以下に、本発明に係る肩湯ノズル及び肩湯システムの実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る肩湯システム1の概略構成図である。図2は、肩湯システム1は、肩湯ノズル8が、浴槽2と給湯器4との間で風呂水Xを循環させる循環回路19に接続配管9を介して接続されている。図2に示すように、肩湯ノズル8は、マグネット85を介して、浴室の壁面に任意の高さで取り付けられる。肩湯ノズル8は、浴槽2の風呂水Xを循環回路19から供給され、浴槽2内へ向かって膜形状の湯(以下「肩湯」ともいう)Yを吐出口82から吐出する。
図1に示すように、循環回路19は、浴槽2に設けられた循環口3が、復路配管5と往路配管6を介して給湯器4に接続され、給湯器4に内設されたポンプ20の動作により、風呂水Xを浴槽2と給湯器4との間で循環させる。このとき、給湯器4は、バーナ4aを駆動することにより、風呂水Xを追い焚きすることができる。
ここで、ポンプ20は、バーナ4aが風呂水Xを加熱できる流量で風呂水Xを循環回路19に循環させる吐出能力を有する。そのため、ポンプ20は、一般的に、吐出流量が8L/分以上16L/分以下のものが選定される。
往路配管6には、三方弁7が配設されている。三方弁7は、第1ポート7aが給湯器4に導通し、第2ポート7bが循環口3に導通し、第3ポート7cが肩湯ノズル8に導通している。三方弁7は、切換手段の一例である。三方弁7が第1ポート7aと第2ポート7bを連通させる動作状態は、第1状態の一例である。三方弁7が第1ポート7aと第3ポート7cを連通させる動作状態は、第2状態の一例である。
肩湯システム1は、制御手段18を備える。制御手段18は、周知のマイクロコンピュータで構成されている。制御手段18は、給湯器4の動作を設定する台所リモコン15が電気的に接続されている。台所リモコン15は、通信線17を介してふろリモコン16に接続している。台所リモコン15は、ふろリモコン16の設定が自動的に自機に反映されるようになっている。台所リモコン15とふろリモコン16は、給湯器4の各種設定を行うボタンを備える。このボタンは、オンオフ式のアナログスイッチでも、液晶タッチパネルに表示されるデジタルスイッチでも良い。本実施形態では、台所リモコン15はキッチンに設置され、ふろリモコン16は浴室に設置される。
制御手段18は、三方弁7とバーナ4aとポンプ20に電気的に接続されている。制御手段18は、ふろリモコン16から台所リモコン15を介して肩湯モードの実行指令を受け付けると、記憶領域に記憶された肩湯制御プログラムを起動して三方弁7とポンプ20の動作を制御する。つまり、制御手段18は、第1ポート7aを第3ポート7cに連通させ、第2ポート7bを遮断するように三方弁7の動作を制御し、ポンプ20を駆動させることにより、浴槽2の風呂水Xを肩湯ノズル8に供給し、肩湯ノズル8から肩湯Yを吐出させる。このとき、制御手段18は、給湯器4のバーナ4aを駆動させ、風呂水Xを給湯器4で所定の設定温度に加熱してから肩湯ノズル8に供給するようにしても良い。
一方、制御手段18は、ふろリモコン16から台所リモコン15を介して追い焚きモードの実行指令を受け付けると、記憶領域に記憶された追い焚きプログラムを起動して三方弁7とバーナ4aとポンプ20の動作を制御する。つまり、制御手段18は、第1ポート7aを第2ポート7bに連通させ、第3ポート7cを遮断するように三方弁7の動作を制御し、バーナ4aとポンプ20を駆動させることにより、給湯器4で加熱された風呂水Xを浴槽2に供給する。
続いて、肩湯ノズル8の構成を説明する。図3は、肩湯ノズル8の外観斜視図である。図4は、図3のAA断面図である。図5は、図4のBB断面図である。
図3に示すように、肩湯ノズル8は、面積の広い上面8a及び下面8bと、上面8aと下面8bに接続する4つの側面8c,8d,8e,8fを備えるブロック形状をなす。下面8bには、接続配管9に接続される接続部8gが突設されている。
図4及び図5に示すように、肩湯ノズル8は、給水流路80と吐出流路81を有する。給水流路80は、接続部8g内に設けられている。給水流路80は、吐出流路81の流路下面813に開口して、給水口801を形成している。
図4及び図5に示すように、吐出流路81は、肩湯ノズル8の4つの側面8c〜8fのうち、横長の前側面8cから背側面8eに向かって袋形状に設けられ、前側面8cに断面偏平形状(スリット形状)の吐出口82を形成している。吐出流路81は、吐出口82と、吐出口82と反対側に位置する奥面814と、流路幅方向(図4の左右方向)の両端に設けられた一対の内側面811,811と、給水口801が開口する流路下面813と、給水口801及び流路下面813と対向するように設けられた流路上面812を備える。吐出流路81は、一対の内側面811と流路上面812と流路下面813がそれぞれ平坦な面により構成され、流路幅方向(図4の左右方向)と平行に切ったときの断面形状が流路幅方向に細長い矩形状になっている。
図4に示すように、吐出流路81は、奥面814の流路幅方向(図中左右方向)の中心位置に給水口801が1個開口している。吐出流路81は、給水口801を挟んで左右対称形状に設けられている。吐出流路81は、一対の内側面811の間の流路幅Wが給水口801側から吐出口82側に近づくにつれて広がるように、一対の内側面811,811が傾斜して設けられている。よって、給水口801から吐出流路81に流入した水は、流路幅方向に均一に広がりながら、吐出口82へ向かって流れる。
図4及び図5に示すように、給水流路80は、吐出流路81に開口する給水口801の一部が閉鎖部815により閉鎖されている。具体的に、肩湯ノズル8は、吐出流路81の奥面814が、吐出口82に対して平行な面で、且つ、給水口801の中心を通るように設けられ、給水口801の吐出口82と反対側の半分を閉鎖する閉鎖部815を形成されている。そのため、給水流路80は、軸線方向に対して直交する方向に切ったときの流路断面形状が丸形状であるのに対し、給水口801は、半円形状になっている。よって、給水口801の開口面積は、給水流路80の流路面積の半分にされている。これにより、給水流路80から供給される水は、給水口801を通過する際に流量を絞られて流速を高めてから、吐出流路81に供給される。
図5に示すように、吐出流路81の流路上面812は、給水口801の開口面を通る仮想線L1(流路下面813)との間の間隔が、給水口801側から吐出口82側へ向かって大きくなるように、傾斜している。そのため、吐出流路81は、流路上面812と仮想線L1(流路下面813)との間の吐出口82側の間隔M2が、流路上面812と仮想線L1(流路下面813)との間の給水口801側(奥面814側)の間隔M1より大きくされている。間隔M2は、間隔M1の5倍以上10倍以下の値に設定されている。
続いて、給水口801の開口面積と吐出口82から吐出される水の形状との関係について説明する。発明者は、給水口801が給水流路80と同じ面積で吐出流路81に開口する肩湯ノズル(給水口801の一部を閉鎖しない肩湯ノズル)に、水を8L/分以上12L/分以下で供給しても、吐出口82から膜形状の水を吐出できないことに気付いた。この原因は、8L/分以上12L/分以下の水の供給量では、吐出口82から水を膜形状に吐出するのに必要な流速を得られないことにあると考えられる。
発明者は、給湯システムで一般的に使用されるポンプ20の吐出能力でも、吐出口から膜形状の水を吐出させることができる肩湯ノズルを実現するために、肩湯ノズルの流路構成を検討した。
発明者は、給水口801の開口面積を変えて試験を行った。図6は、実施例の流速分布を説明する図である。図7は、比較例1の流速分布を説明する図である。図8は、比較例2の流速分布を説明する図である。図6〜図8に記載する矢印は、流速を示し、矢印が長いほど流速が速いことを示す。
実施例と比較例1と比較例2は、給水口801を閉鎖する割合(給水口801の開口面積)を除き、同様に構成されている。図6に示す実施例は、本形態の肩湯ノズル8に対応しており、閉鎖部815が給水口801を半分閉鎖している。図7に示す比較例1は、閉鎖部815xが給水口801xを半分より少ない領域で閉鎖している。図8に示す比較例2は、閉鎖部815yが給水口801yを半分より多い領域で閉鎖している。
試験では、実施例と比較例1と比較例2に水を同流量で供給し、吐出口82から吐出される水の形状を確認した。その結果、実施例は、吐出口82全体から水を膜形状に吐出できたが、比較例1及び比較例2は、吐出口82全体から水を膜形状に吐出することができなかった。つまり、水の供給量が8L/分以上12L/分以下の場合、給水口801の開口面積を給水流路80の流路断面積の概ね半分にして、流量を半分程度に絞るのが適切であることが分かった。
この原因を発明者は次のように考えた。図6に示す実施例は、給水流路80に供給された水が給水口801により流量を絞られ、流速を加速させる。給水口801の吐出口82と反対側(奥面814側)の領域P1と、給水口801の吐出口82側の領域P2が適度に離れている。そのため、領域P1を通過する水は、領域P2を通過する水より流速が速くなり、領域P1と領域P2との間の流速差が大きくなる。そのため、領域P1から吐出流路81に流入した水は、領域P2から吐出流路81に流入した水に邪魔されて吐出口82側に流れることができず、奥面814に沿って流路幅方向に逃げるように流れる。そして、奥面814側に逃げた水は、一対の内側面811,811にぶつかった後、一対の内側面811,811に沿って吐出口82に向かって流れる。一対の内側面811に沿って流れる水の流速が、流路幅方向の中央部を流れる水の流速より速いため、給水口801から流出した水は、ほぼ同じ頃に吐出口82に到達して吐出される。よって、実施例では、給水口801から吐出流路81に流出した水が吐出流路81全体に均一に広がるように流れ、吐出口82から膜状に吐出されると考えられる。
これに対して、図7に示す比較例1は、給水口801xの閉鎖領域が実施例の給水口801の閉鎖領域より小さく、実施例と比べ、給水口801xにおける水の絞り量が小さい。しかも、給水口801xの開口面積は、実施例の給水口801の開口面積より広い。そのため、給水口801xの吐出口82と反対側(奥面814x側)の領域P1xと、給水口801xの吐出口82側の領域P2との間の流速差が小さくなる。流速差が小さいため、領域P1xから流出した水は、奥面814xに対して流路幅方向(図中左右方向)に十分に広がって流れず、一対の内側面811,811に到達する前に吐出口82から吐出されてしまう。つまり、比較例1は、吐出口82の中央付近の狭い範囲で水を吐出する。また、比較例1は、吐出流路81xの流路幅方向の流量が不均一であるため、水が、吐出口82の流路幅方向に分断されて吐出される。よって、比較例1は、吐出口82全体から水を膜形状に吐出することができない。
一方、図8に示す比較例2は、給水口801yの閉鎖領域が実施例の給水口801の閉鎖領域より広く、実施例と比べ、給水口801xにおける水の絞り量が大きい。一方、給水口801yの開口面積は、実施例の給水口801の開口面積より小さい。そのため、水は、給水口801yの吐出口82と反対側(奥面814y側)の領域P1yと、給水口801yの吐出口82側の領域P2との間の流速差が小さくなる。流速差が小さいため、比較例2は、比較例1と同様、給水口801yから流入した水が吐出流路81yに均一に広がって流れず、しかも、吐出流路81y全体に水が均等な流量で流れないため、吐出口82全体から水を膜形状に吐出することができない。
次に、発明者は、流路上面812の傾斜角度を変えて試験を行った。図9は、実施例の流体の流れを説明する概念図である。図10は、比較例3の流体の流れを説明する概念図である。図11は、比較例4の流体の流れを説明する概念図である。図9〜図11に記載する矢印は、流体の流れを示す。尚、図9〜図11の流路上面812,812xx,812yyは、傾斜角度の違いや流体の流れを見やすく記載するために、実際の傾斜角度と異なっている。
実施例と比較例3と比較例4と比較例5は、吐出口82,82xx,82yy側の間隔M2,M3,M4(吐出口82,82xx,82yyの図中上下方向の縦幅)を除き、同様に構成されている。図9〜図11に示す実施例と比較例4と比較例5の吐出流路81,81xx,81yyは、いずれも、給水口801側(奥面814側)の間隔M1が1mmで同じである。これに対して、図9に示す実施例の吐出流路81は、本形態の肩湯ノズル8に対応しており、吐出口82側の間隔M2(吐出口82の縦幅)M2が5mmになるように、流路上面812が奥面814を基点に傾斜している。つまり、間隔M2は間隔M1の5倍である。図10に示す比較例3の吐出流路81xxは、吐出口82xx側の間隔M3(吐出口82xxの縦幅)を13mmにするように、流路上面812xxが奥面814を基点に傾斜している。つまり、間隔M3は間隔M1の10倍より大きい。図11に示す比較例4は、吐出口82yy側の間隔M4(吐出口82yyの縦幅)を3mmにするように、流路上面812yyが奥面814を基点に傾斜している。つまり、間隔M4は間隔M1の5倍未満である。
試験では、実施例と比較例3と比較例4に水を同流量で供給し、吐出口82,82xx,82yyから吐出される水の形状をそれぞれ確認した。その結果、実施例は、吐出口82全体から水を膜形状に吐出できたが、比較例3及び比較例4は、吐出口82xx,82yy全体から水を膜形状に吐出することができなかった。発明者が流路上面812の角度を色々変えて試験を重ねた結果、水の供給量が8L/分以上12L/分以下であって、給水口801を半分閉鎖した場合、吐出流路81は、吐出口82側の間隔M2を給水口801側の間隔M1の5倍以上10倍以下にすると、吐出口82から水をきれいな膜形状に吐出できることが分かった。
この原因を発明者は次のように考えた。図9に示す実施例は、給水口801が吐出口82と反対側の半分を閉鎖部815により閉鎖されているため、水が、給水流路80から吐出口82側の斜め上方に向かって流出する。水は、扇状に広がるようにして流路上面812に向かって噴出される。水は、跳ね返されない程度の力で流路上面812に当たって流路上面812にぬれるように広がり、流出時の勢いをあまり損なわれずに流路上面812に沿って流れる。そして、水は、自重で流路上面812から落下する前に吐出口82に到達し、吐出口82の上端部821から前方に向かって膜形状に吐出される。よって、実施例では、水が吐出口82の下端部822から殆ど垂れずに、上端部821から膜形状に吐出される。
これに対して、図10に示す比較例3は、流路上面812xxの傾斜角度が実施例より大きいため、水は、流路上面812xxに当たらずに吐出口82xxに到達してしまう。水が流路上面812xxに当たったとしても、衝突時の力が実施例より弱い。そのため、流路上面812xxに当たった水は、流路上面812xxをぬらすように上手く広がらず、奥面814側に流れ落ちたり、自重で滴下したりする。よって、比較例3では、水が、吐出口82の中央付近から粒状に吐出されたり、吐出口82の下端部822から筋状に吐出されたりして、吐出口82から膜形状の水を吐出できない。
一方、図11に示す比較例4は、流路上面812yyの傾斜角度が実施例より小さいため、水が流路上面812yyに当たる力が実施例より強い。しかも、水は、流路上面812yyに局所的に当たる。そのため、比較例4では、水が、流路上面812yyに当たって強く跳ね返された後、吐出流路81yyの流路幅方向の中央付近を吐出口82yyに向かって勢いよく流れる。水は、吐出流路81yyの中央付近に多く流れる。よって、比較例4では、水が、吐出口82yyの流路幅中央付近から前方に向かって太い筋状に勢い良く吐出され、吐出口82yyから膜形状の水を吐出できない。
続いて、肩湯システム1の動作について説明する。ユーザが、ふろリモコン16から肩湯モードを選択すると、制御手段18は、三方弁7の第1ポート7aと第3ポート7cを連通させ、ポンプ20を駆動する。浴槽2の風呂水Xは、ポンプ20のポンプ動作により、肩湯ノズル8に送り込まれる。
風呂水Xは、肩湯ノズル8の給水流路80から給水口801を介して吐出流路81に流出する。給水口801の開口面積は、閉鎖部815により給水流路80の流路断面積の半分にされている。そのため、風呂水Xは、給水口801で流路を絞られ、給水流路80を流れるときよりも流速を高められてから、吐出流路81に流れ込む。また、給水口801が吐出口82側に凸状に湾曲する半月形状をなすため、風呂水Xは、給水口801から流路上面812に向かって扇状に広く分散して噴出する。更に、風呂水Xは、給水口801の奥面814側の領域から噴出されたものの方が、給水口801の吐出口82側の領域から噴出されたものより、流速が速いため、風呂水Xは、給水口801の奥面814側の領域から噴出されたものが流路幅方向に流れ、給水口801の吐出口82側の領域から噴出されたものが流路幅中央付近を流れる。よって、風呂水Xは、吐出流路81の流路幅方向に均一に分散し、流量が均一化される。
風呂水Xは、流路上面812に当たったときに流路上面812をぬらすように広がり、流路上面812に沿って流れる。そのため、風呂水Xは、流路上面812を均一な厚さの膜で覆うように流れ、吐出口82の上端部821から膜形状で吐出される。よって、肩湯ノズル8は、浴槽2にいるユーザの首筋や肩の広い領域に、膜形状の肩湯Yを当てることができる。
以上説明したように、本形態は、水を供給する給水流路80と、水を膜形状に吐出する吐出口82と、給水流路80と吐出口82に接続する吐出流路81とを備え、吐出流路81の流路幅Wが給水流路80側から吐出口82側に近づくにつれて広げられている肩湯ノズル8において、給水流路80が吐出流路81に開口する給水口801の一部を閉鎖する閉鎖部815を有することを特徴とする。
上記構成の肩湯ノズル8では、給水流路80の水(風呂水X)が給水口801を通過する際に流量を絞られて流速を高められる。このように水の流速を吐出流路81に流入する直前で高めるので、給水流路80に供給された風呂水Xが少ない場合でも、風呂水Xが、吐出流路81に流入する際の勢いで吐出流路81全体に広がりながら吐出口82へ向かって流れ易く、吐出口82から膜形状に吐出されるようになる。よって、上記構成の肩湯ノズルによれば、風呂水Xの供給量が少なくても、吐出口82から膜形状の水(肩湯Y)を吐出することができる。
また、本形態の肩湯ノズル8において、閉鎖部815は、給水口801の吐出口82と反対側に位置する部分を閉鎖し、給水口801の開口面積を給水流路80の流路断面積の半分にしていること、を特徴とする。
上記構成の肩湯ノズル8は、給水口801の閉鎖部815側の領域P1における流速が、給水口801の吐出口82側の領域P2における流速より速く、給水口801の閉鎖部815側の領域P1と給水口801の吐出口82側の領域P2との間の流速差が大きいので、給水口801から供給される水(風呂水X)が吐出流路81全体に均一に広がって流れ、吐出口82から膜形状に吐出される。よって、本形態の肩湯ノズル8によれば、水(風呂水X)の供給量が少なくても、吐出口82から膜形状の水(肩湯Y)を吐出することができる。
また、本形態の肩湯ノズル8において、閉鎖部815は、給水口801の吐出口82と反対側に位置する部分を閉鎖していること、吐出流路81は、給水口801と対向するように流路上面812が設けられており、給水口801の開口面を通る仮想線L1に対して流路上面812が傾斜することにより、仮想線L1と流路上面812との間の間隔が給水口801側から吐出口82側へ向かって大きくなっていること、を特徴とする。
上記構成の肩湯ノズル8は、水(風呂水X)が、給水口801から斜め上方に向かって吐出流路81内に流出し、流路上面812に当たる。吐出流路81は、給水口801の開口面を通る仮想線L1と流路上面812との間の間隔が給水口801側から吐出口82側へ向かって大きくなっているので、流路上面812に当たった水(風呂水X)が、給水口801から流出したときの勢いを保って流路上面812に沿って流れ、吐出口82の流路上面812に接続する上端部821から膜形状に吐出される。このように、本形態の肩湯ノズル8は、流路上面812に当たった水(風呂水X)が、殆ど垂れることなく吐出口82に到達して吐出口82から吐出されるので、水の供給量が少なくても、吐出口82から膜形状の水(肩湯Y)を吐出できる。
また、本形態の肩湯ノズル8において、仮想線L1と流路上面812の吐出口82側の間隔M2が、仮想線L1と流路上面812の給水口801側の間隔M1に対して、5倍以上10倍以下であること、を特徴とする。
上記構成の肩湯ノズル8は、仮想線L1と流路上面812の吐出口82側の間隔M2を、仮想線L1と流路上面812の給水口801側の間隔M1に対して5倍以上10倍以下で設定することにより、給水口801から吐出された水(風呂水X)が流路上面812に当たってぬれるように広がった後、吐出口82に向かって流れる。よって、本形態の肩湯ノズル8によれば、水(風呂水X)の供給量が少なくても、吐出口82から膜形状の水(肩湯Y)を吐出することができる。
更に、本形態の肩湯システム1は、上記何れかの構成を有する肩湯ノズル8と、浴槽2の風呂水Xを循環させる循環回路19と、循環回路19に配設されたポンプ20と、ポンプ20と浴槽2とを接続する第1状態と、ポンプ20と肩湯ノズル8とを接続する第2状態とを切り換える三方弁7と、三方弁7を制御する制御手段18とを有すること、を特徴とする。
上記構成の肩湯システム1は、制御手段18が三方弁7を第1状態にした場合には、ポンプ20の動作により、浴槽2の風呂水Xが循環回路19を循環する。一方、制御手段18が三方弁7を第2状態にした場合には、ポンプ20の動作により、浴槽2の風呂水Xが肩湯ノズル8から膜形状に吐出される。ポンプ20の吐出流量が、例えば8L/分以上16L/分以下と少ない場合でも、肩湯ノズル8は、膜形状の肩湯Yを吐出することができる。よって、本形態の肩湯システム1は、既存のポンプ20を利用して浴槽2の風呂水Xを肩湯ノズル8に供給し、肩湯ノズル8から膜形状の肩湯Yを吐出することができるので、既存のポンプ20と別に専用ポンプを設置する必要がなく、安価に肩湯システム1を提供することができる。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
(1)例えば、上記実施形態では、給水口801を半月形状にしたが、給水口801の開口面積を給水流路80の流路断面積の半分にできるのであれば、給水口801を三日月形状や三角形状などの他の形状にしても良い。
(2)例えば、吐出口82から膜形状の水(肩湯Y)を吐出できるのであれば、流路上面812を傾斜させず、流路下面813と平行にしても良い。
(3)例えば、上記実施形態では、給湯器4内のポンプ20を肩湯ノズル8に接続したが、給湯器4の外部に設けられたポンプや、追焚ポンプなどに肩湯ノズル8を接続しても良い。
(4)例えば、上記実施形態では、一対の内側面811,811を直線状に設けたが、図12に示す第1変形例の肩湯ノズル8Aのように、一対の内側面811A,811Aを円弧状にしても良い。この場合、給水口801から吐出流路81Aに流出した水が内側面811A,811A付近を円弧を描くように流れ、吐出流路81A内により均一に広がりやすくなる。
(5)例えば、上記実施形態では、水が流路上面812に沿って流れるので、図13に示す第2変形例の肩湯ノズル8Bのように、上記形態で説明した流路下面813を省き、吐出流路81Bが肩湯ノズル8Bの前側と下側に開放されていても良い。
(6)例えば、上記実施形態では、流路上面812を平坦に設けたが、図14に示す第3変形例の肩湯ノズル8Cのように、吐出流路81Cの流路上面812Cを上方に湾曲する円弧面としても良い。
(7)例えば、上記実施形態では、肩湯ノズル8の形状を長方形状若しくは薄い直方体形状とした。これに対して、肩湯ノズル8の形状は、給水流路80と吐出流路81の形に合わせた形状など、長方形状若しくは薄い直方体形状以外の形状であっても良い。