JP2019085484A - 重合体及び化合物 - Google Patents

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知哉 東原
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慎治 安藤
マオチュン フ
Mao-Chun Fu
マオチュン フ
上田 充
Mitsuru Ueda
充 上田
拓也 村上
Takuya Murakami
拓也 村上
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Yuya Maeda
裕矢 前田
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伸夫 安池
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Abstract

【課題】電荷を蓄積しにくく、かつ光透過性に優れた樹脂膜を得ることができる重合体を提供すること。【解決手段】式(1)で表される部分構造及び式(2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体。(式(1)及び式(2)中、X1は4価の有機基であり、X2は特定の窒素含有縮合環構造を有する2価の有機基である。R1及びR2は水素原子又は炭素数1〜6の1価の有機基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、重合体及び化合物に関する。
従来、例えば液晶素子の配向膜や、液晶ディスプレイ用平坦化膜、電子回路材料の絶縁基材、配線基板の層間絶縁材料、半導体素子の保護膜、有機EL用平坦化膜、位相差フィルム等といった各種薄膜を形成するための重合体組成物や、カラーフィルタの各フィルタを仕切る障壁(バンク)を形成するためのバンク剤など、各種の膜形成材料が知られている。中でもポリイミドは、優れた機械的強度や耐熱性を有し、また電気絶縁性にも優れていることから、各種分野において現在広く工業的に用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許第5929298号公報 国際公開第2015/122413号 特開2011−154100号公報
配向膜や電子回路材料等に適用される樹脂膜においては、電荷を蓄積しにくいことが要求される。例えば液晶配向膜に要求される重要な特性の一つとして、蓄積電荷の緩和速度が速いことが挙げられる。液晶素子においてDC残留緩和が不十分である場合、残像が消えるまでの時間が長くなり、焼き付きが発生することにより表示品位の低下を招くおそれがある。また、ディスプレイ材料等に適用する場合、その樹脂膜は光透過性に優れていることが要求される。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、電荷を蓄積しにくく、かつ光透過性に優れた樹脂膜を得ることができる重合体を提供することを一つの目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
<1> 下記式(1)で表される部分構造及び下記式(2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体。
Figure 2019085484
(式(1)及び式(2)中、Xは4価の有機基であり、Xは、下記式(3)で表される2価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6の1価の有機基である。)
Figure 2019085484
(式(3)中、A、A及びAは、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり、Y及びYは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、硫黄原子又は「−NR10−」(ただし、R10は水素原子又は1価の有機基である。)である。Z及びZは、それぞれ独立して、下記式(4)、(5)又は(6)で表される2価の環状基であり、環を構成する原子に結合する水素原子が置換基で置換されていてもよく、当該置換基がA又はAに結合して環を形成していてもよい。「*」は結合手を示す。)
Figure 2019085484
(式(4)〜(6)中、Qは、酸素原子、硫黄原子、メチレン基又は−NH−であり、Qは、単結合、酸素原子、硫黄原子、メチレン基又は−NH−である。「*」は結合手を示す。)
<2> 下記式(11)で表されるジアミン化合物。
Figure 2019085484
(式(11)中、A、A及びAは、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり、Y及びYは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、硫黄原子又は「−NR10−」(ただし、R10は水素原子又は1価の有機基である。)である。Z及びZは、それぞれ独立して、上記式(4)、(5)又は(6)で表される2価の環状基であり、環を構成する原子に結合する水素原子が置換基で置換されていてもよく、当該置換基がA又はAに結合して環を形成していてもよい。)
本開示の重合体によれば、電荷を蓄積しにくく、かつ光透過性に優れた樹脂膜を得ることができる。
実施例の重合体の紫外可視吸収スペクトル。 比較例の重合体の紫外可視吸収スペクトル。 実施例及び比較例の重合体のHOMO準位とε400nm/Vの関係を示す図。
以下、本開示の内容について詳しく説明する。
なお、本明細書において「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
≪重合体(P)≫
重合体(P)は、芳香環と窒素含有脂肪族ヘテロ環との縮合環構造を有し、具体的には、上記式(1)で表される部分構造及び上記式(2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する。上記式(1)及び式(2)において、Xは、テトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基である。なお、本明細書において「テトラカルボン酸誘導体」は、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステル及びテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物を含む意味である。
及びRの1価の有機基としては、例えば1価の炭化水素基等が挙げられる。
上記式(1)及び式(2)において、Xは、上記式(3)で表される2価の有機基である。上記式(3)において、Z及びZは、それぞれ独立して、上記式(4)、(5)又は(6)で表される2価の環状基である。上記式(4)及び式(5)中のQは、酸素原子、硫黄原子、メチレン基又は−NH−であり、上記式(6)中のQは、単結合、酸素原子、硫黄原子、メチレン基又は−NH−である。得られる重合体のホール輸送性が高く、重合体(P)を用いて形成した膜の蓄積電荷の低減効果を十分に得ることができる点で、Qはメチレン基であることが好ましく、Qは単結合又は酸素原子であることが好ましい。
得られる液晶素子のDC残像特性の改善効果が高い点で、上記式(4)、(5)及び(6)中の窒素原子は芳香環に結合していることが好ましい。
及びZは、環を構成する原子に結合する少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されていてもよく、当該置換基がA又はAに結合して環構造を形成していてもよい。Z、Zが有する置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、メトキシ基等のアルコキシ基、フッ素原子、水酸基等が挙げられる。なお、Q、Qがメチレン基又は−NH−の場合、Q、Qが有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。Z及びZは、電荷がより蓄積されにくい樹脂膜が得られる点、及び化合物を合成しやすい点で、上記式(4)〜(6)のうち、上記式(4)で表される基が好ましく、上記式(4)においてQがメチレン基である構造が特に好ましい。
、A及びAは、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基である。A〜Aの2価の有機基としては、例えば炭素数1〜30の2価の炭化水素基、当該炭化水素基の炭素−炭素結合間に、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−NR41−、−CONR41−等を有する2価の基(ただし、R41は水素原子又は1価の有機基)、2価の複素環基等が挙げられ、炭素原子に結合する少なくとも1個の水素原子が置換基(例えばメトキシ基、フッ素原子等)で置換されていてもよい。
〜Aは、膜の蓄積電荷がより低減された樹脂膜を得ることができる点で、上記のうち、単結合又は芳香環を有する2価の基であることが好ましい。なお、本明細書において「芳香環」とは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環を含む意味である。
〜Aが芳香環を有する2価の基である場合、A〜Aは、下記式(7)、(8)、(9)又は(10)で表される基であることが好ましい。
Figure 2019085484
(式(7)〜(10)中、R12〜R16は、それぞれ独立して1価の有機基であり、Qは、単結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜3のアルカンジイル基、又は「−NR11−」(ただし、R11は水素原子又は1価の有機基である。)である。a、c及びdは、それぞれ独立して0〜4の整数であり、bは0〜3の整数であり、eは0〜6の整数である。「*」は結合手を示す。)
上記式(7)〜(10)において、R12〜R16の1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。a〜eは、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。Qは、単結合、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
及びYは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、硫黄原子又は「−NR10−」(R10は、水素原子又は1価の有機基)である。R10の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜6のアルキル基、保護基等が挙げられる。保護基としては、例えばカルバメート系保護基、アミド系保護基、イミド系保護基、スルホンアミド系保護基などが挙げられる。保護基は、これらのうち、熱による脱離性が高い点や、脱保護した部分の膜中での残存量を少なくする点で、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。Y及びYとしては、膜の蓄積電荷をより低減させる観点から、単結合であることが好ましい。
上記式(3)で表される基は、本開示の効果を十分に得ることができる点で、上記のうち、下記式(12−1)〜下記式(12−4)のそれぞれで表される基が好ましい。
Figure 2019085484
(式(12−1)中、A及びAは、それぞれ独立して、2価の炭化水素基又は2価の窒素含有芳香族複素環基である。Q及びQは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、エチレン基、−NR40−、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NR40−(ただし、R40は炭素数1〜6の1価の炭化水素基である。)である。R20及びR21は、それぞれ独立して1価の有機基である。f及びgは、それぞれ独立して0〜4の整数である。「*」は結合手を示す。)
Figure 2019085484
(式(12−2)中、A及びAは、それぞれ独立して、単結合、2価の炭化水素基又は2価の窒素含有芳香族複素環基である。Q及びQは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、エチレン基、−NR40−、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NR40−(ただし、R40は炭素数1〜6の1価の炭化水素基である。)である。R22及びR23は、それぞれ独立して1価の有機基である。Dは上記式(7)、(8)、(9)又は(10)で表される2価の基である。h及びiは、それぞれ独立して0〜4の整数である。「*」は結合手を示す。)
Figure 2019085484
(式(12−3)中、A及びAは、それぞれ独立して、2価の炭化水素基又は2価の窒素含有芳香族複素環基である。Q及びQ10は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、メチレン基又は−NR40−(ただし、R40は炭素数1〜6の1価の炭化水素基である。)である。R26及びR27は、それぞれ独立して1価の有機基である。a1及びa2は、それぞれ独立して0〜4の整数である。「*」は結合手を示す。)
Figure 2019085484
(式(12−4)中、A及びA10は、それぞれ独立して、単結合、2価の炭化水素基又は2価の窒素含有芳香族複素環基である。Q11及びQ12は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、メチレン基又は−NR40−(ただし、R40は炭素数1〜6の1価の炭化水素基である。)である。R28及びR29は、それぞれ独立して1価の有機基である。b1及びb2は、それぞれ独立して0〜4の整数である。「*」は結合手を示す。)
上記式(12−1)〜式(12−4)において、R20〜R23及びR26〜R29の1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。f〜i、a1、a2、b1及びb2は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
上記式(12−1)中のA及びA、並びに式(12−3)中のA及びAは、2価の芳香環基であることが好ましく、上記式(12−2)中のA及びA、並びに式(12−4)中のA及びA10は、単結合又は2価の芳香環基であることが好ましい。2価の芳香環基の具体例としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環又はピリミジン環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基等が挙げられる。
重合体(P)は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種である。重合体(P)は、テトラカルボン酸誘導体に由来する部分構造と、上記式(3)で表される2価の有機基を有するジアミン化合物(以下、「特定ジアミン」ともいう。)に由来する部分構造と、を有する。こうした重合体(P)の合成方法は特に限定されず、有機化学の定法により得ることができる。
<ポリアミック酸>
重合体(P)がポリアミック酸である場合、当該ポリアミック酸(以下、「ポリアミック酸(P)」ともいう。)は、例えば、テトラカルボン酸二無水物と、特定ジアミンを含むジアミン化合物と、を反応させることにより得ることができる。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミック酸(P)の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されず、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばエチレンジアミン四酢酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、1,3−プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、重合体(P)の合成に際し、テトラカルボン酸二無水物としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(ジアミン化合物)
特定ジアミンとしては、下記式(11)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019085484
(式(11)中、A、A及びAは、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり、Y及びYは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、硫黄原子又は「−NR10−」(ただし、R10は水素原子又は1価の有機基である。)である。Z及びZは、それぞれ独立して、上記式(4)、(5)又は(6)で表される2価の環状基であり、環を構成する原子に結合する水素原子が置換基で置換されていてもよく、当該置換基がA又はAに結合して環を形成していてもよい。)
上記式(11)中のA〜A、Y、Y、Z及びZの具体例及び好ましい例については、上記式(3)の説明がそれぞれ適用される。特定ジアミンとしては、下記式(13)〜式(16)のそれぞれで表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2019085484
(式(13)中、A、A、Q、Q、R20、R21、f及びgは、それぞれ上記式(12−1)と同義である。)
Figure 2019085484
(式(14)中、Dは、上記式(7)、(8)、(9)又は(10)で表される2価の基である。A、A、Q、Q、R22、R23、h及びiは、それぞれ上記式(12−2)と同義である。)
Figure 2019085484
(式(15)中、A、A、Q、Q10、R26、R27、a1及びa2は、それぞれ上記式(12−3)と同義である。)
Figure 2019085484
(式(16)中、Dは、上記式(7)、(8)、(9)又は(10)で表される2価の基である。A、A10、Q11、Q12、R29、R29、b1及びb2は、それぞれ上記式(12−4)と同義である。)
上記式(13)〜式(16)において、A〜A10の2価の炭化水素基としては、2価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基であることがより好ましい。2価の窒素含有芳香族複素環基としては、ピリジン環又はピリミジン環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基であることが好ましい。
及びDは、膜の蓄積電荷の低減効果が高い点で、上記式(9)のQが単結合である2価の基であることが好ましい。
特定ジアミンの具体例としては、例えば下記式(d−1)〜式(d−32)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 2019085484
Figure 2019085484
Figure 2019085484
特定ジアミンとしては、光透過性がより良好な重合体を得ることができる点、及び合成のしやすさの観点から、これらのうち、上記式(13)又は式(14)で表される化合物を用いることが好ましい。具体的には、上記式(d−1)〜式(d−9)、式(d−13)、式(d−14)、式(d−17)〜式(d−26)のそれぞれで表される化合物が好ましく、上記式(d−1)〜式(d−7)、式(d−13)、式(d−14)、式(d−17)〜式(d−20)のそれぞれで表される化合物が特に好ましい。なお、特定ジアミンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸(P)の合成に際しては、ジアミン化合物として特定ジアミンのみを用いてもよいが、特定ジアミンと共に、特定ジアミン以外のその他のジアミンを使用してもよい。
その他のジアミンとしては、上記式(3)で表される部分構造を有さないジアミンであれば特に限定されず、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン及びジアミノオルガノシロキサン等が挙げられる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等を;脂環式ジアミンとして、例えばp−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等を;
芳香族ジアミンとして、例えばドデカノキシジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシジアミノベンゼン、オクタデカノキシジアミノベンゼン、コレスタニルオキシジアミノベンゼン、コレステリルオキシジアミノベンゼン、ジアミノ安息香酸コレスタニル、ジアミノ安息香酸コレステリル、ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、2,5−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン、下記式(E−1)
Figure 2019085484
(式(E−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−であり、Rは炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、RIIは単結合又は炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、dは0又は1である。ただし、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物等の側鎖型ジアミン:
パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、ビス(4−アミノフェニル)アミン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)−ピペラジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−(フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−(4−アミノフェノキシカルボニル)−1−(4−アミノフェニル)ピペリジン、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン等の非側鎖型ジアミンを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサン等を;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミン化合物を用いることができる。なお、ポリアミック酸(P)の合成に際し、その他のジアミンは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
特定ジアミンの使用割合は、本開示の効果を十分に得る観点から、ポリアミック酸(P)の合成に際して使用するジアミン化合物の合計量に対して、5モル%以上とすることが好ましい。より好ましくは10モル%以上であり、さらに好ましくは20モル%以上である。
特定ジアミンは、有機化学の定法を適宜組み合わせることによって得ることができる。その一例としては、上記式(11)中の一級アミノ基に代えてニトロ基を有するジニトロ中間体を合成し、次いで、得られたジニトロ中間体のニトロ基を適当な還元系を用いてアミノ化する方法などが挙げられる。
ジニトロ中間体を合成する方法は、目的とする化合物に応じて適宜選択することができる。例えば、ニトロ化合物(15−1)とハロゲン化合物(15−2)とを、必要に応じて溶媒中、触媒の存在下で反応させることにより、上記式(15−4)で表されるジアミンの前駆体であるジニトロ中間体(15−3)を得ることができる。あるいは、2級アミノ基含有化合物(16−1)とハロゲン化合物(16−2)とを、必要に応じて溶媒中、触媒の存在下で反応させることにより、上記式(16−4)で表されるジアミンの前駆体であるジニトロ中間体(16−3)を得ることができる。ただし、特定ジアミンの合成方法は上記に限定されるものではない。
Figure 2019085484
Figure 2019085484
(スキーム中、A11及びA12は、単結合又は2価の有機基であり、Q21〜Q23は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、エチレン基、−NR40−、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NR40−(ただし、R40は炭素数1〜6の1価の炭化水素基である。)であり、Dは、上記式(7)〜(10)のいずれかで表される2価の基であり、X〜Xは、それぞれ独立してハロゲン原子である。)
(ポリアミック酸の合成)
ポリアミック酸(P)は、上記の如きテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、必要に応じて分子量調整剤(例えば、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物等)とともに反応させることによって得ることができる。ポリアミック酸(P)の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましい。
ポリアミック酸(P)の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は−20℃〜150℃が好ましく、反応時間は0.1〜24時間が好ましい。反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素等が挙げられる。特に好ましい有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m−クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と、他の有機溶媒(例えばブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテル等)との混合物である。有機溶媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の合計量が、反応溶液の全量に対して、0.1〜50質量%になる量とすることが好ましい。ポリアミック酸(P)を溶解してなる反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸(P)を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
<ポリアミック酸エステル>
重合体(P)がポリアミック酸エステルの場合、当該ポリアミック酸エステルは、上記式(1)で表される部分構造において、R及びRの少なくとも一方が炭素数1〜6の1価の有機基である構造単位を有する重合体である。ポリアミック酸エステルは、例えば、[I]上記で得られたポリアミック酸(P)とエステル化剤(例えばメタノールやエタノール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール等)とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルと、特定ジアミンを含むジアミン化合物とを、好ましくは有機溶媒中、適当な脱水触媒(例えば4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムハライド、カルボニルイミダゾール、リン系縮合剤等)の存在下で反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物と、特定ジアミンを含むジアミン化合物とを、好ましくは有機溶媒中、適当な塩基(例えばピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンや、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類)の存在下で反応させる方法、等によって得ることができる。
上記[II]で使用するテトラカルボン酸ジエステルは、テトラカルボン酸二無水物をアルコール類などで開環することにより得ることができる。上記[III]で使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、上記の如くして得たテトラカルボン酸ジエステルを、塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。
ポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。上記反応によりポリアミック酸エステルを溶液として得た場合、該溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸エステルを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
<ポリイミド>
重合体(P)がポリイミドの場合、当該ポリイミドは、上記式(2)で表される部分構造を有する重合体である。ポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸(P)を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸(P)が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。該ポリイミドは、そのイミド化率が40〜100%であることが好ましく、60〜90%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸(P)の脱水閉環は、ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われることが好ましい。脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸(P)の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃であり、反応時間は、好ましくは1.0〜120時間である。こうして得られたポリイミドを含有する反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
重合体(P)の溶液粘度は、濃度10質量%の溶液としたときに10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、溶液粘度(mPa・s)は、重合体(P)の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等)を用いて調製した濃度10質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
重合体(P)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは5,000〜100,000である。Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。なお、液晶配向剤に含有させる重合体(P)は1種のみでもよく、又は2種以上を組み合わせてもよい。
重合体(P)は、蓄積電荷の低減と光透過性とが同時に要求される用途、例えば、液晶素子材料(例えば液晶配向膜、液晶ディスプレイ用平坦化膜、層間絶縁膜など)や、有機EL素子材料(例えば、有機EL用平坦化膜、電子輸送層など)、光学フィルム(例えば位相差フィルム、視野角補償フィルムなど)等として好ましく適用することができる。特に、重合体(P)は、優れたホール輸送性及びITO電極を介したホール注入性を発現するとともに、吸収係数が小さく光透過性に優れていることから、重合体(P)を用いることにより、抵抗値が低く、かつ光透過性に優れた樹脂膜を得ることができる点で好ましい。こうした特性により、重合体(P)は、液晶配向膜材料として好適に用いることができる。
≪液晶配向剤≫
本開示の液晶配向剤は、重合体(P)を含有する。液晶配向剤中の重合体(P)の含有割合は、液晶配向剤中の固形成分(溶媒以外の成分)の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上である。なお、液晶配向剤に含有される重合体(P)は1種のみでもよく、又は2種以上を組み合わせてもよい。
本開示の液晶配向剤は、重合体(P)以外のその他の成分を含有していてもよい。当該その他の成分としては、例えば、上記式(1)で表される部分構造及び上記式(2)で表される部分構造のいずれも有さないその他の重合体、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物、官能性シラン化合物、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤、酸発生剤、塩基発生剤、ラジカル発生剤などが挙げられる。これらの配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で、各化合物に応じて適宜選択することができる。
その他の重合体は、電圧保持率の低下を抑制する目的や、液晶配向性の向上を図る目的で使用される。その他の重合体の主骨格は特に限定されないが、例えば、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリオルガノシロキサン、ポリエステル、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを主骨格とする重合体が挙げられる。その他の重合体は、これらのうち、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
その他の重合体を液晶配向剤に配合する場合、その配合割合は、液晶配向剤中の全重合体量に対して、1〜95質量%が好ましく、5〜90質量%がより好ましく、15〜80質量%が更に好ましい。
本開示の液晶配向剤は、重合体(P)及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,2−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10質量%の範囲である。すなわち、液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1質量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜が得にくくなる。一方、固形分濃度が10質量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜が得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布性が低下する傾向にある。
≪液晶配向膜及び液晶素子≫
本開示の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により形成される。また、本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS(In-Plane Switching)型、FFS(fringe field switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型など種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
(工程1:塗膜の形成)
先ず、基板上に液晶配向剤を塗布し、好ましくは塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一方の面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。一方、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。基板への液晶配向剤の塗布は、電極形成面上に、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法、フレキソ印刷法又はインクジェット印刷法により行う。
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、プレベーク時間は、好ましくは0.25〜10分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて、重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80〜300℃であり、ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分である。このようにして形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmである。基板上に液晶配向剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって、液晶配向膜、又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。
(工程2:配向処理)
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで塗膜を一定方向に擦るラビング処理や、液晶配向剤を用いて基板上に形成した塗膜に光照射を行って塗膜に液晶配向能を付与する光配向処理等が挙げられる。一方、垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
光配向処理における光照射は、ポストベーク工程後の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程後であってポストベーク工程前の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程及びポストベーク工程の少なくともいずれかにおいて塗膜の加熱中に塗膜に対して照射する方法、等により行うことができる。光配向処理において、塗膜に照射する放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。好ましくは、200〜400nmの波長の光を含む紫外線である。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。また、用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。放射線の照射量は、好ましくは400〜20,000J/mであり、より好ましくは1,000〜5,000J/mである。塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。
(工程3:液晶セルの構築)
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば、(1)液晶配向膜が対向するように間隙(スペーサー)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法、(2)液晶配向膜を形成した一方の基板上の所定の場所にシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げる方法(ODF方式)等が挙げられる。製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。スペーサーとしては、フォトスペーサー、ビーズスペーサー等を用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレステリック液晶、カイラル剤、強誘電性液晶などを添加して使用してもよい。
続いて、必要に応じて液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせる。偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板が挙げられる。これにより液晶素子が得られる。
なお、重合体(P)によれば、蓄積電荷が少ない樹脂膜を形成できるとともに、焼き付きが少ない液晶素子が得られる理由は定かではないが、重合体(P)のHOMO準位が高いことが一つの理由であると推測される。すなわち、液晶配向膜がHOMO準位の高い重合体(P)を含有することで、液晶配向膜のホール輸送性及びITO電極を介したホール注入性が向上し、液晶配向膜の抵抗値が低下すると考えられる。その結果として、液晶セルの駆動に伴い残留する電荷が効果的に緩和され、液晶セルのDC残像特性が向上したことが推測される。また、重合体(P)が、三級窒素原子を有する脂環構造が隣接芳香環とともに多環構造を形成している構造を有している場合、脂環構造によって分子鎖の平面性が向上し、液晶配向膜中の重合体の面内配向性が向上すると考えられる。その結果、分子間のホッピング伝導が促進されて、膜厚方向のキャリア移動度が向上することにより液晶配向膜の抵抗値が下がり、DC残像特性がより一層改善されたことが考えられる。なお、これはあくまで推測であり、本開示の内容を限定するものではない。
本開示の液晶素子は種々の用途に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置や、調光フィルム、位相差フィルム等として用いることができる。
以下、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の例で使用した主な化合物の構造と略号は以下の通りである。
(テトラカルボン酸二無水物)
TA−1;1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TA−2;ピロメリット酸二無水物
Figure 2019085484
(特定ジアミン)
DA−1;1,1’−(1,4−フェニレン)ビス(インドリン−5−アミン)
DA−2;1,1’−(1,3−フェニレン)ビス(インドリン−5−アミン)
DA−3;1,1’−([1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス(インドリン−5−アミン)
DA−4;1,1’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2,7−ジイル)ビス(インドリン−5−アミン)
DA−5;4,4’−([5,5’−ビインドリン]−1,1’−ジイル)ジアニリン
DA−6;3,3’−([5,5’−ビインドリン]−1,1’−ジイル)ジアニリン
DA−7;3,3’−(2,2’−ジメチル−[5,5’−ビインドリン]−1,1’−ジイル)ジアニリン
(その他のジアミン)
DB−1;2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
DB−2;4,4’−ジアミノジフェニルアミン
DB−3;1−(4−アミノフェニル)インドリン−5−アミン
DB−4;1,1’−(1,4−フェニレン)ビス(1H−インドール−5−アミン)
DB−5;N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン
DB−6;N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン
DB−7;アジピン酸ビス(4−アミノフェニチル)
Figure 2019085484
Figure 2019085484
(溶剤)
NMP;N−メチル−2−ピロリドン
BC;ブチルセロソルブ
DMAc;N,N−ジメチルアセトアミド
<量子化学計算による重合体の物性評価>
[実施例1]
ジアミン(DA−1)とテトラカルボン酸二無水物(TA−1)の重縮合により得られるポリイミド(下記式(PI−1)で表される重合体)について、その繰り返し単位である下記式(SI−1)で表されるビススクシンイミドの量子化学計算を行うことにより重合体の物性を評価した。量子化学計算プログラムとしては、米国Gaussian社製のGaussian09(Revision B.01)を用い、密度汎関数法(DFT)により計算を行った。
Figure 2019085484
Figure 2019085484
(1)HOMO準位
ビススクシンイミド(SI−1)の真空下での基底状態における最安定構造を、汎関数としてB3LYP、基底関数として6−31G(d)を用いて計算した。また、得られた最安定構造に対して、0.001(電子/bohr)密度の等高線で定義される分子体積V(cm/mol)を求めた。さらに、汎関数としてB3LYP、基底関数として6−31+G(d)を用いて一点エネルギー計算を行い、最高被占分子軌道(HOMO軌道)のエネルギー準位を算出した。評価は、HOMO準位が−5.24eV(比較例6)以上であった場合を「優良」、HOMO準位が−5.24eV未満であって−5.51eV(比較例2)以上であった場合を「可」、HOMO準位が−5.51eV未満であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
なお、HOMO準位が高いほど、得られる重合体はホール輸送性に優れているといえる。また、ITO電極を介したホール注入性を大きくする観点から、HOMO準位はITO電極の仕事関数(4.6〜4.8eV程度)に近いことが好ましい。
(2)吸光係数
(1)で得られた最安定構造に対して、時間依存密度汎関数法(TD−DFT)により、汎関数としてB3LYP、基底関数として6−31+G(d)を用いて、一重項励起状態を計算した。各電子遷移(励起エネルギー及び振動子強度)に対して半値半幅を0.333eVとして各波長における吸光係数ε(a.u.)を算出し、(1)で得られた分子体積V(cm/mol)で除算することで紫外可視吸収スペクトルを求めた。さらに光透過性を評価するため、400nmにおける単位体積当たりの吸光係数ε400nm/Vを求めた。評価は、ε400nm/Vが66.5(比較例6)未満であった場合を「優良」、ε400nm/Vが66.5以上であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
なお、ε400nm/Vの値が小さいほど、得られる重合体の光透過性を高くでき好ましい。また、得られる重合体が二級アミン(−NH−)を含有しない構造である場合、酸化による光透過性の悪化を抑制することができ好ましい。
[実施例2〜7、比較例1〜6]
ジアミン化合物の種類を下記表1に記載の通りに変更して、実施例1と同様にして、ジアミン(DA−2〜DA−7、DB−1〜DB−6)とテトラカルボン酸二無水物(TA−1)との重縮合により得られるポリイミドの物性を量子化学計算により評価した。評価結果は下記表1に示した。また、実施例1〜7の紫外可視吸収スペクトルを図1に示し、比較例1〜6の紫外可視吸収スペクトルを図2に示した。図3には、実施例1〜6及び比較例2、3、5、6のHOMO準位とε400nm/Vの関係を示した。なお、図1〜図3中の数字は各実施例、比較例の番号を表す。
Figure 2019085484
<化合物の合成>
[合成例1]
下記式(DA−2)で表される1,1’−(1,3−フェニレン)ビス(インドリン−5−アミン)を以下の合成スキームに従い合成した。
Figure 2019085484
窒素雰囲気下の10mL二口フラスコに、1,3−ジヨードベンゼン(4.0mmol)、5−ニトロインドリン(10mmol)、炭酸カリウム(12mmol)、ヨウ化銅(I)(0.12mmol)、1,10−フェナントロリン(0.12mmol)を加え、4mLのDMAcに溶解させた。この溶液に窒素を室温で30分間吹き込むことで溶存酸素を除いたのち、窒素下150℃で40時間反応させた。TLCでジヨード化合物の消失を確認後、反応溶液を室温まで冷却し、300mLの蒸留水に注いで反応を停止させた。沈殿物を濾過し、残渣を蒸留水とメタノールで洗浄することで、未反応の5−ニトロインドリンを除去した。得られた残渣を80℃で一晩減圧乾燥することにより、上記式(DA−2−1)で表される赤茶色粉末のジニトロ化合物(収率93%,収量1.5g)を得た。ジニトロ化合物(DA−2−1)のNMR解析結果は以下のとおりである。
H−NMR(400MHz,DMSO−d,ppm):δ 7.986(m,4H;ArH),7.452(t,J=8.4Hz,1H;ArH),7.222(s,1H;ArH),7.124(d,J=8.4Hz,2H;ArH),7.061(d,J=9.6Hz,2H;ArH),4.171(t,4H;CH),3.183(t,4H;CH).
次いで、二口フラスコにジニトロ化合物(DA−2−1)(1g)、10wt%パラジウム/炭素(0.2g)、及びN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)を加え、水素雰囲気下にて50℃で1日加熱した。反応溶液を濾過して触媒を除去した後、濾液を200mLの氷水に注いだ。生じた沈殿物を濾過して回収した。得られた残渣をエタノールから再結晶させることにより、上記式(DA−2)で表される白色結晶のジアミン化合物(収率70%,収量0.70g)を得た。ジアミン化合物(DA−2)のNMR解析結果は以下のとおりである。
H−NMR(400MHz,DMSO−d,ppm):δ 7.159(t,J=8.0 Hz,1H;ArH),6.900(d,J=8.0Hz,2H;ArH),6.768(s, 1H;ArH),6.730(d,J=8.0Hz,2H;ArH),6.512(s,2H;ArH),6.311(d,J=8.0Hz,2H;ArH),4.576(s,4H; NH),3.828(t,4H;CH),2.949(t,4H;CH
[合成例2]
下記式(DA−3)で表される1,1’−([1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス(インドリン−5−アミン)を以下の合成スキームに従い合成した。
Figure 2019085484
窒素雰囲気下の10mL二口フラスコに、4,4’−ジヨードビフェニル(4.0mmol)、5−ニトロインドリン(10mmol)、炭酸カリウム(12mmol)、ヨウ化銅(I)(0.12mmol)、1,10−フェナントロリン(0.12mmol)を加え、4mLのDMAcに溶解させた。この溶液に窒素を室温で30分間吹き込むことで溶存酸素を除いたのち、窒素下150℃で40時間反応させた。TLCでジヨード化合物の消失を確認後、反応溶液を室温まで冷却し、300mLの蒸留水に注いで反応を停止させた。沈殿物を濾過し、残渣を蒸留水とメタノールで洗浄することで、未反応の5−ニトロインドリンを除去した。得られた残渣を80℃で一晩減圧乾燥することにより、上記式(DA−3−1)で表される赤色粉末のジニトロ化合物(収率94%,収量1.8g)を得た。ジニトロ化合物(DA−3−1)のNMR解析結果は以下のとおりである。
H−NMR(400MHz,DMSO−d,ppm):δ 7.982(s,1H;ArH),7.775(d,J=8.0Hz,4H;ArH),7.707(d,J=8.0Hz,4H;ArH),7.765(d,J=8.0Hz,4H;ArH),7.425(d,J=8.0Hz,4H;ArH),4.169(t,4H;CH),3.193(t,4H;CH).
次いで、還流管、温度計及び窒素導入管を備えた三口フラスコに、ジニトロ化合物(DA−3−1)(1.18g, 2.48mmol)、5wt%パラジウム/炭素(0.15g)、N,N−ジメチルホルムアミド(30ml)、及びエタノール(5ml)を入れ、氷浴下で撹拌した。次いで、ヒドラジン一水和物0.8mlをゆっくりと滴下した。その後、80℃で70時間撹拌した。反応終了後、反応溶液をセライトろ過し、ろ液へ酢酸エチル100mlを加えた。次いで、蒸留水を加えて分液精製を行い、その後減圧濃縮し、得られた析出物をDMAc及びエタノールにより再結晶して真空乾燥することにより、上記式(DA−3)で表されるジアミン化合物(収率80%,収量0.83g)を得た。得られたジアミン化合物(DA−3)のNMR解析結果は以下のとおりである。
H−NMR(400MHz,DMSO−d,ppm):δ 7.537(d,J=8.7Hz,4H;ArH),7.137(d,J=8.7Hz,4H;ArH),6.934(d,J=8.2Hz,2H;ArH),6.520(d,J=2.1Hz,2H;ArH), 6.331(dd,J=2.1Hz,8.3Hz,2H;ArH),4.562(s,4H;NH),3.830(t,J=8.0Hz,4H;CH),2.973(t,J=8.0Hz,4H;CH).
[合成例3]
下記式(DA−6)で表される3,3’−([5,5’−ビインドリン]−1,1’−ジイル)ジアニリンを以下の合成スキームに従い、合成例2と同様にして合成した。なお、5,5’−ビインドリンは非特許文献「J.Org.Chem.2013,78,5218−5226.」に従って合成した。
Figure 2019085484
<重合体の合成>
[実施例8]
ジアミン(DA−2)をNMPに溶解し、0.95当量のテトラカルボン酸二無水物(TA−1)を加え、室温で6時間反応を行い、下記式(PA−1)で表される部分構造を有するポリアミック酸(PA−1)の15質量%溶液を得た。
Figure 2019085484
[実施例9,10、合成例4〜8]
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の種類をそれぞれ下記表2に記載の通りに変更した以外は実施例8と同様にしてポリアミック酸(PA−2〜PA−8)をそれぞれ得た。
Figure 2019085484
<液晶配向膜及び液晶表示素子の評価>
[実施例11:ラビング配向FFS型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製
実施例8で得たポリアミック酸(PA−1)を重合体1、合成例8で得たポリアミック酸(PA−8)を重合体2として、2種類の重合体1及び2を重合体1:重合体2=60:40(固形分換算質量比)となる配合比率で混合し、NMP及びBCにより希釈することにより、固形分濃度が4.0質量%、溶剤組成比がNMP:BC=80:20(質量比)となる溶液を得た。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤(R−1)を調製した。
(2)ラビング法による液晶配向膜の形成
平板電極、絶縁層及び櫛歯状電極がこの順で片面に積層されたガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板とのそれぞれの面上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(R−1)を、スピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間乾燥した後、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間乾燥を行い、平均膜厚0.1μmの塗膜を形成した。この塗膜表面に、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いて、ロール回転数1000rpm、ステージ移動速度25mm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmにてラビング処理を行った。上記ラビング配向処理が施された塗膜を、超純水中で1分間超音波洗浄した後、100℃のオーブンで10分間乾燥を行い、液晶配向膜を形成した。
(3)液晶表示素子の製造
上記(2)で作製した液晶配向膜を有する一対の基板について、液晶配向膜を形成した面の縁に液晶注入口を残して直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、一対の基板間に液晶注入口よりネマチック液晶(メルク社製、MLC−7028)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを120℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に偏光板を貼り合わせてFFS型液晶表示素子を製造した。
(4)抵抗値の評価
ITO基板上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(R−1)をスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間乾燥した後、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間乾燥を行い、平均膜厚0.1μmの塗膜を形成した。該塗膜の上にITOをスパッタして透明電極を形成し、電気物性測定装置を用いて光照射下での塗膜の膜厚方向の抵抗値を測定した。0.01Hzでの抵抗値(1012Ω・cm)が0.1未満であった場合を「優良」、0.01Hzでの抵抗値(1012Ω・cm)が0.1以上20未満であった場合を「良好」、0.01Hzでの抵抗値(1012Ω・cm)が20以上であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
(5)透過率の評価
石英基板上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(R−1)をスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分間乾燥した後、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間乾燥を行い、平均膜厚0.1μmの塗膜を形成した。紫外可視分光計を用いてブリュースター角において基板の透過率を測定した。400nmでの透過率が97%以上であった場合を「優良」、400nmでの透過率が95%以上97%未満であった場合を「良好」、400nmでの透過率が95%未満であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
(6)液晶配向性の評価
上記(3)で製造した液晶表示素子につき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を顕微鏡によって倍率50倍で観察した。評価は、異常ドメインが観察されなかった場合を配向秩序度「良好」とし、異常ドメインが観察された場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「良好」の評価であった。
(7)DC残像特性の評価
上記(3)で製造した液晶表示素子につき、AC2.5Vで駆動させて任意の2画素の間の輝度差を0に設定した後、AC2.5Vで駆動させつつ片方の画素のみにDC1Vを20分間印加して電荷を蓄積させた。DC1V印加を終了してAC2.5Vでの駆動のみに戻すと、蓄積された電荷によって2画素の間に輝度差が生じた。この輝度差の経時変化を観測することで、残留DC値が減衰する過程の緩和時間を算出した。緩和時間が10秒未満であった場合を「優良」、緩和時間が10秒以上20秒未満であった場合を「良好」、緩和時間が20秒以上であった場合を「不良」とした。その結果、この実施例では「優良」の評価であった。
[実施例12,13、比較例7〜10]
液晶配向剤に含有させる重合体1を下記表3に記載の通りに変更した以外は実施例11と同様にして液晶配向剤を調製してラビング法により液晶配向膜を形成するとともに、FFS型の液晶表示素子を製造して各種評価を行った。評価結果は下記表3に示した。
Figure 2019085484
表3に示すように、重合体(P)を含有する液晶配向剤を用いた実施例11〜13では、液晶配向膜の抵抗値が低く、「優良」又は「良好」の評価であった。また、液晶配向膜の透過率も高かった。特に、実施例12,13については、液晶配向膜の抵抗値が「優良」の評価であり、得られる液晶セルにつき、残留DC値の緩和時間も短かった。これらことから、重合体(P)を含有する液晶配向剤によれば、抵抗値が低く、透過率が高い液晶配向膜が得られるとともに、液晶配向性及びDC残像特性に優れた液晶表示素子が得られることが分かった。
これに対し、重合体(P)を含有しない液晶配向剤を用いた比較例7〜10では、液晶配向膜の抵抗値及び透過率、並びに液晶セルのDC残像特性の少なくともいずれかが「不良」の評価であった。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される部分構造及び下記式(2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する重合体。
    Figure 2019085484
    (式(1)及び式(2)中、Xは4価の有機基であり、Xは、下記式(3)で表される2価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜6の1価の有機基である。)
    Figure 2019085484
    (式(3)中、A、A及びAは、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり、Y及びYは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、硫黄原子又は「−NR10−」(ただし、R10は水素原子又は1価の有機基である。)である。Z及びZは、それぞれ独立して、下記式(4)、(5)又は(6)で表される2価の環状基であり、環を構成する原子に結合する水素原子が置換基で置換されていてもよく、当該置換基がA又はAに結合して環を形成していてもよい。「*」は結合手を示す。)
    Figure 2019085484
    (式(4)〜(6)中、Qは、酸素原子、硫黄原子、メチレン基又は−NH−であり、Qは、単結合、酸素原子、硫黄原子、メチレン基又は−NH−である。「*」は結合手を示す。)
  2. 前記A、A及びAは、それぞれ独立して、単結合又は芳香環構造を有する2価の基である、請求項1に記載の重合体。
  3. 前記芳香環構造を有する2価の基は、下記式(7)、(8)、(9)又は(10)で表される基である、請求項2に記載の重合体。
    Figure 2019085484
    (式(7)〜(10)中、R12〜R16は、それぞれ独立して1価の有機基であり、Qは、単結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜3のアルカンジイル基、又は「−NR11−」(ただし、R11は水素原子又は1価の有機基である。)である。a、c及びdは、それぞれ独立して0〜4の整数であり、bは0〜3の整数であり、eは0〜6の整数である。「*」は結合手を示す。)
  4. 前記Qはメチレン基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合体。
  5. 前記Qは、単結合又は酸素原子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の重合体。
  6. 下記式(11)で表されるジアミン化合物。
    Figure 2019085484
    (式(11)中、A、A及びAは、それぞれ独立して、単結合又は2価の有機基であり、Y及びYは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、硫黄原子又は「−NR10−」(ただし、R10は水素原子又は1価の有機基である。)である。Z及びZは、それぞれ独立して、下記式(4)、(5)又は(6)で表される2価の環状基であり、環を構成する原子に結合する水素原子が置換基で置換されていてもよく、当該置換基がA又はAに結合して環を形成していてもよい。)
    Figure 2019085484
    (式(4)〜(6)中、Qは、酸素原子、硫黄原子、メチレン基又は−NH−であり、Qは、単結合、酸素原子、硫黄原子、メチレン基又は−NH−である。「*」は結合手を示す。)
  7. 下記式(13)で表されるジアミン化合物。
    Figure 2019085484
    (式(13)中、A及びAは、それぞれ独立して、2価の炭化水素基又は2価の窒素含有芳香族複素環基である。Q及びQは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、エチレン基、−NR40−、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NR40−(ただし、R40は炭素数1〜6の1価の炭化水素基である。)である。R20及びR21は、それぞれ独立して1価の有機基である。f及びgは、それぞれ独立して0〜4の整数である。)
  8. 下記式(14)で表されるジアミン化合物。
    Figure 2019085484
    (式(14)中、A及びAは、それぞれ独立して、単結合、2価の炭化水素基又は2価の窒素含有芳香族複素環基である。Q及びQは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、エチレン基、−NR40−、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NR40−(ただし、R40は炭素数1〜6の1価の炭化水素基である。)である。Dは、下記式(7)、(8)、(9)又は(10)で表される2価の基である。R22及びR23は、それぞれ独立して1価の有機基である。h及びiは、それぞれ独立して0〜4の整数である。)
    Figure 2019085484
    (式(7)〜(10)中、R12〜R16は、それぞれ独立して1価の有機基であり、Qは、単結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜3のアルカンジイル基、又は「−NR11−」(ただし、R11は水素原子又は1価の有機基である。)である。a、c及びdは、それぞれ独立して0〜4の整数であり、bは0〜3の整数であり、eは0〜6の整数である。「*」は結合手を示す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114002867A (zh) * 2021-10-08 2022-02-01 北京大学 基于液晶性环氧光引发开环聚合的反式调光膜及其制备方法
US20220289750A1 (en) * 2021-02-24 2022-09-15 Massachusetts Institute Of Technology Himastatin derivatives, and processes of preparation thereof, and uses thereof

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