以下、本願の印刷装置を具体化した一実施形態であるMFP1について図1を参照しつつ説明する。図1は、MFP1の電気的構成を示すブロック図である。
(1.MFPの構成)
MFP1は、印刷機能、コピー機能、スキャナ機能、FAX機能を備える複合機である。図1に示すように、MFP1は、CPU12、RAM13、メモリ15、印刷部16、画像読取部17、FAX通信部18、ユーザインタフェース20、およびネットワークインタフェース24などを備えている。これらのCPU12等は、バス11で互いに接続されている。また、MFP1は、商用電源から電力を供給する電源25を備えている。電源25は、電源コードや電源回路(ブリッジダイオード、平滑化回路など)を備え、商用電源から直流電源を生成し、電源線にてMFP1が備える各部へ電力を供給する。
メモリ15(本発明の記憶部の一例)は、例えば、NVRAMなどの不揮発性メモリである。なお、本願の記憶部は、NVRAMに限らず、揮発性のRAM、ROM、HDD、MFP1に接続される外部記憶装置(USBメモリなど)、あるいはそれらを組み合わせた記憶部でも良い。また、本願の記憶部は、ネットワークインタフェース24を介して接続されるファイルサーバ等でも良い。また、記憶部は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non−transitoryな媒体である。non−transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体も含まれる。また、non−transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non−transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
メモリ15は、制御プログラム71などの各種プログラムを記憶している。制御プログラム71は、例えば、MFP1の各部を統括的に制御するプログラムである。CPU12は、制御プログラム71を実行し、実行した処理結果をRAM13に一時的に記憶させながら、バス11で接続された各部を制御する。また、制御プログラム71には、Webサーバとして機能するプログラムであるEWS(Embedded Web Server)プログラムが含まれている。CPU12は、EWSプログラムを実行することで、MFP1をWebサーバとして機能させる。また、本実施形態のメモリ15内には、認証DB(データベースの略)73が構築されている。認証DB73は、後述するように、例えば、MFP1にログインできるログインユーザのユーザ名、各ユーザの権限、各ユーザのメールアドレスを関連付けたデータである(図2参照)。なお、以下の説明では、CPU12で制御プログラム71等を実行するMFP1のことを、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「MFP1がタッチパネル21に対する操作入力を受け付ける」という記載は、「MFP1がCPU12で制御プログラム71を実行しタッチパネル21を制御することで、タッチパネル21に対する操作入力を受け付ける」ということを意味する場合がある。
印刷部16は、ヘッド161およびインクカートリッジ162を有する。インクカートリッジ162は、インクを収容する。ヘッド161は、インクカートリッジ162から供給されるインクをシート(紙やOHPなど)に吐出する。これにより、印刷部16は、CPU12の制御に基づいて、インクジェット方式によりシートに画像を印刷する。なお、本願の印刷部16は、インクジェット方式で印刷を行う構成に限らず、他の方式、例えば、電子写真方式で印刷を行う構成でも良い。
画像読取部17は、不図示の原稿台およびCIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge-Coupled Device)等のイメージセンサを備える。画像読取部17は、原稿台に載置された原稿に対してCIS等を移動させ、原稿を読み取り、画像データを生成する。FAX通信部18は、電話回線を介して、他のファクシミリ装置との間でFAXデータの送受信を行う。
ユーザインタフェース20は、タッチパネル21、およびテンキー22などの操作ボタンを有する。タッチパネル21は、例えば、液晶パネル、液晶パネルの背面側から光を照射するLED等の光源、液晶パネルの表面に貼り合わされた接触感知膜等を備えている。ユーザインタフェース20は、CPU12の制御に基づいて、例えば各種の設定画面や装置の動作状態等をタッチパネル21に表示する。また、ユーザインタフェース20は、タッチパネル21やテンキー22に対する操作入力に応じた信号をCPU12へ送信する。なお、本実施形態のMFP1は、表示部と操作部とを兼ねたタッチパネル21を備えているが、特にこれに限らず、表示部とは別に例えばハードウェアキーが操作部として設けられていてもよい。
ネットワークインタフェース24は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースであり、LANケーブル(図示略)を介してルータ29に接続されている。本実施形態のルータ29には、例えば、複数のPC41と、メールサーバ43が接続されている。ユーザは、PC41を操作することで、PC41からMFP1へ印刷ジョブ75を送信する。MFP1は、PC41から受信した印刷ジョブ75に基づいて印刷処理を実行する。また、MFP1は、メールサーバ43から受信したメールを印刷ジョブ75として処理し、メールに添付されたファイルの印刷等を実行する。なお、MFP1へ印刷ジョブ75を送信する装置は、PC41やメールサーバ43に限らず、例えば、MFP1と無線通信が可能な携帯端末でも良い。また、MFP1、PC41、メールサーバ43を接続するネットワークは、有線LANに限らず、例えば、無線LANあるいはWAN(インターネットを含む)でも良い。
次に、メモリ15に記憶する認証DB73について説明する。
図2は、認証DB73に記憶されるデータの一例を示している。図2に示すように、認証DB73には、例えば、ユーザ名111、PIN番号113、印刷権限フラグ114、スキャン権限フラグ115、コピー権限フラグ116、メールアドレス117が関連付けられて1つのレコードとして登録されている。本実施形態の認証DB73には、パブリックユーザ(PUBLIC)、「inoue」、「kato」、「hayashi」、「minami」の5つがユーザとして登録されている。ユーザ名111およびPIN番号113は、例えば、MFP1を管理するシステム管理者によって各ユーザに付与される。各ユーザは、このユーザ名111やPIN番号113を用いてMFP1のログイン操作を行う。
また、印刷権限フラグ114、スキャン権限フラグ115、コピー権限フラグ116は、MFP1に対する印刷機能、スキャン機能、コピー機能の実行権限を、各ユーザに付与するか設定するフラグ値である。例えば、図2に示す例では、パブリックユーザやユーザ名「inoue」は、印刷権限、およびスキャン権限を有するが、コピー権限を有していない。また、各レコードには、ユーザ名111やPIN番号113等と関連付けてメールアドレス117が設定されている。
システム管理者は、図2に示すユーザの追加や削除、権限の変更、メールアドレス117の登録などを認証DB73に対して行う。例えば、本実施形態のMFP1は、認証DB73の設定をEWSで受け付け可能となっている。例えば、システム管理者は、PC41でWebブラウザを操作し、MFP1のEWSにアクセスする。MFP1は、EWSのWebページで受け付けた情報に基づいて、認証DB73の設定を実行する。なお、認証DB73の編集方法は、上記したWEBサーバを利用した方法に限らない。例えば、MFP1は、タッチパネル21に対する操作入力に応じて、認証DB73を編集しても良い。また、図2に示す認証DB73のデータ項目は、一例であり、例えば、認証DB73は、FAX機能の実行権限を付与するフラグ値や、各ユーザの印刷枚数を制限する値を有しても良い。
(2.セキュリティ印刷機能と蓄積印刷機能)
本実施形態のMFP1は、セキュリティ印刷機能と、蓄積印刷機能を備えている。以下の説明では、図1に示すように、セキュリティ印刷機能を実行するための印刷ジョブ75を、セキュリティ印刷用ジョブ75Aと称し、蓄積印刷機能を実行するための印刷ジョブ75を、蓄積印刷用ジョブ75Bと称して説明する。また、印刷ジョブの種類を区別せずに総称する場合、印刷ジョブ75と称して説明する。
蓄積印刷機能は、ユーザ名85が設定された蓄積印刷用ジョブ75BをPC41などから受信すると、受信した蓄積印刷用ジョブ75BをMFP1のメモリ15に記憶する。MFP1は、タッチパネル21を介してユーザ名およびPIN番号が入力されると、認証DB73に登録されたユーザ名111およびPIN番号113(図2参照)と照合する。照合の結果、認証DB73に登録されたユーザ名111およびPIN番号113と一致すると、入力操作を行ったユーザがMFP1にログインする。ユーザがMFP1にログインすることにより、そのログインしたユーザのユーザ名111が関連付けられた蓄積印刷用ジョブ75Bをメモリ15から取得し印刷を開始する。
蓄積印刷機能の設定は、システム管理者が、PC41でWebブラウザを操作し、MFP1のEWSにアクセスすることにより行われる。蓄積印刷機能を実行する旨の設定が行われる場合、MFP1は、PC41等の外部端末から受信する印刷ジョブ75に対し、本実施形態により説明する蓄積印刷のための各処理を実行する。蓄積印刷機能を実行しない旨の設定が行われる場合、MFP1は、PC41等の外部端末から印刷ジョブ75を受信すると、メモリ15に記憶させることなく印刷処理を開始する。なお、この場合のメモリ15に記憶させないとは、印刷開始のためのトリガーを別に設けないということであり、印刷処理のために一時的にメモリ15に記憶させる処理は含まない。また、PC41で実行されるプリンタドライバは、PC41にログインするためのユーザアカウントをユーザ名85(図1参照)として蓄積印刷用ジョブ75Bに設定し、MFP1へ送信する。また、PC41にログインするためのユーザアカウントと認証DB73に登録されるユーザ名111は同じ文字列が使用されている。本実施形態における各処理は、蓄積印刷機能を実行する旨の設定がされていることが前提となっている。
セキュリティ印刷機能とは、ジョブ名81やパスワード83(図1参照)が設定されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aを一旦MFP1のメモリ15に記憶し、MFP1のタッチパネル21をユーザが操作し、セキュリティ印刷用ジョブ75Aに関連付けられたパスワード83を入力することによりセキュリティ印刷用ジョブ75Aの印刷を実行する機能である。PC41は、セキュリティ印刷機能を実行する場合、ジョブ名81とパスワード83を設定したセキュリティ印刷用ジョブ75AをMFP1へ送信する。ジョブ名81は、例えば、PC41で実行されるプリンタドライバによって付与される印刷ジョブ75の名前である。パスワード83は、例えば、PC41で実行されるプリンタドライバの設定画面でユーザにより設定され、セキュリティ印刷用ジョブ75Aと関連付けられた情報(数字や文字など)である。なお、図示を省略するが、本実施形態のセキュリティ印刷用ジョブ75Aには、例えば、蓄積印刷用ジョブ75Bと同様のユーザ名85が設定されている。
蓄積印刷機能およびセキュリティ印刷機能は、外部から受信した印刷ジョブ75をメモリ15に蓄積し、MFP1においてユーザが認証情報の入力操作をおこなうことにより印刷を開始する点で共通する。一方、入力する認証情報が、セキュリティ印刷機能では印刷ジョブ75に関連付けられたパスワード83であるが、蓄積印刷機能は認証DB73に登録されたユーザ名111に対応するPIN番号113である点で異なる。また、印刷を開始する印刷ジョブ75が、セキュリティ印刷機能ではユーザにより選択された印刷ジョブ75であるが、蓄積印刷機能では印刷対象となるすべての印刷ジョブ75である点で異なる。
図3は、一例として、PJL(Printer Job Language)で記述された印刷ジョブ75を示している。なお、図3のデータの内容は一例である。図3に示すように、例えば、印刷ジョブ75のヘッダには、ジョブ名81、ユーザ名85、パスワード83、送信時間、記述言語の種類、の順に変数(JOB_NAMEなど)を設定するコマンドが記載されている。MFP1は、例えば、受信した印刷ジョブ75のヘッダに設定されたデータに基づいて、その印刷ジョブ75の処理内容を変更する。MFP1は、例えば、パスワード83を示す「JOB_PASSWORD」の変数に有効な値が設定されている場合、受信した印刷ジョブ75にパスワード83が設定されていると判断する。また、MFP1は、例えば、ユーザ名85を示す「PRINT_USER」に有効な値が設定されている場合、受信した印刷ジョブ75にユーザ名85が設定されていると判断する。なお、PJL以外のプリンタ言語についても、同様に、各言語で定義された内容を判断することで、ユーザ名85等の設定状態を検出できる。
また、本実施形態のMFP1は、メモリ15の記憶領域のうち、セキュリティ印刷用ジョブ75Aを記憶する記憶領域と、蓄積印刷用ジョブ75Bを記憶する記憶領域とを異なる領域に設定する。図4は、メモリ15の記憶領域の状態を模式的に示している。例えば、MFP1は、メモリ15の記憶領域において、セキュリティ印刷用ジョブ75Aを記憶するセキュリティ印刷用記憶領域51と、蓄積印刷用ジョブ75Bを記憶する蓄積印刷用記憶領域52とを設定し、各印刷ジョブ75を記憶する。なお、図4は、例えば、後から受信した印刷ジョブ75を、セキュリティ印刷用記憶領域51および蓄積印刷用記憶領域52のそれぞれにおいて上に積み上げた状態を模式的に示している。
図5は、MFP1のタッチパネル21(図1参照)で表示される画面の状態遷移を示している。図5におけるステップ(以下、単に「S」と記載する)11〜17は、セキュリティ印刷機能に係わる処理である。S19〜S29は、MFP1へのログイン操作に係わる処理である。MFP1は、例えば、電源を投入され制御プログラム71を実行しシステムを起動した後、図5の左上に示す待機画面91をタッチパネル21に表示する。MFP1は、FAX機能、コピー機能、スキャン機能などを選択する機能アイコン93を、待機画面91の中央部に表示する。また、MFP1は、現在選択されているユーザ名を表示するユーザ表示欄95を、待機画面91の左上に表示する。電源投入時は、まだ誰もログインしていない状態のため、MFP1は、待機画面91において、ログアウト状態であることを示すパブリックユーザが選択されている状態をユーザ表示欄95に表示する。本実施形態のMFP1は、認証DB73に未登録のユーザの印刷ジョブ75を、このパブリックユーザの印刷ジョブ75として処理する。待機画面91が表示された状態では、パブリックユーザに許可された権限(図2参照)に応じた機能(スキャン機能など)を実行できる。
例えば、図2のS11において、ユーザが待機画面91を左へスクロールすると、MFP1は、第1待機画面91Aをタッチパネル21に表示する。MFP1は、セキュリティ印刷用の機能アイコン93Aを、第1待機画面91Aに表示する。第1待機画面91Aの機能アイコン93Aをユーザによってタッチされると(S13)、MFP1は、ユーザ選択ウインドウ100をタッチパネル21に表示する。ユーザ選択ウインドウ100には、セキュリティ印刷用記憶領域51にセキュリティ印刷用ジョブ75Aを蓄積されたユーザ名が表示される。後述するように、このユーザ選択ウインドウ100に表示されるユーザ名は、認証DB73に未登録のユーザ名を含む。従って、本実施形態のMFP1は、セキュリティ印刷用記憶領域51に蓄積した未登録ユーザの印刷ジョブ75に設定されたユーザIDをユーザ選択ウインドウ100に表示する。
MFP1は、ユーザ選択ウインドウ100のユーザ名がタッチされると(S14)、ジョブ選択ウインドウ101を表示する。MFP1は、S14で選択されたユーザのセキュリティ印刷用ジョブ75Aのジョブ名81を、ジョブ選択ウインドウ101に表示する。従って、一つのユーザに関連する複数のセキュリティ印刷用ジョブ75Aが蓄積されている場合、関連する全てのジョブ名81が表示される。なお、MFP1は、メールサーバ43から受信した受信メールで、S14で選択されたユーザに関連する受信メールの添付ファイル名を、ジョブ選択ウインドウ101に表示する。
MFP1は、ジョブ選択ウインドウ101に表示したジョブ名81がタッチされると(S15)、パスワード入力ウインドウ103を表示する。MFP1は、パスワードを入力するためのテンキー105と、パスワード入力欄106を、パスワード入力ウインドウ103に表示する。そして、パスワード入力欄106にパスワード83が入力されると、MFP1は、入力されたパスワード83と、ジョブ選択ウインドウ101で選択されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aに設定されたパスワード83とが一致するか判定する(S17)。MFP1は、パスワード83が一致すると(S17)、セキュリティ印刷用ジョブ75Aに係わる画像の印刷を実行する。
なお、MFP1は、受信メールについても印刷ジョブとして処理し、印刷処理を実行する。例えば、ジョブ選択ウインドウ101で添付ファイル名(「添付ファイル1」など)が選択されると(S15)、MFP1は、ジョブ選択ウインドウ101で選択された添付ファイル名に関連付けられたパスワードと、パスワード入力欄106に入力されたパスワード83とが一致するか判定する(S17)。この添付ファイルに関連付けられたパスワードは、例えば、MFP1により発行されるパスワードであり、メールの受信に応じてMFP1が返信するメールに記載等されたパスワードである。MFP1は、パスワード83が一致すると、受信メールの添付ファイル等を印刷する(S17)。
また、図5のS19において、パブリックユーザを表示したユーザ表示欄95をユーザがタッチすると、MFP1は、ユーザ選択ウインドウ109を表示する。ユーザ選択ウインドウ109には、認証DB73に登録されたユーザ名111が表示される。認証DB73に登録されたユーザ名111をユーザ選択ウインドウ109に表示した後、ユーザ選択ウインドウ109のいずれかのユーザ名111をタッチされると(S21)、MFP1は、PIN番号113を入力するPIN番号入力ウインドウ121を表示する。MFP1は、PIN番号113を入力するためのテンキー123と、PIN番号入力欄124を、PIN番号入力ウインドウ121に表示する。テンキー123を用いてPIN番号入力欄124にPIN番号113を入力されると、MFP1は、入力されたPIN番号113と、ユーザ選択ウインドウ109で選択されたユーザ名111に関連付けられたPIN番号113とが一致するか判断する(S23)。MFP1は、PIN番号113が一致すると、ログインを許可する。なお、詳細は後述するが、MFP1は、ログインしたユーザと関連付けられた蓄積印刷用ジョブ75Bがメモリ15に蓄積されている場合、蓄積した蓄積印刷用ジョブ75Bをすべて印刷する(S23)。また、MFP1は、ログインしたユーザと関連付けられた受信メールの印刷データがメモリ15に蓄積されており、かつログインしたユーザに印刷権限が付与されている場合、蓄積した受信メールの印刷データ(添付ファイルなど)をすべて印刷する(S23)。
MFP1は、ログイン後の第2待機画面91Bを表示する。MFP1は、ログインしたユーザ名(例えば、「inoue」)を、第2待機画面91Bのユーザ表示欄95に表示する。この状態では、ログインしたユーザは、認証DB73で許可されている機能のみを実行できる。従って、MFP1は、認証DB73に設定された権限に基づいてログイン後の機能を制限することで、各ユーザの実行権限を制限する。例えば、コピー権限のないユーザが、コピーの機能アイコン93をタッチしても機能が実行されない。なお、MFP1は、ログインしたユーザが権限を有しない、すなわち、実行できない機能の機能アイコン93を第2待機画面91Bに表示しなくとも良い。第2待機画面91Bを操作し、セキュリティ印刷用の機能アイコン93Aが操作された場合も、S13〜S17の処理が実行される。なお、ログイン後の第2待機画面91Bからセキュリティ印刷用の機能アイコン93Aが操作された場合は、ユーザ選択ウインドウ100を表示することなく、ユーザ選択ウインドウ100でログインユーザが選択された後のジョブ選択ウインドウ101を表示してもよい。
第2待機画面91Bを表示した状態で、ユーザ表示欄95をタッチされると(S25)、MFP1は、ログアウトウインドウ126を表示する。MFP1は、ログアウトを実行するか選択する選択キー125をログアウトウインドウ126に表示する。ログアウトの実行を指示する「YES」の選択キー125をタッチされると(S27)、MFP1は、待機画面91をタッチパネル21に表示する。これにより、ログアウトが完了する。また、MFP1は、第2待機画面91Bを表示する状態のまま一定時間が経過した場合、タッチパネル21の表示を第2待機画面91Bから待機画面91に戻す(S29)。この一定時間は、例えば、30秒〜1分である。
(3.MFP1の作動)
次に、本実施形態のMFP1の作動について、図6〜図8を参照しつつ、説明する。図6は、印刷ジョブ75を処理するメイン処理の流れを示している。MFP1は、例えば、電源を投入され制御プログラム71をCPU12で実行しシステムを起動した後、図6に示すメイン処理を実行する。また、以下の説明では、印刷ジョブ75に基づいた印刷処理について主に説明する。受信メールに基づいた印刷処理については、印刷ジョブ75と同様に実行できるため、その説明を適宜省略する。
なお、本明細書のシーケンス図やフローチャートは、基本的に、プログラム(制御プログラム71など)に記述された命令に従ったCPU12の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「受信」、「取得」、「受け付け」、「制御」、「設定」等の処理は、CPU12の処理を表している。CPU12による処理は、ハードウェア制御も含む。
(3−1.メイン処理)
まず、図6のS33において、MFP1のCPU12は、印刷ジョブ75を受信したか否かを判断する。後述するように、CPU12は、S41等を実行した後、再度S33を実行する。従って、CPU12は、システムを起動した後、定期的に印刷ジョブ75を受信したか判断する。CPU12は、印刷ジョブ75を受信したと判断すると(S33:YES)、S35のジョブ蓄積判断処理を実行する。一方、CPU12は、印刷ジョブ75を受信していないと判断すると(S33:NO)、S37を実行する。なお、例えば、CPU12は、複数の印刷ジョブ75を受信した場合、複数の印刷ジョブ75に対し受信した順番に処理する。
S37において、CPU12は、ユーザによってログインされたか判断する。CPU12は、図5のS19〜S23の処理がおこなわれた場合にログインされたと判断する。S37以降において、CPU12は、上記した図5のS19以降の蓄積印刷に係わる処理を実行する。CPU12は、ユーザによってログインされたと判断すると(S37:YES)、メモリ15に蓄積された蓄積印刷用ジョブ75Bのうち、ログインしたユーザと関連付けられた蓄積印刷用ジョブ75Bがあるか判断する(S39)。具体的には、メモリ15の蓄積印刷用記憶領域52に蓄積された蓄積印刷用ジョブ75Bのうち、「PRINT_USER」に設定されているユーザ名85が、ログインしたユーザについて認証DB73に登録されているユーザ名111と一致する場合に、ログインしたユーザと関連付けられた蓄積印刷用ジョブ75Bがあると判断する。また、メモリ15の蓄積印刷用記憶領域52に蓄積された印刷ジョブ75が、受信メールの場合、認証DB73に登録されたメールアドレス117と一致する送信元メールアドレスの印刷ジョブ75がある場合、ログインしたユーザと関連付けられた蓄積印刷用ジョブ75Bがあると判断する。CPU12は、ログインしたユーザの蓄積印刷用ジョブ75Bがあると判断すると(S39:YES)、その蓄積印刷用ジョブ75Bの印刷を印刷部16により実行する(S41)。この場合、メモリ15に蓄積された印刷ジョブ75すべてがユーザからジョブの選択やパスワードの入力操作を要求することなく自動で印刷が開始される。これにより、ユーザによる操作の煩雑さを解消できる。
CPU12は、S41を実行した後、S33からの処理を再度実行する。また、CPU12は、S37においてユーザによってログインされていない場合(S37:NO)、又はS39においてログインしたユーザと関連付けられた蓄積印刷用ジョブ75Bがない場合(S39:NO)、S33からの処理を実行する。そして、CPU12は、S33において新たな印刷ジョブ75の受信を判断する。なお、S41やS37でNOと判断された後、図5のS11〜S17で示すセキュア印刷用ジョブ95Aの印刷処理等、タッチパネル21を操作するユーザの操作内容にしたがって、CPU12はMFP1の機能を実行する。
(3−2.ジョブ蓄積判断処理)
次に、図7を用いて図6のS35のジョブ蓄積判断処理の内容について説明する。ジョブ蓄積判断処理が実行される場合、図6のS33において、新規に受信した印刷ジョブ75が存在することとなる(S33:YES)。CPU12は、この新規に受信した印刷ジョブ75を処理対象の印刷ジョブ75としてS43以降の処理を実行する。
まず、CPU12は、S43において、処理対象の印刷ジョブ75にユーザ名85が設定されているか判断する。CPU12は、例えば、印刷ジョブ75内の「PRINT_USER」の変数(図3参照)に有効な値が設定されている場合、処理対象の印刷ジョブ75にユーザ名85が設定されていると判断し(S43:YES)、S45を実行する。一方、CPU12は、処理対象の印刷ジョブ75にユーザ名85が設定されていないと判断すると(S43:NO)、処理対象の印刷ジョブ75をメモリ15に記憶せずに破棄する(S44)。CPU12は、S44を実行すると、ジョブ蓄積判断処理を終了し、図6のS37を実行する。例えば、プリンタドライバの種類によっては、印刷ジョブ75にユーザ名85を付与しない可能性がある。あるいは、印刷ジョブ75を送信するシステムの中には、ユーザ名85を設定しないシステムがある。このため、MFP1は、ユーザ名85が設定されていない印刷ジョブ75を受信する可能性がある。そこで、本実施形態のCPU12は、ユーザ名85が設定されていない印刷ジョブ75を破棄する。これにより、ユーザ名85が設定されていない印刷ジョブ75が、印刷されずにメモリ15に記憶され続け、メモリ15の記憶領域を圧迫するのを未然に防ぐことが可能となる。なお、CPU12は、ユーザ名85が設定されていない印刷ジョブ75を、メモリ15に蓄積することなく、印刷しても良い。
また、CPU12は、S45において、処理対象の印刷ジョブ75に設定されたユーザ名85が認証DB73に登録されたユーザ名111(図2参照)であるか否かを判断する。図2に示すように、本実施形態の認証DB73には、「PUBLIC」を除き、「inoue」等の四つのユーザ名111が登録されている。従って、CPU12は、S45において認証DB73にアクセスし、処理対象の印刷ジョブ75に設定されたユーザ名85が4つのユーザ名111のいずれかに該当する場合、認証DB73に登録されたユーザ名111であると判断する(S45:YES)。また、印刷ジョブ75が受信メールである場合、送信元のメールアドレスと認証DB73に登録されているメールアドレスとを判断する。CPU12は、印刷ジョブ75のユーザ名85が認証DB73に登録されたユーザ名111であると判断すると(S45:YES)、S47を実行し、登録されていないユーザ名であると判断すると(S45:NO)、S49を実行する。
S47において、CPU12は、印刷ジョブ75に設定されたユーザ名85のユーザに印刷権限が付与されているか否かを判断する。図2に示すように、本実施形態の認証DB73では、ユーザ名111の「inoue」、「kato」および「hayashi」のユーザに印刷権限が付与されている(印刷権限フラグ114参照)。従って、CPU12は、処理対象の印刷ジョブ75のユーザ名85が「inoue」、「kato」又は「hayashi」である場合、ユーザに印刷権限があると判断し(S47:YES)、S51を実行する。
一方、CPU12は、ユーザに印刷権限がないと判断すると(S47:NO)、処理対象の印刷ジョブ75を破棄する(S53)し、ジョブ蓄積判断処理を終了する。これにより、ユーザに印刷権限がないため、蓄積印刷を実行できずにメモリ15に印刷ジョブ75が蓄積され続け、メモリ15の記憶領域を圧迫することを抑制できる。
また、CPU12は、S51において、処理対象の印刷ジョブ75にパスワード83が設定されているか否かを判断する。CPU12は、例えば、印刷ジョブ75内の「JOB_PASSWORD」の変数(図3参照)に有効な値が設定されている場合、処理対象の印刷ジョブ75にパスワード83が設定されていると判断する(S51:YES)。CPU12は、処理対象の印刷ジョブ75にパスワード83が設定されていると判断すると(S51:YES)、処理対象の印刷ジョブ75をセキュリティ印刷用ジョブ75Aとしてセキュリティ印刷用記憶領域51(図4参照)に記憶し(S55)、ジョブ蓄積判断処理を終了する。従って、本実施形態のCPU12は、認証DB73に登録されたユーザの印刷ジョブ75であっても、パスワード83が設定された印刷ジョブ75であればセキュリティ印刷用ジョブ75Aとして記憶する。また、CPU12は、処理対象の印刷ジョブ75にパスワード83が設定されていないと判断すると(S51:NO)、処理対象の印刷ジョブ75を蓄積印刷用ジョブ75Bとして蓄積印刷用記憶領域52に記憶し(S57)、ジョブ蓄積判断処理を終了する。
また、CPU12は、S49において、認証DB73のパブリックユーザに印刷権限が付与されているか判断する。図2に示すように、本実施形態のパブリックユーザには、印刷権限を設定できる(印刷権限フラグ114参照)。CPU12は、パブリックユーザに印刷権限が付与されていないと判断すると(S49:NO)、S53を実行し、処理対象の印刷ジョブ75を破棄する。
一方、CPU12は、パブリックユーザに印刷権限が付与されていると判断すると(S49:YES)、処理対象の印刷ジョブ75をセキュリティ印刷用ジョブ75Aとしてセキュリティ印刷用記憶領域51に記憶する(S59)。従って、本実施形態のCPU12は、パブリックユーザに印刷権限が付与されている場合、未登録ユーザの印刷ジョブ75をセキュリティ印刷用ジョブ75Aとして蓄積する。CPU12は、未登録のユーザが認証DB73に登録された後で、登録されたユーザのセキュリティ印刷用ジョブ75Aを、蓄積印刷用ジョブ75Bとして処理することが可能となる。なお、CPU12は、パブリックユーザの印刷権限に係わらず、未登録ユーザの印刷ジョブ75を、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとして蓄積しても良い。この場合、CPU12は、S45の後に(S45:NO)、S59を実行しても良い。
CPU12は、S59を実行した後、S61を実行する。CPU12は、S61において、システム管理者への通知や送信元への通知を実行する。例えば、CPU12は、印刷ジョブ75を送信した送信者のPC41のステータスモニタを介して通知を行っても良い。ここでいうステータスモニタとは、例えば、ユーザのPC41においてプリンタドライバによって表示され、送信した印刷ジョブ75の印刷状況や送信先のMFP1のインクの残量など、印刷に係わる各種の情報を表示するウインドウである。CPU12は、例えば、印刷ジョブ75の送信元のPC41へ、ユーザ名85と、そのユーザ名85が認証DB73に未登録であるためにセキュリティ印刷用ジョブ75Aとして蓄積した旨を通知しても良い。これにより、送信元のユーザは、通知の内容を確認することで、システム管理者に登録を依頼するなど、適切な対応を実行することができる。
また、CPU12は、メールによって予めMFP1に登録されているシステム管理者のメールアドレス宛に未登録ユーザからの印刷ジョブ75を受信した旨の通知を送信しても良い。例えば、CPU12は、システム管理者へ送信するメール内に、蓄積したセキュリティ印刷用ジョブ75Aのユーザ名85と、EWSのユーザ登録を行うためのURLを記載しても良い。これにより、システム管理者は、例えば、メール内のURLをクリックし、ユーザ名85をコピーアンドペ−ストして登録を行うことで、登録作業の負担を軽減できる。また、CPU12は、印刷ジョブ75としてメールを受信し、そのメールの送信元メールアドレスが認証DB73に未登録であるため、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとして蓄積した場合、システム管理者のメールアドレスや印刷ジョブ75の送信元メールアドレスへ、未登録のメールアドレスと、未登録である旨を通知しても良い。
また、例えば、システム管理者のPC41においてMFP1の印刷ジョブ75の蓄積状態、印刷の実行状態、エラーの発生状態などを管理するアプリケーションがインストールされている場合に、そのアプリケーション経由にて、S59で蓄積したセキュリティ印刷用ジョブ75Aのユーザ名85を表示し、そのユーザの認証DB73への登録を促す表示を実行しても良い。
また、CPU12は、例えば、未登録ユーザの印刷ジョブ75を蓄積した旨をタッチパネル21に表示しても良い。また、CPU12は、タッチパネル21からシステム管理者への通知を実行可能な構成でも良い。例えば、図5のユーザ選択ウインドウ100に示すように、CPU12は、システム管理者への通知を要請する通知ボタン107を表示しても良い。そして、CPU12は、ユーザ選択ウインドウ100の通知ボタン107をタッチされると、システム管理者へユーザ登録依頼メールを送信しても良い。これにより、ユーザは、タッチパネル21を操作することで、システム管理者への登録を要請できる。CPU12は、S61を実行した後、ジョブ蓄積判断処理を終了する。
(3−2.認証DB更新処理)
次に、システム管理者による認証DBの更新処理について図8を参照しつつ説明する。CPU12は、例えば、EWSのWebページにおいて、認証DB管理ページを表示するための操作を受け付けると、図8に示す認証DB更新処理を開始する。
システム管理者は、例えば、PC41を操作してMFP1のEWSにアクセスし、認証DB管理ページを表示させる操作を行う。認証DB管理ページは、認証DBに登録された登録情報であるユーザ名、PIN番号、各機能権限の設定、メールアドレスが、ユーザリストとして操作入力に応じて更新可能なページである。CPU12は、EWSに対する操作入力に応じて、認証DB73に登録された情報に従い、認証DB管理ページを作成する。CPU12は、作成した認証DB管理ページをユーザリストとしてPC41へ送信し、PC41に表示させる(図8のS65)。システム管理者は、PC41に表示されたユーザリストを確認し、未登録ユーザの登録処理等認証DB73の更新処理を行う。
CPU12は、Webページにおいて受け付けた登録内容が、認証DB73に登録された登録ユーザの削除または登録ユーザの印刷権限の変更(OK→NG)であるかを判定する(S66)。登録ユーザの削除、登録ユーザの印刷権限の変更(OK→NG)のいずれでもない場合(S66:NO)、CPU12は、印刷権限を有するユーザとして未登録ユーザを登録したか否かを判断する(S67)。CPU12は、印刷権限を有するユーザとして未登録ユーザを登録したと判断すると(S67:YES)、新たに登録されたユーザのセキュリティ印刷用ジョブ75Aを蓄積印刷用ジョブ75Bとして記憶する(S69)。なお、新たに登録されたユーザのセキュリティ印刷用ジョブ75Aがセキュリティ印刷用記憶領域51に登録されていない場合には、S69を処理せず、本処理を終了する。複数の未登録ユーザの登録を受け付けた場合は、登録を受け付けた各ユーザに対してそれぞれS69の処理を実行する。
図4を用いて未登録ユーザである「USER_Y」を新規に登録した場合について説明する。CPU12は、例えば、S67で「USER_Y」を印刷権限のあるユーザとして登録されたと判断すると、セキュリティ印刷用記憶領域51に蓄積したセキュリティ印刷用ジョブ75Aのうち、「USER_Y」のセキュリティ印刷用ジョブ75Aを、蓄積印刷用記憶領域52へ移行させる(S69)。これにより、図4の右側に示すように、蓄積印刷用記憶領域52には、「USER_Y」の蓄積印刷用ジョブ75B(USER_Y_JOB1)が蓄積される。また、セキュリティ印刷用記憶領域51から「USER_Y」のセキュリティ印刷用ジョブ75Aが削除される。「USER_Y」の蓄積印刷用ジョブ75Bは、蓄積印刷用記憶領域52の一番上、即ち、最も遅くに受信した蓄積印刷用ジョブ75Bとして記憶される。なお、CPU12は、移行する印刷ジョブ75を、蓄積印刷用記憶領域52の最後に蓄積しなくとも良い。例えば、CPU12は、印刷ジョブ75の送信時間の情報等を比較し、移行するセキュリティ印刷用ジョブ75Aを、蓄積印刷用記憶領域52における送信時間の順番にあった位置に記憶しても良い。CPU12は、S69を実行すると、図8に示すセキュリティ印刷用ジョブ処理を終了する。
一方、CPU12は、S67において、印刷権限を有しないユーザとして未登録ユーザを登録したと判断すると(S67:NO)、新たに登録されたユーザのセキュリティ印刷用ジョブ75Aをセキュリティ印刷用記憶領域51から削除する(S71)。これにより、印刷権限を有しない登録ユーザのセキュリティ印刷用ジョブ75Aが、メモリ15に記憶され続けるような事態の発生を抑制できる。CPU12は、S71を実行すると、セキュリティ印刷用ジョブ処理を終了する。
また、CPU12は、S66により、Webページにおいて受け付けた登録内容が、認証DBに登録された登録ユーザの削除または登録ユーザの印刷権限の変更(OK→NG)であると判断した場合(S66:YES)、削除対象となるユーザまたは印刷権限を有さなくなる登録ユーザの蓄積印刷用ジョブ75Bおよびセキュリティ印刷用ジョブ75Aをメモリ15から破棄する(S73)。これにより、印刷権限の変更や、登録削除に起因して、蓄積印刷用ジョブ75Bやセキュリティ印刷用ジョブ75Aが印刷されずにメモリ15に記憶され続けるような事態の発生を抑制できる。
なお、図8に示す認証DB更新処理の内容は、一例である。例えば、メールを受信したシステム管理者が、受信メールに含まれるリンク先を操作した場合に、受信メールに含まれるユーザ名の認証DB73への登録処理が行われるようにしてもよい。また、CPU12は、セキュリティ印刷用ジョブ75Aを蓄積した未登録ユーザを登録しない旨をEWSで受け付け可能なWebページを表示してもよい。システム管理者から未登録ユーザを登録しない旨を受け付けた場合に、その登録しないユーザ名85が設定されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aをセキュリティ印刷用記憶領域51から削除しても良い。また、CPU12は、セキュリティ印刷用記憶領域51に蓄積した時間が一定時間だけ経過したセキュリティ印刷用ジョブ75Aを削除しても良い。この場合、CPU12は、削除する旨をシステム管理者等に通知しても良い。
ここで、上記した図7のS59で説明したように、認証DB73に未登録のユーザからの印刷ジョブ75は、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとしてメモリ15に蓄積される。これにより、ユーザが印刷物を必要とするタイミングに、システム管理者からの登録が間に合わない場合であっても、セキュリティ印刷用ジョブ75Aを印刷するための機能アイコン93Aを操作することで、印刷ジョブ75の印刷を実行できる。一方で、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとして印刷を実行する場合、未登録ユーザから送信される印刷ジョブ75には、ユーザ名85が設定されているものの、パスワード83が設定されていない虞がある。その結果、未登録ユーザは、タッチパネル21を操作しジョブ選択ウインドウ101で自身のジョブ名81を選択しても、入力すべきパスワードがない状態となる。S59で蓄積されるセキュリティ印刷用ジョブ75Aには、ユーザ名85が設定されている(S43:YES)。そこで、CPU12は、パスワード83の代わりに、セキュリティ印刷用ジョブ75Aに設定されたユーザ名85を用いても良い。CPU12は、例えば、未登録ユーザのユーザ名がユーザ選択ウインドウ100で選択されジョブ選択ウインドウ101でジョブ名81を選択された場合、パスワード入力ウインドウ103においてその未登録ユーザのユーザ名85が入力されたことを条件に、選択されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aを印刷する。これにより、未登録ユーザは、登録を待たずに、ユーザ名85を用いて印刷を実行できる。
なお、CPU12は、パスワード83の代わりに、ユーザ名85を用いなくとも良い。この場合、パスワード83が設定されていない、且つ未登録ユーザの印刷ジョブ75は、登録後の蓄積印刷用ジョブ75Bとしてのみ印刷可能としてもよい。これにより、印刷処理のセキュリティを向上できる。また、CPU12は、S59でセキュリティ印刷用ジョブ75Aをセキュリティ印刷用記憶領域51に蓄積した後、所定時間が経過してからユーザ選択ウインドウ100のユーザ名やジョブ選択ウインドウ101のジョブ名81を表示しても良い。この所定時間は、例えば、システム管理者の登録に必要な時間である。これにより、登録予定の未登録ユーザのジョブ名81が、他のユーザに見られるのを抑制できる。
因みに、MFP1は、印刷装置の一例である。CPU12は、制御部の一例である。メモリ15は、記憶部の一例である。タッチパネル21は、操作部、表示部の一例である。ネットワークインタフェース24は、通信部の一例である。セキュリティ印刷用記憶領域51は、認証用ジョブ蓄積領域の一例である。蓄積印刷用記憶領域52は、ジョブ蓄積領域の一例である。認証DB73は、制限テーブルの一例である。セキュリティ印刷用ジョブ75Aは、認証印刷ジョブの一例である。ユーザ名85,111は、ユーザ情報の一例である。パスワード83は、ジョブ認証情報の一例である。
(4.効果)
以上、上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態のMFP1(印刷装置)は、ユーザ名111を含む認証DB73を記憶するメモリ15と、ネットワークインタフェース24と、操作を受け付けるタッチパネル21と、画像を印刷する印刷部16と、CPU12と、を備える。CPU12は、ネットワークインタフェース24を介して、ユーザ名85が関連付けられた印刷ジョブ75を受信する第1受信処理(S33)と、第1受信処理により受信した印刷ジョブ75に関連付けられたユーザ名85が、メモリ15に記憶された認証DB73に登録されているか判断する判断処理(S45)と、判断処理の結果、登録されていると判断した場合に印刷ジョブ75をメモリ15の蓄積印刷用記憶領域52に記憶し(S57)、登録されていないと判断した場合に印刷ジョブ75を蓄積印刷用記憶領域52とは異なる領域(セキュリティ印刷用記憶領域51)に記憶する(S59)第1記憶処理と、タッチパネル21を介してユーザ名85を受け付けたことに応じて、自装置の機能を実行可能なログイン状態とする場合に、メモリ15の蓄積印刷用記憶領域52に記憶されている印刷ジョブ75のうち、タッチパネル21を介して受け付けたユーザ名85に関連付けられた印刷ジョブ75を取得する取得処理(S39)と、取得処理により取得した印刷ジョブ75に係る画像を印刷部16により印刷する第1印刷処理(S41)と、認証DB73のユーザ名111が更新されると、更新後に新たに追加されたユーザ名111に関連付けられた印刷ジョブ75が異なる領域に記憶されている場合、その印刷ジョブ75を蓄積印刷用記憶領域52に記憶する第2記憶処理(S69)と、を実行する。
これによれば、ユーザによるログイン操作に応じて、蓄積印刷用記憶領域52に記憶され、且つログインユーザのユーザ名85に関連付けられた印刷ジョブ75を実行する。また、未登録のユーザ名85が関連付けられた印刷ジョブ75を所定領域(異なる領域)に記憶しておき、認証DB73に新たなユーザ名111が追加されると、そのユーザ名111に関連付けられた印刷ジョブ75を蓄積印刷用記憶領域52に記憶する。例えば、MFP1を利用する新規のユーザがシステム管理者に登録を依頼したものの登録作業が遅れているような場合、新規のユーザの印刷ジョブ75が、MFP1に蓄積されずに、即時に破棄されることは利便性を低下する虞がある。これに対し、印刷ジョブ75の受信時にユーザ登録が間に合わなかった場合でも、認証DB73に新規のユーザとして登録されると、新規のユーザ名111に関連付けられた印刷ジョブ75を蓄積印刷用記憶領域52に記憶し、ログイン時に実行できる。これにより、ユーザ名111の登録前に受信した印刷ジョブ75であっても、登録後に印刷でき、ユーザの利便性を向上できる。
(2)また、CPU12は、判断処理の結果、認証DB73に登録されていないと判断すると、予め登録されている通知先に、受信した印刷ジョブ75に関連付けられたユーザ名85を含む情報を通知するユーザ情報通知処理(S61)を実行する。これによれば、システム管理者等の連絡先を通知先として予めMFP1に登録することで、通知を受けたシステム管理者等が、必要に応じて認証DB73にユーザを登録するなどの適切な対応を実行できる。
(3)また、CPU12は、判断処理の結果、認証DB73に登録されていないと判断すると、受信した印刷ジョブ75の送信元のデバイス(PC41など)に向けて、未登録である旨の情報を通知する未登録情報通知処理(S61)を実行する。これによれば、通知を受けたユーザに、未登録が原因で印刷できないことを認識させることができる。通知を受けたユーザは、システム管理者にユーザ登録を依頼するなどの適切な対応を行うことができる。
(4)また、MFP1は、タッチパネル21を備える。CPU12は、ネットワークインタフェース24を介して、パスワード83が関連付けられたセキュリティ印刷用ジョブ75Aを受信する第2受信処理(S33)と、第2受信処理により受信したセキュリティ印刷用ジョブ75Aを、メモリ15のセキュリティ印刷用記憶領域51に記憶する第3記憶処理(S55)と、セキュリティ印刷用記憶領域51に蓄積されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aに関するジョブ一覧をタッチパネル21に表示させる表示処理(S14)と、タッチパネル21に表示されたジョブ一覧より選択されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aに関連付けられたパスワード83とタッチパネル21を介して受け付けられたパスワード83とが一致することに応じて、選択されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aに係る画像を印刷部16により印刷する第2印刷処理(S17)と、を実行する。本実施形態の異なる領域は、セキュリティ印刷用記憶領域51である。
これによれば、未登録ユーザが送信した印刷ジョブ75は、セキュリティ印刷用記憶領域51に記憶される。このため、未登録ユーザが送信した印刷ジョブ75であってもジョブ一覧から、印刷ジョブ75が蓄積されていることを確認することができる。
(5)また、CPU12は、第1記憶処理によりセキュリティ印刷用記憶領域51に記憶したセキュリティ印刷用ジョブ75Aをタッチパネル21に表示されたジョブ一覧より選択された場合に、パスワード83の代わりに、セキュリティ印刷用ジョブ75Aに関連付けられたユーザ名85がタッチパネル21により入力されたことを条件に、選択されたセキュリティ印刷用ジョブ75Aに係る画像を印刷部16により印刷する第3印刷処理(S17)を実行する。
これによれば、認証DB73に未登録のユーザの印刷ジョブ75を、ユーザ名85を入力することで印刷することができる。これにより、一定のセキュリティレベルを維持しつつ、未登録ユーザの利便性を向上できる。
(6)また、MFP1は、印刷機能とスキャナ機能の両方を備えている。認証DB73は、ユーザ名111と関連付けて各機能の利用可否がそれぞれ登録されている(図2参照)。CPU12は、印刷機能の利用が否に登録されているユーザ名111と関連付けられた印刷ジョブ75を破棄する破棄処理(S53)を実行する。
これによれば、印刷機能の利用が否のユーザ名111(例えば、「minami」)の印刷ジョブ75を、メモリ15に記憶せずに破棄するため、メモリ15の記憶領域が無駄に使用されるのを抑制できる。
(7)また、CPU12は、認証DB73のユーザ名111が削除されると、更新後にユーザ名111に関連付けられた印刷ジョブ75が蓄積印刷用記憶領域52に記憶されている場合、その印刷ジョブ75を蓄積印刷用記憶領域52から削除する(S73)。これにより、登録削除に起因して、蓄積印刷用ジョブ75Bが印刷されずにメモリ15に記憶され続けるような事態の発生を抑制できる。
(5.変形例)
尚、本願は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では特に言及しなかったが、セキュリティ印刷用記憶領域51と、蓄積印刷用記憶領域52は、1つのメモリ15における異なるアドレスの範囲でもよく、互いのアドレスの範囲が重なる構成でも良い。例えば、CPU12は、印刷ジョブ75の各々を識別情報で管理し、セキュリティ印刷用ジョブ75A又は蓄積印刷用ジョブ75Bであることを示す属性情報をその識別情報に関連付けても良い。この場合、セキュリティ印刷用記憶領域51と蓄積印刷用記憶領域52とのアドレス範囲が重なる場合であっても、CPU12は、識別情報と属性情報とに基づいて、メモリ15に記憶された印刷ジョブ75が、セキュリティ印刷用ジョブ75Aであるか、蓄積印刷用ジョブ75Bであるかを判断できる。
また、セキュリティ印刷用記憶領域51と、蓄積印刷用記憶領域52とを別々のメモリ15に設けてもよい。
また、CPU12は、S61の未登録ユーザの情報を通知する処理(ユーザ情報通知処理や未登録情報通知処理)を実行しなく良い。また、CPU12は、S61においてシステム管理者、又は送信元のユーザの一方に通知しても良い。また、CPU12は、未登録ユーザの情報を、システム管理者、送信元のユーザ、以外のユーザや装置へ通知しても良い。
また、CPU12は、印刷機能の利用が否に登録されているユーザ名111と関連付けられた印刷ジョブ75を、S53において破棄したが、破棄せずにメモリ15に記憶し続けても良い。また、CPU12は、認証DBから削除されたユーザや印刷機能の利用が否に変更されたユーザの印刷ジョブ75を、破棄せずに、蓄積印刷用記憶領域52からセキュリティ印刷用記憶領域51に移動させて記憶してもよい。この場合、認証DB73のPublicが印刷権限を有する場合に、セキュリティ印刷用ジョブ75Aとして記憶させ、Publicが印刷権限を有さない場合に、そのユーザに関連付けられた印刷ジョブ75をメモリ15から削除(破棄)してもよい。
また、MFP1は、ログイン操作を受け付ける操作部としてタッチパネル21を備えたが、他の方法によりログイン操作できる構成でも良い。例えば、MFP1は、携帯端末から受信したデータに基づいてログインを許可するか判断しても良い。ユーザは、携帯端末でユーザ名85やPIN番号113を入力してMFP1に送信しログイン操作を行っても良い。この場合、携帯端末と通信する通信部は、本願の操作部の一例となる。
また、上記実施形態では、本願の制御部として、所定のプログラムを実行するCPU12を採用したが、これに限らない。例えば、制御部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアで構成してもよい。また、制御部は、例えばソフトウェアによる処理と、ハードウェアによる処理とを併用して動作する構成でもよい。
また、上記実施形態では、本願の印刷装置として複合機であるMFP1を採用したが、これに限らない。本願の印刷装置は、プリント機能のみを有するプリンタ装置でもよい。