JP6976817B2 - 殺黴剤組成物 - Google Patents
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本発明の硬質表面用殺黴剤組成物が、黴に対して優れた殺黴効果を発揮できる理由は必ずしも定かではないが、以下のように推定される。黴は細胞膜より外側に厚い細胞壁を有する。黴の細胞壁はグルカン・キチン等で構成される多糖層、メラニン層、ハイドロフォービン層等により構成される。この細胞壁の存在により、大腸菌等の一般細菌と比較して、黴は細胞内部への殺菌剤の浸透性が低く、短時間で十分な殺黴効果が得られないことが課題であると考えられる。しかしながら、本発明の硬質表面用殺黴剤組成物は、ハイドロフォービン等のタンパク質に作用することが期待される(b)成分との併用で、殺菌剤である(a)成分の浸透性を高めることにより短時間で殺黴効果を得ることを可能にしたと推定される。
本発明の(a)成分は、殺菌剤である。
殺菌剤としては、従来公知の任意の殺菌剤を用いることができる。例えば、ハロゲノ基を有しない芳香族系殺菌剤、ビグアナイド系殺菌剤、アミノ酸系殺菌剤、ハロゲン酸塩系殺菌剤、及び酸化性ハロゲン酸塩系殺菌剤から選ばれる1種以上の殺菌剤を用いることができる。これらの中でも、取扱いの容易さと配合安定性の観点から、非塩素系殺菌剤が好ましく、ハロゲノ基を有しない芳香族系殺菌剤がより好ましい。
R1aO−(R2aO)l−H (a−1)
(式中、R1aは、芳香族基を有し、且つ総炭素数6以上10以下の炭化水素基であり、lは0又は1の整数であり、R2aは炭素数2以上4以下のアルキレン基である。但し、該化合物の分子量は106以上140以下である。)
lは、殺黴効果の観点から、0が好ましい。
本発明の(b)成分は、硫酸ナトリウムである。
本発明の硬質表面用殺黴剤組成物は、(a)成分を、殺黴効果の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上、そして、配合安定性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下含有する。
(c1):分子量が60以上500以下の脂肪族アルコール
(c2):分子量が60以上500以下の脂肪族グリコールエーテル
(c3):分子量が60以上500以下の脂肪族ジオール
(c4):芳香族基及びヒドロキシ基を有し、且つ分子量が150以上500以下の芳香族化合物
R1cO−(R2cO)n−H (c−2)
(式中、R1cは炭素数1以上8以下の脂肪族炭化水素基であり、R2cは炭素数2又は3のアルキレン基であり、nは1以上4以下の整数である。)
nは、殺黴効果の観点から、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。
R3c−CH(OH)−(CH2)m−CH2OH (c−3)
[式中、R3cは水素原子、炭素数1以上8以下の脂肪族炭化水素基、又はR4cOであり、R4cは炭素数1以上8以下の脂肪族炭化水素基であり、mは0又は1以上6以下の整数である。但し、化合物中の総炭素数が4以上10以下である。]
R4cは、炭素数2以上8以下のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、炭素数3以上8以下のアルキル基又はアルケニル基がより好ましく、炭素数4以上8以下のアルキル基又はアルケニル基が更に好ましい。
mは、殺黴効果の観点から、好ましくは1以下である。
(d)成分は、洗浄性能の付与の観点から用いられるが、殺黴効果の観点から、殺黴剤組成物中の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下が望ましい。
(d)成分としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる界面活性剤が挙げられる。
またサッカロマイセス(Saccharomyces)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、ピキア(Pichia)属真菌、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、Pseudomonas putida等のシュードモナス(Pseudomonas)属細菌、大腸菌(Escherichia coli)、アルカリジェネス(Alcaligenes faecalis)、クレブシエラ(Klebsiellapneumoniae)、プロテウス(Proteus vulgaris)、セラチア(Serratia marcescense)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)等のグラム陰性菌;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に代表されるグラム陽性菌に対しても高い殺菌作用効果を示す。
本発明の殺黴方法は、本発明の硬質表面用殺黴剤組成物を、黴菌が存在する硬質表面に30秒以上接触させる殺黴方法である。
本発明では、本発明の硬質表面用殺黴剤組成物を硬質表面に接触させた後、該表面を洗浄することができる。また本発明では、本発明の硬質表面用殺黴剤組成物を基体に担持させた清掃用物品により硬質表面を洗浄することができる。
硬質表面としては、浴室、浴槽、洗面器、タイル、化粧室、洗面台、鏡、台所まわりのシンク、カウンタートップ、水道まわり等の硬質表面が好適である。
前記殺黴剤組成物を希釈せずに硬質表面に接触させるとは、該殺黴剤組成物を、意図的に水などで希釈した後、硬質表面と接触させないことである。例えば、前記殺黴剤組成物を水滴等が付着した硬質表面と接触させたり、前記殺黴剤組成物を硬質表面に接触させた後、硬質表面に水滴が付着したりする場合は、前記殺黴剤組成物を希釈せずに、硬質表面に接触させると理解できる。
本発明の殺黴方法は、前記殺黴剤組成物を、原液で、硬質表面に接触させるには、ボトルから直接塗布又は噴霧してもよく、ボトルとしては、例えば、スクイズボトル、スプレーボトル等が挙げられる。
また本発明の硬質表面用殺黴剤組成物を含浸させた清掃用物品使用時に、別途本発明の硬質表面用殺黴剤組成物を、被清掃物又は前記清掃用物品に、噴霧しながら使用してもよい。当該使用方法によって、より広い面積を清掃する。
放置した後は、通常、水ですすぐ。すすぐ際は、手などで機械力(物理的力)を掛けてもよく、単に水流ですすいでもよい。
なお、放置する際の温度は、室温でよく、例えば、10℃以上30℃以下が挙げられる。
(a)成分
・ベンジルアルコール:和光純薬工業(株)製、分子量108
・フェノキシエタノール:和光純薬工業(株)製、分子量138
・2−フェニルエタノール:和光純薬工業(株)製、分子量122
・3−フェニル−1−プロパノール:和光純薬工業(株)製、分子量136
・シンナミルアルコール:東京化成工業(株)製、分子量134
・Na2SO4:硫酸ナトリウム、和光純薬工業(株)製、分子量142
・(NH4)2SO4:硫酸アンモニウム、和光純薬工業(株)製、分子量132
住環境優先糸状菌Cladosporium属の環境分離株Cladsporium sp. PA-4を、ポテトデキストロース平板寒天培地(BectonDickinson社製のPotato Dextrose Agar試薬を能書どおりに調製)上で25℃/7日間培養後、同寒天プレート上に胞子回収液((株)大塚製薬工場製の生理食塩水で調製した和光純薬工業(株)製の0.05%Tween80溶液)を4mL滴下して、コンラージ棒(日水製薬(株)製)でなでるように軽くこすることで菌液を回収した。その後回収した菌液を、ミラクロス(CALBIOCHEM社製)を用いて濾過することで菌糸を除去し、得られた液を遠心処理(10,000rpm,25℃,5min)し、上澄みを除去した。これらの操作を2、3回繰り返し、菌濃度を3.0〜7.0×107CFU/mLに調製して試験胞子液とした。
調製直後の表1の各殺黴剤組成物について、20℃で12時間放置した後の外観を下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
透明:組成物が、濁りがなく、透明な溶液である。
分離:組成物が、二層に分離した液体である。
白濁:組成物が、濁りのある白濁した液体である。
Claims (2)
- (a)下記一般式(a−1)で表される殺菌剤[以下、(a)成分という]、(b)硫酸ナトリウム[以下(b)成分という]、及び水を含有する硬質表面用殺黴剤組成物であって、
(a)成分を、0.1質量%以上10質量%以下含有し、(b)成分を、0.1質量%以上10質量%以下含有する硬質表面用殺黴剤組成物。
R1aO−(R2aO)l−H (a−1)
(式中、R 1a は、芳香族基を有し、且つ総炭素数6以上9以下の炭化水素基であり、lは0又は1の整数であり、R 2a は炭素数2以上3以下のアルキレン基である。但し、該化合物の分子量は106以上140以下である。) - 請求項1に記載の硬質表面用殺黴剤組成物を、黴菌が存在する硬質表面に30秒以上接触させる殺黴方法。
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