JP6972087B2 - 非水系リチウム型蓄電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、非水系リチウム型蓄電素子に関する。
近年、地球環境の保全及び省資源を目指したエネルギーの有効利用の観点から、深夜電力貯蔵システム、太陽光発電技術に基づく家庭用分散型蓄電システム、電気自動車用の蓄電システム等が注目を集めている。
これらの蓄電システムにおける第一の要求事項は、用いられる蓄電素子のエネルギー密度が高いことである。このような要求に対応可能な、エネルギー密度が高い蓄電素子の有力候補として、リチウムイオン電池の開発が精力的に進められている。
第二の要求事項は、出力特性が高いことである。例えば、高効率エンジンと蓄電システムとの組み合わせ(例えば、ハイブリッド電気自動車)、又は燃料電池と蓄電システムとの組み合わせ(例えば、燃料電池電気自動車)において、加速時には蓄電システムにおける高出力の放電特性が要求されている。
現在、高出力蓄電素子としては、電気二重層キャパシタ、ニッケル水素電池等が開発されている。
電気二重層キャパシタのうち、電極に活性炭を用いたものは、0.5〜1kW/L程度の出力特性を有する。この電気二重層キャパシタは、耐久性(特に、サイクル特性及び高温保存特性)も高く、上記高出力が要求される分野における最適の蓄電素子と考えられてきた。しかしその実用化には、エネルギー密度が1〜5Wh/L程度と低いこと、及び出力持続時間が短いことが足枷となっている。
一方、現在ハイブリッド電気自動車で採用されているニッケル水素電池は、電気二重層キャパシタと同等の高出力を実現し、かつ、160Wh/L程度のエネルギー密度を有している。しかしながら、そのエネルギー密度及び出力をより一層高めるとともに、高温における安定性を更に改善し、耐久性を高めるための研究が精力的に進められている。
また、リチウムイオン電池においても、高出力化に向けての研究が進められている。例えば、放電深度(すなわち、素子の放電容量の何%を放電した状態かを表す値)50%において3kW/Lを超える高出力が得られるリチウムイオン電池が開発されている。しかし、そのエネルギー密度は、100Wh/L以下であり、リチウムイオン電池の最大の特徴である高エネルギー密度を敢えて抑制した設計となっている。また、その耐久性(特に、サイクル特性及び高温保存特性)は、電気二重層キャパシタに比べ劣る。そのため、リチウムイオン電池は、実用的な耐久性を持たせるためには放電深度が0〜100%の範囲よりも狭い範囲でしか使用することができない。実際に使用できる容量は更に小さくなるから、耐久性をより一層向上させるための研究が精力的に進められている。
上記のように高出力密度、高エネルギー密度、及び耐久性を兼ね備えた蓄電素子の実用化が強く求められているが、上述した既存の蓄電素子には一長一短がある。そのため、これらの技術的要求を充足する新たな蓄電素子が求められており、有力な候補としてリチウムイオンキャパシタと呼ばれる蓄電素子の開発が近年盛んである。
リチウムイオンキャパシタは、リチウムイオンを含有する電解質を含む非水系電解液を使用する蓄電素子(すなわち、非水系リチウム型蓄電素子)の一種であって、
正極においては電気二重層キャパシタと同様の、陰イオンの吸着・脱着による非ファラデー反応、
負極においてはリチウムイオン電池と同様の、リチウムイオンの吸蔵・放出によるファラデー反応
によって充放電を行う蓄電素子である。
上述のように、正極・負極の双方において非ファラデー反応による充放電を行う電気二重層キャパシタにおいては、出力特性に優れるがエネルギー密度が小さい。他方、正極・負極の双方においてファラデー反応による充放電を行う二次電池であるリチウムイオン電池においては、エネルギー密度に優れるが、出力特性に劣る。リチウムイオンキャパシタは、正極では非ファラデー反応、負極ではファラデー反応による充放電を行うことによって、優れた出力特性と高いエネルギー密度との両立を狙う新たな蓄電素子である。
リチウムイオンキャパシタを用いる用途としては、例えば鉄道、建機、自動車用蓄電等が挙げられる。これらの用途では、作動環境が過酷なため、使用されるキャパシタは高温から低温まで幅広い温度範囲で使用しても電気化学特性が劣化しないことが要求されている。特に、高温においては電解液の分解によるガス発生によって引き起こされる性能低下、低温においては電解液の導電率低下によって引き起こされる性能低下が問題となっている。このような課題に対する対策技術として、電解液中にフッ素化環状カーボネートを含有するリチウムイオンキャパシタが提案されている(特許文献1及び2参照)。また、電解液中にビニレンカーボネート又はその誘導体を含有するリチウムイオンキャパシタが提案されている(特許文献3参照)。
特開2006−286926号公報 特開2013−55285号公報 特開2006−286924号公報 特開2012−38900号公報 特開2014−110371号公報
特許文献1の技術は、低温における特性を向上し得るものであるが、高温における耐久性改善についての効果は確認されていない。また、特許文献2では、キャパシタを作製する過程で発生するガスを抑えることによって初期特性を改善する技術であり、完成後のキャパシタにおける高温時の耐久性改善については効果が確認されていない。特許文献3では、高温における蓄電素子の連続充電時の容量保持率が高いキャパシタが提供される。しかしながらこの特許文献においては、高温試験後の特性変化に関しては結果が示されていない。特許文献4は、特許文献2と同様に、キャパシタを作製する過程で発生するガスを抑えることによって初期特性を改善する技術に関し、完成後のキャパシタにおける高温時の耐久性改善については効果が確認されていない。更に、特許文献5では、電解液に難燃性添加剤を加えることによって、初期特性及びサイクル特性を維持する技術が開示されている。しかしながらこの技術においては、難燃効果が不明であって安全性は確認されておらず、また、高温における耐久性の改善については検証されていない。
以上のように、従来のリチウムイオンキャパシタにおいては、初期特性に着目してその優劣を評価しているに過ぎず、実用化にあたって重要となる長期間高温にさらされた場合の電解液分解によるガス発生、及びこれによる性能低下が抑制されるとともに、高い難燃性を有する安全な技術は見出されていない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、低抵抗であり、高温における高い耐久性、具体的には、長時間高温にさらされても電解液分解によるガス発生がなく、ガス発生による性能低下がない技術を確立するとともに、高度の難燃安全性を兼ね揃えた非水系リチウム型蓄電素子を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた。その結果、リチウムイオンキャパシタの電解液に、電解質としてリチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(SO2F)2)を含有し、更に特定の化合物を1種類以上含有することで、低抵抗であり、高温における耐久性が高く、かつ難燃効果による高度の安全性を兼ね揃えるリチウムイオンキャパシタが提供されることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、下記のとおりのものである。
[1] 負極電極体、正極電極体、及びセパレータを有する電極積層体と、非水系電解液とが外装体に収容されて成る非水系リチウム型蓄電素子であって、
前記負極電極体が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた負極活物質層とを有し、前記負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む負極活物質を含有し、
前記正極電極体が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた正極活物質層とを有し、前記正極活物質層は、活性炭を含む正極活物質を含有し、そして
前記非水系電解液が、
(a)エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから選択される少なくとも1種と、
(b)ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートから選択される少なくとも1種と、
(c)下記一般式(c)
−O−R (c)
{式中、Rは、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基であり、
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基である。}で表される化合物と
を含む有機溶媒を含有し、
前記(b)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、20%以上であり、そして
前記非水系電解液が、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(SOF))を含有することを特徴とする、非水系リチウム型蓄電素子。
[2] 前記非水系電解液におけるLiN(SOF)の濃度が、非水電解液の総量を基準として0.3mol/L以上1.5mol/L以下である、[1]に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[3] 前記非水系電解液が、LiPF及びLiBFのうち少なくとも1種を含有する、[1]又は[2]に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[4] 前記非水電解液における(c)化合物が、COCH、COCH、COCH、C13OCH、COC、COC、COC、CCF(OCH)C、CFCHOCFCFH、CHFCFOCHCF、CHFCFCHOCFCFH、CFCFCHOCFCHF、CFCHOCFCHFCF、及びCHFCH(CH)OCHFよりなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物を含み、そして
これらの化合物の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、0.1%〜50%である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[5] 前記非水系電解液が、スルトン化合物、環状ホスファゼン、含フッ素環状カーボネート、環状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、及び環状酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を更に含有する、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[6] 前記非水系電解液が、
下記一般式(1):
Figure 0006972087
{式中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれるいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;そして
nは0〜3の整数である。}、下記一般式(2):
Figure 0006972087
{式中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれるいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;そして
nは0〜3の整数である。}、及び下記一般式(3):
Figure 0006972087
{式中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。}のそれぞれで表される化合物から選択される少なくとも1種のスルトン化合物を、非水系電解液の総量を基準として、0.1質量%〜20質量%含有する、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[7] 前記負極活物質が、活性炭の表面が炭素材料で被覆された複合多孔性材料であり、かつ、
BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)とするとき、0.010≦Vm1≦0.250、0.001≦Vm2≦0.200、及び1.5≦Vm1/Vm2≦20.0を満たす、
[1]〜[6]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[8] 前記負極活物質が、活性炭の表面が炭素材料で被覆された複合多孔性材料であり、かつ、
前記複合多孔性材料の単位質量あたり1,050mAh/g以上2,050mAh/g以下のリチウムイオンがプリドープされており、
前記炭素材料の前記活性炭に対する質量比率が、10%以上60%以下であり、そして
前記負極活物質層の厚さが、片面当たり20μm以上45μm以下である、
[1]〜[6]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[9]前記負極活物質が、以下の(i)〜(iii):
(i)該負極活物質は、カーボンブラックと炭素材料とを含有する複合炭素材料であり、
(ii)該負極は、該負極活物質単位質量当たり1,050mAh/g以上2,500mAh/g以下のリチウムイオンがドープされており、
(iii)該負極活物質層の厚みが片面当たり10μm以上60μm以下である、
のすべてを満たす、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[10] 前記正極活物質が、
BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)とするとき、0.3<V1≦0.8、及び0.5≦V2≦1.0を満たし、かつ、
BET法により測定される比表面積が1,500m/g以上3,000m/g以下を示す活性炭である、
[1]〜[9]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[11] 前記正極活物質が、
BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量V1(cc/g)が0.8<V1≦2.5を満たし、
MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量V2(cc/g)が0.8<V2≦3.0を満たし、かつ、
BET法により測定される比表面積が3,000m/g以上4,000m/g以下を示す活性炭である、
[1]〜[9]のいずれか一項に記載の非水系リチウム型蓄電素子。
[12] 負極電極体、正極電極体、及びセパレータを有する電極積層体と、非水系電解液とが外装体に収容されて成る非水系リチウム型蓄電素子であって、
前記負極電極体が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた負極活物質層とを有し、前記負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む負極活物質を含有し、
前記正極電極体が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた正極活物質層とを有し、前記正極活物質層は、活性炭を含む正極活物質を含有し、そして
前記非水系電解液が、
(a)エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから選択される少なくとも1種と、
(b)ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートから選択される少なくとも1種と、
(c)下記一般式(c)
−O−R (c)
{式中、Rは、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基であり、
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基である。}で表される化合物と
を含む有機溶媒を含有し、
前記(b)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、20%以上であり、
前記非水系電解液が、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(SOF))を含有し、そして
該非水系リチウム型蓄電素子において、セル電圧4V及び環境温度60℃において2か月間保存した後の25℃における内部抵抗をRb(Ω)、保存前の25℃における内部抵抗をRa(Ω)、保存前の−30℃における内部抵抗をRc(Ω)、保存前の25℃における静電容量をF(F)とした時、以下の(a)から(c):
(a)RaとFの積Ra・Fが1.9以下である、
(b)Rb/Raが1.8以下である、並びに
(c)セル電圧4V及び環境温度60℃において2か月間保存した時に発生するガス量が、25℃において10×10−3cc/F以下である、
のすべてを同時に満たすことを特徴とする、非水系リチウム型蓄電素子。
本発明にかかる非水系リチウム型蓄電素子は、優れた電気化学特性と、耐久性と、高度の難燃安全性とを具備するものである。
上記非水系リチウム型蓄電素子は、自動車における内燃機関、燃料電池、又はモーターと、蓄電素子と、を組み合わせたハイブリット駆動システムの分野;瞬間電力ピーク時のアシスト電源等の用途におけるリチウムイオンキャパシタとして好適である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
[蓄電素子]
本発明の実施形態は、非水系リチウム型の蓄電素子である。かかる蓄電素子は、
負極電極体、正極電極体及びセパレータを有する電極積層体と、非水系電解液とが外装体に収容されて成る。
前記負極電極体は、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた負極活物質層とを有する。負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む負極活物質を含有する。
前記正極電極体は、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた正極活物質層とを有する。正極活物質層は、活性炭を含む正極活物質を含有する。
本発明の一実施形態における非水系リチウム型蓄電素子は、セル電圧4V及び環境温度60℃において2か月間保存した後の25℃における内部抵抗をRb(Ω)、保存前の25℃における内部抵抗をRa(Ω)、保存前の25℃における静電容量をF(F)とした時、以下の(a)から(c):
(a)RaとFの積Ra・Fが1.9以下である、
(b)Rb/Raが1.8以下である、並びに
(c)セル電圧4V及び環境温度60℃において2か月間保存した時に発生するガス量が、25℃において13×10−3cc/F以下である、
のすべてを同時に満たすものであることが好ましい。
ここでいう静電容量F(F)とは、1.5Cの電流値において定電圧充電時間が1時間確保された定電流定電圧充電によって3.8Vまで充電し、その後2.2Vまで1.5Cの電流値において定電流放電を施した際の容量Qから、F=Q/(3.8−2.2)により算出される値をいう。また内部抵抗Ra(Ω)及びRb(Ω)とは、それぞれ、以下の方法によって得られる値である。先ず、環境温度25℃において、1.5Cの電流値で3.8Vに到達するまで定電流充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流定電圧充電を合計で2時間行い、続いて、50Cの電流値で2.2Vまで定電流放電を行って、放電カーブ(時間−電圧)を得る。この放電カーブにおいて、放電時間2秒及び4秒の時点における電圧値から、直線近似にて外挿して得られる放電時間=0秒における電圧をE0としたときに、降下電圧(ΔE)=3.8−E0、及びR=ΔE/(50C(電流値))により算出される値である。
また、「セル電圧4.0Vにおいて2か月間保存」とは、セル電圧が実質的に4.0Vに維持された状態で2か月間保存されることを意味する。具体的には、保存前、及び保存開始後の1週間毎に、毎回2時間の定電流定電圧充電にて、2.0Cの電流値において4.0Vの定電圧を印加することによって、セル電圧を4.0Vに維持する。
Ra・Fは、大電流に対して十分な充電容量と放電容量とを発現できるとの観点から1.9以下であることが好ましいが、より好ましくは1.8以下であり、更に好ましくは1.6以下である。
また、Rb/Raは、高温環境下に長時間さらされた場合に、大電流に対して十分な充電容量と放電容量とを発現できるとの観点から1.8以下であることが好ましいが、より好ましくは1.6以下であり、更に好ましくは1.4以下である。
更に、セル電圧4.0V及び環境温度60℃において2か月間保存した際に発生するガス量は、発生したガスにより素子の特性を低下させないとの観点から、25℃において測定した値として、10×10−3cc/F以下であることが好ましいが、より好ましくは8×10−3cc/F以下であり、更に好ましくは5.0×10−3cc/F以下である。
本発明の一実施形態が提供する蓄電素子は、上記のような小さいRa・F、Rb/Ra、及び発生ガス量を示し、かつ難燃効果による高度の安全性を実現することによって、従来技術が提供し得ない優れた素子特性を示す。このような小さいRa・F、Rb/Ra、及び発生ガス量を達成し、かつ難燃効果による高度の安全性を実現する手段の一例としては、例えば、以下で説明するような特定の非水系電解液組成の適用が挙げられる。
[電解液]
本発明の実施形態における電解液は非水系電解液である。すなわちこの非水電解液は、(a)エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから選択される少なくとも1種と、
(b)ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートから選択される少なくとも1種と、
(c)下記一般式(c)
−O−R (c)
{式中、Rは、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基であり、
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基である。}で表される化合物と
を含む有機溶媒を含有し、
前記(b)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、20%以上であり、そして
前記非水系電解液が、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(SOF))を含有する。
本実施形態の非水電解液中におけるLiN(SO2F)2の濃度は、好ましくは0.3mol/L以上1.5mol/L以下であり、より好ましくは0.6mol/L以上1.2mol/L以下である。LiN(SO2F)2の濃度が0.3mol/L以上であれば、電解液のイオン伝導度を高め、かつ電解液が分解することによるガス抑制を低減することができる。一方、この値が1.5mol/L以下であれば、充放電の時に電解質塩の析出が起きず、かつ長期間経過後であっても電解液の粘度が増加を引き起こすことがない。
非水系電解液は、電解質塩として前記のLiN(SO2F)2のみを含有していてもよいし、これ以外に他の電解質塩を含有してもよい。
非水系電解液が含有する他の電解質塩としては、非水系電解液中で0.5mol/L以上の溶解度を持つ、フッ素含有のリチウム塩を使用することができる。好適なリチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(SO225)、及びLiN(SO2CF3)(SO224H)、並びにこれらの混合塩が挙げられる。他の電解質塩としては、高い伝導度を発現させる観点から、LiPF6及びLiBF4から選択される1種以上を使用することが好ましく、LiPF6を使用することが、特に好ましい。
本実施形態の非水系電解質において他の電解質塩を使用する場合、その使用量としては、LiN(SO2F)2と他の電解質塩の使用量の合計を100モル部とした場合に、0モル部〜80モル部とするのが好ましく、より好ましくは10モル部〜65モル部であり、更に好ましくは15モル部〜50モル部である。他の電解質塩の使用量が、50モル部以下であれば、高温時に電解液の分解を抑制し、ガス発生及び抵抗上昇を抑制することが可能となる。一方で、この値が15モル部以上であれば、正極集電体の腐食を抑制できることとなり、好ましい。
(a)成分の含有量は、その体積比率が有機溶媒総量基準で10%〜50%であることが好ましい。(a)成分の含有量をこの範囲とすることにより、高い伝導度を維持しつつ、電解液を低粘度に保つことが可能となる。有機溶媒総量基準の(a)成分の体積比率は、より好ましくは15%〜45%であり、更に好ましくは20%〜40%である。(a)成分の含有量を有機溶媒総量基準の質量比率で表した場合には、10%〜60%であることが好ましく、より好ましくは15%〜55%であり、更に好ましくは20%〜50%である。
(b)成分の含有量は、その体積比率が有機溶媒総量基準で20%以上である。この(b)成分の体積比率が有機溶媒総量基準で20%以上であれば、得られる電解液の伝導度を高く維持したままで、その粘度を低く保つことが可能となる。反面、(b)成分の含有量が過度に高いと、高温時の耐久性を失う点で不利になる場合がある。従って、有機溶媒総量基準の(b)成分の体積比率は、好ましくは30%〜90%であり、より好ましくは35%〜80%である。(b)成分の含有量を有機溶媒総量基準の質量比率で表した場合には、20%〜85%であることが好ましく、より好ましくは25%〜80%であり、更に好ましくは30%〜75%である。
本実施形態における非水系電解液において、上記一般式(c)で表される化合物((c)成分)としては、例えば、CFOCH3、CFOCF3、CFCHOCH、COCH、COCF、COC、COC、CFCHOC、COCH、COC、COCH、COC、COC、COC、C11OCH、C11OC、C11OC、C11OC、C11OC11、C13OCH、C13OC、C13OC、C13OC、C13OC11、C13OC13、CCF(OCH)C、COCFCFH、CHFCFOCHCF、CHFCFCHOCFCFH、CCHOCFCHF、CFCHOCFCHFCF、CHFCH(CH)OCHF等のハイドロフルオロエーテルが挙げられ、これらよりなる群から選ばれた少なくとも一種を使用することが好ましい。
(c)成分の含有量は、有機溶媒の総量を基準とする体積比率として、0.1%〜50%であることが好ましく、1%〜40%であることが更に好ましい。この(c)成分の含有量が1%以上であれば、得られる電解液が高度の難燃安全性を有することが期待できる。一方、(c)成分の含有量が40%以下であれば、得られる電解液の粘度を低く保つことができる。このことにより、電解液のイオン伝導度を高く維持することができるから、高度の入出力特性を発現することが可能となる。(c)成分の含有量を、有機溶媒総量基準の質量比率として表した場合には、0.1%〜55%であることが好ましく、より好ましくは1%〜45%である。
本実施形態における非水系電解液は、更に、添加剤として、スルトン化合物、環状ホスファゼン、含フッ素環状カーボネート、環状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、及び環状酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
スルトン化合物としては、下記一般式(1):
Figure 0006972087
{式中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、からなる群より選ばれるいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;そして
nは0〜3の整数である。}、下記一般式(2):
Figure 0006972087
{式中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、からなる群より選ばれるいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;そして
nは0〜3の整数である。}、及び下記一般式(3):
Figure 0006972087
{式中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。}のそれぞれで表される化合物から選択される少なくとも1種のスルトン化合物を使用することが好ましい。
前記式(1)〜(3)のすべてにおけるR〜Rのハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子等を;
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等を;
ハロゲン化アルキル基としては、例えばフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基等を、それぞれ挙げることができる。
前記式(1)及び(2)におけるnは、それぞれ独立に、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1の整数であることが更に好ましい。
本実施形態における非水系電解液が含有するスルトン化合物としては、抵抗への悪影響の少なさ、非水系電解液の高温における分解を抑制してガス発生を抑えるといった観点から、1,3−プロパンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−ブタンスルトン又は2,4−ペンタンスルトン、1,3−プロペンスルトン又は1,4−ブテンスルトン、1,5,2,4−ジオキサジチエパン2,2,4,4−テトラオキシド、メチレンビス(ベンゼンスルホン酸)、メチレンビス(フェニルメタンスルホン酸)、メチレンビス(エタンスルホン酸)、メチレンビス(2,4,6,トリメチルベンゼンスルホン酸)、及びメチレンビス(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸)から成る群より選択される1種以上のスルトン化合物が好ましい。
非水系電解液におけるスルトン化合物の含有率は、非水系電解液の総量と基準として、0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。この値が0.1質量%以上であれば、高温における電解液の分解を抑制してガス発生を抑えることが可能となる。一方でこの値が20質量%以下であれば、電解液のイオン伝導度の低下を抑えることができ、高い入出力特性を保持することができる。以上の理由により、スルトン化合物の含有率は、好ましくは5質量%以上15質量%以下であり、更に好ましくは7質量%以上12質量%以下である。
尚、これらのスルトン化合物は、単独で用いてもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。
前記環状ホスファゼンとしては、例えばエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ジエトキシテトラフルオロシクロトリホスファゼン、フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上が好ましい。
非水系電解液における環状ホスファゼンの含有率は、該非水系電解液の総量を基準として、0.5質量%〜20質量%であることが好ましい。この値が0.5重量%以上であれば、高温における電解液の分解を抑制してガス発生を抑えることが可能となる。一方でこの値が20質量%以下であれば、電解液のイオン伝導度の低下を抑えることができ、高い入出力特性を保持することができる。以上の理由により、環状ホスファゼンの含有率は、好ましくは2質量%以上15質量%以下であり、更に好ましくは4質量%以上12質量%以下である。
尚、これらの環状ホスファゼンは、単独で用いてもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。
含フッ素環状カーボネートについては、他の非水溶媒との相溶性の観点から、フルオロエチレンカーボネート(FEC)及びジフルオロエチレンカーボネート(dFEC)から選択して使用されることが好ましい。
フッ素原子を含有する環状カーボネートの含有量は、該非水系電解液の総量を基準として、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。フッ素原子を含有する環状カーボネートの含有量が0.5質量%以上であれば、負極上に良質な被膜を形成することができ、負極上における電解液の還元分解を抑制することによって、高温における耐久性が高い蓄電素子が得られる。他方、フッ素原子を含有する環状カーボネートの含有量が10質量%以下であれば、電解質塩の溶解度が良好に保たれ、かつ、非水系電解液のイオン伝導度を高く維持することができ、従って高度の入出力特性を発現することが可能となる。
尚、上記のフッ素原子を含有する環状カーボネートは、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
環状炭酸エステルについては、ビニレンカーボネートが好ましい。
環状炭酸エステルの含有量は、該非水系電解液の総量を基準として、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。環状炭酸エステルの含有量が0.5質量%以上であれば、負極上の良質な被膜を形成することができ、負極上での電解液の還元分解を抑制することにより、高温における耐久性が高い蓄電素子が得られる。一方、環状炭酸エステルの含有量が10質量%以下であれば、電解質塩の溶解度が良好に保たれ、かつ非水系電解液のイオン伝導度を高く維持することができ、従って高度の入出力特性を発現することが可能となる。
環状カルボン酸エステルとしては、例えばガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトン、イプシロンカプロラクトン等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。中でも、ガンマブチロラクトンが、リチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から、特に好ましい。
環状カルボン酸エステルの含有量は、該非水系電解液の総量を基準として、0.5質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。環状酸無水物の含有量が0.5質量%以上であれば、負極上の良質な被膜を形成することができ、負極上での電解液の還元分解を抑制することにより、高温時耐久性が高い蓄電素子が得られる。一方、環状カルボン酸エステルの含有量が5質量%以下であれば、電解質塩の溶解度が良好に保たれ、かつ非水系電解液のイオン伝導度を高く維持することができ、従って高度の入出力特性を発現することが可能となる。
尚、上記の環状カルボン酸エステルは、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
環状酸無水物については、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、及び無水イタコン酸から選択される1種以上が好ましい。中でも工業的な入手のし易さによって電解液の製造コストが抑えられる点、非水系電解液中に溶解し易い点等から、無水コハク酸及び無水マレイン酸から選択することが好ましい。
環状酸無水物の含有量は、該非水系電解液の総量を基準として、0.5質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。環状酸無水物の含有量が0.5質量%以上であれば、負極上に良質な被膜を形成することができ、負極上における電解液の還元分解を抑制することにより、高温時耐久性が高い蓄電素子が得られる。一方、環状酸無水物の含有量が10質量%以下であれば、電解質塩の溶解度が良好に保たれ、かつ非水系電解液のイオン伝導度を高く維持することができ、従って高度の入出力特性を発現することが可能となる。
尚、上記の環状酸無水物は、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
本実施の形態の非水系電解液における添加剤としては、
スルトン化合物のみを使用するか;或いは、
スルトン化合物と、
環状ホスファゼン、含フッ素環状カーボネート、環状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、及び環状酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
を併用することが好ましい。後者の場合、スルトン化合物と環状ホスファゼンとを併用することが、更に好ましい。
[正極電極体及び負極電極体]
本実施の形態の非水系リチウム型蓄電素子における正極電極体は、
正極集電体と、
該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた正極活物質層と
を有する。前記正極活物質層は、活性炭を含む正極活物質を含有する。
また負極電極体は、
負極集電体と、
該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた負極活物質層と
を有する。前記負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む負極活物質を含有する。
本実施の形態の正極及び負極の電極体において、正極活物質及び負極活物質以外の構成要素については共通の構成を適用できる。以下、正極活物質及び負極活物質について順に説明した後に、共通要素について纏めて説明する。
[正極活物質]
正極活物質は、活性炭を含む。正極活物質としては、活性炭のみを使用してもよく、或いは活性炭に加えて、後述するような他の材料を併用してもよい。正極活物質の総量基準での活性炭の含有率は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。100質量%であってもよいが、他の材料を併用することによる効果を良好に得る観点から、例えば、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であってもよい。
正極活物質における活性炭の種類及びその原料には特に制限はないが、高い入出力特性と、高いエネルギー密度と、を両立させるために、活性炭の細孔を最適に制御することが好ましい。具体的には、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)とするとき、
(1)高い入出力特性のためには、0.3<V1≦0.8、及び0.5≦V2≦1.0を満たし、かつ、BET法により測定される比表面積が1,500m/g以上3,000m/g以下を示す活性炭(以下、「活性炭1」ともいう。)、又は、
(2)高いエネルギー密度を得るためには、0.8<V1≦2.5、及び0.8<V2≦3.0を満たし、かつ、BET法により測定される比表面積が3,000m/g以上4,000m/g以下を示す活性炭(以下、「活性炭2」ともいう。)が好ましい。
以下、上記(1)活性炭1及び上記(2)活性炭2について個別に順次説明していく。
[活性炭1]
活性炭1のメソ孔量V1は、正極材料を蓄電素子に組み込んだときの入出力特性を良好とする点で、0.3cc/gより大きい値であることが好ましい。一方で、正極の嵩密度の低下を抑える点から、0.8cc/g以下であることが好ましい。このV1は、より好ましくは0.35cc/g以上0.7cc/g以下であり、更に好ましくは0.4cc/g以上0.6cc/g以下である。
活性炭1のマイクロ孔量V2は、活性炭の比表面積を大きくし、容量を増加させるために、0.5cc/g以上であることが好ましい。一方で、活性炭の嵩を抑え、電極としての密度を増加させ、単位体積あたりの容量を増加させるという点から、1.0cc/g以下であることが好ましい。このV2は、より好ましくは0.6cc/g以上1.0cc/g以下であり、更に好ましくは0.8cc/g以上1.0cc/g以下である。
また、マイクロ孔量V2に対するメソ孔量V1の比(V1/V2)は、0.3≦V1/V2≦0.9の範囲であることが好ましい。すなわち、高容量を得ながら出力特性の低下を抑えることができる程度に、マイクロ孔量に対するメソ孔量の割合を大きくするという点から、V1/V2が0.3以上であることが好ましい。一方で、高出力特性を得ながら容量の低下を抑えることができる程度に、メソ孔量に対するマイクロ孔量の割合を大きくするという点から、V1/V2は0.9以下であることが好ましい。より好ましいV1/V2の範囲は0.4≦V1/V2≦0.7であり、更に好ましいV1/V2の範囲は0.55≦V1/V2≦0.7である。
本発明において、マイクロ孔量及びメソ孔量は、以下の方法により求められる値である。すなわち、試料を500℃において一昼夜真空乾燥し、窒素を吸着質として吸脱着の等温線の測定を行なう。この時の脱着側の等温線を用いて、マイクロ孔量はMP法により、メソ孔量はBJH法により、それぞれ算出する。
MP法とは、「t−プロット法」(B.C.Lippens,J.H.de Boer,J.Catalysis,4319(1965))を利用して、マイクロ孔容積、マイクロ孔面積、及びマイクロ孔の分布を求める方法を意味し、M.Mikhail, Brunauer, Bodorにより考案された方法である(R.S.Mikhail,S.Brunauer,E.E.Bodor,J.Colloid Interface Sci.,26,45 (1968))。
また、BJH法は一般的にメソ孔の解析に用いられる計算方法で、Barrett, Joyner, Halendaらにより提唱されたものである(E. P. Barrett, L. G. Joyner and P. Halenda, J. Am. Chem. Soc., 73, 373(1951))。
活性炭1の平均細孔径は、得られる蓄電素子の出力を最大にする点から、17Å以上であることが好ましく、18Å以上であることがより好ましく、20Å以上であることが最も好ましい。また得られる蓄電素子の容量を最大にする点から、25Å以下であることが好ましい。本明細書で記載する平均細孔径とは、液体窒素温度下で、各相対圧力下における窒素ガスの各平衡吸着量を測定して得られる、試料の質量あたりの全細孔容積をBET比表面積で除して求めたものを指す。
活性炭1のBET比表面積は、1,500m/g以上3,000m/g以下であることが好ましく、1,500m/g以上2,500m/g以下であることがより好ましい。BET比表面積が1,500m/g以上の場合には、良好なエネルギー密度が得られ易く、他方、BET比表面積が3,000m/g以下の場合には、電極の強度を保つためにバインダーを多量に入れる必要がないので、電極体積当たりの性能が高くなる傾向がある。
上記のような特徴を有する活性炭1は、例えば、以下に説明する原料及び処理方法を用いて得ることができる。
本発明の実施形態では、活性炭1の原料として用いられる炭素源は、特に限定されるものではなく、例えば、木材、木粉、ヤシ殻、パルプ製造時の副産物、バガス、廃糖蜜等の植物系原料;泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、コールタール等の化石系原料;フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の各種合成樹脂;ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等の合成ゴム;その他合成木材、合成パルプ等、及びそれらの炭化物が挙げられる。これらの原料の中でも、量産対応及びコストの観点から、ヤシ殻、木粉等の植物系原料、及びそれらの炭化物が好ましく、ヤシ殻の炭化物が特に好ましい。
これらの原料を上記活性炭1とするための炭化及び賦活の方式としては、例えば、固定床方式、移動床方式、流動床方式、スラリー方式、ロータリーキルン方式等の既知の方式を採用できる。
これらの原料の炭化方法としては、例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、一酸化炭素、燃焼排ガス等の不活性ガス、又はこれらの不活性ガスを主成分とした他のガスとの混合ガスを使用して、400〜700℃(好ましくは450〜600℃)程度において30分〜10時間程度に亘って焼成する方法が挙げられる。
上記炭化方法により得られた炭化物の賦活方法としては、例えば水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて焼成するガス賦活法が好ましく用いられる。このうち、賦活ガスとして、水蒸気又は二酸化炭素を使用する方法が好ましい。
この賦活方法では、賦活ガスを0.5〜3.0kg/h(好ましくは0.7〜2.0kg/h)の割合で供給しながら、上記炭化物を3〜12時間(好ましくは5〜11時間、更に好ましくは6〜10時間)かけて800〜1,000℃まで昇温して賦活するのが好ましい。
更に、上記炭化物の賦活処理に先立ち、予め上記炭化物を1次賦活しておいてもよい。この1次賦活では、炭素材料を、例えば水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて、900℃未満の温度で焼成してガス賦活することができる。
上記炭化方法における焼成温度及び焼成時間と、上記賦活方法における賦活ガス供給量及び昇温速度及び最高賦活温度と、を適宜組み合わせることにより、本実施形態において使用できる、上記の特徴を有する活性炭1を製造することができる。
活性炭1の平均粒径は、1〜20μmであることが好ましい。本明細書を通じ、「平均粒径」とは、粒度分布測定装置を用いて粒度分布を測定した時に、全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径(すなわち、50%径(Median径))を指す。この平均粒径は市販のレーザー回折式粒度分布測定装置で測定することができる。
上記平均粒径が1μm以上であると、活物質層の密度が高いために電極体積当たりの容量が高くなる傾向がある。また、平均粒径が小さいことは耐久性が低いという欠点を招来する場合があるが、平均粒径が1μm以上であればそのような欠点が生じ難い。一方で、平均粒径が20μm以下であると、高速充放電に適合し易くなる傾向がある。上記平均粒径は、より好ましくは2〜15μmであり、更に好ましくは3〜10μmである。
[活性炭2]
活性炭2のメソ孔量V1は、正極材料を蓄電素子に組み込んだときの出力特性を大きくする観点から、0.8cc/gより大きい値であることが好ましい。また、蓄電素子の容量の低下を抑える観点から、2.5cc/g以下であることが好ましい。上記V1は、より好ましくは1.00cc/g以上2.0cc/g以下、更に好ましくは、1.2cc/g以上1.8cc/g以下である。
他方、活性炭2のマイクロ孔量V2は、活性炭の比表面積を大きくし、容量を増加させるために、0.8cc/gより大きい値であることが好ましい。また、活性炭の電極としての密度を増加させ、単位体積あたりの容量を増加させるという観点から、3.0cc/g以下であることが好ましい。上記V2は、より好ましくは1.0cc/gより大きく2.5cc/g以下、更に好ましくは1.5cc/g以上2.5cc/g以下である。
活性炭2におけるマイクロ孔量及びメソ孔量の測定方法は、活性炭1に関して上述したとおりの方法によることができる。
上述したメソ孔量V1及びマイクロ孔量V2を有する活性炭2は、従来の電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ用として使用されていた活性炭よりもBET比表面積が高いものとなる。活性炭2の具体的なBET比表面積の値としては、3,000m/g以上4,000m/g以下であることが好ましく、3,200m/g以上3,800m/g以下であることがより好ましい。BET比表面積が3,000m/g以上であることにより、良好なエネルギー密度が得られ易い。他方、BET比表面積が4,000m/g以下であることにより、電極の強度を保つためにバインダーを多量に入れる必要がないので、電極体積当たりの性能が高くなる傾向がある。
上記のような特徴を有する活性炭2は、例えば以下に説明する原料及び処理方法を用いて得ることができる。
活性炭2の原料として用いられる炭素源としては、通常活性炭原料として用いられる炭素源であれば特に限定されるものではない。例えば、木材、木粉、ヤシ殻等の植物系原料;石油ピッチ、コークス等の化石系原料;フェノール樹脂、フラン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂等の各種合成樹脂等が挙げられる。これらの原料の中でも、フェノール樹脂及びフラン樹脂は、高比表面積の活性炭2を作製するのに適しており、特に好ましい。
これらの原料を炭化する方式、或いは賦活処理時の加熱方法としては、例えば、固定床方式、移動床方式、流動床方式、スラリー方式、ロータリーキルン方式等の公知の方式が挙げられる。加熱時の雰囲気は窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス、又はこれらの不活性ガスを主成分として他のガスとの混合したガスが用いられる。炭化温度は400〜700℃程度で0.5〜10時間程度焼成する方法が一般的である。
上記炭化処理後の炭化物の賦活方法としては、例えば水蒸気、二酸化炭素、酸素等の賦活ガスを用いて焼成するガス賦活法、及びアルカリ金属化合物と混合した後に加熱処理を行うアルカリ金属賦活法が可能であるが、高比表面積の活性炭を作製するにはアルカリ金属賦活法が好ましい。
この賦活方法では、炭化物と、KOH、NaOH等のアルカリ金属化合物と、を、炭化物:アルカリ金属化合物の質量比が1:1以上(アルカリ金属化合物の量が、炭化物の量と同じかこれよりも多い量)となるように混合した後に、不活性ガス雰囲気下で600〜900℃の範囲におい、0.5〜5時間加熱を行い、その後アルカリ金属化合物を酸及び水により洗浄除去し、更に乾燥を行う。
マイクロ孔量を大きくし、メソ孔量を大きくしないためには、賦活する際に炭化物を多めにしてKOHと混合するとよい。いずれの孔量も大きくするためには、KOHを多めに使用するとよい。また、主としてメソ孔量を大きくするためには、アルカリ賦活処理を行った後に水蒸気賦活を行うとよい。
活性炭2の平均粒径は、1μm以上30μm以下であることが好ましい。より好ましくは、2μm以上20μm以下である。
活性炭1及び2は、それぞれ、1種の活性炭であってもよいし、2種以上の活性炭の混合物であって上記した各々の特性値を混合物全体として示すものであってもよい。
上記の活性炭1及び2は、これらのうちのいずれか一方を選択して使用してもよいし、両者を混合して使用してもよい。
正極活物質は、活性炭1及び2以外の材料(例えば、前記特定のV1及び/若しくはV2を有さない活性炭、又は活性炭以外の材料(例えば、リチウムと遷移金属との複合酸化物等))を含んでもよい。例示の態様において、活性炭1の含有量、若しくは活性炭2の含有量、又は活性炭1及び2の合計含有量が、全正極活物質の50質量%より多いことが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
[負極活物質]
負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む。負極活物質としては、この炭素材料のみを使用してもよいし、或いはこの炭素材料に加えて、リチウムイオンを吸蔵放出する他の材料を併用できる。前記他の材料としては、例えばリチウムチタン複合酸化物、導電性高分子等を挙げることができる。例示の態様において、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料の含有率は、負極活物質の総量を基準として、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。100質量%であることができるが、他の材料の併用による効果を良好に得る観点から、例えば、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であってもよい。
リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料としては、例えば、ハードカーボン、易黒鉛性カーボン、複合多孔性炭素材料等を挙げることができる。
負極活物質の更に好ましい例は、後述の、活性炭の表面に炭素材料を被着させて成る複合多孔性炭素材料1、2、及び3であり、これらは負極の抵抗の点で有利である。複合多孔性炭素材料1、2、及び3は、1種類のみで使用してもよいし、又は2種以上を混合して使用してもよい。また、負極活物質における炭素材料としては、複合多孔性炭素材料1、2及び3から選択される1種以上のみを使用してもよいし、複合多孔性炭素材料1、2、及び3から選択される1種以上とともに、その他の炭素材料を併用してもよい。
以下、上述の複合多孔性材料1、2、及び3、並びにその他の炭素材料について個別に順次説明していく。
[複合多孔性材料1]
複合多孔性材料1は、以下のメソ孔量Vm1及びマイクロ孔量Vm2により規定される複合多孔性材料である。
複合多孔性材料1は、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)とするとき、0.010≦Vm1≦0.250、0.001≦Vm2≦0.200、及び1.5≦Vm1/Vm2≦20.0を満たす材料である。
上記複合多孔性材料は、例えば、活性炭と炭素材料前駆体とを共存させた状態で、これらを熱処理することにより得ることができる。
上記の複合多孔性材料1の原料として用いる活性炭としては、得られる複合多孔性材料1が所望の特性を発揮する限り、特に制限はない。例えば石油系、石炭系、植物系、高分子系等の各種の原材料から得られた市販品を使用することができる。特に、平均粒径が1μm以上15μm以下の活性炭粉末を用いることが好ましい。この平均粒径は、より好ましくは2μm以上10μm以下である。
上記の複合多孔性材料1の原料として用いる炭素材料前駆体とは、熱処理することにより、活性炭に炭素材料を被着させることができる有機材料である。炭素材料前駆体は、固体であっても、液体であってもよく、又は溶剤に溶解可能な物質であってもよい。このような炭素材料前駆体としては、例えば、ピッチ、メソカーボンマイクロビーズ、コークス、合成樹脂(例えばフェノール樹脂等)等を挙げることができる。これらの炭素材料前駆体の中でも、安価であるピッチを用いることが、製造コスト上好ましい。ピッチは、大別して石油系ピッチと石炭系ピッチとに分けられる。石油系ピッチとしては、例えば原油の蒸留残査、流動性接触分解残査(デカントオイル等)、サーマルクラッカーに由来するボトム油、ナフサクラッキングの際に得られるエチレンタール等が例示される。
上記ピッチを用いる場合、複合多孔性材料は、該ピッチを活性炭との共存下に熱処理し、活性炭の表面においてピッチの揮発成分又は熱分解成分を熱反応させて該活性炭に炭素材料を被着させることにより、複合多孔性材料1が得られる。この場合、200〜500℃程度の温度において、ピッチの揮発成分又は熱分解成分の活性炭細孔内への被着が進行し、400℃以上で該被着成分が炭素材料となる反応が進行する。熱処理時のピーク温度(最高到達温度)は得られる複合多孔性材料1の特性、熱反応パターン、熱反応雰囲気等により適宜決定されるものであるが、400℃以上であることが好ましく、より好ましくは450℃〜1,000℃であり、更に好ましくは500〜800℃程度である。また、熱処理時のピーク温度を維持する時間は、30分間〜10時間であればよく、好ましくは1時間〜7時間であり、より好ましくは2時間〜5時間である。例えば、500〜800℃程度のピーク温度で2時間〜5時間に亘って熱処理する場合、活性炭表面に被着した炭素材料は多環芳香族系炭化水素になっているものと考えられる。
炭素材料前駆体として用いるピッチの軟化点は、30℃以上250℃以下が好ましく、60℃以上130℃以下が更に好ましい。ピッチの軟化点が30℃以上であれば、ハンドリング性に支障はなく精度よく仕込むことが可能である。この値が250℃以下であれば、低分子化合物が比較的多く存在し、活性炭内の比較的細かい細孔まで被着することが可能となる。
上記の複合多孔性材料の製造するための具体的方法としては、例えば、炭素材料前駆体から揮発した炭化水素ガスを含む不活性雰囲気中で活性炭を熱処理し、気相で炭素材料を被着させる方法が挙げられる。また、活性炭と炭素材料前駆体とを予め混合して熱処理する方法、又は溶媒に溶解させた炭素材料前駆体を活性炭に塗布して乾燥させた後に熱処理する方法も可能である。
複合多孔性材料1は、活性炭の表面に炭素材料を被着させたものであるが、活性炭の細孔内部に炭素材料を被着させた後の細孔分布が重要であり、メソ孔量及びマイクロ孔量により規定できる。本実施の形態においては、特に、メソ孔量及びマイクロ孔量の絶対値と共に、メソ孔量/マイクロ孔量の比率が重要である。すなわち、本発明の一態様において、上記の複合多孔性材料1におけるBJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)とするとき、0.010≦Vm1≦0.250、0.001≦Vm2≦0.200、かつ1.5≦Vm1/Vm2≦20.0であることが好ましい。
メソ孔量Vm1については、0.010≦Vm1≦0.225がより好ましく、0.010≦Vm1≦0.200が更に好ましい。マイクロ孔量Vm2については、0.001≦Vm2≦0.150がより好ましく、0.001≦Vm2≦0.100が更に好ましい。メソ孔量/マイクロ孔量の比率については、1.5≦Vm1/Vm2≦15.0がより好ましく、1.5≦Vm1/Vm2≦10.0が更に好ましい。メソ孔量Vm1が上限以下(Vm1≦0.250)であれば、リチウムイオンに対する高い充放電効率が維持でき、メソ孔量Vm1及びマイクロ孔量Vm2が下限以上(0.010≦Vm1、0.001≦Vm2)であれば、高出力特性が得られる。
孔径の大きいメソ孔内ではマイクロ孔よりもイオン伝導性が高い。そのため、高出力特性を得るためにはメソ孔量が必要である。他方、孔径の小さいマイクロ孔内では、蓄電素子の耐久性に悪影響を及ぼすとされる水分等の不純物が脱着し難い。そのため、高耐久性を得るためにはマイクロ孔量を制御する必要があると考えられる。従って、メソ孔量とマイクロ孔量との比率の制御が重要である。この値が下限以上(1.5≦Vm1/Vm2)の場合(すなわち炭素材料が活性炭のメソ孔よりもマイクロ孔に多く被着し、被着後の複合多孔性材料のメソ孔量が多く、マイクロ孔量が少ない場合)、高エネルギー密度及び高出力特性と、高耐久性(サイクル特性、フロート特性等)とが両立する。メソ孔量とマイクロ孔量との比率が上限以下(Vm1/Vm2≦20.0)の場合、高出力特性が得られる。
本発明において、上記のメソ孔量Vm1及びマイクロ孔量Vm2の測定方法は、先述した正極活物質における活性炭の測定方法と同様である。
本発明の一態様においては、上述のように、活性炭の表面に炭素材料を被着した後のメソ孔量/マイクロ孔量の比率が重要である。本発明で規定する細孔分布範囲の複合多孔性材料を得るためには、原料に用いる活性炭の細孔分布が重要である。
負極活物質としての複合多孔性材料の形成に用いる活性炭においては、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)としたとき、0.050≦V1≦0.500、0.005≦V2≦1.000、かつ、0.2≦V1/V2≦20.0であることが好ましい。
メソ孔量V1については、0.050≦V1≦0.350がより好ましく、0.100≦V1≦0.300が更に好ましい。マイクロ孔量V2については、0.005≦V2≦0.850がより好ましく、0.100≦V2≦0.800が更に好ましい。メソ孔量/マイクロ孔量の比率については、0.22≦V1/V2≦15.0がより好ましく、0.25≦V1/V2≦10.0が更に好ましい。活性炭のメソ孔量V1が0.500以下である場合及びマイクロ孔量V2が1.000以下である場合、上記本実施形態の複合多孔性材料1の細孔構造を得るためには適量の炭素材料を被着させれば足りるので、細孔構造を制御し易くなる傾向がある。これと同様の理由により、活性炭のメソ孔量V1が0.050以上であってマイクロ孔量V2が0.005以上である場合、V1/V2が0.2以上であってV1/V2が20.0以下である場合も、該活性炭の細孔分布から上記本実施形態の複合多孔性材料1の細孔構造が容易に得られる。
本実施形態における複合多孔性材料1の平均粒径は1μm以上10μm以下であることが好ましい。下限については、より好ましくは2μm以上であり、更に好ましくは2.5μm以上である。上限については、より好ましくは6μm以下であり、更に好ましくは4μm以下である。平均粒径が1μm以上10μm以下であれば、良好な耐久性が保たれる。
上記の複合多孔性材料1において、水素原子/炭素原子の原子数比(以下、「H/C」ともいう。)は、0.05以上0.35以下であることが好ましく、0.05以上0.15以下であることがより好ましい。H/Cが0.35以下である場合には、活性炭表面に被着している炭素材料の構造(典型的には多環芳香族系共役構造)が十分に発達するので、容量(エネルギー密度)及び充放電効率が高くなるため好ましい。他方、H/Cが0.05以上である場合には、炭素化が過度に進行することはないため、良好なエネルギー密度が得られる。尚、H/Cは元素分析装置により測定される。
上記複合多孔性材料1は、原料の活性炭に由来するアモルファス構造を有するとともに、主に被着した炭素材料に由来する結晶構造を有することが好ましい。高い出力特性を発現するためには結晶性が低い構造が好ましく、充放電における可逆性を保つには結晶性が高い構造が好ましい。このような観点から、上記複合多孔性材料1は、X線広角回折法によって測定された(002)面の面間隔d002が3.60Å以上4.00Å以下であり、このピークの半価幅から得られるc軸方向の結晶子サイズLcが8.0Å以上20.0Å以下であるものが好ましく、d002が3.60Å以上3.75Å以下であり、このピークの半価幅から得られるc軸方向の結晶子サイズLcが11.0Å以上16.0Å以下であるものがより好ましい。
[複合多孔性材料2]
複合多孔性材料2は、活性炭の表面に炭素材料を被着させた複合多孔性材料であり、前記炭素材料の前記活性炭に対する質量比率が10%以上60%以下であるものである。この質量比率は、好ましくは15%以上55%以下であり、より好ましくは18%以上50%以下であり、特に好ましくは20%以上47%以下である。炭素材料の質量比率が10%以上であれば、活性炭が有していたマイクロ孔を該炭素材料で適度に埋めることができ、リチウムイオンの充放電効率が向上することにより、耐久性を損なわない。また、炭素材料の質量比率が60%以下であれば、活性炭が有していた細孔を適度に保持することにより、比表面積を大きくできる。そのため、リチウムイオンのプリドープ量を高めることができる。その結果、負極を薄膜化しても高出力密度かつ高耐久性を維持することができることとなる。
該複合多孔性材料2のBET法における比表面積は、350m/g〜1,500m/gが好ましく、400m/g〜1,100m/gが更に好ましい。この比表面積が350m/g以上である場合、複合多孔性材料2は細孔を適度に保持しているといえる。従って、リチウムイオンのプリドープ量を高めることができる結果、負極を薄膜化することが可能となる。他方、この比表面積が1,500m/g以下である場合、活性炭の有していたマイクロ孔が適度に埋まっていることといえる。そのため、リチウムイオンの充放電効率が向上するので耐久性を損なわない。
複合多孔性材料2は、例えば、活性炭と炭素材料前駆体を共存させた状態で熱処理することにより得ることができる。複合多孔性材料2を製造するための、活性炭及び炭素材料前駆体の具体例及び熱処理方法は、複合多孔性材料1において前述したのと同様であるから、ここでは説明を繰り返さない。
但し、複合多孔性材料2を得るために用いるピッチの軟化点は、30℃以上100℃以下が好ましく、35℃以上85℃以下が更に好ましい。ピッチの軟化点が30℃以上であればハンドリング性に支障はなく精度よく仕込むことが可能となる。この値が100℃以下であれば、低分子化合物が多く存在するから、活性炭内の細かい細孔まで被着することが可能となる。
複合多孔性材料2は、活性炭の表面に炭素材料を被着させたものであるが、活性炭の細孔内部に炭素材料を被着させた後の細孔分布が重要である。この細孔分布は、メソ孔量及びマイクロ孔量により規定できる。すなわち、複合多孔性材料2は、BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)とするとき、下記3つのいずれかの領域を満たすことが好ましい:
(1)0.010≦Vm1≦0.300かつ0.010≦Vm2≦0.200
(2)0.010≦Vm1≦0.200かつ0.200≦Vm2≦0.400
(3)0.010≦Vm1≦0.100かつ0.400≦Vm2≦0.650
上記(1)については、0.050≦Vm1≦0.300かつ0.010≦Vm2≦0.200が更に好ましい。
メソ孔量Vm1が上限以下(Vm1≦0.300)であれば、複合多孔性材料の比表面積を大きくすることができ、リチウムイオンのプリドープ量を高めることができる。このことに加え、更に負極の嵩密度を高めることができるため、負極を薄膜化することが可能となる。マイクロ孔量Vm2が上限以下(Vm1≦0.650)であれば、リチウムイオンに対する高い充放電効率が維持できる。他方、メソ孔量Vm1及びマイクロ孔量Vm2が下限以上(0.010≦Vm1、0.010≦Vm2)であれば、高出力特性が得られる。
本実施の形態において、上記のメソ孔量Vm1及びマイクロ孔量Vm2の測定方法は、先述した正極活物質における活性炭の測定方法と同様である。
本実施の形態における複合多孔性材料2の平均粒径、水素原子/炭素原子の原子数比(H/C)、及び結晶構造については、それぞれ、複合多孔性材料1について前記に説明したことがそのまま援用される。
複合多孔性材料2において、平均細孔径は、高出力特性にする点から、28Å以上であることが好ましく、30Å以上であることがより好ましい。他方、高エネルギー密度にする点から、65Å以下であることが好ましく、60Å以下であることがより好ましい。本実施の形態において平均細孔径とは、液体窒素温度下で各相対圧力下において窒素ガスの各平衡吸着量を測定して得られる質量当たりの全細孔容積をBET比表面積で除して求めたものを意味する。
[複合多孔性材料3]
複合多孔性材料3は、カーボンブラックと炭素材料とを含有する複合炭素材料である。複合多孔性材料3のBET比表面積は、100m/g以上であることが好ましく、100m/g以上350m/g以下であることがより好ましい。このBET比表面積は、更に好ましくは150m/g以上300m/g以下であり、特に好ましくは180m/g以上240m/g以下である。
複合多孔性材料3のBET比表面積と、該複合多孔性材料3の単位質量当たりのリチウムイオンの初回の充電容量及びプリドープ許容量との間には、正の相関関係がある。これは、BET比表面積の増加に伴い、炭素網面のエッジ面、欠陥サイト等の、炭素網面間以外のリチウムイオンの吸蔵サイトの密度が高くなるためであると推定している。このため、BET比表面積が100m/g以上であれば、プリドープ量を十分大きくできるから、負極活物質層を薄膜化することができる。また、負極活物質層を薄膜化した場合であっても、リチウムイオンのドープ・アンドープを担うサイト(反応場)が十分に多く存在するため、高い出力特性を発現できる。一方で、BET比表面積が350m/g以下の複合多孔性材料3であれば、負極活物質層を形成する際の塗工性に優れる。
前記複合多孔性材料3は、カーボンブラックと、前記炭素材料を与える前駆体とを混捏して得られた混捏物を焼成又は黒鉛化した後、平均粒子径(D50)1〜20μmに粉砕することにより製造される。
前記複合多孔性材料3は、電子顕微鏡による平均粒子径が12〜300nmであり、かつBET比表面積が200〜1,500m/gであるカーボンブラックと、
前記炭素材料の前駆体と混捏して得られた混捏物を、800℃〜3,200℃において焼成又は黒鉛化した後、平均粒子径(D50)1〜20μmに粉砕することにより、得ることができる。
複合多孔性材料3の製造における該炭素材料前駆体の使用量は、カーボンブラック100質量部に対して、30質量部以上200質量部以下が好ましい。より好ましくは30質量部以上150質量部以下である。この割合が30質量部以上であれば、複合化による効果によって高い出力特性を実現できる。他方、この割合が200質量部以下であれば、適度なBET比表面積を保持することができ、リチウムイオンのプリドープ量を高めることができる。上記負極活物質は、1種類のみで使用するか又は2種以上を混合して使用してもよい。
上記の複合多孔性材料3の原料として用いるカーボンブラックは、得られる複合炭素材料が所望の特性を発揮する限り、市販の各種の銘柄のものを用いることができる。
上記のとおり、原料として用いるカーボンブラックについて電子顕微鏡によって測定した平均粒子径は、12〜300nmであることが好ましい。このカーボンブラックの粒子径の測定方法としては、電子顕微鏡で倍率数万倍の写真を数視野撮影し、それらの視野中の粒子の粒子径を、全自動画像処理装置等を用いて2,000〜3,000個程度計測して求める方法を使用する(カーボンブラック便覧第3版(株式会社図書出版、昭和48年5月25日発行)第4ページ)。本実施形態においては、電子顕微鏡で求められた平均粒子径が12〜300nmのカーボンブラックを用いることができる。市場で入手できる各種銘柄のカタログ値からは、ほとんどのカーボンブラックがこの範囲の粒子径を有するとされる。
前記炭素材料の前駆体としては、石油若しくは石炭系のピッチ、又はフェノール樹脂、フラン樹脂、ジビニルベンゼン等の樹脂が使用できる。これらを一種で用いることができ、又は二種以上混合して用いてもよい。これらの前駆体の中でも、安価なピッチを用いることが、製造コスト上好ましい。
上記のカーボンブラックと上記の炭素材料前駆体とを、加熱ニーダ等の適宜の混捏機を用いて混捏する。混捏後、非酸化性雰囲気中、800℃〜3,200℃において焼成又は黒鉛化する。この熱処理温度が800℃未満では、粒子表面の官能基が残存する。得られるリチウムイオンキャパシタにおいて、この残存官能基がLiイオンと反応するため、容量ロスの増加、及び放電曲線1V付近の変極点の発生を来たし、好ましくない。熱処理温度が3,400℃を超えると、黒鉛化された粒子が昇華してしまうので、3,200℃の温度における焼成又は黒鉛化処理が限界である。
次いで、上記のようにして焼成又は黒鉛化して得たものを、平均粒子径(D50)が好ましくは1〜20μmとなるように粉砕する。平均粒子径(D50)の下限は、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは7μm以上である。また、平均粒子径(D50)の上限は、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下である。平均粒子径(D50)が5μm以上であれば、該複合炭素材料3を負極活物質として用いた際の負極の電極はく離強度が十分に大きくなる。これは、該負極活物質、導電性フィラー、結着剤を溶媒に分散させてスラリー状にし、負極集電体上に負極活物質層を塗布して乾燥する時に、溶媒蒸発に伴う固体凝集を緩和することができ、電極のヒビ割れを抑制できるためであると推定している。電極のはく離強度を向上させる他の方法としては、結着剤の種類及び量を変える方法が知られている。しかし、BET比表面積が100m/g以上の複合炭素材料を負極活物質に用いた場合には、結着剤の種類及び量を変えることによる負極の電極はく離強度に大きな向上は確認できない。一方で、平均粒子径(D50)が20μm以下であれば、上記と同様にして負極集電体上に負極活物質層を塗布する際に、スジ等が発生することなく、塗工性に優れる。
上記粉砕後の粒子の粒度は、レーザー回折法により測定した値である。
粉砕後、必要に応じて800〜3,200℃で再焼成又は再黒鉛化してもよい。
本発明における負極活物質である複合炭素材料3は、カーボンブラックに炭素材料が結着されて成る集合体であり、特定の細孔構造を有する多孔質の炭素材料及び黒鉛材料である。
複合炭素材料3の細孔構造は、窒素ガスの吸脱着における等温吸着線により、知ることができる。
窒素ガスの吸脱着における等温吸着線において、窒素ガスの相体圧(P/P0)が0.8前後までは窒素ガス吸着量の変化が少なく、0.8を超えると急激に増大する。本発明における複合炭素材料は、窒素ガスの吸脱着における等温吸着線において、窒素ガスの相対圧(P/P0)が0.99付近における窒素ガスの吸着量が、10〜1,000ml/gであることが好ましい。この要件は、本発明における複合炭素材料において、細孔直径2nm以下のマイクロポアの細孔容積が全細孔容積の20%以下であることを示すものである。
本発明における複合炭素材料3は、以上のような特定の細孔構造を有することにより、高い出力特性及び高いエネルギー密度の両方を発現させる負極活物質として機能する。また、該複合炭素材料の原材料は、安価なカ−ボンブラック及び炭素材料前駆体(好ましくはピッチ)であり、これらの混捏物を焼成又は黒鉛化後に粉砕するという簡単な工程によって得られるものである。更にカーボンブラックの銘柄の選択、炭素材料前駆体との配合比等の選択により、細孔構造を制御することも可能である。
[その他の炭素材料]
負極活物質に含有されるその他の炭素材料としては、例えば黒鉛、易黒鉛化性炭素材料、難黒鉛化性炭素材料、ポリアセン系物質等のアモルファス炭素材料、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノフォーン、繊維状炭素材料等であって、上述の複合多孔性材料1及び2のいずれにも該当しないものを挙げることができる。
負極活物質がその他の炭素材料を含有する場合、該その他の炭素材料の使用割合としては、炭素材料の合計に対して、50質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましい。
[負極活物質層のその他の成分]
負極活物質層には、必要に応じて、負極活物質の他に、例えば、導電性フィラー、結着剤等を添加することができる。
導電性フィラーの種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維等が例示される。導電性フィラーの添加量は、例えば、負極活物質に対して0〜30質量%が好ましい。
結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、スチレン−ブタジエン共重合体等を用いることができる。結着剤の添加量は、例えば、負極活物質に対して3〜20質量%の範囲が好ましい。
[負極活物質のプリドープ]
負極活物質には、リチウムイオンをプリドープすることが好ましい。特に好ましい態様では、負極活物質が複合多孔性材料2又は3を含有し、該複合多孔性材料2又は3にリチウムイオンをプリドープする。このプリドープ量は該複合多孔性材料2又は3の単位質量当たり、好ましくは、1,050mAh/g以上2,050mAh/g以下であり、より好ましくは1,100mAh/g以上2,000mAh/g以下であり、更に好ましくは1,200mAh/g以上1,700mAh/g以下であり、特に好ましくは1,300mAh/g以上1,600mAh/g以下である。
リチウムイオンをプリドープすることにより、負極電位が低くなり、正極と組み合わせたときにセル電圧が高くなるとともに、正極の利用容量が大きくなる。そのため。容量及びエネルギー密度が高くなる。該プリドープ量が1,050mAh/gを超える量であれば、負極材料におけるリチウムイオンを一旦挿入したら脱離し得ない不可逆なサイトにもリチウムイオンが良好にプリドープされ、更に所望のリチウム量に対する負極活物質量を低減することができる。そのため、負極膜厚を薄くすることが可能となり、高い耐久性、良好な出力特性、及び高エネルギー密度が得られる。また、該プリドープ量が多いほど負極電位が下がり、耐久性及びエネルギー密度は向上する。プリドープ量が2,050mAh/g以下であれば、リチウム金属の析出等の副作用が発生する恐れがない。
負極にリチウムイオンをプリドープする方法は、既知の方法を用いることができる。例えば、負極活物質を電体に成型した後、該負極電極を作用極、金属リチウムを対極に使用し、非水系電解液を組み合わせた電気化学セルを作製し、電気化学的にリチウムイオンをプリドープする方法が挙げられる。また、該負極電極体に金属リチウム箔を圧着し、非水系電解液に入れることにより負極にリチウムイオンをプリドープすることも可能である。
負極活物質にリチウムイオンをドープしておくことにより、得られる蓄電素子の容量及び作動電圧を良好に制御することが可能となる。
[正極及び負極の共通要素]
正極及び負極に共通する事項として、(1)活物質層における活物質以外の成分、(2)集電体、及び(3)電極体の構成について、以下、順に説明する。
(1)活物質層における活物質以外の成分
正極及び負極の活物質層は、それぞれ、前記の活物質に加えて、既知のリチウムイオン電池、キャパシタ等で活物質層に含まれる既知の成分を更に含有することができる。この既知の成分とは、例えば、バインダー、導電フィラー、増粘剤等であり、その種類には特に制限はない。
以下、本実施形態の非水系リチウム型蓄電素子における正極及び負極の活物質層に含有される、活物質以外の成分について、その詳細を述べる。
活物質層は、必要に応じ導電性フィラー(例えばカーボンブラック)、バインダー等を含むことができる。
導電性フィラーの使用量は、活物質100質量部に対して0〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。高出力密度の観点から、導電性フィラーを用いることが好ましいが、その使用量が30質量部以下であると、活物質層に占める活物質の量の割合が高くなり、また、体積当たりの出力密度が多くなる傾向があるため好ましい。
活物質層においては、上記の活物質、及び必要に応じて使用する導電性フィラーを、活物質層として集電体上に固着させるために、バインダーが用いられる。このバインダーとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、スチレンブタジエン共重合体、セルロース誘導体等を用いることができる。バインダーの使用量は、活物質100質量部に対して3〜20質量部の範囲が好ましく、5〜15質量部の範囲がより好ましい。バインダーの上記使用量が20質量部以下であると、活物質の表面をバインダーが覆わない。従って、活物質層に対するイオンの出入りが速くなり、高出力密度が得られ易い傾向があるため好ましい。他方、バインダーの使用量が3質量部以上であると、活物質層を集電体上に固着し易くなる傾向があるため好ましい。
(2)集電体
集電体としては、蓄電素子において通常使用される一般的な集電体を使用できる。集電体としては、電解液への溶出、電解液との反応等による劣化がおこらない金属箔であることが好ましい。このような金属箔としては、特に制限はなく、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。本実施の形態の蓄電素子においては、正極集電体をアルミニウム箔、負極集電体を銅箔とすることが好ましい。
集電体は孔を持たない金属箔でもよいし、貫通孔(例えば、パンチングメタルの貫通孔)又は開孔部分(例えば、エキスパンドメタルの開孔部分)等を有する金属箔でもよい。集電体の厚みは、特に制限はないが、1〜100μmが好ましい。集電体の厚みが1μm以上であると、活物質層を集電体に固着させて成る電極体(本発明における正極及び負極)の形状及び強度を保持できるため好ましい。他方、集電体の厚みが100μm以下であると、蓄電素子としての重量及び体積が適度になり、また、重量及び体積当たりの性能が高い傾向があるため、好ましい。
(3)電極体の構成
電極体は、集電体の片面上又は両面上に活物質層を設けて成る。典型的な態様において活物質層は集電体に固着している。
電極体は、既知のリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電極の製造技術により製造することが可能である。例えば、活物質を含む各種材料を水又は有機溶剤によりスラリー状にし、このスラリーを集電体上に塗布して乾燥し、必要に応じて室温又は加熱下にプレスして活物質層を形成することにより、得られる。溶剤を使用せずに、活物質を含む各種材料を乾式で混合し、得られた混合物をプレス成型した後、導電性接着剤を用いて集電体に貼り付けることも可能である。
正極活物質層の厚さは、片面当たり、好ましくは15μm以上100μm以下であり、より好ましくは20μm以上85μm以下である。この厚さが15μm以上であれば、キャパシタとして十分なエネルギー密度を発現できる。他方、この厚さが100μm以下であれば、キャパシタとして高い入出力特性を得ることができる。
負極活物質層の厚さは、片面当たり、好ましくは20μm以上45μm以下であり、より好ましくは25μm以上40μm以下である。この厚さが20μm以上であれば、良好な充放電容量を発現することができる。他方、この厚さが45μm以下であれば、セル体積を縮小することによりエネルギー密度を高めることができる。負極活物質として複合多孔性材料2を用いる場合の負極活物質層の厚さは、負極の抵抗の観点から、片面当たり、好ましくは20μm以上45μm以下であり、より好ましくは20〜40μmであり、更に好ましくは25〜35μmである。
尚、集電体に孔がある場合には、正極及び負極の活物質層の厚さとは、それぞれ、集電体の孔を有していない部分の片面当たりの厚さの平均値をいう。
本発明の蓄電素子電極における電極活物質層の嵩密度は0.30g/cm以上1.2g/cm以下が好ましい。嵩密度が0.30g/cm以上であれば、体積当たりの電極の容量を大きくすることができ、蓄電素子の小型化を達成できる。また、嵩密度が1.2g/cm以下であれば、電極活物質層内の空隙における電解液の拡散が十分となり、大電流における充放電特性が高くなると考えられる。従って、より好ましくは0.35g/cm以上1.0g/cm以下の範囲である。
正極活物質層の嵩密度は、大電流における充放電特性をより高くするために、0.70g/cm以下とすることが更に好ましく、0.65g/cm以下とすることが特に好ましい。
負極活物質層の嵩密度は、活物質間に良好な導電性を発現させ、強度を高く維持する観点から、0.60g/cm以上とすることが更に好ましく、特に好ましくは0.70g/cm以上である。
[セパレータ]
前記のように成型された正極電極体及び負極電極体は、セパレータを介して積層又は捲廻積層され、正極電極体、負極電極体及びセパレータを有する電極積層体が形成される。
前記セパレータとしては、リチウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜若しくはポリプロピレン製の微多孔膜、又は電気二重層キャパシタで用いられるセルロース製の不織紙等を用いることができる。
セパレータの厚みは10μm以上50μm以下が好ましい。10μm以上の厚みとすることにより、内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。他方、50μm以下の厚みとすることにより、蓄電素子の出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
[外装体]
外装体としては、金属缶、ラミネートフィルム等を使用できる。
前記の金属缶としては、アルミニウム製のものが好ましい。
前記のラミネートフィルムとしては、金属箔と樹脂フィルムとを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内装樹脂フィルムから成る3層構成のものが例示される。外層樹脂フィルムは、接触等により金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロン又はポリエステル等の樹脂が好適に使用できる。金属箔は水分及びガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適に使用できる。また、内装樹脂フィルムは、内部に収納する電解液から金属箔を保護するとともに、外装体のヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィン等が好適に使用できる。
[非水系リチウム型蓄電素子]
本実施の形態にかかる非水系リチウム型蓄電素子は、前記のようにして得られる電極積層体及び前記非水系電解液が、前記外装体内に収納されて構成される。
本実施の形態にかかる非水系リチウム型蓄電素子は、後述の実施例において具体的に検証されるように、高い入出力特性と、高温における高い耐久性と、が両立されたものである。
以下に、本実施の形態を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
[正極電極体の作製]
破砕されたヤシ殻炭化物を、小型炭化炉において窒素中、500℃において3時間炭化処理して炭化物を得た。得られた炭化物を賦活炉内へ入れ、1kg/hの水蒸気を予熱炉で加温した状態で前記賦活炉内へ導入し、900℃まで8時間かけて昇温して賦活した。賦活後の炭化物を取り出し、窒素雰囲気下で冷却して、賦活された活性炭を得た。得られた活性炭を10時間通水洗浄した後に水切りした。その後、115℃に保持された電気乾燥機内で10時間乾燥した後に、ボールミルで1時間粉砕を行うことにより、活性炭1を得た。
この活性炭1について、島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2000J)を用いて平均粒径を測定した結果、4.2μmであった。また、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)を用いて細孔分布を測定した。脱着側の等温線を用いてQSDFTにより算出したメソ孔量(V1)は0.52cc/g、マイクロ孔量(V2)は0.88cc/gであった。また、BET1点法により求めたBET比表面積は2,360m/gであった。
上記の活性炭1を80.8質量部、ケッチェンブラックを6.2質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を10質量部、PVP(ポリビニルピロリドン)を3.0質量部、及びNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、正極活物質層の厚さが片面当たり55μmの正極電極体を得た。
[負極電極体の作製]
市販のヤシ殻活性炭について、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)を用い、窒素を吸着質として細孔分布を測定した。上述したように、脱着側の等温線を用いて、メソ孔量はBJH法により、マイクロ孔量はMP法により、それぞれ求めた。その結果、メソ孔量は0.198cc/g、マイクロ孔量は0.695cc/g、V1/V2=0.29、平均細孔径は21.2Åであった。BET1点法により求めたBET比表面積が1,780m/gであった。
このヤシ殻活性炭150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ(軟化点:50℃)270gを入れたステンレス製バットの上に置き、電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱処理を行い、複合多孔性材料1を得た。この熱処理は、窒素雰囲気下で行い、600℃まで8時間で昇温し、同温度で4時間保持する方法によった。続いて自然冷却により60℃まで冷却した後、負極材料となる複合多孔性材料1を炉から取り出した。得られた複合多孔性材料1を上記活性炭1と同様に測定したところ、BET比表面積が262m/g、メソ孔量(Vm1)が0.1798cc/g、マイクロ孔量(Vm2)が0.0843cc/g、Vm1/Vm2=2.13であった。
上記複合多孔性材料1を83.4質量部、アセチレンブラックを8.3質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を8.3質量部、及びNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。得られたスラリーをエキスパンド銅箔の両面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、負極活物質層の片面厚さが60μmの負極電極体を得た。この両面負極電極体の片面に、複合多孔性材料1の単位質量あたり760mAh/gに相当するリチウム金属箔を貼り付けた。
[電解液の調製]
有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(EMC):HFE7000(n−COCH)の体積比率33:60:7の混合溶媒を用い、全電解液に対してLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度比が50:50(モル比)であり、かつLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度の和が1.2mol/Lとなるようにそれぞれの電解質塩を溶解して得た溶液を非水系電解液として使用した。
ここで調製した電解液におけるLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度は、それぞれ、0.6mol/L及び0.6mol/Lであった。
[蓄電素子の組立と性能]
得られた電極体を100mm×100mmにカットして、最上面と最下面は片面正極体を用い、更に両面負極電極体18枚と両面正極電極体17枚とを用い、負極電極体と正極電極体との間にそれぞれセルロース製不織布セパレータ(すなわち、計36枚)を挟んで積層した。その後、負極電極体と正極電極体とに電極端子を接続して電極積層体とした。この積層体をラミネートフィルムからなる外装体内に挿入し、上記非水系電解液を注入して該外装体を密閉することにより、非水系リチウム型蓄電素子を組立てた。
[静電容量の測定]
前記の工程で得られた蓄電素子について、1.5Cの電流値において定電圧充電時間が1時間確保された定電流定電圧充電によって3.8Vまで充電し、その後2.2Vまで1.5Cの電流値において定電流放電を施した。その時の容量Q及び電圧変化から、F=Q/(3.8−2.2)に従った計算によって求めた静電容量Fは、1,000Fであった。
[Ra・Fの算出]
前記の工程で得られた蓄電素子について、環境温度25℃で1.5Cの電流値において3.8Vに到達するまで定電流充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流定電圧充電を、合計で2時間行った。続いて、50Cの電流値において2.2Vまで定電流放電した。この時に得られた放電カーブ(時間−電圧)において、放電時間2秒及び4秒の時点における電圧値から直線近似にて外挿して得られる、放電時間=0秒における電圧をE0としたときに、降下電圧(ΔE)=3.8−E0、及び内部抵抗Ra=ΔE/(50C(電流値))に従った計算により内部抵抗Raを算出した。
静電容量Fと内部抵抗Raとの積Ra・Fは、1.30ΩFであった。
[Rb/Raの算出]
前記のRa・Fの評価を行った蓄電素子を、セル電圧4.0V及び環境温度60℃において2か月間保存した。ここで、セル電圧4.0Vを保持するために、保存前及び保存開始後は、1週間毎に、1.5Cの電流値における4.0V充電を、合計2時間施した。
2か月保存後の蓄電素子に対して、環境温度25℃で1.5Cの電流値において3.8Vに到達するまで定電流充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流定電圧充電を、合計で2時間行った。続いて、50Cの電流値において2.2Vまで定電流放電した。この時に得られた放電カーブ(時間−電圧)において、放電時間2秒及び4秒の時点における電圧値から直線近似にて外挿して得られる、放電時間=0秒での電圧をE0としたときに、降下電圧(ΔE)=3.8−E0、及び内部抵抗Rb=ΔE/(50C(電流値))に従った計算により、保存後の内部抵抗Rbを算出した。
このRb(Ω)を、前記[Ra・Fの算出]で求めた保存前の内部抵抗Ra(Ω)で除して算出した比Rb/Raは1.35であった。
[保存時発生ガスの測定]
次に、前記の工程で得られた蓄電素子について、セル電圧4.0V及び環境温度60℃において2か月間保存した時のガス発生量を25℃にて測定した。その結果、ガス発生量は9.0×10−3cc/Fであった。
[釘刺し試験]
前記の工程で得られた蓄電素子について、以下の条件で釘刺し試験を行った。
試験機:島津オートグラフAG−X
釘:φ2.5mm−SUS304
評価方法:蓄電素子を水平に固定し、蓄電素子中央部に、10mm/secの速度で貫通するまで釘を刺した後に発生する発煙の量を、目視により観察した。
<実施例2〜12及び比較例1〜6>
[電解液の調製]において、有機溶媒及び電解質塩の種類及び量を、それぞれ、表1に記載のとおりとした他は、実施例1と同様にして電解液を調製した。
この電解液を用いた他は実施例1と同様にして非水系リチウム型蓄電素子を作製し、各種の評価を行った。
評価結果は表1に示した。
<実施例13>
[電解液の調製]
有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(EMC):HFE7000の体積比率33:63:4の混合溶媒液を用い、全電解液に対してLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度比が75:25(モル比)であり、かつLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度の和が1.2mol/Lとなるようにそれぞれの電解質塩を溶解させた。更に、添加剤として、全電解液に対して1質量%となる1,3−プロパンスルトン(1,3−PS)を溶解して得た溶液を、非水系電解液として使用した。
ここで調製した電解液におけるLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度は、それぞれ、0.9mol/L及び0.3mol/Lであった。
[蓄電素子の組立と性能]
前記で調製した電解液を用いた他は実施例1と同様にして非水系リチウム型蓄電素子を作製し、各種の評価を行った。
評価結果は表1に示した。
<実施例14〜24>
[電解液の調製]において、有機溶媒、電解質塩及び添加剤の種類及び量を、それぞれ、表1に記載のとおりとした他は、実施例28と同様にして電解液を調製した。
この電解液を用いた他は実施例1と同様にして非水系リチウム型蓄電素子を作製し、各種の評価を行った。
評価結果は表1に示した。
Figure 0006972087
Figure 0006972087
Figure 0006972087
前記表1における有機溶媒及び添加剤の略称は、それぞれ以下の意味である。
[有機溶媒]
(a)成分
EC:エチレンカーボネート
PC:プロピレンカーボネート
(b)成分
EMC:メチルエチルカーボネート
(c)成分
HFE7000:COCH
HFE7100:COCH
HFE7200:COC
[添加剤]
1,3−PS:1,3−プロパンスルトン
PN:エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン
<実施例25>
[正極電極体の作製]
フェノール樹脂を、焼成炉中、窒素雰囲気下、600℃において2時間炭化処理した。得られた焼成物をボールミルにて粉砕し、分級を行い、平均粒径が7μmの炭化物を得た。
この炭化物及びKOHを質量比1:5で混合し、焼成炉中、窒素雰囲気下、800℃において1時間加熱して、賦活化を行った。次いで、濃度2mol/Lに調整した希塩酸中で1時間撹拌洗浄を行った後、蒸留水中で、pH5〜6の間で安定するまで煮沸洗浄した後、乾燥を行うことにより、活性炭2を作製した。
この活性炭2について実施例1と同様に測定したところ、メソ孔量V1は1.50cc/g、マイクロ孔量V2は2.28cc/g、BET比表面積は3,627m2/gであった。
この活性炭2を80.8質量部、ケッチェンブラックを6.2質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を10質量部、PVP(ポリビニルピロリドン)を3.0質量部、及びNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、正極活物質層の厚さが片面当たり55μmの正極電極体を得た。
[負極電極体の作製]
市販のヤシ殻活性炭について、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)を用いて、窒素を吸着質として細孔分布を測定した。脱着側の等温線を用いて、メソ孔量はBJH法により、マイクロ孔量はMP法によりそれぞれ求めた。その結果、メソ孔量が0.198cc/g、マイクロ孔量が0.695cc/g、V1/V2=0.29、平均細孔径が21.2Åであった。BET1点法により求めたBET比表面積は1,780m2/gであった。
この活性炭150gをステンレススチールメッシュ製の籠に入れ、石炭系ピッチ(軟化点:90℃)150gを入れたステンレス製バットの上に置き、電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱処理を行行い、複合多孔性材料2を得た。この熱処理は窒素雰囲気下で行い、630℃まで2時間で昇温し、同温度で4時間保持する方法によった。続いて自然冷却により60℃まで冷却した後、複合多孔性材料2を炉から取り出した。
この複合多孔性材料2は、被着させた炭素材料の活性炭に対する質量比率が38質量%、BET比表面積が434m2/g、メソ孔量(Vm1)が0.220cc/g、マイクロ孔量(Vm2)が0.149cc/gであった。更に、島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2000J)を用いて平均粒子径を測定した結果、2.88μmであった。
上記で得た複合多孔性材料2を83.4質量部、アセチレンブラックを8.3質量部及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を8.3質量部、及びNMP(N−メチルピロリドン)を混合して、スラリーを得た。得られたスラリーをエキスパンド銅箔の両面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、負極活物質層の片面厚さが30μmの負極電極体を得た。この両面負極電極体の片面に、複合多孔性材料2の単位質量あたり1,500mAh/gに相当するリチウム金属箔を貼り付けた。
[蓄電素子の組立と性能]
前記で作製した正極電極体及び負極電極体を用いた他は実施例1と同様にして非水系リチウム型蓄電素子を作製し、各種の評価を行った。
評価結果は表2に示した。
<実施例26及び比較例7〜9>
[電解液の調製]において、有機溶媒及び電解質塩の種類及び量を、それぞれ、表2に記載のとおりとした他は、実施例1と同様にして電解液を調製した。
この電解液を用いた他は実施例25と同様にして非水系リチウム型蓄電素子を作製し、各種の評価を行った。
評価結果は表2に示した。
<実施例27>
[電解液の調製]
有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(EMC):HFE7000の体積比率33:63:4の混合溶媒液を用い、全電解液に対してLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度比が75:25(モル比)であり、かつLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度の和が1.2mol/Lとなるようにそれぞれの電解質塩を溶解させた。更に、添加剤として、全電解液に対して1質量%となる1,3−プロパンスルトン(1,3−PS)、を溶解して得た溶液を非水系電解液として使用した。
ここで調製した電解液におけるLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度は、それぞれ、0.9mol/L及び0.3mol/Lであった。
[蓄電素子の組立と性能]
前記で調製した電解液を用いた他は実施例24と同様にして非水系リチウム型蓄電素子を作製し、各種の評価を行った。
評価結果は表2に示した。
<実施例28〜30>
[電解液の調製]において、有機溶媒、電解質塩及び添加剤の種類及び量を、それぞれ、表2に記載のとおりとした他は、実施例27と同様にして電解液を調製した。
この電解液を用いた他は実施例25と同様にして非水系リチウム型蓄電素子を作製し、各種の評価を行った。
評価結果は表2に示した。
Figure 0006972087
Figure 0006972087
前記表2における有機溶媒及び添加剤の略称は、それぞれ前記表1におけるのと同じ意味である。
<実施例31>
[負極電極体の作製]
平均粒子径30nm、BET比表面積254m/gのカーボンブラック(CB1)100重量部と、軟化点110℃、メタフェーズ量(QI量)13%の光学的等方性ピッチ(P1)50重量部と、を加熱ニーダ−で混捏して得られた混捏物を、非酸化性雰囲気下、1,000℃において焼成した。これを平均粒子径(D50)2μmに粉砕することにより、複合炭素材料3を得た。複合炭素材料3の平均粒子径は、日機装(株)製MT−3300EXを用いて測定した。
上記複合炭素材料3につき、ユアサアイオニクス社製細孔分布測定装置(AUTOSORB−1 AS−1−MP)を用いて、窒素を吸着質として吸着等温線を測定した。BET1点法により求めたBET比表面積は、110m/gであった。
次いで、上記調製で得た複合炭素材料3を80.0質量部、アセチレンブラック8.0質量部、CMC(カルボキシメチルセルロース)3.0質量部、及びSBRラテックス9.0質量部と、蒸留水と、を混合して、固形分濃度18質量%のスラリーを得た。次いで、厚さ15μmのエッチング銅箔の両面に上記で得たスラリーを塗布し、乾燥し、プレスすることにより、負極を得た。得られた負極の負極活物質層の片面あたりの厚さは20μmであった。負極活物質層の厚さは、小野計器社製膜厚計(Linear Gauge Sensor GS−551)を用いて、負極の10か所で測定した負極の厚さの平均値から、銅箔の厚さを引いて求めた値とした。この両面負極電極体の片面に、複合多孔性材料3の単位質量あたり1,300mAh/gに相当するリチウム金属箔を貼り付けた。
[蓄電素子の組立と性能]
前記で作製した負極電極体を用いた他は実施例25と同様にして非水系リチウム型蓄電素子を作製し、各種の評価を行った。
評価結果は表3に示した。
<実施例32及び比較例10〜12>
[電解液の調製]において、有機溶媒及び電解質塩の種類及び量を、それぞれ、表3に記載のとおりとした他は、実施例1と同様にして電解液を調製した。
この電解液を用いた他は実施例31と同様にして非水系リチウム型蓄電素子を作製し、各種の評価を行った。
評価結果は表3に示した。
<実施例33>
[電解液の調製]
有機溶媒として、エチレンカーボネート(EC):メチルエチルカーボネート(EMC):HFE7000の体積比率33:63:4の混合溶媒液を用い、全電解液に対してLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度比が75:25(モル比)であり、かつLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度の和が1.2mol/Lとなるようにそれぞれの電解質塩を溶解させた。更に、添加剤として、全電解液に対して1質量%となる1,3−プロパンスルトン(1,3−PS)、を溶解して得た溶液を非水系電解液として使用した。
ここで調製した電解液におけるLiN(SO2F)2及びLiPF6の濃度は、それぞれ、0.9mol/L及び0.3mol/Lであった。
[蓄電素子の組立と性能]
前記で調製した電解液を用いた他は実施例31と同様にして非水系リチウム型蓄電素子を作製し、各種の評価を行った。
評価結果は表3に示した。
<実施例34〜36>
[電解液の調製]において、有機溶媒及び電解質塩の種類及び量を、それぞれ、表3に記載のとおりとした他は、実施例33と同様にして電解液を調製した。
この電解液を用いた他は実施例31と同様にして非水系リチウム型蓄電素子を作製し、各種の評価を行った。
評価結果は表3に示した。
Figure 0006972087
Figure 0006972087
前記表3における有機溶媒及び添加剤の略称は、それぞれ前記表1におけるのと同じ意味である。
以上の実施例より、本実施の形態にかかる蓄電素子は、高い入出力特性と、高温におけるガス発生及び内部抵抗の上昇が少ない、非水系リチウム型蓄電素子であることが検証された。
本発明の非水系リチウム型蓄電素子は、例えば、自動車における内燃機関、燃料電池、又はモーターと、蓄電素子と、を組み合わせたハイブリット駆動システムの分野;瞬間電力ピーク時のアシスト電源用途等として、好適に利用することができる。

Claims (18)

  1. 負極電極体、正極電極体、及びセパレータを有する電極積層体と、非水系電解液とが外装体に収容されて成るリチウムイオンキャパシタであって、
    前記負極電極体が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた負極活物質層とを有し、前記負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む負極活物質を含有し、
    前記正極電極体が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた正極活物質層とを有し、前記正極活物質層は、活性炭を含む正極活物質を含有し、そして
    前記非水系電解液が、
    (a)エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから選択される少なくとも1種と、
    (b)ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートから選択される少なくとも1種と、
    (c)下記一般式(c)
    −O−R (c)
    {式中、Rは、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基であり、
    は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基である。}で表される化合物と
    を含む有機溶媒を含有し、
    前記(b)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、20%以上であり、
    前記(c)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、1%〜4%であり、
    前記非水系電解液が、電解質塩として、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(SOF))及び他の電解質塩を含有し、前記リチウムビスフルオロスルホニルイミドの使用量が、前記リチウムビスフルオロスルホニルイミドと前記他の電解質塩との合計を100モル部とした場合に、50モル部以上であり、そして、
    前記非水系電解液が、スルトン化合物及び環状ホスファゼンを更に含有することを特徴とする、リチウムイオンキャパシタ。
  2. 前記(a)成分がエチレンカーボネートである、請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  3. 前記(b)成分がエチルメチルカーボネートである、請求項1又は2に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  4. 前記非水系電解液におけるLiN(SOF)の濃度が、非水電解液の総量を基準として0.3mol/L以上1.5mol/L以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  5. 前記他の電解質塩が、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(SO225)、及びLiN(SO2CF3)(SO224H)、並びにこれらの混合塩から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  6. 前記他の電解質塩が、LiPF及びLiBFのうち少なくとも1種を含有する、請求項5に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  7. 前記非水系電解液における(c)化合物が、COCH、COCH、COCH、C13OCH、COC、COC、COC、CCF(OCH)C、CFCHOCFCFH、CHFCFOCHCF、CHFCFCHOCFCFH、CFCFCHOCFCHF、CFCHOCFCHFCF、及びCHFCH(CH)OCHFよりなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物を含み、そして
    これらの化合物の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、0.1%〜50%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  8. 前記非水系電解液が、含フッ素環状カーボネート、環状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、及び環状酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を更に含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  9. 前記スルトン化合物が、
    下記一般式(1):
    Figure 0006972087
    {式中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれるいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;そして
    nは0〜3の整数である。}、下記一般式(2):
    Figure 0006972087
    {式中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれるいずれかを表し、互いに同一であっても異なっていてもよく;そして
    nは0〜3の整数である。}、及び下記一般式(3):
    Figure 0006972087
    {式中、R〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。}のそれぞれで表される化合物から選択される少なくとも1種であり
    前記スルトン化合物の含有量が、非水系電解液の総量を基準として、0.1質量%〜20質量%である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  10. 前記負極活物質が、活性炭の表面が炭素材料で被覆された複合多孔性材料であり、かつ、
    BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)とするとき、0.010≦Vm1≦0.250、0.001≦Vm2≦0.200、及び1.5≦Vm1/Vm2≦20.0を満たす、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  11. 前記負極活物質が、活性炭の表面が炭素材料で被覆された複合多孔性材料であり、かつ、
    前記複合多孔性材料の単位質量あたり1,050mAh/g以上2,050mAh/g以下のリチウムイオンがプリドープされており、
    前記炭素材料の前記活性炭に対する質量比率が、10%以上60%以下であり、そして
    前記負極活物質層の厚さが、片面当たり20μm以上45μm以下である、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  12. 前記負極活物質が、以下の(i)〜(iii):
    (i)該負極活物質は、カーボンブラックと炭素材料とを含有する複合炭素材料であり、
    (ii)該負極活物質単位質量当たり1,050mAh/g以上2,050mAh/g以下のリチウムイオンがドープされており、
    (iii)該負極活物質層の厚みが片面当たり10μm以上60μm以下である、
    のすべてを満たす、請求項1〜9のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  13. 前記正極活物質に含まれる活性炭が、
    BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)とするとき、0.3<V1≦0.8、及び0.5≦V2≦1.0を満たし、かつ、
    BET法により測定される比表面積が1,500m/g以上3,000m/g以下を示す活性炭である、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  14. 前記正極活物質に含まれる活性炭が、
    BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量V1(cc/g)が0.8<V1≦2.5を満たし、
    MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量V2(cc/g)が0.8<V2≦3.0を満たし、かつ、
    BET法により測定される比表面積が3,000m/g以上4,000m/g以下を示す活性炭である、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  15. 負極電極体、正極電極体、及びセパレータを有する電極積層体と、非水系電解液とが外装体に収容されて成るリチウムイオンキャパシタであって、
    前記負極電極体が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた負極活物質層とを有し、前記負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む負極活物質を含有し、
    前記正極電極体が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた正極活物質層とを有し、前記正極活物質層は、活性炭を含む正極活物質を含有し、そして
    前記非水系電解液が、
    (a)エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから選択される少なくとも1種と、
    (b)ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートから選択される少なくとも1種と、
    (c)下記一般式(c)
    −O−R (c)
    {式中、Rは、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基であり、
    は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基である。}で表される化合物と
    を含む有機溶媒を含有し、
    前記(b)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、20%以上であり、
    前記(c)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、1%〜4%であり、
    前記非水系電解液が、電解質塩として、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(SOF))及び他の電解質塩を含有し、前記リチウムビスフルオロスルホニルイミドの使用量が、前記リチウムビスフルオロスルホニルイミドと前記他の電解質塩との合計を100モル部とした場合に、50モル部以上であり、
    前記非水系電解液が、スルトン化合物及び環状ホスファゼンを更に含有し、そして、
    前記負極活物質が、活性炭の表面が炭素材料で被覆された複合多孔性材料であり、かつ、
    BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をVm1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をVm2(cc/g)とするとき、0.010≦Vm1≦0.250、0.001≦Vm2≦0.200、及び1.5≦Vm1/Vm2≦20.0を満たし、
    前記正極活物質に含まれる活性炭が、
    BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量をV1(cc/g)、MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量をV2(cc/g)とするとき、0.3<V1≦0.8、及び0.5≦V2≦1.0を満たし、かつ、
    BET法により測定される比表面積が1,500m/g以上3,000m/g以下を示す活性炭である
    ことを特徴とする、リチウムイオンキャパシタ。
  16. 負極電極体、正極電極体、及びセパレータを有する電極積層体と、非水系電解液とが外装体に収容されて成るリチウムイオンキャパシタであって、
    前記負極電極体が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた負極活物質層とを有し、前記負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む負極活物質を含有し、
    前記正極電極体が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた正極活物質層とを有し、前記正極活物質層は、活性炭を含む正極活物質を含有し、そして
    前記非水系電解液が、
    (a)エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから選択される少なくとも1種と、
    (b)ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートから選択される少なくとも1種と、
    (c)下記一般式(c)
    −O−R (c)
    {式中、Rは、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基であり、
    は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基である。}で表される化合物と
    を含む有機溶媒を含有し、
    前記(b)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、20%以上であり、
    前記(c)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、1%〜4%であり、
    前記非水系電解液が、電解質塩として、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(SOF))及び他の電解質塩を含有し、前記リチウムビスフルオロスルホニルイミドの使用量が、前記リチウムビスフルオロスルホニルイミドと前記他の電解質塩との合計を100モル部とした場合に、50モル部以上であり、
    前記非水系電解液が、スルトン化合物及び環状ホスファゼンを更に含有し、そして、
    前記負極活物質が、活性炭の表面が炭素材料で被覆された複合多孔性材料であり、かつ、
    前記複合多孔性材料の単位質量あたり1,050mAh/g以上2,050mAh/g以下のリチウムイオンがプリドープされており、
    前記炭素材料の前記活性炭に対する質量比率が、10%以上60%以下であり、そして
    前記負極活物質層の厚さが、片面当たり20μm以上45μm以下であり、
    前記正極活物質に含まれる活性炭が、
    BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量V1(cc/g)が0.8<V1≦2.5を満たし、
    MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量V2(cc/g)が0.8<V2≦3.0を満たし、かつ、
    BET法により測定される比表面積が3,000m/g以上4,000m/g以下を示す活性炭である
    ことを特徴とする、リチウムイオンキャパシタ。
  17. 負極電極体、正極電極体、及びセパレータを有する電極積層体と、非水系電解液とが外装体に収容されて成るリチウムイオンキャパシタであって、
    前記負極電極体が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた負極活物質層とを有し、前記負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む負極活物質を含有し、
    前記正極電極体が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた正極活物質層とを有し、前記正極活物質層は、活性炭を含む正極活物質を含有し、そして
    前記非水系電解液が、
    (a)エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから選択される少なくとも1種と、
    (b)ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートから選択される少なくとも1種と、
    (c)下記一般式(c)
    −O−R (c)
    {式中、Rは、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基であり、
    は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基である。}で表される化合物と
    を含む有機溶媒を含有し、
    前記(b)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、20%以上であり、
    前記(c)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、1%〜4%であり、
    前記非水系電解液が、電解質塩として、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(SOF))及び他の電解質塩を含有し、前記リチウムビスフルオロスルホニルイミドの使用量が、前記リチウムビスフルオロスルホニルイミドと前記他の電解質塩との合計を100モル部とした場合に、50モル部以上であり、
    前記非水系電解液が、スルトン化合物及び環状ホスファゼンを更に含有し、そして、
    前記負極活物質が、以下の(i)〜(iii):
    (i)該負極活物質は、カーボンブラックと炭素質材料とを含有する複合炭素材料であり、
    (ii)該負極活物質単位質量当たり1,050mAh/g以上2,050mAh/g以下のリチウムイオンがドープされており、
    (iii)該負極活物質層の厚みが片面当たり10μm以上60μm以下である、
    のすべてを満たし、
    前記正極活物質に含まれる活性炭が、
    BJH法により算出した直径20Å以上500Å以下の細孔に由来するメソ孔量V1(cc/g)が0.8<V1≦2.5を満たし、
    MP法により算出した直径20Å未満の細孔に由来するマイクロ孔量V2(cc/g)が0.8<V2≦3.0を満たし、かつ、
    BET法により測定される比表面積が3,000m/g以上4,000m/g以下を示す活性炭である
    ことを特徴とする、リチウムイオンキャパシタ。
  18. 負極電極体、正極電極体、及びセパレータを有する電極積層体と、非水系電解液とが外装体に収容されて成るリチウムイオンキャパシタであって、
    前記負極電極体が、負極集電体と、該負極集電体の片面上又は両面上に設けられた負極活物質層とを有し、前記負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む負極活物質を含有し、
    前記正極電極体が、正極集電体と、該正極集電体の片面上又は両面上に設けられた正極活物質層とを有し、前記正極活物質層は、活性炭を含む正極活物質を含有し、そして
    前記非水系電解液が、
    (a)エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートから選択される少なくとも1種と、
    (b)ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートから選択される少なくとも1種と、
    (c)下記一般式(c)
    −O−R (c)
    {式中、Rは、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基であり、
    は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基である。}で表される化合物と
    を含む有機溶媒を含有し、
    前記(b)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、20%以上であり、
    前記(c)成分の体積比率が、前記有機溶媒の総量を基準として、1%〜4%であり、
    前記非水系電解液が、電解質塩として、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiN(SOF))を含有し、前記リチウムビスフルオロスルホニルイミドの使用量が、前記リチウムビスフルオロスルホニルイミドと他の電解質塩との合計を100モル部とした場合に、50モル部以上であり、
    前記非水系電解液が、スルトン化合物及び環状ホスファゼンを更に含有し、そして
    該リチウムイオンキャパシタにおいて、セル電圧4V及び環境温度60℃において2か月間保存した後の25℃における内部抵抗をRb(Ω)、保存前の25℃における内部抵抗をRa(Ω)、保存前の−30℃における内部抵抗をRc(Ω)、保存前の25℃における静電容量をF(F)とした時、以下の(a)から(c):
    (a)RaとFの積Ra・Fが1.9以下である、
    (b)Rb/Raが1.8以下である、並びに
    (c)セル電圧4V及び環境温度60℃において2か月間保存した時に発生するガス量が、25℃において10×10−3cc/F以下である、
    のすべてを同時に満たすことを特徴とする、リチウムイオンキャパシタ。
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