JP6963256B2 - 重合体及び化合物 - Google Patents
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Description
なお、本明細書において「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
重合体(P)は、上記式(1)で表される部分構造及び上記式(2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する。上記式(1)においては、A3に結合する「−NR3−」、及びA4に結合する「−NR4−」は、それぞれ、A3、A4に結合する他の基に対してメタ位に結合している。また、上記式(2)においては、ビフェニル構造に結合する「−NR1−」、「−NR2−」はそれぞれ、他の基(フェニレン基)に対してメタ位に結合している。
X2において、A1〜A4、R1〜R8、a、b、c及びdの具体例及び好ましい例については、上記の説明が適用される。R13及びR14の1価の有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等の1価の炭化水素基などが挙げられる。
B1〜B4の2価の有機基としては、例えば炭素数1〜30の2価の炭化水素基、当該炭化水素基の炭素−炭素結合間に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−NR20−、−CONR20−等を有する2価の基(R20は、水素原子又は1価の炭化水素基。以下同じ。)、2価の複素環基等が挙げられ、炭素原子に結合する少なくとも1個の水素原子が置換基(例えばメトキシ基、フッ素原子等)により置換されていてもよい。B1〜B4は、ホール輸送性及びホール注入性がより良好な重合体が得られる点で、単結合又は「*−R30−Y1−*1」(ただし、R30は2価の炭化水素基であり、Y1は、−NR20−、−O−又は−S−である。「*1」はA1〜A4との結合手を示し、「*」は結合手を示す。)であることが好ましく、単結合であることが特に好ましい。
B1〜B4は、上記のうち単結合であることが好ましい。
<ポリアミック酸>
重合体(P1)がポリアミック酸である場合、当該ポリアミック酸(以下、「ポリアミック酸(P)」ともいう。)は、例えば、テトラカルボン酸二無水物と、上記式(1)又は式(2)で表される部分構造(好ましくは、上記式(5)又は式(6)で表される2価の有機基)を有するジアミン(以下、「特定ジアミン」ともいう。)を含むジアミン化合物と、を反応させる方法により得ることが好ましい。
ポリアミック酸(P)の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されず、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばエチレンジアミン四酢酸二無水物などを;
特定ジアミンとしては、下記式(7)で表される化合物及び下記式(8)で表される化合物を好ましく用いることができる。
特定ジアミンとしては、これらのうち、下記式(10)又は式(11)で表される化合物を好ましく用いることができる。
で表される化合物等の側鎖型ジアミン:
パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、ビス(4−アミノフェニル)アミン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)−ピペラジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−(フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−(4−アミノフェノキシカルボニル)−1−(4−アミノフェニル)ピペリジン、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン等の非側鎖型ジアミンを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサン等を;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミン化合物を用いることができる。なお、ポリアミック酸(P)の合成に際し、その他のジアミンは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリアミック酸(P)は、上記の如きテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、必要に応じて分子量調整剤(例えば、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物等)とともに反応させることによって得ることができる。ポリアミック酸(P)の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましい。
重合体(P)がポリアミック酸エステルの場合、当該ポリアミック酸エステルは、上記式(3)で表される部分構造において、R1及びR2の少なくとも一方が炭素数1〜6の1価の有機基である構造単位を有する重合体である。当該ポリアミック酸エステルは、例えば、[I]上記で得られたポリアミック酸(P)とエステル化剤(例えばメタノールやエタノール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール等)とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルと、特定ジアミンを含むジアミン化合物とを、好ましくは有機溶媒中、適当な脱水触媒(例えば4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムハライド、カルボニルイミダゾール、リン系縮合剤等)の存在下で反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物と、特定ジアミンを含むジアミン化合物とを、好ましくは有機溶媒中、適当な塩基(例えばピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンや、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類)の存在下で反応させる方法、等によって得ることができる。
ポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。
重合体(P)がポリイミドの場合、当該ポリイミドは、上記式(4)で表される部分構造を有する重合体である。ポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸(P)を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸(P)が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。該ポリイミドは、そのイミド化率が40〜100%であることが好ましく、60〜90%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
重合体(P)の溶液粘度は、濃度10質量%の溶液としたときに10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、溶液粘度(mPa・s)は、重合体(P)の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等)を用いて調製した濃度10質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
本開示の液晶配向剤は、重合体(P)を含有する。液晶配向剤中の重合体(P)の含有割合は、液晶配向剤中の固形成分(溶媒以外の成分)の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上である。なお、液晶配向剤に含有される重合体(P)は1種のみでもよく、又は2種以上を組み合わせてもよい。
使用する有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,2−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本開示の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により形成される。また、本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS(In-Plane Switching)型、FFS(fringe field switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型など種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
先ず、基板上に液晶配向剤を塗布し、好ましくは塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一方の面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。一方、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。基板への液晶配向剤の塗布は、電極形成面上に、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法、フレキソ印刷法又はインクジェット印刷法により行う。
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで塗膜を一定方向に擦るラビング処理や、液晶配向剤を用いて基板上に形成した塗膜に光照射を行って塗膜に液晶配向能を付与する光配向処理等が挙げられる。一方、垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば、(1)液晶配向膜が対向するように間隙(スペーサー)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法、(2)液晶配向膜を形成した一方の基板上の所定の場所にシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げる方法(ODF方式)等が挙げられる。製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
(テトラカルボン酸二無水物)
TA−1;1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TA−2;2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
TA−3;ピロメリット酸二無水物
DA−1;N,N’−ビス(3−アミノフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン
DA−2;N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ビフェニル−3,3’−ジアミン
DA−3;N,N’−ビス(3−アミノフェニル)ビフェニル−3,3’−ジアミン
DA−4;N,N’−ビス(3−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン
DA−5;N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルビフェニル−3,3’−ジアミン
DA−6;N,N’−ビス(3−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルビフェニル−3,3’−ジアミン
DA−7;N,N’−ビス(3−アミノフェニル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン
DA−8;N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−3,3’−ジアミン
(その他のジアミン)
DB−1;2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
DB−2;4,4’−ジアミノジフェニルアミン
DB−3;N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン
DB−4;N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン
DB−5;N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン
DB−6;アジピン酸ビス(4−アミノフェニチル)
NMP;N−メチル−2−ピロリドン
BC;ブチルセロソルブ
DMAc;N,N−ジメチルアセトアミド
[実施例1]
ジアミン(DA−1)とテトラカルボン酸二無水物(TA−1)の重縮合により得られるポリイミド(下記式(PI−1)で表される重合体)について、その繰り返し単位である下記式(SI−1)で表されるビススクシンイミドの量子化学計算を行うことにより重合体の物性を評価した。量子化学計算プログラムとしては、米国Gaussian社製のGaussian09(Revision B.01)を用い、密度汎関数法(DFT)により計算を行った。
ビススクシンイミド(SI−1)の真空下での基底状態における最安定構造を、汎関数としてB3LYP、基底関数として6−31G(d)を用いて計算した。また、得られた最安定構造に対して、0.001(電子/bohr3)密度の等高線で定義される分子体積V(cm3/mol)を求めた。さらに、汎関数としてB3LYP、基底関数として6−31+G(d)を用いて一点エネルギー計算を行い、最高被占分子軌道(HOMO軌道)のエネルギー準位を算出した。評価は、HOMO準位が−5.24eV(比較例4)以上であった場合を「優良」、HOMO準位が−5.24eV未満であって−5.51eV(比較例2)以上であった場合を「可」、HOMO準位が−5.51eV未満であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
(1)で得られた最安定構造に対して、時間依存密度汎関数法(TD−DFT)により、汎関数としてB3LYP、基底関数として6−31+G(d)を用いて、一重項励起状態を計算した。各電子遷移(励起エネルギー及び振動子強度)に対して半値半幅を0.333eVとして各波長における吸光係数ε(a.u.)を算出し、(1)で得られた分子体積V(cm3/mol)で除算することで紫外可視吸収スペクトルを求めた。さらに光透過性を評価するため、400nmにおける単位体積当たりの吸光係数ε400nm/Vを求めた。評価は、ε400nm/Vが66.5(比較例4)未満であった場合を「優良」、ε400nm/Vが66.5以上であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
(1)で得られた最安定構造に対して、分子全体を剛体球として主慣性モーメントを計算した。与えられた座標系における慣性モーメントを対角項、慣性乗積を非対角項とする3×3の慣性行列を対角化することにより、固有値として主慣性モーメントを算出した。得られた固有値を小さい順にI1、I2、I3とし、分子形状の指標としてI2/I3を求めた。評価は、I2/I3が0.98(比較例4)以上であった場合を「優良」、I2/I3が0.98未満0.95(比較例2)以上であった場合を「可」、I2/I3が0.95未満であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
ジアミン化合物の種類を下記表1に記載の通りに変更して、実施例1と同様にして、ジアミン(DA−2〜DA−8、DB−1〜DB−5)とテトラカルボン酸二無水物(TA−1)との重縮合により得られるポリイミドの物性を量子化学計算により評価した。評価結果は下記表1に示した。また、実施例1〜8の紫外可視吸収スペクトルを図1に示し、比較例1〜5の紫外可視吸収スペクトルを図2に示した。図3には、実施例1〜8及び比較例2〜5のHOMO準位とε400nm/Vの関係を示した。図4には、実施例1〜8及び比較例1〜5のI2/I3とε400nm/Vの関係を示した。なお、図1〜図4中の数字は各実施例、比較例の番号を表す。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6,ppm):δ 8.796(s,2H; ArN−H),7.795(s,2H;ArH),7.587(m,8H;ArH),7.451(d,J=8.4Hz,2H;ArH),7.202(d,J=8.4Hz,4H;ArH).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6,ppm):δ 7.707(d,4H; J=7.2Hz,ArH),7.591(m,6H;ArH),7.460(t,2H;J=8.4;ArH),7.287(d,4H,J=8.8Hz;ArH),3.352(s, 6H;CH3).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6,ppm):δ 7.475(d,4H;J=8.0Hz,ArH),6.960(d,4H;J=8.0Hz,ArH),6.871(s,2H;ArH),6.507(m,2H;ArH),6.301(d,2H,J=8.8Hz;ArH),6.248(d,2H,J=8.8Hz;ArH),5.025(s,4H;NH2),3.209(s,6H;CH3).
[実施例9]
ジアミン(DA−1)をNMPに溶解し、0.95当量のテトラカルボン酸二無水物(TA−1)を加え、室温で6時間反応を行い、下記式(PA−1)で表される部分構造を有するポリアミック酸(PA−1)の15質量%溶液を得た。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の種類及びモル比をそれぞれ下記表2に記載の通りに変更した以外は実施例9と同様にしてポリアミック酸(PA−2〜PA−9)をそれぞれ得た。なお、表2中、テトラカルボン酸二無水物の数値は、ポリアミック酸の合成に使用したテトラカルボン酸二無水物の全体量100モル部に対する使用割合(モル比)を表し、ジアミン化合物の数値は、ポリアミック酸の合成に使用したジアミン化合物の全体量100モル部に対する使用割合(モル比)を表す。
(1)液晶配向剤の調製
実施例9で得たポリアミック酸(PA−1)を重合体1、合成例7で得たポリアミック酸(PA−9)を重合体2として、2種類の重合体1及び2を重合体1:重合体2=50:50(固形分換算質量比)となる配合比率で混合し、NMP及びBCにより希釈することにより、固形分濃度が4.0質量%、溶剤組成比がNMP:BC=80:20(質量比)となる溶液を得た。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤(R−1)を調製した。
平板電極、絶縁層及び櫛歯状電極がこの順で片面に積層されたガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板とのそれぞれの面上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(R−1)を、スピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間乾燥した後、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間乾燥を行い、平均膜厚0.1μmの塗膜を形成した。この塗膜表面に、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いて、ロール回転数1000rpm、ステージ移動速度25mm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmにてラビング処理を行った。上記ラビング配向処理が施された塗膜を、超純水中で1分間超音波洗浄した後、100℃のオーブンで10分間乾燥を行い、液晶配向膜を形成した。
上記(2)で作製した液晶配向膜を有する一対の基板について、液晶配向膜を形成した面の縁に液晶注入口を残して直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、一対の基板間に液晶注入口よりネマチック液晶(メルク社製、MLC−7028)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを120℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に偏光板を貼り合わせてFFS型液晶表示素子を製造した。
ITO基板上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(R−1)をスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間乾燥した後、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間乾燥を行い、平均膜厚0.1μmの塗膜を形成した。該塗膜の上にITOをスパッタして透明電極を形成し、電気物性測定装置を用いて光照射下での塗膜の膜厚方向の抵抗値を測定した。0.01Hzでの抵抗値(1012Ω・cm)が0.1未満であった場合を「優良」、0.01Hzでの抵抗値(1012Ω・cm)が0.1以上20未満であった場合を「良好」、0.01Hzでの抵抗値(1012Ω・cm)が20以上であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
石英基板上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(R−1)をスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間乾燥した後、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間乾燥を行い、平均膜厚0.1μmの塗膜を形成した。紫外可視分光計を用いてブリュースター角において基板の透過率を測定した。400nmでの透過率が97%以上であった場合を「優良」、400nmでの透過率が95%以上97%未満であった場合を「良好」、400nmでの透過率が95%未満であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
上記(3)で製造した液晶表示素子につき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を顕微鏡によって倍率50倍で観察した。評価は、異常ドメインが観察されなかった場合を配向秩序度「良好」とし、異常ドメインが観察された場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「良好」の評価であった。
上記(3)で製造した液晶表示素子につき、AC2.5Vで駆動させて任意の2画素の間の輝度差を0に設定した後、AC2.5Vで駆動させつつ片方の画素のみにDC1Vを20分間印加して電荷を蓄積させた。DC1V印加を終了してAC2.5Vでの駆動のみに戻すと、蓄積された電荷によって2画素の間に輝度差が生じた。この輝度差の経時変化を観測することで、残留DC値が減衰する過程の緩和時間を算出した。緩和時間が10秒未満であった場合を「優良」、緩和時間が20秒未満であった場合を「良好」、緩和時間が20秒以上であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
上記実施例13において、液晶配向剤に含有させる重合体1を下記表3に記載の通りに変更した以外は実施例13と同様にして液晶配向剤を調製してラビング法により液晶配向膜を形成するとともに、FFS型の液晶表示素子を製造して各種評価を行った。評価結果は下記表3に示した。
これに対し、重合体(P)を含有しない液晶配向剤を用いた比較例6〜9では、液晶配向膜の抵抗値及び透過率、並びに液晶セルのDC残像特性の少なくともいずれかが「不良」の評価であった。
Claims (4)
- ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、下記式(1)で表される部分構造及び下記式(2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体。
- 下記式(3)で表される部分構造及び下記式(4)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体。
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