JP6975222B2 - 周波数変換装置とその周波数変換方法 - Google Patents
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Description
本発明は、所望の周波数帯の信号を周波数変換する周波数変換装置に関する。
所望の周波数帯の信号を周波数変換する周波数変換装置は、例えば、信号のスペクトラムを解析するスペクトラムアナライザなどに組み込まれ、解析対象の信号をデジタル処理が可能な低い周波数帯に変換するために使用されている。
特許文献1には、導波管のハイパスフィルタ特性を用いて周波数変換時のイメージ成分を除去するミリ波帯の周波数変換装置を用いたスペクトラムアナライザが記載されている。
しかしながら、このような周波数変換装置にあっては、ミリ波帯の無線周波数(RF:Radio Frequency)の信号を周波数変換して中間周波数(IF:Intermediate Frequency)にする系において、中間周波数の経路のアンプの周波数に上限があるため、広帯域な測定周波数範囲の全域にわたって中間周波数を高い周波数に掃引することは困難である。
この対策として、広帯域のアンプを採用すればよいが、このようなアンプは高価であり、また一般に利得や歪特性などの性能面でも不利であるため、安価かつ確実にイメージ成分を除去することが求められている。
そこで、本発明は、広帯域のアンプを使わなくても、無線周波数を高い周波数に掃引することができる周波数変換装置を提供することを目的としている。
本発明の周波数変換装置は、所定の周波数帯の無線信号の所定のカットオフ周波数以下の周波数の信号を遮断するフィルタと、前記フィルタの出力する信号を所定の周波数のローカル信号に基づいて所定の中間周波数帯に変換するミキサと、前記ミキサの出力する信号の所定の上限周波数以下の周波数の信号を増幅するアンプと、前記ローカル信号の前記所定の周波数の高周波側を変換対象信号とし、前記ローカル信号の前記所定の周波数の低周波側をイメージ信号とし、前記中間周波数帯の周波数を低い周波数から高い周波数へ掃引するときに、前記所定の上限周波数まで掃引した場合、前記ローカル信号の前記所定の周波数を高い周波数側へシフトする制御部と、を備えるものである。
この構成により、中間周波数帯の周波数を低い周波数から高い周波数へ掃引し、アンプの上限周波数まで掃引したとき、ローカル信号の周波数が高い周波数側へシフトされる。このため、アンプの上限周波数まで掃引した場合でも、無線周波数を高い周波数に掃引することができる。
また、本発明の周波数変換装置において、前記制御部は、前記中間周波数帯の周波数を前記所定の上限周波数まで掃引した場合、前記ローカル信号の前記所定の周波数を、掃引した周波数の幅を上限値として高い周波数側へシフトするものである。
この構成により、中間周波数帯の周波数を低い周波数から高い周波数へ掃引し、アンプの上限周波数まで掃引したとき、ローカル信号の周波数が掃引した周波数の幅を上限値として高い周波数側へシフトされる。このため、アンプの上限周波数まで掃引した場合でも、中間周波数の掃引範囲を変更することなく、容易に無線周波数を高い周波数に掃引することができる。
また、本発明の周波数変換装置において、前記制御部は、前記中間周波数帯の周波数を前記所定の上限周波数まで掃引した場合、前記ローカル信号の前記所定の周波数を、前記所定のカットオフ周波数と、前記所定の上限周波数に対応するイメージ信号の周波数との差分を上限値として高い周波数側へシフトするものである。
この構成により、中間周波数帯の周波数を低い周波数から高い周波数へ掃引し、アンプの上限周波数まで掃引したとき、ローカル信号の周波数がカットオフ周波数と、上限周波数に対応するイメージ信号の周波数との差分を上限値として高い周波数側へシフトされる。このため、アンプの上限周波数まで掃引した場合でも、確実にイメージ成分を除去して、無線周波数を高い周波数に掃引することができる。
また、本発明の周波数変換方法は、所定の周波数帯の無線信号の所定のカットオフ周波数以下の周波数の信号を遮断するフィルタと、前記フィルタの出力する信号を所定の周波数のローカル信号に基づいて所定の中間周波数帯に変換するミキサと、前記ミキサの出力する信号の所定の上限周波数以下の周波数の信号を増幅するアンプと、を備える周波数変換装置の周波数変換方法であって、前記ローカル信号の前記所定の周波数の高周波側を変換対象信号とし、前記中間周波数帯の周波数を低い周波数から高い周波数へ掃引するステップと、前記所定の上限周波数まで掃引した場合、前記ローカル信号の前記所定の周波数を高い周波数側へシフトして、再度前記中間周波数帯の周波数を低い周波数から高い周波数へ掃引するステップと、を備えるものである。
この構成により、中間周波数帯の周波数を低い周波数から高い周波数へ掃引し、アンプの上限周波数まで掃引したとき、ローカル信号の周波数が高い周波数側へシフトされる。このため、アンプの上限周波数まで掃引した場合でも、無線周波数を高い周波数に掃引することができる。
本発明は、広帯域のアンプを使わなくても、無線周波数を高い周波数に掃引することができる周波数変換装置を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る周波数変換装置について詳細に説明する。
図1において、本発明の一実施形態に係る周波数変換装置を組み込んだスペクトラムアナライザ1は、フィルタとしての導波管2と、ミキサ3と、ローカル信号発生器4と、アンプ5と、スペクトラム検出部6と、表示部7と、操作部8と、制御部9とを含んで構成されている。
導波管2は、入力端子21に入力された解析対象の信号の所定のカットオフ周波数以下の周波数の信号を遮断し、カットオフ周波数より高い周波数の信号を通過させるハイパスフィルタである。
ミキサ3は、導波管2から出力される信号と、所定の周波数のローカル信号とをミキシングして所定の中間周波数帯に変換する。
ローカル信号発生器4は、ミキサ3で使用するローカル信号を生成する。ローカル信号発生器4は、生成するローカル信号の周波数を変更することができる。
アンプ5は、ミキサ3によりミキシングされた信号の所定の周波数帯域を増幅する。アンプ5は、ミキサ3が出力する変換された解析対象の信号の周波数帯域を増幅できるようなものが選択される。
スペクトラム検出部6は、アンプ5の出力信号をデジタル信号に変換し、高速フーリエ変換処理等を行なうことで、入力信号のスペクトラムを求める。
表示部7は、液晶ディスプレイ等の画像表示機器で構成され、スペクトラム検出部6によって検出されたスペクトラムの情報を表示する。表示部7は、例えば、測定周波数を横軸、信号レベルを縦軸とする座標上にスペクトラム波形を表示する。
操作部8は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力機器で構成され、操作入力された情報などを制御部9に出力する。
制御部9は、例えば、コンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置などの不揮発性の記憶媒体と、各種入出力ポートとを有する。
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を制御部9として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、制御部9として機能する。
本実施例において、図2に示すように、入力された信号のローカル信号LOの高い周波数側を解析対象の無線周波数信号RFとすると、入力された信号をそのままミキシングするとローカル信号LOの低い周波数側の信号がイメージ信号Imageとして中間周波数信号IFに現れる。
このイメージ信号Imageを除去するため、制御部9は、イメージ信号Imageの周波数が導波管2のカットオフ周波数より低くなるようにローカル信号LOの周波数と、中間周波数信号IFの周波数を調整する。図中Cで示した曲線が導波管2の特性を示しており、スペクトルがゼロになっている周波数帯域は遮断されることを示している。
ここで、中間周波数信号IFを高周波側にΔf掃引すると、解析対象の無線周波数信号RFも高周波側にΔf掃引される。このとき、イメージ信号Imageは低周波側にΔf掃引される。ただし、中間周波数信号IFは、アンプ5の上限周波数までしか掃引できない。
例えば、60GHzから87GHzの無線周波数信号RFを周波数変換する場合、ローカル信号LOの周波数を54GHz一定として、中間周波数信号IFを6GHzから33GHzまで掃引すれば、イメージ信号Imageの周波数は21GHzから48GHzとなり、カットオフ周波数が48.4GHzの導波管2を用いることでイメージ成分を除去することができる。しかしながら、この場合、6GHzから33GHzを増幅可能な広帯域のアンプ5が必要となる。
本実施形態において、制御部9は、中間周波数信号IFをアンプ5の上限周波数まで掃引した場合、ローカル信号LOの周波数を所定幅だけ高周波側へシフトする。こうすることで、中間周波数信号IFがアンプ5の上限周波数まで達したときの無線周波数信号RFが、アンプ5の上限周波数より低周波数側にシフトする。このため、シフトした周波数幅だけ、更に高周波側に中間周波数信号IFを掃引することができる。
例えば、制御部9は、ローカル信号LOの周波数を、掃引した周波数幅Δfを上限値として高周波側へシフトする。こうすることで、中間周波数信号IFの掃引範囲を変更することなく、容易に無線周波数信号RFを高い周波数に掃引することができる。
なお、ローカル信号LOの周波数を導波管2のカットオフ周波数から中間周波数信号IFがアンプ5の上限周波数まで達したときのイメージ信号Imageの周波数までの周波数幅以上シフトすると、イメージ信号Imageの周波数が導波管2のカットオフ周波数を超えてしまうため、シフトする周波数幅は、この周波数幅より狭くするとよい。こうすることで、確実にイメージ成分を除去して、無線周波数信号RFを高い周波数に掃引することができる。
例えば、前述の例で、60GHzから87GHzの無線周波数信号RFを54GHzのローカル信号LOで周波数変換する場合、アンプ5の上限周波数を20GHzとすると、中間周波数信号IFは、6GHzから20GHzまで(無線周波数信号RFとしては60GHzから74GHz)しか掃引できない。
本実施形態では、中間周波数信号IFの周波数が、アンプ5の上限周波数の20GHzに達した後(無線周波数信号RFとしては74GHz)、ローカル信号LOの周波数を7GHz高周波側へシフトして61GHzとすると、中間周波数信号IFの周波数は、7GHz低周波側にシフトして13GHzとなり、より高い周波数へ掃引できる。このとき、イメージ信号Imageの周波数は48GHzなので、導波管2でイメージ成分を除去することができる。
以上のように構成された本実施形態に係る周波数変換装置による周波数変換時のローカル信号LOの周波数の変更例と、その変更に伴う無線周波数信号RF及びイメージ信号Imageの周波数の変化について、図3を参照して説明する。
図3は、導波管2のカットオフ周波数を48GHzとし、アンプ5の上限周波数を20GHzとしたとき、60GHzから87GHzの無線周波数信号RFを解析する場合の例である。横軸に中間周波数信号IFの周波数、縦軸に無線周波数帯(無線周波数信号RF、ローカル信号LO、イメージ信号Imageを含む周波数帯)の周波数をとっている。
まず、ローカル信号LOの周波数を54GHzとし、中間周波数信号IFを6GHzから20GHzまで掃引すると、無線周波数信号RFは、60GHzから74GHzまで掃引される。このとき、イメージ信号Imageは、48GHzから34GHzまで掃引される。
次いで、ローカル信号LOの周波数を61GHzに7GHz高周波側へシフトすると、中間周波数信号IFを7GHz低周波側へシフトした13GHzから掃引しても、イメージ信号Imageの周波数は、導波管2のカットオフ周波数以下として、中間周波数信号IFの周波数は、アンプ5の上限周波数20GHz以下とすることができる。
ローカル信号LOの周波数を61GHzとし、中間周波数信号IFを13GHzから19GHzまで掃引すると、無線周波数信号RFは、74GHzから80GHzまで掃引される。このとき、イメージ信号Imageは、48GHzから42GHzまで掃引される。
次いで、ローカル信号LOの周波数を64GHzに3GHz高周波側へシフトすると、中間周波数信号IFを3GHz低周波側へシフトした16GHzから掃引しても、イメージ信号Imageの周波数は、導波管2のカットオフ周波数以下として、中間周波数信号IFの周波数は、アンプ5の上限周波数20GHz以下とすることができる。
ローカル信号LOの周波数を64GHzとし、中間周波数信号IFを16GHzから20GHzまで掃引すると、無線周波数信号RFは、80GHzから84GHzまで掃引される。このとき、イメージ信号Imageは、48GHzから44GHzまで掃引される。
次いで、ローカル信号LOの周波数を66GHzに2GHz高周波側へシフトすると、中間周波数信号IFを2GHz低周波側へシフトした18GHzから掃引しても、イメージ信号Imageの周波数は、導波管2のカットオフ周波数以下として、中間周波数信号IFの周波数は、アンプ5の上限周波数20GHz以下とすることができる。
ローカル信号LOの周波数を66GHzとし、中間周波数信号IFを18GHzから20GHzまで掃引すると、無線周波数信号RFは、84GHzから86GHzまで掃引される。このとき、イメージ信号Imageは、48GHzから46GHzまで掃引される。
次いで、ローカル信号LOの周波数を67GHzに1GHz高周波側へシフトすると、中間周波数信号IFを1GHz低周波側へシフトした19GHzから掃引しても、イメージ信号Imageの周波数は、導波管2のカットオフ周波数以下として、中間周波数信号IFの周波数は、アンプ5の上限周波数20GHz以下とすることができる。
ローカル信号LOの周波数を67GHzとし、中間周波数信号IFを19GHzから20GHzまで掃引すると、無線周波数信号RFは、86GHzから87GHzまで掃引される。このとき、イメージ信号Imageは、48GHzから47GHzまで掃引される。
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1 スペクトラムアナライザ
2 導波管(フィルタ)
3 ミキサ
4 ローカル信号発生器
5 アンプ
9 制御部
2 導波管(フィルタ)
3 ミキサ
4 ローカル信号発生器
5 アンプ
9 制御部
Claims (4)
- 所定の周波数帯の無線信号の所定のカットオフ周波数以下の周波数の信号を遮断するフィルタ(2)と、
前記フィルタの出力する信号を所定の周波数のローカル信号に基づいて所定の中間周波数帯に変換するミキサ(3)と、
前記ミキサの出力する信号の所定の上限周波数以下の周波数の信号を増幅するアンプ(5)と、
前記ローカル信号の前記所定の周波数の高周波側を変換対象信号とし、前記ローカル信号の前記所定の周波数の低周波側をイメージ信号とし、前記中間周波数帯の周波数を低い周波数から高い周波数へ掃引するときに、前記所定の上限周波数まで掃引した場合、前記ローカル信号の前記所定の周波数を高い周波数側へシフトする制御部(9)と、を備える周波数変換装置。 - 前記制御部は、前記中間周波数帯の周波数を前記所定の上限周波数まで掃引した場合、前記ローカル信号の前記所定の周波数を、掃引した周波数の幅を上限値として高い周波数側へシフトする請求項1に記載の周波数変換装置。
- 前記制御部は、前記中間周波数帯の周波数を前記所定の上限周波数まで掃引した場合、前記ローカル信号の前記所定の周波数を、前記所定のカットオフ周波数と、前記所定の上限周波数に対応するイメージ信号の周波数との差分を上限値として高い周波数側へシフトする請求項1に記載の周波数変換装置。
- 所定の周波数帯の無線信号の所定のカットオフ周波数以下の周波数の信号を遮断するフィルタ(2)と、前記フィルタの出力する信号を所定の周波数のローカル信号に基づいて所定の中間周波数帯に変換するミキサ(3)と、前記ミキサの出力する信号の所定の上限周波数以下の周波数の信号を増幅するアンプ(5)と、を備える周波数変換装置の周波数変換方法であって、
前記ローカル信号の前記所定の周波数の高周波側を変換対象信号とし、前記中間周波数帯の周波数を低い周波数から高い周波数へ掃引するステップと、
前記所定の上限周波数まで掃引した場合、前記ローカル信号の前記所定の周波数を高い周波数側へシフトして、再度前記中間周波数帯の周波数を低い周波数から高い周波数へ掃引するステップと、を備える周波数変換方法。
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JP2019237777A JP6975222B2 (ja) | 2019-12-27 | 2019-12-27 | 周波数変換装置とその周波数変換方法 |
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