンダ14よりも比較的硬度の低い材料から形成することが可能になる。これにより、シリンダ14の変形を抑制することができる。したがって、シリンダ14の変形による燃料漏れを抑制できる。また、シリンダ14とプランジャ13の焼き付きを抑制できる。
本参考例では、比較的硬度の高い材料をシリンダ14のみに使用し、比較的硬度の低い材料をポンプボディ11に使用することで、製造上のコストを低減することができる。また、ポンプボディ11に燃料通路を容易に形成することが可能になり、加工コストを低減することができる。
(第4参考例)
本発明の第4参考例を図9に示す。本参考例では、連通路85は、一方の側が筒状空間80に連通し、他方の側が吸入弁部30の弁座34よりもダンパ室201側の供給通路100に連通している。
プランジャ13が下死点から上死点へ上昇すると、可変容積室122の容積が増大し、可変容積室122が減圧される。高圧ポンプ10の調量行程において、加圧室121から供給通路100に排出される燃料は、ダンパ室201を経由することなく、供給通路100から連通路85及び筒状空間80を通り、可変容積室122に最短経路で吸入される。したがって、加圧室121と可変容積室122との間の流路の流体抵抗が小さくなるので、加圧室121から可変容積室122への吸入効率を高めることができる。
また、ダンパ室201には、加圧室121から排出される燃料と可変容積室122に吸入される燃料との差分の燃料のみが流入する。これにより、ダンパ室201に伝達される燃圧脈動が小さくなる。パルセーションダンパ210は、この燃圧脈動を確実に低減することが可能である。このため、高圧ポンプ10の脈動減衰性能が向上し、高圧ポンプ10の燃料入口20から低圧燃料配管4に伝わる燃圧脈動を低減することができる。
一方、プランジャ13が上死点から下死点へ下降する高圧ポンプ10の吸入行程において、可変容積室122の容積が減少する。このとき、可変容積室122から筒状空間80及び連通路85を通り、供給通路100に排出される燃料は、加圧室121に最短経路で吸入される。したがって、可変容積室122から加圧室121への吸入効率が高まる。この結果、筒状空間80の燃料の流通が良くなり、シリンダ14の冷却効果を高めることができる。
(第5参考例)
本発明の第5参考例を図10に示す。本参考例では、第1筒状空間86の中心軸は、シリンダ14の中心軸に対し、偏心して設けられている。
本参考例では、ポンプボディ11のスペースを有効に使用し、第1筒状空間86の容積を大きくすることが可能になる。これにより、シリンダ14の冷却効果を高めることができる。
(第6参考例)
本発明の第6参考例を図11に示す。本参考例では、第1筒状空間87は、軸方向の加圧室121側の内径が、軸方向の加圧室121と反対側の内径より大きいテーパ状に形成されている。
本参考例においても、第5参考例と同様の作用効果を奏することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図12に示す。本実施形態では、シリンダ14がポンプボディ11と別体、かつ、テーパ状に形成されている。シリンダ14は、加圧室121側から、大径部143、テーパ部144、小径部145をこの順で有している。シリンダ14のテーパ部144は、軸方向加圧室121側の肉厚Cが軸方向可変容積室122側の肉厚Dよりも厚いテーパ状に形成されている。
プランジャ13の往復移動により加圧室121には、高い燃圧が作用する。シリンダ14とプランジャ13との隙間の燃料は、加圧室121側から可変容積室122側に向かい燃圧が小さくなる。この燃圧の変化に対応し、シリンダ14にテーパ部144を設けることで、シリンダ14の変形が抑制される。これにより、シリンダ14とプランジャ13との摺動による摩擦熱の発生を抑制することができる。
また、シリンダ14の組み付け時において、シリンダ14の大径部143の径外方向外壁をポンプボディ11に圧入する場合、大径部143が径方向内側へ変形することを抑制することができる。
(他の実施形態)
上述した複数の実施形態および参考例では、吸入弁部30の供給通路100と筒状空間80、84との間の肉厚を、供給通路100の変形が許容可能な程度の厚さで形成した。これに対し、本発明は、仮に吐出弁部又は圧力調整部が吸入弁部よりも軸方向可変容積室側に設けられた場合、吐出通路と筒状空間との間の肉厚、またはリリーフ通路と筒状空間との間の肉厚を、吐出通路またはリリーフ通路の変形が許容可能な程度の厚さで形成してもよい。
また、上記以外に、燃料通路を開放又は閉塞することで燃料の流通を制御する流通制御部が設けられた場合、この流通制御部と筒状空間との間の肉厚を、流通制御部の設けられる燃料通路の変形が許容可能な程度の厚さで形成してもよい。
また、上述した複数の実施形態および参考例では、筒状空間80、84の軸方向加圧室121側の内壁を、シリンダ14の軸に垂直に形成した。これに対し、本発明は、筒状空間の軸方向加圧室側の内壁を、シリンダの軸に垂直な仮想平面に対し傾斜させ、吸入弁部、吐出弁部及び圧力調整部にそれぞれ対応するように形成してもよい。
また、上述した複数の実施形態および参考例では、筒状空間を円筒状または円錐状に形成した。これに対し、本発明は、筒状空間を横断面視において例えば楕円形又は多角形に形成してもよい、或いは筒状空間の一部が径外方向に凸状又は径内方向に凹状となるように形成してもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の形態により実施することができる。
10 ・・・高圧ポンプ
11 ・・・ポンプボディ
13 ・・・プランジャ
14 ・・・シリンダ
30 ・・・吸入弁部
90 ・・・吐出弁部
100 ・・・供給通路(低圧側燃料通路)
101 ・・・低圧側燃料通路
114 ・・・吐出通路
121 ・・・加圧室

Claims (10)

  1. プランジャ(13)と、
    前記プランジャを軸方向に往復移動可能に収容するシリンダ(14)と、
    前記プランジャの往復移動により燃料が加圧される加圧室(121)、燃料入口(20)と前記加圧室とを連通する低圧側燃料通路(101、100、111、201)、および前記加圧室と燃料出口(91)とを連通する吐出通路(114)を有するポンプボディ(11)と、
    前記低圧側燃料通路を開放又は閉塞する吸入弁部(30)と、
    前記吐出通路を開放又は閉塞する吐出弁部(90)と、を備え、
    前記シリンダは、軸方向加圧室側の肉厚が軸方向可変容積室側の肉厚よりも厚いテーパ状に形成されることを特徴とする高圧ポンプ(10)。
  2. 前記シリンダは、加圧室側からテーパ部(141,144)および小径部(142,145)を有し、
    前記テーパ部は、軸方向加圧室側の肉厚が軸方向可変容積室側の肉厚よりも厚いテーパ状に形成され、
    前記小径部は、前記テーパ部の軸方向可変容積室側の肉厚と同一の肉厚で形成されることを特徴とする請求項1に記載の高圧ポンプ。
  3. 前記シリンダの前記加圧室と反対側に設けられ、前記プランジャの往復移動により容積が可変する可変容積室を形成する可変容積室形成手段(23,24,25,26,132,131,14)を備え、
    前記ポンプボディは、前記低圧側燃料通路から延びる連通路(83,85)と前記可変容積室とに連通し、前記連通路から前記シリンダの前記可変容積室側の端部まで前記シリンダの径方向外側の全周で空間をなす筒状空間(80,81,82,84,86,87)を有することを特徴とする請求項2に記載の高圧ポンプ。
  4. 前記筒状空間は、前記連通路が開口する第1筒状空間(81,86,87)と、前記シリンダの前記可変容積室側の端部から前記シリンダの軸方向に延びる第2筒状空間(82)とを有し、
    前記第1筒状空間の容積は、前記第2筒状空間の容積より大きいことを特徴とする請求項3に記載の高圧ポンプ。
  5. 前記第1筒状空間は前記テーパ部の径外側に設けられ、前記第2筒状空間は前記小径部の径外側に設けられることを特徴とする請求項4に記載の高圧ポンプ。
  6. 通常作動時の前記シリンダと前記プランジャとの間の燃圧により生じる前記シリンダの変形を許容可能な程度に前記シリンダの肉厚が形成される位置に前記筒状空間の径内方向の内壁は設けられることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
  7. 前記ポンプボディは、前記燃料入口と前記燃料出口との間の燃料通路を開放又は閉塞することで燃料の流通を制御する流通制御部(30,90,50)を前記加圧室の径方向外側に有し、
    通常作動時の前記燃料通路の燃圧により生じる前記燃料通路の変形が許容可能な程度に前記流通制御部が設けられる前記燃料通路と前記筒状空間との間の肉厚が形成される位置に前記筒状空間の軸方向加圧室側の内壁は設けられることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
  8. 前記流通制御部は、前記燃料出口側の燃圧が所定圧より大きくなったときに吐出弁(92)よりも前記燃料出口側の燃料を前記吐出弁よりも前記燃料入口側の前記燃料通路または前記加圧室に流す圧力調整部(50)、前記吐出弁部及び前記吸入弁部のうちの少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項7に記載の高圧ポンプ。
  9. 前記シリンダと前記ポンプボディとは、一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
  10. 前記シリンダと前記ポンプボディとは、別体で形成され、
    前記シリンダは、加圧室側から大径部(143)、テーパ部(144)および小径部(145)を有し、
    前記テーパ部は、軸方向加圧室側の肉厚が軸方向可変容積室側の肉厚よりも厚いテーパ状に形成され、
    前記小径部は、前記テーパ部の軸方向可変容積室側の肉厚と同一の肉厚で形成され、
    前記大径部は、前記テーパ部の軸方向加圧室側の肉厚と同一の肉厚で形成されて前記ポンプボディに圧入されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
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