JP6967864B2 - ポンプの制御システムおよび制御方法、ならびに、排水システム - Google Patents

ポンプの制御システムおよび制御方法、ならびに、排水システム Download PDF

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Description

本発明は、排水機場などにおけるポンプの制御システムおよび制御方法、ならびに、排水システムに関する。
雨水排水を行う排水機場においては、突発的な豪雨(いわゆるゲリラ豪雨)による雨水幹線の急激な水位上昇に対し、ポンプの始動遅れを防ぐために、水位が上昇する前にポンプを運転させておく先行待機ポンプが採用されている。
従来の先行待機ポンプは、ポンプの揚程(全揚程)が20m以下と比較的低い設備が主流であった。しかしながら、近年の都市化に伴い、雨水幹線が大深度化し、ポンプが地中深くに設置されることが多くなってきている。これにより、ポンプの揚程が30m以上となるケースも増えている。
特開2005−320863号公報
本発明の課題は、ポンプ揚程が高い場合でも、高い信頼性をもって排水を行うことができるポンプの制御システムおよび制御方法、ならびに、排水システムを提供することである。
本発明の一態様によれば、吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御システムであって、吸水槽の水位を検出する第1検出手段と、吐出先の水位を検出する第2検出手段と、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しないよう、前記ポンプの流量を制御する制御装置と、を備える制御システムが提供される。
吸水槽の水位および吐出先の水位に基づいてポンプの流量を制御することで、ポンプ揚程が高い場合でも軸動力オーバーやキャビテーションを抑えることができ、排水設備としての信頼性が向上する。
前記制御装置は、前記ポンプの吐出管に設けられた吐出弁の開度を調整することによって前記ポンプの流量を制御してもよい。
前記制御装置は、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて前記ポンプが気水混合運転から定常運転に移行する時の運転点を推定し、推定された運転点における吐出量において軸動力オーバーまたはキャビテーションが発生する場合に、前記ポンプの流量が小さくなるよう制御してもよい。
前記推定された運転点における吐出量が、軸動力オーバーまたはキャビテーションが発生する吐出量より所定値以上小さい場合、前記制御装置は前記ポンプの流量が大きくなるよう制御してもよい。
前記制御装置は、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位との差と、前記ポンプの流量とに応じて定まる前記ポンプの管路抵抗曲線と、前記ポンプの全揚程曲線と、に基づいて、前記運転点を推定してもよい。
前記制御装置は、前記ポンプの流量が前記軸動力オーバーまたはキャビテーションが発生する吐出量未満の目標値となるよう制御してもよい。
また、本発明の別の態様によれば、吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御システムであって、吸水槽の水位を検出する第1検出手段と、吐出先の水位を検出する第2検出手段と、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しないよう、前記ポンプの吸込管に接続された吸気管に送り込む気体の量を制御する制御装置と、を備える制御システムが提供される。
吸水槽の水位および吐出先の水位に基づいてポンプの吸込管に接続された吸気管に送り込む気体の量を制御することで、ポンプ揚程が高い場合でも軸動力オーバーやキャビテーションを抑えることができ、信頼性が向上する。
また、本発明の別の態様によれば、吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御システムであって、吸水槽の水位を検出する第1検出手段と、吐出先の水位を検出する第2検出手段と、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しないよう、前記ポンプの羽根車の回転速度を制御する制御装置と、を備える制御システムが提供される。
吸水槽の水位および吐出先の水位に基づいてポンプの羽根車の回転速度を制御することで、ポンプ揚程が高い場合でも軸動力オーバーやキャビテーションを抑えることができ、信頼性が向上する。
また、本発明の別の態様によれば、ポンプと、上記制御システムと、を備える排水システムが提供される。
複数の前記ポンプを備え、前記制御システムは、前記吐出先がドライの状態で初めに運転開始されるポンプを制御してもよい。
また、本発明の別の態様によれば、吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御方法であって、吸水槽の水位を検出し、吐出先の水位を検出し、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しないよう、前記ポンプの流量を制御する、制御方法が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御方法であって、吸水槽の水位を検出し、吐出先の水位を検出し、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しないよう、前記ポンプの吸込管に接続された吸気管に送り込む気体の量を制御する、制御方法が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御方法であって、吸水槽の水位を検出し、吐出先の水位を検出し、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しないよう、前記ポンプの羽根車の回転速度を制御する、制御方法が提供される。
ポンプ揚程が高い場合でも駆動力オーバーやキャビテーションを抑えることができ、ポンプの信頼性を向上できる。
排水機場に設置される先行待機ポンプ100およびその動作を説明する図。 揚程が低いポンプ100’と、揚程が高いポンプ100とを比較する図。 低揚程ポンプ100’および高揚程ポンプ100の性能曲線。 第1の実施形態に係る排水システムの概略構成を示す図。 図4の排水システムの動作を示すフローチャート。 図4の排水システムにおけるポンプ100。 第2の実施形態に係る排水システムの概略構成を示す図。 図7の排水システムの動作を示すフローチャート。 図7の排水システムにおけるポンプ100の性能曲線。 第3の実施形態に係る排水システムの概略構成を示す図。 図10の排水システムの動作を示すフローチャート。 図10の排水システムにおけるポンプ100の性能曲線。
まずは、先行待機ポンプについて説明する。次いで、揚程が高い先行待機ポンプに生じる課題およびそのような課題が乗じる原因を説明する。なお、本発明では、滞留水の悪臭を抑えるために、排水運転を行わないときには吐出管や吐出水槽の水抜きを行うドライ運用を想定している。
図1は、排水機場に設置される先行待機ポンプ100およびその動作を説明する図であり、全速・全水位排水運転方式の先行待機ポンプ100(以下では、単にポンプ100という)を例示している。なお、先行待機ポンプ100は立軸型であるのが望ましいが、横軸型など他の型式でも構わない。
このポンプ100は、不図示の駆動機によって羽根車1が回転することで、吸込管2の吸込口2aから水を吸い込む。また、ポンプ100には上端が大気開放された吸気管3が吸込管2に接続されており、吸込管2内に空気が流入可能となっている。このポンプ100は次のように動作する。
図1(a)に示すように、水位WLが吸込口2aに達していない場合でも羽根車1が回転する「気中運転」が行われている。この気中運転では吸気管3からの空気流入はなく、羽根車1が回転しているがポンプ100の吐出量はゼロである。
図1(b)に示すように、水位WLが所定の気水混合運転開始水位WL0に達すると、「気水混合運転」が行われる。気水混合運転開始水位WL0は羽根車1の下端位置に対応する。気水混合運転では、羽根車1の回転によって吸込口2aから水が吸い上げられて排水が行われる。水が吸い上げられて水の流速が大きくなると、吸込管2における吸気管3の接続部分近辺の圧力が低くなる。そのため、大気圧との差により、吸気管3から吸込管2内に空気が流入する。よって、ポンプ100は水と空気の混合体を排出する。
図1(c)に示すように、水位WLが定常運転水位WL1に達すると、「定常運転」が行われる。定常運転水位WL1はポンプ100ごとに排水機場の運用条件(与条件)により定められている。水位が高くなると、吸込管2における吸気管3の接続部分近辺の圧力が水圧によって高くなり、大気圧とバランスする。これにより、吸気管3から吸込管2内に空気が流入しなくなる。よって、ポンプ100は空気を含まない水を排水する。
図2は、揚程が低いポンプ100’(低揚程ポンプ)と、揚程が高いポンプ100(高揚程ポンプ)とを比較する図である。両ポンプ100,100’を比較すると、ポンプの大きさは共通しているが、大深度化しているため高揚程ポンプ100は吸水槽水位と定格運転時の吐出水槽水位との差が大きくなる。一方、気水混合運転から定常運転に移行する際に吐出側が充水されておらず吐出側水位が低い場合、実揚程H2は概ね、両ポンプ100,100’で共通する。そのため、定格運転時の実揚程H0と、気水混合運転から定常運転に移行するときの実揚程差H1は、低揚程ポンプ100’より高揚程ポンプ100の方が大きい。
図3は、低揚程ポンプ100’および高揚程ポンプ100の性能曲線であり、横軸はポンプの吐出量、縦軸はポンプの全揚程である。上述したように、吐出側水位が低い場合気水混合運転から定常運転に移行する際の実揚程は共通するため、定常運転に移行するまでの管路抵抗曲線Aは概ね共通する。一方、定常運転時の実揚程は高揚程ポンプ100の方が高いため、高揚程ポンプ100の全揚程曲線B1は低揚程ポンプ100’の全揚程曲線C1より縦軸上で上方に位置する。
低揚程ポンプ100’および高揚程ポンプ100とも、気中運転時は吐出量が0であり、気水混合運転開始と共に運転点A0は管路抵抗曲線A上に移る。そして、気水混合運転から定常運転に移行するまでは、低揚程ポンプ100’および高揚程ポンプ100ともに管路抵抗曲線Aに沿って運転点(吐出量および全揚程)が変化する(矢印F1)。
低揚程ポンプ100’においては、その全揚程曲線C1と管路抵抗曲線Aとの交点C2において、気水混合運転から定常運転に移行する(以下、この交点C2を移行点C2と呼ぶ)。定常運転に移行した後、運転点は実揚程の変化に伴い全揚程曲線C1に沿って変化する(矢印F2)。そして、運転点は所定の要項点における管路抵抗曲線C3によって定まる運転点C4に達する。
高揚程ポンプ100においては、その全揚程曲線B1と管路抵抗曲線Aとの交点B2において、気水混合運転から定常運転に移行する(以下、この交点B2を移行点B2と呼ぶ)。定常運転に移行した後、運転点は実揚程の変化に伴い全揚程曲線B1に沿って変化する(矢印F3)。そして、運転点は所定の要項点における管路抵抗曲線B3によって定まる運転点B4に達する。
ここで、高揚程ポンプ100における移行点B2と、要項点での運転点B4の吐出量差Bは、低揚程ポンプ100’における移行点C2と、要項点での運転点C4の吐出量差Cより大きい。すなわち、高揚程ポンプ100においては、要項点での吐出量に対し移行点B2での吐出量の割合が大きくなる。
一般に、定常運転時の軸動力曲線で定まる閾値を吐出量が超えると軸動力オーバーが発生する。また、必要吸込性能NPSHで定まる閾値を吐出量が超えるとキャビテーションが発生する。よって、高揚程ポンプ100では軸動力オーバーやキャビテーションが発生しやすくなるという課題がある。
軸動力オーバーが発生すると駆動機が過負荷となり、場合によっては駆動機が停止してしまうこともある。かといって、要項点での運転点B4での吐出量よりも大きな吐出量を見込んだ駆動機を用いるとするとコストが高くなってしまい、望ましくない。また、キャビテーションが発生すると、羽根車1が損傷してポンプ100の信頼性が低下することもある。かといって、ポンプ100の必要吸込性能NPSHはポンプ100に固有の値であるため、吸込性能向上によってキャビテーションを抑えるのは難しい。
そこで、以下に説明する実施形態により軸動力オーバーやキャビテーションが発生しないようにポンプ100の制御を行う。
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、ポンプ100の流量を吐出弁を調整することにより管路抵抗曲線を制御して、軸動力オーバーおよびキャビテーションを防止するものである。
図4は、第1の実施形態に係る排水システムの概略構成を示す図である。この排水システムは例えば排水機場に設けられて吸水槽51から吐出水槽52に排水を行うものであり、ポンプ100と、巻線型電動機などの駆動機11と、制御システム20とを備えている。制御システム20は、吸水槽水位計21、吐出先水位計22およびこれらと接続された制御装置23などから構成される。
ポンプ100は、排水機場における吸水槽51の水位に関わらず運転を行う先行待機型のポンプであり、図1を用いて説明したように、羽根車1、吸込管2、吸気管3に加え吐出管4、吐出弁5などを有する。吐出弁5は例えば制御装置23によって開度が調整される電動弁であり、吐出管4に設けられる。吐出弁5の開度が大きいほど流量が大きくなり、開度が小さいほど流量が小さくなる。
吸水槽水位計21は吸水槽51の水位(吸込水位)を検出し、検出結果を制御装置23に通知する。吐出先水位計22は、吐出先である吐出管4または吐出水槽52の水位(吐出水位)を検出し、検出結果を制御装置23に通知する。なお、吐出先水位計22は水位を直接検出するものでなく、圧力を検出するものであってもよい。圧力から水位が把握できるためである。
制御装置23は図3で説明したポンプ100の全揚程曲線や管路抵抗曲線を予め記憶している。そして、制御装置23は、吸水水位および吐出水位に応じて、駆動力オーバーやキャビテーションが発生しないよう、例えば吐出弁5の開度を調整することにより流量(すなわち管路抵抗)を制御する。
ここで、図3で説明した管路抵抗曲線は実揚程および管路抵抗に依存する。より詳しくは、実揚程により管路抵抗曲線の左端が定まり、管路抵抗により管路抵抗曲線の形状が定まる。制御装置23は、事前に行われた試験などに基づいて、実揚程、管路抵抗および管路抵抗曲線の関係を把握している。また、制御装置23は吐出水位と吸水水位との差から実揚程を知ることができるし、吐出弁5の開度を調整することで流量を制御することもできる。
よって、本実施形態では制御装置23は実揚程に応じて吐出弁5を次のように制御する。
図5は、図4の排水システムの動作を示すフローチャートである。また、図6は、図4の排水システムにおけるポンプ100の性能曲線である。本実施形態のポンプ100は先行待機ポンプであるため、水位に関わらず運転が開始されている(ステップS1)。具体的には、吐出弁5が開かれ、羽根車1が回転している。
制御装置23は吐出弁5を中間開度に設定する(ステップS2)。水位に応じて吐出弁5の開度を大きくできるようにも小さくできるようにもするためである。
制御装置23は、吸水槽水位計21の検出結果に基づいて、吸水槽51内の水位が予め定められた気水混合運転開始水位WL0以上であるか否かを判定する(ステップS3)。気水混合運転開始水位WL0未満である場合(ステップS3のNO)、ポンプ100は気中運転状態であるため、制御装置23は特段の処理を行わない。
気水混合運転開始水位WL0以上である場合(ステップS3のYES)、ポンプ100は気水混合運転状態である。この場合も、制御装置23は吸水槽51内の水位の監視を続ける。定常運転水位WL1と吸水槽51内の水位との差が閾値β以下となると(ステップS4のYES)ステップS5以降の吐出弁5の制御を開始する。なお、閾値βは任意に設定可能な定数である。また、ステップS4を設ける理由は、吸水槽51の水位が気水混合運転開始水位WL0を超えてもすぐに吐出弁5の制御を開始する必要は必ずしもなく、定常運転水位WL1に近づいた時点で制御を開始するためである。
吐出弁5を制御するために、制御装置23は吸水槽水位計21および吐出先水位計22の検出結果に基づいて、両者の差から実揚程を算出する(ステップS5)。
そして、制御装置23は、算出された実揚程および現状の吐出弁5の開度から、気水混合運転から定常運転移行時の運転点を推定する(ステップS6)。具体的には、制御装置23は、実揚程および吐出弁5の開度(管路抵抗)から、定常運転時の管路抵抗曲線を把握する。より詳しくは、制御装置23は、実揚程から管路抵抗曲線の左端を把握し、吐出弁5の開度から管路抵抗曲線の形状(傾き)を把握する。そして、制御装置23は、このような管路抵抗曲線と既知の全揚程曲線との交点を、定常運転移行時の運転点とする。図6の例において、制御装置23は、実揚程および吐出弁5の開度から把握される管路抵抗曲線A1と全揚程曲線B1との交点P1を、気水混合運転から定常運転移行時の運転点と推定する。
図5に戻り、制御装置23は算出された運転点における吐出量が最大吐出量を超えているか否かを判定する(ステップS7)。ここでの最大吐出量とは、軸動力オーバーもキャビテーションも発生しない最大の吐出量、言い換えると、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生する吐出量のうちの小さい方であり、予め制御装置23が記憶している。
例えばステップS6で推定された運転点が図6の交点P1である場合、その吐出量は最大吐出量を超えている(ステップS7のYES)。このまま吸水槽水位が上昇して定常運転に移行すると、軸動力オーバーまたはキャビテーションが発生してしまう。そこで、制御装置23は、駆動力オーバーおよびキャビテーションが発生しない吐出量となるよう、吐出弁5の開度を小さくするための作動指令を吐出弁5に送出する。これにより、吐出弁5が閉じる方向に制御される(ステップS8)。
その結果、流量が小さくなるため、吐出量が小さくなる方向に管路抵抗曲線が変化する(例えば図6の管路抵抗曲線がA1からA2となる)。これにより、運転点は吐出量が小さくなる方向に変化する(交点P1からP2)。
一方、ステップS6で推定された運転点が図6における管路抵抗曲線A11上の交点P11である場合、その吐出量は最大吐出量以下である(ステップS7のNO)。この場合、このまま水位が上昇して定常運転に移行しても軸動力オーバーおよびキャビテーションは発生しない。ただし、素早く吐出水槽52あるいは吐出管を充水して全量排水運転に移行するためには、できるだけポンプ100の吐出量が大きい方が望ましい。よって、制御装置23は吐出量を大きくすることができるかを判定する。
すなわち、吐出弁5が全開でない場合(図5におけるステップS9のNO)、制御装置23は、最大吐出量と運転点における吐出量との差が予め定めた閾値α以下であるか否かを判定する(ステップS10)。ここで、閾値αは任意に設定可能な定数である。
閾値α以下である場合(ステップS10のYES)、運転点における吐出量が最大吐出量に十分に近いため、制御装置23は吐出弁5の開度を大きくしない。
一方、閾値α以上である場合(ステップS10のYES)、まだ運転点における吐出量は最大吐出量に対して余裕が十分にあるため、制御装置23は吐出弁5の開度を大きくするための作動指令を吐出弁5に送出する。これにより、吐出弁5が開く方向に制御され(ステップS11)、流量が大きくなる。その結果、吐出量が大きくなる方向に管路抵抗曲線が変化する(例えば図6の管路抵抗曲線がA11からA12となる)。これにより、運転点は吐出量が大きくなる方向に変化する(交点P11からP12)。
以上のステップS8,S10のYESまたはS11の後、制御装置23はステップS3以降の処理を繰り返す。これにより、吐出先の水位上昇に伴って実揚程が高くなるほど吐出弁5の開度が大きくなり、気水混合運転から定常運転へ移行する運転点における吐出量が最大吐出量未満の目標値(例えば、最大吐出量の99%)となるよう制御される。結果として、運転点における吐出量は目標値近辺で上下するが、最大吐出量を超えることはない。そして、吐出弁5が全開となると(ステップS9のYES)、制御装置23は吐出弁5の制御を終了する。そして、吐出水槽52の水位上昇に伴って、全揚程曲線において軸動力オーバーもキャビテーションも発生しない点が運転点となって定常運転に移行し、その後、運転点は全揚程曲線B1に沿って移動してポンプ要項点P21に達する(矢印F3)。
なお、制御装置23は、定常運転に移行したときの吸込水位、吐出水位、吐出弁5の開度、軸動力を示す電流値を計測し、定常運転移行時の運転点における吐出量が最大吐出量より小さかった場合、次回の制御時に、運転点がより最大吐出量に近づくよう吐出弁5の制御量を補正してもよい。定常運転に移行したことは、吸水水位から判断できる。
このように、第1の実施形態では、実揚程を監視しながら軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しないよう吐出弁5の開度を調整する。そのため、ポンプ100の揚程が高い場合でも、高い信頼性を確保できる。また、吐出量を最大吐出量未満の目標値とすることで、早急に吐出水槽52あるいは吐出管を充水して全量排水運転に移行でき、浸水被害に対する安全性が向上する。
なお、図4には1台のみのポンプを図示しているが2台以上のポンプを設け、順次にポンプが運転を開始するようにしてもよい。その場合、少なくとも吐出水槽52または吐出管がドライの状態で初めに運転を開始するポンプについて上述した制御を行えばよい。2台目以降が運転を開始する際には、すでに吐出水槽52または吐出管に充水されて実揚程が高くなっており、軸動力オーバーおよびキャビテーションは発生しない。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態は、吐出弁5の開度を調整して管路抵抗曲線を制御することで、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しないようにするものであった。これに対し次に説明する第2の実施形態は、吸気管3に適宜気体を送り込んでポンプ100の全揚程曲線を制御することで、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しないようにするものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
図7は、第2の実施形態に係る排水システムの概略構成を示す図である。図4に示す第1の実施形態との相違点として、制御システム20は吸気管3に空気などの気体を供給する気体供給システム30を備えている。気体供給システム30は、コンプレッサ31と、弁32,33と、流量計34とを有する。
吸気管3は上方で分岐しており、その一方に弁32を介してコンプレッサ31が接続される。本実施形態では、コンプレッサ31は一定量の気体を供給し、弁32の開度に応じて吸気管3への気体注入量が制御される。弁32の開度は制御装置23によって制御される。なお、弁32を設けずコンプレッサ31から供給される気体の量を直接制御してもよい。吸気管3の分岐した他方は弁33を介して大気開放されている。
さらに、分岐点の下方(吸込管2と接続される側)に流量計34が設けられ、吸気管3に注入される気体の流量を計測する。計測値は制御装置23に入力され、制御装置23は気体注入量を把握できる。
図3で説明した全揚程曲線は吸気管3に注入される気体の量に依存する。図3において、気体が注入されない場合には全揚程曲線B1である。気体が注入されるとポンプ100が水のみならず気体も吸い上げるため、吐出量は減る。その結果、全揚程曲線は吐出量が減る方向(横軸において左側)に移動する。吸気管3への気体注入量が多いほど移動量は大きくなる。
制御装置23は、事前に行われた試験などに基づいて、気体注入量(言い換えると弁32の開度)と全揚程曲線との関係を把握している。そこで、制御装置23は実揚程に応じて気体注入量を次のように制御する。
図8は、図7の排水システムの動作を示すフローチャートである。なお、初めはコンプレッサ31が作動していないものとする。また、図9は、図7の排水システムにおけるポンプ100の性能曲線である。本実施形態のポンプ100は先行待機ポンプであるため、水位に関わらず運転が開始されている(ステップS1)。
制御装置23は弁32を中間開度に設定する(ステップS2’)。水位に応じて弁32の開度を大きくできるようにも小さくできるようにもするためである。なお、制御装置23は弁33が完全に開となるよう設定する。
制御装置23は、吸水槽水位計21の検出結果に基づいて、吸水槽51内の水位が予め定められた気水混合運転開始水位WL0以上であるか否かを判定する(ステップS3)。気水混合運転開始水位WL0未満である場合(ステップS3のNO)、ポンプ100は気中運転状態であるため、制御装置23は特段の処理を行わない。
気水混合運転開始水位WL0以上である場合(ステップS3のYES)、ポンプ100は気水混合運転状態である。この場合も、制御装置23は吸水槽51内の水位の監視を続ける。定常運転水位WL1と吸水槽51内の水位との差が閾値β以下となると(ステップS4のYES)ステップS5以降の弁32の制御を開始すべく、弁33を閉に設定するとともにコンプレッサ31の運転を開始する(ステップS20)。
そして、制御装置23は吸水槽水位計21および吐出先水位計22の検出結果に基づいて、両者の差から実揚程を算出する(ステップS5)。
そして、制御装置23は、算出された実揚程および弁32の開度から、気水混合運転から定常運転移行時の運転点を推定する(ステップS6’)。具体的には、制御装置23は、管路抵抗曲線と、実揚程および弁32の開度から把握される定常運転時の全揚程曲線との交点を、定常運転移行時の運転点とする。図9の例において、制御装置23は、管路抵抗曲線A1と、実揚程および弁32の開度から把握される全揚程曲線B1との交点P31を、気水混合運転から定常運転移行時の運転点と推定する。
図8に戻り、制御装置23は算出された運転点における吐出量が最大吐出量を超えているか否かを判定する(ステップS7)。ここでの最大吐出量とは、軸動力オーバーもキャビテーションも発生しない最大の吐出量、言い換えると、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生する吐出量のうちの小さい方であり、予め制御装置23が記憶している。
例えばステップS6’で推定された運転点が図9の交点P31である場合、その吐出量は最大吐出量を超えている(ステップS7のYES)。このまま吸水槽水位が上昇して定常運転に移行すると、軸動力オーバーまたはキャビテーションが発生してしまう。そこで、制御装置23は、駆動力オーバーおよびキャビテーションが発生しない吐出量となるよう、弁32の開度を大きくするための作動指令を弁32に送出する。これにより、弁32が開く方向に制御される(ステップS8’)。
その結果、吸気管3を介してポンプ100の吸込管2に注入される気体の量が大きくなるため、吐出量が小さくなる方向に全揚程曲線が変化する(例えば図9の全揚程曲線がB1からB12となる)。これにより、運転点は吐出量が小さくなる方向に変化する(交点P31からP32)。なお、吸込管2に注入される気体の量と全揚程曲線との関係は、制御装置23に予め登録されている。
一方、ステップS6’で推定された運転点が図9における全揚程曲線B12上の交点P33である場合、その吐出量は最大吐出量以下である(ステップS7のNO)。この場合、このまま水位が上昇して定常運転に移行しても軸動力オーバーおよびキャビテーションは発生しない。ただし、素早く吐出水槽52または吐出管を充水して全量排水運転に移行するためには、できるだけポンプ100の吐出量が大きい方が望ましい。よって、制御装置23は吐出量を大きくすることができるかを判定する。
すなわち、弁32が全閉でない場合(図8におけるステップS9’のNO)、制御装置23は、最大吐出量と運転点における吐出量との差が予め定めた閾値α以下であるか否かを判定する(ステップS10)。ここで、閾値αは任意に設定可能な定数である。
閾値α以下である場合(ステップS10のYES)、運転点における吐出量が最大吐出量に十分に近いため、制御装置23は弁32の開度を小さくしない。
一方、閾値αより大きい場合(ステップS10のNO)、まだ運転点における吐出量は最大吐出量に対して余裕が十分にあるため、制御装置23は弁32の開度を小さくするための作動指令を弁32に送出する。これにより、弁32が閉じる方向に制御され(ステップS11’)、吸気管3への気体注入量が小さくなる。その結果、吐出量が大きくなる方向に管路抵抗曲線が変化する(例えば図9の全揚程曲線がB12からB13となる)。これにより、運転点は吐出量が大きくなる方向に変化する(交点P33からP34)。
以上のステップS8’,S10のYESまたはS11’の後、制御装置23はステップS3以降の処理を繰り返す。これにより吐出先の水位上昇に伴って実揚程が高くなるほど気体注入量が減り、気水混合運転から定常運転へ移行する運転点における吐出量が最大吐出量未満の目標値(例えば、最大吐出量の99%)となるよう制御される。結果として、運転点における吐出量は目標値近辺で上下するが、最大吐出量を超えることはない。なお、繰り返しにおけるステップS3で、吸水槽51内の水位が気水混合運転開始水位WL0未満となった場合、制御装置23はコンプレッサ31を停止するとともに、弁33を全開とする。
そして、弁32が全閉となると(ステップS9’のYES)、制御装置23は弁32の制御を終了し、コンプレッサ31を停止するとともに(ステップS21)弁33を全開とする(ステップS22)。
そして、吐出水槽52の水位上昇に伴って、全揚程曲線において軸動力オーバーもキャビテーションも発生しない点が運転点となって定常運転に移行し、その後、運転点は実揚程の変化に伴い全揚程曲線B1に沿って移動してポンプ要項点P21に達する(矢印F3)。
なお、制御装置23は、定常運転に移行したときの吸込水位、吐出水位、弁32の開度、軸動力を示す電流値を計測し、定常運転移行時の運転点における吐出量が最大吐出量より小さかった場合、次回の制御時に、運転点がより最大吐出量に近づくよう弁32の制御量を補正してもよい。定常運転に移行したことは、吸水水位から判断できる。
このように、第2の実施形態では、実揚程を監視しながら軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しないよう弁32の開度を調整する。そのため、ポンプ100の揚程が高い場合でも、高い信頼性を確保できる。また、吐出量を最大吐出量未満の目標値とすることで、早急に吐出管4あるいは吐出水槽52を充水して全量排水運転に移行でき、浸水被害に対する安全性が向上する。
(第3の実施形態)
上述した第2の実施形態は吸気管3に気体を送り込んでポンプ100の全揚程曲線を制御するものであった。これに対し次に説明する第3の実施形態は、羽根車1の回転速度を調整することでポンプ100の全揚程曲線を制御するものある。以下、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
図10は、第3の実施形態に係る排水システムの概略構成を示す図である。図7に示す第2の実施形態との相違点として、制御システム20は二次抵抗器41および駆動機11から構成される回転速度調整システム40を備えている。駆動機11としては、始動電流を小さくできる巻線型電動機が好適である。二次抵抗器41は駆動機11の始動に必要なものであり、例えば金属抵抗器や液体抵抗器を適用できる。二次抵抗器41の抵抗値は制御装置23によって制御される。抵抗値が大きいほど駆動機11の回転速度が低下し、羽根車1の回転速度も低下する。これにより、ポンプ100の吐出量は減る。その結果、全揚程曲線は吐出量が減る方向(横軸において左側)に移動する。
制御装置23は、事前に行われた試験などに基づいて、二次抵抗器41の抵抗値(言い換えると駆動機11や羽根車1の回転速度)と全揚程曲線との関係を把握している。そこで、制御装置23は実揚程に応じて回転速度を次のように制御する。
図11は、図10の排水システムの動作を示すフローチャートである。また、図12は、図10の排水システムにおけるポンプ100の性能曲線である。ここで、必要NPSHおよび軸動力は羽根車1の回転速度の2乗および3乗にそれぞれ比例して変化する点が、第1および第2の実施形態とは異なる。
本実施形態のポンプ100は先行待機ポンプであるため、水位に関わらず運転が開始されている(ステップS1)。
初めに制御装置23は二次抵抗器41の抵抗値を中間値に設定する(ステップS2’’)。水位に応じて二次抵抗器41の抵抗値を大きくできるようにも小さくできるようにもするためである。
制御装置23は、吸水槽水位計21の検出結果に基づいて、吸水槽51内の水位が予め定められた気水混合運転開始水位WL0以上であるか否かを判定する(ステップS3)。気水混合運転開始水位WL0未満である場合(ステップS3のNO)、ポンプ100は気中運転状態であるため、制御装置23は特段の処理を行わない。
気水混合運転開始水位WL0以上である場合(ステップS3のYES)、ポンプ100は気水混合運転状態である。この場合も、制御装置23は吸水槽51内の水位の監視を続ける。定常運転水位WL1と吸水槽51内の水位との差が閾値β以下となると(ステップS4のYES)ステップS5以降の二次抵抗器41の制御を開始する。
二次抵抗器41を制御するために、制御装置23は吸水槽水位計21および吐出先水位計22の検出結果に基づいて、両者の差から実揚程を算出する(ステップS5)。
そして、制御装置23は算出された実揚程および二次抵抗器41の抵抗値から、気水混合運転から定常運転移行時の運転点を推定する(ステップS6’’)。具体的には、制御装置23は、管路抵抗曲線と、実揚程および二次抵抗器41の抵抗値(すなわち羽根車1の回転速度)から把握される定常運転時の全揚程曲線との交点を、定常運転移行時の運転点とする。図12の例において、制御装置23は、管路抵抗曲線A1と、実揚程および二次抵抗器41の抵抗値から把握される全揚程曲線B1との交点P41を、気水混合運転から定常運転移行時の運転点と推定する。
図11に戻り、制御装置23は算出された運転点における吐出量が最大吐出量を超えているか否かを判定する(ステップS7)。ここでの最大吐出量とは、軸動力オーバーもキャビテーションも発生しない最大の吐出量、言い換えると、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生する吐出量のうちの小さい方であり、予め制御装置23が記憶している。
例えばステップS6’’で推定された運転点が図12の交点P41であり、この回転速度における必要NPSHが曲線N1、軸動力曲線が曲線D1である場合、その吐出量は最大吐出量を超えている(ステップS7のYES)。このまま吸水槽水位が上昇して定常運転に移行すると、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生してしまう。そこで、制御装置23は、駆動力オーバーおよびキャビテーションが発生しない吐出量となるよう、二次抵抗器41の抵抗値を大きくするための作動指令を二次抵抗器41に送出する。これにより、二次抵抗器41の抵抗値が大きくなる方向に制御される(ステップS8’)。
その結果、羽根車1の回転速度が小さくなるため、吐出量が小さくなる方向に全揚程曲線が変化する(例えば図12の全揚程曲線がB1からB21となる)。これにより、運転点は吐出量が小さくなる方向に変化する(交点P41からP42)。また、回転速度の低下に伴い、必要NPSHおよび軸動力が小さくなる方向に変化する(例えば図12の必要NPSHが曲線N1から曲線N2となり、軸動力曲線が曲線D1からD2となる)。
一方、ステップS6’’で推定された運転点が図12における全揚程曲線B21上の交点P43であり、この回転速度における必要NPSHが曲線N2、軸動力曲線が曲線D2である場合、その吐出量は最大吐出量以下である(ステップS7のNO)。この場合、このまま水位が上昇して定常運転に移行しても軸動力オーバーおよびキャビテーションは発生しない。ただし、素早く吐出水槽52または吐出管を充水して全量排水運転に移行するためには、できるだけポンプ100の吐出量が大きい方が望ましい。よって、制御装置23は羽根車1の回転数を大きくすることができるかを判定する。
すなわち、羽根車1の回転数が最大でない場合(図11におけるステップS9’’のNO)、制御装置23は、最大吐出量と運転点における吐出量との差が予め定めた閾値α以下であるか否かを判定する(ステップS10)。ここで、閾値αは任意に設定可能な定数である。
閾値α以下である場合(ステップS10のYES)、運転点における吐出量が最大吐出量に十分に近いため、制御装置23は回転速度を小さくしない。
一方、閾値α以上である場合(ステップS10のYES)、まだ運転点における吐出量は最大吐出量に対して余裕が十分にあるため、制御装置23は二次抵抗器41の抵抗値を小さくするための作動指令を二次抵抗器41に送出する。これにより、二次抵抗器41が小さくなる方向に制御され(ステップS11’’)、羽根車1の回転速度が大きくなる。その結果、吐出量が大きくなる方向に管路抵抗曲線が変化する(例えば図12の全揚程曲線がB21からB22となる)。これにより、運転点は吐出量が大きくなる方向に変化する(交点P43からP44)。また、必要NPSHおよび軸動力が大きくなる方向に変化する(例えば図12の必要NPSHが曲線N2から曲線N3となり、軸動力曲線が曲線D2からD3となる)。
以上のステップS8’’,S10のYESまたはS11’’の後、制御装置23はステップS3以降の処理を繰り返す。これにより吐出先の水位上昇に伴って実揚程が高くなるほど羽根車1の回転数が大きくなり、気水混合運転から定常運転へ移行する運転点における吐出量が最大吐出量未満の目標値(例えば、最大吐出量の99%)となるよう制御される。結果として、運転点における吐出量は目標値近辺で上下するが、最大吐出量を超えることはない。
そして、羽根車1の回転速度が最大となると(ステップS9’’のYES)、制御装置23は二次抵抗器41の制御を終了する。
そして、吐出水槽52の水位上昇に伴って、全揚程曲線において軸動力オーバーもキャビテーションも発生しない点が運転点となって定常運転に移行し、その後、運転点は実揚程の変化に伴い全揚程曲線B1に沿って移動してポンプ要項点P21に達する(矢印F3)。
なお、制御装置23は、定常運転に移行したときの吸込水位、吐出水位、二次抵抗器41の抵抗値、軸動力を示す電流値を計測し、定常運転移行時の運転点における吐出量が最大吐出量より小さかった場合、次回の制御時に、運転点がより最大吐出量に近づくよう二次抵抗器41の制御量を補正してもよい。定常運転に移行したことは、吸水水位から判断できる。
このように、第3の実施形態では、二次抵抗器41の抵抗値を調整して羽根車1の回転速度を制御することで、駆動力オーバーおよびキャビテーションを抑えることができる。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
1 羽根車
2 吸込管
2a 吸込口
3 吸気管
4 吐出管
5 吐出弁
11 駆動機
20 制御システム
21 吸水槽水位計
22 吐出先水位計
23 制御装置
30 気体供給システム
31 コンプレッサ
32,33 弁
40 回転速度調整システム
41 二次抵抗器
51 吸水槽
52 吐出水槽
100 先行待機ポンプ

Claims (13)

  1. 吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御システムであって、
    吸水槽の水位を検出する第1検出手段と、
    吐出先である吐出管の水位を検出する第2検出手段と、
    前記ポンプの運転開始時に、前記吐出管に設けられた吐出弁の開度を大きくも小さくもできる中間開度に設定し、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、前記ポンプの定常運転への移行時に、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しない最大吐出量になるよう前記吐出弁を制御して、前記ポンプの流量を制御する制御装置と、を備える制御システム。
  2. 前記制御装置は、前記ポンプの吐出管に設けられた吐出弁の開度を調整することによって前記ポンプの流量を制御する、請求項1に記載の制御システム。
  3. 前記制御装置は、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて前記ポンプが気水混合運転から定常運転に移行する時の運転点を推定し、推定された運転点における吐出量において軸動力オーバーまたはキャビテーションが発生する場合に、前記ポンプの流量が小さくなるよう制御する、請求項1または2に記載の制御システム。
  4. 前記推定された運転点における吐出量が、軸動力オーバーまたはキャビテーションが発生する吐出量より所定値以上小さい場合、前記制御装置は前記ポンプの流量が大きくなるよう制御する、請求項3に記載の制御システム。
  5. 前記制御装置は、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位との差と、前記ポンプの流量とに応じて定まる前記ポンプの管路抵抗曲線と、前記ポンプの全揚程曲線と、に基づいて、前記運転点を推定する、請求項3または4に記載の制御システム。
  6. 前記制御装置は、前記ポンプの流量が前記軸動力オーバーまたはキャビテーションが発生する吐出量未満の目標値となるよう制御する、請求項1乃至5のいずれかに記載の制御システム。
  7. 吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御システムであって、
    吸水槽の水位を検出する第1検出手段と、
    吐出先である吐出管または吐出水槽の水位を検出する第2検出手段と、
    前記ポンプの運転開始時に、前記吸気管に設けられた吸気弁の開度を大きくも小さくもできる中間開度に設定し、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、前記ポンプの定常運転への移行時に、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しない最大吐出量になるよう前記吸気弁を制御して、前記ポンプの吸込管に接続された吸気管に送り込む気体の量を制御する制御装置と、を備える制御システム。
  8. 吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御システムであって、
    前記ポンプは、二次抵抗器を介して供給される電源により駆動される駆動機によって駆動され、
    吸水槽の水位を検出する第1検出手段と、
    吐出先である吐出管または吐出水槽の水位を検出する第2検出手段と、
    前記ポンプの運転開始時に、前記二次抵抗器の抵抗値を大きくも小さくもできる中間値に設定し、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しない最大と出力となるよう前記二次抵抗器の抵抗値を制御して、前記ポンプの羽根車の回転速度を制御する制御装置と、を備える制御システム。
  9. ポンプと、請求項1乃至8のいずれかに記載の制御システムと、を備える排水システム。
  10. 複数の前記ポンプを備え、
    前記制御システムは、前記吐出先がドライの状態で初めに運転開始されるポンプを制御する、請求項9に記載の排水システム。
  11. 吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御方法であって、
    吸水槽の水位を検出し、
    吐出先である吐出管の水位を検出する第2検出手段と、
    前記ポンプの運転開始時に、前記吐出管に設けられた吐出弁の開度を大きくも小さくもできる中間開度に設定し、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、前記ポンプの定常運転への移行時に、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しない最大吐出量になるよう前記吐出弁を制御して、前記ポンプの流量を制御する、制御方法。
  12. 吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御方法であって、
    吸水槽の水位を検出し、
    吐出先である吐出管または吐出水槽の水位を検出する第2検出手段と、
    前記ポンプの運転開始時に、前記吸気管に設けられた吸気弁の開度を大きくも小さくもできる中間開度に設定し、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、前記ポンプの定常運転への移行時に、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しない最大吐出量になるよう前記吸気弁を制御して、前記ポンプの吸込管に接続された吸気管に送り込む気体の量を制御する、制御方法。
  13. 吸込水位に関わらず運転を行うポンプの制御方法であって、
    前記ポンプは、二次抵抗器を介して供給される電源により駆動される駆動機によって駆動され、
    吸水槽の水位を検出し、
    吐出先である吐出管または吐出水槽の水位を検出する第2検出手段と、
    前記ポンプの運転開始時に、前記二次抵抗器の抵抗値を大きくも小さくもできる中間値に設定し、前記吸水槽の水位および前記吐出先の水位に基づいて、軸動力オーバーおよびキャビテーションが発生しない最大吐出量となるよう前記二次抵抗器の抵抗値を制御して、前記ポンプの羽根車の回転速度を制御する、制御方法。
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