JP6978911B2 - 動翼監視システム、動翼監視装置、動翼監視方法、プログラム - Google Patents
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Description
図1は本実施形態によるタービンの構成を示す図である。
図1に示すタービンシステム100は空気圧縮機2、燃焼器3、タービン4を備える。タービン4は、回転するタービンロータ9(ロータ)と、このタービンロータ9を回転可能に覆うタービンケーシング10とを有している。タービンロータ9は、回転軸9aを軸中心に有し、複数の動翼列Y1,Y2,Y3・・・を備える。動翼列Y1,Y2,Y3・・それぞれはタービンロータ9の軸方向に間を空けて設けられている。タービンケーシング10の内面の複数の動翼列Y1,Y2,Y3・・・の各間には、複数の静翼11が取り付けられている。タービンケーシング10には、動翼列Y1,Y2,Y3・・の通過を検出するための通過検出センサ対20が取り付けられている。なお空気圧縮機2は、圧縮機ロータ5と、これを回転可能に覆う圧縮機ケーシング6とを有している。燃焼器3は、燃料ガス及び空気圧縮機2からの圧縮空気を受け入れてこれらを噴出する燃料供給器7と、燃料供給器7から燃料ガス及び圧縮空気が内部に噴射されて、燃料ガスの燃焼領域を形成する燃焼筒8とを有している。
動翼監視システム200は、動翼監視装置1と通過検出センサ対20により構成される。動翼列Y1,Y2,Y3・・はタービンロータ9の周方向に取り付けられた複数の動翼Bによりそれぞれが構成される。図2は一例として動翼列Y1に設けられた複数の動翼B(B1−1,B1−2,B1−3・・・)を示している。動翼監視装置1は動翼Bが回転する周囲に対向するタービンケーシング10の内面の位置に複数の通過検出センサ対20を備える。通過検出センサ対20は第一センサ21と第二センサ22とが対となってタービンケーシング10においてタービンロータ9の周方向に取り付けられている。なお第一センサ21と第二センサ22は本実施形態においては対となっている場合を例にして説明するが、それらは対となって隣接して順に並ばずにそれぞれがタービンロータ9の周方向に離間した位置に設けられていてもよい。また本実施形態においては、第二センサ22が動翼Bを先に検知し、第一センサ21が同じ動翼Bを時間的に後に検知するようそれらが周方向に並んで取り付けられている。第二センサ22と第一センサ21の並び順は反対であってもよい。通過検出センサ対20はタービンケーシング10の内面に周方向全体に間隔を空けて設けられてよい。他の動翼列Yに対向するタービンケーシング10の位置にも同様に第一センサ21と第二センサ22とを含む複数の通過検出センサ対20が周方向に並んで取り付けられている。第一センサ21と第二センサ22は動翼監視装置1の本体と電気信号ケーブルを介して接続されている。動翼監視装置1はタービンロータ9の1回転を検出する回転検出センサ30を備える。回転検出センサ30はタービンロータ9の1回転を検出して、その検出時を示す所定のパルス波を出力するための機構を有している。
第二センサ22は光学式センサである。一例として光学式センサは、レーザ光を動翼Bに照射し、動翼Bにおいて反射した反射光を検知するレーザセンサである。光学式センサである第二センサ22は受光した反射光の強度が大きいほど電圧値の大きい翼通過検知信号を出力する。
動翼監視装置1はこれら翼通過検知信号に基づいて第一センサ21や第二センサ22の設置位置を動翼Bが通過したことを検知する。
一例として第一センサ21の出力する翼通過検知信号を図3に示す。この図が示すように本実施形態の翼通過検知信号は第一センサ21の直近を動翼Bが通過した際に大きな電圧値となる。したがって翼通過検知信号は、動翼がタービンロータ9の周方向に放射状に等間隔に設けられている場合には、当該信号の極大値が定期的に現れる波形となる。動翼監視装置1は翼通過検知閾値th1以上の電圧値の翼通過検知信号から各動翼Bの通過時刻を、時間を追って順次検出し、その通過時刻に基づいて動翼Bの振動振幅などの状態を監視する。なお、翼通過検知信号は第一センサ21の直近を動翼Bが通過した際に閾値以下の低い電圧値となる信号であってもよい。
図4の上図(41)は、ある動翼列Yの周方向に順に取り付けられた複数の第一センサ21−1,21−2,21−3,・・・,21−nで検出した、各動翼B1−1,B1−2,B1−3,・・・,B1−Nの通過検知タイミングを示す。上図(41)の動翼B1−1についてみると、第一センサ21−1,21−2,21−3,・・・,21−nにおいて、基準のタイミングよりもτ1,τ2,τ3,・・・,τNの時間差が生じている。振動幅特定部113は、このような信号を用いて、図4の下図(42)で示すような振動振幅の変位δを示す振動変位波形を各動翼ごとに生成してもよい。振動幅特定部113は図4の下図(42)の監視結果を出力部115に出力するようにしもよい。この振動変位波形の振幅が大きい場合には、その動翼が異常であると判定することができる。振動幅特定部113の算出する動翼Bの振動振幅は、図4(42)で示す振動変位に等しい。
図5(a)は渦電流センサである第一センサ21の検出範囲211を示し、図5(b)は光学式センサである第二センサ22の検出範囲221を示している。図中の矢印は動翼Bの回転方向であり、第一センサ21、第二センサ22のそれぞれは、直線L上の動翼Bを検知する。
ここで第一センサ21の渦電流センサはセンサコイルの構成により検出範囲211が広い。一方で、第二センサ22の光学式センサは動翼Bの通過を検知する為にはレーザ光を照射しその反射光を受光すればよいため光源や受光部の小型化がより顕著で、渦電流センサと比較して検出範囲221を狭くすることができるというメリットがある。よってより狭い検出範囲221を通過する物体の一点の通過時間は、より広い検出範囲211を通過する物体の一点の通過時間よりも短いため、物体の通過検知の立ち上がりや立下りが明確となり、第一センサ21の渦電流センサよりも第二センサ22の光学式センサの方が、より通過タイミングを精度よく検出することができる。より広い検出範囲211を有する第一センサ21は検出範囲211が広い分、検出感度が弱く動翼通過タイミングの検出が遅れる場合がある。そうすると、第一センサ21で検出した動翼通過タイミングは、第二センサ22で検出した動翼通過タイミングよりも遅れ、これにより振動振幅が小さく算出されることがある。したがって本実施形態による動翼監視装置1は通常は第二センサ22から得られた動翼通過信号を用いて動翼Bの振動振幅を算出する。
図6で示すように動翼監視装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、信号受信モジュール105を備えるコンピュータである。
動翼監視視置1のCPU101は予め自装置で記憶する動翼監視プログラムを実行することにより、制御部111、検出値取得部112、振動幅特定部113、校正値生成部114、出力部115の各構成を備える。
検出値取得部112は、第一センサ21と、第二センサ22とのそれぞれから検出値である翼通過検知信号を取得する。
振動幅特定部113は、第二センサ22から得られた翼通過検知信号が正常である場合には、その翼通過検知信号に基づいて動翼Bの振動振幅を特定する。振動幅特定部113は、第二センサ22から得られた翼通過検知信号が異常を示す場合には、校正値生成部114に振動振幅の校正を指示する。
校正値生成部114は、第二センサ22から得られた翼通過検知信号が異常を示す場合に、第一センサ21から得られた翼通過検知信号を、第二センサ22から得られた過去の翼通過検知信号を用いて校正する。
出力部115は、振動幅特定部113または校正値生成部114の算出した振動振幅の値を出力する。
次に動翼監視装置1の処理フローについて順を追って説明する。
動翼監視装置1の検出値取得部112はタービンシステム100が駆動しロータ9が回転している間、第一センサ21と第二センサ22のそれぞれから動翼検知信号を取得する(ステップS101)。検出値取得部112は第二センサ22から得られた動翼検知信号に異常がないかを判定する(ステップS102)。検出値取得部112は第二センサ22から得られた動翼検知信号に異常がない場合には、その動翼検知信号を振動幅特定部113へ出力する。振動幅特定部113は通常は第二センサ22の動翼検知信号に基づいて動翼Bの振動振幅を算出する(ステップS103)。出力部115は算出された振動振幅を入力し、その振動振幅を所定の装置や処理部へ出力する(ステップS104)。また記録部116は算出された振動振幅を第二センサ22のIDに対応付けてHDD104に記録していく。つまり振動幅特定部113は、振動振幅の算出は動翼Bの各翼B1−1,B1−2,・・・それぞれについて順次算出し、記録部116が当該振動振幅を記録する。
21・・・第一センサ
22・・・第二センサ
30・・・回転検出センサ
B・・・動翼
Y・・・動翼列
111・・・制御部
112・・・検出値取得部
113・・・振動幅特定部
114・・・校正値生成部
115・・・出力部
101・・・CPU
102・・・ROM
103・・・RAM
104・・・HDD
105・・・信号受信モジュール
Claims (8)
- 軸線回りに回転する動翼の通過をステータ側から非接触で検出する渦電流式の第一センサと、
該第一センサよりも小さい受感領域を有し、前記動翼の通過をステータ側から非接触で検出する第二センサと、
前記第二センサにより前記動翼の通過を検出した信号が示す検出値に基づいて前記動翼の振動振幅を算出する振動振幅特定部、前記第二センサにより前記動翼の通過を検出した信号が示す検出値に異常が発生した場合に、前記第二センサの過去の検出値に基づいて、前記第一センサの検出値の校正値を生成する校正値生成部、及び、前記校正値を出力する出力部を有する動翼監視装置と、
を備える動翼監視システム。 - 前記第一センサと前記第二センサとが前記動翼の回転方向に所定の間隔を隔てて設けられている
請求項1に記載の動翼監視システム。 - 前記校正値生成部は、前記第一センサの前記検出値である前記動翼の第一通過タイミングと、前記第二センサの前記検出値である前記動翼の第二通過タイミングとに基づいて校正係数を算出し、当該校正係数を前記第一通過タイミングに基づく前記動翼の翼振動の振動振幅に乗じて前記校正値を生成する
請求項1または請求項2に記載の動翼監視システム。 - 前記出力部は、前記第二センサの検出値である前記動翼の第二通過タイミングを用いて前記動翼の翼振動の振動振幅を出力し、前記第二通過タイミングの検出値にノイズが発生した場合に前記振動振幅の前記校正値を出力する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の動翼監視システム。 - 前記動翼監視装置は、
前記動翼に関する属性に応じた前記校正値を記憶部に記録する記録部と、
現在の前記属性に基づく前記校正値を前記記憶部から読み出する振動幅特定部と、
を備える請求項1から請求項4の何れか一項に記載する動翼監視システム。 - 軸線回りに回転する動翼の通過をステータ側から非接触で検出する渦電流式の第一センサと、該第一センサよりも小さい受感領域を有し、前記動翼の通過をステータ側から非接触で検出する第二センサとのそれぞれから検出値を取得する取得部と、
前記第二センサにより前記動翼の通過を検出した信号が示す検出値に基づいて前記動翼の振動振幅を算出する振動振幅特定部、前記第二センサにより前記動翼の通過を検出した信号が示す検出値に異常が発生した場合に、前記第二センサの過去の検出値に基づいて、前記第一センサの検出値の校正値を生成する校正値生成部と、
前記校正値を出力する出力部と、
を備える動翼監視装置。 - 渦電流式の第一センサが、軸線回りに回転する動翼の通過をステータ側から非接触で検出し、
第二センサが、前記第一センサよりも小さい受感領域を有し、前記動翼の通過をステータ側から非接触で検出し、
動翼監視装置が前記第二センサにより前記動翼の通過を検出した信号が示す検出値に基づいて前記動翼の振動振幅を算出し、前記第二センサにより前記動翼の通過を検出した信号が示す検出値に異常が発生した場合に、前記第二センサの過去の検出値に基づいて、前記第一センサの検出値の校正値を生成し、その校正値を出力する
動翼監視方法。 - 動翼監視装置のコンピュータを、
軸線回りに回転する動翼の通過をステータ側から非接触で検出する渦電流式の第一センサと、該第一センサよりも小さい受感領域を有し、前記動翼の通過をステータ側から非接触で検出する第二センサとのそれぞれから検出値を取得する取得手段、
前記第二センサにより前記動翼の通過を検出した信号が示す検出値に基づいて前記動翼の振動振幅を算出する振動振幅特定手段、
前記第二センサにより前記動翼の通過を検出した信号が示す検出値に異常が発生した場合に、前記第二センサの過去の検出値に基づいて、前記第一センサの検出値の校正値を生成する校正値生成手段、
前記校正値を出力する出力手段、
として機能させるプログラム。
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