1.フィーダが搭載される部品装着機の構成
一実施形態のフィーダが搭載される部品装着機1の構成について、図1〜図3を用いて説明する。本実施形態のフィーダは、基板に部品を装着する基板生産ライン上に設けられる部品装着機1に適用される装置である。部品装着機1は、図1に示す如く、基板搬送部10と、部品供給部20と、部品移載部30と、を備えている。
基板搬送部10は、生産対象の回路基板などの基板50を搬送する装置である。基板搬送部10は、一対のガイドレール11,12と、コンベアベルト(図示せず)と、クランプ装置(図示せず)と、を有している。ガイドレール11,12は、基台上に設置されている。一対のガイドレール11,12は、間隔を空けて互いに平行に配置されている。ガイドレール11,12は、基板50を案内する。コンベアベルトは、基板50を載置可能なベルト部材であって、輪転可能に設けられている。コンベアベルトは、載置した基板50を、ガイドレール11,12が延びる搬送方向Xに向けて搬送する。基板50は、一対のガイドレール11,12により案内されつつコンベアベルトにより搬送方向Xに向けて搬送される。クランプ装置は、基板50を所定の部品装着位置に位置決めするように配設されている。基板50は、コンベアベルトにより所定の部品装着位置まで搬送されると、クランプ装置によって位置決めされる。
部品供給部20は、基板50に装着する部品60を所定の部品供給位置Lまで供給する装置である。部品60は、例えば0201サイズ(0.2mm×0.1mm)などの微小部品を含んでもよい。部品供給部20は、スロット21と、フィーダ22と、リール保持部23と、を有している。スロット21は、基台に取り付けられている。スロット21は、基板搬送部10に対して搬送方向Xに直交する方向(以下、直交方向と称す。)Yに配置されている。スロット21は、フィーダ22が着脱可能に装着される保持部である。スロット21は、搬送方向Xに並んで複数設けられている。
リール保持部23は、2つのリール70,71をそれぞれ交換可能かつ回転可能に保持することが可能である。リール保持部23は、リール70に対応した第1保持部23aと、リール71に対応した第2保持部23bと、を有している。リール保持部23は、フィーダ22に対して直交方向Yに配置されている。第1保持部23aと第2保持部23bとは、直交方向Yに並ぶように配置されている。リール保持部23は、スロット21すなわちフィーダ22に対応して、搬送方向Xに並んで複数設けられている。リール70,71はそれぞれ、部品60を複数個収容したキャリアテープ80が巻回される回転体である。
キャリアテープ80は、複数の部品60を長手方向に一列に収容したテープ部材である。キャリアテープ80は、図2及び図3に示す如く、ベーステープ81と、ボトムテープ82と、カバーテープ83と、を有している。ベーステープ81は、紙材や樹脂等の柔軟な材料により構成されている。ベーステープ81には、収容孔81aが貫通して設けられている。収容孔81aは、部品60を収容するための孔である。収容孔81aは、ベーステープ81の長手方向において所定間隔ごとに設けられている。
ベーステープ81には、また、係合孔81bが貫通して設けられている。係合孔81bは、後述のスプロケットの係合突起を係合させるための孔である。係合孔81bは、略円形或いは楕円形に形成されている。係合孔81bは、後述のスプロケットの係合突起が係合することが可能な大きさを有している。係合孔81bは、ベーステープ81の長手方向において所定間隔ごとに設けられている。
上記の収容孔81aは、ベーステープ81の幅方向の一方側において長手方向に一列に配置されていると共に、上記の係合孔81bは、ベーステープ81の幅方向の他方側において長手方向に一列に配置されている。ベーステープ81の長手方向における収容孔81aの間隔ピッチと係合孔81bの間隔ピッチとは、予め対応しており、例えば、収容孔81aの間隔ピッチは、係合孔81bの間隔ピッチに対して1倍である。
ボトムテープ82は、ベーステープ81の下面(尚、係合孔81bが設けられている部分を除いてもよい。)に貼付されて接着されている。ボトムテープ82は、ベーステープ81の収容孔81aに収容された部品60を保持してその部品60の脱落を防止する機能を有している。ボトムテープ82は、透明又は半透明の紙材や高分子フィルムなどにより構成されている。
カバーテープ83は、ベーステープ81の上面(尚、係合孔81bが設けられている部分を除いてもよい。)に貼付されて接着されている。カバーテープ83は、ベーステープ81の収容孔81aの上部を閉塞して、その収容孔81aに収容された部品60の飛び出しを防止する機能を有している。ベーステープ81とカバーテープ83とが接着される接着部84は、図10及び図13に示す如く、ベーステープ81の収容孔81aを挟んだ幅方向の両側それぞれの二箇所存在し、それぞれの接着部84は、キャリアテープ80の長手方向に連続的に延在している。尚、接着部84は、キャリアテープ80の長手方向に所定間隔を空けて点在してもよい。カバーテープ83は、透明な高分子フィルムなどにより構成されている。
フィーダ22は、スロット21に着脱可能に装着される。フィーダ22は、リール保持部23に保持されているリール70,71に巻回されているキャリアテープ80を、基板50の搬送方向Xに直交する直交方向Yに送ることにより、キャリアテープ80の収容孔81aに収容されている部品60を所定の部品供給位置Lまで供給する装置である。フィーダ22の詳細については後述する。
部品移載部30は、所定の部品供給位置Lまで供給された部品60を、キャリアテープ80から所定の部品装着位置に位置決めされている基板50に向けて移載する装置である。部品移載部30は、Y軸スライダ31と、X軸スライダ32と、装着ヘッド33と、を有している。
Y軸スライダ31は、ガイドレール34,35により基台に支持されている。ガイドレール34,35は、基板搬送部10による基板50の搬送方向Xに直交する直交方向Yに延びており、基板搬送部10の上方に配設されている。Y軸スライダ31は、ガイドレール34,35に沿って直交方向Yに向けて移動可能である。Y軸スライダ31には、Y軸サーボモータ(図示せず)が機械的に連結されている。Y軸スライダ31は、Y軸サーボモータにより直交方向Yへ位置移動される。
X軸スライダ32は、Y軸スライダ31に搬送方向Xに向けて移動可能に取り付けられている。X軸スライダ32には、Y軸スライダ31に固定されたX軸サーボモータ(図示せず)が機械的に連結されている。X軸スライダ32は、X軸サーボモータにより搬送方向Xへ位置移動される。
X軸スライダ32には、装着ヘッド33が取り付けられている。装着ヘッド33は、部品60を吸着可能な吸着ノズル(図示せず)を着脱可能に保持している。尚、装着ヘッド33は、複数の吸着ノズルを保持可能であってよい。装着ヘッド33は、搬送方向X及び直交方向Yの双方に直交する上下方向Zに位置移動可能である。装着ヘッド33の吸着ノズルは、部品供給部20によって所定の部品供給位置Lに供給された部品60を負圧などを用いて吸着すると共に、その吸着した部品60をその吸着解除により、所定の部品装着位置に位置決めされている基板50に装着する。
X軸スライダ32には、基板カメラ36が取り付けられている。基板カメラ36は、所定の部品装着位置に位置決めされている基板50の基準マークを上方から撮像して、基板位置基準情報を取得し、又は、所定の部品供給位置Lに供給された部品60を上方から撮像して、部品位置情報を取得する。部品位置情報は、装着ヘッド33の吸着ノズルへの部品60の吸着時にその吸着ノズルの位置制御や姿勢制御に用いられる。また、基板位置基準情報は、装着ヘッド33の吸着ノズルに吸着した部品60の基板50への装着時にその吸着ノズルの位置制御や姿勢制御に用いられる。
また、部品移載部30の基台には、部品カメラ37が取り付けられている。部品カメラ37は、装着ヘッド33の吸着ノズルにより吸着されている部品60を下方から撮像して、その部品60の姿勢情報などを取得する。この姿勢情報は、装着ヘッド33の吸着ノズルに吸着した部品60の基板50への装着時にその吸着ノズルの位置制御や姿勢制御に用いられる。
2.フィーダの構成
次に、フィーダ22の構成について、図4〜図15を用いて説明する。フィーダ22は、リール保持部23に保持されているリール70,71に巻回されているキャリアテープ80を直交方向Yに送って、そのキャリアテープ80に収容されている部品60を所定の部品供給位置Lまで供給する。フィーダ22は、図4に示す如く、フィーダ本体100と、スプロケット120と、を備えている。
フィーダ本体100は、扁平な箱形に形成されている。フィーダ本体100は、テープ挿入部101と、テープ排出部102と、を有している。テープ挿入部101は、キャリアテープ80を挿入するための挿入口である。テープ挿入部101は、フィーダ本体100の後部(すなわち、基板搬送部10側とは反対側の部位)に設けられている。テープ排出部102は、キャリアテープ80を外部に排出するための排出口である。テープ排出部102は、フィーダ本体100の前部(すなわち、基板搬送部10側の部位)に設けられている。
フィーダ本体100には、テープ搬送路111が設けられている。テープ搬送路111は、テープ挿入部101とテープ排出部102との間でキャリアテープ80の送り方向Aに沿って延びるレールである。尚、キャリアテープ80の送り方向Aは、フィーダ22が部品供給部20のスロット21に装着されている場合に上記した基板50の搬送方向Xに直交する直交方向Yに一致する。
テープ搬送路111は、搬送中のキャリアテープ80をその下面を支持して案内する。テープ搬送路111は、キャリアテープ80の長手方向に直交する幅方向の寸法と同じ或いはその寸法に比して僅かに大きな路幅を有するように形成されている。テープ搬送路111は、後部から前部にかけて徐々に高くなるように傾斜している。テープ搬送路111の最前部は、水平に形成されている。
フィーダ本体100には、テープガイド110が設けられている。テープガイド110は、テープ搬送路111の上方に配置されている。テープガイド110は、テープ挿入部101とテープ排出部102との間のテープ搬送路111上で搬送されるキャリアテープ80を案内する部材である。テープガイド110は、後述の前部側スプロケット122の上方に配置されている。テープガイド110は、キャリアテープ80の搬送中に後述の剥離部材の先端の刃先がベーステープ81とカバーテープ83との間に挿入されるようにキャリアテープ80をガイドすると共に、カバーテープ83の剥離後に部品60が収容されているベーステープ81を部品供給位置Lまでガイドする。テープガイド110は、断面形状が下方に開放する逆U字状になるように形成されている。尚、テープガイド110は、フィーダ本体100に別体で取り付けられたものであってもよいし、また、フィーダ本体100に一体で設けられたものであってもよい。
テープガイド110は、図8に示す如く、一対のガイド側壁112,113と、ガイド上壁114と、を有している。ガイド側壁112,113はそれぞれ、上下方向に立設されると共にキャリアテープ80の送り方向Aに沿って延びる壁面である。ガイド側壁112,113は、テープ搬送路111上のキャリアテープ80(具体的には、前部側スプロケット122に係合するキャリアテープ80)の幅方向への移動を規制して、搬送中のキャリアテープ80をその幅方向において案内する役割を有している。
ガイド側壁112は、テープ搬送路111上のキャリアテープ80の幅方向の両側面のうち係合孔81bが配置される側の側面が対向する側壁である。また、ガイド側壁113は、テープ搬送路111上のキャリアテープ80の幅方向の両側面のうち収容孔81aが配置される側の側面が対向する側壁である。ガイド側壁112とガイド側壁113とは、テープ搬送路111を幅方向で挟んで互いに平行に対面するように配置されており、そのテープ搬送路111の路幅分だけ送り方向Aに直交する方向(すなわち、基板50の搬送方向X)において離間している。
ガイド上壁114は、テープ搬送路111の上方に設けられている。ガイド上壁114は、一対のガイド側壁112,113の上端同士を繋ぐように水平に広がると共にキャリアテープ80の送り方向Aに沿って延びる壁面である。ガイド上壁114のフィーダ22前部側は、テープ搬送路111上のキャリアテープ80(具体的には、前部側スプロケット122に係合するキャリアテープ80)の上方への移動を規制して、搬送中のキャリアテープ80をその上方において案内する役割を有している。
スプロケット120は、フィーダ本体100におけるテープ搬送路111の下方に設けられた円盤状の部材である。スプロケット120は、テープ搬送路111上のキャリアテープ80をテープ挿入部101側からテープ排出部102側へ向けて搬送させる方向(すなわち、正方向)に回転する回転体である。尚、スプロケット120は、そのキャリアテープ80をテープ排出部102側からテープ挿入部101側へ向けて搬送させる方向(すなわち、逆方向)に回転することが可能であってもよい。
スプロケット120は、後部側スプロケット121と、前部側スプロケット122と、を有している。後部側スプロケット121は、フィーダ本体100におけるテープ搬送路111の後部側に回転可能に取り付けられている。後部側スプロケット121は、正回転により、テープ挿入部101に挿入されたキャリアテープ80をテープ搬送路111に沿ってテープ排出部102側へ向けて送る。また、前部側スプロケット122は、フィーダ本体100におけるテープ搬送路111の前部側に回転可能に取り付けられている。前部側スプロケット122は、正回転により、テープ挿入部101側からテープ搬送路111に沿って搬送されたキャリアテープ80をテープ排出部102側へ向けて更にはテープ排出部102から外部へ向けて送る。
後部側スプロケット121は、テープ搬送路111に沿って2つ設けられている。以下適宜、上流側(すなわち後部側)の後部側スプロケット121を第1後部側スプロケット121−1と、下流側(すなわち前部側)の後部側スプロケット121を第2後部側スプロケット121−2と、それぞれ称す。第1後部側スプロケット121−1と第2後部側スプロケット121−2とは、互いに同じ回転方向に同期して回転する。
前部側スプロケット122は、テープ搬送路111に沿って2つ設けられている。以下適宜、上流側(すなわち後部側)の前部側スプロケット122を第1前部側スプロケット122−1と、下流側(すなわち前部側)の前部側スプロケット122を第2前部側スプロケット122−2と、それぞれ称す。第1前部側スプロケット122−1と第2前部側スプロケット122−2とは、互いに同じ回転方向に同期して回転する。
各スプロケット120(具体的には、スプロケット121−1,121−2,122−1,122−2)はそれぞれ、係合突起123を有している。係合突起123は、スプロケット120の外周において径方向外側に向けて突出する外歯である。第2後部側スプロケット121−2の係合突起123、第1前部側スプロケット122−1の係合突起123、及び第2前部側スプロケット122−2の係合突起123はそれぞれ、その外周全周に亘って所定角度ごとに設けられている。一方、第1後部側スプロケット121−1の係合突起123は、その外周の一部に設けられている。すなわち、第1後部側スプロケット121−1は、その外周において係合突起123が設けられていない部分を有している。
テープ搬送路111における各スプロケット120の上方に位置する部分には、窓孔115が設けられている。各スプロケット120はそれぞれ、上端付近の係合突起123が窓孔115を通じてテープ搬送路111上に突出するように配置されている。係合突起123は、テープ搬送路111上に突出した状態でキャリアテープ80の係合孔81bに係合可能である。
係合突起123は、断面形状が略方形となるように形成されていると共に、径方向内側から径方向外側にかけて徐々に周方向幅が小さくなるようにすなわち側面視が台形形状となるように形成されている。係合突起123は、キャリアテープ80の係合孔81bに係合可能な大きさを有している。係合突起123は、その突起中心がキャリアテープ80の係合孔81bに対してその孔中心に一致した状態に係合するように形成されている。
各スプロケット120はそれぞれ、ギヤ124を有している。ギヤ124は、スプロケット120の係合突起123が設けられた外周よりも内径側に形成されている。ギヤ124は、上記の窓孔115からテープ搬送路111上に突出することなく、テープ搬送路111の下方に収まっている。
フィーダ22は、フィーダ本体100の後部側に取り付けられた後部側モータ130を備えている。後部側モータ130は、後部側スプロケット121すなわち第1後部側スプロケット121−1及び第2後部側スプロケット121−2を回転させるサーボモータである。後部側モータ130は、後部側スプロケット121−1,121−2を正方向に回転させることが可能である。尚、後部側モータ130は、後部側スプロケット121−1,121−2を逆方向に回転させることが可能であってもよい。
後部側モータ130の回転軸131には、ドライブギヤ132が設けられている。ドライブギヤ132は、フィーダ本体100に回転可能に取り付けられた2つのギヤ133,134を介して、後部側スプロケット121−1,121−2のギヤ124に噛合している。この構成において、後部側モータ130が回転されると、その回転がギヤ133,134を用いて減速されつつ第1後部側スプロケット121−1及び第2後部側スプロケット121−2に伝達され、それらの後部側スプロケット121−1,121−2が互いに同期して回転する。
フィーダ22は、フィーダ本体100の前部側に取り付けられた前部側モータ140を備えている。前部側モータ140は、前部側スプロケット122すなわち第1前部側スプロケット122−1及び第2前部側スプロケット122−2を回転させるサーボモータである。前部側モータ140は、前部側スプロケット122−1,122−2を正方向に回転させることが可能である。尚、前部側モータ140は、前部側スプロケット122−1,122−2を逆方向に回転させることが可能であってもよい。
前部側モータ140の回転軸141には、ドライブギヤ142が設けられている。ドライブギヤ142は、フィーダ本体100に回転可能に取り付けられた2つのギヤ143,144を介して、前部側スプロケット122−1,122−2のギヤ124に噛合している。この構成において、前部側モータ140が回転されると、その回転がギヤ143,144を用いて減速されつつ第1前部側スプロケット122−1及び第2前部側スプロケット122−2に伝達され、それらの前部側スプロケット122−1,122−2が互いに同期して回転する。
フィーダ22は、上面押部材150を備えている。上面押部材150は、テープ搬送路111の上方に配置され、第2後部側スプロケット121−2と第1前部側スプロケット122−1との間にそのテープ搬送路111に平行に沿うように形成されている。上面押部材150の前端部には、軸支部151が形成されている。軸支部151は、フィーダ本体100に設けられた軸部に軸支されている。上面押部材150は、軸支部151にて揺動可能にフィーダ本体100に取り付けられている。上面押部材150は、トーションスプリングなどの付勢部材152により下方に付勢される。上面押部材150は、付勢部材152により下方に付勢されているときに、テープ搬送路111に沿って搬送されるキャリアテープ80の上面を押さえてそのキャリアテープ80の浮上を防止する機能を有している。
フィーダ22は、入口押部材153と、下流側押部材154と、操作レバー155と、を備えている。入口押部材153は、テープ搬送路111の上方においてテープ挿入部101に近接して配置され、テープ搬送路111の後部に平行に沿うように形成されている。下流側押部材154は、テープ搬送路111の上方において入口押部材153に対する前側(下流側)に配置されている。入口押部材153及び下流側押部材154はそれぞれ、テープ搬送路111に対して離接可能に設けられている。
入口押部材153は、下流側押部材154の後部下方に配置され、一対のシャフト156を介してその下流側押部材154の後部に取り付けられている。一対のシャフト156には、入口押部材153を下方に付勢するスプリング157が取り付けられている。入口押部材153は、スプリング157により下方に付勢されているときに、テープ挿入部101に挿入されるキャリアテープ80をテープ搬送路111に向けて押さえる機能を有している。下流側押部材154は、フィーダ本体100に取り付けられた支持部材158−1,158−2に、一対のシャフト159−1,159−2を介して取り付けられている。シャフト159−1,159−2には、下流側押部材154を下方に付勢するスプリング160が取り付けられている。下流側押部材154は、スプリング160により下方に付勢されているときに、入口押部材153の下流側においてキャリアテープ80をテープ搬送路111に向けて押さえる機能を有している。
操作レバー155は、フィーダ本体100のテープ挿入部101の位置よりも上方において後方に突出するように設けられている。操作レバー155は、ピボット161を中心にして回動可能にフィーダ本体100の後部に支持されている。操作レバー155は、作業者によりピボット161を中心にして回動操作される。
操作レバー155には、入口押部材153が作動的に連結されている。入口押部材153は、一対のシャフト156の間に配置された係合部材153aを有している。操作レバー155の前後中央部には、作動係合部155aが設けられている。作動係合部155aは、入口押部材153の係合部材153aの下面に係合している。操作レバー155は、スプリング162の付勢力により所定回り(図5において反時計回り)に回動される。操作レバー155にスプリング162の付勢力に抗する力(すなわち、その付勢力による回動方向とは反対方向(図5において時計回り)の力)が付与されていない通常時は、図5に示す如く、作動係合部155aが所定の下端位置に保持され、入口押部材153がスプリング157の付勢力によりテープ搬送路111に向けて押圧されるので、テープ挿入部101に新たなキャリアテープ80の挿入は不可能である。
一方、図6に示す如く、操作レバー155が作業者により上方に持ち上げられ、スプリング162の付勢力に抗してピボット161を中心にして回動されると、作動係合部155aが上昇して、入口押部材153がスプリング157の付勢力に抗して上昇される。従って、作業者が操作レバー155を持ち上げたときは、入口押部材153がテープ搬送路111から離間するので、テープ挿入部101に新たなキャリアテープ80の挿入が可能となる。
入口押部材153の後部には、邪魔板163が枢支されている。邪魔板163は、入口押部材153がテープ搬送路111に向けて押圧されている状態において自重によりテープ挿入部101を閉塞して新たなキャリアテープ80の挿入を不可能にする機能を有している。邪魔板163は、入口押部材153の上昇時に下流側押部材154の後部に係合して回動され、テープ挿入部101を新たなキャリアテープ80を挿入できるように開放する。
入口押部材153の下流側には、ストッパ部材164が隣接して設けられている。ストッパ部材164は、その中央部に設けられた軸支部164aにて回動可能に下流側押部材154に支持されている。ストッパ部材164には、当接部164bが設けられている。当接部164bは、ストッパ部材164の軸支部164aよりも前方の下部に設けられている。当接部164bは、下方に向けて突出してテープ搬送路111に当接し得る部位である。当接部164bは、下流側押部材154とストッパ部材164との間に設けられたスプリング(図示せず)により、テープ搬送路111に当接する方向に付勢される。
ストッパ部材164の後端部には、停止部164cが設けられている。停止部164cは、テープ搬送路111に対して離接可能に設けられている。停止部164cは、キャリアテープ80の先端が当接し得る後面を有しており、テープ搬送路111への当接時にそのキャリアテープ80の下流側への搬送を阻止する機能を有している。停止部164cは、先端がその停止部164cの後面に当接したキャリアテープ80の係合孔81bと第1後部側スプロケット121−1の係合突起123との係合が生じるか否かの境界位置に配置されている。尚、この係合は、停止部164cがテープ搬送路111から離間した状態で実現されるものである。
ストッパ部材164には、突出部164dが設けられている。突出部164dは、ストッパ部材164の、軸支部164aよりも前方の上部に設けられている。突出部164dは、上方に向けて突出している。突出部164dの先端には、カムフォロア164eが設けられている。操作レバー155の前部には、カム部155bが形成されている。カム部155bは、カムフォロア164eに係脱可能に係合されている。
図5に示す如く、操作レバー155がスプリング162の付勢力により所定回りに回動され、入口押部材153がテープ搬送路111に当接する位置に保持されている状態では、操作レバー155のカム部155bがストッパ部材164のカムフォロア164eから離間する。この場合、ストッパ部材164は、図略のスプリングの付勢力により軸支部164aを中心にして反対回りに回動されており、当接部164bをテープ搬送路111に当接させると共に、停止部164cをテープ搬送路111から離間させた状態に保持されている。
一方、図6に示す如く、操作レバー155がスプリング162の付勢力に抗して回動されると、操作レバー155のカム部155bがストッパ部材164のカムフォロア164eに係合する。この場合、ストッパ部材164は、図略のスプリングの付勢力に抗して軸支部164aを中心にして所定回りに回動され、停止部164cをテープ搬送路111に当接させる。かかる状態でキャリアテープ80がテープ挿入部101に挿入されると、その挿入されたキャリアテープ80は、フィーダ本体100におけるテープ上面付勢部材とテープ下面付勢部材との間に入り込んだ後、その先端がストッパ部材164の停止部164cに当接して停止される。
尚、キャリアテープ80(以下、このキャリアテープ80を旧キャリアテープ80と称す。)がテープ搬送路111とストッパ部材164の当接部164bとの間を通過した後は、その旧キャリアテープ80によって当接部164bが持ち上げられ、ストッパ部材164の停止部164cがテープ搬送路111に当接する。かかる状態で新たなキャリアテープ80(以下、このキャリアテープ80を新キャリアテープ80と称す。)がテープ挿入部101に挿入され、旧キャリアテープ80の上に重ねられると、その新キャリアテープ80は、テープ上面付勢部材とテープ下面付勢部材との間に入り込んだ後、その先端がストッパ部材164の停止部164cに当接して停止される。これにより、旧キャリアテープ80がテープ搬送路111上に搬送されている際に、新キャリアテープ80の下流側への搬送が阻止され、新キャリアテープ80がその位置で待機される。
フィーダ22は、テープ剥離装置165を備えている。テープ剥離装置165は、図9に示す如く、フィーダ本体100の前側上部に配置されている。テープ剥離装置165は、テープガイド110に設けられている。すなわち、テープガイド110は、テープ剥離装置165を有している。テープ剥離装置165は、剥離部材166と、折返部材167と、を有している。
テープガイド110とフィーダ本体100との間には、そのテープガイド110を下方に付勢する付勢部材(図示せず)が組み込まれている。テープガイド110は、付勢部材によりフィーダ本体100に近づく下方に付勢されている。テープガイド110の後端部には、レバー110aが突設されている。レバー110aは、付勢部材の付勢力に抗して作業者の持ち上げ操作によりテープガイド110を上方へ持ち上げる部材である。テープガイド110は、レバー110aが持ち上げられていない場合において、キャリアテープ80が進入していないときは付勢部材の付勢力によりテープ搬送路111の上面に当接していると共に、キャリアテープ80が進入しているときはテープ搬送路111の上面及びスプロケット122との間で付勢部材の付勢力によりそのキャリアテープ80を挟んで保持している。一方、テープガイド110は、レバー110aが付勢部材の付勢力に抗して持ち上げられている場合は、テープ搬送路111の上面及びスプロケット122から離間して、その間におけるキャリアテープ80の保持を解除する。
剥離部材166は、部品供給位置Lに対して所定送り方向上流側に配置されており、例えば第1前部側スプロケット122−1の所定送り方向下流側かつ第2前部側スプロケット122−2の所定送り方向上流側に配置されている。剥離部材166は、キャリアテープ80のベーステープ81からカバーテープ83を剥離することで、部品供給位置Lで収容孔81aから部品60を取り出し(吸着或いは移載)可能な状態にする刃部材である。
剥離部材166は、キャリアテープ80の搬送中にその剥離部材166の先端の刃先がベーステープ81とカバーテープ83との間に挿入されるように略水平に形成されている。剥離部材166の先端部は、図10に示す如く、その先端の刃先がキャリアテープ80の送り方向Aに対して反対方向に向けて突出するようにテープ幅方向において山型に湾曲している。
剥離部材166は、ベーステープ81とカバーテープ83とが接着されている収容孔81aを挟んだ幅方向両側(二箇所)のうち一箇所のみを剥離するように幅方向の一方に偏って配置され形成されている。尚、剥離部材166の先端は、ベーステープ81とカバーテープ83との二箇所の接着部のうち一箇所に対応した幅方向位置に形成されていればよい。このため、カバーテープ83は、剥離部材166によりベーステープ81から剥離されると、幅方向の一端側においてベーステープ81から剥離される一方、他端側においてベーステープ81に接着された状態になる。
折返部材167は、剥離部材166(すなわち、剥離部材166によりカバーテープ83がベーステープ81から剥離される剥離位置)に対して所定送り方向下流側に配置されており、部品供給位置Lに対して所定送り方向上流側に配置されている。折返部材167は、剥離したカバーテープ83の幅方向一端側(具体的には、キャリアテープ80の幅方向両端のうち部品60を収容する収容孔81aが配置された端側)を立ち上げて折り返す部材である。折返部材167は、略水平に広がる板状に形成されている。
ガイド上壁114には、部品取出部116が設けられている。部品取出部116は、ガイド上壁114に開口した、ベーステープ81の収容孔81aに収容されている部品60を取り出し可能な孔部である。ガイド上壁114に開口する部品取出部116が設けられた位置は、上記の剥離位置よりも所定送り方向下流側にあり、フィーダ22の上記した所定の部品供給位置Lである。部品取出部116は、部品移載部30における部品60を吸着保持する吸着ノズルがその部品60の移載時にガイド上壁114に接触しない大きさに形成されている。キャリアテープ80のうち部品取出部116を通過した部位は、フィーダ22の前部から下方へ垂れ下がり、フィーダ22の外部に排出される。
3.フィーダの動作
上記のフィーダ22において、旧キャリアテープ80は、第1保持部23aに保持されるリール70に巻回されていると共に、新キャリアテープ80は、第2保持部23bに保持されるリール71に巻回されている。操作レバー155がスプリング162の付勢力により保持されている通常状態では、図5に示す如く、入口押部材153がテープ搬送路111に当接する位置に保持されていると共に、邪魔板163が自重により回動されてテープ搬送路111を閉塞している。
上記の状態で操作レバー155がスプリング162の付勢力に抗して持ち上げ操作されると、図6に示す如く、作動係合部155aの上昇により入口押部材153がスプリング157の付勢力に抗して上昇される。この場合には、入口押部材153がテープ搬送路111から離間すると共に、邪魔板163が下流側押部材154により回動されて、テープ挿入部101をキャリアテープ80を挿入可能な状態に開放する。また同時に、ストッパ部材164が操作レバー155のカム部155bによって回動されて、停止部164cがテープ搬送路111に当接する。
この状態で作業者により旧キャリアテープ80がテープ挿入部101からテープ搬送路111上に挿入されると、その旧キャリアテープ80の先端は、ストッパ部材164の停止部164cに当接する位置まで挿入することができる。旧キャリアテープ80が停止部164cに当接する位置まで挿入された状態で操作レバー155の持ち上げ操作が解除されると、その操作レバー155がスプリング162の付勢力により回動されて原位置に復帰する。この原点復帰状態では、図7に示す如く、入口押部材153がスプリング157の付勢力によりテープ搬送路111に向けて下降されることで、旧キャリアテープ80をテープ搬送路111に向けて押さえると共に、邪魔板163が自重によりテープ挿入部101を閉塞する。また同時に、ストッパ部材164がスプリングの付勢力によって、当接部164bをテープ搬送路111に当接させると共に、停止部164cをテープ搬送路111から離間させる。
各種センサを用いて、テープ挿入部101への旧キャリアテープ80の挿入が検出され、テープ搬送路111上での旧キャリアテープ80の存在が検出され、かつ操作レバー155が原位置に復帰していることが検出された場合には、後部側モータ130が、第1及び第2後部側スプロケット121−1,121−2が正方向に回転するように駆動される。かかる後部側モータ130の駆動が行われると、第1及び第2後部側スプロケット121−1,121−2が正方向に回転される。
この場合、まず、停止部164cのテープ搬送路111からの離間により旧キャリアテープ80の先端側が停止部164cから所定送り方向下流側へ搬送されるのが許容されつつ、第1後部側スプロケット121−1がその係合突起123と旧キャリアテープ80の係合孔81bとが係合した状態で正回転するので、その旧キャリアテープ80が第1後部側スプロケット121−1の正回転によりテープ排出部102側へ搬送される。かかる搬送が行われると、旧キャリアテープ80によって下流側押部材154がスプリング160の付勢力に抗して持ち上げられ、その旧キャリアテープ80が下流側押部材154とテープ搬送路111との間に搬送される。
上記の如く、第1後部側スプロケット121−1の係合突起123は、その第1後部側スプロケット121−1の外周の一部にしか設けられていない。このため、旧キャリアテープ80の係合孔81bに係合突起123が係合した後、その旧キャリアテープ80は間欠的にテープ排出部102側に向けて送られる。従って、第1後部側スプロケット121−1によるキャリアテープ80の引き込みが急速に行われるのは回避される。尚、下流側押部材154が持ち上げられると、ストッパ部材164の軸支部164aが一体的に上昇される。
第1後部側スプロケット121−1の正回転による旧キャリアテープ80の搬送が進行すると、その旧キャリアテープ80の先端側の係合孔81bに第2後部側スプロケット121−2の係合突起123が係合する。かかる係合後は、その旧キャリアテープ80が第2後部側スプロケット121−2の正回転によってテープ排出部102側に搬送される。上記の如く、第2後部側スプロケット121−2の係合突起123は、その第2後部側スプロケット121−2の外周全周に亘って設けられている。このため、旧キャリアテープ80の係合孔81bに第2後部側スプロケット121−2の係合突起123が係合した後は、その旧キャリアテープ80のテープ排出部102への移動が短時間で行われる。
第2後部側スプロケット121−2の正回転による旧キャリアテープ80の搬送が行われると、まず、その旧キャリアテープ80の先端が、上面押部材150の後端部に形成された案内部とテープ搬送路111との間から上面押部材150の下方に進入する。このため、その旧キャリアテープ80の先端側は、上面押部材150によってテープ搬送路111からの浮き上がりが抑制された状態で前部側スプロケット122側に向けて搬送される。
第2後部側スプロケット121−2の正回転による旧キャリアテープ80の搬送の進行によって旧キャリアテープ80の先端が第1前部側スプロケット122−1に対する所定送り方向上流側に到達したことがセンサを用いて検知された場合には、後部側モータ130及び前部側モータ140が、第1及び第2後部側スプロケット121−1,121−2並びに第1及び第2前部側スプロケット122−1,122−2が正方向に間欠的に回転するように駆動される。かかる後部側モータ130及び前部側モータ140の駆動が行われると、各後部側スプロケット121及び各前部側スプロケット122が正方向に間欠的に回転される。尚、この間欠的な回転の一動作当たりの角度は、キャリアテープ80に収容された部品60のピッチ間隔で行われる。
かかる状態で旧キャリアテープ80の係合孔81bに第1前部側スプロケット122−1の係合突起123が係合すると、その旧キャリアテープ80が第1前部側スプロケット122−1の正回転によってテープ排出部102側に搬送されると共に、その搬送中にテープ剥離装置165によって旧キャリアテープ80からカバーテープ83が剥離される。そして、その旧キャリアテープ80の係合孔81bに第2前部側スプロケット122−2の係合突起123が係合すると、その旧キャリアテープ80が第2前部側スプロケット122−2の正回転によってテープ排出部102側に搬送される。尚、後部側スプロケット121及び前部側スプロケット122の間欠的な回転中における回転停止ごとに、旧キャリアテープ80に収容された部品60は、部品供給位置Lに位置決めされて部品移載部30により移載される。
また、テープ搬送路111上における旧キャリアテープ80の搬送中は、その旧キャリアテープ80がストッパ部材164の当接部164bを押圧して持ち上げるので、ストッパ部材164がスプリングの付勢力に抗して軸支部164aを中心にして回動される。これにより、ストッパ部材164の停止部164cが旧キャリアテープ80の上面に接して当接する。
かかる状態で、操作レバー155が持ち上げられスプリング162の付勢力に抗して回動されると、入口押部材153がテープ搬送路111から離間すると共に、邪魔板163がテープ挿入部101を開放するので、新キャリアテープ80の挿入が可能となる。そして、新キャリアテープ80の先端側がテープ挿入部101を通じて旧キャリアテープ80と入口押部材153との間に挿入されると、その新キャリアテープ80の先端がテープ上面付勢部材とテープ下面付勢部材との間に入り込んだ後にストッパ部材164の停止部164cに当接して、その新キャリアテープ80がその位置で搬送停止される。このため、新キャリアテープ80の下流側への搬送が阻止される。
上記の如く新キャリアテープ80が停止部164cに当接する位置まで挿入された状態で操作レバー155の持ち上げ操作が解除されると、その操作レバー155がスプリング162の付勢力により回動されて原位置に復帰する。この際、新キャリアテープ80がストッパ部材164の当接部164bを持ち上げているので、ストッパ部材164の停止部164cによって新キャリアテープ80の停止が維持される。
上記の如く新キャリアテープ80の停止が維持されている状態で、旧キャリアテープ80の後端である終端が新キャリアテープ80の前端である先端よりも所定送り方向下流側に搬送されると、その新キャリアテープ80が旧キャリアテープ80に対して所定送り方向上流側にあるテープ搬送路111の上面に接して、新キャリアテープ80の係合孔81bに第1後部側スプロケット121−1の係合突起123が係合する。そして、第1前部側スプロケット122−1の正回転により、新キャリアテープ80が、旧キャリアテープ80の存在によってテープ搬送路111とストッパ部材164との間に形成されている隙間に進入し、テープ排出部102側に向けて搬送される。尚、新キャリアテープ80の先端が当接部164bを持ち上げると、上述の如く、ストッパ部材164がスプリングの付勢力に抗して回動され、停止部164cによって新たなキャリアテープ80の進入が阻止される。
このように、テープ搬送路111において二本のキャリアテープ80が挿入されていれば、1本目のキャリアテープ80の搬送が終了した際に、2本目のキャリアテープ80の搬送を開始することができる。このため、二本のキャリアテープ80を重ねた状態で停止部164cから所定送り方向下流側へ搬送することはなく、二本のキャリアテープ80を時間的に連続して搬送することができ、キャリアテープ80に収容されている部品60の部品供給位置Lへの供給を途切れさせることなく連続して行うことができる。また、後部側モータ130及び前部側モータ140の双方を、各スプロケット120が正回転するように駆動させることで、キャリアテープ80に収容されている部品60を所定の部品供給位置Lまで供給することができる。
4.フィーダのテープガイドの構造及び作用効果
上記したフィーダ22において、フィーダ本体100は、一対のガイド側壁112,113とガイド上壁114とテープ剥離装置165とを有するテープガイド110を備えている。上記の如く、テープガイド110において、ガイド上壁114は、テープ搬送路111の上方に設けられている。ガイド上壁114のフィーダ22前部側は、テープ搬送路111上のキャリアテープ80の上面に当接することによりキャリアテープ80の上方への移動を規制する役割を有している。
ガイド上壁114は、図10、図11、及び図12に示す如く、上面支持部117を有している。上面支持部117は、ガイド上壁114のフィーダ22前部側に設けられ、具体的には、剥離部材166がカバーテープ83を剥離する剥離位置よりもキャリアテープ80の所定送り方向下流側に設けられている。上面支持部117は、送り方向Aに沿って連続的に延在しており、帯状に形成されている。尚、上面支持部117は、剥離部材166と一体化されて形成されていてよい。上面支持部117は、テープ搬送路111上のキャリアテープ80の上面に当接することによりキャリアテープ80の上方への移動を規制して搬送中のキャリアテープ80の上面を支持する部位である。
上面支持部117は、テープガイド110とテープ搬送路111との間にキャリアテープ80が進入する前は、付勢部材の付勢力によりそのテープ搬送路111に当接している。かかる状態からテープガイド110の先端部とテープ搬送路111との間にキャリアテープ80が進入すると、そのテープガイド110の先端部が付勢部材の付勢力に抗してキャリアテープ80により押し上げられることで、上面支持部117がテープ搬送路111から上方に離間する。
この際、上面支持部117は、キャリアテープ80の上面に当接してテープ搬送路111との間でそのキャリアテープ80を挟み込む。また、このキャリアテープ80が挟み込まれた状態での上面支持部117の下面とテープ搬送路111の上面との離間距離Taは、キャリアテープ80の上下の厚さ(具体的には、ベーステープ81からカバーテープ83が剥離されている状態でのキャリアテープ80の厚さ(すなわち、ベーステープ81の厚さとボトムテープ82の厚さとを合算した厚さ))に一致する。
尚、ガイド上壁114における剥離位置よりもキャリアテープ80の所定送り方向上流側の部位は、キャリアテープ80がテープ搬送路111と上面支持部117との間に挟み込まれた状態で、テープ搬送路111の上面から上方に上記の離間距離Taを超えて離間していてよい。このガイド上壁114における離間距離Taを超えた離間距離は、ベーステープ81にカバーテープが接着されている状態でのキャリアテープ80の厚さに略一致していてもよく、また、その厚さよりも大きくてもよい。
テープ剥離装置165の剥離部材166は、テープ搬送路111の上方に離間して設けられている。剥離部材166は、ガイド上壁114に設けられた開口からテープガイド110内(具体的には、ガイド上壁114よりも下方)に進入するように形成されている。剥離部材166は、キャリアテープ80のベーステープ81からカバーテープ83を剥離する役割を有している。剥離部材166は、テープガイド110とテープ搬送路111との間にキャリアテープ80が進入する前は、上面支持部117がテープ搬送路111に当接していても、そのテープ搬送路111に当接することなくテープ搬送路111から上方に離間していると共に、テープガイド110とテープ搬送路111との間にキャリアテープ80が進入した後は、テープ搬送路111から更に上方に離間する。
上面支持部117の下面は、剥離部材166の少なくとも先端部(すなわち、フィーダ本体100を基準にした場合は後部側の端部)の下面(裏面)よりも下方に位置している。すなわち、テープガイド110は、剥離部材166の先端部の裏面がテープ搬送路111に対して上面支持部117の下面よりも上方に位置するように形成されている。テープガイド110とテープ搬送路111との間にキャリアテープ80が挟み込まれた状態での剥離部材166の先端部の下面とテープ搬送路111の上面との離間距離Tbは、ベーステープ81からカバーテープ83が剥離されている状態でのキャリアテープ80の厚さ(すなわち、ベーステープ81の厚さとボトムテープ82の厚さとを合算した厚さ)よりも大きい。
ガイド上壁114は、更に、部品通過部118を有している。部品通過部118は、剥離部材166の先端部(すなわち上記の剥離位置)よりもキャリアテープ80の所定送り方向下流側に設けられた部位(尚、剥離部材166の、先端部以外の部位を含んでもよい。)であって、キャリアテープ80の搬送中にベーステープ81の収容孔81aひいてはその収容孔81aに収容された部品60が下方を通過する部位である。部品通過部118は、送り方向Aに延在しており、収容孔81aの幅よりも大きな幅を有するように帯状に形成されている。尚、部品通過部118は、剥離部材166や上面支持部117と一体化されて形成されていてよい。
部品通過部118は、キャリアテープ80の搬送中においてテープ搬送路111から上方に離間する。部品通過部118は、その搬送中にカバーテープ83が剥離されたキャリアテープ80の上面に当接して支持する部位ではなく、上記の上面支持部117を含まない。部品通過部118の下面は、テープ搬送路111に対して、剥離部材166の先端部の下面と略同じ高さに位置し、上面支持部117の下面よりも上方に位置している。テープガイド110とテープ搬送路111との間にキャリアテープ80が挟み込まれた状態での部品通過部18の下面とテープ搬送路111の上面との離間距離Tcは、ベーステープ81からカバーテープ83が剥離されている状態でのキャリアテープ80の厚さ(すなわち、ベーステープ81の厚さとボトムテープ82の厚さとを合算した厚さ)よりも大きい。
すなわち、上記の離間距離Tbと上記の離間距離Tcとは、互いに略一致している(Tb≒Tc)。また、離間距離Tb,Tcは、離間距離Taに比して大きい(Tb(≒Tc)>Ta)。尚、これらの離間距離の差|Tb(≒Tc)−Ta|は、例えば、キャリアテープ80の搬送中に収容孔81aに収容されている部品60がベーステープ81の上面から上方へ突出することが予想される突出量の最大値に対応していてよく、その最大値以上に設定されていてよい。
上面支持部117は、部品通過部118に対してキャリアテープ80の幅方向に隣接して設けられている。上面支持部117は、ガイド上壁114の幅方向一方側(具体的には、幅方向のうちキャリアテープ80の係合孔81bが配置された側とは反対の収容孔81aが配置された側)に設けられている。上面支持部117と部品通過部118とは、互いに幅方向に隣接した状態で送り方向Aに平行に延在している。上面支持部117は、キャリアテープ80の送り方向Aに沿って連続的に延在しており、その下面が平面をなすように形成されている。
上記のテープガイド110において、剥離部材166と部品通過部118(尚、剥離部材166の先端部を除いた部位を含む。)とは、テープ搬送路111に対面する下面同士が面一となるように形成されている。一方、その部品通過部118と上面支持部117とのテープ搬送路111に対面する下面同士の間には、段差部119が形成されている。段差部119における上端と下端との高さ位置の差は、上記の離間距離の差|Tb(≒Tc)−Ta|分だけ生じている。段差部119は、キャリアテープ80の送り方向Aに沿って延在している。尚、段差部119は、部品通過部118と上面支持部117との間で、下面位置の変化が急激に生じるように或いは下面同士が直交面を介して繋がれるように形成されたものであってもよいし、また、下面位置の変化が滑らかに生じるように或いは下面同士が斜面や湾曲面で繋がれるように形成されたものであってもよい。
上記のテープガイド110を備えるフィーダ22の構造において、フィーダ本体100のテープ挿入部101にキャリアテープ80が挿入されると、スプロケット120が回転される。この場合、キャリアテープ80は、係合孔81bにスプロケット120の係合突起123が係合されつつ下面でテープ搬送路111に支持された状態で、テープ排出部102側へ向けて送り方向Aに送られる。そして、キャリアテープ80の所定送り方向下流側の先端が付勢部材により下方に付勢されているテープガイド110に達すると、キャリアテープ80は、そのテープガイド110を押し上げてそのテープガイド110内に進入し、上面でガイド上壁114にかつ側面でガイド側壁112,113にそれぞれ案内される。その後、キャリアテープ80が、係合孔81bに前部側スプロケット122の係合突起123が係合した状態で送り方向Aに送られる。
次に、キャリアテープ80の所定送り方向下流側の先端がテープ剥離装置165の剥離部材166の先端に達すると、剥離部材166の先端の刃先がベーステープ81とカバーテープ83との間に挿入され、カバーテープ83の幅方向一端側のベーステープ81からの剥離が開始される。そして、更にキャリアテープ80の送りが進行すると、図13、図14、及び図15に示す如く、キャリアテープ80が、その下面でテープ搬送路111に支持されつつその上面(具体的には、ベーステープ81の上面)で上面支持部117に当接した状態になる。すなわち、キャリアテープ80のベーステープ81がテープ搬送路111の上面と上面支持部117の下面との間に挟まれた状態になる。この場合、上面支持部117によりキャリアテープ80の上方への移動が規制されて、キャリアテープ80の上面(具体的には、ベーステープ81の上面の一部)が支持される。
剥離部材166の先端部は、テープ搬送路111の上面を基準にして上面支持部117の下面の高さ位置よりも高い位置にある。このため、ベーステープ81の上面が上面支持部117に支持されている状態では、キャリアテープ80の剥離位置でのベーステープ81とカバーテープ83との境界部の高さ位置は、上面支持部117に支持されているキャリアテープ80の支持位置での上面の高さ位置よりも高くなる。この構造によれば、剥離位置でカバーテープ83が剥離されたベーステープ81に、その剥離位置よりも所定送り方向下流側(すなわち、その剥離位置から上記の支持位置までの範囲)で下方に引っ張る力を付与することができる。尚、この付与される力は、上記の高さ位置の差分に応じたものである。
ベーステープ81が剥離位置よりも所定送り方向下流側で下方に引っ張られると、ベーステープ81の収容孔81aの開口の高さ位置が、剥離位置の通過後、その剥離位置での高さ位置から、その剥離位置から上面支持部117の支持位置にかけて徐々に下方へ移動する。このように収容孔81aの開口の高さ位置が、剥離位置では剥離部材166の刃先近傍であってもその剥離位置通過直後から下方へ移動すれば、ベーステープ81の収容孔81aの開口が剥離位置通過直後に剥離部材166の下面から下方へ遠ざかる。この構造においては、仮にテープガイド110において剥離部材166と上面支持部117とが略同じ高さ位置にある対比構造と比較して、図15に示す如く、ベーステープ81の上面にある収容孔81aの開口と剥離部材166の下面とのクリアランスCLが確保される。
このため、フィーダ22の構造によれば、ベーステープ81からカバーテープ83が剥離された後、ベーステープ81の収容孔81a内において露出した部品60が剥離部材166の下面に当接し易くなるのを回避することができる。従って、剥離位置通過後のベーステープ81内の露出した部品60に剥離部材166によって傷が付くのを抑えることができる。
また、テープガイド110の部品通過部118は、テープ搬送路111の上面を基準にして剥離部材166の先端部の高さ位置と略同じ高さ位置にあり、上面支持部117の下面の高さ位置よりも高い位置にある。このため、図15に示す如く、キャリアテープ80(具体的には、そのベーステープ81)の上面が上面支持部117に支持されている状態で、剥離位置よりも所定送り方向下流側の部品通過部118の下面とそのキャリアテープ80の上面との間にクリアランスCLが確保される。
この構造によれば、キャリアテープ80の搬送中、収容孔81a内の部品60が剥離位置を通過した後にベーステープ81の上面から上記のクリアランスCL分だけ上方に突出したとしても、その部品60がガイド上壁114(すなわち、部品通過部118)の下面に当接するのを抑制することができる。従って、剥離位置通過後のベーステープ81内の露出した部品60にテープガイド110のガイド上壁114によって傷が付くのを抑えることができる。
尚、上記の実施形態においては、スプロケット120が特許請求の範囲に記載した「送り装置」に相当している。
5.変形形態
ところで、上記の実施形態においては、テープガイド110が有するガイド上壁114の部品通過部118の下面の全域が、上面支持部117の下面よりも上方に位置しており、剥離部材166の先端部と略同じ高さに位置している。しかし、フィーダ22はこれに限定されるものではない。
例えば図16に示す如く、部品通過部118は、下面の高さ位置が互いに異なる第1部品通過部118a及び第2部品通過部118bを有している。第1部品通過部118aは、部品通過部118の全域のうち送り方向Aの上流側に設けられており、剥離部材166の先端部に連なる部位である。第2部品通過部118bは、第1部品通過部118aよりも送り方向Aの下流側に設けられた部位である。第1部品通過部118aの下面は、上面支持部117の下面よりも上方に位置しかつ剥離部材166の先端部の裏面と略同じ高さに位置している。第2部品通過部118bは、上面支持部117の下面よりも上方に位置しかつ剥離部材166の先端部よりも低い高さに位置している。尚、第1部品通過部118aは、ガイド上壁114のうち、剥離部材166の先端部(すなわち剥離位置)から、送り方向Aに並ぶ2つの係合孔81b間の距離を一ピッチとして一ピッチ〜二ピッチ分だけ所定送り方向下流側に位置する部位までであってよい。
この変形形態の構造では、第1部品通過部118aと上面支持部117との下面同士の間に、高さ位置の差(段差)Haが相対的大きい段差部119が形成されると共に、第2部品通過部118bと上面支持部117との下面同士の間に、高さ位置の差Hbが相対的小さい段差部119が形成される。キャリアテープ80のベーステープ81とカバーテープ83との剥離直後は、ベーステープ81の収容孔81a内の部品60が上下動し易い。これに対して、上記の構造によれば、送り方向A上流側の段差部119の段差Haが相対的に大きいので、部品60に傷が付くのを抑えることができる。また、剥離部材166による剥離位置から位置が離れるほど、ベーステープ81の収容孔81a内の部品60が上下動し難くなり安定した状態になる。これに対して、上記の構造によれば、送り方向A下流側の段差部119の段差Hbが相対的に小さいので、部品60に傷が付くのを抑えつつ、ベーステープ81の浮き上がりを最小限に抑えて上方への移動規制を確実に行うことができる。
また、上記の変形形態の構造では、第1部品通過部118aと第2部品通過部118bとの下面同士の間に、(Ha−Hb)分の段差が生じる段差部118cが形成される。尚、この段差部118cは、図16に示す如く、下面位置の変化が滑らかに生じるように或いは下面同士が斜面や湾曲面で繋がれるように形成されているのが好ましい。この段差部118cの構造によれば、ベーステープ81内の部品が段差部118cを通過する際にその段差部118cに当接するときにも、その当接部位が段差部118cの送り方向Aに直交する面や角部となるのを回避することができ、下面位置の変化が急激に生じるように或いは下面同士が直交面を介して繋がれるように形成されたものである構造に比べて、段差部118cの形状に起因したその部品60への損傷を和らげることができる。
また、上記の実施形態においては、テープガイド110の有する上面支持部117が、部品通過部118に対してキャリアテープ80の幅方向一方側にだけ隣接して設けられている。しかし、上面支持部117は、キャリアテープ80の幅方向の片側にだけ設けられていることに限定されることなく、図17に示す如く、キャリアテープ80の幅方向両側それぞれに対応して分かれて設けられていてもよい。ただ、上面支持部117は、部品通過部118を挟んで幅方向両側それぞれに設けられる構造の方が、キャリアテープ80の幅方向の片側にだけ設けられる構造に比べて、搬送中のキャリアテープ80の上方への移動規制を確実に行ってその支持を確実に行ううえで好ましい。
また、この変形形態では、部品通過部118を挟んで幅方向両側それぞれに設けられた上面支持部117は、テープガイド110としてそれぞれ別体で形成されたものであってもよいが、テープガイド110として互いに一体化されて形成されたものであってもよい。部品通過部118を挟んで幅方向両側の上面支持部117が互いに一体化されて形成されていれば、部品点数を増やすことなく、上面支持部117により搬送中のキャリアテープ80を確実に支持することができる。
また、上記の実施形態においては、上面支持部117が、キャリアテープ80の送り方向Aに沿って連続的に延在しており、その下面が一つの平面をなすように形成されている。しかし、上面支持部117は、図18に示す如く、キャリアテープ80の送り方向Aに沿って断続的に設けられること、すなわち、キャリアテープ80の送り方向Aに沿って点在して設けられていてもよい。この構造においては、上面支持部117が点在する送り方向Aの複数箇所でキャリアテープ80を支持することができるので、搬送中のキャリアテープ80が上面支持部117から受ける抵抗を低減することができ、キャリアテープ80の搬送をスムースに行ってその搬送中の詰まりを抑えることができる。
更に、上記の実施形態においては、キャリアテープ80が、貫通した収容孔81aが設けられたベーステープ81の下面にボトムテープ82が接着された構造を有している。しかし、キャリアテープ80はこれに限定されるものではなく、下面にボトムテープ82が接着されることなく、部品60を収容する溝が設けられたベーステープを有するエンボス型のキャリアテープであってもよい。
尚、フィーダ22は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。