JP6965562B2 - スピネル粒子の製造方法、スピネル粒子、並びに前記スピネル粒子を含む樹脂組成物および成形物 - Google Patents
スピネル粒子の製造方法、スピネル粒子、並びに前記スピネル粒子を含む樹脂組成物および成形物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6965562B2 JP6965562B2 JP2017094657A JP2017094657A JP6965562B2 JP 6965562 B2 JP6965562 B2 JP 6965562B2 JP 2017094657 A JP2017094657 A JP 2017094657A JP 2017094657 A JP2017094657 A JP 2017094657A JP 6965562 B2 JP6965562 B2 JP 6965562B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- atom
- spinel
- particles
- magnesium
- molybdenum
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Silicon Compounds (AREA)
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
Description
機器の放熱機能を向上させる方法としては、例えば、絶縁部材に熱伝導性を付与する方法、より具体的には、絶縁部材となる樹脂に無機フィラーを添加する方法が知られている。この際、使用される無機フィラーとしては、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
近年、機器の小型軽量化、高性能化はますます進んでおり、高い熱伝導性を有する無機フィラーが求められている。
また、特許文献1に記載のスピネル粉末は、水酸化アルミニウムを酸に溶解させて調製したアルミニウム塩と水酸化マグネシウムを酸に溶解させて調製したマグネシウム塩とを用いて合成し焼成して得たMgAl2O4スピネル粉末を粉砕して得られることが記載されている。具体的には、前記水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムを用いて複合水酸化物の沈殿物を合成し、前記沈殿物を熱処理して得たMgAl2O4スピネル粉末を粉砕する、いわゆる共沈法が記載されている。
そこで、本発明は、高い熱伝導を有するとともに、例えば、樹脂との密着性に優れた表面改質されたスピネル粒子を提供することを目的とする。
<スピネル粒子>
本発明の一形態によれば、スピネル粒子は、マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子であって、ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、タングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子をさらに含む、スピネル粒子である。
スピネル粒子の真密度は、3.57以上であることが好ましく、3.58以上であることがより好ましい。スピネル粒子の密度が高いと、結晶が緻密であり、より熱伝導に優れることから好ましい。
本発明においてスピネルは、マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子を含み、一般的には、MgAl2O4の組成で表される。その他、添加原子および後述するモリブデンが含まれていてもよい。
スピネル中のマグネシウム原子の含有量は、特に制限されないが、スピネルの構造式をMgxAl2Ozで表す場合、xは0.8〜1.2の範囲であることが好ましく、0.9〜1.1の範囲であることがより好ましい。なお、本明細書において、スピネル中のマグネシウム原子の含有量は高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)により測定された値を採用するものとする。
スピネル中のマグネシウム原子の含有量は、特に制限されないが、スピネルの構造式をMgAlyOzで表す場合、xは1.8〜2.2の範囲であることが好ましく、1.9〜2.1の範囲であることがより好ましい。なお、本明細書において、スピネル中のアルミニウム原子の含有量は高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)により測定された値を採用するものとする。
スピネル中の酸素原子の含有量は、特に制限されないが、スピネルの構造式をMgxAlyOzで表す場合、zは(x+y+1.2)〜(x+y+0.8)の範囲であることが好ましく、(x+y+1.1)〜(x+y+0.9)の範囲であることがより好ましい。
モリブデンは、後述する製造方法に起因して含有されうる。
当該モリブデンは、スピネルの表面および/または内部に配置される。ここで、「表面に配置される」とは、スピネル表面にモリブデンが付着、被覆、結合、その他これに類する形態で存在することを意味する。他方、「内部に配置される」とは、スピネル結晶に組み込まれることまたはスピネル結晶の欠陥などの空間に存在することを意味する。スピネル結晶に組み込まれることとは、スピネルを構成する原子の少なくとも一部が、モリブデンに置換し、当該モリブデンがスピネル結晶の一部として包含されることを意味する。この際、置換されるスピネルの原子としては、特に制限されず、マグネシウム原子、アルミニウム原子、酸素原子、他の原子のいずれであってもよい。
スピネル粒子中のモリブデンの含有量は、特に制限されないが、スピネルに対して、20mol%以下であることが好ましい。また、10mol%以下が更に好ましく、0.05mol%以下であればスピネル結晶体が高い緻密性を示すため、特に好ましい。なお、本明細書において、スピネル中のモリブデンの含有量は高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)により測定された値を採用するものとする。
添加原子は、例えば、後述する製造方法に起因して含有されうる。添加原子の供給源は後述する添加原子含有化合物である。
スピネル粒子中の添加原子の含有量は、特に制限されないが、マグネシウム原子に対して、20mol%以下であることが好ましい。また、0.01〜10mol%であればスピネル結晶体におけるカチオンミキシングが改善され高い結晶性を示すため、特に好ましい。
スピネル粒子の製造方法は、マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物を、モリブデン原子および添加原子の存在下で焼成して焼成体を得る焼成工程と、前記焼成体を冷却する冷却工程と、を含む。その他、必要に応じて、焼成工程の前に、予めモリブデン化合物およびマグネシウム化合物からモリブデン酸マグネシウムを調製する中間体調整工程をさらに含んでいてもよい。
マグネシウム化合物としては、特に制限されないが、金属マグネシウム;酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、過酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、水素化マグネシウム、二ホウ化マグネシウム、窒化マグネシウム、硫化マグネシウム等のマグネシウム誘導体;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム等、過マンガン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム等のマグネシウムオキソ酸塩;酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、ナフテン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、モノペルオキシフタル酸マグネシウム等のマグネシウム有機塩;スピネル、スピネル前躯体、アルミン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、マグネシウムアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウム−マグネシウム含有化合物;およびこれらの水和物等が挙げられる。これらのうち、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、スピネル前躯体、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウムであることが好ましく、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、スピネル前躯体、酢酸マグネシウムであることがより好ましい。
なお、上述のマグネシウム化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
マグネシウム化合物は市販品を使用しても、自ら調製してもよい。
アルミニウム化合物としては、特に制限されないが、金属アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、水酸化アルミニウム、硫化アルミニウム、窒化アルミニウム、フッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム等のアルミニウム誘導体;硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硝酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、アルミン酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム等のアルミニウムオキソ酸塩;酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム等のアルミニウム有機塩;アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド等のアルコキシアルミニウム;スピネル、スピネル前躯体、アルミン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、マグネシウムアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウム−マグネシウム含有化合物;およびこれらの水和物等が挙げられる。これらのうち、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、およびこれらの水和物を用いることが好ましく、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、スピネル前躯体を用いることがより好ましい。
なお、上述のアルミニウム化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モリブデン化合物としては、特に制限されないが、金属モリブデン、酸化モリブデン、硫化モリブデンモリブデン、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アンモニウム、H3PMo12O40、H3SiMo12O40等のモリブデン化合物が挙げられる。この際、前記モリブデン化合物は、異性体を含む。例えば、酸化モリブデンは、二酸化モリブデン(IV)(MoO2)であっても、三酸化モリブデン(VI)(MoO3)であってもよい。これらのうち、モリブデン原子の供給源としては、上記の、酸化モリブデン、モリブデン酸アルカリ金属塩であることが好ましい。
なお、上述のモリブデン化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
添加原子含有化合物は、スピネル粒子に含有される添加原子の供給源となる。
添加原子含有化合物としては、例えば、ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、タングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子を含有する化合物が挙げられる。
この様な添加原子含有化合物としては、特に制限されないが、上記添加原子に対応した、金属、酸化物、水酸化物、過酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水素化物、二ホウ化物、窒化物、硫化物等の誘導体;炭酸塩、硝酸物、硫酸塩、亜硫酸塩、過塩素酸塩、リン酸三塩等、過マンガン酸塩、タングステン酸塩、リン酸塩等のオキソ酸塩;酢酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、ステアリン酸塩、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、グルコン酸塩、ナフテン酸塩、サリチル酸塩、乳酸塩、モノペルオキシフタル酸塩等の有機酸塩;およびこれらの水和物等が挙げられる。これらのうち、酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩であることが好ましく、酸化物、水酸化物、酢酸塩、オキソ酸であることがより好ましい。
中間体調製工程は、モリブデン化合物とマグネシウム化合物とから、モリブデン酸マグネシウムを調製する工程である。
この際、調整方法は特に制限されないが、モリブデン化合物とマグネシウム化合物の混合物を焼成する方法、モリブデン化合物とマグネシウム化合物を水に溶解してから乾燥する方法、モリブデン化合物とマグネシウム化合物を水に溶解してから乾燥し、次いで焼成する方法などがある。また、モリブデン化合物とマグネシウム化合物を水に溶解する際には、溶解を促す物質として、クエン酸、酢酸、シュウ酸などを加えてもよい。更に、中間体調製工程において、添加原子化合物を添加しておくことも可能である。
焼成することで調整する際の焼成温度は、結晶性のモリブデン酸マグネシウムを得ることができれば特に制限されないが、200〜2000℃であることが好ましく、300〜1500℃であることがより好ましく、400〜1000℃であることがさらに好ましい。焼成温度が200℃以上であると、モリブデン化合物とマグネシウム化合物と効率よく反応できることから好ましい。一方、焼成温度が2000℃以下であると、工業的に実施し易いことから好ましい。
モリブデン酸マグネシウムは、後述する焼成工程において、モリブデンの蒸気の発生源となるとともに、アルミニウム化合物のアルミニウム原子と結晶を形成するマグネシウム原子を提供する機能を有する。
ただし、その他の組成を有していてもよく、例えば、上述するマグネシウム元素に対するモリブデン元素のモル比が1:1、2:3、1:2以外である場合は、焼成後過剰な未反応のマグネシウム化合物またはモリブデン化合物が存在する。この場合はモリブデン酸マグネシウムとマグネシウム化合物との混合物またはモリブデン化合物との混合物となる。
また、モリブデン酸マグネシウムに他の原子が含まれていてもよい。
マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物を、モリブデン原子および添加原子の存在下で焼成して焼成体を得る工程である。
金属成分を複数有するスピネルでは、焼成過程において、欠陥構造等が生じし易いため、結晶構造を精密に制御することが困難である。しかしながら、モリブデン原子および添加原子の存在下で焼成することにより、酸化モリブデンがフラックス剤として機能するとともに、添加原子がスピネル結晶に作用して、マグネシウム、アルミニウムと酸素からなるスピネル結晶構造を精密に制御することができる。その結果、[311]面の結晶子径が大きく、カチオンディスオーダーの少ない、熱伝導性に優れるスピネル粒子であり、かつ、平坦な自形面が少なく、樹脂との密着性に優れるスピネル粒子を製造することができる。
マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物を、モリブデン原子および添加原子の存在下で焼成することで、スピネル粒子を得ることができる。
マグネシウム化合物およびモリブデン原子は、中間体調整工程で調整したモリブデン酸マグネシウム、それぞれ単独の化合物、市販のモリブデン酸マグネシウム、或いは、それらの組合せで用いてもよい。
焼成工程または中間体調製−焼成工程において、スピネルを合成する際、スピネル源となるアルミニウム元素およびマグネシウム元素の反応性が高くなるように、また、添加原子が均一に作用するように混合されていることが好ましい。
具体的な混合状態としては、物理混合、含浸、および共沈が挙げられる。
さらに、前記共沈は、複数の原料を共沈させるものである。沈殿粒子はナノメーターオーダーの大きさであることが多く、その結果、原料化合物がナノメーターオーダーで均一に混合されることになる。
冷却工程は、焼成工程において結晶成長したスピネル粒子を冷却し、結晶化して粒子状とする工程である。
冷却速度についても特に制限されないが、1〜1000℃/時間であることが好ましく、5〜500℃/時間であることがより好ましく、50〜100℃/時間であることがさらに好ましい。冷却速度が1℃/時間以上であると、製造時間が短縮されうることから好ましい。一方、冷却速度が1000℃/時間以下であると、焼成容器がヒートショックで割れることが少なく、長く使用できることから好ましい。
冷却方法は特に制限されず、自然放冷であっても、冷却装置を使用してもよい。
本発明の一形態によれば、スピネル粒子と、樹脂とを含む、樹脂組成物が提供される。この際、前記組成物は、必要に応じて、硬化剤、硬化触媒、粘度調節剤、可塑剤等をさらに含んでいてもよい。
スピネル粒子としては、上述した本発明のスピネル粒子が用いられうることからここでは説明を省略する。
例えば、上記の様にして得られたスピネル粒子は、スピネル粒子表面の少なくとも一部に有機化合物を含む表面処理層を付着させることで、表面処理スピネル粒子を製造することができる。
本発明で用いるのは、有機化合物を含む表面処理層を形成しうる表面処理剤であり、無機化合物であるスピネル型複合酸化物粒子に吸着または反応する部位を有する有機化合物である。具体的には有機シラン化合物、有機チタン化合物及び有機燐酸化合物などの表面処理剤である。
本発明の樹脂組成物の調製に当たっては、本発明の効果を損なわない範囲において、未表面処理又は表面処理スピネル粒子以外にも、その他の表面処理された或いは表面処理されていない無機フィラーを含有させてもかまわない。無機フィラーとしては、公知慣用のものを使用すればよく、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、鉄、アルミニウム、ステンレス、グラファイト(黒鉛)等の導電性の粉体、酸化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化硼素、硼酸アルミニウム、酸化アルミニウム、スピネル、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ダイヤモンド等の非導電性の粉体などが挙げられる。また、これらの無機充填剤は1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
樹脂としては、特に制限されず、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては成形材料等に使用される公知慣用の樹脂である。具体的には、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、フッ化樹脂、液晶ポリマー、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体などが挙げられる。少なくとも1種の熱可塑性樹脂が選択されて使用されるが、目的に応じて、2種以上の熱可塑性樹脂を組み合わせての使用も可能である。
本発明の一実施形態によれば、本形態に係る組成物は、熱伝導性材料に使用される。
本形態に係るスピネル粒子は、[311]面の結晶子径が大きくカチオンディスオーダーが小さいため熱伝導性能に優れている。特に、スピネル粒子の熱伝導率は、アルミナの熱伝導率(約30W/(m・K))よりも高い。したがって、本形態に係る組成物は熱伝導性材料に好適に使用される。
本発明の一形態によれば、上述の組成物を成形してなる成形物が提供される。
成形物に含有されるスピネル粒子は熱伝導性に優れることから、当該成形物は、好ましくは絶縁放熱部材として使用される。これにより、機器の放熱機能を向上させることができ、機器の小型軽量化、高性能化に寄与することができる。
また、本発明の別の一実施形態によれば、前記成形物は、低誘電部材等にも使用することができる。スピネル粒子が低誘電率であることにより、高周波回路において通信機能の高機能化に寄与することができる。
(スピネル粒子の製造)
純水500gに酢酸マグネシウム四水和物(和光純薬工業株式会社製)53.6gと、ホウ酸(和光純薬工業株式会社製)0.87gを溶かし、酢酸マグネシウム・ホウ酸混合水溶液を調製した。
次いで、100℃で一晩乾燥させた水酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)39.0gを、前記酢酸マグネシウム・ホウ酸混合水溶液に含浸させた後、90℃で48時間乾燥させて、マグネシウム化合物とホウ素化合物が担持されたアルミニウム化合物を得た。
前記アルミニウム化合物全量と、三酸化モリブデン(和光純薬工業社製)54.0gをメカノミルMM−20N(岡田精工株式会社製)で混合し、スピネル前駆体を得た。得られたスピネル前駆体20gをアルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1400℃まで昇温した。次いで、1400℃で16時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、サンプル中に含まれる残存モリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
熱可塑性樹脂としてDIC−PPS H−1G(DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド樹脂、真密度1.30g/cm3)の28.2質量部、前記スピネル粒子の71.8質量部を均一にドライブレンドした後、樹脂溶融混練装置ラボプラストミルにより混練温度310℃、回転数80rpmの条件で溶融混練処理し、前記スピネル粒子の充填率が48容量%のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。樹脂組成物中のスピネル粒子含有量(容量%)は、熱可塑性樹脂の真密度とスピネル粒子の真密度より計算した。そして、得られた樹脂組成物を金型に入れ加工温度300℃で熱プレス成形を行うことで、0.5mm厚のプレス成形体を作製した。
前記粉末サンプルおよび製造したスピネル粒子について、以下の評価を行った。
粉末サンプルについて、X線回折法(XRD)により結晶構造を解析した。
具体的には、広角X線回折装置であるRint−TT II(株式会社リガク製)を用いて解析を行った。この際、測定方法は2θ/θ法を用いた。また、測定条件として、スキャンスピードは2.0度/分であり、スキャン範囲は5〜70度であり、ステップは0.02度である。
その結果、粉末サンプルはMgAl2O4の組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であった。
なお、測定したX線回折パターンを図1に示す。
製造したスピネル粒子について、走査型電子顕微鏡観察(SEM)により平均粒径を測定した。
具体的には、表面観察装置であるVE−9800(株式会社キーエンス製)を用いて、平均粒径を測定した。
その結果、平均粒径は48μmであった。
なお、得られたスピネル粒子のSEM画像を図2に示す。
製造したスピネル粒子を、加熱密閉酸分解法で溶解し、ICP発光分光分析法にてモリブデンおよび添加原子の含有量を測定した。
その結果、スピネル粒子中の、マグネシウム原子に対するモリブデン含有量は0.05mol%、マグネシウム原子に対するホウ素含有量は4.8mol%であった。
スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子を「自形粒子」と呼ぶこととし、製造したスピネル粒子の前記SEM画像における任意の粒子100個について、自形粒子の個数を数えて、割合を算出した。
その結果、自形粒子の割合は5%であった。
製造したスピネル粒子について、NMR分析によりカチオンディスオーダーを分析した。
具体的には、日本電子製JNM−ECA600にて27Al固体NMRを測定し、ケミカルシフトとピーク強度から総Al量に対する4配位Al量の割合を計算した。この4配位Alの割合が多いほど、カチオンディスオーダーが多く結晶として乱れがあることになる。
その結果、製造したスピネル粒子の4配位Alは、9.6%であった。
なお、測定したNMRチャートを図3に示す。
製造したスピネル粒子について、[311]面の結晶子径を測定した。
具体的には、X線回折装置であるSmartLab(株式会社リガク製)を用い、検出器として高強度・高分解能結晶アナライザ(CALSA)を用い、解析ソフトとしてPDXLを用いて測定を行った。この際、測定方法は2θ/θ法であり、解析は2θ=36.85°付近に出現するピークの半値幅からシェラー式を用いて算出した。なお、測定条件として、スキャンスピードは0.05度/分であり、スキャン範囲は5〜70度であり、ステップは0.002度であり、装置標準幅は0.027°(Si)である。
その結果、スピネル粒子の[311]面の結晶子径は、320nmであった。
製造したスピネル粒子について、マイクロメリティクス製アキュピック1330にて真密度を測定した。その結果、粒子の真密度は3.59g/cm3であった。
製造したプレス成型体について、10mm×10mmのサンプルを切り出し、熱伝導率測定装置(LFA467 HyperFlash、NETZSCH社製)を用いて、25℃における熱伝導率の測定を行った。
製造したプレス成型体について、破断面を走査型電子顕微鏡観察することで、樹脂とスピネル粒子の密着性を評価した。
具体的には、製造したプレス成形物を、ラジオペンチを用いて割り、破断面を上にして、両面テープで試料台に固定し、表面観察装置であるVE−9800(株式会社キーエンス製)で破断面を観察した。そして、破断面において、スピネル粒子と樹脂の界面で剥離した部分の面積、即ち、スピネル粒子の表面が完全に露出している部分の面積と、および、樹脂部であって、破断前に存在していたスピネル粒子の形状の跡がそのまま残された窪み部分の面積との合計面積を見積った。スピネル粒子と樹脂の界面で剥離した部分の面積が25%未満の場合を◎、25%以上50%未満の場合を○、50%以上の場合を×として評価したところ、本実施例における前記スピネル粒子を配合した成形物破断面における、スピネル粒子と樹脂が界面で剥離した部分の面積は20%(◎)であった。
なお、観察した成型体破断面のSEM画像を図4に示す。
(スピネル粒子の製造)
水酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)39.0g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、三酸化モリブデン(和光純薬工業株式会社製)54.0g、二酸化ケイ素(和光純薬工業株式会社製)0.30gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成型体を製造した。
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAl2O4の組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
(スピネル粒子の製造)
ベーマイト(大明化学工業株式会社製)30.0g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、三酸化モリブデン(和光純薬工業株式会社製)54.0g、酸化マンガン(II)(和光純薬工業株式会社製)0.18gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成形物を製造した。
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAl2O4の組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
(スピネル粒子の製造)
酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)25.5g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、三酸化モリブデン(和光純薬工業株式会社製)54.0g、硝酸コバルト六水和物(和光純薬工業株式会社製)0.73gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成形物を製造した。
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAl2O4の組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
(スピネル粒子の製造)
酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)25.5g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、三酸化モリブデン(和光純薬工業株式会社製)54.0g、酸化イットリウム(和光純薬工業株式会社製)0.28gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成形物を製造した。
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAl2O4の組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
(スピネル粒子の製造)
酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)25.5g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、モリブデン酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)89.3g、酸化タングステン(和光純薬工業株式会社製)0.58gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成形物を製造した。
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAl2O4の組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
(スピネル粒子の製造)
酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)25.5g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1g、三酸化モリブデン(和光純薬工業株式会社製)54.0gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
得られたサンプルを、10%アンモニア水、次いで水で洗浄して、粒子表面に残存するモリブデン酸マグネシウムを除去することで、スピネル粒子を製造した。
次いで、実施例1と同様に、得られたスピネル粒子を配合して樹脂組成物および成形物を製造した。
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行い、粉末サンプルはMgAl2O4の組成を有し、高い結晶性を有し、立方晶系に属するスピネル結晶であることを確認した。更に、実施例1と同様の方法で、スピネル粒子について、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。更に、実施例1と同様の方法で、成形物について、熱伝導率、および、樹脂とスピネル粒子との密着性を評価した。それらの結果を表2に記載した。
なお、得られたスピネル粒子のSEM画像を図5に、示す。
(スピネル粒子の製造)
酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)25.5g、酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)10.1gを大阪ケミカル製アブソルートブレンダーで1分間混合した。混合粉末20gを、アルミナるつぼに仕込み、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温した。次いで、1500℃で12時間加熱し、自然放冷により常温まで冷却することで、粉末サンプルを得た。
実施例1と同様の方法で、結晶構造の解析を行ったところ、粉末サンプルはMgAl2O4の組成を有する立方晶系に属するスピネル結晶であるが、結晶性は低いものであった。更に、実施例1と同様の方法で、平均粒径の測定、モリブデンおよび添加原子の含有量の測定、自形粒子の割合の測定、カチオンディスオーダーの分析、結晶子径の測定、真密度の測定を行った。それらの結果を表2に記載した。
なお、得られたスピネル粒子のSEM画像を図5に示す。
Claims (13)
- スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子の割合が、50%以下である、マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子の製造方法であって、
マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物を、モリブデン原子および添加原子含有化合物の存在下で焼成して焼成体を得る焼成工程と、
前記焼成体を冷却する冷却工程と、
を含み、
前記添加原子含有化合物が、ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、およびタングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子含有化合物である、スピネル粒子の製造方法。 - カチオンディスオーダーが10mol%以下である、マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子の製造方法であって、
マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物を、モリブデン原子および添加原子含有化合物の存在下で焼成して焼成体を得る焼成工程と、
前記焼成体を冷却する冷却工程と、
を含み、
前記添加原子含有化合物が、ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、およびタングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子含有化合物である、スピネル粒子の製造方法。 - スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子の割合が、50%以下である、請求項2に記載のスピネル粒子の製造方法。
- 前記モリブデン原子が、酸化モリブデン、モリブデン酸アルカリ金属塩に由来するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記モリブデン原子の使用量が、前記マグネシウム化合物中のマグネシウム原子に対して、100〜200モル%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子であって、
ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、タングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子をさらに含む、スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子の割合が、50%以下である、スピネル粒子。 - マグネシウム原子、アルミニウム原子、および酸素原子と、モリブデン原子と、を含む、スピネル粒子であって、
ホウ素原子、ケイ素原子、スカンジウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、マンガン原子、コバルト原子、銅原子、ニオブ原子、イットリウム原子、ジルコニウム原子、タングステン原子からなる群から選択される少なくとも1つの添加原子をさらに含む、カチオンディスオーダーが10mol%以下である、スピネル粒子。 - スピネル結晶構造に起因する平坦な自形面の面積が粒子表面積の1/2以上である粒子の割合が、50%以下である、請求項7に記載のスピネル粒子。
- 添加原子含有量が、マグネシウム原子に対して、0.01〜10mol%である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のスピネル粒子。
- 前記スピネル粒子の[311]面の結晶子径が、100nm以上である、請求項6〜9のいずれか1項に記載のスピネル粒子。
- 粒子の真密度が、3.57以上である、請求項6〜10のいずれか1項に記載のスピネル粒子。
- 請求項6〜11のいずれか1項に記載のスピネル粒子と、樹脂とを含む樹脂組成物。
- 請求項12に記載の樹脂組成物の成形物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017094657A JP6965562B2 (ja) | 2017-05-11 | 2017-05-11 | スピネル粒子の製造方法、スピネル粒子、並びに前記スピネル粒子を含む樹脂組成物および成形物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017094657A JP6965562B2 (ja) | 2017-05-11 | 2017-05-11 | スピネル粒子の製造方法、スピネル粒子、並びに前記スピネル粒子を含む樹脂組成物および成形物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018188342A JP2018188342A (ja) | 2018-11-29 |
JP6965562B2 true JP6965562B2 (ja) | 2021-11-10 |
Family
ID=64479608
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017094657A Active JP6965562B2 (ja) | 2017-05-11 | 2017-05-11 | スピネル粒子の製造方法、スピネル粒子、並びに前記スピネル粒子を含む樹脂組成物および成形物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6965562B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022151006A1 (en) | 2021-01-13 | 2022-07-21 | Dic Corporation | Composite particles and method for producing the composite particles |
CN113024228A (zh) * | 2021-03-16 | 2021-06-25 | 鞍山市奥鞍耐火材料有限责任公司 | 一种镁锰尖晶石耐火材料及其制备方法和应用 |
WO2023204273A1 (ja) * | 2022-04-21 | 2023-10-26 | Dic株式会社 | ニオブ酸塩粒子、及びニオブ酸塩粒子の製造方法 |
TW202406853A (zh) * | 2022-06-02 | 2024-02-16 | 日商Dic股份有限公司 | 氧化銅鉻尖晶石、及其樹脂組成物、樹脂成形品、氧化銅鉻尖晶石的製造方法 |
TW202406854A (zh) | 2022-06-02 | 2024-02-16 | 日商Dic股份有限公司 | 氧化銅鉻尖晶石、及其樹脂組成物、樹脂成形品 |
-
2017
- 2017-05-11 JP JP2017094657A patent/JP6965562B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018188342A (ja) | 2018-11-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6965562B2 (ja) | スピネル粒子の製造方法、スピネル粒子、並びに前記スピネル粒子を含む樹脂組成物および成形物 | |
JP5995130B1 (ja) | スピネル粒子およびその製造方法、並びに前記スピネル粒子を含む組成物および成形物 | |
CN109415220B (zh) | 尖晶石颗粒及其制造方法、及包含前述尖晶石颗粒的组合物和成形物 | |
JP6569830B2 (ja) | スピネル型複合酸化物粒子およびその製造方法、スピネル型複合酸化物粒子を含む樹脂組成物および成形物 | |
JP6597911B2 (ja) | 表面処理スピネル粒子、その製造方法、樹脂組成物及び成形物 | |
WO2019194159A1 (ja) | アルミナを含有する樹脂組成物及び放熱部材 | |
JP6836730B2 (ja) | スピネル粒子の製造方法、樹脂組成物の製造方法および成形物の製造方法 | |
JP7468808B1 (ja) | ガーナイト粒子およびその製造方法 | |
WO2023204235A1 (ja) | タンタル酸塩粒子、タンタル酸塩粒子の製造方法、樹脂組成物及び成形体 | |
US20230082688A1 (en) | Alumina particles, resin composition, molded body, and method for producing alumina particles | |
WO2024024604A1 (ja) | 高純度スピネル粒子およびその製造方法 | |
JPWO2020145342A1 (ja) | スピネル粒子及びその製造方法、樹脂組成物、成形物、組成物、グリーンシート、焼成物、並びに、ガラスセラミックス基板 | |
JPWO2020145341A1 (ja) | 樹脂組成物、成形物、組成物、グリーンシート、焼成物及びガラスセラミックス基板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20180220 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20190624 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200406 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210226 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210309 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210422 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210921 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211004 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6965562 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |