JP6983548B2 - 電解質組成物及び電池 - Google Patents
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Description
上記イオン解離促進剤は、ニトリル化合物及び/又はスルホニル化合物を含むことが好ましい。
上記ニトリル化合物は、下記式(1);
本発明の電解質組成物は、ビス(フルオロスルホニル)イミドのアルカリ金属塩と、ポリエーテル系重合体、(メタ)アクリル系重合体、ニトリル系重合体、フッ素系重合体からなる群より選択される少なくとも1種の重合体と、イオン解離促進剤とを含むものである。本発明の電解質組成物は、このような特定の化合物を含むことにより、従来の電解質組成物よりも優れたイオン伝導性を発揮することができる。
上記アルカリ金属塩濃度としてより好ましくは1.2mol/kg以上であり、更に好ましくは1.5mol/kg以上であり、一層好ましくは1.8mol/kg以上であり、より一層好ましくは2.0mol/kg以上であり、特に好ましくは2.2mol/kg以上であり、最も好ましくは2.5mol/kg以上である。また、好ましくは5.3mol/kg以下であり、より好ましくは5.0mol/kg以下であり、更に好ましくは4.6mol/kg以下である。
上記電解質組成物におけるビス(フルオロスルホニル)イミドのアルカリ金属塩の含有量は、特に限定はなく、例えば、電解質組成物100質量%に対して、5〜99質量%であることが好ましい。より好ましくは20〜99質量%であり、更に好ましくは35〜98質量%であり、特に好ましくは50〜95質量%であり、最も好ましくは70〜95質量%である。
<ビス(フルオロスルホニル)イミドのアルカリ金属塩>
上記ビス(フルオロスルホニル)イミドのアルカリ金属塩は、下記式(2);
MN(SO2F)2 (2)
(式中、Mはアルカリ金属イオンを表す。)で表される化合物である。
上記Mにおけるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられる。好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウムであり、より好ましくはリチウムである。
その他のアルカリ金属塩としては、ビス(フルオロスルホニル)イミドのアルカリ金属塩以外のアルカリ金属塩であれば特に制限されないが、例えば、LiFSO3等のフルオロスルホン酸のアルカリ金属塩;LiCF3SO3等のトリフロロメタンスルホン酸のアルカリ金属塩;LiN(CF3SO2)2等のイミド系アルカリ金属塩;LiC(CF3SO2)3等のパーフルオロアルカンスルホニルメチドのアルカリ金属塩;LiPFa(CmF2m+1)6−a(0≦a≦6、1≦m≦2)等のフルオロリン酸塩;LiClO4等の過塩素酸アルカリ金属塩;LiBFb(CnF2n+1)4−b(0≦b≦4、1≦n≦2)等のフルオロホウ酸塩;LiBOB等のオキサラトボレートのアルカリ金属塩;リチウムテトラシアノボレート等のシアノホウ酸塩;LiAsF6、LiI、LiSbF6等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
上記重合体は、ポリエーテル系重合体、(メタ)アクリル系重合体、ニトリル系重合体、フッ素系重合体からなる群より選択される少なくとも1種の重合体である。
上記(メタ)アクリル系重合体としては、特に制限されないが、例えば(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルのホモポリマー、これらの単量体やその他の単量体との共重合体等が挙げられる。
その他の単量体は、上記(メタ)アクリル系重合体において述べたとおりである。
上記ニトリル系重合体は、アクリロニトリル由来の構造単位の割合が、全構造単位100質量%に対して30〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは50〜100質量%であり、更に好ましくは70〜100質量%である。
その他の単量体は、上記(メタ)アクリル系重合体において述べたものの他、エチレン、プロピレン、ビニルエーテル、ビニルエステル等が挙げられる。
上記フッ素系重合体は、上記VdF、HFP、TFE由来の構造単位の合計の割合が、全構造単位100質量%に対して30〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは50〜100質量%であり、更に好ましくは70〜100質量%であり、特に好ましくは90〜100質量%である。
上記ポリエーテル系重合体は、更に下記式(3);
ポリエーテル系重合体は、好ましくは上記構造単位(a)及び構造単位(b)を有するものである。
ポリエーテル系重合体に、エーテル結合を有する側鎖官能基を導入することで、ポリマーの運動性が向上し、イオン伝導性、特にLiイオンの伝導性を向上させることができる。
ここで、「同一又は異なって」とは、上記ポリエーテル系重合体が式(3)で表される構造単位を複数有する場合に、それぞれのR2が、同一であっても異なっていてもよいことを意味する。
これらの中でも、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等の直鎖アルキレン基、プロピレン、プロピリデン、ブチレン、ブチリデン等の分岐鎖アルキレン基が高いイオン伝導度を示すという点で好ましい。より好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、プロピレン、プロピリデン、ブチレンであり、更に好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンである。
上記式(4)において、R3は1種であっても2種以上であってもよい。R3が2種以上である場合、−(R3−O)−で表されるオキシアルキレン基の付加形態は、ブロック状、ランダム状等のいずれの形態であってもよい。
式(4)におけるmは、0又は1であるが、nが0のとき、mとしては1が好ましい。
上記炭化水素基がアリール基の場合、炭素数としては、6〜12であることが好ましく、より好ましくは、6〜8である。上記炭化水素基がアリール基以外の場合、炭素数としては、より好ましくは1〜8であり、更に好ましくは1〜4である。
炭化水素基としてはアルキル基が好ましく、中でもメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルがより好ましい。更に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルである。
上記ポリエーテル系重合体が側鎖に架橋性官能基を有する構造単位を有する場合には、セパレーターを使用せずに、電解質膜を形成することが容易になる。
上記ポリエーテル系重合体に、側鎖に架橋性官能基を有する構造単位を導入するための原料単量体としては、エポキシブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロへキセン、1,2−エポキシ−5−シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジル、グリシジル−4−ヘキサノエート、又は、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、4−ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α−テルペニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、4−ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−アリルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールアリルグリシジルエーテル、エチレングリコールビニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールアリルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールビニルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールアリルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールビニルグリシジルエーテル、オリゴエチレングリコールアリルグリシジルエーテル、オリゴエチレングリコールビニルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エポキシブテン、アリルグリシジルエーテルが好ましく、アリルグリシジルエーテルがより好ましい。
ポリエーテル系重合体が側鎖に架橋性官能基を有する構造単位を有する場合、その割合が、10モル%以下であれば、電解質組成物を用いて膜を形成する際に、膜が固くなることをより充分に抑制することができ、イオン伝導性に優れることとなる。
ポリエーテル系重合体における上記その他の構造単位の割合として、より好ましくは0.1〜7モル%、更に好ましくは0.5〜5モル%である。
より好ましくは3万〜20万であり、更に好ましくは5万〜15万である。
上記重量平均分子量は、後述する実施例と同様の方法により測定することができる。
上記イオン解離促進剤は、アルカリ金属塩のイオンへの解離を促進するものであれば特に制限されないが、ヘテロ元素を有する化合物が好ましい。
上記ヘテロ元素を有する化合物としては、スルホニル化合物、ニトリル化合物、カーボネート化合物、カルボン酸無水物、硫酸エステル化合物、チオエーテル化合物、亜硫酸エステル化合物、含窒素環状化合物等が挙げられる。
これらの中でもスルホニル化合物及び/又はニトリル化合物が好ましい。上記イオン解離促進剤がスルホニル化合物及び/又はニトリル化合物を含むことにより、アルカリ金属塩のイオンへの解離がより促進され、組成物のイオン伝導性がより向上する。
イオン解離促進剤としてより好ましくはニトリル化合物である。
スルホニル化合物として好ましくはスルホラン類であり、この中でもスルホランが好ましい。
モノニトリル化合物としては、例えば、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ペンタンニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプタンニトリル、オクタンニトリル、ペラルゴノニトリル、デカンニトリル、ウンデカンニトリル、ドデカンニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3−メチルクロトノニトリル、2−メチル−2−ブテン二トリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−2−ペンテンニトリル、3−メチル−2−ペンテンニトリル及び2−ヘキセンニトリル等が挙げられる。
上記R1としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル等が挙げられる。
ジニトリル化合物として好ましくは、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリルであり、より好ましくはマロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリルである。
チオエーテル化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド等が挙げられる。
亜硫酸エステル化合物としては、例えば、エチレンサルファイト等が挙げられる。
本発明の電解質組成物は、ビス(フルオロスルホニル)イミドのアルカリ金属塩、その他のアルカリ金属塩、重合体、イオン解離促進剤以外のその他の成分を含んでいてもよく、その他の成分としては、例えば、ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素化合物;重合体の製造時に用いられる重合禁止剤、連鎖移動剤、溶媒や未反応の反応原料、反応原料が分解してできる副生成物;等が挙げられる。
[電池用材料]
本発明の電解質組成物は、電解質膜、電極等の各種電池用材料として好適に用いることができる。
このように、本発明の電解質組成物を用いる電池用材料もまた、本発明の1つである。
本発明の電解質組成物は、電池用の電解質膜の材料として好適に用いることができる。
本発明の電解質組成物を含む電解質膜もまた本発明の1つである。
上記電解質膜は、セパレーター(以下、支持体ともいう。)を含んでいてもよい。これにより電解質膜の機械的強度を向上させることができる。
電解質膜がセパレーターを含む形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記織布及び不織布としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等のアラミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂(セルロース系繊維)等;アルミナ繊維、セラミックス繊維、ガラス繊維等からなるものが挙げられる。
上記(微)多孔質膜としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体等のフッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド系樹脂、ポリイミド等からなるものが挙げられる。
上記ガラス成形体としては、例えば、ガラスクロス等が挙げられる。
これらのセパレーターとしては、更に親水性を向上させるために、界面活性剤を付与する方法、発煙硫酸、クロルスルホン酸等の化学薬品によるスルホン化、フッ素化、グラフト化処理等の方法、又は、コロナ放電やプラズマ放電等による方法によって親水化処理したものを用いても良い。
上記セパレーターとしては、セルロース不織布、PET不織布、ガラス不織布、ポリオレフィン不織布、ポリオレフィン微多孔膜及びポリイミド多孔膜からなる群より選択される少なくとも1種からなるものが好ましい。より好ましくはセルロース不織布、ポリオレフィン微多孔膜である。
また、本発明の電解質膜における上記支持体を含めた膜厚(α)と、支持体の膜厚(β)の比率(α/β)が、1.1〜20となるように形成することが好ましい。支持体を含む電解質の膜厚が、支持体のみの厚みと同じ(=電解質成分が支持体中に全て吸収され、電解質成分が表面に出てこない状態)であると、電解質としての性能を充分に発揮できないおそれがある。また、支持体を含む電解質の膜厚が、支持体のみの厚みの20倍を超えると、イオンの伝導距離が長くなり、充分な電池性能が得られない恐れがある。本発明の電解質膜における上記支持体を含めた膜厚(α)と、支持体の膜厚(β)の比率(α/β)は、より好ましくは、1.1〜10であり、更に好ましくは、1.1〜8である。
上記乾燥方法は、特に制限されないが、加熱乾燥及び/又は減圧乾燥を行うことが好ましい。
上記電解質組成物に含まれる重合体が架橋性官能基を有する場合等には、乾燥後、架橋反応を行うことが好ましい。
上記架橋反応は、架橋性官能基の種類等にもよるが、例えば、熱、光等により行うことができる。好ましくは光により重合反応を行うことである。
本発明の電解質組成物は、電池用の電極の材料として好適に用いることができる。
本発明の電解質組成物を含む電極もまた本発明の1つである。本発明の電解質組成物は、正極、負極のいずれに用いてもよい。
本発明は、本発明の電解質組成物を用いて構成される電池でもある。
本発明はまた、本発明の電解質膜及び/又は電極を用いて構成される電池でもある。
本発明の電池は、セパレーターとして、上記本発明の電解質膜を備えていることが好ましい。より詳細には、正極と負極とを備えた二次電池であり、正極と負極との間には電解質膜が設けられ、正極、負極等と共に外装ケースに収容されていることが好ましい。
上記電池としては、二次電池であることがより好ましく、上記電池が、リチウムイオン二次電池である形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
本発明の電解質組成物は、イオン伝導性に優れる。
電解質組成物のイオン伝導性は、アルカリ金属イオンが一方のアルカリ金属から電解質組成物を介してもう一方のアルカリ金属まで伝導する、全過程におけるイオン伝導性を、直流イオン伝導度として求めることができる。
上記直流イオン伝導度は、電解質組成物を2つのアルカリ金属で挟み、直流電流を印加したときの電圧上昇値と電流値から抵抗値を算出することにより評価することができる。
具体的には、電解質組成物を含む測定検体の厚さをT(cm)、アルカリ金属で挟む測定検体の面積をA(cm2)、印加する直流電流をI(A)、印加時間0分からt分後の電圧の差を電圧上昇値ΔE(V)としたときの直流イオン伝導度ΔσDC(S/cm)として、下記式(5);
ΔσDC=T/A/(ΔE/I) (5)
により求めることができる。
GPC装置(東ソー社製、製品名;HLC−8320 GPC、カラム:TSKgel G5000PW、TSKgel G4000PW、TSKgel G3000PW、TSKgel G2500PW(いずれも東ソー製)、溶離液:「アセトニトリル/0.08M酢酸ナトリウム水溶液(体積比:50/50)」の混合液)により、ポリエチレンオキシドの標準分子量サンプルを用いて検量線を作成した。そして、反応後に得られた重合反応液(ポリマーを含む)を所定の溶媒に溶解させて測定し、Mwを求めた。
攪拌機、添加口および温度センサーを備えた1Lオートクレーブ反応器を窒素により置換後、モレキュラーシーブで脱水処理を施したトルエン335.3部と、t−ブトキシカリウム(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)1.61部とを順次投入し、反応器内の圧力がゲージ圧で0.3MPaになるまで窒素で加圧した。
オイルバスで反応器の内温を95℃まで昇温した後、エチレンオキシドの供給を1.12部/分の供給速度で開始し、重合熱による内温上昇および内圧上昇を監視・制御しながら適宜供給速度を調整し、エチレンオキシド223.6部を100℃±5℃で350分かけて連続供給した。供給終了後、さらに100℃±5℃で2時間保持して熟成させた。熟成終了後、減圧脱揮によって反応混合物から溶媒を留去し、Mw11万のポリエチレンオキシド重合体(A)を得た。
電解質塩として、0.8gのリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、LiFSIと記す)(株式会社日本触媒製)と、0.1gの重合体(A)と、0.1gのサクシノニトリル(LBGグレード、キシダ化学株式会社製)をPPバイアル(10mL)に計量し、1.6mLのアセトニトリル(LBGグレード、キシダ化学株式会社製)を混合した後、恒温槽を用いて70℃で30分間加熱溶解させて、所望の溶液(電解質溶液)を得た。作製した電解質溶液を、テフロン(登録商標)シート上に設置したセルロースセパレーター(TF4425、ニッポン高度紙工業株式会社製、厚み25μm)に均一に塗布した後、熱風乾燥機を用いて、40℃で1時間の加熱乾燥後、減圧乾燥機を用いて、絶対圧で真空度−0.1MPa、70℃で2時間の減圧乾燥を行うことで、膜厚55μmの電解質組成物とセパレーターとの複合電解質膜を得た。
配合比を0.6gのLiFSIと、0.2gの重合体(A)と、0.2gのサクシノニトリルと、1.6mLのアセトニトリルとしたこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚50μmの複合電解質膜を得た。
配合比を0.6gのLiFSIと、0.3gの重合体(A)と、0.1gのサクシノニトリルと、1.6mLのアセトニトリルとしたこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚61μmの複合電解質膜を得た。
配合比を0.2gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、LiTFSIと記す)(LBGグレード、キシダ化学株式会社製)と、0.8gの重合体(A)と、1.6mLのアセトニトリルとしたこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚38μmの複合電解質膜を得た。
配合比を0.5gのLiTFSIと、0.25gの重合体(A)と、0.25gのサクシノニトリルと、1.0mLのアセトニトリルとしたこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚61μmの複合電解質膜を得た。
ポテンショガルバノスタット(VSP−300、Biologic製)を用いて定電流印加試験を行った。実施例1〜3及び比較例1、2で作製した膜をφ11mmのポンチで打ち抜き、φ10mmのリチウム箔(0.2mm厚、本城金属株式会社製)2枚で挟んだものを、SUS316L製セパレーター(0.5mm厚、φ15.5mm、宝泉株式会社製)2枚で挟み込んで、測定装置の治具に固定した。
実施例1〜3及び比較例1、2について、温度60℃の環境下、電流値IS=+0.0785mA(0.1mA/cm2)で5分、IS=−0.0785mAで5分の通電処理を実施した。実施例1,2及び比較例1については、同一装置を用いてインピーダンス解析を実施し、Cole−coleプロットから得られたバルク抵抗値をRb(Ω)とした。測定検体の厚さをT(cm)、リチウム箔との接触面積であるφ10mmを測定検体の面積A(cm2)とし、下記式(6)に従いイオン伝導度σ(S/cm)を算出した。
σ=T/A/Rb (6)
ΔσDC=T/A/(ΔE/I) (5)
上記式(5)より得られた結果を、表1及び図1に示した。
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(Umicore製)100部と、導電助剤としてアセチレンブラック(粉状品、電気化学工業株式会社製)3部と、黒鉛粉末(J−SP、日本黒鉛工業株式会社製)3部、及び結着剤としてポリフッ化ビニリデン(#7200、株式会社クレハ製)3部を、N−メチルピロリドン(LBGグレード、キシダ化学株式会社製)に分散させて正極合剤スラリーを得た。正極集電体として、カーボンコートアルミニウム箔(SDX−PM、昭和電工パッケージング株式会社製)を用い、上記正極スラリーを均一に塗工したのち、熱風乾燥機を用いて70℃で30分間の加熱乾燥と、減圧乾燥機を用いて、絶対圧で真空度−0.1MPa、110℃で2時間の減圧乾燥をして溶媒を除去し、正極重量7.6mg/cm2(アルミニウム箔除く)の正極シートを得た。
上記正極シート上に、実施例1で作製した電解質溶液を均一に塗布した後、熱風乾燥機を用いて40℃で30分間の加熱乾燥と、減圧乾燥機を用いて、絶対圧で真空度−0.1MPa、70℃で2時間の減圧乾燥をして溶媒を除去し、組成物を含浸させた複合正極シートを得た。
得られた複合正極シートをφ14mmで打ち抜いたものを電池の正極とし、実施例1で作製した複合電解質膜をφ16mmで打ち抜いたシートを電解質膜とし、φ15mmで打ち抜いた0.5mm厚のリチウム箔を負極として、リチウム箔、電解質膜2枚、正極の順に重ね合わせた。CR2032型コインセル部材(宝泉株式会社製)の正極ケース、負極キャップ、0.5mm厚のSUS製スペーサー、ウェーブワッシャー、ガスケットを用い、自動コインカシメ機(宝泉株式会社製)でかしめることでコイン型リチウムイオン2次電池を作製した。
実施例2で作製した電解質溶液と、実施例2で得られた複合電解質膜を用いた以外は、実施例4と同様にして、コイン型リチウムイオン2次電池を作製した。
比較例1で作製した電解質溶液と、比較例1で得られた複合電解質膜を用いた以外は、実施例4と同様にして、コイン型リチウムイオン2次電池を作製した。
実施例4、5及び比較例3で得られたコイン型リチウムイオン2次電池について、充放電試験装置(ACD−01、アスカ電子株式会社製)を用いて充放電試験を行った。温度60℃の環境下、充電条件C/48(正極容量160mAh/gとした場合に、1時間で満充電される電流値を1Cとする)で4.1Vまで充電したのち、15分間休止し、放電条件C/12で3Vまで放電を行った。次いで、充電条件C/48で4.1Vまで充電した後、15分間休止し、放電条件C/4で3Vまで放電したときの放電曲線と、放電容量を得た。得られた放電曲線を図2に、放電容量と、ΔσDCと、σとの関係を表2に示した。
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