以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
本願明細書(特許請求の範囲でも同様)においては、底部シートと天面シートとが対向する方向を「上下方向」とし、一対の胴部シートが積層される方向を容器の「表裏方向」とし、上下方向及び表裏方向と直交する方向を容器の「幅方向」とする。
以下では、まず、図1〜図3を参照して、本実施形態のスパウト装着装置を含む製造システムで製造されるパウチ容器10について説明し、その後で、パウチ容器の製造システム及び本実施形態のスパウト装着装置について説明する。
図1は、内容物を充填した後のパウチ容器10の一実施形態を示す斜視図である。図2は、内容物の充填前において折り畳まれた状態にあるパウチ容器10の(a)表面図と(b)裏面図である。また、図3は、図2(a)に示したパウチ容器を矢印A方向から見た側面図である。
図1及び図2に示すように、パウチ容器10は、一対の胴部シートのうちの一方側の胴部シートである表面シート11と、一対の胴部シートのうちの他方側の胴部シートである裏面シート12と、底部シート13と、天面シート14とを備える。このパウチ容器10は、内容物の充填により底部シート13が展開して自立可能になるスタンディングパウチである。
表面シート11及び裏面シート12は、容器の表面部及び裏面部をそれぞれ構成するシート材であり、底部シート13は、表面シート11と裏面シート12との間に折り込まれて挿入され、底ガセット部を構成するシート材である。底部シート13は、幅方向に沿って形成された折目線L3により、容器の内部側に向かって山折りに折り返されている。天面シート14は、容器の上面部を構成するシート材である。
パウチ容器10は、互いに重ね合わされた表面シート11と裏面シート12との間に、底部シート13を折り畳んだ状態で各シート材の端縁同士を接合するシール部を形成し、内容物が充填される容器内部空間である充填部17を密閉した袋状の構造を有する。
詳しくは、パウチ容器10は、上記シール部として、トップシール部20と、ボトムシール部21と、サイドシール部22とを有する。トップシール部20は、天面シート14の端縁に略八角形をなす枠状に形成されるシール部であり、天面シート14の外周端縁と表面シート11及び裏面シート12の各上端部11a,12aとが接合されて形成される。
ボトムシール部21は、底部シート13の端縁に形成されるシール部であり、底部シート13と表面シート11及び裏面シート12の各下端部とが接合されて形成される。また、底部シート13には、幅方向両端に三角形状の未シール部16が形成されており、この未シール部16に対応する幅方向縁部に半円状の切欠き18が形成されている。この底部シート13の切欠き18を介して表面シート11と裏面シート12とが直接接合されている。
サイドシール部22は、表面シート11及び裏面シート12の幅方向端縁同士を直接接合して幅方向両端にそれぞれ形成される。サイドシール部22は、他のシール部と同様に、充填部17を密閉するための端縁シール部である。サイドシール部22は、上下方向に沿って延びるように形成されている。また、サイドシール部22は、上端部及び下端部を除いて一定の幅Wで形成されている。このように各シール部20,21,22を構成することによって、容器内部空間である充填部17を密閉する。充填部17に充填される内容物としては、特に限定されず、例えば、シャンプー、リンス、トリートメント、洗剤等の生活用各種ケア製品やスポーツドリンク等の飲料が挙げられる。内容部は、液体に限らず、粘性物や粉状物であってもよい。
表面シート11及び裏面シート12は、いずれも上下方向にやや長く延びた略矩形状を呈する。底部シート13も略矩形状を呈し、例えば、表面シート11及び裏面シート12の下端から表面シート11等の上下方向全長に対して1/5程度の範囲に設けられる。天面シート14は、略八角形状を呈し、表面シート11及び裏面シート12の上端に設けられる。なお、天面シート14は、略八角形のものに限定されず、例えば、四角形、六角形等の他の多角形形状であってもよいし、あるいは、円形、楕円形、菱形等の形状であってもよい。
パウチ容器10では、ボトムシール部21とサイドシール部22との境界部に下部スポットシール19aが形成され、トップシール部20とサイドシール部22の境界部に上部スポットシール19bが形成されている。これらの下部及び上部スポットシール19a,19bは、各シール部20,21,22が形成された後に、別途形成される。下部スポットシール19aは、図2及び図3に示すように、表面シート11及び裏面シート12と底部シート13との間に形成されるシール境界部23のシール強度を増加させるために局部的に形成される。また、上部スポットシール19bは、表面シート11及び裏面シート12と天面シート14との間に形成されるシール境界部24のシール強度を増加させるために局部的に形成される。
各シート11〜14を形成するシート材は、パウチ容器10の壁面部を構成するシート状部材であって、通常、樹脂フィルムから構成される。シート材を構成する樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、シール部は、通常、ヒートシールにより形成されるので、シート材には、ヒートシール性も要求される。シート材としては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シート材が好適であり、高いガスバリア性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にガスバリア層を設けることが好適である。シート材の厚みは、例えば10μm〜300μmであり、好ましくは20μm〜200μmである。
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、及びガスバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーションなどにより行うことができる。
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)など)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66など)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びポリエーテルスルフォン(PES)等から構成される一層又は二層以上の延伸又は未延伸フィルムが例示できる。ベースフィルム層の厚みは、例えば10μm〜200μmであり、好ましくは10μm〜100μmである。
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上の延伸又未延伸フィルムが例示できる。シーラント層の厚みは、例えば20μm〜200μmであり、好ましくは30μm〜180μmである。
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物などを蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。ガスバリア層の厚みは、例えば0.1μm〜20μmであり、好ましくは0.2μm〜10μmである。
シート材には、内容物の商品名や原材料・使用上の注意事項等の商品説明、その他各種デザインなどを表示するための印刷層(図示せず)を設けることができる。例えば、印刷層は、グラビア印刷等の公知の方法により、ベースフィルム層の内側の面に形成できる。
シール部は、ヒートシールにより形成されることが好適である。ヒートシールによるシール部は、各シート材のシーラント層が容器の内側となるように重ね合わせて熱圧着することで形成できる。
図1に示すように、パウチ容器10には、天面シート14の中央部に、内容物を充填及び取り出すための口栓30が設けられている。口栓30は、天面シート14に固定されるスパウト31と、スパウト31の外周に形成されたネジ部に螺合されたキャップ32とで構成される。
スパウト31は、天面シート14から外側に突出する円筒状の筒部31aと、筒部31aの一端部外周から径方向外側に張り出したフランジ部31bとを有する。スパウト31は、例えばポリエチレン等の樹脂材料によって構成されている。本実施形態では、フランジ部31bは略矩形状を呈し、天面シート14の内面(すなわち充填部17側の面)にフランジ部31bがヒートシールされて取り付けられている。フランジ部31bの形状は、略矩形状に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、長円形、多角形等の他の形状であってもよい。
スパウト31からパウチ容器10の充填部17に内容物を充填すると、底部シート13が展開して表面シート11及び裏面シート12が互いに離間し、図1に示すように胴部が膨らんだ形態となる。この状態で、キャップ32をスパウト31に締め込んで、パウチ容器10内に内容物を封入する。こうして、パウチ容器10の自立性が発現する。パウチ容器10では、天面シート14を設けたことにより、図1に示すように容器の上部も膨らんで、あたかもボトルのような形態となる。
次に、図4以降を参照して、上述したパウチ容器10の製造システム1について説明する。
図4は、本発明の一実施形態であるスパウト装着装置を含むパウチ容器の製造システム1を示す概略図である。図4(図5、図6、図9、図11等も同様)において、シート材Mの搬送方向(すなわちパウチ容器10の製造工程進行方向)が矢印Xで示される。
図4に示すように、製造システム1は、パウチ容器10が幅方向に多数連なった容器連続体を製造する製造装置40と、容器連続体を切断して個々のパウチ容器10に分離する切断装置50とを備える。
容器連続体の製造装置40は、リールユニット41、アキュームユニット42、孔形成ユニット43、折目線形成ユニット44、折りユニット45、スパウト装着装置46、メインシール装置47、切除ユニット48、及び、スポットシール装置49を含む。
リールユニット41は、長尺帯状のシート材Mが巻き付けられているリールが回転可能に支持されており、このリールからシート材Mが連続的に繰り出されるようになっている。
アキュームユニット42は、リールユニット41から繰り出されたシート材Mをある程度の長さの余裕を持って蓄積している。これにより、シート材Mを下流側ユニットに安定的に供給できる。
孔形成ユニット43はシート材Mに貫通孔をパンチ加工によって形成し、折目線形成ユニット44はシート材Mに複数の折目線を、例えば、薄い折目線形成ローラを回転させながらシート材Mに当接させる等によって形成する。
図5は、折目線及び貫通孔が形成されたシート材Mの平面図である。図5に示すように、孔形成ユニット43は、天面シート14となるシート部分にスパウト31の筒部31a(図2(a)、図3参照)を挿通するための貫通孔であるスパウト装着孔54を等ピッチで形成する。また、孔形成ユニット43は、個々のパウチ容器10に分離されたときに半円状の切欠き18(図1及び図2参照)となる円形の貫通孔56を、スパウト装着孔54とは半ピッチずれた位置に形成する。
本実施形態のシート材Mには、折目線形成ユニット44によって6本の折目線L1〜L6がシート材Mに長手方向に沿って平行に形成される。これらの折目線L1〜L6は、後工程の折りユニット45において各折目線L1〜L6でシート材Mが折られることで、表面シート11、底部シート13、裏面シート12、及び、天面シート14となるシート部分を区画するものである。なお、図5において、シート材Mの表側フィルム面に凹み形成された折目線L1,L3,L5が実線で示され、シート材Mの裏側フィルム面に凹み形成された折目線L2,L4,L6が破線で示されている。
シート材Mの幅方向一方縁部(図5中の上側縁部)から折目線L2までの領域が表面シート11となるシート部分であり、折目線L2から折目線L4までの領域が底部シート13となるシート部分である。また、折目線L4から折目線L6まで領域が裏面シート12となるシート部分であり、折目線L6からシート材Mの幅方向他方縁部(図5中の下側縁部)までの領域が天面シート14となるシート部分である。
折りユニット45は、シート材Mを上記複数の折目線に沿って折り曲げる。図6は、折り畳まれたシート材からなる容器連続体の天面シート部分に3つのスパウト31が装着される様子を示す斜視図である。折りユニット45では、シート材Mが、図6に示すように、折目線形成ユニット44によって形成された6本の折目線L1〜L6で折り曲げられる。これにより、シート材Mには、表面シート11を構成する表面シート部分、裏面シート12を構成する裏面シート部分、底部シート13を構成する底部シート部分、及び、天面シート14を構成する天面シート部分が区画形成される。なお、図6では、個々のパウチ容器10に分離されたときに半円状の切欠き18となる円形の貫通孔の図示が省略されている。
折りユニット45の下流側に設置されたスパウト装着装置46は、天面シート14となるシート部分に形成されたスパウト装着孔54にスパウト31の筒部31aを挿通した状態でフランジ部31bをヒートシールして、天面シート14となるシート部分に装着する。スパウト装着装置46の詳細については後述する。
メインシール装置47は、図6に示すように折り畳まれたシート材Mの天面シート14となるシート部分にスパウト31がヒートシールによって装着されたものに、加熱されたシールバーを押し当ててパウチ容器10のトップシール部20、ボトムシール部21及びサイドシール部22となるシール部分を形成する。
切除ユニット48は、パウチ容器10の天面外形形状を成形するために不要部分を切除する。具体的には、天面シート14となるシート部分の両側縁部を略三角状に切除する。これにより、個々のパウチ容器10に分離されたときに天面シート14が略八角形状になる。
図7は、切除ユニット48を通過した容器連続体2を示す平面図である。容器連続体2は、個々のパウチ容器10に切断されたときに、トップシール部20となるシール部分20A、ボトムシール部21となるシール部分21A、及び、サイドシール部22となるシール部分22Aが上記メインシール装置47によって形成されている。サイドシール部22となるシール部分22Aの幅方向中央に、上下方向に延びる切断予定線CLが示されている。また、容器連続体2において天面シート14となるシート部分は、それぞれ両側縁部が上記切除ユニット48によって略三角状に切除されて略八角形状に形成されている。
スポットシール装置49は、パウチ容器10における下部及び上部スポットシール19a,19b(図2参照)を形成する。スポットシール装置49は、図7に示すように、サイドシール部22となるシール部分22Aとボトムシール部21となるシール部分21Aとの境界部に、先端面が長方形状をなす加熱されたスポットシールバー52を表裏方向に押圧する。また、スポットシール装置49は、サイドシール部22となるシール部分22Aとトップシール部20となるシール部分20Aとの境界部に、先端面が長方形状をなす加熱されたスポットシールバー53を表裏方向に押圧する。これにより、個々のパウチ容器10に分離されたときに下部及び上部スポットシール19a,19bのそれぞれ2つ分に相当する大きさのスポットシールが形成される。その結果、個々のパウチ容器10として分離されたときに、サイドシール部22とボトムシール部21及びトップシール部20とのシール境界部23,24(図3参照)のシール強度が増加し、パウチ容器10の落下時等の破袋強度が増大する。
パウチ容器の製造システム1における切断装置50は、スポットシール装置49を通過した容器連続体2を切断予定線CLで切断して個々のパウチ容器10に分離する。図8は、容器連続体2が切断されて個々のパウチ容器10が生成された状態を示す。切断装置50の態様は、どのようなものであってもよく、例えば、はさみ型の切断装置や、固定刃及び可動刃を含む切断装置等が挙げられる。このようにしてパウチ容器10が連続的に製造される。
次に、図9〜図11を参照して、本実施形態のスパウト装着装置46について詳細に説明する。図9は、スパウト装着装置46の要部を概略的に示す正面図である。図10は図9中のB−B線の拡大断面図であり、図11は図9中の矢印C方向から見た支持ガイドの上面図である。なお、図10では、第1加熱部材71が上昇した位置にあって、スパウト31のフランジ部31bがスパウト保持部63と加熱部材71とに挟持された状態が示される。
スパウト装着装置46は、図6を参照して上述したように、折り畳まれたシート材Mにおける天面シート14となるシート部分に形成されたスパウト装着孔54にスパウト31の筒部31aを挿入し、スパウト31のフランジ部31bをスパウト装着孔54の周縁にヒートシールすることによって装着する装置である。スパウト装着装置46は、図9に示すように、折り畳まれたシート材Mの搬送方向(矢印X方向)に沿って順に設置された、第1シールステーション46a、第2シールステーション46b、及び、冷却ステーション46cを含む。
スパウト装着装置46の第1シールステーション46aには、スパウト装着ヘッド60が設置されている。スパウト装着ヘッド60は、スパウト31を搬送、挿入、及び接合する機能を有する。詳しくは、スパウト装着ヘッド60は、所定の取出位置に供給されたスパウトを保持して搬送し、折り畳まれたシート材Mの天面シート14となるシート部分にあるスパウト装着孔54にスパウト31の筒部31aを挿入し、後述する加熱部材との間にスパウト31のフランジ部31bとスパウト装着孔54の周縁のシート部分とを挟んで押圧及び加熱することによりスパウト31を天面シートとなるシート部分に接合する。
図9に示すように、スパウト装着ヘッド60は、ロボットアーム等の移動機構に連結されたヘッド本体62と、ヘッド本体62の下面に突出して設けられた3つのスパウト保持部63とを有する。スパウト装着ヘッド60は、上記移動機構によってスパウト31が供給されるスパウト供給位置(図示せず)と、シート材Mのスパウト装着孔54にスパウト31を挿入するスパウト装着位置との間を往復移動する。
スパウト装着ヘッド60における3つのスパウト保持部63は、シート材Mのスパウト装着孔54と等ピッチPで並んで配置されている。また、各スパウト保持部63は、外形が略円柱状に形成されている。そして、図10に示すように、スパウト保持部63の下端面の中央部には、略円錐台状をなす突起64が突設されている。この突起64は、スパウト31の筒部31a内に嵌まり込んでスパウト31の保持位置を正確に位置決めする機能を果たす。さらに、各スパウト保持部63においてスパウト31のフランジ部31bを吸引保持する部分、すなわち、突起64の周囲部分は、変形したフランジ部31bに沿って柔軟に変形するように例えば、シリコン、ゴム等の軟質な材料で形成されるのが好適である。
再び図9を参照すると、スパウト装着装置46は、スパウト装着ヘッド60の下方位置に昇降ステージ70を備える。昇降ステージ70は、図示しない駆動機構によって、昇降移動可能になっている。昇降ステージ70上であって第1シールステーション46aには、スパウト装着ヘッド60のスパウト保持部63に対応して3つの第1加熱部材(加熱部材)71が配置されている。
第1加熱部材71は、図示しないヒータによって加熱されている。第1加熱部材71の温度は、シート材Mのシーラント層の融点よりも高く、かつ、シート材Mを構成するベースフィルム層の融点(例えばPETフィルムの場合は260℃)よりも低い温度に加熱されているのが好ましい。また、第1加熱部材71は、円筒状の上端部75を有し、その内部にスパウト31の筒部31aを収容可能な円柱状の収容凹部74が形成されている。第1加熱部材71の上端部75の先端面は、シート材Mのスパウト装着孔54の周縁に当接可能な形状及び大きさに形成されている。これにより、昇降ステージ70が上昇移動したとき、図10に示すように、スパウト保持部63に吸引保持されたスパウト31のフランジ部31bとシート材Mのスパウト装着孔54の周縁とが、第1加熱部材71の上端部75とスパウト保持部63との間に挟持されることよって押圧及び加熱されて仮接合される。
スパウト装着装置46の昇降ステージ70上には、第2シールステーション46bに対応して3つの第2加熱部材72が配置され、冷却ステーション46cに対応して3つの冷却部材73が配置されている。本実施形態では、第2加熱部材72は第1加熱部材71と略同一に形成され、冷却部材73は第1加熱部材71よりも大きく形成されている。また、第1加熱部材71、第2加熱部材72及び冷却部材73は、折り畳まれたシート材Mの搬送方向(矢印X方向)に沿って直線状に所定ピッチPで配列されている。これにより、折り畳まれたシート材Mがパウチ容器10の3個分の全幅に対応する距離(すなわちP×3)ごとに間欠搬送されることで、第1シールステーション46aでスパウト装着孔54に装着されたスパウト31の筒部31aが第2シールステーション46b及び冷却ステーション46cにおいて第2加熱部材72及び冷却部材73の内部に嵌り込むことができる。
スパウト装着装置46の第2シールステーション46bには、例えばプレート状の当接部材68が3つの第2加熱部材72の上方に対向して配置されている。当接部材68は、昇降ステージ70が上昇移動したとき、第2加熱部材72の円筒状の上端部との間にスパウト31のフランジ部31b及びシート材Mのスパウト装着孔54の周縁を挟持して押圧する。第2加熱部材72の温度は、第1加熱部材71と同様に、シート材Mのシーラント層の融点よりも高く、かつ、シート材Mを構成するベースフィルム層の融点(例えばPETフィルムの場合は260℃)よりも低い温度に加熱されているのが好ましい。これにより、第2シールステーション46bでは、スパウト31のフランジ部31bが、シート材Mの天面シート14となるシート部分に対してより強固にヒートシール(本接合)される。
スパウト装着装置46の冷却ステーション46cには、例えば扁平筐体状をなす水冷式の冷却装置69が3つの冷却部材73に対向して配置されている。冷却装置69は、昇降ステージ70が上昇移動したとき、冷却部材73の円筒状の上端部との間にスパウト31のフランジ部31b及びシート材Mのスパウト装着孔54の周縁を挟持する。これにより、スパウト31のフランジ部31bがヒートシールされた部分が冷却されるようになっている。
図9及び図10に示すように、スパウト装着装置46には、支持部材80が設けられている。支持部材80は、スパウト装着装置46の架台に立設された図示しない取付部材によって所定の高さ位置に固定配置されている。
支持部材80は、図9では中間部分が省略されて示されているが、図11にはその全体が示されている。支持部材80は、スパウト装着装置46において、第1シールステーション46aの上流側位置から、冷却ステーション46cの下流側位置まで延設されている。支持部材80は、図10に示すように、スパウト装着装置46において、スパウト31が装着されるシート材Mの天面シートとなるシート部分に接触して下方から支持する機能を有する。
支持部材80は、長尺状の金属板によって好適に構成される。支持部材80は、上側支持板81と、前側壁板82と、後側壁板84とを有する。上側支持板81は、図11に示すように、シート材搬送方向Xに沿って延びる溝86が形成されている。溝86は、シート材搬送方向Xの上流側端部が閉じており、下流側端部が開放している。このように溝86の下流側端部が開放していることで、スパウト31が装着されたシート材の天面シート14となるシート部分を上側支持板81で支持しながらスパウト31の筒部31aと干渉することなく、シート材Mを下流側に移送することができる。
また、上側支持板81の溝86は、各ステーション46a,46b,46cの第1加熱部材71、第2加熱部材72および冷却部材73に対応する位置に切欠き87がそれぞれ形成されて溝幅が広くなっている。これにより、各ステーション46a,46b,46cにおいて、支持部材80の上側支持板81に干渉することなく、第1加熱部材71、第2加熱部材72および冷却部材73がスパウト31のフランジ部31bを押圧することができる。また、このような切欠き87を設けることで、シート材搬送方向Xに沿って延在する上側支持板81のシート材Mとの接触面積を大きくすることができる。したがって、後述するように、上側支持板81によるシート材Mの天面シート14となるシート部分に対する冷却効果を向上させることができる。
図10に示すように、支持部材80の前側壁板82は、上側支持板81の端縁部が略L字状に折り曲げられて形成され、上側支持板81を強度補強する機能を有する。また、上側支持板81と前側壁板82の連結部である内側角部には、第1冷却管83が付設されている。第1冷却管83は、例えば、ろう付け等によって支持部材80に取り付けられている。
支持部材80の後側壁板84は、略L字状に折り曲げられた金属板によって形成され、下端部が上側支持板81の他方側端縁部の下面に例えば溶接、ねじ留め等によって連結されている。後側壁板84の上端部は、上側支持板81の上方へ立ち上がってシート材搬送方向Xに沿って延在して、折り畳まれたシート材Mの折目部(より詳細には、折目線L5での折目部)に嵌まり込んでいる。これにより、支持部材80の後側壁板84は、上側支持板81を強度補強するとともに、搬送されるシート材Mをガイドする機能を有している。さらに、図10に示すように、後側壁板84の下面には、第2冷却管85が例えば、ろう付け等によって取り付けられている。
支持部材80の冷却機構には、第1および第2冷却管83,85が含まれる。第1および第2冷却管83,85の内部には、冷却媒体として例えば冷却水が流される。第1および第2冷却管83、85には、図9に示すように、一端部から冷却媒体としての冷却水がそれぞれ流され、他端部から冷却水が排水される。冷却水は、図示しない冷却水クーラーユニットを介して第1および第2冷却管83,85に循環供給される。なお、第1および第2冷却管83,85に供給される冷却水は、スパウト装着装置46の冷却装置69、メインシール装置47の冷却装置(図示せず)及びスポットシール装置49の冷却装置(図示せず)などを経由したうえで、支持部材80に循環供給されてもよい。
上記のように支持部材80に第1および第2冷却管83,85が設けられていることで、支持部材80の上側支持板81が効果的に冷却される。これにより、加熱された第1および第2加熱部材71,72からの伝熱によって、支持部材80が高温になるのを抑制できる。その結果、第1および第2シールステーション46a,46bにおいてスパウト31のフランジ部31bがシート材Mの天面シートとなるシート部分に仮接合および本接合されるとき、フランジ部31bに対応するシート部分だけが加熱され、その周囲のシート部分は上側支持部材81に当接して冷却される。よって、シート材Mのスパウト装着孔54近傍のシート部分が上側支持板81に接触して支持されていても熱的影響により伸びるのを抑制できる。したがって、スパウト装着工程の後工程でトップシール部20が形成されるとき、スパウト31の周囲に放射状のしわが形成されるのを低減できる。また、しわがトップシール部20にかかるくらいにまで大きく形成されてしまうことでパウチ容器が不良品となるのを防止でき、廃棄コスト削減に貢献できる。
図11に示すように、支持部材80によって支持された天面シートとなるシート部分を冷却するための冷却機構は、支持部材80によって支持されたシート部分及び支持部材80の少なくとも一方に向けて冷却風を吹き付ける冷却ノズル90を含んでもよい。この場合、冷却ノズル90は、第2シールステーション46bに対応して複数(本実施形態では3つ)設けられるのが好ましい。このように冷却ノズル90を設けることで、支持部材80の冷却(すなわち温度上昇抑制)をより効果的に実現することができる。ただし、冷却ノズル90は、第1シールステーション46aおよび冷却ステーション46cの少なくとも一方にも設置されてもよい。また、支持部材80によって支持された天面シートとなるシート部分及び支持部材80の少なくともを冷却するための冷却機構は、冷却ノズル90のみを含み、冷却パイプ83,85が省略されてもよい。
なお、本発明に係るスパウト装着装置は、上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々の変更や改良が可能である。
例えば、上記では第1および第2冷却管83,85を第1シールステーション46aから冷却ステーション46cまで延設した例について説明したが、これに限定されるものではない。第1および第2冷却管83,85は、第1および第2シールステーション46a,46bだけに対応して設けられてもよい。