本発明の実施形態に係るシステム、装置及びコンピュータプログラム等の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<システム構成>
図1は、本実施の形態に係る半導体製造システムの概要を説明するための模式図である。本実施の形態に係る半導体製造システムは、半導体の基板に対してプラズマ処理を施すことによりエッチング処理又は成膜処理等を行うシステムである。本実施の形態に係る半導体製造システムは、半導体製造装置1と、サーバ装置5とを備えている。半導体製造装置1は、例えばプラズマ処理装置10及び制御端末装置30等を備えて構成されている。
プラズマ処理装置10は、チャンバ11と、その下部に設けられた筐体12とを備えている。チャンバ11内は基板Sに処理を施す際に真空環境とされ、筐体12内は大気圧環境とされる。プラズマ処理装置10のチャンバ11内には、基板Sが載置される載置台13と、この載置台13の上部に設けられた静電チャック14とが配置されている。静電チャック14は、チャンバ11内で基板Sを処理する際に、基板Sを静電吸着する。
またプラズマ処理装置10は、チャンバ11内の基板Sを昇降させる昇降機構15を備えている。昇降機構15は、基板Sの裏面に接触して基板Sを昇降させる複数のリフトピン15aと、複数のリフトピン15aの下端に接続されて複数のリフトピン15aを同時的に昇降させる昇降体(図1においてT字状に図示された部材)15bと、昇降体15bの下端に接続されて昇降体15bを昇降させるシリンダ装置15cとを備えている。載置台13は、内壁によって区画された空隙を有し、この空隙内に昇降体15bの上部(T字の横方向に延びる部位)が収容されている。また昇降体15bは、シリンダ装置15cのピストンロッド15dに取り付けられている。また昇降体15bの下部(載置台13の下方に突出している部位)は、ベローズ16により覆われている。
基板Sに処理を施す際、静電チャック14の電極(図示は省略する)に直流電圧が印加され、基板Sが静電チャック14に静電吸着する。この状態で、チャンバ11内に、ガス供給源(図示は省略する)からプラズマを生成するための処理ガスが供給される。例えばプラズマ処理装置10が誘導結合プラズマ(ICP(Inductively Coupled Plasma))方式の装置である場合には、チャンバ11を加工用にコイル(図示は省略する)が配置され、このコイルに高周波電力を印加することで、チャンバ11内に供給された処理ガスがプラズマ化される。また例えばプラズマ処理装置10が容量結合プラズマ(CCP(Capacitively Coupled Plasma))方式の装置である場合には、チャンバ11内に載置台13と平行に電極(図示は省略する)が配置され、この電極に高周波電力を印加することで、チャンバ11内に供給された処理ガスがプラズマ化される。プラズマ処理装置10のプラズマ方式はICP又はCCPのいずれであってもよく、これら以外のプラズマ方式が採用されてもよい。チャンバ11内に生成されたプラズマにより、基板Sにエッチング処理又は成膜処理等のプラズマ処理が施される。
プラズマ処理が終了した後、静電チャック14への直流電圧の印加を停止することで、静電チャック14による基板Sの静電吸着が停止される。その後、半導体製造装置1は、基板Sを昇降機構15によって上昇させ、搬送機構(図示は省略する)によって基板Sをチャンバ11の外部に搬送する。
制御端末装置30は、プラズマ処理装置10の動作を制御する処置、及び、基板Sの昇降に係る異常を検出する処理等を行う装置である。本実施の形態において制御端末装置30は、静電チャック14による基板Sの静電吸着を停止した後の昇降機構15による基板Sの上昇過程において、基板Sの脱離不良等に起因する基板Sの昇降異常を検出する処理を行う。
上記の異常検出を行うために、プラズマ処理装置10の筐体12内には、昇降機構15に加わる荷重と相関を有するパラメータを測定する測定部20が設けられている。測定部20は、例えば昇降機構15に加わる荷重と相関を有するパラメータとして、荷重そのものを測定する。本実施の形態においては、測定部20として、シリンダ装置15cのピストンロッド15dに取り付けられ、ピストンロッド15dに加わる荷重を測定するロードセルが用いられている。具体的には、ピストンロッド15dが上下に分割され、その間に測定部20としてロードセルが挟まれて取り付けられている。測定部20には、分割されたピストンロッド15dの上部分及び下部分の双方から引張荷重及び圧縮荷重が加わることになる。これにより、測定部20は、ピストンロッド15dに加わる荷重(鉛直方向の荷重)を測定することができる。測定部20は、制御端末装置30に電気的に接続されており、測定した荷重に応じた電気信号又はデジタルデータ等を制御端末装置30へ出力する。
制御端末装置30は、測定部20による荷重の測定結果を取得し、取得した測定結果に基づいて昇降機構15による基板Sの昇降プロセスに関する状態を判定し、判定した状態に基づいて異常の有無を検出する。本実施の形態において制御端末装置30は、プラズマ処理装置10の昇降機構15の昇降プロセス(製造プロセス)に係るプロセス情報として測定部20により測定された荷重情報を入力として受け付けて、昇降機構15の昇降プロセスの状態情報を出力する複数の分類器を備えている。制御端末装置30は、これら複数の分類器の中から1つの分類器を選択して利用して、測定部20から取得した荷重情報を分類器に入力し、この分類器が出力するプロセスの状態情報を取得することによって、昇降プロセスの状態を判定する。
制御端末装置30が備える複数の分類器には、少なくとも1つの学習済分類器と少なくとも1つの非学習分類器とが含まれる。学習済分類器は、教師データを用いて機械学習により予め学習がなされた分類器である。非学習分類器は、機械学習はなされずに、入力された情報と予め定められた閾値等との比較により分類を行う分類器である。非学習分類器は、いわゆるルールベースでの分類を行う分類器である。制御端末装置30は、学習済分類器及び非学習分類器をそれぞれ複数備えてよい。本実施の形態においては、これら複数の分類器の中からいずれか1つの分類器の選択を、半導体製造装置1のオペレータ又は管理者等のユーザから受け付けて、選択を受け付けた1つの分類器を利用して昇降プロセスの状態を判定する。
サーバ装置5は、制御端末装置30が利用する分類器の学習処理を行う装置である。サーバ装置5は、初期段階の学習処理において、例えば制御端末装置30にて非学習分類器を利用して昇降プロセスが行われた際のログデータを取得して教師データとし、この教師データを用いて分類器の機械学習を行うことにより学習済分類器を生成する。サーバ装置5にて生成された学習済分類器は制御端末装置30に与えられ、制御端末装置30はこの学習済分類器を利用した昇降プロセスの状態判定を行うことが可能となる。また分類器の再学習を行う場合、サーバ装置5は、例えば学習済の分類器を用いて行われた昇降プロセスのログデータのうち、分類器によるプロセス状態の判定結果に誤りが生じたものを抽出し、判定結果の誤りを正したデータを教師データとして再学習を行う。
なお、制御端末装置30からサーバ装置5へのログデータの授受、及び、サーバ装置5から制御端末装置30への学習済分類器の授受は、例えば制御端末装置30及びサーバ装置5が有線又は無線の通信を利用して行ってもよく、また例えばメモリカード等の記録媒体を介して行われてもよい。また、プラズマ処理装置10の制御処理等を制御端末装置30が行うのではなく、サーバ装置5が行う構成としてもよい。この構成の場合、制御端末装置30はプラズマ処理装置10及びサーバ装置5の間の通信を中継し、サーバ装置5が分類器を用いた判定処理及び製造プロセスの制御処理等を遠隔で行うことができる。また分類器の学習処理は、必ずしもサーバ装置5にて行われる必要はなく、サーバ装置5以外の装置で行われてよい。例えば分類器の学習処理は、制御端末装置30が行ってもよい。また例えば、最初の分類器の学習処理をサーバ装置5が行い、分類器の再学習を制御端末装置30が行ってもよい。
図2は、本実施の形態に係る制御端末装置30の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る制御端末装置30は、処理部(プロセッサ)31、記憶部(ストレージ)32、通信部(トランシーバ)33、表示部(ディスプレイ)34、操作部35及びカードスロット36等を備えて構成されている。なお本実施の形態において制御端末装置30は1つの装置で構成されるものとするが、複数の装置が分散処理を行うことで制御端末装置30としての機能を実現する構成であってもよい。
処理部31は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を用いて構成されている。処理部31は、記憶部32に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、種々の処理を行うことができる。本実施の形態において処理部31は、記憶部32に記憶されたプログラム32a、学習済分類器32b及び非学習分類器32c等を読み出して実行することにより、プラズマ処理装置10の状態及び異常等を判定する処理、並びに、プラズマ処理装置10のログデータを記録する処理等の種々の処理を行う。
記憶部32は、例えばハードディスク等の大容量の記憶装置を用いて構成されている。記憶部32は、処理部31が実行する各種のプログラム、及び、処理部31の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部32は、処理部31が実行するプログラム32aと、プログラム32aの実行により行われる処理に用いられる学習済分類器32b及び非学習分類器32cを記憶している。また記憶部32には、プラズマ処理装置10から得られる各種の情報をログデータとして記憶するログ記憶部32dが設けられている。
本実施の形態においてプログラム32aは、メモリカード等の記録媒体99に記録された態様で提供され、制御端末装置30は記録媒体99からプログラム32aを読み出して記憶部32に記憶する。ただし、プログラム32aは、例えば制御端末装置30の製造段階において記憶部32に書き込まれてもよい。例えばプログラム32aは、記録媒体99に記録されたものを書込装置が読み出して制御端末装置30の記憶部32に書き込んでもよい。プログラム32aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよい。
学習済分類器32b及び非学習分類器32cは、プラズマ処理装置10から取得した情報に基づいて、プラズマ処理装置10の処理プロセスの状態を判定する分類器である。本実施の形態において学習済分類器32b及び非学習分類器32cは、プラズマ処理装置10の測定部20により計測された荷重の情報に基づいて、プラズマ処理装置10の昇降機構15による基板Sの昇降プロセスに関する状態を判定する。なお図2においては、学習済分類器32b及び非学習分類器32cをそれぞれ1つずつ図示しているが、これらは複数が記憶部32に記憶されてよい。学習済分類器32b及び非学習分類器32cの詳細については後述する。
ログ記憶部32dは、プラズマ処理装置10から取得した情報と、この情報に対する学習済分類器32b又は非学習分類器32cの判定結果とを対応付けてログデータとして記憶する。またログ記憶部32dは、学習済分類器32b又は非学習分類器32cに誤りが発生した場合等に、オペレータ又は管理者等のユーザによる正解値への修正がなされたログデータを記憶する。ログ記憶部32dに記憶されたこれらのログデータは、分類器の学習処理において教師データとして用いられる。
通信部33は、通信ケーブル等を介してプラズマ処理装置10に接続され、この通信ケーブルを介してプラズマ処理装置10との間で種々のデータの送受信を行う。本実施の形態において通信部33は、プラズマ処理装置10の測定部20が計測した荷重の情報を、通信ケーブルを介した通信により受信して取得する。なお通信部33は、プラズマ処理装置10との間で無線通信を行う構成であってもよい。通信部33は、処理部31から与えられたデータをプラズマ処理装置10へ送信すると共に、プラズマ処理装置10から受信したデータを処理部31に与える。
表示部34は、液晶ディスプレイ等を用いて構成されており、処理部31の処理に基づいて種々の画像及び文字等を表示する。操作部35は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作を処理部31へ通知する。例えば操作部35は、マウス及びキーボード等の入力デバイスであり、これらの入力デバイスは制御端末装置30に対して取り外すことが可能な構成であってもよい。また例えば操作部35は、表示部34の表面に設けられたタッチパネル等の入力デバイスによりユーザの操作を受け付けてもよい。
カードスロット36は、メモリカード等の記録媒体99が着脱可能であり、装着された記録媒体99に対するデータの読み出し及び書き込みを行う。カードスロット36は、記録媒体99に記録されたデータを読み出して処理部31に与えると共に、処理部31から与えられたデータを記録媒体99に書き込む。本実施の形態においては、予めサーバ装置5にて機械学習がなされた学習済分類器32bは記録媒体99に記録されて制御端末装置30に提供され、制御端末装置30は記録媒体99に記録された学習済分類器32bをカードスロット36にて読み出して記憶部32に記憶する。また本実施の形態においては、ログ記憶部32dに記憶されたログデータはカードスロット36にて記録媒体99に書き込まれ、サーバ装置5がこの記録媒体99からログデータを読み出して機械学習のための教師データとして用いる。また本実施の形態においては、非学習分類器の更新処理を行う場合等に、記録媒体99に更新用の非学習分類器が記録され、記録媒体99を介して非学習分類器の授受が行われる。制御端末装置30は、カードスロット36にて記録媒体99に記録された非学習分類器を読み出して記憶部32に記憶する。なお本実施の形態においては、制御端末装置30及びサーバ装置5の間のデータの授受を記録媒体99にて行う構成とするが、これに限るものではなく、例えば制御端末装置30及びサーバ装置5がLAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信によりデータの授受を行ってもよい。
なお記憶部32は、制御端末装置30に接続された外部記憶装置であってよい。また制御端末装置30は、複数のコンピュータを含んで構成されるマルチコンピュータであってよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。また制御端末装置30は、表示部34及び操作部35等のユーザインタフェースを備えていなくてもよく、この場合には例えば別の装置を介して管理者が制御端末装置30の操作を行う構成としてよい。
また本実施の形態に係る制御端末装置30の処理部31には、記憶部32に記憶されたプログラム32aを処理部31が読み出して実行することにより、プロセス情報取得部31a、分類器選択部31b、状態情報取得部31c、異常判定部31d、表示処理部31e、制御処理部31f、修正操作受付部31g及びデータ記録部31h等がソフトウェア的な機能部として実現される。
プロセス情報取得部31aは、通信部33にてプラズマ処理装置10との間で通信を行うことにより、プラズマ処理装置10からプロセスに関する情報を取得する処理を行う。本実施の形態においてプロセス情報取得部31aは、プラズマ処理装置10の昇降機構15による基板Sの昇降プロセスに関する情報として、測定部20が測定した昇降機構15に加わる荷重の測定結果の情報を取得する。
分類器選択部31bは、記憶部32に記憶された学習済分類器32b及び非学習分類器32cの中から1つの分類器を選択する処理を行う。本実施の形態において分類器選択部31bは、オペレータ又は管理者等のユーザによる選択操作を操作部35にて受け付け、受け付けたユーザの選択操作に基づいて1つの分類器を選択する。ただし分類器選択部31bは、例えばプラズマ処理装置10にて行われるプラズマ処理の条件、又は、処理対象となる基板Sの種類等のプロセス条件に基づいて、分類器を自動的に選択する構成であってもよい。
状態情報取得部31cは、分類器選択部31bにて選択された学習済分類器32b又は非学習分類器32cの分類器に対して、プロセス情報取得部31aが取得したプロセス情報を入力し、分類器が出力するプロセスの状態を示す情報を取得する処理を行う。
異常判定部31dは、状態情報取得部31cが取得した状態情報に基づき、プラズマ処理装置10の昇降機構15による基板Sの昇降プロセスにて異常が発生したか否かを判定する処理を行う。異常判定部31dは、例えば状態情報取得部31cが取得した状態情報と、予め定められた閾値とを比較して、異常の有無を判定する。
表示処理部31eは、種々の画像又は文字等を表示部34に表示する処理を行う。本実施の形態において表示処理部31eは、例えば分類器の選択をユーザから受け付けるための選択画面を表示する。また例えば表示処理部31eは、異常判定部31dが異常があると判定した場合に、警告メッセージ等を表示部34に表示する処理を行う。
制御処理部31fは、プロセス情報取得部31aが取得したプロセス情報、状態情報取得部31cが取得した状態情報、又は、異常判定部31dによる異常の有無の判定結果等に基づいて、プラズマ処理装置10の動作を制御する処理を行う。本実施の形態において制御処理部31fは、異常判定部31dが異常ありと判定した場合に、プラズマ処理装置10の昇降機構15を停止させる等の制御処理を行う。
修正操作受付部31gは、分類器(学習済分類器32b又は非学習分類器32c)が出力した状態情報に誤りがあるとユーザが判断した場合に、この誤りを修正する操作を受け付ける。例えば本実施の形態においては、プラズマ処理装置10の昇降機構15による基板Sの昇降プロセスに異常が発生したと異常判定部31dが判定した場合に、表示処理部31eが警告メッセージを表示すると共に、制御処理部31fが昇降プロセスを停止させる。このときに表示処理部31eは異常判定に関するプロセス情報及び状態情報を表示する。ユーザは、プラズマ処理装置10の状態を自ら確認し、表示部34に表示された情報を確認して、プラズマ処理装置10の昇降プロセスに異常がないと判断した場合、即ち制御端末装置30の異常判定が誤っていると判断した場合、操作部35にて所定の操作を行うことによって判定結果の修正を行い、処理を再開させる。修正操作受付部31gはこのときの所定の操作を受け付けて、修正された判定結果を取得する。また例えば本実施の形態においては、プラズマ処理装置10の昇降機構15による基板Sの昇降プロセスに異常が発生していないと異常判定部31dが判定したにも関わらず、ユーザが異常発生と判断した場合に、強制停止等の操作をユーザが行って昇降プロセスを停止させることができる。修正操作受付部31gはこのときの強制停止等の操作を修正操作として受け付け、修正された判定結果を取得する。
データ記録部31hは、プロセス情報取得部31aがプラズマ処理装置10から取得したプロセス情報と、状態情報取得部31cが取得した状態情報(又は、異常判定部31dによる異常の有無の判定結果)とを対応付けてログデータとしてログ記憶部32dに記録する処理を行う。またデータ記録部31hは、修正操作受付部31gが修正操作を受け付けた場合に、修正結果を状態情報(又は判定結果)に反映させてログデータを記録する。なおデータ記録部31hは、例えばプラズマ処理装置10から取得する全ての情報をログデータとして記録してもよく、また例えばユーザによる修正が行われた等の特定の条件が満たされた場合にのみログデータを記録してもよい。
図3は、本実施の形態に係るサーバ装置5の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るサーバ装置5は、処理部(プロセッサ)51、記憶部(ストレージ)52、通信部(トランシーバ)53及びカードスロット54等を備えて構成されている。なお本実施の形態においては、1つのサーバ装置5にて処理が行われるものとして説明を行うが、複数のサーバ装置5が分散して処理を行ってもよい。
処理部51は、CPU、MPU又はGPU等の演算処理装置を用いて構成されている。処理部51は、記憶部52に記憶されたサーバプログラム52aを読み出して実行することにより、プラズマ処理装置10の制御端末装置30が利用する学習済分類器32bの学習処理、及び、更新のための非学習分類器32cを作成する処理等の種々の処理を行う。
記憶部52は、例えばハードディスク等の大容量の記憶装置を用いて構成されている。記憶部52は、処理部51が実行する各種のプログラム、及び、処理部51の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部52は、処理部51が実行するサーバプログラム52aを記憶している。本実施の形態においてサーバプログラム52aは、メモリカード等の記録媒体99に記録された態様で提供され、サーバ装置5は記録媒体99からサーバプログラム52aを読み出して記憶部52に記憶する。ただし、サーバプログラム52aは、例えばサーバ装置5の製造段階において記憶部52に書き込まれてもよい。例えばサーバプログラム52aは、記録媒体99に記録されたものを書込装置が読み出してサーバ装置5の記憶部52に書き込んでもよい。サーバプログラム52aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよい。
通信部53は、社内LAN、無線LAN及びインターネット等を含むネットワークNを介して、種々の装置との間で通信を行う。通信部53は、処理部51から与えられたデータを他の装置へ送信すると共に、他の装置から受信したデータを処理部51に与える。
カードスロット54は、メモリカード等の記録媒体99が着脱可能であり、装着された記録媒体99に対するデータの読み出し及び書き込みを行う。カードスロット54は、記録媒体99に記録されたデータを読み出して処理部51に与えると共に、処理部51から与えられたデータを記録媒体99に書き込む。本実施の形態においては、サーバ装置5が学習処理を行った学習済分類器32bをカードスロット56にて記録媒体99に書き込み、サーバ装置5からプラズマ処理装置10の制御端末装置30への学習済分類器32bの提供が行われる。また本実施の形態においては、制御端末装置30にて記録されたログデータが記録媒体99に書き込まれて提供され、サーバ装置5は、カードスロット54にて記録媒体99からログデータを読み出して取得し、学習処理の教師データとして用いる。
なお記憶部52は、サーバ装置5に接続された外部記憶装置であってよい。またサーバ装置5は、複数のコンピュータを含んで構成されるマルチコンピュータであってよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。またサーバ装置5は、上記の構成に限定されず、例えば操作入力を受け付ける操作部、又は、画像を表示する表示部等を含んでもよい。
また本実施の形態に係るサーバ装置5の処理部51には、記憶部52に記憶されたサーバプログラム52aを処理部51が読み出して実行することにより、学習処理部51a等がソフトウェア的な機能部として実現される。なおこれらの機能部は、分類器を生成する処理に関する機能部であり、これ以外の機能部については図示及び説明を省略する。
学習処理部51aは、分類器を機械学習して学習済分類器32bを生成する処理を行う。学習処理部51aは、分類器の最初の学習段階、即ち分類器を最初に生成する段階において、本システムの管理者又は開発者等が予め作成した教師データを用いて学習処理を行う。このときに用いられる教師データは、これまでのプラズマ処理装置の運用により蓄積されたデータを用いて作成され得る。また学習処理部51aは、本システムのプラズマ処理装置10の制御端末装置30から記録媒体99を介して取得したログデータに基づいて生成された教師データを用いて、学習済分類器32bを再学習する。
<分類器の構成>
図4は、本実施の形態に係る制御端末装置30が分類器を用いて行う異常判定処理を説明するための模式図である。上述のように、本実施の形態に係る制御端末装置3は、記憶部32に一又は複数の学習済分類器32b及び非学習分類器32cを記憶している。図示の例では、制御端末装置30は記憶部32に、学習済分類器32bとして3つの学習済分類器A〜Cを記憶し、非学習分類器32cとして2つの非学習分類器a,bを記憶しているものとしている。
制御端末装置30は、例えばオペレータ又は管理者等のユーザによる選択操作を受け付け、受け付けた選択操作に応じて複数の分類器の中から1つの分類器を選択して異常判定処理に用いる。なお制御端末装置30は、ユーザの選択操作に応じてではなく、例えばプラズマ処理装置10の製造プロセスに関する条件等に応じて、自動的に分類器を選択してもよい。更に、本実施の形態に係る制御端末装置30は、例えばプラズマ処理装置10の昇降機構15による基板Sの昇降プロセスに異常が発生しない可能性が高い場合等に、分類器を用いた異常判定処理を行わずに、昇降機構15による昇降プロセスの制御を行うことができる。
本実施の形態に係る分類器には、昇降機構15による基板Sの上昇過程において、測定部20によって連続的に測定された複数の荷重測定値が入力される。具体的には、測定部20によって所定のサンプリング周期(例えば、100ミリ秒)毎に測定された複数(n個、例えばn=5)の荷重測定値P1〜Pnが分類器に入力される。分類器は、入力された複数の荷重測定値P1〜Pnに基づき、基板Sの昇降プロセスにおける異常の程度(以下、これを適宜「異常度」という)を出力する。換言すれば、分類器は、荷重測定値Pnを測定した時点での異常度を出力する。
制御端末装置30は、測定部20から荷重測定値を取得する都度、今回に取得した荷重測定値と、以前に取得した荷重測定値とを分類器へ入力する。即ち制御端末装置30は、荷重測定値P1〜Pnを分類器へ入力し、この分類器が出力する異常度を取得した後、次のサンプリング周期にて取得した荷重測定値Pn+1を含む荷重測定値P2〜Pn+1を分類器へ入力し、Pn+1を取得した時点での異常度を分類器から取得する。このように、測定部20から荷重測定値を取得する毎に同様の処理を繰り返して行うことによって、制御端末装置30はサンプリング周期毎に分類器から異常度を取得することができる。なお分類器が出力する異常度は、例えば0〜1の値に設定されており、昇降プロセスに関する異常の程度が高くなるほど大きな値になる。
本実施の形態に係る学習済分類器32bは、例えばk近傍法を用いた機械学習により生成されている。k近傍法は既存の技術であるため、その詳細な説明は省略する。ただし機械学習はk近傍法以外の手法により行われてもよい。例えばSVM(Support Vector Machine)又は深層学習等の種々の機械学習の方法が採用され得る。
本実施の形態に係る分類器の機械学習には、基板Sの昇降が正常である場合の複数(n個、例えばn=5)の荷重測定値を入力情報とし、基板Sの昇降が正常であること(異常度=0)を示す情報を出力情報とした正常時の教師データを用いることができる。正常時の教師データの荷重測定値を分類器に入力した場合に、分類器が異常度=0を出力するよう、k近傍法を用いた機械学習を行う。教師データの入力情報としては、上述の荷重測定値P1〜Pn、荷重測定値P2〜Pn+1、…と同様に、1サンプリング周期分だけずれて測定された複数の荷重測定値が用いられ、いずれの入力情報に対しても出力情報として異常度=0が与えられる。
また分類器の機械学習には、基板Sの昇降が異常である場合の複数(n個、例えばn=5)の荷重測定値を入力情報とし、基板Sの昇降が異常であること(異常度=1)を示す情報を出力情報とした異常時の教師データを用いてもよい。正常時の教師データと異常時の教師データとの両方を用いて機械学習を行ってもよい。異常時の教師データの荷重測定値を分類器に入力した場合には、分類器が異常度=1を出力するよう、k近傍法を用いた機械学習を行う。
分類器の機械学習は最初の一度に限られない。必要に応じて、新たな教師データを用いて学習済分類器32bの再学習を行ってもよく、これまでの教師データに新たな教師データを追加して再学習を行ってもよい。本実施の形態においては、分類器の学習処理はサーバ装置5にて行われる。サーバ装置5は、予め用意された上述の教師データを用いてk近傍法により分類器の機械学習を行うことにより、学習済分類器32bを生成する。サーバ装置5が生成した学習済分類器32bは、記録媒体99を介してプラズマ処理装置10の制御端末装置30に与えられる。また制御端末装置30はプラズマ処理装置10の稼働により得られたログデータ、即ち測定部20による荷重測定値と昇降機構15の昇降プロセスにおける異常の有無とを対応付けたデータを記録している。サーバ装置5は、記録媒体99を介して制御端末装置30が記録して蓄積したログデータを取得し、取得したログデータを新たな教師データとして用いることで学習済分類器32bの再学習を行うことができる。
プラズマ処理装置10の制御端末装置30は、機械学習がなされた学習済分類器32bを用い、測定部20から取得する荷重測定値を学習済分類器32bへ入力し、学習済分類器32bが出力する異常度を取得することで、昇降機構15の昇降プロセスにおける異常の有無を判定することができる。なお学習時とは異なり、学習済分類器32bが出力する異常度の値は、0≦異常度≦1となる。
制御端末装置30は、学習済分類器32bが出力する異常度を取得して、異常判定部31dへ入力する。異常判定部31dは、入力された異常度に応じて基板Sの昇降プロセスにおける異常の有無を判定する。異常判定部31dには、本システムの設計者等により予め定められた閾値Th(例えば、0.3)が設定されている。異常判定部31dは、学習済分類器32bが出力する異常度がこの閾値Thより小さい場合に基板Sの昇降プロセスは正常であると判定し、異常度が閾値Th以上である場合に昇降プロセスに異常が生じていると判定する。上述のように、学習済分類器32bによる異常度の出力が荷重測定値のサンプリング周期毎に行われるため、異常判定部31dによる判定も荷重測定値のサンプリング周期毎に行われる。
本実施の形態に係る制御端末装置30は、学習済分類器32bとして複数の学習済分類器A〜Cを有している。これら複数の学習済分類器A〜Cは、例えば機械学習に用いられた教師データが異なる。例えば、学習済分類器Aは初期の機械学習のみが行われた分類器、学習済分類器Bは学習済分類器Aに対して新たな教師データを追加した再学習が行われた分類器、学習済分類器Cは学習済分類器Bに対して更に新たな教師データを追加した再学習が行われた分類器とすることができる。また例えば、複数の学習済分類器A〜Cは、機械学習の手法が異なるものであってもよい。例えば、学習済分類器Aは上述のk近傍法により機械学習がなされ、学習済分類器BはSVMの手法により機械学習がなされ、学習済分類器Cは深層学習の手法により機械学習がなされた分類器とすることができる。複数の学習済分類器A〜Cの差異は、上記のものに限らない。
また本実施の形態においては、学習済分類器32bに対して測定部20が測定した荷重を数値情報として入力しているが、これに限るものではない。例えば複数の荷重測定値を棒グラフ又は折れ線グラフとしてグラフ化した画像を学習済分類器32bへの入力としてもよい。画像を入力する場合、学習済分類器32bには、CNN(Convolutional Neural Network)により作成されたモデルが好適である。ただし学習済分類器32bに対して画像化していない数値情報を入力する場合であっても、学習済分類器32bにはCNNによるモデルが採用されてよい。また学習済分類器32bには、SVM又はCNN以外によるモデルが採用されてもよい。
また本実施の形態に係る制御端末装置30は、非学習分類器32cを用いて、プラズマ処理装置10の昇降機構15の昇降プロセスにおける異常の有無を判定することができる。非学習分類器32cは、教師データを用いた機械学習により生成されるのではなく、例えば本システムの設計者等が予め定めた閾値又は演算式等を用い、測定部20から取得した荷重測定値に応じた異常値を出力するか、又は、異常の有無を判定する。
図5は、測定部20による荷重測定値の一例を示すグラフである。本グラフの横軸は基板Sの上昇を開始した時点を基準とする経過時間[100msec]であり、縦軸は荷重測定値[N]である。なお荷重測定値の符号が正の場合は測定された荷重が引張荷重であることを示し、負の場合は圧縮荷重であることを示している。また本図には、基板Sの昇降プロセスが正常である場合の荷重測定値の時間的変化を実線で示し、異常である場合の荷重測定値の時間的変化を破線で示している。図示の例では、正常な場合の荷重測定値は、経過時間1000msec以降において略一定の傾きで減少している。これに対して異常な場合の荷重測定値は、経過時間1000msec〜2000msecの範囲で急激な減少を示している。
非学習分類器32cは、例えば図5に示した1000msec以降についての正常な荷重測定値を記憶しており、1000msec以降の荷重測定値が入力され、正常な荷重測定値と入力された荷重測定値との差分値を異常度として出力する。また例えば非学習分類器32cは、図5に示した1000msec以降について、荷重測定値の変化が正常である場合の変化率(傾き、微分値)を記憶しており、1000msec以降の荷重測定値に対して変化率を算出し、算出した変化率と正常な場合の変化率との差分値を異常度として出力する。非学習分類器32cによる異常度の算出方法は、上記の方法に限らない。
異常判定部31dは、非学習分類器32cが出力した差分値が予め定められた閾値を超えるか否かに応じて、異常の有無を判定する。なおこの際に異常判定部31dが判定に用いる閾値は、学習済分類器32bが出力する異常度と比較する閾値とは異なるものであってよい。
<分類器の選択>
上述のようにプラズマ処理装置10の制御端末装置30は、記憶部32に記憶した一又は複数の学習済分類器32b及び非学習分類器32cの中から1つを選択して、昇降機構15の昇降プロセスにおける異常の有無を判定する。本実施の形態において制御端末装置30は、これらの分類器の選択を受け付けるための選択画面を表示部34に表示し、オペレータ又は管理者等のユーザから選択操作を操作部35にて受け付ける。
図6は、制御端末装置30が表示する選択画面の一例を示す模式図である。本例の選択画面は、最上部に「判定モード選択画面」のタイトル文字列が表示され、その下方に「学習モデルA」、「学習モデルB」、「学習モデルC」、「非AI判定」及び「非判定」のラベルが付された5つのボタン111〜115が上下に並べて表示されている。本例において制御端末装置30は、表示部34に対してタッチパネルが操作部35として設けられ、選択画面に設けられたこれらのボタン111〜115に対するタッチ操作に応じて学習モデル(分類器)の選択操作を受け付ける。
「学習モデルA」のボタン111の右隣には、この学習モデル(分類器)に関する情報として「k近傍法、2019年11月」の文字列が表示されている。この情報は、学習モデルがk近傍法により学習されたものであり、学習処理が2019年11月に行われたことを示している。同様に、「学習モデルB」のボタン112の右隣には、「k近傍法、2020年1月」の文字列が表示されている。「学習モデルC」のボタン113の右隣には、「SVM、2019年12月」の文字列が表示されている。制御端末装置30は、ボタン111〜113に対するタッチ操作等を学習モデル(学習済分類器32b)の選択操作として受け付け、対応する学習済分類器32bを記憶部32から読み出して異常判定処理に用いる。
「非AI判定」のボタン114の右隣には、「比較」のラベルが付されたボタン116と、「微分」のラベルが付されたボタン117とが表示されている。本例では、「非AI判定」のボタン114に対する選択操作に応じて、制御端末装置30は、記憶部32に記憶された非学習分類器32cを選択する。本例は記憶部32に2つの非学習分類器32cが記憶されており、一方の非学習分類器32cが荷重の正常値及び測定値の比較(即ち差分値)に応じて異常を判定し、もう一方の非学習分類器32cが荷重測定値の変化量(微分値)に応じて異常を判定するものとし、いずれの非学習分類器32cを用いるかが「比較」のボタン116又は「微分」のボタン117に対する操作に応じて決定される。「比較」のボタン116及び「微分」の117は、通常は選択できない状態で表示され、「非AI判定」のボタン114に対する操作がなされた後に選択可能な状態とされる。また制御端末装置30は、「非AI判定」のボタン114に関連付けて、プラズマ処理装置10において非学習分類器32cを用いた処理が行われていた期間、例えば「2018年4月〜2019年11月」の情報を選択画面に表示してもよい。
「非判定」のボタン115の右隣には、「異常判定を行いません」の文字列が表示されている。「非判定」のボタン115に対する操作を受け付けた場合、制御端末装置30は、学習済分類器32b及び非学習分類器32cを用いた異常判定処理を行わずに、プラズマ処理装置10の昇降機構15による基板Sの昇降プロセスを実施する。この場合に制御端末装置30は、異常が生じた場合の情報出力及び非常停止等の制御を行わない。
(変形例)
本実施の形態に係る制御端末装置30は、選択画面におけるユーザの選択操作に応じて、記憶部32に記憶された学習済分類器32b及び非学習分類器32cの中から1つの分類器を選択して異常判定を行うが、選択方法はユーザの選択操作に基づくものに限らない。制御端末装置30は、プラズマ処理装置10が行うプラズマ処理の条件に応じて、いずれの分類器を用いるかを自動的に選択してもよい。例えば、裏面酸化膜を有する基板と、裏面酸化膜のない基板とでは静電チャック14への吸着の程度が異なるため、制御端末装置30は、プラズマ処理の処理条件として処理対象の基板Sの種類(裏面酸化膜の有無)の情報を取得し、基板Sの種類に応じて分類器を選択することができる。制御端末装置30は、例えば裏面酸化膜を有する基板Sを処理する際には学習済分類器32bを選択し、裏面酸化膜なしの基板Sを処理する際には非学習分類器32cを選択するか又は異常判定を行わない。なお分類器を選択する条件は、基板Sの裏面酸化膜の有無に限らず、これ以外の種々の条件が採用され得る。
<情報出力処理>
本実施の形態に係る制御端末装置30は、昇降機構15の昇降プロセスの異常に関する情報を出力する処理を行う。制御端末装置30は、選択した学習済分類器32b又は非学習分類器32cを利用して異常の有無を判定し、昇降機構15の昇降プロセスに異常があると判定した場合には、表示部34に異常を通知するための異常画面を表示する処理を行う。図7は、制御端末装置30が表示する異常画面の一例を示す模式図である。図示の例は、学習済分類器32bを利用して異常を判定した場合の異常画面である。
本実施の形態において制御端末装置30は、異常画面の最上部に、異常の種別を簡潔に示す「基板昇降に異常あり」等の文字列を表示し、異常ありと判定したことをユーザに通知すると共に、異常ありと判定した製造プロセスが基板Sの昇降プロセスであることを通知する。この文字列の下方に、制御端末装置30は、「判定モード:学習モデルA」の文字列を表示する。この文字列は、図6に示した選択画面においてユーザが選択操作を行った分類器の名称等を通知するものである。
これらの文字列の下方に、制御端末装置30は、異常を判定した根拠となる情報をグラフ表示する。図示の例の根拠情報は、横軸を経過時間[100msec]とし、縦軸を荷重測定値[N]及び異常度としたグラフである。本グラフは、図5に示したグラフに対して、学習済分類器32bが出力する異常度の情報を追加したものに相当する。グラフには、学習済分類器32bが出力する異常度に対して、異常の有無の判定基準となる閾値が破線で示されており、異常度がこの閾値を超えたことで制御端末装置30が昇降プロセスの異常を判定したことが確認できる。
なお図示は省略するが、制御端末装置30は、非学習分類器32cを利用した異常を判定した場合の異常画面に、根拠情報のグラフとして図5に示したものと同様のグラフを表示することができる。このときのグラフには、異常度は表示されなくてよい。また根拠情報は、必ずしもグラフ表示されなくてもよく、例えば文字情報で表示されてもよく、また例えば異常が発生した際のチャンバ11内を撮影した画像が表示されてもよく、これら以外の表示態様が採用されてよい。
また制御端末装置30は、異常度に対して複数の閾値での判定を行い、異常の程度に応じた異なる画面の表示を行ってもよい。例えば制御端末装置30は、異常度>0.3の場合に異常ありと判定して上記の異常画面を表示し、0.1<異常度≦0.3の場合には異常の予兆ありと判定して上記の異常画面とは異なる警告画面を表示してもよい。図示は省略するが、警告画面は、例えば異常画面と同様に警告メッセージの文字情報及び根拠となるグラフ情報を表示する構成としてもよく、また例えば単に警告メッセージの文字情報のみを表示する構成としてもよく、これら以外の表示を行う構成であってもよい。
また制御端末装置30は、例えば異常ありと判定した際の異常度の値に応じて、異常画面の背景色を変化させてもよい。制御端末装置30は、例えば0.1<異常度≦0.3の場合に背景色を黄色とし、異常度>0.3の場合に背景色を赤色として異常画面を表示する。これらの表示を行うことによりユーザは、プラズマ処理装置10にて生じた異常の度合いを容易に判断することができる。なお制御端末装置30は、異常度に応じて異常あり及び異常の予兆ありの2段階の判定を行うのではなく、1段階又は3段階以上の判定を行う構成であってよく、判定結果に応じて適宜の画面表示を行うことができる。また制御端末装置30は、画面表示ではなく、例えばランプの点灯又は音声出力等により異常に関する情報を出力する構成であってもよい。
また制御端末装置30は、例えば異常ありと判定した際の異常度の値に応じて、基板Sの昇降プロセスを強制的に停止させるか否かを判断してもよい。制御端末装置30は、例えば異常度>0.3であると判定した場合に、基板Sの昇降プロセスを強制的に停止させる。制御端末装置30は、例えば0.1<異常度≦0.3であると判定した場合には、基板Sの昇降プロセスは停止させず、処理を続行する。なお、これらの異常度に対する判断基準の数値は一例であって、これに限るものではない。
また異常画面の最下部には、「OK」のラベルが付されたボタン121が設けられている。制御端末装置30は、「OK」のボタン121に対する操作を受け付けた場合、例えば基板Sの昇降プロセスを終了させ、異常画面から初期画面等へ表示を変更する。又は、制御端末装置30は、「OK」のボタン121に対する操作を受け付けた場合、異常に応じて停止させた昇降プロセスを再開してもよい。
<判定結果の修正>
本実施の形態に係る制御端末装置30は、基板Sの昇降プロセスについて異常の有無の判定結果をログデータとしてログ記憶部32dに記憶している。オペレータ又は管理者等のユーザは、制御端末装置30にて所定の操作を行うことによって、ログ記憶部32dに記憶されたログデータを表示部34に表示させることができる。例えば制御端末装置30は、例えば異常画面の表示後にログデータの表示を行うことができる。ただしログデータの表示は、どのようなタイミングで行われてもよく、昇降プロセスの実施中に行われてもよく、昇降プロセスが実施されていない際に行われてもよい。
図8は、制御端末装置30が表示するログ画面の一例を示す模式図である。本実施の形態において制御端末装置30は、最上部に「ログデータ」のタイトルが示されたログ画面を表示する。制御端末装置30は、ログ画面のタイトルの下方に、基板Sの昇降プロセス毎に例えば「日時」、「No.」、「分類器」及び「判定結果」の項目を並べて一覧表示する。「日時」の項目は、昇降プロセスが実施された日時であり、制御端末装置30の時計機能等により計測された日時である。「No.」の項目は、例えば基板Sに対して付される識別番号又は昇降プロセスに対して付される識別番号等であり、処理の開始前にユーザから入力されるか又は制御端末装置30が自動的に付す番号である。「分類器」の項目は、異常判定に用いられた分類器がいずれであるかを示す情報である。「判定結果」の項目は、基板Sの昇降プロセスについての異常の有無の判定結果である。制御端末装置30は、これらの情報をログ記憶部32dから取得して、例えば時系列順に並べて一覧表示する。
また制御端末装置30は、ログ画面に一覧表示する各昇降プロセスの情報について、「判定結果」の項目と共に「修正」のラベルが付されたボタン131を表示する。「修正」のボタン131は、制御端末装置30による異常有無の判定結果を修正する操作を受け付けるためのボタンである。ユーザは「修正」のボタン131に対する操作を行うことによって、「異常あり」の判定結果を「異常なし」へ、又は、「異常なし」の判定結果を「異常あり」へ修正することができる。「修正」のボタン131に対する操作を受け付けた場合、制御端末装置30は、ログ記憶部32dに記憶された判定結果を修正する。またこのときに制御端末装置30は、判定結果をユーザが修正したことを示すフラグ情報等をログデータに付してログ記憶部32dに記憶してもよい。
判定結果が修正されたログデータは、分類器を用いた異常判定の結果に誤りが生じた際のログデータである。このようなログデータは、学習済分類器32bの再学習を行うための教師データとして有用性が高い。判定結果が修正されたログデータを一又は複数のプラズマ処理装置10から収集してサーバ装置5が学習済分類器32bの再学習を行うことで、学習済分類器32bを利用した異常判定の精度向上が期待できる。
<フローチャート>
図9及び図10は、本実施の形態に係る制御端末装置30が行う処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係る制御端末装置30の処理部31の表示処理部31eは、図6に示した選択画面を表示部34に表示する(ステップS1)。処理部31の分類器選択部31bは、選択画面に設けられたボタン111〜117に対するタッチ操作等に基づいて、分類器の選択に関するユーザの選択操作を受け付ける(ステップS2)。分類器選択部31bは、ステップS2にて受け付けた選択操作に応じて、異常判定処理に用いる分類器として学習済分類器32bを選択するか否かを判定する(ステップS3)。
学習済分類器32bを選択する場合(S3:YES)、処理部31は、記憶部32に記憶された学習済分類器32bを読み出す(ステップS4)。このときに処理部31は、複数の学習済分類器32bが記憶部に記憶されている場合、選択画面の設けられたボタン111〜113のいずれに対する選択操作がなされたかに応じて、対応する1つの学習済分類器32bを読み出す。処理部31は、ステップS7へ処理を進める。
学習済分類器32bを選択しない場合(S3:NO)、分類器選択部31bは、非学習分類器32cを選択するか否かを判定する(ステップS5)。非学習分類器32cを選択する場合(S5:YES)、処理部31は、記憶部32に記憶された非学習分類器32cを読み出す(ステップS6)。このときに処理部31は、複数の非学習分類器32cが記憶部に記憶されている場合、選択画面の設けられたボタン116,117のいずれに対する選択操作がなされたかに応じて、対応する1つの非学習分類器32cを読み出す。処理部31は、ステップS7へ処理を進める。
非学習分類器32cを選択しない場合(S5:NO)、処理部31は、分類器を用いた異常判定を行わない。処理部31の制御処理部31fは、昇降機構15の昇降プロセスについての異常判定を行うことなく、プラズマ処理装置10を稼働して製造プロセスを実施する(ステップS12)。制御処理部31fは、所望のプロセスが終了したか否かを判定する(ステップS13)。プロセスが終了していない場合(S13:NO)、制御処理部31fは、ステップS12へ処理を戻し、製造プロセスを継続する。終了したと判定した場合(S13:YES)、処理部31は、処理を終了する。
ステップS4又はS6にて分類器を読み出した後、制御処理部31fは、読み出した分類器を用いた異常判定を行いながら、プラズマ処理装置10を稼働して製造プロセスを実施する(ステップS7)。処理部31のプロセス情報取得部31aは、測定部20が測定するデータ(荷重測定値)を取得する(ステップS8)。処理部31の状態情報取得部31cは、ステップS8にて取得した測定データとそれ以前に取得した測定データとを組み合わせて、複数の測定データを分類器へ入力する(ステップS9)。そして、状態情報取得部31cは、測定データの入力に応じて分類器が出力する出力データ(異常度)を取得する(ステップS10)。
処理部31のデータ記録部31hは、ステップS8にて取得した測定データと、ステップS10にて取得した出力データとを対応付けてログデータとして記憶部32のログ記憶部32dに記録する(ステップS11)。なお本フローチャートでは測定データと出力データとを対応付けてログデータとして記録しているが、測定データと出力データに基づく異常の有無の判定結果とを対応付けてログデータとして記録してもよい。また、測定データと出力データと判定結果とを対応付けてログデータとしてもよい。
処理部31の異常判定部31dは、ステップS10にて取得した出力データに基づいて、昇降機構15の昇降プロセスに関する異常の有無を判定する(ステップS14)。異常判定部31dは、例えば異常度が所定の閾値0.3を超える場合に、昇降プロセスに異常ありと判定することができる。異常があると判定した場合(S14:YES)、表示処理部31eは、図7に示した異常画面を表示部34に表示し(ステップS15)、処理を終了する。
異常がないと判定した場合(S14:NO)、異常判定部31dは、ステップS10にて取得した出力データに基づいて、警告を行う必要があるか否かを判定する(ステップS16)。異常判定部31dは、例えば異常度が0.1を超え、且つ、0.3未満である場合に、警告の必要ありと判定する。警告の必要なしと判定した場合(S16:NO)、処理部31は、ステップS18へ処理を進める。警告の必要ありと判定した場合(S16:YES)、表示処理部31eは、警告メッセージ等を含む警告画面を表示部34に表示し(ステップS17)、ステップS18へ処理を進める。
次いで制御処理部31fは、所望のプロセスが終了したか否かを判定する(ステップS18)。プロセスが終了していない場合(S18:NO)、制御処理部31fは、ステップS7へ処理を戻し、製造プロセスを継続する。終了したと判定した場合(S18:YES)、処理部31は、処理を終了する。
なお本実施の形態においては、制御端末装置30がログデータを自身の記憶部32に記憶しているが、これに限るものではない。制御端末装置30がネットワークを介してサーバ装置5との通信を行うことが可能である場合には、制御端末装置30がログデータをサーバ装置5へ送信し、サーバ装置5がログデータの蓄積を行ってもよい。
図11は、本実施の形態に係る制御端末装置30が行うログ修正処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係る制御端末装置30の処理部31は、例えばメニュー画面等においてログ画面を表示する項目が選択された場合等に、記憶部32のログ記憶部32dに記憶されたログデータを読み出す(ステップS21)。処理部31の表示処理部31eは、読み出したログデータに基づいて、図8に示したログ画面を表示部34に表示する(ステップS22)。
その後、処理部31の修正操作受付部31gは、ログ画面に設けられた「修正」のボタン131に対する操作の有無に応じて、判定結果の修正を受け付けたか否かを判定する(ステップS23)。判定結果の修正を受け付けた場合(S23:YES)、修正操作受付部31gは、操作がなされた「修正」のボタン131に対応する判定結果のデータを修正し(ステップS24)、処理を終了する。判定結果の修正を受け付けない場合(S23:NO)、修正操作受付部31gは、データの修正を行わずに処理を終了する。
図12は、本実施の形態に係るサーバ装置5が行う学習済分類器32bの再学習処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係るサーバ装置5の処理部51の学習処理部51aは、プラズマ処理装置10の学習済分類器32bの再学習処理を行うタイミングに至ったか否かを判定する(ステップS31)。学習処理部51aは、例えば所定期間(1ヶ月又は1年等)が経過した場合、又は、システムの管理者等による再学習処理の実行指示が与えられた場合等に、再学習処理を行うタイミングに至ったと判定する。再学習処理を行うタイミングに至っていない場合(S31:NO)、学習処理部51aは、再学習処理を行うタイミングに至るまで待機する。
再学習処理を行うタイミングに至った場合(S31:YES)、学習処理部51aは、プラズマ処理装置10の制御端末装置30が蓄積したログデータを取得する(ステップS32)。このときに学習処理部51aは、例えば制御端末装置30が蓄積したログデータが記録された記録媒体99からログデータを取得してもよく、また例えば制御端末装置30との間で通信を行ってログデータを取得してもよい。学習処理部51aは、取得したログデータからプロセス情報及びプロセスの状態情報を抽出して対応付けることにより、再学習処理のための教師データを生成する(ステップS33)。
次いで学習処理部51aは、再学習処理の対象となる学習済分類器32bを読み出す(ステップS34)。このときに学習処理部51aは、自身の記憶部52に記憶しておいた学習済分類器32bを読み出してもよく、記録媒体99を介して制御端末装置30の記憶部32に記憶された学習済分類器32bを取得して読み出してもよい。学習処理部51aは、ステップS34にて読み出した学習済分類器32bに対して、ステップS33にて生成した教師データを用いた再学習を行う(ステップS35)。学習処理部51aは、再学習を終えた学習済分類器32bを、例えばカードスロット54に装着された記録媒体99へ、又は、ネットワークを介して制御端末装置30へ出力し(ステップS36)、再学習処理を終了する。
<その他のプロセス情報について>
本実施の形態においては、プラズマ処理装置10の昇降機構15の昇降プロセスについて異常判定を行う構成を説明したが、本技術の適用は昇降機構15の昇降プロセスに限らない。図13は、プラズマ処理装置10の概略構成を示す模式図である。プラズマ処理装置10は、ガス供給源(ガスNo.1〜No.6)からチャンバ11までの各流路に設けられたMFC(Mass Flow Controller)71を備えており、MFC71は各ガスの流量(ガスNo.1〜No.6流量)を測定する。プラズマ処理装置10は、チャンバ11の壁面を加熱するヒータ(図示は省略する)が適宜の箇所に設けられており、このヒータの温度(温度No.1−1〜No.1−4)を測定する測定器(図示は省略する)を備えている。プラズマ処理装置10は、チャンバ11内の圧力(チャンバ内圧力)を測定する真空計72を備えている。
また、プラズマ処理装置10はチャンバ11を囲んで配置されるコイル63を備えており、コイル63には上部高周波電源64から上部マッチングユニット65を介して高周波電力(上部高周波電力)が印加されることで、チャンバ11内のガスがプラズマ化される。プラズマ処理装置10は、上部高周波電源64が印加する上部高周波電力と、上部マッチングユニット65の整合位置(上部マッチングユニット整合位置)とを測定する測定器(図示は省略する)を備えている。上部マッチングユニット整合位置は、上部マッチングユニット65が備える可変コンデンサ又は可変コイル等の定数である。
また、プラズマ処理装置10は、載置台13に下部マッチングユニット67を介して高周波電力(下部高周波電力)を印加する下部高周波電源66を備えており、載置台13に対する下部高周波電力の印加により基板Sに対するエッチング処理が施される。プラズマ処理装置10は、下部高周波電源66が印加する下部高周波電力と、下部マッチングユニット67の整合位置(下部マッチングユニット整合位置)とを測定する測定器(図示は省略する)を備えている。下部マッチングユニット整合位置は、下部マッチングユニット67が備える可変コンデンサ又は可変コイル等の定数である。
また、プラズマ処理装置10は、載置台13を冷却するチラー68と、チラー68の温度(チラー温度)を測定する測定器(図示は省略する)とを備えている。また、プラズマ処理装置10は、プラズマ処理の実行中に基板Sの裏面にHeガスを供給して冷却を行い、この際に供給するHeガスの圧力及び流量(Heガス圧力・流量)を測定する圧力・流用計69を備えている。
また、プラズマ処理装置10は、チャンバ11の排気管77に設けられたAPC(Auto Pressure Controller、自動圧力制御装置)73、第1ポンプ74、第2ポンプ75等を備えている。APC73は、バルブ開度を調整することによって、チャンバ11内の圧力を制御する。第1ポンプ74は反応生成物を排気するためのポンプであり、第2ポンプ75は第1ポンプを補助するためのポンプである。プラズマ処理装置10は、APC73の温度(温度No.1−5)及び第1ポンプ74の温度(温度No.1−6)を測定する測定器(図示は省略する)を備えている。また排気管77には複数箇所にヒータ(図示は省略する)が適所に設けられており、プラズマ処理装置10は、これらのヒータの温度(温度No.1−7、1−8)を測定する測定器(図示は省略する)を備えている。またプラズマ処理装置10は、APC73のバルブの開度(APC開度)を測定する測定器(図示は省略する)と、第1ポンプ74及び第2ポンプ75の間の排気管77の圧力(フォアライン圧力)を測定する真空計76とを備えている。
このように、プラズマ処理装置10は様々な測定器を備えており、制御端末装置30はこれら測定器から製造プロセスに関する様々なプロセス情報を取得することができる。図示の例では、制御端末装置30は、ガスNo.1〜No.6流量、温度No.1−1〜1−8、チャンバ内圧力、Heガス圧力・流量、チラー温度、上部高周波電力、下部高周波電力、上部マッチングユニット整合位置、下部マッチングユニット整合位置、APC開度及びフォアライン圧力等のプロセス情報を取得することができる。
制御端末装置30は、これらの様々なプロセス情報に基づいて、プラズマ処理装置10の様々な装置又はプロセスの状態を判定してよい。例えば制御端末装置30は、ガスNo.1〜No.6流量のプロセス情報に基づいて、ガス供給源又はガス供給プロセスの異常の有無を判定することができる。また例えば制御端末装置30は、上部高周波電力のプロセス情報に基づいて、上部高周波電源64の異常の有無を判定することができる。また例えば制御端末装置30は、真空計76が測定したフォアライン圧力のプロセス情報に基づいて、第1ポンプ74及び第2ポンプ75の異常又は排気プロセスの異常の有無を判定することができる。なおこれらは一例であって、制御端末装置30は、どのようなプロセス情報に基づいてどのような判定を行ってもよい。
いずれのプロセス情報に基づいて判定を行う場合であっても、本実施の形態に係る制御端末装置30は、予め機械学習がなされた学習済分類器32bと、機械学習によらずに生成された非学習分類器32cとを適宜に選択して、判定処理を行うことができる。
また制御端末装置30は、プラズマ処理装置10のプロセス情報に基づいて製造プロセスの異常の有無を判定するのみでなく、製造プロセスに関する判定処理又は制御処理等の様々な処理を行ってよい。製造プロセスに関する処理には、製造プロセスに関する検出又は予測等の処理を含み、例えばプラズマ処理装置10のプロセスにおける異常検出、エッチング処理を実行するプラズマ処理装置10におけるエッチング終点の検出、エッチング形状及び深さの予測、並びに、成膜処理を実行するプラズマ処理装置10における成膜した膜質の予測等の処理を含み得る。
例えばプラズマ処理装置10は、基板Sに対してエッチング処理を行う際に、エッチングの終点を検出する処理を行う場合がある。プラズマ処理装置10は、例えばチャンバ11内に生じた光を分光器へ導いて所定の波長を有する光の強度を検出することでエッチングの終点検出を行うことができる。そこで、上述の様々なプロセス情報のうちの一部又は全部(例えばフォアライン圧力又はAPC開度と、上部マッチングユニット整合位置及び/又は下部マッチングユニット整合位置とを含むことが好ましい)と、分光器による検出結果とを対応付けた教師データを用いて機械学習がなされた学習済分類器32bを生成し、制御端末装置30が終点検出処理にてこの学習済分類器32bを用いてもよい。この場合も、本実施の形態に係る制御端末装置30は、終点検出処理に学習済分類器32bを用いるか、分光器による検出を行う非学習分類器32cを用いるかを選択してよい。
<まとめ>
以上の構成の本実施の形態に係る半導体製造システムでは、半導体製造装置1の製造プロセスに係るプロセス情報として、プラズマ処理装置10の昇降機構15の昇降プロセスについて測定部20が測定した荷重の情報を制御端末装置30が取得する。制御端末装置30は、予め記憶部32に記憶した分類器に対して取得したプロセス情報(荷重測定値)を入力し、分類器が出力する製造プロセスの状態情報、即ち昇降プロセスに関する異常度を取得する。制御端末装置30は、取得した異常度に応じて昇降機構15の昇降プロセスの停止等の制御を行う。
制御端末装置30は、処理に用いる分類器として、学習済分類器32b及び非学習分類器32cを記憶部32に記憶している。学習済分類器32bは、製造プロセスのプロセス情報及び状態情報が対応付けられた教師データを用いて、k近傍法又はSVM等の機械学習がサーバ装置5にて予めなされた分類器であり、プロセス情報の入力を受け付けてプロセスの状態情報を出力する。非学習分類器32cは、入力されたプロセス情報と予め定められた判定基準の比較結果に従って製造プロセスの状態情報を出力する。制御端末装置30は、記憶部32に記憶したこれら複数の分類器の中から1つを選択して処理に用いる。
これにより本実施の形態に係る半導体製造システムは、複数の分類器を適宜に利用して、半導体の製造プロセスに関する異常等の状態に適した制御を行うことが期待できる。
また本実施の形態に係る制御端末装置30は、選択可能な分類器を示した選択画面を表示部34に表示し、選択画面に示された分類器の中からの選択操作をユーザから受け付ける。制御端末装置30は、ユーザから受け付けた分類器の選択操作に応じて、記憶部32に記憶した分類器の中から処理に用いる1つ分類器を選択する。これにより制御端末装置30は、オペレータ又は管理者等のユーザの判断に適した分類器を選択して処理を行うことができる。
また制御端末装置30は、半導体製造装置1の製造プロセスに係る処理条件、例えば処理対象の基板Sが裏面酸化膜を有するか否か等の条件を取得して、取得した条件に応じて分類器を自動的に選択してもよい。これによりオペレータ又は管理者等のユーザが選択操作を行うことなく、制御端末装置30が処理条件に適した分類器を選択して処理を行うことができる。
また本実施の形態に係る制御端末装置30は、異なる教師データを用いて機械学習がなされた複数個の学習済分類器32bを記憶部32に記憶し、複数個の学習済分類器32bの中からいずれか1つを選択して処理を行う。これにより制御端末装置30は、異なる複数個の学習済分類器32bを適宜に使い分けて処理を行うことができる。
また本実施の形態に係る制御端末装置30は、分類器から取得した状態情報(異常度)に基づいて製造プロセスの異常に関する情報の出力を行う。制御端末装置30は、分類器から取得した状態情報に基づいて製造プロセスの異常の有無を判定し、異常があると判定した場合に、状態情報を取得した分類器を示した異常画面を出力する。また制御端末装置30は、状態情報に基づいて製造プロセスの異常の予兆を判定し、異常の予兆があると判定した場合に、警告画面を出力する。また制御端末装置30は、分類器へ入力したプロセス情報(荷重測定値)及び分類器が出力した状態情報(異常度)の時系列的な変化を異常画面にグラフ表示する。これによりオペレータ又は管理者等のユーザが異常の有無及び異常の原因等を把握することを容易化することに寄与できる。
また本実施の形態に係る制御端末装置30は、分類器が出力した状態情報又はこれに基づく異常の有無の判定結果についての修正操作をユーザから受け付けて、修正された状態情報又は判定結果を分類器に入力したプロセス情報に対応付けたログデータとしてログ記憶部32dに記憶する。これにより、分類器に基づく判定に誤りが生じた際のログデータを修正して教師データとして用い、サーバ装置5による分類器の再学習処理に用いることができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。