JP6983493B2 - リソソーム活性促進剤 - Google Patents
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Description
例えばシスタス、茶、ナタネ、およびソバの花粉または花粉荷の抽出物にはヒアルロン酸の産生促進効果があることが知られ、抗老化皮膚外用剤に使用できることが知られている(特許文献4)。
本発明者らは、以上の知見に基づいて、本発明を完成させた。
本発明のリソソーム活性促進剤は、リソソームの活性低下に起因する疾患の治療若しくは予防や、リソソームの活性に関連する生体機能の向上に有用である。
このような形態の本発明によれば、上記2種の植物抽出物の相乗効果によって、より優れたリソソーム活性促進効果が得られる。
本発明者らは、以上の知見に基づいて、本発明を完成させた。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤の好ましい形態は、上述のリソソーム活性促進剤に係る発明と同様である。
本発明によれば、ヒアルロン酸の産生量を直接測定せずとも、リソソームの活性を測定することによりヒアルロン酸産生促進作用を有する成分をスクリーニングすることができる。
また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、ヒアルロン酸の産生を促進する効果に優れる。
本発明のリソソーム活性促進剤は、イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物及び/又はカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物からなる。
ジュズダマ属に属する植物の抽出物を得る際の抽出部位は、特に限定されず、全草若しくは葉、茎、根、花、種子から選ばれる1種又は2種以上を用いて、抽出物を得ることができる。このなかでも、特に種子から得られる抽出物が好ましい。
カバノキ属に属する植物の抽出物を得る際の抽出部位は、特に限定されず、植物の葉、樹皮、木部から選ばれる1種又は2種以上を用いて、抽出物を得ることができる。このなかでも、特に樹皮から得られる抽出物が好ましい。
この場合、リソソーム活性促進剤におけるイネ科ジュズダマ属に属する植物とカバノキ科カバノキ属に属する植物の抽出物の乾燥質量比は、好ましくは1000:1〜1:1000、より好ましくは100:1〜1:100、さらに好ましくは20:1〜1:20、さらに好ましくは10:1〜1:10である。
外用剤としては化粧料、医薬部外品、医薬品などが好適に例示でき、本発明の効果を損ねない限度において、通常使用される任意成分を含有することもできる。このような任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、2,4−ヘキサンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
経口剤の形態とする場合においては、許容される任意成分を含有することができる。この様な任意成分としては、食品であれば、塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、酢等の調味成分、着色成分、フレーバー等の矯臭成分、増粘剤、乳化・分散剤、保存料、安定剤、各種ビタミン類等が好適に例示でき、健康増進の目的を有する食品群や医薬品であれば、結晶セルロース、乳糖等の賦形剤、アラビヤガムやヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤、クロスカルメロースナトリウム、デンプン等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、矯味、矯臭剤、着色剤、各種ビタミン類等が好ましく例示できる。これらを常法に従って処理することにより、本発明の経口投与組成物を製造することができる。
また、固形分として前記植物の抽出物を1日あたり10〜1000mgを1回又は数回に分けて飲用する形態とすることが好ましい。
また、高齢者の皮膚においては断片化したコラーゲン量が有意に多いことが知られており、リソソームはこの断片化コラーゲンの分解能を持つことが知られている。ヒアルロン酸については、本来非常に代謝が速い物質であるが、リソソームによる分解機能が加齢によって停滞することで、ヒアルロン酸代謝能が低下する。したがって、リソソームの活性を向上させることにより、加齢によって蓄積した断片化コラーゲンと、加齢によって代謝能の低下したヒアルロン酸の代謝を正常化することができる。
すなわち本発明のリソソーム活性促進剤は、抗老化のために用いることができる。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物及び/又はカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物からなり、その実施の形態は上述のリソソーム活性促進剤に係る発明の実施の形態と同様である。
また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は肌の弾力性、保湿性の向上、抗老化のために用いることができる。
本発明はリソソーム活性を指標とすることを特徴とする、ヒアルロン酸産生促進作用を有する成分のスクリーニング方法にも関する。
リソソームの活性はヒアルロン酸の産生量と正の相関関係にある。したがって、被験試料に細胞を曝露することによってリソソームの活性が向上すれば、当該被験試料はヒアルロン酸の産生向上作用を有するものと判断することができる。
細胞の種類も特に限定されないが、表皮細胞及び線維芽細胞を用いることが好ましい。
実施例で用いるハトムギ抽出物は以下の方法で調製した。すなわち、市販のイネ科ジュズダマ属ハトムギの種皮を除いた種子(ヨクイニン)2Kgを9リットルのメタノ−ル中、2時間加熱還流抽出を2回行い、濾過後、2回分の濾液をあわせたものを、濃縮、乾燥し、ヨクイニンメタノ−ル抽出物を得た。
一方、実施例で用いるシラカバ抽出物は市販品(バーチエキストラクト:丸善製薬製)を用意した。
正常ヒト真皮線維芽細胞を5.0×103cells/wellで96穴プレートに播種し、37℃、5%CO2環境下で細胞が付着するまで培養した。細胞を播種したプレートのそれぞれのウェルに、図1及び表1に示す最終濃度及び組み合わせで植物の抽出物を添加した。コントロールには溶媒のみ添加した。その後、リソソーム染色液(Cell NavigatorTM Lysosome Staining Kit(AAT Bioquest社)と、核染色液(Hoechst)によってそれぞれリソソームと核を蛍光標識し、蛍光強度を測定した。リソソームの蛍光強度をHoechstの蛍光強度(細胞数)で割った値を細胞あたりのリソソーム量とし、コントロールにおけるリソソーム量を1としたときの相対値として算出した。結果を図1及び表1に示す。
また、ハトムギ抽出物とシラカバ抽出物の混合物を培地に添加した培養細胞のリソソームの蛍光強度は、それぞれの抽出物を単独で培地に添加した場合と比較して有意に高い(図1及び表1)。2種の抽出物の混合物の培地における最終濃度は、それぞれの抽出物を単独で培地に添加したときと比較して低いことを考慮すると、この結果は、ハトムギ抽出物とシラカバ抽出物がリソソーム活性の促進作用において相乗効果を示すということを表している。
正常ヒト表皮角化細胞及び正常ヒト真皮線維芽細胞を用いて、図2、3及び表2、3に示す最終濃度及び組み合わせにおける、抽出物によるリソソームの活性促進効果を試験例1と同様の方法により測定した。結果を図2、3及び表2、3に示す。
正常ヒト表皮角化細胞及び正常ヒト真皮線維芽細胞を5×104cells/wellで24穴プレートに播種し、37℃、5%CO2環境下で細胞が付着するまで培養した。細胞を播種したプレートのそれぞれのウェルに図4、5及び表4、5に示す最終濃度及び組み合わせで植物の抽出物を添加した。コントロールには培地のみ添加した。37℃、5%CO2環境下で一晩培養した後、RLT Buffer(RNeasy Mini Kit、QIAGEN社)を350μlずつ添加し培養細胞を回収し、RNeasy Mini Kitを用いてRNAを抽出した。抽出したRNAをSuperScript VILO cDNA Synthesis Kitを用いて逆転写してcDNAを合成し、QuantiFast SYBR Green PCR Kit を用いてリアルタイムqPCRにより、表皮細胞、線維芽細胞におけるヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現量を解析した。コントロールにおけるヒアルロン酸合成酵素の発現量を1としたときの相対値を算出した。結果を表4、5及び図4、5に示す。
また、抽出物を培地に添加してから一晩培養後におけるヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現量の結果を見ると、それぞれの抽出物を単独で培地に加えたときのコントロールに対する発現量はシラカバ抽出物が一番高く、次いでゲンチアナ抽出物が高いが、これらの混合物を培地に加えたときの上昇率よりも、ハトムギ抽出物とシラカバ抽出物の混合物を培地に加えたときの上昇率の方が顕著に高い。この結果は、ハトムギ抽出物とシラカバ抽出物は、ヒアルロン酸産生能の向上作用において顕著な相乗効果を示すということを表している。
正常ヒト表皮角化細胞及び正常ヒト真皮線維芽細胞を5×104cells/wellで24穴プレートに播種し、37℃、5%CO2環境下で細胞が付着するまで培養した。細胞を播種したプレートのそれぞれのウェルにリソソーム活性阻害剤であるLeupeptin, Pepstatinの混合物を培地における最終濃度が100uMとなるように添加した。コントロールには培地のみ添加した。37℃、5%CO2環境下で24時間培養した後、試験例3と同様の方法により、表皮細胞、線維芽細胞におけるヒアルロン酸の産生量を解析した。コントロールにおけるヒアルロン酸の産生量を1としたときのヒアルロン酸の産生量を算出した。結果を表6、7及び図6、7に示す。
Claims (3)
- イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)ハトムギ(Coix lacryma−jobi var. ma−yuen)の種皮を除いた種子の抽出物及びカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)シラカバ(Betula platyphylla)の樹皮の抽出物の混合物からなる、リソソーム活性促進剤。
- ヒアルロン酸の産生促進のために用いられることを特徴とする、請求項1に記載のリソソーム活性促進剤。
- 外用剤又は経口剤である、請求項1又は2に記載のリソソーム活性促進剤。
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