JP6960083B2 - 耐熱板材 - Google Patents
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Description
前記耐熱板材の硬さは410HV以下であることが好ましい。
Ni基合金において、高い高温強度を得るために組織をオーステナイト母相と析出γ’相からなる組織とするが、γ’相の量が多い方が高温強度は高くなる。γ’相の量は熱処理条件によって変化し、固溶化処理後には完全に固溶したり、時効処理後には多くが析出したりする。このため、γ’相の量を規定する基準として、ここでは0次近似組織分析法によって計算されるγ’相量を規定することとする。Ni基合金の化学成分から、Cは全てTi、Nb、Ta等とMC型炭化物を形成し、残りのAl、Ti、Nb、Ta等のγ’相形成元素は全てNi3(Al,Ti、Nb、Ta)という形のγ’相を形成し、Co、Cr、Mo、W等のオーステナイト相形成元素は全て残りのNiと共にオーステナイト相を形成すると仮定して各合金成分をγ’相とオーステナイト相に配分し、配分した成分の総原子数の比からγ’相の量を計算する0次近似(オーステナイト相の組成とγ’相の組成の平衡関係を0次近似するという意味)の組織分析法を用いる。
また、本発明のNi基合金でなる耐熱板材の厚さは1mm以下とする。冷間圧延を適用して1mm以下のNi基合金製の耐熱板材を得ることができる。なお、本発明で耐熱板材の厚さを1mm以下とするのは、厚さが1mmを超えると冷間プレス加工等による成形が難しくなるからである。耐熱板材の下限については、その用途によって適宜設定すれば良いが、おおよそ0.05mmであれば良い。
Cは、TiとMC型炭化物を形成し、結晶粒を微細化することで常温および高温での強度と延性をバランスよく向上させる効果を有するため、少量添加するのが好ましい。しかし、0.005%より少ないと生成する炭化物が少ないため効果が乏しく、一方、0.06%を超えて添加すると粗大なMC型炭化物を生じて延性を低下させたり、後述する高温で使用する間に生じる時効硬化に必要なTi量を減少させることから、Cは0.005〜0.06%の範囲が好ましい。Cのより好ましい上限は0.05%であり、さらに好ましいCの上限は0.04%である。
Sは不純物元素であって少ない方が好ましく、0%であってもよい。Sは積極的に添加はしないが、原料等から混入する場合がある。混入した場合、Sは0.005%以下であれば、本発明の耐熱板材の特性に有害な影響を与えないことから、Sは0.005%以下とする。なお、Sの好ましい上限は0.003%が良い。
Bは、少量添加すると粒界強化作用により高温での強度と延性を高めるのに有効な元素である。しかし、0.004%より少ないと粒界への偏析量が少ないため効果が不十分となりやすく、一方、0.015%を超えて添加すると加熱時の初期溶融温度が低下して熱間加工性が低下しやすくなることから、Bは0.004〜0.015%の範囲が好ましい。より好ましいBの上限は0.010%である。
Mg:≦0.01%、Ca:≦0.01%、Cu:≦0.1%、Nb:≦0.1%、V:≦0.1%、Zr:≦0.1%、REM:≦0.1%、N:≦0.01%、O:≦0.005%
また、Ag、Sn、Pb、As、Bi、Inもオーステナイト粒界に偏析して高温強度の低下を招く不純物元素であり、これらの元素は合計で0.002%以下に制限することが好ましい。
本発明の耐熱板材は、部品形状に冷間成形されることを考慮すると、固溶化処理を行った状態、あるいは部品形状に冷間成形できる程度に小さい加工度で冷間圧延等の冷間加工を行った、軟らかい状態とする必要があり、積極的な析出硬化をもたらす時効処理をしない状態が好ましい。
また、使用前のオーステナイト基地中に析出するγ’相の平均直径を円相当径で1nmより小さくするには、固溶化処理において試験片レベルの小さいサイズでの急冷に相当する非常に速い冷却速度で急冷する必要があり、工業的な製造が困難である一方、γ’相の平均直径が円相当径で50nmを超えると、時効処理を行った場合のγ’相のサイズに相当することから析出強化量が大きくなり、部品形状への冷間成形加工が困難になることから、γ’相の平均直径は円相当径で1〜50nmとする。好ましいγ’相の平均直径の下限は円相当径で5nm、好ましいγ’相の平均直径の上限は円相当径で40nmである。
最大直径と平均直径の比を1.3以上とすることは、例えば、長時間の2段時効処理によっても得られるが、この場合、最大直径、平均直径が本発明の規定より大きくなるため、耐熱へたり性は十分ではなくなる。なお、オーステナイト基地は歪のない状態でもよいし、冷間加工による少量の歪を加えられた状態でもよいが、冷間歪が25%より大きくなると熱へたりしやすくなるため、冷間歪は25%以下が好ましい。
なお、比較合金No.2は、γ’相とγ’’相(ガンマダブルプライム相)により析出強化する合金であるが、その600℃における平衡状態での析出強化相の合計量(600℃ではγ’’相は平衡相ではなく、δ相(デルタ相)として計算されるので、γ’相とδ相の合計量)は、熱力学計算シミュレーションの計算によると、21モル%であり、本発明の規定量より低くはずれている。
本発明で規定するγ’相を満足するNo.1の熱間圧延材を用いて、1100℃で1時間保持後に急冷する固溶化処理を行ない、さらに厚さ約1.3mmまで冷間圧延を行った。さらに1100℃で1時間保持後に急冷する固溶化処理を行ない、さらに厚さ0.7mmまで冷間圧延を行って0.7mmの冷間圧延材とした。その後、1100℃で1時間保持後に急冷する固溶化処理を行なって厚さが0.7mmの耐熱板材Aとした。
さらに0.7mmの耐熱板材Aを厚さ0.4mmまで冷間圧延後、1100℃で5分保持後に急冷する固溶化処理を行ない、さらに厚さ0.2mmまで圧下率50%の冷間圧延を行って冷間圧延材とした。
厚さ0.2mmの冷間圧延材に対して、1100℃で5分保持の後に急冷する最後の固溶化処理を行って厚さが0.2mmの耐熱板材Bとした。さらに、前記最後の固溶化処理の後、840℃で4時間保持の短時間時効処理を行って耐熱板材Cとした。また、最後の固溶化処理Aの後、840℃で24時間保持後、空冷し、さらに760℃で16時間保持後、空冷する時効処理を行って耐熱板材Dとした。
表2に本発明例の耐熱板材および比較例の耐熱板材A〜Dのγ’相粒子の直径の円相当径を示す。表2より、固溶化処理状態および短時間時効処理状態の本発明例では、γ’相の最大直径は100nm以下であり、平均直径は1〜50nmの範囲となっているだけでなく、最大直径と平均直径の比も1.3以上を満足している。一方、長時間の時効処理を行った比較例では、γ’相の最大直径が100nmを超えており、かつ平均直径は50nmを超えている。
表1に示す合金組成No.1の熱間圧延材から得られた耐熱板材の700℃での熱へたり量は、固溶化処理(ST)後(本発明例1)が最も小さく、ついで短時間時効(Ag1)後(本発明例2)が小さく、長時間時効(Ag2)後(比較例1)が最も大きい。また、比較例2、3の耐熱板材に比べれば本発明例の耐熱板材は、いずれの熱処理条件でも小さい熱へたり量を示しており、耐熱へたり性が良好である。
また、初期状態を時効処理しない状態、即ち、固溶化処理状態、または短時間時効処理としてγ’相の大きさが小さい状態とすることで、熱処理に余分な工数を割く必要がなく、かつ硬さを低く維持できるため、部品形状への成形が容易となり、実用性が向上する。
Claims (2)
- 0次近似組織分析法によって計算されるγ’相がモル%で30〜40%のNi基合金でなる耐熱板材であって、前記板材は、質量%で、C:0.005〜0.06%、Si:0.15%以下、Mn:0.15%以下、S:0.005%以下、Cr:18.0〜20.0%、Mo:5.5〜7.0%、W:0.8〜1.2%、Co:11.0〜14.0%、Al:1.8〜2.3%、Ti:2.9〜3.3%、Fe:2.0%以下、B:0.004〜0.015%、残部:Niおよび不可避的不純物からなる化学成分を有し、前記板材は、厚さが1mm以下であり、前記板材の金属組織がγ’相の最大直径が円相当径で100nm以下、平均直径が円相当径で1〜50nmであり、かつ最大直径の平均直径に対する比が1.3以上であることを特徴とする耐熱板材。
- 硬さが410HV以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱板材。
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