JP6964041B2 - ターボ冷凍機の制御方法及びそれを用いた熱回収熱源システム - Google Patents
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Description
空調熱源設備の熱源システムの場合、往水温度、還水温度、負荷流量のプロセス値に基づいて判定処理されて、熱源機の台数制御が行われ、熱源システム全体の消費エネルギー、熱源システム全体の運転コストなどが最小化するように制御される。従来から、高い効率で熱源システムを運転できるように運転方法が検討されている。
かかる状況に鑑みて、本発明は、冷温の変動する同時負荷に応じて対応し、高効率で運転できるターボ冷凍機(以下、熱回収機ともいう)の制御方法及びそれを用いた熱回収熱源システムを提供することを目的とする。
また、本発明の熱回収機の制御方法は、冷熱負荷より温熱負荷が少ないときに冷却塔で放熱して必要な温熱を回収するために設けられた温水系統側熱交換器、冷熱負荷が運転下限値以下となっても安定して運転ができるように冷熱入口の冷水を温排熱で加熱するために設けられた冷水系統側熱交換器、及び熱回収機を有する熱回収熱源システムにおける熱回収機の制御方法において、本発明の熱回収熱源システムと同様に、下記1)〜4)の4つのエリアに分割し、熱回収機の運転を制御するステップを備える。
2)冷熱負荷と温熱負荷ともに熱回収機の定格冷却能力以上かつ定格加熱能力以上の第2エリア(Hエリア)。
3)温熱負荷が熱回収機の最小冷却能力及び最小加熱能力で定まる運転点と、定格冷却能力及び定格加熱能力で定まる運転点とを結んで得られる稼働線よりも、温熱負荷が大きい側のエリアと定格加熱能力以上かつ定格冷却能力以下のエリアを合わせた第3エリア(M1エリア)。
4)温熱負荷が熱回収機の稼働線より温熱負荷が小さい側のエリアと、定格冷却能力以上かつ定格加熱能力以下のエリアとを合わせた第4エリア(M2エリア)。
上記の第1〜第4の4つのエリア(L,H,M1,M2)に分割して熱回収機の運転を制御することにより、冷温の変動する同時負荷に応じて対応し、熱回収熱源システムを、適切な量の熱回収を行い無駄なく高効率で運転することができる。
なお、熱回収機が単独運転の場合、熱回収機と共に他冷熱源機が並列運転の場合、どちらの場合であっても、第1エリアにおける熱回収機の制御方法は同じである。
なお、熱回収機が単独運転の場合、熱回収機と共に他冷熱源機が並列運転の場合、どちらの場合であっても、第1エリアにおける熱回収機の制御方法は同じである。
そのため、従来の熱回収熱源システム100のシステム設計時においては、まず熱回収機101について、既存の年間の冷温負荷熱量を分析して性能設計し、さらに、時間単位で熱回収機101が高効率で運転するような冷熱・温熱が同時に発生しないことを前提に、安定的な熱回収運転ができるように、温熱バッファとなる温水蓄熱槽102を設けている。
図1は、本実施例の熱回収熱源システムの構成図を示している。図1に示すように、熱回収熱源システム1は、温熱負荷が少ないとき(主に夏期)にも冷熱処理が継続できるように温水系統側に熱交換器(温)4を、冷熱負荷が少ないとき(主に冬期)に温熱処理が継続できるように冷水系統側に熱交換器(冷)3を設け、これにより熱回収機2は温水蓄熱槽がなくても安定して高効率運転するための制御を実現するものである。本実施例の熱回収熱源システム1の機能を以下に説明する。
一方、温熱負荷より冷熱負荷が小さいときは、冷熱負荷から得られる温熱しか回収しない。ただし、熱回収機2が容量制御できる冷熱負荷の下限値以下になった場合にも、熱回収機2がOn−Off運転することなく安定して運転を継続できるように、冷熱負荷が下限負荷率になるようにダミー負荷用制御三方弁13により、熱回収機2の排熱温水を熱交換器(冷)3に回して熱回収機2の冷水入口温度を加熱する。これをダミー負荷という。
負荷ゾーン判定モジュールは、冷熱・温熱負荷の現在値(PV値)で現在運転している負荷ゾーンを判定するモジュールである。
図3は、負荷ゾーン区分を示した図である。負荷ゾーン区分は、図3に示すように、熱回収機が処理する冷熱と温水排熱との関係を示す稼動線(ほぼ直線のP1−P2線)を境界として、運転領域を10ゾーン(Aa,Ab,Ac,Ba,BbH,BbC,Bc,Ca,Cb,Cc)に区分されている。下記表2は、各ゾーンの内容を説明している。
冷温熱負荷配分モジュールは、4つの分割エリアに分割して制御を行うモジュールである。4つの分割エリアは、上記の10の負荷ゾーン区分を、図4に示すように4つの分割エリア(L,H,M1,M2)にグルーピングしたものである。下記表3は、4つの分割エリアの範囲と意味、熱回収機の運転方法を表したものである。すなわち、下記表3に示すとおり、Ca,Cb及びCcの3つの負荷ゾーンをLエリアとして統合し、Ba及びBbHの2つの負荷ゾーンをM1エリアとして統合し、Ab,Ac,BbC及びBcの4つの負荷ゾーンをM2エリアとして統合し、Aaの負荷ゾーンをHエリアとした。
[1] 冷熱負荷が熱回収機の処理可能な最小冷却能力以下の第1エリア(Lエリア)。
[2] 冷熱負荷と温熱負荷ともに熱回収機の定格冷却能力以上かつ定格加熱能力以上の第2エリア(Hエリア)。
[3] 温熱負荷が熱回収機の最小冷却能力及び最小加熱能力とで定まる運転点と、定格冷却能力及び定格加熱能力で定まる運転点とを結んで得られる稼働線よりも、温熱負荷が大きい側のエリアと定格加熱能力以上かつ定格冷却能力以下のエリアを合わせた第3エリア(M1エリア)。
[4] 温熱負荷が熱回収機の稼働線より温熱負荷が小さい側のエリアと、定格冷却能力以上かつ定格加熱能力以下のエリアとを合わせた第4エリア(M2エリア)。
L・H・M1の各エリアは、熱回収機の単独運転の場合、熱回収機と他冷熱源機の並列運転の場合ともに熱回収機は同じ運転で制御される。
Lエリアは、冷熱・温熱とも熱回収機の処理可能な最小冷却能力以下で運転し、Hエリアは、冷熱・温熱とも熱回収機の定格冷却能力以上かつ定格加熱能力以上で運転する。
M1エリアは、冷熱負荷を熱回収機に割り当て、この冷熱負荷に見合う温熱負荷分を処理する運転(これを、「冷熱主体運転」と呼ぶ)とする。M2エリアだけは、熱回収機の単独運転の場合と、熱回収機と他冷熱源機の並列運転の場合とが異なる運転である。
熱回収機の単独運転の場合には、冷熱主体運転で、熱回収機と他冷熱源機の並列運転の場合には、温熱負荷を熱回収機に割り当て、この温熱処理相当の冷熱負荷分を処理する運転(これを「温熱主体運転」と呼ぶ)とする。
まず、Lエリアにおいて、負荷がP7a・P7b・P7c点の時、すなわち熱回収機の最小冷却能力時は、熱回収機の本体制御で低負荷停止しないように、温水側から冷水側に若干のダミー負荷を与えてP2点で運転する。
Hエリアにおいては、負荷がP8点の時は、そのときの温熱負荷に相当するP1点(熱回収機の定格冷却能力・定格加熱能力)で運転する。
温熱負荷が熱回収機の稼働線よりも大きいというM1エリアでは、熱回収機への割り当ては、冷熱負荷に相当する処理量を冷熱割り当てに、これ対応する稼働線上の温熱を温熱割当てとする。例えば、負荷がP5・P6点の時は、稼動線上のQ5・Q6点で運転するように熱回収機を制御する。
例えば、熱回収機の単独運転時において、負荷がP3・P4点の時は、L2分を冷却塔で放熱させ、稼動線上のQ3とQ4点で運転するように熱回収機を制御する。熱回収機以外の他熱源と並列運転時において、負荷がP9・P11時は、稼働線上のQ9・Q11で、P10の時は温熱処理できる最小のP2点で運転するように熱回収機を制御する。
下記表4に冷熱・温熱割当負荷率を示す。下記表4において、f(rH) は温主の曲線上の負荷率、f(rC) は冷主の曲線上の負荷率、rCは冷水実負荷率、rHは温水実負荷を表す。
なお、図中の黒丸は、熱回収機の運転点を示す。
冷温水ポンプ(熱源システムから見ると一次ポンプに該当)の流量は、処理すべき熱量を往還温度差で割り逆算で求める。配分熱量は上記のロジックで算出できるが、1次ポンプの流量を決定するための往還温度差は下記式1及び式2のように決定する。ただし、ΔTsは2次側の実往還温度差、ΔTpは1次側の実往還温度差、ΔTs,designは2次側の設計往還温度差、ΔTp,designは1次側の設計往還温度差、ΔTp,setは1次側の往還温度差設定値である。
図12は、インバータターボ冷凍機(以下、“RI”)と空冷ヒートポンプ(以下、“RA”)の台数制御の閾値の説明図である。
熱回収機(熱回収ターボ冷凍機)の単独運転から次号機のRI増段、熱回収機+RIの2台運転から熱回収機の単独運転への減段判定は、図12(1)に示すように、熱回収機の稼働線を閾値に基づいて行われる。
同様に、温熱源システムは、同様に熱回収機単独と熱回収機+RAとの間の増減段処理だが、これは図12(2)に示すようにする。BbC領域やBc領域の運転方法は熱回収機の稼働線を境にして対称形となり、論理的に整合性が図れる。
図13は、RI増減段閾値の判定方法の説明図である。
まず、負荷ゾーン判定結果のメモリの値を見る。その結果、図13に示すRI_off領域の「s」点であることを確認する。次に、RI_off領域であればどこであっても増減段閾値は、熱回収機の冷却定格能力rc、max(100%)のラインを基準とし、ここから増減段シフト値(パラメータ)分だけシフトしたところとする。
また、冷熱・温熱負荷PV値のポイントが、RI_onのエリアから、RI_offのエリアに移った場合、上記対応により減段閾値が実冷熱負荷よりも高い値に設定されるため、結果的にRIは減段して熱回収機の単独運転となる。
まず、負荷ゾーン判定結果のメモリの値を見る。その結果、RI_on領域の「t」点であることを確認する。次に、増減段閾値は、「t」点から稼働線と交差する点のrc値を基準とし、ここから増減段シフト値(パラメータ)分ずらしたところとする。
仮に、冷熱・温熱負荷PV値のポイントが、RI_offのエリアから、RI_onのエリアに移った場合、上記対応により増段閾値が実冷熱負荷よりも低い値に設定されるため、結果的にRIは増段する。
冷却除去制御は、図14(1)のPI制御図に示すように、温水側の熱除去制御が、熱回収機の温水出口温度(Th_out)に基づいて、冷却水ポンプインバータ出力(CDP_Tr_INV)制御と冷却塔バイパス弁開度(Vb_Tr_od)制御の2つのPI制御により、Th_outが温水の限界値45℃を超えないように制御する。
例えば、図5(2)のP3点で熱回収機が冷熱主体で負荷処理する場合はQ3点で運転するので、余剰排熱を処理できないとTh_outが上昇する。Th_outが45℃以上にならないように冷却除去制御を作動させ図5(2)のL2分に相当する熱を冷却塔へ放出して除去する。
ダミー負荷付与制御は、図14(2)のPI制御図に示すように、熱回収機の冷水入口温度(Tc_in)が(冷水出口温度設定値+定格冷水温度差)になるようにダミー負荷制御三方弁(Vdum)を逆動作のPI制御が作動し、ダミーの冷熱負荷を付与する。
ダミー負荷制御は、L領域(=C領域(Ca・Cb・Cc))になれば作動し、L領域以外になれば停止し、ダミー負荷制御三方弁は熱交換器(冷)に向かう方向の開度を全閉とする。本制御は、熱回収機の単独運転、又は、熱回収機とRIとの並列運転に限らず、常時作動する。
2,101 熱回収機
3 熱交換器(冷)
4 熱交換器(温)
5 クーリングタワー
11,13 制御三方弁
12,14,15 インバータ制御式ポンプ
102 温水蓄熱槽
Claims (11)
- 冷熱負荷より温熱負荷が少ないときに冷却塔で放熱して必要な温熱を回収するために設けられた温水系統側熱交換器、冷熱負荷が運転下限値以下となっても安定して運転ができるように冷熱入口の冷水を温排熱で加熱するために設けられた冷水系統側熱交換器、及びターボ冷凍機を有する熱回収熱源システムにおいて、
冷熱負荷が前記ターボ冷凍機の処理可能な最小冷却能力以下の第1エリアと、
冷熱負荷と温熱負荷ともに前記ターボ冷凍機の定格冷却能力以上かつ定格加熱能力以上の第2エリアと、
温熱負荷が前記ターボ冷凍機の最小冷却能力及び最小加熱能力で定まる運転点と、定格冷却能力及び定格加熱能力で定まる運転点とを結んで得られる稼働線よりも、温熱負荷が大きい側のエリアと定格加熱能力以上かつ定格冷却能力以下のエリアを合わせた第3エリアと、
温熱負荷が前記ターボ冷凍機の前記稼働線より温熱負荷が小さい側のエリアと定格冷却能力以上かつ定格加熱能力以下のエリアとを合わせた第4エリア、
に4分割して、前記ターボ冷凍機の運転が制御されることを特徴とする熱回収熱源システム。 - 第1エリアにおいて、
前記ターボ冷凍機は、ターボ冷凍機1台で処理可能な前記最小冷却能力で運転を行うように制御されることを特徴とする請求項1に記載の熱回収熱源システム。 - 第2エリアにおいて、
前記ターボ冷凍機は、ターボ冷凍機1台の処理能力をフルに発揮する定格冷却能力または定格加熱能力で運転を行うように制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱回収熱源システム。 - 第3エリア又は第4エリアにおいて、前記ターボ冷凍機が単独運転の場合には、
前記ターボ冷凍機は、ターボ冷凍機1台で冷熱負荷を全て処理する冷熱主体運転に制御されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の熱回収熱源システム。 - 第3エリア又は第4エリアにおいて、前記ターボ冷凍機と共に他冷熱源機が並列運転の場合には、
前記ターボ冷凍機は、第3エリアでは前記冷熱主体運転に制御され、第4エリアでは温熱負荷に見合う冷熱分だけ処理する温熱主体運転に制御され、それ以外の冷熱負荷を他冷熱源機に処理させることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の熱回収熱源システム。 - 冷熱負荷より温熱負荷が少ないときに冷却塔で放熱して必要な温熱を回収するために設けられた温水系統側熱交換器、冷熱負荷が運転下限値以下となっても安定して運転ができるように冷熱入口の冷水を温排熱で加熱するために設けられた冷水系統側熱交換器、及びターボ冷凍機を有する熱回収熱源システムにおける前記ターボ冷凍機の制御方法において、
冷熱負荷が前記ターボ冷凍機の処理可能な最小冷却能力以下の第1エリアと、
冷熱負荷と温熱負荷ともに前記ターボ冷凍機の定格冷却能力以上かつ定格加熱能力以上の第2エリア、
温熱負荷が前記ターボ冷凍機の最小冷却能力及び最小加熱能力で定まる運転点と、定格冷却能力及び定格加熱能力で定まる運転点とを結んで得られる稼働線よりも、温熱負荷が大きい側のエリアと定格加熱能力以上かつ定格冷却能力以下のエリアを合わせた第3エリアと、
温熱負荷が前記ターボ冷凍機の前記稼働線より温熱負荷が小さい側のエリアと定格冷却能力以上かつ定格加熱能力以下のエリアとを合わせた第4エリア、
に4分割し、前記ターボ冷凍機の運転を制御するステップを備えたことを特徴とするターボ冷凍機の制御方法。 - 第1エリアにおいて、
前記ターボ冷凍機を、ターボ冷凍機1台で処理可能な前記最小冷却能力で運転を行うように制御することを特徴とする請求項6に記載のターボ冷凍機の制御方法。 - 第2エリアにおいて、
前記ターボ冷凍機を、ターボ冷凍機1台の処理能力をフルに発揮する定格冷却能力または定格加熱能力で運転を行うように制御することを特徴とする請求項6又は7に記載のターボ冷凍機の制御方法。 - 第3エリア又は第4エリアにおいて、前記ターボ冷凍機が単独運転の場合には、
前記ターボ冷凍機を、ターボ冷凍機1台で冷熱負荷を全て処理する冷熱主体運転に制御することを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載のターボ冷凍機の制御方法。 - 第3エリア又は第4エリアにおいて、前記ターボ冷凍機と共に他冷熱源機が並列運転の場合には、
前記ターボ冷凍機を、第3エリアでは前記冷熱主体運転に制御し、第4エリアでは温熱負荷に見合う冷熱分だけ処理する温熱主体運転に制御することを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載のターボ冷凍機の制御方法。 - 請求項6〜10の何れかのターボ冷凍機の制御方法におけるステップを、コンピュータに実行させるためのターボ冷凍機の制御プログラム。
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JP2018088975A JP6964041B2 (ja) | 2018-05-04 | 2018-05-04 | ターボ冷凍機の制御方法及びそれを用いた熱回収熱源システム |
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