以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態及び変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及び変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態及び変形例における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。
(実施の形態)
[1.構成]
図1は、実施の形態に係る高周波モジュール1の回路構成図である。なお、同図には、高周波モジュール1とともに通信装置4を構成するRF信号処理回路(RFIC:Radio Frequency Integrated Circuit)3も併せて図示されている。
RFIC3は、アンテナ素子(図示せず)で送受信される高周波信号を処理するRF信号処理回路である。具体的には、RFIC3は、アンテナ素子から高周波モジュール1を介して入力された高周波信号(ここでは高周波受信信号)を、ダウンコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号をベースバンド信号処理回路(図示せず)へ出力する。
また、本実施の形態では、RFIC3は、使用される周波数帯域(バンド)に基づいて、高周波モジュール1が有するスイッチ20(後述する)の接続を制御する制御部としての機能も有する。具体的には、RFIC3は、制御信号(図示せず)によって、スイッチ20について共通端子に接続される選択端子を切り替える。なお、制御部は、RFIC3の外部に設けられていてもよく、例えば、高周波モジュール1またはベースバンド信号処理回路(図示せず)に設けられていてもかまわない。
次に、高周波モジュール1の詳細な構成について説明する。
図1に示すように、高周波モジュール1は、複数のフィルタ(本実施の形態では3つのフィルタ10A〜10C)と、接続回路(本実施の形態ではスイッチ20)と、インピーダンス調整回路30(第1インピーダンス調整回路)と、低雑音増幅器40と、を備える。
フィルタ10A〜10Cは、通過帯域が互いに異なる例えばバンドパスフィルタである。具体的には、通過帯域として、フィルタ10AにはBandAが割り当てられ、フィルタ10BにはBandBが割り当てられ、フィルタ10CにはBandCが割り当てられている。
本実施の形態では、フィルタ10A〜10Cは、自身の通過帯域において容量性を示す出力インピーダンスを有する。具体的には、フィルタ10A〜10Cのそれぞれは、弾性表面波を用いた弾性波共振子によって構成されている。
なお、弾性波共振子は、SAW(Surface Accoustic Wave)共振子であってもよい。
SAW共振子の場合、基板とIDT(Interdigital transducer)電極とを備えている。基板は、少なくとも表面に圧電性を有する基板である。例えば、表面に圧電薄膜を備え、当該圧電薄膜と音速の異なる膜、及び支持基板などの積層体で構成されていてもよい。また、基板は、基板全体に圧電性を有していても良い。この場合、基板は、圧電体層一層からなる圧電基板である。
なお、フィルタ10A〜10Cは、バンドパスフィルタに限らず、ハイパスフィルタまたはローパスフィルタであってもかまわない。また、フィルタの個数は上記に限らず、例えば、2または4以上であってもかまわない。また、フィルタ10A〜10Cそれぞれの構成は、上記に限らず、バルク波または弾性境界波を用いた弾性波共振子によって構成されていてもかまわない。
スイッチ20は、複数のフィルタが設けられた複数の経路(本実施の形態では、3つのフィルタ10A〜10Cが設けられた3つの経路10a〜10c)を共通接続する接続回路である。ここで、本実施の形態では、3つのフィルタ10A〜10Cのそれぞれが設けられた3つの経路10a〜10cは、インピーダンス素子(例えば、インダクタまたはキャパシタ等)が接続されることなく各フィルタとスイッチ20とを接続している。
具体的には、スイッチ20は、複数のフィルタ10A〜10Cに個別に対応して接続された複数の選択端子、及び、低雑音増幅器40に接続された共通端子を有するSPnT(Single Pole n Throw)型(nはフィルタの数であり、ここでは3)のスイッチ素子である。本実施の形態では、スイッチ20の共通端子は、インピーダンス調整回路30を介して低雑音増幅器40に接続されている。
インピーダンス調整回路30は、接続回路(本実施の形態ではスイッチ20)と低雑音増幅器40との間に接続された第1インピーダンス調整回路である。インピーダンス調整回路30は、低雑音増幅器40に対して当該インピーダンス調整回路30が接続された回路部分をフィルタ10A〜10Cの出力側から見たインピーダンスZ(LNAin+ADJ)(第1インピーダンス)を調整することによって、インピーダンスZ(LNAin+ADJ_A)、インピーダンスZ(LNAin+ADJ_B)及びインピーダンスZ(LNAin+ADJ_C)を調整する。つまり、フィルタ10A〜10Cの出力側から低雑音増幅器40を見たインピーダンスは、インピーダンス調整回路30がない場合のインピーダンスZ(LNAin)(すなわち低雑音増幅器40の入力インピーダンス)からインピーダンスZ(LNAin+ADJ_A)、インピーダンスZ(LNAin+ADJ_B)及びインピーダンスZ(LNAin+ADJ_C)へと調整されることになる。
なお、インピーダンスZ(LNAin+ADJ_A)、インピーダンスZ(LNAin+ADJ_B)及びインピーダンスZ(LNAin+ADJ_C)は、それぞれ、各フィルタ10A〜10Cから低雑音増幅器40を見た各フィルタ10A〜10Cの通過帯域のインピーダンスである。
このインピーダンス調整回路30は、例えば、入力端子と出力端子とを結ぶ経路に直列接続されたインダクタにより構成される。なお、インピーダンス調整回路30の構成はこれに限らず、当該経路に接続されたインピーダンス素子によって構成されていればよい。具体的には、インピーダンス調整回路30は、入出力端子を結ぶ経路に直列接続されたインダクタまたはキャパシタ、あるいは、当該経路とグランドとを結ぶ経路に直列接続されたインダクタまたはキャパシタ、等によって構成され得る。このインピーダンス調整回路30の回路構成及びインピーダンス素子の定数については、低雑音増幅器40の入力インピーダンスL(LNAin)及びフィルタ10A〜10Cの出力インピーダンスZ(Fout_A)〜Z(Fout_C)に基づいて当該インピーダンス調整回路30に要求されるインピーダンス調整を考慮して、適宜決定されればよい。
低雑音増幅器40は、複数のフィルタ(本実施の形態では3つのフィルタ10A〜10C)から接続回路(本実施の形態ではスイッチ20)を介して入力された高周波信号を増幅するローノイズアンプ回路であり、トランジスタ等によって構成される。
以上のように構成された高周波モジュール1は、複数の経路10a〜10cに対してインピーダンス素子が接続されることなく束ねられるため、小型化かつマルチバンド化することができる。
[2.インピーダンス特性]
一般的に、高周波回路(分布定数回路)においては、接続された回路同士(例えば、フィルタやLNA等)のインピーダンス関係に応じてロス等が発生したりNFが劣化する。これらロスまたはNF等はいずれも、高周波回路全体の特性を悪化させる要因となる。このため、高周波回路を設計する際には、接続される回路同士のインピーダンス関係を調整するインピーダンス整合(マッチング)が必要となる。
しかしながら、低雑音増幅器40については、低雑音増幅器40のNFが最小になるようにインピーダンス整合(NFマッチング)させるためのインピーダンスであるNFマッチングインピーダンスと、低雑音増幅器40のゲインが最大になるようにインピーダンス整合(ゲインマッチング)させるためのインピーダンスであるゲインマッチングインピーダンスとが、異なる。
このため、例えば、低雑音増幅器40について、NFの改善を目的としてNFマッチングをした場合、ゲインマッチングの悪化によって低雑音増幅器40による反射が増大する。よって、この場合、低雑音増幅器40の前段の回路(フィルタ10A〜10C等)のロスが増大することになるため、高周波モジュール1全体のNFの劣化につながる。一方、低雑音増幅器40のゲイン性能の改善を目的として低雑音増幅器40についてゲインマッチングをした場合、NFマッチングの悪化によって低雑音増幅器40におけるNFが劣化する。よって、この場合であっても、高周波モジュール1全体のNFの劣化につながる。
したがって、高周波モジュール1全体のNFの劣化を抑制しつつゲインを高めるためには、低雑音増幅器40から前段の回路を見たインピーダンス(本実施の形態ではフィルタ10A〜10Cの出力インピーダンス)が、低雑音増幅器40のNFが最小となるようなNFマッチングインピーダンスと低雑音増幅器40のゲインが最大となるようなゲインマッチングインピーダンスとの間に位置することが必要となる。
図2は、本実施の形態において、フィルタ10A〜10Cの出力インピーダンスを規定する位置について示すスミスチャートである。
同図に示すように、フィルタ10A〜10Cのそれぞれは、スミスチャート上で自身の通過帯域において、低雑音増幅器40のNFが最小となるようなNFマッチングインピーダンスと低雑音増幅器40のゲインが最大となるようなゲインマッチングインピーダンスとの間であるマッチング領域に位置する出力インピーダンスを有する。
具体的には、NFマッチングインピーダンス及びゲインマッチングインピーダンスのそれぞれは、周波数特性を有することにより、スミスチャート上で太線で示すような軌跡を描く。このため、例えば、フィルタ10Aは、スミスチャート上で、BandAにおけるNFマッチングインピーダンスとBandAにおけるゲインマッチングインピーダンスとの間に位置する出力インピーダンスを有する。なお、フィルタ10B及び10Cは、通過帯域がフィルタ10Aと異なることに関する事項を除き、同様の出力インピーダンスを有する。
ここで、本実施の形態では、接続回路(スイッチ20)と低雑音増幅器40との間にインピーダンス調整回路30が設けられている。同図に示すNFマッチングインピーダンス及びゲインマッチングインピーダンスは、低雑音増幅器40のNFが最小及びゲインが最大となる。よって、これらインピーダンスは、インピーダンス調整回路30を介して低雑音増幅器40に接続される回路構成(本実施の形態では、フィルタ10A〜10C)に対して要求されるインピーダンスである。
このことについて、図3を用いて説明する。
図3は、NFマッチングインピーダンス及びゲインマッチングインピーダンスについて説明するためのスミスチャートである。具体的には、同図の(a)は、低雑音増幅器40をフィルタ10Aの出力側から見たNFが最小となるインピーダンス(図中の「NF_min_A」)及びゲインが最大となるインピーダンス(図中の「Gain_max_A」)を示し、低雑音増幅器40をフィルタ10BCの出力側から見たNFが最小となるインピーダンス(図中の「NF_min_B」)及びゲインが最大となるインピーダンス(図中の「Gain_max_B」)を示すスミスチャートである。同図の(b)は、低雑音増幅器40に対してインピーダンス調整回路30が接続された回路部分をフィルタ10A及び10Bの出力側から見た上記4つのインピーダンスを示すスミスチャートである。同図の(c)は、同図の(b)に示す4つのインピーダンスそれぞれに整合するインピーダンス(すなわちマッチングが最適となるインピーダンス)を示すスミスチャートである。
なお、簡明のため、同図では2つの周波数に着目してインピーダンスを図示している。また、以下では、接続回路(本実施の形態ではスイッチ20)を入出力間でインピーダンスが変化しない理想回路として扱い、回路同士を接続する配線を電気長ゼロの理想配線として扱って説明する。ただし、実際の回路設計では、上記接続回路及び配線によるインピーダンス変化及び位相変化を考慮して設計すべきであることは言うまでもない。
同図の(a)及び(b)に示すように、インピーダンス調整回路30により、NFが最小となるインピーダンス(図中の「NF_min_A」及び「NF_min_B」)及びゲインが最大となるインピーダンス(図中の「Gain_max_A」及び「Gain_max_B」)が移動する。このとき、同図の(a)から(b)へのインピーダンス変化は、インピーダンス調整回路30の回路構成及びインピーダンス素子の定数によって規定され、ここでは、インピーダンス調整回路30として、入力端子と出力端子とを結ぶ経路にインダクタが直列接続されている場合のインピーダンス変化が示されている。
具体的には、インピーダンス調整回路30は、NFが最小となる場合及びゲインが最大となる場合に、インピーダンスZ(LNAin+ADJ_A)、インピーダンスZ(LNAin+ADJ_B)、インピーダンスZ(LNAin+ADJ_C)のうち少なくとも2つがそれぞれ誘導性及び容量性のいずれか一方になるように調整する。本実施の形態では、同図の(b)に示すように、インピーダンス調整回路30は、複数のフィルタ10A〜10Cの通過帯域における、インピーダンスZ(LNAin+ADJ_A)及びインピーダンスZ(LNAin+ADJ_B)についても誘導性になるように調整する。
インピーダンスZ(LNAin+ADJ_A)及びインピーダンスZ(LNAin+ADJ_B)について、NFが最小となるインピーダンス及びゲインが最大となるインピーダンスが同図の(b)に示されるように位置することにより、これらにマッチングするインピーダンスとしては、同図の(c)に示すように(b)に示すインピーダンスの概ね複素共役インピーダンスとなる。
つまり、フィルタ10Aの出力インピーダンスZ(Fout_A)が同図の(c)の「NF_min_A」に示す出力インピーダンス(NFマッチングインピーダンス)を有する場合、低雑音増幅器40のNFが最小となる。一方、当該出力インピーダンスが同図の(c)の「Gain_max_A」に示す出力インピーダンス(ゲインマッチングインピーダンス)を有する場合、低雑音増幅器40のゲインが最大となる。
同様に、フィルタ10Bの出力インピーダンスZ(Fout_B)が同図の(c)の「NF_min_B」に示す出力インピーダンス(NFマッチングインピーダンス)を有する場合、低雑音増幅器40のNFが最小となる。一方、当該出力インピーダンスが同図の(c)の「Gain_max_B」に示す出力インピーダンス(ゲインマッチングインピーダンス)を有する場合、低雑音増幅器40のゲインが最大となる。
このように、同図の(c)に示すNFが最小となるインピーダンスの位置及びゲインが最大となるインピーダンスの位置は、同図の(b)によって規定される。つまり、これらの位置は、インピーダンス調整回路30によって調整されることになる。言い換えると、インピーダンス調整回路30は、スミスチャート上で、NFマッチングインピーダンスとゲインマッチングインピーダンスとの間であるマッチング領域の位置を調整することができる。したがって、インピーダンス調整回路30によって複数のフィルタ10A〜10Cの出力インピーダンスZ(Fout_A)〜Z(Fout_C)が位置しやすい領域にマッチング領域を合わせることにより、複数のバンドについてNFの劣化を抑制しつつゲインを高めることができる。
ここで、フィルタ10A〜10Cのうち少なくとも2つの出力インピーダンスZ(Fout_A)〜Z(Fout_C)は、自身の通過帯域がマッチング領域に位置していればよい。つまり、これら出力インピーダンスは、自身の通過帯域の一部のみがマッチング領域に位置することだけではなく、自身の通過帯域の全体がマッチング領域に位置することも含む。例えば、フィルタ10A〜10Cの通過帯域に1以上のバンドが割り当てられている場合、フィルタ10A〜10Cの出力インピーダンスZ(Fout_A)〜Z(Fout_C)は、自身の通過帯域に割り当てられた1以上のバンドのうち1つのバンドの任意の周波数において、マッチング領域に位置してもかまわない。
図4は、本実施の形態において、1つのバンドに着目した場合のフィルタ(フィルタ10A〜10Cの任意の1つ)の出力インピーダンスZ(Fout)を示すスミスチャートである。なお、同図には、当該フィルタの出力側から当該フィルタ側を見た上記バンドの中心周波数におけるNFサークル(等NF円)及びゲインサークル(等ゲイン円)も示されている。具体的には、NFサークルは、低雑音増幅器40において等しいNFを有する当該フィルタの出力インピーダンスを示し、ゲインサークルは、低雑音増幅器40において等しいゲインを有する当該フィルタの出力インピーダンスを示す。
同図に示すように、スミスチャート上で、1つのバンドの出力インピーダンスZ(Fout)は当該バンドの低域端の周波数から高域端の周波数にわたって軌跡を描く。また、この軌跡は、NFサークル中心点(すなわちNFマッチングインピーダンス)とゲインサークル中心点(すなわちゲインマッチングインピーダンス)との間のマッチング領域に位置する。つまり、当該バンドのインピーダンスの軌跡は、NFサークル中心点とゲインサークル中心点とを結ぶ線と交差することになる。
[3.効果等]
以下、本実施の形態に係る高周波モジュール1によって奏される効果について、本発明に至った経緯も含めて説明する。
一般的に、小型かつマルチバンド対応への要求を満たす高周波モジュールとしては、複数のフィルタに共通にLNAを設ける構成が考えられる。しかしながら、一般的な50Ω系で設計されたフィルタを用いた場合、NFの劣化を抑制しつつゲインを高める最適設計を満たすためには、複数のフィルタの後段に複数の整合回路を個別に設ける必要がある。しかしながら、このように構成された高周波モジュールでは、ロスの増大による高周波モジュール全体でのNFの劣化、あるいは、部品点数の増大による小型化の妨げ等が生じ得る。
また、上記の要求を満たす高周波モジュールとして、LNAだけでなく整合回路も共通化する構成が考えられる。しかしながら、LNAのNFが最小となるマッチングインピーダンス及びLNAのゲインが最大となるマッチングインピーダンスは、いずれも周波数特性を有するため、一般的な50Ω系で設計されたフィルタを用いた場合、全てのバンドについて上記最適設計を満たすことは難しい。具体的には、1つのバンドについて上記最適設計を満たすように構成した場合、他のバンドについてはNFが劣化するまたはゲインが低下してしまう。このため、他のバンドについてLNAのゲイン性能及びNF性能を十分に引き出すことが難しい。
一方、全てのバンドについて上記最適設計を満たす高周波モジュールとしては、複数のフィルタに個別に対応する整合回路及びLNAを設ける構成が考えられる。しかしながら、このような構成では、整合回路及びLNAの部品点数の増大により回路規模が大きくなるため、小型化及び低コスト化が難しく、さらには、高周波モジュール間の品質のバラつきが生じやすくなる。
これに対し、本願発明者は、出力インピーダンスが調整(カスタマイズ)された複数のフィルタ(本実施の形態では3つのフィルタ10A〜10C)を用いることにより、NFの劣化を抑制しつつゲインを高める最適設計を満たしつつ小型化できるマルチバンド対応の高周波モジュール1の構成を見出した。なお、フィルタ10A〜10Cの出力インピーダンスを調整する手法は、特に限定されないが、例えば次のような手法が挙げられる。具体的には、フィルタが複数のIDT(InterDigital Transducer)電極で構成された弾性表面波フィルタである場合、IDT電極を構成する電極指のピッチ、交叉幅、電極指対数、反射器−IDT電極間隔などの電極パラメータを、IDT電極間で異ならせることにより、出力インピーダンスを調整する。また、フィルタがラダー型の弾性波共振子で構成されている場合には、フィルタの出力端に最も近く配置された弾性波共振子のインピーダンスを、その他の弾性波共振子よりも高くまたは低くすることにより、出力インピーダンスを調整する。
すなわち、本実施の形態に係る高周波モジュール1によれば、第1及び第2フィルタ(本実施の形態ではフィルタ10A〜10Cのうち任意の2つのフィルタ)がNFマッチングインピーダンスとゲインマッチングインピーダンスとの間であるマッチング領域に位置する出力インピーダンスを有する(図2参照)。これにより、第1及び第2フィルタが設けられた経路についてインピーダンス素子を接続しなくても、NFの劣化を抑制しつつ利得を高めることができる。つまり、第1及び第2フィルタについて、小型化を妨げる要因となる個別の整合回路等を設けることなく、NF性能とゲイン性能とのバランスを最適化することが可能となる。したがって、NFの劣化を抑制しつつゲインを高めることができる、小型かつマルチバンド対応の高周波モジュール1を提供することができる。
特に、本実施の形態に係る高周波モジュール1によれば、3以上(本実施の形態では3つ)のフィルタ10A〜10Cを備え、複数の経路10a〜10cのそれぞれは、インピーダンス素子が接続されることなく各フィルタと接続回路(本実施の形態ではスイッチ20)とを接続する。これにより、NFの劣化を抑制しつつゲインを高めることができる、小型かつ3バンド以上のマルチバンド対応の高周波モジュール1を提供することができる。
また、本実施の形態に係る高周波モジュール1によれば、インピーダンス調整回路30(第1インピーダンス調整回路)を備える。これにより、低雑音増幅器40の入力インピーダンスZ(LNAin)によらず、低雑音増幅器40に対してインピーダンス調整回路30が接続された回路部分を複数のフィルタ10A〜10Cの出力側から見たインピーダンスZ(LNAin+ADJ)(第1インピーダンス)を調整することができる。よって、各フィルタ10A〜10Cから低雑音増幅器40を見た各経路10a〜10cのインピーダンス((Z(LNAin+ADJ_A))、(Z(LNAin+ADJ_B))、(Z(LNAin+ADJ_C)))を調整することができる。つまり、スミスチャート上で、低雑音増幅器40の入力インピーダンスZ(LNAin)によらず第1及び第2フィルタの出力インピーダンスに適した位置にマッチング領域を位置させることができる。低雑音増幅器40の入力インピーダンスZ(LNAin)及び第1及び第2フィルタは、各々の回路構成及び材質等の各種仕様によって出力インピーダンスが制約される。このため、インピーダンス調整回路30を設けることにより、低雑音増幅器40及び第1及び第2フィルタの設計自由度を高めることができる。
具体的には、本実施の形態に係る高周波モジュール1によれば、各フィルタ10A〜10Cから低雑音増幅器40を見た各経路10a〜10cのインピーダンス((Z(LNAin+ADJ_A))、(Z(LNAin+ADJ_B))、(Z(LNAin+ADJ_C)))のうち少なくとも2つがいずれの通過帯域においても誘導性及び容量性の一方となるように調整することにより、スミスチャート上で、誘導性及び容量性の他方にマッチング領域を位置させることができる。これにより、第1及び第2フィルタとして出力インピーダンスの虚数成分の性質が一致する構成を用いることができる。
より具体的には、各フィルタ10A〜10Cから低雑音増幅器40を見た各経路10a〜10cのインピーダンス((Z(LNAin+ADJ_A))、(Z(LNAin+ADJ_B))、(Z(LNAin+ADJ_C)))のうち少なくとも2つが誘導性になるように調整することにより、マッチング領域と少なくとも2つのフィルタの出力インピーダンスとを近づけることができる。また、NFマッチングインピーダンスとゲインマッチングインピーダンスとを近づけることができ得る。具体的には、図3の(b)に示すようにインピーダンス(Z(LNAin+ADJ_A)及びZ(LNAin+ADJ_B)が誘導性になるように調整することにより、図3の(c)に示すようにNFマッチングインピーダンス(図中の「NF_min_A」及び「NF_min_B」)とゲインが最大となるインピーダンス(図中の「Gain_max_A」及び「Gain_max_B」)とを近づけることができる。このため、NFの劣化をさらに抑制しつつゲインをさらに高めることができ得る。
また、本実施の形態に係る高周波モジュール1によれば、接続回路(本実施の形態ではスイッチ20)がスイッチ素子によって構成されることにより、複数の選択端子のうちいずれか1つの選択端子のみが共通端子と接続される場合、複数のフィルタ10A〜10Cが設けられた複数の経路同士が非接続となる。このため、この構成によれば、複数のフィルタ10A〜10C間のアイソレーションを高めることが可能となる。
なお、スイッチ20の共通端子は、複数の選択端子のうち2以上の選択端子と接続され得る構成であってもかまわない。
また、本実施の形態に係る高周波モジュール1によれば、複数のフィルタ10A〜10Cが弾性波共振子によって構成されていることにより小型化されるため、高周波モジュール1をさらに小型化することができる。また、一般的に高Qの特性を示す弾性波共振子によって複数のフィルタ10A〜10Cが構成されていることにより、複数のフィルタ10A〜10Cについて低ロス化を図ることができる。したがって、高周波モジュール1全体について、NFの劣化を抑制しつつゲインを高めることができる。
(変形例1)
上記実施の形態では、複数の経路10a〜10cを共通接続する接続回路として、スイッチ20を例に説明した。しかし、接続回路は、この構成に限らず、マルチプレクサで構成されていてもかまわない。そこで、実施の形態の変形例1に係る高周波モジュールとして、このような高周波モジュールについて説明する。なお、本変形例及び以降の各変形例において、上記実施の形態と同様の構成については、その説明を省略する。
図5は、実施の形態の変形例1に係る高周波モジュール101の回路構成図である。
同図に示す高周波モジュール101は、図1に示した高周波モジュール1に比べて、スイッチ20に代わりマルチプレクサ120を備える点が異なる。
マルチプレクサ120は、低雑音増幅器40に接続された第1端、及び、複数のフィルタ10A〜10Cに個別に対応してそれぞれ接続された複数の第2端を有する。具体的には、マルチプレクサ120は、複数のフィルタ10A〜10Cに個別に対応して接続された複数の個別端子、及び、低雑音増幅器40に接続された共通端子を有する接続回路である。具体的には、マルチプレクサ120は、複数の個別端子と共通端子とを結ぶ複数の経路に個別に接続された複数のフィルタを有する。本実施の形態では、マルチプレクサ120は、経路10aに接続された個別端子(複数の第2端のうちの1つ)と共通端子(第1端)とを結ぶ経路に接続されてBandAを通過帯域に含むローパスフィルタと、経路10bに接続された個別端子(複数の第2端のうちの他の1つ)と共通端子(第1端)とを結ぶ経路に接続されてBandBを通過帯域に含むバンドパスフィルタと、経路10cに接続された個別端子(複数の第2端のうちのさらに他の1つ)と共通端子(第1端)とを結ぶ経路に接続されてBandCを通過帯域に含むハイパスフィルタと、で構成されている。なお、マルチプレクサ120の構成は、これに限らず、例えば複数のバンドパスフィルタにより構成されていてもかまわない。なお、共通端子(第1端)の個数は1に限らず、複数であってもかまわない。
以上のような構成であっても、実施の形態1と同様に、NFの劣化を抑制しつつゲインを高めることができる、小型かつマルチバンド対応の高周波モジュール101を実現することができる。
また、本変形例に係る高周波モジュール101によれば、接続回路がマルチプレクサ120により構成されることにより、複数のフィルタのうち2以上のフィルタを経由した2以上の高周波信号を同時に伝達することができる。このため、複数のバンドのうち2以上のバンドを同時に用いて送受信を行うキャリアアグリゲーション(CA)に適用することができる。
また、一般的に、マルチプレクサはスイッチよりも挿入損失が小さい。このため、本変形例によれば、接続回路としてスイッチを設ける構成に比べて、高周波モジュール101全体について、NFの劣化をさらに抑制しつつゲインをさらに高めることができる。
(変形例2)
上記実施の形態及びその変形例1では、複数の経路10a〜10cを共通接続する接続回路として、1つの回路素子(上記実施の形態ではスイッチ20、上記実施の形態の変形例1ではマルチプレクサ120)を例に説明した。しかし、接続回路は、この構成に限らず、複数の回路素子が多段接続されることにより構成されていてもかまわない。そこで、実施の形態の変形例1に係る高周波モジュールとして、このような高周波モジュールについて説明する。
図6Aは、実施の形態の変形例2の第1例に係る高周波モジュール201Aの回路構成図である。図6Bは、実施の形態の変形例2の第2例に係る高周波モジュール201Bの回路構成図である。図6Cは、実施の形態の変形例2の第3例に係る高周波モジュール201Cの回路構成図である。
これらの図に示すように、本変形例の第1例〜第3例に係る高周波モジュール201A〜201Cはいずれも、4つのフィルタ10A〜10Dを備える。フィルタ10A〜10Dは、互いに異なる通過帯域を有し、フィルタ10Dの通過帯域にはBandDが割り当てられている。
図6Aに示す高周波モジュール201Aは、スイッチ221SW、222SW及び223SWで構成される接続回路220Aを備える。
スイッチ221SWは、複数の経路10a〜10dのうちいくつかの経路(ここでは経路10a及び10b)を共通接続する第1初段接続回路である。つまり、スイッチ221SWは、複数の経路10a〜10dのうち一部の経路を共通接続する。
スイッチ222SWは、複数の経路10a〜10dのうち上記いくつかの経路とは異なる経路のうち少なくとも二つの経路(ここでは経路10c及び10d)を共通接続する第2初段接続回路である。つまり、スイッチ221SWは、複数の経路10a〜10dのうち他の少なくとも一部の経路を共通接続する。
スイッチ223SWは、第1初段接続回路(ここではスイッチ221SW)及び第2初段接続回路(ここではスイッチ222SW)と多段接続された後段接続回路である。スイッチ223SWは、第1初段接続回路の共通端子に接続された経路220aと第2初段接続回路の共通端子に接続された経路220bとを共通接続する。
本変形例では、スイッチ221SW、222SW及び223SWは、SPDT(Single Pole Double Throw)型のスイッチ素子であり、制御部(図示せず)からの制御信号によって共通端子に接続される選択端子が切り替えられる。
図6Bに示す高周波モジュール201Bは、図6Aに示す高周波モジュール201Aに比べ、スイッチ223SWに代わりダイプレクサ223DPを有する接続回路220Bを備える。
ダイプレクサ223DPは、スイッチ223SWと同様に後段接続回路であり、低雑音増幅器40に接続された第1端、及び、第1初段接続回路(ここではスイッチ221SW)及び第2初段接続回路(ここではスイッチ222SW)に個別に対応してそれぞれ接続された複数の第2端を有する。具体的には、ダイプレクサ223DPは、BandA及びBandBを通過帯域に含むローパスフィルタと、BandC及びBandDを通過帯域に含むハイパスフィルタと、で構成されている。当該ローパスフィルタは、経路220aに接続された個別端子(複数の第2端のうちの1つ)と共通端子(第1端)とを結ぶ経路に接続されている。当該ハイパスフィルタは、経路220bに接続された個別端子(複数の第2端のうちの他の1つ)と共通端子(第1端)とを結ぶ経路に接続されている。
図6Cに示す高周波モジュール201Cは、図6Aに示す高周波モジュール201Aに比べ、スイッチ221SW及び222SWに代わりダイプレクサ221DP及び222DPを有する接続回路220Cを備える。
ダイプレクサ221DPは、スイッチ221SWと同様に第1初段接続回路であり、後段接続回路(ここではスイッチ223SW)に接続された第1端、及び、フィルタ10A及び10Bに個別に対応してそれぞれ接続された複数の第2端を有する。具体的には、ダイプレクサ221DPは、BandAを通過帯域に含むローパスフィルタと、BandBを通過帯域に含むハイパスフィルタと、で構成されている。当該ローパスフィルタは、経路10aに接続された個別端子(複数の第2端のうちの1つ)と共通端子(第1端)とを結ぶ経路に接続されている。当該ハイパスフィルタは、経路10bに接続された個別端子(複数の第2端のうちの他の1つ)と共通端子(第1端)とを結ぶ経路に接続されている。
ダイプレクサ222DPは、スイッチ222SWと同様に第2初段接続回路であり、後段接続回路(ここではスイッチ223SW)に接続された第1端、及び、フィルタ10C及び10Dに個別に対応してそれぞれ接続された複数の第2端を有する。具体的には、ダイプレクサ222DPは、BandCを通過帯域に含むローパスフィルタと、BandDを通過帯域に含むハイパスフィルタと、で構成されている。当該ローパスフィルタは、経路10cに接続された個別端子(複数の第2端のうちの1つ)と共通端子(第1端)とを結ぶ経路に接続されている。当該ハイパスフィルタは、経路10dに接続された個別端子(複数の第2端のうちの他の1つ)と共通端子(第1端)とを結ぶ経路に接続されている。
以上のような構成であっても、実施の形態1と同様に、NFの劣化を抑制しつつゲインを高めることができる、小型かつマルチバンド対応の高周波モジュール201A〜201Cを実現することができる。
また、本変形例に係る高周波モジュール201A〜201Cによれば、多段接続された接続回路(第1及び第2初段接続回路ならびに後段接続回路)の構成を備えることにより、複数のフィルタ10A〜10D間のアイソレーションをさらに高めることができる。
(変形例3)
上記実施の形態及びその変形例1及び2では、複数のフィルタが設けられた全ての経路はインピーダンス素子が接続されることなく各フィルタと接続回路とを接続した。しかし、インピーダンス素子が接続されてフィルタと接続回路とを接続する経路があってもかまわない。そこで、実施の形態の変形例3に係る高周波モジュールとして、このような高周波モジュールについて説明する。
なお、本変形例では、第1及び第2フィルタとして通過帯域にBandAまたはBandBが割り当てられた2つのフィルタを例に説明し、第3フィルタとして通過帯域にBandCが割り当てられたフィルタを例に説明するが、第1〜第3フィルタとこれらフィルタとの対応関係はこれに限らない。
図7は、実施の形態の変形例3に係る高周波モジュール301の回路構成図である。
同図に示す高周波モジュール301は、図1に示した高周波モジュール1に比べて、フィルタ10Cに代わりフィルタ310Cを備え、フィルタ310Cとスイッチ20との間に接続されたインピーダンス調整回路330を備える点が異なる。
フィルタ310Cは、通過帯域がフィルタ10A及び10Bと大きく(例えば、通過帯域の帯域幅以上)異なる。例えば、フィルタ310Cの通過帯域はLB帯であり、フィルタ10A及び10Bの通過帯域はMB帯である。また、例えば、フィルタ310Cは、自身の通過帯域における出力インピーダンス(帯域内出力インピーダンス)が、フィルタ10A及び10Bの通過帯域における出力インピーダンス(帯域外出力インピーダンス)と比べて大きく異なる。
インピーダンス調整回路330は、複数のフィルタ10A、10B及び310Cのうち第3フィルタ(本変形例ではフィルタ310C)とスイッチ20との間に接続され、所定の機能(ここではインピーダンスを調整する機能)を果たす機能回路である。このインピーダンス調整回路330は、第3フィルタに対して当該インピーダンス調整回路330が接続された回路部分を低雑音増幅器40の入力側から見た第2インピーダンスを、スミスチャート上で第3フィルタの通過帯域において、マッチング領域に近づける第2インピーダンス調整回路である。インピーダンス調整回路330の回路構成及びインピーダンス素子の定数については、特に限定されず、第2インピーダンスが上記マッチング領域に位置するような回路構成及び定数であればよい。
以上のような構成であっても、実施の形態1と同様に、NFの劣化を抑制しつつゲインを高めることができる、小型かつマルチバンド対応の高周波モジュール301を実現することができる。
また、スミスチャート上で、NFの劣化を抑制しつつゲインを高めるためのマッチング領域の位置は、上記実施の形態で説明したようにインピーダンス調整回路30によって調整することができる。ただし、インピーダンス調整回路30では、当該マッチング領域の位置を調子することはできても領域を拡大することはできない。このため、複数のバンド(ここでは、BandA〜BandC)の周波数が離れている場合には、特に他のバンドと周波数が離れているバンド(ここではBandC)について、NFの劣化を抑制しつつゲインを高めることができるという効果が発揮されにくい場合がある。このようなBandA〜Cの組み合わせとしては、例えば、LTE(Long Term Evolution)で用いられる3GPP(Third Generation Partnership Project)のBand12、13及び7の組み合わせが挙げられる。
これに対し、本変形例に係る高周波モジュール301によれば、インピーダンス調整回路(第2インピーダンス調整回路)を備えることにより、第3フィルタ(本変形例ではフィルタ310)の通過帯域と第1及び第2フィルタ(本変形例ではフィルタ10A及び10B)の通過帯域との周波数間隔が大きく離れている場合であっても、第1〜第3フィルタそれぞれについてNF性能とゲイン性能とのバランスを最適化することができる。よって、高周波モジュールが対応する複数のバンドのさらなる広帯域化を図ることができる。
(変形例4)
なお、上記実施の形態の変形例2の構成と上記実施の形態の3の構成とを組み合わせてもかまわない。つまり、接続回路は、第1初段接続回路と後段接続回路との間に接続されたインピーダンス調整回路を有してもかまわない。そこで、実施の形態の変形例4に係る高周波モジュールとして、このような高周波モジュールについて説明する。
図8は、実施の形態の変形例4に係る高周波モジュール401の回路構成図である。
同図に示す高周波モジュール401は、図6Aに示した高周波モジュール201Aに比べて、フィルタ10A及び10Bに代わりフィルタ410A及び410Bを備え、さらにインピーダンス調整回路430を備える点が異なる。
フィルタ410A及び410Bは、スミスチャート上で自身の通過帯域において、マッチング領域と異なる領域に位置する出力インピーダンスZ(Fout_A)及びZ(Fout_B)を有する。
インピーダンス調整回路430は、第1初段接続回路(本変形例ではスイッチ221SW)と後段接続回路(本変形例ではスイッチ223SW)との間に接続された第3インピーダンス調整回路である。このインピーダンス調整回路430は、第1初段接続回路に対して当該インピーダンス調整回路430が接続された回路部分を低雑音増幅器40の入力側から見た第3インピーダンスを、スミスチャート上で複数のフィルタ410A、410B、10C及び10Cのうちいくつかの経路(第1初段接続回路によって共通接続された経路)に設けられたいくつかのフィルタ(本変形例ではフィルタ410A及び410B)の通過帯域において、上述したマッチング領域に近づける。インピーダンス調整回路430の回路構成及びインピーダンス素子の定数については、特に限定されず、第3インピーダンスが上記マッチング領域に位置するような回路構成及び定数であればよい。
以上のような構成であっても、実施の形態1と同様に、NFの劣化を抑制しつつゲインを高めることができる、小型かつマルチバンド対応の高周波モジュール401を実現することができる。
また、本変形例に係る高周波モジュール401によれば、接続回路420がインピーダンス調整回路430(第3インピーダンス調整回路)を備えることにより、次のような効果が奏される。
ここでは、高周波モジュール401が対応する複数のバンドのうち、スイッチ221SW(第1初段接続回路)によって共通接続されたいくつかの経路に設けられたいくつかのフィルタ(本変形例ではフィルタ410A及び410B)に割り当てられたバンドの周波数帯域を、第1周波数帯域と称する。また、高周波モジュール401が対応する複数のバンドのうち、スイッチ222SW(第2初段接続回路)によって共通接続された少なくとも二つの経路に設けられた少なくとも二つのフィルタ(本変形例ではフィルタ10C及び10D)に割り当てられたバンドの周波数帯域を、第2周波数帯域と称する。
上記のようにインピーダンス調整回路430を備えることにより、第1周波数帯域と第2周波数帯域との周波数間隔が大きく離れている場合であっても、上記いくつかのフィルタ及び上記少なくとも二つのフィルタのそれぞれについてNF性能とゲイン性能とのバランスを最適化することができる。よって、高周波モジュール401が対応する複数のバンドにおいて、周波数が大きく異なるより多くのバンドに対応することができる。ここで、周波数が大きく異なるバンドとはHB帯(例えば2.5GHz帯)とMB帯(例えば1800MHz帯)など周波数が大きく異なることを意味する。
なお、本変形例では、インピーダンス調整回路430と接続されるフィルタとしてフィルタ410A及び410Bを例に説明した。しかし、インピーダンス調整回路430と接続されるフィルタは上記の例に限定されず、例えばフィルタ10C及び10Dであってもかまわない。つまり、インピーダンス調整回路430は、スイッチ222SWとスイッチ223SWとの間に接続されていてもかまわない。この場合、スイッチ222SWが第1初段接続回路に相当し、スイッチ221SWが第2初段接続回路に相当する。
(変形例5)
上記実施の形態及びその変形例1〜4では、接続回路(あるいは当該接続回路を構成する第1及び第2初段接続回路ならびに後段接続回路)は、スイッチ(あるいはマルチプレクサまたはダイプレクサ)等の回路素子によって複数の経路を接続していた。しかし、接続回路は、回路素子に限定されず、複数の経路(配線)を共通接続する接続点であってもかまわない。また、このとき、接続点の前段(フィルタ側)に接続されたインピーダンス調整回路と後段(LNA側)に接続されたインピーダンス調整回路とで1つのインピーダンス調整回路が構成されていてもかまわない。そこで、実施の形態の変形例5に係る高周波モジュールとして、このような高周波モジュールについて説明する。
図9は、実施の形態の変形例5に係る高周波モジュール501の回路構成図である。
同図に示す高周波モジュール501は、図8に示した高周波モジュール401に比べて、フィルタ410A及び410Bに代わりフィルタ10A及び10Bを備え、フィルタ10C及び10Dに代わりフィルタ510C及び510Dを備える。さらに、高周波モジュール501の接続回路520は、高周波モジュール401の接続回路420に比べて、後段接続回路が分岐点N(分岐部)で構成され、当該後段接続回路とスイッチ222SWとを接続する経路にインピーダンス調整回路532(第3インピーダンス調整回路)が設けられている点が異なる。
フィルタ510C及び510Dは、通過帯域がフィルタ10A及び10Bと大きく(例えば、通過帯域の帯域幅以上)異なる。例えば、フィルタ510C及び510Dの通過帯域はLB帯であり、フィルタ10A及び10Bの通過帯域はMB帯である。また、例えば、フィルタ510C及び510Dのそれぞれは、自身の通過帯域における出力インピーダンス(帯域内出力インピーダンス)が、フィルタ10A及び10Bの通過帯域における出力インピーダンス(帯域外出力インピーダンス)と比べて大きく異なる。
インピーダンス調整回路532は、第1初段接続回路(本変形例ではスイッチ222SW)と後段接続回路(本変形例では分岐点N)との間に接続された第3インピーダンス調整回路である。このインピーダンス調整回路532は、第1初段接続回路に対して当該インピーダンス調整回路532が接続された回路部分を低雑音増幅器40の入力側から見た第3インピーダンスを、スミスチャート上で第1初段接続回路に接続されたフィルタ(本変形例ではフィルタ510C及び510D)の通過帯域において上述したマッチング領域に位置するように調整する。
つまり、インピーダンス調整回路532は、インピーダンス調整回路30とともに、1つのインピーダンス調整回路530を構成している。言い換えると、インピーダンス調整回路530について、低雑音増幅器40側の点を始点とすると、終点にスイッチ222SWが接続され、始点と終点との間の分岐点Nにスイッチ221SWが接続されていることになる。このため、これら2つのインピーダンス調整回路によって構成された1つのインピーダンス調整回路530は、フィルタ10A及び10Bに対するマッチング領域の移動、及び、フィルタ510C及び510Dに対するマッチング領域の移動という2つの作用を有する。
以上のような構成であっても、実施の形態1と同様に、NFの劣化を抑制しつつゲインを高めることができる、小型かつマルチバンド対応の高周波モジュール501を実現することができる。
また、本変形例に係る高周波モジュール501によれば、後段接続回路が分岐点N(分岐部)によって構成されていることにより、構成の簡素化が図られる。また、この構成により、複数のバンドのうち2以上のバンドを同時に用いて送受信を行うキャリアアグリゲーションに適用することができる。
(変形例6)
上記実施の形態及びその変形例1〜5では、高周波モジュールは、インピーダンス調整回路30(第1インピーダンス調整回路)及び低雑音増幅器40を1つずつ備えるとした。しかし、これらの個数は1つに限らず、複数であってもかまわない。そこで、実施の形態の変形例6に係る高周波モジュールとして、このような高周波モジュールについて説明する。
図10は、実施の形態の変形例6に係る高周波モジュール601の回路構成図である。
同図に示す高周波モジュール601は、図1に示した高周波モジュール1に比べて、インピーダンス調整回路30及び低雑音増幅器40に代わり、2つのインピーダンス調整回路30A及び30Bならびに2つの低雑音増幅器40A及び40Bを備える。また、SPnT型のスイッチ20に代わり、DPnT(Double Pole n Throw)型(nはフィルタの数であり、ここでは4)のスイッチ620を備える。スイッチ620は、制御部(図示せず)からの制御信号によって、各共通端子に接続される選択端子が切り替えられる。
このような構成によれば、例えば、低雑音増幅器40AによってHB帯の高周波信号(高周波受信信号)を増幅し、低雑音増幅器40BによってLB帯の高周波信号(高周波受信信号)を増幅することができる。したがって、HB帯及びLB帯それぞれについて適切な低雑音増幅器を用いることが可能となるので、NFの劣化を抑制しつつゲインを高め、かつ、高周波モジュール601が対応する複数のバンドのさらなる広帯域化を図ることが可能となる。
また、この構成により、複数のバンドのうち2以上のバンドを同時に用いて送受信を行うキャリアアグリゲーションに適用することができる。
なお、本変形例において、インピーダンス調整回路及び低雑音増幅器の個数は、上記個数に限定されず、3以上であってもかまわない。このような構成の場合、スイッチ620はDPnT型に限定されず、インピーダンス調整回路及び低雑音増幅器と同数の共通端子を有してもかまわない。
(変形例7)
上記実施の形態の変形例2の第1例では、スイッチ221SWとスイッチ222SWとは個別のスイッチ素子によって構成されていたが、これらは1つのスイッチ素子によって構成されていても構わない。つまり、初段接続回路及び後段接続回路は1つずつであってもかまわない。そこで、実施の形態の変形例7に係る高周波モジュールとして、このような高周波モジュールについて説明する。
図11は、実施の形態の変形例7に係る高周波モジュール701の回路構成図である。
同図に示す高周波モジュール701は、図6Aに示した高周波モジュール201Aに比べて、スイッチ221SW及び222SWとスイッチ223SWとを有する接続回路220Aに代わり、スイッチ721とスイッチ723とを有する接続回路720を備える。なお、スイッチ723は、スイッチ223SWと同様の構成を有するため、以下では説明を省略する。
スイッチ721は、スイッチ221SW(第1初段接続回路)とスイッチ222SW(第2初段接続回路)とが一体化されたスイッチであり、本変形例では、DPnT型(nはフィルタの数であり、ここでは4)のスイッチである。このスイッチ721は、スイッチ620と同様に、制御部(図示せず)からの制御信号によって、各共通端子に接続される選択端子が切り替えられる。
このような構成であっても、上記実施の形態の変形例2の第1例と同様の効果を奏することができる。
なお、スイッチ723はSPDT型に限定されず、3以上の選択端子を有してもかまわない。このような構成の場合、スイッチ721はDPnT型に限定されず、スイッチ723の選択端子と同数の共通端子を有してもかまわない。
(変形例8)
上記実施の形態及びその変形例1〜7では、高周波モジュールは、接続回路として何らかの回路素子を有するとした。しかし、接続回路は、回路素子を有さずに、複数の経路が共通接続されることにより構成されていてもかまわない。そこで、実施の形態の変形例8に係る高周波モジュールとして、このような高周波モジュールについて説明する。
図12は、実施の形態の変形例8に係る高周波モジュール801の回路構成図である。
同図に示す高周波モジュール801は、図1に示した高周波モジュール1のスイッチ20(接続回路)に代わり、複数の経路10a〜10cが共通接続点820によって共通接続されている点が異なる。つまり、共通接続点820は、本変形例における接続回路に相当する。
このような構成によれば、接続回路の小型化を図ることができるので、高周波モジュール801全体についてさらなる小型化を図ることができる。
また、この構成により、複数のバンドを同時に用いて送受信を行うキャリアアグリゲーション(CA)に適用することができる。
(変形例9)
また、CAに適用する構成としては、上記説明した構成に限らず、例えば、共通端子を複数の個別端子と同時に接続可能なスイッチを用いてもかまわない。図13Aは、実施の形態の変形例9の第1例に係る高周波モジュール901Aの回路構成図である。図13Bは、実施の形態の変形例9の第2例に係る高周波モジュール901Bの回路構成図である。図13Cは、実施の形態の変形例9の第3例に係る高周波モジュール901Cの回路構成図である。
図13Aに示す高周波モジュール901Aは、図6Aに示す高周波モジュール201Aに比べ、スイッチ223SWに代わりスイッチ923SWを有する接続回路920Aを備える。
スイッチ923SWは、インピーダンス調整回路30と接続された共通端子を、2つの経路220a及び220bにそれぞれ接続された2つの個別端子と同時に接続可能なスイッチである。スイッチ923SWは、制御部(図示せず)からの制御信号によって、共通端子に接続される選択端子及びその個数が切り替えられる。
このように構成された高周波モジュール901Aによれば、スイッチ923SWの共通端子が2つの個別端子に同時に接続されることにより、BandA及びBandBのいずれか一方とBandC及びBandDのいずれか一方とのCAに対応することができる。
図13Bに示す高周波モジュール901Bは、図6Bに示す高周波モジュール201Bに比べ、スイッチ221SW及び222SWに代わりスイッチ921SW及び922SWを有する接続回路920Bを備える。
スイッチ921SWは、後段接続回路であるダイプレクサ223DPと接続された共通端子を、2つの経路10a及び10bにそれぞれ接続された2つの個別端子と同時に接続可能なスイッチである。スイッチ922SWは、後段接続回路であるダイプレクサ223DPと接続された共通端子を、2つの経路10c及び10dにそれぞれ接続された2つの個別端子と同時に接続可能なスイッチである。これらスイッチ921SW及び922SWは、SPDT型のスイッチ素子であり、制御部(図示せず)からの制御信号によって共通端子に接続される選択端子及びその個数が切り替えられる。
このように構成された高周波モジュール901Bによれば、スイッチ921SW及び922SWのうち少なくとも一方においてBandA〜BandDのうち2以上のバンドのCAに対応することができる。
図13Cに示す高周波モジュール901Cは、図6Cに示す高周波モジュール201Cに比べ、スイッチ223SWに代わり上述したスイッチ923SWを有する接続回路920Cを備える。
このように構成された高周波モジュール901Cによれば、スイッチ923SWの共通端子が2つの個別端子に同時に接続されることにより、BandA〜BandDのうち2以上のバンドのCAに対応することができる。
(変形例10)
変形例9で説明した、共通端子を複数の選択端子に同時に接続するスイッチは、インピーダンスを調整するために用いられてもかまわない。そこで、実施の形態の変形例10に係る高周波モジュールとして、このようなスイッチを有する高周波モジュールについて説明する。
図14は、実施の形態の変形例10に係る高周波モジュール1001の回路構成図である。
同図に示す高周波モジュール1001は、図7に示す高周波モジュール301に比べ、スイッチ20に代わりスイッチ1020を有し、さらに、インピーダンスを調整するための付加回路630を有する。
スイッチ1020は、1つの共通端子と4つの個別端子とを有し、共通端子を4つの個別端子のうち2以上の個別端子と同時に接続可能なスイッチである。スイッチ1020は、制御部(図示せず)からの制御信号によって共通端子に接続される選択端子及びその個数が切り替えられる。
付加回路630は、スイッチ1020の1つの個別端子とグランドとの間に接続された所定の機能を果たす回路ある。つまり、付加回路630は、スイッチ1020の共通端子が付加回路630に接続された個別端子と他の個別端子とに同時に接続された場合に、高周波信号を伝送する主経路とグランドとの間に接続されることで、当該所定の機能を果たす。
例えば、付加回路630は、スイッチ1020の個別端子とグランドとの間に接続されたインダクタまたはキャパシタ等のインピーダンス素子である。このように構成された付加回路630によれば、スイッチ1020の共通端子が上記同時に接続された場合に、当該インピーダンス素子が主経路とグランドとの間に接続されることにより、当該主経路のインピーダンスを調整する機能を果たす。
また、例えば、付加回路630は、スイッチの個別端子とグランドとの間に接続されたLC並列共振回路またはLC直列共振回路、あるいは、分布定数型共振器等の共振回路である。このように構成された付加回路630によれば、スイッチ1020の共通端子が上記同時に接続された場合に、当該共振回路が主経路とグランドとの間に接続されることにより、次のような極を形成する機能を果たす。具体的には、共振回路は、インピーダンスが極小(理想的には0)となる周波数において減衰極を形成し、インピーダンスが極大(理想的には無限大)となる周波数において通過帯域を形成する。
以上のように、本変形例に係る高周波モジュール1001によれば、スイッチ1020の共通端子において、他の少なくとも1つの個別端子に接続しつつ、付加回路630が接続された個別端子に接続するか否かを切り替えることにより、付加回路630により果たされる所定の機能の有無を切り替えることができる。
(変形例11)
なお、上記説明したインピーダンス調整回路は、インピーダンスを可変することができる構成であってもかまわない。そこで、実施の形態の変形例11に係る高周波モジュールとして、このようなインピーダンス調整回路を有する高周波モジュールについて説明する。
図15は、実施の形態の変形例11に係る高周波モジュール1101の回路構成図である。
同図に示す高周波モジュール1101は、図7に示す高周波モジュール301に比べインピーダンス調整回路30に代わり、インピーダンスを可変することができるインピーダンス調整回路1030を有する。
図16A〜図16Dは、本変形例におけるインピーダンス調整回路1030の一例である。
図16Aに示すように、インピーダンス調整回路1030は、例えば、各々がインダクタLa及びその両端に直列接続された一対のスイッチSWaからなる複数の直列回路が並列接続されることで構成されていてもよい。これによれば、一対のスイッチSWaごとにオン及びオフが切り替えられることにより、並列接続されるインダクタLaの個数を切り替えることができるため、インピーダンス調整回路1030全体のインダクタンスを可変することができる。
また、図16Bに示すように、インピーダンス調整回路1030は、例えば、各々がキャパシタCb及びその両端に直列接続された一対のスイッチSWbからなる複数の直列回路が並列接続されることで構成されていてもよい。これによれば、一対のスイッチSWbごとにオン及びオフが切り替えられることにより、並列接続されるキャパシタCbの個数を切り替えることができるため、インピーダンス調整回路1030全体のキャパシタンスを可変することができる。
なお、図16A及び図16Bに示す構成において、並列接続される直列回路の個数は、複数であればよく、2であっても4以上であってもよい。また、一対のスイッチの一方は設けられていなくてもよい。
また、図16Cに示すように、インピーダンス調整回路1030は、例えば、各々がインダクタLcとこれに並列接続されたスイッチSWcからなる複数の並列回路が直列接続されることで構成されていてもよい。これによれば、複数のスイッチSWcのオン及びオフが個別に切り替えられることにより、直列接続されるインダクタLcの個数を切り替えることができるため、インピーダンス調整回路1030全体のインダクタンスを可変することができる。
なお、図16Cに示す構成において、インダクタLcに代わりキャパシタが設けられていてもよい。
また、図16Dに示すように、インピーダンス調整回路1030は、例えば、高周波信号を伝送する主経路上のノードAに設けられたショートスタブSdと、複数のスイッチSWdと、で構成されていてもよい。複数のスイッチSWdは、ショートスタブSd上のノードAからの距離が互いに異なる複数のノードとグランドの間に接続されている。これによれば、オンとされるスイッチSWdが切り替えられることにより、ショートスタブSdにおいてグランドに接続されるノードを切り替えることができるため、インピーダンス調整回路1030全体のインピーダンスを可変することができる。
(その他の変形例)
以上、本発明に係る高周波モジュールについて、実施の形態及び変形例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。上記実施の形態及び変形例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る高周波モジュールを内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
例えば、実施の形態1で説明した高周波モジュール1とRFIC3(RF信号処理回路)とを備える通信装置4も本発明に含まれる。このような通信装置4によれば、NFの劣化を抑制しつつゲインを高めることができる通信装置を、小型化かつマルチバンド化することができる。
例えば、上記説明では、高周波モジュールは、接続回路と低雑音増幅器40との間に接続された第1インピーダンス調整回路を備えるとした。しかし、高周波モジュールは、第1インピーダンス調整回路を備えていなくてもかまわない。つまり、第1インピーダンス調整回路によるインピーダンス調整がない場合であっても、第1及び第2フィルタのそれぞれが、NFマッチングインピーダンスとゲインマッチングインピーダンスとの間であるマッチング領域に位置する出力インピーダンスを有していればよい。
また、上記説明では、各フィルタは、自身の通過帯域において容量性を示す出力インピーダンスを有するとした。しかし、各フィルタは、自身の通過帯域において誘導性を示す出力インピーダンスを有してもかまわないし、虚数成分を持たない出力インピーダンスを有してもかまわない。また、一部のフィルタが自身の通過帯域において容量性を示す出力インピーダンスを有し、他のフィルタが自身の通過帯域において誘導性を示す出力インピーダンスを有してもかまわない。
また、各フィルタは、弾性波共振子と異なる素子によって構成されていてもよく、例えば、LC素子によって構成されていてもかまわない。
また、上記実施の形態の変形例3では、機能回路としてインピーダンス調整回路330を例に説明した。しかし、機能回路は、このような構成に限らず、例えば、ローパスフィルタ等のフィルタ、カプラあるいはアイソレータであってもかまわない。このような機能回路を備えることにより、第3フィルタを通過する特定のバンド(ここではBandC)についてのみ、機能回路により果たされる機能により影響を及ぼすことができる。例えば、機能回路としてローパスフィルタを設けた場合、上記特定のバンドについて、ローパスフィルタの作用により高域側の減衰特性を高めることができる。
また、上記実施の形態の変形例4におけるインピーダンス調整回路430に代わり、このような機能回路を設けてもかまわない。このような構成により、第1初段接続回路により共通接続された経路(経路10a及び10b)に設けられたフィルタ(フィルタ410A及び410B)を通過する特定のバンド(ここではBandA及びBandB)についてのみ、機能回路により果たされる機能により影響を及ぼすことができる。