以下、この発明の好ましい実施形態を図面と共に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
<LEDランプ>
以下、図1〜図10を参照して、本実施形態に係るLEDランプ1の構成について説明する。本明細書において、方向は、便宜上、図1、図2等に示す方向を上下方向、左右方向、前後方向(並設方向)とする。なお、左右方向は、後述するカバー5の軸5Cが延びる方向である軸方向と同一であり、右側(軸方向一端側)がファン側、左側(軸方向他端側)が口金側である。
図1〜図3に示すように、LEDランプ1は、光を放射するLED2と、LED2が一方面31に設けられた基板3と、を備えたLEDモジュール11を備える。また、LEDランプ1は、基板3の他方面32に設けられた放熱体4と、基板3と略平行な軸5Cを有する円筒状のカバー5と、カバー5の右側に配置されたファン7と、カバー5の左側に配置された口金6と、を備える。
≪LEDモジュール≫
LEDモジュール11は、複数のLED2と、基板3と、コネクタ、ドライバIC等の電子部品(図示省略)とを備えている。すなわち、LEDモジュール11は、基板3に、複数のLED2及び上記電子部品が実装されてなる。
LEDモジュール11は、例えば、COB(Chip On Board)タイプのモジュールであってもよいし、SMD(Surface Mounted Devices)タイプのモジュールであってもよい。
COBタイプのモジュールは、LED2としてのLEDチップを1つの基板3に複数個搭載して一括封止してなるモジュールであり、当該モジュールを1デバイスとして、この1デバイスのみで出力を確保する。
COBタイプのモジュールとしては、具体的には例えばLED2としての複数の青色LEDチップが基板3の一方面31(図3では下側面)上に平面状に配置され、当該青色LEDチップの表面を黄色蛍光体(図示せず)で被覆されてなる白色光を発するモジュールが挙げられる。
SMDタイプのモジュールは、1〜4pcs(pieces)程度のLEDチップを1つのパッケージに収めてLED2とし、当該LED2を複数個、基板3に実装したモジュールである。SMDタイプのモジュールでは、LED2として、LEDチップを蛍光体樹脂で包みLEDチップと蛍光体樹脂だけの構成でパッケージレスとしたCSP(Chip Scale Package)を採用できる。SMDタイプのモジュールでは、COBタイプのモジュールに比べて、LEDモジュール11の温度上昇を抑制できる。
なお、SMDタイプのモジュールを採用する好ましい例として、例えば特開2020−107708号公報に記載された発光基板が挙げられる。当該文献の技術では、LEDとして、フリップチップLEDが組み込まれたCSPを採用している。また、基板として、絶縁層と、絶縁層の一面に形成され、LEDに接合される電極層と、当該電極層におけるLEDに接合される部分以外の部分を覆うように絶縁層の一面に形成された蛍光体層とを備えた蛍光体基板を採用している。複数のCSPは、蛍光体基板の表面全体に亘って規則的に並べられた状態で、蛍光体基板上に搭載されている。蛍光体基板を採用した場合、CSPから放射状に出射され、蛍光体樹脂で波長変換されなかった(フリップチップ自身の)光の一部は、蛍光体層に入射して、蛍光体層に含まれる蛍光体を励起させ、励起光を発生させる。そうして、蛍光体層に入射した光は、蛍光体層により波長変換されて、外部に照射される。すなわち、CSPが発光する光と異なる発光色の光を外部に照射することができる。このような蛍光体層の発光により、基板全体にバランスの良い発光光を確保できる。また、複数のLED2を疑似的に1コアデバイス化することができるから、モノシャドウを与えることができる。さらに、CSPとして色温度低温化を抑えて発光効率を確保したCSPを採用した場合であっても、長波長発光の蛍光体を用いた場合蛍光体層の発光により、デバイスとしては低色温度に調整できる。
なお、LEDチップ又はフリップチップLEDの使用個数は、LEDランプ1の仕様、例えば、全光束等に応じて選択され、同時に、供給電力も決定される。
本実施形態において、基板3は、略矩形状平板で、カバー5の上下方向ほぼ中央に配置されている。なお、基板3は、例えば円盤状等でもよい。
基板3の一方面31には、上述のごとくLED2が実装されるとともに、電気配線パターン(図示せず)がプリントされている。これにより、基板3に実装されているLED2は、基板3にプリントされている当該電気配線パターンを介して電気配線(図示せず)により口金6に電気的に接続されている。
基板3の他方面32には、放熱体4が設けられている。基板3は、その他方面32の全面が放熱体4の放熱体本体部41の一端面43と面接触しており、図示はしないが、放熱体本体部41にネジ止め固定されている。
基板3の母体材料としては、PWB(Printed Wired Board)として一般的に使用される、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス鋼等の金属素材、ガラス等のセラミック素材、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂素材等の適宜の素材が使用され得る。
≪放熱体≫
放熱体4は、LED2の温度上昇を抑制するためのものである。また、放熱体4はカバー5を支持してLEDランプ1の骨格を形成する役割も有する。放熱体4は、放熱体本体部41と複数のフィン42とを一体として備えている。放熱体4は、例えば削り出し加工、型抜き等により形成され得る。また、放熱体本体部41と複数のフィン42とを別体で形成し、溶接等により一体化してもよい。
放熱体4は、熱伝導性の良いアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銀等の金属素材で形成されている。特に、放熱体4の一部又は全部、好ましくは少なくともフィン42が、アルミニウム又はアルミニウム合金の母材の表面に銀被膜を備えてなる金属素材で形成されていることが好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金の母材の表面に銀被膜を形成する方法としては、電解めっき、蒸着等の一般的な方法を用いることができるが、特に、例えば特許3712229号公報に記載される方法を好ましく用いることができる。当該文献に記載の方法では、具体的に、アルミニウム又はその合金から形成された母材を、硫酸浴、シュウ酸浴又はこれらの混合浴中に硝酸銀又は硫酸銀を添加した電解液中にて、交直重畳の電流を加えて電解処理し、これによって前記母材の表面に陽極酸化被膜を形成すると同時に、この陽極酸化被膜に添加した硝酸銀又は硫酸銀の銀を析出させる。銀は、アルミニウム又はアルミニウム合金よりも熱伝導率が高いことから、母材の表面に銀被膜を形成することにより、アルミニウム又はアルミニウム合金製の母材を低コストで疑似的に銀化して放熱体4の熱伝導率を向上させることができる。そうして、放熱体4による冷却効果を高め、LEDモジュール11の熱引き速度を向上させることができる。そして、より耐熱性に優れた長寿命のLEDランプ1をもたらすことができる。
図3に示すように、放熱体本体部41は、板状の平坦部411と、右側湾曲部412と、左側湾曲部413と、右側半円筒部414と、左側半円筒部415と、を備えている。
図2及び図3に示すように、平坦部411は、LEDランプ1の前後方向及び左右方向に略平行であり、放熱体4の左右方向略中央に位置している。平坦部411は、一端面43において基板3の他方面32の全面に面接触している。平坦部411には、電気配線(図示せず)を通す貫通口411a(図16参照)が設けられている。
右側湾曲部412及び左側湾曲部413は、平坦部411のそれぞれ右側及び左側に隣接して設けられ、仮想球体面の一部を形成するように、上側に向かって緩やかな凸状に形成されている。また、図2に示すように、右側湾曲部412及び左側湾曲部413の外周における平坦部411に接続されていない部分は円弧状に設けられている。
右側湾曲部412及び左側湾曲部413は、LED2が放射する光を反射する役割を有する。右側湾曲部412及び左側湾曲部413の下側の表面は、LED2からの光を基板3の一方面31側の空間に向けて反射する反射面として機能する。
右側湾曲部412及び左側湾曲部413を備えることより、LED2が放射する光を基板3の一方面31側の空間方向に集中させることができる。このため、LEDランプ1は、例えば、道路灯のように、特定の空間方向、すなわち道路面に光の放射を集中させたい照明に適している。また、この場合、自動車の運転手が離れた場所から照明の方向に視線を向けたとしても、照明からの光が目に入らないようにすることができる。
なお、右側湾曲部412及び左側湾曲部413は湾曲形状ではなく傾斜形状であってもよいが、右側湾曲部412及び左側湾曲部413のLED2が放射する光をより一方面31側の空間に効率よく集光させる観点から、湾曲形状が好ましい。
右側湾曲部412及び左側湾曲部413のそれぞれ右側及び左側には、半円筒状の右側半円筒部414及び左側半円筒部415が設けられており、カバー5を支持している。
図3〜図5に示すように、複数のフィン42は、カバー5の軸方向に延びる板状体で、左右方向の長さはカバー5の左右方向の長さとほぼ同一である。そして、各フィン42は、放熱体本体部41の他端面44からカバー5の上側の内周面51に向かって、放熱体本体部41に対して略垂直に上下方向に、立設されている。
また、各フィン42は、軸方向に直交する前後方向に互いに離間して、詳細には互いに平行に略等間隔に、並設されている。
前後方向に並設された複数のフィン42を備えることにより、ファン7の回転によりカバー5の内側に吸い込まれた空気と接する表面積を十分に確保できるとともに、空気の流動がスムーズとなるため、冷却効率が向上する。LEDランプ1は、このような冷却効率の良い放熱体4を搭載しているため、LED2の温度上昇を効率よく抑制できる。
複数のフィン42は、前後方向の内側中央に配置された第1フィン421と、前後方向外側に配置された2つの第2フィン422と、第1フィン421及び第2フィン422との間に配置された4つの第3フィン423とを備える。
なお、フィン42の数は、上記に限定されるものではなく、LEDランプ1の大きさ等に応じて適宜設定される。また、フィン42の種類も、上記に限定されるものではなく、例えば第1フィン421、第2フィン422及び第3フィン423のいずれかを有しなくてもよい。なお、カバー5を支持する観点から、少なくとも第1フィン421を備えることが望ましい。
第1フィン421は、中央部421c、湾曲部421d及び端部421eにおける各下側端面において、放熱体本体部41のそれぞれ平坦部411、右側湾曲部412及び左側湾曲部413、並びに、右側半円筒部414及び左側半円筒部415に接続されている。また、第2フィン422は、中央部422c、湾曲部422d及び端部422eにおける各下側端面において、放熱体本体部41のそれぞれ平坦部411、右側湾曲部412及び左側湾曲部413、並びに、右側半円筒部414及び左側半円筒部415に接続されている。さらに、第3フィン423は、中央部423c、湾曲部423d及び端部423eにおける各下側端面において、放熱体本体部41のそれぞれ平坦部411、右側湾曲部412及び左側湾曲部413、並びに、右側半円筒部414及び左側半円筒部415に接続されている。
第1フィン421は、外周部421aと、外周部421aの内側に配置された開口部421bと、を有する。
第1フィン421の中央部421cの上下方向の高さH1は、カバー5の内半径とほぼ同一であり、外周部421aの上側端面421fは、カバー5の上側の内周面51に当接している。これにより、第1フィン421の外周部421aが、カバー5を支持することができる。そうして、LEDランプ1における放熱体4の骨格としての役割をより確実に担保でき、延いてはLEDランプ1の強度向上に資することができる。なお、中央部421cの高さH1を、カバー5の内半径よりもやや小さくし、上側端面421fが内周面51の近傍となるようにしてもよい。これにより、放熱体4をカバー5の内側に収容しやすくなる。本明細書において、「近傍」は、対象の二者間の距離が1mm以内であることをいい、ここでは上側端面421fと内周面51との距離が1mm以内であることをいう。
第1フィン421の端部421eの上下方向の高さは、カバー5の内周面51の内径とほぼ同一であり、端部421eの上下の両端面の各々は、カバー5の上下の内周面51に当接している。これにより、カバー5を支持することができる。なお、端部421eの上下方向の高さを、カバー5の内径よりもやや小さくし、端部421eの上下の両端面が内周面51の近傍となるようにしてもよい。これにより、放熱体4をカバー5の内側に収容しやすくなる。
開口部421bは、左右方向に延びる略矩形状の開口であり、前後方向に第1フィン421を貫通する。開口部421bを有することにより、放熱体4内に前後方向に延びる通気路を確保でき、空気が放熱体4内を前後方向に流れることができるから、放熱体4の通気抵抗が低下する。そうして、ファン7による空冷の冷却効率をさらに向上させることができ、より長寿命のLEDランプをもたらすことができる。また、開口部421bを設けることにより、第1フィン421の重量を低減できるから、放熱体4を軽量化でき、延いてはLEDランプ1全体の軽量化に資することができる。
中央部421cにおける開口部421bの上下方向の高さH1bは、限定する意図ではないが、第1フィン421の骨格としての役割を確保しつつ放熱体4の通気抵抗を低減させ且つ放熱体4を軽量化する観点から、中央部421cの高さH1の50%以上98%以下程度とすることができる。中央部421cにおける開口部421bの上下方向における位置は、図4に示すように、放熱体4の通気抵抗をより効果的に低減させる観点から、開口部421bが上下方向略中央に配置される位置とすることができる。開口部421bの左右方向における位置は、特に限定されないが、カバー5を効果的に支持する観点から、図5に示すように、開口部421bが左右方向略中央に配置される位置とすることができる。
第2フィン422の中央部422cの上下方向の高さH2は、限定する意図ではないが、第1フィン421の中央部421cの高さH1の半分程度である。第2フィン422の上側端面422fは、カバー5の上側の内周面51に当接している。これにより、第2フィン422の上側端面422fが、カバー5を支持することができる。なお、放熱体本体部41のカバー5内への収容を容易にする観点から、第1フィン421と同様に、上側端面422fが内周面51の近傍となるように、第2フィン422の中央部422cの上下方向の高さH2を調整してもよい。
第2フィン422の端部422eの上下方向の高さは、端部422eの上下の両端面の各々が、カバー5の上下の内周面51に当接する高さに設定されている。なお、放熱体本体部41のカバー5内への収容を容易にする観点から、第1フィン421と同様に、端部421eの上下の両端面が内周面51の近傍となるように、第2フィン422の端部422eの上下方向の高さを調整してもよい。
第3フィン423の中央部423cの上下方向の高さH3は、第1フィン421の中央部421cの高さH1よりも小さい。そして、第3フィン423の上側端面423fと、カバー5の上側の内周面51とは離間しており、第3フィン423の上側端面423fは、カバー5の上側の内周面51に当接していない。第3フィン423の上側には、上側端面423fとカバー5の上側の内周面51との間に配置された第1通気路424が形成されている。第1通気路424は、複数の第3フィン423に跨がるように前後方向に延びている。これにより、第1フィン421の開口部421bと同様に、放熱体4の通気抵抗がさらに低下し、放熱体4内部において前後方向の空気の流れをさらに確保できる。そうして、ファン7による空冷の冷却効率をさらに向上させることができ、より長寿命のLEDランプ1をもたらすことができる。また、第1通気路424を設けることにより、第3フィン423の重量を低減できるから、放熱体4を軽量化でき、延いてはLEDランプ1全体の軽量化に資することができる。
第3フィン423の中央部423cの上下方向の高さH3は、放熱体4の通気抵抗を低減させ且つ放熱体4を軽量化する観点から、第1フィン421の中央部421cの高さH1の好ましくは10%以上80%以下、より好ましくは20%以上50%以下である。
なお、本実施形態では、第3フィン423の中央部423cの上下方向の高さH3を、第1フィン421の中央部421cにおいて、中央部421cの下端から開口部421bの下端までの高さとほぼ同一としている。これにより、開口部421bが形成する通気路と第1通気路424とがスムーズに連結され、互いに連通するから、放熱体4の通気抵抗がさらに低下する。
第3フィン423の端部423eの上下方向の高さは、端部423eの下側の端面が、カバー5の下側の内周面51に当接する高さに設定されている。なお、放熱体4のカバー5内への収容を容易にする観点から、第1フィン421と同様に、端部423eの下側の端面が内周面51の近傍となるように、第3フィン423の端部423eの上下方向の高さを調整してもよい。
≪カバー≫
カバー5は、LED2と基板3と放熱体4とを被覆し、これらを保護する役割を有する。
カバー5は、ポリカーボネート等のプラスティック素材又はガラス素材で径が一定の円筒状に形成されており、少なくともLED2を被覆する部分はLED2が放射する光を透過する透光性を有している。本実施形態では、カバー5のうち放熱体4を被覆する上側部分は透光性を有さず、LED2を被覆する下側部分は透光性を有する。
図4に示すように、カバー5の内径は、放熱体本体部41の前後方向の長さとほぼ同じである。カバー5の内周面51における前後方向の対向する位置に、軸方向に延びる一対の案内リブ52が形成されている。カバー5の両案内リブ52に放熱体本体部41の他端面44における前後方向の端部48の双方をそれぞれ当接させ、カバー5の軸方向に放熱体本体部41をスライドさせることにより、LED2と、基板3と、放熱体4とが、カバー5内に収容される。
≪ファン≫
カバー5の右側には、LEDランプ1の内側に空気の流れを発生させて、LED2を空冷するためのファン7が配置されている。
具体的には、図1〜図3,図6,図7に示すように、カバー5の一端53の開口54には、取付部761を介してネジ止め固定されることにより、エンドキャップ71がカバー5に脱着可能に連結されている。エンドキャップ71は、外径がカバー5の外径とほぼ同じ大きさの略円筒状で、カバー5側の面に開口76を有するとともに、カバー5の反対側の面に閉口部75を有し、ファン7を覆っている。なお、エンドキャップ71は放熱体4に脱着可能に構成されてもよいが、後述するファン7のモータ7aによる温度上昇の影響を抑制する観点から、カバー5に脱着可能に構成されることが好ましい。
図6に示すように、エンドキャップ71の閉口部75には、複数の通気孔73が設けられている。
また、図7に示すように、エンドキャップ71の閉口部75の左側、すなわち内側には、ファン7を固定するための複数のネジ穴751が設けられている。ファン7は、これらのネジ穴751にネジ752によりネジ止め固定され(図3参照)、エンドキャップ71内に格納される。
ファン7は、モータ7aの軸に沿って直線的に空気が流れる軸流ファンである。ファン7は、その軸の方向がカバー5の軸5Cと平行に、好ましくはほぼ一致するように配置され、基板3の一方面31側と他方面32側に跨って設けられている。これにより、大きさや形状に制約のあるなかで、外気を最大限取り込むことができ、空冷による冷却効率を向上できる。
図3に示すように、ファン7がエンドキャップ71に固定されていることにより、放熱体4とファン7とは互いに離間して配置されている。これにより、ファン7のモータ7aによる温度上昇の影響が放熱体4に直接伝わることを抑制できる。そうして、放熱体4によるLEDランプ1の冷却を強化できる。なお、ファン7を放熱体4に取り付けて、逆回転させることにより、口金6側からファン7側へ向かう空気の流れを生じさせてもよいが、放熱体4に対するモータ7aの影響を低減させる観点から、ファン7をエンドキャップ71に取り付けることが好ましい。
なお、ファン7とエンドキャップ71の筒状部分の内周面との距離は、LEDランプ1内を流れる空気の量を最大限に確保する観点から、ファン7作動時の膨張係数を考慮しても、3mm以下、好ましくは0.5mm以下とすることが望ましい。
≪口金≫
図1〜図3,図8,図9に示すように、カバー5の左側には、口金6が配置されている。
具体的には、カバー5の他端55の開口56には、外径がカバー5の外径とほぼ同じ大きさで略円筒状の連結モールド62と、連結モールド62側から口金6側へ向かって徐々に縮径する略円錐台状の口金モールド61と、口金6とがこの順に配置されている。
口金モールド61は、一端67が連結モールド62と連結モールド62の軸心回りに回転可能に連結され、他端68が口金6によりキャップされている。なお、カバー5の軸5C、連結モールド62の軸心、口金モールド61の軸心、及び口金6の軸心は、全て一致する。
また、図8に示すように、口金モールド61の側面部66にも、複数の通気孔65が設けられている。
ここでは、口金6は、E39の回しこみタイプの口金を使用し、カバー5、エンドキャップ71、及び連結モールド62の外径は、全て約65mmとし、全長を約290mmとしている。これにより、既存のメタルハライドランプとの外形上、及びソケットとの互換性を持たせている。
図9に示すように、回転機構8は、連結モールド62、回転ガイドリング63、及び口金モールド61が組み合わされて構成されている。回転機構8は、放熱体4に連結された連結モールド62と、連結モールド62に連結された回転ガイドリング63とが、口金モールド61に対して回転する機構となっている。
詳述すると、連結モールド62は、略円筒状で、口金モールド61側の端部62aの全外周面に凹部62bが形成されている。
回転ガイドリング63は、リング状で、口金モールド61側の端部63bの全外周面に半径方向に突出する突出部63aが形成されている。そして、回転ガイドリング63は、回転ガイドリング63の軸心と連結モールド62の軸心とが一致するようにして、連結モールド62内に配置され、連結モールド62にネジ止め固定されている。
口金モールド61は、略円錐台筒状の胴体部61cと、胴体部61cの拡径側に延設され、連結モールド62に対して摺動回転可能な円筒状の連結部61dと、胴体部の縮径側に延設され、口金6(図示せず)が取り付けられる2段階に縮径された階段状円筒状の口金取付部61eとを有している。口金モールド61は、口金モールド61の内周面61fに同心円状に等間隔で4つ設けられた回転ガイドリング受部材61aを有している。回転ガイドリング受部材61aは、口金モールド61の内周面61fから軸方向に突き出した板状体で、回転ガイドリング63に対向する対向端部61gに、回転ガイドリング63を受ける受溝61bを有している。各受溝61bは、回転ガイドリング63を支持し、回転ガイドリング63が軸心回りに摺動可能となるように、溝幅が突出部63aを含んだ回転ガイドリング63の幅より僅かに広い凹状になっている。
回転ガイドリング63は、口金モールド61の各回転ガイドリング受部材61aの受溝61b内に嵌め込まれている。そして、突出部63aの一部は、各回転ガイドリング受部材61aの対向端部61gで受溝61bより半径方向外方側の対向外方端部61hにネジ止めされ受溝61b内方側に突出したガイドワッシャ64と、受溝61bの底部61iとで挟み込まれている。そうして、回転ガイドリング63は、軸方向の移動が規制されている。
これにより、回転ガイドリング63は、口金モールド61に対して、軸方向に移動することなく、軸心回りに回転可能となっている。
なお、連結モールド62は、口金モールド61側の端部62aの全外周面に形成された凹部62bが、口金モールド61の連結部61dに摺動可能に嵌め込まれているため、口金モールド61に対して、軸心回りに回転でき、かつ、任意に回転させた位置で停止させることが可能な構成となっている。
よって、回転ガイドリング63に連結モールド62を介して連結された放熱体4、LEDモジュール11、カバー5、ファン7、およびエンドキャップ71を有するランプ本体部分も、口金モールド61及び口金モールド61の口金取付部61eに取り付けられた口金6に対して軸心回りに回転可能となっている。
これにより、LEDランプ1を口金6によりソケットに取り付けた後に、連結モールド62を回転させて本体部分の向きを調整でき、LED2の向きおよび照明方向を鉛直下方などの任意の方向に向けることができる。
具体的には例えば、道路灯等のソケットに、口金6をねじ込んでLEDランプ1を取り付けた場合に、基板3に実装されたLED2の向きが、道路を正確に照らす方向に向かないことがある。しかし、LEDランプ1は、少なくとも基板3を口金6に対して回転可能にする回転機構8を備えているため、取り付けたその場で、基板3に実装されたLED2の向きを、道路を正確に照らす方向に向けるよう調整することができる。
<空気の流れ>
図10に示すように、ファン7が回転することにより、口金モールド61の通気孔65からカバー5の内側に空気が吸い込まれ、放熱体4を介して、エンドキャップ71の通気孔73より空気が排気される。
図10中矢印で示すように、通気孔65を通じて吸い込まれた空気は、カバー5の内周面51、放熱体4の各フィン42の表面及び放熱体本体部41の他端面44に案内されて、これらで囲まれた空間を通過する。その間、当該空間を通過する空気は、発光と同時に発熱するLED2により基板3を介して熱伝導で熱せられた放熱体4の各フィン42及び放熱体本体部41から熱を奪いこれらを冷却する。放熱体4から熱を奪い熱くなった空気は、エンドキャップ71の通気孔73を通じて排気される。
本構成によれば、口金6側から空気を吸い込むため、吸い込まれた空気は、ファン7の回転の影響が少なく流れの回転が抑制されるとともに、流速も抑えられる。そうして、口金6側から吸い込まれた空気は、放熱体4内にスムーズに取り込まれ、ファン7側から排気される。放熱体4を介してファン7側から排気される空気の量は、口金6側から吸い込まれた空気の量の70%〜80%程度となり、従来のLEDランプ(例えば特許文献1)に比べて、ファン7による空冷の冷却効率が大幅に向上する。そうして、より長寿命のLEDランプ1をもたらすことができる。
また、本実施形態では、ファン7を放熱体4ではなく、エンドキャップ71に固定することにより、空気の流れる方向を口金6側からファン7側へ向かう方向としている。すなわち、簡単な仕様で空気の流れる方向を口金6側からファン7側へ向かう方向とすることができる。そうして、簡便な方法で、ファン7による空冷の冷却効率をさらに向上させることができ、より長寿命のLEDランプ1をもたらすことができる。
なお、カバー5内に吸い込まれた空気の一部は、放熱体本体部41とカバー5との間を振動しながら通過し得る。このため、各フィン42の放熱体本体部41側とカバー5側との間の温度分布(温度差)は、当該空気の通過により小さくなる。そうして、各フィン42は、温度分布が均一化され、冷却効率が上昇する。
また、上述のごとく、放熱体4の内部には、開口部421bにより形成された通気路及び第1通気路424が存在する。これにより、カバー5の内側に吸い込まれた空気の一部は、カバー5の内側を前後方向に横断しながら通過し得る。こうして、ファン7による空冷の冷却効率をさらに向上させることができ、より長寿命のLEDランプをもたらすことができる。
なお、LEDランプ1は、ファン7を用いて積極的に冷却しているため、例えば、ガソリンスタンド等で使用されている密閉型の照明器具用のランプとしても用いることができる。
(実施形態2)
以下、本開示に係る他の実施形態について詳述する。なお、本実施形態の説明において、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図11〜図14に示すように、実施形態2のLEDランプ1は、第1フィン421を2つ有しており、これらは前後方向に互いに隣り合って配置されている。また、第3フィン423の数を増加させている。第1フィン421は、放熱体本体部41の前後方向中央に配置されておらず、2つの第1フィン421の中間位置が放熱体本体部41の前後方向中央となっている。第1フィン421の中央部421cにおける上下方向の高さH1(図5参照)は、外周部421aの上側端面421fがカバー5の上側の内周面51に当接する高さに調整されている。なお、実施形態1と同様に、放熱体4のカバー5内への収容を容易にする観点から、上側端面421fが内周面51の近傍となるように、第1フィン421の中央部421cにおける上下方向の高さH1の上下方向の高さを調整してもよい。
第1フィン421の数を増加させることにより、第1フィン421によるカバー5の支持が強化され、LEDランプ1の強度向上に資することができる。
なお、2つの第1フィン421の各々に、開口部421bが設けられている。これにより、前後方向の空気の流れを確保し、空冷の冷却効率の向上に資することができる。
(実施形態3)
以下、本開示に係る他の実施形態について詳述する。なお、本実施形態の説明において、実施形態1,2と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図15〜図18に示すように、実施形態3のLEDランプ1では、放熱体4の各フィン42の形状が、実施形態1,2の各フィン42と異なる。
具体的に、第1フィン421の開口部421bの右側端部は、放熱体本体部41の右側湾曲部412における他端面44まで延びるように形成されている。
また、第3フィン423の左側の端部423eは、カバー5の他端55とほぼ同一の位置に配置されているのに対し、第3フィン423の右側の端部423eは、放熱体本体部41の平坦部411と右側湾曲部412との接続部に配置されている。これにより、第3フィン423の左右方向の長さは、カバー5の左右方向の長さよりも短く設定されている。そうして、第3フィン423の右側の端部423eとファン7との間には、右側湾曲部412における他端面44とカバー5の内周面51とにより形成された、平坦部411に設けられた基板3の一方面31側と他方面32側(図3参照)とに跨がる第2通気路425が配置されている。
複数のフィン42の間を通じてファン7側に流れてきた空気は、ファン7に到達する前に第2通気路425に流入する。そうして、空気がファン7の回転の影響を受けた場合であっても、空気の流れの回転は第2通気路425内で生じるから、空気の流れが回転することによる放熱体4の通気抵抗の上昇を抑制できる。
なお、第1フィン421の開口部421bの右側端部も他端面44まで延びるように形成されているから、開口部421bにより形成される通気路と第2通気路425とにより、ファン7の左側に十分な空間を確保でき、放熱体4の通気抵抗の上昇を効果的に抑制できる。
(実施形態4)
以下、本開示に係る他の実施形態について詳述する。なお、本実施形態の説明において、実施形態1〜3と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態1〜3では、カバー5は筒状であり、放熱体4及びLEDモジュール11を被覆する構成であったが、カバー5は半筒状で放熱体4を被覆する構成であってもよい。この場合、限定する意図ではないが、LEDモジュール11を保護する観点から、カバー5とは別にLEDモジュール11を被覆する半筒状の追加のカバーを備えてもよい。カバー5と追加のカバーとが互いに接続されてもよいし、カバー5及び追加のカバーが例えば放熱体本体部41等に接続される構成としてもよい。
また、例えば、図19に示すように、放熱体4を被覆するカバー5は、放熱体4と一体化されていてもよい。この場合も、LEDモジュール11を被覆する追加のカバー58を備えてもよい。