JP6977175B2 - 防音構造体および防音ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、防音構造体および防音ユニットに関する。
ヘルムホルツ共鳴は、容器内部の空間(背面体積)と、この空間と外部とを連通する貫通孔とを有する構造として知られている。また、ヘルムホルツ共鳴の共鳴周波数を決定する下記式も知られている。
共鳴周波数f=c/2π×√(S/(V×L1))
c:音速、S:貫通孔の断面積、V:容器の内部体積、L1:貫通孔の長さ+開口端補正距離
ヘルムホルツ共鳴のメカニズムは、背面体積内での熱力学的な断熱圧縮膨張がバネとして機能し、貫通孔内の空気がマスとして機能する共鳴である。等価回路モデルでは、前者がコンダクタンスC、後者がインダクタンスLとなる。
ここで、上記式中のL1は、貫通孔の長さに開口端補正距離を加えた値である。貫通孔においては、実際の貫通孔の長さに加えて、貫通孔を音が通る際に貫通孔の周りの空気が影響を受けて、貫通孔の外側にも貫通孔の影響がある領域が広がり、実効的に貫通孔の長さが長くなるような効果が生じる。この効果は開口端補正として知られており、貫通孔の実測値L0と実効長L1との差分を開口端補正距離という。
従来、開口端補正距離は貫通孔の直径に依存することが知られている。開口端補正距離は、フリンジのありなしにもよるが、貫通孔の半径の1.2倍から1.5倍となることが知られている。より詳細に調べた例としては、非特許文献1に、貫通孔の直径と背面空間の直径に依存する式が示されている。
このようなヘルムホルツ共鳴を吸音に用いることが知られている。
例えば、特許文献1には、管状の柱の形状で、当該形状の外側面と内側面との間に中空部を有し、内側面を一周し、中空部と内側面より内側の空間とを繋げる環状の開口部を有する吸音体が記載されている。この吸音体は、開口部の空気の質量と中空部の空気のバネ性によりヘルムホルツの共鳴器として作用するものである。
特開2010−168748号公報
J. Acoust. Soc. Am., 101, 41
自動車や電気製品において省スペース化はますます求められている。特にヘルムホルツ共鳴を利用した防音構造体は背面壁を含む構造であるため、機器の壁として用いられることも多く、厚み方向を薄くすることが求められている。
しかしながら、ヘルムホルツ共鳴を利用した防音構造体の場合には、背面体積に消音する周波数(共鳴周波数)が依存するため、背面体積を小さくすることは難しく、特に、低周波数の音を消音する場合には、背面体積を大きくする必要があるため、小型化、薄型化するのは難しいという問題があった。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消し、ヘルムホルツ共鳴を利用する防音構造体において、小型化、薄型化できる防音構造体および防音ユニットを提供することにある。
この課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 内部に空間を形成し、空間と外部とを連通する貫通孔を有する筐体を備え、空間と貫通孔とによってヘルムホルツ共鳴を発生する防音構造体であって、
貫通孔の貫通方向から見た際に、空間側の貫通孔と重複する位置に背面板を有し、
貫通孔の直径をΦとし、背面板から貫通孔の空間側の開口面までの距離をdとすると、d≦Φを満たし、かつ、d≦6mmを満たす防音構造体。
[2] 筐体の一部が背面板として機能する[1]に記載の防音構造体。
[3] 背面板が空間内に配置されている[1]に記載の防音構造体。
[4] 背面板を貫通孔の貫通方向に移動可能である[3]に記載の防音構造体。
[5] 貫通孔の直径Φが1mm以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の防音構造体。
[6] 貫通孔における開口端補正の係数が1.8以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の防音構造体。
[7] 筐体の少なくとも一部が中空材料または発泡材料で形成されている[1]〜[6]のいずれかに記載の防音構造体。
[8] 防音構造体全体の平均厚みが10mm以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の防音構造体。
[9] 防音構造体の少なくとも一部に取り付けられた多孔質吸音体を有する[1]〜[8]のいずれかに記載の防音構造体。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の防音構造体を複数有する防音ユニット。
[11] 共鳴周波数の異なる2種以上の防音構造体を有する[10]に記載の防音ユニット。
[12] 共鳴周波数の異なる2種以上の防音構造体は、貫通孔の直径が同じで、空間の体積が異なる[10]または[11]に記載の防音ユニット。
[13] 共鳴周波数の異なる2種以上の防音構造体は、筐体の形状は同じで、貫通孔の直径が異なる[10]または[11]に記載の防音ユニット。
本発明によれば、ヘルムホルツ共鳴を利用する防音構造体において、小型化、薄型化できる防音構造体および防音ユニットを提供することができる。
本発明の防音構造体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音ユニットの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の防音ユニットの他の一例を模式的に示す断面図である。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と開口端補正係数aとの関係を表すグラフである。 背面距離と補正係数倍率との関係を表すグラフである。 背面距離と補正係数倍率との関係を表すグラフである。 背面距離と補正係数倍率との関係を表すグラフである。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と補正係数倍率との関係を表すグラフである。 背面距離と補正係数倍率との関係を表すグラフである。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 貫通孔直径と補正係数倍率との関係を表すグラフである。 周波数と吸音率との関係を表すグラフである。 貫通孔直径と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 貫通孔直径と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 貫通孔直径と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と補正係数倍率との関係を表すグラフである。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と補正係数倍率との関係を表すグラフである。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と補正係数倍率との関係を表すグラフである。 比較例の防音構造体を模式的に示す断面図である。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。 背面距離と補正係数倍率との関係を表すグラフである。 比較例の防音構造体を模式的に示す断面図である。 背面距離と共鳴周波数との関係を表すグラフである。
以下、本発明の防音構造体および防音ユニットについて詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明は、そのような実施態様に限定されるものではない。すなわち、以下では、本発明の防音構造体についての種々の実施形態を挙げて説明するが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、また、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのは勿論である。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、例えば、「45°」、「平行」、「垂直」あるいは「直交」等の角度は、特に断る場合を除き、厳密な角度との差異が5度未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4度未満であることが好ましく、3度未満であることがより好ましい。
また、本明細書において、「同じ」、「同一」、「一致」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
<防音構造体>
本発明の防音構造体は、
内部に空間を形成し、空間と外部とを連通する貫通孔を有する筐体を備え、空間と貫通孔とによってヘルムホルツ共鳴を発生する防音構造体であって、
貫通孔の貫通方向から見た際に、空間側の貫通孔と重複する位置に背面板を有し、
貫通孔の直径をΦとし、背面板から貫通孔の空間側の開口面までの距離をdとすると、d≦φを満たし、かつ、d≦6mmを満たす防音構造体である。
本発明の防音構造体および防音ユニットは、各種の電子機器、および、輸送機器等が発生する音を消音する消音手段として好適に用いることができる。
電子機器としては、空調機(エアコン)、エアコン室外機、給湯器、換気扇、冷蔵庫、掃除機、空気清浄機、扇風機、食洗機、電子レンジ、洗濯機、テレビ、携帯電話、スマートフォン、プリンター等の家庭用電気機器;複写機、プロジェクター、デスクトップPC(パーソナルコンピューター)、ノートPC、モニター、シュレッダー等のオフィス機器、サーバー、スーパーコンピューター等の大電力を使用するコンピューター機器、恒温槽、環境試験機、乾燥機、超音波洗浄機、遠心分離機、洗浄機、スピンコーター、バーコーター、搬送機などの科学実験機器が挙げられる。
輸送機器としては、自動車、バイク、電車、飛行機、船舶、自転車(特に電気自転車)、パーソナルモビリティー等が挙げられる。
移動体としては、民生用ロボット(掃除用途、愛玩用途や案内用途などのコミュニケーション用途、自動車椅子等の移動補助用途など)や工業用ロボット等が挙げられる。
また、使用者への通知や警告を発する意味で、特定の少なくとも一つ以上の単周波音を通知音、警告音として発するように設定された機器にも用いることができる。また、金属体や機械がそのサイズに応じた周波数にて共振振動したとき、それに起因して比較的大きな音量で発せられる少なくとも一つ以上の単周波音が騒音として問題となるが、このような騒音に対しても本発明の防音構造体は適用可能である。
また、上述した機器が入っている部屋、工場、および、車庫等にも本発明の防音構造体が適用可能である。
本願発明の防音構造体が消音対象とする音の音源の一例としては、上記の各種機器が有する、インバーター、パワーサプライ、昇圧器、大容量コンデンサー、セラミックコンデンサー、インダクタ、コイル、スイッチング電源、トランス等の電気制御装置を含む電子部品またはパワーエレクトロニクス部品や電気モーター、ファン等の回転部品やギア、アクチュエータによる移動機構等の機械部品、金属棒等の金属体が挙げられる。
音源が、インバーター等の電子部品の場合には、キャリア周波数に応じた音(スイッチングノイズ)を発生する。
音源が、電気モーターの場合には、回転数に応じた周波数の音(電磁騒音)を発生する。
音源が、金属体の場合には、共振振動モード(1次共鳴モード)に応じた周波数の音(単周波数騒音)を発生する。
すなわち、音源はそれぞれ、音源に固有の周波数の音を発生する。
固有の周波数を有する音源は、特定周波数を発振するような物理的もしくは電気的メカニズムを有する場合が多い。例えば、回転系(ファン、モーター等)はその回転数およびその倍数がそのまま音として発せられる。また、インバーター等の交流電気信号を受ける部分は、その交流の周波数に対応する音を発振する場合が多い。また、金属棒等の金属体では、そのサイズに応じた共振振動が生じ、その結果として単一周波数の音が強く発せられる。よって、回転系、交流回路系及び金属体は、音源に固有の周波数を有する音源といえる。
より一般的に、音源が固有の周波数を有するかは下記のような実験を行うことができる。
音源を無響室もしくは半無響室内、もしくはウレタン等の吸音体で囲んだ状況に配置する。周辺を吸音体とすることで、部屋や測定系の反射干渉による影響を排除する。その上で、音源を鳴らし、離れた位置からマイクで測定を行い周波数情報を取得する。音源と測定系のサイズによりマイクとの距離は適宜選択できるが、30cm程度以上離れて測定することが望ましい。
音源の周波数情報において、極大値をピークと呼び、その周波数をピーク周波数と呼ぶ。その極大値が周辺の周波数での音と比較して3dB以上大きい場合には、そのピーク周波数音が十分に人間に認識できるため、固有の周波数を有する音源といえる。5dB以上であればより認識でき、10dB以上であればさらに認識できる。周辺の周波数との比較は、信号のノイズや揺らぎを除いて極小となるなかで最も近い周波数における極小値と、極大値の差分で評価する。
また、自然界に環境音としてよく存在するホワイトノイズやピンクノイズに対して、特定の周波数成分のみが強く鳴る音は目立ちやすく、不快な印象を与えるとされるため、それらの音を除去することは重要となる。
また、音源から発せられた音が、各種機器の筐体内で共鳴することで、この共鳴周波数、あるいは、その倍音の周波数の音量が大きくなる場合もある。あるいは、上記の各種機器が入っている部屋、工場、および、車庫等の中で音源から発せされた音が共鳴して、その共鳴周波数、あるいは、その倍音の周波数の音量が大きくなる場合もある。
他にもタイヤ内部の空間、および、スポーツ用途ボールの内部の空洞などによって共鳴が生じることで、振動が加えられたときに空洞共鳴やその高次振動モードに対応する音が大きく発振して生じる場合もある。
また、音源から発せられた音が、各種機器の筐体、あるいは筐体内に配置された部材等の機械的構造の共鳴周波数で発振されて、この共鳴周波数、あるいは、その倍音の周波数の音量が大きくなる場合もある。例えば、音源がファンの場合でも、機械的構造の共鳴によって、ファンの回転数よりも遥かに高い回転数で共振音が発生する場合がある。
本発明の防音構造体は、騒音を発する電子部品あるいはモーターに直接取り付けることで用いることができる。また、ダクト部およびスリーブなどの通風部に配置して透過音の消音に用いることもできる。また、開口のある箱体(各種電子機器を入れる箱や、部屋など)の開口部に取り付けて、箱体から放射して出てくる騒音に対する消音構造として用いることもできる。また、部屋の壁に取り付けて部屋内部の騒音を抑制するなどに用いることもできる。これに限定されずに用いることももちろん可能である。
本発明の防音構造体の一例について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の防音構造体の一例(以下、防音構造体10a)を示す模式的な断面図である。
図1に示すように、防音構造体10aは、内部に背面空間16を形成し、背面空間16と外部とを連通する貫通孔14を有する筐体12からなる。図1に示す防音構造体10aにおいて、筐体12の、貫通孔14が形成された表面側の板状部と背面空間16を挟んで対面する底面部は本発明における背面板18を兼ねている。従って、貫通孔14の貫通方向(図中上側)から見た際に、背面空間16側の、貫通孔14と重複する位置に背面板18が存在している。
図1に示す例において、筐体12は円柱形状で内部が中空であり、一方の端面の中央部に内部の空間(背面空間16)と外部の空間とを連通する貫通孔14が形成されている。
防音構造体10aは、背面空間16と貫通孔14によってヘルムホルツ共鳴を発生する共鳴型の防音構造体である。
ここで、本発明において、防音構造体10aは、貫通孔14の直径Φと、背面板18から貫通孔14の背面空間16側の開口面までの距離(以下、背面距離ともいう)dとが、d≦Φを満たし、かつ、背面距離dがd≦6mmを満たす。
本発明者らは、貫通孔14から背面板18までの距離(背面距離d)を貫通孔14の直径Φよりも小さくし、かつ、背面距離dを6mm以下とすることで、貫通孔14の開口端補正距離が、通常の場合(d>Φの場合)の開口端補正距離よりも長くなる効果があることを見出した。
ここで、ヘルムホルツ共鳴における共鳴周波数fは、
f=c/2π×√(S/(V×L1))
c:音速、S:貫通孔の断面積、V:背面空間の体積、L1:貫通孔の長さ+開口端補正距離(貫通孔の実効長)
で表されることが知られている。
そこで、ヘルムホルツ共鳴型の防音構造体において、貫通孔14から背面板18までの距離(背面距離d)を貫通孔14の直径Φよりも小さくし、かつ、背面距離dを6mm以下とすると、貫通孔14の実効長L1がd>Φの場合よりも長くなるため、上記式から共鳴周波数fが低くなる。
すなわち、筐体を大型化して背面体積を大きくせずに共鳴周波数を低くすることができるため、同じ共鳴周波数で共鳴する防音構造体に対して、筐体(防音構造体)をより小型化することができる。また、図1に示す例のように、筐体12を背面板18として利用する構成の場合には、筐体12自体を薄型化するため、防音構造体を薄型化することができる。
なお、背面距離dを貫通孔14の直径Φよりも小さくし、かつ、背面距離dを6mm以下とすることで、貫通孔14の開口端補正距離が、通常の場合(d>Φの場合)の開口端補正距離よりも長くなる効果については後に詳述する。
ここで、図1に示す例では、筐体12の一部が背面板18として機能する構成としたがこれに限定はされない。
図2は、本発明の防音構造体の他の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す防音構造体10bは、筐体12と、背面板18とを有する。
筐体12は、円柱形状で内部が中空であり、一方の端面の中央部に内部の空間(背面空間16)と外部の空間とを連通する貫通孔14が形成されている。
背面板18は、板状の部材であり、背面空間16内に配置される。また、背面板18は、貫通孔14の貫通方向(図中上側)から見た際に、貫通孔14と重複する位置に配置されている。
防音構造体10bにおいて、背面板18から貫通孔14までの距離(背面距離)dは、貫通孔14の直径Φ以下であり、かつ、背面距離dは6mm以下である。
このように、背面板18を筐体12とは別部材として、背面距離dが貫通孔の直径Φ以下で、かつ、6mm以下となる位置に背面板18を配置する構成とした場合でも、貫通孔14の開口端補正距離が、通常の場合(d>Φの場合)の開口端補正距離よりも長くなる効果が得られる。
従って、同じ共鳴周波数で共鳴する防音構造体に対して、筐体(防音構造体)をより小型化することができる。
なお、本発明において、貫通孔の貫通方向の背面空間側で貫通孔に最も近い部材を背面板とする。
また、図1および図2に示す例では、筐体12の外形を円柱形状としたが、これに限定はされず、直方体形状、立方体形状、多面体形状、球体形状、楕円球体形状、不定形の立体形状等種々の形状とすることができる。なお、筐体12の一部を背面板18とする構成の場合には、貫通孔14が形成される面と背面板18となる面との距離を近くしやすい観点から、円柱形状、直方体形状、立方体形状、多面体形状等の、平面状の面が対面した形状を有する形状とすることが好ましい。
また、筐体12の一部を背面板18とする構成の場合には、少なくとも背面板18となる部分、すなわち、貫通孔14の貫通方向から見た際に、貫通孔14と重複する部分が貫通孔14の近くに形成される形状とすればよい。
例えば、図3に示す防音構造体10cは、貫通孔14の貫通方向に平行な断面における筐体12(背面空間16)の形状が略C形状であり、貫通孔14の貫通方向から見た際に、貫通孔14と重複する位置(図3中左右方向の中央部分)における背面空間16の厚さ(図3中上下方向の厚さ)が、端部における背面空間16の厚さよりも薄くなっている。筐体12の形状をこのような形状とすることで、背面距離dを貫通孔14の直径Φ以下とすることができる。
なお、開口端補正距離をより長くすることができ、共鳴周波数をより低周波化することができる観点から、背面距離dと貫通孔14の直径Φとの比d/Φは、1以下であり、0.8以下であるのが好ましく、0.5以下であるのがより好ましく、0.4以下であるのがさらに好ましい。
貫通孔14の直径Φは、6mm以下であり、5mm以下であるのが好ましく、4mm以下であるのがより好ましい。貫通孔14の直径を上記範囲とすることで、熱粘性摩擦を適当に得ることができ、摩擦に起因する吸音効果を大きく得ることができて防音効果を得られやすい。貫通孔が大きすぎると吸音効果が小さくなる傾向にある。
また、貫通孔14の直径Φは、1mm以上であるのが好ましく、2mm以上であるのがより好ましい。貫通孔14の直径Φが小さすぎると熱粘性摩擦が大きくなりすぎるために、貫通孔の抵抗が大きくなり音が共鳴器内に入りにくくなる。このため貫通孔が小さすぎる場合は共鳴器の効果が小さくなり、したがって吸音と防音の効果が小さくなる。また、貫通孔14の直径Φが大きいほど開口端補正距離が大きくなる。従って、貫通孔14の直径Φを上記範囲とすることで、貫通孔内に音が確実に侵入し、防音の効果を好適に得ることができる。また、開口端補正距離が大きくなるため、共鳴周波数をより低周波にシフトさせることができる。
貫通孔14の長さL0は、0.1mm〜20mmが好ましく、1mm〜10mmがより好ましく、2mm〜6mmがさらに好ましい。
板に貫通孔を形成した場合、貫通孔14の長さL0が板厚とほぼ同じとなる。板厚が小さすぎる場合には、板自体が振動しやすくなる。ヘルムホルツ共鳴は表面の板が振動しないことに基づいて理論が構築されているために、振動が生じることで共鳴周波数の変化が生じると狙いの周波数に対する防音が難しくなる。
一方で板が厚くなりすぎると構造の重量や体積が大きくなるために取り扱いが難しくなる。また、貫通孔が長いことで同じ孔径の時に生じる熱粘性摩擦が大きくなる。よって、熱粘性摩擦が大きすぎる傾向となりやすく、吸音効果が小さくなりやすい。
よって、貫通孔14の長さL0を上記範囲とすることが望ましい。
開口端補正距離をより大きくできる観点から、背面距離dは、3mm以下であるのが好ましく、2mm以下であるのがより好ましい。
また、背面体積をある程度大きく保つことでヘルムホルツ共鳴周波数を高周波になりすぎないように制御する観点と、多数個の共鳴器を作製した場合に背面体積を安定してほぼ同一に作製する観点から、背面距離dは、0.1mm以上であるのが好ましく、0.3mm以上であるのがより好ましい。
背面距離が小さすぎると、共鳴器作製の際のサンプル間のずれや、粘着剤や接着剤を用いた場合の厚みのブレが背面体積に大きく影響を与えてしまう。よって、背面距離を上記の範囲とすることが望ましい。
また、貫通孔14の開口形状は特に限定はなく、円形状、正方形状、長方形状、多角形状、楕円形状、円環形状、不定形状等の種々の形状とすることができる。貫通孔14の開口形状が円形以外の場合には、円相当直径を貫通孔の直径Φとする。
また、図1および図2に示す例では、1つの貫通孔を有する構成としたが、これに限定はされず、2以上の貫通孔を有する構成としてもよい。
例えば、図4に示す防音構造体10dは、筐体12の一部が背面板18を兼ねる薄型の筐体12を有する防音構造体であって、一方の面に2つの貫通孔14が形成されている。
また、図5に示す防音構造体10eは、背面空間16内に背面板18が配置される防音構造体であって、一方の面に2つの貫通孔14が形成されており、2つの貫通孔14それぞれに対応して、2つの背面板18が背面空間16内に配置されている。
図4〜図5に示す例のように、2以上の貫通孔14を有する構成の場合には、各貫通孔14の開口面積は同じでも異なっていてもよい。また、各貫通孔14に対応する背面距離dも同じでも異なっていてもよい。
2以上の貫通孔14を有する構成の場合には、すべての貫通孔14の開口面の合計面積から円相当直径を求めればよい。また、背面距離dについては、各貫通孔14に対応する背面距離dを各貫通孔14の開口面積に基づいて加重平均して求めればよい。
また、2以上の貫通孔を有する構成の場合には、各貫通孔が筐体の異なる面に形成される構成としてもよい。
例えば、図6に示す防音構造体10fは、筐体12の一部が背面板18を兼ねる薄型の筐体12を有する防音構造体であって、一方の面に1つの貫通孔14が形成され、他方の面にもう1つの貫通孔14が形成されている。2つの貫通孔14は、貫通孔14の貫通方向から見た際に重複しない位置に形成されている。すなわち、一方の貫通孔14が形成された面の一部は、他方の貫通孔14に対する背面板18として機能し、他方の貫通孔14が形成された面の一部は、一方の貫通孔14に対する背面板18として機能する。
なお、2以上の貫通孔が異なる面に形成された構成の場合にも、貫通孔の直径Φとしては、すべての貫通孔14の開口面の合計面積から求められる円相当直径を用いればよい。また、背面距離dについても、各貫通孔14に対応する背面距離dを各貫通孔14の開口面積に基づいて加重平均して求めればよい。
背面空間16内に背面板18が配置される構成の場合には、背面板18を背面空間16内で貫通孔14の貫通方向に移動可能な構成としてもよい。背面板18を移動可能な構成とすることで、消音したい騒音の周波数に合わせて、防音構造体の共鳴周波数を調整することができる。
背面板18を移動する手段としては特に限定はなく、背面板18を筐体12内に取り付け取り外し可能な構成とし、複数の取付位置を設けていずれか取付位置に背面板18を取り付ける構成、筐体12内に設けた案内溝に沿って外部から背面板18を移動可能な構成、電気モータ等のアクチュエータによって背面板18を移動可能な構成等とすればよい。
また、背面空間16内に背面板18が配置される構成の場合には、背面板18は平板であってもよいし、湾曲した板状の部材であってもよい。
また、本発明の防音構造体は、防音構造体の少なくとも一部に取り付けられた多孔質吸音体を有していてもよい。
例えば、図7に示す防音構造体10gのように、背面空間16内に多孔質吸音体24を有していてもよい。あるいは、図8に示す防音構造体10hのように、貫通孔14が形成された面に接して多孔質吸音体24が配置される構成としてもよい。
多孔質吸音体を有するすることで、吸音ピークでの吸音率が小さくなる代わりに広帯域化することが可能となる。
多孔質吸音体としては、特に限定はなく、公知の多孔質吸音体を適宜利用することが可能である。例えば、発泡ウレタン、軟質ウレタンフォーム、木材、セラミックス粒子焼結材、フェノールフォーム等の発泡材料及び微小な空気を含む材料;グラスウール、ロックウール、マイクロファイバー(3M社製シンサレートなど)、フロアマット、絨毯、メルトブローン不織布、金属不織布、ポリエステル不織布、金属ウール、フェルト、インシュレーションボード並びにガラス不織布等のファイバー及び不織布類材料、木毛セメント板、シリカナノファイバーなどのナノファイバー系材料、石膏ボードなど、種々の公知の多孔質吸音体が利用可能である。
また、多孔質吸音体の流れ抵抗σ1には特に限定はないが、1000〜100000(Pa・s/m2)が好ましく、5000〜80000(Pa・s/m2)がより好ましく、10000〜50000(Pa・s/m2)がさらに好ましい。
多孔質吸音体の流れ抵抗は、1cm厚の多孔質吸音体の垂直入射吸音率を測定し、Mikiモデル(J. Acoust. Soc. Jpn., 11(1) pp.19−24 (1990))でフィッティングすることで評価することができる。または「ISO 9053」に従って評価してもよい。
また、異なる流れ抵抗の多孔質吸音体が複数積層されていてもよい。
また、本発明の防音構造体を複数組み合わせて防音ユニットとして用いてもよい。
複数の防音構造体を組み合わせる場合には、共鳴周波数の異なる2種以上の防音構造体を有する構成としてもよい。これにより、複数の周波数の音を消音することが可能となる。
複数の防音構造体の共鳴周波数を異ならせる構成としては特に限定はない。
例えば、図9に示す防音ユニット50aは、共鳴周波数の異なる2種の防音構造体10iおよび10jを有する。防音構造体10iおよび10jは、筐体12が背面板18を兼ねる薄型の防音構造体である。
防音構造体10iと防音構造体10jとは、貫通孔14の直径Φ、背面距離dは同じであるが、防音構造体10iの背面空間16aと防音構造体10jの背面空間16bとで体積が異なる。これによって、防音構造体10iと防音構造体10jとは共鳴周波数が異なるものとなる。
また、図10に示す防音ユニット50bは、共鳴周波数の異なる3種の防音構造体10k、10mおよび10nを有する。防音構造体10k、10mおよび10nは、筐体12が背面板18を兼ねる薄型の防音構造体である。
防音構造体10k、10mおよび10nとは、背面距離d、背面空間16の体積は同じであるが、防音構造体10kの貫通孔14aと、防音構造体10mの貫通孔14bと、防音構造体10nの貫通孔14cとで直径が異なる。これによって、防音構造体10kと防音構造体10mと防音構造体10nとは共鳴周波数が異なるものとなる。
なお、防音構造体の共鳴周波数を異なるものとする方法は、上記に限定はされず、背面距離を異なるものとする構成であってもよいし、背面空間の体積、貫通孔の直径、および、背面距離等のうち複数を異なるものとする構成であってもよい。
また、可聴域で吸音効果を得られる観点から、防音構造体のヘルムホルツ共鳴の共鳴周波数は、20000Hz以下であるのが好ましく、50Hz〜20000Hzであることが好ましく、100Hz〜15000Hzがより好ましく、100Hz〜12000Hzがさらに好ましく、100Hz〜10000Hzが特に好ましい。
なお、本発明において可聴域とは、20Hz〜20000Hzである。
筐体12の壁面の厚みは、0.1mm〜20mmが好ましく、1.0mm〜10mmがより好ましく、2.0mm〜6.0mmがさらに好ましい。なお、筐体12の壁面の厚みは均一であってもよいし、位置によって厚みが異なっていてもよい。例えば、貫通孔14が形成される部分の厚みを貫通孔の長さL0に合わせて厚くしてもよい。
また、装置小型化の観点から、防音構造体10の合計厚み(貫通孔14の貫通方向における防音構造体10の一端から他端までの長さ)は、10mm以下であるのが好ましく、8mm以下であるのがより好ましく、5mm以下であるのがさらに好ましい。
なお、防音構造体10の厚みの下限値については、特に限定されるものではないが、0.1mm以上であるのが好ましく、0.3mm以上であるのがさらに好ましい。
〔筐体および背面板の材料〕
筐体および背面板の材料(以下、筐体材料という)は、金属材料、樹脂材料、強化プラスチック材料、および、カーボンファイバ等を挙げることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、銅および、これらの合金等の金属材料を挙げることができる。また、樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、ABS樹脂(アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)共重合合成樹脂)、ポリプロピレン、および、トリアセチルセルロース等の樹脂材料を挙げることができる。また、強化プラスチック材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、および、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)を挙げることができる。
また、筐体材料として各種ハニカムコア材料を用いることもできる。ハニカムコア材料は軽量で高剛性材料として用いられているため、既製品の入手が容易である。アルミハニカムコア、FRPハニカムコア、ペーパーハニカムコア(新日本フエザーコア株式会社製、昭和飛行機工業株式会社製など)、熱可塑性樹脂(PP(ポリプロピレン),PET(ポリエチレンテレフタレート),PE(ポリエチレン),PC(ポリカーボネート)など)ハニカムコア(岐阜プラスチック工業株式会社製TECCELLなど)など様々な素材で形成されたハニカムコア材料を枠体材料として使用することが可能である。
また、筐体材料として、空気を含む構造体、すなわち、発泡材料、中空材料、多孔質材料等を用いることもできる。多数の防音構造体を用いる場合に各セル間で通気しないためにはたとえば独立気泡の発泡材料などを用いて筐体を形成することができる。例えば、独立気泡ポリウレタン、独立気泡ポリスチレン、独立気泡ポリプロピレン、独立気泡ポリエチレン、独立気泡ゴムスポンジなど様々な素材を選ぶことができる。独立気泡体を用いることで、連続気泡体と比較すると音、水、気体等を通さず、また構造強度が大きいため、筐体材料として用いるには適している。また、上述した多孔質吸音体が十分な支持性を有する場合は、筐体を多孔質吸音体のみで形成しても良く、多孔質吸音体と筐体の材料として挙げたものを、例えば混合、混錬等により組み合わせて用いても良い。このように、内部に空気を含む材料系を用いることでデバイスを軽量化することができる。また、断熱性を付与することができる。
防音構造体10が高温となる場所に配置され得るため、筐体材料は、難燃材料より耐熱性の高い材料であることが好ましい。耐熱性は、例えば、建築基準法施行令の第百八条の二各号を満たす時間で定義することができる。建築基準法施行令の第百八条の二各号を満たす時間が5分間以上10分間未満の場合が難燃材料であり、10分間以上20分間未満の場合が準不燃材料であり、20分間以上の場合が不燃材料である。ただし、耐熱性については、適用分野別に定義されることが多い。そのため、防音構造体を利用する分野に合わせて、筐体材料を、その分野で定義される難燃性相当以上の耐熱性を有する材料からなるものとすればよい。
また、貫通孔14の部分には、ゴミを通さない大きさの網目を有するメッシュ部材を配置してもよい。メッシュ部材は、金属製あるいはプラスチック製のメッシュ、不織布、ウレタン、エアロゲル、ポーラス状のフィルム等を用いることができる。
次に、貫通孔14から背面板18までの距離(背面距離d)を貫通孔14の直径Φよりも小さくし、かつ、背面距離dを6mm以下とすることで、貫通孔14の開口端補正距離が、通常の場合(d>Φの場合)の開口端補正距離よりも長くなる効果についてシミュレーションの結果を用いて説明する。
シミュレーションは、有限要素法計算ソフトCOMSOL MultiPhysics ver.5.3(COMSOL Inc.)の音響モジュールを用いて行なった。計算モデルは二次元軸対称構造計算モデルとした。
<シミュレーション1>
筐体の外形は円柱形状とし、筐体は剛体として取り扱った。まず、開口端補正の影響をみるため、筐体の壁面の厚みは20μmとした。すなわち、貫通孔の長さL0は20μmとし、実質的に無視できる長さとした。
貫通孔の直径Φは2mm、3mm、4mmそれぞれでシミュレーションを行った。
背面距離dが3mmで背面空間の直径が15mmの場合を基準とした。このときの背面空間の体積は530mm3である。
背面空間の体積を一定に保ち背面距離dを0.5mmから4mmまで0.5mm刻みで変えてシミュレーションを行って共鳴周波数を求めた。
図11に結果を示す。図11は、各貫通孔直径Φにおける背面距離dと共鳴周波数との関係を表すグラフである。
図11から、いずれの直径Φの場合にも背面空間の体積、および、貫通孔の直径Φが同じであるにも関わらず、背面距離dが小さくなるにつれて共鳴周波数が低周波側にシフトしていることがわかる。また、背面距離dが貫通孔の直径Φ以下となると共鳴周波数が低周波化していることがわかる。
図12に、貫通孔の直径Φが4mmの場合に、上記共鳴周波数から求めた開口端補正係数aを示した。開口端補正係数aは、貫通孔の長さの実測値をL0、貫通孔の直径をΦとした場合に、貫通孔の長さに開口端補正距離を加えた実効長L1を表す式L1=L0+a×(Φ/2)に示される係数aである。
このシミュレーションではL0≒0であるため、L1≒a×(Φ/2)となる。
また、J. Acoust. Soc. Am., 101, 41に示されている式の開口端補正係数を従来理論として示す。
Figure 0006977175
式中、dcは貫通孔の直径であり、dvは背面空間の直径である。
この従来理論は貫通孔の直径Φ/背面空間の直径が0.4より小さい場合によく成立するとされ、上記の設定範囲では背面距離dが小さいほど背面空間の直径が大きくなるため十分に成立する範囲である。しかしながら、図12から、背面距離dが小さい場合に、開口端補正係数が従来理論とは大きく異なり値が大きくなることが分かる。本発明者らは開口端補正係数が大きいことで貫通孔の実効長が従来理論より長くなる効果が得られることを見出した。従来の理論で開口端補正は大きくても1.7程度であるが、本発明の構成では、従来と比べても極めて大きな開口端補正係数aが得られる。すなわち、本発明においては、開口端補正係数を1.8以上とすることができる。
図13に、貫通孔の直径Φが2mm、3mm、4mmそれぞれにおいて、上記シミュレーションから求めた開口端補正係数aと、従来理論の開口端補正係数の比率(以下、補正係数倍率ともいう)を示した。背面距離が小さくなると従来理論より係数が大きくなる傾向にあり、また貫通孔の直径Φが大きいほど、補正係数倍率が大きくなることも分かった。
<シミュレーション2>
次に、背面空間の体積を変えた場合の比較を行った。背面距離d=3mmを基準とし、背面空間の直径を15mm、20mm、25mm、30mmとした。すなわち、背面空間の体積をそれぞれ530mm3、942mm3、1473mm3、2121mm3とした。
貫通孔の直径Φを2mmとして、背面空間の体積を一定に保ち背面距離dを0.5mmから3mmまで0.5mm刻みで変えてシミュレーションを行って共鳴周波数を求め、共鳴周波数から開口端補正係数aを求めて、補正係数倍率を求めた。
結果を図14に示す。
また、貫通孔の直径Φを4mmとした以外は上記と同様にして補正係数倍率を求めた。
結果を図15に示す。
図14および図15から、貫通孔の直径Φが2mmの場合も4mmの場合も、背面空間の体積が異なっていても、補正係数倍率の振る舞いは同様の振る舞いを示すことがわかる。その中で背面空間の体積が大きいほど、補正係数倍率が従来より大きくなる傾向にあることが分かった。
図16に、背面空間の体積が1473mm3の場合の背面距離dと共鳴周波数との関係を示す。貫通孔の直径Φは2mm、3mm、4mmそれぞれの場合を示している。
同様に、図17に背面空間の体積が2121mm3の場合の背面距離dと共鳴周波数との関係を示す。貫通孔の直径Φは2mm、3mm、4mmそれぞれの場合を示している。
図11、図16、図17を比較すると、周波数帯が異なるが、いずれも背面空間の体積が一定であっても、背面距離dが小さくなるにつれて共鳴周波数が低周波側にシフトしていることがわかる。
<シミュレーション3>
次に、貫通孔の長さL0の影響についてシミュレーションによって検討した。
貫通孔の直径Φを4mmとし、背面空間の体積を530mm3として、貫通孔の長さL0を1mmから5mmまで1mm刻みで変更した以外はシミュレーション1と同様に、背面距離dを0.5mmから4mmまで0.5mm刻みで変えてシミュレーションを行って共鳴周波数を求めた。
結果を図18に示す。各貫通孔の長さL0における背面距離dと共鳴周波数との関係を表すグラフである。
図18からいずれの貫通孔長さL0の場合においても背面距離dが小さくなると共鳴周波数が低周波化していることがわかる。
また、図19に、貫通孔の長さL0を1mmとして、貫通孔の直径Φを2mmから5mmまで1mm刻みそれぞれで、背面距離dを0.5mmから4mmまで0.5mm刻みで変えてシミュレーションを行って共鳴周波数を求めた結果を示す。
図19から、いずれの場合も背面距離dが小さくなると共鳴周波数が低周波化していることがわかる。その際、貫通孔の直径Φが大きいほど背面距離dが大きい領域で低周波化が始まっていることがわかる。具体的には、それぞれ背面距離dが貫通孔の直径Φ以下となると低周波化している。
また、図18および図19に求めた背面距離dと共鳴周波数との関係から、シミュレーション1と同様にして開口端補正係数aと、従来理論の開口端補正係数の比率(補正係数倍率)を求めた。
貫通孔の直径Φを4mmとし貫通孔の長さL0を変えた場合の結果を図20に示し、貫通孔の長さL0を1mmとし貫通孔の直径Φを変えた場合の結果を図21に示す。
図20から、貫通孔の長さL0が異なっていても補正係数倍率はほぼ同じとなることがわかる。図18に示すように貫通孔の長さL0によって共鳴周波数は変わる。しかしながら、補正係数倍率は貫通孔の長さL0によらないことが分かった。
また、図21から、貫通孔の長さL0が無視できない大きさである場合にも、貫通孔の直径Φが大きいほど補正係数倍率は大きくなることがわかる。
<シミュレーション4>
貫通孔の直径Φの大きさについて検討を行った。
貫通孔の直径Φを10mm、貫通孔の長さL0を20μm、背面空間の体積を2120mm3として、背面距離を0.5mm、および、1mmから10mmまで1mm刻みで変えてシミュレーションを行って共鳴周波数を求めた。
結果を図22に示す。
また、貫通孔の直径Φを15mm、貫通孔の長さL0を20μm、背面空間の体積を4770mm3として、背面距離を0.5mm、および、1mmから10mmまで1mm刻みで変えてシミュレーションを行って共鳴周波数を求めた。
結果を図23に示す。
なお、このように貫通孔の直径Φが大きい場合、貫通孔の直径Φと背面空間の直径が近くなるために従来理論の適用範囲外となる。よって、共鳴周波数の変化で考察を行った。
図22および図23から、どちらの場合も背面距離dが小さい領域では共鳴周波数が低周波シフトすることがわかる。一方で、背面距離dが6mmの点を頂点として、背面距離dが6mmより大きいと周波数が若干低周波シフトしている。よって、背面距離dを短くして低周波シフトする効果は背面距離dが6mm以下である場合に生じることがわかった。
以上、シミュレーション1〜4の結果から、背面距離dを貫通孔の直径Φ以下とし、かつ、6mm以下とすることで、貫通孔の開口端補正距離が、通常の場合(d>Φの場合)の開口端補正距離よりも長くなる効果が得られる。本発明の防音構造体は、この効果を利用することによって、背面空間の体積と貫通孔の直径が同じであっても共鳴周波数を低周波シフトできる。従って、同じ周波数の防音を行う場合に、本発明の防音構造体は小型化、薄型化できる。
本発明者らは、背面距離dを貫通孔の直径Φ以下とし、かつ、6mm以下とすることで、貫通孔の開口端補正距離が従来の理論から外れるメカニズムを以下のように推測している。
背面距離dが貫通孔の直径Φより小さくなる程度に背面板が貫通孔に近づくことで、貫通孔の両方にできる開口端補正領域のうち、背面空間側が背面板の影響を受けることと推測できる。つまり、背面板の位置では強制的に音の局所速度が0となるため、それに合わせて貫通孔周りの音場が決定される。貫通孔部分では局所速度が極大となるため、背面板の局所速度0と貫通孔部分の局所速度の増加の双方を満たすために、貫通孔の外に通じる側に音場が広がるように押しだされると推測できる。この場合に貫通孔の影響を受ける領域がヘルムホルツ共鳴器の外側に押し出されていることになるため、貫通孔がまるで伸びたような振る舞いとなり、開口端補正距離が広がったと推測できる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
なお、以下の実施例で挙げる材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等については、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
<シミュレーション5>
まず、シミュレーションと実験との比較を行った。
実験では、9kHzの高い周波数までの領域を測定するために、内径20mmの音響管を用いることとした。そのため、背面空間の直径を20mmとした場合のシミュレーションを行った。
背面距離dは1mm、貫通孔の長さL0は2mm、3mm、5mmそれぞれとして、貫通孔の直径Φを2mmから6mmまで1mm刻みで変えて有限要素法シミュレーションを行い、吸音率が最大となる周波数を求めた。
他のシミュレーションと同様にして、開口端補正係数と、従来の理論から求まる開口端補正係数の比率(補正係数倍率)を求めた。結果を図24に示す。補正係数倍率が1.35〜1.85の範囲となっており、従来理論から十分に逸脱が大きいことがわかる。従って、この防音構造体の共鳴周波数は低周波側にシフトする。
[実施例1]
上記シミュレーション5と同様の防音構造体を作製し測定を行った。
厚み2mm、3mm、5mmのアクリル板(株式会社光製のスミホリデー)を準備した。また、厚み1mmのアクリル板(株式会社菅原工芸製)も準備した。
これらのアクリル板をレーザーカッターを用いて加工した。
まず、貫通孔が形成される表面側の板(以下、表面板という)は、厚み2mm、3mm、5mmのアクリル板を用い、音響管の外径サイズに合わせて外径を40mmとし、その中央部に貫通孔を形成した。貫通孔の直径は1mmから6mmの1mm刻みとした。これによって、板厚3種×貫通孔直径6種の合計18種の表面板を得た。
次に、背面空間を形成するために、厚み1mmのアクリル板を外径40mm、内径20mmとしたドーナツ状の構造を18枚作製した。
さらに、背面板として、厚み2mmアクリル板を外径40mmの円盤状に加工したものを18枚作製した。
各表面板の下に厚み1mm、外径40mm、内径20mmのドーナツ状のアクリル板を1枚重ね、さらにその下に背面板となる外径40mmのアクリル板を1枚重ねて、背面空間が直径20mm、厚み1mmである防音構造体を18種作製した。アクリル板同士の重ね合わせは、両面テープ(アスクル「現場のチカラ」)を用いた。
作製した各防音構造体を内径20mmの音響管の終端部に配置して、マイク2端子法で測定を行った。防音構造体からの反射率を測定して、1−反射率から吸音率を求めた。
測定結果の例として貫通孔の直径Φが3mmの場合で、貫通孔の長さL0が2mm、3mm、5mmそれぞれの吸音率の測定結果を図25に示す。
図25から、吸音ピークにおいて、ほぼ100%となる高い吸音率を示すことがわかる。また貫通孔の長さL0が長くなるほど低周波側に吸音ピークを有することもわかる。
18種の防音構造体について、吸音率の最大値を求め、その時の周波数を求めてシミュレーションと比較した。貫通孔の長さL0が2mmの場合を図26に示し、L0が3mmの場合を図27に示し、L0が5mmの場合を図28に示す。
図26〜図28から、いずれの防音構造体も実験での吸音ピーク周波数、すなわち、共鳴周波数が、シミュレーションでの共鳴周波数とよく一致していることがわかる。すなわち、実験でも、本発明の構成とすることで、開口端補正距離が従来理論から外れて、より長い開口端補正距離となったことを示している。
以上のとおり、実験でも本発明の効果を検証することができた。
<シミュレーション6>
次に、図2に示すように背面空間内に背面板を配置した構成について、シミュレーションを用いて検討を行った。
モデルは、背面空間の高さを8mm、直径を18.36mmとして、背面空間の体積を2120mm3とした。また、貫通孔の直径Φを10mm、長さL0を20μmとした。すなわち、開口端補正の効果のみで貫通孔の実効長が決定される条件とした。この構成の、内部に背面板が挿入されていない場合の共鳴周波数は5870Hzとなる。
背面空間内に直径15mm、厚み50μmの背面板を、背面板の中心軸を貫通孔の中心軸に合わせて配置した。
貫通孔からの距離(背面距離d)を0.5mm、1mm〜7mmまで1mm刻みで変えて、それぞれの背面距離dでの共鳴周波数を算出した。結果を図29に示す。図29において、背面距離8mmは、背面板を挿入していない場合の共鳴周波数を示す。
図29から、背面空間にごく薄い背面板を挿入しただけであり、背面空間の体積にほぼ変化がないにもかかわらず、共鳴周波数は背面距離dによって大きく変化することがわかる。特に背面距離dが小さい場合に変化が大きいことがわかる。
背面空間の体積および貫通孔の直径は変化がないため、共鳴周波数の変化は開口端補正距離の変化によるものであると考えられる。各共鳴周波数から開口端補正係数aを求め、背面板を挿入していないヘルムホルツ共鳴器の開口端補正係数に対する倍率(補正係数倍率)を図30に示す。
図30から、背面距離dが6mmで補正係数倍率が1.07、背面距離dが5mmで補正係数倍率が1.16と大きくなっていることがわかる。さらに、背面距離dが小さいと補正係数倍率は大きくなることがわかる。
<シミュレーション7>
貫通孔の直径Φを4mmとした以外はシミュレーション6と同様にしてシミュレーションを行った。
図31に背面距離dと共鳴周波数との関係を表すグラフを示し、図32に背面距離dと補正係数倍率との関係を表すグラフを示す。
図31から、背面距離dが小さいほど共鳴周波数が低周波シフトしていることがわかる。一方で、背面距離dが4mmより大きい領域では低周波シフトの量は小さい。図32から背面距離dが5mmの場合の補正係数倍率は1.03と小さく(1.05未満であり)、背面距離dが4mmの場合には補正係数倍率は1.08と大きくなる(1.05以上となる)ことがわかる。
シミュレーション6(貫通孔の直径Φが10mm)の場合と比較すると、シミュレーション7は、貫通孔の直径Φが4mmであり、背面距離dが4mmよりも大きい場合には、開口端補正距離が長くなる効果が小さくなったと考えられる。
<シミュレーション8>
背面空間の直径を12.24mmとして、背面空間の体積を942mm3とした以外は、シミュレーション7と同様にしてシミュレーションを行った。この構成の、内部に背面板が挿入されていない場合の共鳴周波数は4080Hzとなる。
図33に背面距離dと共鳴周波数との関係を表すグラフを示し、図34に背面距離dと補正係数倍率との関係を表すグラフを示す。
図33から、背面距離dが小さいほど共鳴周波数が低周波シフトしていることがわかる。また、背面距離dが4mm以下となると低周波シフトの量が大きくなることがわかる。また、図34から、背面距離dが小さいほど補正係数倍率が高くなり、背面距離dが4mm以下となると補正係数倍率が有意に高くなることがわかる。
以上、シミュレーション6〜8の結果から、背面空間内に背面板を配置する構成でも、背面距離dを貫通孔の直径Φ以下とし、かつ、6mm以下とすることで、貫通孔の開口端補正距離が、通常の場合(d>Φの場合)の開口端補正距離よりも長くなる効果が得られ、共鳴周波数を低周波シフトできることがわかる。
<シミュレーション9>
次に、背面空間内に背面板を配置する構成の場合の、背面板の配置位置について検討を行った。
具体的には、図35に示す防音構造体100のように、貫通孔114の貫通方向から見た際に貫通孔とは重複しない位置に背面板118を配置した構成についてシミュレーションを行った。背面板118の位置が異なる以外は、シミュレーション7と同様の構成とした。背面板118は、筐体112から5mmの長さとした。
このような構成において、貫通孔の貫通方向における背面板118の位置を変えて同様のシミュレーションを行い共鳴周波数を求めた。結果を図36に示す。また、図36には、シミュレーション7の結果も示す。
図36から、貫通孔の貫通方向から見た際に貫通孔とは重複しない位置に背面板を配置した場合には、共鳴周波数はほとんどシフトしないことがわかる。従って、背面空間の内部に背面板があるだけではなく、背面板が貫通孔と重複する位置にあることが低周波シフトのために重要であることがわかる。
<シミュレーション10>
図5に示すような断面形状となる円環形状の貫通孔が筐体に形成された構造について検討を行った。
モデルは、背面空間の高さを8mm、直径を18.36mmとして、背面空間の体積を2120mm3とした。また、貫通孔は外径が18.36mm、内径が17.36mmの円環形状とした。すなわち、幅0.5mmのスリット状の貫通孔が背面空間の内周に沿って形成された形状とした。また、貫通孔の長さL0は20μmとした。この貫通孔の面積から円相当直径を求めると6mmとなる。この構成の、背面板を挿入しない場合の共鳴周波数は、5420Hzである。
背面空間の内部の、貫通孔と重複する位置に厚み50μmの背面板を配置した。背面板は、外径が18.36mm、内径が8.36mmの円環形状とした。すなわち、背面板は、筐体から背面空間内に5mm伸びた形状である。
この背面板と貫通孔との距離、すなわち、背面距離dを0.5mm、1mmから7mmまで1mm刻みで変えて、それぞれの背面距離dでの共鳴周波数を算出した。また、共鳴周波数から補正係数倍率を求めた。結果を図37および図38に示す。
シミュレーション10のモデルのように、貫通孔の開口形状が非円形の場合には、開口端補正の理論式をそのまま適用することは難しい。しかしながら、シミュレーション10では、貫通孔の長さL0が十分に小さいため、開口端補正によって貫通孔の実効長が形成されていることに違いはない。また、背面板を入れる前後で貫通孔の形状および面積は変えていない。従って、背面板がない場合に対する、背面板を入れた場合の貫通孔の実効長の変化の比率を求めることができ、それより補正係数倍率を求めることができる。
図37から、貫通孔の開口形状が円形でない場合でも、背面板を貫通孔の下部に挿入することで大きく低周波シフトすることがわかる。また、図38から、開口端補正距離の変化量も大きいことがわかる。
<シミュレーション11>
比較として、図39に示す防音構造体110のように、背面板118を貫通孔114と重複しない位置、すなわち、中央位置に配置した以外はシミュレーション10と同様にしてシミュレーションを行った。背面板118の直径は10mmとした。結果を図40に示す。また、図40には、シミュレーション10の結果も示す。
図40から、貫通孔の開口形状が非円形である場合にも、貫通孔の貫通方向から見た際に貫通孔とは重複しない位置に背面板を配置した場合には、共鳴周波数はほとんどシフトしないことがわかる。
以上のシミュレーションの結果から、貫通孔の形状および位置は円形で中央部に限られるものではなく、任意の貫通孔形状が任意の位置に形成されていてよいことがわかる。また、背面板の配置位置の条件として、貫通孔の貫通方向から見た際に貫通孔と重複する位置に配置されていることが低周波シフトの要件であり、貫通方向から見て貫通孔と背面板に重なりがないときは低周波シフトがほぼ起こらないことがわかる。
以上の結果から、本発明の効果は明らかである。
10、10a〜10n 防音構造体
12 筐体
14、14a〜14c 貫通孔
16、16a〜16b 背面空間
18 背面板
24 多孔質吸音体
50、50a〜50b 防音ユニット

Claims (12)

  1. 内部に空間を形成し、前記空間と外部とを連通する貫通孔を有する筐体を備え、前記空間と前記貫通孔とによってヘルムホルツ共鳴を発生する防音構造体であって、
    前記貫通孔の貫通方向から見た際に、前記空間側の前記貫通孔と重複する位置に背面板を有し、
    前記貫通孔の直径をΦとし、前記背面板から前記貫通孔の前記空間側の開口面までの距離をdとすると、d≦Φを満たし、かつ、d≦6mmを満たし、
    前記貫通孔における開口端補正の係数が1.8以上である防音構造体。
  2. 前記筐体の一部が前記背面板として機能する請求項1に記載の防音構造体。
  3. 前記背面板が前記空間内に配置されている請求項1に記載の防音構造体。
  4. 前記背面板を前記貫通孔の貫通方向に移動可能である請求項3に記載の防音構造体。
  5. 前記貫通孔の直径Φが1mm以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の防造構造体。
  6. 前記筐体の少なくとも一部が中空材料または発泡材料で形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の防音構造体。
  7. 前記防音構造体全体の平均厚みが10mm以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の防音構造体。
  8. 前記防音構造体の少なくとも一部に取り付けられた多孔質吸音体を有する請求項1〜のいずれか一項に記載の防音構造体。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の防音構造体を複数有する防音ユニット。
  10. 共鳴周波数の異なる2種以上の前記防音構造体を有する請求項に記載の防音ユニット。
  11. 共鳴周波数の異なる2種以上の前記防音構造体は、前記貫通孔の直径が同じで、前記空間の体積が異なる請求項または10に記載の防音ユニット。
  12. 共鳴周波数の異なる2種以上の前記防音構造体は、前記筐体の形状は同じで、前記貫通孔の直径が異なる請求項または10に記載の防音ユニット。
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