JP6978615B2 - Tig溶接用溶加材 - Google Patents

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Description

本発明は、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接用溶加材に係り、とくに、極低温環境下で使用される高Mn鋼材溶接用溶加材に関する。
近年、環境に対する規制が厳しくなっている。液化天然ガス(以下、LNGともいう)は、硫黄を含まないため、硫化酸化物等の大気汚染物質を発生させないクリーンな燃料と言われ、その需要が増加している。LNGの輸送または保管のために、LNGを輸送または貯蔵する容器(タンク)は、LNGの液化温度である-162℃以下の温度で、優れた極低温衝撃靭性を保持することが求められている。
そして、優れた極低温衝撃靭性を保持することの必要性から、容器(タンク)等の材料用として、従来から、アルミニウム合金、9%Ni鋼、オーステナイト系ステンレス鋼等が、用いられてきた。
しかし、アルミニウム合金は、引張強さが低いため、構造物の板厚を大きく設計する必要があり、また溶接性が悪いという問題がある。また、9%Ni鋼は、溶接材料として高価なNi基材料を用いることが必要なため、経済的に不利となる。また、オーステナイト系ステンレス鋼は、高価であり、母材強度も低いという問題がある。
このような問題から、LNGを輸送または貯蔵する容器(タンク)用の材料として、最近では、質量%で、Mnを10〜35%程度含有する高Mn含有鋼(ここで、高Mn鋼ともいう)の適用が検討されている。高Mn鋼は、極低温においても、オーステナイト相であり、脆性破壊が発生せず、またオーステナイト系ステンレス鋼と比較して、高い強度を有するという特徴がある。そこで、このような高Mn含有鋼材を安定して溶接できる溶接材料の開発が要望されてきた。
このような要望に対して、例えば特許文献1には、「極低温衝撃靭性に優れた高強度溶接継手部及びこのためのフラックスコアードアーク溶接用ワイヤ」が提案されている。特許文献1に記載されたフラックスコアードアーク溶接用ワイヤは、重量%で、C:0.15〜0.8%、Si:0.2〜1.2%、Mn:15〜34%、Cr:6%以下、Mo:1.5〜4%、S:0.02%以下、P:0.02%以下、B:0.01%以下、Ti:0.09〜0.5%、N:0.001〜0.3%、TiO2:4〜15%、SiO2、ZrO2及びAl2O3のうちから選択された1種以上の合計:0.01〜9%、K、Na及びLiのうちから選択された1種以上の合計:0.5〜1.7%、FとCaのうち1種以上:0.2〜1.5%、残部Fe及びその他の不可避的不純物を含む組成を有するワイヤである。特許文献1に記載されたフラックスコアードアーク溶接用ワイヤを用いて溶接すれば、試験温度:-196℃におけるシャルピー衝撃試験吸収エネルギーが28J以上の優れた低温靭性および常温引張強さが400MPa以上の高強度を有する溶接継手部が効果的に得られ、また、ワイヤ組成をMo:1.5%以上に調整しており、優れた耐高温割れ性を有する溶接継手部を確保できるとしている。
また、特許文献2には、「極低温用鋼用溶接材料」が提案されている。特許文献2に記載された「極低温用鋼用溶接材料」は、「質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0%以下、Mn:8.0〜18.0%、Ni:12.5〜20.0%、Cr:10.0〜14.0%、Mo:2.0〜7.0%、N:0.20%以下、S:0.005%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる溶接材料であり、REMを0.001〜0.1%の範囲で含有することを特徴としている。特許文献2に記載された技術では、不純物であるSの量を極力低減化するだけでなく、REMを積極的に所定量添加しており、溶接効率の高い苛酷な溶接条件で溶接しても、凝固割れが抑制され、再熱部における延性低下割れが防止できるとしている。これにより、特許文献2に記載された「極低温用鋼用溶接材料」は、溶接部における良好な極低温特性が得られるとともに、再熱部における耐延性低下割れ性に優れる溶接材料であるとしている。
特表2017−502842号公報 特開2013−103233号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載された技術では、フラックスコアードワイヤであるため、溶接時にヒュームの発生量が多くなる。そのため、溶接者がヒューム量の多い環境下に晒されるという問題があり、また、ブローホールや融合不良などの溶接欠陥が発生しやすく、しかも補修が難しいという問題もあった。なお、本発明者らの検討によれば、ソリッドワイヤ(あるいは棒)とすれば、これらヒュームの問題は回避できることを知見した。
また、特許文献2には、良好な極低温特性が得られるとの記載はあるが、溶接部強度についての具体的な記載はない。本発明者らの検討によれば、特許文献2に記載された技術では、得られる溶接部(溶着金属)の強度が低く、最近、極低温環境下で使用される材料に要求される所望の高強度を満足できない、という問題があった。
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、極低温環境下で使用される高Mn鋼材用の溶接材料として好適な、高強度と優れた極低温衝撃靭性とを兼備した溶接継手部を作製できる、TIG溶接用溶加材を提供することを目的とする。ここでいう「溶加材」は、ワイヤ状、棒状の溶接材料をいう。
また、ここでいう「高強度」とは、JIS Z 3111の規定に準拠して作製した溶着金属の常温降伏強さ(0.2%耐力)が400MPa以上、常温引張強さが660MPa以上、であることをいうものとする。また、「優れた極低温衝撃靭性」とは、JIS Z 3111の規定に準拠して作製した溶着金属の、試験温度:-196℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーvE-196が28J以上であることをいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、まず、極低温用として、溶接金属(溶着金属)が保持すべき所望の高強度を確保できる組成について鋭意検討した。その結果、溶接金属(溶着金属)の高強度化のためには、C、Mn、Cr、Moを一定量以上含有させる必要があることを知見した。しかし、伸線加工時の加工量が大きいTIG溶接用溶加材ではとくに、溶接金属(溶着金属)の高強度化のために、C、Mn、Cr、Moを多量に含有させ過ぎると、伸線加工時に割れや断線が発生しやすいという問題があった。このような問題に対し、本発明者らは、鋼中で形成される窒化ホウ素および炭化物を抑制することで伸線加工が可能となることを知見した。
このような検討結果から、TIG溶接用溶加材の組成として、Cを0.2〜0.8%で、Siを0.15〜0.9%に調整し、さらにMnを17.0〜28.0%、Niを0.01〜10.0%、Crを0.4〜4.0%、Moを0.01〜3.5%の特定範囲に調整し、さらに不純物であるBを0.0010%未満、炭化物形成元素であるTi、Nb、Vをそれぞれ0.04%以下に低減することにより、伸線加工時の割れ等の欠陥発生がなく溶加材の製造性に優れ、さらに、常温降伏強さ(0.2%耐力)が400MPa以上、常温引張強さが660MPa以上で、試験温度:-196℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーvE-196が28J以上となる、高強度で極低温衝撃靭性に優れた溶接継手部を製造できることを、新規に知見した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものであり、本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)質量%で、
C:0.2〜0.8%、
Si:0.15〜0.9%、
Mn:17.0〜28.0%、
P:0.03%以下、
S:0.03%以下、
Ni:0.01〜10.0%、
Cr:0.4〜4.0%、
Mo:0.01〜3.5%、
B:0.0010%未満および
N:0.12%以下
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするTIG溶接用溶加材。
(2)上記(1)において、前記組成が、さらに、質量%で、V:0.04%以下、Ti:0.04%以下、およびNb:0.04%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とするTIG溶接用溶加材。
(3)上記(1)または(2)において、前記組成が、さらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Al:0.1%以下、Ca:0.01%以下およびREM:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とするTIG溶接用溶加材。
本発明によれば、製造性に優れ、さらに、高Mn含有鋼材の溶接材料として、高強度でかつ極低温衝撃靭性に優れた溶接継手部を容易に製造できる、TIG溶接用溶加材を提供でき、産業上格段の効果を奏する。
本発明TIG溶接用溶加材(以下、本発明溶加材ともいう)は、高Mn含有鋼材のTIG溶接用として好適な、溶加材である。本発明溶加材は、高Mn含有鋼材同士をTIG溶接でき、かつ、JIS Z 3111に準拠して作製した溶着金属が、常温における0.2%耐力で400MPa以上、常温における引張強さが660MPa以上の高強度と、試験温度:-196℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが28J以上の優れた極低温衝撃靭性とを有することができ、高強度で極低温衝撃靭性に優れたTIG溶接継手部を作製できる溶接材料である。
本発明溶加材は、基本組成として、質量%で、C:0.2〜0.8%、Si:0.15〜0.9%、Mn:17.0〜28.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Ni:0.01〜10.0%、Cr:0.4〜4.0%、Mo:0.01〜3.5%、B:0.0010%未満、N:0.12%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する。
まず、組成の限定理由について説明する。なお、以下、組成における「質量%」は、単に「%」で記す。
C:0.2〜0.8%
Cは、固溶強化により、溶接金属の強度を上昇させる作用を有する元素である。また、Cは、オーステナイト相を安定化させ、溶接金属の極低温衝撃靭性を向上させる。このような効果を得るためには、0.2%以上の含有を必要とする。しかし、0.8%を超えて含有すると、炭化物が析出し、極低温衝撃靭性が低下し、さらに、溶接時の高温割れが生じやすくなる。そのため、Cは0.2〜0.8%の範囲に限定した。好ましくは0.3〜0.7%であり、より好ましくは0.4〜0.6%である。
Si:0.15〜0.9%
Siは、脱酸剤として作用し、Mnの歩留りを高めるとともに、溶融金属の粘性を高め、ビード形状を安定的に保持する効果がある。そのような効果を得るためには、0.15%以上の含有を必要とする。しかし、0.9%を超えてSiを含有すると、溶接金属の極低温靭性を低下させる。また、凝固時に偏析し、凝固セル界面に液相を生成して、耐高温割れ性を低下させる。そのため、Siは0.15〜0.9%の範囲に限定した。好ましくは0.2〜0.7%である。
Mn:17.0〜28.0%
Mnは、安価に、オーステナイト相を安定化する元素であり、本発明では17.0%以上の含有を必要とする。Mnが17.0%未満では、溶接金属中にフェライト相が生成し、極低温での靭性が著しく低下する。一方、Mnが28.0%を超えると、凝固時に過度のMn偏析が発生し,高温割れを誘発する。そのため、Mnは17.0〜28.0%の範囲に制限した。好ましくは18.0〜26.0%である。
P:0.03%以下
Pは、結晶粒界に偏析し、高温割れを誘発する元素であり、本発明では、できるだけ低減することが好ましいが、0.03%以下であれば、許容できる。そのため、Pは0.03%以下に限定した。好ましくは0.02%以下である。一方、過度の低減は、精練コストの高騰を招く。そのため、Pは0.003%以上に調整することが好ましい。
S:0.03%以下
Sは、溶接金属中では、硫化物系介在物MnSとして存在する。MnSは、破壊の発生起点となるため、極低温衝撃靭性を低下させる。そのため、Sは0.03%以下に限定した。好ましくは0.02%以下である。一方、過度の低減は、精練コストの高騰を招く。そのため、Sは0.001%以上に調整することが好ましい。
Ni:0.01〜10.0%
Niは、オーステナイト粒界を強化する元素であり、粒界に偏析し、極低温衝撃靱性を向上させる。このような効果を得るためには、0.01%以上の含有を必要とする。また、Niは、オーステナイト相を安定化する効果もあるため、さらに含有量を増加すれば、オーステナイト相を安定化させて、溶接金属の極低温衝撃靭性を向上させる。しかし、Niは高価な元素であり、10.0%を超える含有は、経済的に不利となる。そのため、Niは0.01〜10.0%に限定した。好ましくは0.05〜9.0%であり、より好ましくは1.0〜8.0%である。
Cr:0.4〜4.0%
Crは、極低温ではオーステナイト相を安定化させる元素として働き、溶接金属の極低温衝撃靭性を向上させる。また、Crは、溶接金属の強度を向上させる作用も有する。また、Crは、溶融金属の液相線を高めて、高温割れの発生を抑制するのに有効に作用する。さらに、Crは、溶接金属の耐食性を高めるのにも有効に作用する。このような効果を得るためには0.4%以上の含有を必要とする。Crが0.4%未満では、上記した効果を確保できない。一方、4.0%を超えて含有すると、Cr炭化物が生成し、極低温衝撃靭性の低下を招く。さらに、Cr炭化物の生成により、溶加材伸線時の加工性が低下する。そのため、Crは0.4〜4.0%の範囲に限定した。好ましくは、0.8〜3.0%である。
Mo:0.01〜3.5%
Moは、オーステナイト粒界を強化する元素であり、粒界に偏析し、溶接金属の極低温衝撃靭性を向上させる。このような効果は0.01%以上の含有で顕著となる。また、0.01%を超える含有では、固溶強化により溶接金属の強度を向上させる作用も有する。一方、3.5%を超えて含有すると、炭化物として析出して、熱間加工性を低下させ、また、溶加材伸線時に割れを誘発させるなど、製造性が低下する。そのため、Moは0.01〜3.5%の範囲に限定した。好ましくは0.1〜3.2%であり、より好ましくは1.0〜3.0%である。
B:0.0010%未満
不純物として鋼中に混入したBは、オーステナイト粒界に偏析する。Bが0.0010%以上混入した場合は、オーステナイト粒界で窒化ホウ素を形成し、粒界強度を低下させる。この粒界強度の低下によって、溶加材伸線加工時に、オーステナイト粒界が破壊発生起点となり断線を生じさせて、伸線加工性を低下させ、溶加材製造性を低下させる。この窒化ホウ素の形成は、Bを0.0010%未満に制限することで抑制できるため、Bは0.0010%未満に制限した。好ましくは0.0009%以下であり、より好ましくは0.0008%以下である。
N:0.12%以下
Nは、不可避的に混入する元素であるが、Cと同様に、溶接金属の強度向上に有効に寄与するとともに、オーステナイト相を安定化して、極低温衝撃靱性を安定的に向上させることもできる。このような効果は、0.003%以上の含有で顕著となるため、0.003%以上含有することが好ましい。しかし、0.12%を超えて含有すると、窒化物を形成し、極低温衝撃靱性が低下する。そのため、Nは0.12%以下に限定した。好ましくは0.10%以下であり、より好ましくは0.08%以下である。
本発明溶加材は、上記した成分が基本の成分であり、本発明では、上記した基本組成に、必要に応じて、さらに、任意成分として、V:0.04%以下、Ti:0.04%以下、およびNb:0.04%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Cu:1.0%以下、Al:0.1%以下、Ca:0.01%以下およびREM:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を選択して含有できる。以下、これら任意成分について説明する。
V:0.04%以下、Ti:0.04%以下、およびNb:0.04%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
V、Ti、Nbはいずれも、炭化物の形成を促進し、溶接金属の強度向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種以上を含有できる。
V:0.04%以下
Vは、炭化物形成元素であり、微細な炭化物を析出させて、溶接金属の強度向上に寄与する。このような効果を得るためには0.001%以上含有することが好ましい。一方、0.04%を超えて含有すると、炭化物が粗大化して、溶加材の伸線加工時に割れの発生起点となり、伸線加工性を低下させ、溶加材の製造性を低下させる。そのため、含有する場合には、Vは0.04%以下に限定した。
Ti:0.04%以下
Tiは、炭化物形成元素であり、微細な炭化物を析出させて、溶接金属の強度向上に寄与する。また、Tiは、溶接金属の凝固セル界面に炭化物を析出させて、高温割れの発生抑制に寄与する。このような効果を得るためには0.001%以上含有することが好ましい。しかし、Ti:0.04%を超えて含有すると、炭化物が粗大化して、溶加材の伸線加工時に割れの発生起点となり、伸線加工性を低下させ、溶加材の製造性を低下させる。そのため、含有する場合には、Tiは0.04%以下に限定した。
Nb:0.04%以下
Nbは、炭化物形成元素であり、炭化物を析出させて、溶接金属の強度向上に寄与する元素である。また、Nbは、溶接金属の凝固セル界面に炭化物を析出させて、高温割れの発生抑制に寄与する。このような効果を得るためには0.001%以上含有することが好ましい。しかし、Nbが0.04%を超えると、炭化物が粗大化して、溶加材の伸線加工時に割れの発生起点となり、伸線加工性を低下させ、溶加材の製造性を低下させる。そのため、含有する場合には、Nbは0.04%以下に限定した。
Cu:1.0%以下、Al:0.1%以下、Ca:0.01%以下およびREM:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Cuはオーステナイト安定化に寄与する元素であり、Alは溶接作業性を向上させる元素であり、Ca、REMは加工性向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種以上を含有できる。
Cu:1.0%以下
Cuは、オーステナイト相を安定化する元素であり、極低温でもオーステナイト相を安定化させて、溶接金属の極低温衝撃靭性を向上させる。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが好ましい。しかし、1.0%を超えて多量に含有すると、熱間延性が低下し、溶加材の製造性が低下する。そのため、含有する場合には、Cuは1.0%以下に限定した。
Al:0.1%以下
Alは、脱酸剤として作用し、溶融金属の粘性を高め、ビード形状を安定的に保持する重要な作用を有する。また、Alは、溶融金属の液相線温度を高め、溶接金属の高温割れ発生の抑制に寄与する。このような効果は、0.005%以上の含有で顕著となるため、0.005%以上含有することが好ましい。しかし、0.1%を超えて含有すると、溶融金属の粘性が高くなりすぎて、逆に、ビードが広がらず融合不良などの欠陥が増加する。そのため、含有する場合には、Alは0.1%以下の範囲に限定した。好ましくは0.005〜0.06%である。
Ca:0.01%以下
Caは、溶融金属中でSと結合し、高融点の硫化物CaSを形成する。CaSは、MnSよりも高融点であるため、溶加材の熱間加工時に圧延方向に進展せずに球形を維持し、溶加材の加工性向上に有利に働く。このような効果は0.001%以上の含有で顕著となる。一方、0.01%を超えて含有すると、溶接時にスラグの発生量が増加してスラグ巻込みを引き起こす。そのため、含有する場合には、Caは0.01%以下に限定した。
REM:0.02%以下
REMは、強力な脱酸剤であり、溶接金属中でREM酸化物の形態で存在する。REM酸化物は凝固時の核生成サイトとなることで、結晶粒を微細化し、溶接金属の強度の向上に寄与する。このような効果は0.001%以上の含有で顕著となる。一方、0.02%を超えて含有すると、スラグの発生量が増加してスラグ巻込みを引き起こす。そのため、含有する場合には、REMは0.02%以下に限定した。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
つぎに、本発明溶加材の製造方法について説明する。
本発明溶加材の製造は、上記した組成を有する溶鋼を用いること、および焼鈍温度を900〜1200℃とする以外は、とくにその製造方法を限定する必要はなく、常用の溶加材の製造方法がいずれも適用できる。例えば、上記した組成を有する溶鋼を、電気炉、真空溶解炉等の常用の溶製炉で溶製し、所定形状の鋳型等に鋳造して鋼塊を得る鋳造工程と、得られた鋼塊を、所定温度に加熱する加熱工程と、加熱された鋼塊に、熱間圧延を施し、所定形状の鋼素材(棒状)を得る熱延工程と、を順次行い、ついで、得られた鋼素材(棒状)を複数回の冷間圧延(冷間伸線加工)と必要に応じて焼鈍とを施して、所望寸法の溶加材とする冷延工程を行うことで、本発明溶加材を製造することができる。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を、真空溶解炉で溶製し、鋳造して鋼塊1000kgを得た。得られた鋼塊を、1200℃に加熱したのち、熱間圧延し、ついで冷間圧延し、必要に応じ焼鈍(900〜1200℃)して、2.0mmφ,長さ1000mmのTIG溶接用溶加材(溶接棒)を得た。
溶加材の製造に際しては、圧延荷重(伸線荷重)の測定、割れの観察、溶加材断面の観察等を行って、各溶加材の製造性を評価した。圧延荷重(伸線荷重)が高く、圧延(伸線)加工が不可能であると判断された場合や、割れの発生が認められた場合や、発生した割れに起因して、それ以上工程を進めることができなくなった場合等を「不良」と評価した。それ以外は、「良」と評価した。
ついで、試験板として、極低温用高Mn鋼板(板厚:12mm)を用意し、JIS Z 3111に準拠して、突き合わせて45°V形開先を形成し、TIG溶接を行って、該開先内に溶着金属を得た。試験板として使用した鋼板は、質量%で、0.5%C−0.4%Si−25%Mn−3%Cr−残部Feからなる組成を有する極低温用高Mn鋼板であった。
前記TIG溶接は、表1に示す組成の溶鋼から製造した各溶加材(直径2.0mm)を溶接材料として用いて、予熱なし、下向き姿勢で、電流:200A(DCEN)、電圧:12V、溶接速度:8cm/minで、溶加材送給速度:10g/min、パス間:100〜150℃、シールドガス:Ar、からなる条件で、実施した。電極は純タングステン棒(3.2mmφ)とした。
得られた溶着金属を光学顕微鏡で観察し、溶接割れの有無を判定した。溶接割れは、高温割れであり、割れ発生が認められた場合は耐高温割れ性が低下しているとして「不良」と評価した。割れ発生が認められなかった場合は、耐高温割れ性に優れるとして「良」と評価した。
得られた溶着金属から、JIS Z 3111の規定に準拠して、溶着金属の引張試験片(平行部径6mmφ)、および溶着金属のシャルピー衝撃試験片(Vノッチ)を採取し、引張試験、衝撃試験を実施した。
引張試験は、室温で、各3本の試験片にて実施し、得られた値(0.2%耐力および引張強さ)の平均値を、当該溶加材を用いた溶着金属の引張特性とした。また、シャルピー衝撃試験は、各3本の試験片にて実施し、試験温度:-196℃における吸収エネルギーvE-196を求め、その平均値を、当該溶加材を用いた溶着金属の極低温衝撃靭性とした。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0006978615
Figure 0006978615
本発明例はいずれも、伸線加工時の圧延荷重も高くなく、また割れの発生もなく溶加材製造性に優れていた。さらに、溶接時に溶接割れ(高温割れ)の発生もなく耐高温割れ性にも優れていた。しかも、常温における降伏強さ(0.2%耐力)が400MPa以上、常温における引張強さが660MPa以上で、試験温度:-196℃におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーvE-196が28J以上と、高強度と優れた極低温靭性を兼備する溶着金属を得ることができるTIG溶接用溶接材料(溶加材)であった。
一方、本発明の範囲を外れる比較例では、溶加材の製造性が低下しているか、溶接割れ(高温割れ)が発生し耐高温割れ性が低下しているか、あるいは常温における0.2%耐力が400MPa未満であるか、常温における引張強さが660MPa未満であるか、試験温度:-196℃におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーvE-196が28J未満であるかして、高強度と優れた極低温衝撃靭性を兼備する溶着金属が得られていなかった。
さらに付言すれば、溶加材No.15、No.16(比較例)は、B含有量が本発明の範囲を上回っているため、また溶加材No.17(比較例)はCr含有量が本発明の範囲を上回っているため、また溶加材No.18(比較例)はN含有量が本発明の範囲を上回っているため、伸線加工性が低下し、所望の径まで伸線できなかった。
また、溶加材No.19(比較例)はP含有量が、溶加材No.20(比較例)はC含有量が、溶加材No.21(比較例)はMn含有量が、溶加材No.22(比較例)はSi含有量が、それぞれ本発明の範囲を上回っているため、溶接割れが発生し、耐高温割れ性が低下していた。
また、溶加材No.23(比較例)はS含有量が、本発明の範囲を上回っているため、極低温衝撃靭性が低下していた。
また、溶加材No.24(比較例)はNi含有量が、溶加材No.25(比較例)はMo含有量が、それぞれ本発明の範囲を下回っているため、オーステナイト粒界が弱く、極低温衝撃靭性が低下していた。
また、溶加材No.26(比較例)はC含有量が、溶加材No.27(比較例)はCr含有量が、それぞれ本発明の範囲を下回っているため、強度が低下し、所望の高強度を確保できていなかった。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.2〜0.8%、
    Si:0.15〜0.9%、
    Mn:17.0〜28.0%、
    P:0.03%以下、
    S:0.03%以下、
    Ni:0.01〜10.0%、
    Cr:0.4〜4.0%、
    Mo:0.01〜3.5%、
    B:0.0010%未満および
    N:0.12%以下
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするTIG溶接用溶加材。
  2. 前記組成が、さらに、質量%で、V:0.04%以下、Ti:0.04%以下、およびNb:0.04%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のTIG溶接用溶加材。
  3. 前記組成が、さらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Al:0.1%以下、Ca:0.01%以下およびREM:0.02%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のTIG溶接用溶加材。
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