以下、測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、図1に示すテスタ1の構成について説明する。テスタ1は、測定装置の一例であって、同図に示すように、本体部2および一対のプローブ3,3を備えて構成されている。
本体部2は、図2に示すように、電源部11、測定部12、ロータリースイッチ13(図1も参照)、切替部14、表示部15(図1も参照)、制御部16、およびこれらの各部が収容または配設されるケース2a(図1参照)を備えて構成されている。
電源部11は、テスタ1を構成する各部を作動させる作動用電力を生成する。
測定部12は、図2に示すように、電源部11によって生成された作動用電力の供給によって作動する複数の測定回路20a〜20c(以下、測定回路20a〜20cを区別しないときには「測定回路20」ともいう)を備え、プローブ3,3を介して入力した電気信号(交流信号や直流信号)についての複数の被測定量を測定可能に構成されている。この場合、例えば、測定回路20aは、被測定量としての交流電圧値(交流信号の被測定量)を測定し、測定回路20bは、被測定量としての直流電圧値を測定し、測定回路20cは、被測定量としての抵抗値を測定する。なお、3つの測定回路20a〜20cを備える構成に限らず、1つの測定回路20で複数の被測定量を測定可能に構成することもできる。
交流電圧値を測定する測定回路20aは、図3に示すように、プローブ3,3を介して入力した交流信号に含まれる直流成分を除去するためのいわゆるバイパスコンデンサ(直流成分除去(カット)用のコンデンサ)であるコンデンサ21を備えて構成されている。この場合、この測定部12aの回路構成では、測定部12aに作動用電力が供給されずに測定部12(測定回路20a)が作動しない電力供給停止状態(以下、「電源オフ状態」ともいう)では、それ以前にコンデンサ21に電荷が蓄積されているときには、その電荷が自然放電される図外の自然放電経路が測定回路20aによる作動停止で遮断されて、コンデンサ21に電荷が蓄積されたままの状態となる。なお、以下の説明において、測定部12(測定回路20a)が交流電圧値(交流信号の被測定量)を測定する状態を第1状態ともいい、測定部12(測定回路20a)が交流電圧値の測定を停止すると共にコンデンサ21に蓄積された電荷が蓄積されたままの状態(つまり、電力供給停止状態)を第2状態ともいう。また、測定部12(測定回路20b,20c)が交流電圧値以外の被測定量(直流電圧値および抵抗値)を測定する状態を第3状態ともいう。
ロータリースイッチ13は、切替スイッチの一例であって、図4,5に示すように、回動部材31および接点基板32を備え、回動部材31を回動させる回動操作(回動部材31に対する操作)によって上記した第1状態、第2状態および第3状態を切替可能に構成されている。
回動部材31は、移動部材の一例であって、図5に示すように、ダイヤル31a(図1,4も参照)、ロッド31bおよびアーム部31cを備え、回動可能にケース2aに取り付けられている。
ダイヤル31aは、図1,4に示すように、円板状に形成されて、図5に示すように、ケース2aの正面パネル2bに配設されている。ロッド31bは、同図に示すように、ダイヤル31aの中心部からケース2aの背面パネル2cに突出するようにダイヤル31aに配設されている。アーム部31cは、同図に示すように、ロッド31bの先端部に配設されている。また、同図に示すように、アーム部31cの中間部には、接点C1が配設されている。この場合、接点C1は、第1接点に相当し、回動部材31を回動させる回動操作に伴い、図6に示す接点基板32の表面における円弧状の移動経路W(同図において斜線を付した部位)上を移動する。
接点基板32は、図4,6に示すように、基板本体32aと、基板本体32aの表面に配設された接点C2a〜C2c(以下、区別しないときには「接点C2」ともいう)および接点C3a.C3b(以下、区別しないときには「接点C3」ともいう)とを備えて構成されている。
各接点C2は、第2接点に相当し、測定回路20毎(被測定量の種類毎)に設けられて、図6に示すように、測定回路20毎に規定された移動経路W上の各位置に配設されている。具体的には、同図に示すように、移動経路Wの一端部(同図における左端部)の位置(図1における「OFF」の文字が記載されている位置)が、第2状態としての電力供給停止状態(電源オフ状態)に対応する位置P2(第2位置)として規定され、位置P2の右側に測定回路20aが交流電圧値を測定する状態(第1状態)に対応する位置P1(第1位置:図1に示す「ACV」の位置)が規定され、この位置P1に接点C2aが配設されている。また、位置1の右側に測定回路20bが直流電圧値を測定する状態(第3状態)に対応する位置P3a(図1に示す「DCV」の位置)が規定され、この位置P3aに接点C2bが配設されている。また、位置P3aの右側に測定回路20cが抵抗値を測定する状態(第3状態)に対応する位置P3b(図1に示す「Ω」の位置)が規定され、この位置P3bに接点C2cが配設されている。
接点C3は、第3接点に相当し、図6に示すように、移動経路W上における位置P1と位置P2との間(第1状態と第2状態との切替えの際の移動経路W上)に規定された位置P4(第3位置)に配設されている。この場合、接点C3a,C3bは、図3に示すように、測定部12における測定回路20aのコンデンサ21の両端部にそれぞれ接続されている。この構成では、回動部材31に対する回動操作に伴って接点C1と接点C3とが接続されたときには、コンデンサ21が短絡させられる。このため、接点C1および接点C3は、コンデンサ21に電荷が蓄積されている場合において、接点C1と接点C3とが接続されたときにコンデンサ21を放電させる放電スイッチ22(同図参照)として機能する。
このテスタ1では、回動部材31を回動させる回動操作に伴ってアーム部31cの接点C1が移動経路W上を移動して、接点C1と接点C2との接続および非接続が切り替えられることにより、上記した各被測定量を測定する状態(第1状態および第3状態)と電力供給停止状態(第2状態)との切替えが行われる。
また、このテスタ1では、上記したように、移動経路W上における位置P1と位置P2との間に接点C3を配設して、接点C1とこの接点C3とを放電スイッチ22として機能させている。このため、このテスタ1では、コンデンサ21に蓄積されている電荷を短絡放電させるための放電専用のスイッチを設け、処理部の処理によってこのスイッチを動作させる構成や、処理部の処理によってコンデンサ21に蓄積されている電荷が自然放電される規定時間だけ表示を停止する構成とは異なり、構成が複雑となったり、規定時間が経過するまで測定が開始できないために操作性が低下したりするという不都合を解消して、構成の複雑化を回避しつつ操作性を向上させることが可能となっている。
切替部14は、ロータリースイッチ13の接点C1と各接点C2との接続および非接続に応じてプローブ3,3と各測定回路20との接続および非接続を切り替える。
表示部15は、図1に示すように、ケース2aの正面パネル2bに配設されて、制御部16の制御に従い、測定部12によって測定された被測定量(交流電圧値、直流電圧値および抵抗値)を表示する。
制御部16は、表示部15を制御して、測定部12によって測定された被測定量(交流電圧値、直流電圧値および抵抗値)を表示部15に表示させる。
次に、テスタ1を用いて電気信号の被測定量を測定する測定方法、およびその際のテスタ1の動作について、図面を参照して説明する。なお、初期状態では、測定部12における測定回路20aのコンデンサ21には電荷が蓄積されていないものとする。
このテスタ1では、図1に示すように、ロータリースイッチ13のダイヤル31aに付されているマーカーMと正面パネル2bに付されている第2状態としての電源オフ状態(電力供給停止状態)を示すマーク(同図に示す「OFF」のマーク)とが対向しているときには、図6に示すように、回動部材31のアーム部31cに配設されている接点C1(図5も参照)が、ロータリースイッチ13の接点基板32に形成されている接点C2a〜C2c,C3のいずれにも接続していない。この状態では、測定部12に作動用電力が供給されずに、測定部12が作動しない電源オフ状態が維持される。
この電源オフ状態から、例えば、直流信号の直流電圧値(被測定量)を測定するときには、図7に示すように、ダイヤル31aを操作して同図に示す矢印Aの向きに回動部材31を回動させ、マーカーMと正面パネル2bに付されている直流電圧値を示すマーク(同図に示す「DCV」のマーク)とを対向させる。この際に、図8に示すように、接点C1が、移動経路W上を位置P2から位置P3aまで移動して、接点C1が位置P3aに位置したときには、接点C1と接点C2bとが接続される。
また、この状態では、電源部11によって生成された作動用電力がロータリースイッチ13の接点C1および接点C2bを介して測定部12に供給されて、測定部12の各測定回路20が作動状態となる。また、切替部14が、接点C1と接点C2bとの接続に応じて、プローブ3,3と測定部12の測定回路20bとを接続する。
次いで、プローブ3,3を測定対象に接触させる。この際に、測定部12の測定回路20bがプローブ3,3を介して直流信号を入力して、被測定量としての直流信号の直流電圧値を測定する。続いて、制御部16が、表示部15を制御して、図9に示すように、直流電圧値を表示部15に表示させる。
次いで、直流電圧値の測定を終了して測定部12を電源オフ状態とするときには、ダイヤル31aを操作して図9に示す矢印Bの向きに回動部材31を回動させて、マーカーMと正面パネル2bに付されている電源オフ状態を示す「OFF」のマークとを対向させる(図1参照)。これにより、接点C1と接点C2bとの接続が解除されて(非接続状態となり)、測定部12が電源オフ状態となる。
続いて、例えば、交流信号の交流電圧値を測定するときには、図10に示すように、ダイヤル31aを操作して同図に示す矢印Aの向きに回動部材31を回動させて、マーカーMと正面パネル2bに付されている交流電圧値を示すマーク(同図に示す「ACV」のマーク)とを対向させる。この際に、図11に示すように、接点C1が、移動経路W上を位置P2から位置P1まで移動して、接点C1が位置P1に位置したときには、接点C1と接点C2aとが接続され、ロータリースイッチ13の接点C1および接点C2aを介して作動用電力が測定部12に供給され、測定部12の各測定回路20が作動状態となる。また、切替部14が、接点C1と接点C2aとの接続に応じて、プローブ3,3と測定部12の測定回路20aとを接続する。
次いで、プローブ3,3を測定対象に接触させる。この際に、測定部12の測定回路20aがプローブ3,3を介して交流信号を入力する。また、測定回路20aは、交流信号に含まれる直流成分をコンデンサ21で除去し、交流信号の交流成分に基づいて被測定量としての交流信号の交流電圧値を測定する。
続いて、制御部16が、表示部15を制御して、図12に示すように、交流電圧値を表示部15に表示させる。次いで、交流電圧値の測定を終了して測定部12を電源オフ状態とするときには、ダイヤル31aを操作して同図に示す矢印Bの向きに回動部材31を回動させ、マーカーMと正面パネル2bに付されている電源オフ状態を示す「OFF」のマークとを対向させる(図1参照)。これにより、接点C1と接点C2aとの接続が解除され(非接続状態となり)、測定部12が電源オフ状態となる。
この場合、この測定部12の回路構成では、測定部12(測定回路20a)に作動用電力が供給されず測定部12(測定回路20a)が作動しない電力供給停止状態(電源オフ状態)では、コンデンサ21に蓄積される電荷が自然放電される自然放電経路が遮断される。このため、交流電圧値の測定の際に電荷が蓄積されたコンデンサ21は、電荷が蓄積されたままの状態となっている。
続いて、例えば、他の測定対象についての交流信号の交流電圧値を測定するときには、上記したように回動部材31を回動させて、マーカーMと交流電圧値を示すマークとを対向させる(図10参照)。この際に、接点C1が移動経路W上を位置P2から位置P1まで移動する(図11参照)。
ここで、このテスタ1では、図13に示すように、移動経路W上における位置P1と位置P2との間の位置P4に、接点C1と共に放電スイッチ22(図3参照)として機能する接点C3が配設されている。このため、接点C1が移動経路W上を位置P2から位置P1まで移動する過程において、接点C1と接点C3とが接続状態となり、その後に非接続状態となる。この場合、図3に示すように、接点C3a,C3bが測定回路20aのコンデンサ21の両端部にそれぞれ接続されており、接点C1と接点C3とが接続状態となったときには、コンデンサ21の両端部が短絡させられる。このため、コンデンサ21に蓄積されている電荷が、接点C1と接点C3との接続によって放電(短絡放電)され、次いで、接点C1と接点C3とが非接続状態となったときには、コンデンサ21の両端部の短絡が解除される。
一方、接点C1が位置P1に位置したときには、ロータリースイッチ13の接点C1および接点C2aを介して作動用電力が測定部12に供給される。また、切替部14が、接点C1と接点C2aとの接続に応じて、プローブ3,3と測定部12の測定回路20aとを接続する。
ここで、例えば、放電スイッチ22として機能する接点C3を備えていない構成では、接点C1が位置P1に位置して測定回路20aが作動状態となったときに、測定対象の交流信号を入力していない状態であっても、コンデンサ21に蓄積されている電荷が測定回路20a内(つまり、図外の自然放電経路)を流れる。この際に、この構成では、この信号の電圧値を測定回路20aが測定して、その電圧値が表示部15に表示されるため、使用者に違和感を与えるおそれがある。これに対して、接点C3を備えたこのテスタ1では、接点C1が位置P2から位置P1まで移動する過程において、接点C1と接点C3との接続により、コンデンサ21に蓄積されている電荷が放電(短絡放電)されるため、このような表示によって使用者に違和感を与える事態が防止される。
次いで、プローブ3,3を測定対象に接触させる。この際に、測定回路20aでは、コンデンサ21が、プローブ3,3を介して入力された交流信号に重畳されている直流成分を除去して、交流信号の交流成分を内部回路に供給する。次いで、この測定回路20aが交流信号の交流成分に基づいて被測定量としての交流信号の交流電圧値を測定する。続いて、制御部16が、表示部15を制御して、図12に示すように、交流電圧値を表示部15に表示させる。
次いで、交流電圧値の測定を終了して測定部12を電源オフ状態とするときには、上記したように、図12に示す矢印Bの向きに回動部材31を回動させて、マーカーMと正面パネル2bの「OFF」のマークとを対向させる。これにより、測定部12が電源オフ状態となる。
一方、交流電圧値の測定を終了した後に、測定部12を電源オフ状態とすることなく、直流信号の直流電圧値(または、抵抗値)を測定するときには、ダイヤル31aを操作して図7,10に示す矢印Aの向きに回動部材31を回動させて、マーカーMと正面パネル2bに付されている直流電圧値を示す「DCV」のマーク(または、抵抗値を示す「Ω」のマーク)とを対向させる。この際に、接点C1と接点C2b(または、接点C2c)とが接続され、作動用電力が測定部12に供給され、測定部12の各測定回路20が作動状態となる。また、切替部14が、接点C1と接点C2b(または、接点C2c)との接続に応じて、プローブ3,3と測定回路20b(または、測定回路20c)とを接続する。続いて、プローブ3,3を測定対象に接触させる。この際に、測定回路20b(または、測定回路20c)がプローブ3,3を介して入力した直流信号に基づいて被測定量としての直流信号の直流電圧値(または、抵抗値)を測定し、制御部16が、直流電圧値(または、抵抗値)を表示部15に表示させる。
この場合、この測定部12の回路構成では、測定部12に作動用電力が供給されている状態では、コンデンサ21に蓄積されている電荷が自然放電される図外の自然放電経路(測定回路20aの内部回路)が遮断されないため、測定回路20b(または、測定回路20c)が被測定量を測定している間に、コンデンサ21に蓄積されている電荷が自然放電される。したがって、例えば、直流電圧値(または、抵抗値)の測定を終了した後に交流電圧値を再び測定する際には、短絡放電を行うことなく(接点C1と接点C3とを接続させることなく)、接点C1と接点C2b(または、接点C2c)とが接続されている状態から、接点C1と接点C2aとを接続する状態に切替えを行ったとしても、コンデンサ21に蓄積されている電荷による信号の電圧値が交流電圧値として表示部15に表示される事態が回避される。
このように、このテスタ1によれば、第1状態と第2状態との切替えの際の接点C1の移動経路W上に配設された接点C3を有して、切替えの際の接点C1の移動の過程において接点C1と接点C3とが接続されたときにコンデンサ21を短絡させて放電(短絡放電)させる放電スイッチ22として機能するようにロータリースイッチ13を構成したことにより、放電専用のスイッチを設けて、処理部の処理によって放電専用のスイッチを動作させる構成や、処理部の処理によって規定時間だけ表示を停止する構成とは異なり、放電専用のスイッチを設けることによって構成が複雑となったり、規定時間が経過するまで測定が開始できないため操作性が低下したりするという不都合を解消して、構成の複雑化を回避しつつ操作性を十分に向上させることができる。
また、このテスタ1によれば、第1状態に規定する接点C1の位置である位置P1と第2状態としての測定部12に作動用電力が供給されない状態に規定する接点C1の位置である位置P2とが移動経路W上で隣接し、移動経路W上における位置P1と位置P2との間の位置P4に接点C3が位置するようにロータリースイッチ13を構成したことにより、接点C1を位置P2に位置させることによって測定部12に作動用電力が供給されない状態となり、これによって直前の交流電圧値の測定において電荷が蓄積されたコンデンサ21がそのままの状態となったとしても、次の交流電圧値の測定のために接点C1を位置P2から位置P1まで移動させる過程において、接点C1と接点C3との接続により、コンデンサ21に蓄積されている電荷を確実に放電させることができる。このため、このテスタ1によれば、測定対象の交流信号を入力していない状態であるにも拘わらず、コンデンサ21に蓄積されている電荷が測定回路20a内を流れ、この信号の電圧値が表示部15に表示される事態を確実に防止することができる。
なお、測定装置の構成は、上記したテスタ1の構成には限定されない。例えば、ロータリースイッチ13における接点C2a〜C2c,C3の位置関係は、上記した位置関係に限定されず、任意に変更することができる。具体的には、図14に示すロータリースイッチ13Aのように、ロータリースイッチ13における接点C2a〜C2c,C3の位置関係を左右反転した位置関係に規定する構成を採用することもできる。なお、以下の説明において、上記したロータリースイッチ13と同様の構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
また、上記したロータリースイッチ13に代えて、図15に示すロータリースイッチ113を採用することもできる。このロータリースイッチ113では、同図に示すように、位置P4に配設した接点C3に加えて、移動経路W上における位置P1と位置P3aとの間に規定された位置P5にも接点C3a,C3bが配設されている。また、このロータリースイッチ113を備えたテスタ1では、測定部12における測定回路20a以外の測定回路20(上記の例では、測定回路20b,20c)が被測定量を測定しているときには測定回路20aに作動用電力が供給されずに図外の自然放電経路が遮断される構成が採用されている。このロータリースイッチ113を備えたテスタ1によれば、直流電圧値または抵抗値の測定(第2状態)から交流電圧値の測定(第1状態)への切替えのために接点C1を位置P3aまたは位置P3bから位置P1まで移動させる過程において、接点C1と位置P5に配設された接点C3との接続により、コンデンサ21に蓄積されている電荷を短絡放電させることができる。このため、このロータリースイッチ113を備えたテスタ1においても、構成の複雑化を回避しつつ操作性を十分に向上させることができる。
また、上記したロータリースイッチ13に代えて、図16に示すロータリースイッチ213を採用することもできる。このロータリースイッチ213では、同図に示すように、ロータリースイッチ13における電力供給停止状態(電源オフ状態)に対応する位置P2が規定されず、かつロータリースイッチ13における位置P4に相当する位置には接点C3が配設されていない。また、このロータリースイッチ213では、移動経路W上における位置P1と位置P3aとの間に規定された位置P5に接点C3が配設されている。また、ロータリースイッチ213を備えたテスタ1では、作動用電力を供給しない状態で作動する(作動用電力が不要な)測定部12(アナログメータ)が採用されている。このロータリースイッチ213を備えたテスタ1によれば、直流電圧値または抵抗値の測定(第2状態)から交流電圧値の測定(第1状態)への切替えのために接点C1を位置P3aまたは位置P3bから位置P1まで移動させる過程において、接点C1と位置P5に配設された接点C3との接続により、コンデンサ21に蓄積されている電荷を短絡放電させることができる。このため、このロータリースイッチ213を備えたテスタ1においても、構成の複雑化を回避しつつ操作性を十分に向上させることができる。
また、移動部材の一例としての回動部材31を備え、回動部材31に対する操作としての回動操作によって上記した第1状態、第2状態および第3状態を切替可能な切替スイッチの一例としてのロータリースイッチ13に適用した例について上記したが、移動部材としてのレバーを備え、レバーを直線的にスライドさせるスライド操作(移動部材に対する操作)によって上記した第1状態、第2状態および第3状態を切替可能な切替スイッチとしてのスライドスイッチに適用することもできる。また、このようなスライドスイッチを備えて、測定装置としてのペンシル形テスタを構成することもできる。
また、交流信号の被測定量としての交流電圧値を測定する構成に適用した例について上記したが、交流信号の被測定量としての交流電流値を測定する構成や、交流電圧値および交流電流値の双方を測定する構成に適用することもできる。
また、交流信号の被測定量と、交流信号の被測定量以外の他の被測定量(上記の例では直流電圧値および抵抗値)を測定する構成に適用した例について上記したが、交流信号の被測定量だけを測定する構成に適用することもできる。この場合、交流信号の被測定量を1つだけ測定する構成(1または複数の被測定量のうちの1つの被測定量を測定する例)、交流信号の被測定量を複数測定する構成のいずれにも適用することができる。