次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態に係る加熱調理器1は、天板11の上面に、食材や調理容器などの被加熱物を加熱する加熱手段としての単数或いは複数(ここでは、3つ)のコンロバーナ21が設けられたガスコンロである。コンロ本体10には、食材や調理容器などの被加熱物を収容可能なグリル庫30が設けられており、グリル庫30の内部には、庫内の被加熱物を加熱する単数或いは複数(ここでは、上下2つ)のグリルバーナ31が設けられている。尚、本明細書では、コンロ本体10の前面(以下、「本体前面」という)13を加熱調理器1の正面とし、加熱調理器1を正面側から見たときのコンロ本体10の奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
本実施の形態では、天板11の前寄りの位置に二つのコンロバーナ21が左右に並設され、上記二つのコンロバーナ21の後方で且つ天板11の左右間の略中央位置に一つのコンロバーナ21が配設されている。上記右側のコンロバーナ(以下、「右コンロ」という)21Aには、左側のコンロバーナ(以下、「左コンロ」という)21Bより最大火力が大きい強火調理用のバーナが用いられ、上記後側のコンロバーナ(以下、「後コンロ」という)21Cには、左コンロ21Bより最小火力が小さい弱火調理用のバーナが用いられている。
天板11の上面における各コンロバーナ21の外周にはそれぞれ、鍋やフライパンなどの調理容器を下方から支持する五徳22が載置されている。コンロバーナ21の中央部には、五徳22上に載置された調理容器の底部に当接し、容器底面の温度状態を検出する鍋底温度センサ23が設けられている。コンロバーナ21の炎孔形成部の近傍には、ガスの燃焼炎の有無を検出する炎検知センサ24と、炎孔形成部の近傍で火花放電させる点火プラグ25とが設けられている。
グリル庫30内の後部(奥側)には、庫内の温度を検出する庫内温度センサ33が設けられている。グリルバーナ31の炎孔形成部の近傍には、ガスの燃焼炎の有無を検出する炎検知センサ34と、炎孔形成部の近傍で火花放電させる点火プラグ35とが設けられている(図2参照)。
本体前面13には、コンロバーナ21やグリルバーナ31による被加熱物の加熱条件を設定入力するための設定操作パネル40と、コンロバーナ21の点火や消火、火力の選択を手動操作するための出力操作手段としてのコンロ点消火操作子41と、グリルバーナ31の点火や消火、火力の選択を手動操作するためのグリル点消火操作子42とが設けられている。
本実施の形態では、本体前面13の左右間の中央部にグリル庫30の前扉301が配設されており、本体前面13における前扉301の右側に、右コンロ21A用のコンロ点消火操作子41とグリル点消火操作子42とが配設され、本体前面13における前扉301の左側に、左コンロ21B用のコンロ点消火操作子41と後コンロ21C用のコンロ点消火操作子41とが配設されている。また、本体前面13における上記右側の点消火操作子41,42の配設部下方に、右コンロ21Aおよびグリルバーナ31用の設定操作パネル40が配設され、本体前面13における上記左側の点消火操作子41,41の配設部下方に、左コンロ21Bおよび後コンロ21C用の設定操作パネル40が配設されている。
設定操作パネル40は何れも、本体前面13に対して下辺部を軸として前後に開閉可能に構成されたパネル扉401の内側に設けられており、使用しない場合は、パネル扉401を閉じることで、コンロ本体10内に隠蔽させておくことができる。
右コンロ21A用のコンロ点消火操作子41の外周上方、左コンロ21B用のコンロ点消火操作子41の外周上方、および、後コンロ21C用のコンロ点消火操作子41の外周上方にはそれぞれ、複数(ここでは、5つ)のランプで構成され、対応するコンロバーナ21の設定火力をランプの点灯数や点灯状態によって表示する加熱表示ランプ(以下、「コンロ加熱表示ランプ」という)43が設けられている。グリル点消火操作子42の外周側方にも同様、複数(ここでは、6つ)のランプで構成され、グリルバーナ31の設定火力をランプの点灯数や点灯状態によって表示する加熱表示ランプ(以下、「グリル加熱表示ランプ」という)44が設けられている。
コンロ加熱表示ランプ43を構成する複数のランプは、コンロ点消火操作子41の外周に沿って円弧状に並設されている。グリル加熱表示ランプ44を構成する複数のランプは、グリルバーナ31の配置(ここでは、上バーナおよび下バーナ)に対応するよう、グリル点消火操作子42の側方にて上下に二列で並設されている。
コンロ点消火操作子41およびグリル点消火操作子42は何れも、コンロ本体10内に埋没した加熱オフの状態からさらに後方へ押し込む操作(点火操作)により、本体前面13より前方へ突出して加熱オンの状態になり、加熱オンの状態から再び後方へ押し戻す操作(消火操作)により、再び加熱オフの状態になるように構成されている。
コンロ点消火操作子41およびグリル点火操作子42は何れも、点火操作によりオンとなり、消火操作によりオフとなるオルタネートスイッチと、複数(ここでは、9つ)の接点を有するロータリースイッチとを備えており、点火操作がなされた後、左右に回動させれば、その回動位置に対応する火力が選択されるように構成されている。尚、コンロ点消火操作子41およびグリル点火操作子42は、上記ロータリースイッチに代えて、各点消火操作子41,42の回動操作に伴ってパルス信号を出力するロータリーエンコーダを備えており、点火操作がなされた後、左右に回動させれば、上記パルス信号に対応する火力が選択されるように構成されたものとしてもよい。
設定操作パネル40には、コンロバーナ21およびグリルバーナ31のそれぞれにおいて、被加熱物の加熱方法(調理モード)や加熱時間、加熱温度など自動調理の加熱条件を設定入力する設定入力スイッチ47と、設定入力スイッチ47により設定された加熱条件を表示する設定表示部48とが設けられている。
図3に示すように、設定入力スイッチ47は、湯沸し、煮物、揚物、炊飯などの調理モードを選択設定するための調理モード設定スイッチ471、調理時間を設定するためのタイマ設定スイッチ472、被加熱物の加熱温度を設定するための温度設定スイッチ473、設定された加熱時間や加熱温度、設定火力等を加減するための加減スイッチ474などからなり、これら各設定入力スイッチ47を用いてコンロバーナ21やグリルバーナ31による被加熱物の加熱条件を設定入力することができる。
図2に示すように、コンロ本体10の内部には、コンロ点消火操作子41による点火操作や消火操作、火力選択操作に応じてコンロバーナ21への燃料ガスの供給量を調整するコンロバーナ21用のバルブユニット26と、グリル点消火操作子42による点火操作や消火操作、火力選択操作に応じてグリルバーナ31への燃料ガスの供給量を調整するグリルバーナ31用のバルブユニット36と、加熱調理器1全体の動作を制御する制御回路50とが設けられており、コンロバーナ21およびグリルバーナ31は、図示しないガス配管から各バルブユニット26,36を介して供給される燃料ガスを空気と混合して着火させ、燃焼排ガスを生成する。
コンロバーナ21用のバルブユニット26は、コンロ点消火操作子41にて点火操作がなされれば開き、炎検知センサ24にてガスの燃焼炎が検出されなくなれば閉じる電磁開閉弁、コンロ点消火操作子41にて点火操作がなされれば開き、消火操作がなされれば閉じる主弁、コンロ点消火操作子41の火力設定操作に合わせて開度調整されるニードル弁、制御回路50からの火力変更の指示に応じてニードル弁の開度を調整する駆動モータなどからなり、これら各弁体によってコンロバーナ21へのガスの供給量が適宜調整される。
グリルバーナ31用のバルブユニット36は、グリル点消火操作子42にて点火操作がなされれば開き、炎検知センサ34にてガスの燃焼炎が検出されなくなれば閉じる電磁開閉弁、グリル点消火操作子42にて点火操作がなされれば開き、消火操作がなされれば閉じる主弁、グリル点消火操作子42の火力設定操作に合わせて開度調整されるニードル弁、制御回路50からの火力変更の指示に応じてニードル弁の開度を調整する駆動モータなどからなり、これら各弁体によってグリルバーナ31へのガスの供給量が適宜調整される。
鍋底温度センサ23、庫内温度センサ33、炎検知センサ24,34、点火プラグ25,35に高電圧を印加する図示しないイグナイタ、バルブユニット26,36の各駆動モータ、コンロ点消火操作子41の各スイッチ、グリル点消火操作子42の各スイッチ、設定入力スイッチ47、および設定表示部48は何れも、電気配線を通じて制御回路50に接続されている。
制御回路50は、バーナ21,31の動作条件や設定情報、自動調理の加熱制御シーケンス等を記憶する記憶部、点消火操作子41,42によって選択設定された火力や所定の加熱制御シーケンスに基づいてバーナ21,31の点火や消火、火力調整等の動作を制御する加熱制御手段としてのバーナ制御部、設定表示部48の表示を制御する表示制御部、炎検知センサ24,34の出力値に基づいて各バーナ21,31の点火や消火を判定する点消火判定部、設定入力スイッチ47の操作情報を判別する設定操作判別部等の回路構成を有している。
制御回路50の記憶部には、バーナ21,31の点火時の設定火力や自動調理時の設定火力、コンロ点消火操作子41によって選択可能な複数段階(ここでは、9段階)毎のコンロバーナ21の初期の設定火力を示すデータテーブル(以下、「初期設定火力テーブル」という)、加減スイッチ474によって選択可能な複数単位(ここでは、減算9単位、加減9単位の計18単位)のコンロバーナ21の補正火力を示すデータテーブル(以下、「補正火力テーブル」という)等が記憶されている。
本実施の形態では、図4に示すように、コンロ点消火操作子41の9つの回動位置に対して「火力1」から「火力9」までの9段階の火力ポジションがそれぞれ設定されており、上記火力ポジション毎にコンロバーナ21の標準の設定火力が初期設定されている。また、上記各火力ポジションにて初期設定された標準の設定火力を「0」として、加減スイッチ474によって選択可能な「−9」から「+9」までの18単位の補正レベルが設定されており、上記補正レベル毎にコンロバーナ21の補正火力が設定されている。
上記各火力ポジションの設定火力を火力補正可能な範囲(以下、「火力補正範囲」という)は、選択された火力ポジションより一段小さい前段の火力ポジションの設定火力(前段設定火力)から一段大きい次段の火力ポジションの設定火力(次段設定火力)までの範囲内(ここでは、前段の火力ポジションの初期の設定火力より大きい所定の補正下限値から次段の火力ポジションの初期の設定火力より小さい所定の補正上限値までの範囲内)に設定されている。また、上記火力補正範囲は、各火力ポジションで異なる固有の範囲に設定されている。さらに、各火力ポジションの火力補正範囲は、前段および次段の火力ポジションの火力補正範囲に対してそれぞれ重複しない範囲に設定されている。
具体的には、例えば「火力4」の初期の設定火力(例えば、800kcal/h)は、「火力3」の初期の設定火力(例えば、600kcal/h)より大きい所定の補正下限値F4A(例えば、700kcal/h)から「火力5」の初期の設定火力(例えば、1100kcal/h)より小さい所定の補正上限値F4B(例えば、900kcal/h)までの範囲内で補正可能に構成されており、「火力3」の初期の設定火力(例えば、600kcal/h)は、「火力2」の初期の設定火力(例えば、400kcal/h)より大きい所定の補正下限値F3A(例えば、500kcal/h)から「火力4」の初期の設定火力(例えば、800kcal/h)より小さい所定の補正上限値F3B(例えば、680kcal/h)までの範囲内で補正可能に構成されている。また、「火力4」の補正下限値F4Aは、「火力3」の補正上限値F3Bより大きい値に設定されており、「火力4」の補正上限値F4Bは、「火力5」の補正下限値F5A(例えば、920kcal/h)より小さい値に設定されている。
コンロ点消火操作子41によって選択可能な火力ポジションのうち、最小および最大の火力ポジション(ここでは、「火力1」および「火力9」)と、特定のコンロバーナ21の点火時の火力ポジションとして予め設定された点火火力ポジション(ここでは、右コンロ21Aにおける「火力5」、左コンロ21Bにおける「火力6」)とについては、補正火力が設定されていない。従って、上記のように加減スイッチ474を操作しても、設定火力は初期の設定火力から変更されない。
上記加熱調理器1の動作について、右コンロ21Aを使用する場合を例に説明する。尚、左コンロ21Bや後コンロ21Cを使用する場合についても右コンロ21Aと同様であるため、説明を省略する。
右コンロ21Aに対応する設定入力スイッチ47にて自動調理が設定されていない状態で、右コンロ21A用のコンロ点消火操作子41によって点火操作がなされると、点火プラグ25から火花放電させると共に、対応するバルブユニット26の電磁開閉弁および主弁を開く。また、上記点火操作に伴ってニードル弁の開度を所定の点火時開度(ここでは、点火火力ポジションである「火力5」の初期の設定火力に対応する開度)に調整する。その結果、右コンロ21Aに対して点火に適した量の燃料ガスが供給されて上記火花放電により点火され、点火火力ポジションの初期の設定火力にて燃焼する。
右コンロ21Aの炎検知センサ24にて燃焼炎が検知されると、即ち、右コンロ21Aの点火が検知されると、対応するコンロ加熱表示ランプ43の表示を、点火時の火力ポジションに対応する表示形態(例えば、中央のランプのみ点灯させる)とする。
右コンロ21Aが点火された後、右コンロ21A用のコンロ点消火操作子41によって火力の選択操作がなされると、上記ニードル弁の開度をコンロ点消火操作子41で選択された火力ポジション(例えば、「火力4」)の設定火力に対応する開度に調整する。その結果、右コンロ21Aは、上記設定火力にて燃焼する。また、右コンロ21A用のコンロ点消火操作子41による火力の選択操作に合わせて、対応するコンロ加熱表示ランプ43の表示を、選択された火力ポジションに対応する表示形態(例えば、中央のランプのみ点滅させる)とする。尚、右コンロ21Aが点火された後、右コンロ21A用のコンロ点消火操作子41によって点火火力ポジションと同一の火力ポジション(ここでは、「火力5」)が選択された場合は、上記ニードル弁の開度をその選択された火力ポジション(点火火力ポジション)の現在の設定火力に対応する開度に調整する。即ち、選択された火力ポジションの設定火力が補正されていれば、補正火力に対応する開度に調整する。その結果、右コンロ21Aは、補正火力にて燃焼する。
右コンロ21Aが点火された状態のときに、右コンロ21A用のコンロ点消火操作子41によって消火操作がなされた場合は、対応するバルブユニット26の主弁を閉じて右コンロ21Aへの燃料ガスの供給を遮断し、消火させる。また、右コンロ21Aの炎検知センサ24にて消火が検知されると、対応するコンロ加熱表示ランプ43を消灯させる。
一方、右コンロ21Aが消火された状態のときに、右コンロ21Aに対応する設定入力スイッチ47にて所望の調理モードが選択設定された場合は、その設定された調理モードによる右コンロ21Aの自動加熱制御が実行可能な状態となる。また、右コンロ21A用の設定表示部48には、設定された調理モードにおける残りの調理時間や設定温度等を表示させる。
調理モードが選択設定された状態で、右コンロ21A用のコンロ点消火操作子41によって点火操作がなされると、上記のように右コンロ21Aを点火させた後、調理の進行に伴い、対応するバルブユニット26のニードル弁の開度を自動調理の加熱制御シーケンスに基づいて自動で切替調整する。即ち、設定入力スイッチ47によって補正された補正火力にかかわらず、自動調理の加熱制御シーケンスに基づいて設定される自動調理火力ポジションの初期の設定火力に従って右コンロ21Aの火力が調整される。
その後、自動調理の加熱制御シーケンスに従って対応するバルブユニット26の電磁開閉弁が閉じられ、右コンロ21Aへの燃料ガスの供給が遮断されると、消火する。また、右コンロ21Aの消火が検知されると、右コンロ21A用の設定表示部48に表示されていた残りの調理時間や設定温度等の表示を消去させる。
全てのバーナ21,31が消火された運転待機状態のときに、所定の設定入力スイッチ47にてモード切替操作(例えば、右コンロ21A用の温度設定スイッチ473および左コンロ21B用の温度設定スイッチ473の3秒間同時押し)がなされた場合は、加熱調理器1の動作状態を通常運転モードから各コンロバーナ21の設定火力を補正可能なメンテナンスモードに切り替える。
上記のようにメンテナンスモードに切り替えられると、左コンロ21B用の設定表示部48には、選択されているコンロバーナ21を示す番号(例えば、左コンロ21Bの場合は「80」)を表示させ、後コンロ21C用の設定表示部48には、選択されている火力ポジションを示す番号(例えば、「火力2」の場合は「2」)を表示させ、右コンロ21A用の設定表示部48には、火力の補正レベルを示す数値(例えば、「0」)を表示させる(図3参照)。
次に、所定のコンロ選択操作(例えば、左コンロ21B用の温度設定スイッチ473を1回押す)によって右コンロ21Aが選択された場合は、右コンロ21Aの各火力ポジションにおける設定火力が補正可能な状態となり、左コンロ21B用の設定表示部48には、右コンロ21Aが選択されたことを示す番号(例えば、「81」)を表示させる。
また、所定の火力ポジション選択操作(例えば、後コンロ21C用のタイマ設定スイッチ472を2回押す)によって「火力4」の火力ポジションが選択された場合は、「火力4」の火力ポジションにおける設定火力が補正可能な状態となり、後コンロ21C用の設定表示部48には、「火力4」が選択されたことを示す番号(例えば、「4」)を表示させる。
そして、火力の補正レベルが「0」の状態で、所定の火力補正操作(例えば、右コンロ21A用の加減スイッチ474のマイナスキーを3回押す)によって「−3」の補正レベルが選択された場合は、右コンロ21Aの「火力4」の火力ポジションにおける設定火力を「−3」の補正レベルに対応する補正火力に変更すると共に、右コンロ21A用の設定表示部48には、「火力4」の設定火力が3単位分減少補正されたことを示す数値(例えば、「−3」)を表示させる。
一方、火力の補正レベルが「0」の状態で、所定の火力補正操作(例えば、右コンロ21A用の加減スイッチ474のプラスキーを2回押す)によって「+2」の補正レベルが選択された場合は、右コンロ21Aの「火力4」の火力ポジションにおける設定火力を「+2」の補正レベルに対応する補正火力に変更すると共に、右コンロ21A用の設定表示部48に、「火力4」の設定火力が2単位分増加補正されたことを示す数値(例えば、「+2」)を表示させる。
その後、設定入力スイッチ47にて再びモード切替操作(例えば、右コンロ21A用の温度設定スイッチ473および左コンロ21B用の温度設定スイッチ473の3秒間同時押し)がなされるか、或いは、設定入力スイッチ47が一定時間以上操作されなかった場合は、加熱調理器1の動作状態をメンテナンスモードから通常運転モードに切り替えて、運転待機状態に戻る。
従って、この状態で右コンロ21Aが点火された場合は、対応するバルブユニット26のニードル弁の開度を、上記のように設定された補正火力に対応する開度に調整する。その結果、右コンロ21Aは、上記補正火力にて燃焼する。
尚、メンテナンスモードの状態で、上記のようにコンロバーナ21の各火力ポジションの設定火力が補正された後、設定入力スイッチ47にて所定のリセット操作(例えば、右コンロ21A用の加減スイッチ474のプラスキー及びマイナスキーの同時押し)がなされた場合は、その補正後の各火力ポジションの設定火力を全て、補正前の初期の設定火力、即ち、補正レベル「0」の標準の設定火力に戻す。
このように、上記加熱調理器1によれば、コンロバーナ21の各火力ポジションの設定火力が所望の火力と一致していない場合は、それら各設定火力を前段の火力ポジションの設定火力から次段の火力ポジションの設定火力までの範囲内で補正可能であるから、使用者が望む加熱量で調理することができる。これにより、使い勝手が向上する。また、調理の仕上がり状態にばらつきも生じ難いから、高い調理性能も発揮できる。
しかも、各火力ポジションの設定火力の火力補正範囲を、前段の火力ポジションの設定火力から次段の火力ポジションの設定火力までの範囲内に設定したことで、コンロ点消火操作子41によってコンロバーナ21の火力を選択する際に、火力が前段の火力ポジションの設定火力より小さくなったり、次段の火力ポジションの設定火力より大きくなったりすることもない。これにより、使い勝手が一層向上する。
特に、このものでは、各火力ポジションにおける設定火力の火力補正範囲を、前段の火力ポジションの初期の設定火力より大きい補正下限値から次段の火力ポジションの初期の設定火力より小さい補正上限値までの範囲内としたことで、補正後の各火力ポジションの設定火力がそれぞれ極端に前段側や次段側に偏って補正されるのを防止できる。また、設定火力の補正操作を行なわなかった他者が使用する際に、想定していた火力から極端にずれる虞もない。これにより、使い勝手が一層向上するし、より高い調理性能も発揮できる。
また、上記加熱調理器1では、例えば火力が大きい「火力7」や「火力8」などの火力ポジションにおいては火力補正範囲を広く設定し、火力が小さい「火力2」や「火力3」などの火力ポジションにおいては火力補正範囲を狭く設定するなど、各火力ポジションの特性に合わせて異なる固有の火力補正範囲をそれぞれ設定することによって、各火力ポジションの設定火力を適切に補正することができるから、使い勝手が一層向上するし、より高い調理性能も発揮できる。
また、このものでは、たとえコンロバーナ21の各火力ポジションの設定火力が初期の設定火力と異なる火力に補正されていても、コンロバーナ21を点火する際には、予め設定された点火火力ポジションの補正前の初期の設定火力、即ち、点火火力ポジションの初期の設定通りの一定の設定火力によって点火動作が行われ、コンロバーナ21にて自動調理を行なう際には、予め設定された自動調理火力ポジションの補正前の初期の設定火力、即ち、自動調理火力ポジションの初期の設定通りの一定の設定火力によって自動調理動作が行なわれるから、点火性能や自動調理時の調理性能を損なうことがない。換言すれば、コンロバーナ21の点火性能や自動調理時の調理性能を損なうことなく、各火力ポジションの設定火力を補正することができる。よって、使い勝手がより一層向上する。
さらに、このものでは、各火力ポジションの設定火力の補正ミスやコンロバーナ21の性能の経年変化等に伴って、選択した各火力ポジションの設定火力と実際の火力との間にずれが生じていても、リセット操作を行なうことで、補正された各火力ポジションの設定火力を容易に初期の設定火力に戻して補正し直すことができるから、使い勝手がより一層向上する。
尚、上記実施の形態では、各火力ポジションにおける火力補正範囲の補正下限値が前段の火力ポジションの初期の設定火力より大きい値に設定され、補正上限値が次段の火力ポジションの初期の設定火力より小さい値に設定されたものを説明したが、各火力ポジションにおける設定火力が前段設定火力から次段設定火力までの範囲内で補正可能な構成であれば、補正下限値が前段の火力ポジションの初期の設定火力以下に設定され、補正上限値が次段の火力ポジションの初期の設定火力以上に設定されるものとしてもよい。
また、上記実施の形態では、各火力ポジションでそれぞれ異なる固有の火力補正範囲が設定されたものを説明したが、各火力ポジションの全てにおいて共通する火力補正範囲が設定されたものとしてもよい。
また、上記実施の形態では、各火力ポジションの火力補正範囲は、前段および次段の火力ポジションの火力補正範囲に対してそれぞれ重複しない範囲に設定されたものを説明したが、各火力ポジションの火力補正範囲が、前段および次段の火力ポジションの火力補正範囲と一部重複する範囲に設定されているものとしてもよい。但し、この場合、各火力ポジションの設定火力を補正するにあたって、設定火力が前段設定火力より小さくなったり、次段設定火力より大きくなったりしないよう、補正操作が一部制限されるように構成されるのが望ましい。
具体的には、例えば「火力3」の火力ポジションにおける「+7」以上の火力補正範囲と、「火力4」の火力ポジションにおける「−7」以下の火力補正範囲とが重複して設定されており、「火力3」の火力ポジションにおいて「+9」の補正レベルが選択設定された場合は、「火力4」の火力ポジションにおいて「−9」の補正レベルを選択すべく加減スイッチ474のマイナスキーを操作しても、「−6」の補正レベルより小さくならない。即ち、「−7」から「−9」の補正レベルが選択できないように制限される。このような構成とすることで、コンロ点消火操作子41によってコンロバーナ21の火力を選択する際に、火力が前段の火力ポジションの火力より小さくなったり、次段の火力ポジションの火力より大きくなったりするのを防止できる。
また、上記実施の形態では、特定のコンロバーナ21における点火時の火力ポジションについては、補正火力が設定されていないもの、即ち、設定火力を補正できないように構成されたものを説明したが、点火性能を損なわない範囲で、他の火力ポジションと同様に設定火力を補正できるように構成されたものとしてもよい。
また、上記実施の形態では、自動調理動作中は、設定入力スイッチ47によって補正された補正火力にかかわらず、予め設定された自動調理火力ポジションの初期の設定火力に従ってコンロバーナ21の火力が調整されるように構成されたものを説明したが、自動調理時の調理性能を損なわなければ、自動調理動作中も、各火力ポジションの補正後の設定火力(補正火力)を用いてコンロバーナ21の火力が調整されるように構成されたものとしてもよい。さらにこの場合、設定火力は、通常よりも狭い範囲内(例えば「−2」から「+2」の範囲内)に限って補正可能に構成されたものとしてもよい。
また、上記実施の形態では、右コンロ21Aと左コンロ21Bとで最大火力が異なるものを説明したが、右コンロ21Aと左コンロ21Bとで各火力ポジションの初期の設定火力が全て同じ火力に設定されているものとしてもよい。このものでは、製造上の誤差や性能の経年変化等によって、共通する特定の火力ポジションにおける実際の火力が左右のコンロバーナ21で異なっていても、何れか一方又は両方のコンロバーナ21の火力を上記のように補正することができるから、使い勝手がより一層向上するし、左右のコンロバーナ21において調理の仕上がり状態にばらつきも生じ難い。
また、上記実施の形態では、運転待機状態のときに各火力ポジションの設定火力を火力補正可能としたものを説明したが、コンロバーナ21の燃焼中に各火力ポジションの設定火力を火力補正可能な構成としてもよい。このものでは、コンロバーナ21の実際の火力を目視しながら設定火力を補正することができるから、使い勝手がより一層向上する。
上記実施の形態では、被加熱物を加熱する加熱手段として、ガスの燃焼排ガスを熱源とするバーナが用いられたものを説明したが、本発明は、被加熱物を加熱する加熱手段として、電熱部からの輻射熱や伝導熱により被加熱物を加熱する電熱ヒータが用いられたものにも適用できるし、電磁誘導により被加熱物を加熱する電磁誘導ヒータが用いられたものにも適用できる。また、被加熱物を加熱する加熱手段として、バーナや電熱ヒータ、電磁誘導ヒータが組み合わせて用いられたものにも適用できる。