JP6972808B2 - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および圧電デバイス - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および圧電デバイス Download PDF

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Description

本発明は、例えば、液体吐出ヘッドに好適に利用される圧電デバイスの構造に関する。
圧力室の壁面を形成する振動板を圧電素子により振動させることにより圧力室内の液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドが、従来から提案されている。圧電素子は、焼成によって結晶化した圧電体層を含む。例えば特許文献1には、ポリシリコン層、酸化シリコン層、および窒化シリコン層が積層されて形成された振動板を有する液体吐出ヘッドが開示されている。
特開2016−150471号公報
しかし、特許文献1の構成では、圧電体層を緻密な結晶体とするために、圧電素子を高温で焼成すると、圧電素子と振動板との剥離が発生し易くなる。具体的には、圧電素子に含まれる電極の線膨張係数と、振動板の線膨張係数との差が大きいため、高温で焼成すると、電極と振動板との間に大きな熱応力が発生し、この熱応力によって圧電素子と振動板とが剥離し易くなる。また、貴金属製の電極とその直下の誘電体材料との界面が最も密着力が脆弱である。以上の事情を考慮して、本発明の好適な態様は、圧電素子に対して高温で焼成する場合であっても振動板と圧電素子との剥離を抑制することを目的とする。
<態様1>
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体吐出ヘッドは、液体を収容する圧力室と、前記圧力室の壁面を形成する振動板と、前記振動板を挟んで前記圧力室とは反対側に設けられて前記振動板を振動させる圧電素子とを具備し、前記圧電素子の前記振動板側の電極のヤング率と前記電極の線膨張係数との積に対する、前記振動板のうち前記圧電素子側の面から前記電極の厚さまでに含まれる部材のヤング率と前記部材の線膨張係数との積の割合が、0.6以上1.4以下である。ヤング率と線膨張係数との積は、単位温度上昇時に発生する熱応力を示す。圧電素子に対して焼成する際に、圧電素子および振動板の中で、熱応力が最も大きくなるのは圧電素子内の電極であり、電極の熱応力と、振動板内の電極近傍の部材の熱応力との差が大きい程、振動板と圧電素子とが剥離し易くなる。従って、以上の態様では、前述の割合が0.6以上1.4以下であるため、電極と振動板内の電極近傍の部材との熱応力の差が小さくなり、高温で焼成する場合であっても振動板と圧電素子との剥離を抑制することが可能になる。
<態様2>
態様1の好適例(態様2)において、前記電極は、白金によって形成されており、前記部材は、窒化シリコンによって形成された窒化シリコン層を含む。白金のヤング率は、200GPaであり、窒化シリコン層を形成する窒化シリコンのヤング率は、300GPaであるのに対し、酸化シリコンのヤング率は75GPaである。従って、窒化シリコンと酸化シリコンとのうち、ヤング率が白金に近い材料は窒化シリコンである。
また、白金の線膨張係数は、8.9×10−6/Kであり、窒化シリコンの線膨張係数は、2.5×10−6/Kであるのに対し、酸化シリコンの線膨張係数は0.5×10−6/Kである。従って、窒化シリコンと酸化シリコンとのうち、線膨張係数が白金に近い材料は窒化シリコンである。
従って、窒化シリコンと酸化シリコンとのうち、線膨張係数とヤング率との積が白金に近い材料は窒化シリコンとなるため、以上の態様では、振動板が酸化シリコンを含む場合と比較して、高温で焼成しても、電極と振動板内の電極近傍の部材との熱応力の差が小さくなり、振動板と圧電素子との剥離を抑制することが可能になる。
<態様3>
態様2の好適例(態様3)において、前記振動板は、前記圧電素子側の最表層に位置し、酸化物である密着層を含み、前記密着層と前記窒化シリコン層との間には、酸化シリコンによって形成されており、2nm以上10nm以下の厚さを有する酸化シリコン層が形成される。一般的に、2つの層の密着力は、2つの層に共通の元素が含まれると強くなる。密着層と酸化シリコン層とは、ともに酸素を含むため、密着層と酸化シリコン層との密着力が強くなる。また、酸化シリコン層と窒化シリコン層とは、ともにシリコンを含むため、酸化シリコン層と窒化シリコン層との密着力が強くなる。以上により、振動板内の密着力を向上させることが可能である。
しかし、前述したように、酸化シリコンのヤング率および線膨張係数は、白金のヤング率および線膨張係数とは離れているため、酸化シリコンを含む程、高温で焼成した場合の電極と振動板内の電極近傍の部材との熱応力の差が大きくなる。上述した態様では、酸化シリコン層の厚さが2nm以上10nm以下であるため、酸化シリコンによる振動板の熱応力への影響が抑えられる。従って、上述した態様では、高温で焼成した場合に電極と振動板内の電極近傍の部材との熱応力の差が大きくなることを抑制して、振動板と圧電素子との剥離を抑制し、さらに振動板内の密着力を向上させることが可能になる。密着層は、例えば、酸化チタン、酸化イリジウム、または酸化スズ等といった酸化金属である。
<態様4>
態様2の好適例(態様4)において、前記振動板は、前記圧電素子側の最表層に位置し、酸化物である密着層を含み、前記密着層と前記窒化シリコン層との間には、酸化シリコンによって形成されており、前記密着層の厚さより薄い厚さを有する酸化シリコン層が形成される。前述したように、酸化シリコンのヤング率および線膨張係数は、白金のヤング率および線膨張係数とは離れているため、酸化シリコンを含む程、高温で焼成した場合の熱応力が大きくなる。上述した態様では、酸化シリコン層が密着層より薄いため、酸化シリコンによる振動板の熱応力への影響が抑えられる。従って、上述した態様では、高温で焼成した場合に電極と振動板内の電極近傍の部材との熱応力の差が大きくなることを抑制して、振動板と圧電素子との剥離を抑制し、さらに振動板内の密着力を向上させることが可能になる。
<態様5>
本発明の好適な態様(態様5)に係る液体吐出装置は、以上に例示した何れかの態様に係る液体吐出ヘッドを具備する。液体吐出装置の好例は、インクを吐出する印刷装置であるが、本発明に係る液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。
<態様6>
本発明の好適な態様(態様6)に係る圧電デバイスは、圧力室の壁面を形成する振動板と、前記振動板を挟んで前記圧力室とは反対側に設けられて前記振動板を振動させる圧電素子とを具備し、前記圧電素子の前記振動板側の電極のヤング率と前記電極の線膨張係数との積に対する、前記振動板のうち前記圧電素子側の面から前記電極の厚さまでに含まれる部材のヤング率と前記部材の線膨張係数との積の割合が、0.6以上1.4以下である。以上の態様によれば、前述の割合が、0.6以上1.4以下であるため、電極と振動板内の電極近傍の部材との熱応力の差が小さくなり、高温で焼成する場合であっても振動板と圧電素子との剥離を抑制することが可能になる。
本発明の実施形態に係る液体吐出装置を例示する構成図である。 液体吐出ヘッドの分解斜視図である。 図2におけるIII−III線の断面図である。 複数の圧電デバイスの平面図である。 図4におけるV−V線の断面図である。 実施例1における振動板を、図4のV−V線で破断した際の断面図である。 実施例2における振動板を、図4のV−V線で破断した際の断面図である。 対比例における振動板を、図4のV−V線で破断した際の断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る液体吐出装置100を例示する構成図である。第1実施形態の液体吐出装置100は、液体の例示であるインクを媒体(吐出対象)12に吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象が媒体12として利用される。図1に例示される通り、液体吐出装置100には、インクを貯留する液体容器14が設置される。例えば液体吐出装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、またはインクを補充可能なインクタンクが液体容器14として利用される。
図1に例示される通り、液体吐出装置100は、制御ユニット20と搬送機構22と移動機構24と液体吐出ヘッド26とを具備する。制御ユニット20は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体吐出装置100の各要素を統括的に制御する。搬送機構22は、制御ユニット20による制御のもとで媒体12をY方向(Y1,Y2)に搬送する。
移動機構24は、制御ユニット20による制御のもとで液体吐出ヘッド26をX方向(X1,X2)に往復させる。X方向は、媒体12が搬送されるY方向に交差(典型的には直交)する方向である。第1実施形態の移動機構24は、液体吐出ヘッド26を収容する略箱型の搬送体242(キャリッジ)と、搬送体242が固定された搬送ベルト244とを具備する。なお、複数の液体吐出ヘッド26を搬送体242に搭載した構成や、液体容器14を液体吐出ヘッド26とともに搬送体242に搭載した構成も採用され得る。
液体吐出ヘッド26は、液体容器14から供給されるインクを制御ユニット20による制御のもとで複数のノズル(吐出孔)から媒体12に吐出する。搬送機構22による媒体12の搬送と搬送体242の反復的な往復とに並行して各液体吐出ヘッド26が媒体12にインクを吐出することで、媒体12の表面に所望の画像が形成される。
図2は、液体吐出ヘッド26の分解斜視図であり、図3は、図2におけるIII−III線の断面図(X−Z平面に平行な断面)である。図2に例示される通り、X-Y平面(例えば媒体12の表面に平行な平面)に垂直な方向を以下ではZ方向(Z1,Z2)と表記する。各液体吐出ヘッド26によるインクの吐出方向(典型的には鉛直方向)がZ方向に相当する。なお、以下の説明では、X方向の一方側を「X1側」と表記するとともに他方側を「X2側」と表記する。同様に、Y方向の一方側を「Y1側」と表記するとともに他方側を「Y2側」と表記し、Z方向の一方側を「Z1側」と表記するとともに他方側を「Z2側」と表記する。
図2および図3に例示される通り、液体吐出ヘッド26は、Y方向に長尺な略矩形状の流路基板32を具備する。流路基板32のうちZ方向におけるZ2側の面上には、圧力室基板34と振動板36と複数の圧電素子38と筐体部42と封止体44とが設置される。他方、流路基板32のうちZ方向におけるZ1側の面上には、ノズル板46と吸振体48とが設置される。液体吐出ヘッド26の各要素は、概略的には流路基板32と同様にY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤を利用して相互に接合される。
図2に例示される通り、ノズル板46は、Y方向に配列する複数のノズルNが形成された板状部材である。各ノズルNは、インクが通過する貫通孔である。なお、流路基板32と圧力室基板34とノズル板46とは、例えばシリコン(Si)の単結晶基板をエッチング等の半導体製造技術により加工することで形成される。ただし、液体吐出ヘッド26の各要素の材料や製法は任意である。Y方向は、複数のノズルNが配列する方向とも換言され得る。
流路基板32は、インクの流路を形成するための板状部材である。図2および図3に例示される通り、流路基板32には、開口部322と供給流路324と連通流路326とが形成される。開口部322は、複数のノズルNにわたり連続するように平面視で(すなわちZ方向からみて)Y方向に沿う長尺状に形成された貫通孔である。他方、供給流路324および連通流路326は、ノズルN毎に個別に形成された貫通孔である。また、図3に例示される通り、流路基板32のうちZ方向におけるZ1側の表面には、複数の供給流路324にわたる中継流路328が形成される。中継流路328は、開口部322と複数の供給流路324とを連通させる流路である。
筐体部42は、例えば樹脂材料の射出成形で製造された構造体であり、流路基板32のうちZ方向におけるZ2側の表面に固定される。図3に例示される通り、筐体部42には収容部422と導入口424とが形成される。収容部422は、流路基板32の開口部322に対応した外形の凹部であり、導入口424は、収容部422に連通する貫通孔である。図3から理解される通り、流路基板32の開口部322と筐体部42の収容部422とを相互に連通させた空間が液体貯留室(リザーバー)Rとして機能する。液体容器14から供給されて導入口424を通過したインクが液体貯留室Rに貯留される。
吸振体48は、液体貯留室R内の圧力変動を吸収するための要素であり、例えば弾性変形が可能な可撓性のシート部材(コンプライアンス基板)を含んで形成される。具体的には、流路基板32の開口部322と中継流路328と複数の供給流路324とを閉塞して液体貯留室Rの底面を形成するように、流路基板32のうちZ方向におけるZ1側の表面に吸振体48が設置される。
図2および図3に例示される通り、圧力室基板34は、相異なるノズルNに対応する複数の圧力室Cが形成された板状部材である。複数の圧力室Cは、Y方向に沿って配列する。各圧力室C(キャビティ)は、平面視でX方向に沿う長尺状の開口部である。X方向におけるX1側における圧力室Cの端部は平面視で流路基板32の1個の供給流路324に重なり、X方向のX2側における圧力室Cの端部は平面視で流路基板32の1個の連通流路326に重なる。
圧力室基板34のうち流路基板32とは反対側の表面には振動板36が設置される。振動板36は、弾性的に変形可能な板状部材である。なお、所定の板厚の板状部材のうち圧力室Cに対応する領域について板厚方向の一部を選択的に除去することで、圧力室基板34と振動板36の一部または全部とを一体に形成することも可能である。
図3から理解される通り、流路基板32と振動板36とは、各圧力室Cの内側で相互に間隔をあけて対向する。圧力室Cは、流路基板32と振動板36との間に位置し、当該圧力室C内に充填されたインクに圧力を付与するための空間である。液体貯留室Rに貯留されたインクは、中継流路328から各供給流路324に分岐して複数の圧力室Cに並列に供給および充填される。以上の説明から理解される通り、振動板36は、圧力室Cの壁面(具体的には、圧力室Cの一面である上面)を形成する。
図2および図3に例示される通り、振動板36のうち圧力室Cとは反対側の表面には、相異なるノズルN(または圧力室C)に対応する複数の圧電素子38が設置される。各圧電素子38は、駆動信号の供給により変形するアクチュエーターであり、平面視でX方向に沿う長尺状に形成される。複数の圧電素子38は、複数の圧力室Cに対応するようにY方向に配列する。圧電素子38の変形に連動して振動板36が振動すると、圧力室C内の圧力が変動することで、圧力室Cに充填されたインクが連通流路326とノズルNとを通過して吐出される。
図2および図3の封止体44は、複数の圧電素子38を保護するとともに圧力室基板34および振動板36の機械的な強度を補強する構造体であり、振動板36の表面に例えば接着剤で固定される。封止体44のうち振動板36との対向面に形成された凹部の内側に複数の圧電素子38が収容される。
図3に例示される通り、振動板36の表面(または圧力室基板34の表面)には、例えば配線基板50が接合される。配線基板50は、制御ユニット20または電源回路(図示略)と液体吐出ヘッド26とを電気的に接続するための複数の配線(図示略)が形成された実装部品である。例えばFPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板50が好適に採用される。圧電素子38を駆動するための駆動信号が配線基板50から各圧電素子38に供給される。
各圧電素子38の具体的な構成を以下に詳述する。図4は、複数の圧電素子38の平面図である。なお、図4では、任意の1個の要素の奥側に位置する要素の周縁(本来は手前側の要素に隠れる部位)も便宜的に図示されている。また、図5は、図4におけるV−V線の断面図(圧電素子38の長手方向に沿う断面)である。ここで、振動板36は、複数の層を有するが、図5では、図面の煩雑化を避けるために、振動板36内の複数の層を省略する。
図4および図5に例示される通り、圧電素子38は、第1電極51と圧電体層52と第2電極53と保護層54と第1配線55との積層により形成される。なお、本明細書において「要素Aと要素Bとが積層される」という表現は、要素Aと要素Bとが直接的に接触する構成には限定されない。すなわち、要素Aと要素Bとの間に他の要素Cが介在する構成も、「要素Aと要素Bとが積層される」という概念に包含される。また、「要素Aの面上に要素Bが形成される」という表現も同様に、要素Aと要素Bとが直接的に接触する構成には限定されない。すなわち、要素Aの表面に要素Cが形成され、要素Cの表面に要素Bが形成された構成でも、要素Aと要素Bとの少なくとも一部が平面視で重なる構成であれば、「要素Aの面上に要素Bが形成される」という概念に包含される。
第1電極51は、振動板36の面上に形成される。具体的には、第1電極51は、複数の圧電素子38(または複数の圧力室C)にわたり連続するようにY方向に延在する帯状の共通電極である。第1電極51におけるY方向の端部には、例えば配線基板50から所定の基準電圧Vbsが印加される。
図4および図5に例示される通り、第1電極51のうちX方向におけるX1側の端部(周縁)Ea1は、圧力室CにおけるX1側の端部c1からみてX2側に位置する。すなわち、各圧力室Cの端部c1は、第1電極51が形成された範囲の外側に位置する。
圧電体層52は、第1電極51の面上に形成される。圧電体層52は、圧電素子38毎(または圧力室C毎)に個別に形成されて平面視で圧力室Cに重なる。すなわち、X方向に長尺な複数の圧電体層52が相互に間隔をあけてY方向に配列する。圧電体層52の材料または製法は任意である。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電材料の薄膜をスパッタリング等の公知の成膜技術により形成し、フォトリソグラフィ等の公知の加工技術により当該薄膜を選択的に除去して焼成することにより、圧電体層52を形成することが可能である。
図4および図5に例示される通り、圧電体層52におけるX方向のX1側の端部Eb1は、第1電極51の端部Ea1からみてX方向のX2側に位置する。図4および図5に例示される通り、各圧電体層52は、第1電極51が形成された範囲の内側に位置する。
第2電極53は、圧電体層52の面上に形成される。第2電極53は、圧電素子38毎(または圧力室C毎)に個別に形成された個別電極である。具体的には、X方向に延在する複数の第2電極53が、相互に間隔をあけてY方向に配列する。第2電極53の材料または製法は任意である。例えば、白金(Pt)またはイリジウム(Ir)等の導電材料の薄膜をスパッタリング等の公知の成膜技術により形成し、フォトリソグラフィ等の公知の加工技術により当該薄膜を選択的に除去することで、第2電極53を形成することが可能である。第2電極53は、圧電体層52が形成された範囲の内側に位置する。
第2電極53のうちX方向におけるX1側の端部Ec1は、圧電体層52の端部Eb1からみてX方向のX2側に位置する。また、第2電極53は、Y方向においても圧電体層52の内側に位置する。以上の説明から理解される通り、第2電極53は、圧電体層52が形成された範囲の内側に位置する。
本実施形態の圧電素子38は、図5に示すようなユニモルフ型を採用する。圧力室C毎(またはノズルN毎)に圧電素子38が個別に形成される。X方向に長尺な複数の圧電素子38が、相互に間隔をあけてY方向に配列する。圧電体層52のうち第1電極51と第2電極53とで挟まれた部分(いわゆる能動部)が、第1電極51に印加される基準電圧Vbsと第2電極53に供給される駆動信号Vdrとの電圧差に応じて変形する。なお、Z方向は、圧電素子38を形成する複数層が積層された方向とも換言され得る。
保護層54は、複数の圧電素子38が形成された振動板36の表面を覆う絶縁性の被膜である。すなわち、保護層54は、第1電極51と圧電体層52と第2電極53とを被覆する。保護層54は、例えば酸化アルミニウム(Al)等の絶縁材料で形成される。
第1配線55は、保護層54の面上に形成された導電層である。第1配線55は、圧電素子38毎(または圧力室C毎)に個別に形成される。具体的には、X方向に長尺な複数の第1配線55が、相互に間隔をあけてY方向に配列する。
図4および図5に例示される通り、第1配線55は、圧電体層52の端部X1側に形成される。すなわち、第1配線55は、圧電体層52の端部Eb1に平面視で重なる。具体的には、第1配線55のうちX方向におけるX1側の端部Ed1は、第1電極51の端部Ea1からみてX方向のX1側に位置する。以上の説明から理解される通り、第1配線55は、圧電体層52および第2電極53の面上と第1電極51の第2部分S2(圧電体層52に重ならない部分)の面上とにわたり連続する。なお、図4においては、第1配線55が圧電体層52よりも幅広である構成を例示したが、第1配線55の配線幅は任意である。
第1配線55のうち圧電体層52の面上に位置する端部Ed2側の部分は、保護層54に形成されたコンタクトホールH1を介して第2電極53に電気的に接続される。また、第1配線55のうち圧電体層52の端部Eb1からみてX方向のX1側の部分は、保護層54を挟んで第1電極51の第2部分S2に平面視で重なる。従って、第1配線55(さらには第2電極53)と第1電極51とは電気的に絶縁される。第1配線55のうち端部Ed1側の部分は、配線基板50の配線に電気的に接続される。以上の構成において、配線基板50から第1配線55に供給された駆動信号Vdrは、第1配線55を介して第2電極53に供給される。
第1配線55は、共通の導電層(単層または複数層)を選択的に除去することで一括的に形成される。従って、第1配線55は、共通の導電材料により略同一の膜厚に形成される。例えば、金等の低抵抗な金属の導電層をスパッタリング等の公知の成膜技術により形成し、フォトリソグラフィ等の公知の加工技術により当該導電層を選択的に除去することで、第1配線55が一括的に形成される。第1配線55の膜厚は、第2電極53の膜厚よりも厚い。例えば、第2電極53は、圧電体層52の変形を過度に抑制しないように充分に薄い膜厚に形成される。他方、第1配線55については、配線抵抗が充分に低減されるように相応の膜厚が確保される。
<実施例および対比例>
以下、振動板36の詳細な構成に着目した実施例(実施例1および実施例2)を説明する。図6および図7に例示された実施例1および実施例2においては、振動板36の積層構造(具体的には積層数)が相違する。また、図8には、実施例と対比されるべき対比例の構成が図示されている。実施例1および実施例2では、下記(1)式を満たすのに対し、対比例では、下記(1)式を満たさない。
0.6≦(α2×E2)/(α1×E1)≦1.4 (1)
ここで、α1は、第1電極51の線膨張係数を示し、E1は、第1電極51のヤング率を示す。また、α2は、振動板36のうち圧電素子38側の面から第1電極51の厚さまでに含まれる部材(以下、「近傍部材」と称する)の線膨張係数を示し、E2は、近傍部材のヤング率を示す。近傍部材は、振動板36内の第1電極51近傍の部材となる。(1)式内の(α2×E2)/(α1×E1)は、第1電極51のヤング率と第1電極51の線膨張係数との積に対する、近傍部材のヤング率と近傍部材の線膨張係数との積の割合を示す。(α2×E2)/(α1×E1)は、1に近いほうがより好ましい。1に近づく程、第1電極51と近傍部材との熱応力の差が小さくなり、圧電素子38と振動板36との剥離を抑制することができるためである。
ここで、複数の層から形成される板の線膨張係数は、複数の層の各層の線膨張係数の平均値となる。具体的には、複数の層から形成される板の線膨張係数は、下記(2)式により求められる。
Figure 0006972808
αaveは、複数の層から形成される板の線膨張係数である。nは、層の数である。Eiは、i番目の層のヤング率である。tiは、i番目の層の厚さである。αiは、i番目の層の線膨張係数である。
複数の層から形成される板のヤング率も、線膨張係数と同様に、複数の層の各層のヤング率の平均値となる。具体的には、複数の層から形成される板のヤング率は、下記(3)式により求められる。
Figure 0006972808
Eaveは、複数の層から形成される板の線膨張係数となる。
(2)式および(3)式により、αave×Eaveは、下記(4)式により求められる。
Figure 0006972808
実施例1、実施例2、および対比例において、第1電極51の材料は、白金であるとする。白金のヤング率は、200GPaであり、白金の線膨張係数は、8.9×10−6/Kである。また、窒化シリコン(Si)のヤング率は、300GPaであり、窒化シリコンの線膨張係数は、2.5×10−6/Kである。また、酸化シリコン(SiO)のヤング率は、75GPaであり、酸化シリコンの線膨張係数は、0.5×10−6/Kである。また、酸化チタン(TiO)のヤング率は、300GPaであり、酸化チタンの線膨張係数は、9×10−6/Kである。実施例1、実施例2、および対比例において、以下の説明では、(1)式、(2)式、および(3)式に関係する層の厚さを記載する。
<実施例1>
図6は、実施例1における振動板36を、図4のV−V線で破断した際の断面図である。図6では、図面の煩雑化を避けるために、第1配線55およびコンタクトホールH1の描画を省略する。実施例1における振動板36は、シリコン熱酸化層365と、第1窒化シリコン層362−1と、第1酸化シリコン層366−1と、ポリシリコン層363と、第2酸化シリコン層366−2と、第2窒化シリコン層362−2と、密着層364とが、圧力室C側からこの順番で積層されて形成される。
以下の説明では、同種の要素を区別する場合には、「第1窒化シリコン層362−1」、「第2窒化シリコン層362−2」のように参照符号を使用し、同種の要素を区別せずに総称する場合には、「窒化シリコン層362」のように参照符号のうちの共通番号だけを使用することがある。
第1電極51の厚さtPt1は、例えば、160nmである。密着層364は、圧電素子38側の最表層に位置し、酸化物である層である。密着層364は、例えば、圧電素子38の焼成によってチタン(Ti)が酸化した酸化チタンにより形成される。密着層364の厚さtTiOは、例えば、30nmである。窒化シリコン層362は、窒化シリコンにより形成された層である。第2窒化シリコン層362−2の厚さtSiNは、例えば、130nmである。tPt1=tTiO+tSiNとなるため、密着層364と第2窒化シリコン層362−2とから形成される部材が、前述した近傍部材となる。
酸化シリコン層366は、酸化シリコンによって形成された層である。シリコン熱酸化層365は、シリコンに対して熱酸化処理を行って得られた酸化シリコン(SiO)によって形成された層である。xは1以上の整数である。
以上により、実施例1について、α1は、8.9×10−6/Kとなり、E1は、200GPaとなるから、α1×E1=1780kPa/Kとなる。また、α2×E2は、(4)式により、1116kPa/Kとなる。従って、(α2×E2)/(α1×E1)=約0.63となり、(1)式を満たす。(1)式を満たすことにより、高温で焼成しても、第1電極51と近傍部材との熱応力の差が小さくなり、振動板36と圧電素子38との剥離を抑制することが可能になる。高温は、例えば、700度から800度までの間である。
<実施例2>
図7は、実施例2における振動板36を、図4のV−V線で破断した際の断面図である。図7では、図面の煩雑化を避けるために、第1配線55およびコンタクトホールH1の描画を省略する。実施例2における振動板36は、シリコン熱酸化層365と、第1窒化シリコン層362−1と、第1酸化シリコン層366−1と、ポリシリコン層363と、第2酸化シリコン層366−2と、第2窒化シリコン層362−2と、第3酸化シリコン層366−3と、密着層364とが、圧力室C側からこの順番で積層されて形成される。
第1電極51の厚さtPt1は、例えば、160nmである。密着層364の厚さtTiOは、例えば、30nmである。第3酸化シリコン層366−3の厚さtSiOは、例えば、5nmである。第2窒化シリコン層362−2の厚さtSiNは、例えば、125nmである。tPt1=tTiO+tSiO+tSiNとなるため、密着層364と第3酸化シリコン層366−3と第2窒化シリコン層362−2とから形成される部材が、前述した近傍部材となる。
以上により、実施例2について、α1は、8.9×10−6/Kとなり、E1は、200GPaとなるから、α1×E1=1780kPa/Kとなる。また、α2×E2は、(4)式により、約1093kPa/Kとなる。従って、(α2×E2)/(α1×E1)=約0.61となり、(1)式を満たす。(1)式を満たすことにより、高温で焼成しても、第1電極51と近傍部材との熱応力の差が小さくなり、振動板36と圧電素子38との剥離を抑制することが可能になる。
<対比例>
図8は、対比例における振動板36を、図4のV−V線で破断した際の断面図である。図8では、図面の煩雑化を避けるために、第1配線55およびコンタクトホールH1の描画を省略する。対比例における振動板36は、シリコン熱酸化層365と、第1ポリシリコン層363−1と、第1酸化シリコン層366−1と、第1窒化シリコン層362−1と、第2酸化シリコン層366−2と、第2窒化シリコン層362−2と、第3酸化シリコン層366−3と、第2ポリシリコン層363−2と、第4酸化シリコン層366−4と、密着層364とが、圧力室C側からこの順番で積層されて形成される。
第1電極51の厚さtPt1は、例えば、160nmである。密着層364の厚さtTiOは、例えば、50nmである。第4酸化シリコン層366−4は、例えば、110nmとなる。tPt1=tTiO+tSiOとなるため、密着層364と第4酸化シリコン層366−4とから形成される部材が、前述した近傍部材となる。
以上により、対比例について、α1は、8.9×10−6/Kとなり、E1は、200GPaとなるから、α1×E1=1780kPa/Kとなる。また、α2×E2は、(4)式により、約870kPa/Kとなる。従って、(α2×E2)/(α1×E1)=約0.49となり、(1)式を満たさない。(1)式を満たさないことにより、高温での焼成による第1電極51と近傍部材との熱応力の差が大きくなって、振動板36と圧電素子38とが剥離し易くなる。また、対比例では、圧電体層52内の鉛(Pb)が第4酸化シリコン層366−4へ拡散すると、酸化シリコンが変質するため、振動板36と圧電素子38とが剥離し易くなる。
<実施形態の効果>
上述したように、実施例1および実施例2では、(1)式を満たす。ここで、(1)式のα×Eは、単位温度上昇時に発生する熱応力を示す。圧電素子38に対して焼成する際に、圧電素子38および振動板36の中で、熱応力が最も大きくなるのは第1電極51であり、第1電極51と近傍部材との熱応力の差が大きい程、振動板36と圧電素子38とが剥離し易くなる。従って、(1)式を満たすことにより、高温で焼成しても第1電極51と近傍部材との熱応力の差が小さくなり、振動板36と圧電素子38との剥離を抑制することが可能になる。なお、第1電極51と圧電体層52との関係については、考慮しなくてよい。考慮しなくてよい理由としては、圧電体層52は、高温焼成する温度より低い温度でキュリー温度を有し、キュリー温度の前後では圧電体層52の結晶構造が大きく変化して、第1電極51と圧電体層52との熱応力の差が小さくなるためである。
また、実施例1および実施例2における第1電極51は、白金によって形成されており、振動板36には、窒化シリコン層362が含まれる。ここで、白金のヤング率は、200GPaであり、窒化シリコン層362を形成する窒化シリコンのヤング率は、300GPaであるのに対し、酸化シリコンのヤング率は75GPaである。窒化シリコンと酸化シリコンとのうち、ヤング率が白金に近い材料は窒化シリコンである。
また、白金の線膨張係数は、8.9×10−6/Kであり、窒化シリコンの線膨張係数は、2.5×10−6/Kであるのに対し、酸化シリコンの線膨張係数は0.5×10−6/Kである。従って、窒化シリコンと酸化シリコンとのうち、線膨張係数が白金に近い材料は窒化シリコンである。
以上により、窒化シリコンと酸化シリコンとのうち、α×Eが白金に近い材料も窒化シリコンとなる。従って、振動板36が酸化シリコンを含む場合と比較して、高温で焼成しても第1電極51と近傍部材との熱応力の差が低減し、振動板36と圧電素子38との剥離を抑制することが可能になる。
また、実施例2における振動板36は、圧電素子38側の最表層に位置する密着層364を含み、密着層364と窒化シリコン層362との間には、酸化シリコン層366が形成される。一般的に、2つの層の密着力は、2つの層に共通の元素が含まれると強くなる。密着層364と酸化シリコン層366とは、ともに酸化物であるため、密着層364と酸化シリコン層366との密着力が強くなる。また、酸化シリコン層366と窒化シリコン層362とは、ともにシリコンを含むため、酸化シリコン層366と窒化シリコン層362との密着力が強くなる。以上により、密着層364と窒化シリコン層362との間に酸化シリコン層366が形成されることにより、酸化シリコン層366が形成されない場合と比較して、振動板36内の密着力を向上させることが可能である。
しかし、前述したように、酸化シリコンのヤング率および線膨張係数は、白金のヤング率および線膨張係数とは離れているため、振動板36が酸化シリコンを含む程、高温で焼成した場合の第1電極51と近傍部材との熱応力の差が大きくなってしまう。そこで、実施例2におけるtSiOのように、密着層364と窒化シリコン層362との間に形成される酸化シリコン層366の厚さが、2nm以上10nm以下であることが好ましい。この厚さの範囲であれば、酸化シリコンによる振動板36の熱応力への影響が抑えられる。従って、高温で焼成した場合に第1電極51と近傍部材との熱応力の差が大きくなることを抑制して、振動板36と圧電素子38との剥離を抑制することが可能になり、さらに、振動板36内の密着力を向上させることが可能になる。
また、実施例2では、tTiO>tSiOという関係を満たす。換言すれば、密着層364と窒化シリコン層362との間に形成される酸化シリコン層366の厚さが、密着層364の厚さより薄い。この関係を満たしていれば、酸化シリコンによる振動板36の熱応力への影響が抑えられる。従って、高温で焼成した場合に第1電極51と近傍部材との熱応力の差が大きくなることを抑制して、振動板36と圧電素子38との剥離を抑制することが可能になり、さらに、振動板36内の密着力を向上させることが可能になる。
<変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
(1)前述の各形態では、振動板36のうち圧電素子38側の面からの第1電極51の厚さが、振動板36内の複数の層の境界に位置していたが、複数の層のうち何れかの層内に位置してもよい。例えば、実施例1では、第2酸化シリコン層366−2の厚さtSiNは、130nmであったが、第2酸化シリコン層366−2の厚さtSiNが130nmより大きい場合であっても、(4)式におけるtSiNは、130nmとして計算する。
(2)前述の各形態では、第1電極51は単層であったが、複数の層によって形成されてもよい。この場合、(1)式におけるα1×E1は、(4)式を用いて求めることができる。
(3)前述の各形態では、密着層364が圧電素子38側の振動板36の最表面に形成されていたが、密着層364は、焼成時に酸化して第1電極51の中に拡散し、観測できない場合がある。従って、焼成後には密着層364を有さず、振動板36の表面に第1電極51が形成されてもよい。密着層364が第1電極51の中に拡散し観測できない場合であっても、圧電素子38と振動板36との剥離を抑制することが可能になる。また、前述の各形態では、密着層364の材料は、酸化チタンであったが、これに限らず、酸化イリジウム、または酸化スズでもよい。
(4)前述の各形態では、複数の圧電素子38にわたり連続する帯状の第1電極51を例示したが、第1電極51の平面形状は以上の例示に限定されない。例えば、第1電極51を圧電素子38毎に個別に形成してもよい。第1電極51を個別電極とした構成では、第1電極51が形成された範囲の内側に圧電体層52が形成される。
(5)圧力室Cまたは圧電素子38の平面形状は前述の各形態の例示に限定されない。例えば、シリコン(Si)の単結晶基板を圧力室基板34として利用した構成では、実際には、圧力室Cの平面形状に結晶面が反映される。
(6)前述の各形態では、液体吐出ヘッド26を搭載した搬送体242を往復させるシリアル方式の液体吐出装置100を例示したが、複数のノズルNが媒体12の全幅にわたり分布するライン方式の液体吐出装置にも本発明を適用することが可能である。
(7)前述の各形態で例示した液体吐出装置100は、印刷に専用される機器の他、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体吐出装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。
(8)前述の各形態で例示した圧電素子38と振動板36とを具備した圧電デバイスは、液体吐出ヘッド26のみならず、超音波トランスデューサー、超音波モーター、圧力センサー、または焦電センサー等他の圧電デバイスにも適用することができる。このような他の圧電デバイスにおいても、圧電素子と振動板との剥離を抑制することが可能である。
100…液体吐出装置、12…媒体、14…液体容器、20…制御ユニット、22…搬送機構、24…移動機構、26…液体噴射ヘッド、32……流路基板、34…圧力室基板、342…除去部、36…振動板、362…窒化シリコン層、363…ポリシリコン層、364…密着層、365…シリコン熱酸化層、366…酸化シリコン層、38…圧電素子、42…筐体部、44…封止体、46…ノズル板、N…ノズル、48…吸振体、50…配線基板、51…第1電極、52…圧電体層、53…第2電極、54…保護層、C…圧力室、R…液体貯留室。

Claims (5)

  1. 液体を収容する圧力室と、
    前記圧力室の壁面を形成する振動板と、
    前記振動板を挟んで前記圧力室とは反対側に設けられて前記振動板を振動させる圧電素子とを具備し、
    前記圧電素子の前記振動板側の電極のヤング率と前記電極の線膨張係数との積に対する、前記振動板のうち前記圧電素子側の面から前記電極の厚さまでに含まれる部材のヤング率と前記部材の線膨張係数との積の割合が、0.6以上1.4以下であり、
    前記電極は、白金によって形成されており、
    前記部材は、窒化シリコンによって形成された窒化シリコン層を含み、
    前記振動板は、前記圧電素子側の最表層に位置し、酸化物である密着層を含み、
    前記密着層と前記窒化シリコン層との間には、酸化シリコンによって形成されており、2nm以上10nm以下の厚さを有する酸化シリコン層が形成される、
    体吐出ヘッド。
  2. 液体を収容する圧力室と、
    前記圧力室の壁面を形成する振動板と、
    前記振動板を挟んで前記圧力室とは反対側に設けられて前記振動板を振動させる圧電素子とを具備し、
    前記圧電素子の前記振動板側の電極のヤング率と前記電極の線膨張係数との積に対する、前記振動板のうち前記圧電素子側の面から前記電極の厚さまでに含まれる部材のヤング率と前記部材の線膨張係数との積の割合が、0.6以上1.4以下であり、
    前記電極は、白金によって形成されており、
    前記部材は、窒化シリコンによって形成された窒化シリコン層を含み、
    前記振動板は、前記圧電素子側の最表層に位置し、酸化物である密着層を含み、
    前記密着層と前記窒化シリコン層との間には、酸化シリコンによって形成されており、前記密着層の厚さより薄い厚さを有する酸化シリコン層が形成される、
    体吐出ヘッド。
  3. 請求項1または請求項2の液体吐出ヘッドを具備する液体吐出装置。
  4. 圧力室の壁面を形成する振動板と、
    前記振動板を挟んで前記圧力室とは反対側に設けられて前記振動板を振動させる圧電素子とを具備し、
    前記圧電素子の前記振動板側の電極のヤング率と前記電極の線膨張係数との積に対する、前記振動板のうち前記圧電素子側の面から前記電極の厚さまでに含まれる部材のヤング率と前記部材の線膨張係数との積の割合が、0.6以上1.4以下であ
    前記電極は、白金によって形成されており、
    前記部材は、窒化シリコンによって形成された窒化シリコン層を含み、
    前記振動板は、前記圧電素子側の最表層に位置し、酸化物である密着層を含み、
    前記密着層と前記窒化シリコン層との間には、酸化シリコンによって形成されており、2nm以上10nm以下の厚さを有する酸化シリコン層が形成される、
    圧電デバイス。
  5. 圧力室の壁面を形成する振動板と、
    前記振動板を挟んで前記圧力室とは反対側に設けられて前記振動板を振動させる圧電素子とを具備し、
    前記圧電素子の前記振動板側の電極のヤング率と前記電極の線膨張係数との積に対する、前記振動板のうち前記圧電素子側の面から前記電極の厚さまでに含まれる部材のヤング率と前記部材の線膨張係数との積の割合が、0.6以上1.4以下であり、
    前記電極は、白金によって形成されており、
    前記部材は、窒化シリコンによって形成された窒化シリコン層を含み、
    前記振動板は、前記圧電素子側の最表層に位置し、酸化物である密着層を含み、
    前記密着層と前記窒化シリコン層との間には、酸化シリコンによって形成されており、前記密着層の厚さより薄い厚さを有する酸化シリコン層が形成される、
    圧電デバイス。
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