本発明の一態様に係る騒音マスキング装置は、車両内の騒音の周波数を示す周波数情報と、前記騒音の特性に関連する車両情報と、を取得する取得部と、前記車両内の騒音をマスクするマスカー音を出力するためのマスカー信号を生成する信号源と、前記取得部が取得した前記周波数情報に応じて前記マスカー信号をピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成するピッチシフト部と、前記ピッチシフトマスカー信号に、前記取得部が取得した前記車両情報に応じた調整を行い、調整マスカー信号を生成する調整部と、前記調整マスカー信号をマスカー音として出力する出力部とを備える。
これにより、騒音マスキング装置は、信号源が生成したマスカー信号を、取得した周波数情報に応じてピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成し、取得した車両情報に応じた調整を行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
本発明の一態様に係る騒音マスキング装置は、車両内の騒音の周波数と相関のある周波数相関情報と、前記騒音の特性に関連する車両情報と、を取得する取得部と、前記車両内の騒音をマスクするマスカー音を出力するためのマスカー信号を生成する信号源と、前記取得部が取得した前記周波数相関情報に応じて前記マスカー信号をピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成するピッチシフト部と、前記ピッチシフトマスカー信号に、前記取得部が取得した前記車両情報に応じた調整を行い、調整マスカー信号を生成する調整部と、前記調整マスカー信号をマスカー音として出力する出力部とを備える。
これにより、騒音マスキング装置は、信号源が生成したマスカー信号を、取得した周波数相関情報に応じてピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成し、取得した車両情報に応じた調整を行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
本発明の一態様に係る騒音マスキング装置は、車両内の騒音の周波数を示す周波数情報と、前記騒音の特性に関連する車両情報と、を取得する取得部と、前記車両内の騒音をマスクするマスカー音を出力するためのマスカー信号を生成する信号源と、前記取得部が取得した前記周波数情報に応じて前記マスカー信号をピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成するピッチシフト部と、前記取得部が取得した前記車両情報の時間変動値を算出し、前記ピッチシフトマスカー信号に前記時間変動値に応じた調整を行い、調整マスカー信号を生成する調整部と、前記調整マスカー信号をマスカー音として出力する出力部とを備える。
これにより、騒音マスキング装置は、信号源が生成したマスカー信号を、取得した周波数情報に応じてピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成し、取得した車両情報の時間変動値に応じた調整を行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
本発明の一態様に係る騒音マスキング装置は、車両内の騒音の周波数と相関のある周波数相関情報と、前記騒音の特性に関連する車両情報と、を取得する取得部と、前記車両内の前記騒音をマスクするマスカー音を出力するためのマスカー信号を生成する信号源と、前記取得部が取得した前記周波数相関情報に応じて前記マスカー信号をピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成するピッチシフト部と、前記取得部が取得した前記車両情報の時間変動値を算出し、前記ピッチシフトマスカー信号に前記時間変動値に応じた調整を行い、調整マスカー信号を生成する調整部と、前記調整マスカー信号をマスカー音として出力する出力部とを備える。
これにより、騒音マスキング装置は、信号源が生成したマスカー信号を、取得した周波数相関情報に応じてピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成し、取得した車両情報の時間変動値に応じた調整を行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
本発明の一態様に係る騒音マスキング装置は、車両内の騒音の周波数を示す周波数情報と、前記騒音の特性に関連する車両情報とを取得する取得部と、前記車両内の前記騒音をマスクするマスカー音を出力するためのマスカー信号を生成する信号源と、前記取得部が取得した前記周波数情報に応じて前記マスカー信号をピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成するピッチシフト部と、前記ピッチシフトマスカー信号に、前記車両情報に応じた調整を行う第1調整と、前記取得部が取得した前記車両情報の時間変動値を算出し、前記ピッチシフトマスカー信号に、前記時間変動値に応じた調整を行う第2調整との少なくとも一方を行い、調整マスカー信号を生成する調整部と、前記調整マスカー信号をマスカー音として出力する出力部とを備える。
これにより、騒音マスキング装置は、信号源が生成したマスカー信号を、取得した周波数情報に応じてピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成し、取得した車両情報及び/または車両情報の時間変動値に応じた調整を行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
本発明の一態様に係る騒音マスキング装置は、車両内の騒音の周波数と相関のある周波数相関情報と、前記騒音の特性に関連する車両情報とを取得する取得部と、前記車両内の前記騒音をマスクするマスカー音を出力するためのマスカー信号を生成する信号源と、前記取得部が取得した前記周波数相関情報に応じて前記マスカー信号をピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成するピッチシフト部と、前記ピッチシフトマスカー信号に、前記騒音の特性に関連する車両情報に応じた調整を行う第1調整と、前記取得部が取得した前記車両情報の時間変動値を算出し、前記時間変動値に応じた調整を行う第2調整との少なくとも一方を行い、調整マスカー信号を生成する調整部と、前記調整マスカー信号をマスカー音として出力する出力部とを備える。
これにより、騒音マスキング装置は、信号源が生成したマスカー信号を、取得した周波数相関情報に応じてピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成し、取得した車両情報及び/または車両情報の時間変動値に応じた調整を行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記車両は、前記車両を駆動させるモータを備え、前記調整部は、前記ピッチシフトマスカー信号に、前記取得部により取得された前記車両情報に含まれる前記モータの情報に応じた調整を行ってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得した車両のモータの情報に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記車両は、前記車両を駆動させるエンジンを備え、前記調整部は、前記ピッチシフトマスカー信号に、前記取得部により取得された前記車両情報に含まれる前記エンジンの情報に応じた調整を行ってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得した車両のエンジンの情報に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記車両は、前記車両を駆動させるエンジンとモータとを備え、前記調整部は、前記ピッチシフトマスカー信号に、前記取得部により取得された前記車両情報に含まれる前記エンジンの情報、及び/または、前記モータの情報に応じた調整を行ってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得した車両のエンジンの情報及び/またはモータの情報に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記モータの情報は、モータ回転数であってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得したモータの回転数に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記モータの情報は、モータ電流値であってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得したモータの電流値に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記エンジンの情報は、エンジン回転数であってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得したエンジン回転数に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記エンジンの情報は、エンジン負荷量であってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得したエンジン負荷量に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記車両情報は、車速であってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得した車速に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記車両情報は、アクセルペダル開度であってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得したアクセルペダル開度に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記車両情報は、ブレーキ油圧であってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得したブレーキ油圧に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記車両情報は、ドライブシャフト回転数であってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得したドライブシャフト回転数に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記車両情報は、トルクであってもよい。
これにより、騒音マスキング装置は、取得したトルクに応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記調整部は、前記騒音の特性に関連する車両情報及び/または前記車両情報の時間変動値に応じて前記調整マスカー信号の音量レベルが変更されるように、ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
これによれば、騒音マスキング装置は、所定の周波数帯の騒音が発生しやすい、車両情報及び/または車両情報の時間変動値に応じて、調整マスカー信号の音量レベルが当該騒音をマスクできる所定のレベルより大きくなるように、ピッチシフトマスカー信号を調整する。よって、騒音マスキング装置は、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、例えば、前記調整部は、前記騒音の特性に関連する車両情報及び/または前記車両情報の時間変動値に応じて前記調整マスカー信号の音量レベルが遷移時間をかけて変更されるように、前記ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
これにより、マスカー信号が連続して繰り返し使用されることにより生じるマスカー音の境界が乗員に知覚されにくくなる。また、マスカー信号の音量レベルの調整時に、急激なレベル変化に伴う聴覚上の違和感が軽減されるといった効果も有する。
また、例えば、前記調整部は、前記取得部が取得した前記車両情報に含まれる車速がゼロである場合、前記車速以外の前記車両情報及び/または前記車両情報の時間変動値の大きさに関わらず、前記マスカー信号の音量レベルがゼロ、もしくは聴感上違和感のない微小なレベルになるように前記ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
これによれば、騒音マスキング装置は、所定の周波数帯の騒音があまり発生しない、車速がゼロ場合に、調整マスカー信号の音量レベルが0になるようにピッチシフトマスカー信号を調整する。よって、騒音マスキング装置は、所定の周波数帯の騒音があまり発生しないタイミングでマスカー信号の音量レベルをゼロにすることができる。このため、騒音マスキング装置は、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
また、例えば、さらに、複数の車両情報のそれぞれの値、及び/または、複数の、車両情報の時間変動値のぞれぞれの値と、複数の音量レベルとが対応付けられているテーブルを記憶している記憶部を備え、前記調整部は、前記取得部が取得した前記車両情報、及び/または、当該車両情報から算出される前記時間変動値が、前記記憶部に記憶されている前記テーブルにおいて対応付けられている音量レベルを読み出して、前記調整マスカー信号の音量レベルが読み出した前記音量レベルになるように前記ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
これにより、発生する騒音レベルに対して適切な音量レベルのマスカー音を出力させることができる。
また、例えば、前記調整部は、前記テーブルに対応がない車両情報及び/または前記時間変動値が得られた場合、前記テーブルで対応づけられている、前記複数の車両情報、及び/または、複数の前記時間変動値と、前記複数の音量レベルとから、前記テーブルに対応がない車両情報及び/または前記時間変動値に対応する補間レベルを算出し、前記調整マスカー信号の音量レベルが算出した前記補間レベルになるように前記ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
これにより、発生する騒音レベルに対してより適切な音量レベルのマスカー音を出力させることができる。
また、例えば、前記取得部は、さらに、前記車両が備える空調機器がON状態かOFF状態かを示す空調機器ON/OFF情報を取得し、前記調整部は、前記取得部により取得された前記空調機器ON/OFF情報がON状態を示す場合、前記調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるように前記ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
これにより、空調機器からの送風が行われており、騒音マスキング装置がマスカー音を出力しなくても乗員には対象騒音が聞こえにくくなる状況下では、マスカー音の音量レベルを低減することができる。このため、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
また、例えば、前記取得部は、さらに、前記車両が備える空調機器の風量を示す風量情報を取得し、前記調整部は、前記取得部により取得された前記風量情報が所定の風量以上の風量を示す場合、前記調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるように前記ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
これにより、空調機器からの送風が行われており、騒音マスキング装置がマスカー音を出力しなくても乗員には対象騒音が聞こえにくくなる状況下では、マスカー音の音量レベルを低減することができる。このため、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
また、例えば、前記取得部は、さらに、前記車両が備えるオーディオ装置により音が再生中であるか否かを示す再生状態情報を取得し、前記調整部は、前記取得部により取得された前記再生状態情報に基づいて音が再生中であるか否かを判定し、音が再生中である場合、前記調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるように前記ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
これにより、オーディオ装置により音楽などの音の再生が行われており、騒音マスキング装置がマスカー音を出力しなくても乗員には対象騒音が聞こえにくくなる状況下では、マスカー音の音量レベルを低減することができる。このため、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
また、例えば、前記取得部は、さらに、前記車両が備えるオーディオ装置の音量情報を取得し、前記調整部は、前記取得部により取得された前記音量情報が所定の音量以上であるか否かを判定し、前記音量が前記所定の音量以上である場合、前記調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるように前記ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
これにより、オーディオ装置により音楽などの音の再生が行われており、騒音マスキング装置がマスカー音を出力しなくても乗員には対象騒音が聞こえにくくなる状況下では、マスカー音の音量レベルを低減することができる。このため、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
また、例えば、前記取得部は、さらに、前記車両が備える窓の開閉状態を示す開閉状態情報を取得し、前記調整部は、前記取得部により取得された前記開閉状態情報が開状態を示す場合、前記調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるように前記ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
これにより、車両の窓が開いた状態であり、騒音マスキング装置がマスカー音を出力しなくても乗員には対象騒音が聞こえにくくなる状況下では、マスカー音の音量レベルを低減することができる。このため、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
また、例えば、前記騒音の周波数と相関のある周波数相関情報は、前記車両の車速の実数倍であってもよい。
これにより、車両の走行速度に応じてマスカー信号の周波数を決定できる。
また、例えば、前記騒音の周波数と相関のある周波数相関情報は、前記車両が備えるモータのモータ回転数の実数倍であってもよい。
これにより、車両のモータの回転数に応じてマスカー信号の周波数を決定できる。
また、例えば、前記騒音の周波数と相関のある周波数相関情報は、前記車両が備えるエンジンのエンジン回転数の実数倍であってもよい。
これにより、車両のエンジンの回転数に応じてマスカー信号の周波数を決定できる。
また、本発明の一態様に係る車両は、上記の騒音マスキング装置と、出力された前記調整マスカー信号に応じて前記マスカー音を再生するスピーカとを備える。
このような車両において、騒音マスキング装置は、信号源が生成したマスカー信号を、取得した周波数情報または周波数相関情報に応じてピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成し、取得した車両情報及び/または車両情報の時間変動値に応じた調整を行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、本発明の一態様に係る騒音マスキング方法は、車両内の騒音の周波数を示す周波数情報、または、前記騒音の特性に関連する車両情報を取得し、前記車両内における前記騒音をマスクするマスカー音を出力するためのマスカー信号を出力し、取得した前記周波数情報または前記車両情報に応じて前記マスカー信号をピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成し、前記ピッチシフトマスカー信号に、前記取得した前記騒音の特性に関連する車両情報に応じた調整を行い、調整マスカー信号を生成し、前記調整マスカー信号をマスカー音として出力する。
このような騒音マスキング方法は、信号源が生成したマスカー信号を、取得した周波数情報に応じてピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成し、取得した車両情報に応じた調整を行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
(実施の形態)
[騒音マスキング装置を備える車両の全体構成]
実施の形態では、車両に搭載される騒音マスキング装置について説明する。図1は、実施の形態に係る騒音マスキング装置を備える車両の模式図である。
車両50は、移動体装置の一例であって、騒音マスキング装置10と、回転体51と、車両制御部52と、第1スピーカ53aと、第2スピーカ53bと、第3スピーカ53cと、オーディオ装置54と、車両本体55と、空調機器57と、窓58とを備える。車両50は、具体的には、自動車であるが、特に限定されない。
回転体51は、車輪の駆動などを目的として車両50内に配置される構造体である。回転体51は、空間56の騒音源となる。回転体51は、例えば、空間56とは別の空間内に配置される。回転体51は、具体的には、車両本体55のボンネット内に形成された空間に設置される。回転体51は、例えば、エンジン、モータ、ドライブシャフト、またはターボチャージャー(タービン)など、車輪の駆動に用いられる回転体である。また、回転体51は、車両50が有するエアコンに用いられるモータなど、車輪の駆動以外に用いられる回転体であってもよい。
特に、回転体51は、車両50の走行において、車両50を加速させる動力を発生させる、または、車両50を減速したときに生じる回生エネルギーを取得するモータである。このようなモータには、モータの電磁強制力による、数百Hz〜数kHzの周波数帯域のモータ電磁騒音が発生しやすい。車両50は、例えば、回転体51として、モータを備える、ハイブリッド車、EV車などである。
車両制御部52は、車両50の運転手の操作等に基づいて、回転体51を制御(駆動)する。車両制御部52は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)であり、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータまたは専用回路などによって実現される。車両制御部52は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、及び専用回路のうちの2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。
また、車両制御部52は、回転体51の回転数に応じたパルス信号を出力する。パルス信号は、回転体51の回転によって生じる騒音(以下、対象騒音とも記載する)の周波数を示す情報の一例である。パルス信号は、言い換えれば、車両50内の騒音の周波数と相関のある周波数相関情報である。パルス信号の周波数は、例えば、回転体51の回転数(周波数)に比例する。なお、対象騒音の周波数を示す情報は、対象騒音の周波数を直接または間接に示す情報であればよく、パルス信号に限定されない。また、対象騒音の周波数を示す情報は、例えば、CAN(Controller Area Network)またはEthernet(登録商標)等の車載ネットワークを通じて出力されてもよい。対象騒音の周波数は、例えば、200Hz以上である。対象騒音の周波数は、例えば、対象騒音を回転体51がモータである場合に発生するモータ電磁騒音とした場合の、300Hz〜3kHzとしてもよい。
第1スピーカ53aは、騒音マスキング装置10から出力されたマスカー信号に応じてマスカー音を出力する。マスカー音は、車両50内の対象騒音をマスクする音であり、乗員には騒音のように認識される音である。第1スピーカ53aは、例えば、車両50内の助手席側の壁(ドア)に配置され、助手席近傍の第1所定位置56aにおける対象騒音をマスクするためのマスカー音を出力する。第1所定位置56aは、例えば、車両50内において乗員が着座する位置である。
第2スピーカ53bは、騒音マスキング装置10から出力されたマスカー信号に応じてマスカー音を出力する。第2スピーカ53bは、例えば、車両50内の運転席側の壁(ドア)に配置され、運転席近傍の第2所定位置56bにおける対象騒音をマスクするためのマスカー音を出力する。第2所定位置56bは、例えば、車両50内において乗員(運転手)が着座する位置である。
第3スピーカ53cは、車両50内に配置され、オーディオ装置54から出力されるオーディオ信号に応じて音を出力する。第3スピーカ53cから出力される音は、マスカー音とは異なり、例えば、乗員に音楽等として認識される音である。
なお、図1では、説明を容易にするために車両50内の前席の位置において対象騒音をマスクするためのスピーカの配置が示されている。実際には、前席の位置だけでなく後席の位置においても対象騒音をマスクすることが想定される。この場合、後席側にもスピーカが配置される。
オーディオ装置54は、いわゆるカーオーディオであって、車両50の乗員が車両50内で音楽を受聴するための装置である。オーディオ装置54は、例えば、記録ディスクまたは半導体メモリなどに記録された音(音楽等)を第3スピーカ53cによって再生することができる。
車両本体55は、車両50のシャーシ及びボディなどによって構成される構造体である。車両本体55は、第1スピーカ53a、第2スピーカ53b、及び、第3スピーカ53c、が配置される車両50内の空間56(車室内空間)を形成する。
空調機器57は、車両50内の空間56を空調する装置である。空調機器57は、例えば、冷房運転、暖房運転、または送風運転により空間56を空調する。
窓58は、車両50の側面に設けられ、開閉可能なサイドウインドウである。窓58は、開状態にされることにより、車両50内の空間56と、外部の空間とが連通された状態となる。
[騒音マスキング装置の構成及び基本動作]
次に、騒音マスキング装置10の構成及び基本動作について図1に加えて図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、騒音マスキング装置10の機能ブロック図である。図3は、騒音マスキング装置10の基本動作のフローチャートである。
騒音マスキング装置10は、回転体51の回転数に応じた周波数においてピークを有する対象騒音を乗員に聞こえにくくする装置である。騒音マスキング装置10は、具体的には、第1スピーカ53a及び第2スピーカ53bのそれぞれからマスカー音を出力する。
これにより、対象騒音は、ピークレベルが維持されたままマスカー音によってマスクされる。これにより、対象騒音が乗員に聞こえにくくなるため、騒音マスキング装置10は、乗員が感じる不快感を低減することができる。なお、騒音をマスクすることと、騒音を当該騒音と逆位相の音によって打ち消す(低減する)こととは異なる。
図2に示されるように、騒音マスキング装置10は、取得部11と、信号源12と、信号処理部13と、記憶部14とを備える。以下、各構成要素について、引き続き図1〜図3を参照しながら説明する。
[取得部]
まず、取得部11は、車両50内の騒音の周波数を示す周波数情報を取得する(S11)。取得部11は、具体的には、上記周波数情報として、回転体51の回転数に応じたパルス信号を車両制御部52から取得する。取得部11は、例えば、車両制御部52とCANの規格に準拠した通信によってパルス信号を車両制御部52から取得する通信モジュール(通信回路)であるが、他の通信規格に準拠した通信モジュールであってもよく、特に限定されない。
また、取得部11は、車両50の騒音の特性に関連する車両情報を取得する(S12)。取得部11は、上記車両情報を車両制御部52から取得する。車両情報は、具体的には、モータの情報およびエンジンの情報の少なくとも1つを含む。モータの情報は、例えば、モータ回転数、モータに流れる電流の電流値(つまり、モータ電流値)などである。エンジンの情報は、例えば、エンジン回転数、エンジンのエンジン負荷量などである。また、車両情報は、車両50の走行速度(つまり車速)、車両50のブレーキ油圧、車両50のアクセルペダル開度、ドライブシャフト回転数、およびトルクの少なくとも1つを含んでいてもよい。車両情報は、例えば、連続的な数値により示される指標値であってもよいし、相関を有する他の指標との波形によって示されていてもよい。
[信号源]
信号源12は、車両50内の騒音をマスクするマスカー音を出力するためのマスカー信号を生成する(S13)。信号源12は、例えば、記憶部14に記憶されたノイズ信号(ノイズ信号のデータ)を読み出し、読み出したノイズ信号にフィルタ処理を行うことによってマスカー信号を生成する。ノイズ信号は、例えば、ホワイトノイズであるが、ピンクノイズ等の他のランダムノイズでも良いし、またランダムノイズ等に特に限定されない。例えば、ノイズ信号は、予めマイク等を用いて取得した車両50内のバックグラウンド騒音を示す信号(バックグラウンド騒音に対応する音声信号)であってもよい。
以下、マスカー信号を生成方法について、図4を参照しながら説明する。図4は、マスカー信号の生成方法を説明するための図である。図4には、ホワイトノイズの周波数特性と、ホワイトノイズに対して行われるフィルタ処理のフィルタ特性とが図示されている。
信号源12は、例えば、ホワイトノイズに対して、バンドパスフィルタを用いたフィルタ処理を行うことによってマスカー信号を生成する。上記バンドパスフィルタによれば、図4に示されるフィルタ特性のうち、高域側遷移特性及び低域側遷移特性がホワイトノイズに与えられる。
なお、信号源12は、上記のバンドパスフィルタに代えて、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタの組み合わせによって高域側遷移特性及び低域側遷移特性をホワイトノイズに与えることもできる。信号源12は、具体的には、図4に示される高域側カットオフ周波数fch及び高域側遷移特性を有するローパスフィルタと、低域側カットオフ周波数fcl及び低域側遷移特性とを有するハイパスフィルタの組み合わせたフィルタ処理をホワイトノイズに対して行ってもよい。
ところで、マスカー音が聞こえることにより生じる違和感は、上記バンドパスフィルタにおける通過帯域のゲインの傾きが、車両50内のバックグラウンド騒音のゲインの傾きに近いと少なくなる。そこで、図4に示されるフィルタ特性においては、バンドパスフィルタの通過帯域にゲインの傾きが与えられている。言い換えれば、フィルタ処理は、バンドパスフィルタの通過帯域において周波数の増加に対してゲインが減衰する特性をノイズ信号に与える。
信号源12は、例えば、バンドパスフィルタをホワイトノイズに適用する前に、所望の減衰量の遷移特性を持つローパスフィルタをホワイトノイズに適用することによって、フィルタ特性のバンドパスフィルタの通過帯域に対応する帯域にゲインの傾きを与えることができる。なお、信号源12は、その他の方法によって通過帯域に対応する帯域にゲインの傾きを与えてもよい。
ゲインの傾きがゼロのホワイトノイズがノイズ信号である場合、通過帯域のゲインの傾きは、−3dB/oct以上−20dB/oct以下の範囲に調整されればよいが、−6dB/oct以上−12dB/oct以下の範囲に調整されればなおよい。ピンクノイズ等のゲインの減衰特性を有するランダムノイズがノイズ信号である場合、ランダムノイズの減衰特性を考慮した特性を有するローパスフィルタが適用されれば、ホワイトノイズがノイズ信号である場合と同様の特性を得ることができる。
なお、一般的には、マスカー信号においてマスカー信号の帯域をそれ以上拡げてもマスキング効果の増加が見込めなくなる帯域幅が臨界帯域として定義されている。しかしながら、臨界帯域幅にマスカー信号が帯域制限されると、マスカー音自体が目立つ場合がある。このような場合、対象騒音がマスキングされても結果的に不快感の低減につながらない。
ここで、発明者らの知見によれば、バックグラウンド騒音のエネルギー分布に対応して、上記バンドパスフィルタの通過帯域を中心周波数に対して非対称にすることによって、マスカー音の聞こえの違和感をより少なくすることができる。具体的には、中心周波数をf(Hz)とした場合、低域側カットオフ周波数fclは、f×2^(−2)Hz以上f×2^(−1/3)Hz以下の間であり、かつ、高域側カットオフ周波数fchは、f×2^(1/3)Hz以上f×2Hzの間であればよい。
信号源12は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサによって実現されるが、マイクロコンピュータまたは専用回路によって実現されてもよいし、プロセッサ、マイクロコンピュータ、及び専用回路のうちの2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。信号源12は、信号処理部13の一部として実現されてもよい。
ノイズ信号のデータが記憶される記憶部14は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。なお、記憶部14には、ノイズ信号のデータの他に、例えば、信号源のフィルタ処理に用いられるフィルタ係数、及び、信号処理部13によって実行される制御プログラム等も記憶される。
[信号処理部:ピッチシフト部]
次に、信号処理部13は、信号源12によって出力されたマスカー信号に信号処理を行い、信号処理を行った後の調整マスカー信号を第1スピーカ53a及び第2スピーカ53bのそれぞれに出力する(S14〜S17)。信号処理部13は、具体的には、ピッチシフト部15と、調整部17と、出力部18とを備える。なお、信号処理部13は、さらに、第1補正部16aおよび第2補正部16bを備えていてもよい。信号処理部13は、例えば、DSP等のプロセッサによって実現されるが、マイクロコンピュータまたは専用回路によって実現されてもよいし、プロセッサ、マイクロコンピュータ、及び専用回路のうちの2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。
まず、ピッチシフト部15は、取得部11が取得した周波数情報に応じてマスカー信号をピッチシフトすることによりピッチシフトマスカー信号を生成する(S14)。図5及び図6は、ピッチシフト部15によるピッチシフトを説明するための図である。図5及び図6のそれぞれにおいては、車両50内の騒音の周波数特性(実線)と、マスカー信号(マスカー音)の模式的な周波数特性(破線)とが図示されている。
信号源12によって生成されたマスカー信号が図5の破線に示されるような周波数特性を有する場合、ピッチシフト部15は、マスカー信号の信号波形上の所定点における周波数(中心周波数f)が対象騒音の周波数に一致するように、マスカー信号をピッチシフトする。ピッチシフト部15は、例えば、マスカー信号の中心周波数fが、対象騒音の周波数として、車両50の車速の実数倍の周波数に一致するように、マスカー信号をピッチシフトしてもよい。ピッチシフト部15は、例えば、マスカー信号の中心周波数fが、対象騒音の周波数として、車両50のモータのモータ回転数の実数倍の周波数に一致するように、マスカー信号をピッチシフトしてもよい。ピッチシフト部15は、例えば、マスカー信号の中心周波数fが、対象騒音の周波数として、車両50のエンジンのエンジン回転数の実数倍の周波数に一致するように、マスカー信号をピッチシフトしてもよい。ピッチシフト部15は、回転体51の回転数の実数倍の周波数に一致するようにピッチシフトしてもよい。この結果、マスカー信号の周波数特性は、図6の破線に示されるような特性に変更される。ピッチシフトされた後のピッチシフトマスカー信号は、第1補正部16a及び第2補正部16bのそれぞれに出力される。
[信号処理部:補正部]
続いて、第1補正部16a及び第2補正部16bのそれぞれは、ピッチシフトマスカー信号を補正する(S15)。
第1補正部16aは、ピッチシフト部15によってピッチシフトマスカー信号に、第1所定位置56aに応じた補正を行う。第2補正部16bは、ピッチシフト部15によってピッチシフトマスカー信号に、第2所定位置56bに応じた補正を行う。第1所定位置56aと第2所定位置56bとは異なるため、第2補正部16bは、第1補正部16aが行う補正とは異なる補正を行う。所定位置に応じた補正は、言い換えれば、所定位置においてマスカー音を最適化する補正である。つまり、所定位置に応じた補正は、所定位置において他の位置よりもマスカー音の効果を向上させる補正である。
第1補正部16a及び第2補正部16bは、例えば、所定位置に応じた補正として、ピッチシフトマスカー信号に係数を乗算する。この場合の係数は、言い換えれば、ゲインであり、ピッチシフトマスカー信号の全周波数帯域に対して一律の値となる。
また、第1補正部16a及び第2補正部16bは、所定位置に応じた補正として、ピッチシフトマスカー信号にフィルタ処理を行ってもよい。言い換えれば、第1補正部16a及び第2補正部16bは、ピッチシフトマスカー信号に周波数帯域ごとに異なるゲインを与えてもよい。
また、第1補正部16a及び第2補正部16bは、所定位置に応じた補正として、ピッチシフトマスカー信号に位相を変更する処理を行ってもよい。第1補正部16a及び第2補正部16bは、例えば、APF(All Pass Filter)処理を行うことにより、ピッチシフトマスカー信号の位相を変える。
なお、第1補正部16a及び第2補正部16bは、所定位置に応じた補正として、係数の乗算、フィルタ処理、及び、位相を変更する処理のうち2つ以上を組み合わせてもよい。
[信号処理部:調整部]
続いて、調整部17は、ピッチシフトマスカー信号に、取得部11が取得した車両情報に応じた調整を行うことで調整マスカー信号を生成する(S16)。具体的には、調整部17は、第1補正部16aにおいて補正されたピッチシフトマスカー信号と、第2補正部16bにおいて補正されたピッチシフトマスカー信号とのそれぞれに、車両情報に応じた調整を行う。
また、調整部17は、騒音の特性に関連する車両情報及び/または車両情報の時間変動値に応じて、調整マスカー信号の音量レベルが変更されるように、ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。この場合、調整部17は、調整マスカー信号の音量レベルが遷移時間をかけて変更されるように、ピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
調整部17は、具体的には、以下の図7〜図9に示す調整処理の詳細の第1の例〜第3の例のいずれかを行う。なお、第1の例〜第3の例における、各閾値または所定の遷移時間は、各例において独立している閾値または所定の遷移時間であって、同じ文言でも異なる数値が適用される場合を排除するものではない。
図7は、調整部17による調整処理の詳細の第1の例を示すフローチャートである。
調整部17は、取得部11により取得された、車両情報としてのモータ回転数、モータ電流値、エンジン回転数、エンジン負荷量、車速、ブレーキ油圧、アクセルペダル開度、ドライブシャフト回転数、およびトルクの少なくとも1つが第1の閾値を超えているか否かを判定する(S21)。なお、第1の閾値は、車両情報としてのモータ回転数、モータ電流値、エンジン回転数、エンジン負荷量、車速、ブレーキ油圧、アクセルペダル開度、ドライブシャフト回転数、およびトルクの少なくとも1つのそれぞれに対応して設定されていてもよい。つまり、第1の閾値は、車両情報の種類に応じた異なる値に設定されていてもよい。
そして、調整部17は、上記車両情報が第1の閾値を超えている場合(S21でYes)、調整マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S22)。なお、この場合、調整部17は、調整マスカー信号の音量レベルが所定の遷移時間をかけて所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。つまり、調整部17は、調整マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する場合、調整マスカー信号をフェードインさせるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。これにより、マスカー信号が連続して繰り返し使用されることにより生じるマスカー音の境界が乗員に知覚されにくくなる。また、マスカー音の音量レベルの調整時に、急激なレベル変化に伴う聴覚上の違和感を軽減することができる。
よって、第1の例の調整処理では、モータ回転数、モータ電流値、エンジン回転数、エンジン負荷量、車速、ブレーキ油圧、アクセルペダル開度、ドライブシャフト回転数、およびトルクの少なくとも1つの車両情報の値が、当該車両情報に対応して設定されている第1の閾値を超えている場合に、マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号が調整される。
このように、第1の例における騒音マスキング装置10は、所定の周波数帯の騒音が発生しやすい、車両情報が第1の閾値を超えている場合に、マスカー音の音量レベルが、当該騒音をマスクできる所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する。よって、騒音マスキング装置10は、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
図8は、調整部17による調整処理の詳細の第2の例を示すフローチャートである。
調整部17は、取得部11により取得された車両情報としてのモータ回転数、モータ電流値、エンジン回転数、エンジン負荷量、車速、ブレーキ油圧、アクセルペダル開度、ドライブシャフト回転数、およびトルクの少なくとも1つが第1の閾値以下の値から第1の閾値を超える値に変化したか否かを判定する(S31)。
調整部17は、上記車両情報が第1の閾値以下の値から第1の閾値を超える値に変化した場合(S31でYes)、調整マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S32)。なお、この場合、調整部17は、調整マスカー信号の音量レベルが所定の遷移時間をかけて所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。つまり、調整部17は、調整マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する場合、調整マスカー信号をフェードインさせるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
一方で、調整部17は、上記車両情報が第1の閾値以下の値から第1の閾値を超える値に変化していない場合(S31でNo)、上記車両情報が第1の閾値より大きい第2の閾値を超える値から第2の閾値以下の値に変化したか否かを判定する(S33)。
調整部17は、上記車両情報が第2の閾値を超える値から第2の閾値以下の値に変化した場合(S33でYes)、調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S34)。なお、この場合、調整部17は、調整マスカー信号の音量レベルが所定の遷移時間をかけて小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。つまり、調整部17は、調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する場合、調整マスカー信号をフェードアウトさせるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
このように、第2の例における騒音マスキング装置10は、所定の周波数帯の騒音が発生しやすい、車両情報が第1の閾値を超えている場合に、調整マスカー音の音量レベルが、当該騒音をマスクできる所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する。よって、騒音マスキング装置10は、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。また、騒音マスキング装置10は、所定の周波数帯の騒音があまり発生しない、車両情報が第2の閾値以下になった場合に、調整マスカー音の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する。よって、騒音マスキング装置10は、所定の周波数帯の騒音があまり発生しないタイミングでマスカー音の音量レベルを低下させることができる。このため、騒音マスキング装置10は、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
また、音量を調整するときにフェードインまたはフェードアウトさせることで、マスカー信号が連続して繰り返し使用されることにより生じるマスカー音の境界が乗員に知覚されにくくなる。また、マスカー音の音量レベルの調整時に、急激なレベル変化に伴う聴覚上の違和感を軽減することができる。
図9は、調整部17による調整処理の詳細の第3の例を示すフローチャートである。
調整部17は、取得部11により取得された車両情報としてのモータ回転数、モータ電流値、エンジン回転数、エンジン負荷量、車速、ブレーキ油圧、アクセルペダル開度、ドライブシャフト回転数、およびトルクの少なくとも1つが第2の閾値を超えているか否かを判定する(S41)。
そして、調整部17は、上記車両情報が第2の閾値を超えている場合(S41でYes)、調整マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S42)。なお、この場合、調整部17は、調整マスカー信号の音量レベルが所定の遷移時間をかけて所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。つまり、調整部17は、調整マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する場合、調整マスカー信号をフェードインさせるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
一方で、調整部17は、上記車両情報が第2の閾値以下である場合(S41でNo)、取得部11により取得された車両情報としてのモータ回転数、モータ電流値、エンジン回転数、エンジン負荷量、車速、ブレーキ油圧、アクセルペダル開度、ドライブシャフト回転数、およびトルクの少なくとも1つが第2の閾値より小さい第1の閾値以下になったかを判定する(S43)。
調整部17は、上記車両情報が第1の閾値以下である場合(S43でYes)、調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S44)。なお、この場合、調整部17は、調整マスカー信号の音量レベルが所定の遷移時間をかけて小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。つまり、調整部17は、調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する場合、調整マスカー信号をフェードアウトさせるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。
このように、第3の例における騒音マスキング装置10は、所定の周波数帯の騒音が発生しやすい、車両情報が第2の閾値を超えている場合に、調整マスカー音の音量レベルが、当該騒音をマスクできる所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する。よって、騒音マスキング装置10は、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。また、騒音マスキング装置10は、所定の周波数帯の騒音があまり発生しない、車両情報が第1の閾値以下になった場合に、調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する。よって、騒音マスキング装置10は、所定の周波数帯の騒音があまり発生しないタイミングでマスカー音の音量レベルを低下させることができる。このため、騒音マスキング装置10は、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
また、音量を調整するときにフェードインまたはフェードアウトさせることで、マスカー信号が連続して繰り返し使用されることにより生じるマスカー音の境界が乗員に知覚されにくくなる。また、マスカー音の音量レベルの調整時に、急激なレベル変化に伴う聴覚上の違和感を軽減することができる。
ここで、車両50内の空間56における騒音と、モータの回転数、ブレーキ油圧、アクセルペダル開度、およびトルクとの関係について図10〜図14を用いて説明する。
図10は、車両50内の空間56で計測された騒音の周波数および騒音のレベルの時間的な変化を示す図である。図11は、図10にモータの回転数の時間的な変化を示すグラフを、時間軸を合わせて重畳した図である。図12は、図10にブレーキ油圧の時間的な変化を示すグラフを、時間軸を合わせて重畳した図である。図13は、図10にアクセルペダル開度の時間的な変化を示すグラフを、時間軸を合わせて重畳した図である。図14は、図10にトルクの時間的な変化を示すグラフを、時間軸を合わせて重畳した図である。
なお、図10〜図14で示される、騒音の周波数および騒音のレベルの時間的な変化、モータの回転数の時間的な変化、ブレーキ油圧の時間的な変化、アクセルペダル開度の時間的な変化、および、トルクの時間的な変化は、同一の期間において車両50を走行させたときに計測された計測結果である。
図10によれば、破線または一点鎖線で囲んでいる領域では、200〜1000Hzの高い周波数帯域において比較的高い騒音レベルが計測されていることが分かる。
例えば、図11に示すように、図10にモータの回転数の時間的な変化を示すグラフを重ねると、図10における破線または一点鎖線で囲んだ領域の時間帯と、モータの回転数が増加するまたは減少する時間帯とが一致していることが分かる。つまり、200〜1000Hzの高い周波数帯域の対象騒音は、モータの回転数が増加するまたは減少する時間帯に発生すると言え、車両50が加速しているまたは減速している時間帯に発生すると言える。
また、例えば、図12に示すように、図10にブレーキ油圧の時間的な変化を示すグラフを重ねると、図10における一点鎖線で囲んだ領域の時間帯と、ブレーキ油圧が増加している時間帯とが一致していることが分かる。つまり、200〜1000Hzの高い周波数帯域の対象騒音は、ブレーキ油圧が所定油圧よりも増加している時間帯に発生すると言え、車両50が減速している時間帯に発生すると言える。
また、例えば、図13に示すように、図10にアクセルペダル開度の時間的な変化を示すグラフを重ねると、図10における破線で囲んだ領域の時間帯と、アクセルペダル開度が増加している時間帯とが一致していることが分かる。つまり、200〜1000Hzの高い周波数帯域の対象騒音は、アクセルペダル開度が所定開度よりも増加している時間帯に発生すると言え、車両50が加速している時間帯に発生すると言える。
また、例えば、図14に示すように、図10にトルクの時間的な変化を示すグラフを重ねると、図10における破線で囲んだ領域の時間帯と、トルクが増加している時間帯とが一致していることが分かる。つまり、200〜1000Hzの高い周波数帯域の対象騒音は、トルクが所定トルクよりも増加している時間帯に発生すると言え、車両50が加速している時間帯に発生すると言える。
[信号処理部:出力部]
続いて、出力部18は、調整マスカー信号を出力する(S17)。出力部18は、具体的には、調整マスカー信号であって、第1補正部16aによる補正後のマスカー信号を第1スピーカ53aに出力する。第1スピーカ53aは、マスカー信号に基づいて、第1所定位置56aにおいて聞こえる対象騒音をマスクするマスカー音を出力する。
また、出力部18は、調整マスカー信号であって、第2補正部16bによる補正後のマスカー信号を第2スピーカ53bに出力する。第2スピーカ53bは、マスカー信号に基づいて、第2所定位置56bにおいて聞こえる対象騒音をマスクするマスカー音を出力する。
これにより、対象騒音がマスカー音によってマスクされ、対象騒音が乗員に聞こえにくくなる。つまり、騒音マスキング装置10は、乗員が感じる対象騒音によって感じる不快感を低減することができる。
なお、マスカー音は、例えば、所定期間にわたってスピーカから出力されるが、所定期間よりも長い期間にわたってマスカー音が出力される場合には当該マスカー音に対応するマスカー信号が繰り返し使用される。そこで、マスカー音は、音量がフェードイン及びフェードアウトする特性を有するとよい。これにより、マスカー信号が連続して繰り返し使用されることにより生じるマスカー音の境界が乗員に知覚されにくくなる。
(効果など)
本実施の形態において、課題騒音は、モータ回転数の実数倍の周波数を示しているが、課題騒音が所定の音量レベル以上で発生する場合に、課題騒音が顕著になり課題騒音によるユーザへの不快感へとつながる。一方で、課題騒音は、実際には騒音が常に所定の音量レベル以上で発生し続けることは少なく、音量レベルが所定の音量レベルよりも小さい場合もある。このため、単に、モータの回転数に応じてマスカー音の出力を制御すると、課題騒音の音量レベルが所定の音量レベルよりも小さい場合にもマスカー信号を出力してしまう場合があり、マスカー音を出力することによるユーザの不快感へとつながるおそれがある。
本実施の形態にかかる騒音マスキング装置10は、信号源12が生成したマスカー信号を、取得した周波数情報に応じてピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成し、取得した車両情報に応じた調整を行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。よって、所定の音量レベル以上で発生している騒音を効果的にマスクでき、ユーザの不快感を低減することができる。
また、同様に、騒音マスキング装置10は、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができるため、例えば所定の音量レベル以上で騒音が発生しないタイミングではマスカー音を出力しないことができる。よって、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
また、騒音マスキング装置10は、取得した車両50のモータの情報に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音マスキング装置10は、取得した車両50のエンジンの情報に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音マスキング装置10は、取得した車両50のエンジンの情報及び/またはモータの情報に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音マスキング装置10は、取得した車両50のモータの回転数に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音マスキング装置10は、取得した車両50のモータの電流値に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音マスキング装置10は、取得した車両50のエンジン回転数に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音マスキング装置10は、騒音マスキング装置は、取得した車両50のエンジン負荷量に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音マスキング装置10は、取得した車両50の車速に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音マスキング装置10は、取得した車両50のブレーキ油圧に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音マスキング装置10は、取得した車両50のアクセルペダル開度に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音マスキング装置10は、取得した車両50のドライブシャフト回転数に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音マスキング装置10は、取得した車両50のトルクに応じた調整をピッチシフトマスカー信号に対して行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、騒音の周波数と相関のある周波数相関情報は、車両50の走行速度の実数倍である。これにより、騒音マスキング装置10は、車両50の走行速度に応じてマスカー信号の周波数を決定できる。
また、騒音の周波数と相関のある周波数相関情報は、車両50が備えるモータの回転数の実数倍である。これにより、騒音マスキング装置10は、車両50のモータの回転数に応じてマスカー信号の周波数を決定できる。
また、騒音の周波数と相関のある周波数相関情報は、車両50が備えるエンジンの回転数の実数倍である。これにより、騒音マスキング装置10は、車両50のエンジンの回転数に応じてマスカー信号の周波数を決定できる。
[動作例1]
以下、騒音マスキング装置10の基本動作とは異なる動作例1について説明する。
より高い精度でマスカー信号を補正するために、第1補正部16aは、第1所定位置56aにおけるマスカー音の音量を伝達関数(伝達特性)に基づいて算出する。図15は、車両50内の伝達関数を示す図である。なお、伝達関数は、あらかじめ車両50内の空間56において実測され、記憶部14に記憶される。
図15に示されるように、第1スピーカ53aから第1所定位置56aまでの伝達関数はTF00と表現され、第1スピーカ53aから第2所定位置56bまでの伝達関数は、TF01と表現される。第2スピーカ53bから第1所定位置56aまでの伝達関数は、TF10と表現され、第2スピーカ53bから第2所定位置56bまでの伝達関数は、TF11と表現される。
このとき、第1所定位置56aにおけるマスカー信号x0(マスカー音)は、ピッチシフトマスカー信号をx、第1補正部16aによって行われる補正をA0、第2補正部16bによって行われる補正をA1とすると、以下の式1で表現される。同様に、第2所定位置56bにおけるマスカー信号x1(マスカー音)は、以下の式2で表現される。
x0=(x*A0)*TF00+(x*A1)*TF10・・(式1)
x1=(x*A0)*TF01+(x*A1)*TF11・・(式2)
第1補正部16aは、上記式1のような演算によって第1所定位置56aにおけるマスカー音のレベルを特定することができ、そこで、第1補正部16aは、第1所定位置56aに応じた補正として、第1所定位置56aにおいてマスカー音が対象騒音よりも所定レベル以上大きくなるような補正を、ピッチシフトマスカー信号に対して行ってもよい。第1補正部16aは、具体的には、ピッチシフトマスカー信号の、対象騒音と同じ周波数成分の信号レベルが、対象騒音の信号レベルよりも所定レベル以上大きくなるような補正を行う。
同様に、第2補正部16bは、上記式2のような演算によって第2所定位置56bにおけるマスカー音のレベルを特定することができ、そこで、第2補正部16bは、第2所定位置56bに応じた補正として、第2所定位置56bにおいてマスカー音が対象騒音よりも所定レベル以上大きくなるような補正を、ピッチシフトマスカー信号に対して行ってもよい。
以上のような補正により、騒音マスキング装置10は、マスカー音が音量不足になることを抑制することができ、また、対象騒音を効果的にマスクすることができる。
なお、マスカー音が大きすぎるような場合、第1補正部16aは、第1所定位置56aに応じた補正として、第1所定位置56aにおいてマスカー音が対象騒音よりも所定レベル以上小さくなるような補正を、ピッチシフトマスカー信号に対して行ってもよい。つまり、第1補正部16aは、所定位置においてマスカー音の大きさ及び対象騒音の大きさが所定レベル以上の差になるような補正を行ってもよい。第2補正部16bについても同様である。
[動作例2]
以下、騒音マスキング装置10の動作例2について説明する。上述のように、対象騒音は、回転体51の回転に起因して生じるが、回転体51が車輪の駆動に用いられるような場合、対象騒音は、車両50の走行状態に応じて変化する。そこで、調整部17は、ピッチシフトマスカー信号に対して行う調整の内容を走行状態が変わるごとに動的に変更してもよい。図16は、このような動作例2のフローチャートである。
動作例2においては、取得部11は、車両制御部52から車両50の走行状態を示す(車両50の走行に応じて変化する)車両情報を取得し、信号処理部13(調整部17)に出力する(S51)。車両情報は、基本動作において説明した車両情報と同様である。
調整部17は、取得された車両情報に応じて、ピッチシフトマスカー信号に対して行う調整の内容を変更する(S52)。例えば、調整部17が係数(ゲイン)を乗算する調整を行う場合、調整部17は、取得された車両情報に基づいて定まる走行状態が対象騒音の音量が大きくなる走行状態であるほど、ピッチシフトマスカー信号に乗算するゲインを大きくする。これにより、マスカー音が音量不足になることを抑制できる。
以上説明したように、調整部17は、車両50の走行状態を示す車両情報に応じてピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。これにより、騒音マスキング装置10は、車両50の走行状態を考慮したマスカー音を出力することができる。
[動作例3]
以下、騒音マスキング装置10の動作例3について説明する。車両50内の空間56においては、オーディオ装置54及び第3スピーカ53cによって音楽等が再生されている場合がある。このような場合にマスカー音が出力されると、マスカー音自体は乗員にとって騒音のように知覚される音であるため、乗員に不快感を与えてしまう可能性がある。
そこで、調整部17は、第3スピーカ53cから音が出力されている(音楽等が再生されている)と判定された場合に、調整マスカー信号の音量レベルを第2のレベルに調整してもよい。図17は、このような動作例3のフローチャートである。
動作例3においては、取得部11は、オーディオ装置54から、オーディオ装置54によって音楽等が再生中であるか否かを示す再生状態情報を取得し、調整部17に出力する(S61)。なお、再生状態情報は、車両制御部52を介して取得されてもよい。
調整部17は、取得された再生状態情報に基づいて音楽等が再生中であるか否かを判定する(S62)。言い換えれば、調整部17は、車両50内に設置された第3スピーカ53cから音が出力されているか否かを判定する。
調整部17は、音楽等が再生中でないと判定した場合(S62でNo)、つまり、第3スピーカ53cから音が出力されていないと判定した場合、調整マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S63)。
一方、調整部17は、音楽等が再生中であると判定した場合(S62でYes)、つまり、第3スピーカ53cから音が出力されていると判定した場合、調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S64)。
以上説明したように、調整部17は、音楽等が再生中である場合に調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。これにより、騒音マスキング装置10は、車両50内で音楽等が再生されているか否かを考慮してピッチシフトマスカー信号を調整することができる。
このように、騒音マスキング装置10は、オーディオ装置54により音楽などの音の再生が行われており、騒音マスキング装置10がマスカー音を出力しなくても乗員には対象騒音が聞こえにくくなる状況下では、マスカー音の音量レベルを低減することができる。このため、騒音マスキング装置10は、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
なお、調整部17は、再生中の音楽の音量が所定の音量以上であるか否かをさらに判定してもよい。図18は、このような動作例3の変形例のフローチャートである。
動作例3の変形例においては、ステップS61において取得される再生状態情報には、再生中の音楽等の音量情報が含まれる。
調整部17は、音楽等が再生中であると判定した後に(S61でYes)、再生中の音楽の音量が所定の音量以上であるか否かをさらに判定する(S65)。つまり、調整部17は、第3スピーカ53cから出力されている音が所定の音量以上であるか否かを判定する。
調整部17は、音楽等の音量が所定の音量未満であると判定した場合(S65でNo)、つまり、第3スピーカ53cから出力されている音が所定の音量未満であると判定した場合、調整マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S63)。
一方、調整部17は、音楽等の音量が所定の音量以上であると判定した場合(S65でYes)、つまり、第3スピーカ53cから出力されている音が所定の音量未満であると判定した場合、調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S64)。
以上説明したように、調整部17は、音楽等が所定の音量以上で再生中である場合に調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。これにより、騒音マスキング装置10は、音楽等の音量が大きく、対象騒音をマスクする必要が無い場合に、マスカー音の音量レベルを低減することができる。このため、騒音マスキング装置10は、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
なお、調整部17が判定の閾値とする所定の音量は、音楽を再生していない場合と、音楽を再生している場合とに応じて異なる閾値に設定されてもよい。つまり、調整部17は、ステップS62およびステップS65の両方を行い、ステップS62の結果に応じてステップS65での判定の閾値を異なる値に変更して判定してもよい。
[動作例4]
以下、騒音マスキング装置10の動作例4について説明する。車両50内の空間56においては、空調機器57によって空調が行われている場合がある。空調機器57によって空調が行われている場合、車両50内の空間56には、空調機器57からの送風が行われており、騒音マスキング装置10がマスカー音を出力しなくても乗員には対象騒音が聞こえにくくなる。
そこで、調整部17は、空調機器57がオン状態である場合に、調整マスカー信号の音量レベルを第2のレベルに調整してもよい。図19は、このような動作例4のフローチャートである。
動作例4においては、取得部11は、空調機器57から、空調機器57がON状態かOFF状態かを示す空調機器ON/OFF情報を取得し、調整部17に出力する(S71)。なお、空調機器ON/OFF情報は、車両制御部52を介して取得されてもよい。
調整部17は、取得された空調機器ON/OFF情報に基づいて空調機器57が空調運転中(つまりON状態)であるか否かを判定する(S72)。
調整部17は、空調機器57が空調運転中でないと判定した場合(S72でNo)、つまり、空調機器ON/OFF情報がOFF状態を示す場合、調整マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S73)。
一方、調整部17は、空調機器57が空調運転中であると判定した場合(S72でYes)、つまり、空調機器ON/OFF情報がON状態を示す場合、調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S74)。
以上説明したように、調整部17は、空調運転中である場合に調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。これにより、騒音マスキング装置10は、車両50内で空調運転中であるか否かを考慮してピッチシフトマスカー信号を調整することができる。
このように、騒音マスキング装置10は、空調機器57からの送風が行われており、騒音マスキング装置10がマスカー音を出力しなくても乗員には対象騒音が聞こえにくくなる状況下では、マスカー音の音量レベルを低減することができる。このため、騒音マスキング装置10は、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
なお、調整部17は、空調運転中の風量が所定の風量以上であるか否かをさらに判定してもよい。図20は、このような動作例4の変形例のフローチャートである。
動作例4の変形例においては、ステップS71において取得される空調機器ON/OFF情報には、空調機器57の風量を示す風量情報が含まれる。
調整部17は、空調運転中であると判定した後に(S72でYes)、空調機器57の風量が所定の風量以上であるか否かをさらに判定する(S75)。
調整部17は、空調機器57の風量が所定の風量未満であると判定した場合(S75でNo)、調整マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S73)。
一方、調整部17は、空調機器57の風量が所定の風量以上であると判定した場合(S75でYes)、つまり、風量情報が所定の風量以上の風量を示す場合、調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S74)。
なお、調整部17が判定の閾値とする所定の音量は、空調機器をONにしている場合と、OFFにしている場合とに応じて異なる閾値に設定されてもよい。つまり、調整部17は、ステップS72およびステップS75の両方を行い、ステップS72の結果に応じてステップS75での判定の閾値を異なる値に変更して判定してもよい。
[動作例5]
以下、騒音マスキング装置10の動作例5について説明する。車両50では、窓58が開状態となることにより、外部からの空気が車両50内の空間56に流入している場合がある。このため、外部の空気が車両50内の空間56に流入することにより、空間56では、風切り音が発生し、騒音マスキング装置10がマスカー音を出力しなくても乗員には対象騒音が聞こえにくくなる。
そこで、調整部17は、窓58が開状態である場合に、調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。図21は、このような動作例5のフローチャートである。
動作例5においては、取得部11は、窓58から、窓58の開閉状態を示す開閉状態情報を取得し、調整部17に出力する(S81)。なお、開閉状態情報は、車両制御部52を介して取得されてもよい。
調整部17は、取得された開閉状態情報に基づいて窓58が開状態であるか否かを判定する(S82)。
調整部17は、窓58が開状態でないと判定した場合(S82でNo)、つまり、開閉状態情報が閉状態を示す場合、調整マスカー信号の音量レベルが所定のレベルより大きくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S83)。
一方、調整部17は、窓58が開状態であると判定した場合(S82でYes)、つまり、開閉状態情報が開状態を示す場合、調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整する(S84)。
以上説明したように、調整部17は、窓58が開状態である場合に調整マスカー信号の音量レベルが小さくなるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。これにより、騒音マスキング装置10は、車両50内で窓58が開いているか否かを考慮してピッチシフトマスカー信号を調整することができる。
このように、騒音マスキング装置10は、車両50の窓58が開いた状態であり、騒音マスキング装置10がマスカー音を出力しなくても乗員には対象騒音が聞こえにくくなる状況下では、マスカー音の音量レベルを低減することができる。このため、騒音マスキング装置10は、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
なお、車両50においては、オーディオ装置54から出力されるオーディオ信号に応じた音は、第3スピーカ53cから出力されたが、オーディオ信号に応じた音は、第1スピーカ53a及び第2スピーカ53bから出力されてもよい。図22は、このような変形例に係る車両の模式図である。図23は、変形例に係る車両に対応する機能ブロック図である。
図22及び図23に示されるように、変形例に係る車両50aにおいては、オーディオ装置54によって出力されるオーディオ信号に応じた音と第1補正部16aによって補正されたマスカー音とが第1加算器59aによって加算(ミックス)されて第1スピーカ53aに出力される。同様に、オーディオ装置54によって出力されるオーディオ信号に応じた音と第2補正部16bによって補正されたマスカー音とが第2加算器59bによって加算(ミックス)されて第2スピーカ53bに出力される。第1加算器59a及び第2加算器59bは、アナログ回路として実現されてもよいし、デジタル回路として実現されてもよい。
このように、音楽等が再生されるスピーカとマスカー音が出力されるスピーカとは共用されてもよい。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、騒音マスキング装置は、上記実施の形態で説明された騒音マスキング装置10よりもさらにシンプルに構成されてもよい。図24は、シンプルに構成された騒音マスキング装置を備える車両の模式図である。図25は、シンプルに構成された騒音マスキング装置の機能ブロック図である。
図24に示されるように、シンプルに構成された騒音マスキング装置10bを備える車両50bは、第3スピーカ53c、第1マイク54a、第2マイク54b、オーディオ装置54、空調機器57及び窓58を備えていない点が騒音マスキング装置10と異なる。また、図25に示されるように、騒音マスキング装置10bは、第1補正部16a及び第2補正部16bを備えていない点が騒音マスキング装置10と異なる。
このような騒音マスキング装置10bは、騒音マスキング装置10と同様に、マスカー信号を車両50の加速度情報に応じて調整するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、上記実施の形態では、マスカー音を出力するスピーカが2つである場合について例示されたが、マスカー音を出力するスピーカは、1つであってもよい。また、マスカー音を出力するスピーカは、3つ以上であってもよい。例えば、車両内の4つの座席に対応して4つのスピーカが配置されてもよい。
また、上記実施の形態では、所定位置が1つの座席について1つ配置されているが、1つの座席に対して複数配置されてもよい。例えば、座席に座った乗員の両耳の位置に対応した2つの位置が所定位置とされてもよい。
また、上記実施の形態に係る騒音マスキング装置の構成は、一例である。例えば、騒音マスキング装置は、D/A変換器、フィルタ、電力増幅器、または、A/D変換器などの構成要素を含んでもよい。
また、上記実施の形態に係る騒音マスキング装置が行う処理は、一例である。例えば、上記実施の形態で説明された各種信号処理は、デジタル信号処理によって実現されてもよいし、アナログ信号処理によって実現されてもよい。
また、上記実施の形態に係る騒音マスキング装置が行う処理は、一例である。上記実施の形態では、調整部17が、調整マスカー信号の音量レベルを第1のレベルに調整したり、第2のレベルに調整したりするとしたが、これに限らない。例えば、上記実施の形態において、調整部17が調整マスカー信号の音量レベルを第2のレベルに調整する代わりに、出力部18に調整マスカー信号の第1スピーカ53aおよび第2スピーカ53bへの出力を停止させてもよい。
上記実施の形態に係る騒音マスキング装置10、10a、10bにおいて、取得部11は、車両50内の騒音の周波数と相関のある周波数相関情報を取得してもよい。この場合、ピッチシフト部15は、取得部11が取得した周波数相関情報に応じてマスカー信号をピッチシフトすることでピッチシフトマスカー信号を生成する。
これにより、騒音マスキング装置10、10a、10bは、信号源12が生成したマスカー信号を、取得した周波数相関情報に応じてピッチシフトしてピッチシフトマスカー信号を生成し、取得した車両情報に応じた調整を行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
上記実施の形態に係る騒音マスキング装置10、10a、10bにおいて、調整部17は、ピッチシフトマスカー信号に、取得部11が取得した車両情報に応じた調整を行うことで、調整マスカー信号を生成するとしたが、これに限らない。調整部17は、取得部11が取得した車両情報の時間変動値を算出し、ピッチシフトマスカー信号に、算出した時間変動値に応じた調整を行うことで、調整マスカー信号を生成してもよい。つまり、調整部17は、時間変動値を車両情報の代わりに用いてもよい。この場合、調整部17の調整処理における各閾値は、各時間変動値に対応した異なる値に設定されていてもよい。
これにより、騒音マスキング装置10、10a、10bは、取得した車両情報の時間変動値に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
また、調整部17は、ピッチシフトマスカー信号に、第1調整と第2調整との少なくとも一方を行うことで、調整マスカー信号を生成してもよい。第1調整は、ピッチシフトマスカー信号に、車両情報に応じた調整を行うことである。第2調整は、取得部11が取得した車両情報の時間変動値を算出し、ピッチシフトマスカー信号に、算出した時間変動値に応じた調整を行うことである。つまり、調整部17は、車両情報および時間変動値の両方を用いて調整処理を行ってもよいし、いずれか一方を用いて調整処理を行ってもよい。
これにより、騒音マスキング装置10、10a、10bは、取得した車両情報及び/または車両情報の時間変動値に応じた調整をピッチシフトマスカー信号に行い調整マスカー信号を生成することで、出力部からマスカー音として出力するため、所定の周波数帯の騒音が発生するタイミングで効果的に騒音をマスクすることができる。
上記実施の形態に係る騒音マスキング装置10、10a,10bにおいて、調整部17は、取得部11が取得した車両情報に含まれる車速がゼロであるか否かを判定し、当該車速がゼロである場合、車速以外の車両情報及び/または車両情報の時間変動値の大きさに関わらず、ピッチシフトマスカー信号の音量レベルをゼロ、もしくは聴感上違和感の無い微小なレベルに調整してもよい。
これによれば、騒音マスキング装置10、10a、10bは、所定の周波数帯の騒音があまり発生しない、車速がゼロ場合に、マスカー信号の音量レベルが0になるようにピッチシフトマスカー信号を調整する。よって、騒音マスキング装置10、10a、10bは、所定の周波数帯の騒音があまり発生しないタイミングでマスカー信号の音量レベルを0にすることができる。このため、騒音マスキング装置10、10a、10bは、不要なマスカー音を出力することによるユーザの不快感を低減することができる。
上記実施の形態に係る騒音マスキング装置10、10a、10bにおいて、記憶部14は、複数の車両情報のそれぞれの値、及び/または、複数の、車両情報の時間変動値の絶対値のそれぞれの値と、複数の音量レベルとが対応付けられているテーブルを記憶していてもよい。つまり、テーブルは、値が異なる複数の車両情報と、当該複数の車両情報にそれぞれ対応している、値が異なる複数の音量レベルとが対応付けられている第1テーブルであってもよい。また、テーブルは、値が異なる複数の時間変動値の絶対値と、当該複数の絶対値にそれぞれ対応している、値が異なる複数の音量レベルとが対応付けられている第2テーブルであってもよい。また、テーブルは、第1テーブルおよび第2テーブルの両方を含んでいてもよい。
調整部17は、取得部11が取得した車両情報、及び/または、当該車両情報から算出される絶対値が、記憶部14に記憶されているテーブルにおいて対応付けられている音量レベルを読み出して、調整マスカー信号の音量レベルが読み出した音量レベルになるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。これにより、発生する騒音レベルに対して適切な音量レベルのマスカー音を出力させることができる。
また、調整部17は、記憶部14に記憶されているテーブルに対応がない車両情報及び/または絶対値が得られた場合、テーブルで対応付けられている、複数の車両情報、及び/または、複数の絶対値と、複数の音量レベルとから、テーブルに対応がない車両情報及び/または絶対値に対応する補間レベルを算出し、調整マスカー信号の音量レベルが算出した補間レベルになるようにピッチシフトマスカー信号を調整してもよい。これにより、発生する騒音レベルに対してより適切な音量レベルのマスカー音を出力させることができる。
具体的には、調整部17は、テーブルに対応がない車両情報及び/または絶対値が得られた場合、テーブルに対応がない車両情報及び/または絶対値に最も近い2つの値をテーブルから抽出し、当該2つの値のそれぞれに対応付けられている2つの音量レベルの間の値を補間レベルとして算出してもよい。補間レベルは、2つの音量レベルの平均値であってもよいし、テーブルで示される2つのパラメータの近似曲線を求め、近似曲線においてテーブルに対応がない車両情報及び/または絶対値に対応している音量レベルとしてもよい。ここで、抽出した2つの値は、テーブルに対応がない車両情報及び/または絶対値よりも大きい値において最も近い値、および、テーブルに対応がない車両情報及び/または絶対値よりも小さい値において最も近い値である。
また、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
例えば、本発明は、騒音マスキング装置(コンピュータまたはDSP)が実行する騒音マスキング方法として実現されてもよいし、上記騒音マスキング方法をコンピュータまたはDSPに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、上記実施の形態において説明された騒音マスキング装置の動作における複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。