本発明を実施するための最良の形態は、第1軸受部6aと第2軸受部7aとがヒンジシャフト9を介して相対回動自在且つ任意の回動角度で停止保持可能に連結されているヒンジ部8を互いに離隔した位置に一組ずつ備え、前記第1軸受部6a上における前記第2軸受部7aの回動範囲を切り換える切換手段5,36,40を備える回動支持装置である。前記切換手段5,36,40は、両ヒンジ部8,8の両第2軸受部7a,7a側に同時に当接して両第2軸受部7a,7aの回動を規制する単一のストッパー部材22,37,41を備える。この単一のストッパー部材22,37,41は、規制位置P1と、該規制位置P1よりも前記ヒンジシャフト9から遠い規制解除位置P2と、に位置変更可能とされる。
図1において、POS端末1は、回動部材としてのディスプレイ装置2と、このディスプレイ装置2の支持台となる被回動部材としての機器本体3と、この機器本体3に対してディスプレイ装置2を前後回動自在且つ任意の角度で停止保持可能に連結する回動支持装置4と、を備える。この回動支持装置4は、機器本体3の後部上面とディスプレイ装置2の下部後面との間に介装されている。
また、回動支持装置4は、機器本体3上においてディスプレイ装置2の前後回動範囲を切り換える切換手段5を備えている。この切換手段5を操作することで、機器本体3に対するディスプレイ装置2の前後回動範囲を、第1の回動範囲(図1に矢印Aで示すディスプレイ装置と矢印Bで示すディスプレイ装置との間の回動範囲)と、この第1の回動範囲よりも大きな第2の回動範囲(図1に矢印Aで示すディスプレイ装置と矢印Cで示すディスプレイ装置との間の回動範囲)とに切り換えることができる。
第1の回動範囲とは、例えば、POS端末1の使用者が通常のレジ業務を行う場合(通常時)の回動範囲である。レジ業務の担当者は、ディスプレイ装置2の傾斜角度を、第1の回動範囲内において、自身の身長や好みに応じた適宜の傾斜角度に調整することができる。仮にディスプレイ装置2の回動範囲を無制限とすれば、レジ業務の担当者がディスプレイ装置2の傾斜角度を調整する際に、ディスプレイ装置2が必要以上に大きく回動可能であるので、使い勝手が悪かったり、ディスプレイ装置2がPOS端末1の他の部分に接触したりする不都合も考えられる。このため、通常時には、ディスプレイ装置2の回動範囲を第1の回動範囲に規制しておく。
一方、第2の回動範囲とは、ディスプレイ装置2を第1の回動範囲を超えて後方へと大きく回動させる場合の回動範囲である。ディスプレイ装置2の回動範囲を第2の回動範囲に切り換えると、POS端末1のメンテナンス時等の非通常時において、ディスプレイ装置2を後方へ大きく回動させることができる。よって、メンテナンス時の作業エリアを拡大できて好適である。
回動支持装置4は、図2及び図3に示すように、機器本体3側に取り付けられる取付部材6と、ディスプレイ装置4側に取り付けられる支持部材7と、取付部材6と支持部材7との間に配設される左右一対のヒンジ部8,8と、を備える。取付部材6は、左右一対の第1軸受部6a,6aを備える。これに対応して、支持部材7も、左右一対の第2軸受部7a,7aを備える。そして、取付部材6の左側の第1軸受部6aと支持部材7の左側の第2軸受部6aとが左側の水平ヒンジシャフト9を介して相対回動自在且つ任意の回動角度で停止保持可能に連結されることにより、左側のヒンジ部8が構成される。同様に、取付部材6の右側の第1軸受部6aと支持部材7の右側の第2軸受部7aとが右側の水平ヒンジシャフト9を介して相対回動自在且つ任意の回動角度で停止保持可能に連結されることにより、右側のヒンジ部8が構成される。回動支持装置4において、ヒンジ部8,8は、左右の水平ヒンジシャフト9,9を同一軸線上に位置させて、左右に互いに離隔した位置に一組ずつ備えられる。
取付部材6は、機器本体3に対して、縦軸を中心として水平回動自在に取り付けられる。これにより、ディスプレイ装置2を機器本体3上において水平面内においても回動させることができる。取付部材6と機器本体3との間には、水平回動機構10が介装される。この水平回動機構10は、取付部材6の水平回動に対して所定の回動抵抗を付与する水平回動制御手段11を有している。以下、主として図3を参照して、水平回動機構10及び水平回動制御手段11について説明する。
図3に示すように、機器本体3と取付部材6との間には、ベース板12とスペーサ13とが介装される。ベース板12は図示しないボルトによって機器本体3側に固定される。そして、ベース板12上に縦ヒンジシャフト14を介してスペーサ13が回動不能に固定され、このスペーサ13上に取付部材6が縦ヒンジシャフト14を中心として水平回動自在に取り付けられる。
縦ヒンジシャフト14は、図3に示すように、大径変形部14aと、この大径変形部14a上に起立する中径変形軸部14bと、この中径変形軸部14b上に起立する小径円形軸部14cと、を有する。また、縦ヒンジシャフト14は、図4に示すように、大径変形部14aの下面に変形突出部14dを有する。この変形突出部14dは、ベース板12に形成される変形孔12aに適合する。これにより、ベース板12に対して縦ヒンジシャフト14が回動不能に結合される。
図3に示すように、スペーサ13は、縦ヒンジシャフト14の大径変形部14aに適合する変形孔13aを有する。この変形孔13aに縦ヒンジシャフト14の大径変形部14aを受け入れた状態で、スペーサ13がベース板12に対して固定される。スペーサ13の変形孔13aの上部には座ぐり部13bが形成され、この座ぐり部13b内には下から順に、第1固定フリクションワッシャ15と第1回動フリクションワッシャ16とが重ね合わせて配設される。
第1固定フリクションワッシャ15は、中心部軸方向に設けた変形孔15aに縦ヒンジシャフト14の中径変形軸部14bを受け入れることにより、縦ヒンジシャフト14に対して回動不能に固定される。一方、第1回動フリクションワッシャ16は、縦ヒンジシャフト14に対して回動自由であり、且つ、取付部材6と常に一体に回動するように取付部材6に対して係止される。すなわち、第1回動フリクションワッシャ16は、中心部軸方向に設けた円形孔16aに縦ヒンジシャフト14の中径変形軸部14bを回動自由に受け入れる。また、第1回動フリクションワッシャ16は、その縁部に対向させて設けた係止片16b,16bを取付部材6に設けた係止孔6b,6bに係止することによって、取付部材6と常に一体に回動する。
取付部材6には円形取付孔6cが形成され、この円形取付孔6cには、縦ヒンジシャフト14の中径変形軸部14bが相対回動自在に挿通される。取付部材6から上方へ突出する縦ヒンジシャフト14の中径変形軸部14bには、下から順に、第2回動フリクションワッシャ17と、第2固定フリクションワッシャ18と、適数のワッシャ19と、が装着される。そして、ワッシャ19の上から、縦ヒンジシャフト14の中径変形軸部14bの雄ねじ溝14eに対して止めナット20がねじ結合される。
第2回動フリクションワッシャ17は、第1回動フリクションワッシャ16と同様に、縦ヒンジシャフト14に対して回動自由であり、且つ、取付部材6と常に一体に回動するように取付部材6に対して係止される。また、第2固定フリクションワッシャ18は、第1固定フリクションワッシャ15と同様に、中心部軸方向に設けた変形孔18aに縦ヒンジシャフト14の中径変形軸部14bを受け入れることにより、縦ヒンジシャフト14に対して回動不能に固定される。
以上の構成において、取付部材6をスペーサ13上で縦ヒンジシャフト14を中心として回動させると、第1及び第2回動フリクションワッシャ16,17は取付部材6の回動と共に回動するが、第1及び第2固定フリクションワッシャ15,18は回動しないので、互いに接触している回動フリクションワッシャと固定フリクションワッシャとの間に所定のフリクショントルクが発生する。
なお、固定フリクションワッシャと回動フリクションワッシャとの組み合わせを2組設けたのは、必要十分な大きさのフリクショントルクを得るための工夫に過ぎない。したがって、固定フリクションワッシャと回動フリクションワッシャとの組合せ1組のみで好ましい大きさのフリクショントルクが得られるのであれば、それだけ設けておけば十分である。
なお、水平回動機構10及び水平回動制御手段11の構成は、図示のものに限定される必要はなく、他の公知の構成のものに代えることもできる。
次に、取付部材6上における支持部材7の前後回動機構21について説明する。
図5に示すように、取付部材6は、機器本体3側への取付部6dと、この取付部6dから起立する左右一対の第1軸受部6a,6aと、を有する。取付部6dは、円形取付孔6cによって縦ヒンジシャフト14に対して水平回動自在に取り付けられる。各第1軸受部6aは変形軸受孔6eを有し、各変形軸受孔6eに各水平ヒンジシャフト9を受け入れることで、各第1軸受部6eが各水平ヒンジシャフト9を相対回動不能に支持する。各第1軸受部6aの前部には、取付部材6の左右外方向へ突出する固定ストッパー部6fが設けられる。
支持部材7は、図2及び図3に示すように、ディスプレイ装置2側への取付部7bと、この取付部7bに連結されて取付部7bを支持する左右一対のブラケット7c,7cと、を有する。取付部7bは、ボルト(図示しない)によりディスプレイ装置2に取り付けられる。各ブラケット7cの下部には第2軸受部7aがあり、この第2軸受部7aに形成される軸受孔7dには、各水平ヒンジシャフト9が相対回動自在に挿通される。
また、図6に示すように、各ブラケット7cの第2軸受部7aの外周には、前側係止部としての前側段部7eと、中間係止部としての中間段部7fと、後側係止部としての後側段部7gとが形成される。これらの段部は、後で詳述するように、取付部材6の固定ストッパー部6f又は可動ストッパー部材22に当接して、支持部材7の回動角度を、前方最大角度(図7に矢印Aで示す支持部材の角度)、後方中間角度(図7に矢印Bで示す支持部材の角度)又は後方最大角度(図7に矢印Cで示す支持部材の角度)に規制する。
各水平ヒンジシャフト9は、図8に拡大して示すように、取付部材6の第1軸受部6aに当接する円形のフランジ部9aと、断面が略小判形の大径変形軸部9bと、断面が略小判形の小径変形軸部9cと、この小径変形軸部9cの先端側に形成される雄ねじ溝9dと、を有する。大径変形軸部9bはフランジ部9aの片面中央に一体に形成され、小径変形軸部9cは大径変形軸部9bの中央に一体に形成される。フランジ部9aの片面上における大径変形軸部9bの高さは、取付部材6の第1軸受部6aの厚みと同じである。大径変形軸部9bは、第1軸受部6aの変形軸受孔6eに適合する。
前後回動機構21は、支持部材7を取付部材6に対して任意の角度で停止保持可能とさせる前後回動制御手段23を備える。この前後回動制御手段23としては、例えばフリクション式のものを採用することができる。
すなわち、図3に示すように、フリクション式の前後回動制御手段23は、水平ヒンジシャフト9上において互いに接触させて配設される第1固定フリクションワッシャ24と第1回動フリクションワッシャ25との組合せで構成される。図示例では、第1固定フリクションワッシャ24と第1回動フリクションワッシャ25との組合せに加えて、第2固定フリクションワッシャ26と第2回動フリクションワッシャ27との組合せも備えている。これは必要十分な大きさのフリクショントルクを得るための工夫に過ぎない。したがって、第1固定フリクションワッシャ24と第1回動フリクションワッシャ25との組合せのみで好ましい大きさのフリクショントルクが得られるのであれば、それだけ備わっていれば十分である。また、必要なフリクショントルクが得られるのであれば、左右一対のヒンジ部8,8の内、いずれか一方のヒンジ部8にのみ水平回動制御手段23を設けることとしてもよい。
なお、水平回動制御手段23の構成は、図示のものに限定される必要はなく、他の公知の構成のものに代えることもできる。
水平回動制御手段23において、第1固定フリクションワッシャ24は、水平ヒンジシャフト9の小径変形軸部9cを受け入れる円形孔24aを軸線方向中央に有するとともに、取付部材6の第1軸受部6aに設けた係止孔6gに係止される係止片24bを縁部に有する。また、第2固定フリクションワッシャ26は、水平ヒンジシャフト9の小径変形軸部9cに適合する変形孔26aを有し、この変形孔26aに水平ヒンジシャフト9の小径変形軸部9cを受け入れることで、水平ヒンジシャフト9に対して回動不能に固定される。
一方、第1及び第2回動フリクションワッシャ25,27は、水平ヒンジシャフト9に対して回動自由であり、且つ、支持部材7と常に一体に回動するように支持部材7に対して係止される。すなわち、第1及び第2回動フリクションワッシャ25,27は、その中心部軸方向に設けた円形孔25a,27aに水平ヒンジシャフト9の小径変形軸部9cを回動自由に受け入れる。また、第1及び第2回動フリクションワッシャ25,27は、その縁部に設けた係止片25b,27bを支持部材7に設けた係止孔7hに係止することによって、支持部材7と常に一体に回動する。
以上の構成により、支持部材7が取付部材6に対して回動すると、各回動フリクションワッシャ25,27は支持部材7の回動と共に回動するが、各固定フリクションワッシャ24,26は回動しないので、互いに接触している回動フリクションワッシャと固定フリクションワッシャとの間に所定のフリクショントルクが発生する。
水平ヒンジシャフト9は、左右一対の支持部材7,7の内側から外側へ向かって順に、取付部材6の第1軸受部6aの変形孔6e、第1固定フリクションワッシャ24の円形孔24a、第1回動フリクションワッシャ25の円形孔25a、支持部材7の第2軸受部7aの軸受孔7d、第2回動フリクションワッシャ27の円形孔27a、第2固定フリクションワッシャ26の変形孔26a、スプリングワッシャ28の円形孔28a、ワッシャ29の変形孔29aを貫通する。そして、ワッシャ29の上から水平ヒンジシャフト9の先端の雄ねじ溝9dに対して止めナット30がねじ結合される。これにより、水平ヒンジシャフト9を介して取付部材6上で支持部材7が前後回動可能且つ任意の角度で停止保持可能に支持される。
さらに、回動支持装置4は、取付部材6に対する支持部材7の前後回動角度を切り換える切換手段5を備える。この切換手段5は、取付部材6に対する支持部材7の後方への回動角度を、後方中間角度(図7に矢印Bで示す支持部材の角度)と後方最大角度(図7に矢印Cで示す支持部材の角度)とに切り換え可能とするものである。
切換手段5は、単一の可動ストッパー部材22を備える。この可動ストッパー部材22は、図9に示すように、板状の取付部22aと、左右一対のストッパー部22b,22bと、左右一対の案内部22c,22cと、左右一対のバネ接続片22d,22dと、を備える。左右一対のストッパー部22b,22bは、取付部22aの前部から上方へ突出させて形成される。左右一対の案内部22c,22cは、取付部22aの左右両側部の後部から下方へと突出させて形成される。左右一対のバネ接続片22d,22dは、取付部22aの後部から下方へと突出させて形成される。各ばね接続片22dにはばね接続孔22eが形成される。
可動ストッパー部材22の取付部22aには、前後方向に延びる取付用長孔22fが形成される。この取付用長孔22fには、図4に示すように、縦ヒンジシャフト14の小径円形軸部14cが下から挿通される。この小径円形軸部14cに脱落防止用ワッシャ31が取り付けられることによって、縦ヒンジシャフト14から可動ストッパー部材22が脱落することが防止される。また、取付部22aには、図9に示すように、前後方向に延びる固定ねじ挿通溝22gが形成される。
可動ストッパー部材22の取り付け先である取付部材6は、図5に示すように、左右一対の起立側板部6h,6hを備え、この左右一対の起立側板部6h,6hの前部に、左右一対の第1軸受部6a,6aが連設されている。左右一対の起立側板部6h,6hの上面は水平な案内面6i,6iとされ、この案内面6i,6i上に可動ストッパー部材22の取付部22aが載置される。取付部材6の左右一対の起立側板部6h,6hを跨ぐように可動ストッパー部材22を取付部材6上に載置した状態において、可動ストッパー部材22の左右一対の案内部22c,22cが取付部材6の左右一対の起立側板部6h,6hの左右外面に摺動可能に接する。取付部材6の各第1軸受部6aの後面6jは、左右一対の起立側板部6h,6hの上面6i,6iと連続する垂直面となっている。
図5に示すように、取付部材6は、ばね接続孔6k付きの左右一対のばね接続片6m,6mを備える。各ばね接続片6mは、取付部材6の前部に折り曲げ形成される起立前板部6nに形成される。この起立前板部6nの左右方向の中央部には、ねじ孔6p付きの水平突片6qが形成され、この水平突片6qのねじ孔6pに対して、可動ストッパー部材22を固定するための固定ねじ32(図3及び図4参照)がねじ結合される。
可動ストッパー部材22は、取付部材6の左右一対の起立側板部6h,6h上に載置された状態で、縦ヒンジシャフト14に対して脱落不能に係合され、且つ、固定ねじ32によって取付部材6に対して固定される。すなわち、図3に示すように、固定ねじ32は、可動ストッパー部材22の固定ねじ挿通溝22gに上から挿通され、取付部材6の水平突片6qのねじ孔6pにねじ結合され、固定ねじ32の下端には脱落防止用ワッシャ33が取り付けられる。固定ねじ32を締め付けることで可動ストッパー部材22が取付部材6に対して固定され、固定ねじ32を緩めることで、可動ストッパー部材22が取付部材6上で前後方向に移動可能となる。
可動ストッパー部材22と取付部材6との間には、図3に示すように、弾性手段の一例としての左右一対の引っ張りコイルばね34,34が互いに平行に架設される。各引っ張りコイルばね34は、可動ストッパー部材22のばね接続片22dと取付部材6のばね接続片6mとの間に架設される。各引っ張りコイルばね34は、可動ストッパー部材22を常に前方へ向けて付勢する。
可動ストッパー部材22は、図10に示すように、規制位置P1と規制解除位置P2とに位置変更可能である。図10(a)に示すように、可動ストッパー部材22の各ストッパー部22bが取付部材6の各第1軸受部6aの垂直な後面6jに当接した状態が、可動ストッパー部材22の規制位置P1である。一方、図10(b)に示すように、可動ストッパー部材22が取付部材6の各起立側板部6h上を後方へ移動して規制位置P1から所定量以上離れた状態が規制解除位置P2である。可動ストッパー部材22の規制解除位置P2は、規制位置P1よりも取付部材6の第1軸受部6aの変形軸受孔6eから所定量以上遠い位置にある。ここで、所定量とは、図6に示すように、支持部材7の第2軸受部7aに形成した後側段部7gの段差に相当する寸法をいう。
図5及び図10に示すように、取付部材6には、可動ストッパー部材22を規制解除位置P2に保持させるための係止部として、左右一対の係止突部6r,6rが形成されている。各係止突部6rは、取付部材6の各起立側板部6hの上面6iに上方へ突出させて設けられる。
これに対応して、可動ストッパー部材22には、図9及び図10に示すように、左右一対の係止突部6r,6rと係合する左右一対の係止孔部6s,6sが形成される。各係止孔部6sは、図9に示すように、可動ストッパー部材22の取付部22aと左右一対の案内部22cとの間に形成される。可動ストッパー部材22の左右一対の係止孔部6s,6sに取付部材6の左右一対の係止突部6r,6rが係合することにより、可動ストッパー部材22は、左右一対の引っ張りコイルばね34,34の付勢力に抗して、規制解除位置P2に保持される。
前記構成において、図7に示すように、支持部材7を前方へと回動させると、取付部材6の固定ストッパー部6fが支持部材7の前側段部7eに当接することで、支持部材7の前方への回動角度が、後方へ水平に寝かせた0度の状態から前方へ70度回動させた状態である前方最大角度(図7に矢印Aで示す支持部材の角度)に規制される。
また、図11に示すように、可動ストッパー部材22を規制位置P1に固定した状態で支持部材7を後方へと回動させると、可動ストッパー部材22の左右一対のストッパー部22b,22bが支持部材7の左右一対の第2軸受部7a,7aの後側段部7g,7gに同時に当接することで、支持部材7の後方への回動角度が、前方最大角度から後方へ25度回動させた状態(後方へ水平に寝かせた0度の状態から前方へ45度回動させた状態)である後方中間角度(図7に矢印Bで示す支持部材の角度)に規制される。
一方、図12に示すように、可動ストッパー部材22を規制解除位置P2に変位させると、可動ストッパー部材22の左右一対のストッパー部22b,22bによる支持部材7の回動規制が解除され、支持部材7の後方への回動角度が後方中間角度を超える後方最大角度にまで拡大される。この後方最大角度は、図7に矢印Cで示すように、支持部材7を後方中間角度から55度だけ後方へ回動させた状態(後方へ水平に寝かせた0度の状態からさらに下方へ10度だけ回動させた状態)である。図12に示すように、支持部材7の中間段部7fが取付部材6の固定ストッパー部6fに当接することで、支持部材7の後方への回動角度が後方最大角度に規制される。
前記構成によれば、可動ストッパー部材22が規制位置P1にある時には、可動ストッパー部材22の左右一対のストッパー部22b,22bが、両ヒンジ部8,8を構成する両第2軸受部7a,7a側に同時に当接することで、両第2軸受部7a,7aの回動範囲が所定の通常使用角度に規制される。このため、回動範囲の規制時にねじれ等の負荷がヒンジ部8,8間に作用することがない。よって、円滑且つ安定した使用状態が得られる。
一方、可動ストッパー部材22を規制位置P1から規制解除位置P2へと位置変更させると、左右一対のストッパー部22b,22bによる両第2軸受部7a,7aの回動範囲の規制が解除される。単一の可動ストッパー部材22を位置変更することで両第2軸受部7a,7aの回動範囲が制御されるので、切換手段5の操作が簡易且つ迅速に行える。また、単一の可動ストッパー部材22を備える構成であるので、構成が簡潔で部品点数も少なくて好適である。
なお、以上の実施例とは逆に、可動ストッパー部材22を支持部材7側に配設し、可動ストッパー部材22と当接する係止部としての後側段部7gを取付部材6側に形成することとしてもよい。
また、実施例1では、弾性手段としての左右一対の引っ張りコイルばね34,34を設け、これらの引っ張りコイルばね34,34によって可動ストッパー部材22が規制位置P1と規制解除位置P2とに保持される。このため、前記固定ねじ32による可動ストッパー部材22の固定を省略することも可能である。固定ねじを32省略することにより、可動ストッパー部材22の位置変更が一層簡単且つ迅速に行える。
さらに、左右一対の引っ張りコイルばね34,34を省略し、可動ストッパー部材22の取付部22aと取付部材6の取付部6dとの間に図示しない板ばねを介装し、この板ばねによって、可動ストッパー部材22を規制位置P1と規制解除位置P2とにスライド移動させる際にクリック感覚が得られるようにしてもよい。
次に本発明の実施例2を説明する。実施例2の回動支持装置35は、実施例1のものとは異なる構成の切換手段36を備える。実施例2において、実施例1のものと同一の部分については同一の符号を付して説明を省略するので、実施例1の説明を参照されたい。
図13に示すように、実施例2の回動支持装置35において、切換手段36は、単一の可動ストッパー部材37を備える。この可動ストッパー部材37は、図16に示すように、断面L字状の棒状の部材である。可動ストッパー部材37は、両端上部に形成される板状のストッパー部37a,37aと、各ストッパー部37aの前部から下向きに突出する固定片部37b,37bと、ストッパー部37a,37a同士の間に延びる連結部37cと、を備える。この連結部37cには、二つのばね接続孔37d,37dが形成される。
可動ストッパー部材37は、図14に示すように、規制位置P1と規制解除位置P1とに位置変更可能となるように取付部材38に対して固定される。可動ストッパー部材37を位置変更可能に固定するために、図14及び図17に示すように、取付部材38の左右一対の起立側板部6h,6hのそれぞれには、規制位置用嵌合溝38aと規制解除位置用嵌合溝38bとが配設される。これらの嵌合溝38a,38bには、可動ストッパー部材37の各固定片部37bが嵌め合わされる。規制解除位置用嵌合溝38bは規制位置用嵌合溝38aよりも取付部材38の第1軸受部6aの変形軸受孔6eから遠い位置にある。
図13に示すように、可動ストッパー部材37は、弾性手段の一例としての左右一対の引っ張りコイルばね34,34で付勢されることによって、規制位置P1と規制解除位置P2とに保持される。左右一対の引っ張りコイルばね34,34は、可動ストッパー部材37のばね接続孔37d,37dと取付部材38の取付部6dとの間に互いに平行に架設される。左右一対の引っ張りコイルばね34,34と、可動ストッパー部材37の各固定片部37d,37dと、取付部材38に形成される規制位置用嵌合溝38a,38aと規制解除位置用嵌合溝38b,38bとで、可動ストッパー部材37を規制位置P1と規制解除位置P2とに固定する固定機構が形成される。
なお、図16において、可動ストッパー部材37に形成される2つの切欠部37e,37eは、可動ストッパー部材37と左右一対の引っ張りコイルばね34,34との干渉を避けるためのものである。
前記構成において、図14に実線で示すように、可動ストッパー部材37の固定片部37bを規制位置用嵌合溝38aに嵌め合わせた状態が、可動ストッパー部材37の規制位置P1である。逆に、図14に二点鎖線で示すように、可動ストッパー部材37の固定片部37bを規制解除位置用嵌合溝38bに嵌め合わせた状態が、可動ストッパー部材37の規制解除位置P2である。
そして、図18に示すように、可動ストッパー部材37を規制位置P1に位置させて支持部材7を後方へと回動させると、可動ストッパー部材37のストッパー部37aが支持部材7の第2軸受部7aの後側段部7gに当接することで、支持部材7の後方への回動角度が、前方最大角度から後方へ25度回動させた状態(後方へ水平に寝かせた0度の状態から前方へ45度回動させた状態)である後方中間角度(図15に矢印Bで示す支持部材の角度)に規制される。
一方、図19に示すように、可動ストッパー部材37を規制解除位置P2に変位させると、可動ストッパー部材37のストッパー部37aによる支持部材7の回動規制が解除され、支持部材7の後方への回動角度が後方中間角度を超える後方最大角度(図15に矢印Cで示す支持部材の角度)にまで拡大される。この後方最大角度は、図15に示すように、支持部材7を後方中間角度から55度だけ後方へ回動させた状態(後方へ水平に寝かせた0度の状態からさらに下方へ10度だけ回動させた状態)である。支持部材7の中間段部7fが取付部材38の固定ストッパー部6fに当接することで、支持部材7の後方への回動角度が後方最大角度に規制される。
なお、支持部材7の前方への回動は、実施例1と同じく、図15に示すように、取付部材38の固定ストッパー部6fが支持部材7の第2軸受部7aの前側段部7eに当接することで、後方へ水平に寝かせた0度の状態から前方へ70度回動させた状態である前方最大角度に常時規制される。
前記構成によれば、可動ストッパー部材37が規制位置P1にある時には、可動ストッパー部材37の両端のストッパー部37a,37aが、両ヒンジ部8,8を構成する両第2軸受部7a,7a側に同時に当接することで、両第2軸受部7a,7aの回動範囲が所定の角度に規制される。このため、回動範囲の規制時にねじれ等の負荷がヒンジ部8,8間に作用することがない。よって、円滑且つ安定した使用状態が得られる。
一方、可動ストッパー部材37を規制位置P1から規制解除位置P2へと位置変更させると、ストッパー部37a,37aによる両第2軸受部7a,7aの回動範囲の規制が解除される。単一の可動ストッパー部材37を位置変更することで両第2軸受部7a,7aの回動範囲が制御されるので、切換手段36の操作が簡易且つ迅速に行える。また、単一の可動ストッパー部材37を備える構成であるので、構成が簡潔で部品点数も少なくて好適である。
また、弾性手段としての左右一対の引っ張りコイルばね34,34によって可動ストッパー部材37が規制位置P1と規制解除位置P2とに固定されるので、可動ストッパー部材37の位置変更が簡単且つ迅速に行える。
以上の実施例とは逆に、可動ストッパー部材37を支持部材7側に配設し、可動ストッパー部材37と当接する係止部としての後側段部7gを取付部材38側に形成することとしてもよい。
次に本発明の実施例3を説明する。実施例3の回動支持装置39は、実施例1,2のものとは異なる構成の切換手段40を備える。実施例3において、実施例1,2のものと同一の部分については同一の符号を付して説明を省略するので、実施例1,2の説明を参照されたい。
図20に示すように、実施例3の回動支持装置39において、切換手段40は、単一の可動ストッパー部材41を備える。この可動ストッパー部材41は、図24に示すように、左右方向に延びる断面円形のシャフト41aと、このシャフト41aを支持するシャフト支持板41bと、を備える。シャフト支持板41bの左右一対のブラケット41c,41cから左右外方へ突出したシャフト41aの両端がストッパー部41d,41dである。シャフト支持板41bには、取付部材42側への固定部として、固定ねじ挿通孔41eが形成される。この固定ねじ挿通孔41eに挿通した固定ねじ43を取付部材42側にねじ結合させることで、可動ストッパー部材41が取付部材42側へと固定される。図20の例では、縦ヒンジシャフト14の上端面に図示しないねじ孔を形成し、このねじ孔に対して固定ねじ43をねじ結合させるようになっている。
可動ストッパー部材41は、図25に示すように、規制位置P1と規制解除位置P2とに位置変更可能となるように取付部材42に対して取り付けられる。可動ストッパー部材41を取り付けるために、図26に示すように、取付部材42の左右一対の起立側板部6h,6hのそれぞれには、軸受用の長孔42aが設けられる。左右一対の長孔42a,42aは、く字状に曲がった互いに同一の形状を有し、屈曲部を上向きにして、取付部材42の左右一対の起立側板部6h,6hに形成されている。
図25に示すように、各長孔42aにおいて、取付部材42の各第1軸受部6aの変形軸受孔6eに近い前端部42bに可動ストッパー部材41の各ストッパー部41dが当接した状態が、可動ストッパー部材41の規制位置P1である。また、各長孔42aにおいて、各第1軸受部6aの変形軸受孔6eから遠い後端部42cに可動ストッパー部材41の各ストッパー部41dが当接した状態が、可動ストッパー部材41の規制解除位置P2である。
図26に示すように、取付部材42には、各第1軸受部6aの周囲に、第1固定ストッパー部42dと、第2固定ストッパー部42eとが形成される。第1固定ストッパー部42dは、各第1軸受部6aの前部から左右外方へ突出させて形成される。一方、第2固定ストッパー部42eは、各第1軸受部6aの変形軸受孔6eの後方位置に段部として形成される。
支持部材44は、図27に示すように、ブラケット7cの第2軸受部7aの外周に、前側係止部44aと、中間係止部44bと、後側係止部44cとを有する。前側係止部44aと後側係止部44cは、ブラケット7cの第2軸受部7aの外周に段部状に形成され、中間係止部44bは、図20に示すように、第2軸受部7aの外周に、左右内方へと折り曲げて形成される。
前記構成において、支持部材44を前方へと回動させると、取付部材42の第1固定ストッパー部42dが支持部材44の前側係止部44aに当接することで、支持部材44の前方への回動角度が、図21に矢印Aで示すように、後方へ水平に寝かせた0度の状態から前方へ70度回動させた状態である前方最大角度に規制される。
また、図22に示すように、可動ストッパー部材41を規制位置P1に位置させて支持部材44を後方へと回動させると、可動ストッパー部材41のストッパー部41dが支持部材44の後側係止部44cに当接することで、支持部材44の後方への回動角度が、前方最大角度から後方へ25度回動させた状態(後方へ水平に寝かせた0度の状態から前方へ45度回動させた状態)である後方中間角度(図21の矢印Bの支持部材の角度)に規制される。
一方、図23に示すように、固定ねじ43を外し、可動ストッパー部材41のシャフト支持板41bを後方へ引き出して可動ストッパー部材41を規制解除位置P2へと変位させると、可動ストッパー部材41のストッパー部41dによる支持部材44の回動規制が解除され、支持部材44の後方への回動角度が後方中間角度を超える後方最大角度にまで拡大される。この後方最大角度は、図21に矢印Cで示すように、支持部材44を後方中間角度から55度だけ後方へ回動させた状態(後方へ水平に寝かせた0度の状態からさらに下方へ10度だけ回動させた状態)である。支持部材44の中間係止部44bが取付部材42の第2固定ストッパー部42eに上から当接することで、支持部材44の後方への回動角度が後方最大角度に規制される。
前記構成によれば、可動ストッパー部材41が規制位置P1にある時には、可動ストッパー部材41の両端のストッパー部41d,41dが、両ヒンジ部8,8を構成する両第2軸受部7a,7a側に同時に当接することで、両第2軸受部7a,7aの回動範囲が所定の角度に規制される。このため、回動範囲の規制時にねじれ等の負荷がヒンジ部8,8間に作用することがない。よって、円滑且つ安定した使用状態が得られる。
一方、可動ストッパー部材41を規制位置P1から規制解除位置P2へと位置変更させると、ストッパー部41d、41dによる両第2軸受部7a,7aの回動範囲の規制が解除される。単一の可動ストッパー部材41を位置変更することで両第2軸受部7a,7aの回動範囲が制御されるので、切換手段40の操作が簡易且つ迅速に行える。また、単一の可動ストッパー部材41を備える構成であるので、構成が簡潔で部品点数も少なくて好適である。
以上の実施例とは逆に、可動ストッパー部材41を支持部材44側に配設し、可動ストッパー部材41と当接する後側係止部44cを取付部材42側に形成することとしてもよい。