JP4771820B2 - 検出部材劣化診断装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、回転速度測定装置が出力する速度信号から加速度(減速度)を演算する回転加速度演算回路と、この加速度信号の絶対値Aを、対象としている機械に生じ得る最大加速度Amaxの絶対値と比較して、Aの方が大きければ異常、小さければ正常と判別する加速度異常判別回路を設けた速度測定装置について開示されている。
また、特許文献1に開示されている従来技術は、加速度信号の絶対値を比較して異常判定しているので、検出器の波形が劣化したことによる誤差まで判定することができないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、発電機実機に備えられた検出部材を取り出して検出部材劣化診断装置に取り付け、発電機の回転羽根車を模擬した模擬ロータの回転数を該検出部材により検出することにより、実際の発電機と等価な回転数を検出可能とし、検出部材の劣化状態を詳細に且つ確実に検査することができる検出部材劣化診断装置を提供することを目的とする。
本発明は、被検査対象物である発電機から取り外した検出部材の劣化状態を検査する装置である。実際の稼動状態に近づけるために、発電機に取り付けられている回転羽根車を模擬した模擬ロータを備え、駆動手段により回転させた模擬ロータの回転数を検出部材により検出波形として取り出し、その波形から診断制御部により検出部材の劣化状態を診断するものである。また、本発明の診断制御部は、基本的には自動的に検出部材の劣化状態を検出するように構成されている。そのために検出部材から出力されたアナログ信号を増幅してパルス波形に変換する。その波形をFV変換器に入力することにより、周波数に対応した電圧が取り出せる。即ち、一定の周波数であれば出力電圧は一定である。また、パルス波形をオシロスコープにより観察するためのインターフェースを備え、このインターフェースを介してオシロスコープにより、波形の歪みを観察することができる。また、検出部材が劣化した場合の他の検出パターンは、アナログ信号のレベルが変動する場合である。もし、回転数が一定であれば、アナログ信号のレベルは略一定であるが、検出部材が劣化することによりレベルが不安定となる場合がある。
本来検出部材が正常であれば、パルス変換部により変換されたパルス波形に歪みは存在しない。しかし、検出部材が劣化すると磁束の乱れや検出素子の劣化により波形が乱れてくる。これが波形の歪である。
請求項3は、前記波形歪みはオシロスコープを使用して目視により判断することを特徴とする。
波形歪みの種類によっては、非常に微妙に変化する波形歪みが存在するため自動的に検出することは困難となる。そこで本発明では、オシロスコープにより波形を観察して、その波形から人為的に劣化しているか否かを判断するものである。
検出部材が劣化した場合の一つの検出パターンとしては、回転羽根車の羽根を検出したり検出できない状態が発生することにより、検出パルスの周波数が変動する場合である。即ち、羽根を検出できない状態が発生した場合は、周波数が低くなり、ノイズ等により余分な信号を発生した場合は周波数が高くなる現象となる。
検査対象物である検出部材が実際に搭載される発電機と同じ条件下で検出部材の波形を観測するのが好ましい。そこで本発明では、発電機のタービンと同期して回転する回転羽根車の角速度と模擬ロータの角速度が同じになるように模擬ロータを回転し、この模擬ロータの回転を検出するものである。
請求項6では、前記駆動手段の回転方向は、時計回り又は反時計回りの何れでも可としたことを特徴とする。
回転手段により回転方向が異なる場合がある。本発明では模擬ロータの羽根が検出センサを横切るときに発生する電圧を検出するため、何れの方向から横切っても構わない。
また請求項4では、診断制御部は、パルス増幅器により増幅されたパルス信号の周波数が所定の範囲から外れている場合、検出部材が劣化していると判断するので、模擬ロータの回転数が正常であることを前提とした場合には、検出部材の波形が何らかの原因で乱されていると考えても間違いではない。
また請求項6では、駆動手段の回転方向は、時計回り又は反時計回りの何れでも可としたので、回転方向を気にすることなく駆動手段を選択することができる。
図1は本発明の検出部材劣化診断装置の全体構成図である。図1(a)は上面図であり、図1(b)は側面図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。この検出部材劣化診断装置100は、図示しない被検査対象物である発電機に設けられてタービンと同期回転する回転羽根車の形を模擬した模擬ロータ2と、模擬ロータ2を所定の回転速度により回転させるモータ(駆動手段)10と、電磁ピックアップ(検出部材)6を模擬ロータ2の近傍(検出位置)に着脱自在に設置する設置手段5と、電磁ピックアップ6から出力される検出信号に基づいて電磁ピックアップ6の劣化の状態を診断する診断制御部9と、模擬ロータ2、モータ10及び設置手段5を保持する保持台1と、を備えて構成される。尚、模擬ロータ2の羽根3の数、ピッチは、回転羽根車の羽根の数と同じであることが好ましいが、回転羽根車の羽根間の角速度と模擬ロータ2の羽根間の角速度が同じになるようにモータ10を回転させれば羽根の数、ピッチが同じである必要はない。また、電磁ピックアップ6は、ケーブル7の先端に接続されたコネクタ8により診断制御部9に接続される。また診断制御部9には外部でオシロスコープ21により波形を観測できるようにオシロスコープインターフェース25が備えられている。このように本実施形態の検出部材劣化診断装置100は、被検査対象物である発電機から取り外した電磁ピックアップ6の劣化状態を検査する装置である。そして実際の稼動状態に近づけるために、発電機に取り付けられている回転羽根車を模擬した模擬ロータ2を備え、それをモータ10により回転させることにより電磁ピックアップ6から検出波形を取り出し、その波形から診断制御部9により電磁ピックアップ6の劣化状態を診断するものである。
図6(a)はパルス変換器20により変換されたパルス波形20aの周波数(周期)がノイズ等で乱されている様子を示す波形である。即ち、各周期t1、t2、t3、t4が全て異なるため、FV変換器22からは電圧が変動した波形が制御部23に入力される。制御部23では、この状態が所定時間継続したことを検出して電磁ピックアップ6が劣化していると判断する。図6(b)は信号線24により電磁ピックアップ6から入力されたアナログ信号6aの電圧レベルが変動している様子を示す図である。制御部23は所定のレベルを示す閾値VTHを設定しておき、このレベル以下になる例えば波形D,E,Fを検出して電磁ピックアップ6が劣化していると判断する。
また、オシロスコープインターフェース25を介してパルス増幅器20により増幅されたパルス信号20aの波形歪みを検出した場合、この電磁ピックアップ6が劣化していると判断するので、簡単な操作により目視で容易に劣化を判断することができる。
また、波形歪みはオシロスコープ21を使用して目視により判断するので、細かい波形歪みを柔軟性をもって発見することができる。
また、診断制御部9は、電磁ピックアップ6から出力される検出信号6aの電圧レベルが所定の電圧レベル以下である場合、この電磁ピックアップ6が劣化していると判断するので、模擬ロータ2の回転数が正常であることを前提とした場合には、電磁ピックアップ6からの出力レベルが所定値より低い場合、電磁ピックアップ6が故障したか、或いは磁力が劣化して磁束密度の低下により検出素子からの電圧値が低下したと見做せる。
また、モータ10は、回転羽根車の各羽根間の角速度と模擬ロータ2の羽根間の角速度が略等しくなるように模擬ロータ2を回転させるので、実機に近い状態で電磁ピックアップ6の劣化状態を検査することができる。
また、モータ10の回転方向は、時計回り又は反時計回りの何れでも可としたので、回転方向を気にすることなくモータ10を選択することができる。
Claims (6)
- タービンと同期して回転する回転羽根車の回転数を検出する検出部材の劣化診断を行なう検出部材劣化診断装置であって、前記回転羽根車の形を模擬した模擬ロータと、該模擬ロータを所定の回転速度により回転させる駆動手段と、前記検出部材を前記模擬ロータの近傍に着脱自在に設置する設置手段と、前記検出部材から出力される検出信号に基づいて該検出部材の劣化の状態を診断する診断制御部と、を備え、前記診断制御部は、少なくとも前記検出部材から出力される検出信号をパルス信号に変換するパルス増幅器と、該パルス増幅器により増幅されたパルス信号の周波数を電圧に変換するFV変換器と、前記パルス増幅器により変換されたパルス信号の波形を観測するためのオシロスコープインターフェースと、前記FV変換器により変換された電圧値及び前記検出部材から出力される検出信号の電圧レベルが所定の電圧レベル以下である場合、該検出部材が劣化していると判断する制御部と、を備えたことを特徴とする検出部材劣化診断装置。
- 前記オシロスコープインターフェースを介して前記パルス増幅器により増幅されたパルス信号の波形歪みを検出した場合、前記検出部材が劣化していると判断することを特徴とする請求項1に記載の検出部材劣化診断装置。
- 前記波形歪みはオシロスコープを使用して目視により判断することを特徴とする請求項2に記載の検出部材劣化診断装置。
- 前記診断制御部は、前記パルス増幅器により増幅されたパルス信号の周波数が所定の範囲から外れている場合、前記検出部材が劣化していると判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の検出部材劣化診断装置。
- 前記駆動手段は、前記回転羽根車の各羽根間の角速度と前記模擬ロータの羽根間の角速度が略等しくなるように前記模擬ロータを回転させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の検出部材劣化診断装置。
- 前記駆動手段の回転方向は、時計回り又は反時計回りの何れでも可としたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の検出部材劣化診断装置。
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