JP6963163B2 - El表示パネルの製造方法およびel表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、EL表示パネルに関し、特に、有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro-Luminescence。以下、EL、またはOLEDと呼ぶことがある。)素子などを有し、カラー画像表示に適するEL表示パネルと表示装置、EL表示パネルの製造方法およびEL表示パネルの製造装置に関するものである。
有機EL素子をマトリックス状に備えたアクティブマトリックス(Active-Matrix、以下、AM)型EL表示パネルが表示パネルに用いられ、EL表示パネルが用いられたテレビ、スマートフォン等が商品化されている。
図60は、従来のEL表示パネルの構造図(断面図)である。画素電極15の周辺部には土手501が形成されている。土手501は、画素電極15に蒸着する際、蒸着する各層の構成材料が隣接した画素電極15間で混合されることを防止するとともに、ファイン蒸着マスク112が画素電極15等に接触することを防止する。
EL表示パネルは、EL素子22をマトリックス状に配置して画像表示するものである。EL素子22は、通常、ガラス板、樹脂板等の透明基板に形成された画素電極15上に正孔輸送層(HTL)16、発光層(EML)17、電子輸送層(ETL)18などの有機材料の積層構造を有し、この積層構造を挟持して形成した光透過性を有する画素電極15、カソード電極19で構成される。画素電極15であるアノード電極とカソード電極19の間に電圧を印加することにより、EL素子(発光素子)22が発光する。
図61〜図64は、従来のEL表示パネルの製造方法の説明図である。EL表示パネルは、主として低分子のEL材料が採用されている。従来のEL表示パネルの製造方法において、低分子のEL材料は蒸着工法によりパネルの画素電極15上に蒸着される。蒸着の際、赤(R)色、緑(G)色、青(B)色のEL材料を、対応する画素に蒸着させるために、ファイン蒸着マスク112が使用される。ファイン蒸着マスク112は、対応する画素形状にあわせて、ファインピッチの穴が開口された金属または樹脂からなるマスクである。
図61に図示するように、画素電極15には、正孔輸送層(HTL)16が形成される。次に、赤(R)色用のファイン蒸着マスク112Rが、土手501に接するように配置される。赤(R)色用のファイン蒸着マスク112Rは、赤(R)色の画素電極15Rに対応する箇所だけが、開口されている。他の色の画素電極(緑(G)画素電極15G、青(B)画素電極15B)に対応する箇所は開口されていない。
以上のように、ファイン蒸着マスク112Rが配置された状態で、蒸発源から赤(R)色用の蒸着材料111Rが蒸発され、ファイン蒸着マスク112Rの開口部を介して、赤(R)色画素に対応する正孔輸送層(HTL)16の上方に赤(R)色の蒸着材料が蒸着される。
図62は図61の次の工程を示す説明図である。緑(G)色用のファイン蒸着マスク112Gが、土手501に接するように配置される。緑(G)色用のファイン蒸着マスク112Gは、緑(G)色の画素電極15Gに対応する箇所だけが、開口されている。他の色の画素電極(赤(R)画素電極15R、青(B)画素電極15B)に対応する箇所は開口されていない。
以上のように、ファイン蒸着マスク112Gが配置された状態で、蒸発源から緑(G)色用の蒸着材料111Gが蒸発され、ファイン蒸着マスク112Gの開口部を介して、緑(G)色画素に対応する正孔輸送層(HTL)16の上方に緑(G)色の蒸着材料が蒸着される。
図63は図62の次の工程を示す説明図である。青(B)色用のファイン蒸着マスク112Bが、土手501に接するように配置される。青(B)色用のファイン蒸着マスク112Bは、青(B)色の画素電極15Bに対応する箇所だけが開口されている。他の色の画素電極(赤(R)画素電極15R、緑(G)画素電極15G)に対応する箇所は開口されていない。
以上のように、ファイン蒸着マスク112Bが配置された状態で、蒸発源から青(B)色用の蒸着材料111Bが蒸発され、ファイン蒸着マスク112Bの開口部を介して、青(B)色画素に対応する正孔輸送層(HTL)16の上方に青(B)色の蒸着材料が蒸着される。
図64は図63の次の工程を示す説明図である。赤(R)、緑(G)、青(B)の発光層17の上方に、電子輸送層(ETL)18が蒸着される。次に、電子輸送層(ETL)18にマグネシウム・銀(MgAg)などからなるカソード電極(陰極)19が形成される。カソード電極(陰極)19の上方には封止樹脂(封止層)20が形成される。TFT基板11には、薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)などが形成されている。
以上のように、TFT基板11上に形成する各画素電極15には、ファイン蒸着マスク112と呼ばれる金属材料で構成したマスクを用い、EL材料が蒸着工法で形成される。
しかし、ファイン蒸着マスク112は、EL材料を蒸着させる画素位置に対応させて、位置決めする必要がある。ファイン蒸着マスク112の位置決めは、表示画面が高精細化になるほど、つまり画素サイズが小さくなるほど困難になる。ファイン蒸着マスク112位置がずれると、画素の色が混ざる(混色)が発生し、混色が発生したEL表示パネルは不良品となる。
特開2004−235138
従来のEL表示パネルでは、赤(R)色、緑(G)色、青(B)色のEL素子の形成時に、赤(R)色、緑(G)色、青(B)色のそれぞれのファイン蒸着マスク112を使用する。
しかし、蒸着マスクの位置ずれが発生することにより、画素に混色が発生し、EL表示パネルの製造歩留まりを低下させていた。また、蒸着マスクの位置決め機構および装置が高く、製造装置の価格が高価になるという課題が発生していた。また、蒸着マスクの位置決めに長時間を必要とするため製造タクトが長くなり、製造されるEL表示パネルの価格が高くなるという課題があった。
本発明は、赤(R)色、緑(G)色、青(B)色の少なくとも1つの工程において蒸着マスクを使用することなしに発光層を形成する。
赤(R)色の画素電極と緑(G)色の画素電極と青(B)色の画素電極とが形成された第1の基板の上方に、ホスト材料と緑色のゲスト材料とを共蒸着させて、第1の緑(G)色の発光層を形成する。
次に、青(B)色の画素電極上の第1の緑(G)色の発光層に、紫外線帯域のレーザ光を照射し、青(B)色の画素電極上の第1の緑(G)色の発光層のゲスト材料等を改質させる。発光層へのレーザ光の照射は、真空中で実施する。
次に、第1の緑(G)色の発光層を形成した上に、ホスト材料と緑色のゲスト材料とを共蒸着させて、第2の緑(G)色の発光層を形成する。
次に、青(B)色の画素電極上の第2の緑(G)色の発光層に、紫外線帯域のレーザ光を照射し、青(B)色の画素電極上の第2の緑(G)色の発光層のゲスト材料等を改質させる。
赤(R)色の画素電極と緑(G)色の画素電極と青(B)色の画素電極とが形成された第1の基板の上方に、ホスト材料と緑色のゲスト材料とを共蒸着させて、第1の緑(G)色の発光層を形成する。
なお、ホスト材料と緑色のゲスト材料とを共蒸着させて、緑(G)色の発光層を形成すること、前記緑(G)色の発光層にレーザ光を照射することは、複数回実施する。
次の工程で、緑色の発光層の上方に、蒸着マスクを使用せずに、青色の発光層を形成する。さらに青色の発光層の上方に、必要に応じて、電子輸送層、電子注入層を形成する。また、電子輸送層または電子注入層上に、カソード電極を形成する。
本発明の製造方法等は、少なくとも、赤、緑、青の3原色の形成工程において、ファイン蒸着マスク112を使用せず、発光層17を形成し、発光層17にレーザ光91bを照射し、発光層17のゲスト材料等を改質して、非発光状態にする。
レーザ光は10μm以下に集光することができるため、微細な画素であっても、画素37形状にあわせてレーザ光を照射することができる。
したがって、ドナーフィルム47をTFT基板11に重ね、画素電極15位置に対応させてレーザ光91aを照射することにより、混色の発生はなく、600ppi以上の高精細のEL表示パネルを容易に製造できる。
また、発光層17を改質させる時は、紫外線領域の波長のレーザ光91bを発生させるレーザ装置を使用することにより、レーザ光91bを照射した発光層17のゲスト材料等を改質させることができる。混色の発生はなく、600ppi以上の高精細のEL表示パネルを容易に製造できる。本発明はレーザ光を照射するだけであるので、60インチ以上の大画面のEL表示パネルであっても容易に製造することができる。
本発明のEL表示パネルの構造図である。 本発明のEL表示パネルの等価回路図である。 本発明のEL表示パネルの画素配置の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造装置の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造装置の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造装置の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造装置の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造装置の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造装置の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造装置の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造装置の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造装置の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの構成図である。 本発明のEL表示パネルの構成図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法のフローチャート図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造装置の説明図である。 本発明のEL表示パネルの構成図である。 本発明のEL表示パネルの構成図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法のフローチャート図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 本発明のEL表示装置の構成図である。 本発明のEL表示装置の構成図である。 本発明のEL表示装置の構成図である。 従来のEL表示パネルの構成図である。 従来のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 従来のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 従来のEL表示パネルの製造方法の説明図である。 従来のEL表示パネルの製造方法の説明図である。
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の説明や実質的に同一の構成に対する説明を省略する場合がある。これは、説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
同様または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、また、重複する説明は省略する場合がある。
図7は、本発明のEL表示パネルの製造装置の1つであるレーザ熱転写装置の説明図である。転写有機膜46の転写装置は、図7に図示するように、ドナーフィルム47に照射するレーザ光を発生させるレーザ装置74を具備する。
なお、レーザ装置74あるいはレーザ装置74の関連部材、制御装置、制御方法、動作等は、発光層17を改質するレーザ装置と共通あるいは類似である。
図7に図示するように、レーザ装置74が発生したレーザ光91は、光量調整フィルタ71でレーザ光91aの強度が調整される。レーザ熱転写装置で使用するレーザ光91aは主として赤外波長領域のレーザ光を採用する。
光量調整フィルタ71として、可変アッテネータが例示される。可変アッテネータは特殊な膜を付けたガラス基板を回転させる事により、透過率(反射率)を変化させる。
レーザ光91がガラス基板を通過する際に発生する光軸シフトを解消するため、光軸シフト補正基板(平行平面基板)を配置し、透過率(反射率)を制御するガラス基板に対して対称方向に回転させることで光軸シフトを補正する。
また、光量調整フィルタ71として、偏光ビームスプリッターを用いた可変アッテネータが例示される。偏光ビームスプリッターの手前でλ/2波長板を回転させる事により、透過率(反射率)を変化させる。キューブタイプの偏光ビームスプリッターを使用する為、光軸のシフトも最小限に抑えることができる。
レーザ装置74が発生したレーザ光91は必要に応じて、シリンドリカルレンズで矩形あるいは楕円形に整形する。また、スリットマスク201で画素形状に略一致させるように略矩形あるいは円形状に整形する。レーザスポット171を矩形あるいは楕円形に整形するする方法は、いずれの方法を使用してもよい。
光量調整フィルタ71で強度が調整されたレーザ光91は、ガルバノミラー72に入射する。ガルバノミラー72は、XYの2次元エリア(TFT基板11あるいはドナーフィルム47)にレーザ光91を走査させる。ガルバノミラー72ではXおよびY軸方向にレーザ91を走査させる2つのモーター(ロータリーエンコーダー)を使用している。また、レーザ91をTFT基板11あるいはドナーフィルム47に結像するためのレンズとして、fθ(エフシータ)レンズ73を具備している。fθ(エフシータ)レンズ73は、レンズのレンズ面の曲率をかえることにより、レンズ周辺部と中心部で走査速度が一定になるように設計されている。
fθレンズ73は、材質にベリリウムを使用したベリリウムミラーを用いている。ベリリウムはアルミニウムより軽く、鉄より丈夫な金属で研磨すると紫外光から赤外線を非常によく反射するのでレーザの波長にもマッチしている。
図8は、転写装置の転写工程において、レーザ照射装置により、ドナーフィルム47にレーザ光91を照射する動作を説明する説明図である。なお、発光層の改質工程において、TFT基板11にレーザ光を照射する場合も同様あるいは類似の動作である。
転写装置の転写工程において、レーザ照射装置により、ドナーフィルム47にレーザ光91を照射する動作を説明する説明図である。
レーザ熱転写装置は、図7に示したように、レーザ装置74、光量調整フィルタ71、ガルバノミラー72、fθレンズ73を具備する。
また、移動ステージ78、支持機構76、加圧ローラー77、制御機構79、昇降機構80を具備する。また、図示していないが、レーザ91のビーム形状を整形するスリットマスクを具備する。
レーザ装置74が発生するレーザ光91は、光量調整フィルタ71、ガルバノミラー72、fθレンズ73に入射する。
レーザ装置74が発生したレーザ光91は、ガルバノミラー72でレーザ光の方向を変化させられ、fθレンズ73により、ドナーフィルム47の表面に照射される。
必要に応じて、fθレンズ73の位置を変化させる。fθレンズ73の位置を変化させることにより、レーザ光91のフォーカス位置を変更できる。フォーカス位置を変化させると、レーザ光91の照射範囲を変更できる。
本発明のレーザ熱転写装置は、TFT基板11が置かれる移動ステージ78と制御機構79を具備する。
制御機構79の支持機構76は、TFT基板11上に配置されるドナーフィルム47を保持する。支持機構76は、TFT基板11とドナーフィルム47との間隔を調節できるように、昇降機構80を具備する。また、移動ステージ78には、TFT基板11とドナーフィルム47間に存在するガスを外部に排出させる排気口75を有する。
制御機構79aは、ドナーフィルム47の一端部を支持する支持機構76aと昇降機構80aを備える。制御機構79ab、ドナーフィルム47の他端部を支持する支持機構76bと昇降機構80bを備える。支持機構76aと支持機構76bとは、独立して、移動ステージ78上で昇降させることができるように構成されている。
支持機構76aは、ドナーフィルム47の一端部を固定する。また、昇降機構80aは、移動ステージ78上で上下に移動させる。支持機構76bは、ドナーフィルム47の他端部を固定する。また、また、昇降機構80bは、移動ステージ78上でドナーフィルム47を上下に移動させる。
支持機構76は、ドナーフィルム47がTFT基板11上に配置されるようにドナーフィルム47を支持する。支持機構76、昇降機構80は、ドナーフィルム47の両端部を支持してドナーフィルム47をTFT基板11に対して上下に移動させることができる。
移動ステージ78は、図22に図示する転写装置室167内に設けられており、移動ステージ78の上面には、TFT基板11が配置される。
移動ステージ78は、2つの排気口(75a、75b)をさらに備える。排気口75は、転写装置室167内部と外部とを連結する通路を意味する。すなわち、排気口75を通じて移動ステージ78上に置かれるTFT基板11と、TFT基板11上に配されるドナーフィルム47との間の空間に存在するガスが、転写装置室167の外部に排出される。
移動ステージ78は、移動するための駆動手段(図示せず)をさらに備えている。例えば、レーザ91a、91cがTFT基板11の法線方向に照射される場合、横方向に移動ステージ78を移動させる駆動手段(機構)を有する。
支持機構76a、支持機構76bは、昇降機構(80a、80b)により、TFT基板11の法線方向に、同じ速度で上昇または下降できる。また、支持機構76aと支持機構76bとは、TFT基板11の法線方向に、相異なる速度で、独立して上昇または下降できる。
支持機構76aはドナーフィルム47の一端部を支持して上昇するが、支持機構76bは上昇しないか、または、支持機構76aより遅く上昇させることができる。その逆の場合も可能である。
支持機構76a、支持機構76bが互いに相対的に独立して動作させることができるので、ドナーフィルム47とTFT基板11との間隔を調節できる。
制御機構79を制御することにより、ドナーフィルム47とTFT基板11との接着工程時、ドナーフィルム47とTFT基板11との密着性を高められ、剥離工程時には、TFT基板11に転写された薄膜層がはがれることを防止できる。
加圧ローラー77は、ドナーフィルム47上に配置され、TFT基板11に向かってドナーフィルム47上に圧力を加えることができる。加圧ローラー77は、ドナーフィルム47とTFT基板11との接着工程時、ドナーフィルム47にTFT基板11に向かって圧力を加えて、ドナーフィルム47とTFT基板11とを密着させる。
接着工程時、支持機構76a、76bは、ドナーフィルム47とTFT基板11とが密着されるように下降する。加圧ローラー77は、ドナーフィルム47上にTFT基板11に向かって圧力を加えて、ドナーフィルム47とTFT基板11との密着性をさらに向上させる。
加圧ローラー77は、図7に示すように、ローラー形状が例示される。ローラー形状を有する加圧ローラー77をドナーフィルム47上に転がすことによって、ドナーフィルム47とTFT基板11との密着性を向上させることができる。
加圧ローラー77は、ドナーフィルム47とTFT基板11との剥離工程時、TFT基板11に転写された転写有機膜46がはがれることを防止できる。
図9に図示するように、剥離工程時には、まず、支持機構76aがドナーフィルム47の一端部を持ち上げることによって、加圧ローラー77は、ドナーフィルム47の一端部から一端部に対向する他端部に沿って移動しつつ、ドナーフィルム47に圧力を加えることによって、TFT基板11に転写された転写有機膜46が剥離工程中にはがれることを防止できる。
ドナーフィルム47とTFT基板11との剥離工程時は、支持機構76bが停止した状態で、支持機構76aが上昇する。ドナーフィルム47は支持機構76aに近い側からドナーフィルム47の一端部からTFT基板11と分離される。支持機構76aの上昇が増加するほど、ドナーフィルム47の一端部からドナーフィルム47の他端部に向かって、ドナーフィルム47とTFT基板11とが分離される。
支持機構76aの上昇が完了すると、支持機構76bが上昇を開始する。ドナーフィルム47は支持機構76bに近い側のドナーフィルム47が上昇し、ドナーフィルム47とTFT基板11が分離される。
支持機構76は、TFT基板11とドナーフィルム47との接着工程前に、TFT基板11と離隔されるようにドナーフィルム47を移動させる。排気口75は、TFT基板11とドナーフィルム47との空間に存在するガスを外部に排出させる。
支持機構76は、ドナーフィルム47の一端部および他端部から外部に延びる方向に引っ張る。ドナーフィルム47を引っ張ることにより、支持機構76は、ドナーフィルム47がTFT基板11に向かって垂れ下がることを防止する。
図9に図示するように、加圧ローラー77は、ドナーフィルム47を加圧しながら、ドナーフィルム47の一端から他端に移動する。
ドナーフィルム47とTFT基板11との剥離工程時、支持機構76は、ドナーフィルム47の一端部を持ち上げる。加圧ローラー77は、ドナーフィルム47の一端部から一端部に対向する他端部に沿って移動しつつ、ドナーフィルム47に圧力を加えることによって、TFT基板11に転写された薄膜が、剥離工程中にはがれることを防止する。
本発明のEL表示パネルの製造方法は、一工程として、レーザ熱転写法を利用する。レーザ熱転写法は、移動ステージ78上にTFT基板11を配置する工程と、TFT基板11と離隔されるようにドナーフィルム47を配置する工程と、TFT基板11とドナーフィルム47との間に存在するガスを除去する工程と、ドナーフィルム47とTFT基板11とを接着する工程と、ドナーフィルム47の転写有機膜46をTFT基板11に転写する工程と、ドナーフィルム47とTFT基板11とを剥離する工程とを実施する。
図4は、本発明の実施例で使用するドナーフィルム47の構成、およびドナーフィルム47を用いた製造方法を説明するための説明図である。
ドナーフィルム47のベースフィルム41は透明性高分子から構成されている。このような透明性高分子としては、ポリエチレンテレフタルレートのような、ポリエステル、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリスチレンなどが用いられる。特に、ポリエチレンテレフタルレートフィルムを用いることが好ましい。
ドナーフィルム47のベースフィルム41は、支持フィルムとしての光学的性質と機械的強度性を有しなければならない。機械的強度性を保有するためには、ベースフィルム41の厚さは10〜500μmであることが好ましい。
ベースフィルム41に光学変換膜43が形成される。光学変換膜43は、赤外線−可視光線領域のレーザ光91a等を吸収して光の一部を熱に変換させる層である。光学変換膜43は、光吸収性物質を含む。
光学変換膜43として、例えば、アルミニウム酸化物またはアルミニウム硫化物を光吸収性物質に含む金属膜、カーボンブラック、黒鉛や赤外線染料を光吸収性物質に含む高分子有機膜がある。金属膜の場合は、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法またはスパッタリングを用いて100〜5、000Åの厚さに形成することが好ましく、有機膜の場合は、一般のフィルムコーティング方法であるロ−ルコーティング(roll coating)、グラビア(gravure)、圧出(extrusion)、スピン(spin)、およびナイフ(knife)コーティング方法を用いて0.1〜10μmの厚さに形成することが好ましい。
また、光学変換膜43として、鉄・コバルト・ニッケルなどの金属磁性体を用いることもできる。その他、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石の材料物質も用いることができる。
光学変換膜43上に中間膜44を形成することができる。中間膜44は、光学変換膜43に含まれた光吸収性物質、例えば、カーボンブラックが後続の工程に形成される転写有機膜46を汚染することを防止する役割をする。
中間膜44はアクリル樹脂またはアルキド樹脂で形成することができる。中間膜44の形成は、溶媒コーティングなどの一般のコーティング方法と紫外線硬化方法などによって行われる。
光学変換膜43上に中間膜44を形成する場合は、中間膜44上にさらにバッファ膜45を形成することが好ましい。
バッファ膜45は、転写有機膜46に形成される有機膜などの損傷を防止し、転写有機膜46とベースフィルム41、光学変換膜43と転写有機膜46、または、中間膜44が形成された場合には中間膜44と転写有機膜46との接着力を効果的に調節するために形成される。
バッファ膜45は、金属層、金属酸化物層に形成することができる。金属層である場合には、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法またはスパッタリングを用いて形成し、金属酸化物層である場合には、一般のフィルムコーティング方法である圧出、スピンコーティング方法を用いて形成するか、または、金属層を形成した後に表面を酸化させて形成することができる。
バッファ膜45が金属である場合は、マグネシウム(Mg)またはマグネシウム合金(Mg−Alloy)に形成し、金属酸化物である場合はマグネシウム酸化物(MgO)に形成する。また、バッファ膜45は、鉄・コバルト・ニッケルなどの金属磁性体を用いることもできる。
バッファ膜45は、レーザビーム透過率が20%以下の金属または金属酸化物を用いており、また、バッファ膜45の厚さは1μm以下に形成する。
バッファ膜45は、レーザ光のエネルギーおよび光学変換膜43の熱エネルギーを転写有機膜46の材料に伝達しないものとして、材料の熱的変形を防止するだけでよく、あまり厚すぎると光熱変換膜の膨張時に金属層が膨張しなくなるので転写特性に影響を与えることになる。
バッファ膜45は、転写有機膜46とドナーフィルム47との接着力を向上させて、転写有機膜46に転写される領域以外に付着してしまうことを防止する。
バッファ膜45上に転写有機膜46が形成される。転写有機膜46は、発光層17、正孔注入層、正孔輸送層16、電子注入層、電子輸送層18どの有機膜からなる群より選択される1つの単層膜または1つ以上の多層膜に形成することができる。
本明細書では、転写有機膜46が形成される。転写有機膜46は、発光層17であるとして説明をする。また、発光層17は低分子有機EL材料からなる発光層であるとして説明をする。ただし、発光層17は、インクジェット方式で形成する高分子有機EL材料であってもよいことは言うまでもない。
低分子物質を含む有機膜は、一般に接着力がよくないため、バッファ膜45を導入することで、転写特性が改善される。また、低分子物質のうちには、熱的安全性が低いものがある。低分子物質を含む転写有機膜46の場合は、転写工程において光学変換膜43から発生する熱によって転写有機膜46が損傷される現象がある。バッファ膜45は熱を調節することができるので、このような熱損傷を防止することができる。
発光層17、正孔注入層、正孔輸送層16、電子注入層、電子輸送層18などの有機膜は、一般に用いられる材料であれば、すべて使用できる。本発明では、発光層17を転写有機膜46として形成し、発光層17を転写して画素電極15の上方に形成する場合を例示して説明をする。
転写有機膜46の形成は、一般的なコーティング方法である圧出、スピン、コーティング方法、真空蒸着法またはCVDなどの方法を用いて100〜50kÅ(オングストローム)の厚さにコーティングされる。
ドナーフィルム47上に光学変換膜43、中間膜44、バッファ膜45を塗布したドナーフィルム47およびドナーフィルム47の上部に転写有機膜46が形成されている。
一実施態様として、転写有機膜46は、有機薄膜形成用物質をコーティングして製造する。製造時、様々な特性を改善するために、所定含量の添加物質が添加してもよい。たとえば、発光層の効率を高めるためにドーパント(dopant)が添加することが例示される。
転写有機膜46としては、1つの有機層ではなく2つ以上の有機層を、必要に応じて積層することができる。
TFT基板11と所定間隔分に離隔された位置にドナーフィルム47を配置した後、ドナーフィルム47に赤外領域線の波長あるいは可視領域の波長のレーザ光91aを照射する。
レーザ光91aは、ベースフィルム41を通過して光学変換膜43を加熱し、光学変換膜43は、熱を放出する。
光学変換膜43は膨張し、転写有機膜46がドナーフィルム47から剥離する。剥離した転写有機膜46は、TFT基板11の画素電極15の上方に発光層17として堆積する。実施例として正孔輸送層(HTL)16上に発光層(EML)17として堆積される。堆積した発光層17の厚みは、転写有機膜46の厚みに比例する。したがって、転写有機膜46の厚みを規定することにより、発光層17の膜厚を規定することができる。また、複数のドナーフィルム47を使用し、転写有機膜46を複数回に、正孔輸送層(HTL)16上に転写してもよい。複数回の転写により、発光層17の膜厚を規定の膜厚に精度よく形成できる。
バッファ膜45を形成し、レーザ熱転写時にドナーフィルム47と転写有機膜46との間の接着力を向上させることにより、転写有機膜46を転写する位置以外の部分に、転写有機膜46が付着しないようにすることができる。したがって、転写パターン特性を向上させることができる。
レーザ光91aとしては、固体、ガス、半導体、染料などのすべての汎用のレーザ91aを使用されることができる。レーザ91aのビーム形状も円形のビームまたはその他のあらゆる形状のビームが用いられる。中でも、波長が800nm以上の赤外線領域の波長のレーザ光を用いることが好ましい。たとえば、YAGレーザ、ガラスレーザ、炭酸ガスレーザが例示される。ヘリウムネオン(He−Ne)レーザも採用することができる。
図12は、本発明のEL表示パネルの製造装置のうち、蒸着装置の構成図である。本発明のEL表示パネルの蒸着装置は、金属蒸発源127、有機蒸発源128を備えた蒸着室126を有する。蒸着室126には、TFT基板(被蒸着部材)11を保持するための移動ステージ78と、TFT基板11を所定温度に保持あるいは調整する温度調整板123、金属蒸発源127、有機蒸発源128を加熱する熱源(ヒータ)(図示せず)、真空ポンプ(真空排気手段)124、真空ポンプ124と蒸着室126とを結ぶ排気ダクト125、ガス導入ノズル(図示せず)とを備えている。
成膜装置166の蒸着室126、転写装置室167およびレーザ装置室168の真空度は、1×10−3Pa以上の真空度に保つことが好ましい。さらに好ましくは1×10−4Pa以上の真空度に保つことが好ましい。
有機分子は酸素存在下で加熱すると、酸化反応が進み炭化してしまうことが多い。しかし、高真空下では沸点降下現象により沸点(昇華点)は低下するが、有機分子を構成するC−C結合などの化学結合を解離・分解するエネルギーは影響を受けない。そのため、大気中では分解することなく昇華(蒸発)することができない有機材料も、酸素も取り除かれた高真空状態で加熱することによって、容易に昇華させ基板上へ薄膜を製膜することが可能となる。
また、蒸着された有機材料にレーザ光を照射しても、酸素も取り除かれた高真空状態であるため、有機材料は必要な化学的変化のみ等が促進される。したがって、酸化反応が進み炭化してしまうことがない。
真空ポンプ124は、オイルミストや熱分解したオイル成分が、きわめてわずかであるが真空チャンバー内へ混入して不純物として振る舞うために、水分を効果的に除去できるクライオポンプや、メンテナンスがほぼ必要のないターボ分子ポンプと液体窒素トラップを組み合わせたドライな排気系を採用している。
本発明の有機ELパネルの製造装置は、真空一貫で作製したEL表示パネルを、大気に曝すことなく酸素や水分濃度が0.1ppm以下のグローブボックスへ取り出し、ガラスやアルミ缶などのガスバリア性の高い封止キャップとUV硬化樹脂を用いて封止まで行うように製造する。
有機EL素子は、高度に機能分離された積層構造やドーピングが必要不可欠なため、本発明は多元蒸着源を具備している。さらに、限られた空間の中に蒸着源を多数設置することから、互いに干渉をしないためにも、相互の蒸着源を汚染しないためにも蒸着源の間は仕切板で分離されている。
また、2種類の有機材料を共蒸着法により製膜できるように、2つの蒸着電源および膜厚計がホスト材料用とゲスト材料用にそれぞれ必要となる。蒸着源は輻射熱の影響を避け、基板近傍で有機材料の蒸気を均一化するために、基板から30cm以上離れた位置に配置する。
蒸着源が複数設置される場合には、蒸着源を基板直下に集中することができないため、膜厚のムラの発生が危惧される。本発明の製造装置および製造方法では10〜12rpmの速度で基板を回転させることにより、膜厚のムラの発生を防止している。
有機材料の有機蒸着源128には、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等金属製の昇華ボートに材料を投入し、金属製ボートに電流を流し、その金属の抵抗により発熱させる単純な抵抗加熱方式を採用してもよいし、石英や黒鉛、BN等でできたるつぼをタングステン(W)ヒーターで加熱する簡易Kセルタイプを採用してもよい。
金属の金属蒸着源127にも様々なボートがあるが、蒸着ボートと合金を作る金属もあり、ボートの材質の選択が必要なものがある。有機デバイスに一般的に用いられるMgやAg、Ca、電子注入層に用いられるLiFなどは、WやTaと合金を作らないため、粉末状の材料であればボックス型ボート、ある程度の固まり状であれば、安価なV字型W製ボートなどがよい。
蒸着電源は、共蒸着ができるように、有機材料、金属材料用共に2式以上準備することが望ましい。抵抗加熱方式の場合、蒸着電源は10V、100A程度の出力パワーがあれば、PtやTaなど高融点金属材料を除いたほとんどの金属材料や450℃以上の昇華温度を有する有機物も蒸着できる。
真空蒸着の場合は、蒸発源の電流(もしくは蒸着ボートの温度)を一定に保持しても蒸着速度は一定になることはない。また微量のゲスト材料をホスト材料に共蒸着させるには、精密に蒸着速度を制御しなければならない。
膜厚の測定には、真空下で使用でき、オングストローム(Å)オーダーの膜厚計測が可能な水晶振動子式膜厚計を用いる。水晶振動子の固有振動数は非常に安定している。このような性質を持つ水晶振動子に交流電場を印加すると、水晶振動子の固有振動数と交流電場の振動数が等しくなったところで共振現象が起こる。
この水晶振動子表面に物質が蒸着されると、水晶振動子の固有振動数は低い振動数の方向に変化する。この変化量は蒸着物質の質量に比例する。つまり、共振周波数の変化を精度よく検出すれば、蒸着物の付着質量を膜厚に換算して膜厚が測定できることになる。
水晶振動式膜厚モニターは、蒸着物の密度を入力し、z-ratioと呼ばれる水晶振動子と蒸着物質の音響インピーダンスの補正を行うパラメーターを入力、さらに、触針式の膜厚計やエリプソメーターによって膜厚を実測し、水晶振動子式膜厚計のモニター値のズレを補正(Tooling Factor)する必要がある。
実際に水晶振動子に付着した蒸着物の質量を、オングストロームオーダーの膜厚として検出できる水晶振動子式膜厚計は、水晶振動子に入射する蒸着材料の量に非常に敏感になるため、膜厚補正した水晶振動子検出器の位置や角度の固定には十分に注意を払い、定期的にTooling Factorの再補正を行う必要がある。
なお、成膜装置166、レーザ装置室168は、被蒸着部材の洗浄を行うマッチングボックス(図示せず)や、蒸着室126内の真空度を測定する真空計等を有していてもよい。また、ゲートバルブ(図示せず)を介して蒸着室126に隣接した真空度の調整が可能なロードロック(Load Lock)室(図示せず)を設けてもよい。
ロードロック室162を、予め真空度を上げておくことによって、金属蒸発源127、有機蒸発源128による蒸着終了後、金属蒸発源127、有機蒸発源128をロボットやベルト(いずれも図示せず)等を用いてロードロック室162に回収し、他の蒸発源と交換することによって真空を破ることなく簡便に材料交換を行うことが可能となる。
これにより、複数の層が積層されたEL素子22を効率よく成膜することができる。また、大気に暴露されることなく同一の蒸着装置内において連続して行うことが可能となるため、大気中の水分、酸素による有機層の劣化が防止される。
有機蒸発源128は、有機材料を高周波誘導加熱方式により加熱して蒸発させ、TFT基板11に蒸着させる。有機蒸発源128は、有機材料を充填する容器と、この容器の周囲に配設される誘導コイルとから成る。容器はセラミックス製である。
セラミックス製の容器は具体的には、石英,窒化アルミニウム,窒化ホウ素,窒化ケイ素,炭化ケイ素または酸化アルミニウム製のものを採用すると良い。本実施例においては、容器として石英製のるつぼを採用している。なお、容器として、るつぼを採用しているが、この容器はどのような形状でも良く、例えばボート型であっても良い。
蒸着室126の上部にTFT基板11(例えばガラス基板)を設けると共に膜厚センサー(図示せず)を設け、この膜厚センサーによりレートを測定しつつ、高周波電源の出力制御を行って誘導加熱を昇温・降温制御して、有機材料あるいは金属材料をTFT基板11上に成膜する。
複数の有機薄膜をTFT基板11上に積層する場合、容器が一個しか配設されていない場合には異なる有機材料が充填された容器を順次取り替えることで、また、複数の容器が配設されている場合には、この容器を順次ローテーションさせながら蒸着することで複数の有機薄膜を積層する。このようにして、例えば有機EL素子を形成するために用いられる有機EL材料をTFT基板11上に順次、積層させる。
本実施例においては、予め、所定温度で所定時間、有機材料をTFT基板11上に蒸着し、成膜された有機薄膜の膜厚を測定し、この膜厚から単位時間当たりの蒸着量、すなわち蒸着レートを算出しておくことで容器または有機材料の温度を制御して蒸着レートを制御できるように設定している。
例えば、容器(るつぼ等)を蒸着室126内に複数設け、この容器の一方にはホスト材料を、他方にはゲスト材料を充填し、このホスト材料とゲスト材料とを同時に蒸発させる。TFT基板11上に任意の割合で混合しえる共蒸着法の蒸発源に設定した場合、水晶振動子式レートモニターのみでは困難なホスト材料とゲスト材料の夫々の蒸着レートの制御を、一方を温度制御により制御する。他方を通常通り水晶振動子式レートモニターにより制御しても、双方の蒸着レートを容易かつ精密に制御できることになり、組成比が極めて良好な有機薄膜を容易に成膜することが可能となる。
上述したようにホスト材料とゲスト材料の一方を温度制御により長時間安定して制御することができる。例えば、有機EL素子の形成に用いられる有機EL材料を有機材料に採用し、ホスト材料にゲスト材料を極少量添加する必要がある場合であっても、極めて精密に蒸着レートを制御することができ、理想的な有機薄膜をTFT基板11上に容易に成膜することができる。
図22に図示するレーザ装置室168には、レーザ装置74が配置されている。レーザ光の発生装置(レーザ装置)74は、A紫外線(UV−A)近傍の310以上400nm以下の波長の光を発生し、発生した光を所定の画素電極15上に照射する機能を有する。
紫外線(UV)を発生するレーザ装置74(以降、UVレーザ装置と呼ぶ)は、光子の持つエネルギーが大きいため、結合の弱い部分を持つ材料(主に有機物)に照射すると分子結合を直接解離する光分解加工が行える。光分解加工はワークに当たったエネルギーが加熱ではなく、分解に主に使われるので加工面が極めてシャープとなる。紫外線領域の波長の光を発生するレーザ装置として、紫外線レーザ(YAGレーザの3倍波、4倍波)、固体紫外線(UV)レーザ、エキシマレーザなどが例示される。
レーザ光91bを集光させて加工位置に照射することができるため、加工位置の有機材料などを容易に蒸発させることができる。有機材料などを蒸発させる際は、真空中で行うため、有機材料は炭化することがなく、加工周辺部に影響を与えない。
なお、レーザ光91bは、TFT基板11の上方から照射できるように構成されている。レーザ光91bによりゲスト材料が加熱され、加熱されたゲスト材料が昇華しても、周辺部に付着することを抑制するためである。
紫外線領域の波長のレーザ光91bは波長が短いため、レーザ光91bのスポット径を小さくできる。また、加工に用いるエネルギー量を、高精細の画素に集光できるため、超高精細のEL表示パネルの画素の上方に有機材料の加工(光分解加工等)を行うことができる。
なお、本明細書において、理解を容易にするため、レーザ光91b、91cは主として410nm以下の紫外線領域の波長の光を使用するが、これに限定するものではない。たとえば、410nm〜490nmの青(B)色領域の波長の光もレーザ光91b、91cとして使用できる。
また、必要に応じて、図14に図示するように、fθレンズ73の位置を変化させる。fθレンズ73の位置を変化させることにより、レーザ光91bのフォーカス位置を変更できる。フォーカス位置を変化させると、レーザ光91bの照射範囲(レーザスポット171など)を変更できる。たとえば、画素の幅が50μmと、100μmに対して、フォーカス位置を変化させることにより、1つのレーザ装置で、50μmh幅と100μm幅の両方の画素形状に対応することができる。
画素の幅が100μmに対応する場合は、単位面積あたりのレーザ光強度が低下するが、光調整フィルタ431を可変することにより容易に対応することができる。
図13では、TFT基板11の上側からレーザ光91bを照射している。有機材料を改質させる方式では、TFT基板11の上側からでも下側からでもいずれでもよい。
本明細書に記載する「改質する」あるいは「改質させ」とは、ゲスト材料のバンドギャップはホスト材料のバンドギャップよりも大きく、ゲスト材料とホスト材料のHOMOおよびLUMOの相対的な配置は、HOMOはゲスト材料のほうがホスト材料よりも低く、LUMOはゲスト材料のほうがホスト材料よりも高い、のうち少なくとも1つ以上の関係を発生する、あるいは、少なくとも1つ以上の関係に変化させることである。
また、「改質する」あるいは「改質させ」とは、発光層17が消光するか、非発光となるか、もしくはほとんど発光しなくなることである。あるいは、ゲスト材料に紫外線等の光を吸収させ、ゲスト材料のバンドギャップを、可視光を発光するエネルギーギャップ領域よりも大きくすることで、発光層17が消光するか、非発光となるか、もしくはほとんど発光しなくなることである。
また、「改質する」あるいは「改質させ」とは、発光層17を構成する成分の少なくとも一部、例えばゲスト(ドーパント)材料あるいはホスト材料が、分解または重合を生じるか、または分子構造に変化を生じ、物理的性質の相違を生じることである。
また、「改質する」あるいは「改質させ」とは、ゲスト(ドーパント)材料あるいはホスト材料が、蒸発等し、蒸着された箇所から除去されることである。あるいは、EL素子を構成する各物質層が、変質すること、蒸発することにより除去されることである。
レーザ光91bで有機材料を除去させる場合は、TFT基板11の上側からレーザ光91を照射することが好ましい。除去した有機材料は上方向に蒸発する。TFT基板11の下側からレーザ光91bを照射すると、除去した有機材料がTFT基板11に付着する場合があるからである。
図15に図示するように、TFT基板11の位置を変化させることにより、レーザ光91bのフォーカス位置を変更できる。フォーカス位置を変化させると、レーザ光91bの照射範囲を変更できる。たとえば、1つのレーザ装置で、50μmと100μmの両方の画素形状に対応することができる。画素の幅が100μmに対応する場合は、単位面積あたりのレーザ光91bの単位面積あたりの強度が低下するが、光量調整フィルタ71を可変することにより容易に、単位面積あたりのレーザ光強度を調整することができる。
図13などは、レーザ光91bを走査してTFT基板11に照射する実施態様であったが、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図16に図示するように、レーザ装置74が発生するレーザ光91bをレンズ92aで光の角度を広げ、レンズ92bで平行光にして、スリットマスク201を介してレーザ光91bをTFT基板11に照射してもよい。
レーザ装置74としては、一例として、オプトピア株式会社が製品化しているレーザ・リフト・オフ(LLO)装置に用いられているレーザ装置を使用することができる。レーザ・リフト・オフ装置のレーザ装置は、固体紫外線(UV)レーザである。レーザ波長は343nm、ラインビーム長は750mmである。したがって、大型のEL表示パネルであっても、1画素列(画面の上端から下端)に、一度のレーザスポット171でレーザ光91を照射することができる。長軸ビーム均一性は2%σ以下であり、ライン幅は30μm、エネルギー密度は250mJ/cm2、パルス幅は15nsである。
日本製鋼所株式会社のレーザ・リフト・オフ装置に使用されているレーザ装置も使用できる。レーザ装置は、355nmの固体レーザを用いたもの、308nmのエキシマレーザを用いたもののいずれでもよい。メンテナンスを含め、コストを重視する場合は前者、大出力照射(210mJ/cm2)が容易なことから生産性を重視する場合は後者がよい。スループットは、生産性が高いエキシマレーザは60mm/sである。
なお、レーザ光の波長は、ホスト材料が吸収しにくく、ゲスト材料が吸収しやすい波長を選定する。好ましくは、ホスト材料の吸収率が25%以下、かつ、ゲスト材料の吸収率が75%以上となる波長のレーザ光を選定する。
また、レーザ装置のレーザ光は、発光層等の有機材料を化学変化等させるために使用するとしたが、これに限定するものではない。たとえば、パネルのサイズに切り出すことに使用してもよい。一連のカット工程はレーザで行う。
オプトピア株式会社のレーザ・リフト・オフ(LLO)装置のレーザ装置において、ライン幅は30μmである。画素の横幅がライン幅が30μm以上の場合は、レーザ光91を照射する位置をずらせてレーザスポット171を行う。以上のように、1画素列には、少なくも1レーザスポット171を照射する。
また、たとえば、画素の横幅が30μm以下で、レーザ光のライン幅を画素に照射すると、隣接した画素列にレーザ光91が照射される場合は、図20に図示するように、スリットマスク201を使用して、隣接した画素列にレーザ光91が照射されないようにする。
スリットマスク201をEL表示パネルの全体にわたり、スリットマスク201のスリット(溝)を画素列位置に位置合わせすることは困難を伴う場合がある。特に、EL表示パネルが大画面でかつ、高精細画素の場合である。
この場合は、図21に図示するように、複数のスリットマスク201を使用する。図21はスリットマスク201a、スリットマスク201bを使用した一例である。
スリットマスク201a、201bは、画素列単位の幅のスリット(溝)が形成されている。たとえば、1画素列幅のスリット、2画素列幅のスリットが形成されている。また、スリットマスク201には複数の画素列に対応するスリットが形成されている。
スリットマスク201a、201bは独立に移動(位置合わせ)することができる。スリット位置にあわせて、レーザ光91bが照射される。スリットマスク201はスリット位置をTFT基板11の画素列位置に位置合わせを行う。
図21(a)は、TFT基板11の中央部にスリットマスク201a、201bが位置合わせされている。説明を容易にするために、1つのスリットマスク201は、TFT基板11の1/4の面積に作製されているとする。
図21(a)において、レーザ光91bは、スリットマスク201aのスリット(画素列位置に対応)に、順次、照射する。次に、図21(b)に図示するように、レーザ光91bは、スリットマスク201bのスリット(画素列位置に対応)に、順次、照射する。
次に、図21(c)に図示するように、スリットマスク201bにレーザ光91bが照射されている期間内に、スリットマスク201aは、TFT基板11の左端の表示画面36の位置に移動し、位置決めされる。
次に、図21(d)に図示するように、スリットマスク201aにレーザ光91bが照射されている期間内に、スリットマスク201bは、TFT基板11の右端の画面位置に移動し、位置決めされる。最後に、スリットマスク201bにレーザ光91bが照射される。
以上にように、複数のスリットマスク201を使用し、レーザ光91bが照射されていないスリットマスク201を移動させて先行的に位置決めすることにより、レーザ装置74は連続してレーザ光91bを照射することができる。したがって、レーザ光91bの照射工程での作業時間を短縮することができる。
また、1つのスリットマスク201は、TFT基板11の一部の画面に配置される。したがって、スリットマスク201が担当するTFT基板11の面積は、TFT基板11の1/n(nは、2以上の実数)でよいため、スリットの位置精度は比較的ラフでもよい。
以上、図13、図14、図15、図16、図21、図22、図23、図25などで説明した事項は、転写装置のレーザ装置、および転写装置のレーザ装置のレーザ光91a、レーザ光91bにも適用できることは言うまでもない。
図1、図2は、本発明のEL表示パネルの等価回路図である。赤(R)色の画素37R、緑(G)色の画素37G、青(B)色の画素37Bが、表示画面36にマトリックス状に配置されている。各画素37には、薄膜トランジスタ(TFT)21、コンデンサ23、EL素子22が形成されている。TFT21aはソースドライバ回路32が出力する映像信号を、駆動用トランジスタ21bのゲート端子に供給するスイッチ素子として機能する。TFT21bはEL素子22に電流を供給する駆動用トランジスタとして機能する。
各画素37のTFT21aのゲート端子はゲート信号線34に接続され、TFT21aのソース端子またはドレイン端子は、ソース信号線35または駆動用トランジスタであるTFT21bのゲート端子と接続されている。
ゲート信号線34またはソース信号線35、もしくはゲート信号線34とソース信号線35の両方の配線材料として、銅配線または銅合金配線を採用できるプロセスを実施することが好ましい。信号線の配線抵抗を低減でき、より大型のEL表示パネルを実現できるからである。
特に、ゲートドライバ回路31が駆動(制御)するゲート信号線34は、低抵抗値化すること好ましい。銅配線は、Ti-Cu-Tiの3層構造を採用することが好ましい。
駆動用トランジスタであるTFT21bのソース端子またはドレイン端子は、アノード電圧Vddが印加されている電極またはEL素子22のアノード端子と接続されている。
EL素子22のアノード端子は、駆動用トランジスタ21bのドレイン端子またはソース端子と接続され、EL素子22のカソード端子はカソード電位Vssが印加されたカソード電極と接続されている。
ソースドライバIC(回路)32は、ソース信号線35に映像信号を出力する。ゲートドライバIC(回路)31は、ゲート信号線34にTFT21aをオンまたはオフさせる電圧を出力する。オンまたはオフさせる電圧の出力ゲート信号線は、垂直同期クロックによりシフトされる。
また、ゲートドライバ回路31は、Pチャンネルトランジスタと、コンデンサを用いてシフトレジスタを構成し、また、出力バッファ回路を構成してもよい。つまり、Nチャンネルトランジスタを用いない。Pチャンネルトランジスタのみ構成することにより、プロセスで使用するマスク数が少なくなり、パネルの低コスト化を実現することができる。
本明細書では、駆動用トランジスタ21b、スイッチ用トランジスタ21aは、薄膜トランジスタとして説明するが、薄膜トランジスタに限定するものではなく、シリコンウエハに形成したトランジスタでもよい。たとえば、シリコンウエハでトランジスタを構成し、剥がしてガラス基板に転写したものが例示される。
また、シリコンウエハでトランジスタチップを形成し、ガラス基板のボンディング実装した表示パネルが例示される。その他、樹脂基板にトランジスタを構成した基板も例示される。
トランジスタ21は、もちろん、FET、MOS−FET、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタでもよい。
トランジスタ21は、高温ポリシリコン(HTPS : High-temperature polycrystalline silicon)、低温ポリシリコン(LTPS : Low-temrature poly silicon)、連続粒界シリコン(CGS : Continuous grain silicon)、透明アモルファス酸化物半導体(TAOS : Transparent Amorphous Oxide Semiconductors)、アモルファスシリコン(AS : amorphous silicon)、赤外線RTA(RTA : rapid thermal annealing)で形成したもののうち、いずれでもよい。
なお、本発明のトランジスタ21は、Nチャンネル、Pチャンネルとも、LDD(Lightly Do15d Drain)構造を採用することが好ましい。
図2は、本発明のEL表示パネルの等価回路図である。図2(a)ではすべてのトランジスタ21はPチャンネルで構成している。PチャンネルはNチャンネルのトランジスタに比較してモビリティが低い。しかし、耐圧が大きく、また、劣化も発生しにくいので好ましい。コンデンサ23は、一方の電極をカソード電圧Vddと接続され、他方は駆動用トランジスタ21bのゲート端子に接続されている。コンデンサ23は、ソース信号線35に印加された映像信号を保持する。
本発明は、画素のトランジスタ21をPチャンネルトランジスタで構成することのみに限定するものではない。図2(b)に図示するように、Nチャンネルのトランジスタのみで構成してもよい。画素37を構成するトランジスタをNチャンネルトランジスタで構成した実施例である。コンデンサ23は、一方の電極をEL素子22のアノード端子と接続され、他方は駆動用トランジスタ21bのゲート端子に接続されている。コンデンサ23は、ソース信号線35に印加された映像信号を保持する。
図2(b)の構成において、反射膜12と画素電極15を電極としてコンデンサ23を形成してもよい。反射膜12を駆動用トランジスタ21bのゲート端子と接続する。
また、NチャンネルのトランジスタとPチャンネルのトランジスタの両方を用いて構成してもよい。
トランジスタはトップゲート構造にすることが好ましい。トップゲート構造にすることにより寄生容量が低減し、トップゲートのゲート電極パターンが、遮光層となり、EL素子22から発生した光を遮光層で遮断し、トランジスタの誤動作、オフリーク電流を低減できるからである。
EL素子22を構成するアノード電極(画素電極)15は、透明電極であるITOで形成される。画素電極15の下層には反射膜12が形成されている。反射膜12と画素電極15を電極として、コンデンサを構成する。赤(R)、緑(G)、青(B)の画素37で絶縁膜14の膜厚を異ならせることにより、赤(R)、緑(G)、青(B)の画素37で保持容量を異ならせることができる。
なお、画素電極15は、透明電極に限定するものでなく、アルミニウム、銀などの金属材料で形成しても良い。本明細書では、絶縁膜14を、画素電極15と反射膜12間に形成するとしたがこれに限定するものではない。14は光透過性を機能として有すれば、いずれの材料であってもよい。たとえば、導電性を有していてもよい。この場合は、赤(R)緑(G)青(B)の画素電極15は、画素形状に対応して電気的に分離しているため、反射膜の画素形状に対応して電気的に分離している必要がある。
画素電極15Rは、図3の画素37Rが対応し、画素電極15Gは、図3の画素37Gが対応し、画素電極15Bは、図3の画素37Bが対応する。図3、図6で図示するように、本発明のEL表示パネルおよびEL表示装置は、画素37R、画素37G、画素37Bは、マトリックス状に配置されている。
本発明の製造装置、製造方法、EL表示パネル等は、反射膜12がなく、陰極19を反射膜として、下部電極側からのみ光を取り出すようにした、下面発光型(いわゆる透過型)のEL素子22にも適用可能である。
図26、図27は、本発明のEL表示パネルの構造図である。TFT基板11上にトランジスタ21、ゲート信号線34(図示せず)、ソース信号線35(図示せず)などが形成されている。
TFT基板11は、薄膜トランジスタ(Thin-film transistor)、画素電極等が形成されたガラス基板である。なお、ガラス基板の代わりに樹脂からなる基板の場合もある。たとえば、ポリイミド樹脂で形成された基板であってもよい。また、ワニスを平面上に塗布し、硬化させた基板であってもよい。また、金属材料、セラミック材料からなる基板であってもよい。
TFT基板11の上に駆動用トランジスタ21bを含む画素37を形成し、例えば感光性樹脂よりなる平坦化膜28を設ける。
次いで、TFT基板11の全面に例えばITOよりなる透明導電膜を形成し、この透明導電膜をパターニングすることにより、赤(R)色の画素電極15R、緑(G)色の画素電極15G、青(B)色の画素電極15Bを形成する。その際、画素電極15を、平坦化膜28のコンタクトホール(図示せず)を介して駆動用トランジスタ21bのドレイン電極と導通させる。
TFT基板11には、光反射膜としての反射膜12が形成されている。EL素子22を構成するアノード電極は、透明電極である画素電極15として形成されている。画素電極15の下層には反射膜12が形成されている。
反射膜12は、アルミニウムまたは銀(Ag)で形成される。より好ましくは、銀で形成する。銀で形成することにより、光の反射率が向上し、光利用効率が向上する。
反射膜12と画素電極15を電極として、コンデンサ(保持容量)を構成してもよい。画素の保持容量として用いることにより保持特性が良好になる。この場合は、反射膜12をゲート信号線34またはアノード電極と接続して所定電位にする。赤(R)、緑(G)、青(B)の画素37で絶縁膜14の膜厚を異ならせることにより、赤(R)、緑(G)、青(B)の画素37で保持容量を異ならせることができる。
図26、図27において、赤の画素電極15Rと反射膜12R間には絶縁膜14が形成されている。絶縁膜14として、無機材料からなるSiNx、SiON、SiO2が例示される。また、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂を用いても良い。本明細書では説明を容易にするためSiNxを例示して説明をするが、これに限定されるものではない。
同様に、緑の画素電極15Gと反射膜12G間には絶縁膜14が形成され、青の画素電極15Bと反射膜12B間には絶縁膜14が形成されている。なお、図27に図示するように、反射膜12Bと画素電極15B間に絶縁膜14を形成しない構成も本発明のEL表示パネルの技術的範疇である。
反射膜12Rと画素電極15R間に絶縁膜14R、反射膜12Gと画素電極15G間に絶縁膜14G、反射膜12Bと画素電極15B間に絶縁膜14Bを形成し、それぞれの絶縁膜14の膜厚を異ならせても良い。また、2種類(たとえば、絶縁膜14R、絶縁膜14G)の膜厚を同一としてよい。
各画素電極15の下層に形成される絶縁膜14の膜厚は、EL素子の光学的距離を調整するために形成している。本発明は、複数色の画素電極15の下層の絶縁膜14において、いずれかの絶縁膜14の膜厚を異ならせた構成である。
本発明は、複数色を発光するEL表示パネルにおいて、少なくも1つの色のEL素子に、複数の発光層を形成し、他の色のEL素子の発光層17と異ならせ、光学的距離を異ならせた構成である。
図27に図示する実施例において、赤の画素電極15R上には、発光層17R、発光層17G、発光層17Bが形成されている。反射膜12Rとカソード電極19R間の距離L1が赤色のEL素子22の光学的距離である。緑の画素電極15G上には、発光層17G、発光層17Bが形成されている。反射膜12Gとカソード電極19G間の距離L2が緑色のEL素子22の光学的距離である。青の画素電極15B上には、発光層17G、発光層17Bが形成されている。反射膜12Bとカソード電極19B間の距離L3が青色のEL素子22の光学的距離である。光学的距離は、物理的距離に各層の屈折率を加味されて求められる。EL素子を構成する材料の屈折率が、赤、緑、青で同一であれば、光学的距離と物理的距離は比例関係となる。
光学的距離(Optical Path Length)とは、幾何光学における用語であり、 光路長とも呼ぶ。 実際に光が進む距離(物理的距離)に屈折率をかけたものである。 物質中での光の速さは屈折率に反比例するため、光学的距離が等しければ光は進むのに同じ時間がかかる。なお、各色のEL素子を構成する各層の物質の屈折率は大きくは差がないため、各色のEL素子の光学的距離と物理的距離は相対的に比例する。
赤色のEL素子22では、発光層17R、発光層17G、発光層17Bが形成され、緑色のEL素子22および青色のEL素子22では、発光層17G、発光層17Bのみが形成されているため、発光層の光学的距離Lは、赤色のEL素子22の方が長くなる。赤色のEL素子22と緑色のEL素子22とは、絶縁膜14Rと14Gが共通であり、青色のEL素子22は、絶縁膜14Bが少なくとも絶縁膜14Rより薄いかあるいは形成されていない。
本発明は、最も発光波長の短い発光層が複数色の画素37に、共通に形成されている。たとえば、赤色の画素、緑色の画素、青色の画素がマトリックス状に配置されたEL表示パネルでは、最も発光波長が短い波長は青色である。したがって、本発明のEL表示パネルでは、赤色の画素37R、緑色の画素37G、青色の画素37Bで、発光層17として青色の発光層17が共通に形成されている。
赤色の画素37G、緑色の画素37Gがマトリックス状に配置されたEL表示パネルでは、最も発光波長が短い波長は緑色である。したがって、本発明のEL表示パネルでは、赤色の画素、緑色の画素で、発光層17として緑色の発光層17が共通に形成される。
図26、図27において、赤色の光学的距離L1と緑色の光学的距離L2と青色の光学的距離L3との関係は以下のとおりとなっている。
赤色の光学的距離L1 > 緑色の光学的距離L2 > 青色の光学的距離L3
本発明のEL表示パネルは、光取り出し側の電極には半透過性の金属膜(MgAg等)を形成し、光取り出し側と逆側には電極の機能を兼ねた反射膜12を形成する。反射膜として高反射金属である銀(Ag)を用いると同時に、反射膜と発光層の発光位置との光学的距離Lに関して、L=(2m−(φ/π))×(λ/4)を満たすことで、取り出したい波長λの光を正面方向に集光させている。
さらには、光取り出し側の電極として厚さ10nmのMgAg合金からなる半透過性の金属膜を形成することで、両電極(反射膜12あるいは画素電極15、カソード電極19)間でキャビティ構造を作っている。φは反射膜における反射時の位相シフト[rad]、干渉次数mは0又は正の整数であり、m=0の時に光学的距離Lは式を満足する正の最小値をとる。
干渉次数mは0又は1を選択する。干渉次数0の場合は、膜厚が薄く、使用する材料量を削減でき低コスト化を実現できる。また、視角による色変わりが発生しにくい。しかし、異物による短絡が発生しやすく歩留まり低下が発生するリスクがある。
光学的干渉の次数が1の場合は、膜厚が厚くなり、使用する材料量を多くなり、材料コストが増加する。また、視角による色変わりが発生しやすい。しかし、異物による短絡が発生しにくくなり、歩留まりが向上する。
本発明は、最も発光波長の色の画素の光学的距離Lが、他の発光波長の色の画素の光学的距離Lよりも長く形成していることを特徴とする。たとえば、赤色の画素、緑色の画素、青色の画素がマトリックス状に配置されたEL表示パネルでは、最も発光波長が長い波長は赤色である。したがって、本発明のEL表示パネルでは、赤色の画素の光学的距離Lを、緑色の画素および青色の画素の光学的距離Lよりも長く形成している。
図27に図示するように、隣接した画素電極15間には土手501が形成されている。土手はファイン蒸着マスク112を使用する際に、ファイン蒸着マスク112を支持するためのものである。また、ドナーフィルム47を使用する際に、ドナーフィルム47を支持するためのものである。
本発明のEL表示パネルは、図26、図27に図示するように、画素電極15Rの上方には、赤(R)色の発光層17R、緑(G)色の発光層17G、青(B)色の発光層17Bが形成されている。画素電極15Gの上方には、緑(G)色の発光層17G、青(B)色の発光層17Bが形成されている。画素電極15Bの上方には、緑(G)色の発光層17G、青(B)色の発光層17Bが形成されている。画素電極15Bの上方の緑(G)色の発光層17Gは、レーザ光91bが照射され、改質されている。一実施態様として、赤(R)色の発光層17Rは、レーザ熱転写により形成されている。
画素電極15Rの上方の発光層は、赤(R)色の発光層17Rが、赤(R)色で発光する。緑(G)色の発光層17G、青(B)色の発光層17Bは発光しない。赤(R)色の発光層17Rは、“発光”、緑(G)色の発光層17Gは“消光”、青(B)色の発光層17Bは“消光”となっている。
画素電極15Gの上方の発光層は、緑(G)色の発光層17Gが緑(G)色で発光する。青(B)色の発光層17Bは発光しない。緑(G)色の発光層17Gは“発光”、青(B)色の発光層17Bは“消光”となっている。
画素電極15Bの上方の発光層は、青(B)色の発光層17Bが青(B)色で発光する。緑(G)色の発光層17Gは“消光”、青(B)色の発光層17Bは“発光”となっている。
画素電極15上には、正孔輸送層(HTL)16が形成されている。画素電極15と正孔輸送層(HTL)16間に正孔注入層(HIL 図示せず)を形成してもよい。画素電極15R上には、正孔輸送層(HTL)16Rを形成し、画素電極15G上には、正孔輸送層(HTL)16Gを形成し、画素電極15B上には、正孔輸送層(HTL)16Bを形成してもよい。
画素電極15R、画素電極15G、画素電極15G上の正孔輸送層(HTL)16は、ファイン蒸着マスク112などを使用せずに、画素電極15R、画素電極15G、画素電極15Gで共通に形成する。
なお、正孔輸送層(HTL)16R、正孔輸送層(HTL)16G、正孔輸送層(HTL)16Bは、ファイン蒸着マスク112などを使用して独立して形成してもよい。また、正孔輸送層(HTL)16R、正孔輸送層(HTL)16G、正孔輸送層(HTL)16Bは異なる正孔輸送層(HTL)材料を用いてもよい。
正孔輸送層(HTL)16は、発光層17へ正孔を輸送する働きをし、発光層と接するため発光層17から励起エネルギーが移動せず、さらには高層と相互作用してエキサイプレックスを形成しないように、発光層17よりもエネルギーバンドギャップが大きな材料が用いられる。たとえば、TPD、α―NPD、NBP、TCTAが例示される。
正孔輸送層(HTL)16は、単一の正孔輸送層材料で形成することに限定されるものではなく、複数の正孔輸送層16が積層された構造であっても良い。
正孔注入層は、正孔輸送層16のHOMO準位と陽極の仕事関数との間にHOMO準位を有し、陽極から有機層への掘る注入障壁を下げる働きをする。
このような正孔注入層を構成する材料としては、例えば、ベンジジン、スチリルアミン、トリフェニルアミン、ポルフィリン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、テトラシアノキノジメタン、トリアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、ポリアリールアルカン、フェニレンジアミン、アリールアミン、オキザゾール、アントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベンあるいはこれらの誘導体、または、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、チオフェン系化合物あるいはアニリン系化合物等の複素環式共役系のモノマー、オリゴマーあるいはポリマーを用いることができる。
発光層17の上方には、電子輸送層(ETL)18を形成されている。電子輸送層(ETL)18とカソード電極19との間に電子注入層(図示せず)を形成してもよい。電子輸送層(ETL)18は、赤(R)色の画素37R、緑(G)色の画素37G、青(B)色の画素37Bで異ならせてもよい。
電子輸送層(ETL)18は、カソード電極(陰極)19から電子を注入し輸送する機能を持つ。正孔輸送層(HTL)16と同様に、バンドギャップが広い材料が好ましい。また、発光層17内で生成した励起子の移動を阻止する働きもあるため、励起子阻止層や、BCPはホールの移動を阻止する作用があるため、ホールブロッキング層として使われることもある。
電子輸送層(ETL)18の材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、フェナントロリン、スチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、フラーレン、オキサジアゾール、フルオレノン、またはこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。
具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(略称Alq3)、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、アントラセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、C60、アクリジン、スチルベン、1,10−フェナントロリンまたはこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。このような電子輸送層(ETL)18は積層構造であっても良い。
発光層17は、画素電極(陽極)15とカソード電極(陰極)19とに対する電圧印加時に、陽極側から注入された正孔と、陰極側から注入された電子とが再結合する領域である。このような発光材料としては、例えば、多環縮合芳香族化合物、ベンゾオキサゾール系、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキサノイド化合物、ジスチリルベンゼン系化合物などの薄膜形成性の良い化合物を用いることができる。
多環縮合芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン骨格を含む縮合環発光物質や、約8個の縮合環を含む他の縮合環発光物質などを挙げることができる。
具体的には、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、4,4’−(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニルなどを用いることができる。この発光層は、これらの発光材料の1種または2種以上からなる1層で構成されてもよいし、あるいは該発光層とは別種の化合物からなる発光層を積層したものであってもよい。
発光層17は、燐光(燐光)発光材料とホスト材料とを含有する層とすることが好ましい。燐光発光材料を用いて発光層17を構成した場合、正孔輸送層16は、炭素より重い第14族元素の有機化合物基を有する材料で構成されていることが好ましい。
ホスト材料は、発光材料の濃度消光が激しいときや、発光材料のキャリア移動度が遅く単層膜として挿入できない場合など、バイポーラー性のホスト材料中に発光色素(ゲスト材料)をドーピングする。ホスト材料は、ゲスト材料よりも大きなバンドギャップを有している必要がある。
また、燐光発光材料をドーピングするときは、ホスト材料の三重項のバンドギャップも燐光発光材料よりも大きい必要がある。小さい場合はエネルギー移動し、エネルギーを閉じ込められなくなったり、ホスト材料の三重項から熱失活してしまったりするので、材料の選択には注意を要する。
燐光材料には、禁制である三重項からの発光をえるため、重原子効果を利用する。そのため、中心金属に白金やイリジウムを有する材料が例示される。これらの金属錯体は、配位子のπ電子の広がりを制御することによって、青(B)色〜赤(R)色の発光色が得られている。
ホスト材料としては、4,4'-Bis(9H-carbazol-9-yl)biphenyl 、4,4'-Bis(2,2-diphenylvinyl)biphenyl、9,9'-Bianthracene、4,4'-Bis(9H-carbazol-9-yl)biphenyl (purified by sublimation)、2,6-Bis[3-(9H-carbazol-9-yl)phenyl]pyridine、Bis[2-(2-pyridinyl)phenolato]beryllium(II) 、4,4'-Bis(9H-carbazol-9-yl)-2,2'-dimethylbiphenyl 、2,8-Bis(9H-carbazol-9-yl)dibenzothiophene 、2,6-Bis(9H-carbazol-9-yl)pyridine 、2,2''-Bi-9,9'-spirobi[9H-fluorene] (This product is only available in Japan.) 、9,9-Bis[4-(1-pyrenyl)phenyl]fluorene 、9,10-Bis(4-methoxyphenyl)anthracene 、4,4'-Bis(2,2-diphenylvinyl)biphenyl (purified by sublimation) 、Bis[2-[(oxo)diphenylphosphino]phenyl] Ether 、3,7-Bis[4-(9H-carbazol-9-yl)phenyl]-2,6-diphenylbenzo[1,2-b:4,5-b’]difuran 、9,10-Diphenylanthracene 、9,10-Di(1-naphthyl)anthracene 、1,3-Di-9-carbazolylbenzene (purified by sublimation) 、9,10-Di(2-naphthyl)anthracene 、9,10-Diphenylanthracene (purified by sublimation) 、3,3'-Di(9H-carbazol-9-yl)-1,1'-biphenyl 、9,9'-Diphenyl-9H,9'H-3,3'-bicarbazole 、3,3''-Di(9H-carbazol-9-yl)-1,1':3',1''-terphenyl 、9-[3-(Dibenzofuran-2-yl)phenyl]-9H-carbazole 、Diphenyl[9,9'-spirobi[9H-fluoren]-2-yl]phosphine Oxide (This product is only available in Japan.) 、1,4-Di(1-pyrenyl)benzene 、2,7-Di(1-pyrenyl)-9,9'-spirobi[9H-fluorene] 、9,10-Di(1-naphthayl)anthracene (purified by sublimation) 、9,10-Di(2-naphthayl)anthracene (purified by sublimation) 、2-Methyl-9,10-di(2-naphthyl)anthracene 、Poly(N-vinylcarbazole) 、Tris(8-quinolinolato)aluminum 、1,3,5-Tri(9H-carbazol-9-yl)benzene (purified by sublimation) 、Tris(8-quinolinolato)aluminum (purified by sublimation) 、4,4',4''-Tri-9-carbazolyltriphenylamine (purified by sublimation) 、4,4',4''-Tri-9-carbazolyltriphenylamine 、1,3,5-Tri(1-naphthyl)benzene 、9,9',10,10'-Tetraphenyl-2,2'-bianthracene等が例示される。
赤(R)色ドーパント(ゲスト材料)としては、4-(Dicyanomethylene)-2-methyl-6-(4-dimethylaminostyryl)-4H-pyran 、4-(Dicyanomethylene)-2-methyl-6-[2-(2,3,6,7-tetrahydro-1H,5H-benzo[ij]quinolizin-9-yl)vinyl]-4H-pyran 、DCJTB 、(1,10-Phenanthroline)tris[4,4,4-trifluoro-1-(2-thienyl)-1,3-butanedionato]europium(III) 、5,6,11,12-Tetraphenylnaphthacene 、Tris(1,3-diphenyl-1,3-propanedionato)(1,10-phenanthroline)europium(III) 、5,6,11,12-Tetraphenylnaphthacene (purified by sublimation) 、Tris[1-phenylisoquinoline-C2,N]iridium(III) (purified by sublimation) 、Tris(acetylacetonato)(1,10-phenanthroline)europium(III) 、Tris(1,10-phenanthroline)ruthenium(II) Bis(hexafluorophosphate) が例示される。
緑(G)色ドーパント(ゲスト材料)としては、Bis(8-quinolinolato)zinc(II) Hydrate 、Bis[2-(2-benzothiazolyl)phenolato]zinc(II) 、Bis[2-(2-benzoxazolyl)phenolato]zinc(II) 、3-(2-Benzothiazolyl)-7-(diethylamino)coumarin 、3-(2-Benzimidazolyl)-7-(diethylamino)coumarin 、Coumarin 545T 、(2,2'-Bipyridine)bis(2-phenylpyridinato)iridium(III) Hexafluorophosphate 、(2,2'-Bipyridine)bis[2-(2,4-difluorophenyl)pyridine]iridium(III)Hexafluorophosphate、9,10-Bis[N-(m-tolyl)anilino]anthracene 、9,10-Bis[N,N-di(p-tolyl)amino]anthracene 、2,6-Bis(diphenylamino)anthraquinone 、B5149 9,10-Bis[N-(p-tolyl)anilino]anthracene 、7-(Diethylamino)-3-(1-methyl-2-benzimidazolyl)coumarin 、Coumarin 153 、Coumarin 545 、N,N'-Dimethylquinacridone 、N,N'-Dimethylquinacridone (purified by sublimation) 、7-(Dimethylamino)-4-(trifluoromethyl)coumarin 、7-(Diethylamino)-4-(trifluoromethyl)coumarin 、5,12-Dibutyl-1,3,8,10-tetramethylquinacridone 、N,N'-Dibutylquinacridone 、(4,4'-Di-tert-butyl-2,2'-bipyridine)bis[(2-pyridinyl)phenyl]iridium(III) Hexafluorophosphate 、Quinacridone 、Quinacridone (purified by sublimation) 、Tris(2-phenylpyridinato)iridium(III) (purified by sublimation) 、Tris(acetylacetonato)(1,10-phenanthroline)terbium(III) が例示される。
青ドーパント(ゲスト材料)としては、1,4-Bis[4-(di-p-tolylamino)styryl]benzene 、4,4'-Bis[4-(di-p-tolylamino)styryl]biphenyl 、1,4-Bis[2-(9-ethylcarbazol-3-yl)vinyl]benzene 、3-(Diphenylamino)dibenzo[g,p]chrysene 、Perylene 、Perylene (purified by sublimation) 、4-Styryltriphenylamine 、1,3,6,8-Tetraphenylpyrene 、2,5,8,11-Tetra-tert-butylperylene が例示される。
本発明のEL表示パネルの発光層17は、ホスト材料とドーパンド材料(ゲスト材料)を共蒸着して形成することが好ましい。
電子注入層は、電子注入層として用いられるものであり、仕事関数が小さく、かつ光透過性の良好な材料を用いて構成される。このような材料としては、例えばリチウム(Li)の酸化物である酸化リチウム(Li2O)や、セシウム(Cs)の複合酸化物である炭酸セシウム(Cs2CO3)、さらにはこれらの酸化物および複合酸化物の混合物を用いることができる。
電子注入層は、このような材料に限定されることはなく、例えば、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、さらにはインジウム(In)、マグネシウム(Mg)等の仕事関数の小さい金属、さらにはこれらの金属の酸化物および複合酸化物、フッ化物等を、単体でまたはこれらの金属および酸化物および複合酸化物、フッ化の混合物や合金として安定性を高めて使用しても良い。
カソード電極(陰極)19は、例えば金属材料を用いて構成されたものであり、光透過性を有している。例えば、MgAgなどの光透過性を有する層を用いた薄膜により構成されている。この金属陰極層は、さらにアルミキノリン錯体、スチリルアミン誘導体、フタロシアニン誘導体等の有機発光材料を含有した混合層であっても良い。さらに第3の層としてMgAgのような光透過性を有する層を別途有していてもよい。
図26、図27等は、一実施例としてMgAgを例示してカソード電極(陰極)19を形成している。カソード電極(陰極)19は、蒸着により形成する。カソード電極(陰極)19を形成したのち、下地に対して影響を及ぼすことのない程度に、成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、例えば蒸着法やCVD法により、封止層20を形成する。
例えば、アモルファス窒化シリコンからなる封止層20を形成する場合には、CVD法によって2〜3μmの膜厚に形成する。この際、有機層の劣化による輝度の低下を防止するため、成膜温度を常温に設定すると共に、封止層の剥がれを防止するために膜のストレスが最小になる条件で成膜することが望ましい。
また、SiONなどをCVDで形成した後、有機材料などを形成して、封止層20としてもよい。封止層20には、封止フィルム27を貼り付け、防湿対策をすることが好ましい。また、光出射側には、表示コントラストを良好なものとするため、円偏光板(円偏光フィルム)29を貼り付けることが望ましい。
EL素子22が、共振器構造となっている場合、半透過半反射性を有して構成された陰極19の光反射面と、反射膜12の光反射面との間で多重干渉させた発光が陰極19側から取り出される。反射膜12の光反射面と陰極19側の光反射面との間の光学的距離は、取り出したい光の波長によって規定され、この光学的距離を満たすように各層の膜厚および干渉条件が設定される。
このような上面発光型のEL素子22においては、このキャビティ構造を積極的に用いることにより、外部への光取り出し効率の改善や発光スペクトルの制御を行うことが可能である。
なお、本発明の製造装置、製造方法、EL表示パネル等は、反射膜12がなく、陰極19を反射膜として、下部電極側からのみ光を取り出すようにした、下面発光型(いわゆる透過型)のEL素子にも適用可能であることは言うまでもない。
以上の事項は本発明の他の実施例においても同様あるいは類似である。また、前述の本発明の実施例は他の実施例と組み合わせることができることは言うまでもない。
TFT基板11の画素電極15の表面を酸素プラズマ処理し、その表面に付着した有機物等の汚染物を除去する。具体的には、TFT基板11を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、続いて大気圧下で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。
以下、本発明のEL表示パネルの製造方法について説明する。まず、本発明のEL表示パネルの製造方法の一工程であるレーザ熱転写工程について説明をする。図4は、本発明のレーザ熱転写工程の説明図である。図4は、本発明によるドナーフィルム47を用いて転写する方法を説明するための図である。
図4に示すように、ドナーフィルム47上に光学変換膜43、中間膜44、バッファ膜45を塗布したドナーフィルム47および上記ドナーフィルム47の上部に転写有機膜46が形成されている。
転写有機膜46は有機薄膜形成用物質をコーティングして製造し、このとき、様々な特性を改善するために、所定含量の添加物質が添加されてもよい。例えば、発光層17の効率を高めるためにドーパント(dopant)が添加されてもよい。そして、転写有機膜46を形成する方法としては、一般的なフィルムコーティング方法である圧出、スピンコーティング方法が用いられる。
ドナーフィルム47の接着工程時、支持機構76a、76bは、ドナーフィルム47とTFT基板11が密着されるように下降する。加圧ローラー77は、ドナーフィルム47上にTFT基板11に向かって圧力を加えて、ドナーフィルム47とTFT基板11との密着性をさらに向上させる。
加圧ローラー77は、図7に示すように、ローラー形状が例示される。ローラー形状を有する加圧ローラー77をドナーフィルム47上に転がすことによって、ドナーフィルム47とTFT基板11との密着性を向上させることができる。
図4において、ドナーフィルム47の光熱変換膜43、中間膜44、バッファ膜45のいずれかを磁性体材料で形成する。TFT基板11の裏面(ドナーフィルム47を配置した反対側)に、永久磁石あるいは電磁磁石を有する磁力発生装置48を配置する。磁力発生装置から磁力の発生により、ドナーフィルム47が吸い寄せられ、ドナーフィルム47とTFT基板11とはより良好に密着させることができる。
本明細書では、転写有機膜46は、発光層(EML)材料であるとして説明する。より理解を容易にするため、図4の実施例では、転写有機膜46は赤色(R)の発光層(EML)材料であるとして説明する。
なお、転写有機膜46は、色(R)の発光層(EML)17材料に限定されるものではなく、他の色の発光層(EML)17材料であっても良いことは言うまでもない。また、転写有機膜46は、色(R)の発光層(EML)17材料に限定されるものではなく、正孔輸送層(HTL)16、電子輸送層(ETL)18など他の層材料であっても良い。
TFT基板11と土手501などにより離隔された位置にドナーフィルム47を配置した後、ドナーフィルム47にレーザ光91aを照射する。レーザ光91aは、ベースフィルム41を通過して光学変換膜43を加熱し熱を放出する。
このように放出された熱によって、ドナーフィルム47の光学変換膜43が膨張され、転写有機膜46がドナーフィルム47から剥離する。剥離した転写有機膜46がTFT基板11の正孔輸送層(HTL)16上に、発光層17Rとして所望するパターンと厚さに転写される。つまり、転写有機膜46が発光層17Rとなる。
本発明のように、バッファ膜45を導入し、レーザ熱転写時にドナーフィルム47と転写有機膜46との間の表面特性、特に、接着力を向上させて基板に低分子物質が付かないように転写パターン特性を向上させることができる。
レーザ装置74としては、固体、ガス、半導体、染料などのすべての汎用のレーザ装置がすべて使用されることができる。特に、赤外性領域の波長あるいは可視光領域の波長のレーザ光91aを採用することが好ましい。好ましくは、波長800以上1200nm以下の赤外レーザ光91aを照射する。レーザビームの形状も円形のビームまたはその他のあらゆる形状のビームが用いられる。
上記のような転写過程を経た後は、転写された転写有機膜を固形化、固着化させるために熱処理する工程を行う。
ここで、転写物質の転写は、一度または多段階を経て行われる。すなわち転写有機膜46が薄い場合は、一度に必要な厚さを転写することができる。転写有機膜46が厚い場合は、複数回、繰り返して転写することもできる。しかし、工程の便宜性及び安定性を考慮した場合、一度に転写物質を転写することが好ましい。
レーザ光91aの照射は、図6に図示するように、赤色の画素37Rの画素電極15Rの上方に順次行う。レーザ光91aの照射により、ドナーフィルム46の転写有機膜46が画素電極15Rの上方に転写される。
TFT基板11とドナーフィルム47とが前述の接着工程により接着された状態で、レーザ熱転写工程で、ドナーフィルム47上の発光層17Rが転写される領域にのみレーザ光91aを照射する。レーザ光91aが照射されれば、光熱変換膜43がTFT基板11方向に膨張することによって、転写有機膜46も膨張され、レーザが照射された領域の転写有機膜46がドナーフィルム47から剥離されて、TFT基板11に転写される。
図4の実施例では、ドナーフィルム47は、TFT基板11に形成された土手501によって保持されている。また、図6に図示するように、赤色の画素37Rあるいは赤色の画素列ごとにレーザ光91aが照射されて、発光層17Rが形成される。
図4では、レーザ光91a1が照射され、該当の画素37Rあるいは赤色の画素列の発光層17Raが形成される。次に、レーザ光91a2が照射され、該当の画素37Rあるいは赤色の画素37列の発光層17Rbが形成される。上記の事項は、図5に図示するTFT基板11に対しても同様である。
レーザ光91aは、図8に図示するように、ガルバノミラー72で走査する。ガルバノミラー72により、レーザ光91aA、レーザ光91aBのようにレーザ光91aが走査され、図6に図示するように、赤色の画素列に発光層(EML)17Rが形成される。
図4の実施例では、土手501でドナーフィルム47を、TFT基板11上に保持した実施例である。しかし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図5に図示するように、土手501を形成しない構成であってもよい。この場合は、支持機構76でドナーフィルム47を張力により保持させればよい。
図6に示すように、TFT基板11上に、マトリックス状に配置された画素に対応して転写有機膜46が転写されれば、剥離工程により、ドナーフィルム47とTFT基板11とを剥離させる。剥離されたTFT基板11上には、転写有機膜46が形成されており、ドナーフィルム47上には、レーザが照射された領域の転写有機膜46のみが転写され、残りの部分は、そのままドナーフィルム47上に残っている。
TFT基板11に転写される発光層17の転写パターンは、ドナーフィルム47のレーザ光の照射位置に依存したものとなる。これにより、TFT基板11上の単位画素部分に発光層(EML)17が形成される。このようにして発光層17を転写した後は、TFT基板11とドナーフィルム47を分離する。
ドナーフィルム47とTFT基板11との接着工程及びレーザ熱転写後には、図9で説明したドナーフィルム47をTFT基板11からはがす剥離工程を行う。
剥離工程において、本発明の一実施形態によるレーザ熱転写装置は、図9に示したように、加圧ローラー77を利用する。剥離工程時には、まず、支持機構76aが上昇しつつ、ドナーフィルム47の一端部からTFT基板11から分離される。この時、加圧ローラー77は、ドナーフィルム47とTFT基板11とが分離される部分で、TFT基板11に向かってドナーフィルム47に圧力を加えることによって、TFT基板11に転写された転写有機膜46がドナーフィルム47と共にはがれることを防止する。加圧ローラー77は、支持機構76aがドナーフィルム47の一端部を持ち上げることによって、ドナーフィルム47の一端部側から他端部側へ移動する。
なお、以上の実施例では、熱転写により赤色の発光層17Rを形成するとしたがこれに限定するものではない。緑色の発光層17G、青色の発光層17Bであってもよいことは言うまでもない。また、赤色の発光層17R、緑色の発光層17G、青色の発光層17Bを順次、形成してもよい。また、発光層17に限定されるものではなく、正孔輸送層(HTL)16、電子輸送層(ETL)18などの他の層であっても本発明の製造方法が適用できることは言うまでもない。
図4、図5で示したように、TFT基板11上に転写有機膜46が転写されれば、前述の剥離工程によりドナーフィルム47とTFT基板11とを分離させる。
図4、図5の実施例により、転写有機膜46が発光層(EML)17Rとして、TFT基板11赤色の画素15Rに転写される。しかし、図10に図示するように、転写有機膜46は、赤色の画素電極15Rの上方だけでなく、土手501上に付着膜101bとして付着することがある。また、赤色の画素電極15Rだけでなく、緑色の画素電極15Gの上方、青色の画素電極15Bの上方に付着膜101aとして付着する場合がある。
土手501上に付着した付着膜101bは、混色問題は発生しない。しかし、転写工程後に、剥離して、画素電極15上に付着して不良原因になる場合がある。また、緑色の画素電極15Gの上方、青色の画素電極15Bの上方に付着した付着膜101aは、発光し、混色問題となる場合がある。
たとえば、緑色の画素電極15Gの上方に付着した赤色の転写有機膜46は赤色で発光する場合がある。転写有機膜46が赤色で発光すると、緑色光に赤色光が混色した光となる。もしくは、付着量が多い場合は、赤色の発光となる。
青色の画素電極15Bの上方に付着した赤色の転写有機膜46は赤色で発光する場合がある。転写有機膜46が赤色で発光する発光層(EML)だとすると、緑色光に赤色光が混色した光となる。もしくは、赤色の発光となる。
図10は、本発明のEL表示パネルの製造工程で発生する付着膜101を改質あるいは除去する方法の説明図である。
熱転写により、不要な箇所に付着した付着膜101には、レーザ光91cを照射して改質させる。付着膜101に紫外線帯域のレーザ光91cを照射する。紫外線帯域のレーザ光91cの照射により付着膜101のゲスト材料は改質される。改質により、付着膜101は発光しなくなるか、除去される。レーザ光91cの照射は、真空中で実施する。
なお、レーザ光91cは、レーザ光91aと同様のものを使用できる。また、レーザ装置74もレーザ光91aを発生するレーザ装置と同様のものを使用できる。レーザ装置は、図7で図示、説明したものを使用できる。ただし、レーザ光の波長は紫外線領域の波長を使用することが好ましい。
レーザ光91cの照射により、付着膜101のゲスト材料のバンドギャップはホスト材料のバンドギャップよりも大きく、ゲスト材料とホスト材料のHOMOおよびLUMOの相対的な配置は、HOMOはゲスト材料のほうがホスト材料よりも低く、LUMOはゲスト材料のほうがホスト材料よりも高い、のうち、少なくとも1つ以上の関係を発生する。もしくは、レーザ光91cの照射により、付着膜101は加熱され、蒸発し、画素電極15Gの上方、画素電極15Bの上方から除去される。
以上の事項は、レーザ光91aで説明したことと同様であるので詳細は省略する。
レーザ装置74は、A紫外線(UV−A)近傍の310以上400nm以下の波長の光を発生し、発生した光を所定の付着膜101に照射する機能を有する。
紫外線(UV)を発生するレーザ装置(以降、UVレーザ装置と呼ぶ)は、光子の持つエネルギーが大きいため、結合の弱い部分を持つ材料(主に有機物)に照射すると分子結合を直接解離する光分解加工が行える。光分解加工はワークに当たったエネルギーが加熱ではなく、分解に主に使われるので加工面が極めてシャープとなる。
付着膜101を改質あるいは蒸発させる際は、真空中で行うため、有機材料は炭化することがなく、また、加工周辺部に影響を与えない。または、レーザ光を集光させて加工位置に照射することができるため、加工位置の付着膜101を容易に蒸発あるいは改質させることができる。
紫外線領域(UV)のレーザ光は波長が短いため、レーザのスポット径を小さくできる。したがって、土手501上の微小な領域であっても、加工に用いるレーザエネルギー量を集光できる。
なお、本明細書において、理解を容易にするため、レーザ光91cは主として紫外線領域の波長の光を使用するが、これに限定するものではない。たとえば、青(B)色領域の波長の光もレーザ光として使用できる。
図7に図示するように、レーザ装置74が発生したレーザ光91aは、光量調整フィルタ71でレーザ光91aの強度が調整される。
レーザ装置74が発生したレーザ光91は必要に応じて、シリンドリカルレンズで矩形あるいは楕円形に整形する。また、スリットマスクで画素形状に略一致させるように略矩形あるいは円形状に整形する。
光量調整フィルタ71で強度が調整されたレーザ光91cは、ガルバノミラー72に入射する。レーザ装置74が発生したレーザ光91cは、ガルバノミラー72でレーザ光の方向を変化させられ、fθレンズ73により、付着膜101の表面に照射される。
以上のように、熱転写の際に、転写有機膜46が付着膜101として不要な箇所に付着するという問題が発生する場合がある。図10で説明したようにレーザ光91cを付着膜101に照射することにより、容易に付着膜101を改質することができる。したがって、付着膜が付着した箇所に混色などの発生はなくなり、良好な表示品位を実現できる。また、付着膜101を改質するための動作は、レーザ光91cを照射するだけである。マスクなども不要であり、コストもかからない。あるいは、レーザ光91cを付着膜101に照射することにより、付着膜101を蒸発させて除去する。
本発明のEL表示パネルの製造方法では、画素電極15の上方に形成された発光層17を改質あるいは除去する方法も実施する。この説明を図11に示す。図11は本発明のEL表示パネルの製造方法において、製造途中段階でのEL表示パネルの状態を示す。
図11は、本発明のEL表示パネルの製造方法の説明図である。画素電極15Rの上方には正孔輸送層(HTL)16R、発光層(EML)17R、発光層(EML)17Gが形成されている。画素電極15Gの上方には正孔輸送層(HTL)16R、発光層(EML)17Gが形成されている。画素電極15Bの上方には正孔輸送層(HTL)16B、発光層(EML)17Gが形成されている。
画素電極15Bの上方の発光層(EML)17Gには、レーザ光91bが照射され、発光層(EML)17Gは改質される。
レーザ光91bとレーザ光91cとは同一のものを使用することができる。また、レーザ光91bを発生するレーザ装置は、レーザ光91cを発生するレーザ装置と同一のものを使用することができる。
画素電極15Bの上方に形成された発光層17Gは、紫外線光領域のレーザ光91bが照射される。レーザ光91bは、主として、発光層(EML)17Gのゲスト材料に吸収される。
画素電極15Bの上方に形成された発光層17Gのゲスト材料は、紫外線光の吸収によって共有結合鎖が切断される。酸素の無い蒸着室126で共有結合鎖が切断されると、共有結合鎖のラジカルは二重結合を生成したり、他の共有結合鎖の原子を引き抜き結合したり、他の共有結合鎖と架橋構造を生成したりと構造に変化が生じる。また、共有結合鎖が切断されることで他の物質へも変化する。
したがって、画素電極15Bの上方に形成された発光層17Gのゲスト材料のHOMO、LUMO電位が変化し、レーザ光91bを照射された発光層17Gのゲスト材料は発光しなくなる。つまり、発光層17Gが改質し改質層62となる。
図13に図示するように、レーザ光91bは、平行光であり直進性がよい。そのため、所定の画素の発光層17を選択してレーザ光91bを照射することができる。
本発明のEL表示パネルの製造方法は、平行光であり直進性がよいレーザ光91bを用いることにより、レーザ光91bは、走査あるいはライン状に、画素37を選択して照射することができる。したがって、従来の製造方法のように、ファイン蒸着マスク112は使用する必要がない。
以上の事項は、レーザ光91cでも同様に適用できる。また、レーザ光19aでも同様に適用できる。
ファイン蒸着マスク112を使用しないため、本発明はEL表示パネルの製造装置の装置コストを低減できる。ファイン蒸着マスク112の位置決めも不要であるから、製造タクトを短縮することができる。
図11の実施例は、発光層(EML)17Gを形成した後、青色(B)の画素の上方の緑色の発光層17Gにレーザ光91bを照射し、前記発光層17Gを改質または除去する方法であった。
本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図47に図示するように、蒸着材料111を蒸着する工程中に、レーザ光91bを照射し、必要な箇所の発光層17を改質させても良い。
一例として、図47に図示するように、緑色の発光層17Gとなる蒸着材料111Gを表示領域に蒸着する。蒸着材料111Gは、赤(R)色、緑(G)色、青(B)色の画素の上方、かつ、表示画面36の範囲に蒸着される。蒸着にはファインマスクを使用せず、表示画面36内の蒸着されるようにするラフマスクを使用する。
蒸着材料111Gの蒸着工程中に、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gに、レーザ光91bが照射される。レーザ光91bは図17、図18、図19などの図示するようにレーザスポット171を移動させて、発光層17Gを改質させる。発光層17Gのゲスト材料はレーザ光を吸収することによりバンドギャップ等が変化し、レーザ光91bを照射された箇所の発光層17Gは”消灯”する。
前記実施例では、発光層17Gにレーザ光91bを照射し、また、レーザ光91bを走査して発光層17Gを順次、改質または除去する方法であった。しかし、これに限定するものではない。たとえば、図21のように、スリットマスク201を介して、発光層17Gにレーザ光91bを照射し、一度に複数の画素の発光層17Gを改質させても良いことは言うまでもない。以上の事項は、本発明の他の実施例にも適用できることは言うまでもない。
レーザ光91bの照射は、蒸着材料111の蒸着中に断続的に実施される。したがって、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gは、蒸着材料111Gの蒸着中に複数回、レーザ光91bが照射される。
蒸着材料111Gの蒸着中に、レーザ光91bが照射する。そのため、発光層17Gの既定の膜厚より薄い状態で、レーザ光91bを照射する。改質させる発光層17Gの膜厚が薄いため、レーザ光91bが発光層17Gに侵入する深さが浅くてもよい。したがって、レーザ光91bの照射単位面積あたりの強度を減少させることができる。また、発光層17Gを複数回、蒸着し、また、複数回、レーザ光91bを照射して、発光層17Gを改質等させる。したがって、均一に発光層17Gを改質させることができる。あるいは、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gを良好に除去することができる。
なお、図47の実施例では、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gに複数回のレーザ光91bを照射するとしたが、これに限定するものではない。たとえば、レーザ光91bを照射する発光層17は、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gに限定するものではなく、他の色に発光層17であってもよい。また、正孔輸送層あるいは電子輸送層などEL素子を構成する他の層であってよいことは言うまでもない。以上の事項は、本発明の他の実施例にも適用できることは言うまでもない。
また、蒸着材料111の蒸着中に、レーザ光91bが照射するとしたが、これに限定するものではなく、蒸着材料111の蒸着を停止する。その後に、発光層17にレーザ光91bを照射する。その後、蒸着材料111の蒸着を再開し、所定膜厚の発光層17を形成後、蒸着材料111の蒸着を停止する。その後に、発光層17にレーザ光91bを照射する工程を、複数回、繰り返しても良いことは言うまでもない。
図48〜図52は、発光層17Gを2回に分割して形成し、2回のレーザ光91bを照射して発光層17Gを改質または除去する製造方法の説明図である。
図48では、緑(G)色の発光層17Gとなる蒸着材料111Gを表示領域に発光層17Gaとして蒸着する。蒸着材料111Gは、赤(R)色、緑(G)色、青(B)色の画素の上方、かつ、表示画面36に蒸着される。蒸着する発光層17Gaの膜厚は、最終膜厚よりも薄い膜厚である。本発明は、最終膜厚の1/n(nは整数)の発光層17を、n回蒸着することにより所定の発光層17の膜厚を形成する。図48〜図52の製造方法では、理解を容易にするため、発光層17の蒸着は、2回に分割して実施するとして説明をする。
図49に図示するように、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gaに、レーザ光91bが照射される。レーザ光91bは図17、図18、図19などの図示するようにレーザスポット171を移動させて、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gaを改質させる。レーザ光91bを照射された箇所の発光層17Gaは”消灯”する。また、図21のように、スリットマスク201を用いて発光層17Gaを改質あるいは除去する。
青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gaは、蒸着材料111Gの蒸着中に複数回、レーザ光91bが照射される。レーザ光91bの照射により青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gaは、改質層62aとなる。発光層17Gaの最終の既定の膜厚の1/2の膜厚で、レーザ光91bを照射する。したがって、改質させる発光層17Gaが、最終の既定の膜厚の1/2と薄いため、レーザ光91bの照射単位面積あたりの強度を減少させることができる。
また、発光層17Gを複数回、蒸着し、また、複数回、レーザ光91bを照射して、発光層17Gを改質等させる。したがって、均一に改質させることができる。あるいは、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gaを良好に除去することができる。
次に、図50に図示するように、緑色の発光層17Gbとなる蒸着材料111Gを表示領域に発光層17Gaとして蒸着する。蒸着材料111Gは、赤、緑、青の画素の上方、かつ、表示画面36に蒸着される。蒸着する発光層17Gbの膜厚は、最終膜厚よりも薄い膜厚である。図48〜図52の製造方法では、発光層の蒸着は、2回に分割して実施する。
なお、発光層17Gaと発光層17Gbは同一の発光材料である。また、発光層17Gaの膜厚と発光層17Gbの膜厚を加算したものが、発光層17Gの膜厚となるように設定する。
次に、図51に図示するように、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gbに、レーザ光91bが照射される。レーザ光91bは、図17、図18、図19などの図示するようにレーザスポット171を移動させて、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gbを改質させる。レーザ光91bを照射された箇所の発光層17Gbは”消灯”する。また、図21のように、スリットマスク201を用いて発光層17Gbを改質あるいは除去してもよい。
図51の方法により、図52に図示するように、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gbは、改質層62bとなる。
なお、図48〜図52の実施例では、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gに2回のレーザ光91bを照射するとしたが、これに限定するものではない。2回以上のレーザ光91bの照射であればいずれの回数であってでもよい。レーザ光91bを照射する発光層17は、青色の画素の上方に蒸着された発光層17Gに限定するものではなく、発光層17G(緑)だけでなく、他の色の発光層17であってもよい。また、正孔輸送層あるいは電子輸送層などEL素子を構成する他の層であってよいことは言うまでもない。以上の事項は、本発明の他の実施例にも適用できることは言うまでもない。
以上の実施例では、図17、図18、図19で図示するように、画素にレーザ光91bのレーザスポット171を照射し、該当の発光層17を改質または除去する方法であったが、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図53〜図56に図示するように、スリットマスク201を使用してもよい。
スリットは、図20、図21に図示されているものがイメージされる。図53に図示するように、スリットマスク201の開口部は、画素37位置に対応して位置決めされる。
スリットマスク201aは、蒸着材料111が画素37aの上方に蒸着されるに位置決めされる。スリットマスク201cは、蒸着材料111が画素37cの上方に蒸着されるに位置決めされる。
スリットマスク201bは、レーザ光91bが画素37bの上方に照射されるに位置決めされる。スリットマスク201dは、レーザ光91bが画素37dの上方に照射されるに位置決めされる。
以上の構成あるいは配置により、画素37a、画素37cには、発光層17が形成される。画素37b、画素37dの発光層17にはレーザ光91bが照射され発光層17は改質あるいは除去される。なお、画素37b、画素37dの発光層17が形成してからレーザ光91bが照射されるように制御することは言うまでもない。
図54は、図53の次の工程の説明図である。スリットマスク201aは、レーザ光91bが画素37aの上方に照射されるに位置決めされる。スリットマスク201bは、レーザ光91bが画素37cの上方に照射されるに位置決めされる。
スリットマスク201bは、蒸着材料111が画素37bの上方に蒸着されるに位置決めされる。スリットマスク201dは、蒸着材料111が画素37bの上方に蒸着されるに位置決めされる。
図53と図54とは、レーザ光91bを照射する画素37と、蒸着材料を蒸着する画素37とが逆の関係になっている。つまり、蒸着材料を蒸着した画素37の発光層17は、次工程でレーザ光91bが照射された改質あるいは除去される。また、発光層17の形成は複数回に分けて実施される。レーザ光91bの照射による改質あるいは除去も複数回に分けて実施される。
発光層17の既定の所定膜厚より薄い状態で、レーザ光91bを照射する。したがって、改質させる発光層17の膜厚が薄いため、レーザ光91bの強度を減少させることができる。また、均一に改質させることができる。あるいは、蒸着された発光層17を良好に除去することができる。
図53、図54は、基板11の全面あるいは多くの部分にスリットマスク201を配置する構成であった。図55、図56は、スリットマスク201b、201dを移動させて、発光層17の形成と、レーザ光91bの照射を実施する方法である。
スリットマスク201bは、蒸着材料111が画素37bの上方に蒸着されるに位置決めされる。スリットマスク201dは、蒸着材料111が画素37dの上方に蒸着されるに位置決めされる。
以上の状態で、蒸着材料111がスリットマスク201の開口部を通過して、画素37b、37dに蒸着されて、発光層17(図示せず)が形成される。
次に、図56に図示するように、スリットマスク201bは、レーザ光91bが画素37aの上方に照射されるに位置決めされる。スリットマスク201dは、レーザ光91bが画素37cの上方に照射されるように位置決めされる。画素37a、画素37cの発光層17にはレーザ光91bが照射され発光層17は改質あるいは除去される。
次の工程では、図55で説明した工程が実施され、次に、図56で説明した工程が実施される。蒸着材料を蒸着した画素37の発光層17は、次工程でレーザ光91bが照射された改質あるいは除去される。また、発光層17の形成は2回以上に分けて実施される。レーザ光91bの照射による改質あるいは除去も2回以上に分けて実施される。なお、2回に限定されるものではない。
発光層17の既定の膜厚より薄い状態で、レーザ光91bを照射する。したがって、改質させる発光層17の膜厚が薄いため、レーザ光91bを照射させる単位面積あたりの強度を減少させることができる。また、均一に改質させることができる。あるいは、蒸着された発光層17を良好に除去することができる。また、発光層17を複数回に分けて、レーザ光91bを照射するため、照射ムラが発生しにくい。
レーザ装置室168等は真空中でレーザ光を対象の発光層17に照射する。紫外線領域等のような短波長のレーザ光91bを照射するため、発光層17のゲスト材料は酸素と結合することなく、容易に発光層17に化学変化を起こさせることができる。特に化学変化等は、特に発光層17のゲスト材料に発生する。
本発明は、発光層17へのレーザ光91b、91cを照射することにより、ゲスト材料のバンドギャップはホスト材料のバンドギャップよりも大きく、ゲスト材料とホスト材料のHOMOおよびLUMOの相対的な配置は、HOMOはゲスト材料のほうがホスト材料よりも低く、LUMOはゲスト材料のほうがホスト材料よりも高い、のうち少なくとも1つ以上の関係を発生させる。
したがって、レーザ光91b、91cを照射された発光層17は消光するか、非発光となるか、もしくはほとんど発光しなくなる。あるいは、ゲスト材料に紫外線を吸収させ、ゲスト材料のバンドギャップを、可視光を発光するエネルギーギャップ領域よりも大きくすることで、発光層17が消光するか、非発光となるか、もしくはほとんど発光しなくなる。あるいは、該当発光層17は除去される。
ゲスト材料が完全に改質しない場合は、発光が残存(残光)する。残光する発光は、中心波長からはずれた波長の光になる場合が多い。中心波長からはずれた光は、マイクロキャビティ効果により、残光は出力されなくなる。あるいは残光が低減する。したがって、残光する発光の影響はほとんどなくなり、良好な色再現性を実現できる。
本発明のEL表示パネルは、光学的膜厚Lを、各色の波長に適するように設定してEL素子22を形成している。したがって、良好なマイクロキャビティ効果を発揮することができ、残光が発生しても、色純度の高い、各色の発光を実現できる。
レーザ光91bは集光性がよいため、画素電極15の形状にあわせてレーザ光91bを集光することにより、画素電極15部に単位面積あたり強いレーザ光91bを照射することができる。そのため、所定の箇所の発光層17のゲスト材料を短時間で改質することができる。または、短時間で、画素電極15の発光層17を蒸発させることができる。また、レーザ光91bの走査制御も容易である。したがって、EL表示パネルの製造タクトを非常に短くすることができる。
レーザ光91cの場合もレーザ光91bと同様であり、付着膜101を短時間で改質あるいは除去することができる。また、製造タクトも短くすることができる。
画素電極15Rでは発光層17Rの電子正孔注入バランス(electron/hole injection balance)を最適化する。画素電極15Gでは発光層17Gの電子正孔注入バランスを最適化する。画素電極15Bでは発光層17Bの電子正孔注入バランスを最適化することができる。
電子正孔注入バランス(electron/hole injection balance)を最適化することにより、画素電極15Rでは主に発光層17Rにおいて生じさせることができる。また、画素電極15Gでは主に発光層17Gにおいて生じさせ、画素電極15Bでは発光層17Bにおいて生じさせることができる。
画素電極15Rでは、電子と正孔との再結合は主に発光層17Rにおいて生じるが、再結合は発光層17Gにおいても発生する可能性がある。すなわち、画素電極15Rでは、発光層17R、17Gの各々が発光する可能性がある。
画素電極15Rでは、発光層17Rが含んでいるドーパント材料は、発光層17Gが励起されるエネルギーを吸収して発光する。
画素電極15Rでは、発光層17Gが励起されるエネルギーの少なくとも一部は、発光層17Rが含んでいるドーパント材料の発光スペクトルを有している光へと変換される。
したがって、画素電極15Rの発光色は、発光層17Rの発光色とほぼ等しく、画素電極15Rは、赤(R)色光を放出する。
発光層17Gが含んでいるドーパント材料は、発光層17Bが放出する光を吸収して励起する。また、発光層17Bが含んでいるドーパント材料は、発光層17Gが励起されるエネルギーを吸収して発光することはほとんどない。
したがって、画素電極15Gの発光色は、発光層17Gの発光色とほぼ等しく、画素電極15Gは、緑(G)色の光を放出する。
画素電極15Bの上方の発光層17Gは、レーザ光91bの照射により改質されている。発光層17Gは、発光する可能性があるドーパント材料を含有していない。したがって、画素電極15Bの発光色は、発光層17Bの発光色とほぼ等しく、画素電極15Bは、青(B)色光を放出する。
発光層17は、ホスト材料とゲスト材料で構成される。発光層17のゲスト材料は、レーザ光91を吸収することにより改質する。
レーザ光91bの波長は、正孔輸送層(HTL)16の光吸収率(%)も考慮する必要がある。正孔輸送層(HTL)16の上方に発光層17が形成され、発光層17にレーザ光91bを照射する。その際、発光層17を透過したレーザ光91bが正孔輸送層(HTL)16に照射される場合がある。正孔輸送層(HTL)16がレーザ光91bを吸収すると正孔輸送層(HTL)16が劣化する可能性がある。
図25に図示するように、ホスト材料は、レーザ光91bを吸収しにくく、ゲスト材料は、レーザ光91bを吸収しやすい材料を選定する。もしくは、レーザ光91bの波長は、ホスト材料が吸収しにくく、ゲスト材料が吸収しやすい波長を選定する。
また、発光層17の下層に位置する正孔輸送層16が吸収しにくいレーザ光91bの波長を選定する。もしくは、レーザ光9bを吸収しにくい正孔輸送層(HTL)16の材料、物質を選定する。
図25において、ドーパント材料およびホスト材料の光吸収率(%)は、光吸収率の最大時を100%として規格化している。
好ましくは、図25に図示するように、ドーパント材料のレーザ光91bの吸収率が、75%以上の時、ホスト材料のレーザ光91bの吸収率が25%以下の関係となるように、ホスト材料、ゲスト材料を選定する。
以上の内容は、付着膜101に対しても同様である。したがって、レーザ光91cに対しても適用される。
本発明のEL表示パネルの製造方法について、図面を参照しながら説明をする。図28は、本発明の第1の実施例におけるEL表示パネルの製造方法のフローチャートである。また、図22は、本発明の有機ELパネルの製造装置の説明図である。
第1の実施例におけるEL表示パネルの製造方法の工程フローチャートである。第1の実施例におけるEL表示パネルの製造方法では、図22(a)のEL表示パネルの製造装置を使用する。
TFT基板11は、搬入室163から、中央室165に搬送され、正孔輸送層(HTL)16を蒸着するチャンバー室161cに搬入される。チャンバー室161cは真空状態に設定される。チャンバー室161cで、TFT基板11の画素電極15上に、正孔輸送層(HTL)16が蒸着される(HTL蒸着工程)。
次に、TFT基板11は、中央室165を経由して、転写装置室167に搬入される。なお、転写装置室167は真空状態に維持される。図4〜図11に図示して説明したようにして、転写装置室167では、TFT基板11の正孔輸送層(HTL)16上に、赤色の発光層(EML)17Rが形成される(発光層17Rレーザ熱転写工程)。また、図10で説明した周辺部に付着した付着膜101にレーザ光90cを照射し、付着膜101を改質させる(周辺レーザ照射工程)。
なお、付着膜101を改質させる工程では、20〜200ppmの酸素を含有する窒素あるいはアルゴン雰囲気中で実施してもよい。付着膜101が酸素により、より高速に改質されるからである。
次に、TFT基板11は、中央室165を経由して、チャンバー室161bに搬入される。チャンバー室161bでは発光層17Gが蒸着される(発光層17G蒸着工程)。
なお、図47〜図52、図53〜図56で説明した実施例を実施してもよい。また、図47〜図52、図53〜図56で説明した実施例を実施と組み合わせてもよいことは言うまでもない。以上の事項は他の実施例においても同様に適用できる。
次に、TFT基板11は、中央室165を経由して、レーザ装置室168に搬入される。なお、レーザ装置室168内は真空状態、または20〜200ppm程度の酸素を含んだ窒素あるいはアルゴン雰囲気状態にされる。レーザ装置室168では、青色の画素電極上の発光層17Gにレーザ光91aを照射し、前記発光層17Gを改質して「消光」状態にする(発光層17Gレーザ照射工程)。
次に、TFT基板11は、中央室165を経由して、チャンバー室161eに搬入される。チャンバー室161eでは発光層17Bが蒸着される(発光層17B蒸着工程)。また、発光層17B上に、電子輸送層(ETL)18が蒸着される(ETL蒸着工程)。
次に、中央室165を経由してチャンバー室161aに搬入され、LiF、MgAgなどからなるカソード電極19が形成される(LiF、MgAg工程)。カソード電極の形成後、成膜室166からTFT基板11は搬出され、封止工程に送られる。
なお、カソード電極は、光透過性を有すれば、いずれの材料で構成してもよいことは言うまでもない。
図29に図示するように、TFT基板11上に、ドナーフィルム47が接着あるいは配置される。接着あるいは配置の方式、ドナーフィルム47剥離の方式等は、図4、図5、図6、図8、図9などを用いて説明をしているので、説明を省略する。
図29の実施例では、TFT基板11には土手501が形成され、ドナーフィルム47は土手501と接するように配置される。
次に、図30に図示するように、レーザ光91aがドナーフィルム47に照射され、転写有機膜46が正孔輸送層(HTL)16R上に形成される。図30での転写有機膜46は、赤色の発光層(EML)17Rとなる。図30では、転写有機膜46が加熱されている箇所を46aで図示している。
レーザ光91aは、ベースフィルム41を通過して光学変換膜43を加熱し、光学変換膜43は、熱を放出する。光学変換膜43は膨張し、転写有機膜46がドナーフィルム47から剥離する。剥離した転写有機膜46は、TFT基板11の画素電極15の上方の正孔輸送層(HTL)16上に発光層17Rとして堆積する。
堆積した発光層17Rの厚みは、ドナーフィルム47上に形成した転写有機膜46の厚みに比例する。したがって、ドナーフィルム47上に形成する転写有機膜46の厚みを所定値にすることにより、発光層17の膜厚を規定することができる。
以上の転写有機膜46の転写に関する事項は、図4、図5等で説明しているので説明を省略する。
理想的には、転写有機膜46は、赤色の画素にのみに形成できるが、実際には、図10で説明したように、周辺部の画素に付着膜101a、土手501に付着膜101bが付着する場合がある。一例として図31に図示する実施例では付着膜101は、転写有機膜46からなる赤色の発光層(EML)17R材料である。
次に、図31に図示するように、付着膜101に、レーザ光91cを照射して、付着膜101を改質させる。レーザ光91cは紫外線領域の波長のレーザ光91bである。レーザ光91cは、発光層(EML)17Rを改質させるレーザ光91bと同一あるいは類似のものを使用する。
改質よりも高いエネルギー密度のレーザ光91cを付着膜101に照射して、付着膜101を蒸発させてもよい。レーザ光91cの照射により、付着膜101は除去される。
次に、TFT基板11は、中央室165を経由して、チャンバー室161bに搬入される。チャンバー室161bは、緑色の発光層(EML)17Gが蒸着される。チャンバー室161bは真空状態に維持される。
チャンバー室161bでは、ファイン蒸着マスク112を使用せずに、緑色の発光層(EML)17GがTFT基板11に形成される。
なお、「ファイン蒸着マスク112を使用せずに」とは、各色の画素37形状に対応したファイン蒸着マスク112を使用せずに意味であり、表示領域以外を遮蔽するラフ蒸着マスクあるいは複数画素を同時に蒸着するのに用いるラフ蒸着マスクを使用することを除外するものではない。
図32は、緑色の発光層(EML)17Gが形成されたTFT基板11を示している。赤色の画素電極15Rの上方には、赤色の発光層(EML)17R、その上に積層された緑色の発光層(EML)17Gが形成されている。緑色の画素電極15Gの上方には、緑色の発光層(EML)17Gが形成されている。青色の画素電極15Bの上方には、緑色の発光層(EML)17Gが形成されている。
次に、TFT基板11は、中央室165、ロードロック室162を経由して、レーザ装置室168に搬入される。
レーザ装置室168では、青色の画素電極15Bの上方の緑色の発光層(EML)17Gに、レーザ光91bが照射され、発光層(EML)17Gが改質される。もしくは、発光層(EML)17Gが除去される。レーザ装置室168は、真空状態に維持される。レーザ装置室168には図13〜図16等で説明したレーザ装置が配置されている。
レーザ装置は、図33に図示するように、青色の画素電極15B上の緑色の発光層(EML)17Gに、レーザ光91bを照射し、発光層(EML)17Gの主としてゲスト材料を改質させる。発光層(EML)17Gは改質層62となり、非発光となる。なお、ホスト材料を改質させても、「消光」状態にすることができる。
図23はレーザ装置74による発光層17の改質方法を説明する説明図である。図23において、234は光検出器である。光検出器234は、集光レンズ235、光の帯域を制限する光学的帯域フィルタ236、光検出部237などを有している。図24は光検出部237の回路ブロック図である。
レーザ光91bは蒸着された発光層17に照射され、発光層17は励起されて蛍光あるいは燐光(蛍光・燐光)233を発光する。レーザ光91bは照射された発光層(EML)17Gを改質させる。発光層(EML)17Gが改質されると、発光層(EML)17Gが発生する蛍光・燐光233の強度は低下する。
したがって、レーザ光91bは、発光層を励起される機能と、発光層を改質する機能の2つを併せ持つ。特に、レーザ光91bは、紫外線領域の光であるため、発光層17を励起しやすい。レーザ光91bを発光層17に照射し、発光状態あるいは発光強度を監視することにより、発光層17の改質あるいは除去状態を定量的に検出することができる。以上の事項は、レーザ光91cにおいても同様である。
また、レーザ光91は波長が固定波長のため、発生する蛍光・燐光波長と波長分離しやすい。レーザ光91の波長をフィルタで遮光すれば、容易に蛍光あるいは燐光に励起された光を分離して取り出すことができる。つまり、蛍光・燐光233を検出が容易である。
本発明では、図23で示すように、光検出器234は、蛍光・燐光を分離する光学的帯域フィルタ236を具備するため、蛍光・燐光の検出は容易である。光学的帯域フィルタ236は、レーザ光91bの波長をカットする光学的帯域フィルタ236を使用する。
光検出器234とレーザ光91aの照射部は、同一の筐体に取り付けられている。したがって、レーザ光91aの照射位置の移動にともない、光検出器234の光検出位置も、同時に移動する。
また、光検出器234は、蛍光・燐光の強度だけでなく、波長も判別できるように構成しておくことが好ましい。たとえば、赤色の発光波長が、緑色の発光波長に変化あるいは変化量を検出する。緑色の発光波長に変化すれば、結果的に、「消光」状態となり、非発光となる。
なお、発光層17に照射するレーザ光91aとは別に、発光層17を励起させる光を別途発生させ、前記光を発光層17Gに照射させてもよい。たとえば、蛍光・燐光発光用のレーザ光91の発生装置を別途設置し、前記レーザ光91を改質する発光層17に照射する構成が例示される。
発生する蛍光・燐光233の強度が所定値以下となれば、発光層17が消光状態となる。消光状態になると、発光層(EML)17Gの改質が完了したと判断し、レーザ光91bの照射位置は、次の画素に移動する。あるいは、レーザ光91bの照射位置を連続して移動し、発光層17Gの発光状態を連続して検出していってもよい。
図23において、レーザ装置74は発光層(EML)17Gにレーザ光91bを照射し、発生する蛍光・燐光233を光検出器234で集光する。蛍光・燐光233は集光レンズ235で集光し、集光した蛍光・燐光233は、光学的帯域フィルタ236で所定の帯域に帯域制限される。もしくは所定の帯域あるいは波長の光を取り出す。帯域制限された蛍光・燐光233は、光検出部237に入射する。
光検出器234は、PINフォトダイオード243を有する。PINフォトダイオード243は蛍光・燐光233を電気信号に変換する。電気信号に変換された蛍光・燐光233は抵抗RLにより電圧信号に変換され、オペアンプ241から電圧Voとして出力される。なお、オペアンプ241は信号の増幅器として使用するものであり、他の素子、機器などを使用してもよいことは言うまでもない。
電圧Voは、AD変換器242でアナログ・デジタル変換される。アナログ・デジタル変換されたVoデータは、レーザ制御回路244に印加され、レーザ制御回路244は、Voデータの値によりレーザ装置74を制御する。Voデータが一定値以下になると、レーザ装置74からレーザ光91bが出射することを停止させ、レーザ光91bの照射位置を次に照射位置(発光層)に移動させる。
以上のように、蛍光・燐光233の強度を、光検出器234でモニターすることにより、所定画素の発光層17を精度よく消光状態にすることができる。
以上の図23、図24で説明した事項、内容は、本発明の他の実施例においても適用できることは言うまでもない。また、他の実施例と組み合わせることができることも言うまでもない。また、付着膜101の改質あるいは除去に関しても適用できることは言うまでもない。たとえば、付着膜101から発生する蛍光・燐光233を、光検出器234で検出する構成が例示される。
レーザ装置74はフェムト秒レーザ装置を用いることが望ましい。フェムト秒レーザ装置はパルスレーザで、そのパルス幅がフェムト秒レベルのレーザ装置である。
レーザ強度はI = E / St で表される。Eはパルスエネルギー、Sはビームスポットの面積、t はレーザパルスの時間幅である。フェムト秒レーザ装置は、通常の加工に用いられるCO2レーザ装置やYAGレーザ装置などと違い、非熱加工であることに特徴がある。加工対象物にCO2レーザ光やYAGレーザ光を当てると、分子が光エネルギーを吸収して振動し、熱エネルギーに変換されて溶融・蒸発することで加工される。フェムト秒レーザの場合は光エネルギーで分子結合を切断し、周辺部分に熱拡散せずに分子を除去する「アブレーション」という現象で加工することができる。したがって、レーザ光91を照射した箇所のみを改質し、周辺部には熱的影響などを与えない。
図3、図6などに図示するように、本発明のEL表示パネルはマトリックス状に画素が配置され、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の画素37は直線状(ストライプ状)に配置されている。したがって、画素列(行)のライン毎、または、画素上にレーザ光91(91a、91b、91c)を走査することにより、容易に、画素電極15の上方の付着膜101、発光層(EML)17を改質させることができる。または、画素電極15上の付着膜101、発光層(EML)17を蒸発させ、除去することができる。
以上のように、発明は、レーザ光91あるいはレーザ装置74による有機材料の改質、あるいは蒸発させることによる有機材料等の除去方式を利用する。
また、本発明のEL表示パネルの製造方法において、レーザ光91等の照射は、1×10−4Pa以上の高真空雰囲気で行うことが好ましい。蒸着室等の真空中では、酸素がなく、レーザ光91で発光層17を構成する有機材料が過熱されても、発光層17の有機材料は酸化反応が抑制され、化学変化(改質)が優先される。また、有機材料を蒸発させる場合であっても、有機材料の変化なく蒸発させることができる。
レーザ光91は薄膜の表層の有機材料を化学変化させる。ELパネルの発光層は、有機材料で構成され、5nm〜100nmという薄膜である。そのため、比較的弱いレーザであっても効率よく発光層の有機材料を化学変化させることができる。
ただし、レーザ装置室168の真空中に、微量の酸素(20ppm以上200ppm以下)を入れることにより、レーザ光91を照射している有機材料が安定的に酸素反応し、改質を促進させることができる。したがって、10ppm以上200ppm以下のわずかな酸素雰囲気中でレーザ加工を行うことも好ましい。この場合は、真空中に限定する必要はなく、窒素あるいはアルゴン雰囲気中であってもよい。
本発明において、「真空中」と記載する場合、真空雰囲気内に20ppm以上100ppm以下の酸素等を混入させる場合も本発明の技術的範疇である。
レーザ光91を照射することにより、発光層17のゲスト材料が加熱され、発光層17を蒸発させることができる。なお、蒸発しない残留物は十分な化学的な変化が完了し、安定的である。
レーザ装置は、基本波長の1/3の波長でTHG(Third Harmonic Generation:第3高調波)レーザを用いることが好ましい。たとえば、基本波長を非線形結晶に通して変換された482nmの波長に基本波長を合わせ、さらにもう一つの単結晶を通過させることで355nmの波長に変換したレーザ光を使用する。そのため、各種材質に対して吸収率が非常に高く、熱を与えにくい。ビーム径がSHG(Second harmonic generation)よりもさらに絞れるため、より微細な加工が可能である。
一般的には波長が短いと材料へのレーザ吸収率が高まる。また、 回折限界近くまでスポット径を絞ることができるので、加工したときに周囲への熱影響を小さくでき、微細加工に適している。なお、レーザ装置は、連続発振モードの装置を使用することが好ましい。
とくに、330nm以上390nmの範囲の波長の紫外線光は、正孔輸送層(HTL)16材料および発光層17のホスト材料に吸収されにくく、また、発光層17のゲスト材料が吸収されやすいため本発明の実施例として使用することが好ましい。
レーザ光91(91a、91b、91c)のレーザスポット171は、一例として、図17に図示するように、画素37より小さくとも良い。レーザスポット171が画素37上を移動して画素37の全面積(全領域)にレーザ光91が照射できるからである。レーザ光91(91a、91b、91c)のレーザスポット171は画素37内で移動させて、画素電極15の範囲内にレーザ光91を照射する。
発光層17のゲスト材料を改質させるか、蒸発させるかはレーザ装置74が発生し、TFT基板11に照射するレーザ光91b、91cの強度を制御することにより容易に実現できる。レーザ光の強度の可変は光量調整フィルタ71で行う。
図18に図示するように、レーザスポット171は、画素全体を囲うように楕円形あるいは矩形としてもよい。レーザ光91を楕円形あるいは矩形にするはシリンドルカルレンズを使用することにより容易に実現できる。
レーザ光91bのレーザスポット171は、レーザスポット171が画素37G1に照射され、次に、レーザ光91のレーザスポット171は画素37G2を移動し、次に画素37G3を移動し、緑(G)色の画素37Gの発光層のゲスト材料、あるいはホスト材料を改質(HOMO電位、LUMO電位、イオン化ポテンシャル等を変化)させる。もしくは、発光層を形成するホスト材料とゲスト材料を蒸発させる。
図19に図示するように、レーザスポット171は、複数の画素37を囲うように楕円形あるいは矩形としてもよい。
図19に図示するように、レーザ光91のレーザスポット171は、レーザスポット171が画素37G1、画素37B1に照射され、次に、レーザ光91のレーザスポット171は画素37G2、画素37B2を移動し、次に、画素37G3、画素37B3を移動し、緑(G)色の画素列と青(B)色の画素列の発光層17のゲスト材料を改質させる。もしくは、発光層17を形成するホスト材料とゲスト材料のうち少なくとも一方を蒸発させる。
レーザ光91は平行光であるため、所定の画素電極15の上方の発光層17のみに光を照射させることができる。また、レーザ光91は単位面積あたりの光強度を非常に強くできるため、短時間で発光層17を改質させることができる。もしくは、発光層17を形成するホスト材料とゲスト材料のうち少なくとも一方を蒸発させる。
レーザ光91b、91cは、紫外線領域の波長とすることにより、発光層17を形成する有機材料を化学的に変化、もしくは蒸発させることができる。また、有機材料の化学変化、あるいは有機材料の蒸発は、有機材料の表面に発生し、下層には影響しない。そのため、たとえば、発光層17Rを改質させるときに、下層の正孔輸送層(HTL)16を構成する材料を変化させることはない。あるいは変化を少なくすることができる。
以上のように、本発明は、紫外線領域のレーザ光91b、91cを用いることにより、所定の発光層17を選択して効率よく化学変化させることができる。もしくは、効率よく、発光層17を蒸発させることができる。
以上の事項は本発明の他の実施例においても同様あるいは類似である。また、前述の本発明の実施例は他の実施例と組み合わせることができることは言うまでもない。
次に、中央室165のロボット(図示せず)により、青色の発光層(EML)17B等を蒸着するチャンバー室161eに搬入される。図34に図示するように、チャンバー室161eでは、ファイン蒸着マスク112を使用せずに、青色の発光層(EML)17BがTFT基板11に形成される。また、図35に図示するように、連続して、電子輸送層(ETL)が蒸着される。以上の工程も真空状態で実施される。
次に、中央室165のロボット(図示せず)により、図36に図示するように、カソード電極等を蒸着するチャンバー室161aに搬入される。チャンバー室161aでは、ファイン蒸着マスク112を使用せずに、カソード電極材料(LiF、MgAgなど)がTFT基板11に形成される。また、必要に応じて、カソード電極材料(LiF、MgAgなど)がTFT基板11に形成される前に、電子注入層(EIL)18が蒸着される。
図36に図示するように、電子輸送層(ETL)18上にカソード電極(陰極)19を形成する。陰極19には、アルミニウム、銀、銀・マグネシウム(MgAg)合金、カルシウムなどを用いる。
カソード電極19は、例えば真空蒸着により発光層17B上に積層させる。この真空蒸着では、EL表示パネルの表示領域のみにカソード電極材料が蒸着されるように、ラフ蒸着マスクを使用する。これにより、カソード電極19は、表示領域全体に連続膜として形成される。
カソード電極19上には、封止層20が形成される。封止層20は、CVDで形成された保護層(SiON、SiN等)と有機材料からなる封止樹脂層から構成される。
次に、このようにして得られたEL素子22を封止する。すなわち、EL素子22がTFT基板と封止基板とシール層とによって取り囲まれるように、TFT基板11と封止基板とをシール層を介して貼り合わせる。もしくは、薄膜封止技術で封止する。
次に、中央室165のロボット(図示せず)により、TFT基板11は搬出室164に搬入され、TFT基板11は、次工程の封止工程等のために搬出される。
SiONなどをCVDで形成した後、有機材料などを形成して、封止層20としてもよい。封止層20には、封止フィルム27を貼り付け、防湿対策をすることが好ましい。また、光出射側には、表示コントラストを良好なものとするため、円偏光板(円偏光フィルム)29を貼り付けることが望ましい。
本発明のEL表示パネルの製造方法では、ファイン蒸着マスク112をしない。したがって、ファイン蒸着マスク112の位置決め不良による混色の発生を大幅に抑制でき、製造歩留りを向上できる。また、ファイン蒸着マスク112の位置決めがないため製造タクトを短縮できる。また、ファイン蒸着マスク112数が削減されるため、製造装置のコストも低減できる。
図37、図38は、本発明の第2の実施例におけるEL表示パネルの説明図である。図37、図38において、赤(R)の画素37Rの絶縁膜14Rと、緑(G)の画素37Gの絶縁膜14Gと、青(B)の画素37Bの絶縁膜14Bとの膜厚は異なっている。
赤(R)の画素37Rの絶縁膜14Rが最も厚く形成されている。緑(G)の画素37Gの絶縁膜14Gは赤(R)の画素37Rの絶縁膜14Rの膜厚よりも薄く、青(B)の画素37Bの絶縁膜14Bの膜厚よりは厚く形成されている。青(B)の画素37Bの絶縁膜14Bは緑(G)の画素37Gの絶縁膜14Gの膜厚よりも薄いか、青(B)の画素37Bの絶縁膜14Bは形成されていない。
赤(R)の画素37Rの発光層17は、発光層(EML)17R、発光層(EML)17Bの2つの層が積層されて形成されている。緑(G)の画素37Gの発光層17は、発光層(EML)17R、発光層(EML)17G、発光層(EML)17Bの3つの層が積層されて形成されている。青(B)の画素37Bの発光層17は、発光層(EML)17R、発光層(EML)17Bの2つの層が積層されて形成されている。
したがって、赤色の画素37Rの光学的距離L1 > 緑色の画素37Gの光学的距離L2 > 青色の画素37Bの光学的距離L3となっている。
マイクロキャビティ効果は、赤(R)の画素37R、緑(G)の画素37G、青(B)の画素37Bで適正に設定することが容易であり、高色再現性を実現できる。
なお、以上の実施例では、絶縁膜14の膜厚を、赤(R)の画素37R、緑(G)の画素37Gのと、青(B)の画素37Bで変化させること、赤(R)の画素37Rと、緑(G)の画素37G、青(B)の画素37Bとで発光層17の積層数を変化させることにより、マイクロキャビティ効果が適正となるように、光学的距離を設計している。
以上の本発明の技術的思想は、限定するものではない。たとえば、正孔輸送層(HTL)16、電子輸送層(ETL)18の膜厚を、赤(R)、緑(G)、青(B)の画素37で光学的距離を変化させてもよいことは言うまでもない。
また、絶縁膜14の膜厚を、赤(R)、緑(G)、青(B)の画素37で変化させること、赤(R)、緑(G)、青(B)の画素で発光層17の積層数を変化させること、正孔輸送層(HTL)の膜厚を赤(R)、緑(G)、青(B)の画素で変化させること、電子輸送層(ETL)18の膜厚を、赤(R)、緑(G)、青(B)の画素37で変化させることのうち、いずれかあるいは組み合わせて、マイクロキャビティ効果が適正となるように、光学的距離Lを設計あるいは設定してもよいことはいうまでもない。
本発明の実施例では、赤(R)、緑(G)、青(B)の画素37の3色としたが、これに限定するものではなく、たとえば、赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)画素37の4色でもよい。つまり、表示画面36は、赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)の画素37から構成される。表示画面36を赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)の画素37で構成することにより、高輝度化が可能となる。
また、本発明の実施例において、赤(R)、緑(G)、青(B)の画素37の3原色として説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、青(B)色、黄色(Y)の2色であってもよい。
また、本発明の技術的思想は、アクティブマトリックス型EL表示パネルに適用されるだけでなく、キャラクタ表示などの単純マトリックス型EL表示パネルにも適用できることは言うまでもない。
また、レーザ光91で発光層17、あるいは付着膜101を改質あるいは除去するという技術的思想は、EL表示パネルが単色(たとえば、黄色(Y)の一色)であっても適用できることは言うまでもない。
本発明のEL表示パネルは、複数の色を有するEL表示パネルにおいて、絶縁膜14の膜厚、発光層17の積層数等を変化させることにより、光学的距離Lを変化させるものである。
以上の事項は、本発明の他の実施例においても適用できることは言うまでもない。また、他の実施例と組み合わせることができることも言うまでもない。
図37、図38は、第2の実施例における本発明のEL表示パネルの構造図である。TFT基板11上にトランジスタ21(図示せず)、ゲート信号線34(図示せず)、ソース信号線35(図示せず)などが形成されている。
また、TFT基板11には、光反射膜あるいは反射膜が形成されている。EL素子22を構成するアノード電極は、透明電極である画素電極15として形成されている。画素電極15の下層には反射膜12が形成されている。
反射膜12は、アルミニウムまたは銀(Ag)で形成される。より好ましくは、銀で形成する。銀で形成することにより、光の反射率が向上する。
反射膜12と画素電極15を電極として、コンデンサ23を構成してもよい。画素の保持容量として用いることにより保持特性が良好になる。この場合は、反射膜12をゲート信号線34またはアノード電極(画素電極15)と接続して所定電位とする。赤(R)、緑(G)、青(B)の画素37で絶縁膜14の膜厚を異ならせることにより、赤(R)、緑(G)、青(B)の画素37で保持容量を異ならせることができる。
図37、図38において、絶縁膜14として、無機材料からなるSiNx、SiON、SiO2が例示される。また、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂を用いても良い。本明細書では説明を容易にするためSiNxを例示して説明をするがこれに限定されるものではない。
赤の画素電極15Rと反射膜12R間には絶縁膜14Rが形成されている。同様に、緑の画素電極15Gと反射膜12G間には絶縁膜14Gが形成され、青の画素電極15Bと反射膜12B間には絶縁膜14Bが形成されている。なお、反射膜12Bと画素電極15B間に絶縁膜14Bを形成しない構成も本発明の範疇である。
各画素電極15の下層に形成される絶縁膜14の膜厚は、EL素子22の光学的距離Lを調整するために異ならせている。本発明は、複数色の画素電極15の下層の絶縁膜14において、いずれかの絶縁膜14の膜厚を異ならせた構成である。
また、本発明は、複数色を発光するEL表示パネルにおいて、少なくも1つの色のEL素子22に、複数の発光層(EML)17を形成し、他の色のEL素子22の発光層17と異ならせ、光学的距離Lを異ならせた構成である。
図37、図38に図示する実施例において、赤色の画素電極15R上には、発光層(EML)17R、発光層(EML)17Bが形成されている。反射膜12Rとカソード電極19R間の距離L1が赤色のEL素子22の光学的距離である。
緑色の画素電極15G上には、発光層(EML)17R、発光層(EML)17G、発光層(EML)17Bが形成されている。反射膜12Gとカソード電極19G間の距離L2が緑色のEL素子22の光学的距離である。
青色の画素電極15B上には、発光層(EML)17R、発光層(EML)17Bが形成されている。反射膜12Bとカソード電極19B間の距離L3が青色のEL素子22の光学的距離である。
図38に図示するように、隣接した画素電極15間には土手501が形成されている。土手はドナーフィルム47を使用する際に、ドナーフィルム47を支持するためのものである。
画素37Rは、赤(R)色の発光層17Rが赤(R)色で発光する。青(B)色の発光層17Bは発光しない。赤(R)色の発光層17Rは、“発光”、青(B)色の発光層17Bは“消光”となっている。
画素37Gは、緑(G)色の発光層17Gが緑(G)色で発光する。赤(R)色の発光層17Rは発光しない。また、青(B)色の発光層17Bは発光しない。緑(G)色の発光層17Gは“発光”、赤(R)色の発光層17R、青(B)色の発光層17Bは“消光”となっている。
画素37Bは、青(B)色の発光層17Bが青(B)色で発光する。赤(R)色の発光層17Rは発光しない。青(B)色の発光層17Bは“発光”、赤(R)色の発光層17Rは“消光”となっている。
画素電極15上には、正孔輸送層(HTL)16が形成されている。画素電極15と正孔輸送層(HTL)16間に正孔注入層(HIL 図示せず)を形成してもよい。画素電極15R上には、正孔輸送層(HTL)16Rを形成し、画素電極15G上には、正孔輸送層(HTL)16Gを形成し、画素電極15B上には、正孔輸送層(HTL)16Bを形成してもよい。
画素電極15R、画素電極15G、画素電極15G上の正孔輸送層(HTL)16は、ファイン蒸着マスク112などを使用せずに、同時に形成する。なお、正孔輸送層(HTL)16R、正孔輸送層(HTL)16G、正孔輸送層(HTL)16Bは、ファイン蒸着マスク112などを使用して独立して形成してもよい。また、正孔輸送層(HTL)16R、正孔輸送層(HTL)16G、正孔輸送層(HTL)16Bは異なる正孔輸送層(HTL)16材料を用いてもよい。
発光層17の上方には、電子輸送層(ETL)18を形成されている。電子輸送層(ETL)18とカソード電極19との間に電子注入層(図示せず)を形成してもよい。電子輸送層(ETL)18は、赤(R)色の画素、緑(G)色の画素、青(B)色の画素37で異ならせてもよい。
赤色のEL素子の物理的距離と、緑色のEL素子の物理的距離L2と、青色のEL素子の物理的距離L3との関係は、赤色のEL素子の物理的距離L1 > 緑色のEL素子の物理的距離L2 > 青色のEL素子の物理的距離L3の関係となっている。光学的干渉の次数は赤色のEL素子、緑色のEL素子、青色のEL素子で、同一の次数としている。
赤(R)色、緑(G)色、青(B)色のEL素子に使用する材料の屈折率は、大きな差異はない。したがって、物理的距離と、光学的距離とは、ほぼ比例関係にある。
以上のことから、図19、図20の本発明のEL表示パネルにおいても、絶縁膜14の膜厚、発光層17の層数を、赤(R)色、緑(G)色、青(B)色の画素37(EL素子22)で変化あるいは調整することにより、マイクロキャビティ効果が適正となるように構成したものである。
以下、図37、図38に図示する本発明のEL表示パネルの製造方法について説明をする。
図39は、本発明の第2の実施例におけるEL表示パネルの製造方法のフローチャートである。図39のフローチャート図に示すように、本発明の製造方法は、主として真空中(真空工程)で実施する。本発明の第2の実施例におけるEL表示パネルの製造方法では、図22(b)の製造装置を使用する。
TFT基板11は、搬入室163から、中央室165に搬送され、正孔輸送層(HTL)16を蒸着するチャンバー室161cに搬入される。チャンバー室161cは真空状態に設定される。チャンバー室161cで、TFT基板11の画素電極15上に、正孔輸送層(HTL)16が蒸着される(HTL蒸着工程)。
次に、TFT基板11は、中央室165を経由して、チャンバー室161dに搬入される。チャンバー室161dでは発光層17Rが蒸着される(発光層17R蒸着工程)。
次に、TFT基板11は、中央室165を経由して、レーザ装置室168に搬入される。なお、レーザ装置室168内は、真空状態または、20〜200ppm程度の酸素を含んだ窒素あるいはアルゴン雰囲気状態にされる。レーザ装置室168では、緑色の画素電極15G上、および青色の画素電極15B上の発光層17Rにレーザ光91aを照射し、前記発光層17Rを改質して「消光」状態にする(発光層17Rレーザ照射工程)。
次に、TFT基板11は、中央室165を経由して、転写装置室167に搬入される。なお、転写装置室167は真空状態に維持される。転写装置室167では、緑色の画素電極15Gの上方に、緑色の発光層(EML)17Gが形成される(発光層17Gレーザ熱転写工程)。また、図43で図示するように、説明した周辺部に付着した付着膜101にレーザ光90cを照射し、付着膜101を改質させる(周辺レーザ照射工程)。
次に、TFT基板11は、中央室165を経由して、チャンバー室161eに搬入される。チャンバー室161eでは発光層17Bが蒸着される(発光層17B蒸着工程)。また、発光層17B上に、電子輸送層(ETL)18が蒸着される(ETL蒸着工程)。
次に、中央室165を経由してチャンバー室161aに搬入され、LiF、MgAgなどからなるカソード電極19が形成される(LiF、MgAg工程)。カソード電極19の形成後、成膜室166からTFT基板11は搬出され、封止工程に送られる。
TFT基板11は、図22(b)に示すように、搬入室163から中央室165を介して、チャンバー室161cに搬入される。チャンバー室161cで正孔輸送層(HTL)16が、赤(R)緑(G)青(B)の画素に共通に形成される。この工程では、ファイン蒸着マスク112は使用しない。
次に、TFT基板11は、中央室165を介して、チャンバー室161dに搬入される。チャンバー室161dでは、図40で図示するように、発光層(EML)17Rが蒸着される。発光層(EML)17Rは、ファイン蒸着マスク112を使用せず、表示画面36の赤(R)緑(G)青(B)の画素37に連続して蒸着される。
次に、TFT基板11は、ロードロック室(LL室)162を介して、レーザ装置室168に搬入される。図41に図示するように、レーザ装置室168で、緑色の画素電極15Gおよび青色の画素電極15Bの正孔輸送層(HTL)上の発光層(EML)17Rにレーザ光91bが照射される。レーザ光91bが照射されることにより、発光層17Rが改質し、消光状態となる。
画素電極15Rの上方は、赤(R)色の発光層17Rが赤(R)色で発光する。画素電極15Gの上方は、赤(R)色の発光層17Rが“消光”となる。同様に、画素電極15Bの上方は、赤(R)色の発光層17Rが“消光”となる。
次に、TFT基板11は、成膜装置166の転写装置室167に搬入され、発光層17Gが転写される。転写工程は、図42に図示するように、TFT基板11上に、ドナーフィルム47が接着され、該当箇所に、レーザ光91aを照射することにより実施される。
TFT基板11とドナーフィルム47とが前述の接着工程により接着された状態で、ドナーフィルム47上で発光層17Gが転写される領域にのみ、レーザ光91aを照射する。
レーザ光91aが照射されれば、光熱変換膜43がTFT基板11方向に膨張することによって、転写有機膜46も膨張され、レーザが照射された領域の転写有機膜46がドナーフィルム47から剥離されて、TFT基板11に転写される。
図42の実施例では、ドナーフィルム47は、TFT基板11に形成された土手501によって保持されている。また、緑色の画素37Gあるいは緑色の画素列ごとにレーザ光91aが照射されて、発光層17Gが形成される。
この工程も真空中で実施される。発光層17Gの転写は、ファイン蒸着マスク112を使用せず、画素電極15Gの上方の発光層(EML)17R上に、転写有機膜46が積層される。転写有機膜46は発光層(EML)17Gとなる。
図42の実施例により、転写有機膜46が発光層(EML)17Gとして、TFT基板11の緑色の画素15Gに転写される。しかし、図43に図示するように、転写有機膜46は、緑色の画素電極15Gの上方だけでなく、土手501上に付着膜101bとして付着することがある。また、緑色の画素電極15Gだけでなく、赤色の画素電極15Rの上方、青色の画素電極15Bの上方に付着膜101aとして付着する場合がある。
図43は、本発明のEL表示パネルの製造工程で発生する付着膜101を改質あるいは除去する方法の説明図である。
熱転写により、不要な箇所に付着した付着膜101には、レーザ光91cを照射して改質させる。付着膜101に紫外線帯域のレーザ光91cを照射する。紫外線帯域のレーザ光91cの照射により付着膜101のゲスト材料は改質される。改質により、付着膜101は発光しなくなるか。レーザ光91cの照射は、真空中で実施する。もしくは、20〜200ppmの酸素を含んだ窒素あるいはアルゴン雰囲気状態で実施する。
次に、図44に図示するように、TFT基板11は、成膜装置166のチャンバー室161eに搬入され、発光層17Bが蒸着される。この工程も真空中で実施される。発光層17Bの蒸着は、ファイン蒸着マスク112を使用せず、表示画面の全体に発光層17Bが蒸着される。また、電子輸送層(ETL)18が、赤(R)緑(G)青(B)の画素37に連続して形成される。
次に、図45に図示するように、TFT基板11は、成膜装置166のチャンバー室161aに搬入され、電子注入層(EIL)18、カソード電極19が蒸着される。電子注入層(EIL)、カソード電極19の蒸着は、ファイン蒸着マスク112を使用せず、表示画面36の全体に蒸着される。
次に、TFT基板11は搬出室164を介して、封止工程に送られ、封止構成では、カソード電極19上には、図46に図示するように、封止層20が形成される。封止層20は、CVDで形成された保護層(SiON等)と有機材料からなる封止樹脂層から構成される。
以上の実施の形態は、本発明の他の実施の形態にも適用できることは言うまでもない。また、本明細書に記載された実施の形態は相互に組み合わせることができることも言うまでもない。
また、本明細書に記載するEL表示パネルおよびEL表示装置、EL表示パネルの製造方法、製造装置に関する技術的思想は、アクティブマトリックス型の表示パネルのみに適用されるものではなく、単純マトリックス型のEL表示パネルあるいはキャラクタ表示のEL表示パネルにも適用できることは言うまでもない。
また、本発明において、レーザ光91を用いて、発光層17を改質あるいは除去するとしたが、レーザ光91に限定されるものではない。たとえば、紫外線領域の光を発生する紫外線発光LEDが発生する光を集光等して用いてもよいことは言うまでもない。
本発明の技術的思想は、少なくとも1つの色の画素電極の上方に複数の発光層17を積層して形成すること、複数の発光層17のうち、少なくとも1つの発光層17に光を照射し、消光させていることを特徴とする。また、本発明の技術的思想は、少なくとも1つの色の画素電極15の上方に複数の発光層17を積層して形成すること、少なくとも1つの色の画素電極15の下方の絶縁膜14が、他の色の画素電極15の下方の絶縁膜14と膜厚が異なっていることを特徴とする。
したがって、本発明の実施例において、発光層17は、低分子EL材料を蒸着方式により形成することを例示して説明したが、これに限定するものではない。たとえば、EL材料は高分子材料を使用し、発光層17はインクジェット方式で形成してもよいことは言うまでもない。
つまり、発光層(EML)17の形成は、蒸着方式に限定されるものではなく、インクジェット技術あるいは印刷技術方式で形成してもよいことは言うまでない。また、電子輸送層(ETL)18、正孔輸送層(HTL)16など他の層も、インクジェット技術あるいは印刷技術からなる方式で形成してもよいことは言うまでない。
実施の形態の各々の図で述べた内容(一部でもよい)を様々な電子機器に適用することができる。具体的には、電子機器の表示部に適用することができる。
そのような電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機又は電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが例示される。
図57は、実施の形態に係るEL表示装置を用いたディスプレイの概観図である。図57に示されたディスプレイは、保持台572と、EL表示装置(EL表示パネル)571と、支柱573を含む。 図57に示すディスプレイは、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能を有する。なお、図57に示すディスプレイが有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
図58は、実施の形態に係るEL表示装置を用いたカメラの概観図である。図58に示されたカメラは、シャッタ581と、ビューファインダ582とを含む。図58に示すカメラは、静止画を撮影する機能を有する。動画を撮影する機能を有する。なお、図58示すカメラが有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
図59は、実施の形態に係るEL表示装置を用いたコンピュータの概観図である。図59に示されたコンピュータは、キーボード591と、タッチパッド592とを含む。図59に示すコンピュータは、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能を有する。なお、図59に示すコンピュータが有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
本実施の形態に係るEL表示装置とは、情報機器などのシステム機器を含む概念である。表示パネルの概念は、広義には情報機器などのシステム機器を含む。また、テレビ、スマートフォンなど機器を含む。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。
それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示は、EL表示装置、EL表示パネルに有用である。特に、アクティブ型の有機ELフラットパネルディスプレイに有用である。また、本発明のEL表示パネルの製造方法、製造装置として有用である。
11 TFT基板
12 反射膜
14 絶縁膜
15 画素電極
16 正孔輸送層(HTL)
17 発光層(EML)
18 電子輸送層(ETL)
19 カソード電極
20 封止層
21 TFT(トランジスタ)
22 EL素子
23 コンデンサ
27 封止フィルム
28 平坦化膜
29 円偏光板(円偏光フィルム)
31 ゲートドライバIC(回路)
32 ソースドライバIC(回路)
34 ゲート信号線
35 ソース信号線
36 表示画面
37 画素
41 ベースフィルム
43 光熱変換膜
44 中間膜
45 バッファ膜
46 転写有機膜
47 ドナーフィルム
48 磁力発生装置
62 改質層
71 光量調整フィルタ
72 ガルバノミラー
73 fθレンズ
74 レーザ装置
75 排気口
76 支持機構
77 加圧ローラー
78 移動ステージ
79 制御機構
80 昇降機構
92 レンズ
101 付着膜
111 蒸着材料
123 温度調整板
124 真空ポンプ
125 排気ダクト
126 蒸着室
127 金属蒸着源
128 有機蒸着源
161 チャンバー室
162 ロードロック室
163 搬入室
164 搬出室
165 中央室
166 成膜装置
167 転写装置室
168 レーザ装置室
171 レーザスポット
201 スリットマスク
233 蛍光・燐光
234 光検出器
235 集光レンズ
236 フィルタ
237 光検出部
241 オペアンプ
242 AD変換器
243 PINフォトダイオード
244 レーザ制御回路
571 EL表示装置
572 保持台
573 支柱
581 シャッタ
582 ビューファインダ
591 キーボード
592 タッチパッド
501 土手

Claims (7)

  1. 第1の色の画素、第2の色の画素および第3の色の画素がマトリックス状に配置されたEL表示パネルの製造方法であって、
    少なくともいずれかの前記色の画素に、第2の発光層を形成する第2の工程と、
    前記第2の発光層に、第1の光を照射して、前記第2の発光層を改質する第3の工程を有し、
    前記第2の発光層を形成する第2の工程と、前記第2の発光層を改質する第3の工程とを複数回行うことを特徴とするEL表示パネルの製造方法。
  2. 第1の色の画素、第2の色の画素および第3の色の画素がマトリックス状に配置されたEL表示パネルの製造方法であって、
    少なくともいずれかの前記色の画素に、第2の発光層を形成する第2の工程と、
    前記第2の発光層に、第1の光を照射して、前記第2の発光層を改質する第3の工程を有し、
    前記第1の光が、前記第2の発光層に照射されることにより、前記第2の発光層が発光し、
    前記発光の強度に基づいて、前記第1の光が制御されることを特徴とするEL表示パネルの製造方法。
  3. 前記第1の光は、紫外線波長のレーザ光またはLEDが発生する光であり、
    前記第1の光は、スリットマスクのスリットを介して、前記第2の発光層に照射されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のEL表示パネルの製造方法。
  4. 前記第2の発光層は、ゲスト材料とホスト材料とを含有し、
    前記第1の光が照射された前記第2の発光層には、
    前記ゲスト材料のバンドギャップが、前記ホスト材料のバンドギャップよりも大きく、
    前記ゲスト材料と前記ホスト材料のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)の相対的な配置は、前記ゲスト材料のほうが前記ホスト材料よりも低く、
    前記ゲスト材料と前記ホスト材料のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)の相対的な配置は、ゲスト材料のほうがホスト材料よりも高い、の3つの関係のうち、少なくとも1つ以上の関係があることを特徴とする請求項1または請求項2記載のEL表示パネルの製造方法。
  5. 前記第1の発光層、前記第2の発光層および前記第3の発光層のいずれか1つの発光層は、熱転写技術で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のEL表示パネルの製造方法。
  6. 前記第2の発光層は、ホスト材料とゲスト材料とを共蒸着することにより形成され、
    前記ゲスト材料は、前記ホスト材料よりも、前記第1の光の吸収率が大きいことを特徴とする請求項1または請求項2記載のEL表示パネルの製造方法。
  7. 前記第1の色の画素、第2の色の画素および第3の色の画素の各々の画素のカソード電極は光透過性を有し、
    前記第1の発光層、前記第2の発光層および前記第3の発光層の各々の発光層で発生した光は、前記カソード電極側から出射される構造であり、
    前記各々の色の画素の画素電極は透明電極であり、
    前記画素電極の下層に反射膜が形成され、
    前記第1の色の画素、前記第2の色の画素および前記第3の色の画素のうち、少なくとも1つの色の画素の前記画素電極と前記反射膜との間に、光透過性を有する薄膜が形成され、
    前記第1の色の画素の反射膜と前記カソード電極との間の光学的距離、前記第2の色の画素の反射膜と前記カソード電極との間の光学的距離、および前記第3の色の画素の反射膜と前記カソード電極との間の光学的距離のうち、
    少なくとも1つの色の画素についての光学的距離が、他の色の画素についての光学的距離と異なることを特徴とする請求項1または請求項2記載のEL表示パネルの製造方法。
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