JP6966256B2 - 繊維強化熱可塑性樹脂複合材料、及びそれを含む成形体 - Google Patents
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Description
しかしながら、ハロゲン系難燃剤をポリカーボネート樹脂に配合した樹脂組成物は熱安定性が低下したり、成形加工時における成形機のスクリューや金型の腐食を招く恐れがある。またハロゲン系難燃剤を配合した場合は燃焼時に当該ハロゲンを含むガスが発生する恐れや製品の廃棄、回収時に環境汚染が問題になる可能性があるため、ハロゲン系難燃剤を使用することなく難燃化することが求められている。
しかしながら、リン系難燃剤を添加することにより、高い難燃性を有するポリカーボネート樹脂含有組成物を得ることができる可能性があるものの、一方でポリカーボネート樹脂が本来有する、曲げ弾性、曲げ強度、及び耐衝撃性等が低下するという問題が生じていた。
しかしながら、従来の熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネートを含む熱可塑性樹脂を用いて成形された成形体においては、必ずしも十分な表面硬度が達成されず、また、白化の問題も生じていた。
熱可塑性樹脂組成物(B)を含有する繊維強化熱可塑性樹脂複合材料であって、
前記熱可塑性樹脂組成物(B)が、リン系難燃剤(C)、及び下記式[1]で表される構成単位を含むポリカーボネート(D)を含み、
前記熱可塑性樹脂組成物(B)100質量部において25〜50質量部の前記リン系難燃剤(C)が含有される、繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
[II]前記リン系難燃剤(C)が、ホスファゼン化合物を含む、上記[I]に記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
[III]前記連続強化繊維(A)を10〜80質量%、及び前記熱可塑性樹脂組成物(B)を20〜90質量%含有する、上記[I]又は[II]に記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
[IV]前記連続強化繊維(A)が、炭素繊維、ガラス繊維、及びアラミド繊維からなる群より選択される何れかの1種以上を含有する、上記[I]〜[III]のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
[V]前記熱可塑性樹脂組成物(B)中における前記ポリカーボネート(D)の割合が、50質量%以上である、上記[I]〜[IV]のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
[VI]前記ポリカーボネート(D)が、20〜100質量%の下記式[2]で表される構成単位と、80〜0質量%の下記式[3]で表される構成単位とを含む、ポリカーボネート単一重合体及び/又は共重合体である、上記[I]〜[V]のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
[VII]前記ポリカーボネート(D)が、前記式[2]の構成単位として下記式[4]で表される構成単位を含み、前記式[3]の構成単位として下記式[5]で表される構成単位を含む、上記[VI]に記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
[IX]曲げ強度が100MPa以上である、上記[VIII]に記載の成形体。
[X]上記[I]〜[VII]のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の層の表面に透明樹脂層が積層されている、成形体。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料(以下、単に「複合材料」ともいう)は、連続強化繊維(A)と、熱可塑性樹脂組成物(B)とを含む。繊維強化熱可塑性樹脂複合材料は、各種成形体の製造に好適に用いられる。
本発明の複合材料の具体例としては、連続強化繊維(A)に熱可塑性樹脂組成物(B)を含浸させたプリプレグ、及び積層板等が挙げられる。
複合材料が、例えばシート状のプリプレグであれば、好ましい厚さは0.02〜1.0mmであり、より好ましくは0.1〜0.6mmであり、特に好ましくは0.2〜0.4mmである。厚さが上述の範囲内であれば、樹脂組成物(B)を充分に連続強化繊維(A)に含浸させることができる。また、成形体における樹脂組成物(B)の含有率を適度なレベルに保つことができるため、充分な物性の成形体が得られる。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料においては、連続強化繊維(A)が、10〜80質量%、好ましくは15〜70質量%、より好ましくは20〜65質量%、特に好ましくは25〜60質量%、含まれる。連続強化繊維(A)としては、炭素繊維、ガラス繊維、及びアラミド繊維を用いることができる。そして、成形体における熱可塑性樹脂組成物(B)の補強効果に優れることから、連続強化繊維(A)の形態としては、クロスなどの繊維状織物、又は繊維束を開繊し一方向に引き揃えられた繊維が好ましい。連続強化繊維の充填量の指標として、連続強化繊維の体積含有値(Vf値)が用いられ、連続強化繊維の体積含有値(Vf値)としては30〜60%が好ましく、35〜50%であることがさらに好ましい。
炭素繊維には特に制限は無く、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系などの炭素繊維(例えば、株式会社 有沢製作所 製:CFP3113)等を使用することができる。
本発明で用いられるガラス繊維のガラス組成には特に制限はなく、Aガラス、Cガラス、Eガラスなどのガラス組成からなるものなどを用いることができ、例えば、平織の日東紡績株式会社製:WF350 100 BS6等が使用できる。特に、以下のような成分組成の無アルカリガラスであるEガラスがポリカーボネートを含む熱可塑性樹脂組成物(B)に悪影響を及ぼさないことから好ましい。
SiO2:52〜56 Al2O3:12〜16
Fe2O3:0〜0.4
CaO:16〜25
MgO:0〜6
B2O3:5〜13
TiO2:0〜0.5
R2O(Na2O+K2O):0〜0.8
アラミド繊維には特に制限は無く、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミドの文示鎖等により形成される芳香族ポリアミド(帝人株式会社製:トワロン(登録商標))等使用することができる。
本発明においては、特に、連続強化繊維(A)と熱可塑性樹脂組成物(B)との接着性を高めるために、また、連続強化繊維(A)と熱可塑性樹脂組成物(B)との接触による、熱可塑性樹脂組成物(B)中のポリカーボネート(D)の分解を抑制するために、表面処理剤で表面を処理した連続強化繊維(A)を用いることが好ましい。好適な表面処理剤の例として、アミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤、シリコーン化合物などが挙げられる。
本発明の複合材料においては、熱可塑性樹脂組成物(B)が、20〜90質量%、好ましくは40〜85質量%、より好ましくは45〜75質量%、特に好ましくは55〜70質量%、含まれる。
熱可塑性樹脂組成物(B)は、以下のリン系難燃剤(C)、及びポリカーボネート(D)を含む。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(B)は、リン系難燃剤(C)を、熱可塑性樹脂組成物(B)100質量部において、25〜50質量部、好ましくは27〜40質量部、より好ましくは30〜35質量部、含有する。このように難燃剤を含有することで、本発明において用いられる熱可塑性樹脂組成物(B)、及び複合材料の難燃性を効率的に向上させることができる。
また、式(i)中、tは3〜25の整数を表すが、なかでもtが3〜8の整数である化合物が好ましく、tの異なる化合物の混合物であってもよい。なかでも、t=3のものが50質量%以上、t=4のものが10〜40質量%、t=5以上のものが合わせて30質量%以下である化合物の混合物が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(B)は、ポリカーボネート(D)を50質量%以上、好ましくは55〜90質量部、より好ましくは60〜80質量部、含まれる。このように難燃剤を含有することで、本発明において用いられる熱可塑性樹脂組成物(B)、及び複合材料の難燃性を効率的に向上させることができる。
ポリカーボネート(D)は、少なくとも、下記式[1]で表される構成単位を含む。
式[1]中、X及びYは、それぞれ独立して炭素原子数1〜6のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
式[2]中、X及びYは、それぞれ独立して炭素原子数1〜6のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
また、ポリカーボネート(D)の原料のジヒドロキシ化合物として、以下のものも使用できる。
これらのポリカーボネート(D)の原料となるモノマーは、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート(D)を、シロキサン構造を有するオリゴマー又はポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマー又はポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマー又はポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマー又はポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマー又はポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
熱可塑性樹脂組成物(B)は、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有し得るその他の成分としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物(B)は、リン系熱安定剤を含有することができる。リン系熱安定剤は一般的に、樹脂成分を溶融混練する際、高温下での滞留安定性や樹脂成形品使用時の耐熱安定性向上に有効である。
熱可塑性樹脂組成物(B)には、所望によってヒンダードフェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤を含有することで、色相劣化や、熱滞留時の機械物性の低下が抑制できる。
熱可塑性樹脂組成物(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、難燃剤、滴下防止剤、衝撃強度改良剤、及び上述のポリカーボネート(D)以外の樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物(B)において、無機成分として繊維長が10mm以下のガラス短繊維、炭素短繊維等を含有させることにより、さらに機械物性を高めることができる。短繊維フィラーの例として、ガラス短繊維、炭素短繊維、ワラストナイト、各種無機ウイスカーなどが挙げられる。
また板状、球状のフィラーを添加することにより収縮時の異方性も改善することができる。板状フィラーの例としてガラスフレーク、マイカ、タルク等が挙げられ、球状フィラーの例としてガラスビーズ、シリカビーズ等が挙げられる。
複合材料を製造する方法は、以下の通りである。例えば、複合材料がプリプレグである場合、連続強化繊維(A)に熱可塑性樹脂組成物(B)を含浸させることにより、プリプレグとしての複合材料が製造できる。
本発明の成形体は、上述の複合材料を用いて形成される。このように、複合材料を用いて成形される成形体の具体例としては、連続強化繊維(A)に熱可塑性樹脂組成物(B)を含浸させたプリプレグの積層体のシート(平板シート)、及び、熱プレス等によりプリプレグ等に対して3次元形状を付与した成形体等が挙げられる。
複合材料を含む成形体を製造する方法として、例えば、成形体が樹脂シートの積層体である場合、積層させた状態のプリプレグを加熱、及び加圧するプレス成形により製造される。このようなプレス成形においては、例えば、250(℃)及び0.5(MPa)の条件下で1(分)程度、積層されたプリプレグをプレスする。
本発明の複合材料を用いて製造された成形体は、製造時における樹脂組成物(B)の連続強化繊維に対する含浸性が高く、また、製造された成形体は曲げ特性に優れている。
より具体的には、本発明の成形体の曲げ強度は100MPa以上であり、好ましくは150MPa以上、より好ましくは180MPa以上であり、特に好ましくは195MPa以上である。
このように、本発明の複合材料を用いることにより、曲げ特性に優れた板状の成形品を製造することが可能であり、さらに、板状の成形体を積層させて積層体としての成形品(成形体)を成形することもできる。
成形体においては、複合材料の層、すなわち複合材料によって形成された層の表面に、透明樹脂層が積層されていても良い。
透明樹脂層は、例えば、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂の少なくともいずれかによって形成され、好ましくは、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びスチレン樹脂のいずれかを含む。
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン/2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン=4/6(質量比)の共重合ポリカーボネート(C1)の合成
9.0w/w%の水酸化ナトリウム水溶液54.5Lに、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(本州化学工業株式会社製)4116.5g(16.08mol)と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(新日鐵化学株式会社製)6129g(26.97mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド3.8g、及びハイドロサルファイト50.0gを溶解した。
これにメチレンクロライド24Lを加えて撹拌しつつ、15℃に保ちながら、引き続き、ホスゲン5390gを40分間で吹き込んだ。
ホスゲンの吹き込み終了後、p−t−ブチルフェノール210gを加え、激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、110mlのトリエチルアミンを加え、温度20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリカーボネート(C2)の合成
9.0w/w%の水酸化ナトリウム水溶液54.5Lに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(新日鐵化学株式会社製)10215g(44.95mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド3.8g、及びハイドロサルファイト50.0gを溶解した。
これにメチレンクロライド24Lを加えて撹拌しつつ、15℃に保ちながら、引き続き、ホスゲン5390gを40分間で吹き込んだ。
ホスゲンの吹き込み終了後、p−t−ブチルフェノール210gを加え、激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、110mlのトリエチルアミンを加え、温度20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
綾織炭素繊維クロス(有沢製作所製、CFT−3113:質量200g/m2、厚み0.2mm、繊維長タテ210mm、ヨコ300mm)を、合成例1で合成したポリカーボネート樹脂(C1):27.90%、FP−110:11.96%とジメチルアセトアミド(以下、単にDMAcと表すこともある。)60.14%を含むワニスに30秒含浸させた後、100℃、1時間の乾燥を行うことで溶剤を除去し、ポリカーボネート樹脂中に炭素繊維クロスが配されたプリプレグを得た。プリプレグの厚さは0.3mmであった。
このプリプレグ材を6枚準備し、これらを重ねたものを、150℃に加熱された状態の平板形状の金型を用いてプレス時間5分、成形圧力1.0MPaの条件でプレス成形を行い、連続繊維強化ポリカーボネート樹脂シートを得た。連続繊維強化ポリカーボネート樹脂シートの厚さは、1.5mmであった。
綾織炭素繊維クロス(有沢製作所製、CFT−3113:質量200g/m2、厚み0.2mm、繊維長タテ210mm、ヨコ300mm)を、合成例1で合成したポリカーボネート樹脂(C):34.80%、FP−110:14.91%とジメチルアセトアミド50.29%を含むワニスに30秒含浸させた後、100℃、1時間の乾燥を行うことで溶剤を除去し、ポリカーボネート樹脂(A)中に炭素繊維クロスが配されたプリプレグを得た。プリプレグの厚さは0.4mmであった。
このプリプレグ材を6枚準備し、これらを重ねたものを、150℃に加熱された状態の平板形状の金型を用いてプレス時間5分、成形圧力1.0MPaの条件でプレス成形を行い、連続繊維強化ポリカーボネート樹脂シートを得た。連続繊維強化ポリカーボネート樹脂シートの厚さは、2.0mmであった。
綾織炭素繊維クロス(有沢製作所製、CFT−3113:質量200g/m2、厚み0.2mm、繊維長タテ210mm、ヨコ300mm)を、合成例2で合成したポリカーボネート樹脂(C2):27.90%、FP−110:11・96%とジメチルアセトアミド:60.14%を含むワニスに30秒含浸させた後、100℃、1時間の乾燥を行うことで溶剤を除去し、ポリカーボネート樹脂中に炭素繊維クロスが配されたプリプレグを得た。
このプリプレグ材を6枚準備し、これらを重ねたものを、150℃に加熱された状態の平板形状の金型を用いてプレス時間5分、成形圧力1.0MPaの条件でプレス成形を行い、連続繊維強化ポリカーボネート樹脂シートを得た。
綾織炭素繊維クロス(有沢製作所製、CFT−3113:質量200g/m2、厚み0.2mm、繊維長タテ210mm、ヨコ300mm)を、合成例1で合成したポリカーボネート樹脂(C1):27.90%、FP−110:6.97%とジメチルアセトアミド65.13%を含むワニスに30秒含浸させた後、100℃、1時間の乾燥を行うことで溶剤を除去し、ポリカーボネート樹脂中に炭素繊維クロスが配されたプリプレグを得た。
このプリプレグ材を6枚準備し、これらを重ねたものを、150℃に加熱された状態の平板形状の金型を用いてプレス時間5分、成形圧力1.0MPaの条件でプレス成形を行い、連続繊維強化ポリカーボネート樹脂シートを得た。
綾織炭素繊維クロス(有沢製作所製、CFT−3113:質量200g/m2、厚み0.2mm、繊維長タテ210mm、ヨコ300mm)を、合成例1で合成したポリカーボネート樹脂(C1):15.95%、FP−110:23.93%とジメチルアセトアミド60.13%を含むワニスに30秒含浸させた後、100℃、1時間の乾燥を行うことで溶剤を除去し、ポリカーボネート樹脂中に炭素繊維クロスが配されたプリプレグを得た。
このプリプレグ材を6枚準備し、これらを重ねたものを、150℃に加熱された状態の平板形状の金型を用いてプレス時間5分、成形圧力1.0MPaの条件でプレス成形を行い、連続繊維強化ポリカーボネート樹脂シートを得た。
各ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の評価は、以下の方法により行った。すなわち、上述の方法で得られた連続繊維強化ポリカーボネート樹脂の0.3mm厚のシートであるUL試験用試験片を作成し、各試験片を、温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94V試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して難燃性を評価した。これらのポリカーボネート樹脂の難燃性の評価結果を後述の表2に示した。
より具体的には、試験片(125×13×0.3 mm)をクランプに垂直に取り付け、20mmのバーナーの炎で3秒間接炎を2回行った際の燃焼挙動により難燃性を評価した。下記表1に記載のV−0、V−1、及びV−2の難燃性を有するためには、表中に記載のそれぞれの基準を満たすことが必要となる。
厚さが0.3mmの連続繊維強化ポリカーボネート樹脂シートについて、JIS K 7074のA法に従い曲げ特性(曲げ弾性率、曲げ強度)を評価した。
厚さが0.3mmの連続繊維強化ポリカーボネート樹脂シートについてJIS K 5600に準拠し、荷重750gで鉛筆硬度を測定した。
ポリカーボネートの溶融粘度測定には、(株)東洋精機製作所社製 キャピログラフ1D PMD-Cを用いた。Carreau modelの近似式から外挿して得られた値を剪断速度0sec−1での粘度値として用いた。
Claims (11)
- 連続強化繊維(A)及び、
熱可塑性樹脂組成物(B)を含有する繊維強化熱可塑性樹脂複合材料であって、
前記熱可塑性樹脂組成物(B)が、リン系難燃剤(C)、及び下記式[1]で表される構成単位を含むポリカーボネート(D)を含み、
前記熱可塑性樹脂組成物(B)100質量部において25〜50質量部の前記リン系難燃剤(C)が含有され、
前記ポリカーボネート(D)が、25〜80質量%の下記式[2]で表される構成単位と、75〜20質量%の下記式[3]で表される構成単位とを含む、ポリカーボネート共重合体であり、
前記熱可塑性樹脂組成物(B)の厚さ0.3mmの試験片におけるUL94V試験に準拠した難燃性がV−0である、繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。 - 前記リン系難燃剤(C)が、ホスファゼン化合物を含む、請求項1記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
- 前記連続強化繊維(A)を10〜80質量%、及び前記熱可塑性樹脂組成物(B)を20〜90質量%含有する、請求項1又は2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
- 前記連続強化繊維(A)が、炭素繊維、ガラス繊維、及びアラミド繊維からなる群より選択される何れかの1種以上を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
- 前記熱可塑性樹脂組成物(B)中における前記ポリカーボネート(D)の割合が、50質量%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
- 前記ポリカーボネート(D)が、30〜60質量%の前記式[2]で表される構成単位と、70〜40質量%の前記式[3]で表される構成単位とを含む、ポリカーボネート共重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
- 厚さが0.02〜1.0mmのシート状である、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料を含む成形体。
- 曲げ強度が100MPa以上である、請求項9に記載の成形体。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の層の表面に透明樹脂層が積層されている、成形体。
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