次に、本発明の各実施の形態を図1から図9の各図に基づいて説明する。なお、各図において矢印FRは、本バックル装置10が適用された車両前側を示し、矢印OUTは、車幅方向外側を示し、矢印UPは、車両上側を示す。
また、各図において矢印Aは、本バックル装置10を構成する外側カバー60及び内側カバー68のカバー長手方向一側を示し、矢印Bは、外側カバー60及び内側カバー68のカバー長手方向他側を示す。さらに、各図において矢印Dは、外側カバー60及び内側カバー68のカバー幅方向他側を示し、矢印Cは、外側カバー60及び内側カバー68のカバー幅方向一側を示す。また、各図において矢印Eは、外側カバー60及び内側カバー68のカバー厚さ方向一側を示し、矢印Fは、外側カバー60及び内側カバー68のカバー厚さ方向他側を示す。
また、以下の各実施の形態の説明において、説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と実質的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
<第1の実施の形態の構成>
(シートベルト装置12の構成)
図1に示されるように、第1の実施の形態に係る本バックル装置10が適用されるシートベルト装置12は、ウェビング格納手段としてのウェビング巻取装置14を備えている。ウェビング巻取装置14は、車両のセンターピラー16の車両下側に設けられている。ウェビング巻取装置14は、スプール18を備えている。スプール18の中心軸方向は、略車両前後方向とされており、スプール18は、中心軸周り方向の一方である巻取方向及びその反対方向の引出方向へ回転可能とされている。
スプール18には、長尺帯状のウェビング20の長手方向基端部が係止されている。ウェビング20が長手方向先端側へ引張られると、スプール18からウェビング20が引出されると共に、スプール18が引出方向へ回転される。また、スプール18が巻取方向へ回転されると、ウェビング20は、長手方向基端側からスプール18に巻取られて格納される。
ウェビング20の長手方向先端側は、スプール18から車両上側へ引出されている。また、ウェビング巻取装置14の車両上側にはスルーアンカ22が設けられている。スルーアンカ22は、センターピラー16の車両上側部分に支持されている。スルーアンカ22には、スリット孔が形成されており、スプール18から引出されたウェビング20は、スルーアンカ22のスリット孔を通って車両下側へ折返されている。
ウェビング20の長手方向先端部は、アンカプレート24に係止されている。アンカプレート24は、シート26の車幅方向外側でシート26を構成する骨格部材又は車両の車体に取付けられている。ウェビング20のスルーアンカ22とアンカプレート24との間の部分にはタング28が設けられている。このタング28に対応して、シート26の車幅方向内側には、本バックル装置10が設けられている。
(バックル装置10の構成)
図1及び図2に示されるように、バックル装置10は、バックル移動手段を構成するバックル駆動装置30を備えている。バックル駆動装置30は、スライダガイド機構としてのフレーム32を備えている。フレーム32は、ボルト等の締結手段によって車両の車体の床部等の車体側に固定されている。図2に示されるように、フレーム32は、スライダガイド部としての車幅方向に対向した一対のガイド壁34を備えており、両ガイド壁34の間には、駆動部としての駆動ねじ36が設けられている。駆動ねじ36の中心軸線方向は、車両前後方向に沿っており、駆動ねじ36は、中心軸線周りに回転自在とされている。
一方、フレーム32の車両前側には、駆動力出力手段としてのモータアクチュエータ38が設けられている。モータアクチュエータ38には、駆動ねじ36の車両前側の端部が連結されており、駆動ねじ36は、モータアクチュエータ38のモータ40から出力される駆動力によって駆動ねじ36の中心軸線周りに回転される。図5に示されるように、モータアクチュエータ38のモータ40は、制御手段を構成するモータドライバ42へ電気的に接続されており、更に、モータドライバ42を介して制御手段を構成するECU44及び電源として車両に搭載されたバッテリー46へ電気的に接続されている。モータ40への通電は、ECU44及びモータドライバ42によって制御される。
ECU44は、カーテシスイッチ48に電気的に接続されている。カーテシスイッチ48は、例えば、カーテシスイッチ48が適用された車両のドアの開状態でON状態になり、車両のドアの閉状態でOFF状態になるスイッチとされ、ECU44では、カーテシスイッチ48のON状態及びOFF状態の何れであるかが判定される。
一方、図2に示されるように、フレーム32の両ガイド壁34の間には、スライダ50が設けられており、スライダ50の車幅方向両側面が、それぞれフレーム32の両ガイド壁34に当接されている。また、スライダ50には、ねじ孔が形成されており、スライダ50のねじ孔には駆動ねじ36が貫通されている。駆動ねじ36が回転されることによって、スライダ50は、両ガイド壁34に案内されて車両前後方向へスライドされる。
また、バックル装置10は、連結部材としてのワイヤロープ52を備えている。ワイヤロープ52は、長尺状に形成されている。ワイヤロープ52の長手方向中間部よりも長手方向基端側では、ワイヤロープ52の長手方向が車両前後方向に沿っており、更に、ワイヤロープ52の長手方向基端部は、駆動ねじ36よりも車両下側でスライダ50に連結されている。このため、スライダ50が車両前後方向へスライドされると、ワイヤロープ52がその長手方向へ移動される。
さらに、フレーム32の車両後側には、ワイヤガイド54が設けられている。ワイヤガイド54には、ワイヤガイド溝56が形成されている。ワイヤガイド溝56は、ワイヤガイド54の車幅方向内側面で開口されている。ワイヤガイド54の車幅方向内側には、カバープレート58が設けられており、ワイヤガイド54のワイヤガイド溝56は、カバープレート58によって車幅方向内側から閉じられている。
また、ワイヤガイド溝56の長手方向一端は、ワイヤガイド54の車両前側面で開口されていると共に、ワイヤガイド溝56は、長手方向中間部で車幅方向を軸方向とする軸周り方向に湾曲されており、ワイヤガイド溝56の長手方向他端は、ワイヤガイド54の車両上側面で開口されている。ワイヤガイド溝56には、ワイヤロープ52が通されており、ワイヤロープ52は、ワイヤガイド54のワイヤガイド溝56に倣って車幅方向(シート26の幅方向)を軸方向とする軸周り方向へ曲げられている。さらに、ワイヤロープ52の長手方向先端側は、ワイヤガイド54の車両上側面での開口より車両前斜め上側(図2等の矢印A方向側)へ延びている。
一方、バックル装置10は、移動部材、カバー部材としてバックル本体を構成する外側カバー60を備えている。外側カバー60の長手方向であるカバー長手方向(図2等の矢印A方向及び矢印B方向)は、車両上下方向に対して車両前後方向へ傾斜した方向とされている。また、外側カバー60は、筒状とされており、外側カバー60のカバー長手方向両端は、開口されている。さらに、外側カバー60のカバー長手方向に対して直交する方向に切った外側カバー60の断面形状は、略矩形とされ、外側カバー60の厚さ方向であるカバー厚さ方向(図4等の矢印E方向及び矢印D方向)は、略車幅方向とされている。
また、図2に示されるように、外側カバー60内における車両上側部分には、外側カバー60と共にバックル本体を構成するバックル62が設けられている。バックル62は、バックルボデー64を備えている。バックルボデー64は、鉄等の金属板材によって車幅方向内側へ開口した断面U字形状に形成されており、外側カバー60に保持されている。バックルボデー64の内側には、ラッチ等のバックル62の構成部品(図2においては図示省略)が設けられている。
シート26に着座した乗員66の身体にウェビング20が掛回された状態で、上述したタング28が外側カバー60の車両前斜め上側(図2等の矢印A方向側)の開口からバックルボデー64の内側に挿入されると、バックルボデー64に設けられたラッチが、タング28に形成された孔部に入り、これによって、タング28がバックル62に係合され、乗員66の身体へのウェビング20の装着状態になる。
また、バックル装置10は、案内部材としてバックル移動手段を構成する内側カバー68を備えている。内側カバー68は、外側カバー60よりも柔軟な合成樹脂材によって形成されている。内側カバー68の長手方向は、カバー長手方向(図2等の矢印A方向及び矢印B方向)とされている。内側カバー68は、筒状に形成されており、内側カバー68のカバー長手方向両端は、開口されている。
また、内側カバー68の長手方向に対して直交する方向に切った内側カバー68の断面形状は、略矩形とされ、内側カバー68の厚さ方向は、カバー厚さ方向(図4等の矢印E方向及び矢印F方向)とされている。内側カバー68は、外側カバー60のカバー長手方向他側端(図2における矢印B方向側端)から外側カバー60の内側に挿入されている。また、内側カバー68は、ワイヤガイド54の車両上側に配置されており、内側カバー68のカバー長手方向他側の端部は、ワイヤガイド54の車両上側面と対向されている。内側カバー68のカバー長手方向他側の端部は、上述したカバープレート58に連結されており、カバープレート58と共に上述したフレーム32に連結されている。
一方、内側カバー68の内側には、ワイヤロープ52が通っている。ワイヤロープ52の長手方向先端側は、内側カバー68のカバー長手方向一側端(図2における矢印A方向側端)から内側カバー68の外側へ延び、バックルボデー64へ連結されている。このため、ワイヤロープ52が長手方向先端側へ移動されることによって、ワイヤロープ52の長手方向先端部が車両前斜め上側(図2等の矢印A方向側)へ移動されると、バックル62が外側カバー60を伴って車両前斜め上側へ移動される(図2図示状態)。これに対して、ワイヤロープ52が長手方向基端側へ移動されることによって、ワイヤロープ52の長手方向先端部が車両後斜め下側(図2等の矢印B方向側)へ移動されると、バックル62が外側カバー60を伴って車両後斜め下側へ移動される(図1図示状態)。
また、内側カバー68のカバー長手方向(図2等の矢印A方向及び矢印B方向)中間部よりもカバー長手方向他側部分(図2におけるの矢印B方向側部分)には、一対の外側壁70が設けられている(図2では、一方の外側壁70のみを図示)。一方の外側壁70は、内側カバー68のカバー幅方向他側端(図2の矢印D方向側端)のカバー厚さ方向一側(図4等の矢印E方向側)に配置され、内側カバー68からカバー幅方向他側へ延出されている。これに対し、他方の外側壁70は、内側カバー68のカバー幅方向他側端(図2における矢印D方向側端)のカバー厚さ方向他側(図4等の矢印F方向側)に配置され、内側カバー68からカバー幅方向他側へ延出されている。
この両外側壁70の間には、電気的接続部材としての帯状のカールコード72が設けられている。カールコード72は、複数本の電線を備えている。これらの電線は、金属等の導電性部材によって長尺紐状に形成されており、これらの電線の各々は、合成樹脂材等の絶縁性の材料によって被覆されている。これらの電線は、カールコード72の幅方向に並べられた状態で合成樹脂材によって更に被覆されている。カールコード72の各電線の長手方向基端部は、図5に示されるECU44又はバッテリー46に直接又は間接的に接続されている。さらに、カールコード72は、厚さ方向一側を中心軸線とする螺旋状にされており、カールコード72は、螺旋の中心軸線方向に伸縮可能とされている。
カールコード72を構成する複数本の電線のうち、少なくとも1本の電線の長手方向先端部は、バックルスイッチ74(図5参照)へ電気的に接続されている。バックルスイッチ74は、外側カバー60の内側に設けられており、タング28が外側カバー60内に入ってバックル62に係合されると、バックルスイッチ74は、ON状態となり、タング28とバックル62との係合が解除され、タング28が外側カバー60から抜けると、バックルスイッチ74は、OFF状態になる。図5に示されるように、バックルスイッチ74は、カールコード72の電線を介してECU44へ電気的に接続されており、ECU44では、バックルスイッチ74の状態が判定される。
また、図5に示されるように、ECU44は、荷重センサ76に電気的に接続されている。荷重センサ76は、図1に示されるシート26のシートクッション78に設けられており、シートクッション78に作用される車両上側からの荷重が荷重センサ76によって検出される。乗員66がシート26に着座することよって、一定の大きさ以上の車両上側からの荷重が荷重センサ76によって検出されると、荷重センサ76から出力される荷重検出信号がLowレベルからHighレベルに切替わる。荷重センサ76から出力された荷重検出信号は、ECU44へ入力され、Highレベルの荷重検出信号がECU44へ入力されることによって、ECU44では、乗員がシート26に着座したと判定する。
さらに、図5に示されるように、ECU44は、警告手段としての警告装置80に電気的に接続されている。例えば、荷重センサ76から出力された荷重検出信号がHighレベルであり、しかも、上述したバックルスイッチ74のOFF状態で車両が走行されると、警告装置80がECU44によって作動され、これによって、車両のインスツルメントパネルに設けられた警告ランプが点滅され又は警告装置を構成するスピーカから警告音が発せられる。これによって、ウェビング20が乗員66の身体に装着されていない状態で車両が走行されたことを乗員66に警告する。
一方、図2に示されるように、本バックル装置10は、開放手段としての開閉装置82を備えている。図2及び図3に示されるように、開閉装置82は、第1巻取軸84を備えている。第1巻取軸84は、外側カバー60の内側におけるカバー長手方向(図2等の矢印A方向及び矢印B方向)中間部に設けられている。また、第1巻取軸84は、バックル62のバックルボデー64のカバー幅方向他側(図2の矢印D方向側)に配置されている。第1巻取軸84の中心軸方向は、カバー厚さ方向(図3の矢印E方向及び矢印F方向)に沿っており、第1巻取軸84は、中心軸周り方向へ回転可能とされていると共に、ぜんまいばね、捻りコイルばね等の第1付勢部材(図示省略)によって中心軸周り方向の一方(図3の矢印G方向)へ付勢されている。
また、開閉装置82は、一対の一側ワイヤ86を備えている。一方の一側ワイヤ86の長手方向基端は、第1巻取軸84のカバー厚さ方向一側(図3等の矢印E方向側)に係止されており、他方の一側ワイヤ86の長手方向基端は、第1巻取軸84のカバー厚さ方向他側(図3等の矢印F方向側)に係止されている。これらの一側ワイヤ86の長手方向先端側には、閉部材88が設けられている。閉部材88は、略矩形のシート状に形成されており、閉部材88の幅方向は、カバー厚さ方向(図3等の矢印E方向及び矢印F方向)に沿っている。閉部材88の長手方向一側端部における閉部材88の幅方向一側端部には、一方の一側ワイヤ86の長手方向先端が係止されており、閉部材88の長手方向一側端部における閉部材88の幅方向他側端部には、他方の一側ワイヤ86の長手方向先端が係止されている。
一方、図2及び図3に示されるように、開閉装置82は、第2巻取軸90を備えている。第2巻取軸90は、内側カバー68の内側におけるカバー長手方向一側端部(図2等の矢印A方向側端部)のカバー幅方向一側端部(図2等の矢印C方向側端部)に設けられている。第2巻取軸90の中心軸方向は、カバー厚さ方向(図3等の矢印E方向及び矢印F方向)に沿っており、第2巻取軸90は、中心軸周り方向へ回転可能とされていると共に、ぜんまいばね、捻りコイルばね等、第1付勢部材の付勢力よりも付勢力が小さな第2付勢部材(図示省略)によって中心軸周り方向の他方(図3の矢印H方向)へ付勢されている。
また、開閉装置82は、一対の他側ワイヤ92を備えている。一方の他側ワイヤ92の長手方向基端は、第2巻取軸90のカバー厚さ方向一側(図3等の矢印E方向側)部分に係止されており、他方の他側ワイヤ92の長手方向基端は、第2巻取軸90のカバー厚さ方向他側(図3等の矢印F方向側)部分に係止されている。さらに、一方の他側ワイヤ92の長手方向先端は、閉部材88の長手方向他側端部における閉部材88の幅方向一側端部に係止されており、他方の他側ワイヤ92の長手方向先端は、閉部材88の長手方向他側端部における閉部材88の幅方向他側部分に係止されている。
さらに、図2に示されるように、開閉装置82は、第1縦プーリ94、第2縦プーリ96を備えている。これらの第1縦プーリ94及び第2縦プーリ96の中心軸方向は、カバー厚さ方向(図3、図4等の矢印E方向及び矢印F方向)とされており、第1縦プーリ94及び第2縦プーリ96は、自らの中心軸周りに回動自在とされている。
第1縦プーリ94は、外側カバー60の内側における外側カバー60のカバー長手方向一側端部(図2等の矢印A方向側端部)のカバー幅方向他側端部(図2等の矢印D方向側端部)に設けられており、閉部材88の長手方向一側端部又は一側ワイヤ86の長手方向先端側部分が第1縦プーリ94に掛回されている。第2縦プーリ96は、外側カバー60の内側における外側カバー60のカバー長手方向一側端部のカバー幅方向一側端部(図2等の矢印C方向側端部)に設けられており、閉部材88の長手方向他側端部又は他側ワイヤ92の長手方向先端側部分が第2縦プーリ96に掛回されている。
外側カバー60が車両前斜め上側(図2等の矢印A方向側)へ移動される前の状態では、図4(A)に示されるように、閉部材88は、外側カバー60のカバー長手方向一側(図2等の矢印A方向側)の開口部よりもカバー長手方向他側(図2等の矢印B方向側)で外側カバー60の内側に設けられた解除ボタン100のカバー厚さ方向他側(図4等の矢印F方向側)に配置される。これによって、外側カバー60のカバー長手方向一側の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分は、閉部材88によって閉じられる。
この状態で、他側ワイヤ92が長手方向基端側へ引張られると、閉部材88が他側ワイヤ92と共に他側ワイヤ92の長手方向基端側へ移動される。図4(B)に示されるように、閉部材88の長手方向一側端が第2縦プーリ96よりも第2巻取軸90側へ移動された状態では、一方の一側ワイヤ86が解除ボタン100におけるカバー厚さ方向他側端(図4における矢印F方向側端)に沿って配置され、他方の一側ワイヤ86が外側カバー60のカバー長手方向一側(図2等の矢印A方向側)の開口部のカバー厚さ方向他側端に沿って配置される。この状態では、外側カバー60のカバー長手方向一側の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分が開放され、タング28は、一方の一側ワイヤ86と他方の一側ワイヤ86との間を通って外側カバー60の内側へ入ることができる。
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用、効果について説明する。
本実施の形態では、例えば、本バックル装置10が適用されるシート26に対応した車両のドアが、閉状態から開状態に変化すると、カーテシスイッチ48がOFF状態からON状態に切替わる。ECU44においてカーテシスイッチ48のOFF状態からON状態への切替わりが判定されると、モータドライバ42がECU44によって作動され、これによって、モータアクチュエータ38のモータ40が駆動される。
これによって、駆動ねじ36が回転されると、スライダ50がフレーム32の両ガイド壁34に案内されて車両後側へスライドされる。これによって、ワイヤロープ52が長手方向先端側へ移動されると、バックルボデー64がワイヤロープ52によって車両前斜め上側(図2等の矢印A方向側)へ押圧される。このワイヤロープ52からの押圧力がバックルボデー64を介して外側カバー60に伝わると、外側カバー60は、内側カバー68に案内されてバックルボデー64と共に車両前斜め上側へ移動される(図2図示状態)。
このように、外側カバー60が車両前斜め上側(図2等の矢印A方向側)へ移動されると、外側カバー60の内側の第2縦プーリ96が内側カバー68の内側の第2巻取軸90から車両前斜め上側へ離れる。このため、外側カバー60の車両前斜め上側への移動に伴い、閉部材88が第2縦プーリ96の外周部の側方を通過して、第2縦プーリ96と第2巻取軸90との間へ向けて移動される。また、このような閉部材88の移動によって、一側ワイヤ86が第1巻取軸84から引出される。
以上のようにして外側カバー60の車両前斜め上側(図2等の矢印A方向側)への移動が終了されると、図4(B)に示されるように、閉部材88の長手方向一側端が第2縦プーリ96と第2巻取軸90との間に配置される。さらに、この状態では、一方の一側ワイヤ86が解除ボタン100におけるカバー厚さ方向他側端(図4における矢印F方向側端)に沿って配置され、他方の一側ワイヤ86が外側カバー60のカバー長手方向一側(図2等の矢印A方向側)の開口部のカバー厚さ方向他側端に沿って配置される。このため、この状態では、外側カバー60のカバー長手方向一側の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分が開放される。これによって、この状態では、タング28は、一方の一側ワイヤ86と他方の一側ワイヤ86との間を通って外側カバー60の内側へ入ることができ、タング28をバックル62に係合させることができる。
また、このように、外側カバー60の車両前斜め上側(図2等の矢印A方向側)への移動が終了された状態では、外側カバー60が移動される前の状態よりも車両前斜め上側に配置されるため、乗員66はタング28を外側カバー60のカバー長手方向一側(図2等の矢印A方向側)の開口部から外側カバー60の内側へ挿入でき、タング28をバックル62へ容易に係合させることができる。これによって、乗員66は、ウェビング20を容易に装着できる。
このようにして、タング28がバックル62に係合されると、バックルスイッチ74がON状態になる。バックルスイッチ74がON状態になったとECU44で判定されると、モータドライバ42がECU44によって作動され、これによって、モータアクチュエータ38のモータ40が駆動される。
これによって、駆動ねじ36が回転されると、スライダ50がフレーム32の両ガイド壁34に案内されて車両前側へスライドされる。これによって、ワイヤロープ52が長手方向基端側へ移動されると、バックルボデー64がワイヤロープ52によって車両後斜め下側へ引張られる。これにより、外側カバー60が内側カバー68に案内されてバックルボデー64と共に車両後斜め下側(図1及び図2の矢印B方向側)へ移動される(図1図示状態)。このような外側カバー60の車両後斜め下側への移動によって、外側カバー60は、車両前斜め上側(図1等の矢印A方向側)へ移動される前の配置位置に戻り、乗員66の身体へのウェビング20の装着状態になる。
このようにして、外側カバー60が車両後斜め下側(図1及び図2の矢印B方向側)へ移動されると、外側カバー60内の第2縦プーリ96が、内側カバー68内の第2巻取軸90へ接近される。これによって、第2縦プーリ96と第2巻取軸90との間で閉部材88、一側ワイヤ86、他側ワイヤ92が弛むと、第1巻取軸84が第1付勢部材の付勢力により回転され、これによって一側ワイヤ86が長手方向基端側から第1巻取軸84に巻取られる。これによって、閉部材88及び他側ワイヤ92の長手方向先端側が一側ワイヤ86と共に移動される。
ところで、この状態では、タング28が外側カバー60内に挿入されている。このため、外側カバー60が車両後斜め下側への移動に伴って閉部材88が移動され、閉部材88の長手方向一側端がタング28へ当接されると、閉部材88は、それ以上第1縦プーリ94側へ移動できない。このため、閉部材88の長手方向一側端がタング28へ当接された状態で外側カバー60が車両後斜め下側(図1及び図2の矢印B方向側)へ移動されると、閉部材88及び他側ワイヤ92に弛みが生じる。
ここで、第2巻取軸90は、第1巻取軸84を付勢する第1付勢部材よりも付勢力が小さな第2付勢部材によって、中心軸周り他方(図3の矢印H方向)へ付勢されている。このため、閉部材88及び他側ワイヤ92に弛みの発生に応じて第2巻取軸90が第2付勢部材の付勢力によって回転され、これによって、他側ワイヤ92が長手方向基端側から第2巻取軸90に巻取られる。これによって、閉部材88及び他側ワイヤ92の弛みの発生を抑制できる。
この状態で、解除ボタン100が押圧され、解除ボタン100が外側カバー60の内側へ移動されると、タング28とバックル62との係合が解除され、タング28が外側カバー60から抜ける。これによって、閉部材88の長手方向一側端とタング28との接触が解消される。ここで、第1巻取軸84を付勢する第1付勢部材の付勢力は、第2巻取軸90を付勢する第2付勢部材の付勢力よりも大きい。このため、閉部材88の長手方向一側端とタング28との接触が解消されると、第1付勢部材の付勢力によって第1巻取軸84が回転され、一側ワイヤ86が長手方向基端側から第1巻取軸84に巻取られ、閉部材88が一側ワイヤ86と共に移動される。
これによって、図4(A)に示されるように、外側カバー60のカバー長手方向一側(図2等の矢印A方向側)の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側(図4(A)における矢印F方向側)部分が、閉部材88によって閉じられる。これによって、例えば、外側カバー60が車両前斜め上側(図1等の矢印A方向側)へ移動される前の配置位置に戻った状態で外側カバー60のカバー長手方向一側の開口部から外側カバー60の内側、ひいては、バックル62の内側へ異物が入ることを抑制できる。
また、本バックル装置10では、外側カバー60が車両前斜め上側(図2等の矢印A方向側)への移動が終了された状態では、閉部材88の長手方向一側端が第2縦プーリ96と第2巻取軸90との間に配置される。このため、タング28が外側カバー60の内側へ挿入される際に、閉部材88がタング28に押圧されることを抑制できる。したがって、閉部材88の機械的強度をタング28による押圧の繰返しに耐えるような大きさにする必要がない。これにより、閉部材88の高強度化を抑制でき、閉部材88を軽量化できる。
さらに、本実施の形態では、外側カバー60が移動されることによって閉部材88が移動されるため、閉部材88を移動させるための特別な操作が不要である。
また、本実施の形態では、閉部材88は、外側カバー60の移動、第1付勢部材の付勢力、第2付勢部材の付勢力によって移動される。このため、閉部材88を移動させるためだけのモータ等が不要であり、閉部材88を移動させるためだけの制御(すなわち、開閉装置82の作動の制御)が不要である。
<第2の実施の形態の構成>
図6に示されるように、第2の実施の形態では、開閉装置82は、閉部材88に代わる閉部材としての揺動板112を備えている。揺動板112は、外側カバー60の内側における外側カバー60のカバー長手方向一側(図6の矢印A方向側)の開口部と、バックル62のバックルボデー64のカバー長手方向一側端との間に配置されており、カバー幅方向(図2等の矢印C方向及び矢印D方向で、図6における紙面手前方向及び紙面奥行き方向)を中心軸方向とする中心軸周りの開方向(図6の矢印K方向)及び閉方向(図6の矢印L方向)へ回動可能とされている。
また、図6において仮想線(二点鎖線)で示される揺動板112の開位置よりも開方向(図6の矢印K方向)への揺動板112の回動及び図6において実線で示される揺動板112の閉位置よりも閉方向(図6の矢印L方向)への揺動板112の回動が制限されている。さらに、揺動板112には、蓋付勢手段としての揺動板付勢部材(図示省略)が設けられている。揺動板付勢部材は、捻りコイルばね等によって構成されており、揺動板112は、揺動板付勢部材の付勢力によって閉方向へ付勢されている。
揺動板112には、第1ワイヤ114の長手方向先端が係止されており、第1ワイヤ114が長手方向基端側へ移動されると、揺動板112は、第1ワイヤ114によって引張られ、開方向(図6の矢印K方向)へ回動される。また、外側カバー60の内側における揺動板112よりもカバー長手方向他側(図6の矢印B方向側)のカバー厚さ方向他側(図6の矢印F方向側)には、第1横プーリ116が設けられている。第1横プーリ116は、カバー幅方向(図2等の矢印C方向及び矢印D方向で、図6における紙面手前方向及び紙面奥行き方向)を中心軸方向とする中心軸周りに回動自在とされており、第1横プーリ116には、第1ワイヤ114の長手方向中間部が掛回されている。
また、外側カバー60の内側におけるバックル62のバックルボデー64のカバー厚さ方向他側(図6の矢印F方向側)には、ストローク差吸収手段としての引張コイルばね118が設けられている。引張コイルばね118の長手方向は、概ね、カバー長手方向(図6の矢印A方向及び矢印B方向)に沿っており、引張コイルばね118の長手方向一側端部には、第1ワイヤ114の長手方向基端が係止されている。引張コイルばね118の弾性変形時の付勢力は、揺動板付勢部材の付勢力よりも大きくされている。
引張コイルばね118の長手方向他側端部は、長手方向一側端部よりもカバー長手方向他側(図6の矢印B方向側)に配置されており、引張コイルばね118の長手方向他側端部には、第2ワイヤ120の長手方向先端が係止されている。第2ワイヤ120の長手方向先端よりもカバー長手方向他側には、第2横プーリ122が設けられている。第2横プーリ122は、カバー幅方向(図2等の矢印C方向及び矢印D方向で、図6における紙面手前方向及び紙面奥行き方向)を中心軸方向とする中心軸周りに回動自在とされており、第2横プーリ122には、第2ワイヤ120の長手方向中間部が掛回されている。第2ワイヤ120の長手方向他端は、内側カバー68のカバー長手方向一側(図6の矢印A方向側)の端部に係止されている。
<第2の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用、効果について説明する。
以上の構成の本実施の形態では、車両のドアが閉状態から開状態になることでバックル駆動装置30が作動され、モータアクチュエータ38のモータ40が駆動されると、外側カバー60が内側カバー68に案内されて車両前斜め上側(図6の矢印A方向側)へ移動される(図6参照)。
このように、外側カバー60が車両前斜め上側(図6の矢印A方向側)へ移動されると、外側カバー60の内側の第2横プーリ122が内側カバー68のカバー長手方向一側(図6の矢印A方向側)の端部に対して車両前斜め上側へ離れる。これによって、第1ワイヤ114の長手方向一端と第2ワイヤ120の長手方向他端との間の張力が増加される。第1ワイヤ114と第2ワイヤ120との間の引張コイルばね118の弾性変形時の付勢力は、揺動板112を閉方向(図6の矢印L方向)へ付勢する揺動板付勢部材の付勢力よりも大きい。
このため、外側カバー60の車両前斜め上側(図6の矢印A方向側)への移動に伴い第1ワイヤ114の長手方向一端と第2ワイヤ120の長手方向他端との間の張力が増加されると、先ず、揺動板112が第1ワイヤ114に引張られて開方向(図6の矢印K方向)へ回動される。揺動板112の開方向への移動が制限されるまで外側カバー60が移動され、この状態から更に外側カバー60が車両前斜め上側へ移動されると、引張コイルばね118の長手方向一側端部が長手方向他側端部から離間するように弾性変形される。
このように、本実施の形態では、外側カバー60が車両前斜め上側(図6の矢印A方向側)へ移動される前の位置から車両前斜め上側への移動が終了される位置まで外側カバー60の移動ストロークと、揺動板112の閉位置から開位置への回動に要する第1ワイヤ114の移動ストロークとの差は、引張コイルばね118の弾性変形によって吸収される。これによって、揺動板112の開方向(図6の矢印K方向)への回動が制限された状態でも、外側カバー60は車両前斜め上側へ移動できる。
外側カバー60の車両前斜め上側(図6の矢印A方向側)への移動が終了された状態では、揺動板112の開方向(図6の矢印K方向)へ移動されているため、外側カバー60のカバー長手方向一側(図6の矢印A方向側)の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分(図6の矢印F方向側部分)が開放される。このため、この状態では、タング28は、外側カバー60の内側へ入ることができ、タング28をバックル62に係合させることができる。
また、このように、外側カバー60の車両前斜め上側(図6の矢印A方向側)への移動が終了された状態では、外側カバー60が移動される前の状態よりも車両前斜め上側に配置されるため、乗員66はタング28を外側カバー60のカバー長手方向一側(図6の矢印A方向側)の開口部から外側カバー60の内側へ挿入でき、タング28をバックル62へ容易に係合させることができる。これによって、乗員66は、ウェビング20を容易に装着できる。
一方、タング28がバックル62に係合されることによってモータドライバ42がECU44によって作動され、これによって、モータアクチュエータ38のモータ40が駆動されると、駆動ねじ36が回転され、スライダ50がフレーム32の両ガイド壁34に案内されて車両前側へスライドされる。これによって、外側カバー60の車両後斜め下側へ移動され、外側カバー60は、車両前斜め上側(図6の矢印A方向側)へ移動される前の配置位置に戻り、乗員66の身体へのウェビング20の装着状態になる。
このように、外側カバー60が車両後斜め下側へ移動されると、第1ワイヤ114の長手方向一端と第2ワイヤ120の長手方向他端との間の張力が低下される。引張コイルばね118の弾性変形時の付勢力は、揺動板付勢部材の付勢力よりも大きくされているため、第1ワイヤ114の長手方向一端と第2ワイヤ120の長手方向他端との間の張力が低下されることによって、先ず、引張コイルばね118が縮む。
引張コイルばね118が縮んで自然長の状態になり、この状態から更に外側カバー60が車両後斜め下側へ移動されて第1ワイヤ114の長手方向一端と第2ワイヤ120の長手方向他端との間の張力が低下されると、揺動板112がタング28へ当接するまで揺動板付勢部材の付勢力によって閉方向(図6の矢印L方向)へ回動される。さらに、揺動板112がタング28へ当接された状態で解除ボタン100が押圧され、解除ボタン100が外側カバー60の内側へ移動されると、タング28とバックル62との係合が解除され、タング28が外側カバー60から抜ける。
これによって、揺動板112とタング28との当接が解消され、揺動板112は、揺動板付勢部材の付勢力によって閉位置まで回動される。これによって、例えば、外側カバー60が車両前斜め上側(図1等の矢印A方向側)へ移動される前の配置位置に戻った状態で外側カバー60のカバー長手方向一側(図6の矢印A方向側)の開口部から外側カバー60の内側、ひいては、バックル62の内側へ異物が入ることを抑制できる。
また、本バックル装置10では、外側カバー60が車両前斜め上側(図6の矢印A方向側)への移動が終了された状態では、揺動板112が開位置まで回動される。このため、タング28が外側カバー60の内側へ挿入される際に、揺動板112がタング28に押圧されることを抑制できる。したがって、揺動板112の機械的強度をタング28による押圧の繰返しに耐えるような大きさにする必要がない。これにより、揺動板112の高強度化を抑制でき、揺動板112を軽量化できる。
さらに、本実施の形態では、揺動板112が揺動板付勢部材の付勢力よりも大きな力で開位置側へ押圧されることによって、揺動板112は、開位置へ向けて回動される。このため、外側カバー60が車両前斜め上側(図6の矢印A方向側)へ移動していない状態、外側カバー60の車両前斜め上側への移動が終了していない状態等であっても、タング28が外側カバー60のカバー長手方向一側(図6の矢印A方向側)の開口部から挿入されることによって、タング28をバックル62に係合させることができる。
さらに、本実施の形態では、外側カバー60が移動されることによって揺動板112が回動されるため、揺動板112を回動させるための特別な操作が不要である。
また、本実施の形態では、揺動板112は、外側カバー60の移動と揺動板付勢部材の付勢力とによって移動される。このため、揺動板112を移動させるためだけのモータ等が不要であり、揺動板112を移動させるためだけの制御が不要であり、揺動板112を回動させるためだけの制御(すなわち、開閉装置82の作動の制御)が不要である。
さらに、本実施の形態では、揺動板112の開方向(図6の矢印K方向)への回動が制限された状態で、外側カバー60が更に車両前斜め上側(図6の矢印A方向側)へ移動されると、引張コイルばね118が伸ばされる(弾性変形される)。これによって、揺動板112の閉位置から開位置までの回動に要する第1ワイヤ114の移動ストロークを、外側カバー60の車両前斜め上側への移動ストロークより小さくできる。
<第3の実施の形態の構成>
図7に示されるように、第3の実施の形態では、開閉装置82は、閉部材駆動手段としてソレノイド132を備えている。ソレノイド132は、外側カバー60の内側におけるバックルボデー64のカバー厚さ方向他側(図7の矢印F方向側)に配置されている。ソレノイド132は、ソレノイド本体134を備えており、ソレノイド本体134の内側には、コイルが設けられている。ソレノイド本体134のコイルの中心軸方向は、概ね、カバー長手方向(図7の矢印A方向及び矢印B方向)とされている。
また、ソレノイド132は、プランジャ136を備えている。プランジャ136は、鉄等の磁性体によって棒状に形成されており、プランジャ136の長手方向は、概ね、カバー長手方向(図7の矢印A方向及び矢印B方向)とされている。プランジャ136の長手方向中間部よりも長手方向基端側は、ソレノイド本体134内のコイルの内側に配置されている。
ソレノイド本体134の内側には、圧縮コイルばね等のプランジャ付勢部材(図示省略)が設けられており、プランジャ136は、プランジャ付勢部材の付勢力によってソレノイド本体134から抜ける方向、すなわち、カバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)へ付勢されている。ソレノイド本体134内のコイルが通電されることによってコイルの周囲に磁界が生じると、コイルとプランジャ136との間で磁力が生じ、これによって、プランジャ136は、プランジャ付勢部材の付勢力に抗してソレノイド本体134側、すなわち、カバー長手方向他側(図7の矢印B方向側)へ移動される。
プランジャ136の長手方向先端部には、第1ワイヤ114の長手方向基端が係止されており、ソレノイド本体134内のコイルが通電されることによってプランジャ136がソレノイド本体134側へ移動されると、第1ワイヤ114がプランジャ136によって長手方向基端側へ移動される。これにより、揺動板112が第1ワイヤ114によって引張られ、揺動板112が開方向(図7の矢印K方向)へ回動される。
また、図8に示されるように、ソレノイド132は、ソレノイドドライバ138を介してECU44及びバッテリー46へ電気的に接続されており、ソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルへの通電は、ECU44及びソレノイドドライバ138によって制御される。
また、図8に示されるように、ECU44には、回転検出装置140へ電気的に接続されている。回転検出装置140は、ウェビング巻取装置14(図1参照)に設けられており、ウェビング巻取装置14のスプール18の回転及び回転方向が回転検出装置140によって検出される。また、回転検出装置140からは、スプール18の回転及び回転方向に応じた回転検出信号が出力され、回転検出装置140から出力された回転検出信号は、ECU44に入力される。
<第3の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の作用、効果について説明する。
なお、モータアクチュエータ38のモータ40の駆動制御、モータ40の駆動による外側カバー60の移動等については、前記第1の実施の形態と同じであるため、これらに関する説明は省略する。
以上の構成の本実施の形態では、シート26に着座した乗員66によってウェビング20が引張られて、ウェビング巻取装置14のスプール18からウェビング20が引出されると、スプール18が引出方向へ回転される。このスプール18の引出方向への回転は、回転検出装置140によって検出され、回転検出装置140からは、スプール18の引出方向への回転に応じた回転検出信号が出力される。
この回転検出信号がECU44に入力されると、ECU44は、スプール18からウェビング20が引出されたと判定し、ソレノイドドライバ138がECU44によって作動される。これによって、ソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルが通電されると、プランジャ136がソレノイド本体134側へ移動され、第1ワイヤ114が長手方向基端側へ移動される。これによって、揺動板112が開方向(図7の矢印K方向)へ回動され、外側カバー60のカバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分(図7の矢印F方向側部分)が開放される。このため、この状態では、タング28は、外側カバー60の内側へ入ることができ、タング28をバックル62に係合させることができる。
また、タング28がバックル62に係合されると、バックルスイッチ74がOFF状態からON状態に切替わる。バックルスイッチ74がON状態になったとECU44で判定されると、ソレノイドドライバ138がECU44によって作動される。これによって、ソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルへの通電が解消されると、プランジャ136は、プランジャ付勢部材の付勢力によってソレノイド本体134から抜ける方向、すなわち、カバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)へ移動される。これによって、プランジャ136による第1ワイヤ114の引張りが解消されると、揺動板112は、揺動板付勢部材の付勢力によってタング28へ当接するまで閉方向(図7等の矢印L方向)へ回動される。
さらに、揺動板112がタング28へ当接された状態で解除ボタン100が押圧され、解除ボタン100が外側カバー60の内側へ移動されると、タング28とバックル62との係合が解除され、タング28が外側カバー60から抜ける。これによって、揺動板112とタング28との当接が解消され、揺動板112は、揺動板付勢部材の付勢力によって閉位置まで回動される。これによって、例えば、外側カバー60が車両前斜め上側(図1等の矢印A方向側)へ移動される前の配置位置に戻った状態で外側カバー60のカバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)の開口部から外側カバー60の内側、ひいては、バックル62の内側へ異物が入ることを抑制できる。
また、本バックル装置10では、ソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルが通電されることによってプランジャ136が移動され、これによって、揺動板112が開位置まで回動される。このため、タング28が外側カバー60の内側へ挿入される際に、揺動板112がタング28に押圧されることを抑制できる。したがって、揺動板112の機械的強度をタング28による押圧の繰返しに耐えるような大きさにする必要がない。これにより、揺動板112の高強度化を抑制でき、揺動板112を軽量化できる。
さらに、本実施の形態では、揺動板112が揺動板付勢部材の付勢力よりも大きな力で開位置側へ押圧されることによって、揺動板112は、開位置へ向けて回動される。このため、外側カバー60が車両前斜め上側(図7の矢印A方向側)へ移動していない状態、外側カバー60の車両前斜め上側への移動が終了していない状態等であっても、タング28が外側カバー60のカバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)の開口部から挿入されることによって、タング28をバックル62に係合させることができる。
また、本実施の形態では、ソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルへの通電と通電の遮断によって揺動板112が回動されるため、揺動板112を回動させるための特別な操作が不要である。
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態では、車両のシート26に乗員66が着座した際にソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルが通電される。すなわち、車両のシート26に乗員66が着座することによって、一定の大きさ以上の車両上側からの荷重が荷重センサ76によって検出されると、荷重センサ76から出力される荷重検出信号がLowレベルからHighレベルに切替わる。Highレベルの荷重検出信号がECU44へ入力されると、ソレノイドドライバ138がECU44によって作動される。
これによって、ソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルが通電されると、プランジャ136がソレノイド本体134側へ移動され、第1ワイヤ114が長手方向基端側へ移動される。これによって、揺動板112が開方向(図7の矢印K方向)へ回動され、外側カバー60のカバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分(図7の矢印B方向側部分)が開放される。このため、この状態では、タング28は、外側カバー60の内側へ入ることができ、タング28をバックル62に係合させることができる。このような構成であっても、前記第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、荷重センサ76及びバックルスイッチ74は、警告装置80の制御に用いられる構成である。このように、警告装置80の制御に用いられる構成がソレノイド132の制御に用いられることによって、ソレノイド132の制御のためだけに用いられる構成の増加を抑制でき、低コストにできる。
<第5の実施の形態>
図9に示されるように、第5の実施の形態では、ECU44は、タイマ手段又は計数手段としてのタイマ回路142へ電気的に接続されている。タイマ回路142からは一定周期のパルス信号が出力される。タイマ回路142から出力されたパルス信号は、ECU44へ入力される。ECU44では、タイマ回路142から出力されたパルス信号がカウントされる。また、例えば、荷重センサ76から出力される荷重検出信号がLowレベルからHighレベルに切替わって、Highレベルの荷重検出信号がECU44へ入力されると、ECU44は、タイマ回路142から出力されたパルス信号のカウントをリセットして、パルス信号のカウントを再開する。
以上の構成の第5の実施の形態では、車両のシート26に乗員66が着座した際にソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルが通電される。すなわち、車両のシート26に乗員66が着座することによって、一定の大きさ以上の車両上側からの荷重が荷重センサ76によって検出されると、荷重センサ76から出力される荷重検出信号がLowレベルからHighレベルに切替わる。Highレベルの荷重検出信号がECU44へ入力されると、ソレノイドドライバ138がECU44によって作動される。
これによって、ソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルが通電されると、プランジャ136がソレノイド本体134側へ移動され、第1ワイヤ114が長手方向基端側へ移動される。これによって、揺動板112が開方向(図7の矢印K方向)へ回動され、外側カバー60のカバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分(図7の矢印B方向側部分)が開放される。このため、この状態では、タング28は、外側カバー60の内側へ入ることができ、タング28をバックル62に係合させることができる。このような構成であっても、前記第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
一方、荷重センサ76から出力される荷重検出信号がLowレベルからHighレベルに切替わって、Highレベルの荷重検出信号がECU44へ入力されると、ECU44では、タイマ回路142から出力されたパルス信号のカウントがリセットされ、更に、パルス信号のカウントが再開される。ECU44におけるパルス信号のカウントが一定数以上になると(すなわち、ソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルが通電されてから一定時間が経過すると)、ソレノイドドライバ138がECU44によって作動される。これによって、ソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルへの通電が解除される。
ソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルへの通電が解除されると、ソレノイド132のプランジャ136は、ソレノイド本体134のプランジャ付勢部材の付勢力によってカバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)へ移動される。これによって、プランジャ136による第1ワイヤ114の引張りが解消されると、揺動板112が揺動板付勢部材の付勢力によって閉方向(図7の矢印L方向)へ回動される。これによって、外側カバー60のカバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分(図7の矢印F方向側部分)が揺動板112によって閉じられる。
このように、本実施の形態では、ソレノイド132のソレノイド本体134内のコイルが通電されて揺動板112が開方向(図7の矢印K方向)へ移動されることにより、外側カバー60のカバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分(図7の矢印F方向側部分)が開放されてから一定時間が経過すると、外側カバー60のカバー長手方向一側の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分(図7の矢印F方向側部分)は、揺動板112によって閉じられる。このため、外側カバー60のカバー長手方向一側の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分の開放状態が長くなることを抑制できる。これによって、外側カバー60のカバー長手方向一側の開口部から外側カバー60の内側、ひいては、バックル62の内側へ異物が入ることを抑制できる。
なお、前記第5の実施の形態では、ECU44におけるパルス信号のカウントが一定数以上になることによって、外側カバー60のカバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分(図7の矢印F方向側部分)が揺動板112によって閉じられる構成であった。しかしながら、例えば、ECU44におけるパルス信号のカウントが一定数以上になることによって、バックルスイッチ74がOFF状態であっても、モータドライバ42がECU44によって作動され、これによって、モータアクチュエータ38のモータ40が駆動されて外側カバー60が車両後斜め下側(図1及び図2の矢印B方向側)へ移動される構成としてもよい。
また、このような構成で、ECU44におけるパルス信号のカウントが一定数以上になった場合に、外側カバー60のカバー長手方向一側(図7の矢印A方向側)の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分(図7の矢印F方向側部分)が揺動板112によって閉じられてもよい。また、ECU44におけるパルス信号のカウントが一定数以上になった場合に、外側カバー60のカバー長手方向一側の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分が開放されたままでもよい。さらには、外側カバー60が車両後斜め下側(図1及び図2の矢印B方向側)へ移動されてから、ECU44におけるパルス信号のカウントが所定数以上になることによって、外側カバー60のカバー長手方向一側の開口部における解除ボタン100よりもカバー厚さ方向他側部分が揺動板112によって閉じられる構成であってもよい。
また、前記第3の実施の形態から前記第5の実施の形態では、閉部材としての揺動板112を開位置へ回動させるための閉部材駆動手段としてソレノイド132が適用された。しかしながら、閉部材駆動手段は、モータであってもよく、閉部材駆動手段は、出力された駆動力によって閉部材を移動させることができる構成であれば、その具体的な態様に限定されるものではない。
また、前記第2の実施の形態から前記第5の実施の形態では、閉部材としての揺動板112の開位置へ回動方向が、外側カバー60の内側であった。しかしながら、例えば、揺動板112の開位置への移動が、外側カバー60のカバー長手方向一側(図2等の矢印A方向側)の開口部の外側とされてもよい。
さらに、前記第2の実施の形態から前記第5の実施の形態では、閉部材としての揺動板112は、揺動板付勢部材の付勢力に抗して押圧されることによって開方向(図6等の矢印K方向)へ回動できる構成であった。しかしながら、閉位置では閉部材によってタング28の外側カバー60への挿入が阻止される構成であってもよい。
さらに、上記の各実施の形態では、外側カバー60が内側カバー68に案内されて移動されることによって、バックル62が上下動される構成であった。しかしながら、このようにバックル62が上下動されない構成に本発明を適用してもよい
また、上記の各実施の形態は、外側カバー60の内側に配置される内側カバー68によって外側カバー60が案内されて移動される構成であった。しかしながら、内側の移動部材が外側の案内部材に案内されて移動される構成であってもよい。