JP6975651B2 - 積層体およびそれからなる繊維強化樹脂複合体 - Google Patents

積層体およびそれからなる繊維強化樹脂複合体 Download PDF

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Description

本発明は、積層体およびそれからなる繊維強化樹脂複合体に関する。さらに詳しくは剛性、強度、熱安定性、外観に優れ、電気・電子部品、家庭電化製品、自動車関連部品、インフラ関連部品、住設関連部品等に好適な積層体およびそれからなる繊維強化樹脂複合体に関する。
繊維強化樹脂複合体は、その軽量性や高い物性から、自動車、航空機部材や一般工業用材料その他の幅広い分野に用いられている。
そしてこれらの複合体は、力学特性に加え表面外観品位などが要求されるため、強化繊維に十分に樹脂を含浸させ、ボイドなども低減する必要がある。
強化繊維に樹脂を充分に含浸させる上で、これまでマトリックス樹脂として熱硬化性樹脂が用いられてきた。一方、熱可塑性樹脂は、価格が安く熱硬化性樹脂に比べ耐衝撃性、耐熱特性、リサイクル性が優れているものの、強化繊維への含浸が難しいこと、熱硬化性樹脂に比べ高温高圧成形が必要であることなどの問題点を抱えているため、未だ広く使われていない。
ポリプロピレン樹脂は、成形加工性、耐薬品性に優れ、しかも低比重であることから電気・電子部品、家庭電化製品、ハウジング、包装材料、自動車部品など、工業的に幅広く用いられている。さらに近年、自動車軽量化の要望から、バンパー、内外装部品など自動車用途にも幅広く用いられている。そのためポリプロピレン樹脂をマトリックス樹脂とした繊維強化樹脂複合体は、軽量性、剛性、強度を兼ね備えた素材になりうるとして、これまで様々な検討がなされている。しかしながらポリプロピレン樹脂は炭素繊維との接着性が良くないため、単に両者を積層したのみでは十分な力学的物性が得られない。炭素繊維とポリプロピレン樹脂の接着性を改良するために、例えば、無水マレイン酸等の酸無水物をグラフトした変性ポリプロピレンを配合した組成物(特許文献1、2)、ウレタン変性エポキシ樹脂とエポキシ樹脂とで表面処理した炭素繊維を使用した組成物(特許文献3)、変性プロピレン系樹脂で被覆されている炭素繊維を用いた成形品(特許文献4)などが提案されている。これらの官能性ポリオレフィン化合物は、強化繊維表面上に存在するカルボン酸などの官能基と溶融混練時に反応し、強化繊維表面にポリオレフィンを化学結合させることによって、炭素繊維との接着性を向上させている事が知られているが、溶融混練を経由しない強化繊維との複合体形成においては、強化繊維との密着性が不十分であり、結果として力学的特性が不十分となるという問題があった。また、工業製品の大型化・高意匠化に伴い求められる熱安定性や外観に関する記載はなく、更なる改善が求められている。
特開昭55−50041号公報 特開昭58−113239号公報 特開昭61−252371号公報 特開2010−150359号公報
本発明の課題は、上記問題を解決し、強化繊維との密着性に優れ、剛性、強度、熱安定性および外観に優れた積層体およびそれからなる繊維強化樹脂複合体を得ることである。
本発明者らは、かかる課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリプロピレン樹脂およびポリカーボネート樹脂からなるポリプロピレン樹脂組成物からなる熱可塑性樹脂シートが補強用繊維シートとの積層時に、非相溶による層状剥離や著しい物性低下を起こすことなく、剛性、強度、熱安定性および外観に優れた繊維強化樹脂複合体を得ることができることを見出し本発明に達した。すなわち本発明によれば、(1)補強用繊維シートと熱可塑性樹脂シートとの積層体であって、熱可塑性樹脂シートが、(A)ポリプロピレン樹脂(A成分)を1重量部以上70重量部未満および(B)ポリカーボネート樹脂(B成分)を30重量部を超え99重量部以下含むポリプロピレン樹脂組成物であり、かつ補強用繊維シートを構成する補強用繊維の含有量がA成分とB成分とからなる樹脂成分100重量部に対し20〜150重量部であることを特徴とする積層体が提供される。
本発明のより好適な態様の一つは(2)B成分が下記式〔1〕で表されるカーボネート構成単位を全カーボネート構成単位中20〜100モル%含むポリカーボネート樹脂であることを特徴とする上記構成(1)に記載の積層体である。
Figure 0006975651
[上記一般式〔1〕において、R及びRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜14のアリール基、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、a及びbは夫々1〜4の整数であり、Wは単結合もしくは下記一般式〔2〕で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
Figure 0006975651
(上記一般式〔2〕においてR11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は各々独立に水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数3〜14のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表し、R19及びR20は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜14のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、R21,R22,R23,R24,R25及びR26は各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、cは1〜10の整数、dは4〜7の整数であり、eは自然数であり、fは0又は自然数であり、e+fは150以下の自然数であり、Xは炭素数2〜8の二価脂肪族基である。)]
本発明のより好適な態様の一つは(3)ポリプロピレン樹脂組成物が、更に(C)変性ポリオレフィン成分(C成分)をA成分とB成分とからなる樹脂成分100重量部に対し1〜100重量部含有することを特徴とする上記構成(1)または(2)に記載の積層体である。
本発明のより好適な態様の一つは(4)ポリプロピレン樹脂組成物が、更に(D)スチレン系熱可塑性エラストマー(D成分)をA成分とB成分とからなる樹脂成分100重量部に対し1〜20重量部含有することを特徴とする上記構成(1)〜(3)のいずれか1項に記載の積層体である
本発明のより好適な態様の一つは(5)補強用繊維シートが、織編物、不織布、一方向性シートのいずれかである上記構成(1)〜(4)のいずれか1項に記載の積層体である。
本発明のより好適な態様の一つは(6)補強用繊維シートを構成する繊維が、炭素繊維およびガラス繊維から選ばれる少なくとも一種の繊維であることを特徴とする上記構成(1)〜(5)のいずれか1項に記載の積層体である。
本発明のより好適な態様の一つは(7)補強用繊維シートを構成する繊維が、X線光電子分光法によって測定される繊維表面の酸素(O)と炭素(C)との原子数の比である表面酸素濃度(O/C)が0.15以上である炭素繊維であることを特徴とする上記構成(6)に記載の積層体である。
本発明のより好適な態様の一つは(8)熱可塑性樹脂シートが網目状の中空繊維からなるものであることを特徴とする上記構成(1)〜(7)のいずれか1項に記載の積層体である。
本発明のより好適な態様の一つは(9)上記構成(1)〜(8)のいずれか1項に記載の積層体からなる繊維強化樹脂複合体である。
本発明のより好適な態様の一つは(10)上記構成(1)〜(8)のいずれか1項に記載の積層体を、熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂の溶融温度以上、補強用繊維シートを構成する補強用繊維の耐熱温度未満の温度で、加圧処理することを特徴とする繊維強化樹脂複合体の製造方法である。
以下、本発明について具体的に説明する。
(A成分:ポリプロピレン樹脂)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物のA成分として用いられるポリプロピレン樹脂は、プロピレンの重合体であるが、本発明においては、他のモノマーとの共重合体も含む。本発明のポリプロピレン樹脂の例には、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のα−オレフィンとのブロック共重合体(「ブロックポリプロピレン」ともいう)、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体(「ランダムポリプロピレン」ともいう)が含まれる。なお、「ブロックポリプロピレン」と「ランダムポリプロピレン」を合わせて、「ポリプロピレン共重合体」ともいう。
本発明においては、ポリプロピレン樹脂として上記のホモポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンの1種あるいは2種以上を使用してよく、中でもホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンが好ましい。なお、ポリプロピレン樹脂にはC成分である変性ポリプロピレン樹脂は含まれない。
ポリプロピレン共重合体に用いられる炭素数4〜10のα−オレフィンの例には、1−ブテン、1−ペンテン、イソブチレン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセンが含まれる。
ポリプロピレン共重合体中のエチレンの含有量は、全モノマー中、5重量%以下であることが好ましい。ポリプロピレン共重合体中の炭素数4〜10のα−オレフィンの含有量は、全モノマー中20重量%以下であることが好ましい。
ポリプロピレン共重合体は、プロピレンとエチレンとの共重合体、またはプロピレンと1−ブテンとの共重合体であることが好ましく、特にプロピレンとエチレンとの共重合体が好ましい。
本発明におけるポリプロピレン樹脂のメルトフローレイト(230℃、2.16kg)は、0.1〜5g/10minであることが好ましく、0.2〜4g/10minであることがより好ましく、0.3〜3g/10minであることが特に好ましい。ポリプロピレン樹脂のメルトフローレイトが0.1g/10min未満では高粘度のため成形性に劣り、5g/10minを越えると十分な靭性が発現しない場合がある。なお、メルトフローレイトは「MFR」とも呼ばれる。MFRはISO1133に準拠して測定した。
(B成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物のB成分として用いられるポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、ビスフェノール類でも脂肪族ジオール類でも良い。ビスフェノール類としては、下記式〔3〕で表されるビスフェノール類が好ましく用いられる。
Figure 0006975651
[上記一般式〔3〕において、R及びRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜14のアリール基、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、a及びbは夫々1〜4の整数であり、Wは単結合もしくは下記一般式〔2〕で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
Figure 0006975651
(上記一般式〔2〕においてR11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は各々独立に水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数6〜14のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表し、R19及びR20は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜14のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、R21,R22,R23,R24,R25及びR26は各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、cは1〜10の整数、dは4〜7の整数であり、eは自然数であり、fは0又は自然数であり、e+fは150以下の自然数であり、Xは炭素数2〜8の二価脂肪族基である。)]
ビスフェノール類の具体例としては、例えば4,4’ −ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
脂肪族ジオール類としては、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,14−テトラデカンジオール、オクタエチレングリコール、1,16−ヘキサデカンジオール、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}メタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}エタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−1−フェニルエタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}プロパン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ビフェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル}プロパン、2,2−ビス{3−t−ブチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ブタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−4−メチルペンタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}オクタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}デカン、2,2−ビス{3−ブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、1,1−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ジフェニルメタン、9,9−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}フルオレン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロペンタン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、1,3−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、4,8−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−5,7−ジメチルアダマンタン、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(イソソルビド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール(イソマンニド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトール(イソイディッド)等が挙げられる。
これらの中で芳香族ビスフェノール類が好ましく、なかでも1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、が好ましく、殊に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、および9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のB成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、分岐化剤を上記のジヒドロキシ化合物と併用して分岐化ポリカーボネート樹脂としてもよい。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
これらのポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。その製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明において、重合反応においては末端停止剤を使用する。末端停止剤は分子量調節のために使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる末端停止剤としては、下記一般式〔4〕〜〔6〕で表される単官能フェノール類を示すことができる。
Figure 0006975651
[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、アルキルフェニル基(アルキル部分の炭素数は1〜9)、フェニル基、またはフェニルアルキル基(アルキル部分の炭素数1〜9)であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。]
Figure 0006975651
Figure 0006975651
[式中、Yは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。]
上記一般式〔4〕で表される単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クレゾール、p−クミルフェノール、2−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、およびイソオクチルフェノールなどが挙げられる。また、上記一般式〔5〕〜〔6〕で表される単官能フェノール類は、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類であり、これらを用いてポリカーボネート樹脂の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、樹脂の吸水率を低くする効果があり好ましく使用される。上記一般式〔5〕の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。また、上記一般式〔6〕の置換フェノール類としてはYが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。これら単官能フェノール類の内、上記一般式〔4〕で表される単官能フェノール類が好ましく、より好ましくはアルキル置換もしくはフェニルアルキル置換のフェノール類であり、特に好ましくはp−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールまたは2−フェニルフェノールである。これらの単官能フェノール類の末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
本発明のB成分として用いられるポリカーボネート樹脂は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。
本発明のB成分として用いられるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、13,000〜25,000の範囲が好ましく、13,000〜21,000がより好ましく、16,000〜21,000の範囲がさらにより好ましく、16,000〜20,000の範囲が最も好ましい。分子量が25,000を越えると溶融粘度が高くなりすぎて成形性に劣る場合があり、分子量が13,000未満であると機械的強度に問題が生じる場合がある。なお、本発明でいう粘度平均分子量は、まず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
本発明のB成分として用いられる使用されるポリカーボネート樹脂は、樹脂中の全Cl(塩素)量が好ましくは0〜200ppm、より好ましくは0〜150ppmである。ポリカーボネート樹脂中の全Cl量が200ppmを越えると、色相および熱安定性が悪くなる場合があるので好ましくない。
B成分の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部中、30重量部を超え99重量部以下であり、好ましくは30重量部を超え、95重量部以下であり、より好ましくは35〜95重量部、最も好ましくは35〜80重量部である。B成分が30重量部以下であると、熱安定性と外観が悪化する。またB成分が99重量部より多いと、繊維強化樹脂複合体とした時の外観の改善が不十分となる。
(C成分:変性ポリオレフィン樹脂)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物には相溶化剤として変性ポリオレフィン樹脂を添加することができる。変性ポリオレフィン樹脂はポリプロピレン樹脂と強化繊維との界面密着性を向上させ、繊維強化樹脂複合体の強度を向上させる。
変性ポリオレフィン樹脂は不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された酸変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。変性されたポリオレフィン樹脂としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられ、ポリプロピレン樹脂が好ましい。なお変性ポリプロピレン樹脂には、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体等を含む。ポリオレフィン樹脂の変性には、グラフト変性や共重合化等の方法を使用することができる。ポリオレフィン樹脂を変性するために用いる不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ナジック酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸等が挙げられる。また、その不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等があり、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、アクリル酸メチル、メタクル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、マレイン酸モノエチルエステル、アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイミド、N − ブチルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、不飽和ジカルボン酸及びその誘導体が好ましく、特に無水マレイン酸又は無水フタル酸が好適である。変性ポリプロピレン樹脂の結晶化温度(Tc)は、通常90〜125℃ 、好ましくは110〜120℃である。極限粘度は、通常0.1〜2.4dl/g、好ましくは0.2〜1.6dl/gである。変性ポリオレフィン樹脂の結晶化温度(Tc)は、示差走査熱量計(DSC)によって測定することができる。変性ポリオレフィン樹脂の極限粘度は、テトラリン中、135℃で測定することができる。変性ポリオレフィン樹脂のカルボン酸付加量は、0.1〜14重量%の範囲であることが好ましく、0.8〜8重量%の範囲であることがより好ましい。酸付加量は、酸変性ポリオレフィン樹脂のIRスペクトルを測定し、1670cm−1〜1810cm−1のピークの面積から求めることができる。
変性ポリオレフィン樹脂の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、1〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは3〜100重量部、さらに好ましくは3〜95重量部である。変性ポリオレフィン樹脂の含有量が1重量部未満では繊維強化樹脂複合体の強度が向上せず、100重量部を超えると熱安定性が悪化する場合がある。
(D成分:スチレン系熱可塑性エラストマー)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物には更にスチレン系熱可塑性エラストマーを添加することができる。スチレン系熱可塑性エラストマーはポリプロピレン樹脂とポリカーボネート樹脂との相溶性を向上させ、繊維強化樹脂複合体の強度(曲げ弾性率、曲げ強度)を向上させる。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−水添イソプレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−水添ブタジエンジブロック共重合体、スチレン−水添イソプレンジブロック共重合体、スチレン−イソプレンジブロック共重合体等が挙げられ、その中でもスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体が最も好適である。
また、下記式(I)または(II)で表されるブロック共重合体も好適に用いられる。
X−(Y−X) …(I)
(X−Y) …(II)
一般式(I)および(II)におけるXはスチレン重合体ブロックで、式(I)においては分子鎖両末端で重合度が同じであってもよいし、異なっていてもよい。Yはイソプレン重合体ブロック、水添されたブタジエン重合体ブロックおよび水添されたイソプレン重合ブロックの中から選ばれた少なくとも1種である。また、nは1以上の整数である。
前記ブロック共重合体におけるX成分の含有量は20〜80重量%、好ましくは25〜70重量%の範囲にあることが望ましい。この量が20重量%未満では樹脂組成物の剛性が低下する傾向があり、また80重量%を超えると成形加工性および衝撃強度が低下する傾向があり、いずれも好ましくない。このようなブロック共重合体の具体例としては、スチレン−水添ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−水添イソプレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−水添ブタジエンジブロック共重合体、スチレン−水添イソプレンジブロック共重合体、スチレン−イソプレンジブロック共重合体などが挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は25万以下が好ましく、22万以下がより好ましく、20万以下がさらに好ましい。重量平均分子量が25万を超えると、成形加工性が低下し、ポリプロピレン樹脂への分散性も悪化する場合がある。また、重量平均分子量の下限については特に限定されないが、4万以上が好ましく、5万以上がより好ましい。なお、重量平均分子量は以下の方法で測定した。すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、重量平均分子量を算出した。
スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量は樹脂成分100重量部に対し、1〜20重量部であることが好ましいく、より好ましくは3〜15重量部であり、さらに好ましくは5〜13重量部、最も好ましくは5〜10重量部である。スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が1重量部未満では繊維強化樹脂複合体の強度が向上せず、20重量部を超えると繊維強化樹脂複合体の成形時にガスが発生し、成形加工性が低下してしまう場合がある。
(その他の成分)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、リン系熱安定剤、フェノール系熱安定剤、イオウ含有酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、相溶化剤、難燃剤、染顔料などが挙げられる。以下これら添加剤について具体的に説明する。
(リン系熱安定剤)
本発明に使用されるリン系安定剤としては、ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、およびホスフェート化合物のいずれも使用可能である。
ホスファイト化合物としては、さまざまなものを用いることができる。具体的には例えば下記一般式〔7〕で表わされるホスファイト化合物、下記一般式〔8〕で表わされるホスファイト化合物、および下記一般式〔9〕で表わされるホスファイト化合物を挙げることができる。
Figure 0006975651
[式中R31は、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルカリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、またはこれらのハロ、アルキルチオ(アルキル基は炭素数1〜30)またはヒドロキシ置換基を示し、3個のR31は互いに同一または互いに異なるいずれの場合も選択でき、また2価フェノール類から誘導されることにより環状構造も選択できる。]
Figure 0006975651
[式中R32、R33はそれぞれ水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示す。なお、シクロアルキル基およびアリール基は、アルキル基で置換されていないもの、またはアルキル基で置換されているもののいずれも選択できる。]
Figure 0006975651
[式中R34、R35は炭素数12〜15のアルキル基である。なお、R34およびR35は互いに同一または互いに異なるいずれの場合も選択できる。]
ホスホナイト化合物としては下記一般式〔10〕で表わされるホスホナイト化合物、および下記一般式〔11〕で表わされるホスホナイト化合物を挙げることができる。
Figure 0006975651
Figure 0006975651
[式中、Ar、Arは炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、または炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示し、4つのArは互いに同一、または互いに異なるいずれも選択できる。または2つのArは互いに同一、または互いに異なるいずれも選択できる。]
上記一般式〔7〕で表されるホスファイト化合物の好ましい具体例としては、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイトが挙げられる。
上記一般式〔8〕で表されるホスファイト化合物の好ましい具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、好ましくはジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを挙げることができる。かかるホスファイト化合物は1種、または2種以上を併用することができる。
上記一般式〔9〕で表されるホスファイト化合物の好ましい具体例としては、4,4’−イソプロピリデンジフェノールテトラトリデシルホスファイトを挙げることができる。
上記一般式〔10〕で表されるホスホナイト化合物の好ましい具体例としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトがより好ましい。このテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイトおよび、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイトの1種もしくは2種以上を併用して使用可能であるが、好ましくはかかる3種の混合物である。
上記一般式〔11〕で表されるホスホナイト化合物の好ましい具体例としては、ビス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられ、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。このビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、およびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトの1種もしくは2種を併用して使用可能であるが、好ましくはかかる2種の混合物である。また、2種の混合物の場合その混合比は、重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範囲がより好ましい。
一方、ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリメチルホスフェートである。
上記のリン含有熱安定剤の中で、さらに好ましい化合物としては、以下の一般式〔12〕および〔13〕で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0006975651
[式〔12〕中、R36およびR37は、それぞれ独立して炭素原子数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。]
Figure 0006975651
[式〔13〕中、R41、R42、R43、R44、R47、R48およびR49はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、R45は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、およびR46は水素原子またはメチル基を示す。]
式〔12〕中、好ましくはR36およびR37は炭素原子数1〜12のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1〜8のアルキル基である。式〔12〕で表される化合物としては具体的に、トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられ、特にトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
式〔13〕で表される化合物としては具体的に、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)と2,6−ジ−tert−ブチルフェノールから誘導されるホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)とフェノールから誘導されるホスファイト、が挙げられ、特に2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)とフェノールから誘導されるホスファイトが好ましい。
リン系熱安定剤の含有量はA成分とB成分との合計100重量部に対して、好ましくは0.001〜3.0重量部、より好ましくは0.01〜2.0重量部、さらに好ましくは0.05〜1.0重量部である。リン系熱安定剤の含有量が0.001重量部未満では機械特性が十分に発現せず、3.0重量部を超えても機械特性を十分に発現しない場合がある。
(フェノール系熱安定剤)
本発明に使用されるフェノール系安定剤としては、一般的にヒンダードフェノール、セミヒンダードフェノール、レスヒンダードフェノール化合物が挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂に対して熱安定処方を施すという観点で特にヒンダードフェノール化合物がより好適に用いられる。かかるヒンダードフェノール化合物としては、具体例としては、例えばビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどを挙げることができ、好ましく使用できる。
より好ましくは、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンであり、さらにn−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネートが好ましい。
(イオウ含有酸化防止剤)
本発明の繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物には、酸化防止剤としてイオウ含有酸化防止剤を使用することもできる。特に樹脂組成物が回転成形や圧縮成形に使用される場合には好適である。かかるイオウ含有酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステル、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリルチオプロピオネート)エステルを挙げることができる。
上記に挙げたリン系安定剤、フェノール系安定剤、およびイオウ含有酸化防止剤はそれぞれ単独または2種以上併用することができる。フェノール系安定剤およびイオウ含有酸化防止剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、0.0001〜1重量部であることが好ましい。より好ましくは0.0005〜0.5重量部であり、さらに好ましくは0.001〜0.2重量部である。
(離型剤)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物には、その成形時の生産性向上や成形品の歪みの低減を目的として、更に離型剤を配合することができる。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。中でも好ましい離型剤として脂肪酸エステルが挙げられる。かかる脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数としては、3〜32の範囲、より好適には5〜30の範囲である。かかる一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール〜ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられる。本発明の脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。
一方、脂肪族カルボン酸は炭素数3〜32であることが好ましく、特に炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸が好ましい。該脂肪族カルボン酸としては、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、ベヘン酸、イコサン酸、およびドコサン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中でも脂肪族カルボン酸は、炭素原子数14〜20であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。特にステアリン酸およびパルミチン酸が好ましい。
ステアリン酸やパルミチン酸など上記の脂肪族カルボン酸は通常、牛脂や豚脂などに代表される動物性油脂およびパーム油やサンフラワー油に代表される植物性油脂などの天然油脂類から製造されるため、これらの脂肪族カルボン酸は、通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。したがって本発明の脂肪酸エステルの製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなる脂肪族カルボン酸、殊にステアリン酸やパルミチン酸が好ましく使用される。
本発明に用いられる脂肪酸エステルは、部分エステルおよび全エステル(フルエステル)のいずれであってもよい。しかしながら部分エステルでは通常水酸基価が高くなり高温時の樹脂の分解などを誘発しやすいことから、より好適にはフルエステルである。本発明の脂肪酸エステルにおける酸価は、熱安定性の点から好ましく20以下、より好ましくは4〜20の範囲、更に好ましくは4〜12の範囲である。尚、酸価は実質的に0を取り得る。また脂肪酸エステルの水酸基価は、0.1〜30の範囲がより好ましい。更にヨウ素価は、10以下が好ましい。尚、ヨウ素価は実質的に0を取り得る。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
離型剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、好ましくは0.005〜2重量部、より好ましくは0.01〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
(紫外線吸収剤)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。ベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。
環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。
シアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/またはヒンダードアミン構造を有する光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。上記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。
上記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相(透明性)の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
(ヒンダードアミン系光安定剤)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物はヒンダードアミン系光安定剤を含有することができる。ヒンダードアミン系光安定剤は一般にHALS(Hindered Amine Light Stabilizer)と呼ばれ、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を構造中に有する化合物であり、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、N,N’−ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−1,3−ベンゼンジカルボキシアミド、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物などが挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤はピペリジン骨格中の窒素原子の結合相手により大きく分けて、N−H型(窒素原子に水素が結合)、N−R型(窒素原子にアルキル基(R)が結合)、N−OR型(窒素原子にアルコキシ基(OR)が結合)の3タイプがあるが、ポリカーボネート樹脂に適用する際、ヒンダードアミン系光安定剤の塩基性の観点から、低塩基性であるN−R型、N−OR型を用いるのがより好ましい。上記ヒンダードアミン系光安定剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、0〜1重量部であることが好ましく、0.05〜1重量部がより好ましく、さらに好ましくは0.08〜0.7重量部、特に好ましくは0.1〜0.5重量部である。ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が1重量部より多いとガス発生による外観不良やポリカーボネート樹脂の分解による物性低下が起こる場合があり好ましくない。また、0.05重量部未満であると、十分な耐光性が発現しない場合がある。
(難燃剤)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物には難燃剤を配合して難燃性を付与することができる。かかる難燃剤としては従来、熱可塑性樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が適用できるが、より好適には、(i)ハロゲン系難燃剤(例えば、臭素化ポリカーボネート化合物など)(ii)リン系難燃剤(例えば、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、およびホスファゼン化合物など)、(iii)金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤など)、(iv)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤である。尚、難燃剤として使用される化合物の配合は難燃性の向上のみならず、各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。
難燃剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、好ましくは0.01〜30重量部であり、より好ましくは0.05〜28重量部、さらに好ましくは0.08〜25重量部である。難燃剤の含有量が0.01重量部未満の場合、十分な難燃性が得られない場合があり、30重量部を超えた場合、衝撃強度および耐薬品性の低下が大きい場合がある。
(染顔料)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物には更に各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する成形品を提供できる。蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を配合することにより、発光色を生かした更に良好な意匠効果を付与することができる。また極微量の染顔料による着色、かつ鮮やかな発色性を有する繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物もまた提供可能である。
本発明で使用する蛍光染料(蛍光増白剤を含む)としては、例えば、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、およびジアミノスチルベン系蛍光染料などを挙げることができる。これらの中でも耐熱性が良好でポリカーボネート樹脂の成形加工時における劣化が少ないクマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、およびペリレン系蛍光染料が好適である。
上記ブルーイング剤および蛍光染料以外の染料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などを挙げることができる。更に本発明の樹脂組成物はメタリック顔料を配合してより良好なメタリック色彩を得ることもできる。メタリック顔料としては、各種板状フィラーに金属被膜または金属酸化物被膜を有するものが好適である。
上記の染顔料の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、0.00001〜1重量部が好ましく、0.00005〜0.5重量部がより好ましい。
(他の樹脂)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物には、他の樹脂を本発明の効果を発揮する範囲において、少割合使用することもできる。
かかる他の樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリプロピレン樹脂以外のポリオレフィン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
(その他充填材)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物には、他の充填材を本発明の効果を発揮する範囲において、少割合使用することもできる。
かかる他の充填材としてはチタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラストナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、モンモリロナイト、合成雲母などの膨潤性の層状珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビーズ、セラミックビ−ズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カルシウムおよびシリカなどの非繊維状充填剤が挙げられる。
(その他の添加剤)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物には、成形品に種々の機能の付与や特性改善のために、それ自体知られた添加物を少割合配合することができる。これら添加物は本発明の目的を損なわない限り、通常の配合量である。かかる添加剤としては、摺動剤(例えばPTFE粒子)、蛍光染料、無機系蛍光体(例えばアルミン酸塩を母結晶とする蛍光体)、帯電防止剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛)、ラジカル発生剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、およびフォトクロミック剤などが挙げられる。
(補強用繊維シート)
本発明の積層体に用いられる補強用繊維シートを構成する補強用繊維としては、耐熱性が350℃以上の補強用繊維であることが好ましい。
具体的には、強度の高い炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維などの無機繊維や、芳香族ポリアミド繊維等の有機合成繊維を用いることができる。さらにはこれらを単独または2種以上を併用しても良い。金属繊維としては、例えばステンレス繊維を挙げることができ、導電性・機械的特性において好ましい。また、強化繊維の表面に金属などを被覆したり蒸着させたりしてもよい。例えば、ニッケルコート炭素繊維は導電性において好ましい。特には高強度、高弾性率である炭素繊維やガラス繊維が好ましく、さらには高剛性の積層体を得るためには炭素繊維、より具体的にはポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系などの炭素繊維を挙げることが可能である。特には、PANを原料としたPAN系炭素繊維が、工業規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。
また本発明で用いる補強用繊維としては、一方向に長い繊維形状であれば良く、一般的なファイバーやフィラメントのみでなく、いわゆるウィスカー等も含む概念である。
より具体的に本発明に好適に用いられる補強用繊維を例示すると、ガラスファイバー、扁平断面ガラスファイバー、カーボンファイバー、メタルファイバー、アスベスト、ロックウール、セラミックファイバー、スラグファイバー、チタン酸カリウムウィスカー、ボロンウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカー、ワラストナイト、ゾノトライト、パリゴルスカイト(アタパルジャイト)、およびセピオライトなどの無機充填材からなる繊維状物、アラミド繊維、ポリイミド繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維およびポリベンズチアゾール繊維などの耐熱有機繊維に代表され耐熱有機繊維、並びにこれらの繊維に対して例えば金属や金属酸化物などの異種材料を表面被覆した繊維などが例示される。
異種材料を表面被覆した繊維としては繊維状の形態であれば足り、例えば金属コートガラスファイバー、金属コートガラスフレーク、酸化チタンコートガラスフレーク、および金属コートカーボンファイバーなどが例示される。異種材料の表面被覆の方法としては特に限定されるものではなく、例えば公知の各種メッキ法(例えば、電解メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法(例えば熱CVD、MOCVD、プラズマCVDなど)、PVD法、およびスパッタリング法などを挙げることができる。
これらの補強用繊維の中でも、特にはガラスファイバー、カーボンファイバー及びアラミド繊維から選ばれる1種であることが好ましい。またこれらの補強用の強化繊維は、1種のみを使用してもよく、複数種を使用してもよい。
補強用繊維の太さ、いわゆる繊度としては、平均直径として3〜20μmのものを使用することが好ましく、さらには5〜15μmであることが好ましい。このような範囲では繊維の物性が高いだけではなく、最終的にマトリックスとなる熱可塑性樹脂中での分散性にも優れる。また、生産性の面から、この補強用繊維は、1000〜50000本の単繊維が繊維束となったものであることも好ましい。
また本発明の積層体に用いる補強用の繊維としては、最終的に樹脂を補強するためにも強度は高い方が好ましく、繊維の引張強度としては、3500MPa〜7000MPaであることや、モジュラスとしては220GPa〜900GPaであることが好ましい。最終的に高強度の成形品が得られる観点からも、補強用繊維としては特には炭素繊維が好ましく、PAN系炭素繊維であることがより好ましい。炭素繊維の表面はマトリックス樹脂との相溶性を高め、ポリプロピレン樹脂とポリカーボネート樹脂の分散性を向上する目的で酸化処理されることが好ましい。本発明の機構はまだ明らかではないが、炭素繊維の表面を酸化処理することで、表面の極性が向上し、非極性であるプロピレン樹脂と炭素繊維の密着性はより低下することになる。結果として、相対的に極性の高いポリカーボネート樹脂との密着性が向上するものと考えられる。酸化処理の度合は炭素繊維上の表面酸素濃度(O/C)によって定量することができる。炭素繊維上の表面酸素濃度(O/C)は、X線光電子分光法によって測定される繊維表面の酸素(O)と炭素(C)との原子数の比である表面酸素濃度(O/C)が0.15以上であることが好ましく、0.18以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらに好ましい。表面酸素濃度が0.15未満である場合、炭素繊維とポリカーボネート樹脂との密着性が不十分となる場合があり、好ましくない。なお、表面酸素濃度の上限は特に限定されないが、炭素繊維の取扱性、生産性のバランスから一般的に0.5以下であることが好ましい。酸化処理方法は特に限定されないが、例えば、(1)炭素繊維を酸もしくはアルカリまたはそれらの塩、あるいは酸化性気体により処理する方法、(2)炭素繊維化可能な繊維または繊維状炭素充填材を、含酸素化合物を含む不活性ガスの存在下、700℃以上の温度で焼成する方法、および(3)炭素繊維を酸化処理した後、不活性ガスの存在下で熱処理する方法などが好適に例示される。
これらの補強用繊維の積層体中での存在形態としては、長繊維や短繊維のいずれの形態でも用いることが可能である。しかし、樹脂の補強の観点からは長繊維形状であることが好ましく、逆に得られる複合体の物性を等方性とする観点からは、短繊維を主とする構成であることが好ましい。ここで短繊維とは、長繊維ではない不連続繊維であることをいう。短繊維として用いる場合には、補強用繊維シートが、あらかじめ繊維の配向をランダムにした繊維集合体や不織布であることが好ましい。
また、補強用繊維を短繊維(不連続繊維)として用いる場合には、その長さは300μm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、6mm以上であることが更に好ましく、20mm以上であることが最も好ましい。また短繊維として用いる場合は100mm以下であることが好ましく、さらには80mm以下であることが、特には60mm以下であることが好ましい。このような繊維を不織布形状として用いた場合には、強度や寸法に対する異方性が改善される。
一方補強用繊維を長繊維として用いる場合には、一方向性シートや、織物、編物、組紐、などのさまざまな形態で用いることができる。ただし最終的に得られる複合体の強度補強の面からは、一方向性シート(いわゆるUDシート)として、あるいは補強用繊維の一部または全部が一方向性繊維シートや一方向性テープであって、それらを部分的に用いることが好ましい。長繊維として用いる場合の特に好ましい形態としては、2軸や3軸等の織物であることも好ましい。さらにはこれらの繊維形態としては、部分的に1種または2種以上の形態を組み合わせて使用することも可能である。
本発明に用いられる補強用繊維シートを構成する補強用繊維の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、20〜150重量部であり、好ましくは40〜150重量部、より好ましくは60〜150重量部、さらに好ましくは80〜150重量部である。補強用繊維の含有量が20重量部未満では、繊維強化樹脂複合体の強度が十分に発揮されず、150重量部を超えると強化繊維の滑落が多数発生し、強度が不均一となるため好ましくない。
(ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法)
本発明の熱可塑性樹脂シートを構成するポリプロピレン樹脂組成物を製造する方法に特に制限はなく、周知の方法を用いることができる。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工業的見地からみると溶融状態で各成分を混練する方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができる。特に二軸の高混練機が好ましい。溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定温度は200〜360℃の範囲が好ましく、より好ましくは200℃〜300℃の範囲であり、さらに好ましくは230〜280℃である。混練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いることができる。
(熱可塑性樹脂シート)
本発明で用いられる熱可塑性樹脂シートは、補強用繊維シートを重ね合わせ、熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂の溶融温度以上、補強用繊維シートを構成する補強用繊維の耐熱温度未満の温度で、加圧処理することにより、熱可塑性樹脂シートが溶融し、補強用繊維の周囲に空隙なく配置され繊維強化樹脂複合体となる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂シートの形態は、特に制限はないが、上記目的を達成するためには長さ・幅・厚さの三次元のうち少なくとも一次元が1〜300μmの範囲にあることが好ましく、1〜100μmがより好ましく、1〜50μmが更により好ましく、1〜30μmが最も好ましい。このような形態を持ちうるものとしてフィルム、不織布及び以下に挙げる網目状繊維シートが挙げられ、なかでも熱可塑性樹脂シートの補強用繊維の周囲への含浸性という観点から網目状繊維シートが好ましい。
(網目状繊維シート)
本発明においては、熱可塑性樹脂シートを網目状繊維シートとすることで、網目構造を持たない繊維からなる通常の不織布と比較して、強化繊維とのより高い密着性を得る事ができる。さらに補強用繊維との高い密着性を得る上では、中空繊維の断面形状が不規則な非円形断面である、異形繊維であることが好ましい。なおここで中空とは、公知の中空繊維のように明らかな空隙が有るものばかりでは無く、繊維内部に気泡が有る程度のものであっても構わない。
本発明で述べる中空繊維は、その繊維内部に気泡を有するのであるが、例えば図1に模式的に示すように、内部に非連続の気泡を有し、かつ不規則な非円形断面の繊維状物であることが好ましい。
さらに具体的には、図2の電子顕微鏡写真に示したように、内部に複数のそれも形状の異なる気泡を有し、かつ扁平形状の繊維状物であることが好ましい。
なお、ここで異形繊維内部の気泡とは、繊維内部に存在する閉鎖した空間(空隙)のことを指す。通常、合成繊維内部の空隙は、中空繊維などにみられるように、繊維軸方向に連続した同じ断面形状を有する空隙である。これと異なり本発明の好ましい空隙は、非連続の気泡状の形態をとっている。本発明においては、このような非連続の、しかも繊維の長さ方向において断面形状の異なる気泡を、中空繊維の内部に有していることが好ましい。本発明の好ましい形状である非連続の気泡状の空隙が存在する場合、通常の連続した空隙の場合と異なり、均一に熱可塑性樹脂の流動性を向上させることが可能になる。その結果として連続した空隙に比べ、強化繊維との複合化において、特に優れた含浸性を発現することができる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂繊維は、上記のようにその繊維内部に気泡を有するものであるが、単繊維横断面における中空率としては0.5〜40%の範囲であることが好ましい。ここで中空率とは繊維断面において複数の気泡が含まれている場合、その気泡の面積を合計した面積が、繊維断面中に占める割合をいう。さらには繊維の中空率としては1〜30%、特には5〜20%の範囲であることが好ましい。繊維の中空率が0.5%未満の場合、強化繊維との複合化の際の含浸性が不十分となる場合があり、40%を超える場合には、不織布構造体の強度が低下することに加え、紡糸などの繊維の製造工程において、特に異形繊維である場合に、繊維切断が多く発生し、製造効率が低下する傾向にある。
なおこの中空率は、走査電子顕微鏡(SEM)にて倍率100倍で得られた画像の繊維断面写真から、繊維の中空部を含む全断面積に対する中空部の面積を中空率として求めたものである。本発明ではこのような中空部が存在することにより、繊維断面の壁部分が薄くなり溶解しやすく特に細かい部分に対する成形性が向上する。しかし繊維の中空率が大きすぎると中空繊維全体の熱伝導率が小さくなり、成形効率が低下する傾向にある。
また個々の気泡の大きさとしては0.1〜100μmの範囲にあることが好ましい。特には0.5〜50μmの範囲内であることが好ましい。気泡の大きさが0.1μmより小さくなると、強化繊維との複合化の際の含浸性が不十分となる場合があり、100μmより大きくなると、強化繊維との複合化が均一に起こらないばかりでなく、強化繊維プラスチック内部に欠点(気泡)が残ってしまう場合がある。
本発明では、異形繊維が好ましく用いられるが、その異形繊維の外周断面における不規則な非円形断面は、楕円や正多角形などの規則的な断面よりも、断面形状に乱れがある形状であることが好ましい。通常の合成繊維においては、その断面形状は紡糸口金の形状に依存するため、規則的な断面であることが一般的である。不規則な口金形状では溶融紡糸の際の断糸の発生率が高くなるからである。しかし断面の異形状態が規則的なものの場合、不織布を構成する際に、繊維の異形部分に別の繊維が収まって最密充填化され、かえって空隙が減少することがある。本発明の網目状の繊維は、上記と異なり異形であって、口金形状に依存しない断面形状の繊維であることが好ましい。本発明の熱可塑性樹脂シートを構成する繊維は、例えば後に述べるように発泡剤を用いたスリット紡糸にて得られる異形繊維であることが好ましい。
そしてこのように不規則な外側断面や網目状の形態を有することにより、各異形繊維の重なり部分において必ず空隙が発生するばかりではなく、繊維間空隙もまた様々な形状を取ることになる。繊維間の空隙が一様とならず、繊維の重なりも少なくなるのである。また、不規則な形状により曲げ剛性や物質の密度がランダムになる。そしてこのようにランダムとなることにより、強化繊維との複合化において、結果的には均一な機械特性を有することができるのである。
本発明で好ましく用いられる異形繊維としては、単繊維の横断面において、異型度が1より大きく20以下であることが好ましい。さらには異形度が2〜10であることが好ましい。ここで、繊維の断面形状の異型度とは、図3に示される単繊維横断面の外接円直径D1と内接円直径D2との比D1/D2で定義される数値である。この異型度が上記好ましい範囲にある場合に、強化繊維との複合化の際に優れた含浸性を発現することができる。より具体的にはこの異型度は、上記の中空率等の測定と同じく、走査電子顕微鏡(SEM)にて倍率100倍で得られた画像の繊維断面写真から求めるものであり、維横断面における外接円の直径D1と、内接円の直径D2を測定し、その比(D1/D2)異型度として算出する。端面角度とは逆に、この異型度の値は大きいことにより補強用繊維間に熱可塑性樹脂からなる中空繊維が侵入しやすくなり、より高い含浸性を確保することが可能となる。
このような網目状の中空繊維は、例えばメルトブロー繊維の紡糸時に高圧空気を吹き込むこみ中空繊維とし、さらにそのメルトブロー繊維をメッシュスクリーン上に捕集することにより不織布化して、網目状とすることにより得ることができる。
ここでメルトブロー繊維は、前述のような熱可塑性樹脂からなるものであるが、このようなメルトブロー繊維は、メッシュスクリーン上に捕集することにより不織布化することができる。メッシュスクリーン上などの捕集面上に平面状に均一にそして高密度で集積されて、不織布などの熱可塑性樹脂シートとなるのである。このようなメルトブロー繊維からなる不織布は一般的なニードルパンチング法などのように3次元交絡した短繊維不織布とは異なり、二次元的に配列した網目状の長繊維不織布となる。そして交絡密度が低いにも関らず強度が強く、積層体とした場合に型への追随性に優れたシートとなる。このような長繊維からなるメルトブロー不織布は本発明にて好ましく用いられ、厚さ方向の配列が少ないために高密度不織布となりやすいとの利点もある。
そしてこのような高圧の空気流により網目状の中空繊維としたメルトブロー繊維は、ほとんど延伸を施されていない未延伸状態の繊維から構成されるため、加工性に優れた熱可塑性樹脂シートとなり、それを積層した積層体もまた加工性に優れたものとなる。このような網目状の中空繊維は、多くの未配向部分を含み、比較的低温でも軟化する。そのため補強用繊維の耐熱温度以下の温度での加熱加圧加工(成形加工)を施すことにより、特にバインダー成分を含まないにも関わらず、網目状の中空繊維の未配向部分が軟化、接着し、優れた成形性を発揮し得る。
本発明にて用いられる中空繊維の繊維径としては10μm以上が好ましく、平均値として10〜300μmの範囲であることが、特には50〜250μmの範囲であることが好ましい。このような繊維径は、顕微鏡による画像から容易に計測することができる。メルトブロー繊維は一般にはもっと細繊度のものが用いられることが多いが、本発明においては型への追随性や加熱加工時の成形性に優れた積層体とするためにこのような範囲であることが好ましい。ちなみにこのようなメルトブロー繊維の繊維径は、口金のノズル径や吐出量によって調整することが可能である。
さらに本発明で用いられる網目状の中空繊維として最適なメルトブロー繊維の作り方を詳細に述べる。
ここでメルトブロー繊維とは、例えば熱可塑性重合体を溶融紡糸しながら、口金ノズルの直下にて高速加熱気流を噴射させて繊維を細化して得られる繊維である。
本発明で好ましく用いられるメルトブロー繊維から構成される不織布とは、例えば前述のような熱可塑性樹脂からなるメルトブロー繊維を、メッシュスクリーン上に捕集することにより得ることができるものである。このメルトブロー不織布は、メッシュスクリーン上などの捕集面上に平面状に均一にそして高密度で集積されるため、積層体用の熱可塑性樹脂シートに適したものとなる。メルトブロー繊維からなる不織布は一般的なニードルパンチング法などのように3次元交絡した短繊維不織布とは異なり、二次元方向への配列性が高い長繊維不織布であるために、比較的交絡密度は低くても面方向に対し、必要な強度を得ることができる。またこのような長繊維からなるメルトブロー不織布は、厚さ方向への繊維の配列が少ないために高密度不織布となりやすく、本質的に樹脂含浸性に優れたものとなる。
そして本発明で好ましく用いられるメルトブロー繊維は、高圧の空気流により網状繊維となり、ほとんど延伸を施されていない未延伸状態の繊維から構成されるものであることが好ましい。したがって多くの未配向部分を含み、比較的低温でも軟化することから、ガラス転移点温度以上でエンボス処理することにより、バインダー成分を含まなくとも、未配向部分が軟化、接着したノーバインダータイプのシート状物が容易に得られるのである。
(積層方法)
さらに本発明の積層体は、上記のような熱可塑性樹脂シートと補強用繊維シートとを重ね合わせ、熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂の溶融温度以上、補強用繊維シートを構成する補強用繊維の耐熱温度未満の温度で、加圧処理することにより繊維強化樹脂複合体とすることが可能である。
熱可塑性樹脂シートと補強用繊維シートとの重量比率としては90:10〜30:70の範囲であることが好ましく、70:30〜40:60の範囲であることがより好ましい。また熱可塑性樹脂シートとしては、直径8mmの測定子のピーコックを使用して、荷重1.25N/cmの条件下の厚さを測定した時の厚さは0.05〜0.5mmが好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましく、目付は2〜100g/mの範囲内であることが好ましい。補強用繊維シートとしては、厚さは0.05〜1.0mm、目付は100〜2000g/mの範囲内であることが好ましい。
本発明の積層体は、このような薄い熱可塑性樹脂シートと補強用繊維シートとを複数枚重ねたものであって、重ね方としては交互に配列したものであることが、さらには表裏の最表面には熱可塑性樹脂シートを配置することが好ましい。
また繊維強化樹脂複合体の製造方法では、この積層体を熱可塑性樹脂の溶融温度以上、補強用繊維の耐熱温度未満の温度で、加圧処理し、補強用繊維の周囲を熱可塑性樹脂によって包囲するのであるが、複合体の物性を向上させるためにも空隙が存在しないことが好ましい。加圧処理の温度としては使用する熱可塑性樹脂にもよるが200〜340度、さらには240〜330度の範囲であることが好ましい。処理時間としては1〜30分程度が好ましく、1〜10分程度がより好ましく、特には3〜10分の範囲であることが好ましい。加工時のプレス圧力としては2〜30MPa、さらには5〜20MPaの範囲内であることが好ましい。
本発明の積層体は、柔軟性が高く、金型等への追随性に優れた材料となる。またこの積層体を加熱加圧処理して得られる繊維強化樹脂複合体は、剛性、寸法安定性、耐薬品性に優れ、電気・電子部品、家庭電化製品、自動車関連部品、インフラ関連部品、住設関連部品等に有用であり、その奏する産業上の効果は格別である。
本発明で用いる中空繊維の断面図の模式図である。 本発明で用いる中空繊維の断面図を電子顕微鏡にて撮影したものである。 本発明の中空繊維の異型度の測定方法を示す概略図である。
本発明者らが現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(I)熱可塑性樹脂シートの評価
(I‐1)目付(繊維状シートの場合)
JIS L 1913に準じて測定した。
(I‐2)異型度(繊維状シートの場合)
図3に示される単繊維横断面の外接円直径D1と内接円直径D2との比(D1/D2)を算出し、異型度とした。なお異形度は繊維20本分の異形度の平均値で表した。
(I‐3)中空率(繊維状シートの場合)
デジタル化した繊維断面写真を、画像解析システム、ピアス−2(ピアス(株)製)を用い、繊維の断面積(中空部を含む)と中空部面積を測定し、その面積比から中空率(%)を算出した。なお中空率は繊維20本分の中空度の平均値で表した。
(I−4)平均厚み(フィルム状シートの場合)
直径8mmの測定子のピーコックを使用して、荷重1.25N/cmの条件下の厚さを測定した。なお測定はフィルムの両端部および中心部の三点を測定し、これらの平均値を平均厚みとした。
(II)積層体および複合体の評価
(II−1)成形加工性
実施例及び比較例で得られた積層体を予熱したホットプレスに挿入して、温度250℃およびプレス時間10分の条件下、15MPaのプレス圧にて、繊維強化樹脂複合体を成形するときの成形加工性を以下の基準で評価を実施した。
○: 成形時にガス発生がなく、表面外観の良い成形品が得られる
△: 成形時にややガス発生するが、表面外観には影響しない
×: 成形時にガス発生が多く、表面外観の悪い成形品が得られる
(II−2)空隙数
実施例及び比較例で得られた積層体を予熱したホットプレスに挿入して、表3〜表5に示す条件(温度、プレス時間、プレス圧)にて、繊維強化樹脂複合体を得た。得られた繊維強化樹脂複合体の断面を走査電子顕微鏡(SEM、JEOL社製、JSM−6100)にて、倍率100倍で観察し、空隙数を断面中の気泡の数で評価した。気泡の大きさは強化繊維径より大きなものをカウントし、数は3個以下であれば強化繊維への樹脂の含浸性は良好である。
(II−3)曲げ弾性率
実施例及び比較例で得られた積層体を予熱したホットプレスに挿入して、表3〜表5に示す条件(温度、プレス時間、プレス圧)にて、繊維強化樹脂複合体を得た。得られた繊維強化樹脂複合体から、長さ80mm、幅10mmのサイズを切り出しサンプル片とし、ISO178に準拠して曲げ弾性率を測定した(測定条件:試験速度2mm/min、試験温度23℃)。なおサンプル片はお互いが垂直になるような二方向で切り出し、曲げ弾性率はその二方向の曲げ弾性率の平均値として評価を実施した。
(II−4)曲げ強度
実施例及び比較例で得られた積層体を(II−2)と同様な方法でサンプル片を作成し、ISO178に準拠して曲げ強度を測定した(測定条件:試験速度2mm/min、試験温度23℃)。なおサンプル片はお互いが垂直になるような二方向で切り出し、曲げ強度はその二方向の曲げ強度の平均値として評価を実施した。
(II−5)熱安定性
実施例及び比較例で得られた積層体を(II−2)と同様な方法でサンプル片を作成し、温度100℃の条件で、500時間処理した後に、ISO178に準拠して曲げ強度を測定した(測定条件:試験速度2mm/min、試験温度23℃)。熱安定性は、以下の式で求めた保持率に基づいて評価を行った。
保持率(%)=[FS1/FS2]×100
FS1:熱処理後の曲げ強度
FS2:熱処理前の曲げ強度
○:保持率80%以上
△:保持率60以上80%未満
×:保持率60%未満
(II−6)外観
実施例及び比較例で得られた積層体(II−2)と同様な方法でサンプル片を作成し、目視でサンプルを確認し、以下の基準で評価をした。
○: 繊維が均一に積層されており、表面外観の良い積層体。
△: 繊維が一部不均一に積層されているが、表面外観には影響しない積層体
×: 繊維が不均一に積層されており、表面外観の悪い積層体
[使用組成]
実施例では、下記の成分を使用した。
(A成分)(ポリプロピレン樹脂)
A−1:ホモポリプロピレン樹脂[(株)プライムポリマー製「プライムポリプロJ105G」、MFR(230℃、2.16kg荷重)=9g/10min]
A−2:ホモポリプロピレン樹脂[(株)プライムポリマー製「プライムポリプロJ106G」、MFR(230℃、2.16kg荷重)=15g/10min]
(B成分)(ポリカーボネート樹脂)
B−1:モノマー成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンからなるポリカーボネート樹脂[MVR(300℃、1.2kg荷重)=19cm/10min]
B−2:モノマー成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンからなるポリカーボネート樹脂[MVR(300℃、1.2kg荷重)=8.5cm/10min]
B−3:モノマー成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび下記式〔14〕で表されるポリジオルガノシロキサン化合物(式中の平均繰り返し数 p=約37))からなる共重合ポリカーボネート樹脂[MVR(300℃、1.2kg荷重)=5.5cm/10min、ポリジオルガノシロキサン成分含有量8.2%]
Figure 0006975651
B−4:モノマー成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(Bis−A、本州化学製)および2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(Bis−C、本州化学製)からなる共重合ポリカーボネート樹脂[MVR(300℃、1.2kg荷重)=22.2cm/10min、Bis−A/Bis−C=50/50]
B−5:モノマー成分として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび三官能のフェノールとして1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンからなる分岐構造を有するポリカーボネート樹脂[MVR(300℃、1.2kg荷重)=6cm/10min、三官能フェノール量=1mol%]
(C成分:変性ポリオレフィン樹脂)
C−1:無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合体である酸変性オレフィンワックス[三菱化学(株)製「ダイヤカルナDC30M」(製品名)]
C−2:マレイン酸とポリプロプレンとの共重合である変性ポリプロピレン樹脂[三菱化学(株)製、「モディック P908」(製品名)]
(D成分:スチレン系熱可塑エラストマー)
D−1:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体[スチレン含有量:65wt%、MFR:0.4g/10min、(株)クラレ製 セプトン2104(製品名)]
(補強用繊維)
FI−1:炭素繊維一方向テープ[東邦テナックス(株)製「F−22」、繊維径=7μm]
FI−2:炭素繊維織布[東邦テナックス(株)製「W3101」、目付=200g/m、厚さ0.25mm、繊維径=7μm]
FI−3:ニッケルコート炭素繊維[東邦テナックス(株)製「HTS40 MC」、繊維径=7.5μm]
FI−4:ガラス繊維織布[日東紡株式会社製「WF150」]、目付=144g/m、厚さ0.22mm、繊維径=13μm]
FI−5:アラミド繊維不織布[帝人紡株式会社製「テクノーラ EF200」]、目付=200g/m、繊維径=12μm]
FI−6:炭素繊維[東邦テナックス(株)製:HT C422 6mm、長径7μm、カット長6mm]からなる補強繊維シート
[製造例1〜15](繊維状シートの製造)
表1および表2に記載の各熱可塑性樹脂配合物を、90℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、発泡剤として窒素ガスを溶融混合し(窒素封入圧=3MPa)、二軸押出機から表に記載の押出温度で押出し、ダイ出口で急冷しながら表に記載の紡糸速度で引取り、中空網目状繊維シートとして巻き取った。この中空網目状繊維シートの評価を表1および表2に示す。
[製造例16、17](フィルム状シートの製造)
表2に記載の各熱可塑性樹脂配合物を、90℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、二軸押出機から表に記載の押出温度で押出し、ダイ出口で急冷しながら表に記載の厚みのフィルム状シートを作成した。このフィルム状シートの評価を表2に示す。
[実施例1〜23、比較例1〜4]
製造例1〜17で得られた熱可塑性繊維シートおよび補強用繊維を表3〜表5に示す割合となるように積層し、積層体とした。
積層体を予熱したホットプレスに挿入して、表3〜表5示すプレス条件(温度、プレス時間、プレス圧)にて、繊維強化樹脂複合体(FRP成形体)を得た。なお積層の際に、補強用繊維が偏らないように配慮し、また繊維強化樹脂複合体の厚みは、予め加熱加圧後に目的の厚みになるように、熱可塑性繊維シートおよび補強用繊維の量を調整した。最終的に得られた繊維強化樹脂複合体の評価を表3〜表5に示す。なお表5中、比較例2は強化繊維の滑落が多数発生し、強度が不均一となり、正確な評価ができなかったため、「−」とした。
Figure 0006975651
Figure 0006975651
Figure 0006975651
Figure 0006975651
Figure 0006975651
1.異形繊維断面
2.気泡
3.外接円
4.内接円

Claims (9)

  1. 補強用繊維シートと熱可塑性樹脂シートとの積層体であって、熱可塑性樹脂シートが、網目状の中空繊維からなり、(A)ポリプロピレン樹脂(A成分)を1重量部以上70重量部未満および(B)ポリカーボネート樹脂(B成分)を30重量部を超え99重量部以下含むポリプロピレン樹脂組成物であり、かつ補強用繊維シートを構成する補強用繊維の含有量がA成分とB成分とからなる樹脂成分100重量部に対し20〜150重量部であることを特徴とする積層体。
  2. B成分が下記式〔1〕で表されるカーボネート構成単位を全カーボネート構成単位中20〜100モル%含むポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
    Figure 0006975651
    [上記一般式〔1〕において、R及びRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜14のアリール基、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、a及びbは夫々1〜4の整数であり、Wは単結合もしくは下記一般式〔2〕で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
    Figure 0006975651
    (上記一般式〔2〕においてR11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は各々独立に水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数6〜14のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表し、R19及びR20は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜14のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、R21,R22,R23,R24,R25及びR26は各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、cは1〜10の整数、dは4〜7の整数であり、eは自然数であり、fは0又は自然数であり、e+fは150以下の自然数であり、Xは炭素数2〜8の二価脂肪族基である)]
  3. ポリプロピレン樹脂組成物が、更に(C)変性ポリオレフィン樹脂(C成分)をA成分とB成分とからなる樹脂成分100重量部に対し1〜100重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. ポリプロピレン樹脂組成物が、更に(D)スチレン系熱可塑性エラストマー(D成分)をA成分とB成分とからなる樹脂成分100重量部に対し1〜20重量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 補強用繊維シートが、織編物、不織布、一方向性シートのいずれかである請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 補強用繊維シートを構成する繊維が、炭素繊維およびガラス繊維から選ばれる少なくとも一種の繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 補強用繊維シートを構成する繊維が、X線光電子分光法によって測定される繊維表面の酸素(O)と炭素(C)との原子数の比である表面酸素濃度(O/C)が0.15以上である炭素繊維であることを特徴とする請求項6に記載の積層体。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体からなる繊維強化樹脂複合体。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体を、熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂の溶融温度以上、補強用繊維シートを構成する補強用繊維の耐熱温度未満の温度で、加圧処理することを特徴とする繊維強化樹脂複合体の製造方法。
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