1.第1の実施形態
ピッキングシステムの第1の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態のピッキングシステム1は、例えば電子商取引を行う事業者が保有する物流設備に備えられ、保管されている複数の物品Aの中から必要な物品Aを収集(ピッキング)して出庫するために用いられる。
図1に示すように、ピッキングシステム1は、複数段仕分け装置2と、移送部34と、複数段の収容容器Tと、搬送装置4と、カバー体5と、自動倉庫7とを主要な構成要素として備えている。また、本実施形態のピッキングシステム1は、物品ばらし部8と、空容器供給装置9とを備えている。
自動倉庫7は、多数の物品Aを保管するとともに、必要時に特定の物品Aを自動で搬出するように構成されている。物品Aは、種別毎に元梱容器に収納されて保管されている。自動倉庫7は、物品Aを収容した元梱容器を保管する複数段の保管棚と、特定の物品Aが収容された元梱容器を保管棚から搬出する搬出装置とを備えている。搬出装置は、例えば保管棚の各段に対応して設けられた複数段の搬送台車であっても良いし、スタッカークレーン等であっても良い。
自動倉庫7には、元梱供給装置71が接続されている。元梱供給装置71は、自動倉庫7から搬出された元梱容器を複数段仕分け装置2側に向けて供給するための装置である。元梱供給装置71は、例えばコンベヤや搬送台車、天井搬送車等であって良い。
元梱供給装置71には、物品ばらし部8が接続されている。物品ばらし部8は、元梱容器から物品Aをピース単位で取り出して複数段仕分け装置2側に供給するための部位である。この物品ばらし部8では、作業者が当該作業を人手で行っても良いし、ロボットアーム等が当該作業を自動で行っても良い。
物品ばらし部8には、元梱戻し装置72と物品供給装置81とが接続されている。元梱戻し装置72は、物品ばらし部8で必要個数の物品Aが取り出された後の元梱容器を自動倉庫7に戻して再入庫させるための装置である。元梱戻し装置72は、例えばコンベヤや搬送台車、天井搬送車等であって良い。物品供給装置81は、物品ばらし部8で元梱容器から取り出された物品Aを、順次、複数段仕分け装置2側に供給するため装置である。物品供給装置81は、例えばコンベヤや搬送台車、天井搬送車等であって良い。
物品供給装置81の搬送経路は、搬送方向における下流側で複数(具体的には、複数段仕分け装置2の個数)に分岐している。そして、複数の分岐径路のそれぞれが複数段仕分け装置2まで延びている。こうして、共通の自動倉庫7に、物品ばらし部8を介して複数の複数段仕分け装置2が接続されており、複数段仕分け装置2には、必要な物品Aがピース単位で供給されるようになっている。なお、必要な物品Aは、出荷すべき物品A(単一種であっても良いし、複数種の組み合わせであっても良い)の種別及び数量を示すオーダー(ピッキングオーダー)で指定される種別の物品である。
本実施形態のピッキングシステム1は複数の複数段仕分け装置2を備えている。これらは、並び方向Yに沿って所定間隔を隔てつつ互いに平行に配置されている。
図2に示すように、複数段仕分け装置2は、上下方向Zの高さが異なる複数段の間口21を有している。また、複数段仕分け装置2は、長手方向Xの位置が異なる複数列の間口21を有している。すなわち、複数段仕分け装置2は、複数段及び複数列からなる直交格子状配列の複数の間口21を有している。ここで、間口21は、例えば複数段仕分け装置2がその外周を取り囲む筐体を備える場合には、当該筐体に形成された複数の開口(窓部)であって良い。そのような筐体が複数段仕分け装置2に特に具備されていない場合には、間口21は、後述する個々の移送部34に対向する位置に設定される仮想的なものであっても良い。
間口21の段数は、2段以上であれば特に限定されない。段数が多くなるに従い、後述するように一度にまとめて処理可能なオーダー数が増加するので好ましい。但し、段数が多くなり過ぎると、初期コストが嵩んだり処理能力が過剰になったりする可能性がある。複数段仕分け装置2は、例えば5段〜30段程度の間口21を有する多段仕分け装置であることが好ましい。間口21の列数も、2列以上であれば特に限定されず、例えば5列〜40列程度であって良い。
複数段仕分け装置2は、オーダーに基づいて物品Aを複数段及び複数列からなる複数の間口21のいずれかに仕分けして排出する。従来から良く知られている仕分け装置は単一段で平面的な仕分けを行うだけ(単段仕分け装置)であるのに対して、複数段仕分け装置2は、上下方向Zの異なる高さの各段を利用して立体的な仕分けを行う。このため、複数段仕分け装置2の段数に応じて、一度にまとめて処理可能なオーダー数を増加させることができる。そして、仕分け装置用の平面的な設置スペースを拡大することなく、仕分けのための処理効率を高めることができる。
複数段仕分け装置2は、並び方向Yの両側に、複数段及び複数列からなる複数の間口21をそれぞれ有している。そして、複数段仕分け装置2は、オーダーに基づいて、物品Aを並び方向Yの両側の複数の間口21のいずれかに仕分けして排出する。このような構成では、さらに、一度にまとめて処理可能なオーダー数を倍増させることができるという利点がある。
図2に示すように、本実施形態の複数段仕分け装置2は、複数(具体的には、間口21の段数に応じた個数)の搬送台車25を備えている。複数段仕分け装置2には、複数段の間口21にそれぞれ対応して走行レール24が設置されている。各段の走行レール24は、長手方向Xに沿って設置されている。そして、搬送台車25が、各段の走行レール24上を当該走行レール24に沿って(長手方向Xに沿って)往復走行するように構成されている。また、各段の搬送台車25は、複数列の間口21に対応する位置で停止可能に構成されている。
搬送台車25には、物品Aを載置する排出コンベヤ26が固定されている。排出コンベヤ26は、走行レール24に直交する方向(並び方向Y)に駆動する。この排出コンベヤ26は、正逆両方向に駆動可能となっている。排出コンベヤ26が正転駆動することで、並び方向Yにおける一方側の間口21から物品Aが排出され、排出コンベヤ26が逆転駆動することで、並び方向Yにおける他方側の間口21から物品Aが排出される。こうして、複数段仕分け装置2は並び方向Yの両側の間口21から物品Aを排出可能となっている。
図3に示すように、移送部34は、複数段仕分け装置2の間口21から排出された物品Aを収容容器T(ここでは第2開口部T2)へ向けて移送するための部位である。移送部34は、間口21から排出された物品Aを受け入れる受入口32と、受け入れた物品Aを排出する排出口33とを備えており、物品Aを受入口32側から排出口33側へ送るように構成されている。本例では、移送部34は、受入口32側から排出口33側へ向かうに従って下方に傾斜する固定式のシュートで構成されている。尚、受入口32は、移送部34における複数段仕分け装置2側の端部にあり、排出口33は、移送部34における複数段仕分け装置2とは反対側の端部にある。
複数段の収容容器Tは、複数段の間口21のそれぞれに対応して複数段に積み重ねられた状態で待機位置に配置され、間口21から排出された物品Aを受け取る。本実施形態では、待機位置と間口21との間には移送部34が設置されており、複数段の収容容器Tは、間口21から排出された物品Aを移送部34を介して受け取る。ここで、待機位置は、収容容器Tが排出口33に対して並び方向Yに隣接する位置である。
図4に示すように、収容容器Tは、上方に向けて開口する第1開口部T1と、側方に向けて開口する第2開口部T2と、底部T3と、収容した物品Aを載置支持する載置部T4と、を有している。また、本実施形態では、図3及び図4に示すように、収容容器Tは、並び方向Yの両側にそれぞれ第2開口部T2を有している。すなわち、収容容器Tは、収容容器Tが待機位置にある状態で間口側Y1に向けて開口する第2開口部T2と反間口側Y2に向けて開口する第2開口部T2と、を有している。尚、並び方向Yにおいて、搬送装置4を挟んで間口21がある側を間口側Y1、その反対側を反間口側Y2としている。なお、収容容器Tとして、間口側Y1のみに第2開口部T2を有するものを用いてもよい。
図4に示すように、収容容器Tは、底部T3を別の収容容器Tの第1開口部T1に対して上方から嵌合させることで、別の収容容器Tの上側に積み重ねられる。このように収容容器Tを積み重ねた状態では、第1開口部T1は積み重ねた別の収容容器Tによって閉じられるが、第2開口部T2は開口した状態が維持される。そのため、収容容器Tは、段積みした状態であったとしても第2開口部T2から物品Aを受け取り可能となっている。このように、収容容器Tは、複数段に積み重ねられて待機位置に配置された状態において、上下方向視で間口21に向けて開口する開口部(第2開口部T2)を備えている。
図1及び図3に示すように、カバー体5は、待機位置に配置された複数段の収容容器Tの反間口側Y2を覆う状態で備えられている。本実施形態では、カバー体5は、上下方向Z及び長手方向Xに沿う姿勢で設けられた板状の部材によって構成されている。このカバー体5は、待機位置に配置された複数段の収容容器Tに対して、並び方向Yに隙間がある状態で設置されている。この隙間としては、移送部34(シュート)を滑り落ちて収容容器Tに収容された物品Aの衝撃によって収容容器Tが反間口側Y2に転倒しないように、収容容器Tの高さより小さい(例えば、収容容器Tの高さの4分の1以下)間隔とすると好適である。また、この隙間としては、移送部34(シュート)を滑り落ちて収容容器Tに物品Aが、反間口Y2に向けて開口する第2開口部T2から飛び出すことを防止できるように、予め定められた物品A(例えば最も小さい物品A)の最も短い辺の長さより小さい間隔とすると更に好適である。
搬送装置4は、物品Aを受け取った複数段の収容容器Tを待機位置から搬送し、空の複数段の収容容器Tを待機位置に搬入する。本実施形態では、搬送装置4は、複数段の収容容器Tを水平姿勢で搬送する。収容容器Tの水平姿勢とは、収容容器Tの載置部T4の上面(図3参照)が水平面に沿う姿勢である。本実施形態では、搬送装置4は、上下方向Zに2つ並べた状態で設置されている。下側の搬送装置4は、3段に積み重ねた収容容器Tを搬送する。上側の搬送装置4は、2段に積み重ねた収容容器Tを搬送する。尚、上下方向Zに並ぶ搬送装置4の数は1、又は3以上でもよく、収容容器Tを積み重ねる段数は4段以上であってもよい。
図1に示すように、搬送装置4は、搬入コンベヤ41と、払出コンベヤ42と、搬出コンベヤ43とを含む。本実施形態では、搬入コンベヤ41、払出コンベヤ42、及び搬出コンベヤ43は、上記のように上下2段に設けられている(払出コンベヤ42に関して図3を参照)。尚、払出コンベヤ42が、複数段の収容容器Tを搬送するコンベヤに相当する。
搬入コンベヤ41は、空容器供給装置9と払出コンベヤ42との間に設けられている。搬入コンベヤ41は、空容器供給装置9から供給される複数段の空の収容容器T(以下、「空収容容器Te」と言う。)を払出コンベヤ42に搬入する。払出コンベヤ42は、複数段仕分け装置2に沿って(長手方向Xに沿って)直線状に設けられている。払出コンベヤ42には、搬入コンベヤ41から所定間隔で複数段の空収容容器Teが順次供給され、払出コンベヤ42は、長手方向Xに沿って複数箇所に設定された待機位置のそれぞれで複数段の空収容容器Teを載置支持する。このように複数個所の待機位置に配置された複数段の空収容容器Teは、複数段の間口21のそれぞれに対応して複数段に設けられていると共に、複数列の間口21のそれぞれに対応して複数列に設けられている。すなわち、複数の空収容容器Teが、複数段複数列の間口21のそれぞれに対応して、複数段及び複数列に配列されている。このように複数段及び複数列からなる複数の空収容容器Teは、1つの複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの両側にそれぞれ配置される。
この状態で、図3に示すように、搬送台車25の排出コンベヤ26によって間口21から物品Aが排出されると、当該排出された物品Aは移送部34(シュート)を滑り落ち、対応する待機位置で待機していた空収容容器Teに収容される。その後、各段の払出コンベヤ42は、物品A(物品群G)が収容された全ての複数段の収容容器T(以下、「実収容容器Tf」と言う。)であって長手方向X(搬送方向)に複数並べた状態の一群の収容容器Tを、まとめて搬出する。このように、搬送装置4は、複数段の収容容器Tを長手方向X(搬送方向)に複数並べた状態の一群の収容容器Tを搬送単位として纏めて搬送するように構成されている。
払出コンベヤ42には、搬出コンベヤ43が接続されている。搬出コンベヤ43は、払出コンベヤ42から受け取った複数段の実収容容器Tfを、出荷エリア側に向けて搬出する。出荷エリアでは、各オーダーの物品群Gが個別に、又は、複数のオーダーの物品群Gどうしがまとめられて、出荷(出庫)されていく。
ピッキングシステム1は、当該ピッキングシステム1の各部の動作を制御する制御装置6を備えている。図5に示すように、制御装置6は、複数段仕分け装置2(搬送台車25及び排出コンベヤ26)及び搬送装置4(搬入コンベヤ41、払出コンベヤ42、及び搬出コンベヤ43)の動作を制御する。また、制御装置6は、自動倉庫7、元梱供給装置71、元梱戻し装置72、物品供給装置81、及び空容器供給装置9の動作を制御する。具体的には、制御装置6は、各部を駆動するための駆動装置(例えば駆動モータ等)を駆動制御することにより、各部の動作を制御する。
なお、各物品Aや各収容容器Tには、バーコードやICタグ等の識別標識が付されている。そして、ピッキングシステム1の複数位置にはバーコードリーダーやICタグリーダー等の読取装置が設置されており、制御装置6は、各読取装置からの読取情報を取得可能に構成されている。制御装置6は、当該読取情報に基づいて、各物品Aや各収容容器Tの位置を管理している。
以下、本実施形態のピッキングシステム1の動作の一例について説明する。ここでは、1つの複数段仕分け装置2あたり、当該複数段仕分け装置2が有する間口21の個数(段数×列数×2)と同数のオーダーが1バッチでまとめて処理される場合を例として説明する。図6に示すように、まず、当該バッチを構成する全てのオーダーに含まれる物品Aが、複数段仕分け装置2に順次供給されてくる(ステップ#01)。このとき、全てのオーダーに基づき、出荷すべき全種類の物品Aが、それぞれ必要個数ずつ、ピース単位で供給されてくる。
なお、複数の複数段仕分け装置2が同時に稼働する場合には、複数の複数段仕分け装置2のそれぞれに割り当てられている全てのオーダーに含まれる物品Aが、種別毎に集約してまとめて自動倉庫7から供給される。その後、各オーダーに基づき、必要個数ずつ各複数段仕分け装置2に分配される。この点について、図7に示す単純化モデルを参照して説明する。この図において、「α」〜「δ」は、物品Aの種別を表している。そして、「Aα」〜「Aδ」は各種別の個々の物品A(ピース)を表し、「Cα」〜「Cδ」は各種別の物品Aを収容している元梱容器を表している。
この例では、第1の複数段仕分け装置2Aに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は50個、種別βの物品Aの総数は30個、種別γの物品Aの総数は20個、種別δの物品Aの総数は100個である。また、第2の複数段仕分け装置2Bに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は10個、種別βの物品Aの総数は40個、種別γの物品Aの総数は60個、種別δの物品Aの総数は60個である。また、第3の複数段仕分け装置2Cに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は20個、種別βの物品Aの総数は20個、種別γの物品Aの総数は40個、種別δの物品Aの総数は30個である。また、第4の複数段仕分け装置2Dに割り当てられている全てのオーダーで必要な種別αの物品Aの総数は60個、種別βの物品Aの総数は40個、種別γの物品Aの総数は80個、種別δの物品Aの総数は30個である。
この場合、4つの複数段仕分け装置2A〜2Dの全体で、種別αの物品Aが140個必要となり、種別βの物品Aが130個必要となり、種別γの物品Aが200個必要となり、種別δの物品Aが220個必要となる。そこで、自動倉庫7からは、140個以上の種別αの物品Aを収容した元梱容器、130個以上の種別βの物品Aを収容した元梱容器、200個以上の種別γの物品Aを収容した元梱容器、220個以上の種別δの物品Aを収容した元梱容器が搬出される。なお、各種別の物品Aを収容した元梱容器は、1つで必要個数を賄えない場合には、複数個に分かれていても良い。
その後、物品ばらし部8で、各種別の元梱容器から物品Aがピース単位で取り出される。その際、種別αの物品Aが140個取り出され、種別βの物品Aが130個取り出され、種別γの物品Aが200個取り出され、種別δの物品Aが220個取り出されて、順次、各複数段仕分け装置2側に送られていく。そして、各複数段仕分け装置2A〜2Dに、各種別の物品Aが、それぞれの必要個数ずつ分配されて供給される。
複数段仕分け装置2に順次供給される物品Aは、複数段仕分け装置2により、オーダー毎に仕分けられる(#02)。1つの複数段仕分け装置2が有する複数(段数×列数×2)の間口21は、それぞれ1つのオーダーに対応付けられている。このため、各物品Aは、複数段仕分け装置2により、その物品Aを含むオーダーに対応する間口21の位置まで搬送台車25で搬送された後、排出コンベヤ26によって当該間口21から排出される。なお、各間口21から排出された物品Aは、図3に示すように、移送部34を介して収容容器Tに収容される。この処理は、1バッチに含まれる全てのオーダー分の仕分けが完了するまで、言い換えれば、全ての収容容器Tに物品群Gが集まるまで、継続して行われる(#03)。
全てのオーダー分の仕分けが完了すると(#03:Yes)、所定時間(例えば1秒〜5秒、適宜変更されて良い)が経過すると(#04:Yes)、払出コンベヤ42上の実収容容器Tfが、搬出コンベヤ43により搬出される(#05)。この搬出処理によって各待機位置には収容容器Tが不在となるので、それを補填するように、搬入コンベヤ41から空収容容器Teが払出コンベヤ42上に搬入される(#06)。以上の処理を順次繰り返すことになる。
本実施形態のピッキングシステム1は、複数段複数列からなる複数の間口21を有する複数段仕分け装置2で仕分け処理を行うので、一度にまとめて処理可能なオーダー数を増加させることができる。しかも、複数段仕分け装置2は並び方向Yの両側にそれぞれ複数の間口21を有するので、一度にまとめて処理可能なオーダー数をさらに増加させることができる。よって、仕分け装置の平面的な設置スペースを拡大することなく、仕分けのための処理効率を高めることができる。
さらに、本実施形態のピッキングシステム1は、搬送装置4として搬入コンベヤ41、払出コンベヤ42、及び搬出コンベヤ43を備え、複数段に積み重ねられた状態の収容容器Tを搬送するように構成されているので、複数の実収容容器Tfの搬出や、複数の空収容容器Teの搬入をそれぞれ自動でスムーズに行うことができる。よって、仕分け後の搬出や、次の搬出のための準備を効率的に行うことができ、この点からも、システム全体としての処理効率を高めることができる。
2.第2の実施形態
次に、ピッキングシステム1の第2の実施形態について、図8から図11を用いて説明する。本実施形態では、搬送装置4に搬送される複数段の容器の姿勢や、移送部34の周辺の構成等が異なる点で、上記第1の実施形態とは異なる。以下では、本実施形態では、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
図8及び図9に示すように、本実施形態では、収容容器Tは、並び方向Yの一方側のみに第2開口部T2を有している。すなわち、収容容器Tは、収容容器Tが待機位置にある状態で間口側Y1に向けて開口する第2開口部T2は有しているが、反間口側Y2に向けて開口する第2開口部T2は有していない。なお、本実施形態においても、カバー体5が設けられているため、収容容器Tとして、間口側Y1と反間口側Y2との双方に第2開口部T2を有するものを用いてもよい。
図8に示すように、搬送装置4は、間口側Y1に向く第2開口部T2が斜め上方を向く姿勢で複数段の収容容器Tを搬送する。つまり、搬送装置4は、間口側Y1に向けて開口する第2開口部T2が斜め上方に向けて開口するように、複数段の収容容器Tを傾斜姿勢で搬送する。収容容器Tの傾斜姿勢とは、収容容器Tにおける載置部T4の上面が間口側Y1から反間口側Y2へ向かうに従って下方へ向かうように傾斜した姿勢である。つまり、搬送装置4は、複数段の空収容容器Teを傾斜姿勢で待機位置に搬送し、複数段の実収容容器Tfを傾斜姿勢で待機位置から搬送する。そして、待機位置に配置された複数段の収容容器Tは、傾斜姿勢で物品Aを受け取る。
カバー体5は、上下方向Zに並ぶ複数の搬送装置4のそれぞれに対応する状態で設置されている。本実施形態では、下側の搬送装置4によって待機位置に配置されるように支持された複数段の収容容器Tの反間口側Y2を覆うカバー体5と、上側の搬送装置4によって待機位置に配置されるように支持された複数段の収容容器Tの反間口側Y2を覆うカバー体5と、が設置されている。
本実施形態では、ピッキングシステム1は、貯留装置3を更に備えている。貯留装置3は、複数段仕分け装置2の間口21から排出される物品Aを受け取って一時貯留する。図8に示すように、貯留装置3は、複数段の間口21のそれぞれに対応して複数段に設けられている。また、貯留装置3は、複数列の間口21のそれぞれに対応して複数列に設けられている。すなわち、複数の貯留装置3が、複数段複数列の間口21のそれぞれに対応して、複数段及び複数列からなる直交格子状に配列されている。複数段及び複数列からなる直交格子状配列の複数の貯留装置3は、1つの複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの両側にそれぞれ配置されている。
図8に示すように、それぞれの貯留装置3は、上方開放型の籠体31を含んで構成されている。籠体31は、それ自体、並び方向Yにおける複数段仕分け装置2とは反対側の端部も開放されている。また、貯留装置3は、間口21から排出された物品Aを受け入れる受入口32と、受け入れた物品Aを排出する排出口33と、移送部34とを有している。本実施形態では、籠体31における複数段仕分け装置2側の上部開口が受入口32に該当する。また、籠体31における複数段仕分け装置2とは反対側の端部開口が排出口33に該当する。
本実施形態の貯留装置3は、開閉機構35(図10参照)をさらに有している。開閉機構35は、排出口33(籠体31における複数段仕分け装置2とは反対側の端部開口)に設けられている。開閉機構35は、排出口33が閉鎖された状態と、排出口33が開放された状態とに状態変化可能である。本実施形態の開閉機構35は、ゲート開閉機構で構成されている。この開閉機構35は、排出口33の大きさに対応する大きさの扉体36と、扉体36の下端部に設けられた枢支軸37とを含んでいる。枢支軸37を回動中心として扉体36が揺動することで、開閉機構35は、扉体36で排出口33が閉鎖された状態(図8における右側の開閉機構35を参照)と、排出口33が開放された状態(図8における左側の開閉機構35を参照)とに状態変化可能となっている。
本実施形態では、扉体36は、対応する収容容器Tに対する離間距離に応じた長さに形成されている。具体的には、扉体36は、排出口33が開放された状態で収容容器Tに届く長さに形成されている。本実施形態では、待機位置に配置された複数段の収容容器Tが傾斜姿勢であるため、上方側の収容容器Tに対応する扉体36の方が、下方側の収容容器Tに対応する扉体36よりも、枢支軸37から先端までの長さが長く形成されている。
各貯留装置3の開閉機構35は、少なくとも対応するオーダーの物品Aの集合である物品群Gが集まるまで、排出口33が閉鎖された状態とされる。本実施形態では、各貯留装置3の開閉機構35は、一度にまとめて処理される全てのオーダーに応じた物品群Gがそれぞれ対応する貯留装置3に集まるまで、排出口33が閉鎖された状態とされる。本実施形態では、1バッチで、1つの複数段仕分け装置2が有する間口21の個数(段数×列数×2)と同数のオーダーがまとめて処理されるものとされている。この場合、1つの複数段仕分け装置2の両隣に位置している全ての貯留装置3に、対応するオーダーの物品群Gが集まるまで、排出口33が閉鎖された状態とされる。本実施形態では、1つの複数段仕分け装置2の両隣に位置している全ての貯留装置3の集合が「貯留装置群」に相当する。
やがて1つの複数段仕分け装置2の両隣の全ての貯留装置3に物品群Gが集まると、その後、全ての貯留装置3の開閉機構35が、一斉に排出口33が開放された状態とされる。貯留装置3の籠体31の中では、重力の作用により、各物品Aが移送部34(シュート)によって排出口33側へ向かう分力を受けているので、排出口33が一斉に開放されると、全ての物品群Gが排出口33から一斉に排出される。
開閉機構35を駆動するための駆動装置(駆動モータ)は、各貯留装置3に個別に設けられても良いし、複数の貯留装置3で共用されても良い。後者の場合、例えば同じ段に属する複数の貯留装置3のそれぞれの開閉機構35が1つの駆動装置で駆動されても良い(この場合、各段に1つずつ駆動装置が設けられることになる)。或いは、例えば全ての貯留装置3のそれぞれの開閉機構35が1つの駆動装置で駆動されても良い。1つの駆動装置でまとめて駆動される開閉機構35を有する貯留装置3の範囲(区分)は、上記の態様以外にも適宜設定されて良い。
以下、本実施形態のピッキングシステム1の動作の一例について説明する。図11に示すように、まず、当該バッチを構成する全てのオーダーに含まれる物品Aが、複数段仕分け装置2に順次供給されてくる(ステップ#11)。複数段仕分け装置2に順次供給される物品Aは、複数段仕分け装置2により、オーダー毎に仕分けられる(#12)。1つの複数段仕分け装置2が有する複数(段数×列数×2)の間口21は、それぞれ1つのオーダーに対応付けられている。このため、各物品Aは、複数段仕分け装置2により、その物品Aを含むオーダーに対応する間口21の位置まで搬送台車25で搬送された後、排出コンベヤ26によって当該間口21から排出される。なお、各間口21から排出された物品Aは、排出口33が閉鎖されている状態の貯留装置3で貯留される。この処理は、1バッチに含まれる全てのオーダー分の仕分けが完了するまで、言い換えれば、全ての貯留装置3に物品群Gが集まるまで、継続して行われる(#13)。
全てのオーダー分の仕分けが完了すると(#13:Yes)、全ての貯留装置3の開閉機構35が一斉に開放される(#14)。すると、各貯留装置3に一時貯留されていた物品群Gが、一斉に移送部34(シュート)を滑り落ちて排出され、払出コンベヤ42上で待機していた対応する空収容容器Teに収容される。その後、所定時間(例えば1秒〜5秒、適宜変更されて良い)が経過すると(#15:Yes)、全ての貯留装置3の開閉機構35が一斉に閉鎖される(#16)。
開閉機構35の閉鎖後、次のバッチの仕分け処理が開始される(#17)。すなわち、次のバッチに含まれる複数のオーダーを対象として、ステップ#11,#12の処理が開始される。また、それと並行して、払出コンベヤ42上の実収容容器Tfが、搬出コンベヤ43により搬出される(#18)。この搬出処理によって各待機位置には複数段の収容容器Tが不在となるので、それを補填するように、搬入コンベヤ41から複数段に積み重ねられた空収容容器Teが払出コンベヤ42上に搬入される(#19)。そして、その状態で、その時点で実行中の仕分け処理の完了を待つ(#13)。以上の処理を順次繰り返すことになる。
3.第3の実施形態
次に、ピッキングシステム1の第3の実施形態について、図12及び図13を用いて説明する。本実施形態では、搬送装置4の構成等が異なる点で、上記第1及び第2の実施形態とは異なる。以下では、本実施形態では、上記第1及び第2の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1又は第2の実施形態と同様とする。
図12に示すように、第2の実施形態と同様に、収容容器Tは、収容容器Tが待機位置にある状態で間口側Y1に向けて開口する第2開口部T2は有しているが、反間口側Y2に向けて開口する第2開口部T2は有していない。なお、本実施形態においても、カバー体5が設けられているため、収容容器Tとして、間口側Y1と反間口側Y2との双方に第2開口部T2を有するものを用いてもよい。
搬送装置4は、待機位置に配置された複数段の収容容器Tの姿勢を変更する姿勢変更装置44(図13参照)を備えている。姿勢変更装置44は、開口(間口側Y1に向く第2開口部T2の開口)が斜め上方を向くように複数段の収容容器Tを傾斜させた傾斜姿勢(図12における左側の複数段の収容容器Tを参照)と、複数段の収容容器Tの傾斜が待機姿勢より小さい搬送姿勢(図12における右側の複数段の収容容器Tを参照)と、に姿勢変更させる。本実施形態では、本実施形態では、搬送姿勢は、第1の実施形態の水平姿勢と同じ姿勢としている。また、搬送装置4は、長手方向Xに沿う軸心周りに揺動可能に設置されており、姿勢変更装置44は、搬送装置4を揺動させることで、当該搬送装置4に支持されている複数段の収容容器Tを傾斜姿勢と搬送姿勢とに姿勢変更させる。具体的には、姿勢変更装置44は、搬送装置4を揺動可能に支持する軸支部45と、軸支部45による支持軸心周りに搬送装置4を揺動させる駆動部46(例えば電動モータや流体圧アクチュエータ等、図13参照)と、を備えている。
搬送装置4は、複数段の空収容容器Teを搬送姿勢で待機位置に搬送する。そして、複数段の空収容容器Teが待機位置に搬送された後、姿勢変更装置44によって搬送装置4が揺動操作されることで、複数段の空収容容器Teは傾斜姿勢に姿勢変更される。複数段の空収容容器Teに物品Aを収容して複数段の実収容容器Tfとした後、姿勢変更装置44によって搬送装置4が揺動操作されることで、複数段の実収容容器Tfは搬送姿勢に姿勢変更される。そして、搬送装置4は、複数段の実収容容器Tfを搬送姿勢で待機位置から搬送する。
カバー体5は、上下方向Zに並ぶ複数の搬送装置4のそれぞれに対応する状態で設置されている。本実施形態では、第2の実施形態と同様に、下側の搬送装置4によって待機位置に配置されるように支持された複数段の収容容器Tの反間口側Y2を覆うカバー体5と、上側の搬送装置4によって待機位置に配置されるように支持された複数段の収容容器Tの反間口側Y2を覆うカバー体5と、が設置されている。
本実施形態では、カバー体5は、搬送装置4の枠体に一体的に連結されている。従って、カバー体5は、搬送装置4が姿勢変更装置44によって揺動操作されるのに伴って、搬送装置4と同じ角度変化量で一体的に揺動する。そのため、搬送装置4に支持されている複数段の収容容器Tが搬送姿勢となっている状態、搬送装置4に支持されている複数段の収容容器Tが傾斜姿勢となっている状態、の何れの状態でも、カバー体5は複数段の収容容器Tが並ぶ方向に沿う姿勢となる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、複数段仕分け装置2が、排出コンベヤ26を有する複数の搬送台車25を備えて構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、複数段仕分け装置2が、押出機構が設けられた複数段のスラットコンベヤを備えて構成されても良い。また、複数段仕分け装置2は、物品Aを複数の間口21のいずれかに仕分けして排出するものであれば、いかなる構造のものを用いても良い。
(2)上記の実施形態では、複数段仕分け装置2が並び方向Yの両側に間口21を有しており、1つの複数段仕分け装置2に対して並び方向Yの両側に搬送装置4が配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば複数段仕分け装置2が並び方向Yの片側だけに間口21を有し、その間口21の側だけに搬送装置4が配置されても良い。
(3)上記の実施形態では、ピッキングシステム1が複数の複数段仕分け装置2を備えている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばピッキングシステム1が、単一の複数段仕分け装置2だけを備えて構成されても良い。
(4)上記の実施形態では、貯留装置3の移送部34が固定式のシュートで構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、移送部34が、例えば可動式(チルト式)のシュートで構成されても良い。或いは、移送部34が、例えばコンベヤやプッシャー等で構成されても良い。これらの場合には、貯留装置3には開閉機構35が備えられなくても良い。
(5)上記の実施形態では、搬送装置4が、それぞれ複数段の搬入コンベヤ41、払出コンベヤ42、及び搬出コンベヤ43を備えて構成されている例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、搬送装置4が、払出コンベヤ42に代えて、走行レール上を走行する搬送台車を備えて構成されても良い。この場合においても、搬送装置4としての搬送台車は、複数段に積み重ねられた状態で複数の収容容器Tを同時に搬送する。
(6)上記の実施形態では、収容容器Tに、第1開口部T1及び第2開口部T2を備える例を説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、収容容器Tに、第1開口部T1と第2開口部T2とのいずれか一方の開口部のみを備えてもよい。収容容器Tに第1開口部T1のみを備える場合は、第1開口部T1を底部T3より大きい形状として、段積みした状態で第1開口部T1の一部が底部T3に対して間口側Y1にはみ出して開口するようにしてもよい。
(7)上記の実施形態では、カバー体5を、板状の部材によって構成する例を説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、カバー体5が、格子状に配置されたフレーム材によって構成されていてもよい。また、収容容器Tからの物品Aの落下や収容容器Tの転倒の虞がない場合等では、カバー体5を設置しなくてもよい。
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
〔実施形態の概要〕
以上をまとめると、本開示に係るピッキングシステムは、好適には、以下の各構成を備える。
保管されている複数の物品の中から必要な物品を収集して出庫するピッキングシステムであって、
上下方向の高さが異なる複数段の間口を有し、オーダーに基づいて前記物品を複数段の前記間口のいずれかに仕分けして排出する複数段仕分け装置と、
複数段の前記間口のそれぞれに対応して複数段に積み重ねられた状態で待機位置に配置され、前記間口から排出された前記物品を受け取る複数段の収容容器と、
前記物品を受け取った複数段の前記収容容器を前記待機位置から搬出し、空の複数段の前記収容容器を前記待機位置に搬入する搬送装置と、を備える。
本構成によれば、オーダーに基づいて物品を仕分ける仕分け装置が、複数段の間口を有する複数段仕分け装置で構成されるので、上下方向の異なる高さの各段を利用して、一度にまとめて処理可能なオーダー数を増加させることができる。すなわち、仕分け装置の平面的な設置スペースを拡大することなく、仕分けのための処理効率を高めることができる。また、この構成では、複数段の間口に仕分けられた物品は、当該間口から排出されて待機位置に配置された複数段の収容容器によって受け取られる。そして、物品を受け取った複数段の収容容器を搬送装置によって前記待機位置から搬出し、別の空の複数段の収容容器を搬送装置によって待機位置に搬入する。このように搬送される収容容器は、複数段に積み重ねられて上下方向に密集した状態で搬送されるため、搬送装置による収容容器の搬送効率を高めることができる。以上より、限られたスペースで物品の収集から出庫までを効率的に行うことができるピッキングシステムを実現することができる。
一態様として、
複数段の前記間口のそれぞれに対応して複数段に設けられ、前記オーダー毎の前記物品の集合である物品群が集まるまで、前記間口から排出される前記物品を受け取って一時貯留する複数の貯留装置を更に備え、
複数段の前記収容容器は、前記間口から排出された前記物品を前記貯留装置を介して受け取ることが好ましい。
本構成によれば、各オーダーの物品群が集まるまで、間口から排出される物品が貯留装置で一時貯留され、その後、収容容器に移し替えられて搬送装置で自動搬出される。この搬出処理により各待機位置には収容容器が不在となるので、それを補填するように空の収容容器が搬送装置で自動搬入される。このように、各オーダーの物品群が収容された収容容器の搬出及び空の収容容器の搬入が搬送装置によって自動で行われるので、仕分け後の搬出や、次の搬出のための準備を効率的に行うことができる。
一態様として、
前記貯留装置が、前記物品を受け入れる受入口と、前記物品を排出する排出口と、前記物品を前記受入口側から前記排出口側へ送る移送部と、を有することが好ましい。
この構成によれば、複数段仕分け装置の間口から排出される物品を、受入口から受け入れて、貯留装置で適切に貯留することができる。また、移送部による物品の排出口側への送り作用を働かせることにより、一時貯留していた物品群を貯留装置から適切に排出することができる。よって、貯留装置としての必要な機能を担保することができる。
一態様として、
前記移送部は、前記受入口側から前記排出口側へ向かうに従って下方に傾斜するシュートであり、
前記貯留装置が、前記排出口に設けられて当該排出口が閉鎖された状態と開放された状態とに切替可能な開閉機構をさらに有することが好ましい。
この構成によれば、例えばコンベヤやプッシャー等の特別な機構を具備することなく、重力の作用を利用した簡易な構成で、受入口側から排出口側へ物品を送ることができる。また、この構成では、開閉機構が排出口を閉鎖した状態で、当該排出口からの物品の排出が規制される。よって、複数段仕分け装置の間口から受け取った物品を、貯留装置で適切に貯留することができる。一方、開閉機構が排出口を開放することで、当該排出口からの物品の排出規制が解除される。よって、その状態でシュートからなる移送部による物品の排出口側への送り作用により、一時貯留していた物品群を貯留装置から適切に排出することができる。よって、構造の簡素化を図りつつ、貯留装置としての必要な機能を担保することができる。
一態様として、
前記搬送装置は、複数段の前記収容容器を搬送方向に複数並べた状態の一群の前記収容容器を搬送単位としてまとめて搬送するように構成され、
1つの前記搬送単位に含まれる一群の前記収容容器に対応する複数の前記貯留装置の集合を貯留装置群として、前記貯留装置群の全てについての前記物品群が集まった後に、前記貯留装置群の全ての前記貯留装置から前記物品群が一斉に排出されることが好ましい。
この構成によれば、複数の貯留装置からの物品群の排出を、個々に行うのではなく集約して行うので、そのための駆動機構を少なくとも部分的に共通化することができる。よって、貯留装置の構造及びその制御の簡素化を図ることができる。
一態様として、
前記複数段仕分け装置は、前記複数段仕分け装置、前記貯留装置、及び前記搬送装置の並び方向の両側に前記間口をそれぞれ有しており、
前記複数段仕分け装置に対して前記並び方向の両側に、前記貯留装置及び前記搬送装置がそれぞれ配置されていることが好ましい。
この構成によれば、複数段仕分け装置が片側だけに間口を有して物品を片側だけに排出するような構成に比べて、一度にまとめて処理可能なオーダー数を倍増させることができる。
一態様として、
前記搬送装置は、複数段の前記収容容器を搬送するコンベヤを含むことが好ましい。
この構成によれば、コンベヤが、複数段の間口から排出される物品を受け取る複数段に積み重ねられた収容容器を支持した状態で待機しつつ、複数段の収容容器で物品を受け取った後はそれをそのまま搬出することができる。よって、複数段仕分け装置、貯留装置、及び搬送装置の並び方向における搬送装置の設置スペースを必要最小限に抑えることができる。
一様態として、
上下方向視で前記搬送装置を挟んで前記間口がある側とは反対側を反間口側として、
前記待機位置に配置された複数段の前記収容容器の前記反間口側を覆うカバー体を更に備えることが好ましい。
本構成によれば、物品を受け取った収容容器が反間口側に転倒又は移動することをカバー体によって規制することができる。また、収容容器が反間口側にも開口している場合において、当該反間口側の開口から物品が飛び出すことをカバー体によって規制することができる。
一様態として、
前記収容容器は、複数段に積み重ねられて前記待機位置に配置された状態において、前記間口側に向かって開口する開口部を備えていることが好ましい。
本構成によれば、複数段の収容容器は、複数段に積み重ねされた状態であっても、間口から排出された物品を開口部から受け取ることができる。従って、複数段の間口から排出された物品の受け取りを適切に行うことができる。
一様態として、
前記搬送装置は、前記開口部が斜め上方を向く姿勢で複数段の前記収容容器を搬送すると好ましい。
本構成によれば、搬送装置によって収容容器を搬送している間に、収容容器に収容された物品が開口部から落ちる可能性を低減できる。また、収容容器が待機位置に設置されている状態では、開口部が斜め上方を向いていることで、間口から排出された物品の受け取りをより適切に行い易くなる。
一様態として、
前記待機位置に配置された複数段の前記収容容器の姿勢を変更する姿勢変更装置を更に備え、
前記姿勢変更装置は、前記開口部が斜め上方を向くように複数段の前記収容容器を傾斜させた待機姿勢と、複数段の前記収容容器の傾斜が前記待機姿勢より小さい搬送姿勢と、に姿勢変更させることが好ましい。
本構成によれば、収容容器が待機位置にある状態では、開口部が斜め上方を向いていることで、間口から排出された物品の受け取りをより適切に行い易くなる。また、収容容器を搬送装置によって搬送している状態では、収容容器の傾斜が比較的小さい搬送姿勢となっているため、複数段に積み重ねられた収容容器を安定性が高い状態で搬送することができる。
一様態として、
前記物品を保管する自動倉庫をさらに備え、
前記複数段仕分け装置が複数設けられているとともに、複数の前記複数段仕分け装置が共通の前記自動倉庫に接続されており、
複数の前記複数段仕分け装置のそれぞれに対応する前記オーダーに含まれる前記物品が、種別毎に集約して前記自動倉庫側から供給され、その後、必要個数ずつ各複数段仕分け装置に分配されると好適である。
この構成によれば、個々の複数段仕分け装置に対して、順次、各オーダーに含まれる物品を自動倉庫側から供給するような構成に比べて、自動倉庫の動作量を少なく抑えることができる。よって、自動倉庫からの複数の複数段仕分け装置のそれぞれへの物品の供給を円滑に行うことができる。また、システム全体としての処理効率を高めることができる。
本開示に係るピッキングシステムは、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。