JP6970314B2 - シム装置、マグネットアセンブリ、及びシム装置を励磁する方法 - Google Patents

シム装置、マグネットアセンブリ、及びシム装置を励磁する方法 Download PDF

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Description

本発明はマグネットアセンブリに使用するシム装置に関し、シム装置は、HTS(高温超伝導材料)を含む少なくとも1つのシム導体路と、第1のシムスイッチとを有し、シム導体路は軸を中心として湾曲した面の上に位置し、第1のシムスイッチは、第1の導体路部の超伝導状態を一時的に中止するために、シム導体路の第1の導体路部に配置される。これに加えて本発明はマグネットアセンブリ及びシム装置を励磁する方法に関する。
シム装置、及びシム装置を励磁する方法は、たとえば特許文献1、特許文献2、及び特許文献3(未公開)に記載されている。
マグネットアセンブリの主磁場を均一化するために複数のシムコイルが使用される。この目的のために、特に複数のHTSコイルを利用することができる。動作磁場又は動作温度の理由によりLTS材料をシムコイルに利用できず、HTS材料からなる複数のシムコイルはHTS主磁石の磁場均一性を改善することができるからである。特に、HTS被覆された導体路からなる超伝導的に閉じたシムコイルは永久電流を流すことができ、すなわち、電流を維持するための電源機器や電源ラインが必要ないという利点を有している。
特許文献1より、電源機器に直接接続してシムコイルを励磁する、励磁方法が知られている。これを行うには、超伝導スイッチを開いて超伝導シム回路を遮断する。電流は、超伝導スイッチと並列に接続された電源機器により、シム回路へ直接供給される。超伝導スイッチを閉じると、電流はシム回路を永続的に流れ、電源機器の電流は遮断される。HTS被覆された導体路からなる複数の永続的なシムコイルは、インダクタンスが低いため、通常、一定の磁場強度を生成するために、複数巻回がなされたシムコイルよりも大幅に大きな電流を必要とする。したがって特許文献1から知られている励磁方法は、相応の大きさの電力を供給する電源ラインが、多量の熱を外部からクライオスタットへ伝導するという欠点を有する。さらに、少なくとも部分的に常伝導の電源ラインにおける高電流により、励磁プロセス中にさらなるジュール熱が発生する。槽冷却式のクライオスタットでは、これにより低温槽の蒸発が速くなる。能動冷却式のクライオスタットでは、それに応じて冷却能力が高い低温冷却装置を使用する必要がある。
未公開の特許出願である特許文献3は、一次回路を形成する常伝導励磁コイルを使用する誘導励磁方法を開示している。HTSシム装置はHTSシム導体路とシムスイッチとを有しており、二次回路を形成する。二次回路では、励磁コイルにより生じる磁束の変化により誘導的に電流が変化する(二次電流変化)。
永続的なHTSシムはHTS被覆されたフィルムから製作することができ、超伝導的に閉じたシム導体路がフィルムの開口部を取り囲んでいる。複数のシム導体路が、均一化されるべき磁石のボアの周りに円筒状に巻かれる。特定の磁場勾配を生成するHTSシムは、複数の長方形の閉じた導体路によって(特許文献1)、又は非凸軌道に沿った導体路によって(特許文献2)具体化される。特許文献2に記載されている変形例では、単一の導体路により複雑な磁場分布を生成できるが、HTS回路におけるシム設計の選択肢が制限される。たとえば公知のHTSシムでは、対称性の理由により、奇数次数の「不純物」のない偶数次数(z,z,...)の磁場勾配のためのon−axisシムを、単一の導体路により製作することはできない。公知のシム設計では、常に一方向の電流帰還が行われなければならないからである。電流帰還は乱れをできる限り少なく抑えるために軸方向外側で実行されるが、このことは、シムが軸方向に比較的大きく広がることを意味する。
米国特許第8,965,468B2号明細書(Iwasa) ドイツ特許出願公開第102016225017A1号明細書(Bruker BioSpin AG) ドイツ特許出願第102018221322.4(未公開)
本発明の課題は、複雑な磁場分布とシム設計における高い自由度をいずれも可能にする、たとえばNMR磁石の、磁場均一化のための永続的なHTSシムを提案することにある。
この課題は、本発明によると、請求項1に記載のシム装置、請求項9に記載のマグネットアセンブリ、及び請求項12に記載の方法によって解決される。
本発明によるシムアセンブリでは、シム導体路は少なくとも第1の開口部と第2の開口部とを取り囲み、それによりシム導体路は、第1の周回電流経路と、第2の周回電流経路と、第3の周回電流経路とを有し、3つの周回電流経路のうち2つはそれぞれ開口部のうちの1つだけを取り囲み、3つの周回電流経路のうちの1つは2つの開口部を取り囲む。本発明によると、第1のシムスイッチが配置された第1の導体路部は、第1及び第2の周回電流経路のみの一部である。
シム導体路とは、高温超伝導材料からなる自己完結型の導体アセンブリであり、高温超伝導材料は好ましくはフィルムへのHTS被覆である。これはたとえば継ぎ目の無い導体路アセンブリとすることができる。シム導体路は動作中に超伝導的に短絡され、すなわち、シム導体路の複数の周回電流経路は、(第1のシムスイッチが閉じているときに)電気抵抗を有さない。このことは、たとえば、支持フィルムの上にHTSを直接塗布するか、HTS被覆されたフィルムから作成された、HTSからなる周回するシム導体路により実現される。
シム導体路は、シム装置の長軸(軸z)を中心として円筒状に湾曲した面の上に位置する、又は「巻き付けられる」。すなわち、シム導体路は、通常、1つ又は複数のシリンダジャケット面の上に延びている。磁気共鳴装置にシム装置が使用される場合、シム導体路を有する面の湾曲の中心となる長軸は、磁気共鳴装置の主磁石の長軸でもある。
本発明によるシム装置は、1つ以上のシム導体路を有することができる。
開口部と呼ぶのは、シム導体路の部分により取り囲まれる領域である。すなわち、シム導体路は、2つの非超伝導性の領域(開口部)の周りに連続的な複数のループを形成し、各々の周回電流経路が幾何学的に閉じたループを形成する。開口部は、たとえば被覆されたフィルムからの打抜き部として、又はHTS層からエッチング除去又は剥離された領域として、構成することができる。
シム導体路に、3つ以上の周回電流経路と、それに対応して2つ以上の開口部を設けることもできる。これにより、いっそう複雑なシム導体路の具体化が可能になる。
周回電流経路は、超伝導的に閉じているか、動作時に(すなわち励磁後に)超伝導的に閉じることができる、導体路ループの形をしている。すなわち周回電流経路は、幾何学的(周回する形状)にも電気的にも閉じている。
このように本発明では、複数の周回電流経路及びこれに伴う複数の分岐を有する2つの開口部を有する導体路の幾何学的形状が提案され、第1及び第2の周回電流経路は、抵抗的に遮断することができる共有の導体路部を有する。すなわち、HTS材料からなるシム導体路は少なくとも2つの開口部を取り囲み、それにより、少なくとも3つの周回電流経路が得られる。第1の開口部を取り囲む周回電流経路、第2の開口部を取り囲む周回電流経路、及び両方の開口部を取り囲む周回電流経路である。第3の周回電流経路は、他の2つの周回電流経路が共有する導体路部を含まない。
本発明による導体路の幾何学的形状は、単一かつ単純に接続されたシム導体閉路では実現できない、電流軌跡を有するシムを単一のシム導体閉路から設計することを可能にする。したがって、本発明に基づいて3つの周回電流経路を単一のシム導体路内に設けることにより、シム導体路内の電流軌跡をより大きな自由度で設計することができる。すなわち、数多くの異なる磁場勾配を、又は磁場勾配の組合せを発生させることができ、特に、偶数次数の磁場勾配のみを発生させることができ、それにより、非対称の電流帰還が望ましくない影響を及ぼして磁場勾配を変化させることがない。
第1及び第2の周回電流経路だけが、第1のシムスイッチを含む第1の導体路部を共有し、したがって、第3の周回電流経路は第1のシムスイッチによって抵抗的に遮断することができない。すなわち第1のシムスイッチは、第3の周回電流経路を超伝導状態に保ちつつ、第1及び第2の周回電流経路を同時に抵抗的に遮断できる。したがって第3の周回電流経路は、動作時に恒常的に超伝導的に閉じていることが好ましい。このことは、第1及び第2の周回電流経路が同一のインダクタンスを有しており、その結果それぞれ1つの開口部を取り囲むとともに、第3の周回電流経路が両方の開口部を取り囲んでいる場合に特に有利である。そして、単純な励磁方法を使用して、第1及び第2の周回電流経路に、同じ強度の電流を反対向きの周回方向に誘導することができる。これにより、幾何学的に単純なHTSシムを用いて、特定の対称性を有する磁場分布を生成することができる。
しかしながら、第3の周回電流経路が1つの開口部のみ取り囲み、第1又は第2の周回電流経路が2つの開口部を取り囲んでいる実施形態も考えられる。この実施形態は特に、第1及び第2の周回電流経路が同一のインダクタンスを有していない、より一般的な形態のHTSシムに対して特に有利である。
シム導体路は少なくとも1つの層として軸(z軸)を中心として巻かれており、軸に対して平行に延びて径方向に重なる少なくとも2つの導体路部を有することが好ましい。1つのシム導体路が少なくとも1つの層全体で軸(z)を中心として巻かれている場合にのみ、このシム導体路が(軸zに関して)ほぼ軸対称の磁場分布を生成することができる(on−axisシム)。軸(z)に対して平行に延びる導体路部は軸方向の磁場成分を生成せず、したがって、シム導体路により生成される所望の磁場分布には寄与しない。電流が反対向きの導体路部同士を空間的に重ね合わせることで、磁場分布への寄与を事実上完全に抑えることができる。
シム導体路を複数層巻くと、シム設計の選択肢が以下の様にさらに広がる。
特定の実施形態では、たとえば、アジマス方向に周回する複数の導体路部が、(軸zに関して)それぞれ異なる軸方向位置に配置される。このようにして、特に偶数次数の磁場勾配を生成するon−axisシムを具体化することができる。
別の実施形態では、n層に巻かれたシム導体路の導体路部がすべての層で同じように延びている。このようなシム導体路では、誘導励磁の際に、同一の形状で単一の層に巻かれたシム導体路よりもn倍小さい電流が生じる。生成される磁場分布、特に磁場強度は、いずれのケースでも同一である。したがって、このように複数層に巻かれたシム導体路は、超伝導電流容量が小さくなるように設計できるという利点を有する。
本発明によるシム装置の好ましい実施形態では、シム導体路は軸の垂直面への投影像に関して対称に延びている。本発明によるシム装置を磁気共鳴装置に使用する場合、通常、垂直面はは主磁石の中心(z=0)に位置する。このようなHTSシムは、垂直面に関して対称(偶数次数)の磁場勾配又は逆対称(奇数次数)の磁場勾配を生成する。
このようなタイプの本発明によるシム装置の第1の実施形態では、第1の周回電流経路と第2の周回電流経路は、軸の垂直面への投影像に関してそれぞれ逆対称に延びる。ここで、逆対称の電流経路とは、電流方向が反転した対称の経路であると理解される。これにより、シム導体路が単一の層として巻かれ、第1及び第2の周回電流経路を電流が反対方向に流れる場合、横軸に関して非対称な磁場分布を長軸に対して垂直に生成することができる。このような磁場分布を有するシム装置は、off−axisシム(たとえばrzシム)として利用することができる。
このようなタイプの本発明によるシム装置の代替である第2の実施形態では、第1の周回電流経路と第2の周回電流経路は軸の垂直面への投影像に関してそれぞれ逆対称に延びていない。ここで意味するのは、2つの周回電流経路が同一の垂直面に関して対称になることである。これにより、長軸に関して対称な磁場分布の生成が可能になる(z=0における軸の垂直面に関して磁場分布が対称になる)。すなわち、第1及び第2の周回電流経路が同一の形状を有していて、これらの経路を電流が反対方向に流れる限りにおいて、奇数次数の磁場勾配は存在しない(たとえば純粋なzシム又はzシム)。このような磁場分布を有するシム装置は、偶数次数のon−axisシムとして利用することができる。
第1の周回電流経路は、第2の周回電流経路と同一のインダクタンスを有することが好ましい。特に、このことは、それぞれの周回電流経路を同一の形状および同一の寸法とすることによって実現することができる。これにより特に簡易な励磁方法が可能となり、それにより、励磁後に2つの周回電流経路の電流が等しい大きさになる。このことは、シム導体路が軸の垂直面への投影像に関して対称に延びるシム装置で特に有利である。シム導体路の対称性が、電流分布に反映され、これに伴って磁界分布にも反映されるからである。
シム導体路は、HTS被覆されたフィルムでできていることが好ましく、このフィルムは高抵抗で電気的にブリッジされていることが好ましい。HTS材料としては、たとえば、YBCO(イットリウム−バリウム−銅酸化物)又はGdBCO(ガドリニウム−バリウム−銅酸化物)などのREBCO(希土類金属−バリウム−銅酸化物)、又はBSCCO(ビスマス−ストロンチウム−カルシウム−銅酸化物)を使用することができる。シム導体路のHTS層は、通常、その上に位置する厚さわずか数μmの銀層によって保護される(高抵抗でブリッジされている)。主磁石がクエンチされると、通常、シム導体路も誘導結合によってクエンチされる。ブリッジされた銀層の電気抵抗が十分に高いため、誘導電流がシム導体路に損傷を与えることが回避される(クエンチ保護)。これに加えて、励磁の際や主磁石のクエンチの際にシム導体路に誘導される電流を低減することができ、それは、周回電流経路と主磁石との間の誘導結合ができる限り小さくなるように、シム導体路が設計されることによる。
本発明によるシム装置の第3の実施形態では、超伝導状態を一時的に中止するために、別のシムスイッチが別の導体路部に配置され、別の導体路部は第3の周回電流経路の一部である。したがって、開口部が2つの場合、第1又は第2の周回電流経路をこれら2つのシムスイッチによって遮断し、他の2つの周回電流経路をシムスイッチのうちの1つのみによって遮断することができる。これにより、主磁石の励磁時にシム導体路に意図せず誘導された電流を、別のシムスイッチを開くことによって消去することができる。磁束ポンプの原理を用いてシム導体路の励磁することもできる。さらに、この実施形態は、2つの異なる勾配を生成するシム導体路を具体化するために使用することができ、これらの磁場強度は、シム導体路の励磁時に互いに独立して調整することができる(たとえば、第3の周回電流経路によってz勾配が生成され、第1及び第2の周回電流経路によって共同でz勾配が生成される、z−zハイブリッドシム)。
別のシムスイッチは、2つの開口部を取り囲む電流経路を遮断するために使用されることが好ましく、それに対して第1のシムスイッチは、それぞれ単一の開口部を取り囲む電流経路のみを遮断することができるように配置されることが好ましい。
本発明は、磁気共鳴装置用のマグネットアセンブリにも関し、マグネットアセンブリは次のものを有する。
・室温ボアを有するクライオスタット
・クライオスタットの中に配置され、以下を有する超伝導マグネットコイルシステム
‐軸が延在している作業空間内にこの軸の方向に磁場を生成するための主磁石
‐主磁石により作業空間内に生成される磁場の空間的なプロファイルを設定するための、及び/又はこの磁場を空間的に均一化するための、先行請求項のうちいずれか1項に記載のシム装置
・シム装置の少なくとも1つのシム導体路と誘導結合するように構成された少なくとも1つの励磁コイルを有する励磁装置
本発明によるマグネットアセンブリは、以下に説明する方法に従ってシム装置を励磁できるように構成されるのが好ましい。
マグネットアセンブリの作業空間は、主磁石の長軸上に位置する点の周りに配置されている。シム装置のシム導体路は、主磁石の長軸に関して径方向に少なくとも部分的に主磁石の内部に配置される。主磁石の長軸は、シム導体路が周りに配置される、シム装置の軸(z軸)と同一であることが好ましい。
シム導体路は、動作中、z軸を中心とする円筒座標系に関して軸方向成分を有する磁場を生成する。
励磁装置は、少なくとも1つの一次回路を共に形成する、常伝導励磁コイルと電源と電源ラインとを有することが好ましく、励磁コイルはクライオスタットの室温ボアに配置されるか、一時的に配置可能であることが好ましい。一次回路を介して、二次回路としてのシム導体路を誘導的に励磁することができる。
励磁コイルは、励磁プロセス中に、第1の周回電流経路及び第2の周回電流経路と、それぞれ異なる程度で誘導結合するのが好ましい。このことは、たとえば励磁コイルが軸方向及び/又は径方向に、第1の周回電流経路から第2の周回電流経路とは異なる距離に位置することにより実現することができる。これは、第1の周回電流経路が第2の周回電流経路と同一のインダクタンスを有しているシム導体路にとって重要である。この場合、第1のシムスイッチが閉じているときに、第1及び第2の周回電流経路が励磁コイルからそれぞれ異なる影響を受けることが確実となる。このようにして、励磁コイルの電流が減少した後に(第3の段階)、電流がシム導体路内に残ることが実現される。
励磁コイルは、励磁プロセス中に、シム装置の軸方向端部の近傍に配置することが好ましい。
本発明によるマグネットアセンブリの特定の実施形態では、異なる周回電流経路が同一の励磁コイルと誘導結合する。このことは、適切な設計又は周回電流経路に対する励磁コイルの位置決めによって実現することができ、たとえば、異なるシム導体路を、単一の励磁コイルにより励磁することができるという利点を有する。あるいは、それぞれ適切に調整された誘導結合を有する、互いに異なる励磁コイルにより、異なるシム導体路を励磁することができる。
本発明は、上記マグネットアセンブリにおいて上記シム装置を励磁する方法にも関し、この方法において、励磁コイルにより生成され、シム導体路により包囲された面を通る磁束の変化によって、シム導体路の電流の変化が誘導的に起こり、
I.第1の段階では、任意の順序で、第1のシムスイッチが超伝導状態を中止するために少なくとも一時的に開かれ、励磁コイルにおける電流の変化によって、又は励磁コイルの移動によって、周回電流経路のうちの少なくとも1つに電流の変化が誘導され、
II.第2の段階では、第1のシムスイッチを閉じることによって周回電流経路のうちの2つが超伝導的に閉じられ、
III.第3の段階では、閉じられた第1のシムスイッチのもとで、励磁コイルにおける電流の変化によって、又は励磁コイルの移動によって、周回電流経路に電流の変化が誘導される。
誘導によって励磁がなされることで、シム導体路への電源ラインの設置を省略することができる。励磁コイルは、1つの開口部のみを取り囲む複数の周回電流経路が、それぞれ、励磁コイルと同程度に誘導結合されないよう配置されることが好ましい。このことは、第1及び第2の周回電流経路が同一の形状と同一の寸法(したがって同一のインダクタンス)を有している構造にとって特に重要である。
第1の段階では、励磁コイルで電流を変化させる。据え付け型の励磁コイルが室温ボアに設けられていない場合、(励磁コイルによる電流変化の前又は後に)励磁コイルもクライオスタットの室温ボアの中に配置する。第1の段階の後、第1及び第2の周回電流経路が抵抗的に遮断され、第3の閉じた周回電流経路に有効な誘導電流が流れる(第1の段階の前に、第3の周回電流経路が完全に放電されているものとする)。
第2の段階では、第1のシムスイッチが閉じられる。したがって第2の段階の後、第1及び第2の周回電流経路が超伝導的に閉じられる。このとき磁束が保存されるため、シム導体路の電流は変化しない。
第3の段階では、閉じられた第1のシムスイッチのもとで、励磁コイルの電流が変化し、及び/又は励磁コイルが室温ボアから取り外される。それによって生じる磁束変化は、一般に、第1及び第2の周回電流経路に対してそれぞれ異なる影響を及ぼし、それにより、励磁プロセスの後に、これらの電流経路に異なる電流強度及び/又は周回方向の電流が流れる。
第3の段階での励磁コイルにおける電流変化は、第1の段階での励磁コイルにおける電流変化と同じ大きさであって、符号が反転していることが好ましい。励磁プロセスの開始時に励磁コイルに電流が流れていない場合、励磁プロセスの終了時にも電流はゼロになる。このことは、励磁プロセスの前後に励磁コイルをシム導体路に配置したり、シム導体路から取り外したりすることができ、これによりシム導体路の磁束がさらに変化することがないという利点を有する。
本発明による方法の特定の変形例では、第3の周回電流経路は励磁プロセスの間、超伝導的に閉じられたまま保たれる。
本発明による方法の特定の変形例はシム装置を励磁する方法に関し、このシム装置は、シム導体路の第1の導体路部とは異なる別の導体路部における超伝導状態を一時的に中止するための別のシムスイッチを有する。
上記の3つの段階に加え、第1の段階では次の3つのステップがさらに実行される。1.別の導体路部の超伝導状態を中止するために別のシムスイッチが少なくとも1回開かれる。2.励磁コイルにおける電流の変化によって、又は励磁コイルの移動によって、それぞれの周回電流経路にさらなる電流の変化が誘導される。3.別のシムスイッチが閉じられる。これら3つのステップは、すでに上で説明した第1の段階に含まれる、励磁コイルにおける電流の変化の際、又は励磁コイルの移動の際に実行される。
第1の段階でシムスイッチを開くことで、それ以前に周回電流経路に存在していた電流がゼロにセットされる。この段階では、第1及び別のシムスイッチを原則として必要なだけ開閉することができる。重要なのは、第1の段階における2番目に記載された電流変化の間及びその後に別のシムスイッチが閉じたままに保たれ、第3の段階における電流変化の間及びその後に第1のシムスイッチが閉じられることだけである。
本発明のさらなる利点は、明細書及び図面から明らかとなる。同様に、上に挙げた構成要件及び後で説明する構成要件を、本発明に基づいてそれ自体としてそれぞれ単独で、又は複数の任意の組合せとして使用することもできる。図示及び説明されている各実施形態は完結した列挙として理解されるべきではなく、むしろ、本発明を記述するための例示としての性質を有する。
第1の周回電流経路と第2の周回電流経路が軸(z)の垂直面への投影像に関して逆対称に延びている、本発明によるシム装置の第1の実施形態を示す斜視図である。 図1のシム装置を示す展開図である。 第1の周回電流経路と第2の周回電流経路が軸(z)の垂直面への投影像に関して逆対称に延びていない、本発明によるシム装置の第2の実施形態を示す斜視図である。 図3のシム装置を示す展開図である。 別の超伝導シムスイッチを有する、本発明によるシム装置の第3の実施形態を示す展開図である。 本発明によるマグネットアセンブリを示す図である。 第1の超伝導シムスイッチを有するシム装置を用いた、本発明による方法の第1の変形例のさまざまな段階を示す図であり、第1の超伝導シムスイッチは、それぞれ1つの開口部のみを取り囲む第1及び第2の周回電流経路に位置する。 第1の超伝導シムスイッチを有するシム装置を用いた、本発明による方法の第1の変形例のさまざまな段階を示す図であり、第1の超伝導シムスイッチは第1及び第2の周回電流経路に位置し、第1の周回電流経路は2つの開口部を取り囲む。 2つの超伝導シムスイッチを有するシム装置を用いた、本発明による方法の第1の変形例のさまざまな段階を示す図である。
図1〜図5には、本発明によるシム装置D,D’,D’’のさまざまな実施形態が示されている。本発明によるシム装置D,D’,D’’は、図1及び図3に示すように、軸zを中心とする円筒面上に延びる、HTS材料からなるシム導体路Cを有する。ここではシム導体路Cは軸zを完全に取り囲んでおり、すなわち、軸zの周りに少なくとも1周「巻かれて」いる。シム導体路Cは、第1の開口部O1の周りに第1の周回電流経路L1を有し、第2の開口部O2の周りに第2の周回電流経路L2を有している。第3の周回電流経路L3は、2つの開口部O1,O2を取り囲んでいる。周回電流経路L1,L2,L3は、それぞれ、シム導体路Cの導体路部(ハッチングを付して図示)により形成されている。分かりやすくするため、周回電流経路L1,L2,L3の道筋は、対応する導体路部に対して横にずらして引かれた破線で図示されている。第1の導体路部S1には、第1の導体路部S1の超伝導状態を中止することができる第1のシムスイッチSw1が配置されている。第1の周回電流経路L1と第2の周回電流経路L2は、第1の導体路部S1を共有している。
図1は、本発明によるシム装置Dの第1の実施形態の斜視図であり、図2はその展開図である。図1及び図2に示す実施形態では、シム導体路C全体だけでなく個々の周回電流経路L1、L2,L3も、軸zの垂直面Nへの投影像に関して対称又は逆対称である。この目的のためにシム導体路Cは、軸zの周りを1周だけ完全に取り囲んでおり、図1に示すように、軸zと平行に延びる導体路端部同士が径方向に重なり合っている。図1及び図2に示す実施形態では、第1のシムスイッチSw1は、第1の周回電流経路L1及び第2の周回電流経路L2の一部である第1の導体路部S1に配置され、第1及び第2の周回電流経路は、それぞれ、2つの開口部O1,O2のうちの1つのみを取り囲んでいる。第1のシムスイッチSw1は、これ以外の導体路部に配置されていてもよく、それにより、第1又は第2の周回電流経路が、2つの開口部O1,O2を取り囲むことになる。
図1及び図2に示す特定の幾何学的形状において、アジマス方向に延びるすべての導体路部が所望の軸上磁場に寄与する。電流帰還による望ましくない乱れは存在しない。したがって、シム導体路Cは全体として軸方向の広がりを小さくすることができ、それにより、比較的幅の狭いHTSフィルムから特にコンパクトなシム導体路Cを具体化することができる。
図3は本発明によるシム装置D’の第2の実施形態の斜視図、図4は対応する展開図であり、シム導体路Cは軸zの垂直面Nに関して対称ではあるが、第1の周回電流経路L1と第2の周回電流経路L2は軸zの垂直面Nへの投影像に関して逆対称性を有していない。シム導体路Cの対称性は、図3に示すように、シム導体路が軸zの周りを完全に2周取り囲み、軸zと平行に延びる複数の導体路端部と軸zと平行に延びる導体路中央部とが径方向に重なり合うことにより実現される。図3及び図4に示す実施形態では、第1のシムスイッチSw1は、第1の周回電流経路L1及び第2の周回電流経路L2の一部である第1の導体路部S1に配置され、第1及び第2の周回電流経路は、それぞれ、2つの開口部O1,O2のうちの1つのみを取り囲んでいる。第1のシムスイッチSw1はこれ以外の導体路部に配置されていてもよく、それにより、第1又は第2の周回電流経路が、2つの開口部O1,O2を取り囲むことになる。
図5は本発明によるシム装置D’’の別の実施形態の展開図であり、シム導体路Cは軸zの垂直面Nに対して対称ではあるが、第1の周回電流経路L1と第2の周回電流経路L2は軸zの垂直面Nへの投影像に関して逆対称性を有していない(図3及び図4に示す実施形態に類似している)。図5のシム装置は、第1の導体路部S1に配置された第1のシムスイッチSw1に加え、別の導体路部S2に位置する別のシムスイッチSw2を有する。2つの導体路部S1,S2は、第2の周回電流経路L2に配置されている。これらは、第1のシムスイッチSw1が第1の周回電流経路L1に配置され、別のシムスイッチSw2が第3の周回電流経路L3に配置されている点で異なる。
図3〜図5に示す実施形態により、(磁石中心における)垂直面Nに関して純粋に対称である、すなわち軸方向に奇数次数の磁場勾配を含まない、磁場分布を生成することができる。
図6は、本発明によるマグネットアセンブリを示している。このアセンブリは室温ボアBを有するクライオスタットKを有する。クライオスタットK内にはマグネットコイルシステムMがあり、このマグネットコイルシステムMは、主磁場を生成するとともに、シム導体路が周囲に配置されるシム装置の軸(z軸)と同一の主磁石長軸を有する主磁石MMと、主磁場を調整又は均一化する本発明によるシム装置D,D’,D’’とを有する。シム装置D,D’,D’’を励磁するために励磁装置Eが設けられており、これによってシム装置D,D’,D’’を誘導的に励磁することができる。励磁装置Eは、電源ラインを介して電源により電力が供給される励磁コイルPを有する。励磁コイルPは励磁プロセスのために室温ボアBの内部に配置され、それにより、励磁コイルPがシム導体路Cと最適に結合することができる。シム装置D,D’,D’’の励磁プロセスは誘導的に行われる。
図7〜図9には、さまざまな方法の変形例におけるさまざまな段階が模式的に示されている。ここでは、励磁装置Eにおける、第1及び第2の周回電流経路L1,L2の電流が、さまざまな段階I,II,IIIについて示されている。矢印の方向は、それぞれの場合における正の電流の方向を定義する。第1の周回電流経路L1及び第2の周回電流経路L2の両方の一部である導体路部については、それぞれの周回電流経路の電流が示されている。対応する導体路部に実際に流れる電流は、共有の導体路部について図示されている電流を重ね合わせることにより得られる。
単一の(第1の)シムスイッチSw1を有するシム導体路Cでは、第3の周回電流経路が励磁プロセス(段階I〜III)の間は遮断されないので、その面を通る磁束はゼロのままに保たれる。その結果、第1及び第2の周回電流経路の電流は、励磁後に、閉じたシムスイッチSw1を介して同一方向に流れてから、分岐部を介して分岐する。
図7は第1のシムスイッチSw1を有するシム装置D/D’を用いた、本発明による方法の第1の変形例のさまざまな段階I,II,IIIを模式的に示しており、第1のシムスイッチSw1は、第1及び第2の周回電流経路L1,L2の共通の第1の導体路部に位置している。第1の周回電流経路L1は第1の開口部O1のみを取り囲み、第2の周回電流経路は第2の開口部O2のみを取り囲んでいる。
第1の段階Iでは、超伝導状態を中止するために第1のシムスイッチSw1が少なくとも一時的に開かれる。励磁コイルPに電流変化ΔI0Iが生じさせるか、又は、通電された励磁コイルPをシム装置D/D’に対して相対的に移動する。これにより、シム導体路Cに電流変化が誘導される。
この電流変化の間に第1のスイッチSw1を開く場合、第1の周回電流経路L1及び第2の周回電流経路L2の両方の一部である第1の導体路部S1の実効電流は、第1のシムスイッチSw1が開くため、ゼロになる。その結果、第1の周回電流経路の電流Iは、第2の周回電流経路の電流Iと同じ値I1Iとなる。
この電流変化の間に第1のシムスイッチSw1を閉じ、電流変化後に開く場合、第1の周回電流経路の電流Iは、同様に、第2の周回電流経路の電流Iと同じ値I1Iとなる。
第1の段階Iの後に、第1及び第2の周回電流経路L1,L2は抵抗的に遮断される。
第2の段階IIでは、第1のシムスイッチSw1が閉じ、それに伴って第1及び第2の周回電流経路L1,L2が超伝導的に閉じられる。磁束が保存されるため、シム導体路C内の電流の流れに変化は生じない。
第3の段階IIIでは、閉じている第1のシムスイッチSw1のもとで、励磁コイルPにおける電流の変化ΔI0IIIにより、又は励磁コイルPの移動(図示せず)により、周回電流経路L1,L2,L3に電流の変化が誘導される。励磁コイルPは第1の周回電流経路L1に対して、第2の周回電流経路L2とは異なる影響を及ぼすので(励磁コイルPがどこに配置されているか、第1及び第2の周回電流経路L1,L2がどのようなインダクタンスと誘導結合を有するかによって異なる)、第1の周回電流経路L1ではI1IからI1IIIへの電流の変化が生じ、それに対して第2の周回電流経路L2ではI1IからI2IIIへの電流の変化が生じる。それにより、共有される第1の導体路部S1に変化した電流が流れる。
図8には、図7と類似の変形例について段階I,II,IIIが模式的に示されており、この変形例において、第1のシムスイッチSw1を有する第1の導体路部S1が図7とは異なる方法で配置されているため、第1の周回電流経路L1は第1の開口部O1と第2の開口部O2の両方を取り囲んでいる。
第1の段階Iでは、超伝導状態を中止するために第1のシムスイッチSw1が少なくとも一時的に開かれる。励磁コイルPに電流変化ΔI0Iが生じさせるか、通電されてた励磁コイルPをシム装置D/D’に対して相対的に移動する。これにより、シム導体路Cに電流の変化が誘導される。
この電流変化の間に第1のシムスイッチSw1を開く場合、第1の周回電流経路L1及び第2の周回電流経路L2の両方の一部である第1の導体路部の実効電流は、第1のシムスイッチSw1が開くため、ゼロになる。したがって第1の周回電流経路L1と第2の周回電流経路L2には、同じ強度の電流I=I1’I及びI=I1’Iが誘導される。
この電流変化の間に第1のシムスイッチSw1を閉じ電流変化後に開く場合、第1の周回電流経路と第2の周回電流経路の電流も、同様に、I=I=I1’Iとなる。
第1の段階Iの後に、第1及び第2の周回電流経路L1,L2は抵抗的に遮断される。
第2の段階IIでは、第1のシムスイッチSw1が閉じ、それに伴って第1及び第2の周回電流経路L1,L2が超伝導的に閉じられる。磁束が保存されるため、シム導体路C内の電流の流れに変化は生じない。
第3の段階IIIでは、閉じている第1のシムスイッチSw1のもとで、励磁コイルPにおける電流の変化ΔI0IIIにより、又は励磁コイルPの移動(図示せず)により、周回電流経路L1,L2,L3に電流の変化が誘導される。励磁コイルPは第1の周回電流経路L1に対して、第2の周回電流経路L2とは異なる影響を及ぼすので(励磁コイルPがどこに配置されているか、第1及び第2の周回電流経路L1,L2がどのようなインダクタンスと誘導結合を有するかによって異なる)、第1の周回電流経路L1ではI1’IからI1’IIIへの電流の変化が生じ、それに対して第2の周回電流経路L2ではI1’IからI2’IIIへの電流の変化が生じる。
図9には、2つのシムスイッチSw1,Sw2を有するシム装置D’’についての方法の変形例が模式的に示されている。上記の段階I〜IIIの各ステップに加えて、第1の段階Iではさらなるステップが実行される。これにより、励磁コイルPに電流の変化ΔI00が生じる。励磁コイルPへのこの通電の前又は後に、シムスイッチSw1,Sw2が開かれる。このことは、励磁コイルPへの通電とは関係なく、周回電流経路L1,L2,L3がその後に無電流になるという効果を奏する。それに伴い、たとえば励磁プロセスの終了時に励磁コイルPの電流がゼロになるように、第1の段階Iにおける励磁コイルPの電流強度を選択することが可能になり、それにより、望ましくない電流を誘導することなく、励磁コイルPをシム装置D’’から取り外すことができる。
第1の段階Iのその後の過程で、まず別のシムスイッチSw2が閉じられ、その後、励磁コイルPの電流が事前に規定された値I0Iに設定される。これにより、第1及び第2の周回電流経路L1及びL2に(又は第3の周回電流経路L3においてこれと等価に)、電流I1’’Iを誘導する。図9に示す例では、第1及び第2の周回電流経路L1,L2は、それぞれ、2つの開口部O1,O2のうちの1つのみを取り囲む。したがって、以後の方法は図7の段階II及びIIIに準じて行われる。
図9を用いて説明した方法の変形例は、2つのシムスイッチSw1,Sw2の位置が入れ替わっている場合にも可能である。その場合、以後の方法は図8に準じて行われる。
単一の(第1の)シムスイッチSw1を有する、本発明による方法のすべての変形例では、本発明によるシム装置D,D’の励磁後、第3の段階IIIにおける励磁コイルPの電流変化が第1の段階Iにおける負の電流変化と等しい限りは、第1の周回電流経路L1及び第2の周回電流経路L2における2つの電流強度の比が、2つの周回電流経路L1,L2のインダクタンスと誘導結合によってのみ決定され、励磁コイルPの固定された空間的な位置には左右されない。本発明による方法により、明確に定義された磁場分布を単一のシム導体路Cによって生成することができる。
それぞれ1つの開口部を有する2つの独立したシム導体路Cを使用してこのような電流軌跡を生成するのとは対照的に、2つ電流経路L1,L2の間の電流比を、及びその結果生成される磁場分布を、本発明による方法によって正確にコントロールすることが可能である。これは、励磁コイルPの相対的な位置(又は周回電流経路L1,L2と励磁コイルPとの間の誘導結合)や、励磁コイルPにおける電流変化の精度に依存しないからである。
C シム導体路
D,D’,D’’ シム装置
E 励磁装置
K クライオスタット
L1 第1の周回電流経路
L2 第2の周回電流経路
L3 第3の周回電流経路
M マグネットコイルシステム
MM 主磁石
N 垂直面
O1 第1の開口部
O2 第2の開口部
P 励磁コイル
S1 第1の導体路部
S2 別の導体路部
Sw1 第1の導体路部域の第1のシムスイッチ
Sw2 別の導体路部の別のシムスイッチ
z 軸
I 第1の段階
II 第2の段階
III 第3の段階
第1の周回電流経路の電流
第2の周回電流経路の電流

Claims (14)

  1. マグネットアセンブリ(M)に使用するシム装置(D;D’;D’’)であって、前記シム装置(D;D’;D’’)は、少なくとも1つのHTS(=高温超伝導材料を含む)シム導体路(C)と、第1のシムスイッチ(Sw1)とを有し、前記シム導体路(C)は軸(z)を中心として湾曲した面の上に位置し、前記第1のシムスイッチ(Sw1)は、第1の導体路部(S1)における超伝導状態を一時的に中止するために、前記シム導体路(C)の前記第1の導体路部(S1)に配置される、シム装置において、
    前記シム導体路(C)は少なくとも第1の開口部(O1)と第2の開口部(O2)とを取り囲み、それにより前記シム導体路(C)は、第1の周回電流経路(L1)と、第2の周回電流経路(L2)と、第3の周回電流経路(L3)とを有し、3つの前記周回電流経路(L1,L2,L3)のうち2つはそれぞれ両方の前記開口部(O1,O2)のうちの1つだけを取り囲み、3つの前記周回電流経路(L1,L2,L3)のうちの1つは2つの前記開口部(O1,O2)を取り囲み、
    前記第1のシムスイッチ(Sw1)が配置された前記第1の導体路部(S1)は、前記第1の周回電流経路(L1)及び前記第2の周回電流経路(L2)のみの一部であることを特徴とするシム装置。
  2. 前記シム導体路(C)は少なくとも1つの層として前記軸(z)を中心として巻かれており、前記軸(z)に対して平行に延び、径方向に重なる少なくとも2つの導体路部を有することを特徴とする、請求項1に記載のシム装置(D;D’;D’’)。
  3. 前記シム導体路(C)は前記軸(z)の垂直面(N)への投影像に関して対称に延びることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシム装置(D;D’;D’’)。
  4. 前記第1の周回電流経路(L1)と前記第2の周回電流経路(L2)は前記軸(z)の垂直面(N)への投影像に関してそれぞれ逆対称に延びることを特徴とする、請求項3に記載のシム装置(D)。
  5. 前記第1の周回電流経路(L1)と前記第2の周回電流経路(L2)は前記軸(z)の垂直面(N)への投影像に関してそれぞれ逆対称に延びていないことを特徴とする、請求項3に記載のシム装置(D’;D’’)。
  6. 前記第1の周回電流経路(L1)は前記第2の周回電流経路(L2)と同一のインダクタンスを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のシム装置(D;D’;D’’)。
  7. 前記シム導体路(C)は、HTS被覆されたフィルムでできており、前記フィルムは好ましくは高抵抗で電気的にブリッジされていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のシム装置(D;D’;D’’)。
  8. 別のシムスイッチ(Sw2)が、超伝導状態を一時的に中止するために別の導体路部(S2)に配置され、前記別の導体路部(S2)は前記第3の周回電流経路(L3)の一部であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のシム装置(D’’)。
  9. 磁気共鳴装置用のマグネットアセンブリにおいて、前記マグネットアセンブリは、
    室温ボア(B)を有するクライオスタット(K)と、
    前記クライオスタット(K)の中に配置され、
    軸(z)が延在している作業空間内に前記軸(z)の方向に磁場を生成するための主磁石(MM)、及び
    前記主磁石(MM)により前記作業空間内に生成される磁場の空間的なプロファイルを設定するための、及び/又は前記磁場を空間的に均一化するための、請求項1から8のいずれか1項に記載のシム装置(D;D’;D’’)
    を有する超伝導マグネットコイルシステム(M)と、
    前記シム装置(D;D’;D’’)の前記少なくとも1つのシム導体路(C)と誘導結合するよう構成された少なくとも1つの励磁コイル(P)を有する励磁装置(E)と、
    を有するマグネットアセンブリ。
  10. 前記励磁コイル(P)は励磁プロセス中に前記第1の周回電流経路(L1)及び前記第2の周回電流経路(L2)とそれぞれ異なる程度で誘導結合することを特徴とする、請求項9に記載のマグネットアセンブリ。
  11. 異なる周回電流経路(L1,L2,L3)が同一の前記励磁コイル(P)と誘導結合することを特徴とする、請求項9又は10に記載のマグネットアセンブリ。
  12. 請求項9から11のいずれか1項に記載のマグネットアセンブリにおいて請求項1から8のいずれか1項に記載のシム装置(D,D’,D’’)を励磁する方法であって、
    前記励磁コイル(P)により生成され、前記シム導体路(C)により包囲された面を通る磁束の変化によって前記シム導体路(C)の電流の変化が誘導的に起こる方法において、
    I.第1の段階(I)では、任意の順序で、前記第1のシムスイッチ(Sw1)が超伝導状態を中止するために少なくとも一時的に開かれ、前記励磁コイル(P)における電流の変化によって、又は前記励磁コイル(P)の移動によって、前記周回電流経路(L1,L2,L3)のうちの少なくとも1つに電流の変化が誘導され、
    II.第2の段階(II)では、前記第1のシムスイッチ(Sw1)を閉じることによって前記第1の周回電流経路(L1)及び前記第2の周回電流経路(L2)が超伝導的に閉じられ、
    III.第3の段階(III)では、閉じられた前記第1のシムスイッチ(Sw1)のもとで、前記励磁コイル(P)における電流の変化によって、又は前記励磁コイル(P)の移動によって、前記周回電流経路(L1,L2,L3)に電流の変化が誘導される方法。
  13. 前記第3の周回電流経路(L3)が励磁プロセスの間、超伝導的に閉じられたまま保たれることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 請求項9から11のいずれか1項に記載のマグネットアセンブリにおいて請求項8に記載のシム装置(D’’)を励磁するための請求項12に記載の方法において、
    前記第1の段階(I)では、前記励磁コイル(P)における電流の変化の前又は前記励磁コイル(P)の移動前に次の3つのステップがこの順序でさらに実行され、すなわち、
    超伝導状態を中止するために前記別のシムスイッチ(Sw2)が少なくとも1回開かれ、
    前記励磁コイル(P)における電流の変化によって、又は前記励磁コイル(P)の移動によって、前記周回電流経路(L1,L2,L3)のそれぞれにさらなる電流の変化が誘導され、
    前記別のシムスイッチ(Sw2)が閉じられる方法。
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