JP6960487B2 - 顕微鏡装置を用いた観察方法 - Google Patents

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Description

開示は、蛍光顕微鏡やライトシート顕微鏡装置に最適な液浸対物レンズ、液浸対物レンズを備えた顕微鏡装置及び、顕微鏡装置を用いた観察方法に関する。
生体試料(物体)の深部の3次元情報を取得するための装置として、例えば蛍光顕微鏡やライトシート顕微鏡(非特許文献1)が公知である。
これらの顕微鏡による観察法では、照明光(励起光)の照射された領域からのみ生体試料の蛍光画像情報が得られるため、3次元情報を取得するためには、試料ないし光学系をスキャンする必要がある。それゆえ、3次元情報が取得可能な範囲は、コンデンサレンズ及び対物レンズから試料面までの距離、いわゆる作動距離(Working Distance;WD)により制限を受ける。
これまでは、生体を透明化するための試薬の能力に限界があり、必然的に小さな試料を観察できれば十分であった。それゆえ、コンデンサレンズ、対物レンズは共にWDが小さい市販の液浸対物レンズで実用上十分であった。
近年、生体組織透明化技術に進展により、大きな生体試料、具体的には臓器の3次元画像情報を得るための研究が進んでいる(非特許文献2)。このような要望から従来の蛍光顕微鏡の構成を踏襲し、対物レンズとしての作動距離を伸ばした液浸対物レンズの構成として、特許文献1〜3に示されるものが公知である。
一方で、かかる液浸対物レンズを用いた生体観察においては、対物レンズと試料との間に満たされた浸液が複数種類あることが普通である。このことは、特に大きな開口数と大きな作動距離とを両立させる場合に問題となる。具体的には主に異なる種類の浸液の分散(すなわち、アッベ数)の違いにより、対物レンズ全体としての色収差が変化することにより解像力が劣化するため、何等かの方法で分散の違いを補正する必要がある。
高い開口数を持つ生物顕微鏡用対物レンズには、カバーガラスの厚みの誤差などに伴う収差変化を吸収するため、補正環が設けられている(例えば、特許文献4)。この生物顕微鏡用対物レンズでは、補正環の回転によって一部の補正レンズ群が光軸方向に移動することで、カバーガラスの厚みや試料の観察部位の深さによる球面収差の変化が打ち消される。特許文献1〜3には、浸液の屈折率の違いによる球面収差変化を一部のレンズの移動により打ち消す例が示されている。
特開2015−79144号公報 特開2015−79222号公報 特許第6552436号公報 特開2008−111981号公報
J M Girkin and M T Carvalho、"The light−sheet microscopy revolution"、J.Opt. 20、(2018)053002(20pp) 国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター、「研究開発の俯瞰報告書 ライフサイエンス・臨床医学分野(2019年)」
しかしながら、補正環により一部のレンズを移動させる方式では、球面収差は変化させることができても、光学系の近軸量である色収差を大きく変化させることはできない。そのため、液浸対物レンズにこの方式をそのまま適用したとしても、長作動距離を実現しつつ様々な浸液に対応させて色収差を補正することはできない。
本発明が解決しようとする課題は、異なる浸液による色収差を補正でき、かつ様々な浸液に対応させて色収差を補正できるようにすることである。
このような課題を解決するために、本発明のある実施形態は、液浸対物レンズ(1)であって、屈折力を持つ対物レンズ(3)と、前記屈折力を持たない厚みが異なる同一硝種からなる複数の平行平面板(5)とを備え、複数の前記平行平面板が、前記対物レンズに対して物体(S)の側に配置される浸液(2)の種類に応じ、前記対物レンズと前記浸液との間に選択的に配置される。
この構成によれば、対物レンズと浸液との間に配置される平行平面板の厚みを変化させることにより、異なる浸液による色収差を補正することができ、様々な浸液の屈折率に対応させて色収差を補正することができる。
また上記課題を解決するために、本発明のある実施形態は、顕微鏡装置(10)であって、上記構成の液浸対物レンズ(1)と、前記液浸対物レンズから出射した光を収斂する結像レンズ(14)とを備え、複数の前記平行平面板が、前記浸液のアッベ数(ν)に応じ、前記対物レンズと前記浸液との間に選択的に配置可能に構成されている。
この構成によれば、異なる分散を持つ複数種の浸液に対し、対物レンズと物体との間に配置される平行平面板を変更することによって色収差を補正して物体を観察することができる。
また上記課題を解決するために、本発明のある実施形態は、上記構成の顕微鏡装置(10)を用いた観察方法であって、前記浸液のアッベ数(ν)に応じ、複数の前記平行平面板の中から少なくとも1つを選択し、選択した前記平行平面板を前記浸液中の前記対物レンズと前記浸液との間に挿入する。
この構成によれば、対物レンズと浸液との間に挿入した平行平面板によって浸液の分散に応じた色収差の補正を行うことができる。
好ましくは、前記平行平面板のアッベ数(ν)は前記浸液のアッベ数(ν)より小さく、ν2aのアッベ数(ν)の前記浸液に対して選択される前記平行平面板の厚みをt、ν2bのアッベ数(ν)の前記浸液に対して選択される前記平行平面板の厚みをtとするとき、ν2a≦ν2bならばt≦tであるとよい。
ただしアッベ数は式(1)により定義される材料固有の値である。
Figure 0006960487
ここで、nは色収差の補正範囲の中央となる波長での屈折率、n及びnはそれぞれ、短波長側の屈折率と、長波長側の屈折率である。一般に、アッベ数の定義において、nはd線(λ=587.56nm)、nはF線(λ=486.13nm)、nはC線(λ=656.27nm)に対する屈折率とされる。ただし、光学系の用途に応じて、近赤外域ないし近紫外域を含む任意の波長の屈折率を用いてアッベ数を定義してもよい。
この構成によれば、浸液のアッベ数の値に応じて適切に色収差を補正することができる。
好ましくは、前記平行平面板のアッベ数(ν)は前記浸液のアッベ数(ν)より大きく、ν2aのアッベ数(ν)の前記浸液に対して選択される前記平行平面板の厚みをt、ν2bのアッベ数の前記浸液に対して選択される前記平行平面板の厚みをtとするとき、ν2a≧ν2bならばt≦tであるとよい。
この構成によれば、浸液のアッベ数の値に応じて適切に色収差を補正することができる。
このように本発明によれば、異なる浸液による色収差を補正でき、かつ様々な浸液に対応させて色収差を補正可能な液浸対物レンズ、顕微鏡装置及び、観察方法を提供することができる。
空気中に置かれた平行平面板に光線が入射し、像点位置が変化することを示す模式図 複数の連続した異なる媒質Mに光線が入射することを示す模式図 式(14)における係数(n−1)/nの変化を示すグラフ 実施形態に係る液浸対物レンズの概略構成図 実施形態に係る液浸対物レンズの使用態様の説明図 実施例1の光路図を示す図 実施例1において浸液2−1に対する縦収差図 実施例1において浸液2−2に対する縦収差図 実施例1において浸液2−3に対する縦収差図 実施例1において浸液2−1に対するMTF 実施例1において浸液2−2に対するMTF 実施例1において浸液2−3に対するMTF 実施例2の光路図を示す図 実施例2において浸液2−4に対する縦収差図 実施例2において浸液2−5に対する縦収差図 実施例2において浸液2−6に対する縦収差図 実施例2において浸液2−4に対するMTF 実施例2において浸液2−5に対するMTF 実施例2において浸液2−6に対するMTF 実施形態に係る液浸対物レンズが適用された顕微鏡装置の構成図
図面を参照して、本発明に係る液浸対物レンズ1について説明する。
本発明は、複数種の浸液2に対して色収差の発生を防止するものであり、液浸対物レンズ1(図3及び図4参照)により具現化される。液浸対物レンズ1は、試料S(物体)に対峙するように配置される対物レンズ3を備えており、対物レンズ3に対して試料Sの側には浸液2が配置される。対物レンズ3は正の屈折力を持つものであり、単一のレンズ(単レンズ又は接合レンズ)によって構成されてもよく、複数のレンズによって構成されてもよい。また液浸対物レンズ1は、屈折力を持たない厚みが異なる同一硝種からなる複数の平行平面板5を含むように構成される。浸液2のアッベ数(ν)に応じて選択された平行平面板5が対物レンズ3と浸液2との間に浸液2に接するように挿入されることにより、異なる浸液2による色収差が補正される。
以下に、ある厚みを持つ平行平面板5の選択方法について、その背景となる理論を説明する。
最初に、図1のように空気中に置かれたtの厚み及びnの屈折率を持つ平行平面板5に、光線が光軸に対する入射角度θをもって入射することを考えると、スネルの法則により、入射角度θと射出角θの間には式(2)の関係が成り立つ。
Figure 0006960487
光線の平行平面板5への入射点Rにおいて、入射光線と屈折後の光線の高さが等しいことから、図1においてLとL'及び平行平面板5の厚みの間には、式(3)で示される関係が成り立つ。
Figure 0006960487
式(2)及び式(3)を、近軸領域(sinθ≒θ、tanθ≒θ)において近似することにより、平行平面板5の有無による像点位置の変化(L'−L)は式(4)で与えられる。
Figure 0006960487
ここで、平行平面板5の屈折率(n)は波長により異なるので、平行平面板5の有無による像面位置の変化もまた波長により異なる。すなわち、L'−Lの波長による差異が補正板として機能する平行平面板5による色収差である。
以上により平行平面板5による色収差(ΔL)は、式(5)で与えられる。
Figure 0006960487
なお差分Δは、対象とする波長域の短い側と長い側での差を意味し、具体的にΔ(1/n)は式(6)で与えられる。
Figure 0006960487
ここで、n及びnはそれぞれ、短波長側の屈折率と、長波長側の屈折率である。
一般に複数の媒質Mからなる平行平面板5から発生する色収差は、式(5)で与えられる色収差を各媒質Mについて足し合わせることで求めることができる。すなわち、全体より発生する色収差は式(7)で与えられる。
Figure 0006960487
式(7)は一般的な場合であるが、平行平面板5と浸液2よりなる系(図2においてk=2の場合)を考える。すなわち、媒質Mが平行平面板5に、媒質Mが浸液2に対応する。複数種の浸液2に対応する理論式を得るため、仮想的に補正板の厚みがゼロになる浸液2(媒質M)を考え、その屈折率をn、厚みをLとする。
異なる浸液2に対しても、平行平面板5と浸液2の長さの和がほぼ一定になること、すなわち、液浸対物レンズ1の最も試料面に近い面から試料面までの距離が一定になることが実運用上望ましい。
以上を踏まえ、媒質Mに対する色収差が媒質Mに対しても変化せず、かつ媒質Mからなる平行平面板5と媒質Mからなる浸液2の長さの和が一定となる条件を立てると、媒質Mの厚み(すなわち平行平面板5の厚み)及び媒質Mの厚み(すなわち浸液2の厚み)は以下の連立方程式(8)により決定される。ただし、t:媒質Mの厚み、t:媒質Mの厚み、である。
Figure 0006960487
ここで、a=Δ(1/n)、b=Δ(1/n)、c=Δ(1/n)とすると式(8)は以下の一次方程式(9)に他ならない。
Figure 0006960487
この一次方程式の解は式(10)で与えられる。

Figure 0006960487
媒質M(平行平面板5)及び媒質M(浸液2)の厚みが正となるためには、a=Δ(1/n)、b=Δ(1/n)、c=Δ(1/n)の間に式(11)で示される条件が成り立たなければならない。
Figure 0006960487
条件1、条件2の不等式を整理することにより、式(11)をさらに以下に示す式(12)に書き換えることができる。
Figure 0006960487
ここで、a=Δ(1/n)、b=Δ(1/n)、c=Δ(1/n)を、アッベ数を用いて表現することを考える。定義より
Figure 0006960487
であるが、アッベ数の定義(式(1))からn−n=(n−1)/νが成り立つので、結局、Δ(1/n)は式(14)となる。
Figure 0006960487
図3によれば係数(n−1)/n は、ほぼnによらず、0.22〜0.25の値を取るので、Δ(1/n)はほぼアッベ数に反比例する。このことを踏まえると、式(12)は媒質Mのアッベ数(ν)、媒質Mのアッベ数(ν)、媒質Mのアッベ数(ν)を用いて近似的に以下の条件と等価になる。
Figure 0006960487
以下で式(15)条件1の場合の条件式を具体的に吟味する。
この条件下では、平行平面板5のアッベ数(ν)は、対応できるすべての浸液2のアッベ数(ν)より小さく、νのアッベ数の浸液2に対して、b=cの場合に相当するため式(10)で与えられる平行平面板5の解がゼロとなる。さらに、式(10)において平行平面板5の厚みはb−aに反比例するため、平行平面板5と浸液2のアッベ数の差が大きければ大きいほど、平行平面板5の厚みが厚くなることを意味する。すなわち、より大きなアッベ数に対して、色収差を補正する平行平面板5の厚み(t)はより厚いものとなる。
式(15)条件2の場合については、以上の考察は逆の条件を与え、平行平面板5のアッベ数(ν)は、対応できるすべての浸液2のアッベ数(ν)より大きく、より小さなアッベ数の浸液2に対して色収差を補正する平行平面板5の厚み(t)はより厚いものとなる。
さらに、式(15)条件1の場合について、数値例を挙げて説明する。
Figure 0006960487
表1において、媒質Mは平行平面板5、媒質M及び媒質M'は浸液2の特性が示されている。また、Δ(1/n)は、式(14)に物質のアッベ数と屈折率を代入して求めた値である。平行平面板5に対応する媒質Mは、オハラ社の重フリント系光学ガラスであるS−NPH2に対応する。
平行平面板5と浸液2よりなる系の厚みの和をL=35mmとし、平行平面板5の厚みがゼロとなる媒質Mを媒質M及び媒質M'に選択すると、式(10)による解は以下のようになる。ここで、媒質Mの厚み(t)は平行平面板5の厚み(t)に対応し、媒質M及び媒質M'の厚み(t)は浸液2の厚み(t')に対応する。
Figure 0006960487
表2に示すように、媒質M及び媒質M'について、平行平面板5の厚み(t)はそれぞれ約5.12mm及び9.97mm、作動距離、すなわち浸液2の厚み(t')はそれぞれ29.87mm、25.02mmという実用に供することのできる解が得られる。
さらに、対物レンズ3と浸液2との間に平行平面板5を介することにより、平行平面板5がいわゆるウインドウの役割も果たすことが可能であり、浸液2がレンズそのもの(レンズ表面、鏡筒、レンズ接着剤等)に及ぼすダメージを低減する効果が期待できる。
本発明によると、長い作動距離と大きな開口数を持ち、様々な浸液2の屈折率に対応させて色収差を補正できる液浸対物レンズ1を、なんらレンズを駆動させる機構を含むことなく構成することができる。
実施形態に係る液浸対物レンズ1の概略構成図を図4に示す。図4に示すように、液浸対物レンズ1は、屈折力を持つ対物レンズ3と、屈折力を持たない同一硝種からなる厚みが異なる複数の交換可能な平行平面板5(5−1、5−2・・・5−k)とを備えている。
実施形態に係る液浸対物レンズ1の使用態様の説明図を図5に示す。液浸対物レンズ1は、対物レンズ3と複数の異なる厚みを持つ平行平面板5の組の内、ある浸液2に対してはある厚みの、また異なる浸液2に対してはそれとは異なる厚みの平行平面板5を選択し、対物レンズ3と浸液2との間に挿入して浸液2に接触させて使用される。
実施例1は、本発明に係る液浸対物レンズ1(焦点距離f=18mm、NA0.3、視野φ2.5mm)の例である。そのレンズデータを表3に、光路図を図6に示す。なお、S−TIM2、S−FPL55、S−FPL51、S−BSL7及びS−BSM25はそれぞれオハラ社のガラス名称である。
Figure 0006960487
ここで、20面と21面はそれぞれ平行平面板5と浸液2に対応する。媒質Mとして、その特性を以下に示す浸液2−1、2−2、2−3とした場合の20面、21面のデータを表4に示す。
Figure 0006960487
ここで、平行平面板5の材質をS−NPH2としたが、この硝材のd線に対する屈折率は1.92286、アッベ数は18.9であり、媒質Mとして選択された浸液2−1、2−2、2−3のどのアッベ数よりも小さい。なおかつ表4によると、より大きなアッベ数を持つ浸液2に対しては、平行平面板5の厚みが厚くなっている。つまり、平行平面板5のアッベ数は浸液2のアッベ数より小さく、ν2aのアッベ数の浸液2に対して選択される平行平面板5の厚みをt、ν2bのアッベ数の浸液2に対して選択される平行平面板5の厚みをtとするとき、ν2a≦ν2bならばt≦tのように選択される。これにより、浸液2のアッベ数の値に応じて適切に色収差が補正される。
さらに、表4によると平行平面板5の厚み(t)と浸液2の厚み(t')の和は33.21〜33.53の範囲でほぼ一定であり、運用上望ましい条件を満たしている。
図7、図8及び図9は、この設計に対するλ=656.27nm(C線)、587.56nm(d線)、486.13nm(F線)での球面収差(縦収差)を示した図である。これらの図によれば、この設計が色消し条件を満たしており、媒質Mの選択によらずほぼ一定の色収差を保っていることが分かる。
また、図10、図11及び図12は、上記波長におけるModulation Transfer Function(MTF;光学伝達関数)であるが、これらの図によると、すべての媒質Mに対して、実施例1の設計が十分な解像度を有することを示している。
実施例2は、本発明に係る液浸対物レンズ1(焦点距離f=18mm、NA0.3、視野φ2.5mm)の他の例である。そのレンズデータを表5に、光路図を図13に示す。なお、S−NBM51、S−BSL7、S−LAL18及びS−FPL55はそれぞれオハラ社のガラス名称であり、CAF2は蛍石である。
Figure 0006960487
ここで、20面と21面はそれぞれ平行平面板5と浸液2に対応する。媒質Mとして、その特性を以下に示す浸液2−4、2−5、2−6とした場合の20面、21面のデータを表6に示す。
Figure 0006960487
ここで、平行平面板5の材質をS−FPL55としたが、この硝材のd線に対する屈折率は1.439948、アッベ数は94.6であり、媒質Mとして選択された浸液2−4、2−5、2−6のどのアッベ数よりも大きい。なおかつ表6によると、より小さなアッベ数を持つ浸液2に対しては、平行平面板5の厚みが厚くなっている。つまり、平行平面板5のアッベ数は浸液2のアッベ数より大きく、ν2aのアッベ数の浸液2に対して選択される平行平面板5の厚みをt、ν2bのアッベ数の浸液2に対して選択される平行平面板5の厚みをtとするとき、ν2a≧ν2bならばt≦tのように選択される。これにより、浸液2のアッベ数の値に応じて適切に色収差が補正される。
さらに、表6によると平行平面板5の厚み(t)と浸液2の厚み(t')との和は28.64〜28.84の範囲でほぼ一定であり、運用上望ましい条件を満たしている。
図14、図15及び図16は、この設計に対するλ=656.27nm(C線)、587.56nm(d線)、486.13nm(F線)での球面収差(縦収差)を示した図である。これらの図によれば、この設計が色消し条件を満たしており、媒質Mの選択によらずほぼ一定の色収差を保っていることが分かる。また、図17、図18及び図19は、上記波長におけるMTFであるが、これらの図によると、すべての媒質Mに対して、実施例2の設計が十分な解像度を有することを示している。
次に、本発明に係る液浸対物レンズ1が適用された顕微鏡装置10について、図20を参照して説明する。図20に示すように、顕微鏡装置10は、試料Sの顕微鏡画像を取得する撮像光学系11と、顕微鏡画像を撮像する撮像装置12とを備えている。撮像装置12はデジタルカメラであり、入射した光を電気信号に変換して画像データを生成し、生成した画像データを出力する。撮像装置12から出力される画像データは図示しないコンピュータへ送られ、コンピュータによって試料Sの画像としてディスプレイに表示される。
撮像光学系11は、試料S側から順に、浸液チャンバ13と、上記構成の対物レンズ3と、結像レンズ14とを含んでいる。浸液チャンバ13には、対物レンズ3の物体側の面に接するように浸液2が満たされている。対物レンズ3は、結像レンズ14と組み合わせて使用される無限遠補正型の顕微鏡対物レンズである。結像レンズ14は、正の屈折力を持つものであり、対物レンズ3から出射した無限遠光線束を収斂し、撮像装置12の撮像面に試料Sの光学像を形成する。結像レンズ14は単一のレンズ(単レンズ又は接合レンズ)によって構成されてもよく、複数のレンズによって構成されてもよい。
平行平面板5は、浸液チャンバ13に満たされた浸液2に接するように対物レンズ3と浸液2との間に選択的に配置可能に構成されている。対物レンズ3及び平行平面板5により液浸対物レンズ1が構成される。これにより、異なる分散を持つ複数種の浸液2に対し、対物レンズ3と浸液2との間に配置される平行平面板5を変更することができる。
顕微鏡装置10は、さらに、試料Sを載置するXYZステージ15と、第1照明装置16と、第2照明装置17とを備えている。XYZステージ15は、撮像光学系11の光軸及びこれに直交する互いに直角をなす2軸を含む3軸方向に移動可能に構成されている。XYZステージ15は電動ステージであってもよく、手動ステージであってもよい。試料Sは浸液チャンバ13に満たされた浸液2の内部に浸漬されており、さらに試料SはXYZステージ15に乗っていることにより、3次元内の任意の位置に移動可能である。
本実施形態においては、試料Sは2通りの方法により照明され得る。1つは浸液チャンバ13の外部からの第1照明装置16による照明であり、もう1つは第2照明装置17により対物レンズ3を介して照明するいわゆる落射照明である。当然ながら、例えばXYZステージ15の中央に穴をあけ、その穴を介して試料Sを照明するいわゆる透過照明の方法も可能である。
これらの照明光によって試料Sから散乱された光、ないしは照明光により励起された蛍光を対物レンズ3により取り込み、さらに結像レンズ14により撮像装置12により画像を取得することで、試料Sの顕微鏡画像を得ることができる。さらには、試料SをXYZステージ15により移動させることにより、大きな試料Sの広い範囲の3次元情報も取得が可能となる。
なお、以上の構成では、顕微鏡装置10を固定し、試料Sを移動する構成を示したが、それとは逆に、試料Sを固定し、顕微鏡装置10を移動する構成をとることもできる。
ここで、浸液2には複数の種類の浸液2が使用される可能性がある。その場合、前述のように、浸液2の分散の相違により、対物レンズ3のもとから持つ色収差が変化してしまう。そこで、具体的には上記の実施例1又は実施例2で述べた方法により、浸液2のアッベ数(ν)及び平行平面板5のアッベ数(ν)に応じて、厚みが異なる平行平面板5を対物レンズ3と浸液2との間に挿入する。これにより、浸液2の分散に応じて色収差を補正して、試料Sを観察することができる。また、そのように複数種の浸液2に対応させて色収差を補正できる顕微鏡装置10を簡易な構成で実現することができる。
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
本構成からなる対物レンズ3により、生体試料の深部まで観察する必要のある装置において、レンズ性能を悪化させることなく、良好な解像力を得られる浸液2の選択肢を広げることができる。
1 液浸対物レンズ
2(2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6) 浸液
3 対物レンズ
5(5−1、5−2、5−3) 平行平面板
10 顕微鏡装置
11 撮像光学系
12 撮像装置
13 浸液チャンバ
14 結像レンズ
15 XYZステージ
16 第1照明装置
17 第2照明装置
M(M、M、M、M') 媒質
S 試料(物体)
t 平行平面板5の厚み
t' 浸液2の厚み
媒質Mの厚み
媒質Mの厚み
平行平面板5の厚みの値
平行平面板5の厚みの値
ν 媒質Mのアッベ数(平行平面板5のアッベ数)
ν 媒質Mのアッベ数(浸液2のアッベ数)
ν2a 浸液2のアッベ数の値
ν2b 浸液2のアッベ数の値

Claims (2)

  1. 屈折力を持つ対物レンズと、前記屈折力を持たない厚みが異なる同一硝種からなる複数の平行平面板とを備え、複数の前記平行平面板が、前記対物レンズに対して物体の側に配置される浸液の種類に応じ、前記対物レンズと前記浸液との間に選択的に配置される液浸対物レンズと、
    前記液浸対物レンズから出射した光束を収斂する結像レンズとを備え
    複数の前記平行平面板が、前記浸液のアッベ数に応じ、前記対物レンズと前記浸液との間に選択的に配置可能に構成されている顕微鏡装置を用いた観察方法であって、
    前記浸液のアッベ数に応じ、複数の前記平行平面板の中から少なくとも1つを選択し、選択した前記平行平面板を前記浸液中の前記対物レンズと前記浸液との間に挿入し、
    前記平行平面板のアッベ数は前記浸液のアッベ数より小さく、
    ν2aのアッベ数の前記浸液に対して選択される前記平行平面板の厚みをta、ν2bのアッベ数の前記浸液に対して選択される前記平行平面板の厚みをtbとするとき、ν2a≦ν2bならばta≦tbであることを特徴とする観察方法。
  2. 屈折力を持つ対物レンズと、前記屈折力を持たない厚みが異なる同一硝種からなる複数の平行平面板とを備え、複数の前記平行平面板が、前記対物レンズに対して物体の側に配置される浸液の種類に応じ、前記対物レンズと前記浸液との間に選択的に配置される液浸対物レンズと、
    前記液浸対物レンズから出射した光束を収斂する結像レンズとを備え、
    複数の前記平行平面板が、前記浸液のアッベ数に応じ、前記対物レンズと前記浸液との間に選択的に配置可能に構成されている顕微鏡装置を用いた観察方法であって、
    前記浸液のアッベ数に応じ、複数の前記平行平面板の中から少なくとも1つを選択し、選択した前記平行平面板を前記浸液中の前記対物レンズと前記浸液との間に挿入し、
    前記平行平面板のアッベ数は前記浸液のアッベ数より大きく、
    ν2aのアッベ数の前記浸液に対して選択される前記平行平面板の厚みをta、ν2bのアッベ数の前記浸液に対して選択される前記平行平面板の厚みをtbとするとき、ν2a≧ν2bならばta≦tbであることを特徴とする観察方法。
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