以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)本明細書が開示する作業実施装置では、第1の種類の異常は、作業者による処理が行われなくても当該異常の解消が可能な異常であってもよい。第2の種類の異常は、作業者による処理が行われないと当該異常の解消が不能な異常であってもよい。
(特徴2)本明細書が開示する作業実施装置では、第1の種類の異常は、当該異常が検出された場合に作業実施装置と部品実装機の少なくとも一方によって処理されることで当該異常が解消される異常であってもよい。第2の種類の異常は、当該異常が検出された場合であっても部品実装機の実装処理が直ちに停止されるものでなく、かつ、作業実施装置及び部品実装機によって当該異常が解消されない異常であってもよい。
(特徴3)本明細書が開示する作業実施装置では、部品実装機は、電子部品を吸着するノズルと、ノズルを収容可能な複数のポケットと、を備えるノズルステーションが着脱可能となっていてもよい。作業実施部は、ノズルステーションを洗浄する作業を実施してもよい。異常検出部は、複数のポケットのそれぞれについて、当該ポケットの底面が検出できるか否かを実施してもよい。第2の種類の異常は、ポケットにノズルが収容されていない状態であってもポケットの底面が検出できない異常であってもよい。
(特徴4)本明細書が開示する作業実施装置では、第1の表示態様は、異常を点灯して表示する態様であってもよく、第2の表示態様は、異常を点滅して表示する態様であってもよい。
以下、実施例に係る部品実装システム1について説明する。図1に示すように、部品実装システム1は、管理装置20と、複数の部品実装ライン100と、ノズル洗浄装置30を備えている。複数の部品実装ライン100のそれぞれは、複数の部品実装機10を備えている。複数の部品実装機10はそれぞれ管理装置20と通信可能に接続されている。管理装置20は、複数の部品実装ライン100(すなわち、複数の部品実装ライン100がそれぞれ備える複数の部品実装機10)を管理している。例えば、図1では、部品実装ライン100は5台の部品実装機10を備えており、管理装置20は15台の部品実装機10を管理している。なお、1つの部品実装ライン100が備える部品実装機10の数は上記に限定されるものではなく、また、管理装置20が管理する部品実装ライン100の数も上記に限定されるものではない。また、ノズル洗浄装置30は、管理装置20と複数の部品実装機10とそれぞれ通信可能に接続されている。ノズル洗浄装置30は、管理装置20や部品実装機10から送信される情報に基づいて処理を実行することができる。
部品実装機10は、電子部品を回路基板に実装する。回路基板は、部品実装ライン100の一端から他端に向かって送られる。回路基板には、各部品実装機10において、予め定められた電子部品が実装される。部品実装ライン100の他端まで送られた回路基板は、最終製品として出荷、又は半製品として後工程に送られる。部品実装機10には、複数種類の部品又は部品ユニットが着脱可能に取り付けられている。例えば、部品実装機10には、電子部品を収容する部品フィーダや、部品フィーダに収容される電子部品を吸着し、電子部品を部品フィーダから回路基板に移動させるノズル6や、ノズル6が装着される装着ヘッドや、ノズル6を収容するノズルステーション60等の部品又は部品ユニットが着脱可能に取り付けられている。なお、部品実装機10については、例えば、国際公開第2014/069016号公報に開示される公知の部品実装機と同一であるため、詳細な説明は省略する。
管理装置20は、CPU及びメモリを備えるコンピュータを用いて構成されている。管理装置20は、各部品実装機10の動作を制御することで、各部品実装ライン100を制御している。すなわち、管理装置20は、複数の部品実装機10のそれぞれに対して、その部品実装機10で回路基板に実装する電子部品の種類及び位置等を決定し、それらを各部品実装機10に指示する。各部品実装機10が管理装置20の指示に基づいて動作することで、回路基板に必要な電子部品が実装される。また、管理装置20は、ノズル6等の部品や部品ユニットに関する情報を記憶している。例えば、管理装置20は、ノズル6に付される識別子8(後に詳述)に割り当てられた識別情報と、識別情報に関連して記述されるノズル6に関する情報を記憶している。
ノズル洗浄装置30は、部品実装機10において実装処理に用いられるノズル6を洗浄し、洗浄されたノズル6が正常に機能するか否かを検査する装置である。ノズル6には、実装処理時にはんだやごみ等が付着したり、変形や欠損が生じたりすることがある。このような状態になると、ノズル6は電子部品を正常に吸着することができなくなる。このため、ノズル6は、定期的に洗浄されると共に、正常に機能するか否かが検査される。なお、ノズル洗浄装置30は、「作業実施装置」の一例である。
ここで、ノズル洗浄装置30によって洗浄処理が実施されるノズル6と、ノズル6を収容するノズルステーション60について説明する。ノズル6は、電子部品を吸着する先端部2と、装着ヘッドに装着される上端部3と、先端部2と上端部3の間に配置された鍔部4を備えている(図4参照)。鍔部4の径は、先端部2の径より大きくされていると共に、上端部3の径より大きくされている。また、鍔部4には、識別子8が付されている。識別子8は、ノズル6に割り当てられた識別情報を記述している。本実施例の識別子8は二次元コードであるが、識別子8は、バーコード、RFID、マーク、色彩等、その他の識別子であってもよい。
図3、図4に示すように、ノズルステーション60は平面視すると略矩形状の箱型をしており、その上面に複数のポケット62が設けられている。図3に示すように、本実施例のノズルステーション60は、4行×6列(24箇所)のポケット62が設けられている。それぞれのポケット62は、1つのノズル6を収容可能に構成されている。ポケット62の深さ方向(ここでは鉛直方向)の寸法は、ノズル6の先端部2の深さ方向の寸法より大きくされている。また、ポケット62の径は、ノズル6の先端部2の径より大きく、鍔部4より小さくされている。このため、ポケット62にノズル6の先端部2を収容すると、鍔部4がノズルステーション60の上面に当接してポケット62の上端を塞ぎ、また、先端部2がポケット62の底面に接触することはない。
ポケット62の底面には、蛍光シール64が貼り付けられている。図3に示すように、ポケット62にノズル6が収容されていない状態では、ノズルステーション60を上面から見ると、そのポケット62の蛍光シール64を認識することができる。一方、ポケット62にノズル6が収容されている状態では、ノズルステーション60を上面から見ると、そのポケット62の蛍光シール64を認識することができない。なお、本実施例では、ポケット62の底面に蛍光シール64が貼りつけられているが、このような構成に限定されない。ポケット62にノズル6が収容されていない状態でノズルステーション60を上方から下方に向かって撮像したときに、その撮像画像からポケット62の底面を認識できる構成であればよい。例えば、ポケット62の底面に蛍光塗料を塗布する構成としてもよい。ノズルステーション60は、ノズル洗浄装置30のステーション保持部32に取り付けることができると共に、部品実装機10内の所定の位置に取り付けることができる。
図2に示すように、ノズル洗浄装置30は、ステーション保持部32と、パレット載置部34と、移載ヘッド36と、ヘッド移動装置38と、撮像装置40と、洗浄部42と、検査部44と、パレット移動装置46と、制御部48と、インターフェース装置52を備えている。
ステーション保持部32は、ノズルステーション60を取外し可能に載置することができる。ノズルステーション60は、作業者によってステーション保持部32に設置される。詳細には、作業者は、ノズル洗浄装置30の蓋部(図示省略)を開け、部品実装機10から取り出されたノズルステーション60をステーション保持部32に設置できる。
パレット載置部34には、ノズルパレット70を載置することができる。図5、図6に示すように、パレット載置部34は一対のレールによって構成されている。それぞれのレールには、ノズルパレット70の下端部に倣う形状の凹部が設けられており、ノズルパレット70は、一対のレールに両端縁が支持されるように配置される。ノズルパレット70は、板状であり、複数の貫通孔72が設けられている。例えば、本実施例のノズルパレット70は、4行×6列(24箇所)の貫通孔72が設けられている。それぞれの貫通孔72の径は、ノズル6の先端部2の径より大きく、鍔部4の径より小さくされている。したがって、貫通孔72にノズル6を収容すると、鍔部4がノズルパレット70の上面に当接し、ノズル6の下端部2がノズルパレット70の下方に突出する。なお、本実施例のノズルパレット70には、ノズルステーション60のポケット62と同じ数の貫通孔72が設けられているが、このような構成に限定されない。例えば、ノズルパレット70に設けられる貫通孔72は、24箇所より多くてもよいし、少なくてもよい。ノズルパレット70が収容可能なノズル6の数は特に限定されない。
移載ヘッド36は、ステーション保持部32とパレット載置部34の上方に配置されている。移載ヘッド36は、把持部(図示省略)によってノズル6の上端部3を把持可能となっている。移載ヘッド36は、ノズル6をZ方向(ここでは鉛直方向)に移動可能であり、ノズル6をステーション保持部32又はパレット載置部34から取り上げると共に、ステーション保持部32のポケット62又はパレット載置部34の貫通孔72に挿入することができる。
ヘッド移動装置38は、移載ヘッド36を移動させる装置であり、主に、ステーション保持部32とパレット載置部34との間で移載ヘッド36を移動させる。一例ではあるが、本実施例のヘッド移動装置38は、移動ベース38aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットであり、移動ベース38aに対して移載ヘッド36が固定されている。
撮像装置40は、移動ベース38aに固定されており、移動ベース38aと一体的に移動する。撮像装置40は、カメラと、照明用光源(図示省略)と、プリズム(図示省略)を備える。カメラは、撮影方向が下方となるように配置されており、ノズルステーション60に収容されるノズル6の上面を撮像する。カメラには、例えばCCDカメラが用いられる。照明用光源は、LEDにより構成されており、ノズル6の撮像面(本実施例ではXY平面)を照らす。プリズムは、カメラの光軸を撮像対象に合わせる。照明用光源によりノズル6の上面が照らされ、その反射光がプリズムで反射してカメラに導かれることで、カメラはノズル6の上面を撮像する。撮像装置40によって撮像された画像の画像データは、制御部48のメモリに記憶される。
洗浄部42は、ノズルパレット70に収容されたノズル6を洗浄する。洗浄部42は、高圧洗浄装置(図示省略)と乾燥装置(図示省略)を備えており、高圧洗浄装置によってノズル6を高圧水によって洗浄した後、乾燥装置によってノズル6に付着する水を乾燥させる。なお、洗浄部42は、「作業実施部」の一例である。
検査部44は、洗浄部42で洗浄されたノズル6について1又は複数の検査を実行する。検査部44では、例えば、先端部検査や流量検査等が実行される。先端部検査は、ノズル6の先端部2にはんだやごみ等が付着しているか否かと、先端部2に変形や欠損があるか否かを調べる検査である。具体的には、検査部44は、撮像装置(図示省略)を備えており、ノズル6の先端部2を撮像した撮像画像によって先端部2の状態を検査する。流量検査は、ノズル6内を通過するエアの流量が適正量であるか否かを調べる検査である。検査部44は、エア供給装置(図示省略)と空気圧センサ(図示省略)を備えており、ノズル6内にエアを供給し、その供給されたエアの空気圧を測定することによってノズル6内を通過するエアの流量を検査する。なお、本実施例では、検査部44において先端部検査や流量検査等を実行しているが、ノズル6が正常に機能するか否かを検査するものであればよく、検査の種類については特に限定されない。また、検査部44は、「検査実施部」の一例である。
パレット移動装置46は、ノズルパレット70を、パレット載置部34と洗浄部42と検査部44の間で移動させる。パレット移動装置46がノズルパレット70をパレット載置部34から洗浄部42に移動させることによって、ノズルパレット70に収容されるノズル6を洗浄部42で洗浄することができる。また、パレット移動装置46がノズルパレット70を洗浄部42から検査部44に移動させることによって、洗浄部42で洗浄されたノズル6を検査部44で検査することができる。また、パレット移動装置46がノズルパレット70を検査部44からパレット載置部34に移動させることによって、検査されたノズル6をノズルパレット70からノズルステーション60に移動させすることができる。なお、上記の洗浄部42、検査部44、パレット移動装置46については、例えば、国際公開第2014/069016号公報に開示される公知の洗浄部、検査部、パレット移動装置と同一であるため、それぞれの構成に関する詳細な説明は省略する。
制御部48は、メモリとCPUを含むコンピュータによって構成されている。メモリには演算プログラムが記憶されており、CPUが当該演算プログラムを実行することで、CPUは、異常検出部50として機能する。異常検出部50は、ノズル6及びノズルステーション60の異常を検出する。異常検出部50が検出するノズル6の異常は、例えば、検査部44の検査結果に基づくノズル6の異常である。検査部44による検査結果は、制御部48のメモリに記憶され、異常検出部50は、メモリに記憶された検査結果からノズル6の異常を検出する。また、異常検出部50が検出するノズルステーション60の異常は、例えば、ノズルステーション60のポケット62が空ではないと判断した後に、そのポケット62に収容されるノズル6の種類を認識できないという異常である。すなわち、ノズルステーション60のポケット62が空であるか否かは、ポケット62の底面に貼り付けられた蛍光シール64を認識することによって判定され、ノズル6の種類は、ノズル6の識別子8を読み取ることによって判定される。上記のノズルステーション60の異常は、例えば、ポケット62内にはんだやごみ等の汚れが付着することによって蛍光シール64を認識できない場合に発生する。また、上記のノズルステーション60の異常は、当該ポケット62に収容されたノズル6の識別子8に汚れが付着することによって識別子8を認識できない場合にも発生する。異常検出部50は、上記のようなノズル6又はノズルステーション60の異常を検出する。
また、制御部48には、移載ヘッド36と、撮像装置40と、洗浄部42と、検査部44と、パレット移動装置46と、インターフェース装置52が接続されている。制御部48は、移載ヘッド36と、撮像装置40と、洗浄部42と、検査部44と、パレット移動装置46と、インターフェース装置52を制御している。
インターフェース装置52は、作業者にノズル洗浄装置30の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける。例えば、インターフェース装置52は、異常検出部50による検出結果や、検査部44で実行された検査結果を表示することができる。また、インターフェース装置52には、ノズル洗浄装置30の処理に関する設定や、ノズル洗浄装置30による処理の開始を入力することができる。なお、インターフェース装置52は、「異常表示部」の一例である。
さらに、ノズル洗浄装置30は、不良ボックス(図示省略)と、補充用ノズル収容ケース(図示省略)を備えている。不良ボックスは、検査部44の検査によって異常と判断されたノズル6を収容することができる。また、補充用ノズル収容ケースには、正常なノズル6(例えば、新しいノズル6やノズル洗浄装置30によって洗浄され、検査によって正常と判断されたノズル6)が収容されている。補充用ノズル収容ケースに収容されるノズル6は、検査部44における検査によって異常と判断されたノズル6の代わりに、ノズルステーション60に収容することができる。
図7は、ノズル洗浄装置30がノズル6の洗浄及び検査をする処理の一例を示すフローチャートである。部品実装機10内では、実装処理が実行された後に、ノズル6がノズルステーション60に収容される。ノズル6は、ノズルステーション60に収容された状態で作業者によって部品実装機10から取り出される。作業者は、部品実装機10から取り出したノズルステーション60をノズル洗浄装置30内のステーション保持部32に取り付ける。作業者がノズルステーション60をステーション保持部32に取り付けると、ノズル洗浄装置30はノズル6の洗浄及び検査をする処理を実行することができる。そして、作業者がノズルステーション60をステーション保持部32に取り付けた後に、インターフェース装置52からノズル洗浄装置30による処理の開始を入力することによって、ノズル洗浄装置30の処理が開始される。以下に、ノズル洗浄装置30の処理について説明する。なお、上述したように、パレット移動装置46によるノズルパレット70のパレット載置部34、洗浄部42、検査部44の間の移動処理については、例えば、国際公開第2014/069016号公報に開示される公知の移動処理と同一であるため、詳細な説明は省略する。また、洗浄部42におけるノズル6の洗浄処理、検査部44におけるノズル6の検査処理についても、例えば、国際公開第2014/069016号公報に開示される方法を用いることができるため、詳細な説明は省略する。
図7に示すように、まず、制御部48は、ノズルステーション60のポケット62の底面に貼られた蛍光シール64を読み取る(S12)。具体的には、制御部48は、撮像装置40のカメラがポケット62の上方に位置するように、移動ベース38aを移動させる。次いで、制御部48は、撮像装置40に当該ポケット62を上方から撮像させる。
次に、制御部48の異常検出部50は、ステップS12で撮像した画像から蛍光シール64を認識できるか否かを判定する(S14)。ポケット62にノズル6が収容されていると、上方からポケット62を撮像したときにノズル6が撮像され、蛍光シール64が撮像されない。一方、ポケット62にノズル6が収容されていないと、上方からポケット62を撮像したときに蛍光シール64が撮像される。ステップS12で撮像された画像から蛍光シール64を認識できない場合(ステップS14でNOの場合)には、異常検出部50は当該ポケット62にノズル6が収容されていると判断し、ステップS18に進む。一方、ステップS12で撮像された画像から蛍光シール64が認識できた場合(ステップS14でYESの場合)には、異常検出部50は当該ポケット62にノズル6が収容されていないと判断する。そして、制御部48は、インターフェース装置52に当該ポケット62にノズル6が収容されていないことを表示する(S16)。
図8は、インターフェース装置52の表示画面80の一例を示している。図8に示すように、インターフェース装置52は、ノズルステーション60の配置を示す配置図82(図8の左側の表示)と、各ポケット62に収容されるノズル6の種類を示す対応表84(図8の右側の表示)を表示している。配置図82は、ノズルステーション60の各ポケット62を区別する番号(ポケット番号)を表示している。対応表84に表示される番号は配置図82に表示されるポケット番号と一致しており、対応表84には、各ポケット番号に対応するポケット62に収容されているノズル6の種類が表示される。なお、図8では、対応表84のポケット番号9〜24の表示を省略している。ステップS12で撮像された画像から蛍光シール64が認識できた場合(ステップS14でYESの場合)には、制御部48は、対応表84のノズル6の種類を示す欄を空白にする(ブランク表示)。例えば、図8では、ポケット番号2と6がブランク表示となっており、ポケット番号2と6に対応する位置のポケット62にはノズル6が収容されていないことを作業者は認識することができる。インターフェース装置52にブランク表示をした後、制御部48は、ステップS26に進む。
ステップS14で撮像された画像から蛍光シール64が認識できない場合(ステップS14でNOの場合)、制御部48は、ノズル6の識別子8を読み取る(S18)。すなわち、制御部48は、撮像装置40のカメラがノズル6の識別子8の上方に位置するように、移動ベース38aを移動させる。次いで、制御部48は、撮像装置40に識別子8を上方から撮像させる。
次に、制御部48の異常検出部50は、ステップS18で撮像した画像からノズル6の識別子8が認識できるか否かを判定する(S20)。ステップS18で撮像された画像から識別子8を認識できた場合(ステップS20でYESの場合)には、制御部48は識別子8から取得したノズル6の識別情報をメモリに記憶させ、ステップS24に進む。一方、ステップS18で撮像された画像から識別子8を認識できない場合(ステップS20でNOの場合)には、ステップS22に進む。
ステップS18で撮像された画像から識別子8を認識できない場合(ステップS20でNOの場合)には、以下のような場合が挙げられる。上述したように、ステップS18のノズル6の識別子8の読み取りは、ステップS14で蛍光シール64が認識できなかった場合に実施される。すなわち、制御部48は、当該ポケット62にノズル6が収容されていると判断した場合に、ステップS18を実施する。しかしながら、ステップS14では、ポケット62にノズル6が収容されていなくても、蛍光シール64を認識できない場合がある。例えば、ポケット62内にはんだやごみ等が侵入して蛍光シール64が汚れている場合や、蛍光シール64が剥がれている場合等である。このような場合には、ポケット62にノズル6が収容されていないため、制御部48は、ステップS20においてノズル6の識別子8を認識できない。また、上記の場合の他に、ステップS20でノズル6の識別子8が認識できない場合(ステップS20でNOの場合)には、ノズル6の識別子8にはんだやごみ等が付着し、識別子8を認識できない場合もある。このような場合には、ポケット62にノズル6が収容されているが、制御部48は当該ポケット62収容されるノズル6の種類を特定することができない。ステップS18において識別子8を認識できないと、制御部48は、当該ポケット62にノズル6が収容されているか否かを特定できず、また、ノズル6が収容されていたとしても収容されているノズル6の種類を特定することができない。このため、制御部48は以下に続くノズル6の洗浄処理や検査処理を続行することができないと判断し、インターフェース装置52にエラーを示す表示を点滅表示させる(S22)。例えば、図8に示すように、対応表84のポケット番号5の欄に、「ERROR」を点滅させて表示する。
ノズルステーション60には、複数のポケット62が設けられており、多くの場合、同じ種類のノズル6が複数収容される。このため、上記のように複数のポケット62のうちの1つに解消されない異常があっても、他のポケット62に収容される同じ種類のノズル6を使用すれば実装処理を行うことができる。したがって、上記の種類の異常が発生しても、部品実装機10の実装処理に直ちに影響を与えない。しかしながら、このような異常は、作業者が処理しなければ解消されないため、放置すると後に実装処理に影響を及ぼすことがある。このため、解消されていない異常が発生していることを作業者に認識させ、異常を解消するためには作業者による作業が必要となることを、作業者の目に留まりやすいように点滅させて表示する。このように表示することによって、作業者によって解消する必要がある異常が生じていることを適切に注意喚起することができる。なお、ここで検出された異常は、作業者が処理することによって解消することができる。例えば、検出された異常が当該ポケット62にノズル6が収容されていないにも関わらず、蛍光シール64を認識できないために発生した場合には、作業者が当該ポケット62の底面を洗浄するか、蛍光シール64を貼り換えることによって解消される。また、検出された異常が当該ポケット62に収容されるノズル6の識別子8を認識できないために発生した場合には、ノズル6を洗浄することによって解消される。
ステップS18で撮像された画像からノズル6の識別子8を認識できた場合(ステップS20でYESの場合)、制御部48は、ポケット62に収容されているノズル6をノズルパレット70に移動させる(S24)。詳細には、制御部48は、移載ヘッド36がノズル6の上方に位置するように、移動ベース38aを移動する。次いで、制御部48は、移載ヘッド36を駆動し、ノズル6を把持する。制御部48は、ノズル6を把持した状態で、移載ヘッド36がノズルパレット70の貫通孔72の上方に位置するように、移動ベース38aを移動する。そして、制御部48は、移載ヘッド36を駆動し、ノズル6をノズルパレット70の貫通孔72に収容する。
次に、制御部48は、ノズルステーション60の全てのポケット62についてステップS12〜ステップS24の処理を実行したか否かを判定する(S26)。全てのポケット62についてステップS12〜ステップS24の処理を実行していない場合(ステップS26でNOの場合)には、制御部48は、ステップS12に戻り、全てのポケット62についてステップS12〜ステップS24の処理を実行する。全てのポケット62についてステップS12〜ステップS24の処理を実行した場合(ステップS26でYESの場合)には、ステップS28に進む。
全てのポケット62についてステップS12〜ステップS24の処理が実行されると(ステップS26でYESの場合)、制御部48は、ノズル6が収容されたノズルパレット70を洗浄部42に移動する(S28)。ノズルパレット70は、パレット移動装置46によってパレット載置部34から洗浄部42に移動される。そして、制御部48は、洗浄部42においてノズルパレット70に収容されるノズル6を洗浄する(S30)。洗浄部42においてノズル6を洗浄することによって、ノズル6に付着したはんだやごみ等を洗い流すことができる。
次に、制御部48は、ノズル6が収容されたノズルパレット70を検査部44に移動する(S32)。ノズルパレット70は、パレット移動装置46によって洗浄部42から検査部44に移動される。そして、制御部48は、検査部44においてノズルパレット70に収容されるノズル6を検査する(S34)。検査部44では、ノズル6について1又は複数種類の検査が行われ、例えば、先端部検査や流量検査等のノズル6が正常に機能するか否かの検査が行われる。検査部44での検査結果は、制御部48のメモリに記憶される(S36)。
次に、制御部48は、ノズルパレット70に収容される全てのノズル6について検査が終了したか否かを判定する(S38)。全てのノズル6についてステップS34の検査を実行していない場合(ステップS38でNOの場合)には、制御部48は、ステップS34に戻り、検査されていないノズル6についてステップS34とステップS36の処理を実行する。全てのノズル6についてステップS36の検査を実行した場合(ステップS38でYESの場合)には、ステップS40に進む。
全てのノズル6について検査が終了すると(ステップS38でYESの場合)、制御部48は、ノズルパレット70をパレット載置部34に移動する(S40)。ノズルパレット70は、パレット移動装置46によって検査部44からパレット載置部34に移動される。
ノズルパレット70がパレット載置部34に載置されると、制御部48の異常検出部50は、ノズルパレット70に収容されるノズル6について、ステップS34の検査結果が正常であったか否かを判定する(S42)。ステップS34の検査結果は、ステップS36で制御部48のメモリに記憶されている。制御部48は、メモリに記憶される検査結果からノズル6が正常であるか否かを判断する。ノズル6が正常である場合(ステップS42でYESの場合)には、ステップS44に進む。一方、ノズル6が正常でない場合(ステップS42でNOの場合)には、ステップS48に進む。
ノズル6が正常である場合(ステップS42でYESの場合)、制御部48は、ノズル6をノズルステーション60に収容する(S44)。詳細には、制御部48は、ノズルステーション60の複数のポケット62のうち、ノズル洗浄装置30で処理する前に収容されていたポケット62にノズル6を収容する。なお、ノズル6の移動は、ステップS24の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
その後、制御部48は、インターフェース装置52の表示画面80に、収容したノズル6の種類を表示する(S46)。すなわち、ステップS18で読み取った識別子8のノズル情報に基づいて、ノズル6の種類を表示する。例えば、図8においてポケット番号1で示されるポケット62には、「N0003」で表される種類のノズル6が収容されている。このノズル6は、ステップS18で読み取られた識別子8の識別情報に基づいて、ステップS20においてノズル6の種類が「N0003」であると記憶される。そして、このノズル6は洗浄され、検査された結果、正常であると判断されると、再びポケット番号1で示されるポケット62に収容される。このような場合に、制御部48は、表示画面80の対応表84の番号1の欄に「N0003」と表示する。このときの表示態様は、ノズル6の種類を通常の状態で表示するものであり、例えば、表示欄全体を点灯させたり点滅させたりして作業者に注意喚起を促すものではない。ノズル6の種類が表示されると、ステップS54に進む。
一方、ノズル6が正常でない場合(ステップS42でNOの場合)、制御部48は、ノズル6をノズルステーション60に収容することなく、不良ボックスに収容する(S48)。そして、制御部48は、異常が検出されたノズル6が収容されていたポケット62に、補充用ノズル収容ケースに収容されるノズル6を収容する(S50)。ここで当該ポケット62には、異常が検出されたノズル6(すなわち、不良ボックスに収容されたノズル6)と同じ種類のノズル6が収容される。その後、制御部48は、インターフェース装置52の表示画面80に、収容したノズル6の種類を表示すると共に、表示欄全体を点灯させて表示する(S52)。
例えば、図8においてポケット番号7で示されるポケット62には、種類が「N0025」で表されるノズル6が収容されている。このノズル6は、ステップS18で読み取られた識別子8の識別情報に基づいて、ステップS20においてノズル6の種類が「N0025」であると記憶される。そして、このノズル6は洗浄され、検査された結果、正常ではないと判断されると、不良ボックスに収容される。そして、補充用ノズル収容ケースから種類が「N0025」であるノズル6が選定され、選定されたノズル6は、不良ボックスに収容されたノズル6の代わりにポケット番号7で示されるポケット62に収容される。このような場合に、表示画面80には、対応表84の番号7の欄に「N0025」と表示すると共に、「N0025」と表示された欄全体を点灯させる。
本実施例では、検査によって異常が検出されたノズル6を収容していたポケット62には、異常が検出されたノズル6の代わりに同じ種類の正常なノズル6が収容される。すなわち、当該ポケット62については、ノズル6の異常が検出されたものの、既にその異常はノズル洗浄装置30によって解消されている。ステップS52において、対応表84のノズル6の種類を示す欄全体を点灯表示させることによって、当該表示は、検査結果が正常であったノズル6の表示より作業者の目に留まり易くなる。このため、作業者は当該ポケット62に収容されるノズル6に異常が発生していたことを認識し易くなる。
また、このような点灯表示は、ノズル6に発生していた異常を報知するものであるが、ステップS22の「ERROR」の点滅表示と比較すると作業者の目に留まり難い。しかしながら、ステップS52によって表示画面80に点灯表示される異常は、ノズル洗浄装置30によって既に解消されており、実装処理に影響を及ぼすものではない。このため、ステップS52で点灯表示する異常は、作業者が処理する必要がなく、単に異常があったことを作業者に知らせることができればよい。一方、上述したように、ステップS22で点滅表示させる種類の異常は、実装処理に直ちに影響を及ぼすものではないものの、ノズル洗浄装置30によっては解消できず、その異常は未だ解消されていない。このため、既に解消されている異常(ステップS52で点灯表示させる種類の異常)を、未だ解消されていない異常(ステップS22で点滅表示させる種類の異常)より作業者の目に留まり難いように表示することによって、未だ解消されていない異常を作業者に目に留まり易くすることができる。したがって、複数種類の異常が発生した場合であっても、解消されていない異常について作業者に適切に注意喚起することができる。
ノズル6の種類が表示されると(ステップS46又はステップS52)、制御部48は、ノズルパレット70に収容されている全てのノズル6を移動したか否かを判定する(S54)。ノズルパレット70に収容されている全てのノズル6が移動されていない場合(ステップS54でNOの場合)、制御部48は、ステップS42に戻り、ノズルパレット70に収容されているノズル6についてステップS42〜ステップS52の処理を実行する。一方、ノズルパレット70に収容される全てのノズル6が移動された場合(ステップS54でYESの場合)、制御部48は、ノズル洗浄装置30の処理を終了する。
なお、本実施例では、インターフェース装置52に、既に解消された異常については点灯表示し、実装処理に直ちに影響を与えないものの、未だ解消されていない異常については点滅表示しているが、このような構成に限定されない。既に解消された異常は、正常であることを示す表示と比較して作業者の目に留まり易いように表示されていればよく、その表示態様は特に限定されない。また、実装処理に直ちに影響を与えないものの、未だ解消されていない異常は、正常であることを示す表示及び既に解消された異常を示す表示と比較して、作業者の目により留まり易いように表示されればよく、その表示態様は特に限定されない。
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。