JP3486629B2 - 共鳴器型吸音装置 - Google Patents

共鳴器型吸音装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音源からの音の周波数
の時間的または位置的変化に応じて共鳴周波数を変化さ
せることのできる適応吸音能力を有する共鳴器型吸音装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、空調ダクトや塀、壁の吸音等に
は、いわゆるヘルムホルツ共鳴器として知られた共鳴器
型吸音構造が多用されている。また、近年、騒音源の近
傍に二次音源を配置することにより騒音低減を図る、ア
クティブノイズコントロールの手法も盛んに研究されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記共鳴器
型吸音構造は、単純なメカニズムで吸音が可能な利点が
あるが、設計時に定めた共鳴周波数以外の音には対応で
きないという問題を有している。一方、上記アクティブ
ノイズコントロールの手法は、単純な形状を有する空間
における消音にはそれなりの効果を奏するものの、例え
ば、鉄道のパンタグラフ周辺や自動車等のエンジン内部
のような複雑な形状を有する空間における騒音低減に
は、未だ十分な効果を奏するに至っていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の共鳴器
型吸音装置を改良することにより、時間的または位置的
に周波数の変化する騒音にも対応可能な共鳴器型吸音装
置を提供することを目的とする。
【0005】
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】そのため、本発明の請求項の共鳴器型吸
音装置は、前面壁を含む壁体で囲まれた空間を共鳴空間
とするとともに、前記前面壁に前記共鳴空間を外部と連
通する入口を設け、且つ前記壁体内に前記前面壁と略平
行な隔壁を設けて前記共鳴空間を複数に分割し、この隔
壁に両側の空間を連通する連通を設ける一方、この連
を開閉する開閉手段を設けた共鳴器型吸音装置であ
って、前記開閉手段が、金属層を2つの絶縁層で挟み込
んで3層に構成されて前記隔壁上に配置されるととも
に、変形可能に湾曲形成された開閉弁部を有し、前記金
属層と対向電極層である前記隔壁又はこの隔壁上に積層
した対向電極層との間に、通電していないときには前記
開閉弁部が湾曲して前記連通孔を開放している一方、通
電したときには前記開閉弁部が前記隔壁に吸着されるこ
とにより直線状に変形して前記連通孔を閉じる開閉アク
チュエータであることを特徴とするものである。
【0010】上記構成において、上記連通が開いてい
る状態では、隔壁の両側の空間が共鳴空間となるのに対
し、上記開閉アクチュエータで連通を閉じた状態で
は、隔壁を境界として上記前面壁側の空間のみが実質的
な共鳴空間となる。このように、開閉アクチュエータ
連通を開閉することにより、実質的な共鳴空間の容積
を変更し、共鳴周波数を変化させることができる。
【0011】請求項の共鳴器型吸音装置は、請求項
の構成において、前記壁体内に前記前面壁及び隔壁と略
直交して前記吸音ユニットの厚み方向全域に渡って延び
る仕切りを設けて前記共鳴器型吸音装置を複数の吸音ユ
ニットに分割し、各吸音ユニットに対応させて前記前面
壁の入口、前記隔壁の連通及び該連通を開閉する
記開閉アクチュエータを設けたことを特徴とするもので
ある。ここでは、各吸音ユニット毎に開閉アクチュエー
を開閉させることにより、各吸音ユニット毎の実質的
な共鳴空間の容積を変更することができる。
【0012】請求項の共鳴器型吸音装置は、請求項
の構成において、音源からの音の周波数である吸音周波
数を検出する検出器を各吸音ユニット毎に設け、検出さ
れた吸音周波数に基づいて各吸音ユニット毎に共鳴周波
数が吸音周波数と一致するように前記開閉アクチュエー
を開閉させる制御手段を設けたことを特徴とするもの
である。ここでは、各吸音ユニット毎に検出した吸音周
波数に基づいて各吸音ユニットの共鳴周波数を自律的に
調整するようにしている。
【0013】請求項の共鳴器型吸音装置は、請求項1
乃至のいずれかの構成において、前記共鳴器型吸音装
置は音源の一部または全部を被覆するケース部材に取り
付けるか、またはケース部材の一部として構成すること
を特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1にヘルムホルツ共鳴器の
模式図を示す。ヘルムホルツ共鳴器1は壁体2内に共鳴
空間3を設けるとともに、壁体2に設けた入口4を介し
て上記共鳴空間3を外部と連通してなる。このヘルムホ
ルツ共鳴器1は入口4を通して共鳴空間3内に入力され
る音響エネルギーを共鳴によって熱エネルギーに変換す
ることにより吸音する。
【0015】上記ヘルムホルツ共鳴器1の共鳴周波数f
0 は、音速をc、共鳴空間3の容積をV、入口4の径を
d、入口4の深さ、つまり、入口4における壁体2の厚
みをtとすると、次の数1の式で表される。
【0016】
【数1】
【0017】数1の式の中のaは定数で、例えば、0.
80〜0.85程度の値となる。数1の式から明らかな
ように、共鳴周波数f0 は共鳴空間3の容積Vが大きく
なるに伴って小さくなる。また、入口4の径dが小さく
なる程共鳴周波数f0 は小さくなるとともに、入口4の
深さtが大きくなる程共鳴周波数f0 は小さくなる。す
なわち、入口4のアスペクト比(t/d)が大きくなる
に伴って、共鳴周波数f0 は小さくなる。
【0018】本発明は、以上の原理に基づき、 共鳴空間3の容積Vを可変とすることにより、ヘル
ムホルツ共鳴器1を用いた共鳴器型吸音装置の共鳴周波
数f0 を変化させること、及び 入口4のアスペクト比(t/d)をできるだけ大き
くすることにより、従来より一層低い周波数域での吸音
をも可能とすることを目的とする。
【0019】図2及び図3に本発明の第1の実施の形態
に係る共鳴器型吸音装置を模式的に示す。この共鳴器型
吸音装置11は前面壁12と、この前面壁12との間に
間隔を隔てて前面壁12と平行に配置された剛壁13
と、前面壁12と剛壁13の周縁部間で前面壁12及び
剛壁13と垂直な方向へ延びて前面壁12と剛壁13の
周縁部同士を連結する連結壁14とを備えている。前面
壁12、剛壁13及び連結壁14は壁体15を構成す
る。剛壁13は音を反射することのできる壁であって、
例えば、厚みが3〜4mm程度の合成樹脂板(ポリメチル
メタクリレート板等)で形成される。また、前面壁12
も、剛壁13と同一材料で、同程度の厚みに形成するこ
とが好ましい。
【0020】ここでは、前面壁12と剛壁13とは円板
状を成す一方、連結壁14は円筒状を成しており、前面
壁12、剛壁13及び連結壁14で囲まれた範囲が円柱
状の共鳴空間16を形成しているが、これに限らず、例
えば、前面壁12と剛壁13を矩形板状等とし、連結壁
14を角筒状等としてもよい。
【0021】前面壁12には、上下方向及び左右方向に
各々所定の間隔を隔てて複数の入口17を設け、前面壁
12を多孔壁としている。また、剛壁13の後方には、
剛壁13と連結壁14との間で気密を保持しながらこの
剛壁13を前面壁12に接近または離間する方向へ移動
させる移動手段18を設けている。移動手段18は、例
えば、その雄ねじ18aを剛壁13側に設けた不図示の
雌ねじに回転自在に螺合してなるねじ装置と、上記雄ね
じを回転させるステップモータとからなる。
【0022】上記共鳴器型吸音装置11は、図1のヘル
ムホルツ共鳴器1を上下方向及び左右方向に各々複数個
アレイ状に配列したものであり、個々の入口17に対応
する各吸音部11a(図3中便宜上点線で区画した1ブ
ロック)が各々ヘルムホルツ共鳴器1を成すものと考え
ることができる。従って、共鳴空間16全体の容積を吸
音部11aの個数で除した、個々の吸音部11a毎の共
鳴空間の容積をV、各入口17の径及び深さを各々d及
びtとすると、各吸音部11aについて大略前記の数1
の式の関係が成立する。なお、図2、図3に示す装置で
は、実際には、隣接する吸音部11a間に仕切りは設け
ていない。
【0023】上記移動手段18で図2の仮想線の如く剛
壁13を前面壁12に接近または離間する方向へ移動さ
せ、共鳴空間16の容積を増減させると、それに応じて
各吸音部11aに対応する容積Vも変化し、共鳴器型吸
音装置11の共鳴周波数f0が変化することになる。本
共鳴器型吸音装置11は、不図示の音源からの音の周波
数である吸音周波数の時間的変化及び位置的変化が比較
的少ない環境での使用に適したものであって、例えば、
不図示の検出器で定期的に吸音周波数を検出し、吸音周
波数の変動に応じて、適宜剛壁13を移動させることに
より、共鳴器型吸音装置11の共鳴周波数f0 をその時
点での吸音周波数と合致させるように制御すればよい。
なお、上記の実施の形態では、剛壁13を移動させるこ
とにより共鳴周波数を変化させるようにしたが、これに
代えて、前面壁12を移動させたり、或いは前面壁12
及び剛壁13の双方を移動させるようにしてもよい。
【0024】以下、上記共鳴器型吸音装置11を含む実
験装置を用いて、剛壁13の移動、つまり、共鳴空間1
6の容積の変化に伴う共鳴周波数f0 の変化を実際に測
定した結果を説明する。図4に示すように、この実験装
置21は円筒状の音響管22の一端部近傍に上記共鳴器
型吸音装置11を設けてなり、実験装置21の一端部近
傍が前記連結壁14を構成している。音響管22の他端
部には、音源としてのスピーカ23を配置するととも
に、音響管22内に挿入されたマイクロフォン24を検
出装置25に接続している。
【0025】ここでは、垂直入射吸音率α0 を測定する
ことにより、上記の共鳴周波数f0を求めた。すなわ
ち、スピーカ23で正弦波状の音波が発生され、これが
音響管22内を共鳴器型吸音装置11側へ伝搬される
と、入力波と反射波の干渉により定在波が発生する。な
お、定在波比nはマイクロフォン24で音圧を測定する
ことにより求めることができる。
【0026】共鳴器型吸音装置11の音響反射係数をR
とすると、Rは定在波比nから求めることができるの
で、垂直入射吸音率α0 は次の数2の式により表され
る。
【0027】
【数2】 従って、マイクロフォン24からの音の周波数を変化さ
せながら定在波比nの変化を追跡することにより、音源
からの音の周波数と垂直入射吸音率α0 との関係を知る
ことができ、且つ共鳴器型吸音装置11の共鳴周波数f
0 は垂直入射吸音率α0 が最大となる周波数として求め
ることができる。
【0028】次に、前面壁12と剛壁13間のギャップ
寸法、つまり、共鳴空間16の容積を複数通りに変化さ
せながら、上記の原理で共鳴器型吸音装置11の共鳴周
波数f0 を求めた結果を図5に示す。横軸はスピーカ2
3からの音の周波数、縦軸は垂直入射吸音率α0 であ
り、ここでは、前面壁12と剛壁13間のギャップを6
mm、8mm、10mm、12mm(各々曲線I乃至IV)の4通
りに変化させた。各々の場合の共鳴周波数f0 、つま
り、垂直入射吸音率α0 のピーク値は、ギャップ、つま
り、共鳴空間16の容積が大きくなるに伴って小さくな
っている。
【0029】図6に本発明の第2の実施の形態を示す。
この実施の形態の共鳴器型吸音装置11は、上記第1の
実施の形態の共鳴器型吸音装置11の壁体15内に、前
面壁12及び剛壁13と直交して前面壁12から剛壁1
3まで共鳴器型吸音装置11の厚み方向全域に渡って延
びる仕切り26を設け、共鳴空間16を複数に分割する
ことにより、共鳴器型吸音装置11を複数の吸音ユニッ
ト11bに分割している。ここでは、各吸音ユニット1
1bに対応して前面壁12に複数の入口17を備え、各
吸音ユニット11bが複数の吸音部11aからなる。
【0030】また、剛壁13は各吸音ユニット11b毎
に複数の分割体13aに分割し、個々の分割体13aを
連結壁14または仕切り26との間の気密を保持しなが
ら前面壁12と接近または離間する方向へ移動させる移
動手段18を各分割体13a毎に独立に設けている。さ
らに、各入口17に対応して音源からの音の周波数であ
る吸音周波数を検出する検出器27を剛壁13に埋め込
み形式等で設ける一方、検出器27で検出される吸音周
波数に応じて移動手段18の駆動制御を行い、当該吸音
ユニット11bの共鳴周波数が上記吸音周波数と一致す
るように各分割体13aを移動させる制御手段28を設
けている。
【0031】上記構成において、第2の実施の形態の共
鳴器型吸音装置11は、例えば、吸音周波数が位置的に
変化する場合でも、個々の吸音ユニット11bにおける
吸音周波数を検出器27で検出し、検出結果に応じて制
御手段28で各移動装置18を介して剛壁13の分割体
13aを移動させることにより、各吸音ユニット11b
の共鳴周波数が各々当該吸音ユニット11bの位置にお
ける吸音周波数と一致するように制御するものである。
【0032】なお、各吸音ユニット11b毎に複数の検
出器27を設けたが、これは個々の吸音ユニット11b
内で吸音周波数の分布が存在する場合に、各吸音ユニッ
ト11bの共鳴周波数を最適な値とするためには、各吸
音ユニット11bの複数箇所で吸音周波数を検出するこ
とが好ましいためである。但し、各吸音ユニット11b
が十分に小さい場合、各吸音ユニット11b毎に一つの
検出器27を設けるのみでもよい。
【0033】また、この第2の実施の形態では、剛壁1
3を各吸音ユニット11b毎の分割体13aに分割し
て、各分割体13aを互いに独立に移動させるようにし
たが、前面壁12を各吸音ユニット11b毎の分割体に
分割して、各分割体を移動させるようにしてもよい。
【0034】ところで、共鳴器型吸音装置11で低い周
波数域の騒音を吸収するためには、前記数1の式から明
らかなように、入口17の径dを小さくする一方、入口
17の深さtを大きくしてアスペクト比(t/d)を大
きくする必要がある。しかしながら、深さtを大きくす
ると、前面壁12の厚みが増して、共鳴器型吸音装置1
1のサイズ全体が大型化する。従って、深さtをある一
定限度以下としてアスペクト比(t/d)を大きくする
ためには、入口17の径dをできるだけ小さく、例え
ば、数10μm乃至100μm程度以下とすることが好
ましい。
【0035】なお、上述のように剛壁13の移動等によ
って共鳴空間16の容積を減少させることにより、共鳴
周波数f0 を増加させて高い周波数域にも対応させるこ
とが可能であるので、入口17の径dを小さくして低周
波数域に対応可能とすることにより、結果的に共鳴器型
吸音装置11で対応可能な音の周波数範囲を拡張するこ
とができる。また、入口17の径dが小さくなるに伴っ
て、吸音周波数の位置的変化によりきめ細かく対応する
ことが可能となるので、この面からも入口17の径dを
できるだけ小さくすることが好ましい。
【0036】ここで、厚みtができるだけ小さい前面壁
12に径dの小さい入口17を形成するためには、例え
ば、シンクロトロン放射光源(以下、SR光源という)
を用いたX線リソグラフィ法を用いることが好ましい。
すなわち、図7に示すように、小型のSR光源31(例
えば、0.6GeV程度のエネルギーを有し、放射スペ
クトルが1.5nm程度のピーク波長を有するととも
に、スポットサイズが30mm×5mm程度のもの)から多
数の孔32aを有するX線マスク32を介して、前面壁
12の材料であるポリメチルメタクリレート板33(以
下、PMMA板33)にSR光を照射した後、所定の現
像剤で、例えば、数時間程度上記PMMA板33を現像
すると、図8に示すように、X線マスク32の孔32a
を介してSR光が照射された部位でPMMA板33に孔
33aが形成される。このPMMA板33を前面壁12
として用いることができる(孔33aが入口17とな
る)。
【0037】上記X線マスク32としては、例えば、直
径が数10μm乃至100μm以下程度の孔32aを有
し、厚みが100乃至200μm程度の銅板その他の金
属板等を用いることができ、これにより、PMMA板3
3に直径数10μm乃至100μm以下程度の孔33a
を多数形成することができる。PMMA板33の厚み
は、例えば、3乃至4mm以下程度とし、孔33aのアス
ペクト比は、孔33aの径に応じて10乃至100程度
とすることができる。そして、本発明では孔33aのア
スペクト比を最大で100程度とすることにより、20
0乃至300Hz程度の低周波数域の騒音の吸収が可能
となる。
【0038】図9に本発明の第3の実施の形態を示す。
この実施の形態の共鳴器型吸音装置41は、例えば、と
もに円板状を成す前面壁42と剛壁43との周縁部同士
を円筒状の連結壁44で連結することにより、これら前
面壁42、剛壁43及び連結壁44からなる壁体45で
囲まれた円柱状の空間を共鳴空間46としている。ま
た、共鳴空間46内の前面壁42と剛壁43との間に円
板状の隔壁47を設け、共鳴空間46を前面壁42と隔
壁47間の第1空間48と、隔壁47と剛壁43間の第
2空間49とに区画している。ここで、前面壁42及び
剛壁43は第1の実施の形態と同様に、例えば、厚みが
3乃至4mm程度の合成樹脂板で形成することができ、ま
た、隔壁47は、例えば、厚みが0.5mm程度のSi板
で形成することができる。
【0039】前面壁42には複数の入口50を形成する
一方、隔壁47には複数の連通孔51を形成し、且つ各
連通孔51を開閉する複数の小型の開閉アクチュエータ
52(開閉手段)を設けている。図10に示すように、
開閉アクチュエータ52は金属層52aを図示しない2
つのポリイミド層(絶縁層)で上下からサンドイッチ状
に挟み込んで3層で構成し、基板としての役割を有する
隔壁47上に配置している。なお、この実施の形態で
は、隔壁47上に絶縁層47aを形成しているが、絶縁
層47aは必ずしも設ける必要はない。
【0040】上記3層構造の開閉アクチュエータ52は
隔壁47上に固着される大略T字状の基部53と、屈曲
部54を介して基部53と連結される長尺の開閉弁部5
5からなり、開閉弁部55は予めカーリング加工で湾曲
形成している。これにより、常時、つまり、スイッチ5
6がオフの非通電時には図10の実線の如く開閉弁部5
5が湾曲し、連通孔51を開放している。一方、スイッ
チ56をオンとし、電源57により隔壁47と開閉アク
チュエータ52の金属層52aとの間に通電すると、図
10の仮想線の如く開閉弁部55が隔壁47に吸着され
て略直線状となり、連通孔51を閉じるようになってい
る。なお、この実施の形態では、隔壁47自体を開閉ア
クチュエータ52の対向電極層として用いたが、対向電
極層を隔壁47と別途に隔壁47上に積層するようにし
てもよい。
【0041】上記共鳴器型吸音装置41において、各開
閉アクチュエータ52を開いて第1及び第2空間48、
49を連通状態とすると、第1及び第2空間48、49
が実質的な共鳴空間となり、共鳴器型吸音装置41の共
鳴周波数f0 は比較的小さな値となる。一方、各開閉ア
クチュエータ52を閉じて第1空間48と第2空間49
とを遮断すると、第1空間48のみが実質的な共鳴空間
となり、共鳴空間の容積が減少するので、共鳴器型吸音
装置41の共鳴周波数f0 は開閉アクチュエータ52の
開時よりも大きな値となる。このように、本実施の形態
では、開閉アクチュエータ52で連通孔51を開閉する
ことにより、共鳴器型吸音装置41の共鳴周波数f0
変化させることができる。
【0042】次に、共鳴器型吸音装置41において、開
閉アクチュエータ52で連通孔51を開閉した場合の共
鳴周波数の変化を測定した実験結果を示す。この実験で
は、厚み1mmのPMMA板からなる前面壁42に400
個の径100μmの入口50を設ける一方、厚み1mmの
PMMA板からなる隔壁47に25個の径1mmの連通孔
51を形成するとともに、各連通孔51に対応して各々
開閉アクチュエータ52を設け、これら25個の連通孔
51を各開閉アクチュエータ52で全て閉じた場合と全
て開いた場合との各々について、図4の実験装置と同様
の方法で吸音周波数を変化させながら、吸音周波数と垂
直入射吸音率α0 との関係を測定した。
【0043】図11の横軸は吸音周波数、縦軸は垂直入
射吸音率α0 であり、前述のように、垂直入射吸音率α
0 のピークが共鳴周波数である。図11中曲線Iは開閉
アクチュエータ52で連通孔51を閉じた場合の特性、
曲線IIは連通孔51を開いた場合の特性であり、連通孔
51を開いた場合は共鳴周波数がより低くなることが分
かる。
【0044】図12に第4の実施の形態を示す。この実
施の形態では、第3の実施の形態の共鳴器型吸音装置4
1における壁体45内に前面壁42及び隔壁47と直交
して共鳴器型吸音装置41の厚み方向の全域に渡って延
びる仕切り58を設け、共鳴器型吸音装置41を複数の
吸音ユニット41aに分割している。そして、各吸音ユ
ニット41a毎に前面壁42に1または複数の入口50
を設け、隔壁47に1または複数の連通孔51を設ける
とともに、各連通孔51を開閉する開閉アクチュエータ
52を設けている。
【0045】また、各吸音ユニット41aに対応させて
前面壁42等に吸音周波数を検出するための1または複
数の検出器58を設けるとともに、これらの検出器58
の検出結果に応じて、各吸音ユニット41aの開閉アク
チュエータ52を開閉駆動し、各吸音ユニット41aの
共鳴周波数が当該吸音ユニット41aの位置における吸
音周波数と一致するように制御する制御手段60を設置
している。この実施の形態によれば、吸音周波数が位置
的に変化する場合でも、個々の吸音ユニット41a毎に
共鳴周波数を個別に制御できるとともに、この共鳴周波
数の制御を検出器58の検出結果に基づいて自律的に行
える利点がある。
【0046】なお、上記第3及び第4の実施の形態の共
鳴器型吸音装置41では、隔壁47を一つのみ設けて共
鳴周波数f0 を2段階に変化させるようにしたが、隔壁
47を2つ以上設けて共鳴空間46を3つ以上の空間に
区画し、且つ個々の隔壁47の連通孔51に各々開閉ア
クチュエータ52を設けることにより、共鳴周波数f 0
を3段階以上に変化させることも可能である。また、開
閉アクチュエータ52としては、上記した開閉弁部55
を湾曲状または直線状に変形させるものの他に、例え
ば、スライド式のもの等、種々の形式の開閉アクチュエ
ータを用いることができる。
【0047】上記各実施の形態の共鳴器型吸音装置1
1、41は、具体的には、例えば、図13に示すように
自動車のエンジンルーム61(ケース部材)内の側壁6
1aや蓋体61bの裏面等に設置したり、図14に示す
ように、タービン62やファン63等を有する航空機用
のターボプロットエンジン64のケース部材65等に設
置することができる。また、これらの各種エンジン等の
ケース部材自体の一部を共鳴器型吸音装置11、41で
構成することも可能である。
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【発明の効果】 請求項の共鳴器型吸音装置は、前面壁
を含む壁体で囲まれた空間を共鳴空間とするとともに、
前記前面壁に前記共鳴空間を外部と連通する入口を設
け、且つ前記壁体内に前記前面壁と略平行な隔壁を設け
前記共鳴空間を複数に分割し、この隔壁に両側の空間
を連通する連通を設ける一方、この連通を開閉する
開閉手段を設け、この開閉手段が、金属層を2つの絶縁
層で挟み込んで3層に構成されて前記隔壁上に配置され
るとともに、変形可能に湾曲形成された開閉弁部を有
し、前記金属層と対向電極層である前記隔壁又はこの隔
壁上に積層した対向電極層との間に、通電していないと
きには前記開閉弁部が湾曲して前記連通孔を開放してい
る一方、通電したときには前記開閉弁部が前記隔壁に吸
着されることにより直線状に変形して前記連通孔を閉じ
る開閉アクチュエータであるものであり、前記連通
開いた場合は前記隔壁の両側の空間が共鳴空間となり、
前記開閉アクチュエータによって連通を閉じた場合は
隔壁を境界として前記前面壁側の空間のみが実質的な共
鳴空間となるから、前記連通を開閉して実質的な共鳴
空間の容積を変化させることにより、共鳴器型吸音装置
の共鳴周波数を変化させることができるので、例えば、
吸音周波数が時々刻々変化するような場合でも、それに
対応した適応吸音処理が可能となる。
【0052】請求項の共鳴器型吸音装置は、請求項
の構成において、前記壁体内に前記前面壁及び隔壁と略
直交して前記吸音ユニットの厚み方向全域に渡って延び
る仕切りを設けて前記共鳴器型吸音装置を複数の吸音ユ
ニットに分割し、各吸音ユニットに対応させて前記前面
壁の入口、前記隔壁の連通及び該連通を開閉する
記開閉アクチュエータを設けたものであるから、例え
ば、吸音周波数が位置的に変化するような場合であって
も、各吸音ユニット毎に前記開閉アクチュエータで連通
を個別に開閉することにより、各吸音ユニットの共鳴
周波数を個別に制御して、音源の周囲の各位置毎で最適
の吸音処理を実現することが可能となる。
【0053】請求項の共鳴器型吸音装置は、請求項
の構成において、音源からの音の周波数である吸音周波
数を検出する検出器を各吸音ユニット毎に設け、検出さ
れた吸音周波数に基づいて各吸音ユニット毎に共鳴周波
数が吸音周波数と一致するように前記開閉アクチュエー
を開閉させる制御手段を設けたものであるから、前記
検出器で検出された吸音周波数に基づいて、各吸音ユニ
ットの共鳴周波数を当該位置での吸音ユニットと一致さ
せる制御を自律的に行うことができる。
【0054】請求項の共鳴器型吸音装置は、請求項1
乃至のいずれかの構成において、前記共鳴器型吸音装
置は音源の一部または全部を被覆するケース部材に取り
付けるか、またはケース部材の一部として構成したもの
であるから、音源自体に共鳴器型吸音装置を設けること
ができ、吸音処理のために余分のスペースを必要としな
い利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なヘルムホルツ共鳴器を示す模式図
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る共鳴器型吸音
装置の概略縦断面図。
【図3】第1の実施の形態に係る共鳴器型吸音装置の概
略正面図。
【図4】第1の実施の形態の共鳴器型吸音装置を含む実
験装置を示す概略縦断面図。
【図5】上記実験装置を用いて前面壁と剛壁間のギャッ
プを変化させながら吸音周波数と垂直入射吸音率との関
係を求めた結果を示すグラフ。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る共鳴器型吸音
装置を示す概略縦断面図。
【図7】X線リソグラフィ法を用いて前面壁に入口を形
成する様子を示す説明図。
【図8】上記入口を形成する後続の手順を示す説明図。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る共鳴器型吸音
装置を示す概略縦断面図。
【図10】第3の実施の形態に係る共鳴器型吸音装置に
おける開閉アクチュエータを示す拡大斜視図。
【図11】第3の実施の形態の共鳴器型吸音装置の開閉
アクチュエータを開閉させながら吸音周波数と垂直入射
吸音率との関係を求めた実験結果を示すグラフ。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る共鳴器型吸
音装置の概略縦断面図。
【図13】上記各実施の形態の共鳴器型吸音装置の第1
の適用例を示す斜視図。
【図14】上記各実施の形態の共鳴器型吸音装置の第2
の適用例を示す斜視図。
【符号の説明】
11、41 共鳴器型吸音装置 11b、41a 吸音ユニット 12、42 前面壁 13、43 剛壁 13a 分割体 14、44 連結壁 15、45 壁体 16、46 共鳴空間 17、50 入口 18 移動手段 28、60 制御手段 47 隔壁 51 連通孔 52 開閉アクチュエータ(開閉手段)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−123429(JP,A) 特開 平8−123442(JP,A) 特開 昭62−99800(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前面壁を含む壁体で囲まれた空間を共鳴
    空間とするとともに、前記前面壁に前記共鳴空間を外部
    と連通する入口を設け、且つ前記壁体内に前記前面壁と
    略平行な隔壁を設けて前記共鳴空間を複数に分割し、こ
    の隔壁に両側の空間を連通する連通を設ける一方、こ
    の連通を開閉する開閉手段を設けた共鳴器型吸音装置
    であって、 前記開閉手段が、金属層を2つの絶縁層で挟み込んで3
    層に構成されて前記隔壁上に配置されるとともに、変形
    可能に湾曲形成された開閉弁部を有し、前記金属層と対
    向電極層である前記隔壁又はこの隔壁上に積層した対向
    電極層との間に、通電していないときには前記開閉弁部
    が湾曲して前記連通孔を開放している一方、通電したと
    きには前記開閉弁部が前記隔壁に吸着されることにより
    直線状に変形して前記連通孔を閉じる開閉アクチュエー
    タである ことを特徴とする共鳴器型吸音装置。
  2. 【請求項2】 前記壁体内に前記前面壁及び隔壁と略直
    交して前記吸音ユニットの厚み方向全域に渡って延びる
    仕切りを設けて前記共鳴器型吸音装置を複数の吸音ユニ
    ットに分割し、各吸音ユニットに対応させて前記前面壁
    の入口、前記隔壁の連通孔及び該連通孔を開閉する前記
    開閉アクチュエータを設けたことを特徴とする請求項
    記載の共鳴器型吸音装置。
  3. 【請求項3】 音源からの音の周波数である吸音周波数
    を検出する検出器を各吸音ユニット毎に設け、検出され
    た吸音周波数に基づいて各吸音ユニット毎に共鳴周波数
    が吸音周波数と一致するように前記開閉アクチュエータ
    を開閉させる制御手段を設けたことを特徴とする請求項
    記載の共鳴器型吸音装置。
  4. 【請求項4】 前記共鳴器型吸音装置は音源の一部また
    は全部を被覆するケース部材に取り付けるか、またはケ
    ース部材の一部として構成することを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれか記載の共鳴器型吸音装置。
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