以下に、本発明に係る通貨換算装置、通貨換算方法および通貨換算プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
[1.概要]
例えば、在外子会社を傘下にしているグループ企業等においては、グループ全体の会社間横串で経営数値を比較可能にするために、在外子会社を含めた各会社の通貨を統一した通貨に換算できることが望ましい。
ここで、制度連結会計においては、会計を報告する企業に合わせて単一の通貨(例えば、日本円)に換算できればよいが、グループ管理会計においては、例えば、欧州地域に展開しているグループ企業においては、円相場の影響を受けないように、日本円とは別の通貨(例えば、ユーロ)に換算したい等の需要があった。
しかしながら、このような目的に応じた換算先通貨の使い分けは実現できていないという課題があった。
そこで、本実施形態においては、例えば、欧州地域に展開している企業グループは円相場の影響を受けないように、円とは別の通貨(例えば、ユーロ)に換算する等、目的に応じて換算先の通貨を使い分けることを可能とした。以下、具体的な構成および動作について説明する。
[2.構成]
本発明を包含する通貨換算装置100の構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、通貨換算装置100の構成の一例を示すブロック図である。
通貨換算装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、通貨換算装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
通貨換算装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。通貨換算装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、通貨換算装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、通貨換算装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
記憶部106は、例えば、抽出対象データ106aと、外貨総勘定科目分類マスタ106bと、総勘定科目マスタとしての外貨総勘定科目マスタ106cと、通貨マスタ106dと、為替レート種類マスタ106eと、為替レートマスタ106fと、換算パターンマスタとしての外貨換算パターンマスタ106gと、会社マスタ106hと、を備えている。
本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、第一の通貨による金額を第二の通貨による金額に換算することができる。前記第一の通貨および前記第二の通貨の組合せは、前記第一の通貨と前記第二の通貨とが異なる種類の通貨であれば特に制限されないが、例えば、(第一の通貨、第二の通貨)=(外貨、邦貨)および(外貨、外貨)等である。前記邦貨とは、日本円のことである。前記外貨とは、例えば、ドルやポンドやユーロ等の邦貨以外の通貨のことである。
本実施形態に係る処理の概要について、図2を用いて説明する。従来、在外子会社の第一の通貨(例えば、外貨)による金額を第二の通貨(例えば、邦貨)による金額に換算する際には、図2の「邦貨データ収集」の2つの矢印に示すように、外貨を邦貨に換算した上で、日本にある本社に換算後の邦貨データを収集していた。このため、任意の為替レートを用いて外貨を邦貨に換算することはできなかった。これに対して、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、図2の「外貨建て(換算なし) データ収集」の矢印に示すように、外貨データを邦貨に換算せずそのまま日本にある本社に収集する。このため、任意の為替レートを用いて外貨を邦貨に換算することができる。
そして、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、第二の通貨(例えば、邦貨)に換算せずそのまま収集した第一の通貨(例えば、外貨)を、以下のようにして、第二の通貨(例えば、邦貨)に換算することができる。すなわち、例えば、外貨総勘定科目分類は換算対象となる外貨金額と紐付いており、一方で、為替レート種類は外貨の換算に用いる為替レートと紐付いている。また、外貨換算パターンは、図2に示すように、外貨総勘定科目分類と為替レート種類の組合せを指定するための情報である。このため、オペレータが、所望の外貨換算パターンを指定すれば、所望の外貨金額を所望の為替レートを用いて邦貨に換算し、管理帳票を作成することができる。
以下、各データおよび各マスタにおける内容について、詳細に説明する。なお、以下の説明において、かっこ中の文字は、図中での表記を意味している。
抽出対象データ106aは、例えば、抽出対象となる第一の通貨による金額を管理するためのデータである。抽出対象データ106aは、図4に示すように、例えば、会社識別データ(会社名)、勘定科目を識別するための総勘定科目識別データ(総勘定科目)、第一の通貨による金額および前記金額が発生する予定のまたは発生した年月(個社会計年月)等を含む。前記金額としては、例えば、第一の通貨による予定額(金額(予算))および第一の通貨による実績額(金額(実績))の2種類があげられる。図4の抽出対象データ106aに示すように、勘定科目「売上」を識別するための総勘定科目識別データとして「5000:売上」が振られ、勘定科目「現金」を識別するための総勘定科目識別データとして「1000:現金」が振られている。
外貨総勘定科目分類マスタ106bは、図3に示すように、例えば、外貨科目の分類を管理するためのマスタである。外貨総勘定科目分類マスタ106bは、図4に示すように、例えば、勘定科目についての仕訳上の分類を識別するための総勘定科目分類識別データ(外貨総勘定科目分類コードおよび外貨総勘定科目分類名)等を含む。
外貨総勘定科目マスタ106cは、図3に示すように、例えば、総勘定科目と外貨総勘定科目分類の組合せを管理するためのマスタである。外貨総勘定科目マスタ106cは、図4に示すように、例えば、総勘定科目識別データ(総勘定科目コード)および総勘定科目分類識別データ(外貨総勘定科目分類コード)等を含む。図4の外貨総勘定科目マスタ106cに示すように、勘定科目「売上」に対しては、「001:P/L収益費用」の総勘定科目分類識別データが振られ、勘定科目「現金」に対しては、「002:B/S資産負債」の総勘定科目分類識別データが振られている。
通貨マスタ106dは、図3に示すように、例えば、在外子会社で扱う通貨情報を管理するためのマスタである。通貨マスタ106dは、図4に示すように、例えば、第一の通貨の種類を識別するための通貨識別データ(通貨コードおよび通貨名)ならびに端数区分等を含む。端数区分は、換算結果の金額の小数点以下に対して行う処理を表す区分であり、例えば、「0:(小数点以下を)切り捨て」、「1:(小数点以下を)切り上げ」および「2:(小数点以下を)四捨五入」等があげられる。
為替レート種類マスタ106eは、図3に示すように、例えば、使用する為替レートの種類を管理するためのマスタである。為替レート種類マスタ106eは、図4に示すように、例えば、第一の通貨による金額を第二の通貨による金額に換算する際に用いる為替レートに対応する為替レート種類識別データ(為替レート種類コードおよび為替レート種類名)等を含む。
為替レートマスタ106fは、図3に示すように、例えば、通貨と為替レート種類の組合せおよび当該組合せに対応する為替レートを管理するためのマスタである。為替レートマスタ106fは、図4に示すように、例えば、通貨識別データ(通貨コード)、第一の通貨による金額を第二の通貨による金額に換算する際に用いる為替レート、為替レートに対応する為替レート種類識別データ(為替レート種類コード)および為替レートの適用開始日等を含む。為替レートは、例えば、期中平均レート、決算時レート、月次確定レート、月次予想レート、予想高値レート、予想安値レート、予想平均レート、邦貨換算レートおよびユーロ換算レートの9種類からなる群から選択される少なくとも1つの為替レートである。なお、以下の説明においては、月次確定レートを月次レート(確定)と表記することがあり、月次予想レートを月次レート(予想)と表記することがある。以下、当該9種類の為替レートの意味および算出方法について具体的に説明する。
期中平均レートは、複数の過去の月からなる期間における平均の為替レートである。期中平均レートを算出するための方法は特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、前記期間が第一四半期(4月〜6月)の3か月間である場合には、4月〜6月それぞれの月次末レートを合計して月数である3で割った値を期中平均レートとしてもよいし、あるいは、銀行等が発表する4月〜6月それぞれの平均レートを合計して月数である3で割った値を期中平均レートとしてもよい。なお、前記期間の決め方としては、例えば、本段落で示したように各四半期を1つの前記期間とする四半期単位積上げ方式(例:第一四半期=4月〜6月、第二四半期=7月〜9月、第三四半期=10月〜12月、第四四半期=翌1月〜翌3月)と、期首から各四半期末までの累計期間を1つの前記期間とする累計差額方式(例:第一四半期=4月〜6月、第二四半期=4月〜9月、第三四半期=4月〜12月、第四四半期=4月〜翌3月)と、があるが、いずれの方式を採用してもよい。期中平均レートは、一般的に、収益費用科目および当期純利益科目等に適用することが多い(ただし、次段落で述べる決算時レートも、これらの科目に適用することは容認されている)。
決算時レートは、複数の過去の月からなる期間における末日時点の為替レートである。決算時レートを算出するための方法は特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、前記期間が第一四半期(4月〜6月)である場合には、6月の末日の為替レートが決算時レートとなり、また、前記期間が第四四半期(翌1月〜翌3月)である場合には、翌3月の末日の為替レート(すなわち年度末の為替レート)が決算時レートとなる。決算時レートは、一般的に、資産負債科目等に適用することが多い(ただし、決算時レートは、収益費用科目および当期純利益科目等に適用することもできる)。
月次確定レートは、過去の月における確定した為替レートである。例えば、前記過去の月が4月である場合、4月中のすべての日の為替レートの合計を4月の日数である30日で割った値を月次確定レートとしてもよいし、あるいは、銀行等が発表した月中平均レートを月次確定レートとしてもよい。なお、前述の期中平均レートおよび決算時レートは、前記期間が経過するまで(各決算報告の月が経過するまで)確定しないレートであるのに対して、月次確定レートは、各月終了時点で確定するレートである。
月次予想レートは、将来の月における予想の為替レートである。月次予想レートは、例えば、次段落以降で説明する予想高値レート、予想安値レートおよび予想平均レートからなる群から選択される少なくとも1つの為替レートである。月次予想レートを算出するための方法は特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、過去の為替変動を分析して各社独自の見積もりで予想した為替レートを月次予想レートとしてもよいし、あるいは、銀行等が発表する経済見通しの予測為替データを月次予想レートとしてもよい。
予想高値レートは、将来の月における最も高い予想為替レートである。例えば、前記将来の月が7月である場合、7月中において最も高いと予想される為替レートが、予想高値レートとなる。
予想安値レートは、将来の月における最も安い予想為替レートである。例えば、前記将来の月が7月である場合、7月中において最も安いと予想される為替レートが、予想安値レートとなる。
予想平均レートは、前記予想高値レートと前記予想安値レートの平均の為替レートである。
邦貨換算レートは、第一の通貨が外貨であり、第二の通貨が日本円(すなわち邦貨)である場合に、外貨による金額を邦貨による金額に換算する際に用いる為替レートである。例えば、イギリスポンド(GBP)/邦貨(JPY)=XXXである場合、1ポンド=XXX円として、イギリスポンドから邦貨への換算を行うこととなる。なお、邦貨換算レートとしては、期中平均レート、決算時レート、月次確定レート、月次予想レート、予想高値レート、予想安値レートおよび予想平均レートのいずれを用いてもよい。
ユーロ換算レートは、第一の通貨がユーロ以外の通貨であり、第二の通貨がユーロである場合に、ユーロ以外の通貨による金額をユーロによる金額に換算する際に用いる為替レートである。例えば、イギリスポンド(GBP)/ユーロ(EUR)=XXXである場合、1ポンド=XXXユーロとして、イギリスポンドからユーロへの換算を行うこととなる。なお、ユーロ換算レートとしては、期中平均レート、決算時レート、月次確定レート、月次予想レート、予想高値レート、予想安値レートおよび予想平均レートのいずれを用いてもよい。
外貨換算パターンマスタ106gは、図3に示すように、例えば、外貨総勘定科目分類名と為替レート種類の組合せから、帳票出力時の換算パターンを決定および保持するためのマスタである。外貨換算パターンマスタ106gは、図4に示すように、例えば、総勘定科目分類識別データ(外貨総勘定科目分類コード)、為替レート種類識別データ(為替レート種類コード)およびこれらの組合せを識別するための換算パターン(外貨換算パターン)等を含む。詳細は以下の[3.処理の具体例]で説明するが、オペレータは、所望の外貨換算パターンを指定することにより、所望の外貨総勘定科目分類コードおよび所望の為替レート種類コードの組合せを取得し、この結果、所望の第一の通貨による金額を所望の為替レートを用いて換算することができる。
会社マスタ106hは、例えば、会社情報を管理するためのマスタである。会社マスタ106hは、図4に示すように、例えば、会社識別データ(会社名)および通貨識別データ(通貨コード)等を含む。会社識別データで特定される会社は、例えば、グループ企業内における在外子会社であることが好ましい。図4の会社マスタ106hにおいては、米国の在外子会社である「○○インスツルメンツ」について、ドルを意味する通貨コード「USD」が設定されている。また、図8の会社マスタ106hにおいては、英国の在外子会社である「英○○インスツルメンツ」について、ポンドを意味する通貨コード「GBP」が設定されている。
制御部102は、通貨換算装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記換算パターンマスタを参照して、指定された換算パターンと紐付く総勘定科目分類識別データおよび為替レート種類識別データを取得する科目分類等取得手段としての科目分類等取得部102aと、(2)前記総勘定科目マスタを参照して、前記科目分類等取得手段で取得した前記総勘定科目分類識別データと紐付く総勘定科目識別データを取得する科目取得手段としての科目取得部102bと、(3)前記抽出対象データを参照して、指定された期間に属する前記年月および指定された会社識別データならびに前記科目取得手段で取得した前記総勘定科目識別データと紐付く第一の通貨による金額を取得する金額取得手段としての金額取得部102cと、(4)前記抽出対象データを参照して、指定された期間に属する前記年月および指定された会社識別データならびに前記科目取得手段で取得した前記総勘定科目識別データと紐付く外貨による予定額を取得する予定額取得手段としての予定額取得部102c1と、(5)前記抽出対象データを参照して、指定された期間に属する前記年月および指定された会社識別データならびに前記科目取得手段で取得した前記総勘定科目識別データと紐付く第一の通貨による金額を取得する金額取得手段としての金額取得部102c2と、(6)前記抽出対象データを参照して、指定された期間に属する前記年月および指定された会社識別データならびに前記科目取得手段で取得した前記総勘定科目識別データと紐付く外貨による実績額を取得する実績額取得手段としての実績額取得部102c3と、(7)前記抽出対象データを参照して、指定された期間に属する前記年月および指定された会社識別データならびに前記科目取得手段で取得した前記総勘定科目識別データと紐付く外貨による実績額および外貨による予定額を取得する金額取得手段としての金額取得部102c4と、(8)前記為替レートマスタを参照して、前記指定された期間に属する前記適用開始日および前記科目分類等取得手段で取得した前記為替レート種類識別データと紐付く為替レートを取得する為替レート取得手段としての為替レート取得部102dと、(9)前記為替レートマスタを参照して、前記指定された期間に属する前記適用開始日および前記科目分類等取得手段で取得した前記為替レート種類識別データと紐付く為替レートを取得する為替レート取得手段としての為替レート取得部102d1と、(10)前記為替レートマスタを参照して、前記指定された期間に属する前記適用開始日および前記科目分類等取得手段で取得した前記為替レート種類識別データと紐付く為替レートを取得する為替レート取得手段としての為替レート取得部102d2と、(11)前記為替レートマスタを参照して、前記指定された期間に属する前記適用開始日および前記科目分類等取得手段で取得した前記為替レート種類識別データと紐付く為替レートを取得する為替レート取得手段としての為替レート取得部102d3と、(12)前記為替レートマスタを参照して、前記指定された期間に属する前記適用開始日および前記科目分類等取得手段で取得した前記為替レート種類識別データと紐付く月次確定レートおよび月次予想レートを取得する為替レート取得手段としての為替レート取得部102d4と、(13)前記金額取得手段で取得した前記第一の通貨による金額に、前記為替レート取得手段で取得した前記為替レートを乗じることにより、前記第一の通貨による金額を前記第二の通貨による金額に換算する換算手段としての換算部102eと、(14)前記予定額取得手段で取得した前記外貨による予定額に、前記為替レート取得手段で取得した前記為替レートを乗じることにより、前記外貨による予定額を日本円による金額に換算する換算手段としての換算部102e1と、(15)前記金額取得手段で取得した前記第一の通貨による金額に、前記為替レート取得手段で取得した前記為替レートを乗じることにより、前記第一の通貨による金額を前記第二の通貨による金額に換算する換算手段としての換算部102e2と、(16)前記実績額取得手段で取得した前記外貨による実績額に、前記為替レート取得手段で取得した前記為替レートを乗じることにより、前記外貨による実績額を日本円による金額に換算する換算手段としての換算部102e3と、(17)前記金額取得手段で取得した金額と紐付く前記抽出対象データに含まれる前記年月が、指定された基準日が属する年月以前である場合には、当該取得した金額である外貨による実績額に前記為替レート取得手段で取得した月次確定レートを乗じることにより、前記外貨による実績額を日本円による金額に換算し、前記金額取得手段で取得した金額と紐付く前記抽出対象データに含まれる前記年月が、指定された基準日が属する年月より後である場合には、当該取得した金額である外貨による予定額に前記為替レート取得手段で取得した月次予想レートを乗じることにより、前記外貨による予定額を日本円による金額に換算する換算手段としての換算部102e4と、(18)前記会社マスタを参照して、前記指定された会社識別データと紐付く通貨識別データを取得する通貨取得手段としての通貨取得部102fと、(19)前記換算手段で換算した金額を画面上に表示する表示実行手段としての表示実行部102gと、(20)前記換算手段で換算した金額が記載された帳票を作成する帳票作成手段としての帳票作成部102hと、を備えている。なお、各部が実行する処理の詳細については、以下の[3.処理の具体例]で説明する。
[3.処理の具体例]
以下、本実施形態に係る処理の具体例について、詳細に説明する。本実施形態に係る処理は、為替変動リスクの予測シミュレーション機能、複数通貨への通貨換算シミュレーション機能、月次の外貨換算シミュレーション機能および将来予算の外貨換算シミュレーション機能の4つに大別することができるため、以下、この順で項目立てて説明する。
[3−1.為替変動リスクの予測シミュレーション機能]
最初に、為替変動リスクの予測シミュレーション機能について、図4〜図7を用いて詳細に説明する。なお、本項目[3−1]においては、グループ企業内における米国の在外子会社である○○インスツルメンツの第一の通貨(ドル)による金額(売上予定額)を、第二の通貨(日本円)による金額(売上予定額)に換算するという場面を想定している。
本項目[3−1]においては、図4に示すサンプルデータから、図5に示す抽出条件(オペレータが、帳票出力等のタイミングで換算を行う際に設定する抽出条件)に基づいて、図6に示すデータ(出力イメージ)が抽出される場合について説明をする。
(1)科目分類等取得処理
科目分類等取得部102aは、外貨換算パターンマスタ106gを参照して、指定された換算パターン(外貨換算パターン)と紐付く総勘定科目分類識別データ(外貨総勘定科目分類コード)および為替レート種類識別データ(為替レート種類コード)を取得する。
具体的には、指定された外貨換算パターンは、図5に示すように、「300 為替変動予想パターン(予想高値レート)」、「310 為替変動予想パターン(予想安値レート)」および「320 為替変動予想パターン(予想平均レート)」の3つである。以下においては説明を簡便にするため、これら3つのうち、「300 為替変動予想パターン(予想高値レート)」が指定された場合の処理についてのみ、具体的に説明する。
図4の外貨換算パターンマスタ106gを参照すると、指定された外貨換算パターン「300 為替変動予想パターン(予想高値レート)」と紐付く外貨総勘定科目分類コードは、001および002である。また、図4の外貨換算パターンマスタ106gを参照すると、指定された外貨換算パターン「300 為替変動予想パターン(予想高値レート)」と紐付く為替レート種類コードは、005である。
以上より、科目分類等取得部102aは、図6の外貨換算パターンマスタ106gに示すように、外貨総勘定科目分類コードとして001および002を取得し、為替レート種類コードとして005を取得する。なお、外貨総勘定科目分類コード001および002は、それぞれ、P/L収益費用およびB/S資産負債に対応しており、為替レート種類コード005は、予想高値レートに対応している。
(2)科目取得処理
科目取得部102bは、外貨総勘定科目マスタ106cを参照して、科目分類等取得部102aで取得した総勘定科目分類識別データ(外貨総勘定科目分類コード)と紐付く総勘定科目識別データ(総勘定科目コード)を取得する。
具体的には、図4の外貨総勘定科目マスタ106cを参照すると、科目分類等取得部102aで取得した外貨総勘定科目分類コード001および002と紐付く総勘定科目コードは、それぞれ、5000および1000であることがわかる。
以上より、科目取得部102bは、総勘定科目コードとして5000および1000を取得するが、本項目[3−1]においては、冒頭で説明したように、売上予定額を見ることを目的としているため、「売上」に対応する総勘定科目コード5000を取得した場合についてのみ、以下具体的に説明する。このため、図6の外貨総勘定科目マスタ106cには、科目取得部102bで取得した総勘定科目コード5000および1000のうち、5000のみ示している。
(3)予定額取得処理
予定額取得部102c1は、抽出対象データ106aを参照して、指定された期間に属する年月(個社会計年月)および指定された会社識別データ(会社名)ならびに科目取得部102bで取得した総勘定科目識別データ(総勘定科目コード)と紐付く外貨による予定額(金額(予算))を取得する。
具体的には、指定された期間は、図5に示すように、「対象期間:2017/07/01〜2017/09/30」であるため、当該期間に属する個社会計年月は、2017/07、2017/08および2017/09である。また、指定された会社名は、図5に示すように、「組織指定:○○インスツルメンツ」である。そして、科目取得部102bで取得した総勘定科目コードは、5000である。
図4の抽出対象データ106aを参照すると、個社会計年月2017/07、2017/08または2017/09と紐付き、かつ、会社名○○インスツルメンツと紐付き、かつ、総勘定科目コード5000と紐付く金額(予算)は、30500ドル、30100ドルおよび29800ドルの3つの金額である。
以上より、予定額取得部102c1は、図6の抽出対象データ106aに示すように、金額(予算)として30500ドル(2017/07の金額)、30100ドル(2017/08の金額)および29800ドル(2017/09の金額)を取得する。
(4)為替レート取得処理
為替レート取得部102d1は、為替レートマスタ106fを参照して、指定された期間に属する適用開始日および科目分類等取得部102aで取得した為替レート種類識別データ(為替レート種類コード)と紐付く為替レートを取得する。
具体的には、指定された期間は、図5に示すように、「対象期間:2017/07/01〜2017/09/30」であるため、当該指定された期間に属する適用開始日は、図4に示す為替レートマスタ106fにおいて、2017/07/01、2017/08/01および2017/09/01の3つとなる。また、科目分類等取得部102aで取得した為替レート種類コードは、(1)で説明したように、005である。
図4の為替レートマスタ106fを参照すると、適用開始日2017/07/01、2017/08/01または2017/09/01と紐付き、かつ、為替レート種類コード005と紐付く為替レートは、118.0円/ドル、119.0円/ドルおよび120.0円/ドルの3つである。
以上より、為替レート取得部102d1は、図6の為替レートマスタ106fに示すように、予想高値レートとして118.0円/ドル(2017/07/01が適用開始日の為替レート)、119.0円/ドル(2017/08/01が適用開始日の為替レート)および120.0円/ドル(2017/09/01が適用開始日の為替レート)を取得する。
(4)´通貨取得処理
為替レート取得部102d1は、以下のようにして、為替レートマスタ106fから所定の通貨についての為替レートのみを取得することもできる。
まず、通貨取得部102fは、会社マスタ106hを参照して、指定された会社識別データ(会社名)と紐付く通貨識別データ(通貨コード)を取得する。
具体的には、指定された会社名は、図5に示すように、「組織指定:○○インスツルメンツ」である。図4の会社マスタ106hを参照すると、会社名○○インスツルメンツと紐付く通貨コードは、USDである。このため、通貨取得部102fは、通貨コードとして、USDを取得する。
次に、為替レート取得部102d1は、通貨取得部102fで取得した通貨識別データ(通貨コード)と紐付く為替レートを取得する。
具体的には、通貨取得部102fで取得した通貨コードは、USDである。図4の為替レートマスタ106fにおいて、118.0円/ドル、119.0円/ドルおよび120.0円/ドルはすべて通貨コードがUSDであるため、為替レート取得部102d1はこれらすべてのドルを取得することとなる。しかしながら、図示していないが、仮に、図4の為替レートマスタ106fに、130円/ユーロという為替レートが含まれる場合、為替レート取得部102d1は、130円/ユーロを取得せずに、118.0円/ドル、119.0円/ドルおよび120.0円/ドルのみを取得することができる。
(5)換算処理
換算部102e1は、予定額取得部102c1で取得した外貨による予定額(金額(予算))に、為替レート取得部102d1で取得した為替レートを乗じることにより、外貨による予定額(金額(予算))を日本円による金額に換算する。
具体的には、予定額取得部102c1で取得した金額(予算)は、(3)で説明したように、30500ドル(2017/07の金額)、30100ドル(2017/08の金額)および29800ドル(2017/09の金額)である。また、為替レート取得部102d1で取得した予想高値レートは、(4)で説明したように、118.0円/ドル(2017/07/01が適用開始日の為替レート)、119.0円/ドル(2017/08/01が適用開始日の為替レート)および120.0円/ドル(2017/09/01が適用開始日の為替レート)である。
換算部102e1は、前段落の数値を用いて、金額(予算)×予想高値レートという計算により、予想最高売上額を以下のようにして算出する。すなわち、換算部102e1は、2017年7月の予想最高売上額を30500ドル×118.0円/ドル=3,599,000円と算出し、2017年8月の予想最高売上額を30100ドル×119.0円/ドル=3,581,900円と算出し、2017年9月の予想最高売上額を29800ドル×120.0円/ドル=3,576,000円と算出する。
以上、外貨換算パターンとして「300 為替変動予想パターン(予想高値レート)」が指定された場合について具体的に説明してきたが、図5の画面において外貨換算パターンとして指定されている「310 為替変動予想パターン(予想安値レート)」についても、(1)〜(4)と同様の処理を実行することにより、金額(予算)および予想安値レートを取得することができる。そして、換算部102e1は、金額(予算)×予想安値レートという計算式により、予想最低売上額を以下のようにして算出する。すなわち、換算部102e1は、2017年7月の予想最低売上額を30500ドル×107.9円/ドル=3,290,950円と算出し、2017年8月の予想最低売上額を30100ドル×106.9円/ドル=3,217,690円と算出し、2017年9月の予想最低売上額を29800ドル×106.1円/ドル=3,161,780円と算出する。
また、図5の画面において外貨換算パターンとして指定されている「320 為替変動予想パターン(予想平均レート)」についても、(1)〜(4)と同様の処理を実行することにより、金額(予算)および予想平均レートを取得することができる。そして、換算部102e1は、金額(予算)×予想平均レートという計算式により、予想平均売上額を以下のようにして算出する。すなわち、換算部102e1は、2017年7月の予想平均売上額を30500ドル×112.95円/ドル=3,444,975円と算出し、2017年8月の予想平均売上額を30100ドル×112.95円/ドル=3,399,795円と算出し、2017年9月の予想平均売上額を29800ドル×113.05円/ドル=3,368,890円と算出する。
以上説明した2017年7月〜9月それぞれの予想最高売上額、予想最低売上額および予想平均売上額をまとめた表およびグラフを、図7に示す。
(6)表示実行処理
表示実行部102gは、換算部102e1で換算した金額を画面上に表示する。
具体的には、表示実行部102gは、図7に示す表およびグラフを、画面上に表示する。これにより、オペレータは、換算結果を容易かつ迅速に把握することができる。
(7)帳票作成処理
帳票作成部102hは、換算部102e1で換算した金額が記載された帳票を作成する。
具体的には、帳票作成部102hは、図7に示す表およびグラフにおける金額が記載された帳票を作成する。これにより、オペレータは、換算結果を帳票により把握することができる。
(8)効果
このように、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、外貨による予定額を日本円による金額に容易に換算できる。
また、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、例えば、為替レートマスタ106fに含まれる為替レートが、予想高値レートと予想安値レートと予想平均レートとからなる群から選択される少なくとも2つの為替レートである場合、複数種類の為替レートを用いて算出した複数種類の換算結果を比較することができる。例えば、予想高値レート、予想安値レートおよび予想平均レートの3つすべての為替レートを用いれば、図7に示すように、予想最高売上額と予想最低売上額と予想平均売上額の比較を行うことができるし、あるいは、予想高値レートおよび予想安値レートの2つの為替レートを用いれば、予想最高売上額と予想最低売上額の比較を行うことができる。
そして、グループ管理会計においては、期中時点で将来予算の数値を換算して為替変動による業績変動を予測したいという要望が従来からあったものの、以下の理由により実現できていなかった。すなわち、従来の制度連結会計においては、科目の種類(PL収益費用、BS資産負債およびBS純資産等)によって為替レートの種類(期中平均レート、決算時レートおよび取引時レート等)を区別して換算を行っていたが、換算用のレートを前記科目ごとに1種類しか持てず、将来予算に対しては為替レートが変動するため正確な予測が難しかったためである。
これに対して、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、例えば、以下の(A)〜(C)の特徴を有することにより、在外子会社の外貨による金額を、複数の予測レート(予想高値レートおよび予想安値レート等)を用いて換算し、換算結果を比較し、これにより、将来の為替変動リスクを分析することが可能となった。
(A)通貨マスタ106dにおける通貨と為替レート種類マスタ106eにおける為替レート種類の組合せにより、換算レート(予想高値レート、予想安値レートおよび予想平均レート等)を保持する。
(B)外貨用の総勘定科目をまとめる外貨総勘定科目分類(PL収益費用、BS資産負債およびBS純資産等)を外貨総勘定科目分類マスタ106bに保持する。
(C)為替レート種類と外貨総勘定科目分類の任意の組合せを、外貨換算パターンとして外貨換算パターンマスタ106gに保持する。
そして、帳票出力時に、(C)における任意の外貨換算パターンを指定して換算を行い、出力結果の比較および差異分析を行うことができる。
[3−2.複数通貨への通貨換算シミュレーション機能]
次に、複数通貨への通貨換算シミュレーション機能について、図8〜図11を用いて詳細に説明する。なお、本項目[3−2]においては、グループ企業内における英国の在外子会社である英○○インスツルメンツの第一の通貨(ポンド)による金額(売上実績額)を、第二の通貨(日本円またはユーロ)による金額(売上実績額)に換算するという場面を想定している。
本項目[3−2]においては、図8に示すサンプルデータから、図9に示す抽出条件(オペレータが、帳票出力等のタイミングで換算を行う際に設定する抽出条件)に基づいて、図10に示すデータ(出力イメージ)が抽出される場合について説明をする。
(1)科目分類等取得処理
科目分類等取得部102aは、外貨換算パターンマスタ106gを参照して、指定された換算パターン(外貨換算パターン)と紐付く総勘定科目分類識別データ(外貨総勘定科目分類コード)および為替レート種類識別データ(為替レート種類コード)を取得する。
具体的には、指定された外貨換算パターンは、図9に示すように、「400 邦貨換算パターン」および「410 ユーロ換算パターン」である。以下においては説明を簡便にするため、これら2つのうち、「400 邦貨換算パターン」が指定された場合の処理についてのみ、具体的に説明する。
図8の外貨換算パターンマスタ106gを参照すると、指定された外貨換算パターン「400 邦貨換算パターン」と紐付く外貨総勘定科目分類コードは、001および002である。また、図8の外貨換算パターンマスタ106gを参照すると、指定された外貨換算パターン「400 邦貨換算パターン」と紐付く為替レート種類コードは、008である。
以上より、科目分類等取得部102aは、図10の外貨換算パターンマスタ106gに示すように、外貨総勘定科目分類コードとして001および002を取得し、為替レート種類コードとして008を取得する。なお、外貨総勘定科目分類コード001および002は、それぞれ、P/L収益費用およびB/S資産負債に対応しており、為替レート種類コード008は、邦貨換算レートに対応している。
(2)科目取得処理
科目取得部102bは、外貨総勘定科目マスタ106cを参照して、科目分類等取得部102aで取得した総勘定科目分類識別データ(外貨総勘定科目分類コード)と紐付く総勘定科目識別データ(総勘定科目コード)を取得する。
具体的には、図8の外貨総勘定科目マスタ106cを参照すると、科目分類等取得部102aで取得した外貨総勘定科目分類コード001および002と紐付く総勘定科目コードは、それぞれ、5000および1000であることがわかる。
以上より、科目取得部102bは、総勘定科目コードとして5000および1000を取得するが、本項目[3−2]においては、冒頭で説明したように、売上実績額を見ることを目的としているため、「売上」に対応する総勘定科目コード5000を取得した場合についてのみ、以下具体的に説明する。このため、図10の外貨総勘定科目マスタ106cには、科目取得部102bで取得した総勘定科目コード5000および1000のうち、5000のみ示している。
(3)金額取得処理
金額取得部102c2は、抽出対象データ106aを参照して、指定された期間に属する年月(個社会計年月)および指定された会社識別データ(会社名)ならびに科目取得部102bで取得した総勘定科目識別データ(総勘定科目コード)と紐付く第一の通貨による金額を取得する。
具体的には、指定された期間は、図9に示すように、「対象期間:2017/04/01〜2017/06/30」であるため、当該期間に属する個社会計年月は、2017/04、2017/05および2017/06である。また、指定された会社名は、図9に示すように、「組織指定:英○○インスツルメンツ」である。そして、科目取得部102bで取得した総勘定科目コードは、5000である。更に、指定された金額の区分は、図9に示すように、「予算実績データ指定:実績」である。
図8の抽出対象データ106aを参照すると、個社会計年月2017/04、2017/05または2017/06と紐付き、かつ、会社名である英○○インスツルメンツと紐付き、かつ、総勘定科目コード5000と紐付く金額(実績)は、29654.3ポンド、28959.2ポンドおよび29421.7ポンドの3つの金額である。
以上より、金額取得部102c2は、図10の抽出対象データ106aに示すように、金額(実績)として29654.3ポンド(2017/04の金額)、28959.2ポンド(2017/05の金額)および29421.7ポンド(2017/06の金額)を取得する。
(4)為替レート取得処理
為替レート取得部102d2は、為替レートマスタ106fを参照して、指定された期間に属する適用開始日および科目分類等取得部102aで取得した為替レート種類識別データ(為替レート種類コード)と紐付く為替レートを取得する。
具体的には、指定された期間は、図9に示すように、「対象期間:2017/04/01〜2017/06/30」であるため、当該指定された期間に属する適用開始日は、図8に示す為替レートマスタ106fにおいて、2017/04/01、2017/05/01および2017/06/01の3つとなる。また、科目分類等取得部102aで取得した為替レート種類コードは、(1)で説明したように、008である。
図8の為替レートマスタ106fを参照すると、適用開始日2017/04/01、2017/05/01または2017/06/01と紐付き、かつ、為替レート種類コード008と紐付く為替レートは、135.267円/ポンド、140.55円/ポンドおよび120.36円/ポンドの3つである。
以上より、為替レート取得部102d2は、図10の為替レートマスタ106fに示すように、邦貨換算レートとして135.267円/ポンド(2017/04/01が適用開始日の為替レート)、140.55円/ポンド(2017/05/01が適用開始日の為替レート)および120.36円/ポンド(2017/06/01が適用開始日の為替レート)を取得する。
(4)´通貨取得処理
為替レート取得部102d2は、以下のようにして、為替レートマスタ106fから所定の通貨についての為替レートのみを取得することもできる。
まず、通貨取得部102fは、会社マスタ106hを参照して、指定された会社識別データ(会社名)と紐付く通貨識別データ(通貨コード)を取得する。
具体的には、指定された会社名は、図9に示すように、「組織指定:英○○インスツルメンツ」である。図8の会社マスタ106hを参照すると、会社名である英○○インスツルメンツと紐付く通貨コードは、GBPである。このため、通貨取得部102fは、通貨コードとして、GBPを取得する。
次に、為替レート取得部102d2は、通貨取得部102fで取得した通貨識別データ(通貨コード)と紐付く為替レートを取得する。
具体的には、通貨取得部102fで取得した通貨コードは、GBPである。図8の為替レートマスタ106fにおいて、135.267円/ポンド、140.55円/ポンドおよび120.36円/ポンドはすべて通貨コードがGBPであるため、為替レート取得部102d2はこれらすべてのポンドを取得することとなる。しかしながら、図示していないが、仮に、図8の為替レートマスタ106fに、130円/ドルという為替レートが含まれる場合、為替レート取得部102d2は、130円/ドルを取得せずに、135.267円/ポンド、140.55円/ポンドおよび120.36円/ポンドのみを取得することができる。
(5)換算処理
換算部102e2は、金額取得部102c2で取得した第一の通貨(ポンド)による金額(売上実績額)に、為替レート取得部102d2で取得した為替レートを乗じることにより、第一の通貨(ポンド)による金額(売上実績額)を第二の通貨(日本円)による金額(売上実績額)に換算する。
具体的には、金額取得部102c2で取得したポンドによる売上実績額は、(3)で説明したように、29654.3ポンド(2017/04の金額)、28959.2ポンド(2017/05の金額)および29421.7ポンド(2017/06の金額)である。また、為替レート取得部102d2で取得した邦貨換算レートは、(4)で説明したように、135.267円/ポンド(2017/04/01が適用開始日の為替レート)、140.55円/ポンド(2017/05/01が適用開始日の為替レート)および120.36円/ポンド(2017/06/01が適用開始日の為替レート)である。
換算部102e2は、前段落の数値を用いて、ポンドによる売上実績額×邦貨換算レートという計算式により、日本円による売上実績額を以下のようにして算出する。すなわち、換算部102e2は、2017年4月の日本円による売上実績額を29654.3ポンド×135.267円/ポンド≒4,011,248円と算出し、2017年5月の日本円による売上実績額を28959.2ポンド×140.55円/ポンド≒4,070,216円と算出し、2017年6月の日本円による売上実績額を29421.7ポンド×120.36円/ポンド≒3,541,196円と算出する。なお、図8の通貨マスタ106dにおいて端数区分が「(小数第一位を)四捨五入」に設定されているため、これらの日本円による売上実績額は、実際の額の小数第一を四捨五入した値となっている。
海外子会社の実績を邦貨換算して決算値の速報値を見たい場合には、親会社の連結決算において海外子会社の実績も邦貨換算する必要があるため、このような邦貨換算が適している(外貨換算パターンとして、「400 邦貨換算パターン」を使用)。
以上、外貨換算パターンとして「400 邦貨換算パターン」が指定された場合について具体的に説明してきたが、図9の画面において外貨換算パターンとして指定されている「410 ユーロ換算パターン」についても、(1)〜(4)と同様の処理を実行することにより、ポンドによる売上実績額およびユーロ換算レートを取得することができる。そして、換算部102e2は、ポンドによる売上実績額×ユーロ換算レートという計算式により、ユーロによる売上実績額を以下のようにして算出する。すなわち、換算部102e2は、2017年4月のユーロによる売上実績額を29654.3ポンド×1.12ユーロ/ポンド≒33,213ユーロと算出し、2017年5月のユーロによる売上実績額を28959.2ポンド×1.15ユーロ/ポンド≒33,303ユーロと算出し、2017年6月のユーロによる売上実績額を29421.7ポンド×1.14ユーロ/ポンド≒33,541ユーロと算出する。なお、図8の通貨マスタ106dにおいて端数区分が「(小数第一位を)四捨五入」に設定されているため、これらのユーロによる売上実績額は、実際の額の小数第一を四捨五入した値となっている。
ユーロ圏にある会社同士で業績を比較したい場合には、円相場の影響を換算結果に含めないために、このようなユーロ換算が適している(外貨換算パターンとして、「410 ユーロ換算パターン」を使用)。
以上説明した2017年4月〜6月それぞれの日本円による売上実績額およびユーロによる売上実績額をまとめた表およびグラフを、図11に示す。
なお、本項目[3−2]においては、売上実績額についての換算について説明したが、図9の画面の「予算実績データ指定」において、実績ではなく予算を指定すれば、売上予定額についての換算も同様の方法で行うことができる。
また、本項目[3−2]においては、第二の通貨(換算先の通貨)が日本円またユーロである場合について説明したが、第二の通貨は、特に限定されず、例えば、ドルやポンド等であってもよい。すなわち、第二の通貨(換算先の通貨)は、例えば、日本円、ユーロ、ドルおよびポンドからなる群から選択される少なくとも1つの通貨である。
(6)表示実行処理
表示実行部102gは、換算部102e2で換算した金額を画面上に表示する。
具体的には、表示実行部102gは、図11に示す表およびグラフを、画面上に表示する。これによりオペレータは、換算結果を容易かつ迅速に把握することができる。
(7)帳票作成処理
帳票作成部102hは、換算部102e2で換算した金額が記載された帳票を作成する。
具体的には、帳票作成部102hは、図11に示す表およびグラフにおける金額が記載された帳票を作成する。これにより、オペレータは、換算結果を帳票により把握することができる。
(8)効果
このように、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、通貨の換算時点において第二の通貨(換算先通貨)をオペレータが指定することにより、第一の通貨(換算元通貨)による金額を所望の第二の通貨(換算先通貨)による金額に換算することができる。すなわち、例えば、通貨の換算時点においてオペレータが、外貨換算パターンとして「400 邦貨換算パターン」を指定すれば、ある外貨による金額を邦貨による金額に換算することができるし、あるいは、外貨換算パターンとして「410 ユーロ換算パターン」を指定すれば、ある通貨による金額をユーロによる金額に換算することができる。
また、グループ管理会計においては、例えば、欧州地域に展開している企業グループは円相場の影響を受けないように円以外の別の通貨(例えば、ユーロ)に換算する等、目的に応じて換算先の通貨を使い分けたいという要望が従来からあったものの、以下の理由により実現できていなかった。すなわち、従来の制度連結会計においては、科目の種類(PL収益費用、BS資産負債およびBS純資産等)によって為替レートの種類(期中平均レート、決算時レートおよび取引時レート等)を区別して換算を行っていたが、換算用の外貨およびレートを科目ごとに1種類しか持てず、換算先の通貨を切り換えることが難しかったためである。
これに対して、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、例えば、以下の(A)〜(C)の特徴を有することにより、データ集計単位となる企業グループに応じて任意の通貨に換算し、適切な収支把握を行うことが可能となった。
(A)通貨マスタ106dにおける通貨と為替レート種類マスタ106eにおける為替レート種類の組合せにより、換算レート(邦貨換算レート、ユーロ換算レートおよびUSドル換算レート等)を保持する。
(B)外貨用の総勘定科目をまとめる外貨総勘定科目分類(PL収益費用、BS資産負債およびBS純資産等)を外貨総勘定科目分類マスタ106bに保持する。
(C)為替レート種類と外貨総勘定科目分類の任意の組合せを、外貨換算パターンとして外貨換算パターンマスタ106gに保持する。
そして、帳票出力時に、(C)における任意の外貨換算パターンを指定して換算を行い、出力時点で使用すべき適切な通貨への換算を行うことができる。
[3−3.月次の外貨換算シミュレーション機能]
次に、月次の外貨換算シミュレーション機能について、図4、図12および図13を用いて詳細に説明する。なお、本項目[3−3]においては、グループ企業内における米国の在外子会社である○○インスツルメンツの第一の通貨(ドル)による金額(売上実績額)を、第二の通貨(日本円)による金額(売上実績額)に換算するという場面を想定している。
本項目[3−3]においては、図4に示すサンプルデータから、図12に示す抽出条件(オペレータが、帳票出力等のタイミングで換算を行う際に設定する抽出条件)に基づいて、図13に示すデータ(出力イメージ)が抽出される場合について説明をする。
(1)科目分類等取得処理
科目分類等取得部102aは、外貨換算パターンマスタ106gを参照して、指定された換算パターン(外貨換算パターン)と紐付く総勘定科目分類識別データ(外貨総勘定科目分類コード)および為替レート種類識別データ(為替レート種類コード)を取得する。
具体的には、指定された外貨換算パターンは、図12に示すように、「100 月次比較パターン(期末時レート)」および「110 月次比較パターン(月次確定レート)」である。以下においては説明を簡便にするため、これら2つのうち、「100 月次比較パターン(期末時レート)」が指定された場合の処理についてのみ、具体的に説明する。
図4の外貨換算パターンマスタ106gを参照すると、指定された外貨換算パターン「100 月次比較パターン(期末時レート)」と紐付く外貨総勘定科目分類コードは、001および002である。また、図4の外貨換算パターンマスタ106gを参照すると、指定された外貨換算パターン「100 月次比較パターン(期末時レート)」と紐付く為替レート種類コードは、001および002である。
以上より、科目分類等取得部102aは、図13の外貨換算パターンマスタ106gに示すように、外貨総勘定科目分類コードとして001および002を取得し、為替レート種類コードとして001および002を取得する。なお、外貨総勘定科目分類コード001および002は、それぞれ、P/L収益費用およびB/S資産負債に対応しており、為替レート種類コード001および002は、それぞれ、期中平均レートおよび決算時レートに対応している。
(2)科目取得処理
科目取得部102bは、外貨総勘定科目マスタ106cを参照して、科目分類等取得部102aで取得した総勘定科目分類識別データ(外貨総勘定科目分類コード)と紐付く総勘定科目識別データ(総勘定科目コード)を取得する。
具体的には、図4の外貨総勘定科目マスタ106cを参照すると、科目分類等取得部102aで取得した外貨総勘定科目分類コード001および002と紐付く総勘定科目コードは、それぞれ、5000および1000であることがわかる。
以上より、科目取得部102bは、図13の外貨総勘定科目マスタ106cに示すように、総勘定科目コードとして5000および1000を取得する。なお、総勘定科目コード5000および1000は、それぞれ、「売上」および「現金」に対応している。
(3)実績額取得処理
実績額取得部102c3は、抽出対象データ106aを参照して、指定された期間に属する年月(個社会計年月)および指定された会社識別データ(会社名)ならびに科目取得部102bで取得した総勘定科目識別データ(総勘定科目コード)と紐付く外貨による実績額を取得する。
具体的には、指定された期間は、図12に示すように、「対象期間:2017/04/01〜2017/06/30」であるため、当該期間に属する個社会計年月は、2017/04、2017/05および2017/06である。また、指定された会社名は、図12に示すように、「組織指定:○○インスツルメンツ」である。そして、科目取得部102bで取得した総勘定科目コードは、5000および1000である。
図4の抽出対象データ106aを参照すると、個社会計年月2017/04、2017/05または2017/06と紐付き、かつ、会社名○○インスツルメンツと紐付き、かつ、総勘定科目コード5000と紐付く金額(実績)は、29654.3ドル、28959.2ドルおよび29421.7ドルの3つの金額である。また、図4の抽出対象データ106aを参照すると、個社会計年月2017/04、2017/05または2017/06と紐付き、かつ、会社名○○インスツルメンツと紐付き、かつ、総勘定科目コード1000と紐付く金額(実績)は、176554.6ドル、184634.4ドルおよび181659.4ドルの3つの金額である。
以上より、実績額取得部102c3は、図13の抽出対象データ106aに示すように、売上実績額として29654.3ドル(2017/04の売上実績額)、28959.2ドル(2017/05の売上実績額)および29421.7ドル(2017/06の売上実績額)を取得する。また、実績額取得部102c3は、図13の抽出対象データ106aに示すように、現金として176554.6ドル(2017/04の現金)、184634.4ドル(2017/05の現金)および181659.4ドル(2017/06の現金)を取得する。
(4)為替レート取得処理
為替レート取得部102d3は、為替レートマスタ106fを参照して、指定された期間に属する適用開始日および科目分類等取得部102aで取得した為替レート種類識別データ(為替レート種類コード)と紐付く為替レートを取得する。
具体的には、指定された期間は、図12に示すように、「対象期間:2017/04/01〜2017/06/30」であるため、当該指定された期間に属する適用開始日は、図4に示す為替レートマスタ106fにおいて、2017/04/01、2017/05/01および2017/06/01の3つとなる。また、科目分類等取得部102aで取得した為替レート種類コードは、(1)で説明したように、001および002である。
図4の為替レートマスタ106fを参照すると、2017/04/01、2017/05/01または2017/06/01と紐付き、かつ、為替レート種類コード001と紐付く為替レートは、115.0円/ドルである。また、図4の為替レートマスタ106fを参照すると、2017/04/01、2017/05/01または2017/06/01と紐付き、かつ、為替レート種類コード002と紐付く為替レートは、117.0円/ドルである。
以上より、為替レート取得部102d3は、図13の為替レートマスタ106fに示すように、期中平均レートとして115.0円/ドルを取得し、決算時レートとして117.0円/ドルを取得する。なお、本具体例[3−3]において、期中平均レートとは、4〜6月の期間における平均の為替レートのことであり、決算時レートとは、4〜6月の期間における末日(すなわち、2017/06/30)時点の為替レートのことであり、両レートはともに、4〜6月のすべての月の金額換算に適用可能なレートである。
(4)´通貨取得処理
為替レート取得部102d3は、以下のようにして、為替レートマスタ106fから所定の通貨についての為替レートのみを取得することもできる。
まず、通貨取得部102fは、会社マスタ106hを参照して、指定された会社識別データ(会社名)と紐付く通貨識別データ(通貨コード)を取得する。
具体的には、指定された会社名は、図12に示すように、「組織指定:○○インスツルメンツ」である。図4の会社マスタ106hを参照すると、会社名○○インスツルメンツと紐付く通貨コードは、USDである。このため、通貨取得部102fは、通貨コードとして、USDを取得する。
次に、為替レート取得部102d3は、通貨取得部102fで取得した通貨識別データ(通貨コード)と紐付く為替レートを取得する。
具体的には、通貨取得部102fで取得した通貨コードは、USDである。図4の為替レートマスタ106fにおいて、115.0円/ドルおよび117.0円/ドルはすべて通貨コードがUSDであるため、為替レート取得部102d3はこれらすべてのドルを取得することとなる。しかしながら、図示していないが、仮に、図4の為替レートマスタ106fに、130円/ユーロという為替レートが含まれる場合、為替レート取得部102d3は、130円/ユーロを取得せずに、115.0円/ドルおよび117.0円/ドルのみを取得することができる。
(5)換算処理
換算部102e3は、実績額取得部102c3で取得した外貨による実績額(金額(実績)に、為替レート取得部102d3で取得した為替レートを乗じることにより、外貨による実績額(金額(実績))を日本円による金額に換算する。
具体的には、実績額取得部102c3で取得した金額(実績)は、(3)で説明したように、29654.3ドル(2017/04の売上実績額)、28959.2ドル(2017/05の売上実績額)および29421.7ドル(2017/06の売上実績額)である。また、為替レート取得部102d3で取得した期中平均レートは、115.0円/ドルである。
換算部102e3は、前段落の数値を用いて、金額(実績)×期中平均レートという計算により、売上実績額を以下のようにして算出する(なお、当該計算は、図12に示す外貨換算パターンマスタ106gにおける、外貨総勘定科目分類コード「001:P/L収益費用」と為替レート種類コード「001:期中平均レート」の組合せに対応する計算である)。すなわち、換算部102e3は、2017年4月の売上実績額を29654.3ドル×115.0円/ドル≒3,410,245円と算出し、2017年5月の売上実績額を28959.2ドル×115.0円/ドル=3,330,308円と算出し、2017年6月の売上実績額を29421.7ドル×115.0円/ドル≒3,383,496円と算出する。なお、図4の通貨マスタ106dにおいて端数区分が「(小数第一位を)四捨五入」に設定されているため、これらの日本円による売上実績額のうち3,410,245円および3,383,496円は、実際の額の小数第一を四捨五入した値となっている。
また、実績額取得部102c3で取得した金額(実績)は、(3)で説明したように、176554.6ドル(2017/04の現金)、184634.4ドル(2017/05の現金)および181659.4ドル(2017/06の現金)である。また、為替レート取得部102d3で取得した決算時レートは、117.0円/ドルである。
換算部102e3は、前段落の数値を用いて、金額(実績)×決算時レートという計算により、現金を以下のようにして算出する(なお、当該計算は、図12に示す外貨換算パターンマスタ106gにおける、外貨総勘定科目分類コード「002:B/S資産負債」と為替レート種類コード「002:決算時レート」の組合せに対応する計算である)。すなわち、換算部102e3は、2017年4月の現金を176554.6ドル×117.0円/ドル≒20,656,888円と算出し、2017年5月の現金を184634.4ドル×117.0円/ドル≒21,602,225円と算出し、2017年6月の現金を181659.4ドル×117.0円/ドル≒21,254,150円と算出する。なお、図4の通貨マスタ106dにおいて端数区分が「(小数第一位を)四捨五入」に設定されているため、これらの日本円による売上実績額は、実際の額の小数第一を四捨五入した値となっている。
以上説明した2017年4月〜6月それぞれの売上実績額および現金をまとめた表を、図13の「(1)外貨換算パターン 100:月次比較パターン(期末時レート)を選択した場合」に示す。このように、外貨換算パターンとして「100 月次比較パターン(期末時レート)」を指定すれば、期末時点で各月のデータを確認することができる。
以上、外貨換算パターンとして「100 月次比較パターン(期末時レート)」が指定された場合について具体的に説明してきたが、図12の画面において外貨換算パターンとして指定されている「110 月次比較パターン(月次確定レート)」についても、(1)〜(4)と同様の処理を実行することにより、金額(実績)および月次レート(確定)を取得することができる。
そして、換算部102e3は、金額(実績)×月次レート(確定)という計算により、売上実績額を以下のようにして算出する(なお、当該計算は、図12に示す外貨換算パターンマスタ106gにおける、外貨総勘定科目分類コード「001:P/L収益費用」と為替レート種類コード「003:月次レート(確定)」の組合せに対応する計算である)。すなわち、換算部102e3は、2017年4月の売上実績額を29654.3ドル×111.0円/ドル≒3,291,627円と算出し、2017年5月の売上実績額を28959.2ドル×112.0円/ドル≒3,243,430円と算出し、2017年6月の売上実績額を29421.7ドル×112.3円/ドル≒3,304,057円と算出する。なお、図4の通貨マスタ106dにおいて端数区分が「(小数第一位を)四捨五入」に設定されているため、これらの日本円による売上実績額は、実際の額の小数第一を四捨五入した値となっている。
また、換算部102e3は、金額(実績)×月次レート(確定)という計算により、現金を以下のようにして算出する(なお、当該計算は、図12に示す外貨換算パターンマスタ106gにおける、外貨総勘定科目分類コード「002:B/S資産負債」と為替レート種類コード「003:月次レート(確定)」の組合せに対応する計算である)。すなわち、換算部102e3は、2017年4月の現金を176554.6ドル×111.0円/ドル≒19,597,561円と算出し、2017年5月の現金を184634.4ドル×112.0円/ドル≒20,679,053円と算出し、2017年6月の現金を181659.4ドル×112.3円/ドル≒20,400,351円と算出する。
以上説明した2017年4月〜6月それぞれの売上実績額および現金をまとめた表を、図13の「(2)外貨換算パターン 110:月次比較パターン(月次確定レート)を選択した場合」に示す。このように、外貨換算パターンとして「110:月次比較パターン(月次確定レート)」を指定すれば、毎月終了時点で各月のデータを確認することができる。
(6)表示実行処理
表示実行部102gは、換算部102e3で換算した金額を画面上に表示する。
具体的には、表示実行部102gは、図13に示す表を、画面上に表示する。これによりオペレータは、換算結果を容易かつ迅速に把握することができる。
(7)帳票作成処理
帳票作成部102hは、換算部102e3で換算した金額が記載された帳票を作成する。
具体的には、帳票作成部102hは、図13に示す表における金額が記載された帳票を作成する。これにより、オペレータは、換算結果を帳票により把握することができる。
(8)効果
このように、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、外貨による実績額の日本円による金額への換算を、期中平均レートと決算時レートと月次確定レートとからなる群から選択される少なくとも1つの任意の為替レートを用いて行うことができる。
また、期中平均レートおよび決算時レートは、決算報告の月が経過するまでは確定しないため、毎月終了時点において外貨による金額の換算を行って経営数値を早期に把握することは従来できなかった。これに対して、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、例えば、毎月終了時点で確定する月次確定レートを用いれば、毎月終了時点において外貨による金額の換算を行って経営数値を早期に把握することができる。
そして、グループ全体や会社間横串で経営数値を比較可能にするために、同一の通貨に換算し、換算結果を月次単位等で早期に把握したいという要望が従来からあったものの、以下の理由により実現できていなかった。すなわち、従来の制度連結会計においては、科目の種類(PL収益費用、BS資産負債およびBS純資産等)によって為替レートの種類(期中平均レート、決算時レートおよび取引時レート等)を区別して換算を行っていたが、換算用のレートを科目ごとに1種類しか持てず、月中の暫定レート等の複数の為替レートを使用することができなかったためである。
これに対して、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、例えば、以下の(A)〜(C)の特徴を有することにより、データ出力のタイミング(例えば、月次および年次)ごとに在外子会社の外貨換算用レートを切り換えることが可能となった。
(A)通貨マスタ106dにおける通貨と為替レート種類マスタ106eにおける為替レート種類の組合せにより、換算レート(期中平均レート、決算時レート、取引時レートおよび月次レート等)を保持する。
(B)外貨用の総勘定科目をまとめる外貨総勘定科目分類(PL収益費用、BS資産負債およびBS純資産等)を外貨総勘定科目分類マスタ106bに保持する。
(C)為替レート種類と外貨総勘定科目分類の任意の組合せを、外貨換算パターンとして外貨換算パターンマスタ106gに保持する。
そして、帳票出力時に、(C)における任意の外貨換算パターンを指定して換算を行い、出力時点で使用すべき適切な為替レートによる換算を行うことができる。
[3−4.将来予算の外貨換算シミュレーション機能]
最後に、将来予算の外貨換算シミュレーション機能について、図4、図14および図15を用いて詳細に説明する。なお、本項目[3−4]においては、グループ企業内における米国の在外子会社である○○インスツルメンツの第一の通貨(ドル)による金額(売上予定額および売上実績額)を、第二の通貨(日本円)による金額(売上予定額および売上実績額)に換算するという場面を想定している。
本項目[3−4]においては、図4に示すサンプルデータから、図14に示す抽出条件(オペレータが、帳票出力等のタイミングで換算を行う際に設定する抽出条件)に基づいて、図15に示すデータ(出力イメージ)が抽出される場合について説明をする。
(1)科目分類等取得処理
科目分類等取得部102aは、外貨換算パターンマスタ106gを参照して、指定された換算パターン(外貨換算パターン)と紐付く総勘定科目分類識別データ(外貨総勘定科目分類コード)および為替レート種類識別データ(為替レート種類コード)を取得する。
具体的には、指定された外貨換算パターンは、図14に示すように、「200 着地予想パターン(確定レート)」および「210 着地予想パターン(予想レート)」である。
図4の外貨換算パターンマスタ106gを参照すると、指定された外貨換算パターン「200 着地予想パターン(確定レート)」と紐付く外貨総勘定科目分類コードは、001および002である。また、図4の外貨換算パターンマスタ106gを参照すると、指定された外貨換算パターン「200 着地予想パターン(確定レート)」と紐付く為替レート種類コードは、003である。
図4の外貨換算パターンマスタ106gを参照すると、指定された外貨換算パターン「210 着地予想パターン(予想レート)」と紐付く外貨総勘定科目分類コードは、001および002である。また、図4の外貨換算パターンマスタ106gを参照すると、指定された外貨換算パターン「210 着地予想パターン(予想レート)」と紐付く為替レート種類コードは、004である。
以上より、科目分類等取得部102aは、図15の外貨換算パターンマスタ106gに示すように、外貨総勘定科目分類コードとして001および002を取得し、為替レート種類コードとして003および004を取得する。なお、外貨総勘定科目分類コード001および002は、それぞれ、P/L収益費用およびB/S資産負債に対応しており、為替レート種類コード003および004は、それぞれ、月次レート(確定)および月次レート(予想)に対応している。
(2)科目取得処理
科目取得部102bは、外貨総勘定科目マスタ106cを参照して、科目分類等取得部102aで取得した総勘定科目分類識別データ(外貨総勘定科目分類コード)と紐付く総勘定科目識別データ(総勘定科目コード)を取得する。
具体的には、図4の外貨総勘定科目マスタ106cを参照すると、科目分類等取得部102aで取得した外貨総勘定科目分類コード001および002と紐付く総勘定科目コードは、それぞれ、5000および1000であることがわかる。
以上より、科目取得部102bは、総勘定科目コードとして5000および1000を取得するが、本項目[3−4]においては、冒頭で説明したように、売上実績額および売上予定額を見ることを目的としているため、「売上」に対応する総勘定科目コード5000を取得した場合についてのみ、以下具体的に説明する。このため、図15の外貨総勘定科目マスタ106cには、科目取得部102bで取得した総勘定科目コード5000および1000のうち、5000のみ示している。
(3)金額取得処理
金額取得部102c4は、抽出対象データ106aを参照して、指定された期間に属する年月(個社会計年月)および指定された会社識別データ(会社名)ならびに科目取得部102bで取得した総勘定科目識別データ(総勘定科目コード)と紐付く外貨による実績額および外貨による予定額を取得する。
具体的には、指定された期間は、図14に示すように、「対象期間:2017/04/01〜2017/09/30」であるため、当該期間に属する個社会計年月は、2017/04、2017/05、2017/06、2017/07、2017/08および2017/09である。また、指定された会社名は、図14に示すように、「組織指定:○○インスツルメンツ」である。そして、科目取得部102bで取得した総勘定科目コードは、5000である。
図4の抽出対象データ106aを参照すると、個社会計年月2017/04、2017/05、2017/06、2017/07、2017/08または2017/09と紐付き、かつ、会社名○○インスツルメンツと紐付き、かつ、総勘定科目コード5000と紐付く金額(実績)は、29654.3ドル、28959.2ドルおよび29421.7ドルの3つの金額である。また、図4の抽出対象データ106aを参照すると、個社会計年月2017/04、2017/05、2017/06、2017/07、2017/08または2017/09と紐付き、かつ、会社名○○インスツルメンツと紐付き、かつ、総勘定科目コード5000と紐付く金額(予算)は、30000.0ドル、29000.0ドル、29500.0ドル、30500.0ドル、30100.0ドルおよび29800.0ドルの6つの金額である。
以上より、金額取得部102c4は、図15の抽出対象データ106aに示すように、売上実績額として29654.3ドル(2017/04の売上実績額)、28959.2ドル(2017/05の売上実績額)および29421.7ドル(2017/06の売上実績額)を取得し、売上予定額として30000.0ドル(2017/04の売上予定額)、29000.0ドル(2017/05の売上予定額)、29500.0ドル(2017/06の売上予定額)、30500.0ドル(2017/07の売上予定額)、30100.0ドル(2017/08の売上予定額)および29800.0ドル(2017/09の売上予定額)を取得する。
(4)為替レート取得処理
為替レート取得部102d4は、為替レートマスタ106fを参照して、指定された期間に属する適用開始日および科目分類等取得部102aで取得した為替レート種類識別データ(為替レート種類コード)と紐付く月次確定レートおよび月次予想レートを取得する。
具体的には、指定された期間は、図14に示すように、「対象期間:2017/04/01〜2017/09/30」であるため、当該指定された期間に属する適用開始日は、図4に示す為替レートマスタ106fにおいて、2017/04/01、2017/05/01、2017/06/01、2017/07/01、2017/08/01および2017/09/01の6つとなる。また、科目分類等取得部102aで取得した為替レート種類コードは、(1)で説明したように、003および004である。
図4の為替レートマスタ106fを参照すると、2017/04/01、2017/05/01、2017/06/01、2017/07/01、2017/08/01または2017/09/01と紐付き、かつ、為替レート種類コード003と紐付く為替レートは、110.267円/ドル、112.195円/ドルおよび108.96円/ドルである。また、図4の為替レートマスタ106fを参照すると、2017/04/01、2017/05/01、2017/06/01、2017/07/01、2017/08/01または2017/09/01と紐付き、かつ、為替レート種類コード004と紐付く為替レートは、111.0円/ドル、112.0円/ドル、112.3円/ドル、111.1円/ドル、112.6円/ドルおよび113.0円/ドルである。
以上より、為替レート取得部102d4は、図15の為替レートマスタ106fに示すように、月次確定レートとして110.267円/ドル(2017/04/01が適用開始日の為替レート)、112.195円/ドル(2017/05/01が適用開始日の為替レート)および108.96円/ドル(2017/06/01が適用開始日の為替レート)を取得する。また、為替レート取得部102d4は、図15の為替レートマスタ106fに示すように、月次予想レートとして111.0円/ドル(2017/04/01が適用開始日の為替レート)、112.0円/ドル(2017/05/01が適用開始日の為替レート)、112.3円/ドル(2017/06/01が適用開始日の為替レート)、111.1円/ドル(2017/07/01が適用開始日の為替レート)、112.6円/ドル(2017/08/01が適用開始日の為替レート)および113.0円/ドル(2017/09/01が適用開始日の為替レート)を取得する。
(4)´通貨取得処理
為替レート取得部102d4は、以下のようにして、為替レートマスタ106fから所定の通貨についての為替レートのみを取得することもできる。
まず、通貨取得部102fは、会社マスタ106hを参照して、指定された会社識別データ(会社名)と紐付く通貨識別データ(通貨コード)を取得する。
具体的には、指定された会社名は、図14に示すように、「組織指定:○○インスツルメンツ」である。図4の会社マスタ106hを参照すると、会社名○○インスツルメンツと紐付く通貨コードは、USDである。このため、通貨取得部102fは、通貨コードとして、USDを取得する。
次に、為替レート取得部102d4は、通貨取得部102fで取得した通貨識別データ(通貨コード)と紐付く為替レートを取得する。
具体的には、通貨取得部102fで取得した通貨コードは、USDである。図4の為替レートマスタ106fにおいて、110.267円/ドル、112.195円/ドル、108.96円/ドル、111.0円/ドル、112.0円/ドル、112.3円/ドル、111.1円/ドル、112.6円/ドルおよび113.0円/ドルの9つのレートはすべて通貨コードがUSDであるため、為替レート取得部102d4はこれらすべてのドルを取得することとなる。しかしながら、図示していないが、仮に、図4の為替レートマスタ106fに、130円/ユーロという為替レートが含まれる場合、為替レート取得部102d4は、130円/ユーロを取得せずに、前記9つのレートのみを取得することができる。
(5)換算処理
本項目では、指定された基準日が2017/06/30である場合および2017/05/31である場合の換算処理について、場合分けして説明をする。
(5−1)指定された基準日が2017/06/30である場合
換算部102e4は、金額取得部102c4で取得した金額と紐付く抽出対象データ106aに含まれる年月(個社会計年月)が、指定された基準日が属する年月以前である場合には、当該取得した金額である外貨による実績額に為替レート取得部102d4で取得した月次確定レートを乗じることにより、外貨による実績額を日本円による金額に換算する。
具体的には、金額取得部102c4で取得した金額と紐付く図15の抽出対象データ106aに含まれる個社会計年月(2017/04〜2017/09)のうち、2017/04〜2017/06は、指定された基準日(2017/06/30)が属する年月(2017/06)以前である。このため、当該取得した金額である外貨による実績額は、29654.3ドル(2017/04の売上実績額)、28959.2ドル(2017/05の売上実績額)および29421.7ドル(2017/06の売上実績額)となる。また、為替レート取得部102d4で取得した月次確定レートは、(4)で説明したように、110.267円/ドル(2017/04/01が適用開始日の為替レート)、112.195円/ドル(2017/05/01が適用開始日の為替レート)および108.96円/ドル(2017/06/01が適用開始日の為替レート)である。
換算部102e4は、前段落の数値を用いて、ドルによる売上実績額×月次確定レートという計算により、日本円による売上実績額を以下のようにして算出する。すなわち、換算部102e4は、2017年4月の日本円による売上実績額を29654.3ドル×110.267円/ドル≒3,269,891円と算出し、2017年5月の日本円による売上実績額を28959.2ドル×112.195円/ドル≒3,249,077円と算出し、2017年6月の日本円による売上実績額を29421.7ドル×108.96円/ドル≒3,205,788円と算出する。なお、図4の通貨マスタ106dにおいて端数区分が「(小数第一位を)四捨五入」に設定されているため、これらの日本円による売上実績額は、実際の額の小数第一を四捨五入した値となっている。
一方で、金額取得部102c4で取得した金額と紐付く抽出対象データ106aに含まれる年月(個社会計年月)が、指定された基準日が属する年月より後である場合には、当該取得した金額である外貨による予定額に為替レート取得部102d4で取得した月次予想レートを乗じることにより、外貨による予定額を日本円による金額に換算する。
具体的には、金額取得部102c4で取得した金額と紐付く図15の抽出対象データ106aに含まれる個社会計年月(2017/04〜2017/09)のうち、2017/07〜2017/09は、指定された基準日(2017/06/30)が属する年月(2017/06)より後である。このため、当該取得した金額である外貨による予定額は、30500.0ドル(2017/07の売上予定額)、30100.0ドル(2017/08の売上予定額)および29800.0ドル(2017/09の売上予定額)となる。また、為替レート取得部102d4で取得した月次予想レートは、(4)で説明したように、111.1円/ドル(2017/07/01が適用開始日の為替レート)、112.6円/ドル(2017/08/01が適用開始日の為替レート)および113.0円/ドル(2017/09/01が適用開始日の為替レート)である。
換算部102e4は、前段落の数値を用いて、ドルによる売上予定額×月次予想レートという計算により、日本円による売上予定額を以下のようにして算出する。すなわち、換算部102e4は、2017年7月の日本円による売上予定額を30500.0ドル×111.1円/ドル=3,388,550円と算出し、2017年8月の日本円による売上予定額を30100.0ドル×112.6円/ドル=3,389,260円と算出し、2017年9月の売上予定額を29800.0ドル×113.0円/ドル=3,367,400円と算出する。
以上説明した2017年4月〜6月それぞれの日本円による売上実績額および2017年7月〜9月それぞれの日本円による売上予定額をまとめた表を、図15の「(1)基準日:6月30日の場合」に示す。
(5−2)指定された基準日が2017/05/31である場合
(5−1)においては、2017/04〜2017/06については、ドルによる売上実績額×月次確定レートという計算により日本円による売上実績額を算出し、2017/07〜2017/09については、ドルによる売上予定額×月次予想レートという計算により日本円による売上予定額を算出した。
これに対して、本項目(5−2)においては、金額取得部102c4で取得した金額と紐付く図15の抽出対象データ106aに含まれる個社会計年月(2017/04〜2017/09)のうち、指定された基準日(2017/05/31)が属する年月(2017/05)以前であるものは、2017/04〜2017/05である。そして、金額取得部102c4で取得した金額と紐付く図15の抽出対象データ106aに含まれる個社会計年月(2017/04〜2017/09)のうち、指定された基準日(2017/05/31)が属する年月(2017/05)より後であるものは、2017/06〜2017/09である。
このため、本項目(5−2)においては、2017/04〜2017/05については、ドルによる売上実績額×月次確定レートという計算により日本円による売上実績額を算出し、2017/06〜2017/09については、ドルによる売上予定額×月次予想レートという計算により日本円による売上予定額を算出することができる。2017/06以外は、(5−1)と同様の計算により売上実績額または売上予定額を算出可能であるため、説明を省略する。
換算部102e4は、2017年6月の日本円による売上予定額を29500.0ドル×112.3円/ドル=3,312,850円と算出する。
以上説明した2017年4月〜5月それぞれの日本円による売上実績額および2017年6月〜9月それぞれの日本円による売上予定額をまとめた表を、図15の「(2)基準日:5月31日の場合」に示す。
以上、(5−1)および(5−2)で説明したように、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、例えば、オペレータが所望の基準日を指定すれば、当該基準日が属する年月以前の年月については日本円による売上実績額を算出し、当該基準日が属する年月より後の年月については日本円による売上予定額を算出するというように、売上実績額と売上予定額の境目となる時点を自由に設定することができる。
(6)表示実行処理
表示実行部102gは、換算部102e4で換算した金額を画面上に表示する。
具体的には、表示実行部102gは、図15に示す表を、画面上に表示する。これによりオペレータは、換算結果を容易かつ迅速に把握することができる。
(7)帳票作成処理
帳票作成部102hは、換算部102e4で換算した金額が記載された帳票を作成する。
具体的には、帳票作成部102hは、図15に示す表における金額が記載された帳票を作成する。これにより、オペレータは、換算結果を帳票により把握することができる。
(8)効果
このように、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、過去の実績金額と将来の予想金額とを同時に把握することを可能とする。
また、グループ管理会計では経営目標に対する着地予想のために過去実績+将来予算の数値を用いて月次単位で分析を行いたいという要望が従来からあったものの、以下の理由により実現できていなかった。すなわち、従来の制度連結会計においては、科目の種類(PL収益費用、BS資産負債およびBS純資産等)によって為替レートの種類(期中平均レート、決算時レートおよび取引時レート等)を区別して換算を行っていたが、換算用のレートを科目ごとに1種類しか持てず、将来予算に対しては為替レートが確定していないため使用できなかった(すなわち、為替レートが未だ未確定の場合、将来予算を算出することができなかった)ためである。
これに対して、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、例えば、以下の(A)〜(C)の特徴を有することにより、在外子会社の実績換算用の確定為替レートと将来予算用の予想為替レートを切り換えることが可能となった。
(A)通貨マスタ106dにおける通貨と為替レート種類マスタ106eにおける為替レート種類の組合せにより、換算レート(月次確定レートおよび月次予想レート等)を保持する。
(B)外貨用の総勘定科目をまとめる外貨総勘定科目分類(PL収益費用、BS資産負債およびBS純資産等)を外貨総勘定科目分類マスタ106bに保持する。
(C)為替レート種類と外貨総勘定科目分類の任意の組合せを、外貨換算パターンとして外貨換算パターンマスタ106gに保持する。
そして、帳票出力時に、(C)における任意の外貨換算パターンを指定して換算を行い、出力時点で使用すべき適切な為替レートによる換算を行うことができる。
[3−5.まとめ]
以上、[3−1]〜[3−4]で説明したように、本実施形態に係る通貨換算装置100によれば、例えば、図16に示すような階層構造を有するグループ企業においても、当該企業の戦略担当者等は、会社単体およびグループ全体の経営数値を早期に把握および分析することができる。当該把握および当該分析は、例えば、当該グループ企業に属する会社(個社)の財務会計システムからデータを収集および合算することで可能となる。
また、本実施形態に係る通貨換算装置100においては、[3−1]〜[3−4]の内容をオペレータが任意に組み合わせて使用することができる。例えば、英国の在外子会社のポンドによる金額をユーロによる金額に換算([3−2]の内容)しつつ、ユーロ換算での予想最高売上額、予想最低売上額および予想平均売上額を把握([3−1]の内容)したい場合には、[3−2]と[3−1]の内容を組み合わせて使用できる。また、例えば、英国の在外子会社のポンドによる金額をユーロによる金額に換算([3−2]の内容)しつつ、ユーロ換算で過去の実績金額と将来の予想金額とを同時に把握([3−4]の内容)したい場合には、[3−2]と[3−4]の内容を組み合わせて使用できる。
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、通貨換算装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
例えば、通貨換算装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて通貨換算装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
また、このコンピュータプログラムは、通貨換算装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
また、通貨換算装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、通貨換算装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。