JP6967718B2 - シート製ストロー - Google Patents

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Description

本発明は、可撓性を有するシート素材から構成されたシート製ストローに関するものである。
一般に広く使用されているストローは、筒状に構成されており、その素材は樹脂製或いは紙製、金属等によって構成されている。樹脂製或いは紙製のストローは、一度使用すると廃棄されることが多く、特に使い捨ての樹脂製ストローにおいては、海洋汚染などの環境問題が懸念されている。樹脂製ストローを繰り返し使用することも考えられるが、衛生面の問題があるとともに、洗浄して使用することは消費者に受け入れられないことが予想される。
一方、紙製ストローの場合、現状の樹脂製ストローに比べて製造コストが高くなり、紙製ストローに移行すると提供者の負担が増えることが予想される。また、前記樹脂製ストローの環境問題を受けて、金属製ストローを洗浄して使用することが考えられているが、衛生面及び洗浄作業におけるコスト増が予想される。
また、近年、タピオカドリンクなどをはじめとする通常のストローでは通すことが出来ない大きさの粒状の可食物入りドリンクの市場が大きくなってきているが、1種類のストローでは対応することが出来なくなり、提供者は用途に応じた直径のストローをそれぞれ用意する必要性が生まれてきている。
このような状況において、再利用可能であり、かつ、ストロー内部の洗浄が容易に行える環境保護用ストロー(特許文献1)が考えられている。前記環境保護用ストローは、両側に第1の側縁および第2の側縁がそれぞれ生成された上面と、両側に第3の側縁および第4の側縁がそれぞれ形成された下面とを有するシート状の可撓性部材を巻くことにより、内径に対応する中空部が形成されたチューブ本体と、前記上面の第1の側縁に対応して形成された少なくとも1つの結合部と、前記下面第4の側縁に対応して形成された少なくとも1つの組立部とを含み、前記組立部は前記結合部と係合して流体を通すための前記中空部を形成する構造となっている。
この環境保護用ストローにおいては、第1の側縁に形成された結合部と第4の側縁に形成された組立部とを係合して中空部を構成する構造となっているが、前記結合部と組立部との係合状態がストロー全長において確実に行えるか否か不明である。即ち、シート状の可撓性部材を巻いて中空部を構成する場合、前記可撓性部材は比較的柔らかい素材によって構成されると考えられる。この可撓性部材の第1の側縁の結合部と第4の組立部とを係合する際、ストローの全長における中間部においては、前記結合部と組立部の係合をストローの外周部分のみから押さえることにより行うことが予想される。このような状況では、ストローの中間部分において中空部分が押しつぶされることとなることが予想される。
前記環境保護用ストローの結合部及び組立部の具体的な構造においては、U字断面の凸部をU字断面の凹部に挿入して係合する構造が示されているのみであり、この係合構造が密閉した中空部を構成可能か否か不明であり、この点に関する詳細な開示がなされていない。したがって、シート状の可撓性部材によりストローを構成した場合に、ストローの中空部を水密性を確保した状態で確実に構成することができるか否かが不明である。
前記環境保護用ストローにおいては、シート状の可撓性部材を螺旋状に巻いて中空形状を構成する図が描かれているが、結合方法および結合位置が一切不明であるとともに、飲み口部分が鋭利な形状となっており危険である。また、実際には長方形のシート状の可撓性部材を螺旋状に巻き、結合部分をストローに適した位置で固定しようとすると、飲口部分と吸い込み口部分との巻き数が異なるため、円柱状ではなく円錐状になるが、この点についての詳細な開示がなされていない。
また、紙パック容器などにはストローを装着して販売されているが、ペットボトル飲料及び缶入り飲料にはストローが予め装着されていることはほとんどない。これはストローが無くとも飲料を飲むことが可能な容器であるということではあるが、特に介護等の現場においてニーズがあると想定されるにも関わらず、容器形状に対して円柱状のストローを装着すると輸送時や販売時に外れてしまうなどの問題があり、そのニーズに応えることが出来ていない。
実用新案登録第3220336号公報
本発明の目的は、ストローとして使用しない場合には全体がシート状であり、使用時に巻いてストローを構成することが可能なシート製ストローであって、水密性を確保した状態で安定して利用することが可能であり、ストロー本体部を筒状に巻 いた状態で保持するストロー保持部の固定部が飲料に浸からず、口元にも触れない位置に配置することができるシート製ストローを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のシート製ストローは、可撓性を有するシート素材からなり、前記シート素材を筒状に巻いて構成されるシート製ストローであって、シート素材を筒状に巻いて中空部を構成するストロー本体部と、前記ストロー本体部に連続して構成されており、前記ストロー本体部を筒状に巻いた状態で保持するストロー保持部と、から構成されたシート製ストローにおいて、前記ストロー本体部は、巻始め長辺部と、巻終わり長辺部と、飲み口短辺部と、吸い込み短辺部とからなる平行四辺形に構成されており、前記ストロー本体部は、巻終わり長辺部と飲み口短辺部との成す角度が鋭角に構成されており、巻終わり長辺部と吸い込み短辺部との成す角度が鈍角に構成されており、前記ストロー保持部は、前記ストロー本体部の巻終わり長辺部の全長に渡って連続して構成されており、前記ストロー本体部を筒状に巻いた状態でストロー本体部の外周に位置しており、前記巻終わり長辺部を一辺とする三角形に構成されており、前記ストロー保持部の前記巻終わり長辺部から最も離れた三角形の頂点部に固定部を構成しており、前記ストロー保持部の前記固定部は、固定片先端部と固定片基部とから構成されており、前記固定片先端部を前記固定片基部に固定する構成となっており、前記ストロー保持部の前記固定部は、ストロー本体部の全長において、飲み口短辺部から1/4程度離れた位置に配置されていることを特徴としている。
本発明の各シート製ストローによれば、ストロー保持部によって筒状に巻いたストロー本体部をストローの円周方向に引っ張り、一箇所で固定する固定部からなる構造となっており、かつ、前記固定部が飲料に浸かることなく、口元にも触れず、水密性を達成しつつ、目的の位置で安定的かつ確実に固定することができる。
上記説明においては、代表的な発明内容について説明したが、本願による発明は、これに限定されるものではなく、以下の複数の実施形態により明らかにされる。
本発明に係る第1実施形態のシート製ストローの巻く前の状態を示した斜視図と前記シート製ストローの巻いた状態を示した斜視図である。 本発明に係る第1実施形態のシート製ストローの基本形状を示した平面図である。 本発明に係る第1実施形態のシート製ストローにおける固定片による固定状況を段階的に示した図である。 本発明に係る第1実施形態のシート製ストローにおける飲み口部及び吸い込み部の変形例を説明する図である。 本発明に係る第1実施形態のシート製ストローにおいて、ガイドラインを設けたシート製ストローの改良案を示した平面図である。 本発明の第2実施形態のシート製ストローを示しており、ストロー本体部の異なる二つの実施形態を示した平面図である。 本発明の第3実施形態のシート製ストローの基本形状及び全体形状を示した平面図である。 本発明の第4実施形態のシート製ストローにおける固定片部分を示しており、固定前及び固定後の状況を示した正面図である。 本発明の第5実施形態のシート製ストローと固定片を示した斜視図である。 本発明の第6実施形態であってシート製ストローを構成したシート素材を円筒容器に巻き付けた状態の斜視図及びシート素材を展開した状態の平面図である。 本発明の第7実施形態であってシート製ストローを構成したシート素材を示す平面図である。
本発明に係る第1実施形態について、図1、図2及び図3により説明する。図1(a)は、本発明の第1実施形態であるシート製ストローの巻く前の全体形状を示した斜視図であり、図1(b)は、前記シート製ストローを巻いて、ストローとして使用可能な状態を示した斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態であるシート製ストローの基本形状を示した平面図である。なお、図2に示したシート製ストローの基本形状は、図1に示したシート製ストローの基本形状を示しており、それぞれの角部等の円弧形状、固定片4部分を省略して図示している。図3は、本発明の第1実施形態における、シート製ストローの巻いた状態での固定状況を示した図である。
シート製ストロー1は、飲み物等の飲料に接して有害物質等を放出しないシート素材により構成されており、具体的な素材としては、ポリプロピレン、ポリオフィレン、ポリエチレンなどの合成樹脂、金属材、天然樹脂、撥水性のある紙、竹、生分解性プラスチック等が用いられる。また、シート素材自体の性能としては、巻いてストローを構成するため、可撓性を有するとともに曲げに対して適度な反発力を有しており、巻かれたシート素材同士がその反発力により水密性を確保可能な材質となっている。
また、前記シート素材を巻いてストローを構成して固形物等を含む飲料を吸い上げる際に、ストロー内部が負圧となる。このため、前記シート素材は、巻いてストローを構成した際に、シート素材の重なり部が前記負圧に打ち勝って水密状態を維持可能な反発力を有している。このようなシート素材としては、例えば、ポリプロピレン樹脂製の場合、厚さが0.03mm以上であり、巻き易さを考慮して0.5mm以下のものが好適と考えられる。
図2において、シート製ストロー1は、ストロー本体部2とストロー保持部3とから構成されている。ストロー本体部2とストロー保持部3は、1枚のシート素材により構成され、ストロー本体部2に対してストロー保持部3が連続して構成されている。ストロー本体部2は、符号A,符号B,符号C,符号Dで囲まれた平行四辺形に構成されている。符号A、符号B、符号Eで囲まれた三角形がストロー保持部3を構成している。
符号Aと符号Dとを結ぶ辺がストローの飲み口部を構成する飲み口短辺部8であり、符号Bと符号Cとを結ぶ辺がストローの飲料に挿入される吸い込み部を構成する吸い込み短辺部9である。符号Cと符号Dとを結ぶ辺がストロー本体を構成するための巻始め部に相当する巻始め長辺部10aである。符号Aと符号Bとを結ぶ辺がストロー本体を構成する場合の巻終わり部に相当する巻終わり長辺部10bである。前記飲み口短辺部8、吸い込み短辺部9、巻始め長辺部10a及び巻終わり長辺部10bにより、全体が平行四辺形を成すストロー本体部2が構成されている。
ストロー本体部2の符号A,Bの辺、即ち、前記巻終わり長辺部10bと符号B,Cの辺、即ち、前記吸い込み短辺部9との成す角は、鈍角に構成されており、符号A,Dの辺、即ち、前記飲み口短辺部8と符号A,Bの辺、即ち、前記巻終わり長辺部10bとの成す角は、鋭角に構成されている。
符号A,符号B,符号C,符号Dで囲まれた平行四辺形における高さ(PQ)がストロー本体部2によって構成されるストローの全長となる。
また、符号A,Dの飲み口短辺部8及び符号B,Cの吸い込み短辺部9の長さがストロー本体部2によって構成されているストローの最大外周長に相当する。実際にはシートの反発により、ストローを安定的に構成する最適な巻き数が異なるため、目的とするストローの直径の円周長とその巻き数を乗じた長さにより飲み口短辺部8及び吸い込み短辺部9の長さが決定される。
具体的には、目的とするストローの直径が10mmであり、シートの厚さや反発力から安定的にストローの構成を保持することが可能な巻き数が2巻きである場合、飲み口短辺部8と吸い込み短辺部9の長さは、31.4mm(直径10mmの円周長)×2巻き=62.8mm程度となる。
前記巻終わり長辺部10bの符号Aと符号Bとを結ぶ辺と、符号Aと符号Eとを結ぶ辺及び符号Bと符号Eとを結ぶ辺とで構成された三角形が前記ストロー保持部3を構成している。
前記符号Aと符号Eとを結ぶ辺がストロー保持部上辺11であり、符号Bと符号Eとを結ぶ辺がストロー保持部下辺12であり、これらがストローを構成した際にストロー外観のストライプ部分となる。前記ストロー保持部上辺11に対して飲み口短辺部8の延長線との成す角度は、ほぼ45度に構成されており、前記ストロー保持部下辺12に対して前記吸い込み短辺部9の延長線との成す角は、ほぼ45度に構成されている。それぞれの角度は45度が最も安定かつ、シート素材の面積が少なくストロー本体部2を固定することが出来る。ストロー保持部3の符号Eで示した前記巻終わり長辺部10bから最も離れた頂点部には、図2において図示を省略した固定片4が構成されている。前記固定片4は、図1(a)に示すように、ストロー保持部3を構成するシート素材で一体的に連続して構成されており、固定片基部6と固定片先端部5とから構成されている。固定片基部6には、固定片先端部5を挿入可能な挿通孔7が複数形成されており、前記挿通孔7に対して前記固定片先端部5が差し込み可能に構成されている。この構造は、後述するストロー本体部2及びストロー保持部3を巻いてストローを構成した図1(b)の状態で、ストローの全体形状を保持し固定する役割を果たす構造となっている。
前記固定片4は、飲料に浸からず、口元にも触れない位置に設置するのが好ましく、通常のストローとしての用途であれば飲み口短辺部8から全長の1/4ほどストローの軸方向に下げた辺り(L3のライン上)に設置するのが望ましい。
このように構成されたシート製ストロー1は、ストロー本体部2の巻始め長辺部10aを内側にして、巻終わり長辺部10bへ向かって巻き始める。この時、巻始め長辺部10aの符号Cで示した先端部を符号Bの方向へ向かって吸い込み短辺部9が重なるように巻いていくことは非常に難しく、巻始め長辺部10aの全体を内側にして、巻終わり長辺部10bへ向かって巻いていく方が巻き易い。この場合、飲み口短辺部8及び吸い込み短辺部9が螺旋状に巻かれることになり、それぞれの端部が不揃いとなる。これらの不揃いを整えるために、巻いたストロー本体部2を捩じるようして、飲み口短辺部8及び吸い込み短辺部9のそれぞれの端部が揃うように巻く角度を修正する。そして、飲み口短辺部8及び吸い込み短辺部9のそれぞれの端部が揃った状態で、ストロー保持部3によりストロー本体部2を覆う。
その後、図3の▲1▼▲2▼に示すように固定片4の固定片先端部5を固定片基部6の一番近い位置の挿通孔7に差し込み、かつ、他の挿通孔7から引き出すことによって、シート製ストロー1全体をストローが構成された状態で固定する。さらに、固定を強めたい場合は図3の▲3▼▲4▼に示すように挿通孔7から出た固定片先端部5を固定片基部6の他の挿通孔7に更に差し込むとよい。
このシート製ストロー1によれば、ストローとして使用する際に、ストロー本体部2及びストロー保持部3を巻いてストローを構成して簡単に利用することができる。前記シート製ストロー1を使い終わった際に、巻いていたストロー本体部2及びストロー保持部3を開いて、構成しているシート素材の内外面を洗浄し、乾燥させることにより、繰り返し使用することができる。したがって、これまでの使い捨てストローに比べて、環境問題を引き起こすことが軽減される。
また、シート製ストロー1によれば、三角形のストロー保持部3により、巻いた状態のストロー本体部2の飲み口短辺部8の近傍から吸い込み短辺部9の近傍までの巻終わり長辺部10bの全長に亘ってストロー外周の円周方向に引っ張り固定する構造となっている。したがって、ストロー本体部2を巻いた状態で、確実に保持することができ、ストロー本体部2の水密状態を保持することができる。
このシート製ストロー1においては、ストロー本体部2を図2の符合Eと符合Fとを結ぶ線がほぼ重なるように巻くことによって、飲み口短辺部8及び吸い込み短辺部9にずれを生じることなくストローの筒状中空部を構成することができる。また、前記符合E、Fの線が重なるようにストロー本体部2を巻く際に、その巻き数を変更することにより、ストロー直径を変えることができる。
例えば、飲み口短辺部8の長さを、62.8mmとした場合に、ストロー本体部2の巻き数とストロー直径の関係は、次の表1のようになる。
Figure 0006967718
このように本シート製ストロー1によれば、前記符合E、Fの線がほぼ重なるようにストロー本体部2の巻き数を任意に変えることにより、ストロー直径を変更して使用することができる。例えば、タピオカドリンクにように粒状の固形物を含む飲料を飲む場合には、タピオカの大きさよりも大きなストロー直径とし、タピオカのような固形物を含まない飲料の場合には、従来用いられているストロー直径として使用することができる。
したがって、各種飲料の販売店において、固形物を含む飲料と固形物を含まない飲料を販売する場合に、直径の異なるストローを準備する必要がなく、本シート製ストロー1のみで前記異なる飲料に対応することができる。
このシート製ストロー1によれば、ストローとして用いない状態では、全体がシート状であり、重ねて収納できることから、従来の筒型ストローに比べて狭い収納スペースとすることができる。具体的には外径14mm、全長210mmの太口ストローが138本、外径7mm、全長210mmの細口ストローが564本入る168mm×145.49mm×240mmの立方体に、前記シート製ストロー1は1938本分入れることが可能であり、前記太口ストローの14倍、前記細口ストローの3.4倍収納することが可能である。そのため、在庫スペースの確保および店舗提供スペースの有効活用、商品輸送コストの削減の面で有効である。
このシート製ストロー1によれば、別素材で構成される結合部材を必要とせず、立体的な加工の必要もなく、シート素材1枚のみの型抜き加工で構成できるため、安価に製造が可能である。
従来の円筒状のストローは形状的に目視可能な記載スペースが少なく、広告などへの利用は現実的ではなかった。これに対して、本発明によるシート製ストロー1によれば、通常のストローと比べて目視可能な記載スペースが多く、立体構造のない1枚のシート素材で作られているため印刷も容易に可能であり、広告スペースとしての利用価値が高く、提供者の収益性向上が見込める。
次に、本発明の第1実施形態の前記シート製ストロー1について、飲み口短辺部8の改良構造を図4により説明する。前記シート製ストロー1において、飲み口短辺部8及び吸い込み短辺部9の各端部が図3に示したように、凹凸なく揃った状態は、前記符合E、Fの線がほぼ重なるようにシート本体部2を巻いた状態であり、実際には巻き方に個人差が生じることが予想される。このストロー本体部2の飲み口短辺部8に関する改良点の詳細について、図4により説明する。
図4▲1▼は、前記シート製ストロー1において、ストロー本体部2を前記符合E、Fの線がほぼ重なるように巻いた状態(ア)と、前記符合E、Fの線が重ならないように巻いた状態(イ)を示している。(イ)に示した飲み口短辺部8の端部には、ストロー本体部2の符合Dの角部が突出した状態となっており、利用に適さない状況が予想される。このような不具合を防止するため、図4▲2▼に示すように飲み口短辺部8aは、外周に向かって僅かな円弧状に形成されるとともに、符合Dの角部については小径の円弧状に形成することが考えられる。前記飲み口短辺部8aの円弧状に形成された部分の高さは、符合A、Dの辺の長さの10〜20%程度とするのが好適である。
このようにストロー本体部2の飲み口短辺部8aを、円弧状に形成し、かつ、角部を小径の円弧状に形成することにより、ストロー本体部2の巻き方が多少異なっても、図4▲2▼の(ウ)及び(エ)に示すように、飲み口部分の不具合を解消することができる。すなわち、図4▲2▼の(エ)の場合、ストロー本体部2の前記符合E、Fの線が重ならないように巻いた状態を示しており、符合Dの部分が突出しても、当該突出の先端が円弧状に構成されていることから、利用者の唇等を傷つけることを回避できる。
また、ストロー本体部2の吸い込み短辺部9においては、図4▲3▼に吸い込み短辺部9aとして示すように、飲料の種類(タピオカドリンク、かき氷等)によって、固形物をすくえるように、外周の一部を突出させた形状とすることも考えられる。前記吸い込み短辺部9aは、符合Bと符合Cとがほぼ重なり合う状態で、円筒形状を斜めに切断した形状となり、固形物等をすくうことが可能な形状を成している。
次に、本発明の第1実施形態の前記シート製ストロー1について、使用者の巻き技量の差をより少なくするための改良構造を図5により説明する。本発明はこれまでに一般的ではなかった巻きストローであるため、前記巻き方においては、飲み口短辺部8及び吸い込み短辺部9の不揃いを整えるために、巻いたストロー本体部2を捩じるようして、飲み口短辺部8及び吸い込み短辺部9のそれぞれの端部が揃うように巻く角度を修正するという巻き方において、ガイドが一切ない場合や初見の人にとっては巻くのが難しい場合もあると想定される。そのため、シート素材を透明又は半透明として、図5に示すシート製ストロー1aは、図2における符号E,Fのライン上にガイドラインL4を表示し、そのラインが重なるように巻いていくと巻きやすくなる。
次に、本発明の第2実施形態について、図6により説明する。図6(a)のシート製ストロー100は、符合A、B、C、Dで囲まれた平行四辺形が長方形をなした構成となっている。符合A、Bの辺と符合B、Cの辺との成す角度が直角であり、かつ、各辺と隣り合う辺が何れも直角を成すように構成されている。
このシート製ストロー100においては、巻始め長辺部110aを内側にして巻終わり長辺部110bへ向かって、当該巻始め長辺部110aと巻終わり長辺部110bとが平行な状態を保てストロー本体部102を巻いてストロー中空部を構成する。このシート製ストロー100によれば、ストロー本体部102を巻く際に、巻いた部分を捩じる動作を必要としないため、巻き付け動作を行う者の経験度合等に関係なく巻き作業を行うことができる。
前記シート製ストロー100に対して、シート製ストロー200は、符合C、Dの巻始め長辺部210aを円弧状に外側へ膨らませた形状となっている。このように巻始め長辺部210aを円弧状に外側へ膨らませた形状とすることにより、ストロー本体部202の巻き付け作業を容易に行うことができる。
なお、前記シート製ストロー100及びシート製ストロー200において、ストロー本体部102及びストロー本体部202には、それぞれストロー保持部103とストロー保持部203が連続して形成されており、ストロー本体部102及びストロー本体部202を巻いた状態で保持する構成となっている。
前記シート製ストロー100によれば、ストロー本体部102の巻き付け動作が、捩じり等の経験を必要とする作業を行う必要がなく、比較的簡単に行える。また、シート製ストロー200によれば、巻始め長辺部210aを円弧状に構成することにより、ストロー本体部202の巻き付け動作を簡単に行うことができる。即ち、前記ストロー本体部202は、巻始め長辺部210aが円弧状に形成されていることにより、ストロー本体部202の幅が実質的に長くなるため、巻き付け動作が容易となる。
次に、本発明の第3実施形態について、図7により説明する。本実施形態のシート製ストローは、リボン型を成しており、図7(a)にその基本形状を示し、図7(b)に実用的な構造を示している。
図7(a)において、基本形状を説明する。シート製ストロー300は、ストロー本体部302とストロー保持部303とから構成されている。前記ストロー本体部302は、巻始め長辺部310aと、巻終わり長辺部310bと、飲み口短辺部308と、吸い込み短辺部309から成り、全体形状が平行四辺形に構成されている。
このストロー本体部302の巻終わり長辺部310bに連続して前記ストロー保持部303が形成されている。このストロー保持部303は、ストロー本体部302の飲み口短辺部308から吸い込み短辺部309までの範囲において、その幅が一定に構成されている。したがって、ストロー本体部302とストロー保持部303が一定幅のリボン形状を構成している。
図2に示した第1実施形態のシート製ストロー1のストロー保持部3は、三角形に構成されているが、このシート製ストロー300のストロー保持部303は、一定幅を成したリボン状に構成されている点が異なっている。したがって、このシート製ストロー300を巻く場合には、巻始め長辺部310aの符号Cの部分から符号Bに向かって巻始め、ストロー本体部302の部分が重なるように巻き、巻終わり長辺部310bに連続したストロー保持部303により、ストロー本体部302の円筒形状を保持する構造となっている。
第1実施形態のシート製ストロー1においては、符号A付近と、符号E付近、符号B付近とで、ストロー保持部3の幅が異なり、ストローを構成した際の重なり部の巻き数がそれぞれ異なっている。このため、構成されるストローの外径がストローの全長において異なることになる。これに対して、前記シート製ストロー300においては、ストロー保持部303が一定の幅で構成され、かつ、巻終わり長辺部310bの外側のライン上でストロー全長に亘って外径が変化しない構造となる。このような構成によれば、柔らかい素材や薄い素材であっても巻き数を多くすることでストローを構成することが可能である。但し、この図7(a)においては、固定片に相当する構造が示されていないので、図7(b)により、実用的なリボン型のシート製ストロー400を説明する。
図7(b)において、シート製ストロー400は、その基本形状が前記シート製ストロー300と同様に構成されている。本シート製ストロー400は、巻始め長辺部410aの始端部であって吸い込み短辺部409の始端部分に巻始め片420を構成している。この巻始め片420は、前記吸い込み短辺部409に平行な巻始め上辺420aと巻始め始端辺420bから成る矩形に形成されている。前記巻始め始端辺420bは、ストロー本体部の巻始め作業を容易に行えるように所定の幅を有して構成されている。
また、ストロー保持部403の飲み口短辺部408の近傍には固定片404が前記ストロー保持部403に連続して構成されており、前記固定片404は、前記飲み口短辺部408に平行な固定辺基部406と固定片先端部405とから構成されている。前記固定辺基部406にはスリット状の挿入孔407を形成しておき、ストローを構成した状態で固定片先端部405を固定片基部406の挿入孔407に挿入することによりストローの状態を保持する。
このシート製ストロー400によれば、巻始め片420を水平方向(吸い込み短辺部409の延長方向)に巻くことにより、使用者の技量に関係なく前記リボン型の巻き難さを解消できる。即ち、シート製ストロー300においては、符号Cで示す部分が鋭角に尖った形状となっているため、この形状ではストロー本体部302を巻き始める際の作業が煩雑で、熟練を要することが予想される。これに対して、シート製ストロー400の巻始め片420は、全体が矩形をなしており、巻始め片420が所定の幅に構成されていることから、巻き始め作業が前記シート製ストロー300に比べて、円滑に行える。また、使用者の技量に関係なく、リボン型のシート製ストロー400であっても容易に巻き始めることが可能となる。
また、シート製ストロー400の前記固定片404は、その上辺部が飲み口短辺部408の延長線よりも吸い込み短辺部409側へ凹むように構成されている。このことから、前記シート製ストロー400を巻いて、前記固定片404によりストローの形状を保持した状態で、当該固定片404がストロー利用者の唇に触れ難く構成することができる。また、前記固定片404は、ストローとして使用する際に、飲料に浸かることもない配置となっている。なお、前記固定片404は、前記ストロー本体部402及びストロー保持部403を巻いた状態で保持する機能については、第1実施形態の固定片4と同様な機能を有しており、ストローを安定して固定することができる。
本発明の第4実施形態について、図8により説明する。本シート製ストロー500は、ストロー本体部及びストロー保持部の構成は、前記第1実施形態とほぼ同様な構成となっている。本シート製ストロー500においては、固定片504に設置される固定手段が前記第1実施形態と異なっている。図8▲1▼に示すように、本固定片504の固定辺先端部505にシート状磁石510を取り付け、固定片基部506に鉄又はニッケル等のシート状磁性体520を取り付けている。前記固定片基部506に取り付けたシート状磁性体520の位置は、図8▲2▼に示すように、ストロー本体部及びストロー保持部を巻いてストローを構成した状態で、前記シート状磁石510が重なる位置に取り付けられている。前記シート状磁石510とシート状磁性体520との吸着力は、ストロー本体部及びストロー保持部を巻いてストローを構成した状態において、固定片基部506に対して固定片先端部505が外れない吸着力を有している。
このシート製ストロー500によれば、固定片504の固定片先端部505にシート状磁石510を取り付け固定片基部506にシート状磁性体520を取り付けるという簡単な構成によって、前記シート製ストロー500を繰り返し使用する場合に、固定片504の着脱が容易に行える。また、固定片504の固定片先端部505及び固定片基部506自体の構造を簡素なものとすることができる。なお、前記シート状磁石505及びシート状磁性体506に代えて、マジックテープ、スナップボタン、再剥離可能なシール等を用いることも可能である。
上記固定方法については、シート状磁石510とシート状磁性体520の位置を入れ替えても同様の効果が期待できるが、固定片基部506にシート状磁石510を設置した場合、シートの巻き数によっては、シート状磁石510同士が重なり合い、磁力により巻き難さが生じる場合があるため、固定辺先端部505にシート状磁石510を取り付け、固定片基部506にシート状磁性体520を取り付ける方がより好ましい。
本第4実施形態においては、前記のように、シート状磁石とシート状磁性体の設置位置を入れ替えても、ストロー本体及びストロー保持部を固定することができる。したがって、本実施形態においては、固定片の固定片先端部にシート状磁石又はシート状磁性体の一方を設置し、固定片の固定片基部にシート状磁石又はシート状磁性体の他方を設置するという概念を含むものである。
本発明の第5実施形態について、図9により説明する。本シート製ストロー600は、ストロー本体部602とストロー保持部603とから構成されている。前記ストロー本体部602については、第1実施形態のストロー本体とほぼ同様の構成となっている。前記ストロー保持部603は、前記ストロー本体部602に連続して構成されている点については、前記第1実施形態のストロー保持部とほぼ同様の構成となっている。このストロー保持部603においては、ストロー本体部602から最も離れた位置に設けられる固定片604が、前記第1実施形態と異なっている。前記固定片604は、ストロー保持部603の先端部分に着脱自在に設置される構造となっている。前記固定片604の固定片基部606の端部には複数の直線上に並べて設置された固定用突起610aが設けられている。前記ストロー保持部603の先端部には直線上に形成された複数の固定穴610bが設けられている。
前記固定穴610bに対して、前記固定用突起610aは、嵌合可能に構成されている。また、固定穴610bに固定用突起610aを嵌合し、固定穴610bと固定用突起610aの嵌合状態を保持する固定保持具610cを備えている。
このシート製ストロー600のストロー本体部602及びストロー保持部603を巻いてストローを構成した状態で、ストロー保持部603の先端に前記固定片604を取り付け、かつ、固定辺先端部605を固定片基部606の挿通孔607に挿入することによりストローの状態を保持する。
このシート製ストロー600によれば、ストロー本体部602及びストロー保持部603を一定期間使用してシート部材が劣化した際に、ストロー本体部602及びストロー保持部603を新たなものに交換し、固定片604については継続して使用することができる。
本発明の第6実施形態について、図10により説明する。図10▲1▼は、飲料容器700を示しており、同飲料容器700は円筒形に形成されている。前記飲料容器700の円筒形外周部分には、飲料の名称、一括表示、分別表示等が記載された、シート素材の一例としての合成樹脂製のフィルムシート750が取り付けられている。前記フィルムシート750にはシート製ストロー750aが構成されている。前記フィルムシート750に、図10▲2▼に点線で示すようにシート製ストロー750aの輪郭線に相当する位置に継続的に切目を入れており、前記シート製ストロー750aをストローとして使用する場合には、該シート製ストロー750aをフィルムシート750から切離して使用する。前記シート製ストロー750aの形状は、前記第1実施形態のシート製ストローとほぼ同様な形状となっている。
このフィルムシート750を飲料容器700に取り付けることにより、飲料容器700内の飲料をストローで飲みたい場合に、前記フィルムシート750のシート製ストロー750aを切り離して簡単かつ迅速にストローを使用することができる。一部の飲料容器においては、包装用フィルムに内包した円筒状ストローを装着したものもみられるが、前記フィルムシート750からなるシート製ストロー750aによれば、飲料容器の外周にストローが露出してかさばることがない。したがって、これまでに設置されていない一般的なペットボトル飲料等においても、前記シート製ストロー750aを設けることが可能となる。
ところで、前記シート製ストロー750aによって構成されるストローは、その一部が飲料に挿入されることになるため、フィルムシート750の汚損には配慮する必要がある。このため、前記シート製ストロー750aを利用する際に、利用者に対してフィルムシート750が汚損された状態では使用しないように注意書きをする等の配慮が必要となる。また、シート製ストロー750aの汚損を防止するために、前記フィルムシート750を二重構造とすることが考えられる。
本発明の第7実施形態を図11により説明する。図11に示すシート素材の例は、それぞれ円筒型の飲料容器の外周に取付けられるシート素材の一例である。図11▲1▼に示したフィルムシート800は、図10に示したシート製ストロー750aを同フィルムシート800内に形成した状況を示している。このフィルムシート800においては、シート製ストロー750aの固定片が長く、シート全体の形状が大きくならざるを得ない。
そこで、シート素材の他の例である図11▲2▼に示したフィルムシート810のシート製ストロー850aは、固定片860の全長を短くした構造としている。固定片860の固定片先端部860aに、山形或いはU字形の引掛部860bを構成している。固定片860の基部側にスリット状の挿入孔870を形成しておき、前記引掛部860bをこの挿入孔870に掛けることにより、ストロー本体部及びストロー固定部の形状を保持する。
このフィルムシート810によれば、飲料容器の高さ寸法が比較的短い容器に取り付けられるフィルムシートにおいても、シート製ストロー850aを形成することができる。また、固定片860において、引掛部860bを挿入孔870に掛けるだけで簡単に固定することができるため、固定動作が容易となる。
1,100,200,300,400,500,
600,750a,850a シート製ストロー
2,102,202,302,602 ストロー本体部
3,103,203,303,403,603 ストロー保持部
4,404,504,604,860 固定片
5,405,505,605,860a 固定片先端部
6,406,506,606 固定片基部
7,407,607,870 挿通孔
8,8a,308,408 飲み口短辺部
9,9a,309,409 吸い込み短辺部
10a,110a,210a,310a,
410a 巻始め長辺部
10b,110b,310b 巻終わり長辺部
11 ストロー保持部上辺
12 ストロー保持部下辺
420 巻始め片
420a 巻始め上辺
420b 巻始め始端辺
510 シート状磁石
520 シート状磁性体
610a 固定用突起
610b 固定穴
610c 固定保持具
700 飲料容器
860b 引掛部
750,800,810 フィルムシート

Claims (6)

  1. 可撓性を有するシート素材からなり、前記シート素材を筒状に巻いて構成されるシート製ストローであって、
    シート素材を筒状に巻いて中空部を構成するストロー本体部と、前記ストロー本体部に連続して構成されており、前記ストロー本体部を筒状に巻いた状態で保持するストロー保持部と、から構成されたシート製ストローにおいて、
    前記ストロー本体部は、巻始め長辺部と、巻終わり長辺部と、飲み口短辺部と、吸い込み短辺部とからなる平行四辺形に構成されており、
    前記ストロー本体部は、巻終わり長辺部と飲み口短辺部との成す角度が鋭角に構成されており、巻終わり長辺部と吸い込み短辺部との成す角度が鈍角に構成されており、
    前記ストロー保持部は、前記ストロー本体部の巻終わり長辺部の全長に亘って連続して構成されており、前記ストロー本体部を筒状に巻いた状態でストロー本体部の外周に位置しており、前記巻終わり長辺部を一辺とする三角形に構成されており、
    前記ストロー保持部の前記巻終わり長辺部から最も離れた三角形の頂点部に固定部を構成しており、
    前記ストロー保持部の前記固定部は、固定片先端部と固定片基部とから構成されており、前記固定片先端部を前記固定片基部に固定する構成となっており、
    前記ストロー保持部の前記固定部は、ストロー本体部の全長において、飲み口短辺部から1/4程度離れた位置に配置されている
    ことを特徴とするシート製ストロー。
  2. 請求項1に記載のシート製ストローにおいて、
    前記ストロー保持部は、ストロー保持部上辺とストロー保持部下辺とから構成されており、前記飲み口短辺部の延長線と前記ストロー保持部上辺との成す角度がほぼ45度に構成されており、かつ、前記吸い込み短辺部の延長線と前記ストロー保持部下辺との成す角度がほぼ45度に構成されている
    ことを特徴とするシート製ストロー。
  3. 請求項1に記載のシート製ストローにおいて、
    前記固定部の前記固定片基部に挿入孔が形成されており、前記固定片先端部は前記挿入孔に挿入可能な形状に構成されている
    ことを特徴とするシート製ストロー。
  4. 請求項1に記載のシート製ストローにおいて、
    前記シート素材は、半透明の樹脂製材料よりなり、
    前記ストロー本体部及び前記ストロー保持部に、ストロー本体部の巻方向を示すガイドラインを表示した
    ことを特徴とするシート製ストロー。
  5. 請求項1に記載のシート製ストローにおいて、
    前記シート素材が円筒形の飲料容器の外周に巻付けられる可撓性を有するフィルムシートに構成されており、
    前記フィルムシートにおいて、前記ストロー本体部と前記ストロー保持部からなる前記シート素材を分離可能に構成した
    ことを特徴とするシート製ストロー。
  6. 請求項1に記載のシート製ストローにおいて、
    前記ストロー本体部の飲み口短辺部と巻始め長辺部とによって構成される角部を小径の円弧状に形成し、
    前記ストロー本体部の飲み口短辺部を外側に向かって弧状に形成した
    ことを特徴とするシート製ストロー。
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