JP6980655B2 - 異所性脂肪蓄積治療用a3アデノシン受容体リガンド - Google Patents

異所性脂肪蓄積治療用a3アデノシン受容体リガンド Download PDF

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Description

本開示は、AARリガンドの医学的な使用に関する。
本開示の主題に背景として関連すると考えられる文献は以下の通りである。
国際特許出願公開WO09/050707
国際特許出願公開WO2013/111132
本明細書における上記文献の認識は、ここに開示された主題の特許性に関連することを意味するものではない。
[発明の背景]
Giタンパク質に関連する細胞表面Aアデノシン受容体(AAR)は、癌細胞や炎症細胞、また、関節リウマチやクローン病などの様々な自己免疫炎症疾患を罹患している患者から取り出した末梢血単核細胞(PBMCs)中で過剰発現する。
ARアゴニスト2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−アデノシン−5’−N−メチルウロナミド(Cl−IB−MECA)などの特異性の高いリガンドを用いたGiタンパク質に関連する細胞表面Aアデノシン受容体(AAR)の活性化は、国際特許出願公開WO09/050707に開示されているように、肝細胞増殖を誘発することが分かっている。
さらに、国際特許出願公開WO2013/111132は、肝細胞癌(HCC)の治療および、慢性肝臓疾患を有する患者の肝臓機能の維持にCl−IB−MECAを使用することを記載している。
本開示は、第1の態様によれば、患者の組織内の異所性脂質蓄積低減用のAアデノシン受容体(AAR)リガンドを提供している。
本開示は、第2の態様によれば、患者の細胞内の異所性脂質蓄積を低減する方法を提供しており、この方法は、ある量のAARリガンドを患者に投与するステップを具える。
本開示は、第3の態様によれば、異所性脂質蓄積を低減する医薬組成物の製造用のAARリガンドの使用を提供している。
さらに、本開示は第4の態様によれば、薬学的に受容可能なキャリアと、活性成分として患者の組織内の異所性脂質蓄積を低減するのに有効な量のAARリガンドを含む、医薬組成物を提供する。
最後に、本開示は第5の態様によれば、AARリガンドを含む医薬組成物と、対象の組織中の異所性脂質蓄積を低減する医薬組成物の使用指示とを具える、キットを提供している。
いくつかの実施例では、AARリガンドが、肝臓内の脂肪蓄積の低減に使用される。
更なるいくつかの実施例では、AARリガンドが、AARアゴニスト、好ましくは、対象の肝臓内の脂肪蓄積を治療に使用する、あるいは対象の肝臓内の脂肪蓄積に関する症状の治療に使用する、2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−アデノシン−5−N−メチルウロナミド(Cl−IB−MECA、ここでCF102ともいう)である。
本明細書に開示されている主題をより良く理解するために、また、この主題が実際どのように実行されるのかを例示するために、添付の図面を参照して、非限定的な例として、以下に実施例を説明する。
図1は、治療を行わなかったマウス(ビークル)と比較して、3週間毎日CF102を投与したマウスのNASH肝臓における肝臓対身体の体重比の低下を示す棒グラフである。 図2Aと2Bは、治療を行わなかったマウス(ビークル)と比較して、3週間CF102を毎日投与したNASHマウスにおける、血漿ALTレベル(図2A)と、トリグリセリドレベル(図2B)の低下を示す棒グラフである。 図3A乃至3Dは、2つの異なる倍率×50及び×200での、CF102で治療した群からの組織学的肝臓切片(それぞれ、図3Cと3D)、及び、ビークル(DMSO)処理した群からの組織学的肝臓切片(それぞれ、図3Aと3B)を示す。 図4は、濃度200μg/kgのCF102で治療した後のNAFLD活動性スコアの減少を示すグラフである。 図5は、ビークルに比較した炎症NASスコアの低減における、200μg/kgの濃度におけるCF102の効果を示す棒グラフである。
本開示は、2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−アデノシン−5’−N−メチルウロナミド(Cl−IB−MECA、ここでCF102ともいう)であり、AARに高い親和性と選択性をもつAアデノシン受容体(AAR)アゴニストが、マウス実験モデルにおける非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の改善を誘導するとの発見に基づくものである。この予想されない改善は、とりわけ、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)における肝臓重量対体重の低減によって、終点と考えられるNAFLDスコア(図4)によって、及び、コントロールビークルに比較したNAS炎症スコアの低減(図5)によって、示される。
これらの発見に基づいて、発明者らは、AARアゴニスト又はAARアロステリック強化剤であるAARの活性化因子(図4)が、異所部位における脂肪/脂質の蓄積を低減する有効なツールであると、結論づけられている。
したがって、本発明の第1の態様によれば、本開示は、例えば、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、特に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)といった、脂肪蓄積に関連する症状を有する対象の組織中の、異所性脂肪蓄積の低減に使用するAARリガンドを提供している。
以下の説明において、異所性脂質蓄積の低減に使用するAARリガンドに言及する場合は、AARリガンドの投与による異所性脂質蓄積を低減する方法に;異所性脂質蓄積を低減する医薬組成物の製造に使用するAARリガンドの使用に;薬学的に許容可能なキャリアと、活性成分として異所性脂質蓄積を低減するのに有効な量のAARリガンドとに;また、この医薬組成物と、医薬組成物を異所性脂質蓄積の低減に使用する指示書とを具えるキットに;及ぶと解釈するべきである。
本開示のコンテキストにおいて、脂質蓄積に言及する場合は、脂肪蓄積と同じ意味であると解するべきである。本発明のコンテキストにおいて、異所性脂肪蓄積は、脂質、特に、脂肪組織以外の組織及び/又は臓器、すなわち、通常の(健康な)状態にある脂質(脂肪/脂肪細胞)のない細胞中のトリグリセリドの沈着又は蓄積を表すのに使用される。異所性脂肪沈着は、腹部の脂肪蓄積(皮下/周辺脂肪沈着とは反対に)と認識され、肝臓や、骨格筋、心臓、及び膵臓に生じる。異所性脂肪沈着は望ましくなく、インスリン抵抗などの健康合併症を引き起こすため、その予防又は低減が望まれている。
好ましい実施例では、AARリガンドを肝臓の脂質蓄積の低減に用いている。
いくつかの実施例では、脂質蓄積の低減が、NAFLD及び/又はNASHを罹患していると診断された対象者の人数である。
NAFLDは、必ずしも炎症があるわけではなく、脂肪肝が炎症がないままであることもある。さらに、脂肪肝では、肝臓は正常に機能し、細胞内の脂肪の蓄積を除いて、顕微鏡では正常に見える。さらに、NAFLD肝臓では、血液検査範囲通常正常であるか、肝臓で作られる二つの酵素、血清ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)及び/又は血清AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)に若干上昇がみられるだけである。
異所性脂肪蓄積状態の下に通常蓄積する脂肪は、限定するものではないが、グリセライド(モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド)を含み、コレステロールなどのステロールも含む。
一の実施例では、脂質沈着の低減は、少なくとも組織中のトリグリセリド(TG)のレベルの低減によって示される。このコンテキストでは、TGレベルの低減は、医療パラメータの下で有意であるとして決めるべきである。これは、少なくとも一の前回の測定時点(一日またはそれ以上、1週間又はそれ以上、又は、1カ月またはそれ以上)のTGレベルに比べて、TGレベルの少なくとも5%の低減を含む。
脂質が沈着した組織が肝臓である場合、脂質沈着の低減は、以下のうち一つによって表すことができる:
肝臓重量対体重比の低減
低減したアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル
炎症についてのNASスコアの低減。
一の実施例では、AARリガンドが非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)後の治療に使用される。
NAFLDは、アルコール依存歴のない患者の肝臓に脂肪が蓄積している状態である。NAFLDは、単純な脂肪変性と、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に分類される。NASHでは、脂肪変性のみならず小葉内炎症と肝細胞肥大が存在し、しばしば、進行性繊維症を伴う。本開示のコンテキストでは、上述の、すなわち、単純な脂肪変性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、小葉内炎症、進行性繊維症のうちのいずれかの治療であり、各々が、本開示による独立した実施例を構成している。
長期にわたるNASHは、肝硬変に進行することがあり、肝細胞がん(HCC)になることがある。したがって、いくつかの実施例では、本開示はNAFLD、あるいは特にNASHの治療による肝硬変や肝細胞癌(HCC)などの肝臓疾患の予防を提供する。
したがって、一の実施例では、本開示は、肝臓疾患を発症しやすい体質の対象における肝臓疾患を予防するためのAARリガンドの使用を提供する。この肝臓疾患を発症する対象の体質は、肝臓内に蓄積された脂肪の存在又はNAFLDの存在によって決まる。
本開示のコンテキストにおいて、「Aアデノシン受容体リガンド」又は「AARリガンド」は、直接的(例えば、受容体結合部位を介して)又は間接的(例えば、アロステリック結合部位を介して)に、Aアデノシン受容体の活性を強化できる化合物を意味し、これには、Aアデノシン受容体の全体的活性化又は部分的活性化が含まれる。AARリガンドは、このように、活性化が結合部位を介しているか、アロステリック結合部位を介しているかにかかわらず、AARの活性の強化を介してプライム効果を発揮する分子である。これは、その投与量で投与されることを意味し、AARのみに実質的に影響を与える。
一の実施例では、「Aアデノシン受容体リガンド」が、AARアゴニストである。
別の実施例では、「Aアデノシン受容体リガンド」が、AARアロステリック強化剤である。
「Aアデノシン受容体アゴニスト」又は「AARアゴニスト」という場合、Aアデノシン受容体に特異的に結合できるリガンドを意味すると理解すべきである、これによって、完全にあるいは部分的に、アデノシン受容体を活性化する。AARアゴニストは、したがってAARの結合又は活性化を介してプライム効果を発揮する分子である。このことは、その投与量で、実質的に、AARのみに結合し、AARのみを活性化することを意味する。
一の実施例では、AARアゴニストは、100nMより少ない、典型的には50nMより少ない、好ましくは20nMより少ない、より好ましくは10nMより少ない、理想的には5nMより少ない範囲で、ヒトAARへの結合親和性(Ki)を有する。特に好ましくは、2nMより少ない、望ましくは1nMより少ない、ヒトAARへのKiを有するAARアゴニストである。
しかしながら、いくつかのAARアゴニストも、低い親和性(すなわち、より高いKi)で、その他の受容体と相互作用し、その受容体を活性化させることができる。
分子は、そのAARに対する親和性が、その他のアデノシン受容体(すなわち、A、A2a及びA2b)に対する親和性より、少なくとも3倍(すなわち、AARに対するKiが少なくとも3倍低い)、好ましくは10倍、望ましくは20倍、最も好ましくは50倍大きい場合は、本発明のコンテキストにおけるAARアゴニストと考えられるであろう(すなわち、AARの結合又は活性化を介してプライム効果を発揮する分子)。
ヒトAARに対するAARの親和性、並びにその他のヒトアデノシン受容体に対する相対的な親和性は、結合アッセイなどのアッセイの数によって決まる。結合アッセイの例には、受容体を含むメンブレンを提供して、AARアゴニストの結合した放射性アゴニストを置換する能力を測定するステップと;各ヒトアデノシン受容体を表示する細胞を利用して、機能性アッセイにおいて、そのケースがcAMPレベルの上昇又は下降を通じて測定したアデニル酸シクラーゼに対する効果などの、下流シグナル伝達事象である場合に、AARアゴニストの活性化又は不活性化能力を測定するステップと;その他のステップを具える。AARアゴニストの投与レベルが上がって、血液レベルがA、A2a、A2bアデノシン受容体のKiのものに近いレベルに達する場合、AARの活性化に加えて、このような投与に続いてこれらの受容体の活性化が生じる。したがって、AARアゴニストは、血液レベルが実質的にAARのみが活性化されるであろうというレベルである投与量で投与することが好ましい。
一の実施例では、AARアゴニストがプリン骨格を持つ分子である。いくつかの実施例では、化合物を含むプリンが、受け入れ可能な構造−機能活性アッセイに基づいてAARアゴニストとして測定できる。
いくつかのAARアゴニストとその製造方法の特徴は、とりわけ、US5,688,774に詳細に述べられている。US5,773,423、US5,573,772、US5,443,836、US6,048,865、WO95/02604、WO99/20284、WO99/06053、WO97/27173及びWO01/19360は、全て引用により本明細書に組み込まれている。
本開示のいくつかの実施例によると、AARアゴニストが一般式(I)の範囲に入るプリン誘導体である:
Figure 0006980655
ここで、R11は、アルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、又はシアノアルキル、又は以下の一般式(II)の基を表す*
Figure 0006980655
ここで、
Yは、酸素、硫黄、又はCHであり;
11はH、アルキル、RNC(=O)−、又はHOR−であり、ここで、
及びRは、同じであっても異なっていてもよく、水素、アルキル、アミノ、ハロアルキル、アミノアルキル、BOC−アミノアルキル、及びシクロアルキルからなる群から選択されるか、あるいは、互いに結合して、2乃至5の炭素原子を含む複素環を形成している;及び
は、アルキル、アミノ、ハロアルキル、アミノアルキル、BOC−アミノアルキル、及びシクロアルキルからなる群から選択される;
12は、H、ヒドロキシル、アルキルアミノ、アルキルアミド、又はヒドロキアルキルであり;
13とX14は、独立して、水素、ヒドロキシル、アミノ、アミド、アジド、ハロ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、ニトリロ、ニトロ、トリルオロ、アリール、アルカリル、チオ、チオエステル、チオエーテル、−OCOPh、−OC(=S)OPh、またはX13とX14の両方が>C=Sに結合して5員環を形成する酸素である、又はX12とX13が式(III)の環を形成している:
Figure 0006980655
ここで、R’とR”は、独立してアルキル基を表す;
12は、水素、ハロ、アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、アルキルアミノ、アルコキシ、チオアルコキシ、ピリジルチオ、アルケニル、アルキニル、チオ、及びアルキルチオからなる群から選択され;
13は、式 −NR1516の基であり、
ここで、
15は、水素原子または、アルキル、O、S、又は上述の意味を持つRを伴うNRaであるZで置換されたらアルキル又はアリール−NH−C(Z)−、から選択された基であり;ここで、R15が水素であるとき
16は、R−とS−1−フェニルエチル、ベンジル、フェニルエチル、非置換の、又は、一またはそれ以上の位置で、アルキル、アミノ、ハロ、ハロアルキル、ニトロ、ヒロドキシル、アセトアミド、アルコキシ、又はスルホン酸又はその塩からなる群から選択された置換基で置換されたアニリド基からなる群から選択される、ベンゾジオキサンメチル、フルリル、L−プロピララニル−アミノベンジル、β−アラニルアミノ−ベンジル、T−BOC−β−アラニルアミノベンジル、フェニルアミノ、カルバモイル、フェノキシ又はシクロアルキルである;又は
16は、以下の式(VI)の基である
Figure 0006980655
または、R15がアルキル又はアリール−NH−C(Z)−であるとき、R16は、ヘテロアリール−NRa―C(Z)−、ヘテロアリール−C(Z)−、アルカリル−NRa−C(Z)−、アルカリル−C(Z)−、アリール−NR−C(Z)−、及びアリール−C(Z)−からなる群から選択され;Zは、酸素、硫黄、又はアミンを表す。
例示的なAARアゴニスト(US5,688,774、コラム4、67行乃至コラム6、16行;コラム5、40乃至45行;コラム6、21乃至42行;コラム7、1乃至11行;コラム7、34乃至36行;及びコラム7、60乃至61行)は:
−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−9−ヒドロキシエチルアデニン;
R−N−(3−ヨードベンジル)−9−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アデニン;
S−N−(3−ヨードベンジル)−9−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アデニン;
−(3−ヨードベンジルアデニン−9−イル)酢酸;
−(3−ヨードベンジル)−9−(3−シアノプロピル)アデニン;
2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
2−アミノ−N−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
2−ヒドラジド−N−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−2−メチルアミノ−9−メチルアデニン;
2−ジメチルアミノ−N−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−9−メチル−2−プロピルアミノアデニン;
2−ヘキシルアミノ−N−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−2−メトキシ−9−メチルアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−9−メチル−2−メチルチオアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−9−メチル−2−(4−ピリジルチオ)アデニン;
(1S,2R、3S,4R)−4−(6−アミノ−2−フェニルエチルアミノ−9H−プリン−9−イル)シクロペンタン−1,2,3−トリオール;
(1S,2R、3S,4R)−4−(6−アミノ−2−クロロ−9H−プリン−9−イル)シクロペンタン−1,2,3−トリオール;
(±)−9−[2α、3α−ジヒドロキシ−4β−(N−メチルカルバモイル)シクロペント−1β−イル)]−N−(3−ヨードベンジル)−アデニン;
2−クロロ−9−(2’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−β−D−5’−メチル−アラビノ−フロナミド)−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
2−クロロ−9−(2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロ−β−D−5’−メチル−アラビノフロナミド)−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
9−(2−アセチル−3−デオキシ−β−D−5−メチル−リボフロナミド)−2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−アデニン;
2−クロロ−9−(3−デオキシ−2−メタンスルホニル−β−D−5−メチル−リボフロナミド)−N−(3−ヨードベンジル)−アデニン;
2−クロロ−9−(3−デオキシ−β−D−5−メチル−リボフロナミド)−N−(3−ヨードベンジル)−アデニン;
2−クロロ−9−(3,5−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキシル−β−D−5−リボフラノシル)−N−(3−ヨードベンジル)−アデニン;
2−クロロ−9−(2,3’−O−チオカルボニル−β−D−5−メチル−リボフロナミド)−N−(3−ヨードベンジル)−アデニン;
9−(2−フェノキシチオカルボニル−3−デオキシ−β−D−5−メチル−リボフロナミド)−2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−アデニン;
1−(6−ベンジルアミノ−9H−プリン−9−イル)−1−デオキシ−N,4−ジメチル−β−D−リボフラノシデュロナミド;
2−クロロ−9−(2,3−ジデオキシ−β−D−5−メチル−リボフロナミド)−Nベンジルアデニン;
2−クロロ−9−(2’−アジド−2’、3’−ジデオキシ−β−D−5’−メチル−アラビノ−フロナミド)−Nベンジルアデニン;
2−クロロ−9−(β−D−5−エリトロフラノシド)−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
−(ベンゾジオキサンメチル)アデノシン;
1−(6−フルフリルアミノ−9H−プリン−9−イル)−1−デオキシ−N−メチル−β−D−リボフラノシデュロナミド;
−[3−(L−プロリルアミノ)ベンジル]アデノシン−5’−N−メチルウロナミド;
−[3−(β−アラニルアミノ)ベンジル]アデノシン−5’−N−メチルウロナミド;
−[3−(N−T−Boc−β−アラニルアミノ)ベンジル]アデノシン−5’−N−メチルウロナミド;
6−(N’−フェニルヒドラジニル)プリン−9−β−リボフラノシド−5’−N−メチルウロナミド;
6−(O−フェニルヒドロキシアミノ)プリン−9−β−リボフラノシド−N−メチルウロナミド;
9−(β−D−2’,3’−ジデオキシエリトロフラノシル)−N−[3−(β−アラニルアミノ)ベンジル]アデノシン;
9−(β−D−エリトロフラノシド)−2−メチルアミノ−N−(3−ヨードベンジル)−アデニン;
2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−9−(2−テトラヒドロフリル)−9H−プリン−6−アミン;
2−クロロ−(2’−デオキシ−6’−チオ−L−アラビノシル)アデニン;及び
2−クロロ−(6’−チオ−L−アラビノシル)アデニン。
US5,773,423に開示されているその他の例示的なAARアゴニストは、式(V)の化合物である:
Figure 0006980655
ここで、
は、RNC(=O)であり、RとRは同じであるか異なっていてもよく、水素、C−C10アルキル、アミノ、C−C10ハロアルキル、C−C10アミノアルキル、及びC−C10シクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、ハロ、C−C10アルコキシ、アミノ、C−C10アルケニル、及びC−C10アルキニルからなる群から選択され;
は、R−及びS−1−フェニルエチル、非置換ベンジル基、及び一またはそれ以上の位置で、C−C10アルキル、アミノ、ハロ、C−C10ハロアルキル、ニトロ、ヒドロキシ、アセトアミド,C−C10アルコキシ及びスルホからなる群から選択された置換基で置換されたベンジル基、である。
より特定の化合物には、上述の式のものがあり、ここで、RとRは同じであるか異なっていてもよく、特に、Rが水素又はハロ、特に水素である場合は、水素とC−C10アルキルからなる群から選択される。
さらに特定の化合物は、特に、Rが非置換ベンジルである場合、Rが水素であり、R2は水素である。
さらに特定の化合物は、このような化合物であり、RがC−C10アルキル又はC−C10シクロアルキル、特に、C−C10アルキル、より好ましくはメチルである。
特に好ましい化合物は、Rが水素、RがC1−C10アルキル又はC3−C10シクロアルキルであり、RがR−又はS−1−フェニルエチルか、一またはそれ以上の位置で、ハロ、アミノ、アセトアシド、C−C10ハロアルキル、及びスルホからなる群から選択された置換基で置換されたベンジルであり、ここで、スルホ誘導体は、トリエチルアンモニウム塩などの、化合物である。
US5,773,423に開示されている、特に好ましい化合物の例は、N−(3−ヨードベンジル)−2−メチルアミノ−9―[5(メチルアミド)−β−D−リボフラノシル]−アデニンである。これは、また、N−(3−ヨードベンジル)−アデノシン−5’−N−メチルウロナミド、あるいは、1−デオキシ−1−[6[[(3−ヨードベンジル)メチル]アミノ]−9H−プリン−9−イル−N−メチル−D−リボフラヌロンアミドとして知られており、又は略したIB−MECAともいう。
さらにRが、式Rd−C=C−,ここで、RがC−Cアルキルである、C−C10アルケニレンであるこれらの化合物は、特別にUS5,773,423にも記載されている。
また、特別なのは、Rが水素以外である化合物であり、特に、Rがハロ、C−C10アルキルアミノ、又はC−C10アルキルチオであるものであり、特に好ましいのは、追加的に、Rが水素、RがC−C10アルキル、及び/又はRが置換ベンジルである化合物である。
米国特許US5,773、423に開示されている更なる例示的AARアゴニストは、式(VI)−を有するキサンチン−7−リボサイドで修飾されている。
Figure 0006980655
ここで、
XはOであり;
は、RNC(=O)、ここで、RとRは同じであるか異なっていてもよく、水素、C−C10アルキル、アミノ、C−C10ハロアルキル、C−C10アミノアルキル、及びC−C10シクロアルキルからなる群から選択される;
とRは、同じであるか異なっていてもよく、C−C10アルキル、R−及びS−1−フェニルエチル、非置換ベンジル基、及び一またはそれ以上の位置で、C−C10アルキル、アミノ、ハロ、C−C10ハロアルキル、ニトロ、ヒドロキシ、アセトアミド、C−C10アルコキシ、及びスルホからなる群から選択された置換基で置換されたベンジル基であり;
は、ハロ、ベンジル、フェニル、及びC−C10シクロアルキルからなる群から選択される。
WO99/06053は、実施例に以下から選択された19−33の化合物を開示している:
−(4−ビフェニル−カルボニルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−(2,4−ジクロロベンジル−カルボニルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−(4−メトキシフェニル−カルボニルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−(4−クロロフェニル−カルボニルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−(フェニル−カルボニルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−(ベンジルカルバモイルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−(4−スルホンアミド−フェニルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−(4−アセチル−フェニルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−((R)−α−フェニルエチルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−((S)−α−フェニルエチルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド
−(5−メチル−イソキサゾール−3−イル−カルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−((1,3,4−チアジアゾール−2−イル−カルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−(4−n−プロポキシ−フェニルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;
−ビス−(4−ニトロフェニルエチルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド;及び
−ビス−(5−クロロ−ピリジン−2−イル−カルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロナミド。
特に開示されている化合物には:
2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−9−[5−(メチルアミド)−β−D−リボフラノジル]−アデニン、これは、2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−アデノシン−5’−N−メチルウロナミド、略してCl−IB−MECAとも呼ばれる;
−(3−ヨードベンジル)−2−メチルアミノ−9−[5−(メチルアミド)−β−D−リボフラノジル]−アデニン、これは、N−(3−ヨードベンジル)アデノシン−5’−N−メチルウロナミド、または、1−デオキシ−1−[6−[[(3−ヨードフェニル)メチル]アミノ]−9H−プリン−9−イル]−N−メチル−D−リボフランウロナミド、あるいは略してIB−MECAとも呼ばれる;
−2−(4−アミノフェニル)エチルアデノシン(APNEA);
−(4−アミノ−3−ヨードベンジル)アデノシン−5’−(N−メチルウロナミド)(AB−MECA);がある。
特定の一実施例では、本開示によるCl−IB−MECAが異所性脂質蓄積の低減に使用されている。
「A3ARアロステリック強化」という場合、その内因性リガンドまたはアゴニストの結合部位とは異なる、受容体のアロステリック部位におけるアロステリックエフェクタ分子の結合によって、受容体の活性化の正の制御、活性化、又は香料を意味するものと解するべきである。
一の実施例では、「強化」は、受容体のアロステリック部位へのエフェクタ化合物の結合、及び/又は、オルソステリック結合部位へのアデノシン又はAARの解離速度の低減による、Aアデノシン受容体の有効性における少なくとも15%の上昇によってあらわされた受容体のエフェクタ化合物の効果を意味する。
一の実施例では、この強化は、「AARアロステリックエンハンサー」又は、イミダゾキノリン誘導体である「AARAE」による。
一の実施例では、AARエンハンサー、又はイミダゾキノリン誘導体は、以下の一般式(VII)で表される:
Figure 0006980655
ここで:
は、芳香環において、C−C10アルキル、ハロ、C−C10アルカノール、ヒドロキシル、C−C10アシル、C−C10アルコキシル;C−C10アルコキシカルボニイ、C−C10アルコキシアルキル;C−C10チオアルコキシ;C−C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C−C10アルキルアミノ、ピリジルチオ、C−C10アルケニル;C−C10アルキニル、チオ、C−C10アルキルチオ、アセトアミド、スルホン酸からなる群から選択される1又はそれ以上の置換基で任意に置換されたアリール又はアルカリルを表し;又は、前記置換基は、前記アリールが非置換フェニル基でなければ、共にシクロアルキル又は前記アリールに融合したシクロアルケニルを形成でき、前記シクロアルキル又はシクロアルケニルは1又はそれ以上のヘテロ原子を含む。
は、水素、又は、C−C10アルキル、C−C10アルケニル;C−C10アルキニル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、5ないし7員の複素環式芳香環、C−C15融合シクロアルキル、二環性芳香環又は複素環;C−C10アルキルエーテル、アミノ、ヒドラジド、C−C10アルキルアミノ、C−C10アルコキシ、C−C10アルコキシカルボニイ、C−C10アルカノール、C−C10アシル、C−C10チオアルコキシ、ピリジルチオ、チオ、及びC−C10アルキルチオ、アセトアミド及びスルホン酸;及びこれらの薬学的に許容可能な塩、からなる群から選択された置換基を表す。
いくつかの実施例によると、AARAE中のR置換基は、以下の一般式(VIII)で表される:
Figure 0006980655
ここで、nは0又は1−5から選択された整数であり;好ましくは、nは0、1、又は2である;及び
とXは同じであっても異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル、アルカノール又はアルコキシ、インデニル、nが0で、X及びXが水素でない場合はピロリンから選択される。
さらなるいくつかの実施例では、AARAE中のRが、上述の式(VIII)を有する置換基であり、ここで、同じであっても異なっていてもよく、水素、クロロ、メトキシ、メタノールから選択されるか、あるいは、式(VIIIa)又は(VIIIb)を有する置換基である:
Figure 0006980655
ここで、Yは、N又はCHから選択される。
更なるいくつかの実施例では、AARAE中のRが、H、C10アルキル、C10シクロアルキルから選択され、そのアルキル鎖は、直鎖又は分岐アルキルであってもよく、あるいは、4ないし7の員のシクロアルキル環を形成していてもよい。
一の実施例では、AARAE中のRが,5ないし7員の複素芳香環である。
いくつかの実施例では、AARAE中のR置換基が、H、n−ペンチル、又は、以下の式(IX)を有する5員複素芳香環である:
Figure 0006980655
ここで、Zは、O、S又はNHから選択され、好ましくはOである。
一の実施例では、AARAE中のRが、一またはそれ以上の縮合環を具えており、特に、二環性の置換基を形成している。
本発明のコンテキストにおいて、この置換基を形成するのに使用できる二環性の化合物の非限定的な例は、ビシクロ[2.2.1]へプタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシル酸、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシル酸、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン−2−カルボキシル酸、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシル酸、及びビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボキシル酸である。
その他のいくつかの実施例によれば、AARAE中のRが2−シクロヘキサンと3−シクロヘキサンから選択される。
ARのアロステリックエフェクタとして使用できる、特定のイミダゾキノリン誘導体は以下の通りである:
N−(4−メチル−フェニル)−2−シクロペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(4−メトキシ−フェニル)−2−シクロペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(3、4−ジクロロ−フェニル)−2−シクロペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(4−クロロ−フェニル)−2−シクロペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(3−メタノール−フェニル)−2−シクロペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−([3,4−c]インダン)−2−シクロペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(1H−インダゾール−6−イル)−2−シクロペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(4−メトキシ−ベンジル)−2−シクロペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(1H−インドール−6−イル)−2−シクロペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(ベンジル)−2−シクロペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(フェニルエチル)−2−シクロペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−シクロヘプチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−フリル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−シクロブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−シクロヘキシル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン。
上述のイミダゾキノリン誘導体は、一方で、A、A2A、A2Bアデノシン受容体のオルソステリック結合部位に対して低い親和性と、またAアデノシン受容体のオルソステリック結合部位に対して低い親和性を示し、他方では、Aアデノシン受容体のアロステリック部位に対しては高い親和性を示している(引用によって組み込まれている国際特許出願第WO07/089507号)ので、アロステリックエフェクタとみなされる。
本開示による、特に好ましいイミダゾキノリン誘導体は、アロステリックエンハンサーである、N−(3、4−ジクロロ−フェニル)−2−シクロヘキシル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン(略してLUF6000、あるいはCF602ともいう)である。
本明細書に開示した一般式のコンテキストにおける様々な用語に関して以下の意味が考えられる。
用語「アルキル」は、本明細書では、1乃至10の炭素原子、より好ましくは1乃至6の炭素原子を有する線形又は分岐炭化水素鎖を意味しており、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ヘプチル、オクチル、などを含む。
同様に、用語「アルケニル」と「アルキニル」は、それぞれ、2乃至10又は3ないし10の炭素原子、より好ましくは2ないし6又は3ないし6の炭素原子を有する線形又は分岐炭化水素鎖を意味しており、このアルケニルとアルキニルは、少なくとも一の不飽和結合を有する。
アルキル、アルケニル又はアルキニル置換基は、基を含むヘテロ原子で置換されていてもよい。したがって、明確に記載されていないが、アルキルチオ、アルコキシ、アルカノール、アルキルアミン、などの上記及び下記に定義したアルキルの変形は、アルケニルチオ、アルケニルオキシ、アルケノール、アルケニルアミン、あるいはそれぞれ、アルキニルチオ、アルキニルオキシ、アルキノール、 アルキニルアミンといった対応するアルケニル又はアルキニルの変形も含むと解するべきである。
用語「アリール」は、単環(例えば、フェニル)又は複数の縮合環(例えばナフチル又はアントリル)を有する炭素原子が5乃至14の不飽和芳香カルボサイクリック族を意味する。
用語「アルカリル」は、アルキレン部分に好ましくは1乃至10の炭素原子を有し、アリール部分に好ましくは6ないし14の炭素原子を有する−アルキレン−アリール基を意味する。このようなアルカリル基の例には、ベンジル、フェネチル、などがある。
用語「置換アリール」は、1乃至3の上記に定義した置換基で置換された芳香部分を意味する。この分野の当業者には自明であるように、様々な置換基が考えられるが、いくつかの好ましい置換基には、限定するものではないが、ハロゲン、(置換)アミノ、ニトロ、シアノ、アルキル、アルコキシ、アシルオキシ又はアルカノール、スルホニル、スルフィニルがある。
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード、好ましくはクロロを意味する。
用語「アシル」は、基H−C(O)−、並びに、アルキル−C(O)−を意味する。
用語「アルカノール」は、基−COH、並びに、alk−OHを意味し、「alk」は、アルキレン、アルケニレン、又はアルキニレン鎖を意味する。
用語「アルコキシ」は、本明細書では、−O−アルキルを意味しており、これは、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシなどを含む。
用語「アルキルチオ」は、本明細書では、−S−アルキルを意味しており、限定するものではないが、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、などを含む。
用語「アルコキシアルキル」は、本明細書では、−アルキル−O−アルキルを意味しており、限定するものではないが、メトキシメチル、エトキシメチル、n−プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、n−ブトキシメチル、イソブトキシメチル、t−ブトキシメチル、などを含む。
用語「シクロアルキル」は、本明細書では、環状の炭化水素ラジカルを意味し、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、などを含む。
用語「アルコキシカルボニル」は、本明細書では、−C(O)O−アルキルを意味し、限定するものではないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、などを含む。
用語「融合シクロアルキル」は、本明細書では、単一元素(スピロ環部分を形成する)で、二つの相互に結合した原子で、あるいは一連の原子(橋頭)にわたって、結合されている少なくとも二つの脂肪族環を含む化合物又は置換基を意味する。この縮合環は、二環性、三環性、並びに多環性部分を含む。本開示のいくつかの実施例によれば、二環性の置換基が好ましい。
本開示は、また、上記に開示した化合物など、AARリガンドの生理学的に受け入れ可能な塩を使用する。「生理学的に受け入れ可能な塩」とは、非毒性アルカリ金属、アルカリ土類金属、化学業界で通常使用されているアンモニウム塩を意味し、これはナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウム、及びプロタミン亜鉛塩を意味し、これらはこの分野で知られている方法で作成される。この用語はまた、非毒性酸付加塩も含んでおり、これは、通常リガンドを適切な有機酸又は無機酸と反応させて作成される。酸付加塩は、遊離塩基の生物学的効果と質的特性を維持しており、毒性がないか、さもなければ望ましくない。例としては、とりわけ、鉱酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸などがある。有機酸には、とりわけ、タルタル酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、グリコール酸、グルコン酸、ピルビン酸、コハク酸、サリチル酸及び、例えば、p−トルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸がある。
ARリガンドは、単回投与(1回の薬物治療)で、又は、数日、数週間、あるいは数カ月にわたる連続治療で投与することができる。
一の実施例では、AARリガンドが長期治療に使用される。本開示のコンテキストでは、長期治療は、少なくとも数日、数週間、又は数カ月に及ぶ治療窓にわたり、例えば、治療を開始する前に脂質の蓄積が検出された部分に医学的に優位なレベルの脂質が検出されなくなるまででと解するべきである。さらに、本開示のコンテキストにおいて、長期治療は、例えば、想定される治療終了時点のない長期の投与など、長期間処理に及ぶことがある。いくつかの実施例では、長期間治療は、時に、少なくとも1週間リガンドを毎日投与する、時に、少なくとも2、3、4、5、6、あるいは12カ月リガンドを毎日投与することを含む。
ARリガンドによる「治療」という場合、この分野の当業者に公知のパラメータによって決まる患者の状態に医学的に優位な改善をもたらす、所望の薬理学的及び生理学的効果を意味すると解するべきである。例えば、改善は、目的部位(脂肪が沈着した部位)におけるトリグリセリドのレベルが少なくとも5%低下することによって決めることができる。
追加の又は代替の一実施例では、改善は、目的部位対体重比(例えば、肝臓重量対体重比)の低下によって決めることができる。
更なるその他のあるいは追加の実施例では、改善は、目的の器官の機能性を表す一またはそれ以上のパラメータの変化によって決めることができる。例えば、目的部位が肝臓であれば、ALTレベルの低下によって改善がわかる。
さらに、その他の一実施例では、炎症のNASスコアの低減によって改善がわかる。NASスコアは、NAFLD活動スコア(NAS)と線維化ステージと呼ばれる様々な要素によって決まる。これらは、とりわけ、脂肪変性スコア、小葉炎症スコア、肝細胞肥大化と線維化を含む。トータルNASスコアは、脂肪変性、小葉炎症、及び肥大化のスコアの合計を表しており、0−8の範囲である。NASスコア0−2は、NASHと診断されず、5−8が NASHと診断される。
いくつかの実施例では、脂肪蓄積に関連する症状に罹患しているとされる患者の治療である。
ARリガンドを毎日投与するか、あるいは一日又はそれ以上の投与間インターバルで投与することができる。一の実施例では、長期治療用にAARリガンドが毎日用いられている。
ARリガンドは、全身にあるいは局所的に投与することができる。この結果、AARリガンドを薬学的に許容できるキャリアと組み合わせて、特定モードの投与に適した、有効量のAARリガンドを含む医薬組成物を形成する。
用語「薬学的に許容可能なキャリア」は、AARリガンドと反応せず、リガンドに加えてリガンドの対象への送達を促進する不活性の無毒物質である。
一の実施例では、キャリアは経口投与のユニット投与形態の製造に使用できる。
経口製剤は、ピル、カプセル、シロップ、乳剤、芳香性粉末、その他の様々な形態であってもよい。キャリアは、この製剤の所望の形態に基づいて選択される。また、キャリアは、目的の組織への活性成分の送達又は浸透を改善する、薬剤の安定性を改善する、除去速度を遅らせる、徐放特性を与える、望ましくない副作用を低減する、その他の効果を有するものであってもよい。キャリアは、また、食用芳香を伴う製剤を提供する、製剤を安定させる物質(例えば、保存剤)であってもよい。キャリアは、AARリガンドと共に従来使用されているキャリアであってよく、溶解性とAARリガンドとの反応性の欠如などの化学的−物理的考察と、投与経路によってのみ制限される。キャリアは、添加剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存料、芳香剤、及び薬理学的に混合可能なキャリアを含んでいてもよい。さらに、キャリアは予測可能に活性成分の作用に影響を及ぼす物質と定義される、アジュバントであってもよい。
経口投与に適したキャリアの典型的な例は、(a)Cremophor RH40などの、懸濁液又は適切な液状乳化剤、あるいは、メチルセルロース(例えば、Methocel A4M プレミアム);(b)カプセル(例えば、界面活性剤、潤滑剤、及び不活性充填剤を含む、通常のハード又はソフトシェルゼラチンタイプ)、タブレット、薬用ドロップ(活性物質が、スクロースとアカシア又はトラガカントなどの風味である、あるいは活性物質がゼラチンとグリセリンなどの不活性基材である)、及びトローチであり、各々があらかじめ決められた量のトラガカンタを固形又は粒状で含む;(c)パウダー;(d)通常、可溶増進剤と組み合わせた場合の溶液;(e)リポソーム剤形;およびその他である。
ARリガンドは、脂肪蓄積の治療に有効な量、すなわち、通常(健康な状態)は脂肪細胞がない組織内の脂質沈着を低減する効果を示す量で使用され、この低減は、少なくとも一つがリガンド摂取後である、二つの時点間で比較される。「有効量」は、本開示によって、複数の試験対象に様々な量のAARリガンドを投与し、その反応(例えば、いくつかの有益な効果と組み合わせる)を投与量の機能としてプロットすることによって、容易に規定することができる。時には、使用する量は、投与形態、年齢、体重、体表面積、性別、健康状態、対象の遺伝的要因、その他の投与薬剤、その他など、様々な要因に依存し得る。
有効量のAARリガンドは、単位投与形態で規定することができる。用語「単位投与形態」とは、ヒト対象及びその他の哺乳類の単位投与として適切な物理的に不連続なユニットを意味し、各ユニットは所望の治療効果を生むように計算されたあらかじめ決められた量の活性物質を、適切な医薬賦形剤と共に含んでいる。
ARリガンドが、AARアゴニストである場合、有効量は、例えば、少なくとも約10mg/日の量であり、これは、例えば、1日1回の治療計画では少なくとも10mg、1日2回では、少なくとも約5mg、1日3回の場合は、少なくとも約3.3mg、その他である。
少なくとも約10mg/日の投与は、少なくとも約15mg/日、少なくとも約20mg/日、少なくとも約25mg/日であってもよい。いくつかの実施例では、この投与量が、25±5mg/日である。
患者に一日に与えられるAARリガンドの総量は、投与回数にかかわらず、本明細書では「一日当たりの治療投与量」を意味する。
一の実施例では、AARリガンドが、少なくとも10mg/日の、1日1回投与用のユニット投与形態で製剤されている。投与形態が、1日n回の投与を含む治療計画で患者に投与するように意図されている場合、ユニット投与形態は、1日1回の投与量の1/n分を含むことになる(例えば、意図された一日分の投与量が20mgであり、治療計画が1日2回である場合、各ユニット投与形態は10mgの投与量となり;あるいは、意図された一日分の投与量が25mgであり、治療計画が1日2回である場合、各ユニット投与形態は12.5mgの投与量となる)。
本明細書で使用されているように、「a」、「an」及び「the」は、コンテキストが明確に違うと述べていない限り、単数並びに複数を含む。例えば、用語「あるAARリガンド」は、AARの活性に、直接的又は間接的に、全体的又は部分的に、特に影響する一またはそれ以上の化合物を含む。
さらに、本明細書で使用されているように、用語「含む(comprising)」は、記載した活性成分、すなわち、AARリガンドを含むが、生理学的に許容可能なキャリアや、賦形剤、並びにその他の活性成分など、その他の要素を排除するものではないことを意味する。用語「実質的に〜からなる(consisting of)」は、記載した要素を含むが、脂肪蓄積の治療に実質的に有意であるその他の要素を排除する組成物を規定するのに使用されている。用語「からなる」(consisting of)」は、したがって、微量元素以上のその他の要素を排除する意味である。これらの各転換表現によって規定される実施例は、本発明の範囲内にある。
さらに、例えば、活性成分としてAARリガンドを含む組成物を構成する要素の量又は範囲を意味する場合の全ての数値は、記載した値から最大でプラス又はマイナス20%、時には最大10%の近似値である。常に明示的に示されていなくとも、全ての数値的指定は用語「約」によって先行されると理解される。
本発明にしたがって行った実験の詳細をいかに例示する。これらの例は、限定ではなく、説明のためのものである。上述の教示を鑑みて、明らかに、これらの例の多くの変形例、変更例がありうる。したがって、特許請求の範囲内において、本発明は、以下に特に述べるもの以外に、多くの方法で実施することができる。
非限定的な例
例1−ALTとTGのレベルのCF102の効果
マウス実験モデルとして雄のC57BL/6マウスが用いられた。
ARアゴニストである、2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−アデノシン−5’−N−メチルウロナミド(Cl−IB−MECA、本明細書では略してCF102という)を、Albany Molecular Research Inc,Albany,NY,USAによるCan−Fite BioPharmaで合成した。CF102は、液状で、ビークルとして用いたジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かして使用した。溶解したCF102とDMSOビークルを同じ容量で投与した。
生後2日のオスのC57BL/6マウスに、200μgのストレプトゾトシン(STZ)を単回皮下注射し、4週齢後に高脂肪食を与えた。6週齢で、マウスをビークルと、CF102を200mg/kgを1日三回経口投与した治療群とにランダム化した。6週齢から9週齢の間治療を行った。
研究終了後、肝臓重量を測定し、肝臓−体重重量比を計算した。
血漿ALTと肝臓トリグリセリドを測定して、以下について肝臓組織に組織学的分析を行った:NAFLD活動性スコアの推定用のヘマトキシリンとエオシン染色、及び、繊維症領域推定用のシリウスレッド染色。
結果:
200μg/kgのCF102が、NASH肝臓(p=0.05)において、肝臓−体重重量比を低減した(図1)。さらに、CF102は、ALTレベル(図2)と肝臓のトリグリセリドレベル(図2)も低下させた。
ビークル群からの肝臓部分は、毛細血管及び大血管の重篤な脂肪沈着、肝細胞肥大、及び炎症細胞浸潤を示した。CF102治療群は、ビークルと比較して脂肪変性、肥大、及び小葉炎症に有意な低減を示した(図3C、3D、4)。
例2−NASスコアにおけるCF102の効果
生後2日のオスのマウスに、200μg/動物のSTZを注射した。4週齢から、マウスに高脂肪食を与えた。6週齢で、マウスをビークルとCF102 200μg/kgでの治療群にランダム化した。経口で、1日3回治療を行った。9週齢で終了させた。
ヘマトキシリンとエオシン染色を用いて、NAFLD活性を推定した。
結果:
CF102(200μg/kg)は、ビークルに比較して、NAS(NAFLD活動スコア)スコアを低減させた。

Claims (6)

  1. 線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)肝臓を有する対象の肝臓組織中の脂肪蓄積を低減させるための医薬組成物であって、前記医薬組成物が、Aアデノシン受容体(AAR)アゴニストである2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−アデノシン−5’−N−メチルウロナミド(Cl−IB−MECA)を含み、
    前記Cl−IB−MECAが、前記対象において炎症の総非アルコール性脂肪肝疾患の活動性スコア(NAS)を低減させるのに効果的であることを特徴とする医薬組成物。
  2. 請求項1に記載の医薬組成物において、前記Cl−IB−MECAが、前記対象への毎日の投与に適した剤形として製剤化されていることを特徴とする医薬組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の医薬組成物において、前記Cl−IB−MECAが、前記対象への長期投与に適した剤形として製剤化されていることを特徴とする医薬組成物。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の医薬組成物において、前記Cl−IB−MECAが、経口投与に適した剤形として製剤化されていることを特徴とする医薬組成物。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の医薬組成物において、前記Cl−IB−MECAが、1日1回又は2回の投与に適した剤形として製剤化されていることを特徴とする医薬組成物。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の医薬組成物において、前記医薬組成物が、前記Cl−IB−MECAを25±5mg/日の投与に適した量で含むことを特徴とする医薬組成物。
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