JP6965562B2 - スピネル粒子の製造方法、スピネル粒子、並びに前記スピネル粒子を含む樹脂組成物および成形物 - Google Patents

スピネル粒子の製造方法、スピネル粒子、並びに前記スピネル粒子を含む樹脂組成物および成形物 Download PDF

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Description

本発明は、スピネル粒子の製造方法、スピネル粒子、並びに前記スピネル粒子を含む樹脂組成物および成形物に関する。
従来、機器の小型軽量化、高性能化が求められ、これに伴い半導体デバイスの高集積化、大容量化が進んでいる。このため、機器の構成部材に生じる発熱量が増大しており、機器の放熱機能の向上が求められている。
機器の放熱機能を向上させる方法としては、例えば、絶縁部材に熱伝導性を付与する方法、より具体的には、絶縁部材となる樹脂に無機フィラーを添加する方法が知られている。この際、使用される無機フィラーとしては、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
近年、機器の小型軽量化、高性能化はますます進んでおり、高い熱伝導性を有する無機フィラーが求められている。
ところで、スピネルは、一般に、MgAlの化学組成で表される鉱物であり、宝石類として使用される他、その多孔構造や修飾容易性の観点から、触媒担体、吸着剤、光触媒、光学材料、耐熱絶縁材料等の用途に適用されている。
例えば、特許文献1には、比表面積が80m/g以上のMgAlスピネル粉末に係る発明が記載されている。この際、前記スピネル粉末は、平均粒子径が3〜20μmであることを特徴としている。特許文献1に記載のスピネル粉末によれば、比表面積を80cm/以上とすることで、主に吸蔵還元型触媒担体として高い触媒活性が得られることが記載されている。また、平均粒子径が3〜20μmとすることで、塗布し易く、かつ剥離し難く、亀裂が発生しない被覆層が得られることが記載されている。
また、特許文献1に記載のスピネル粉末は、水酸化アルミニウムを酸に溶解させて調製したアルミニウム塩と水酸化マグネシウムを酸に溶解させて調製したマグネシウム塩とを用いて合成し焼成して得たMgAlスピネル粉末を粉砕して得られることが記載されている。具体的には、前記水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムを用いて複合水酸化物の沈殿物を合成し、前記沈殿物を熱処理して得たMgAlスピネル粉末を粉砕する、いわゆる共沈法が記載されている。
一方、特許文献2には、所定の結晶面を大きくしたスピネル粒子に係る発明が記載されている。この際、前記スピネル粉末は、マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子を含むスピネルと、前記スピネルの表面および/または内部に配置されるモリブデンを含み、[311]面の結晶子径が100nm以上であることを特徴としている。このスピネル粒子は、極めて高い結晶性を有することから、高い熱伝導率を有することが記載されている。
特開2001−48529公報 WO2016148236A1公報
特許文献2に記載のスピネル粒子は、熱伝導性に優れる無機フィラーではあるが、極めて高い結晶性を有するために、粒子形状がスピネル結晶構造を反映した八面体(自形)に近いものとなっており、粒子表面には平坦な自形面が形成される傾向にある。このような状態の粒子表面は、表面エネルギーが低く安定であるために、他の物質を結合したり吸着したりする能力が低い可能性がある。すると、この様なスピネル粒子を樹脂に配合して熱伝導性樹脂組成物を製造した際に、樹脂とスピネル粒子表面の密着性が低く、界面に僅かな隙間が生じることが予想される。このような隙間は、熱伝導の妨げとなるため好ましくない。
そこで、本発明は、高い熱伝導を有するとともに、例えば、樹脂との密着性に優れた表面改質されたスピネル粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、スピネル粒子を製造する際に、特定の添加原子の存在下で合成したスピネル結晶では、固有に上記課題が解決されうることを見い出した。更には、スピネル粒子を製造する際に、特定の添加原子の存在下でスピネル結晶を合成することで、スピネル粒子のカチオンディスオーダーが改善されることも発見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子の製造方法であって、マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物を、モリブデン原子および添加原子含有化合物の存在下で焼成して焼成体を得る焼成工程と、前記焼成体を冷却する冷却工程と、を含み、前記添加原子含有化合物が、ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、およびタングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つ添加原子含有化合物である、スピネル粒子の製造方法に関するものである。
また、本発明は、マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子であって、ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、タングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子をさらに含む、スピネル粒子に関するものである。
本発明によれば、高い熱伝導性を有するとともに、例えば、樹脂との密着性に優れた表面改質されたスピネル粒子が提供できる。
実施例1で製造したスピネル粒子粉末サンプルのX線回折パターンである。 実施例1で製造したスピネル粒子のSEM画像である。 実施例1で製造したスピネル粒子の固体NMRチャートである。 実施例1で製造した樹脂成形物の破断面のSEM画像である。 比較例1で製造したスピネル粒子のSEM画像である。 比較例1で製造したスピネル粒子の固体NMRチャートである。 比較例1で製造した樹脂成形物の破断面のSEM画像である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<スピネル粒子>
本発明の一形態によれば、スピネル粒子は、マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子であって、ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、タングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子をさらに含む、スピネル粒子である。
なお、本明細書において、「スピネル粒子」とは、スピネル、モリブデン、および添加原子を含む粒子全体を含むものである。また、「スピネル」とは、結晶それ自体を示すものである。この際、後述するようにモリブデンと添加原子のどちらか一方または両方がスピネルの表面に配置される場合には、スピネルの結晶にはモリブデンと添加原子のどちらか一方が構成要素として含まれないため、スピネル粒子とスピネルとは異なることとなる。一方で、モリブデンと添加原子の両方がスピネルの内部に配置される場合には、モリブデンと添加原子の両方がスピネル結晶の構成要素として含まれる場合があり、この場合はスピネル粒子とスピネルとは同じものを意味することとなる。なお、モリブデンと添加原子のどちらか一方がスピネルの表面および内部に配置される場合、スピネル粒子は、モリブデンと添加原子のどちらか一方を構成要素として含むスピネルと、当該スピネル表面に配置されるモリブデンまたは添加原子を含むことになるため、スピネルとは異なることとなる。
当該モリブデンと添加原子は、スピネルの表面および/または内部に配置される。ここで、「表面に配置される」とは、スピネル表面にモリブデンおよび/または添加原子が付着、被覆、結合、その他これに類する形態で存在することを意味する。他方、「内部に配置される」とは、スピネル結晶に組み込まれることまたはスピネル結晶の欠陥などの空間に存在することを意味する。スピネル結晶に組み込まれることとは、スピネルを構成する原子の少なくとも一部が、モリブデンおよび/または添加原子に置換し、当該モリブデンおよび/または添加原子がスピネル結晶の一部として包含されることを意味する。この際、置換されるスピネルの原子としては、特に制限されず、マグネシウム原子、アルミニウム原子、酸素原子、他の原子のいずれであってもよい。
スピネル粒子の形状としては、多面体状、球状、楕円状、円柱状、多角柱状、針状、棒状、板状、円板状、薄片状、鱗片状等が挙げられるが、一般的には、スピネル結晶構造に起因する八面体状の粒子、つまり、平坦な自形面を有する粒子が、結晶性が高く、熱伝導に優れると考えられがちである。
しかしながら、平坦な自形面のない粒子でも、後述の[311]面の結晶子径が大きく結晶性の高い粒子は存在可能であり、平坦な自形面を有することは、結晶性が高いことの十分条件ではあるが、必要条件ではない。むしろ、平坦な自形面は、エネルギー的に安定であり、他の物質を吸着させたり結合させたりする働きが弱いため、例えば、樹脂に配合して熱伝導性樹脂組成物を製造した際に、樹脂と粒子表面の密着性が低く、界面に僅かな隙間が生じることがある。このような隙間は、熱伝導の妨げとなるため好ましくないことが、この度明らかになった。
即ち、スピネル粒子の形状としては、平坦な自形面が少ないほど樹脂に配合した際に樹脂と密着して高い熱伝導率を発揮する。具体的には、スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子の割合が、50%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
スピネル粒子の平均粒径は、0.1〜1000μmであることが好ましく、0.2〜100μmであることがより好ましく、0.3〜80μmであることがさらに好ましく、0.4〜60μmであることが特に好ましい。スピネル粒子の平均粒径が0.1μm以上であると、それと樹脂とを混合して得られる樹脂組成物の粘度が過度に大きくならないことから好ましい。一方、スピネル粒子の平均粒径が1000μm以下であると、それと樹脂とを混合して得られた樹脂組成物を成形した場合、得られた成形物の表面が平滑になりうることまたは成形物の機械物性が優れていることから好ましい。
なお、本明細書において、「平均粒径」とは、任意の100個の粒子の粒径を走査型電子顕微鏡(SEM)により得られたイメージから測定、算出された値を意味する。この際、「粒径」とは、粒子の輪郭線上の2点間の距離のうち、最大の長さを意味する。
スピネル粒子の真密度は、3.57以上であることが好ましく、3.58以上であることがより好ましい。スピネル粒子の密度が高いと、結晶が緻密であり、より熱伝導に優れることから好ましい。
スピネル粒子の比表面積は、10m/g以下であることが好ましく、8〜0.001m/gであることがより好ましく、5〜0.01m/gであることがさらに好ましい。スピネル粒子の比表面積が10m/g以下であると、樹脂等に分散した際に適度な粘度となることから好ましい。
なお、本明細書において「比表面積」はBET比表面積を意味し、窒素ガス吸着/脱着法で得られた値を採用するものとする。
スピネル粒子の熱伝導率は、10W/(m・K)以上であることが好ましく、20W/(m・K)以上であることがより好ましく、35W/(m・K)以上であることがさらに好ましい。スピネル粒子の熱伝導率が10W/(m・K)以上であると、樹脂組成物としてより高熱伝導性を達成できることから好ましい。
[スピネル]
本発明においてスピネルは、マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子を含み、一般的には、MgAlの組成で表される。その他、添加原子および後述するモリブデンが含まれていてもよい。
スピネルの[311]面の結晶子径は、100nm以上であることが好ましく、より好ましくは150nm以上であり、さらに好ましくは200nm以上である。ここで、[311]面はスピネルの主要な結晶ドメインであり、当該[311]面の結晶ドメインの大きさが[311]面の結晶子径に相当する。当該結晶子径が大きいほど粒子の緻密性及び結晶性が高く、フォノンの散乱が起こる乱れ部分がないことを意味するため、熱伝導性が高いということができる。
なお、スピネルの[311]面の結晶子径は、例えば、後述する製造方法の条件を適宜設定することで制御することができる。また、本明細書において「[311]面の結晶子径」の値は、X線回析法(XRD)を用いて測定された[311]面に帰属されるピーク(2θ=36.9度付近に出現するピーク)の半値幅からシェラー式を用いて算出された値を採用するものとする。
ところで、例えば、A原子とB原子のカチオン性原子から構成される結晶において、部分的に、本来A原子が配置されるべき位置にB原子が入り、その分、本来B原子が配置されるべき位置にA原子が入る結晶構造の乱れは、カチオンディスオーダー、または、アンチサイト欠陥と呼ばれる。一般的に、スピネルでは、マグネシウム原子とアルミニウム原子の配置が部分的に入れ替わっているカチオンディスオーダーが存在するが、そのような結晶構造の乱れが少ないものほど、熱伝導率が高くなる。
このカチオンディスオーダーは、例えば、固体核磁気共鳴分光分析(固体NMR)にて測定が可能である。具体的には、27Alの核磁気共鳴スペクトルを測定することで、本来アルミニウム原子が配置される、酸素原子6配位の位置におけるAl核のピークと、本来マグネシウム原子が配置される、酸素原子が4配位の位置におけるAl核のピークが別々に観測され、それぞれのピークの面積から、本来の配置にあるアルミニウム原子と、マグネシウム原子が入るべき位置にあるアルミニウム原子の比が分かる。本明細書においては、本発明におけるスピネル粒子の、アルミニウム原子の総量に対する、マグネシウム原子が入るべき位置にあるアルミニウム原子の割合をもって、カチオンディスオーダーと呼ぶことにする。
本発明のスピネル粒子のカチオンディスオーダーは、特に制限されるものではないが、上記した理由により、10mol%以下であることが好ましい。
(マグネシウム原子)
スピネル中のマグネシウム原子の含有量は、特に制限されないが、スピネルの構造式をMgxAlOzで表す場合、xは0.8〜1.2の範囲であることが好ましく、0.9〜1.1の範囲であることがより好ましい。なお、本明細書において、スピネル中のマグネシウム原子の含有量は高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)により測定された値を採用するものとする。
(アルミニウム原子)
スピネル中のマグネシウム原子の含有量は、特に制限されないが、スピネルの構造式をMgAlyOzで表す場合、xは1.8〜2.2の範囲であることが好ましく、1.9〜2.1の範囲であることがより好ましい。なお、本明細書において、スピネル中のアルミニウム原子の含有量は高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)により測定された値を採用するものとする。
(酸素原子)
スピネル中の酸素原子の含有量は、特に制限されないが、スピネルの構造式をMgxAlyOzで表す場合、zは(x+y+1.2)〜(x+y+0.8)の範囲であることが好ましく、(x+y+1.1)〜(x+y+0.9)の範囲であることがより好ましい。
<モリブデン>
モリブデンは、後述する製造方法に起因して含有されうる。
当該モリブデンは、スピネルの表面および/または内部に配置される。ここで、「表面に配置される」とは、スピネル表面にモリブデンが付着、被覆、結合、その他これに類する形態で存在することを意味する。他方、「内部に配置される」とは、スピネル結晶に組み込まれることまたはスピネル結晶の欠陥などの空間に存在することを意味する。スピネル結晶に組み込まれることとは、スピネルを構成する原子の少なくとも一部が、モリブデンに置換し、当該モリブデンがスピネル結晶の一部として包含されることを意味する。この際、置換されるスピネルの原子としては、特に制限されず、マグネシウム原子、アルミニウム原子、酸素原子、他の原子のいずれであってもよい。
なお、前記モリブデンには、後述するモリブデン含有化合物中のモリブデンを含む。
スピネル粒子中のモリブデンの含有量は、特に制限されないが、スピネルに対して、20mol%以下であることが好ましい。また、10mol%以下が更に好ましく、0.05mol%以下であればスピネル結晶体が高い緻密性を示すため、特に好ましい。なお、本明細書において、スピネル中のモリブデンの含有量は高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)により測定された値を採用するものとする。
<添加原子>
添加原子は、例えば、後述する製造方法に起因して含有されうる。添加原子の供給源は後述する添加原子含有化合物である。
添加原子含有化合物に由来する添加原子は、ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、タングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子である。
当該添加原子は、スピネルの表面および/または内部に配置される。ここで、「表面に配置される」とは、スピネル表面に添加原子が付着、被覆、結合、その他これに類する形態で存在することを意味する。他方、「内部に配置される」とは、スピネル結晶に組み込まれることまたはスピネル結晶の欠陥などの空間に存在することを意味する。スピネル結晶に組み込まれることとは、スピネルを構成する原子の少なくとも一部が、添加原子に置換し、当該添加原子がスピネル結晶の一部として包含されることを意味する。この際、置換されるスピネルの原子としては、特に制限されず、マグネシウム原子、アルミニウム原子、酸素原子、他の原子のいずれであってもよい。
なお、前記添加原子には、後述する添加原子含有化合物中の添加原子を含む。
スピネル粒子中の添加原子の含有量は、特に制限されないが、マグネシウム原子に対して、20mol%以下であることが好ましい。また、0.01〜10mol%であればスピネル結晶体におけるカチオンミキシングが改善され高い結晶性を示すため、特に好ましい。
スピネル粒子中の添加原子の含有量は、添加原子が、ホウ素原子またはケイ素原子である場合は、マグネシウム原子に対して、1.6〜7.0mol%であることが上記した理由から好ましく、ホウ素原子及びケイ素原子以外の添加原子である場合は、0.15〜1.5mol%であることが上記した理由から好ましい。
なお、本明細書において、スピネル中の添加原子の含有量は高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)により測定された値を採用するものとする。
<スピネル粒子の製造方法>
スピネル粒子の製造方法は、マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物を、モリブデン原子および添加原子の存在下で焼成して焼成体を得る焼成工程と、前記焼成体を冷却する冷却工程と、を含む。その他、必要に応じて、焼成工程の前に、予めモリブデン化合物およびマグネシウム化合物からモリブデン酸マグネシウムを調製する中間体調整工程をさらに含んでいてもよい。
一実施形態において、好ましくは、中間体調製工程と、焼成工程と、冷却工程と、をこの順で含む。
マグネシウム化合物
マグネシウム化合物としては、特に制限されないが、金属マグネシウム;酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、過酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、水素化マグネシウム、二ホウ化マグネシウム、窒化マグネシウム、硫化マグネシウム等のマグネシウム誘導体;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム等、過マンガン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム等のマグネシウムオキソ酸塩;酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、ナフテン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、モノペルオキシフタル酸マグネシウム等のマグネシウム有機塩;スピネル、スピネル前躯体、アルミン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、マグネシウムアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウム−マグネシウム含有化合物;およびこれらの水和物等が挙げられる。これらのうち、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、スピネル前躯体、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウムであることが好ましく、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、スピネル前躯体、酢酸マグネシウムであることがより好ましい。
なお、上述のマグネシウム化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
マグネシウム化合物は市販品を使用しても、自ら調製してもよい。
マグネシウム化合物を自ら調製する場合、例えば、アルミニウム−マグネシウム含有化合物である結晶性の低いスピネルは、共沈法により調製することができる。より詳細には、マグネシウム塩およびアルミニウム塩を含む溶液から難溶性のスピネル前躯体を得ることができる。なお、これによって得られるマグネシウム−アルミニウム含有化合物であるスピネルは焼成していないため、結晶性が低く、反応性が高く、後述する焼成工程において高い反応性を示し、結晶子径が大きくなる傾向がある。
アルミニウム化合物
アルミニウム化合物としては、特に制限されないが、金属アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、水酸化アルミニウム、硫化アルミニウム、窒化アルミニウム、フッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム等のアルミニウム誘導体;硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硝酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、アルミン酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム等のアルミニウムオキソ酸塩;酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム等のアルミニウム有機塩;アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド等のアルコキシアルミニウム;スピネル、スピネル前躯体、アルミン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、マグネシウムアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウム−マグネシウム含有化合物;およびこれらの水和物等が挙げられる。これらのうち、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、およびこれらの水和物を用いることが好ましく、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、スピネル前躯体を用いることがより好ましい。
なお、上述のアルミニウム化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アルミニウム化合物のアルミニウム元素に対するマグネシウム元素のモル比(アルミニウム元素/マグネシウム元素)は、2.2〜1.8の範囲であることが好ましく、2.1〜1.9の範囲であることがより好ましい。前記モル比が2.2〜1.8の範囲であると、[311]面の結晶子径の大きい高熱伝導率のスピネル粒子を合成できることから好ましい。
モリブデン化合物
モリブデン化合物としては、特に制限されないが、金属モリブデン、酸化モリブデン、硫化モリブデンモリブデン、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アンモニウム、HPMo1240、HSiMo1240等のモリブデン化合物が挙げられる。この際、前記モリブデン化合物は、異性体を含む。例えば、酸化モリブデンは、二酸化モリブデン(IV)(MoO)であっても、三酸化モリブデン(VI)(MoO)であってもよい。これらのうち、モリブデン原子の供給源としては、上記の、酸化モリブデン、モリブデン酸アルカリ金属塩であることが好ましい。
なお、上述のモリブデン化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記マグネシウム化合物のマグネシウム原子に対するモリブデン化合物のモリブデン原子のモル比(モリブデン原子/マグネシウム原子)は、100〜200モル%であることが好ましく、100〜150モル%であることがより好ましい。前記モル比が100モル%以上であると、結晶成長が好適に進行しうることから好ましい。一方、前記モル比が200モル%以下であると、後述する焼成工程において副反応物であるα化度の高いアルミナの生成を抑制または防止できることから好ましい。
添加原子含有化合物
添加原子含有化合物は、スピネル粒子に含有される添加原子の供給源となる。
添加原子含有化合物としては、例えば、ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、タングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子を含有する化合物が挙げられる。
この様な添加原子含有化合物としては、特に制限されないが、上記添加原子に対応した、金属、酸化物、水酸化物、過酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水素化物、二ホウ化物、窒化物、硫化物等の誘導体;炭酸塩、硝酸物、硫酸塩、亜硫酸塩、過塩素酸塩、リン酸三塩等、過マンガン酸塩、タングステン酸塩、リン酸塩等のオキソ酸塩;酢酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、ステアリン酸塩、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、グルコン酸塩、ナフテン酸塩、サリチル酸塩、乳酸塩、モノペルオキシフタル酸塩等の有機酸塩;およびこれらの水和物等が挙げられる。これらのうち、酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩であることが好ましく、酸化物、水酸化物、酢酸塩、オキソ酸であることがより好ましい。
スピネル粒子中の添加原子源となる添加原子含有化合物の使用量は、スピネル粒子に含有させる添加原子が、ホウ素原子またはケイ素原子である場合は、マグネシウム原子に対して、1.6〜7.0mol%となる量であることが上記した理由から好ましく、ホウ素原子及びケイ素原子以外の添加原子である場合は、0.15〜1.5mol%となる量であることが上記した理由から好ましい。
[中間体調製工程]
中間体調製工程は、モリブデン化合物とマグネシウム化合物とから、モリブデン酸マグネシウムを調製する工程である。
この際、調整方法は特に制限されないが、モリブデン化合物とマグネシウム化合物の混合物を焼成する方法、モリブデン化合物とマグネシウム化合物を水に溶解してから乾燥する方法、モリブデン化合物とマグネシウム化合物を水に溶解してから乾燥し、次いで焼成する方法などがある。また、モリブデン化合物とマグネシウム化合物を水に溶解する際には、溶解を促す物質として、クエン酸、酢酸、シュウ酸などを加えてもよい。更に、中間体調製工程において、添加原子化合物を添加しておくことも可能である。
(焼成)
焼成することで調整する際の焼成温度は、結晶性のモリブデン酸マグネシウムを得ることができれば特に制限されないが、200〜2000℃であることが好ましく、300〜1500℃であることがより好ましく、400〜1000℃であることがさらに好ましい。焼成温度が200℃以上であると、モリブデン化合物とマグネシウム化合物と効率よく反応できることから好ましい。一方、焼成温度が2000℃以下であると、工業的に実施し易いことから好ましい。
焼成時間についても特に制限されないが、0.1〜100時間であることが好ましく、1〜20時間であることがより好ましい。
焼成後は、いったん冷却してモリブデン酸マグネシウムを単離してもよいし、そのまま後述する焼成工程を行ってもよい。
(モリブデン酸マグネシウム)
モリブデン酸マグネシウムは、後述する焼成工程において、モリブデンの蒸気の発生源となるとともに、アルミニウム化合物のアルミニウム原子と結晶を形成するマグネシウム原子を提供する機能を有する。
モリブデン酸マグネシウムとしては、マグネシウム原子、モリブデン原子、および酸素原子を含み、一般的には、MgMoO、MgMo11、MgMoの組成のものが知られている。
ただし、その他の組成を有していてもよく、例えば、上述するマグネシウム元素に対するモリブデン元素のモル比が1:1、2:3、1:2以外である場合は、焼成後過剰な未反応のマグネシウム化合物またはモリブデン化合物が存在する。この場合はモリブデン酸マグネシウムとマグネシウム化合物との混合物またはモリブデン化合物との混合物となる。
また、モリブデン酸マグネシウムに他の原子が含まれていてもよい。
[焼成工程]
マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物を、モリブデン原子および添加原子の存在下で焼成して焼成体を得る工程である。
金属成分を複数有するスピネルでは、焼成過程において、欠陥構造等が生じし易いため、結晶構造を精密に制御することが困難である。しかしながら、モリブデン原子および添加原子の存在下で焼成することにより、酸化モリブデンがフラックス剤として機能するとともに、添加原子がスピネル結晶に作用して、マグネシウム、アルミニウムと酸素からなるスピネル結晶構造を精密に制御することができる。その結果、[311]面の結晶子径が大きく、カチオンディスオーダーの少ない、熱伝導性に優れるスピネル粒子であり、かつ、平坦な自形面が少なく、樹脂との密着性に優れるスピネル粒子を製造することができる。
また、従来、スピネル粒子の合成は、通常、高温で焼成するものであることから、粒子成長との兼ね合いを考慮すると、高い熱伝導性を有しつつ、平均粒径が1000μm以下、特に100μm以下のスピネル粒子を得ることは困難であった。このため、従来の製造方法では、まず大きなスピネル粒子を合成し、これを粉砕して粉末化する必要があった。これに対し、本実施形態に係る製造方法によれば、モリブデン原子および添加原子の存在下で焼成することにより、高い熱伝導性を有しつつ、平均粒径が1000μm以下、特に100μm以下のスピネル粒子を製造することができる。
なお、スピネル粒子の結晶子径は、主にフラックス剤であるモリブデンの添加量、具体的には、上述のマグネシウム元素に対するモリブデン元素のモル比(モリブデン元素/マグネシウム元素)により制御することができる。この理由は、モリブデン化合物がフラックスとして機能し、原料であるマグネシウム化合物および/またはアルミニウム化合物を溶解させることで、MgAlの結晶化が進行するためである。
また、スピネル粒子の平均粒径についてもまた、主にフラックス剤であるモリブデンの添加量、具体的には、上述のマグネシウム元素に対するモリブデン元素のモル比(モリブデン元素/マグネシウム元素)により制御することができる。この理由も、先述の結晶子径の制御と同様にモリブデン化合物がフラックスとして機能するため、使用量を適宜変えることで原料の溶解状態を制御することができるためである。
(焼成)
マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物を、モリブデン原子および添加原子の存在下で焼成することで、スピネル粒子を得ることができる。
マグネシウム化合物およびモリブデン原子は、中間体調整工程で調整したモリブデン酸マグネシウム、それぞれ単独の化合物、市販のモリブデン酸マグネシウム、或いは、それらの組合せで用いてもよい。
焼成温度は、所望のスピネル粒子を得ることができれば特に制限されないが、800〜2000℃であることが好ましく、1200〜1600℃であることがより好ましい。焼成温度が800℃以上であると、短時間で[311]面の結晶子径の大きいなスピネル粒子を得ることができるため好ましい、一方、焼成温度が2000℃以下であると、スピネルの粒径制御が容易となることから好ましい。
焼成時間は、特に制限されないが、0.1〜1000時間であることが好ましく、3〜100時間であることがより好ましい。焼成時間が0.1時間以上であると、[311]面の結晶子径の大きいなスピネル粒子を得ることができるため好ましい。一方、焼成時間が1000時間以内であると、製造コストが低くなり得ることから好ましい。
焼成雰囲気は、空気雰囲気であっても、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であっても、酸素雰囲気であっても、アンモニアガス雰囲気であっても、二酸化炭素雰囲気であってもよい。この際、製造コストの観点からは空気雰囲気であることが好ましい。また、スピネル粒子の表面改質等を同時に行う場合には、アンモニアガス雰囲気であることが好ましい。
焼成時の圧力についても特に制限されず、常圧下であっても、加圧下であっても、減圧下であってもよいが、製造コストと発生蒸気除去の観点から常圧または弱減圧下で行う事が好ましい。
加熱手段としては、特に制限されないが、焼成炉を用いることが好ましい。この際使用されうる焼成炉としては、トンネル炉、ローラーハース炉、ロータリーキルン、マッフル炉等が挙げられる。
[焼成時の混合状態]
焼成工程または中間体調製−焼成工程において、スピネルを合成する際、スピネル源となるアルミニウム元素およびマグネシウム元素の反応性が高くなるように、また、添加原子が均一に作用するように混合されていることが好ましい。
具体的な混合状態としては、物理混合、含浸、および共沈が挙げられる。
前記物理混合の一形態としては、全ての原料、すなわち、マグネシウム化合物、アルミニウム化合物、モリブデン原子を含む化合物、添加原子含有化合物を単純に混合するものである。この他に、原料の性状により、段階的に混合することも可能であり、例えば、添加原子含有化合物とマグネシウム化合物を混合した後、残りの原料を混合する方法をとることもできる。
また、前記含侵の一形態としては、添加原子含有化合物の水溶液をアルミニウム化合物またはマグネシウム化合物に含浸させるものである。その結果、添加原子含有化合物化合物がアルミニウム化合物またはマグネシウム化合物に均一に担持されることとなり、焼成時の添加原子の結晶成長への作用が均一となることが期待される。この他に、マグネシウム化合物の水溶液をアルミニウム化合物に含浸させるといった方法をとることもできる。
さらに、前記共沈は、複数の原料を共沈させるものである。沈殿粒子はナノメーターオーダーの大きさであることが多く、その結果、原料化合物がナノメーターオーダーで均一に混合されることになる。
これらのうち、反応性が高い観点、および、添加原子の作用が均一である観点から、含浸および共沈であることが好ましく、共沈であることがより好ましい。
[冷却工程]
冷却工程は、焼成工程において結晶成長したスピネル粒子を冷却し、結晶化して粒子状とする工程である。
冷却速度についても特に制限されないが、1〜1000℃/時間であることが好ましく、5〜500℃/時間であることがより好ましく、50〜100℃/時間であることがさらに好ましい。冷却速度が1℃/時間以上であると、製造時間が短縮されうることから好ましい。一方、冷却速度が1000℃/時間以下であると、焼成容器がヒートショックで割れることが少なく、長く使用できることから好ましい。
冷却方法は特に制限されず、自然放冷であっても、冷却装置を使用してもよい。
上記した製造方法を最適化して、添加原子含有量が、マグネシウム原子に対して、0.01〜10mol%となるように、かつ、スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子の割合が、50%以下であるように、かつ、カチオンディスオーダーが10mol%以下となるように、かつ、スピネル粒子の[311]面の結晶子径が、100nm以上となるように製造されたスピネル粒子は、最も優れた熱伝導性と、樹脂に対する最も優れた密着性を兼備したスピネル粒子となるので最も好ましい。
<樹脂組成物>
本発明の一形態によれば、スピネル粒子と、樹脂とを含む、樹脂組成物が提供される。この際、前記組成物は、必要に応じて、硬化剤、硬化触媒、粘度調節剤、可塑剤等をさらに含んでいてもよい。
(スピネル粒子)
スピネル粒子としては、上述した本発明のスピネル粒子が用いられうることからここでは説明を省略する。
なお、前記スピネル粒子は、表面処理されたものを用いることができる。この表面処理により、スピネル粒子の熱伝導性を更に改善できる場合がある。
例えば、上記の様にして得られたスピネル粒子は、スピネル粒子表面の少なくとも一部に有機化合物を含む表面処理層を付着させることで、表面処理スピネル粒子を製造することができる。
具体的には、上記未処理スピネル粒子と、有機化合物を含む表面処理層を形成しうる表面処理剤とを混合し、未処理スピネル粒子の表面の少なくとも一部に当該表面処理剤を付着させた後に、例えば、乾燥や硬化等を行うことで、表面処理スピネル粒子を製造することができる。
表面処理剤自体が反応性を有しないが吸着性を有する有機化合物であったり、表面処理剤が液媒体に溶解又は分散した様な溶液又は分散液である場合は、吸着を促進したり液媒体を除去する目的で乾燥を行えば良いし、表面処理剤が反応性を有する有機化合物である場合は、当該化合物の反応性基に基づく硬化を行うことで、前記した表面処理層を形成させることができる。なお、未処理スピネル粒子の表面全体に当該表面処理剤を付着させた場合は、表面処理層で未処理スピネル粒子は被覆されることになる。
表面処理剤
本発明で用いるのは、有機化合物を含む表面処理層を形成しうる表面処理剤であり、無機化合物であるスピネル型複合酸化物粒子に吸着または反応する部位を有する有機化合物である。具体的には有機シラン化合物、有機チタン化合物及び有機燐酸化合物などの表面処理剤である。
表面処理剤の処理方法としては、公知慣用の方法で行えばよく、例えば、流体ノズルを用いた噴霧方式、せん断力のある攪拌、ボールミル、ミキサー等の乾式法、水系または有機溶剤系等の湿式法を採用することができる。せん断力を利用した表面処理は、フィラーの破壊が起こらない程度にして行うことが望ましい。
また表面処理剤の乾式法における系内温度ないしは湿式法における処理後の乾燥または硬化の温度は、表面処理剤の種類に応じ熱分解しない領域で適宜決定される。例えば80〜230℃の温度で加熱することが望ましい。
未知のスピネル粒子が、表面処理スピネル粒子に相当するかどうかは、例えば、当該未知のスピネル粒子を、表面処理剤の不揮発分または硬化物を溶解する溶媒に浸漬したり煮沸する等して抽出した抽出液やそのスピネル粒子表面自体に、指標である、表面処理剤自体やその硬化物に対応する化学構造や、珪素原子、チタン原子或いは燐原子の存在が、赤外線吸収分析(IR)や原子吸光分析(AA)にて観察できるか否かで、確認することができる。
未処理スピネル粒子の表面の少なくとも一部に、表面処理層が付着されている状態とすることで、樹脂組成物に含まれる樹脂との濡れ性が向上し、スピネル型粒子との密着性が向上することから、スピネル粒子表面に生じやすい空隙(ボイド)の生成が抑えられるため、熱伝導率のロスが低くなることから、例えば、樹脂組成物の成形物の熱伝導性を改善することができる。
また、本発明のスピネル粒子は、単独の平均粒径のもの一種で用いても、異なる平均粒径のものの2種以上を組み合わせて用いてもよい。異なる平均粒径のものの2種以上を組み合わせて用いることで、大粒子の隙間を中粒子や小粒子が埋めパッキング構造を容易に形成させることができる。こうすることで、樹脂に含有させる、未表面処理または表面処理スピネル粒子をより増加させることができ、熱伝導パスの増加でより優れた熱伝導性を達成することが可能となる。また、異なる平均粒径の複数種のスピネル粒子を用いる場合、これら複数種のうち一種以上として、表面処理層を有するスピネル粒子を用いることができる。
さらに、スピネル粒子とその他の無機フィラーとを組み合わせて使用してもよい。
その他の無機フィラー
本発明の樹脂組成物の調製に当たっては、本発明の効果を損なわない範囲において、未表面処理又は表面処理スピネル粒子以外にも、その他の表面処理された或いは表面処理されていない無機フィラーを含有させてもかまわない。無機フィラーとしては、公知慣用のものを使用すればよく、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、鉄、アルミニウム、ステンレス、グラファイト(黒鉛)等の導電性の粉体、酸化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化硼素、硼酸アルミニウム、酸化アルミニウム、スピネル、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ダイヤモンド等の非導電性の粉体などが挙げられる。また、これらの無機充填剤は1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
スピネル粒子の含有量は、組成物の質量に対して、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。スピネル粒子の含有量が10質量%以上であると、スピネル粒子の高熱伝導性を効率的に発揮できることから好ましい。一方、スピネル粒子の含有量が95質量%以下であると、成形性に優れた樹脂組成物を得ることができることから好ましい。
(樹脂)
樹脂としては、特に制限されず、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては成形材料等に使用される公知慣用の樹脂である。具体的には、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、フッ化樹脂、液晶ポリマー、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体などが挙げられる。少なくとも1種の熱可塑性樹脂が選択されて使用されるが、目的に応じて、2種以上の熱可塑性樹脂を組み合わせての使用も可能である。
前記熱硬化性樹脂としては、加熱または放射線や触媒などの手段によって硬化される際に実質的に不溶かつ不融性に変化し得る特性を持った樹脂である。例えば、成形材料等に使用される公知慣用の樹脂である。具体的には、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂;ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;脂肪鎖変性ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ポリアルキレングルコール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂;(メタ)アクリル樹脂やビニルエステル樹脂等のビニル樹脂:不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられ、ポリマーであってもオリゴマーであってもモノマーであってもかまわない。
上記した熱硬化性樹脂は、硬化剤とともに用いてもかまわない。その際に用いられる硬化剤は、熱硬化性樹脂と公知慣用の組み合わせで用いる事ができる。例えば、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、硬化剤として常用されている化合物は何れも使用することができ、例えば、アミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。具体的には、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられ、アミド系化合物としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられ、酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、レゾルシンノボラック樹脂に代表される多価ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドから合成される多価フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。これらの硬化剤は、単独でも2種類以上の併用でも構わない。
本発明の樹脂組成物における、熱硬化性樹脂と前記の硬化剤の配合量は、特に限定されないが、例えば、硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合は、得られる硬化物特性が良好である点から、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基が0.7〜1.5当量になる量の使用が好ましい。
また必要に応じて、本発明の樹脂組成物における、熱硬化性樹脂に硬化促進剤を適宜併用することもできる。例えば、硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。
また必要に応じて、本発明における、熱硬化性樹脂に、硬化触媒を適時併用することもでき、公知慣用の熱重合開始剤や活性エネルギー線重合開始剤が挙げられる。
上記した樹脂としては、寸法安定性や耐熱性に優れる点で、エポキシ樹脂と硬化剤との組み合わせや、ポリフェニレンスルフィド樹脂がより好ましい。中でも、樹脂としては、エポキシ樹脂と硬化剤との組み合わせが、絶対値として最も優れた熱伝導性が得られるので最適である。
樹脂の含有量は、組成物の質量に対して、5〜90質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。樹脂の含有量が5質量%以上であると、樹脂組成物に優れた成形性を賦与することができることから好ましい。一方、樹脂の含有量が90質量%以下であると、成形してコンパウンドとして高熱伝導性をえることができることから好ましい。
(用途)
本発明の一実施形態によれば、本形態に係る組成物は、熱伝導性材料に使用される。
本形態に係るスピネル粒子は、[311]面の結晶子径が大きくカチオンディスオーダーが小さいため熱伝導性能に優れている。特に、スピネル粒子の熱伝導率は、アルミナの熱伝導率(約30W/(m・K))よりも高い。したがって、本形態に係る組成物は熱伝導性材料に好適に使用される。
また、一実施形態によれば、上記製造方法によって得られるスピネル粒子はミクロンオーダーの粒径(1000μm以下)かつ結晶子径が大きいことから、樹脂中への分散性に優れるため、組成物としていっそう優れた熱伝導性を発揮しうる。
さらに別の実施形態によれば、上記製造方法によって得られるスピネル粒子は、高い結晶性を有するにもかかわらず平坦な自形面が少ないために、樹脂との密着性に優れる。このため、樹脂組成物として、非常に高い熱伝導性を有しうる。
その他、スピネル粒子は、宝石類、触媒担体、吸着剤、光触媒、光学材料、耐熱絶縁材料、基板、センサー等の用途にも使用することができる。
<成形物>
本発明の一形態によれば、上述の組成物を成形してなる成形物が提供される。
成形物に含有されるスピネル粒子は熱伝導性に優れることから、当該成形物は、好ましくは絶縁放熱部材として使用される。これにより、機器の放熱機能を向上させることができ、機器の小型軽量化、高性能化に寄与することができる。
また、本発明の別の一実施形態によれば、前記成形物は、低誘電部材等にも使用することができる。スピネル粒子が低誘電率であることにより、高周波回路において通信機能の高機能化に寄与することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(スピネル粒子の製造)
純水500gに酢酸マグネシウム四水和物(和光純薬工業株式会社製)53.6gと、ホウ酸(和光純薬工業株式会社製)0.87gを溶かし、酢酸マグネシウム・ホウ酸混合水溶液を調製した。
次いで、100℃で一晩乾燥させた水酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)39.0gを、前記酢酸マグネシウム・ホウ酸混合水溶液に含浸させた後、90℃で48時間乾燥させて、マグネシウム化合物とホウ素化合物が担持されたアルミニウム化合物を得た。
前記アルミニウム化合物全量と、三酸化モリブデン(和光純薬工業社製)54.0gをメカノミルMM−20N(岡田精工株式会社製)で混合し、スピネル前駆体を得た。得られたスピネル前駆体20gをアルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1400℃まで昇温した。次いで、1400℃で16時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、サンプル中に含まれる残存モリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
(樹脂組成物および成型体の製造)
熱可塑性樹脂としてDIC−PPS H−1G(DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド樹脂、真密度1.30g/cm)の28.2質量部、前記スピネル粒子の71.8質量部を均一にドライブレンドした後、樹脂溶融混練装置ラボプラストミルにより混練温度310℃、回転数80rpmの条件で溶融混練処理し、前記スピネル粒子の充填率が48容量%のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。樹脂組成物中のスピネル粒子含有量(容量%)は、熱可塑性樹脂の真密度とスピネル粒子の真密度より計算した。そして、得られた樹脂組成物を金型に入れ加工温度300℃で熱プレス成形を行うことで、0.5mm厚のプレス成形体を作製した。
(評価)
前記粉末サンプルおよび製造したスピネル粒子について、以下の評価を行った。
<結晶構造の解析>
粉末サンプルについて、X線回折法(XRD)により結晶構造を解析した。
具体的には、広角X線回折装置であるRint−TT II(株式会社リガク製)を用いて解析を行った。この際、測定方法は2θ/θ法を用いた。また、測定条件として、スキャンスピードは2.0度/分であり、スキャン範囲は5〜70度であり、ステップは0.02度である。
その結果、粉末サンプルはMgAlの組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であった。
なお、測定したX線回折パターンを図1に示す。
<平均粒径の測定>
製造したスピネル粒子について、走査型電子顕微鏡観察(SEM)により平均粒径を測定した。
具体的には、表面観察装置であるVE−9800(株式会社キーエンス製)を用いて、平均粒径を測定した。
その結果、平均粒径は48μmであった。
なお、得られたスピネル粒子のSEM画像を図2に示す。
<モリブデンおよび添加原子の含有量の測定>
製造したスピネル粒子を、加熱密閉酸分解法で溶解し、ICP発光分光分析法にてモリブデンおよび添加原子の含有量を測定した。
その結果、スピネル粒子中の、マグネシウム原子に対するモリブデン含有量は0.05mol%、マグネシウム原子に対するホウ素含有量は4.8mol%であった。
<自形粒子の割合の測定>
スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子を「自形粒子」と呼ぶこととし、製造したスピネル粒子の前記SEM画像における任意の粒子100個について、自形粒子の個数を数えて、割合を算出した。
その結果、自形粒子の割合は5%であった。
<カチオンディスオーダーの分析>
製造したスピネル粒子について、NMR分析によりカチオンディスオーダーを分析した。
具体的には、日本電子製JNM−ECA600にて27Al固体NMRを測定し、ケミカルシフトとピーク強度から総Al量に対する4配位Al量の割合を計算した。この4配位Alの割合が多いほど、カチオンディスオーダーが多く結晶として乱れがあることになる。
その結果、製造したスピネル粒子の4配位Alは、9.6%であった。
なお、測定したNMRチャートを図3に示す。
<結晶子径の測定>
製造したスピネル粒子について、[311]面の結晶子径を測定した。
具体的には、X線回折装置であるSmartLab(株式会社リガク製)を用い、検出器として高強度・高分解能結晶アナライザ(CALSA)を用い、解析ソフトとしてPDXLを用いて測定を行った。この際、測定方法は2θ/θ法であり、解析は2θ=36.85°付近に出現するピークの半値幅からシェラー式を用いて算出した。なお、測定条件として、スキャンスピードは0.05度/分であり、スキャン範囲は5〜70度であり、ステップは0.002度であり、装置標準幅は0.027°(Si)である。
その結果、スピネル粒子の[311]面の結晶子径は、320nmであった。
<真密度の測定>
製造したスピネル粒子について、マイクロメリティクス製アキュピック1330にて真密度を測定した。その結果、粒子の真密度は3.59g/cmであった。
<成形物の熱伝導率の測定>
製造したプレス成型体について、10mm×10mmのサンプルを切り出し、熱伝導率測定装置(LFA467 HyperFlash、NETZSCH社製)を用いて、25℃における熱伝導率の測定を行った。
<成形物における樹脂と粒子の密着性評価>
製造したプレス成型体について、破断面を走査型電子顕微鏡観察することで、樹脂とスピネル粒子の密着性を評価した。
具体的には、製造したプレス成形物を、ラジオペンチを用いて割り、破断面を上にして、両面テープで試料台に固定し、表面観察装置であるVE−9800(株式会社キーエンス製)で破断面を観察した。そして、破断面において、スピネル粒子と樹脂の界面で剥離した部分の面積、即ち、スピネル粒子の表面が完全に露出している部分の面積と、および、樹脂部であって、破断前に存在していたスピネル粒子の形状の跡がそのまま残された窪み部分の面積との合計面積を見積った。スピネル粒子と樹脂の界面で剥離した部分の面積が25%未満の場合を◎、25%以上50%未満の場合を○、50%以上の場合を×として評価したところ、本実施例における前記スピネル粒子を配合した成形物破断面における、スピネル粒子と樹脂が界面で剥離した部分の面積は20%(◎)であった。
なお、観察した成型体破断面のSEM画像を図4に示す。
[実施例2]
(スピネル粒子の製造)
水酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)39.0g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、三酸化モリブデン(和光純薬工業株式会社製)54.0g、二酸化ケイ素(和光純薬工業株式会社製)0.30gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成型体を製造した。
(評価)
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAlの組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
[実施例3]
(スピネル粒子の製造)
ベーマイト(大明化学工業株式会社製)30.0g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、三酸化モリブデン(和光純薬工業株式会社製)54.0g、酸化マンガン(II)(和光純薬工業株式会社製)0.18gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成形物を製造した。
(評価)
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAlの組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
[実施例4]
(スピネル粒子の製造)
酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)25.5g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、三酸化モリブデン(和光純薬工業株式会社製)54.0g、硝酸コバルト六水和物(和光純薬工業株式会社製)0.73gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成形物を製造した。
(評価)
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAlの組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
[実施例5]
(スピネル粒子の製造)
酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)25.5g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、三酸化モリブデン(和光純薬工業株式会社製)54.0g、酸化イットリウム(和光純薬工業株式会社製)0.28gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成形物を製造した。
(評価)
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAlの組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
[実施例6]
(スピネル粒子の製造)
酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)25.5g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、モリブデン酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)89.3g、酸化タングステン(和光純薬工業株式会社製)0.58gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成形物を製造した。
(評価)
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAlの組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
[比較例1]
(スピネル粒子の製造)
酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)25.5g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、三酸化モリブデン(和光純薬工業株式会社製)54.0gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成形物を製造した。
(評価)
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAlの組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
なお、得られたスピネル粒子のSEM画像を図5に、示す。
[比較例2]
(スピネル粒子の製造)
酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)25.5g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
(評価)
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行ったところ、粉末サンプルはMgAlの組成を有する立方晶系に属するスピネル結晶であるが、結晶性は低いものであった。更に、実施例1と同様の方法で、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。それらの結果を表2に記載した。
なお、得られたスピネル粒子のSEM画像を図5に示す。
実施例1〜6および比較例1〜2の原料配合量を下記表1に示す。
表1
Figure 0006965562
実施例1〜6および比較例1〜2の配合における原子使用量([ ]内の数値はモル比)を下記表2に示す。
表2
Figure 0006965562
図2の実施例1で製造したスピネル粒子のSEM画像と、図4の比較例1で製造したスピネル粒子のSEM画像とを対比してみると、図4では、角が鋭角で平坦な面が目立つ粒子が多く、自形面の面積が大きい粒子の含有率が大きいのに対し、図2では角が丸味を帯びており平坦な面が少ない粒子が多く、自形面の面積が小さい粒子の含有率が大きいことがわかる。
図3の実施例1で製造したスピネル粒子の固体NMRチャートと、図6の比較例1で製造したスピネル粒子の固体NMRチャートとを対比してみると、図6では、4配位アルミニウム(本来入ってはいけない位置に存在するアルミニウム原子)のピーク面積と、6配位アルミニウム(本来入るべき位置に存在するアルミニウム原子)のピーク面積との合計ピーク面積に占める前者4配位アルミニウムのピーク面積の割合が大きく、カチオンディスオーダー(アンチサイト欠陥)が大きく、結晶構造の乱れが大きいのに対し、図3では、カチオンディスオーダー(アンチサイト欠陥)が小さく、結晶構造の乱れが小さく、より熱伝導性に優れる結晶であることがわかる。
図4の実施例1で製造した樹脂成形物の破断面のSEM画像と、図7の比較例1で製造した樹脂成形物の破断面のSEM画像とを対比してみると、図7では、埋没していた平坦な自形面を有するスピネル粒子が抜けて鋭角な角を有する矩形クレーターの様な、樹脂とスピネル粒子との界面での剥離が起きているのに対して、図4では、クレーターはほとんど見られず、樹脂とスピネル粒子との密着性に優れており、界面での剥離は起きていない。つまり、実施例1で製造した樹脂成型物では樹脂とスピネル粒子との界面が強く接着しており熱が伝わりやすいことが分かる。
表3には、各実施例及び各比較例におけるスピネル粒子の性質及びそれを用いた成形物の特性を、まとめて示した。
表3
Figure 0006965562
表3からも明らかなように、実施例1〜6のスピネル粒子は、高い結晶性を有するとともに、粒子表面に平坦な自形面が少なく、樹脂との密着性に優れているため、樹脂に配合した際に、本来の優れた熱伝導率を発揮し得る材料であることが分かる。
本発明のスピネル粒子は、高い熱伝導を有するとともに、例えば、樹脂との密着性に優れた表面改質されたスピネル粒子であるため、当該スピネル粒子と樹脂とから得られた成形物は、絶縁放熱部材として使用でき、機器の放熱機能を向上させることができ、機器の小型軽量化、高性能化に寄与することができる。また前記成形物は、低誘電部材等にも使用することができ、スピネル粒子の低誘電率に基づき、高周波回路において通信機能の高機能化に寄与することができる。更には、宝石類、触媒担体、吸着剤、光触媒、光学材料、耐熱絶縁材料、基板、センサー等の用途にも使用することができる。

Claims (13)

  1. スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子の割合が、50%以下である、マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子の製造方法であって、
    マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物を、モリブデン原子および添加原子含有化合物の存在下で焼成して焼成体を得る焼成工程と、
    前記焼成体を冷却する冷却工程と、
    を含み、
    前記添加原子含有化合物が、ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、およびタングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子含有化合物である、スピネル粒子の製造方法。
  2. チオンディスオーダーが10mol%以下である、マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子の製造方法であって、
    マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物を、モリブデン原子および添加原子含有化合物の存在下で焼成して焼成体を得る焼成工程と、
    前記焼成体を冷却する冷却工程と、
    を含み、
    前記添加原子含有化合物が、ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、およびタングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子含有化合物である、スピネル粒子の製造方法。
  3. スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子の割合が、50%以下である、請求項2に記載のスピネル粒子の製造方法。
  4. 前記モリブデン原子が、酸化モリブデン、モリブデン酸アルカリ金属塩に由来するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記モリブデン原子の使用量が、前記マグネシウム化合物中のマグネシウム原子に対して、100〜200モル%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子であって、
    ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、タングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子をさらに含む、スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子の割合が、50%以下である、スピネル粒子。
  7. マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子であって、
    ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、タングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子をさらに含む、カチオンディスオーダーが10mol%以下である、スピネル粒子。
  8. スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子の割合が、50%以下である、請求項7に記載のスピネル粒子。
  9. 添加原子含有量が、マグネシウム原子に対して、0.01〜10mol%である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のスピネル粒子。
  10. 前記スピネル粒子の[311]面の結晶子径が、100nm以上である、請求項のいずれか1項に記載のスピネル粒子。
  11. 粒子の真密度が、3.57以上である、請求項10のいずれか1項に記載のスピネル粒子。
  12. 請求項11のいずれか1項に記載のスピネル粒子と、樹脂とを含む樹脂組成物。
  13. 請求項12に記載の樹脂組成物の成形物。
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