前述のように、作業車両にサブモニターを新たに設置して、このサブモニターに種々の情報等を表示する場合、そのサブモニターの設置場所を考慮する必要がある。即ち、作業車両は走行しながら作業を行うものであるから、走行中に機体前方や側方、或いはときどき機体後方を振り向いて作業状態を確認しながら、走行進路をステアリングホイールによって適切に定めて作業を行う。
そのため、サブモニターは作業車両の運転や作業視界を妨げない位置で、情報の確認や操作がしやすい位置に設ける必要がある。また、サブモニターは大型の液晶ディスプレイ等から構成するから、広い設置スペースを必要とし機体振動等にも耐えうるように強固に取り付けなければならない。
そこで、特許文献1に記載されているように、表示装置を運転部の座席の前方に配置するフロントコラムの右上に配置すると、作業時の視線の移動を少なくして表示装置を視認することができる。また、表示装置の支持部材をキャビンの右前支持柱に設けることにより表示装置を適切な位置に配置することもできる。しかし、表示装置を運転部の座席の前方に配置すると、機体前方の視界は少なからず阻害され、また、キャビンのドア近傍に表示装置を設けることになるから、キャビンへの乗降の邪魔になる虞がある。
一方、特許文献2に記載されているように、運転席の右前側のコンソールにディスプレイを設置すると、ディスプレイをオペレータが右手で操作できると共に、機体右側方の視界は若干阻害されるもののオペレータが極端に姿勢を変えなくともディスプレイを視認することができる。しかし、このように運転席右側のコンソールにディスプレイを設置すると、集中配置する複数の操作具の邪魔になると共に、コンソール上の空きスペースを見つけてディスプレイを設置することになり、大型の液晶ディスプレイを設置することができない。
また、特許文献3に記載されているように、運転席の側方から前方にかけて設けるアームレスト操作装置の前方に表示ユニットを設けると、表示ユニットがアームレスト操作装置や右側のコンソールに設ける操作具の邪魔になることはない。しかし、このようにアームレスト操作装置の前方に表示ユニットを設けると、表示ユニットがキャビンの右側ドアから運転席への通路に張り出して乗降の際に邪魔になり、専らキャビンの左側ドアから乗降することになり、右側にドアを設ける意味合いを失うことになる。
なお、国外製のトラクタにおいて、キャビンのセンターピラーに基部を取り付けて前方に延出するアームの先端に表示装置を設けることが知られていたり、ステアリングホイールの前方に設けるメータパネルの上方に表示装置を設けることも知られている。しかし、これらの表示装置は、その視認性と取付強度に問題があったり、作業走行時の機体前方の視認性、或いは表示装置の運転席からの操作性が悪くなる等の問題を抱え、前述の特許文献1〜3と同様に俄かに採用し難い。
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、運転席と各種の操作具を備える操縦部をキャビン内に設ける作業車両にあって、新たにエンジン等の作動状態等を監視するモニターを操縦部に設ける際に、モニターが走行時の視界を極力妨げず、モニターの視認性と操作性を確保しながら、或いは、キャビンへの乗降も支障なく、適切な位置にモニターを設けることができる作業車両を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため第1に、運転席と各種の操作具を備える操縦部をキャビン内に設けると共に、エンジン等の作動状態等を監視するモニターを操縦部に設ける作業車両において、前記モニターをキャビンのセンターピラーに取り付け、このモニターが運転席の側方に集中配置する操作具の上方に前記操作具を操作しやすい空間を備えて臨み、その角度調節によって運転席からのモニターの視認性が確保されるように構成し、前記モニターを、その表示画面がほぼ前後方向、且つほぼ鉛直方向となる収納姿勢から、表示画面の前部側と下部側が運転席側に近づく表示姿勢になるように、センターピラーに角度調節自在に取り付け、前記センターピラー側に取付けられ、前記センターピラーにプレート基部を固定され、前記プレート基部の両端を折り曲げて略コ字状に形成した第1の金具と、前記第1の金具の前記プレート基部両端にプレート基部が揺動可能に固定され、該プレート基部の両端を折り曲げて略コ字状に形成した第2の金具を備え、前記第1の金具と前記第2の金具でブラケットを構成し、前記第2の金具の前記プレート基部両端に前記モニターを支持するモニターフレームを揺動可能に固定され、前記モニターの後部寄りを略鉛直方向となる縦軸心と略前後方向となる横軸心を中心に回動固定自在に支持する前記ブラケットを介して、前記モニターがセンターピラーに対して前方に突出するように取り付けると共に、このブラケットをセンターピラーの略横幅内に収まり、回動軸をモニター正面視で前記縦軸心と前記横軸心がモニター外形範囲内で交差するように構成することを特徴とする作業車両。
また、第2に、前記縦軸心と横軸心を中心にモニターを回動固定自在になす二つの締着具を設け、この縦軸心側の締着具を横軸心側の締着具より運転席側に近づく手前側に設けることを特徴とする。さらに、本発明は、第3に、前記モニターのケーブルをセンターピラー内を通して配策することを特徴とする。
本発明の作業車両によれば、運転席と各種の操作具を備える操縦部をキャビン内に設けると共に、エンジン等の作動状態等を監視するモニターを操縦部に設ける作業車両において、前記モニターをキャビンのセンターピラーに取り付け、このモニターが運転席の側方に集中配置する操作具の上方に臨み、その角度調節によって運転席からのモニターの視認性が確保されるように構成するから、このモニターをサブモニターとして利用し、例えば、運転席の前方に設けるメインモニターと共に各種の情報や警告等を適切に表示することができる。
また、モニターが運転席の側方に集中配置する操作具の上方に臨むから、機体側方の視界は若干阻害されるものの、運転席に座って極端に姿勢を変えなくともモニターを視認して情報等を確認することができ、しかも、操作具とモニターを運転席の左右一側方に集中配置することになるから、モニターを見ながら操作具を適切に操作したり、操作具とモニターを一括して能率的に操作することができる。
さらに、モニターは運転席の側方に集中配置する操作具の上方に臨み、下方に配置する操作具との間に操作具の操作空間を設けることができるから、モニターに妨げられることなく操作具を適切に操作することができる。また、操作具を集中配置するコンソールに格別、モニターの設置スペースを設ける必要がないから、各操作具を操作し易い位置に配置したまま、大型のモニターによって情報等を大きく見易く表示することができる。
そして、モニターはその角度調節によって運転席からのモニターの視認性が確保されるように構成するから、体格に合わせてモニターを最も見易い角度に調節して使用することができる。なお、モニターはキャビンのセンターピラーを利用して強固に取り付けることができる他、モニターがキャビンのドアから運転席への通路に張り出さないので乗降の際に邪魔にならず、また、ブラケットの左右方向への幅を短くすることができるので、運転席への侵入を妨げず、モニターの損傷を防止することができる
また、モニターを、その表示画面が略前後方向、且つ略鉛直方向となる収納姿勢から、表示画面の前部側と下部側が運転席側に近づく表示姿勢になるように、センターピラーに角度調節自在に取り付けると、モニターを収納姿勢に調節することによってモニターをキャビンのドアから運転席への通路から確実に退避させることができる。また、表示姿勢に調節することによって表示画面が運転席に対して正面を向き、且つ表示画面をやや下向きに見ることになって、視認性の向上と共にモニターの注視に伴う疲れを軽減することができる。
さらに、モニターの後部寄りを略鉛直方向となる縦軸心と略前後方向となる横軸心を中心に回動固定自在に支持するブラケットを介してセンターピラーに取り付けると共に、このブラケットをセンターピラーの略横幅内に収まるように構成すると、モニターをブラケットによって角度調節することができると共に、モニターはキャビンの外部から見えるが、ブラケットはセンターピラーに隠れて殆ど見えないため、外観の見栄えを考慮してブラケットを含むモニターを化粧カバーで覆う必要が無くなり、モニターを安価に設置することができる。
そのうえ、モニターの背面側に化粧カバー等の遮蔽体がなくなるので、モニターからの放熱が円滑に行えモニターを長寿命化することができ、また、化粧カバー等によってセンターピラーの後方に設けるサイドウインドウの開閉操作性に影響を与えることがない。さらに、モニターを(その正面から見て)左右方向に角度調節する際に、ブラケットはモニターの後部寄りを支持し、その縦軸心を中心にモニターの前部側を操作力少なく大きく回動させることができ、そのため、モニターの左右角度の微調整が行い易くなる。
そして、作業走行する場合、機体前方や側方、或いはときどき機体後方を振り向いて作業状態を確認することがあり、これに合わせてモニターを左右に角度調節することがある。また、キャビンのドアから運転席への乗降の際に、モニターを左右に角度調節して通路から退避させたり元の姿勢に戻すことがあり、モニターを上下に角度調節する頻度より左右に角度調節より頻度が高くなる。
そのため、縦軸心と横軸心を中心にモニターを回動固定自在になす二つの締着具を設け、この縦軸心側の締着具を横軸心側の締着具より運転席側に近づく手前側に設けると、奥側となる横軸心側の締着具より縦軸心側の締着具を運転席から操作し易くなり、これによってモニターの左右の角度調節を容易に行うことができる。
また、モニターのケーブルをセンターピラー内を通して配策すると、ケーブルをセンターピラーによって定まる所定の経路に沿って確実に配策することができると共に、センターピラーに化粧カバーを装着してケーブルを化粧カバーによって覆うと、その露出度合を少なくして見栄え良く配策することができる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1乃至図3に示すように作業車両としての主に農業用に用いるトラクタ1は、矩形状に枠組するシャーシフレーム2の後部寄りの左右に作動油タンク3と燃料タンク4、或いは尿素水溶液タンクを搭載するタンク搭載台5を外方に張り出して設けると共に、シャーシフレーム2の下部に矩形状に枠組するトラックフレーム6を設けて機体(車体)を構成する。
また、シャーシフレーム2の前部寄りにコモンレール式のディーゼルエンジンやラジエータ、エアクリーナ等を搭載し、これら原動部を開閉自在なボンネット7及び着脱自在なサイドカバー8によって覆う。さらに、ボンネット7後方のシャーシフレーム2上にキャビン9を防振支持して搭載し、このキャビン9内に操縦部を設ける。そして、シャーシフレーム2の後部にトップリンク10と左右のロアリンク11を備える三点リンク機構等から構成する作業機連結装置を設け、この連結装置によってロータリ耕耘装置等の作業機を昇降駆動可能に連結する。
さらに、前記トラックフレーム6の左右の前部にモータハウジング12を設け、このモータハウジング12にトラベルモータ13を取り付け、トラベルモータ13にはドライブスプロケット14を取り付ける。また、トラックフレーム6の左右の角パイプ部6aには、キャリアローラ15とトラックローラ16を回転自在に設け、さらに、角パイプ部6a内にアジャスタシリンダとスプリングによって付勢するアジャスタフレーム17を前後スライド可能に挿入し、アジャスタフレーム17の後部にアイドルホイル18を回転自在に軸支する。
そして、トラックフレーム6の左右の前部に設けるドライブスプロケット14と後部に設けるアイドルホイル18と、その間に設けるキャリアローラ15とトラックローラ16にゴムクローラ19を巻回し、フルクローラ式の走行装置に構成する。なお、左右のトラベルモータ13は油圧モータに構成して、図示しないトランスミッションケース上に設ける夫々のサーボ付き油圧ポンプと閉回路で結び、この油圧ポンプのトラニオン軸を操縦部に設ける主変速レバー20とステアリングホイール21に連係するコントロールリンク機構によって操作し、トラクタ1は無段の走行変速と機体の操向が可能となる。
一方、前述するキャビン9は、フロア等を構成する底板22を固着する下部フレーム23とルーフ24等を取り付ける上部フレーム25を、左右のフロントピラー26、センターピラー27及びリヤピラー28で結合してキャビンフレームを構成する。そして、左右のフロントピラー26間にはフロントガラス29と下フロントガラス30を装着し、また、フロントピラー26とセンターピラー27間には、左右のドアガラス31をセンターピラー27に設けるヒンジ32を介して、その前部側が開閉するように設ける。
さらに、センターピラー27とリヤピラー28間には、左右のサイドガラス33をリヤピラー28に設けるヒンジ34を介して、その前部側が開閉するように設ける。また、左右のリヤピラー28間には、リヤガラス35を上部フレーム25の後部に設けるヒンジを介して、その下部側が開閉するように設け、さらに、リヤガラス35の下方にも下リヤガラス36を設ける。
また、図2乃至図4に示すように、キャビン9のフロア22の前部にステアリングコラム37を設け、このステアリングコラム37には、前述の2ポンプ2モータで構成する静油圧式無段変速装置のコントロールリンク機構を設けると共に、その上方にステアリングホイール21を配設する。また、ステアリングホイール21の前方側にはパネルボデイ38と、その下方側にはリヤパネルカバー39を設け、このパネルボデイ38にはメーターアッシ39やスタータースイッチ40、コンビネーションレバー41、及びスイッチアッシ42等を取り付ける。
そして、前記メーターアッシ39には作業モードでエンジン回転数を表示し、走行モードで走行速度を表示するアナログ式のタコメータ43と、チャージランプ44等のエンジンコントロールモジュールからの情報を表示する警告灯と、深さ自動ランプ45等の作業機制御用表示灯の他、メインモニターを構成する比較的小型の液晶ディスプレイ46を組み込む。また、右下側のスイッチアッシ42には、メインモニターの表示内容を変更したり、各種の自動制御の詳細設定等を行うセレクトスイッチ群を設け、コンビネーションレバー41はウインカー、ホーン、ヘッドライト等のスイッチを操作する。
なお、メインモニター46は作業機制御コントロールユニットやエンジンコントロールモジュールから情報を得て、例えば、水温計、燃料計、エンジン負荷率、燃料消費量、PTO回転、アワメーター、TRIP等を表示したり、注意事項の報知、セレクトスイッチ群の各「メニュー」、「決定」、「アップ」、「ダウン」スイッチの操作の基に深さ自動、傾き自動、ドループ切替、或いはオートディセル等の自動切替、コントロールユニットの自己診断、センサの点検・初期値の記憶等の指示を行う。
また、キャビン9のフロア(底板)22の後方に前後調節、並びに時計回りに10度、半時計回りに20度回転可能な運転席47を設け、また、運転席47の右側方のキャビン9の底板22に支柱を立設して周囲と上部をオペレートカバー48で覆って構成するサイドコンソール49を設け、このサイドコンソール49に走行・作業機制御関係の複数の操作レバーやスイッチ、或いはボリューム等の操作具を集中して設ける。
より詳しくは、図5に示すようにサイドコンソール49の前部寄りにエンジンコントロールレバー50と主変速レバー20を斜め前後方向に操作可能に併設し、また、その後方に作業機を昇降させるポジションコントロールレバー51と、外部油圧操作用の第1レバー52と第2レバー53及び第3のロッカースイッチ54を運転席47に向かうように併設する。
さらに、その後方に二つのスイッチアッシ55、56を設け、一方のスイッチアッシ55には、PTO切替スイッチ57、エンジン回転メモリースイッチ58、及びエコノミーモードスイッチ59を設け、他方のスイッチアッシ56には、深さ自動スイッチ60、深さ作業切替ボリューム61、深さ・ドラフト設定ボリューム62、スイッチ付傾き自動ボリューム63、リフトアーム下げ速度ボリューム64、上げ高さ規制ボリューム65を設ける。なお、運転席47の左側前部寄りにはPTO変速レバー66を設ける。
次に、前述する運転席47の前方に設けるメインモニター46を補完する、エンジン等の作動状態等を監視するモニター(サブモニター)67について説明すると、このサブモニター67は、キャビン9の右側のセンターピラー27に取り付け、このモニター67が運転席47の右側方に設けるサイドコンソール49上の集中配置する操作具の上方に臨み、その角度調節によって運転席47からのモニター67の視認性が確保されるように構成する。
即ち、図8乃至図11に示すように、サブモニター67はボタンスイッチ付きの比較的大型のカラー液晶ディスプレイユニットで構成し、この液晶ディスプレイユニットは、箱型のケース68の前面中央に液晶ディスプレイパネルを配置すると共に、その右側に5個のボタンスイッチ69を縦方向に整列させて設ける。また、ケース68内には、CPUやLCDドライバを備えるLCD制御用回路基板やボタンスイッチ69の基板等を設け、その背面側に外部回路と接続する外部接続端子を設ける。
そして、ケース68の前面寄りに設けるベゼル70の左右四隅を金属製モニターフレーム71にトラス小ねじkで取り付け、このモニターフレーム71を、断面コ字状のセンターピラー27の中途に固着した台座73にブラケット74を介して取り付ける。なお、モニターフレーム71は矩形状の枠体71aの前面に表示孔72aを備えるプレート72を固着し、また、プレート72の前面にはラベル72bを貼付して、表示画面とボタンスイッチ69が引き立つように構成する。
また、前記ブラケット74について詳細に説明すると、ブラケット74はセンターピラー27の台座73に取り付ける第1の金具75と、第1の金具75とモニターフレーム71間に設ける第2の金具76とで構成する。そして、前記第1金具75はプレートの基部からその左右両端を折り曲げて略コ字状に形成し、その基部75aの上下に挿通孔75bを穿設し、この挿通孔75bにボルトbを通してセンターピラー27の台座73に取り付ける。
また、折り曲げた右片75cにはボルトの挿通孔75dを上方にして、その下方にノブ付きボルト77の挿通長孔75eを穿設する。一方、左片75fには右片75cのボルトの挿通孔75dに対向するようにボルトの挿通孔75gを穿設する。
また、第2金具76はプレートの基部76aから上下両端を折り曲げて略コ字状に形成する本体の左右端部に、背面側に向かう上下方向のプレート76b、76cを夫々固着し、この上下方向とする左右のプレート76b、76cの上部寄り内側に溶接ナットnを互いに対向するように固着する。また、右側のプレート76bの下部寄り内側に溶接ナットnを固着する。
従って、第1金具75の右片75cと左片75fとの間に第2金具76の上下方向とする左右のプレート76b、76cを嵌めて、ボルトbを第1金具75の右片75cと左片75fの挿通孔75d、75gに夫々を通し、第2金具76の上下方向とする左右のプレート76b、76cの上部寄りの溶接ナットnに螺嵌すると、両金具75、76は略前後方向となるボルトbの横軸心xを中心として枢結される。
また、第1のノブ付きボルト(締着具)77を第1金具75の右片75cの挿通長孔75eを通し、第2金具76の右側のプレート76bの下部寄りの溶接ナットnに螺嵌して第1金具75に第2金具76を締着すると、第2金具76は略鉛直方向から長孔75eの範囲で、その下部寄りを前方に向けて引き出して任意な角度で固定することができる。
さらに、第2金具76の本体プレート76aの上下両端を折り曲げて形成する上片76dと下片76eの内側には左右方向に所定距離を隔てて溶接ナットnを夫々固着する。一方、モニターフレーム71の枠体71aの右側寄りに片寄せて、その背面側に張り出す上下の取付プレート71b、71cの右側寄りにボルトの挿通孔71d、71eを互いに対向するように穿設すると共に、その左側寄りに挿通長孔71f、71gを夫々互いに対向するように穿設する。
そして、モニターフレーム71の上下の取付プレート71b、71cの間に第2金具76の上片76dと下片76eを嵌めて、ボルトbをモニターフレーム71の上下の取付プレート71b、71cの挿通孔71d、71eに夫々通し、第2金具76の上片76dと下片76eに固着する右寄りの溶接ナットnに螺嵌すると、両者は略鉛直方向となるボルトbの縦軸心yを中心として枢結される。
また、第2のノブ付きボルト(締着具)78をモニターフレーム71の下側の取付プレート71cの挿通長孔71gを通し、第2金具76の下片76eの左側の溶接ナットnに螺嵌して、第2金具76にモニターフレーム71を締着すると、モニターフレーム71は機体の略前後方向に沿う方向から長孔71gの範囲で、その前部寄り(左側寄り)を運転席47側に近づく任意な角度で固定することができる。
なお、モニターフレーム71の上側の取付プレート71bの挿通長孔71fにはトラス小ねじkを通して、第2金具76の上片76dの左側の溶接ナットnに螺嵌し、これによりモニターフレーム71は、その回動時にトラス小ねじkによってガイドされる。また、各ノブ付きボルト77、78の先端部にアールピンrを差し込んで、ノブ付きボルト77、78の脱落を防止する。
そして、以上のようにセンターピラー27に取り付けるサブモニター67は、メインモニター46と共に、作業機制御コントロールユニットやエンジンコントロールモジュールにコントロールエリアネットワーク(CAN)を介して接続し、例えば、「通常」のボタンスイッチ69を押すと、図12に示すように表示画面の上方側左右にTRIPと現在の時刻を表示すると共に、左寄り中央に車速とPTO回転数を表示し、また、その下方側にディーゼルエンジンの排気中の窒素酸化物を浄化する尿素SCRシステムの、尿素水溶液タンクに貯留する尿素水(Diesel Exhaust Fluid)残量を表示する。
さらに、表示画面の右寄りには、走行副変速の高速/低速状態、外部油圧連動状態、外部油圧タイマー及びバックアップの入り切り状態を表示し、最下部には充電不良やエンジン停止、エンジン異常、排気ガス後処理異常、尿素水残量の各警告と、グロー使用状態であることを表示する。また、「作業」のボタンスイッチ69を押すと、図13に示すように車速、エンジン回転数、エンジン上限設定回転数、エンジン回転メモリ等をデジタル表示する。
なお、「カメラ」のボタンスイッチ69を押すと、左寄りにリアビューカメラ画像を表示し、他の領域に「通常」の表示項目を縮小して表示する。また、その他に自動制御の感度等の「設定」と走行距離を表示する「TRIP」のボタンスイッチ69を設けるが、それらによって表示される画像及び説明は省略する。
次に、以上のように構成する本発明の実施形態において、作業を行うためにトラクタ1に乗り込む場合には、トラックフレーム6に設けるステップsを利用してシャーシフレーム2のデッキdに立ち、キャビン9のドア31を開けてフロア22上を移動して運転席47に座ることになる。或いは、トラクタ1から降りる場合は、上記と逆の手順を踏むことになる。
そして、その際、サブモニター67は、キャビン9のセンターピラー27に取り付け、このサブモニター67が運転席47の側方のサイドコンソール49に設ける操作具20、50〜54の上方に臨み、サブモニター67がキャビン9のドア31から運転席47への通路に張り出さないので乗降の邪魔になったり、不測にサブモニター67に衝突してこれを損傷させることを防止することができる。
しかも、降車する場合にサブモニター67をノブ付きボルト77、78を操作して、その表示画面が略前後方向、且つ略鉛直方向となる収納姿勢に角度調節しておくと、通路からサブモニター67を確実に退避させることができると共に、運転席47から立ち上がる際にサブモニター67が運転席47側に張り出さないから、サブモニター67に邪魔されることなくスムーズに立ち上がることができ、また、運転席47に座る場合も同様にサブモニター67に邪魔されることはない。
なお、左側のドア31から乗降すれば、例えば、サブモニター67がサイドコンソール49の前方に位置して右側の通路を塞いでいても格別、サブモニター67が乗降の邪魔にならない。しかし、耕起作業において既耕地ではなく未耕地側から乗降したい場合、或いは緊急に乗降したい場合に、右側のドア31から乗降する場合があり、従って、どちらのドア31からでも支障なく乗降できることが望ましいことは言うまでもない。
さらに、運転席47に座った際に体格に合わせて運転席47の前後調節、シートバックの角度調節、或いは高さ調節等を行う。この際、サブモニター67をその表示画面が運転席47に対して正面を向き、且つ表示画面をやや下向きに見ることができる表示姿勢にノブ付きボルト77、78を操作してサブモニター67の角度調節を行えば、運転席47からのサブモニター67の視認性が良好に確保される。
また、作業走行を開始する前に作業機の各種自動制御(深さ自動、傾き自動)の入り切りや駆動の入り切り(PTO切替)、或いは作業機の昇降設定(リフトアーム下げ速度、上げ高さ規制)、乃至はエンジン制御設定(エンジン回転メモリー、エコノミーモード)等を行う。その際、サブモニター67はこれら操作具57〜65の前方寄りの上方に臨み、サブモニター67の「設定」表示画面を見ながら操作具を適切に操作することができる。
しかも、サブモニター67を「設定」から「作業」又は「通常」等の表示にボタンスイッチ69を用いて切り替えることも、運転席47に座って極端に姿勢を変えなくとも、前記操作具の操作前後にその同じ視線の基に一括して能率的に切替操作することができる。また、サブモニター67は、下方に配置する操作具20、50〜54との間に所定の操作空間を設けるから、作業中にサブモニター67に妨げられることなく操作具を適切に操作することができる。
さらに、操作具を集中配置するサイドコンソール49に格別、サブモニター67の設置スペースを設ける必要がないから、各操作具を操作し易い位置に配置したまま、運転席47の前方に設けるメインモニター46と共に、各種の情報や警告等を大型のサブモニター67によって見易く表示することができる。
しかも、サブモニター67の後部寄りを略鉛直方向となる縦軸心yと略前後方向となる横軸心xを中心に回動固定自在に支持するブラケット74を介してセンターピラー27に取り付けると共に、このブラケット74をセンターピラー27の略横幅w内に収まるように構成するから、サブモニター67をブラケット74によって左右角度調節(図6参照)及び上下角度調節(図7参照)することができる。
また、サブモニター67は、図14及び図15に示すようにキャビン9の外部からドアガラス31越しに見えるが、ブラケット74は室内側からはサブモニター67に隠れて、また、室外からはセンターピラー27に隠れて殆ど見えないため、見栄えを考慮してブラケット74を含むサブモニター67の背面側を化粧カバー等で覆う必要が無くなり、ザブモニター67を安価に設置することができる。
そのうえ、サブモニター67の背面側に化粧カバー等の遮蔽体がなくなるので、サブモニター67からの放熱が円滑に行えサブモニター67を長寿命化することができ、また、化粧カバー等によってセンターピラー27の後方に設けるサイドガラス(サイドウインドウ)33の開閉操作性に影響を与えることがない。
しかも、図6に示すようにサブモニター67を(その正面から見て)左右方向に角度調節(スイベル調節)する際に、ブラケット74はサブモニター67の(機体の前後方向から見て)後部寄りを支持するから、第2のノブ付きボルト78を緩めてその縦軸心yを中心にモニター67の前部側を軽く左右方向に押し引きすると、モニター67はその前部側を大きく回動させることができ、そのため、サブモニター67の左右角度の微調整が行い易くなる。
そして、作業走行する場合、機体前方や側方、或いはときどき機体後方を振り向いて作業状態を確認することがあり、これに合わせてサブモニター67を左右方向に角度調節することがある。また、キャビン9のドア31から運転席47への乗降の際に、サブモニター67をその表示画面が略前後方向を向くように左右角度調節して、サブモニター67を通路から確実に退避させたり、元の姿勢に戻すことがあり、サブモニター67を上下に角度調節する頻度より左右に角度調節より頻度が高くなる。
そのため、縦軸心yと横軸心xを中心にサブモニター67を回動固定自在になす二つの締着具77、78を設ける場合、縦軸心y側の締着具78を横軸心x側の締着具77より運転席47側に近づく手前側に設けると、奥側となる横軸心x側の締着具77より縦軸心y側の締着具78を運転席47から操作し易くなり、これによってサブモニター67の左右の角度調節を容易に行うことができる。
また、サブモニター67の外部接続端子に接続するケーブル79は、図10及び図11に示すように、センターピラー27とセンターピラー27の室内側に設ける化粧カバー80の内側を通して、化粧カバー80の台座73に臨む開孔80aから引き出して配策する。そのため、ケーブル79をセンターピラー67によって定まる上下方向の所定の経路に沿って確実に配策することができ、また、ケーブル79の外部への露出度合を少なくして見栄え良く配策することができる。
なお、機体の後方に設ける作業機の作業状態を頻繁に確認しながら作業走行する場合、運転席47をサブモニター67や操作具を集中配置する右側となる時計回りに、例えば10度程度、スイベル調節して、後方を振り向きながら作業状態を確認することがある。そこで、この場合のサブモニター67の視認性を向上させるため、サブモニター67を機体後方側に向けてスライドさせて、サブモニター67を見易い位置に固定してもよい。
その場合、サブモニター67は、図16に示すようにセンターピラー27からリヤピラー28にかけて上下2本のガイドレール81を備える支持体82を架設し、図17に示すようにこのガイドレール81にスライダー83を装着する。また、このスライダー83にブラケット74の第1金具75を取り付け、サブモニター67をブラケット74に取り付ければ、サブモニター67をガイドレール81に沿って機体後方側に向けてスライドさせることができる。
また、サブモニター67を所定位置に固定する場合は、スライダー83のクランプ84を締めればよい。さらに、サブモニター67を上下方向に高さ調節自在にしたい場合は、前記ガイドレール81をセンターピラー27に上下方向として取り付けることによって、同様にサブモニター67をガイドレール81に沿って高さ調節を行うことができる。
なお、上述した実施形態において、操作具を集中配置するサイドコンソール49を運転席47の右側に設け、サブモニター67も同じ側の右側のセンターピラー27に取り付けるが、サイドコンソール49を運転席47の左側に設ける場合は、サブモニター67も同じ側の左側のセンターピラー27に取り付けてもよい。また、サブモニター67はタッチパネル式にしたり、有機ELディスブレイを使用してもよく、さらに、エンジンの作動状態等を監視してこれを表示するのではなく、サブモニター67をGPSガイダンスモニターとして使用してもよく、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。