JP2017156437A - 液晶配向剤、液晶配向膜及びその製造方法、液晶素子、重合体並びに化合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】光配向法を適用する場合に、少ない工程数で良好な電気特性及び残像特性を示す液晶素子を得ることができる液晶配向剤を提供する。【解決手段】ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつシクロブテン環構造を有する重合体(P)を液晶配向剤に含有させる。重合体(P)は、下記式(1)で表される酸無水物に由来する構造単位を有することが好ましい。(式(1)中、A1は、シクロブテン環構造を有する4価の有機基である。)【選択図】なし
Description
本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜及びその製造方法、液晶素子、重合体並びに化合物に関する。
液晶素子は、テレビやモバイル機器、各種モニターなどに広く利用されている。また、液晶素子には、液晶セル中の液晶分子を配向制御するために液晶配向膜が使用されている。液晶配向規制力を有する有機膜を得る方法としては、従来、有機膜をラビングする方法、酸化ケイ素を斜方蒸着する方法、長鎖アルキル基を有する単分子膜を形成する方法、感光性の有機膜に光照射する方法(光配向法)などが知られている。
光配向法は、静電気や埃の発生を抑えつつ感光性の有機膜に均一な液晶配向性を付与することができ、しかも液晶配向方向の精密な制御も可能であることから、近年、種々検討が進められている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、シクロブタン環構造を主鎖に有するポリイミド前駆体又はポリイミドを含有する液晶配向剤を基板上に塗布、焼成して得られる膜に偏光放射線を照射した後、沸点が110〜180℃である有機溶剤と膜を接触させ、次いで、水又は沸点50〜105℃の水溶性有機溶剤と接触させた後、150℃以上で加熱処理する方法により液晶配向膜を得ることが開示されている。こうした膜の洗浄処理及び加熱処理を行うことで、光配向法により膜に配向能を付与する場合に、IPS駆動方式やFFS駆動方式の液晶表示素子において発生する交流駆動による残像を抑制するようにすることが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、膜を洗浄及び加熱する工程が必要にあるため、液晶素子を製造する際に工程数が多くなり、コスト高になることが懸念される。その一方で、近年、大画面で高精細の液晶テレビが主体となり、またスマートフォンやタブレットPC等といった小型の表示端末の普及が進み、液晶パネルに対する高精細化の要求及び低コスト化の要求は更に高まりつつある。そのため、電気特性及び残像特性といった、液晶素子の表示品位に関わる各種特性が良好な液晶素子を安価に製造できる技術を開発することが以前にも増して重要になってきている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光配向法を適用する場合に、少ない工程数で良好な電気特性及び残像特性を示す液晶素子を得ることができる液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。
本発明者は、上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討した結果、特定の部分構造を有する重合体を配向膜材料に用いることにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には以下の手段が提供される。
本開示の液晶配向剤によれば、放射線の照射後に膜の洗浄や加熱を行わなくても、良好な電気特性及び残像特性を示す液晶素子を得ることができる。つまり、光配向法により膜に配向能を付与する場合に、残像が少なくかつ電圧保持率が高い液晶素子を少ない工程数で得ることができる。
以下に、本開示の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。
なお、本明細書において、重合体の「主鎖」とは、重合体のうち最も長い原子の連鎖からなる「幹」の部分をいう。なお、この「幹」の部分が環構造を含むことは許容される。「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む概念である。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状又は分岐状の炭化水素基を意味する。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含む炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有していてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
<重合体(P)>
重合体(P)は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつシクロブテン環構造を有する。重合体(P)中のシクロブテン環構造の位置は特に限定されないが、光配向法によって膜に十分な液晶配向機能を付与する観点から、シクロブテン環構造を主鎖に有していることが好ましい。具体的には、重合体(P)は、下記式(0−1)で表される部分構造及び下記式(0−2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種の部分構造を有することが好ましい。
(式(0−1)及び式(0−2)中、R11は、シクロブテン環構造を有する4価の有機基であり、R12は2価の有機基であり、R13及びR14は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基である。)
なお、本明細書において、重合体の「主鎖」とは、重合体のうち最も長い原子の連鎖からなる「幹」の部分をいう。なお、この「幹」の部分が環構造を含むことは許容される。「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む概念である。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状又は分岐状の炭化水素基を意味する。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含む炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有していてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
<重合体(P)>
重合体(P)は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつシクロブテン環構造を有する。重合体(P)中のシクロブテン環構造の位置は特に限定されないが、光配向法によって膜に十分な液晶配向機能を付与する観点から、シクロブテン環構造を主鎖に有していることが好ましい。具体的には、重合体(P)は、下記式(0−1)で表される部分構造及び下記式(0−2)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種の部分構造を有することが好ましい。
上記式(0−1)及び式(0−2)において、R11が有するシクロブテン環構造は、下記式(r−1)又は式(r−2)で表される部分構造であることが好ましい。
(式(r−1)及び式(r−2)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基である。「*」は結合手であることを示す。)
上記式(r−1)、式(r−2)において、R1〜R4の1価の有機基としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。液晶配向能が高い膜を得る観点から、R1〜R4は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
上記式(r−1)又は式(r−2)で表される部分構造中の4個の結合手は、上記式(0−1)及び式(0−2)のR11に隣接する4個の−CO−と直接結合していてもよいし、あるいは2価の連結基(例えば、メチレン基やエチレン基等)を介してそれぞれの−CO−と結合していてもよい。好ましくは、上記4個の結合手がそれぞれ−CO−に直接結合した構造である。
R12は、ジアミン化合物から2個の1級アミノ基を取り除いた残基である。R13及びR14の1価の有機基は、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。
上記式(r−1)又は式(r−2)で表される部分構造中の4個の結合手は、上記式(0−1)及び式(0−2)のR11に隣接する4個の−CO−と直接結合していてもよいし、あるいは2価の連結基(例えば、メチレン基やエチレン基等)を介してそれぞれの−CO−と結合していてもよい。好ましくは、上記4個の結合手がそれぞれ−CO−に直接結合した構造である。
R12は、ジアミン化合物から2個の1級アミノ基を取り除いた残基である。R13及びR14の1価の有機基は、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。
重合体(P)は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル又はポリイミドを主骨格とする重合体である。以下、各重合体について説明する。
<ポリアミック酸>
重合体(P)としてのポリアミック酸(以下「ポリアミック酸(P)」と略す。)は、例えば、シクロブテン環構造を有するテトラカルボン酸二無水物(以下「特定酸二無水物」と略す。)を含むテトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを反応させて得ることができる。
<ポリアミック酸>
重合体(P)としてのポリアミック酸(以下「ポリアミック酸(P)」と略す。)は、例えば、シクロブテン環構造を有するテトラカルボン酸二無水物(以下「特定酸二無水物」と略す。)を含むテトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを反応させて得ることができる。
上記式(1)において、A1は、シクロブテン環構造として上記式(r−1)又は式(r−2)で表される部分構造を有することが好ましい。上記式(r−1)又は式(r−2)で表される部分構造中の4個の結合手は、上記式(1)のA1に隣接する4個の−CO−と直接結合していてもよいし、2価の連結基(例えば、メチレン基やエチレン基等)を介してそれぞれの−CO−と結合していてもよい。特定酸二無水物の好ましい具体例としては、下記式(1a)で表される化合物及び下記式(1b)で表される化合物が挙げられる。
(上記式(1a)及び式(1b)中、R5及びR6は、それぞれ独立に、酸無水物基を有する2価の基である。R1〜R4は、上記式(r−1)及び式(r−2)と同義である。)
特定酸二無水物の好ましい具体例としては、例えば下記式(1−1)及び式(1−2)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。なお、特定酸二無水物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(式(1−1)及び式(1−2)中、R1〜R4は、上記式(r−1)及び式(r−2)と同義である。)
特定酸二無水物は、有機化学の定法を適宜組み合わせることによって合成することができる。一例を挙げると、上記式(1−1)で表される化合物は、下記スキームAに示すように、ブロモマレイン酸無水物を光二量化した後、得られた酸二無水物の開環反応及びブロモ基の脱離反応を行い、次いで縮合反応を行うことにより合成することができる。また、上記式(1−2)で表される化合物は、下記スキームBに示すように、2−ブチン−1,4−ジオールを出発原料に用いてブテンテトラカルボン酸を合成した後、脱水縮合反応を行うことにより合成することができる。ただし、特定酸二無水物の合成手順は上記方法に限定されるものではない。
ポリアミック酸(P)の合成に際し、テトラカルボン酸二無水物としては特定酸二無水物のみを用いてもよいが、特定酸二無水物以外のその他のテトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。その他のテトラカルボン酸二無水物は特に限定されない。具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:4,6:8−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などを;芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、1,3−プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、ポリアミック酸(P)の合成に際し、その他のテトラカルボン酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(ジアミン化合物)
ポリアミック酸(P)の合成に使用するジアミン化合物は特に制限されず、種々のジアミン化合物を用いることができる。その具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などを;
ポリアミック酸(P)の合成に使用するジアミン化合物は特に制限されず、種々のジアミン化合物を用いることができる。その具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などを;
芳香族ジアミンとして、例えばドデカノキシジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシジアミノベンゼン、オクタデカノキシジアミノベンゼン、コレスタニルオキシジアミノベンゼン、コレステリルオキシジアミノベンゼン、ジアミノ安息香酸コレスタニル、ジアミノ安息香酸コレステリル、ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、2,5−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン、下記式(E−1)
(式(E−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立に、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−であり、RIは炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、RIIは単結合又は炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、dは0又は1である。ただし、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物などの側鎖型ジアミン:
p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、ビス(4−アミノフェニル)アミン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、2,6−ジアミノピリジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−(フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−(4−アミノフェノキシカルボニル)−1−(4−アミノフェニル)ピペリジン、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリンなどの非側鎖型ジアミンを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。なお、ポリアミック酸(P)の合成に際し、ジアミン化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
で表される化合物などの側鎖型ジアミン:
p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、ビス(4−アミノフェニル)アミン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、2,6−ジアミノピリジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−(フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−(4−アミノフェノキシカルボニル)−1−(4−アミノフェニル)ピペリジン、4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリンなどの非側鎖型ジアミンを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。なお、ポリアミック酸(P)の合成に際し、ジアミン化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリアミック酸(P)の合成に際し、特定酸二無水物の使用割合は、本開示の効果を十分に得る観点から、合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全体量に対して、10モル%以上とすることが好ましい。より好ましくは30モル%以上であり、さらに好ましくは50モル%以上である。
ポリアミック酸(P)は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、必要に応じて分子量調整剤とともに反応させることにより得ることができる。ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましい。分子量調整剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミンなどのモノアミン化合物、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調整剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の合計100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましい。
ポリアミック酸(P)の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は−20℃〜150℃が好ましく、反応時間は0.1〜24時間が好ましい。反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。特に好ましい有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m−クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と、他の有機溶媒(例えばブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテルなど)との混合物を使用することが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1〜50質量%になる量とすることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸(P)を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸(P)を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
以上のようにして、ポリアミック酸(P)を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸(P)を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
<ポリアミック酸エステル>
重合体(P)としてのポリアミック酸エステルは、例えばテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミン化合物とを反応させる方法によって得ることができる。
使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、ポリアミック酸の合成で例示した特定酸二無水物及びその他のテトラカルボン酸二無水物を、メタノールやエタノール等のアルコール類と反応させることによってテトラカルボン酸ジエステルを得て、次いで塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。使用するジアミン化合物の具体例としては、ポリアミック酸(P)の説明で例示した化合物が挙げられる。
重合体(P)としてのポリアミック酸エステルは、例えばテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミン化合物とを反応させる方法によって得ることができる。
使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、ポリアミック酸の合成で例示した特定酸二無水物及びその他のテトラカルボン酸二無水物を、メタノールやエタノール等のアルコール類と反応させることによってテトラカルボン酸ジエステルを得て、次いで塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。使用するジアミン化合物の具体例としては、ポリアミック酸(P)の説明で例示した化合物が挙げられる。
重合体(P)の合成反応に供されるテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物の基「−COX(Xはハロゲン原子)」が0.2〜2当量となる割合が好ましい。テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミン化合物との反応は、好ましくは塩基の存在下、有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は、−30℃〜150℃が好ましく、反応時間は0.1〜48時間が好ましい。反応に使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応に使用することができる有機溶媒の説明を適用することができる。上記反応に使用する塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、N−エチル−N,N−ジイソプロピルアミン等の3級アミン;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類などを好ましく使用することができる。塩基の使用量は、ジアミン1モルに対して2〜4モルとすることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸エステルを溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸エステルを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。なお、ポリアミック酸エステルの合成方法は上記に限らず、例えばポリアミック酸(P)と、アルコール類又はハロゲン化アルキルとを反応させる方法、テトラカルボン酸ジエステルとジアミン化合物とを反応させる方法などによって得ることもできる。
<ポリイミド>
重合体(P)としてのポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸(P)を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。反応に使用するポリイミドは、そのイミド化率が20〜99%であることが好ましく、30〜90%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
重合体(P)としてのポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸(P)を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。反応に使用するポリイミドは、そのイミド化率が20〜99%であることが好ましく、30〜90%であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、又はポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。このうち、後者の方法によることが好ましい。
ポリアミック酸の溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃であり、反応時間は、好ましくは1.0〜120時間である。
このようにしてポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
ポリアミック酸の溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃であり、反応時間は、好ましくは1.0〜120時間である。
このようにしてポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
重合体(P)の溶液粘度は、濃度10質量%の溶液としたときに10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、溶液粘度(mPa・s)は、重合体(P)の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等)を用いて調製した濃度10質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
重合体(P)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。なお、本開示の液晶配向剤に含有させる重合体(P)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(P)を含む液晶配向剤を用いて膜を形成した場合、シクロブタン環構造を主鎖に有するポリイミドとの対比で、光配向処理による分解物の発生を抑制できる利点があると考えられる。これは、主鎖中のシクロブタン環は、下記スキームのように[2+2]の逆反応で分解が起こり低分子化することによって膜に異方性を与えるのに対し、シクロブテン環は下記スキームのように、偏光された放射線を照射しても完全な分解を起こさずに、偏光方向に垂直な方向に異方性を発現する膜が得られるものと推測される。ただし、これはあくまでも推測であり、本開示の内容を何ら限定するものではない。
≪その他の成分≫
本開示の液晶配向剤は、重合体(P)と共に、重合体(P)以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、重合体(P)以外の重合体(以下「その他の重合体」という。)、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物、官能性シラン化合物、光重合性化合物、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤等が挙げられる。上記その他の重合体としては、例えばシクロブテン環構造を有さないポリアミック酸、該ポリアミック酸のイミド化重合体、シクロブテン環構造を有さないポリアミック酸エステル、ポリエステル、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらその他の成分の配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で、各化合物に応じて適宜選択することができる。
本開示の液晶配向剤は、重合体(P)と共に、重合体(P)以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、重合体(P)以外の重合体(以下「その他の重合体」という。)、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物、官能性シラン化合物、光重合性化合物、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤等が挙げられる。上記その他の重合体としては、例えばシクロブテン環構造を有さないポリアミック酸、該ポリアミック酸のイミド化重合体、シクロブテン環構造を有さないポリアミック酸エステル、ポリエステル、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらその他の成分の配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で、各化合物に応じて適宜選択することができる。
<溶剤>
本開示の液晶配向剤は、重合体(P)及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,2−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本開示の液晶配向剤は、重合体(P)及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,2−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10質量%の範囲である。すなわち、液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1質量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜が得にくくなる。一方、固形分濃度が10質量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜が得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布性が低下する傾向にある。
本開示の液晶配向剤における重合体(P)の含有割合は、液晶配向剤中の固形成分(溶媒以外の成分)の合計100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上である。
本開示の液晶配向剤における重合体(P)の含有割合は、液晶配向剤中の固形成分(溶媒以外の成分)の合計100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上である。
≪液晶配向膜及び液晶素子≫
本開示の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により形成される。また、本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS(In-Plane Switching)型、FFS(fringe field switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型など種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
本開示の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により形成される。また、本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS(In-Plane Switching)型、FFS(fringe field switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型など種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
(工程1:塗膜の形成)
先ず基板上に液晶配向剤を塗布し、好ましくは塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。一方、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。基板への液晶配向剤の塗布は、電極形成面上に、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法により行う。
先ず基板上に液晶配向剤を塗布し、好ましくは塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を用いる。一方、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。基板への液晶配向剤の塗布は、電極形成面上に、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法により行う。
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、プレベーク時間は、好ましくは0.25〜10分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて、重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、好ましくは80〜300℃であり、ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分である。このようにして形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmである。基板上に液晶配向剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって、液晶配向膜、又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。
(工程2:配向処理)
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることによって塗膜に液晶配向能を付与するラビング処理、基板上に形成した塗膜に光照射を行って塗膜に液晶配向能を付与する光配向処理などが挙げられる。特に、重合体(P)は光感度が高く、少ない露光量でも塗膜に異方性を発現させることができることから、光配向法を好ましく適用することができる。一方、垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、塗膜を例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることによって塗膜に液晶配向能を付与するラビング処理、基板上に形成した塗膜に光照射を行って塗膜に液晶配向能を付与する光配向処理などが挙げられる。特に、重合体(P)は光感度が高く、少ない露光量でも塗膜に異方性を発現させることができることから、光配向法を好ましく適用することができる。一方、垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
光配向処理における光照射は、ポストベーク工程後の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程後であってポストベーク工程前の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程及びポストベーク工程の少なくともいずれかにおいて塗膜の加熱中に塗膜に対して照射する方法、等により行うことができる。光配向処理において、塗膜に照射する放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。好ましくは、200〜400nmの波長の光を含む紫外線である。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。また、用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。放射線の照射量は、好ましくは400〜50,000J/m2であり、より好ましくは1,000〜20,000J/m2である。塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。放射線の照射量は、好ましくは400〜50,000J/m2であり、より好ましくは1,000〜20,000J/m2である。塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。
配向能付与のための光照射後において、基板表面を例えば水、有機溶媒(例えば、メタノール、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、ブチルセロソルブ、乳酸エチル等)又はこれらの混合物を用いて洗浄する処理や、基板を加熱する処理を行ってもよい。本開示の液晶配向剤を用いて塗膜を形成した場合、こうした洗浄処理や加熱処理を実施しなくても表示性能が良好な液晶素子が得られ、プロセス低減を図ることができる点で好ましい。
(工程3:液晶セルの構築)
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば、(1)液晶配向膜が対向するように間隙を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法、(2)液晶配向膜を形成した一方の基板上の所定の場所にシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げる方法(ODF方式)等が挙げられる。製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば、(1)液晶配向膜が対向するように間隙を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法、(2)液晶配向膜を形成した一方の基板上の所定の場所にシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げる方法(ODF方式)等が挙げられる。製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレステリック液晶、カイラル剤、強誘電性液晶などを添加して使用してもよい。
続いて、必要に応じて液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせ、液晶素子とする。偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板が挙げられる。
本開示の液晶素子は種々の用途に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置や、調光フィルム等に用いることができる。また、本開示の液晶配向剤を用いて形成された液晶素子は位相差フィルムに適用することもできる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の例において、重合体の重量平均分子量及び重合体溶液の溶液粘度は以下の方法により測定した。
[重量平均分子量]:以下の条件でGPCにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:N,N−ジメチルホルムアミド(臭化リチウム30mM、リン酸5.6mLを含む。)
温度:40℃
圧力:68kgf/cm2
[溶液粘度(mPa・s)]:E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
以下では、「式(X)で表される化合物」を単に「化合物(X)」と略すことがある。
[重量平均分子量]:以下の条件でGPCにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:N,N−ジメチルホルムアミド(臭化リチウム30mM、リン酸5.6mLを含む。)
温度:40℃
圧力:68kgf/cm2
[溶液粘度(mPa・s)]:E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
以下では、「式(X)で表される化合物」を単に「化合物(X)」と略すことがある。
・化合物(1−1−1A)の合成
450W高圧水銀灯及び冷却管を備えた1Lの反応器にブロモマレイン酸無水物55.3g、クロロホルム80mLを加えて、2日間光照射し、1日静置した。次に、ろ過により不溶部を回収し、四塩化炭素で洗浄した後、真空乾燥することにより化合物(1−1−1A)の粗精製物を得た。次に、粗精製物を90mLのジオキサンに懸濁させて1日静置して、ろ過により不溶部を除いた。続いて、濃縮、乾固した後、塩化メチレン45mL及びペンタン135mLを加えて1日撹拌し、ろ過により不溶部を回収、真空乾燥することで化合物(1−1−1A)を5.61g得た。
・化合物(1−1−1B)の合成
還流管及び窒素導入管を備えた100mLの三口フラスコに化合物(1−1−1A)5.61g、メタノール60mL及び濃硫酸0.5gを加えて36時間還流した。反応終了後、20mLまで減圧濃縮し、酢酸エチル200mLを加えて、飽和炭酸水素ナトリウム水で1回、水で3回分液洗浄を行い、硫酸マグネシウムで乾燥し、有機層を濃縮、乾固することで化合物(1−1−1B)の粗精製物を得た。次に、シリカカラム(展開溶剤:ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製し、濃縮、乾固することで化合物(1−1−1B)を4.26g得た。
・化合物(1−1−1C)の合成
還流管及び窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに化合物(1−1−1B)4.26g、アセトン140mL及びヨウ化ナトリウム6.39gを加えて、1時間還流させた。反応終了後、30mLまで減圧濃縮し、酢酸エチル200mLを加えて、水で3回分液洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮、乾固することで化合物(1−1−1C)を2.73g得た。
・化合物(1−1−1)の合成
還流管及び窒素導入管を備えた100mLのナスフラスコに化合物(1−1−1C)を2.73g、テトラヒドロフラン30mL、水酸化ナトリウム1.68g、水20mL及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.03gを加えて24時間還流させた。反応終了後、希塩酸水溶液を加えてpH3以下にした後、濃縮、乾固した。次に、無水酢酸50mLを加えて12時間還流させた後、濃縮乾固し、真空乾燥を行い、化合物(1−1−1)の粗精製物を得た。この粗精製物を昇華精製することで化合物(1−1−1)を0.925g得た。
450W高圧水銀灯及び冷却管を備えた1Lの反応器にブロモマレイン酸無水物55.3g、クロロホルム80mLを加えて、2日間光照射し、1日静置した。次に、ろ過により不溶部を回収し、四塩化炭素で洗浄した後、真空乾燥することにより化合物(1−1−1A)の粗精製物を得た。次に、粗精製物を90mLのジオキサンに懸濁させて1日静置して、ろ過により不溶部を除いた。続いて、濃縮、乾固した後、塩化メチレン45mL及びペンタン135mLを加えて1日撹拌し、ろ過により不溶部を回収、真空乾燥することで化合物(1−1−1A)を5.61g得た。
・化合物(1−1−1B)の合成
還流管及び窒素導入管を備えた100mLの三口フラスコに化合物(1−1−1A)5.61g、メタノール60mL及び濃硫酸0.5gを加えて36時間還流した。反応終了後、20mLまで減圧濃縮し、酢酸エチル200mLを加えて、飽和炭酸水素ナトリウム水で1回、水で3回分液洗浄を行い、硫酸マグネシウムで乾燥し、有機層を濃縮、乾固することで化合物(1−1−1B)の粗精製物を得た。次に、シリカカラム(展開溶剤:ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製し、濃縮、乾固することで化合物(1−1−1B)を4.26g得た。
・化合物(1−1−1C)の合成
還流管及び窒素導入管を備えた200mLの三口フラスコに化合物(1−1−1B)4.26g、アセトン140mL及びヨウ化ナトリウム6.39gを加えて、1時間還流させた。反応終了後、30mLまで減圧濃縮し、酢酸エチル200mLを加えて、水で3回分液洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮、乾固することで化合物(1−1−1C)を2.73g得た。
・化合物(1−1−1)の合成
還流管及び窒素導入管を備えた100mLのナスフラスコに化合物(1−1−1C)を2.73g、テトラヒドロフラン30mL、水酸化ナトリウム1.68g、水20mL及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.03gを加えて24時間還流させた。反応終了後、希塩酸水溶液を加えてpH3以下にした後、濃縮、乾固した。次に、無水酢酸50mLを加えて12時間還流させた後、濃縮乾固し、真空乾燥を行い、化合物(1−1−1)の粗精製物を得た。この粗精製物を昇華精製することで化合物(1−1−1)を0.925g得た。
・化合物(1−1−1D)の合成
還流管及び窒素導入管を備えた100mLのナスフラスコに化合物(1−1−1)3.88g、メタノール80mL及びピリジン0.1gを加えて4時間還流させた。反応終了後、減圧濃縮により析出した結晶をろ過、真空乾燥することで化合物(1−1−1D)を2.58g得た。
・化合物(1−1−1E)の合成
還流管及び窒素導入管を備えた100mLのナスフラスコに化合物(1−1−1D)を2.58g、塩化チオニルを30mL及びN,N−ジメチルホルムアミドを10μL加えて、80℃で1時間反応させた。反応終了後、アスピレーターで濃縮、乾固し、真空乾燥することで化合物(1−1−1E)2.95g得た。
還流管及び窒素導入管を備えた100mLのナスフラスコに化合物(1−1−1)3.88g、メタノール80mL及びピリジン0.1gを加えて4時間還流させた。反応終了後、減圧濃縮により析出した結晶をろ過、真空乾燥することで化合物(1−1−1D)を2.58g得た。
・化合物(1−1−1E)の合成
還流管及び窒素導入管を備えた100mLのナスフラスコに化合物(1−1−1D)を2.58g、塩化チオニルを30mL及びN,N−ジメチルホルムアミドを10μL加えて、80℃で1時間反応させた。反応終了後、アスピレーターで濃縮、乾固し、真空乾燥することで化合物(1−1−1E)2.95g得た。
[重合例1]
テトラカルボン酸二無水物として化合物(1−1−1)1.94g、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン1.08g、及び重合溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン12.1gを加えて4時間撹拌することで、固形分濃度20%のポリアミック酸溶液(得られたポリアミック酸を重合体(PA−1)とする。)を得た。固形分濃度10%の粘度は120mPa・sであった。
[重合例2]
テトラカルボン酸二無水物として化合物(1−1−1E)2.95g、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン1.08g、並びに、重合溶剤としてγ−ブチロラクトン12.1g及びピリジン1.58gを加えて室温で12時間反応させた。反応終了後、120mLのメタノールに注いで生じた沈殿をろ過し、水及びメタノールで洗浄した後、真空乾燥することで、ポリアミック酸エステル(これを重合体(PAE−1)とする。)の粉末を2.58g得た。
テトラカルボン酸二無水物として化合物(1−1−1)1.94g、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン1.08g、及び重合溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン12.1gを加えて4時間撹拌することで、固形分濃度20%のポリアミック酸溶液(得られたポリアミック酸を重合体(PA−1)とする。)を得た。固形分濃度10%の粘度は120mPa・sであった。
[重合例2]
テトラカルボン酸二無水物として化合物(1−1−1E)2.95g、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン1.08g、並びに、重合溶剤としてγ−ブチロラクトン12.1g及びピリジン1.58gを加えて室温で12時間反応させた。反応終了後、120mLのメタノールに注いで生じた沈殿をろ過し、水及びメタノールで洗浄した後、真空乾燥することで、ポリアミック酸エステル(これを重合体(PAE−1)とする。)の粉末を2.58g得た。
[重合例3]
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物200g(1.0モル)、ジアミン化合物として2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル210g(1.0モル)をNMP3670gに溶解させ、40℃で3時間反応させて、固形分濃度10%、溶液粘度160mPa・sのポリアミック酸溶液(得られたポリアミック酸を重合体(RPA−2)とする。)を得た。
[比較重合例1]
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.96g、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン1.08g、及び重合溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン12.1gを加えて4時間撹拌することで、固形分濃度20%のポリアミック酸溶液(得られたポリアミック酸を重合体(RPA−1)とする。)を得た。このポリアミック酸溶液の固形分濃度10%の粘度は135mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物200g(1.0モル)、ジアミン化合物として2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル210g(1.0モル)をNMP3670gに溶解させ、40℃で3時間反応させて、固形分濃度10%、溶液粘度160mPa・sのポリアミック酸溶液(得られたポリアミック酸を重合体(RPA−2)とする。)を得た。
[比較重合例1]
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.96g、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン1.08g、及び重合溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン12.1gを加えて4時間撹拌することで、固形分濃度20%のポリアミック酸溶液(得られたポリアミック酸を重合体(RPA−1)とする。)を得た。このポリアミック酸溶液の固形分濃度10%の粘度は135mPa・sであった。
[実施例1]
(1)液晶配向剤の調製
重合体成分として上記重合例1で得た重合体(PA−1)に、有機溶媒としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(質量比)、固形分濃度5.0質量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)光配向用液晶表示素子の製造
上記で調製した液晶配向剤を、櫛歯状にパターニングされたクロムからなる2系統の金属電極(電極a及び電極b)を片面に有するガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板の面上に膜厚が0.1μmになるようにスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分、200℃のクリーンオーブンで1時間乾燥して塗膜を形成した。この塗膜表面に、Hg−Xeランプを用いて、254nmの輝線を含む偏光の紫外線500mJ/cm2を基板法線方向から照射し、液晶配向膜を形成した。次に、上記光照射処理を行った一対の基板について、液晶配向膜を形成した面の縁に液晶注入口を残して直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、光照射時の偏光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、一対の基板間に液晶注入口よりネマチック液晶(メルク社製、MLC−7028)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に偏光板を貼り合わせて横電界方式液晶表示素子を作製した。
(1)液晶配向剤の調製
重合体成分として上記重合例1で得た重合体(PA−1)に、有機溶媒としてNMP及びブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(質量比)、固形分濃度5.0質量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤を調製した。
(2)光配向用液晶表示素子の製造
上記で調製した液晶配向剤を、櫛歯状にパターニングされたクロムからなる2系統の金属電極(電極a及び電極b)を片面に有するガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板の面上に膜厚が0.1μmになるようにスピンナーを用いて塗布し、80℃のホットプレートで1分、200℃のクリーンオーブンで1時間乾燥して塗膜を形成した。この塗膜表面に、Hg−Xeランプを用いて、254nmの輝線を含む偏光の紫外線500mJ/cm2を基板法線方向から照射し、液晶配向膜を形成した。次に、上記光照射処理を行った一対の基板について、液晶配向膜を形成した面の縁に液晶注入口を残して直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、光照射時の偏光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、一対の基板間に液晶注入口よりネマチック液晶(メルク社製、MLC−7028)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に偏光板を貼り合わせて横電界方式液晶表示素子を作製した。
(3)電圧保持率の評価
上記で製造した液晶表示素子に、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。電圧保持率が99.0%以上を「良好(○)」、98.0%以上99.0%未満を「可(△)」、98.0%未満を「不良(×)」としたところ、電圧保持率は「良好」と判定された。なお、電圧保持率の測定装置としては、(株)東陽テクニカ社製の型式名「VHR−1」を使用した。
(4)残像特性の評価
上記「光配向用液晶表示素子の製造」と同様の方法を用いて横電界方式液晶表示素子を製造した。この横電界方式液晶表示素子を25℃、1気圧の環境下に置き、電極bには電圧をかけずに、電極aに交流電圧3.5Vと直流電圧5Vの合成電圧を2時間印加した。その直後、電極a及び電極bの双方に交流4Vの電圧を印加した。両電極に交流4Vの電圧を印加し始めた時点から、電極a及び電極bの光透過性の差が目視で確認できなくなるまでの時間を測定した。この時間が100秒未満であった場合を残像特性「良好(○)」、100秒以上150秒未満であった場合を残像特性「可(△)」、そして150秒を超えた場合の残像特性を「不良(×)」と評価した。その結果、この実施例では「良好」の評価であった。
上記で製造した液晶表示素子に、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。電圧保持率が99.0%以上を「良好(○)」、98.0%以上99.0%未満を「可(△)」、98.0%未満を「不良(×)」としたところ、電圧保持率は「良好」と判定された。なお、電圧保持率の測定装置としては、(株)東陽テクニカ社製の型式名「VHR−1」を使用した。
(4)残像特性の評価
上記「光配向用液晶表示素子の製造」と同様の方法を用いて横電界方式液晶表示素子を製造した。この横電界方式液晶表示素子を25℃、1気圧の環境下に置き、電極bには電圧をかけずに、電極aに交流電圧3.5Vと直流電圧5Vの合成電圧を2時間印加した。その直後、電極a及び電極bの双方に交流4Vの電圧を印加した。両電極に交流4Vの電圧を印加し始めた時点から、電極a及び電極bの光透過性の差が目視で確認できなくなるまでの時間を測定した。この時間が100秒未満であった場合を残像特性「良好(○)」、100秒以上150秒未満であった場合を残像特性「可(△)」、そして150秒を超えた場合の残像特性を「不良(×)」と評価した。その結果、この実施例では「良好」の評価であった。
[実施例2〜4、比較例1,2]
重合体の種類及び量を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして液晶配向剤を調製するとともに、光配向用液晶表示素子を製造し、各種評価を行った。なお、実施例4及び比較例2では、液晶表示素子を製造する際に、偏光紫外線の露光量を500mJ/cm2から2000mJ/cm2に変更して光配向処理を行った。それらの結果を表1に示す。
重合体の種類及び量を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして液晶配向剤を調製するとともに、光配向用液晶表示素子を製造し、各種評価を行った。なお、実施例4及び比較例2では、液晶表示素子を製造する際に、偏光紫外線の露光量を500mJ/cm2から2000mJ/cm2に変更して光配向処理を行った。それらの結果を表1に示す。
[参考例1]
比較例2において、偏光紫外線2000mJ/cm2を基板法線方向から照射した後に基板を乳酸エチル中に室温で3分間浸漬し、次いで、水に1分間浸漬させた後、200℃のホットプレートで5分間焼成する処理を行った以外は、比較例2と同様の方法にて横電界方式液晶表示素子を作製した。得られた液晶表示素子につき、上記実施例1と同様にして電圧保持率及び残像特性を評価したところ、この液晶表示素子の電圧保持率及び残像はいずれも「良好」の評価であった。
比較例2において、偏光紫外線2000mJ/cm2を基板法線方向から照射した後に基板を乳酸エチル中に室温で3分間浸漬し、次いで、水に1分間浸漬させた後、200℃のホットプレートで5分間焼成する処理を行った以外は、比較例2と同様の方法にて横電界方式液晶表示素子を作製した。得られた液晶表示素子につき、上記実施例1と同様にして電圧保持率及び残像特性を評価したところ、この液晶表示素子の電圧保持率及び残像はいずれも「良好」の評価であった。
以上の結果から、液晶配向剤の重合体成分としてシクロブタン環構造を有する重合体を用いた場合には、得られる液晶素子の電圧保持率及び残像特性を良好にするために光配向処理後に洗浄プロセスが必要だが、シクロブテン環構造を有する重合体を用いた場合には、光配向処理後に洗浄プロセスを行わなくても高い電圧保持率と良好な残像特性を示す液晶素子が得られることが分かった。また、シクロブテン環構造を有する重合体は、少ない露光量でも残像が少ない液晶表示素子が得られたことから、シクロブタン環構造を有する場合に比べて、光に対して高感度であることも判明した。これは、シクロブテン環がシクロブタン環よりも環のひずみが大きいことや、光の吸収が大きいことに起因するものと考えられる。
Claims (8)
- ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつシクロブテン環構造を有する重合体(P)を含有する液晶配向剤。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて塗膜を形成し、該塗膜に光照射して液晶配向能を付与する、液晶配向膜の製造方法。
- 請求項4に記載の液晶配向膜を備える液晶素子。
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JP2016037651A JP2017156437A (ja) | 2016-02-29 | 2016-02-29 | 液晶配向剤、液晶配向膜及びその製造方法、液晶素子、重合体並びに化合物 |
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