JP6981905B2 - ヒートポンプ熱源機 - Google Patents

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JP6981905B2 JP2018059414A JP2018059414A JP6981905B2 JP 6981905 B2 JP6981905 B2 JP 6981905B2 JP 2018059414 A JP2018059414 A JP 2018059414A JP 2018059414 A JP2018059414 A JP 2018059414A JP 6981905 B2 JP6981905 B2 JP 6981905B2
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この発明は、圧縮機、膨張弁、ヒートポンプ熱交換器を備えたヒートポンプ装置を有す
るヒートポンプ熱源機に関するものである。
従来よりこの種のヒートポンプ熱源機においては、特許文献1記載のように、負荷側循
環液の実温度が所定の目標温度となるように圧縮機の回転数を制御する、いわゆる温調制
御を行うものがあった。
特開2016−23828号公報
この従来のものの前記温調制御においては、放熱運転時において前記実温度が前記目標
温度よりも低い場合や吸熱運転時において前記実温度が前記目標温度よりも高い場合には
、圧縮機の回転数が増大するように制御される。逆に、放熱運転時において前記実温度が
前記目標温度よりも高い場合や吸熱運転時において前記実温度が前記目標温度よりも低い
場合には、圧縮機の回転数が減少するように制御される。
しかしながら、圧縮機が比較的高い回転数で回転している状態において暖房あるいは冷
房の負荷が急激に小さくなった場合には、前記実温度と前記目標温度との大きな乖離(放
熱運転時には実温度の目標温度に対するオーバーシュート、吸熱運転時には実温度の目標
温度に対するアンダーシュート)が生じる場合があった。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、圧縮機、膨張弁、ヒートポンプ熱交換器を備えたヒートポンプ装置から供給される冷媒と負荷側循環液とを熱交換させる負荷側熱交換器と、前記負荷側循環液の実温度を検出する実温度検出手段と、前記圧縮機の回転数を制御する圧縮機制御手段と、を有し、前記圧縮機制御手段は、前記実温度検出手段により検出された前記実温度が、所定の目標温度となるように、前記圧縮機の回転数を制御する温調制御手段と、前記実温度と前記所定の目標温度との偏差により定まる温度ゾーンを決定する温度ゾーン決定手段と、前記圧縮機が停止・起動状態か定常運転状態かに応じ、前記温度ゾーンに対応する前記圧縮機の回転数の上限値を決定する上限値決定手段と、を備え、前記上限値を超えないように前記圧縮機の回転数を制御するヒートポンプ熱源機において、前記偏差と対応する温度ゾーンとの第1相関を記憶した第1記憶手段と、前記停止・起動状態、前記定常運転状態ごとに、前記温度ゾーンと対応する前記上限値との第2相関を記憶した第2記憶手段と、をさらに有し、前記温度ゾーン決定手段は、前記実温度検出手段により検出された前記実温度と前記所定の目標温度との偏差に対し、前記第1相関を参照して、対応する前記温度ゾーンを決定し、前記上限値決定手段は、前記温度ゾーン決定手段により決定された前記温度ゾーンに対し、前記第2相関を参照して、対応する前記上限値を決定し、前記第2相関は、前記停止・起動状態における前記温度ゾーンと対応する前記上限値との停止・起動側第2相関と、前記定常運転状態における前記温度ゾーンと対応する前記上限値との定常運転側第2相関と、が別々に定められており、前記停止・起動側第2相関及び前記定常運転側第2相関のそれぞれにおいては、前記停止・起動状態と前記定常運転状態との間の変化に応じて、当該停止・起動側第2相関及び当該定常運転側第2相関の間を相互に移行する際に待機すべき移行時間が定められており、前記上限値決定手段は、前記移行時間が経過する前は、前記停止・起動側第2相関及び前記定常運転側第2相関のうち、移行前の側の第2相関を参照して対応する前記上限値を決定し、前記移行時間が経過した後は、前記停止・起動側第2相関及び前記定常運転側第2相関のうち、移行後の側の第2相関を参照して対応する前記上限値を決定するものである。
また、請求項2では、前記温調制御手段は、前記実温度と前記所定の目標温度との偏差に係わる温度区分に応じて、前記圧縮機の回転数の変化量を増減するものである。
また、請求項3では、複数の前記温度区分と、各温度区分にそれぞれ対応する前記圧縮機の前記回転数の前記変化量との第3相関を記憶した第3記憶手段と、をさらに有し、前記温調制御手段は、前記実温度検出手段により検出された前記実温度と前記所定の目標温度との偏差に対応する前記温度区分に対し、前記第3相関を参照して、対応する前記変化量を決定するものである。
また、請求項4では、前記移行時間のカウントは、前記停止・起動状態における前記温度ゾーン決定手段の決定により前記停止・起動側第2相関内において前記温度ゾーンが変化する場合、及び、前記定常運転状態における前記温度ゾーン決定手段の決定により前記定常運転側第2相関内において前記温度ゾーンが変化する場合、のいずれにおいても、中断せずに継続されるものである。
この発明の請求項1によれば、圧縮機制御手段が温調制御手段を備える。この温調制御
手段により、圧縮機の回転数は、実温度検出手段が検出した実温度が、所定の目標温度と
なるように制御される。これにより、放熱運転時において前記実温度が前記所定の目標温
度よりも低い場合や吸熱運転時において前記実温度が前記所定の目標温度よりも高い場合
には、圧縮機の回転数が上昇するように制御される。逆に、放熱運転時において前記実温
度が前記所定の目標温度よりも高い場合や吸熱運転時において前記実温度が前記所定の目
標温度よりも低い場合には、圧縮機の回転数が低下するように制御される。
しかしながら、圧縮機が比較的高い回転数で回転している状態において暖房あるいは冷
房の負荷が急激に小さくなった場合には、前記実温度と前記所定の目標温度との大きな乖
離(放熱運転時には実温度の所定の目標温度に対するオーバーシュート、吸熱運転時には
実温度の所定の目標温度に対するアンダーシュート)が生じる場合がある(温調制御にお
ける改良の余地)。
そこで本願発明においては、圧縮機制御手段に、さらに、温度ゾーン決定手段と、上限
値決定手段とが設けられる。温度ゾーン決定手段は、実温度検出手段が検出した前記実温
度と、前記所定の目標温度との偏差に応じて、対応する温度ゾーンを決定する。そして、
上限値決定手段は、前記決定された温度ゾーンに対応して、圧縮機の回転数の上限値を決
定する。このときの決定は、圧縮機の稼働状況(圧縮機が停止・起動状態であるか定常運
転状態であるか)に応じて行われる。そして、圧縮機の回転数は、この決定された上限値
を超えないように、制御される。
以上のようにして、圧縮機の稼働状況及び温度ゾーンに応じて圧縮機の回転数上限値が
決定されることにより、(前記温調制御における前記改良の余地を補う形で)前記放熱運
転時のオーバーシュート又は前記吸熱運転時のアンダーシュートが起こるよりも前に、圧
縮機の回転数を前記上限値によって抑えつつ、前記放熱運転時のオーバーシュート又は前
記吸熱運転時のアンダーシュートが起こった後も、圧縮機の回転数を前記上限値によって
抑えることができる。この結果、それらオーバーシュートやアンダーシュートといった前
記実温度と前記戻り温度との大きな乖離が発生するのを防止することができるので、循環
液の温度を迅速に戻り温度近くで安定化させることができる。この結果、ユーザの快適性
を向上することができる。また、前記のように負荷が低下したときにおいても比較的速や
かに圧縮機回転数を低下させることができるので、消費電力を低減できる効果もある。
また、請求項1によれば、予め用意され第1記憶手段に記憶されていた第1相関を利用して、温度ゾーン決定手段が前記偏差に対応した温度ゾーンを決定する。また、予め用意され第2記憶手段に記憶されていた第2相関を利用して、上限値決定手段が前記温度ゾーンに対応した圧縮機回転数の上限値を決定する。これにより、簡素な演算で確実に迅速な循環液温度の安定化を図ることができる。
また、請求項2によれば、温調制御手段が実行する温調制御において、前記実温度と前記所定の目標温度との偏差に応じた圧縮機の回転数の増減を確実に行うことができる。
また、請求項3によれば、温調制御手段が実行する温調制御において、予め用意され第3記憶手段に記憶されていた第3相関を利用し、前記圧縮機の回転数の増減を簡単な演算で確実に行うことができる。
本発明の一実施形態の室外機を備えたヒートポンプ式温調システムの構成例の全体概略構成を示す図 メインリモコン装置の外観構造を表す図 室外機の暖房・冷房運転時における冷凍サイクルを模式的に表した図 室外機制御部の主たる機能を表す機能的構成図 膨張弁制御部が実行する制御手順を表すフローチャート図 目標戻り温度と実戻り温度との偏差に係わる複数の温度区分と、各温度区分にそれぞれ対応する圧縮機の回転数の変化量との相関を表す図 目標戻り温度と実戻り温度との偏差と、対応する温度ゾーンとの相関を表す図 停止・起動状態、定常運転状態ごとの、温度ゾーンと対応する圧縮機の回転数の上限値との相関の一例を表す図 比較例の暖房運転挙動の一例を表すシーケンス図 本実施形態の暖房運転挙動の一例を表すシーケンス図 比較例の冷房運転挙動の一例を表すシーケンス図 本実施形態の冷房運転挙動の一例を表すシーケンス図 暖房時において圧縮機制御部が実行する制御手順の一例を表すフローチャート図 暖房時において圧縮機制御部が実行する制御手順の一例を表すフローチャート図
次に、本発明の一実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
<温調システムの一例の構成>
本実施形態のヒートポンプ熱源機を備えたヒートポンプ式温調システムの構成例の全体
概略構成を図1に示す。図1において、このヒートポンプ式温調システム100は、室外
に設置されるヒートポンプ熱源機としての室外機1と、この室外機1に対し冷温水往き管
2及び冷温水戻り管3を介して接続されて室内に設置される、少なくとも1つの室内端末
機(この例では、冷温水パネル51と、ファンコイルユニット52との2つ)とを有する
前記冷温水パネル51は、前記室外機1で加熱された温水又は冷却された冷水を用いて
、室内の空気に対し放熱又は吸熱を行い、当該室内の暖房又は冷房を行う。
前記ファンコイルユニット52は、その内部に、熱交換器(図示せず)、送風ファン(
図示せず)、熱動弁V3、室内温度を検出する室内温度センサ(図示せず)、ファンコイ
ルユニット52内を流通する温水または冷水の温度を検出する水温センサ(図示せず)、
及び端末制御部29等を備えている。端末制御部29は、ファンコイルユニット52内部
の前記室内温度センサの信号や端末用リモコン装置RC(後述)からの信号を受け、前記
送風ファンや前記熱動弁V3の駆動を制御する。これにより、ファンコイルユニット52
は、前記室外機1で加熱された温水または冷却された冷水を、内部の前記熱交換器に通水
させると共に、前記送風ファンを駆動させて室内空気と熱交換させ、室内の暖房または冷
房を行う。
前記冷温水パネル51は、居室に備えられるA室及びB室のうち、前記A室に配置され
ており、前記ファンコイルユニット52は前記B室に配置されている。そして、前記室外
機1から延びる前記冷温水往き管2の途中に1つの往きヘッダ91が設けられており、冷
温水往き管2のうち前記往きヘッダ91より上流側部分は、1つの共通往き管2Aとして
構成され、前記室外機1からの冷温水(負荷側循環液に相当)が供給される。そして、冷
温水往き管2のうち前記往きヘッダ91より下流側部分2Bは、複数(この例では2つ)
の往き管、すなわち、前記冷温水パネル51への往き管2B1と、前記ファンコイルユニ
ット52への往き管2B2と、に分岐する形で前記往きヘッダ91に接続されている。
同様に、前記室外機1へと延びる前記冷温水戻り管3の途中に1つの戻りヘッダ92が
設けられており、冷温水戻り管3のうち前記戻りヘッダ92より上流側部分3Bは、複数
(この例では2つ)の戻り管、すなわち、前記冷温水パネル51からの戻り管3B1と、
前記ファンコイルユニット52からの戻り管3B2と、に分かれている。そして、冷温水
戻り管3のうち前記戻りヘッダ92より下流側部分は、1つの共通戻り管3Aとして構成
され(すなわち分岐された戻り管3B1,3B2が共通戻り管3Aの上流側に集結する形
で戻りヘッダ92に接続されている)、前記戻り管3B1,3B2を介し導入された冷温
水を前記室外機1へと戻す。
そして、前記冷温水パネル51への往き管2B1には、熱動弁コントローラCVからの
駆動信号により往き管2B1を開閉可能な熱動弁V1が設けられている。
そして、この例では、前記A室に、前記室内端末機(この例では冷温水パネル51及び
ファンコイルユニット52)の冷暖房運転操作を行うための、メインリモコン装置RM(
操作手段に相当)と、前記冷温水パネル51の冷暖房運転操作を行うための端末用リモコ
ン装置RAと、が設けられている。また、この例では、前記B室に、前記ファンコイルユ
ニット52を遠隔制御するためのワイヤレス式の端末用リモコン装置RCが設けられてい
る。
なお、前記端末用リモコン装置RAに前記メインリモコン装置RMと同等の機能を付加
し当該メインリモコン装置RMを省略しても良い。
前記メインリモコン装置RMは、ユーザの操作に対応して制御信号SS1を出力する。
この制御信号SS1は、前記室外機1の制御を行う室外機制御部(後述)へと入力され、
これによって前記共通往き管2Aへ供給される冷温水の流量や温度等が制御されるととも
に、さらにこれに対応して前記室外機制御部から前記熱動弁コントローラCVに制御信号
SS2が出力され、これに応じて熱動弁コントローラCVから出力される制御信号S1に
よって熱動弁V1の開閉動作が制御可能である。また、前記端末用リモコン装置RAでの
操作に対応して出力される制御信号Saは前記熱動弁コントローラCVへと入力され、こ
れに応じて熱動弁コントローラCVから出力される制御信号S1によって前記熱動弁V1
の開閉動作が制御可能である。
一方、前記冷温水パネル51からの戻り管3B1には、戻り温度センサ54が設けられ
ている。この戻り温度センサ54は、対応する戻り管3B1における温水又は冷水の温度
を検出し、検出結果を表す検出信号を前記熱動弁コントローラCVへと出力する。
熱動弁コントローラCVは、前記メインリモコン装置RM及び前記端末用リモコン装置
RAの操作に対応しつつ、前記戻り温度センサ54により検出される前記戻り温度に基づ
き、前記熱動弁V1の開閉制御を行う。これにより、ユーザは、リモコン装置RM,RA
を適宜に操作することで前記冷温水パネル51及びファンコイルユニット52の運転状態
を制御可能となる。
前記端末用リモコン装置RCは、ファンコイルユニット52に室内を暖房する暖房運転
(放熱運転に相当)を行わせるための暖房指示手段としての暖房スイッチ24と、ファン
コイルユニット52に室内を冷房する冷房運転(吸熱運転に相当)を行わせるための冷房
指示手段としての冷房スイッチ25と、ファンコイルユニット52の運転を停止させる停
止スイッチ26と、室内温度を設定する室内温度設定スイッチ27と、室内の設定温度や
運転状態を表示する表示部28とを備え、前記端末制御部29に対し通信可能に接続され
ている。
<メインリモコン装置>
次に、前記図1に示した、前記メインリモコン装置RMの詳細について、説明する。
図2に、前記メインリモコン装置RMの外観を示す。メインリモコン装置RMには、表
示部250と、前記室外機1と前記室内端末機(冷温水パネル51及びファンコイルユニ
ット52のうちの冷温水パネル51)の運転開始・停止を指示するための「運転/停止」
ボタン253と、前記室内端末機に対しタイマーによる運転を指示するための「タイマー
」ボタン254と、前記室内端末機の運転態様(冷房・暖房や通常モード・セーブモード
等)の切替を指示する「運転切替」ボタン255と、画面表示を1つ前の画面に戻すため
の「戻る」ボタン257と、「メニュー/決定」ボタン258と、上下左右方向への十字
キー259と、が備えられている。なお、前記「運転/停止」ボタン253、前記「タイ
マー」ボタン254、前記「運転切替」ボタン255、前記「戻る」ボタン257と、及
び、前記「メニュー/決定」ボタン258を、以下適宜、単に「操作ボタン253等」と
称し、さらにこれら操作ボタン253等と前記十字キー259とを総称して、単に「操作
部259等」と称する。なお、図示を省略しているが、メインリモコン装置RMには、C
PUや記憶手段としてのメモリ等が内蔵されている。
前記表示部250は、前記CPUの制御により、各種画面を切り替えて表示することが
できる。図示の例では、表示部250には、温水・冷水の温度設定や冷房・暖房切替等を
含む、図1に示した前記温調システム100全体に係わる設定を行うための設定画面20
0が表示されている。この設定画面200は、中央に配置され、前記温調システム100
全体の運転状態を表す運転状態表示領域200Aと、右端に配置され、前記室外機1から
温調システム100全体に供給される冷温水の設定温度(温度レベルの数値に相当。ユー
ザが前記操作部259等を用いて設定可能)を表示する温度設定表示領域200Bと、を
備えている。
図示の例では、前記運転状態表示領域200Aには、前記室外機1から温水が供給され
温調システム100全体として暖房運転が行われている状態を表す「温水暖房 運転中」
の表示がなされている。また前記温度設定表示領域200Bには、暖房用にユーザが予め
(可変に)設定した温水の設定温度「40℃」が表示されている。
<室外機の構成>
次に、前記室外機1の概略的なシステム構成を図3(a)に示す。図3(a)において
、室外機1は、例えばHFCなどの合成化合ガスを冷媒として循環させ室外での吸放熱を
行う冷媒循環回路21と、例えば不凍液などを前記冷温水として循環させ前記室内端末機
(冷温水パネル51及びファンコイルユニット52の2つ)での吸放熱を行う(前記冷温
水往き管2及び前記冷温水戻り管3からなる)冷温水循環回路22と、の間における熱交
換を行う、ヒートポンプ型の熱源機である。
すなわち、前記冷媒循環回路21は、前記室外機1に備えられた、前記冷媒の循環方向
を切り替える四方弁6と、前記冷媒を圧縮する圧縮機7と、前記冷媒と外気との熱交換を
行うヒートポンプ熱交換器8と、前記冷媒を減圧膨張させる膨張弁9と、前記冷温水往き
管2及び前記冷温水戻り管3を循環する前記冷温水と前記冷媒との熱交換を行う水−冷媒
熱交換器11(負荷側熱交換器に相当)とを、冷媒配管15で接続して形成されている。
なお、前記冷媒配管15で互いに接続された前記圧縮機7、前記ヒートポンプ熱交換器8
、前記膨張弁9によってヒートポンプ装置が構成されている。また、前記ヒートポンプ熱
交換器8に送風する室外ファン10がさらに設けられている。
前記四方弁6は4つのポートを備える弁であり、(前記冷媒配管15の一部を構成する
)冷媒主経路15a用の2つのポートのそれぞれに対して、(前記冷媒配管15の一部を
構成する)他の冷媒副経路15b用の2つのポートのいずれに接続するかを切り替える。
冷媒副経路15b用の2つのポートどうしはループ状に配置された冷媒副経路15bで接
続されており、この冷媒副経路15b上に前記圧縮機7が設けられている。
前記圧縮機7は、低圧ガス状態の冷媒を昇圧して高圧ガス状態にするとともに、室外機
1内における冷媒配管15全体の冷媒を循環させるポンプとしても機能する。なお、前記
圧縮機7の吐出側における前記冷媒副経路15bには、吐出温度センサ55が設けられる
。また、膨張弁9と水−冷媒熱交換器11との間の前記冷媒主経路15aには、冷媒温度
センサ57が設けられる。
また、前記四方弁6の冷媒主経路15a用の2つのポートどうしは、ループ状に配置さ
れた前記冷媒主経路15aで接続されており、この冷媒主経路15a上に前記ヒートポン
プ熱交換器8、前記膨張弁9、及び前記水−冷媒熱交換器11が順に(図3(a)に示す
例では冷媒主経路15a左回りの順に)設けられている。
前記ヒートポンプ熱交換器8は、その内部を通過する液体状態の前記冷媒の温度が室外
の外気温度より低い場合は外気の熱を冷媒に吸熱してガス状態に蒸発させる蒸発器として
機能する。また、その内部を通過するガス状態の前記冷媒の温度が室外の外気温度より高
い場合は、その冷媒の熱を放熱して液体状態に凝縮させる凝縮器として機能する(後述の
図3(b)参照)。
前記室外ファン10は、前記ヒートポンプ熱交換器8に対して送風することで、ヒート
ポンプ熱交換器8の性能を向上させる。
前記膨張弁9は、高圧液体状態の前記冷媒を減圧膨張させて低圧液体状態とするよう機
能する。
水−冷媒熱交換器11は、前記のように冷媒主経路15aに接続されてその内部に冷媒
を通過させるとともに、前記冷温水往き管2及び前記冷温水戻り管3にも接続されてその
内部に冷温水を通過させる。水−冷媒熱交換器11の内部を通過するガス状態の冷媒の温
度が冷温水の温度より高い場合は、冷媒に対してその熱を冷温水に放熱し液体状態に凝縮
させる凝縮器として機能する。また、水−冷媒熱交換器11の内部を通過する液体状態の
冷媒の温度が前記冷温水の温度より低い場合は、冷媒に対して冷温水の熱を吸熱しガス状
態に蒸発させる蒸発器として機能する(後述の図3(b)参照)。
一方、前記冷温水循環回路22は、前記室外機1に備えられた、前記水−冷媒熱交換器
11、前記冷温水に循環圧力を加える循環ポンプ12、及びシスターンタンク13と、前
記室内端末機(冷温水パネル51及びファンコイルユニット52の2つ)とを、前記冷温
水往き管2(詳細には共通往き管2A)及び前記冷温水戻り管3(詳細には共通戻り管3
A)で接続して形成されている。
前記水−冷媒熱交換器11は、前記冷温水往き管2及び前記冷温水戻り管3に接続され
ており、前記冷温水戻り管3上に、前記シスターンタンク13及び前記循環ポンプ12が
設けられている。
前記シスターンタンク13は、キャビテーションなどで冷温水中に生じた気泡の分離(
気水分離機能)と、前記冷温水循環回路22における膨張冷温水の吸収及び冷温水の補給
を行う。
前記循環ポンプ12は、前記冷温水往き管2及び前記冷温水戻り管3全体に冷温水を循
環させるよう機能する。
なお、この例では、前記水−冷媒熱交換器11の入口側(流入側)の前記冷温水戻り管
3(詳細には共通戻り管3A)には、実温度検出手段としての戻り温度センサ56Bが設
けられ、共通戻り管3Aにおける温水又は冷水の温度(以下適宜、「実戻り温度」という
)を検出し、検出結果を表す検出信号を後述の室外機制御部CUへと出力する。
そして、室外機1は、当該室外機1の制御を行う室外機制御部CUを備えている。この
室外機制御部CUは、主にCPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータで構
成されている。室外機制御部CUと前記メインリモコン装置RMとの間は、双方向通信線
で接続されており、信号のやりとりを相互に行うことができる(図1参照)。これにより
、室外機制御部CUは、図1に示すように、前記メインリモコン装置RMからの前記制御
信号SS1に基づいて室外機1全体の制御を行う(詳細は後述)とともに、対応する前記
制御信号SS2を前記熱動弁コントローラCVに出力する。
なお、図1に示した構成例においては特に、前記室外機制御部CUと前記ファンコイル
ユニット52の前記端末制御部29との間が、例えば、端末制御部29からの信号を一方
向に伝える端末制御線(いわゆるE−con通信線)で接続されている(図1参照)。例
えば前記端末用リモコン装置RCの前記暖房スイッチ24(又は前記冷房スイッチ25)
がユーザにより操作され運転開始の指示がなされると、端末制御部29は、その指示信号
を受信する。そして、受信した指示信号に応じて、端末制御部29は、室外機制御部CU
に対し、暖房運転に関連する温水要求信号(または冷房運転に関連する冷水要求信号)S
Cを出力する(図3(a)及び図3(b)中の想像線参照)。なお、前記運転開始された
後当該暖房又は冷房を停止する際には、ユーザによる適宜の停止指示操作(例えば前記暖
房スイッチ24又は冷房スイッチ25が再度押される、若しくは別途設けた停止スイッチ
が押される、等)がなされることで、端末制御部29は、室外機制御部CUに対し、暖房
運転(または冷房運転)の停止要求信号(図示省略)を出力する。
なお、図1に示した構成例で前記のようにファンコイルユニット52を設ける場合、フ
ァンコイルユニット52を、前記端末用リモコン装置RCによって操作する構成には限ら
れない。すなわち、ファンコイルユニット52自体に、前記端末用リモコン装置RCのス
イッチと同等の機能を有するスイッチや表示部を設け、端末用リモコン装置RCを省略し
ても良い。この場合、そのファンコイルユニット52のスイッチ等がユーザにより操作さ
れることで運転開始の指示がなされると、前記端末制御部29がその指示信号を受信し、
室外機制御部CUに対し前記温水要求信号(または前記冷水要求信号)SCを出力する。
同様に、ファンコイルユニット52の前記スイッチ等を用いてユーザによる停止指示操作
がなされることで、前記端末制御部29は室外機制御部CUに対し暖房運転(または冷房
運転)の前記停止要求信号を出力する。
上記構成の冷媒循環回路21において、前記圧縮機7は冷媒副経路15b上において一
方向に冷媒を循環させるものであり、前記四方弁6の切り替えによって冷媒主経路15a
上の冷媒の循環方向を制御する。前記図3(a)は、図1に示した構成例における暖房運
転時の循環方向を示しており、圧縮機7から吐出した冷媒が水−冷媒熱交換器11、膨張
弁9、ヒートポンプ熱交換器8の順で流通する。これにより、低温・低圧で吸入されたガ
ス状態の冷媒が前記圧縮機7で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、前記水−冷媒熱
交換器11(凝縮器として機能)において前記冷温水戻り管3からの温水に熱を放出しな
がら高圧の液体に変化する。こうして液体になった冷媒は前記膨張弁9で減圧されて低圧
の液体となり蒸発しやすい状態となる。その後、低圧の液体が前記ヒートポンプ熱交換器
8(蒸発器として機能)において蒸発してガスに変化することで外気から吸熱する。そし
て冷媒は、低温・低圧のガスとして再び前記圧縮機7へと戻る。
このとき、前記のようにして水−冷媒熱交換器11で加熱された温水は、冷温水往き管
2から前記室内端末機(冷温水パネル51及びファンコイルユニット52の2つ)に供給
されて室内空気に対し放熱して室内を加温し、その後に前記シスターンタンク13を通過
して再び前記循環ポンプ12へ戻る。以上のような冷媒循環回路21の冷凍サイクルと冷
温水循環回路22との間で熱交換を行うことにより、室内空気の温度を上げる暖房運転が
行われる。
一方、前記図3(b)は図1に示した構成例における冷房運転時の循環方向を示してお
り、圧縮機7から吐出した冷媒がヒートポンプ熱交換器8、膨張弁9、水−冷媒熱交換器
11の順で流通する。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒が前記圧縮機
7で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、前記ヒートポンプ熱交換器8(凝縮器とし
て機能)において前記室外ファン10の送風で冷却されることで外気に熱を放出しながら
高圧の液体に変化する。こうして液体になった冷媒は前記膨張弁9で減圧されて低圧の液
体となり蒸発しやすい状態となる。その後、低圧の液体が前記水−冷媒熱交換器11(蒸
発器として機能)において蒸発してガスに変化することで前記冷温水戻り管3からの冷水
から吸熱を行う。そして冷媒は、低温・低圧のガスとして再び前記圧縮機7へと戻る。
このとき、前記のようにして水−冷媒熱交換器11で冷却された冷水は、冷温水往き管
2から前記室内端末機(冷温水パネル51及びファンコイルユニット52の2つ)に供給
されて室内空気から吸熱して室内を冷却し、その後に前記シスターンタンク13を通過し
て再び前記循環ポンプ12へ戻る。以上のような冷媒循環回路21の冷凍サイクルと冷温
水循環回路22との間で熱交換を行うことにより、室内空気の温度を下げる冷房運転が行
われる。
<室外機制御部>
次に、前記室外機制御部CUの主たる機能的構成を図4により説明する。
図4に示すように、前記室外機制御部CUは、圧縮機制御手段としての圧縮機制御部6
1と、膨張弁制御部62と、を機能的に備えている。
<膨張弁制御部>
膨張弁制御部62は、前記吐出温度センサ55の検出結果を入力し(煩雑防止のため前
記図3(a)及び図3(b)では図示省略)、検出された前記冷媒吐出温度が、例えば前
記メインリモコン装置RMの操作に対応して適宜に設定(詳細は省略)される適宜の目標
吐出温度となるように、前記膨張弁9の弁開度を制御する。この膨張弁制御部62の制御
内容を、図5のフローチャートを用いて順を追って説明する。
<膨張弁制御内容>
膨張弁制御部62による暖房運転時の前記膨張弁9の制御内容を図5のフローチャート
により説明する。図5において、まずステップS60で、膨張弁制御部62は、前記室外
機1が運転開始状態となったか否かを判定する。具体的には、運転開始状態とは、例えば
、前記メインリモコン装置RMや前記端末用リモコン装置RA,RCを介しユーザによる
適宜の室外機1の運転開始操作がなされることで停止状態から起動される場合、若しくは
、運転停止後から再起動して室外機1の運転が再び開始される場合、である。運転開始状
態となるまではステップS60の判定が満たされず(S60:NO)ループ待機し、運転
開始状態となるとステップS60の判定が満たされ(S60:YES)、ステップS65
に移る。
ステップS65では、膨張弁制御部62は、前記室外機1が運転終了状態となったか否
かを判定する。すなわち、後述のような回転数の制御の下で暖房運転を行って暖房負荷が
小さくなると、前記室外機1を動作させずとも、前記戻り温度センサ56Bで検出される
前記実戻り温度が目標戻り温度(詳細は後述)以上に達する場合がある。この場合は、前
記室外機制御部CUによる公知の制御により室外機1が停止され、待機状態となる(すな
わち、いったん室外機1の運転が終了される)。運転終了状態(すなわち待機状態)とな
っていた場合はステップS65の判定が満たされ(S65:YES)、このフローを終了
する。一方、運転終了状態(すなわち待機状態)となっていない間はステップS65の判
定は満たされず(S65:NO)、ステップS70に移る。
ステップS70では、膨張弁制御部62は、この時点で前記吐出温度センサ55から検
出された前記冷媒吐出温度が前記目標吐出温度を下回っているか否かを判定する。冷媒吐
出温度が目標吐出温度を下回っている場合、判定が満たされ(S70:YES)、ステッ
プS75に移る。
ステップS75では、膨張弁制御部62は、前記膨張弁9の弁開度を減少させる。その
後、前記ステップS65に戻って同様の手順を繰り返す。
一方、前記ステップS70の判定において、前記冷媒吐出温度が前記目標吐出温度以上
である場合、判定は満たされず(S70:NO)、ステップS80に移る。
ステップS80では、膨張弁制御部62は、前記膨張弁9の弁開度を増大させる。その
後、前記ステップS65に戻って同様の手順を繰り返す。
以上のようにして、ステップS70、ステップS75、及びステップS80の処理によ
り、前記冷媒吐出温度が前記目標吐出温度に一致するよう膨張弁9の弁開度を制御する、
冷媒吐出温度制御が行われる。
なお、冷房運転時の前記膨張弁9の制御内容も、前記図5のフローチャートと同様の制
御で足りるので、説明を省略する。
<圧縮機制御部>
圧縮機制御部61は、温調制御手段としての戻り温度制御部61Aと、温度ゾーン決定
手段としての温度ゾーン決定部61Bと、上限値決定手段としての上限値決定部61Cと
を備えている。
<戻り温度制御部>
戻り温度制御部61Aは、前記戻り温度センサ56Bにより検出された温水又は冷水の
前記実戻り温度に応じて前記圧縮機7の回転数を制御する、いわゆる戻り温度制御を行う
。詳細には、前記戻り温度制御部61Aは、前記戻り温度センサ56Bにより検出される
前記実戻り温度が、例えば前記メインリモコン装置RMにおける前記操作部259等の操
作に対応して設定される所望の目標戻り温度(所定の目標温度に相当)となるように、前
記圧縮機7の回転数を制御する。
<温調制御用の相関>
本実施形態では特に、戻り温度制御部61Aは、前記実戻り温度と前記目標戻り温度と
の偏差(後述)に係わる温度区分に応じて、前記圧縮機7の回転数の変化量を増減する。
その際、複数の前記温度区分と、各温度区分にそれぞれ対応する前記圧縮機7の前記回転
数の前記変化量との相関(第3相関に相当)を参照して、前記圧縮機7の回転数の変化量
を増減する。
<暖房の相関>
図6(a)に、暖房運転時の前記第3相関の一例を示す。図6(a)に示すように、暖
房時における、目標戻り温度(目標水温)と実戻り温度(実水温)との偏差△T1(=目
標戻り温度−実戻り温度)に係わる温度区分として、+5℃≦△T1、+3℃≦△T1<
+5℃、+1℃≦△T1<+3℃、−1℃≦△T1<+1℃、−3℃≦△T1<−1℃、
−5℃≦△T1<−3℃、−7℃≦△T1<−5℃、△T1<−7℃の8つの区分が設け
られている。そして、これら8つの温度区分それぞれに対し、対応する圧縮機7の回転数
変化量が規定されている。但し、この例では、前記回転数変化量を、圧縮機7の回転数を
段階的に切り替える制御時における、段階区分(言い替えれば回転数のランク)を変化さ
せる数で表現している(後述の図6(b)も同様)。すなわち、例えば「3段上げる」と
は、前記圧縮機7の回転数の段階区分を、3段階だけ高回転数側に切り替えることであり
、例えば「2段下げる」とは、前記圧縮機7の回転数の段階区分を、2段階だけ低回転数
側に切り替えることである。
この例では、図6(a)に示すように、+5℃≦△T1では、戻り温度制御部61Aに
より、圧縮機7の回転数の段階区分が3段階だけ高回転数側に切り替えて制御される(以
下適宜、単に「3段上げる」等と称する。図示も同様)。同様に、+3℃≦△T1<+5
℃では、圧縮機7の回転数は2段上げるように制御され、+1℃≦△T1<+3℃では、
圧縮機7の回転数は1段上げるように制御される。また、−1℃≦△T1<+1℃では、
圧縮機7の回転数は増減なしで維持する(変更無し)ように制御される。
さらに、−3℃≦△T1<−1℃では、圧縮機7の回転数は2段下げるように制御され
、−5℃≦△T1<−3℃では、圧縮機7の回転数は5段下げるように制御され、−7℃
≦△T1<−5℃では、圧縮機7の回転数は7段下げるように制御され、△T1<−7℃
では、圧縮機7の回転数は9段下げるように制御される。
<冷房の相関>
一方、図6(b)に、冷房運転時の前記第3相関の一例を示す。図6(b)に示すよう
に、冷房時における、目標戻り温度(目標水温)と実戻り温度(実水温)との偏差△T1
(=目標戻り温度−実戻り温度)に係わる温度区分として、△T1<−5℃、−5℃≦△
T1<−3℃、−3℃≦△T1<−1℃、−1℃≦△T1<+1℃、+1℃≦△T1<+
3℃、+3℃≦△T1<+5℃、+5℃≦△T1<+7℃、+7℃≦△T1の8つの区分
が設けられている。そして、これら8つの温度区分それぞれに対し、対応する圧縮機7の
回転数変化量が規定されている。
この例では、図6(b)に示すように、△T1<−5℃では、戻り温度制御部61Aに
より、圧縮機7の回転数は3段上げるように制御され、−5℃≦△T1<−3℃では、圧
縮機7の回転数は2段上げるように制御され、−3℃≦△T1<−1℃では、圧縮機7の
回転数は1段上げるように制御される。また、−1℃≦△T1<+1℃では、圧縮機7の
回転数は増減なしで維持する(変更無し)ように制御される。
さらに、+1℃≦△T1<+3℃では、圧縮機7の回転数は2段下げるように制御され
、+3℃≦△T1<+5℃では、圧縮機7の回転数は5段下げるように制御され、+5℃
≦△T1<+7℃では、圧縮機7の回転数は7段下げるように制御され、+7℃≦△T1
では、圧縮機7の回転数は9段下げるように制御される。
<相関を用いた温調制御>
前記の図6(a)及び図6(b)に示すそれぞれの相関は、例えば前記室外機制御部C
U内の図示しない適宜のメモリ(第3記憶手段に相当)に記憶されている。前記戻り温度
制御部61Aは、前記圧縮機7の回転数を前記温調制御する際、前記メモリに記憶された
前記相関を参照して、前記温度区分に応じて前記圧縮機7の回転数の変化量を増減する。
これにより、暖房運転時において前記実戻り温度が前記目標戻り温度よりも低い場合や冷
房運転時において前記実戻り温度が前記目標戻り温度よりも高い場合には、圧縮機7の回
転数が増大するように制御される。逆に、暖房運転時において前記実戻り温度が前記目標
戻り温度よりも高い場合や冷房運転時において前記実戻り温度が前記目標戻り温度よりも
低い場合には、圧縮機7の回転数が減少するように制御される。
しかしながら、圧縮機7が比較的高い回転数で回転している状態において何らかの理由
(例えば、放熱運転時の温水設定温度の急激な減少・吸熱運転時の冷水設定温度の急激な
上昇や、放熱運転であればA室またはB室の室温が高くなり熱動弁V1等が閉止され放熱
がなくなったとか、吸熱運転であればA室またはB室の室温が低くなり熱動弁V1等が閉
止され吸熱がなくなった等)により暖房あるいは冷房の負荷が急激に小さくなった場合に
は、前記実戻り温度と前記目標戻り温度との大きな乖離(暖房運転時には実戻り温度の目
標戻り温度に対するオーバーシュート、冷房運転時には実戻り温度の目標戻り温度に対す
るアンダーシュート)が生じる場合がある(温調制御における改良の余地)。
<温度ゾーン決定部と上限値決定部>
そこで本実施形態においては、圧縮機制御部61において、さらに、前記温度ゾーン決
定部61Bと、前記上限値決定部61Cと、が設けられる。
温度ゾーン決定部61Bは、前記戻り温度センサ56Bにより検出された温水又は冷水
の前記実戻り温度とメインリモコンRMの操作に対応した前記目標戻り温度との偏差に応
じて、対応する温度ゾーン(後述の図7参照)を決定する。そして、前記上限値決定部6
1Cは、前記圧縮機7が定常運転状態であるか停止・起動状態であるか(詳細は後述)に
応じ、前記温度ゾーン決定部61Bが決定した前記温度ゾーンに対応する前記圧縮機7の
回転数の上限値(後述の図8参照)を決定する。圧縮機7の回転数は、この決定された上
限値を超えないように、制御される。以下、その手法の詳細を、図7〜図13を用いて順
を追って説明する。
<相関を用いた温度ゾーンの決定>
温度ゾーン決定部61Bは、戻り温度センサ56Bにより検出された前記実戻り温度と
前記目標戻り温度との偏差に基づき、対応する温度ゾーンを決定する。その温度ゾーンの
決定の際には、前記偏差と、対応する温度ゾーンとの相関(第1相関に相当)が用いられ
、温度ゾーン決定部61Bは、この相関を参照して決定する。
<暖房の相関>
図7(a)に、暖房運転時の前記第1相関の一例を示す。図7(a)のテーブルに示す
ように、暖房時における、前記実戻り温度(実水温)と前記目標戻り温度(目標水温)の
偏差△T2(=実戻り温度−目標戻り温度)にそれぞれ対応づける温度ゾーンとして、偏
差△T2が大きいほうから小さいほうへと向かう順に、7つの温度ゾーン、すなわち、温
度ゾーンa、温度ゾーンb、温度ゾーンc、温度ゾーンd、温度ゾーンe、温度ゾーンf
、温度ゾーンgが規定されている。
その際、各温度ゾーンa〜gどうしの境界にはヒステリシスが設けられており、偏差△
T2が大きくなる方向に温度ゾーンが切り替わる場合の各ゾーンどうしの境界と、偏差△
T2が小さくなる方向に温度ゾーンが切り替わる場合の各ゾーンどうしの境界とが異なる
。すなわち、偏差△T2の値が最小となる温度ゾーンgから偏差△T2の値が大きくなる
側に隣接する温度ゾーンfへ切り替わるときの境界は偏差△T2=−7[℃]である(言
い替えれば、偏差△T2が小さい状態から徐々に上昇してきて−7[℃]となると、温度
ゾーンgから温度ゾーンfに切り替わる)。同様に、温度ゾーンfから温度ゾーンeへ切
り替わるときの境界は偏差△T2=−5[℃]であり、温度ゾーンeから温度ゾーンdへ
切り替わるときの境界は偏差△T2=−3[℃]であり、温度ゾーンdから温度ゾーンc
へ切り替わるときの境界は偏差△T2=−1[℃]であり、温度ゾーンcから温度ゾーン
bへ切り替わるときの境界は偏差△T2=+1[℃]であり、温度ゾーンbから温度ゾー
ンaへ切り替わるときの境界は偏差△T2=+3[℃]となっている。
逆に、偏差△T2の値が最大となる温度ゾーンaから偏差△T2の値が小さくなる側に
隣接する温度ゾーンbへ切り替わるときの境界は偏差△T2=+2[℃]である(言い替
えれば、偏差△T2が大きい状態から徐々に低下してきて+2[℃]となると、温度ゾー
ンaから温度ゾーンbに切り替わる)。同様に、温度ゾーンbから温度ゾーンcへ切り替
わるときの境界は偏差△T2=0[℃]であり、温度ゾーンcから温度ゾーンdへ切り替
わるときの境界は偏差△T2=−2[℃]であり、温度ゾーンdから温度ゾーンeへ切り
替わるときの境界は偏差△T2=−4[℃]であり、温度ゾーンeから温度ゾーンfへ切
り替わるときの境界は偏差△T2=−6[℃]であり、温度ゾーンfから温度ゾーンgへ
切り替わるときの境界は偏差△T2=−8[℃]となっている。
<冷房の相関>
図7(b)に、冷房運転時の前記第1相関の一例を示す。図7(b)のテーブルに示す
ように、冷房時における、前記実戻り温度(実水温)と前記目標戻り温度(目標水温)の
偏差△T2(=実戻り温度−目標戻り温度)にそれぞれ対応づける温度ゾーンとして、前
記同様、偏差△T2が小さいほうから大きいほうへと向かう順に、7つの温度ゾーン、す
なわち、温度ゾーンa、温度ゾーンb、温度ゾーンc、温度ゾーンd、温度ゾーンe、温
度ゾーンf、温度ゾーンgが規定され、各温度ゾーンa〜gどうしの境界にはヒステリシ
スが設けられている。
すなわち、偏差△T2の値が最大となる温度ゾーンgから偏差△T2の値が小さくなる
側に隣接する温度ゾーンfへ切り替わるときの境界は偏差△T2=+7[℃]である(言
い替えれば、偏差△T2が大きい状態から徐々に低下してきて+7[℃]となると、温度
ゾーンgから温度ゾーンfに切り替わる)。同様に、温度ゾーンfから温度ゾーンeへ切
り替わるときの境界は偏差△T2=+5[℃]であり、温度ゾーンeから温度ゾーンdへ
切り替わるときの境界は偏差△T2=+3[℃]であり、温度ゾーンdから温度ゾーンc
へ切り替わるときの境界は偏差△T2=+1[℃]であり、温度ゾーンcから温度ゾーン
bへ切り替わるときの境界は偏差△T2=−1[℃]であり、温度ゾーンbから温度ゾー
ンaへ切り替わるときの境界は偏差△T2=−3[℃]となっている。
逆に、偏差△T2の値が最小となる温度ゾーンaから偏差△T2の値が大きくなる側に
隣接する温度ゾーンbへ切り替わるときの境界は偏差△T2=−2[℃]である(言い替
えれば、偏差△T2が小さい状態から徐々に上昇してきて−2[℃]となると、温度ゾー
ンaから温度ゾーンbに切り替わる)。同様に、温度ゾーンbから温度ゾーンcへ切り替
わるときの境界は偏差△T2=0[℃]であり、温度ゾーンcから温度ゾーンdへ切り替
わるときの境界は偏差△T2=+2[℃]であり、温度ゾーンdから温度ゾーンeへ切り
替わるときの境界は偏差△T2=+4[℃]であり、温度ゾーンeから温度ゾーンfへ切
り替わるときの境界は偏差△T2=+6[℃]であり、温度ゾーンfから温度ゾーンgへ
切り替わるときの境界は偏差△T2=+8[℃]となっている。
<相関を用いた温度ゾーン決定>
前記の図7(a)及び図7(b)に示すそれぞれの相関は、例えば前記室外機制御部C
U内の図示しない適宜のメモリ(第1記憶手段に相当)に記憶されている。前記温度ゾー
ン決定部61Bは、上記メモリに記憶されていた第1相関を参照して、前記偏差△T2に
対応した温度ゾーンを決定する。
<相関を用いた圧縮機回転数上限値の決定>
上限値決定部61Cは、前記温度ゾーン決定部61Bが決定した前記温度ゾーンに対応
する前記圧縮機7の回転数の上限値を決定する。その上限値の決定の際には、前記圧縮機
7の運転状態(この例では、停止・起動状態、及び、定常運転状態)と、前記温度ゾーン
と、対応する前記圧縮機7の回転数上限値の相関(第2相関に相当)が用いられ、上限値
決定部61Cは、この相関を参照して前記圧縮機7の回転数上限値を決定する。
<相関>
図8に、前記第2相関の一例を示す。図8のテーブルに示すように、前記圧縮機7の運
転状態に対応した運転状態ゾーン毎に、前記7つの温度ゾーンa,b,c,d,e,f,
gのいずれか1つに対して、圧縮機7の回転数上限値がそれぞれ対応づけられている。
すなわち、圧縮機7の停止又は起動に対応する停止・起動ゾーンにおいては、前記温度
ゾーン決定部61Bにより前記温度ゾーンaと決定された場合には圧縮機7の回転数上限
値は0[rps]となる。同様に、前記温度ゾーンbと決定された場合にも圧縮機7の回
転数上限値は0[rps]となり、前記温度ゾーンcと決定された場合にも圧縮機7の回
転数上限値は0[rps]となる。また、前記温度ゾーンdと決定された場合には圧縮機
7の回転数上限値は35[rps]となり、前記温度ゾーンeと決定された場合には圧縮
機7の回転数上限値は40[rps]となり、前記温度ゾーンfと決定された場合には圧
縮機7の回転数上限値は45[rps]となり、前記温度ゾーンgと決定された場合には
圧縮機7の回転数上限値は50[rps]となる。
一方、圧縮機7が定常的に稼働している定常運転ゾーンにおいては、前記温度ゾーン決
定部61Bにより前記温度ゾーンaと決定された場合には圧縮機7の回転数上限値は24
[rps]となり、前記温度ゾーンbと決定された場合には圧縮機7の回転数上限値は5
1[rps]となり、前記温度ゾーンcと決定された場合には圧縮機7の回転数上限値は
66[rps]となる。また、前記温度ゾーンdと決定された場合には圧縮機7の回転数
上限値は79[rps]となり、前記温度ゾーンeと決定された場合には圧縮機7の回転
数上限値は90[rps]となり、前記温度ゾーンfと決定された場合には圧縮機7の回
転数上限値は96[rps]となり、前記温度ゾーンgと決定された場合には圧縮機7の
回転数上限値は105[rps]となる。
さらに、この図8に示すテーブルにおいては、各温度ゾーン及びこれに対応する前記回
転数上限値に対し、稼働する圧縮機7の要求台数(詳細は後述)も対応づけられている。
前記停止・起動ゾーンでは、前記温度ゾーンa,b,c(前記回転数上限値0[rps]
)の場合には稼働要求台数は0[台]となり、前記温度ゾーンd,e,f,g(前記回転
数上限値35,40,45,50[rps])の場合には稼働要求台数は1[台]となる
。また前記定常運転ゾーンでは、前記温度ゾーンa,b(前記回転数上限値24,51[
rps])の場合には稼働要求台数は0[台]となり、前記温度ゾーンc,d,e,f,
g(前記回転数上限値66,79,90,96,105[rps])の場合には稼働要求
台数は1[台]となる。
なお、図8のテーブルにおける、前記運転状態ゾーンの移行(停止・起動ゾーン→定常
運転ゾーン、定常運転ゾーン→停止・起動ゾーン)に係わる移行時間[sec]について
は、後述する。
<暖房運転挙動の例>
次に、前記のような前記温度ゾーン決定部61Bによる温度ゾーンの決定、及び、前記
上限値決定部61Cによる圧縮機7の回転数上限値の決定、により実現される、本実施形
態の前記ヒートポンプ式温調システム100における暖房運転挙動の一例を、そのような
制御を行わない比較例と対比しつつ説明する。
<比較例>
まず図9により、前記比較例の場合の暖房運転挙動を説明する。図示において、図9(
a)は、室外機1の温水出力の経時推移を示し、図9(b)は、室外機1のCOP(エネ
ルギー効率)の経時推移を示している。図9(c)は、前記冷温水戻り管3における前記
実戻り温度(「温水温度」と表記。前記戻り温度センサ56Bが検出)の経時推移を示し
、図9(d)は、圧縮機7の回転数の経時推移を示している。
図9において、前記の戻り温度制御が行われ、前記実戻り温度が目標戻り温度(この例
では40[℃])となるように圧縮機7の回転数が制御される。この例では、運転開始当
初において前記実戻り温度が約36℃で前記目標戻り温度より約4℃低い(図9(c)の
時間ta1参照)ことから、圧縮機7が起動された後に、前記戻り温度制御により当該圧
縮機7の回転数は急激に上昇し、(後述する実施形態と異なり回転数上限値による規制が
ないことから)圧縮機7における最高回転数(この例では100[rps])にまで達す
る(図9(d)の時間ta2〜ta3参照)。
この結果、前記実戻り温度は、目標戻り温度である約40℃に達する(図9(c)の時
間ta2参照)。この結果、前記戻り温度制御により圧縮機7の回転数は低下に転じる(
図9(d)の時間ta3参照)が、ある程度の割合で低下させることしかできないため、
前記の高い回転数から速やかに低下させることはできない。このため、実戻り温度は前記
目標戻り温度を超えて上昇し(=オーバーシュートの発生)、前記戻り温度制御によって
圧縮機7の回転が強制停止される(図9(d)の時間ta5参照)。
これにより、実戻り温度は急低下し、37[℃]に達して目標戻り温度との差が−3[
℃]となったところで、圧縮機7が再起動する(図9(d)の時間ta6参照)。その後
は、前記した時間ta1〜ta5における挙動と同様に推移する。
なお、前記のような経時推移に対応し、図9(a)に示す前記温水出力は急上昇と急低
下を繰り返す変化挙動となる。この結果、図9(b)に示す前記COPも、3に達するこ
となく非効率となっている。
<実施形態>
次に、図10により、本実施形態の場合の暖房運転挙動を説明する。図示において、前
記戻り温度制御部61Aにより前記同様の戻り温度制御が行われ、前記実戻り温度が目標
戻り温度(この例では40[℃])となるように圧縮機7の回転数が上昇を開始するが、
このとき併せて前記上限値決定部61Cが決定した回転数上限値による制限制御が実行さ
れる。すなわち、前記同様、運転開始当初において前記実戻り温度が約36℃で前記目標
戻り温度より約4℃低い(図10(c)の時間tb1参照)結果、図7の前記相関により
温度ゾーンeとなり、圧縮機7の起動前の非稼働状態であることから図8の前記相関によ
り圧縮機7の回転数上限値が40[rps]に制限され(図10(d)の時間tb1〜t
b2参照)、運転状態ゾーンの切替に必要な移行時間のカウントがスタートする。
その後、前記実戻り温度が上昇して約37[℃]となると(前記目標戻り温度との偏差
が−3[℃]に縮まることで)、図7の前記相関により温度ゾーンdとなる。なお、この
段階では、前記運転状態ゾーンの切替に必要な移行時間(この例では停止・起動ゾーン、
eゾーンに対応した600[sec])に達していないことから、(図8に示すように圧
縮機1の稼働要求台数は1台となるものの)図8の前記運転状態ゾーンは切り替わらず前
記停止・起動ゾーンのままとなり、図8の前記相関により圧縮機7の回転数上限値はさら
に小さい35[rps]に制限される(図10(d)の時間tb2〜tb3参照)。これ
により、前記実戻り温度の上昇はそれまでよりも緩やかになる(図10(c)の時間tb
2〜tb3参照)。
そして、前記移行時間である運転開始後から600[sec]が経過すると、図8の運
転状態ゾーンが停止・起動ゾーンから、定常的な運転を表す定常運転ゾーンへと切り替わ
り、前記温度ゾーンdに対応して、図8の前記相関により圧縮機7の回転数上限値の制限
はより大きい79[rps]まで緩和され(図10(d)の時間tb3〜tb4参照)、
圧縮機7の回転数は前記戻り温度制御部61Aの前記戻り温度制御により当該79[rp
s]まで上昇する。これにより、前記実戻り温度の上昇割合がそれまでよりもやや急にな
る(図10(c)の時間tb3〜tb4参照)。なお、移行時間のカウントは、図10の
時間tb2のように、停止・起動ゾーンの温度ゾーンeから停止・起動ゾーンの温度ゾー
ンdに変化しても、中断されることなく継続される。詳細には、図8に示した停止・起動
ゾーンの温度ゾーンd〜gの何れかの温度ゾーンで移行時間のカウントが開始された後は
、図8に示した停止・起動ゾーンの温度ゾーンd〜gの温度ゾーン間で移動があったとし
ても、そのカウントは継続される。定常運転ゾーンの温度ゾーンa、b間についても上記
と同様の手法となる。
その後、さらに前記実戻り温度が上昇して約39[℃]となると(図10(c)の時間
tb4参照)、(目標戻り温度との偏差が約−1[℃]となることから)図7の前記相関
により温度ゾーンcとなる。この結果、図8の前記相関により圧縮機7の回転数上限値は
やや小さい66[rps]に制限され、圧縮機7の実回転数が79[rps]から66[
rps]に一気に低下する(図10(d)の時間tb4〜tb5参照)。これにより、前
記実戻り温度の上昇は再び緩やかになる(図10(c)の時間tb4〜tb5参照)。
前記緩やかな上昇により、その後前記実戻り温度が前記目標戻り温度を超え、当該目標
戻り温度との偏差が約1[℃]となると、図7の前記相関により温度ゾーンbとなる。こ
の結果、図8の前記相関により圧縮機7の回転数上限値はややさらに小さい51[rps
]に制限され、圧縮機7の実回転数が66[rps]から51[rps]に一気に低下す
る(図10(d)の時間tb5参照)。これにより、前記実戻り温度は上げ止まり、その
後はゆっくりと低下に転じる(図10(c)の時間tb5〜tb7参照)。
その後、圧縮機7の回転数は、あるタイミングからは前記戻り温度制御部61Aの前記
戻り温度制御により所定の割合で低下した後、その比較的低い回転数(下限回転数)にな
ると、移行時間のカウントがスタートする(図10(d)の時間tb6参照)。図8に示
すように、定常運転ゾーンかつ温度ゾーンbでの圧縮機稼働要求台数は0台であり、時間
tb6から600[sec]が経過した段階で(時間tb7参照)、図8の運転状態ゾー
ンは再び定常運転ゾーン→停止・起動ゾーンへと切り替わる。この時点で実戻り温度は4
0[℃]〜41[℃]の間であり、図7の前記相関により温度ゾーンbとなり、圧縮機7
の回転が停止される。
そして、前記のような経時推移に対応し、図10(a)に示す温水出力は図9(a)の
比較例に比べれば比較的緩やかに推移し、図10(b)に示すCOPは最大で3.5を上
回り、高効率となり、図10(c)に示す実戻り温度は、目標戻り温度に対するオーバー
シュートが抑制されている。
<冷房運転挙動の例>
次に、本実施形態の前記ヒートポンプ式温調システム100における冷房運転挙動の一
例を、前記同様、そのような制御を行わない比較例と対比しつつ説明する。
<比較例>
まず、図11により、前記比較例の場合の冷房運転挙動を説明する。図示において、前
記図9と同様、図11(a)は、室外機1の冷水出力の経時推移を示し、図11(b)は
、室外機1のCOP(エネルギー効率)の経時推移を示しており、図11(c)は、前記
冷温水戻り管3における前記実戻り温度(「冷水温度」と表記。前記戻り温度センサ56
Bが検出)の経時推移を示し、図11(d)は、圧縮機7の回転数の経時推移を示してい
る。
図11において、前記の戻り温度制御が行われ、前記実戻り温度が目標戻り温度(この
例では10[℃])となるように圧縮機7の回転数が制御される。この例では、運転開始
当初において前記実戻り温度が約13℃(但しこの例では若干13℃を超えている)で前
記目標戻り温度より約3℃高い(図11(c)の時間tc1参照)ことから、圧縮機7が
起動された後に、前記戻り温度制御により当該圧縮機7の回転数は急激に上昇し、(後述
する実施形態と異なり回転数上限値による規制がないことから)圧縮機7における最高回
転数(この例では100[rps])にまで達する(図11(d)の時間ta2〜ta3
参照)。
この結果、前記実戻り温度は、目標戻り温度である約10℃に達する(図11(c)の
時間tc2参照)。この結果、前記戻り温度制御により圧縮機7の回転数は低下に転じる
(図11(d)の時間tc3参照)が、ある程度の割合で低下させることしかできないた
め、前記の高い回転数から速やかに低下させることはできない。このため、実戻り温度は
前記目標戻り温度を超えて低下し(=アンダーシュートの発生)、前記戻り温度制御によ
って圧縮機7の回転が強制停止される(図11(d)の時間tc5参照)。
これにより、実戻り温度は急上昇し、13[℃]に達して目標戻り温度との差が+3[
℃]となったところで、圧縮機7が再起動する(図11(d)の時間tc6参照)。その
後は、前記した時間tc1〜tc5における挙動と同様に推移する。
なお、前記のような経時推移に対応し、前記図9と同様、図11(a)に示す前記冷水
出力は急上昇と急低下を繰り返す変化挙動となる。この結果、図11(b)に示す前記C
OPも、3に達することなく非効率となっている。
<実施形態>
次に、図12により、本実施形態の場合の冷房運転挙動を説明する。図示において、前
記戻り温度制御部61Aにより前記同様の戻り温度制御が行われ、前記実戻り温度が目標
戻り温度(この例では10[℃])となるように圧縮機7の回転数が上昇を開始するが、
このとき併せて前記上限値決定部61Cが決定した回転数上限値による制限制御が実行さ
れる。すなわち、前記同様、運転開始当初において前記実戻り温度が約13℃(13℃よ
り若干高い温度)で前記目標戻り温度より約3℃高い(図12(c)の時間td1参照)
結果、図7の前記相関により温度ゾーンeとなり、圧縮機7の起動前の停止・起動ゾーン
であることから図8の前記相関により圧縮機7の回転数上限値が40[rps]に制限さ
れ(図12(d)の時間td1〜td2参照)、運転状態ゾーンの切替に必要な移行時間
のカウントがスタートする。
その後、前記実戻り温度が低下して12[℃]となると(前記目標戻り温度との偏差が
+2[℃]に縮まることで)、図7の前記相関により温度ゾーンdとなる。なお、この段
階では、前記図10と同様、前記運転状態ゾーンの切替に必要な移行時間(この例では停
止・起動ゾーン、eゾーンに対応した600[sec])に達していないことから、(図
8に示すように圧縮機1の稼働要求台数は1台となるものの)図8の前記運転状態ゾーン
は切り替わらず前記停止・起動ゾーンのままとなり、図8の前記相関により圧縮機7の回
転数上限値はさらに小さい35[rps]に制限される(図12(d)の時間td2〜t
d3参照)。これにより、前記実戻り温度の低下はそれまでよりも若干緩やかになる(図
12(c)の時間td2〜td3参照)。
そして、前記移行時間である運転開始後から600[sec]が経過すると、図8の運
転状態ゾーンが停止・起動ゾーンから、定常的な運転を表す定常運転ゾーンへと切り替わ
り、前記温度ゾーンdに対応して、図8の前記相関により圧縮機7の回転数上限値の制限
はより大きい79[rps]まで緩和され(図12(d)の時間td3〜td4参照)、
圧縮機7の回転数は前記戻り温度制御部61Aの前記戻り温度制御により当該79[rp
s]まで上昇する。これにより、前記実戻り温度の低下割合がそれまでよりもやや急にな
る(図12(c)の時間td3〜td4参照)。
その後、さらに前記実戻り温度が低下して約11[℃]となると(図12(c)の時間
td4参照)、(目標戻り温度との偏差が約+1[℃]となることから)図7の前記相関
により温度ゾーンcとなる。この結果、図8の前記相関により圧縮機7の回転数上限値は
やや小さい66[rps]に制限され、圧縮機7の実回転数が79[rps]から66[
rps]に一気に低下する(図12(d)の時間td4〜td5参照)。これにより、前
記実戻り温度の低下は再び緩やかになる(図12(c)の時間td4〜td5参照)。
前記緩やかな上昇により、その後前記実戻り温度が前記目標戻り温度を超えて低下し、
当該目標戻り温度との偏差が約−1[℃]となると、図7の前記相関により温度ゾーンb
となる。この結果、図8の前記相関により圧縮機7の回転数上限値はややさらに小さい5
1[rps]に制限され、圧縮機7の実回転数が66[rps]から51[rps]に一
気に低下する(図12(d)の時間td5参照)。これにより、前記実戻り温度は下げ止
まり、その後はゆっくりと上昇に転じる(図12(c)の時間td5〜td7参照)。
その後、圧縮機7の回転数は、あるタイミングからは前記戻り温度制御部61Aの前記
戻り温度制御により所定の割合で低下した後、その比較的低い回転数(下限回転数)にな
ると、移行時間のカウントがスタートする(図12(d)の時間td6参照)。図8に示
すように、定常運転ゾーンで温度ゾーンbでの圧縮機稼働要求台数は0台であり、時間t
d6から600[sec]が経過した段階で(時間td7参照)、図8の運転状態ゾーン
は再び定常運転ゾーン→停止・起動ゾーンへと切り替わる。この時点で実戻り温度は8[
℃]〜10[℃]の間であり、図7の前記相関により温度ゾーンbとなり、圧縮機7の回
転が停止される。
そして、前記のような経時推移に対応し、図12(a)に示す冷水出力は図11(a)
の比較例に比べれば比較的緩やかに推移し、図12(b)に示すCOPは最大で3.5を
上回り、高効率となり、図12(c)に示す実戻り温度は、目標戻り温度に対するアンダ
ーシュートが抑制されている。
<制御手順>
以上のような挙動を実現する、本実施形態の前記圧縮機制御部61(詳細には前記の戻
り温度制御部61A、温度ゾーン決定部61B、上限値決定部61C)により実行される
制御内容を、前記暖房運転時を例にとって図13及び図14により説明する。
図13において、まず、ステップS105で、前記圧縮機制御部61は、前記圧縮機7
が非稼働状態(すなわち前記図8の「停止・起動ゾーン」に該当する状態)でかつ前記温
度ゾーンd,e,f,gのいずれかに該当する状態であるか否か、を判定する。前記圧縮
機7が停止・起動ゾーンでかつ温度ゾーンd〜gのいずれかに該当する場合は判定が満た
され(S105:YES)、後述のステップS115に移る。それ以外の場合は、判定は
満たされず(S105:NO)、ステップS110に移る。
ステップS110では、前記圧縮機制御部61は、前記圧縮機7が停止していればその
停止状態を維持し、前記圧縮機7が起動していれば、公知の制御により前記圧縮機7を停
止する。その後、前記ステップS105に戻って同様の手順を繰り返す。
一方、ステップS105から移行したステップS115では、前記圧縮機制御部61は
、公知の制御により前記圧縮機7を起動する(既に起動した状態であれば、その起動状態
を維持する)とともに、前記温度ゾーン決定部61Bにより、前記圧縮機7の回転数の上
限値を決定する。すなわち、温度ゾーン決定部61Bが、前記実戻り温度と前記目標戻り
温度との前記偏差△T2に従い、前記図7(a)に示した相関(第1相関)を参照して対
応する温度ゾーンa〜gを決定するとともに、前記上限値決定部61Cにより、その決定
された温度ゾーンa〜gとその時点での前記圧縮機7の運転状態に対応した前記運転状態
ゾーンとに従い、前記図8に示した相関(第2相関)を参照して、前記圧縮機7の回転数
の上限値を決定する。その後、ステップS120に移る。
ステップS120では、前記圧縮機制御部61は、前記戻り温度センサ56Bにより検
出された前記実戻り温度(実水温)が、前記目標戻り温度(目標水温)未満であるか否か
を判定する。前記実戻り温度が前記目標戻り温度以上である場合は、判定が満たされず(
S120:NO)、前記ステップS105に戻って同様の手順を繰り返す。前記実戻り温
度が前記目標戻り温度未満である場合は、判定が満たされ(S120:YES)、ステッ
プS125に移る。
ステップS125では、前記圧縮機制御部61は、前記上限値決定部61Cにより、こ
の時点での圧縮機7の回転数が前記ステップS115で決定した前記上限値未満であるか
否かを判定する。前記上限値以上である場合は、判定が満たされず(S125:NO)、
ステップS130に移る。
ステップS130では、前記圧縮機制御部61は、前記上限値決定部61Cにより、前
記圧縮機回転数を、前記ステップS115で決定された前記上限値に制御する。その後、
後述するステップS140に移る。
一方、ステップS125において、圧縮機7の回転数が前記ステップS115で決定し
た前記上限値未満であった場合は、判定が満たされ(S125:YES)、ステップS1
35に移る。
ステップS135では、前記圧縮機制御部61は、前記戻り温度制御部61Aにより、
前記目標戻り温度と前記実戻り温度との前記偏差△T1に従い、前記図6(a)に示した
相関(第3相関)を参照して、対応する回転数となるように、圧縮機7の回転数を増加さ
せる。その後、ステップS140に移る。
ステップS140では、前記圧縮機制御部61は、前記した図8における運転状態ゾー
ン切り替えための移行時間(前記の例では600秒)が経過したか否かを判定する。60
0秒が経過していない場合は判定が満たされず(S140:NO)、前記ステップS10
5へ戻って同様の手順を繰り返す。600秒が経過していた場合は判定が満たされ(S1
40:YES)、後述の図14に示すステップS145に移る。
図14において、前記ステップS140から移行したステップS145では、前記圧縮
機制御部61は、前記圧縮機7が定常的な稼働状態(すなわち前記図8の「定常運転ゾー
ン」に該当する状態)でかつ前記温度ゾーンc,d,e,f,gのいずれかに該当する状
態であるか否か、を判定する。前記圧縮機7が定常運転ゾーンでかつ温度ゾーンc〜gの
いずれかに該当する場合は判定が満たされ(S145:YES)、後述のステップS15
5に移る。それ以外の場合は、判定は満たされず(S145:NO)、ステップS150
に移る。
ステップS150では、前記圧縮機制御部61は、前記上限値決定部61Cにより、前
記図8に示した相関(第2相関)を参照して、前記定常運転ゾーン、かつ、前記温度ゾー
ンa,bのいずれかのゾーン、に対応した、前記圧縮機7の回転数の上限値を決定する。
その後、後述のステップS160に移る。
一方、ステップS155では、前記圧縮機制御部61は、前記上限値決定部61Cによ
り、前記図8に示した相関(第2相関)を参照して、前記定常運転ゾーン、かつ、前記温
度ゾーンc〜gのいずれかのゾーン、に対応した、前記圧縮機7の回転数の上限値を決定
する。その後、ステップS160に移る。
ステップS160では、前記ステップS120と同様、前記圧縮機制御部61は、前記
戻り温度センサ56Bにより検出された前記実戻り温度(実水温)が、前記目標戻り温度
(目標水温)未満であるか否かを判定する。前記実戻り温度が前記目標戻り温度未満であ
った場合は判定が満たされ(S160:YES)、後述のステップS190に移る。前記
実戻り温度が前記目標戻り温度以上であった場合は判定が満たされず(S160:NO)
、ステップS165に移る。
ステップS165では、前記圧縮機制御部61は、前記上限値決定部61Cにより、こ
の時点での圧縮機7の回転数が、予め機構的に定まる所定の下限値(前述の下限回転数)
以下であるか否かを判定する。下限値より大きい場合は、判定が満たされず(S165:
NO)、ステップS170に移る。
ステップS170では、前記圧縮機制御部61は、前記戻り温度制御部61Aにより、
前記目標戻り温度と前記実戻り温度との前記偏差△T1に従い、前記図6(a)に示した
相関(第3相関)を参照して、対応する回転数となるように、圧縮機7の回転数を減少さ
せる。その後、前記ステップS145に戻り、同様の手順を繰り返す。
一方、前記ステップS165において、圧縮機7の回転数が前記下限値以下であった場
合は、判定が満たされ(S165:YES)、ステップS175に移る。
ステップS175では、前記圧縮機制御部61は、前記上限値決定部61Cにより、前
記圧縮機回転数を前記下限値に制御する。その後、ステップS180に移る。
ステップS180では、前記ステップS140と同様、前記圧縮機制御部61は、前記
した図8における運転状態ゾーン切り替えための移行時間(前記の例では600秒)が経
過したか否かを判定する。600秒が経過していない場合は判定が満たされず(S180
:NO)、前記ステップS145へ戻って同様の手順を繰り返す。600秒が経過してい
た場合は判定が満たされ(S180:YES)、ステップS185に移る。
ステップS185では、前記圧縮機制御部61は、公知の制御により前記圧縮機7を停
止する。その後、前記図13のステップS105に戻って同様の手順を繰り返す。
一方、前記ステップS160において、前記実戻り温度が前記目標戻り温度未満であっ
た場合は判定が満たされ(S160:YES)、ステップS190に移る。
ステップS190では、前記圧縮機制御部61は、前記上限値決定部61Cにより、こ
の時点での圧縮機7の回転数が、前記ステップS150又はステップS155で決定され
た上限値未満であるか否かを判定する。上限値以上であった場合は、判定が満たされず(
S190:NO)、ステップS195に移る。
ステップS195では、前記圧縮機制御部61は、前記上限値決定部61Cにより、前
記圧縮機回転数を、前記ステップS150又はステップS155で決定された前記上限値
に制御する。その後、前記ステップS145に戻って同様の手順を繰り返す。
一方、前記ステップS190において、圧縮機7の回転数が前記上限値未満であった場
合は、判定が満たされ(S190:YES)、ステップS200に移る。
ステップS200では、前記圧縮機制御部61は、前記戻り温度制御部61Aにより、
前記目標戻り温度と前記実戻り温度との前記偏差△T1に従い、前記図6(a)に示した
相関(第3相関)を参照して、対応する回転数となるように、圧縮機7の回転数を増加さ
せる。その後、前記ステップS145に戻り、同様の手順を繰り返す。
なお、圧縮機制御部61は、冷房運転時においても上記に準じた制御手順を実行する(
詳細な説明は省略)。
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の室外機1においては、圧縮機7の回転数を制御する
圧縮機制御部61を有し、圧縮機制御部61は、戻り温度制御部61Aを備える。この圧
縮機制御部61により、戻り温度センサ56Bが検出した実戻り温度が、メインリモコン
装置RMの操作に対応した目標戻り温度となるように制御される(いわゆる温調制御)。
これにより、暖房運転時において前記実戻り温度が前記目標戻り温度よりも低い場合や冷
房運転時において前記実戻り温度が前記目標戻り温度よりも高い場合には、圧縮機7の回
転数が上昇するように制御される。逆に、暖房運転時において前記実戻り温度が前記目標
戻り温度よりも高い場合や冷房運転時において前記実戻り温度が前記目標戻り温度よりも
低い場合には、圧縮機7の回転数が低下するように制御される。
そして本実施形態においては、圧縮機制御部61は、温度ゾーン決定部61Bと、上限
値決定部61Cとをさらに備える。温度ゾーン決定部61Bは、戻り温度センサ56Bが
検出した前記実戻り温度と、リモコン装置RMの操作に対応した前記目標戻り温度との偏
差に応じて、対応する温度ゾーンa〜gを決定する。そして、上限値決定部61Cは、前
記決定された温度ゾーンa〜gに対応して、圧縮機7の回転数の上限値を決定する。この
ときの決定は、圧縮機7の稼働状況(圧縮機7が停止・起動状態であるか定常運転状態で
あるか)に応じて行われる。そして、圧縮機7の回転数は、この決定された上限値を超え
ないように、制御される。
以上のようにして、圧縮機7の稼働状況及び温度ゾーンに応じて圧縮機7の回転数上限
値が決定されることにより、(前記温調制御における前記改良の余地を補う形で)前記暖
房運転時のオーバーシュート又は前記冷房運転時のアンダーシュートが起こるよりも前に
、圧縮機7の回転数を前記上限値によって抑えつつ、前記暖房運転時のオーバーシュート
又は前記冷房運転時のアンダーシュートが生じた後も、圧縮機7の回転数を前記上限値に
よって抑えることができる(図10(d)の時間tb2〜tb5、図12(d)の時間t
d2〜td5等参照)。この結果、それらオーバーシュートやアンダーシュートといった
前記実戻り温度と前記目標戻り温度との大きな乖離が発生するのを防止することができる
ので、冷温水の温度を迅速に目標戻り温度近くで安定化させることができる。この結果、
ユーザの快適性を向上することができる。また、前記のように負荷が低下したときにおい
ても比較的速やかに圧縮機7の回転数を低下させることができるので、消費電力を低減で
きる効果もある。
また、本実施形態では特に、前記実戻り温度と前記目標戻り温度との偏差△T2と対応
する温度ゾーンa〜gとの相関(第1相関)と、前記停止・起動状態、前記定常運転状態
ごとに、前記温度ゾーンa〜gと対応する前記圧縮機7の回転数上限値との相関(第2相
関)とが、室外機制御部CU内の前記メモリに記憶されている。そして、前記温度ゾーン
決定部61Bは、前記戻り温度センサ56Bにより検出された前記実戻り温度と前記目標
戻り温度との偏差に対し前記第1相関を参照して、対応する前記温度ゾーンa〜gを決定
し、前記上限値決定部61Bは、前記温度ゾーン決定部61Bにより決定された前記温度
ゾーンa〜gに対し、前記第2相関を参照して、対応する前記上限値を決定する。
このように、予め記憶されていた前記第1相関を利用して温度ゾーン決定部61Bが前
記偏差に対応した温度ゾーンa〜gを決定し、予め記憶されていた前記第2相関を利用し
て上限値決定部61Cが前記温度ゾーンa〜gに対応した圧縮機7の回転数上限値を決定
することにより、簡素な演算で確実に迅速な冷温水温度の安定化を図ることができる。
また、本実施形態では特に、前記戻り温度制御部61Aは、前記目標戻り温度と前記実
戻り温度との偏差△T1に係わる温度区分(図6(a)及び図6(b)参照)に応じて、
前記圧縮機7の回転数の変化量を増減する。これにより、戻り温度制御部61Aが実行す
る前記戻り温度制御において、前記目標戻り温度と前記実戻り温度との偏差に応じた圧縮
機7の回転数の増減を確実に行うことができる。
また、本実施形態では特に、前記複数の前記温度区分と、各温度区分にそれぞれ対応す
る前記圧縮機7の回転数の変化量との相関(第3相関)が、室外機制御部CU内の前記メ
モリに記憶されている。そして、前記戻り温度制御部61Aは、前記戻り温度センサ56
Bにより検出された前記目標戻り温度と前記実戻り温度との偏差に対応する前記温度区分
に対し、当該相関を参照して、対応する前記変化量を決定する。これにより、戻り温度制
御部61Aが実行する戻り温度制御において、予め記憶されていた前記第3相関を利用し
、前記圧縮機7の回転数の増減を簡単な演算で確実に行うことができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲
で種々の変更が可能である。例えば、以上においては、前記水−冷媒熱交換器11の入口
側(流入側)の前記冷温水戻り管3(詳細には共通戻り管3A)に前記戻り温度センサ5
6Bを設けて、前記戻り温度センサ56Bにより検出された温水又は冷水の前記実戻り温
度に応じて、前記圧縮機7の回転数を制御する、いわゆる戻り温度制御を行ったが、前記
水−冷媒熱交換器11の出口側(流出側)の前記冷温水往き管2(詳細には共通往き管2
A)に往き温度センサ56A(図3(a)及び図3(b)中2点鎖線参照)を設けて、前
記往き温度センサ56Aにより検出された温水又は冷水の実往き温度に応じて、前記圧縮
機7の回転数を制御する、いわゆる往き温度制御を行ってもよい。
また、上記においては、熱交換端末として、冷温水パネル51及びファンコイルユニッ
ト52が接続される場合を例にとって説明したが、これに限られず、冷房・暖房機能のう
ち少なくとも一方を備えた他の端末(吸熱・放熱端末)、例えば暖房パネル、床暖房パネ
ル、ラジエータ、コンベクター等を接続する場合に本発明を適用してもよい。また、上記
実施形態では、2台の熱交換端末が接続される場合を例にとって説明したが、これに限ら
れない。すなわち3台以上の熱交換端末や1台の熱交換端末のみが接続される構成でも良
い。
また、上記実施形態では、熱源機として、熱源側熱交換器としてのヒートポンプ交換器
8に冷媒を通じる一方で外気を送風する室外ファン10を有し、熱源としての外気と前記
冷媒とが熱交換される、空気熱源式のヒートポンプである前記室外機1を使用した場合を
例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、熱源機を、熱源側熱交換器に対し
て水や不凍液が供給されそれらの液体と冷媒とが当該熱源側熱交換器において熱交換する
構成のものとしてもよい。
また、地中又は比較的大容量の水源中に熱源側熱交換器を設け、この熱源側熱交換器で
前記地中又は前記水源と冷媒とが熱交換する構成のものとしてもよい。さらには、前記地
中又は前記水源の熱を用いたヒートポンプ回路と空気熱を用いた別のヒートポンプ回路と
を備えた複合熱源型の構成としてもよい。
さらには、熱源側熱交換器において前記冷媒と熱交換できるものであれば、前記液体や
前記外気や前記水源に代えて、それ以外のもの(例えば、発煙、排煙、各種高温ガス等を
含む気体や、熱砂、塵埃、各種粒子等を含む流動固体)を熱源側熱交換器に通じたり、太
陽光、反射光、その他輻射等による熱を熱源側熱交換器に供給して用いる構成としても良
い。
1 室外機(ヒートポンプ熱源機)
7 圧縮機
8 ヒートポンプ熱交換器
9 膨張弁
11 水−冷媒熱交換器(負荷側熱交換器)
51 冷温水パネル(室内端末機)
52 ファンコイルユニット(室内端末機)
56B 戻り温度センサ(実温度検出手段)
61 圧縮機制御部(圧縮機制御手段)
61A 戻り温度制御部(温調制御手段)
61B 温度ゾーン決定部(温度ゾーン決定手段)
61C 上限値決定部(上限値決定手段)
RM メインリモコン装置(操作手段)

Claims (4)

  1. 圧縮機、膨張弁、ヒートポンプ熱交換器を備えたヒートポンプ装置から供給される冷媒と負荷側循環液とを熱交換させる負荷側熱交換器と、
    前記負荷側循環液の実温度を検出する実温度検出手段と、
    前記圧縮機の回転数を制御する圧縮機制御手段と、
    を有し、
    前記圧縮機制御手段は、
    前記実温度検出手段により検出された前記実温度が、所定の目標温度となるように、前記圧縮機の回転数を制御する温調制御手段と、
    前記実温度と前記所定の目標温度との偏差により定まる温度ゾーンを決定する温度ゾーン決定手段と、
    前記圧縮機が停止・起動状態か定常運転状態かに応じ、前記温度ゾーンに対応する前記圧縮機の回転数の上限値を決定する上限値決定手段と、
    を備え、
    前記上限値を超えないように前記圧縮機の回転数を制御す
    ートポンプ熱源機において、
    前記偏差と対応する温度ゾーンとの第1相関を記憶した第1記憶手段と、
    前記停止・起動状態、前記定常運転状態ごとに、前記温度ゾーンと対応する前記上限値との第2相関を記憶した第2記憶手段と、
    をさらに有し、
    前記温度ゾーン決定手段は、
    前記実温度検出手段により検出された前記実温度と前記所定の目標温度との偏差に対し、前記第1相関を参照して、対応する前記温度ゾーンを決定し、
    前記上限値決定手段は、
    前記温度ゾーン決定手段により決定された前記温度ゾーンに対し、前記第2相関を参照して、対応する前記上限値を決定し、
    前記第2相関は、
    前記停止・起動状態における前記温度ゾーンと対応する前記上限値との停止・起動側第2相関と、前記定常運転状態における前記温度ゾーンと対応する前記上限値との定常運転側第2相関と、が別々に定められており、
    前記停止・起動側第2相関及び前記定常運転側第2相関のそれぞれにおいては、前記停止・起動状態と前記定常運転状態との間の変化に応じて、当該停止・起動側第2相関及び当該定常運転側第2相関の間を相互に移行する際に待機すべき移行時間が定められており、
    前記上限値決定手段は、
    前記移行時間が経過する前は、前記停止・起動側第2相関及び前記定常運転側第2相関のうち、移行前の側の第2相関を参照して対応する前記上限値を決定し、
    前記移行時間が経過した後は、前記停止・起動側第2相関及び前記定常運転側第2相関のうち、移行後の側の第2相関を参照して対応する前記上限値を決定する
    ことを特徴とするヒートポンプ熱源機。
  2. 前記温調制御手段は、
    前記実温度と前記所定の目標温度との偏差に係わる温度区分に応じて、前記圧縮機の回転数の変化量を増減する
    ことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ熱源機。
  3. 複数の前記温度区分と、各温度区分にそれぞれ対応する前記圧縮機の前記回転数の前記変化量との第3相関を記憶した第3記憶手段と、
    をさらに有し、
    前記温調制御手段は、
    前記実温度検出手段により検出された前記実温度と前記所定の目標温度との偏差に対応する前記温度区分に対し、前記第3相関を参照して、対応する前記変化量を決定する
    ことを特徴とする請求項2記載のヒートポンプ熱源機。
  4. 前記移行時間のカウントは、
    前記停止・起動状態における前記温度ゾーン決定手段の決定により前記停止・起動側第2相関内において前記温度ゾーンが変化する場合、及び、前記定常運転状態における前記温度ゾーン決定手段の決定により前記定常運転側第2相関内において前記温度ゾーンが変化する場合、のいずれにおいても、中断せずに継続される
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のヒートポンプ熱源機。
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