図1は本発明に係る印刷機を模式的に示す正面図であり、図2は図1の印刷機が備える電気的構成を示すブロック図である。図1および以下の図では、Z方向を鉛直方向とし、X方向およびY方向を水平方向とするXYZ直交座標軸を適宜示す。この印刷機1は、マスクMを保持するマスク保持ユニット2と、マスクMの下方に配置された基板保持ユニット4と、マスクMの上方に配置されたスキージユニット6とを備える。さらに、印刷機1は、CPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)等で構成された主制御部10と、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶部11とを備える。そして、主制御部10が記憶部11に記憶される印刷プログラムに従って各ユニット4、6を制御することで、基板保持ユニット4により基板BをマスクMに下方から接触させつつスキージユニット6のスキージ61の先端をマスクMの上面にX方向へ摺動させる。これによって、マスクMの上面に供給された半田Sを、マスクMを貫通するパターンMp(図6)を介して基板Bの上面Buに印刷する印刷動作が実行される。
また、印刷機1は、各可動部の動作を制御する駆動制御部12およびバルブ制御部13を備え、主制御部10は、駆動制御部12およびバルブ制御部13によりユニット4、6の可動部を制御する。さらに、印刷機1は、例えば液晶ディスプレイ等で構成された表示ユニット14と、キーボードやマウスといった入力機器で構成された入力ユニット15とを備える。したがって、オペレータは、表示ユニット14の表示内容を確認することで印刷機1の稼働状況を確認したり、入力ユニット15を操作することで印刷機1に指令を入力したりできる。なお、表示ユニット14および入力ユニット15はタッチパネルにより一体的に構成しても構わない。また、印刷機1は、外部装置との通信を実行する通信部16を備え、この通信部16は、例えば上述の印刷プログラムを外部のサーバから受信して、記憶部11に記憶する。
マスク保持ユニット2はクランプ部材21を有し、マスクMはその周縁部に設けられたフレーム22を介してクランプ部材21に着脱可能に取り付けられる。これによって、平板形状を有するマスクMがマスク保持ユニット2によりXY平面に平行に(すなわち、水平)に保持される。このマスクMは、平面視において矩形状を有し、基板Bへの印刷パターンに応じた形状の貫通孔(パターンMp)を有する。
基板保持ユニット4は、マスク保持ユニット2に保持されたマスクMの下方に配置され、マスクMに対して基板Bの位置を合わせる機能を担う。この基板保持ユニット4は、基板Bを搬送する一対のコンベア41と、コンベア41から受け取った基板Bを保持する基板保持部42と、コンベア41および基板保持部42を支持する平板形状の可動テーブル43とを有する。
一対のコンベア41はX方向に間隔を空けつつY方向に平行に配置されており、それぞれの上面で基板BのX方向の両端を下方から支持する。また、基板保持ユニット4には、これらコンベア41を駆動するコンベア駆動部M41が設けられている。そして、駆動制御部12からの指令を受けたコンベア駆動部M41が各コンベア41を駆動すると、各コンベア41がY方向に基板Bを搬送して、印刷機1に対する基板Bの搬入あるいは搬出を実行する。
基板保持部42は、平板形状の昇降テーブル421と、可動テーブル43に対してZ方向にスライド可能なスライド支柱422とを有し、昇降テーブル421がスライド支柱422の上端に支持されている。この昇降テーブル421の上面にはZ方向に立設された複数のバックアップピンPがX方向およびY方向に間隔を空けて並ぶ。さらに、基板保持部42にはバックアップ駆動部M423が設けられており、駆動制御部12からの指令を受けたバックアップ駆動部M423がスライド支柱422を昇降させることで、昇降テーブル421とともにバックアップピンPを昇降させる。例えばコンベア41の基板Bの搬入時は、バックアップ駆動部M423は、各バックアップピンPの上端をコンベア41の上面より下方に位置させる。そして、コンベア41がバックアップピンPの直上に基板Bを搬入すると、バックアップ駆動部M423はバックアップピンPを上昇させることで、バックアップピンPの上端をコンベア41の上面より上方へ突出させる。これによって、バックアップピンPの上端が基板Bの下面に接触しつつ基板Bを押し上げて、コンベア41の上面から各バックアップピンPの上端へ基板Bが受け渡される。
また、基板保持部42は、一対のコンベア41の上方でX方向に間隔を空けて配置された一対のクランププレート424と、これらクランププレート424の少なくとも一方をX方向に駆動するプレート駆動部M424とを有する。各クランププレート424の上面はX方向およびY方向に平行な平面であり、同じ高さに位置する。プレート駆動部M424は、バルブ制御部13からの指令に応じてバルブを開閉することで、クランププレート424へ供給するエアを調整する。これによって、クランププレート424がX方向に駆動される。
そして、駆動制御部12がバックアップピンP上の基板Bを一対のクランププレート424の間にまで上昇させ、バルブ制御部13からの指令を受けたバルブが動作してこれらクランププレート424の間隔を狭めることで、基板Bがこれらクランププレート424によりX方向(水平方向)からクランプされる。
さらに、基板保持ユニット4は、可動テーブル43を駆動するテーブル駆動機構44を有する。このテーブル駆動機構44は、X軸テーブル441と、X軸テーブル441の上面に取り付けられたY軸テーブル442と、Y軸テーブル442の上面に取り付けられたR軸テーブル443と、R軸テーブル443に対して可動テーブル43を昇降させるボールネジ444とを有する。さらに、テーブル駆動機構44は、X軸テーブル441をX方向に駆動するX軸駆動部M441と、Y軸テーブル442をY方向へ駆動するY軸駆動部M442と、R軸テーブル443をR方向(Z方向に平行な軸を中心とする回転方向)に駆動するR軸駆動部M443と、ボールネジ444を回転させることで可動テーブル43をZ方向に駆動するZ軸駆動部M444とを有する。したがって、駆動制御部12は、各駆動部M441〜M444を制御することで、可動テーブル43に配置されたコンベア41および基板保持部42をX、Y、Z、R方向に駆動することができる。例えば搬入された基板BをマスクMに対して位置決めする際には、駆動制御部12は、クランププレート424にクランプされた基板Bの位置を、X・Y・R軸駆動部M441〜M443によりX・Y方向に調整するとともに、Z軸駆動部M444によりZ方向に調整する。これによって、クランププレート424および基板Bそれぞれの上面がマスクMの下面に接触する。
この際、主制御部10は、マスクMと基板Bとの位置合わせを、これらを撮像した結果に基づき実行する。つまり、印刷機1は、認識カメラ5と、認識カメラ5をX方向に駆動するX軸駆動部Mxとを備える。認識カメラ5は、基板BがマスクMから下方に離間した状態において、基板BとマスクMとの間の高さに位置するように設けられている。また、X軸駆動部Mxは、X方向に平行に設けられたX軸ボールネジと、X軸ボールネジを回転させるX軸モータとを有し、X軸ボールネジのナットに認識カメラ5が取り付けられている。したがって、主制御部10は、駆動制御部12を介してX軸駆動部Mxにより認識カメラ5をX方向に移動させつつ、基板BとマスクMとの間を通過する認識カメラ5によって、基板BおよびマスクMそれぞれのフィデューシャルマークを撮像することができる。そして、主制御部10は、これらフィデューシャルマークの撮像結果に基づき基板保持ユニット4を制御することで、マスクMと基板Bとの位置合わせを実行する。
さらに、印刷機1は、マスクMの下側に設けられたクリーニングユニット8と、クリーニングユニット8を制御するクリーニング制御部17とを備える。このクリーニングユニット8は、X軸駆動部Mxのナットに取り付けられており、X軸駆動部MxによってX方向に移動可能である。そして、主制御部10は駆動制御部12およびクリーニング制御部17によってクリーニングユニット8を動作させることで、ガーゼGをマスクMに下方から押圧しつつガーゼGをマスクMの下面にX方向(クリーニング方向)へ摺動させる。これによって、マスクMの下面に付着した半田SをガーゼGで拭き取るクリーニングが実行される。
図3はクリーニングユニットの一例を模式的に示す平面図であり、図4はクリーニングユニットの一例を模式的に示す正面図である。クリーニングユニット8は、ハウジング80と、ハウジング80に回転可能に支持された繰出ローラ81および巻取ローラ82を備える。これら繰出ローラ81および巻取ローラ82は、いずれもY方向に平行に配置され、互いにX方向に離間する。そして、繰出ローラ81および巻取ローラ82がY方向に平行な回転軸を中心に回転することで、ロール・トゥ・ロールでガーゼGをX方向(搬送方向)に搬送する。つまり、繰出ローラ81は、ロール状に巻き付けられた新品のガーゼGを支持し、巻取ローラ82は、繰出ローラ81から繰り出されてマスクMのクリーニングに使用されたガーゼGを巻き取る。
また、クリーニングユニット8は、繰出ローラ81に取り付けられたトルクリミッタ83と、トルクリミッタ83を介して繰出ローラ81に取り付けられたブレーキ84とを備える。そして、クリーニングユニット8は、ブレーキ84をオフにすることで繰出ローラ81の回転を許容する一方、ブレーキ84をオンにすることで繰出ローラ81の回転を禁止する。また、クリーニングユニット8は、巻取ローラ82に取り付けられた巻取モータ85を備え、巻取モータ85によって巻取ローラ82を回転させることで、繰出ローラ81から巻取ローラ82へガーゼGを搬送する。
さらに、クリーニングユニット8は、ガーゼGをマスクMに下方から押圧するクリーニングヘッド86と、クリーニングヘッド86をZ方向に駆動するヘッド駆動部Mzとを備える。クリーニングヘッド86は、X方向において繰出ローラ81と巻取ローラ82との間に配置され、ガーゼGを介してマスクMに下方から対向する押圧面861を有する。押圧面861は、XY平面に平行(すなわち、水平)な矩形状であり、X方向に所定の押圧幅Wを有する。ヘッド駆動部Mzは、アクチュエータあるいはモータによって構成され、主制御部10は、クリーニング制御部17を介してヘッド駆動部Mzを動作させることで、クリーニングヘッド86をZ方向に駆動することができる。
具体的には、図4の「押圧状態」の欄に示すように、ヘッド駆動部Mzは、押圧位置Hhにクリーニングヘッド86を位置させることで、マスクMに対して平行な押圧面861によってマスクMにガーゼGを下方から押圧する。この状態で、主制御部10は、駆動制御部12を介してX軸駆動部Mxを動作させて、クリーニングユニット8をX方向に移動させることで、押圧面861上のガーゼGをマスクMの下面に摺動させて、クリーニングを実行する。このクリーニングでは、ブレーキ84はオンしており、繰出ローラ81の回転が禁止され、ガーゼGは押圧面861に対して停止している。かかるクリーニングは、1枚の基板Bに対する印刷動作の実行の度に実行される。
ちなみに、クリーニングユニット8は、押圧面861に溶剤を供給する溶剤供給部87(図2)を有し、押圧面861に溶剤を供給しつつクリーニングを行う湿式クリーニングと、押圧面861に溶剤を供給せずにクリーニングを行う乾式クリーニングとを選択的に実行可能である。
また、図4の「離間状態」の欄に示すように、ヘッド駆動部Mzは、クリーニングヘッド86を押圧位置HhよりもマスクMから下方に離間した離間位置Hlに位置させることで、押圧面861によるガーゼGの押圧を解除する。この状態において、主制御部10は、巻取モータ85を回転させることで、押圧面861に対してガーゼGをX方向に搬送して、新品のガーゼGを押圧面861に供給する供給動作を実行できる。この供給動作では、ブレーキ84はオフしており、繰出ローラ81の回転が許容されている。
また、クリーニングユニット8は、クリーニングヘッド86と巻取ローラ82との間でガーゼGに接触する検出ローラ88を備え、この検出ローラ88は、供給動作に伴って搬送されるガーゼGに従動して回転する。そして、主制御部10は、クリーニング制御部17を介して取得した検出ローラ88の回転量に基づき供給動作で搬送されるガーゼGの長さ(搬送量)を確認しつつ、巻取モータ85を制御する。これによって、供給動作により所定量のガーゼGを的確に押圧面861に供給することが可能となっている。そして、供給動作によってガーゼGを押圧面861に供給することで、次のクリーニングを清浄なガーゼGを用いて実行することができる。
特に本実施形態では、湿式クリーニングと乾式クリーニングとで、供給動作におけるガーゼGの搬送量の制御態様が異なる。つまり、湿式クリーニングに際しては、押圧面861の押圧幅Wだけ、ガーゼGが押圧面861に対して搬送される。一方、乾式クリーニングに際しては、印刷動作によってマスクMを介して基板Bに印刷された半田Sの量に応じて、供給動作でのガーゼGの搬送量がゼロから押圧幅Wまでの範囲で調整される。続いては、乾式クリーニングの前に実行されるガーゼ搬送量制御の具体例について説明する。
図5はガーゼ搬送量制御の第1例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、主制御部10によって実行される。ステップS101では、主制御部10は、図6に例示するような、半田Sの印刷量Qの分布を取得する。ここで、図6は半田印刷量の分布の一例を模式的に示す図であり、図6の「マスク」の欄では、印刷動作で用いられるマスクMのパターンMpの一例が示され、図6の「印刷量分布」の欄では、マスクMのパターンMpを介して基板Bに印刷される半田Sの量QのY方向における分布が示されている。
マスクMのパターンMpは、ガーバーデータ、印刷された半田Sを検査した結果、あるいはマスクMを撮像した画像等に基づき、主制御部10により取得される。そして、主制御部10は、Y方向に所定幅を有する複数の基準領域AにマスクMを分割して、各基準領域Aに印刷される半田Sの量Q(半田印刷量Q)をマスクMのパターンMpに基づき算出する。具体的には、各基準領域Aに含まれるパターンMpの面積に基づき、各基準領域Aにおける半田Sの印刷量Qを得ることができる。こうして、Y方向における半田Sの印刷量Qの分布Dが算出される。なお、同図では、1枚の基板Bに対する半田Sの印刷量Qの分布Dが示されている。
ステップS102では、分布Dが最大値Qxをとる対象位置Dx(Y座標)、換言すれば、分布Dにおいて半田Sの印刷量Qが最大となる対象位置Dxが特定される。図6の例では、Y方向に隣接する複数の基準領域Aが最大値Qxを取る。このような場合には、例えば、これらの基準領域Aが存在する範囲の中心の位置(Y座標)を対象位置Dxとしても良いし、分布Dにスムージング処理を実行した曲線が最大値Qxを取る位置(Y座標)を対象位置Dxとしても良い。
ステップS103では、前回の供給動作の後に実行された印刷動作によって対象位置Dxに印刷された半田Sの量Q(半田印刷量Q)が取得される。ここでは、1枚の基板Bに対する印刷動作の度に、クリーニングに伴って供給動作が実行されるため、直前の1回の印刷動作による半田Sの印刷量Q、すなわち、図6に示す印刷量Qxが取得されることとなる。
ステップS104では、図7に示す関係に従って、供給動作でのガーゼGの搬送量Lが印刷量Qxから求められる。ここで、図7は半田印刷量と供給動作でのガーゼの搬送量との関係の第1例を示す図である。図7の関係によれば、対象位置Dxに対する半田印刷量QがゼロからQaまで増加するのに応じて、ガーゼGの搬送量Lがゼロから押圧幅Wまで線形に増加する。また、対象位置Dxに対する半田印刷量QがQa以上の範囲では、ガーゼGの搬送量Lは押圧幅Wで一定となる。そして、ステップS104では、主制御部10は、図7の関係に基づき、ステップS103で取得された半田印刷量Q、すなわち半田印刷量QxからガーゼGの搬送量Lを求める。そして、ステップS105では、主制御部10は、クリーニングユニット8にガーゼGをX方向に搬送させることで、ステップS104で求められた搬送量LのガーゼGを押圧面861に供給する(供給動作)。
かかる構成では、基板Bへの半田Sの印刷量Qによっては、供給動作におけるガーゼGの搬送量Lは押圧幅W未満となる。かかる供給動作によって、その後のクリーニングを好適に実行できる理由について図8を用いつつ説明する。ここで、図8は押圧面上のガーゼへの半田の付着状態の一例を模式的に示す図である。図8に示すように、クリーニングによってマスクMの半田SをガーゼGにより拭き取った際、押圧面861上のガーゼGの全面に均一に半田Sが付着するわけではなく、X方向(クリーニング方向)の先頭部分に偏って半田Sが付着する。しかも、上述の半田印刷量Qの分布Dが最大となる対象位置Dxにおいて、X方向における半田Sの付着長さが最大値Sxをとる傾向にある。したがって、対象位置Dxでの半田Sの付着長さSxより長い搬送量LだけガーゼGを押圧面861に供給すれば、その後のクリーニングを清浄なガーゼGで良好に実行できることとなる。
この実施形態では、かかる観点に基づき、例えば半田Sの印刷量Qと、ガーゼGに付着する半田Sの長さSxとの関係を実験的に予め求めて、この長さSxにマージンを加えて搬送量Lを算出することで、図7の関係を得る。そして、図7の関係に従って、半田Sの印刷量Qに応じた搬送量Lを設定する。
以上に説明した実施形態では、押圧面861に対して相対的にガーゼGをX方向に搬送することで、押圧面861にガーゼGを供給する供給動作が実行される。特に、対象位置Dxに対する半田Sの印刷量Q(=Qx)が所定量Qa未満の場合には、X方向において押圧幅Wよりも短い供給幅LのガーゼGが押圧面861に供給される。したがって、ガーゼGの消費量を抑制することが可能となっている。
また、主制御部10は、マスクMのパターンMpを介して半田Sを基板Bに印刷する印刷動作により印刷される半田Sの量に基づき、搬送量Lを調整する。これによって、印刷動作での半田Sの印刷量Qに応じた搬送量Lで押圧面861に供給されたガーゼGにより、適切にマスクMを清掃することが可能となる。
また、主制御部10は、印刷動作による半田印刷量Qの分布DをY方向において取得し、分布Dが最大値Qxをとる対象位置Dxに対する、前回の供給動作の実行後の半田Sの印刷量Q(=Qx)に基づき今回の供給動作での搬送量Lを調整する。かかる構成では、印刷動作による半田Sの印刷量Qが大きく、その結果、大量の半田Sが付着しやすい対象位置Dxを清浄なガーゼGで清掃することが可能となる。
また、主制御部10は、前回の供給動作の実行後の対象位置Dxへの半田Sの印刷量Q(=Qx)が大きいほど今回の供給動作での搬送量Lを長くする。かかる構成では、多量の半田Sが付着した対象位置Dxを清浄なガーゼGでより確実に清掃することが可能となる。
図9はガーゼ搬送量制御の第2例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、主制御部10によって実行される。以下では、上記の第1例との差異を中心に説明することとし、共通部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、共通する構成を備えることで同様の効果が奏される点は言うまでもない。
第2例においても、ステップS101〜S103の実行によって、直前の印刷動作による対象位置Dxへの半田印刷量Q(=Qx)が求められる。また、第2例では、第1例で用いた図7とは異なり、図10に示す関係に従って供給動作でのガーゼGの搬送量Lが印刷量Qから求められる(ステップS201)。ここで、図10は半田印刷量と供給動作でのガーゼの搬送量との関係の第2例を示す図である。図10の関係によれば、対象位置Dxに対する半田印刷量QがゼロからQbまでの範囲では、ガーゼGの搬送量Lはゼロとなり、対象位置Dxに対する半田印刷量QがQbからQcまで増加するのに応じて、ガーゼGの搬送量Lがゼロから押圧幅Wまで線形に増加する。また、対象位置Dxに対する半田印刷量QがQc以上の範囲では、ガーゼGの搬送量Lは押圧幅Wで一定となる。そして、ステップS201では、主制御部10は、図10の関係に基づき、ステップS103で算出された半田印刷量Q、すなわち半田印刷量QxからガーゼGの搬送量Lを求める。
ステップS202では、ステップS201で求めた搬送量Lがゼロより大きいか否かが判断される。搬送量Lがゼロの場合(ステップS202で「NO」の場合)には、主制御部10は、今回のクリーニングに際してガーゼGを搬送しない、すなわち供給動作を実行しないと決定する(ステップS203)。一方、搬送量Lがゼロより大きい場合(ステップS202で「YES」の場合)には、主制御部10は、ステップS204に進み、クリーニングユニット8にガーゼGをX方向に搬送させることで、ステップS201で求められた搬送量LのガーゼGを押圧面861に供給する(供給動作)。
以上に説明した実施形態においても、押圧面861に対して相対的にガーゼGをX方向に搬送することで、押圧面861にガーゼGを供給する供給動作が実行される。特に、対象位置Dxに対する半田Sの印刷量Q(=Qx)がQc未満の場合には、X方向において押圧幅Wよりも短い供給幅LのガーゼGが押圧面861に供給される。したがって、ガーゼGの消費量を抑制することが可能となっている。
ところで、第2例では、基板Bへの半田Sの印刷量Qが少ない場合には、供給動作を伴わずにクリーニングが実行される。ただし、このようなクリーニングが繰り返し実行されると、供給動作が行われないまま、半田SがガーゼGに蓄積されることとなる。そこで、次の第3例に示すように、基板Bに対する半田Sの印刷量Qの累積に基づき、ガーゼGの搬送を制御しても良い。
図11はガーゼ搬送量制御の第3例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、主制御部10によって実行される。以下では、上記の第1例および第2例との差異を中心に説明することとし、共通部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、共通する構成を備えることで同様の効果が奏される点は言うまでもない。
第3例においても、ステップS101〜S102の実行により、半田Sの印刷量Qの分布Dが最大値Qxをとる対象位置Dxが特定される。そして、第3例では、前回の供給動作の実行後における印刷動作によって対象位置Dxに印刷された累積の半田Sの量Qが算出される(ステップS301)。具体的には、前回の供給動作の後にN回(Nは正の整数)の印刷動作が実行された場合には、N×Qxが対象位置Dxに対する累積の半田印刷量Qとして取得される。
そして、第3例では、図10に示す関係に従って供給動作でのガーゼGの搬送量Lが、累積の半田印刷量Q(=N×Qx)から求められる(ステップS302)。ステップS303では、ステップS302で求めた搬送量Lがゼロより大きいか否かが判断される。搬送量Lがゼロの場合(ステップS303で「NO」の場合)には、主制御部10は、今回のクリーニングに際してガーゼGを搬送しない、すなわち供給動作を実行しないと決定する(ステップS304)。一方、搬送量Lがゼロより大きい場合には、主制御部10は、ステップS305に進み、クリーニングユニット8にガーゼGをX方向に搬送させることで、ステップS302で求められた搬送量LのガーゼGを押圧面861に供給する(供給動作)。また、供給動作の実行に伴って、半田印刷量Qの累積をゼロにリセットする(ステップS306)。
以上に説明した実施形態においても、押圧面861に対して相対的にガーゼGをX方向に搬送することで、押圧面861にガーゼGを供給する供給動作が実行される。特に、対象位置Dxに対する半田Sの累積の印刷量Q(=N×Qx)がQc未満の場合には、X方向において押圧幅Wよりも短い供給幅LのガーゼGが押圧面861に供給される。したがって、ガーゼGの消費量を抑制することが可能となっている。
また、主制御部10は、前回の供給動作の実行後の対象位置Dxへの半田Sの累積の印刷量Qが所定値Qb以下の間は供給動作を実行せず、前回の供給動作の実行後の対象位置Dxへの半田Sの累積の印刷量Qが印刷動作の実行に伴って所定値Qbを超えると供給動作を実行する。かかる構成では、1回の印刷動作による半田Sの印刷量Qが少ないような場合には、供給動作の実行を抑えて、ガーゼGの消費量をより確実に抑えることが可能となる。
図12はガーゼ搬送量制御の第4例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、主制御部10によって実行される。以下では、上記の第1例〜第3例との差異を中心に説明することとし、共通部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、共通する構成を備えることで同様の効果が奏される点は言うまでもない。
第4例においても、ステップS101〜S103の実行により、直前の印刷動作による対象位置Dxへの半田印刷量Qxが求められる。また、図10に示す関係に従って供給動作でのガーゼGの搬送量Lが対象位置Dxへの印刷量Q(=Qx)から求められる(ステップS201)。ステップS202では、ステップS201で求めた搬送量Lがゼロより大きいか否かが判断される。そして、搬送量Lがゼロより大きい場合(ステップS202で「YES」の場合)には、主制御部10は、ステップS204に進み、クリーニングユニット8にガーゼGをX方向に搬送させることで、ステップS201で求められた搬送量LのガーゼGを押圧面861に供給する(供給動作)。また、供給動作の実行に伴って、半田印刷量Qの累積をゼロにリセットする(ステップS306)。
一方、搬送量Lがゼロの場合(ステップS202で「NO」の場合)には、前回の供給動作の実行後における印刷動作によって対象位置Dxに印刷された累積の半田Sの量Qが算出される(ステップS301)。そして、図10に示す関係に従って供給動作でのガーゼGの搬送量Lが、累積の半田印刷量Q(=N×Qx)から求められる(ステップS302)。ステップS303では、ステップS302で求めた搬送量Lがゼロより大きいか否かが判断される。搬送量Lがゼロの場合(ステップS303で「NO」の場合)には、主制御部10は、今回のクリーニングに際してガーゼGを搬送しない、すなわち供給動作を実行しないと決定する(ステップS304)。一方、搬送量Lがゼロより大きい場合には、主制御部10は、ステップS305に進み、クリーニングユニット8にガーゼGをX方向に搬送させることで、ステップS302で求められた搬送量LのガーゼGを押圧面861に供給する(供給動作)。そして、供給動作の実行に伴って、半田印刷量Qの累積をゼロにリセットする(ステップS306)。
以上に説明した実施形態においても、押圧面861に対して相対的にガーゼGをX方向に搬送することで、押圧面861にガーゼGを供給する供給動作が実行される。特に、基板Bに対する半田Sの印刷量Qによっては、X方向において押圧幅Wよりも短い供給幅LでガーゼGが押圧面861に供給される。したがって、ガーゼGの消費量を抑制することが可能となっている。
図13はガーゼ搬送制御の第5例を実行する印刷機を備えた印刷システムの一例を示すブロック図であり、図14はガーゼ搬送制御の第5例を示すフローチャートである。図14のフローチャートは、印刷機1の主制御部10によって実行される。
印刷システム9は、上記の印刷機1と、検査機91とを備える。印刷機1は、半田Sを印刷した基板BをY方向に搬送して、検査機91に受け渡す。検査機91は、例えばWO2015/104799号公報等に記載の外観検査装置と同様の構成を備え、基板Bに印刷された半田Sの状態を検査し、その検査結果Iを印刷機1に送信する。そして、印刷機1は、この検査結果Iに基づき図14のガーゼ搬送制御を実行する。具体的には、押圧幅W未満に設定されたガーゼGの搬送量Lが検査結果Iに応じて調整される。
すなわち、通信部16が検査機91から半田Sの検査結果Iを受信すると(ステップS401で「YES」)、主制御部10は検査結果Iが良好であるか否かを判断する(ステップS402)。検査結果Iが良好である場合(ステップS402で「YES」の場合)には、主制御部10は、供給動作におけるガーゼGの搬送量Lを維持すると決定する。一方、印刷された半田Sににじみ等が認められ、検査結果Iが良好でない場合(ステップS402で「NO」の場合)には、主制御部10は、供給動作におけるガーゼGの搬送量Lを増加する。
この際、検査結果Iの不良の程度が僅少であれば、押圧幅W未満の範囲で搬送量Lを増加させても良いし、検査結果Iの不良の程度が大きいのであれば、搬送量Lを押圧幅Wまで増加させても良い。あるいは、検査結果Iの不良が確認される度に、押圧幅W未満の一定量ずつ段階的に搬送量Lを増加させても良い。
以上に説明した実施形態では、マスクMのパターンMpを介して基板Bに印刷された半田Sの状態を検査する検査機91からの検査結果Iを受信する通信部16が印刷機1に設けられている。そして、主制御部10は、検査結果Iに基づき搬送量Lを調整する。かかる構成では、基板Bへの半田Sの印刷を良好に行うのに必要となる量に対する、ガーゼGの搬送量Lの過不足を抑えることが可能となる。
ちなみに、ガーゼ搬送制御の第5例におけるガーゼGの搬送量Lは、第1例〜第4例のように半田Sの印刷量Qを特に考慮せずに決定することができ、例えば搬送量Lの初期値(当該初期値は押圧幅W未満)を記憶部11に記憶しておいても良い。かかる例では、初期値でガーゼGの供給動作を行ってクリーニングをした後の印刷動作により基板Bに印刷された半田Sの検査結果に基づき、搬送量Lを初期値から適宜調整すればよい。
あるいは、第1例〜第4例で搬送量Lを決定した後に、第5例を実行して、搬送量Lを検査結果Iに基づき調整するように構成することもできる。
このように本実施形態では、クリーニングユニット8、主制御部10、記憶部11、駆動制御部12、通信部16およびクリーニング制御部17を具備するマスク清掃装置C(図2)が本発明の「マスク清掃装置」の一例に相当し、クリーニングヘッド86が本発明の「クリーニングヘッド」の一例に相当し、押圧面861が本発明の「押圧面」の一例に相当し、押圧幅Wが本発明の「押圧幅」の一例に相当し、繰出ローラ81および巻取ローラ82が協働して本発明の「シート搬送部」の一例に相当し、主制御部10が本発明の「制御部」の一例に相当し、マスクMが本発明の「マスク」の一例に相当し、パターンMpが本発明の「パターン」の一例に相当し、ガーゼGが本発明の「シート」の一例に相当し、半田Sが本発明の「ペースト」の一例に相当し、搬送量Lが本発明の「供給幅」の一例に相当し、分布Dが本発明の「分布」の一例に相当し、対象位置Dxが本発明の「対象位置」の一例に相当し、印刷量Qが本発明の「印刷量」の一例に相当し、最大値Qxが本発明の「最大値」の一例に相当し、所定値Qbが本発明の「所定値」の一例に相当し、X方向が本発明の「第1方向」の一例に相当し、Y方向が本発明の「第2方向」の一例に相当し、検査機91が本発明の「検査機」の一例に相当し、検査結果Iが本発明の「検査結果」の一例に相当し、通信部16が本発明の「通信部」の一例に相当し、印刷機1が本発明の「印刷機」の一例に相当し、マスク保持ユニット2が本発明の「マスク保持部」の一例に相当し、スキージユニット6が本発明の「スキージユニット」の一例に相当し、スキージ61が本発明の「スキージ」の一例に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の実施形態では、半田印刷量Qの分布Dが最大値をとる対象位置Dxに対する半田Sの印刷量Q(=Qx)に基づき搬送量Lが調整されている。しかしながら、分布Dが比較的一様と見なせるような場合には、基板Bの全体に対する半田Sの印刷量Qに基づき搬送量Lを調整しても良い。
また、クリーニングユニット8の具体的な構成も適宜変更が可能であり、例えばブレーキ84を省略してトルクリミッタ83のみを設けても良い。また、検出ローラ88の配置等を変更しても良い。
また、クリーニングを実行する頻度も上記の例(1枚の基板Bへの印刷動作の度)に限られない。