JP5412548B2 - 有機el表示装置及び有機el表示装置の製造方法 - Google Patents

有機el表示装置及び有機el表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に関する。
近年、自発光型で、高速応答、広視野角、高コントラストの特徴を有し、かつ、更に薄型軽量化が可能な有機エレクトロルミネセンス(EL)素子を用いた表示装置の開発が盛んに行われている。
この有機EL素子は、正孔注入電極(陽極)から正孔を注入するとともに、電子注入電極(陰極)から電子を注入し、発光層で正孔と電子とを再結合させて発光を得るものである。フルカラー表示を得るためには、赤(R)、緑(G)、青(B)にそれぞれ発光する画素を構成する必要がある。赤、緑、青の各画素を構成する有機EL素子の発光層には、赤色、緑色、青色といったそれぞれ異なる発光スペクトルで発光する発光材料を塗り分ける必要がある。このような発光材料を塗り分ける方法として、真空蒸着法がある。このような真空蒸着法によって低分子系の有機EL材料を成膜する場合、各色の画素毎に開口した金属性のファインマスクを用いてそれぞれ独立にマスク蒸着する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この金属製のファインマスクを用いたマスク蒸着法では、表示装置として高い精細度(解像度)が要求される場合には、画素が極めて細かくなる。このため、各色の発光材料が交じり合ってしまう、所謂、混色不良が多発して、高精細な多色表示を実現することが困難となる。
特開2003−157973号公報
本発明は、高精細な多色表示を可能とする有機EL表示装置を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
画素電極と対向電極との間に第1ドーパント材料を含む有機層を備えた第1有機EL素子と、画素電極と対向電極との間に、前記第1有機EL素子から延在した前記有機層を備え、前記有機層が前記第1ドーパント材料の異性体である第2ドーパント材料を含む第2有機EL素子と、を具備することを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、
画素電極と対向電極との間に、ドーパント材料、ホスト材料、及び、添加剤を含む有機層を備えた第1有機EL素子と、画素電極と対向電極との間に、前記第1有機EL素子から延在した前記有機層を備え、前記有機層が前記ドーパント材料と前記添加剤とが化学結合した分子を含む第2有機EL素子と、を具備することを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、
画素電極と対向電極との間に、ドーパント材料及びホスト材料を含む有機層を備えた第1有機EL素子と、画素電極と対向電極との間に、前記第1有機EL素子から延在した前記有機層を備え、前記有機層が前記ドーパント材料と前記ホスト材料とが化学結合した分子を含む第2有機EL素子と、を具備することを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
また、他の態様によれば、
絶縁基板の上方に第1画素電極及び第2画素電極を形成する工程と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極の上にドーパント材料、ホスト材料、及び、添加剤を有する発光層を形成する工程と、前記第2画素電極の上の前記発光層に紫外光を照射して前記ドーパント材料と前記添加剤とが化学結合した分子を形成する工程と、前記発光層の上に対向電極を形成する工程と、を具備することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法が提供される。
また、他の態様によれば、
絶縁基板の上方に第1画素電極及び第2画素電極を形成する工程と、前記第1画素電極及び前記第2画素電極の上にドーパント材料及びホスト材料を含む発光層を形成する工程と、前記第2画素電極の上の前記発光層に紫外光を照射して前記ドーパント材料と前記ホスト材料とが化学結合した分子を形成する工程と、前記発光層の上に対向電極を形成する工程と、を具備することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法が提供される。
また、他の態様によれば、
絶縁基板の上方に第1画素電極、第2画素電極、及び、第3画素電極を形成する工程と、前記第1画素電極、第2画素電極、及び、第3画素電極の上に第1ホスト材料、第1ドーパント材料、及び、添加剤を有する第1発光層を形成する工程と、前記第1画素電極の上の前記第1発光層を遮光し前記第2画素電極及び前記第3画素電極の上の前記第1発光層に紫外光を照射して前記第1ドーパント材料と前記添加剤とが化学結合した分子を形成し消光する工程と、前記第1発光層の上に第2ホスト材料及び第2ドーパント材料を有する第2発光層を形成する工程と、前記第1画素電極及び前記第3画素電極の上の前記第2発光層を遮光し前記第2画素電極の上の前記第2発光層に紫外光を照射して前記第2ドーパント材料をその異性体である第3ドーパント材料に変化させる工程と、前記第2発光層の上に対向電極を形成する工程と、を具備することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法が提供される。
また、他の態様によれば、
絶縁基板の上方に第1画素電極、第2画素電極、及び、第3画素電極を形成する工程と、前記第1画素電極、第2画素電極、及び、第3画素電極の上にホスト材料、第1ドーパント材料、及び、第2ドーパント材料を有する単層の発光層を形成する工程と、前記第1画素電極の上の前記発光層を遮光し前記第2画素電極及び前記第3画素電極の上の前記発光層に第1紫外光を照射して前記第1ドーパント材料をその異性体に変化させて消光する工程と、前記第1画素電極及び前記第3の上の前記発光層を遮光し前記第2画素電極の上の前記発光層に第1紫外光とは異なる波長の第2紫外光を照射して前記第2ドーパント材料をその異性体である第3ドーパント材料に変化させる工程と、前記発光層の上に対向電極を形成する工程と、を具備することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、高精細な多色表示を可能とする有機EL表示装置を提供することができる。
図1は、本発明の一態様に係る有機EL表示装置に採用可能な構造の一例を概略的に示す断面図である。 図2は、第1実施形態における第1有機EL素子及び第2有機EL素子の各々の構造を模式的に示す図である。 図3は、第1実施形態における異性体の一種であるシス体及びトランス体の一例を説明するための図である。 図4は、図3に示した第1ドーパント材料及び第2ドーパント材料の発光性能の関係を示す図である。 図5は、第2実施形態における第1有機EL素子及び第2有機EL素子の各々の構造を模式的に示す図である。 図6は、第2実施形態における第1有機EL素子及び第2有機EL素子の各々の他の構造を模式的に示す図である。 図7は、図5及び図6に示したドーパント材料及び化学結合体の発光性能の関係を示す図である。 図8は、第3実施形態における表示パネルの断面構造を概略的に示す図である。 図9は、第3実施形態における赤色有機EL素子、緑色有機EL素子、及び、青色有機EL素子の各々の構造を模式的に示す図である。 図10は、図9に示した赤色有機EL素子、緑色有機EL素子、及び、青色有機EL素子を製造する製造方法を説明するためのフローチャートである。 図11は、第4実施形態における表示パネルの断面構造を概略的に示す図である。 図12は、第4実施形態における赤色有機EL素子、緑色有機EL素子、及び、青色有機EL素子の各々の構造を模式的に示す図である。 図13は、図12に示した赤色有機EL素子、緑色有機EL素子、及び、青色有機EL素子を製造する製造方法を説明するためのフローチャートである。 図14は、露光前と露光後とで発光性能が異なる材料の例を示している。 図15は、図14に示した6種類の材料のうちの2つを組み合わせることにより実現可能な素子構成の例を示している。 図16は、第5実施形態における表示パネルの断面構造を概略的に示す図である。 図17は、第5実施形態における赤色有機EL素子、緑色有機EL素子、及び、青色有機EL素子の各々の構造を模式的に示す図である。 図18は、図17に示した赤色有機EL素子、緑色有機EL素子、及び、青色有機EL素子を製造する製造方法を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の一態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1には、有機EL表示装置の一例として、アクティブマトリクス駆動方式を採用した上面発光型の有機EL表示装置を示している。
この有機EL表示装置は、スイッチングトランジスタSW、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2を含む表示パネルDPを備えている。
ガラス基板などの絶縁基板SUBの上には、スイッチングトランジスタSWの半導体層SCが配置されている。この半導体層SCには、チャネル領域SCCを挟んでソース領域SCS及びドレイン領域SCDが形成されている。この半導体層SCは、ゲート絶縁膜GIによって被覆されている。また、このゲート絶縁膜GIは、絶縁基板SUBの上にも配置されている。
ゲート絶縁膜GIの上には、チャネル領域SCCの直上にスイッチングトランジスタSWのゲート電極Gが配置されている。このゲート電極Gは、層間絶縁膜IIによって被覆されている。また、層間絶縁膜IIは、ゲート絶縁膜GIの上にも配置されている。
層間絶縁膜IIの上には、スイッチングトランジスタSWのソース電極SE及びドレイン電極DEが配置されている。ソース電極SEは、半導体層SCのソース領域SCSにコンタクトしている。ドレイン電極DEは、半導体層SCのドレイン領域SCDにコンタクトしている。これらのソース電極SE及びドレイン電極DEは、パッシベーション膜PSによって被覆されている。また、このパッシベーション膜PSは、層間絶縁膜IIの上にも配置されている。
第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々の画素電極PEは、パッシベーション膜PSの上に配置されている。各画素電極PEは、スイッチングトランジスタSWのドレイン電極DEに電気的に接続されている。この画素電極PEは、例えば陽極に相当する。
このような画素電極PEは、反射層及び透過層が積層された2層構造であっても良いし、透過層単層構造、または、反射層単層構造であっても良い。反射層は、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)などの光反射性を有する導電材料によって形成可能である。透過層は、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)、インジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する導電材料によって形成可能である。
パッシベーション膜PSの上には、隔壁PIが配置されている。隔壁PIは、画素電極PEの全周を囲むように配置されている。なお、この隔壁PIは、画素電極PEの間のY方向に延びたストライプ状に配置されても良い。
各画素電極PEの上には、有機層ORGが配置されている。有機層ORGは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に亘って延在した連続膜であり、各画素電極PEのみならず隔壁PIを被覆している。
有機層ORGは、対向電極CEによって被覆されている。この対向電極CEは、例えば陰極に相当する。この対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に亘って延在した連続膜である。このような対向電極CEは、半透過層及び透過層が積層された2層構造であっても良いし、透過層単層構造、または、半透過層単層構造であっても良い。半透過層は、例えば、マグネシウム・銀などの導電材料によって形成可能である。透過層は、例えば、ITOやIZOなどの光透過性を有する導電材料によって形成可能である。
第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の封止は、封止ガラス基板SUB2を図示しないシール材で貼り合わせて実施しても良いし、封止ガラス基板SUB2をフリットガラスで貼り合わせて実施(フリット封止)しても良いし、さらに、封止ガラス基板SUB2と有機EL素子OLEDとの間に有機樹脂層を充填して実施(固体封止)しても良い。なお、固体封止の場合、有機樹脂層と対向電極CEとの間に無機系材料からなる絶縁膜が介在していても良い。
なお、上述した構成の第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2において、有機層ORGの画素電極PEの側には、ホール注入層及びホール輸送層が配置されていても良い。また、有機層ORGの対向電極CEの側には、電子注入層及び電子輸送層が配置されていても良い。
第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は、反射層を有する画素電極PEと、半透過層を有する対向電極CEとにより、マイクロキャビティ構造を構成することが可能である。マイクロキャビティ構造を採用した場合、対向電極CEの上には、光透過性を有する絶縁膜、例えばシリコン酸窒化物(SiON)を配置しても良い。このような絶縁膜は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2を保護する保護膜として利用可能であるのに加えて、光学干渉を最適化するための光路長を調整するための光学マッチング層として利用可能である。さらに、画素電極PEの反射層と対向電極CEの半透過層との間に、光透過性を有する絶縁膜、例えばシリコン窒化物(SiN)を配置しても良い。このような絶縁膜は、光学干渉条件を調整するための調整層として利用可能である。
また、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は、発光した光を対向電極CEの側から取り出す上面発光型を採用しても良いし、画素電極PEを透過層単層によって構成して発光した光を絶縁基板SUBの側から取り出す下面発光型を採用しても良い。
図2は、第1実施形態における第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々の構造を模式的に示す図である。なお、図2では、詳細に図示していないが、上述した通り、有機層ORGは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に亘って延在しており、共通のホスト材料Hを有している。
第1有機EL素子OLED1において、画素電極PEと対向電極CEとの間に配置された有機層ORGは、第1ドーパント材料D1を含んでいる。第2有機EL素子OLED2において、画素電極PEと対向電極CEとの間に配置された有機層ORGは、第2ドーパント材料D2を含んでいる。この第2ドーパント材料D2は、第1ドーパント材料D1の異性体である。
図3は、異性体の一種であるシス体及びトランス体の一例を説明するための図である。シス体とは、主骨格に対して2つの側鎖(あるいは原子団)が同じ側にある分子の立体構造を示している。トランス体とは、主骨格に対して2つの側鎖(あるいは原子団)が互いに反対側にある分子の立体構造を示している。
ここに示した例では、上述した第1有機EL素子OLED1の有機層ORGに含まれる第1ドーパント材料D1はシス体であり、また、第2有機EL素子OLED2の有機層ORGに含まれる第2ドーパント材料D2はトランス体であるが、第2ドーパント材料D2がシス体であり、第1ドーパント材料D1がトランス体であっても良い。
これらの第1ドーパント材料D1及び第2ドーパント材料D2は、紫外光などの光照射により、シス体からトランス体に変化する、あるいは、トランス体からシス体に変化する材料から選択される。このような第1ドーパント材料D1及び第2ドーパント材料D2に好適な材料として、例えば、フォトクロミック材料が挙げられる。
このようなシス体である第1ドーパント材料D1及びトランス体である第2ドーパント材料D2は、発光性能が異なる。すなわち、図4に示すように、シス体である第1ドーパント材料D1が図中に『R』と示したように赤色に発光する発光性能を有している場合に、トランス体である第2ドーパント材料D2は、図中に『G』と示したように緑色に発光する発光性能を有している、あるいは、図中に『B』と示したように青色に発光する発光性能を有している、あるいは、図中に『Q』と示したように消光している。
同様に、シス体である第1ドーパント材料D1が緑色に発光する発光性能を有している場合(G)に、トランス体である第2ドーパント材料D2は、赤色に発光する発光性能を有している(R)、あるいは、青色に発光する発光性能を有している(B)、あるいは、消光している(Q)。
同様に、シス体である第1ドーパント材料D1が青色に発光する発光性能を有している場合(B)に、トランス体である第2ドーパント材料D2は、赤色に発光する発光性能を有している(R)、あるいは、緑色に発光する発光性能を有している(G)、あるいは、消光している(Q)。
同様に、シス体である第1ドーパント材料D1が消光している場合(Q)に、トランス体である第2ドーパント材料D2は、赤色に発光する発光性能を有している(R)、あるいは、緑色に発光する発光性能を有している(G)、あるいは、青色に発光する発光性能を有している(B)。
なお、ここでは、主波長が400nm乃至490nmの範囲内にある色を青色、主波長が490nmより長く且つ595nmよりも短い範囲内にある色を緑色、主波長が595nm乃至800nmの範囲内にある色を赤色と定義する。また、消光とは、発光しなくなる状態、または、発光しにくい状態を言う。
このように、第1実施形態によれば、第1有機EL素子OLED1に含まれる第1ドーパント材料D1と、第2有機EL素子OLED2に含まれる第2ドーパント材料D2とは、異性体でありながら、発光性能が異なる。このため、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2とでは、いずれか一方のドーパント材料が消光している場合を除いて、発光色が互いに異なる。つまり、第1有機EL素子OLED1の発光色である第1色と、第2有機EL素子OLED2の発光色である第2色とを組み合わせることにより、多色表示が実現できる。
また、この第1実施形態によれば、有機層ORG、及び、対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に亘って延在した連続膜である。このため、これらを蒸着法によって形成する際に、微細な開口を形成したファインマスクが不要であり、マスクの製造コストを低減できる。また、これらを形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、これらを形成する材料の利用効率を向上できる。また、発光材料を塗り分ける必要がないため、混色不良を防止できる。したがって、高精細な多色表示が可能となる。
さらに、この第1実施形態によれば、有機層ORGに含まれるドーパント材料として、光照射によりシス体からトランス体、あるいは、トランス体からシス体に構造変化する材料を適用している。このため、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に亘って延在した有機層ORGが例えばシス体の第1ドーパント材料D1のみを含んでいる場合、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGを遮光して第2有機EL素子OLED2の有機層ORGに光照射することにより、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGは第1ドーパント材料D1のみを含み、第2有機EL素子OLED2の有機層ORGの第1ドーパント材料D1はトランス体である第2ドーパント材料D2に構造変化する。このように、第1有機EL素子OLED1または第2有機EL素子OLED2への選択的な光照射により、ドーパント材料の構造を変化させて容易に発光性能を制御することができる。
また、光照射によりドーパント材料が分解・変質により生じた物質が複数種類存在する場合には、同一色を発光する有機EL素子同士で各物質の存在比率が異なる可能性があるが、この第1実施形態によれば、光照射された第2有機EL素子OLED2の有機層ORGでは、略全て同一物質である第2ドーパント材料に変化しているため、第2有機EL素子OLED2同士で電荷移動度を揃えることができ、輝度の均一化を図ることができる。
なお、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に加えて、図2では図示していない第3有機EL素子を追加しても良く、第3有機EL素子の発光色が第1色及び第2色とは異なる第3色である場合には、さらに多色の表示が実現できる。例えば、第1色が赤色であり、第2色が緑色であり、第3色が青色である場合には、フルカラー表示が実現できる。なお、発光色が互いに異なる有機EL素子は、4種類以上備えられていても良い。
また、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々の有機層ORGは、他のドーパント材料を含んでいても良い。ここでの他のドーパント材料とは、第1ドーパント材料D1及び第2ドーパント材料D2とは異なる発光性能を有するものであり、第1ドーパント材料D1及び第2ドーパント材料D2とは異なる色に発光する材料である。
また、上述した第1実施形態では、異性体の一種として、シス体及びトランス体の例について説明したが、他の異性体としては、光変換型タンパク質あるいは蛍光タンパク質などと称される材料も挙げられる。例えば、蛍光タンパク質の中には、紫外光の照射により、消光状態から活性化されて発光するようになるものや、ある発光波長から別の発光波長に変換されるものなどがあり、いずれも上述した第1実施形態に適用可能である。
図5は、第2実施形態における第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々の構造を模式的に示す図である。なお、図5では、詳細に図示していないが、上述した通り、有機層ORGは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に亘って延在しており、共通のホスト材料Hを有している。
第1有機EL素子OLED1において、画素電極PEと対向電極CEとの間に配置された有機層ORGは、ドーパント材料D、ホスト材料H、及び、添加剤Aを含んでいる。第2有機EL素子OLED2において、画素電極PEと対向電極CEとの間に配置された有機層ORGは、ホスト材料H、及び、ドーパント材料Dと添加剤Aとが化学結合した分子(以下、化学結合体と称する)CBを含んでいる。
添加剤Aは、例えば有機系材料によって形成されている。このような添加剤Aは、有機層ORGの画素電極PEの側に配置され得るホール輸送層及びホール注入層とは異なる材料であり、また、有機層ORGの対向電極CEの側に配置され得る電子輸送層及び電子注入層とは異なる材料である。
化学結合体CBは、紫外光などの光照射による光化学反応により、有機層ORGに含まれるドーパント材料Dと添加剤Aとが化学結合した分子である。あるいは、ドーパント材料D及び添加剤Aの各々は、紫外光などの光照射による光化学反応により、有機層ORGに含まれる化学結合体CBが分解した分子である。これらのドーパント材料D、添加剤A、及び、化学結合体CBは、光照射により化学結合または分解して構造変化する材料から選択される。添加剤Aの一例としては、消光剤などと称されるポジ型感光材料ネガ型感光材料などが挙げられる。
図6は、第2実施形態における第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々の他の構造を模式的に示す図である。なお、図6では、詳細に図示していないが、上述した通り、有機層ORGは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に亘って延在しており、共通のホスト材料Hを有している。
第1有機EL素子OLED1において、画素電極PEと対向電極CEとの間に配置された有機層ORGは、ドーパント材料D、及び、ホスト材料Hを含んでいる。第2有機EL素子OLED2において、画素電極PEと対向電極CEとの間に配置された有機層ORGは、ホスト材料H、及び、ドーパント材料Dとホスト材料Hとが化学結合した分子(以下、化学結合体と称する)CBを含んでいる。
化学結合体CBは、紫外光などの光照射による光化学反応により、有機層ORGに含まれるドーパント材料Dとホスト材料Hとが化学結合した分子である。あるいは、ドーパント材料D及びホスト材料Hの各々は、紫外光などの光照射による光化学反応により、有機層ORGに含まれる化学結合体CBが分解した分子である。これらのドーパント材料D、ホスト材料H、及び、化学結合体CBは、光照射により化学結合または分解して構造変化する材料から選択される。
このようなドーパント材料D及び化学結合体CBは、発光性能が異なる。すなわち、図7に示すように、ドーパント材料Dが図中に『R』と示したように赤色に発光する発光性能を有している場合に、化学結合体CBは、図中に『G』と示したように緑色に発光する発光性能を有している、あるいは、図中に『B』と示したように青色に発光する発光性能を有している、あるいは、図中に『Q』と示したように消光している。
同様に、ドーパント材料Dが緑色に発光する発光性能を有している場合(G)に、化学結合体CBは、赤色に発光する発光性能を有している(R)、あるいは、青色に発光する発光性能を有している(B)、あるいは、消光している(Q)。同様に、ドーパント材料Dが青色に発光する発光性能を有している場合に(B)、化学結合体CBは、赤色に発光する発光性能を有している(R)、あるいは、緑色に発光する発光性能を有している(G)、あるいは、消光している(Q)。同様に、ドーパント材料Dが消光している場合(Q)に、化学結合体CBは、赤色に発光する発光性能を有している(R)、あるいは、緑色に発光する発光性能を有している(G)、あるいは、青色に発光する発光性能を有している(B)。
このような第2実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
次に、第3実施形態について説明する。
図8には、第3実施形態における表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図8には、スイッチングトランジスタを含まない断面構造を図示している。この第3実施形態においては、表示パネルDPが、赤色に発光する赤色有機EL素子OLEDr、緑色に発光する緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色に発光する青色有機EL素子OLEDbを備えている点で、上述した第1実施形態及び第2実施形態と相違している。なお、図8においては、赤色有機EL素子OLEDr、青色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbがそれぞれ1つずつ図示されているが、X方向にこれらが繰り返し配置されている。つまり、図中の右側の青色有機EL素子OLEDbに隣接して図示しない赤色有機EL素子OLEDrが配置されている。同様に、図中の左側の赤色有機EL素子OLEDrに隣接して図示しない青色有機EL素子OLEDbが配置されている。
絶縁基板SUBの上には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが順に積層されている。赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbは、パッシベーション膜PSの上にそれぞれ配置された画素電極PE、各画素電極PEの上に配置された有機層ORG、及び、有機層ORGの上に配置された対向電極CEを備えている。
隔壁PIは、パッシベーション膜PSの上に配置されている。この隔壁PIは、赤色有機EL素子OLEDrと緑色有機EL素子OLEDgとの間に配置され、両者を分離している。また、この隔壁PIは、緑色有機EL素子OLEDgと青色有機EL素子OLEDbとの間に配置され、両者を分離している。また、この隔壁PIは、青色有機EL素子OLEDbと赤色有機EL素子OLEDrとの間に配置され、両者を分離している。
有機層ORGは、赤色発光層EMR、緑色発光層EMG、及び、青色発光層EMBを有している。赤色発光層EMRは、赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbに亘って延在し、各々の画素電極PEの上に配置されるとともに隔壁PIの上にも配置されている。緑色発光層EMGは、赤色発光層EMRの上に配置されている。青色発光層EMBは、緑色発光層EMGの上に配置されている。これらの緑色発光層EMG及び青色発光層EMBも、赤色発光層EMRと同様に、赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbに亘って延在している。
対向電極CEは、赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbに亘って延在し、青色発光層EMBの上に配置されている。これらの赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbは、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
図9には、第3実施形態における赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbの各々の構造が模式的に示されている。
赤色有機EL素子OLEDrにおいて、画素電極PEの上に配置された赤色発光層EMRは、ホスト材料RH、赤色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる赤色ドーパント材料RD、及び、添加剤RAを有している。赤色発光層EMRの上に配置された緑色発光層EMGは、ホスト材料GH、緑色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる緑色ドーパント材料GD、及び、添加剤GAを有している。緑色発光層EMGの上に配置された青色発光層EMBは、ホスト材料BH、及び、青色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる青色ドーパント材料BDを有している。青色発光層EMBの上には、対向電極CEが配置されている。
この赤色有機EL素子OLEDrでは、有機層ORGのうちエネルギー準位が最も低い赤色発光層EMRにおいて、赤色ドーパント材料RDが発光し、緑色発光層EMG及び青色発光層EMBでは発光しないあるいはほとんど発光しない。
緑色有機EL素子OLEDgにおいて、画素電極PEの上に配置された赤色発光層EMRは、ホスト材料RH、及び、化学結合体RCBを有している。この化学結合体RCBは、赤色ドーパント材料RDと添加剤RAとが化学結合した分子であり、消光している。赤色発光層EMRの上に配置された緑色発光層EMGは、ホスト材料GH、緑色ドーパント材料GD、及び、添加剤GAを有している。緑色発光層EMGの上に配置された青色発光層EMBは、ホスト材料BH、及び、青色ドーパント材料BDを有している。青色発光層EMBの上には、対向電極CEが配置されている。
この緑色有機EL素子OLEDgでは、赤色発光層EMRには、発光性能を有する赤色ドーパント材料RDがほとんど存在しない。このため、赤色発光層EMRでは発光しないあるいはほとんど発光しない。それゆえ、有機層ORGのうち赤色発光層EMRの次にエネルギー準位が低い緑色発光層EMGにおいて、緑色ドーパント材料GDが発光する。なお、青色発光層EMBでは発光しないあるいはほとんど発光しない。
青色有機EL素子OLEDbにおいて、画素電極PEの上に配置された赤色発光層EMRは、ホスト材料RH、及び、化学結合体RCBを有している。赤色発光層EMRの上に配置された緑色発光層EMGは、ホスト材料GH、及び、化学結合体GCBを有している。この化学結合体GCBは、緑色ドーパント材料GDと添加剤GAとが化学結合した分子であり、消光している。緑色発光層EMGの上に配置された青色発光層EMBは、ホスト材料BH、及び、青色ドーパント材料BDを有している。青色発光層EMBの上には、対向電極CEが配置されている。
この青色有機EL素子OLEDbでは、赤色発光層EMRには発光性能を有する赤色ドーパント材料RDがほとんど存在しないし、緑色発光層EMGには発光性能を有する緑色ドーパント材料GDがほとんど存在しない。このため、赤色発光層EMR及び緑色発光層EMGは発光しないあるいはほとんど発光しない。それゆえ、有機層ORGのうち青色発光層EMBにおいて、青色ドーパント材料BDが発光する。
次に、この第3実施形態における赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbの製造方法の一例について、図10に示したフローチャートを参照しながら説明する。
まず、アレイ工程では、赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbの各々に画素電極PEを形成する。
続いて、EL工程では、まず、画素電極PEの上に、表示領域に対応した開口が形成されたラフマスクを使用して真空蒸着法によりホスト材料RH、赤色ドーパント材料RD、及び、添加剤RAを有する赤色発光層EMRを形成する。この工程を図中に、EMR蒸着と示す。
その後、赤色有機EL素子OLEDrが形成される領域を遮光する一方で、緑色有機EL素子OLEDgが形成される領域及び青色有機EL素子OLEDbが形成される領域に、例えば波長が概略200〜400nmの紫外光を、0.001〜1mW・mm−2・nm−1の範囲の強度で照射する。ここでは、紫外光の強度を概略0.1mW・mm−2・nm−1とした。この工程を図中に、PHOTO1露光と示す。これにより、前の工程で形成された赤色発光層EMRのうち、緑色有機EL素子OLEDg及び青色有機EL素子OLEDbに形成された赤色発光層EMRの赤色ドーパント材料RDが添加剤RAと化学結合して化学結合体RCBとなって消光する。
続いて、赤色発光層EMRの上に、表示領域に対応した開口が形成されたラフマスクを使用して真空蒸着法によりホスト材料GH、緑色ドーパント材料GD、及び、添加剤GAを有する緑色発光層EMGを形成する。この工程を図中に、EMG蒸着と示す。
その後、赤色有機EL素子OLEDrが形成される領域及び緑色有機EL素子OLEDgが形成される領域を遮光する一方で、青色有機EL素子OLEDbが形成される領域に、波長が概略200〜400nmの紫外光を、例えば0.001〜1.0mW・mm−2・nm−1の範囲の強度で照射する。ここでは、紫外光の強度を概略0.1mW・mm−2・nm−1とした。この工程を図中に、PHOTO2露光と示す。なお、PHOTO1露光とPHOTO2露光とで互いに波長の異なる紫外光を照射しても良い。これにより、前の工程で形成された緑色発光層EMGのうち、青色有機EL素子OLEDbに形成された緑色発光層EMGの緑色ドーパント材料GDが添加剤GAと化学結合して化学結合体GCBとなって消光する。
続いて、緑色発光層EMGの上に、表示領域に対応した開口が形成されたラフマスクを使用して真空蒸着法によりホスト材料BH、及び、青色ドーパント材料BDを有する青色発光層EMBを形成する。この工程を図中に、EMB蒸着と示す。
続いて、青色発光層EMBの上に、対向電極CEを形成する。この工程を図中に、CE蒸着と示す。その後、封止ガラス基板SUB2による封止工程を行う。なお、上述したEL工程は、ここに示した例に限らず、適宜順序を変更しても良い。
上述した第3実施形態においては、赤色に発光する赤色ドーパント材料RDと添加剤RAとが光照射によって化学結合し、この化学反応によって生成した化学結合体RCBが消光し、また、緑色に発光する緑色ドーパント材料GDと添加剤GAとが光照射によって化学結合し、この化学反応によって生成した化学結合体GCBが消光する例について説明したが、この例に限らない。
例えば、赤色に発光する赤色ドーパント材料RDとホスト材料RHとが光照射によって化学結合し、この化学反応によって生成した化学結合体RCBが消光し、また、緑色に発光する緑色ドーパント材料GDとホスト材料GHとが光照射によって化学結合し、この化学反応によって生成した化学結合体GCBが消光する材料を組み合わせても良い。また、赤色に発光する赤色ドーパント材料RDが光照射によってその異性体に変化し、この異性体が消光し、また、緑色に発光する緑色ドーパント材料GDが光照射によってその異性体に変化し、この異性体が消光する材料を組み合わせても良い。
次に、第4実施形態について説明する。
図11には、第4実施形態における表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図11には、スイッチングトランジスタを含まない断面構造を図示している。この第4実施形態は、図8に示した第3実施形態と比較して、有機層ORGが2層の発光層、すなわち第1発光層EM1及び第2発光層EM2を有している点で相違する。第3実施形態と同一の構成については、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
表示パネルDPは、赤色に発光する赤色有機EL素子OLEDr、緑色に発光する緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色に発光する青色有機EL素子OLEDbを備えている。絶縁基板SUBの上には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが順に積層されている。
有機層ORGは、第1発光層EM1及び第2発光層EM2を有している。第1発光層EM1は、赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbに亘って延在し、各々の画素電極PEの上に配置されるとともに隔壁PIの上にも配置されている。第2発光層EM2は、赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbに亘って延在し、第1発光層EM1の上に配置されている。
対向電極CEは、赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbに亘って延在し、第2発光層EM2の上に配置されている。これらの赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbは、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
図12には、第4実施形態における赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbの各々の構造が模式的に示されている。
赤色有機EL素子OLEDrにおいて、画素電極PEの上に配置された第1発光層EM1は、第1ホスト材料H1、赤色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる赤色ドーパント材料RD、及び、添加剤RAを有している。第1発光層EM1の上に配置された第2発光層EM2は、第2ホスト材料H2、及び、青色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる青色ドーパント材料BDを有している。第2発光層EM2の上には、対向電極CEが配置されている。
この赤色有機EL素子OLEDrでは、有機層ORGのうちエネルギー準位が最も低い第1発光層EM1において、赤色ドーパント材料RDが発光し、第2発光層EM2では発光しないあるいはほとんど発光しない。
緑色有機EL素子OLEDgにおいて、画素電極PEの上に配置された第1発光層EM1は、第1ホスト材料H1、及び、化学結合体RCBを有している。この化学結合体RCBは、赤色ドーパント材料RDと添加剤RAとが化学結合した分子であり、消光している。第1発光層EM1の上に配置された第2発光層EM2は、第2ホスト材料H2、及び、緑色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる緑色ドーパント材料GDを有している。この緑色ドーパント材料GDは、赤色有機EL素子OLEDrの第2発光層EM2に含まれる青色ドーパント材料BDの異性体である。第2発光層EM2の上には、対向電極CEが配置されている。
この緑色有機EL素子OLEDgでは、第1発光層EM1には、発光性能を有する赤色ドーパント材料RDがほとんど存在しない。このため、第1発光層EM1では発光しないあるいはほとんど発光しない。それゆえ、有機層ORGのうち第1発光層EM1の次にエネルギー準位が低い第2発光層EM2において、緑色ドーパント材料GDが発光する。
青色有機EL素子OLEDbにおいて、画素電極PEの上に配置された第1発光層EM1は、第1ホスト材料H1、及び、化学結合体RCBを有している。この化学結合体RCBは、赤色ドーパント材料RDと添加剤RAとが化学結合した分子であり、消光している。第1発光層EM1の上に配置された第2発光層EM2は、第2ホスト材料H2、及び、青色ドーパント材料BDを有している。第2発光層EM2の上には、対向電極CEが配置されている。
この青色有機EL素子OLEDbでは、第1発光層EM1には、発光性能を有する赤色ドーパント材料RDがほとんど存在しない。このため、第1発光層EM1では発光しないあるいはほとんど発光しない。それゆえ、有機層ORGのうち第1発光層EM1の次にエネルギー準位が低い第2発光層EM2において、青色ドーパント材料BDが発光する。
次に、この第4実施形態における赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbの製造方法の一例について、図13に示したフローチャートを参照しながら説明する。
まず、アレイ工程では、赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbの各々に画素電極PEを形成する。
続いて、EL工程では、まず、画素電極PEの上に、表示領域に対応した開口が形成されたラフマスクを使用して真空蒸着法により第1ホスト材料H1、赤色ドーパント材料RD、及び、添加剤RAを有する第1発光層EM1を形成する。この工程を図中に、EM1蒸着と示す。
その後、赤色有機EL素子OLEDrが形成される領域を遮光する一方で、緑色有機EL素子OLEDgが形成される領域及び青色有機EL素子OLEDbが形成される領域に、例えば波長が概略200〜400nmの紫外光を照射する。この工程を図中に、PHOTO1露光と示す。
これにより、前の工程で形成された第1発光層EM1のうち、緑色有機EL素子OLEDg及び青色有機EL素子OLEDbに形成された第1発光層EM1の赤色ドーパント材料RDが添加剤RAと化学結合して化学結合体RCBとなって消光する。つまり、赤色有機EL素子OLEDrでは、第1発光層EM1の赤色ドーパント材料RDが発光するが、緑色有機EL素子OLEDg及び青色有機EL素子OLEDbでは、第1発光層EM1では発光しないあるいはほとんど発光しない。
続いて、第1発光層EM1の上に、表示領域に対応した開口が形成されたラフマスクを使用して真空蒸着法により第2ホスト材料H2、及び、青色ドーパント材料BDを有する第2発光層EM2を形成する。この工程を図中に、EM2蒸着と示す。
その後、赤色有機EL素子OLEDrが形成される領域及び青色有機EL素子OLEDbが形成される領域を遮光する一方で、緑色有機EL素子OLEDgが形成される領域に、波長が概略200〜400nmの紫外光を照射する。この工程を図中に、PHOTO2露光と示す。なお、PHOTO1露光とPHOTO2露光とで互いに波長の異なる紫外光を照射しても良い。
これにより、前の工程で形成された第2発光層EM2のうち、緑色有機EL素子OLEDgに形成された第2発光層EM2の青色ドーパント材料BDがその異性体である緑色ドーパント材料GDに変化する。つまり、緑色有機EL素子OLEDgでは、第2発光層EM2の緑色ドーパント材料GDが発光し、青色有機EL素子OLEDbでは、第2発光層EM2の青色ドーパント材料BDが発光する。
続いて、第2発光層EM2の上に、対向電極CEを形成する。この工程を図中に、CE蒸着と示す。その後、封止ガラス基板SUB2による封止工程を行う。なお、上述したEL工程は、ここに示した例に限らず、適宜順序を変更しても良い。
このような第4実施形態によれば、有機層ORGに含まれる発光層が2層構造であるため、発光層の蒸着工程数を低減できる。また、有機層ORGを形成するに際して、2種類のドーパント材料を蒸着し、露光工程を組み合わせることによって3種類のドーパント材料つまり赤色ドーパント材料RD、緑色ドーパント材料GD、及び、青色ドーパント材料BDを生成し、赤色、緑色、及び、青色を組み合わせた多色表示が可能となる。
上述した第4実施形態においては、赤色に発光する赤色ドーパント材料RDと添加剤RAとが光照射によって化学結合し、この化学反応によって生成した化学結合体RCBが消光し、また、青色に発光する青色ドーパント材料BDが光照射によって緑色に発光する緑色ドーパント材料GDに変化する例について説明したが、この例に限らない。
以下に、そのバリエーションについて説明する。
図14は、露光前と露光後とで発光性能が異なる材料の例を示している。なお、ここに示す材料は一例であり、また、光照射によって異性体に変化する材料、あるいは、ドーパント材料と添加剤またはホスト材料とが光照射によって化学結合する材料のいずれであっても良い。なお、図14において、赤色に発光する発光性能を有する場合を『赤発光』と示し、緑色に発光する発光性能を有する場合を『緑発光』と示し、青色に発光する発光性能を有する場合を『青発光』と示し、消光している場合を『消光』と示している。
第1材料MT1は、露光前に赤色に発光する発光性能を有する一方で、露光後に消光する材料である。第2材料MT2は、露光前に青色に発光する発光性能を有する一方で、露光後に緑色に発光する発光性能を有する材料である。第3材料MT3は、露光前に緑色に発光する発光性能を有する一方で、露光後に消光する材料である。第4材料MT4は、露光前に緑色に発光する発光性能を有する一方で、露光後に青色に発光する発光性能を有する材料である。第5材料MT5は、露光前に青色に発光する発光性能を有する一方で、露光後に赤色に発光する発光性能を有する材料である。第6材料MT6は、露光前に赤色に発光する発光性能を有する一方で、露光後に青色に発光する発光性能を有する材料である。
図15は、図14に示した6種類の材料のうちの2つを組み合わせることにより実現可能な例として、16通りの素子構成を示している。なお、図15において、赤色に発光する発光性能を有する場合を『赤発光』と示し、緑色に発光する発光性能を有する場合を『緑発光』と示し、青色に発光する発光性能を有する場合を『青発光』と示し、消光している場合を『消光』と示している。また、この図15において、第1発光層EM1を露光する場合を『1層目』と示し、第2発光層EM2を露光する場合を『2層目』と示し、第1発光層EM1及び第1発光層EM2のいずれも露光する場合を『1&2層目』と示し、第1発光層EM1及び第1発光層EM2のいずれも露光しない場合を『露光無し』と示している。
すなわち、素子構成1は、第1発光層EM1に含まれる材料として第1材料MT1を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第2材料MT2を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、第1発光層EM1及び第2発光層EM2のいずれも露光することなく、第1材料MT1が赤色に発光する。緑色有機EL素子OLEDgについては、第1発光層EM1及び第2発光層EM2のいずれも露光することにより、第2材料MT2が緑色に発光する。青色有機EL素子OLEDbについては、第1発光層EM1のみを露光することにより、第2材料MT2が青色に発光する。
同様に、素子構成2は、第1発光層EM1に含まれる材料として第1材料MT1を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第4材料MT4を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『露光無し』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『1層目』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『1&2層目』である。
素子構成3は、第1発光層EM1に含まれる材料として第6材料MT6を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第2材料MT2を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『露光無し』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『1&2層目』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『1層目』である。
素子構成4は、第1発光層EM1に含まれる材料として第6材料MT6を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第4材料MT4を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『露光無し』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『1層目』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『1&2層目』である。
素子構成5は、第1発光層EM1に含まれる材料として第6材料MT6を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第3材料MT3を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『露光無し』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『1層目』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『1&2層目』である。
素子構成6は、第1発光層EM1に含まれる材料として第3材料MT3を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第5材料MT5を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『2層目』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『露光無し』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『1層目』である。
素子構成7は、第1発光層EM1に含まれる材料として第3材料MT3を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第6材料MT6を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『露光無し』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『2層目』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『1&2層目』である。
素子構成8は、第1発光層EM1に含まれる材料として第4材料MT4を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第5材料MT5を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『2層目』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『露光無し』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『1層目』である。
素子構成9は、第1発光層EM1に含まれる材料として第4材料MT4を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第6材料MT6を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『露光無し』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『2層目』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『1&2層目』である。
素子構成10は、第1発光層EM1に含まれる材料として第4材料MT4を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第1材料MT1を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『露光無し』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『2層目』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『1&2層目』である。
素子構成11は、第1発光層EM1に含まれる材料として第5材料MT5を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第2材料MT2を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『1層目』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『2層目』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『露光無し』である。
素子構成12は、第1発光層EM1に含まれる材料として第5材料MT5を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第4材料MT4を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『1層目』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『露光無し』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『2層目』である。
素子構成13は、第1発光層EM1に含まれる材料として第2材料MT2を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第5材料MT5を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『2層目』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『1層目』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『露光無し』である。
素子構成14は、第1発光層EM1に含まれる材料として第2材料MT2を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第6材料MT6を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『露光無し』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『1&2層目』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『2層目』である。
素子構成15は、第1発光層EM1に含まれる材料として第5材料MT5を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第3材料MT3を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『1層目』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『露光無し』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『2層目』である。
素子構成16は、第1発光層EM1に含まれる材料として第2材料MT2を選択し、第2発光層EM2に含まれる材料として第1材料MT1を選択することによって構成されている。赤色有機EL素子OLEDrについては、『露光無し』である。緑色有機EL素子OLEDgについては、『1&2層目』である。青色有機EL素子OLEDbについては、『2層目』である。
なお、他の材料を組み合わせることにより、上記した16通り以外の素子構成も可能である。
次に、第5実施形態について説明する。
図16には、第5実施形態における表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図16には、スイッチングトランジスタを含まない断面構造を図示している。この第5実施形態は、図8に示した第3実施形態と比較して、有機層ORGが1層の発光層EMを有している点で相違する。第3実施形態と同一の構成については、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
表示パネルDPは、赤色に発光する赤色有機EL素子OLEDr、緑色に発光する緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色に発光する青色有機EL素子OLEDbを備えている。絶縁基板SUBの上には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが順に積層されている。
有機層ORGは、発光層EMを有している。発光層EM1は、赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbに亘って延在し、各々の画素電極PEの上に配置されるとともに隔壁PIの上にも配置されている。対向電極CEは、赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbに亘って延在し、発光層EMの上に配置されている。これらの赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbは、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
図17は、第5実施形態における赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbの各々の構造が模式的に示されている。
赤色有機EL素子OLEDrにおいて、画素電極PEの上に配置された発光層EMは、ホスト材料H、赤色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる赤色ドーパント材料RD、及び、青色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる青色ドーパント材料BDを有している。発光層EMの上には、対向電極CEが配置されている。
この赤色有機EL素子OLEDrでは、有機層ORGの発光層EMにおいて、赤色ドーパント材料RDが発光し、青色ドーパント材料BDは発光しないあるいはほとんど発光しない。
緑色有機EL素子OLEDgにおいて、画素電極PEの上に配置された発光層EMは、ホスト材料H、赤色ドーパント材料RDの異性体IS、及び、緑色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる緑色ドーパント材料GDを有している。この異性体ISは、消光している。また、緑色ドーパント材料GDは、赤色有機EL素子OLEDrの発光層EMに含まれる青色ドーパント材料BDの異性体である。発光層EMの上には、対向電極CEが配置されている。
この緑色有機EL素子OLEDgでは、有機層ORGの発光層EMにおいて、発光性能を有する赤色ドーパント材料RDがほとんど存在しない。このため、緑色ドーパント材料GDが発光する。
青色有機EL素子OLEDbにおいて、画素電極PEの上に配置された発光層EMは、ホスト材料H、赤色ドーパント材料RDの異性体IS、及び、青色ドーパント材料BDを有している。異性体ISは、消光している。発光層EMの上には、対向電極CEが配置されている。
この青色有機EL素子OLEDbでは、有機層ORGの発光層EMにおいて、発光性能を有する赤色ドーパント材料RDがほとんど存在しない。このため、青色ドーパント材料BDが発光する。
次に、この第5実施形態における赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbの製造方法の一例について、図18に示したフローチャートを参照しながら説明する。
まず、アレイ工程では、赤色有機EL素子OLEDr、緑色有機EL素子OLEDg、及び、青色有機EL素子OLEDbの各々に画素電極PEを形成する。
続いて、EL工程では、まず、画素電極PEの上に、表示領域に対応した開口が形成されたラフマスクを使用して真空蒸着法によりホスト材料H1、赤色ドーパント材料RD、及び、青色ドーパント材料BDを有する発光層EMを形成する。この工程を図中に、EM蒸着と示す。
その後、赤色有機EL素子OLEDrが形成される領域を遮光する一方で、緑色有機EL素子OLEDgが形成される領域及び青色有機EL素子OLEDbが形成される領域に、例えば波長が略405nmの紫外光(h線)を照射する。この工程を図中に、PHOTO1露光と示す。
これにより、前の工程で形成された発光層EMのうち、緑色有機EL素子OLEDg及び青色有機EL素子OLEDbに形成された発光層EMの赤色ドーパント材料RDが異性体ISに構造変化して消光する。つまり、赤色有機EL素子OLEDrでは、発光層EMの赤色ドーパント材料RDが発光する。
続いて、赤色有機EL素子OLEDrが形成される領域及び青色有機EL素子OLEDbが形成される領域を遮光する一方で、緑色有機EL素子OLEDgが形成される領域に、波長が略365nmの紫外光を照射する。この工程を図中に、PHOTO2露光と示す。
これにより、発光層EM2のうち、緑色有機EL素子OLEDgに形成された発光層EMの青色ドーパント材料BDがその異性体である緑色ドーパント材料GDに構造変化する。つまり、緑色有機EL素子OLEDgでは、発光層EMの緑色ドーパント材料GDが発光し、青色有機EL素子OLEDbでは、発光層EMの青色ドーパント材料BDが発光する。
続いて、発光層EMの上に、対向電極CEを形成する。この工程を図中に、CE蒸着と示す。その後、封止ガラス基板SUB2による封止工程を行う。なお、上述したEL工程は、ここに示した例に限らず、適宜順序を変更しても良い。
このような第5実施形態によれば、有機層ORGに含まれる発光層が単層構造であるため、発光層の蒸着工程数を低減できる。また、有機層ORGを形成するに際して、2種類のドーパント材料を蒸着し、露光工程を組み合わせることによって3種類のドーパント材料つまり赤色ドーパント材料RD、緑色ドーパント材料GD、及び、青色ドーパント材料BDを生成し、赤色、緑色、及び、青色を組み合わせた多色表示が可能となる。
上述した第5実施形態においては、赤色に発光する赤色ドーパント材料RDが光照射によってその異性体ISに構造変化して消光し、また、青色に発光する青色ドーパント材料BDが光照射によって緑色に発光する緑色ドーパント材料GDに変化する例について説明したが、この例に限らない。
以下に、第5実施形態のバリエーションについて説明する。ここで適用可能な材料としては、例えば、既に図14に示したような6種類の材料、すなわち、第1材料MT1、第2材料MT2、第3材料MT3、第4材料MT4、第5材料MT5、第6材料MT6などが挙げられる。
これらの6種類の材料のうちの2つを組み合わせることにより実現可能な素子構成は、例えば、図15に示した16通りである。図15に示した材料の組み合わせは、第4実施形態においては、第1発光層EM1に含まれる材料及び第2発光層EM2に含まれる材料にそれぞれ対応するが、この第5実施形態では、発光層EMに含まれる2種類の材料に対応する。
すなわち、素子構成1は、発光層EMに含まれる材料として第1材料MT1及び第2材料MT2を選択することによって構成されている。素子構成2は、発光層EMに含まれる材料として第1材料MT1及び第4材料MT4を選択することによって構成されている。素子構成3は、発光層EMに含まれる材料として第6材料MT6及び第2材料MT2を選択することによって構成されている。素子構成4は、発光層EMに含まれる材料として第6材料MT6及び第4材料MT4を選択することによって構成されている。素子構成5は、発光層EMに含まれる材料として第6材料MT6及び第3材料MT3を選択することによって構成されている。素子構成6は、発光層EMに含まれる材料として第3材料MT3及び第5材料MT5を選択することによって構成されている。素子構成7は、発光層EMに含まれる材料として第3材料MT3及び第6材料MT6を選択することによって構成されている。素子構成8は、発光層EMに含まれる材料として第4材料MT4及び第5材料MT5を選択することによって構成されている。素子構成9は、発光層EMに含まれる材料として第4材料MT4及び第6材料MT6を選択することによって構成されている。素子構成10は、発光層EMに含まれる材料として第4材料MT4及び第1材料MT1を選択することによって構成されている。素子構成11は、発光層EMに含まれる材料として第5材料MT5及び第2材料MT2を選択することによって構成されている。素子構成12は、発光層EMに含まれる材料として第5材料MT5及び第4材料MT4を選択することによって構成されている。素子構成13は、発光層EMに含まれる材料として第2材料MT2及び第5材料MT5を選択することによって構成されている。素子構成14は、発光層EMに含まれる材料として第2材料MT2及び第6材料MT6を選択することによって構成されている。素子構成15は、発光層EMに含まれる材料として第5材料MT5及び第3材料MT3を選択することによって構成されている。素子構成16は、発光層EMに含まれる材料として第2材料MT2及び第1材料MT1を選択することによって構成されている。なお、他の材料を組み合わせることにより、上記した16通り以外の素子構成も可能である。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
本実施形態では、ドーパント材料が消光している場合として、完全に発光しない場合について説明したが、ドーパント材料が発光しにくい状態にある場合であっても発明を実施し発明の効果を達成できれば良い。
DP…表示パネル
OLED1…第1有機EL素子 OLED2…第2有機EL素子
OLEDr…赤色有機EL素子 OLEDg…緑色有機EL素子 OLEDb…青色有機EL素子
PE…画素電極 CE…対向電極 ORG…有機層
D1…第1ドーパント材料 D2…第2ドーパント材料
D…ドーパント材料 A…添加剤 H…ホスト材料 CB…化学結合体

Claims (2)

  1. 絶縁基板の上方に第1画素電極、第2画素電極、及び、第3画素電極を形成する工程と、
    前記第1画素電極、第2画素電極、及び、第3画素電極の上に第1ホスト材料、第1ドーパント材料、及び、添加剤を有する第1発光層を形成する工程と、
    前記第1画素電極の上の前記第1発光層を遮光し前記第2画素電極及び前記第3画素電極の上の前記第1発光層に紫外光を照射して前記第1ドーパント材料と前記添加剤とが化学結合した分子を形成し消光する工程と、
    前記第1発光層の上に第2ホスト材料及び第2ドーパント材料を有する第2発光層を形成する工程と、
    前記第1画素電極及び前記第3画素電極の上の前記第2発光層を遮光し前記第2画素電極の上の前記第2発光層に紫外光を照射して前記第2ドーパント材料をその異性体である第3ドーパント材料に変化させる工程と、
    前記第2発光層の上に対向電極を形成する工程と、
    を具備することを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
  2. 絶縁基板の上方に形成された第1画素電極、第2画素電極、及び、第3画素電極と、
    前記第1画素電極、前記第2画素電極、及び、前記第3画素電極の上に形成された第1発光層であって、前記第1画素電極の上に第1ホスト材料、第1ドーパント材料、及び、添加剤を有するとともに、前記第2画素電極及び前記第3画素電極の上に前記第1ドーパント材料と前記添加剤とが化学結合し消光した分子を有する第1発光層と、
    前記第1発光層の上に形成された第2発光層であって、前記第1画素電極及び前記第3画素電極の上に第2ホスト材料及び第2ドーパント材料を有するとともに、前記第2画素電極の上に前記第2ドーパント材料の異性体である第3ドーパント材料を有する第2発光層と、
    前記第2発光層の上に形成された対向電極と、
    を具備し、前記第1画素電極上では前記第1ドーパント材料が発光し、前記第2画素電極上では前記第3ドーパント材料が発光し、前記第3電極上では前記第2ドーパント材料が発光することを特徴とする有機EL表示装置。
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