JP6958833B2 - 半導体検査装置及び半導体検査方法 - Google Patents

半導体検査装置及び半導体検査方法 Download PDF

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Description

この発明は、半導体試料の欠陥・劣化等を検査する技術に関する。
近年、特に、メガソーラーなどにおける高システム電圧の印加と高温多湿などの環境条件により比較的短期間で出力が低下する現象(電圧誘起劣化、Potential Induced Degradation:PID)が知られている(例えば、特許文献1)。
図11は、一般的な太陽電池モジュール900の構造を示す模式図である。太陽電池モジュール900は、互いにインターコネクタ901で電気的に接続された複数の太陽電池セル902を備えている。複数の太陽電池セル902(例えば、結晶シリコン太陽電池)は、EVA(Ethylene-Vinyl Acetate:エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)903内に封止されている。そのEVA903の両側主面のうち、受光面側には表面材として強化白板ガラス904が、裏面側には裏面材としてのバックシート905が取り付けられている。さらに、強化白板ガラス904、EVA903及びバックシート905が、Al(アルミニウム)フレーム906に組付けられている。全ての太陽電池セル902は、インターコネクタ901を介して、太陽電池モジュール900の裏面側に設けられた端子ボックス907に電気的に接続されている。
PIDは、強化白板ガラス904のナトリウム(Na)イオンを主とする金属イオン発生が原因と一つと考えられている。例えば、Alフレーム906から、強化白板ガラス904、EVA903を通して、太陽電池セル902まで回路が形成されることにより、太陽電池セル902にマイナスの高電圧がかかる場合がある(例えば、システム電圧の−600V、−1000V等)。そのような状態では、強化白板ガラス904からNaイオン等の金属イオンが封止材のEVA903中に拡散し太陽電池セル902表面上に到達し得る。すると、そのNaイオン等がSiのn型層内の電子と相互作用することにより、光電変換に重要なpn接合によるバンドの曲がりを減少させ、発電効率を低下させ得る。また、Naイオン等がSiの結晶欠陥に侵入して、再結合中心になることによって、発電効率を低下させ得る。なお、この仮説は、必ずしも十分に検証されておらず、PIDについてさらなる原因究明が望まれている。
通常、PID耐性の有無の評価は、図11に示すような太陽電池モジュールを作成し、専用の加速試験(PID試験やDamp−Heat試験)を行って評価する。PIDを抑制する手段として、太陽電池の反射防止膜(パッシベーション膜、窒化ケイ素(SiNx)膜)の屈折率を高くするとよいことが報告されている(非特許文献1)。
具体的には、PIDを確認するため、屈折率が2.2と2.03のパッシベーション膜を持つ太陽電池モジュール各々について、PID加速試験が行われている。すると、屈折率2.03ではPIDが起こったが、屈折率2.2ではPIDが抑えられた。すなわち、このように、パッシベーション膜の特性を検査することにより、PID等の劣化耐性の有無を検査することが可能と考えられる。
特開2015−162488号公報
S. Koch et al., "POTENTIAL INDUCED DEGRADATION EFFECTS ON CRYSTALLINE SILICON CELLS WITH VARIOUS ANTIREFLECTIVE COATINGS" Proceedings of the 27th European Photovoltaic Congress and Exhibition, 24th-28th of September 2012, Frankfurt a. M., Germany
しかしながら、従来のPID試験やDmap−Heat試験は、太陽電池モジュールの作製、及び、専用の加速試験を行っており、パッシベーション膜が形成された時点の太陽電池の基板を検査対象とすることは極めて困難である。太陽電池モジュールを作製するためには、太陽電池セルに対して裏面電極形成工程、表面電極形成工程及び焼成工程等を必要とし、検査可能となるまでに時間がかかるという問題があった。また、太陽電池モジュール以外の半導体装置(例えば、LSIやパワーデバイス)においても、表面にパッシベーション膜が形成される場合があり、そのようなパッシベーション膜の特性を、早期かつ適正に検査する技術が求められている。
そこで、本発明は、半導体製造工程の早期段階でパッシベーション膜の特性検査を実施可能な技術を提供することを目的とする。
第1態様は、固定電荷を持つパッシベーション膜が表面に形成された半導体試料を検査する半導体検査装置であって、前記半導体試料を保持する試料保持部と、前記パッシベーション膜にイオンを付与する処理を行うイオン付与部と、前記半導体試料に電磁波を発生させる検査光を照射する光照射部と、前記検査光の照射に応じて前記半導体試料が放射する前記電磁波を検出する検出器と、前記イオン付与部による処理前、及び、イオン付与してから所定の時間t経過した処理後の前記半導体試料が放射する前記電磁波各々を比較することによって、前記パッシベーション膜の特性を評価する比較評価部とを備える。
第2態様は、第1態様の半導体検査装置であって、前記光照射から出射された検査光で前記半導体試料の表面を走査する走査機構をさらに備える。
第3態様は、第2態様の半導体検査装置であって、前記イオン付与部は、前記イオンを付与する領域を、前記半導体試料の表面に対して相対的に変位させる付与領域変位機構をさらに備える。
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1つの半導体検査装置であって、前記イオン付与部及び前記光照射部を制御する制御部と、所定の操作入力に基づき、前記時間tを設定する時間設定部と、を備え、前記制御部は、前記イオン付与部が前記イオンを付与してから前記時間設定部により設定された前記時間t経過後に、前記光照射部に前記検査光を照射させる。
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1つの半導体検査装置であって、所定の操作入力に基づき、前記イオン付与部が付与する前記イオンの付与条件を設定する、イオン付与条件設定部をさらに備える。
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1つの半導体検査装置であって、前記イオン付与部は、針状の放電電極と、前記放電電極が放電可能な電圧を前記放電電極に印加する電源部とを含む。
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1つの半導体検査装置であって、前記検査光が、パルス状の光であり、前記検出器は、検出用のパルス光の入射に応じて、前記電磁波の強度を検出する光伝導アンテナを含み、前記半導体検査装置は、前記光伝導アンテナに入射する前記電磁波に対して、前記検出用のパルス光の入力時間を遅延させる遅延部をさらに備える。
第8態様は、第1態様から第7態様のいずれか1つの半導体検査装置であって、前記イオン付与部は、前記固定電荷とは反対符号のイオンを付与し、前記比較評価部は、前記電磁波の極性の符号に基づいて、前記パッシベーション膜の特性を評価する。
第9態様は、第8態様の半導体検査装置であって、前記パッシベーション膜が窒化ケイ素を含み、前記イオン付与部が、−1×1013q/cm以下の電荷密度のイオンを付与可能に構成されている。
第10態様は、第1態様から第9態様のいずれか1つの半導体検査装置であって、前記試料保持部における前記半導体試料に接触する部分が樹脂製である。
第11態様は、固定電荷を持つパッシベーション膜が表面に形成された半導体試料を検査する半導体検査方法であって、(a)前記半導体試料に検査光を照射し、前記半導体試料が放射する電磁波の強度を検出する工程と、(b)前記(a)工程の後、前記パッシベーション膜にイオンを付与する処理を行う工程と、(c)前記(b)工程の後、前記半導体試料に前記検査光を照射し、前記半導体試料が放射する照射に応じて前記半導体試料が放射する電磁波の強度を検出する工程と、(d)前記()工程及び前記()工程で検出された前記電磁波各々を比較することによって、前記半導体試料における前記パッシベーション膜の特性を評価する工程を含む。

第1態様の半導体検査装置によると、仮にパッシベーション膜が形成不良である場合には、付与されたイオンが滞留することにより、パッシベーション膜付近のバンド構造が変化し、放射される電磁波の強度が変化し得る。このため、イオン付与の処理前及び処理後の電磁波の強度を比較することにより、パッシベーション膜の特性を適正に評価し得る。また、半導体にパッシベーション膜が形成された時点でその性能を検査できるため、半導体製造工程の早期段階でパッシベーション膜の特性を評価し得る。
第2態様の半導体検査装置によると、半導体試料の異なる箇所に検査光を照射できるため、異なる箇所毎にパッシベーション膜の特性を評価し得る。
第3態様の半導体検査装置によると、半導体試料の異なる箇所にイオンを付与し得る。
第4態様の半導体検査装置によると、操作者が、パッシベーション膜の種別等に応じて、時間tを適切に設定し得る。
第5態様の半導体検査装置によると、操作者が、パッシベーション膜の種別等に応じて付与するイオンの条件を適切に設定し得る。
第6態様の半導体検査装置によると、放電により発生するイオンをパッシベーション膜に付与できる。
第7態様の半導体検査装置によると、時間波形を復元できるため、劣化耐性をより詳細に解析できる。
第8態様の半導体検査装置によると、パッシベーション膜が持つ固定電荷とは反対符号のイオンを付与することにより、パッシベーション膜表面のバンド構造を反転させ得る。この場合、仮に、パッシベーション膜に不良があるときに、半導体試料から放射される電磁波の極性の符号が反転し得る。したがって、電磁波の極性の符号を比較するだけで、パッシベーション膜の特性を適正に評価し得る。
第9態様の半導体検査装置によると、パッシベーション膜の固定電荷の電荷密度が1×1013q/cm未満の場合に、−1×1013q/cm以下の電荷密度のイオンを付与することによって、パッシベーション膜表面の電界を反転させ得る。これにより、半導体試料が放射する電磁波の強度の正負を反転させ得る。
第10態様の半導体検査装置によると、試料保持部における半導体試料に接触部分が樹脂製であるため、半導体試料が損傷することを軽減し得る。このため、製品となる前の未完成品である半導体試料を非破壊的に検査し得る。
第11態様の半導体検査方法によると、仮にパッシベーション膜が形成不良である場合には、付与されたイオンが滞留することにより、パッシベーション膜付近のバンド構造が変化し、放射される電磁波の強度が変化し得る。このため、イオン付与の処理前及び処理後の電磁波の強度を比較することにより、パッシベーション膜の特性を適正に評価し得る。また、半導体にパッシベーション膜が形成された時点でその性能を検査できるため、半導体製造工程の早期段階でパッシベーション膜の特性を評価し得る。
実施形態の半導体検査装置1の概略構成図である。 半導体試料9を示す概略断面図である。 実施形態の半導体検査装置1の光照射部20及び電磁波検出部30を示す概略構成図である。 イオン付与の処理前及び処理後の半導体試料9(屈折率2.1)が放射する電磁波LT1の時間波形を示す図である。 イオン付与の処理前及び処理後の半導体試料9(屈折率2.0)が放射する電磁波LT1の時間波形を示す図である。 付与イオンの電荷密度と、電磁波強度の関係を示す図である。 イオン付与の処理前及び処理後におけるパッシベーション膜95(屈折率2.1)の表面付近のバンド構造を示す図である。 イオン付与の処理前及び処理後におけるパッシベーション膜95(屈折率2.0)の表面付近のバンド構造を示す図である。 実施形態の半導体検査装置1の動作の流れを示す図である。 イオン付与処理前及びイオン付与処理後の半導体試料9における電磁波強度分布画像WID1,WID2を示す図である。 一般的な太陽電池モジュール900の構造を示す模式図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
<1. 第1実施形態>
図1は、実施形態の半導体検査装置1の概略構成図である。図2は、半導体試料9を示す概略断面図である。図3は、実施形態の半導体検査装置1の光照射部20及び電磁波検出部30を示す概略構成図である。
半導体検査装置1は、検査対象物である半導体試料に対し、所定波長の光(ここではパルス光)を照射し、その光の照射に応じて半導体試料が放射する電磁波LT1(具体的には、周波数が0.1THz〜10THzのテラヘルツ波)を検出することにより、その半導体試料の特性等を検査する。
ここで、半導体試料とは、半導体デバイスとフォトデバイスとを含み得る。半導体デバイスは、半導体により構成されたトランジスタ、集積回路(IC又はLSI)、抵抗又はコンデンサを含む電子装置である。また、フォトデバイスは、フォトダイオード、CMOSセンサもしくはCCDセンサなどのイメージセンサ、太陽電池又はLED等、半導体における光電効果を利用する電子装置である。以下では、半導体試料9が太陽電池用シリコン基板である場合について主に説明する。
図2に示すように、半導体試料9は太陽電池セル向けの部材であり、平板状に形成されている。半導体試料9は、順に、p型シリコン層91、n型シリコン層93及びパッシベーション膜95を有する。パッシベーション膜95は、いわゆる反射防止膜であり、例えば、シリコン酸化膜(SiOx膜)またはシリコン窒化膜(SiNx膜)である。また、p型シリコン層91及びn型シリコン層93の接合部分が、pn接合部97である。
この半導体試料9に裏面電極及び表面電極が形成され、焼成されることにより、太陽電池セルが完成する。さらに、この太陽電池セルに対して半田付け、積層体作成、ラミネート処理が施されることにより、太陽電池モジュールが完成する。
図1に示すように、半導体検査装置1は、ステージ10、光照射部20、電磁波検出部30、遅延部40(図3参照)、ステージ駆動部50、イオン付与部60及び制御部70を備えている。
ステージ10は、図示を省略する固定手段により、半導体試料9を保持する。固定手段としては、半導体試料9の両端部を挟持する挟持具、半導体試料9の裏側主面に粘着する粘着シート、ステージ10の表面に形成される吸着孔からエアを吸引する手段など、種々のものが考えられる。なお、挟持具のように半導体試料9を挟持するものである場合、当該挟持具は、金属製よりも樹脂製である方が好ましい。
<光照射部20>
図3に示すように、光照射部20は、フェムト秒レーザ21を備えている。フェムト秒レーザ21は、例えば、300nm(ナノメートル)以上1.5μm(マイクロメートル)以下の可視光領域を含む波長のパルス光LP1を出力する。好適な例としては、中心波長が800nm付近であり、周期が数kHz〜数百MHz、パルス幅が10〜150フェムト秒程度の直線偏光のパルス光LP1が、フェムト秒レーザ21から放射される。もちろん、その他の波長領域(例えば、青色波長(450〜495nm)、緑色波長(495〜570nm)の可視光波長)のパルス光が出射されるようにしてもよい。
フェムト秒レーザ21から出射されたパルス光LP1は、ビームスプリッタBE1により2つに分光される。一方のパルス光は、検査光LP11として、半導体試料9の表面に照射される。ステージ10は、半導体試料9のパッシベーション膜95側に検査光LP11が入射するように半導体試料9を保持する。光照射部20は、検査光LP11の光軸がパッシベーション膜95の表面に対して斜めになるように、検査光LP11を半導体試料9に照射する。本実施形態では、検査光LP11の入射角度を、45°としているが、これに限定されるものではなく、0°から90°の範囲内で設定してよい。また、検査光LP11の入射角度が変更可能なように光照射部20を構成してもよい。
検査光LP11は、パッシベーション膜95に対してスポット状に照射される。パッシベーション膜95における検査光LP11のスポット径(照射径)は、例えば1μm〜10mmとされるが、これに限定されるものではない。
半導体試料9の内部電界が存在する部位に、禁制帯幅を超えるエネルギーを持つ検査光LP11(パルス光)が照射されると、光励起キャリア(自由電子および自由正孔)が発生する。その光励起キャリアは、半導体試料9の内部電場によって加速される。これによりパルス状の電流が発生することとなり、それに応じて、検査光LP11とは波長領域が異なるパルス状の電磁波LT1(テラヘルツ波)が発生する。このため、電磁波LT1を測定することにより、内部電界の状態(強さや電界の向きなど)を検査し得る。
<電磁波検出部30>
電磁波検出部30は、半導体試料9が放射した電磁波LT1を検出する検出器31を備えている。検出器31は、ここでは、光伝導アンテナにより構成されている。検出器31には、ビームスプリッタBE1により分割された他方のパルス光である検出光LP21が入射する。検出器31は、検出光LP21が入射するタイミングで、電磁波LT1の強度を検出する。
光伝導アンテナとしては、ダイポール型、ボウタイ型およびスパイラル型などが知られている。例えばダイポール型の光伝導アンテナは、検出光LP21が入射したときに電子および正孔を生成する光伝導膜と、光伝導膜上に平行に形成された金属製の一対の平行伝送線(電極)とを備える。一対の平行伝送線各々の中央部には、内向きに延びてギャップを形成する出っ張り(アンテナ)が設けられている。また、一対の平行伝送線間には、電流計が設けられる。
アンテナ間のギャップに検出光LP21を照射すると、光伝導膜において光励起キャリアが生成される。光励起キャリアが生成されても、電磁波LT1が入射していない状態では、ギャップ間に電位差が生じていないため、電流は発生しない。一方、電磁波LT1が検出光LP21と重なるタイミングで入射すると、電磁波LT1の強度に比例した電位差がギャップ間に瞬時的に発生し、電流が瞬時的に発生する。この電流値は、図示しないロックインアンプやA/D変換回路などを介して適宜デジタル量に変換される。
このように、電磁波検出部30は、光伝導アンテナを備えることにより、検出光LP21の照射に応じて半導体試料9が放射する電磁波LT1の電界強度を検出する。なお、検出器31を、光伝導アンテナとは異なる素子で構成されていてもよい。例えば、非線形光学結晶またはショットキーバリアダイオード等も採用し得る。
<遅延部40>
遅延部40は、検出光LP21に遅延を与える遅延機構である。遅延部40は、遅延ステージ41及び遅延ステージ駆動部43を備えている。
遅延ステージ41は、検出光LP21の光路上に設けられている。遅延ステージ41は、検出光LP21をその入射方向と平行に、かつ、その入射時の光軸からずらして反射する反射ミラー41Mを備えている。反射ミラー41Mで反射したLP21は、その光路上に配されたミラー群で反射して、検出器31に導かれる。
遅延ステージ駆動部43は、遅延ステージ41を、反射ミラー41Mに入射する検出光LP21の光路に沿って直線的に往復移動させる。これにより、検出光LP21の光路長が変更されるため、検出光LP21が検出器31に到達する時間が遅延されることとなる。すなわち、検出器31が電磁波LT1を検出するタイミングが遅延される。半導体試料9が放射する電磁波LT1は、パルス波である。このため、検出光LP21に遅延を与えることにより、電磁波LT1の強度を位相毎に検出し得る。
なお、本実施形態では遅延部40は、検出光LP21に遅延を与えている。しかしながら、検査光LP11に遅延を与えるようにしてもよい。具体的には、LP11の光路上に遅延ステージ41を設けて、その遅延ステージ41を遅延ステージ駆動部43により移動させることにより、検査光LP11の光路長を変更するとよい。これにより、半導体試料9に検査光LP11(パルス光)が入射するタイミングを遅延でき、もって、電磁波LT1が発生するタイミング、ひいては、電磁波LT1が検出器31に到達するタイミングを遅延できる。したがって、検査光LP11に遅延を与えることにより、電磁波LT1の強度を位相毎に検出し得る。
<ステージ駆動部50>
ステージ駆動部50は、ステージ10をその上面に平行な水平面内に沿って、光照射部20及び電磁波検出部30に対して相対移動させる。これによって、半導体検査装置1は、ステージ10の上面に保持された半導体試料9のパッシベーション膜95を、検査光LP11で走査する。このように、ステージ駆動部50は、走査機構の一例である。
なお、走査機構は、ステージ駆動部50のような構成に限定されない。例えば、光照射部20及び電磁波検出部30を水平面内で移動させる機構を走査機構として設けてもよい。光照射部20を水平面内で移動させることにより、ステージ10に保持された半導体試料9の表面を、検査光LP11で走査し得る。また、走査機構として、検査光LP11の光路を変更する変更手段(ガルバノミラー等)を設けてもよい。この変更手段で検査光LP11の光路を変更することにより、半導体試料9のパッシベーション膜95を検査光LP11で走査し得る。
<イオン付与部60>
イオン付与部60は、正イオンまたは負イオンを半導体試料9に与える処理を行う装置である。イオン付与部60は、ここでは、放電電極61及び電源部63を有するコロナ放電装置として構成されている。
放電電極61は、針状に形成された導電性を有する部材であり、ステージ10に保持された半導体試料9よりも上方に離隔して配設されている。放電電極61の先端部は、ステージ10に保持された半導体試料9のパッシベーション膜95に向けられている。電源部63は、放電電極61に高電圧を印加する装置である。電源部63の動作は、制御部70のイオン付与制御部701により制御される。
放電電極61が放電を開始すると、空気中の分子がイオン化する。図1に示すように、発生したイオンは、中央に孔が形成された電極65を通って、半導体試料9に付与される。なお、電極65を正または負に帯電させることにより、それとは反対の極の負イオンまたは正イオンが吸収される。これにより、正イオンまたは負イオンのいずれか一方のみを選択的に半導体試料9に付与し得る。
イオン付与部60は、半導体試料9のパッシベーション膜95の表面の全体ではなく一部の限定された領域にイオンを付与する。以下、イオン付与部60がイオンを付与する領域を付与領域と称する。ステージ駆動部50がステージ10及び半導体試料9を水平面内で移動させることにより、イオン付与部60に対する半導体試料9の位置が相対的に変化する。このため、半導体試料9を移動させることにより、上記付与領域を半導体試料9に対して変位させることができる。ステージ駆動部50は、付与領域変位機構を構成する。
なお、付与領域変位機構は、ステージ駆動部50のような構成に限定されない。例えば、イオン付与部60の放電電極61を水平面内で移動させる機構を付与領域変位機構としてもよい。このような機構を採用した場合においても、半導体試料9の表面に対して付与領域を変位させることができる。
<制御部70>
制御部70は、半導体検査装置1の動作を制御する。制御部70は、一般的なコンピュータとしての構成(CPU、ROM、RAMなど)を備えている。また、制御部70は、記憶部72を備えている。なお、記憶部72は、RAMなどの一時的に情報を記憶するものであってもよい。さらに、制御部70には、各種情報を表示する液晶ディスプレイで構成される表示部74、及び、キーボードやマウス等の各種入力デバイスで構成される操作部76が接続されている。
図1に示すように、制御部70のCPUが所定のプログラムに従って動作することにより、制御部70はイオン付与制御部701、ステージ駆動制御部702、遅延ステージ駆動制御部703、時間波形復元部704、比較評価部705、時間設定部706、及び、画像生成部707として機能する。
イオン付与制御部701は、イオン付与部60の電源部63を制御することにより、放電電極61からの放電を制御する。また、イオン付与制御部701は、電源部63が放電電極61に印加する電圧を制御することにより、イオン付与部60が半導体試料9に付与するイオン量を制御する。また、イオン付与制御部701は、電極65の極性(正負)を制御することにより、半導体試料9に付与されるイオンの極性を制御する。
イオン付与制御部701は、オペレータによる、半導体試料9に付与するイオン量またはイオンの極性を指定するための操作入力を、操作部76を介して受け付ける。イオン付与制御部701は、受け付けた操作入力に基づいて、イオン付与部60を制御する。
ステージ駆動制御部702は、ステージ駆動部50を制御する。ステージ駆動制御部702は、オペレータによる、半導体試料9上における検査対象箇所を指定する操作入力を、操作部76を介して受け付ける。ステージ駆動制御部702は、受け付けた操作入力に基づきステージ駆動部50を制御することにより、その検査対象箇所が検査光LP11の入射位置に合うように、ステージ10を移動させる。また、ステージ駆動制御部702は、オペレータが検査したい検査対象範囲の指定する操作入力を受け付ける。そして、受け付けた検査対象範囲が検査光LP11で走査されるように、ステージ10を移動させる。
遅延ステージ駆動制御部703は、遅延ステージ駆動部43を制御することにより遅延ステージ41を移動させ、検出光LP21に時間遅延を付与する。これによって、パルス状に発生する電磁波LT1について、位相毎の電界強度が検出される。
時間波形復元部704は、遅延ステージ駆動制御部703が遅延ステージ駆動部43を制御することにより収集された電磁波LT1の位相毎の電界強度に基づき、電磁波LT1の時間波形を復元する。より詳細には、時間波形復元部704は、横軸を位相(時間)、縦軸を電界強度とする二次元座標上に、検出された電界強度をプロットすることによって、電磁波LT1の時間波形を復元する。
比較評価部705は、半導体試料9におけるパッシベーション膜95の特性を評価する。ここでは、比較評価部705は、イオン付与部60による処理前及び処理後の半導体試料9が放射する電磁波強度各々を比較して、パッシベーション膜95を評価する。
時間設定部706は、イオン付与部60がイオン付与を行ってから電磁波LT1を測定するまでの時間tを設定する。時間設定部706は、操作部76を介した操作者の指定入力を受付け、その指定入力に基づいて時間tを設定する。後者の場合、制御部70が、操作部76を介した操作者の指定入力を受け付けるようにしてもよい。具体的には、操作者が時間tを任意に指定可能にしてもよいし、あるいは、パッシベーション膜95の種別、イオン付与の条件を操作者が指定すると、それに応じて時間tが自動で決定されるようにしてもよい。なお、時間tは、あらかじめ記憶部72に格納された固定値としてもよい。この場合、時間設定部706を省略してもよい。
画像生成部707は、表示部74に表示する画像を生成する。画像生成部707は、例えば、電界強度分布画像を生成する。電界強度分布画像は、半導体試料9における検査対象範囲を検査光LP11で走査したときに、各検査対象箇所で発生した電磁波LT1の電界強度の分布を、色または模様等で視覚的に表現した画像である。
<パッシベーション膜の検査について>
次に、パッシベーション膜95の検査原理について説明する。
図4及び図5は、イオン付与の処理前及び処理後の半導体試料9が放射する電磁波LT1の時間波形を示す図である。なお、図4は、屈折率2.1の半導体試料9が放射する電磁波LT1の時間波形TW10,TW12を示しており、図5は、屈折率2.0の半導体試料9が放射する電磁波LT1の時間波形TW20,TW22を示している。
なお、イオン付与処理は、イオン付与部60によって行われたものであり、付与処理後は、イオン付与部60によりイオンが付与されてから所定時間(ここでは、1〜2分経過後)の測定結果を示している。また、イオン付与部60が付与するイオンの極性は、ここでは、パッシベーション膜95の持つ固定電荷とは反対符号としている。また、パッシベーション膜95に付与されたイオンの電荷密度(コロナ電荷密度)は、−1×1013q/cmである。この電荷密度は、パッシベーション膜95の電荷密度(約1×1012q/cm)の反対符号であり、かつ、絶対値が大きい。
図4に示すように、屈折率が相対的に高い場合(屈折率2.1)、処理前の時間波形TW10と処理後の時間波形TW12とを比較した場合、変化は殆ど見られない。これに対して、図5に示すように、屈折率が相対的に低い場合(屈折率2.0)、処理前の時間波形TW20と処理後の時間波形TW22とを比較した場合、正負の符号が反転している。これは、付与されたイオンの電荷密度(−1×1013q/cm)が、パッシベーション膜95の電荷密度(1×1012q/cm)よりも大きく、かつ、反対符号であるためと推察される。
図6は、付与イオンの電荷密度と、電磁波強度の関係を示す図である。図6中、横軸は付与されるイオンの電荷密度を示しており、縦軸はピーク強度を示している。なお、ピーク強度は、時間波形において、電界強度の絶対値が最大となるときのその電界強度である。図6中、白抜きの四角は屈折率2.1の半導体試料9に対応しており、白抜きの三角は屈折率2.0の半導体試料9に対応する。
図6に示すように、屈折率2.1の半導体試料9では、イオンの電荷密度を振ってもピーク強度に変化は殆ど見られない。これに対して、屈折率2.0の半導体試料9では、イオンの電荷密度を負にして絶対値を大きくしていくと、ピーク強度が反転する。
図7及び図8は、イオン付与の処理前及び処理後におけるパッシベーション膜95の表面付近のバンド構造を示す図である。なお、図7は、屈折率が2.1のパッシベーション膜95、すなわち、PID耐性が比較的高い良好なパッシベーション膜95が形成された半導体試料9のバンド構造を示している。また、図8は、屈折率が2.0、すなわち、PID耐性が比較的低い不良のパッシベーション膜95のバンド構造を示している。
通常、太陽電池用シリコン基板である半導体試料9のパッシベーション膜95表面付近のバンド構造は、表面電極に電子を集めるため、図7及び図8中、上段に示すように、下から上に曲がるバンド構造を有する。
そして、図7に示すように、パッシベーション膜95が形成良好であった場合、イオンを付与したときに、当該イオンが付与された部位に滞留せず拡散し得る。このため、バンド構造は殆ど変化しないと考えられる。したがって、図4に示すように、イオン付与の処理前及び処理後の半導体試料9から放射される電磁波LT1の強度が殆ど変化しなかったと推察される。
一方、パッシベーション膜95が形成不良であった場合、イオンを付与したときに、当該イオンが付与された部位に滞留することによって、パッシベーション膜95表面が帯電しやすくなる。したがって、所定時間が経過しても、イオンが拡散しないことにより、パッシベーション膜95表面付近バンド構造が変化すると考えられる。図8に示す例では、パッシベーション膜95に対して、その固定電荷とは反対符号の電荷密度であるイオン(ここでは負イオン)が付与されるため、上向きに曲がるバンド構造となっている。したがって、パッシベーション膜95が形成不良であった場合、図5に示すように、イオン付与の処理前及び処理後の半導体試料から放射される電磁波LT1の符号が反転するものと推察される。
以上の原理に基づき、イオン付与の処理前及び処理後の半導体試料9が放射する電磁波LT1の強度を比較することによって、パッシベーション膜95の特性を評価することができる。特に、太陽電池セルまたは太陽電池モジュールになる製品前の未完成品である半導体試料9について、パッシベーション膜95の特性を評価することにより、PID耐性の有無または程度を適正に評価し得る。つまり、半導体製造工程の早期段階で、パッシベーション膜の特性検査を実施することができる。
<動作説明>
次に、半導体試料9の検査の流れについて説明する。図9は、実施形態の半導体検査装置1の動作の流れを示す図である。
検査が開始されると、まず、半導体試料9がステージ10に保持される(ステップS1)。詳細には、ステージ10における不図示の固定手段によりステージ10上の一定位置に半導体試料9が保持される。
続いて、半導体試料9の検査対象箇所について、電磁波計測が行われる(ステップS2)。具体的には、検査対象箇所が検査光LP11の入射位置に一致するように、ステージ駆動部50がステージ10を移動させる。検査対象箇所は、オペレータが指定した箇所であってもよいし、既定の箇所であってもよい。そして、光照射部20が半導体試料9のパッシベーション膜95の表面に所定の照射径で検査光LP11をスポット状に照射する。さらに、検出器31が、半導体試料9から放射される電磁波LT1の電界強度を、検出光LP21が入射するタイミングで検出する。このとき、遅延ステージ駆動制御部703が遅延ステージ41を制御して、検出光LP21に遅延を与える。これによって、電磁波LT1の電磁波強度が位相毎に検出される。時間波形復元部704は、収集された電磁波強度から、電磁波LT1から時間波形を復元する。
続いて、ステップS2において取得された電磁波強度に基づき、半導体試料9の良否判定が行われる(ステップS3)。具体的には、例えば、復元された電磁波LT1の時間波形において、そのピーク強度の極性(正または負)やその絶対値が、予め定められた基準を満たすか否かを制御部70が判定するとよい。基準を満たす場合(ステップS3においてYes)、肯定的な評価が与えられ、次のステップS4が実施される。基準を満たさない場合(ステップS3においてNo)、その半導体試料9に対して否定的な評価が与えられ(ステップS31)、半導体試料9の検査が終了する。
ステップS3において肯定的な評価がされた場合(ステップS3においてYes)、イオン付与部60が半導体試料9の検査対象箇所に対して付与するイオンの付与条件が設定される(ステップS4)。イオン付与の条件として、例えば、付与するイオンの極性(正または負)及びイオン量(電荷密度)が設定される。具体的には、イオン付与制御部701が、操作部76を介した操作者からの設定入力を受け付け、その設定入力に基づきイオンの極性及びイオン量を設定する。なお、イオン付与制御部701は、イオンの極性及びイオン量を直接数値等で入力を受け付けるようにしてもよい。あるいは、イオン付与制御部701は、パッシベーション膜95の種別の指定を受付け、その指定された種別に対応するイオンの極性及びイオン量を自動で決定してもよい。この場合、パッシベーション膜95の種別毎に予め定められたイオン付与条件を予め定めたテーブルを作成して記憶部72に保存しておくとよい。
続いて、半導体試料9にイオンの付与処理が行われる(ステップS5)。具体的には、イオン付与制御部701が、ステップS4において設定されたイオン付与条件にしたがって、パッシベーション膜95にイオンを付与する。
続いて、ステップS5のイオン付与処理後に、既定の時間tが経過したか否かが判定される(ステップS6)。
時間tが経過した場合(ステップS6においてYes)、半導体試料9の測定対象箇所について、電磁波計測が行われる(ステップS7)。具体的に、ステップS7では、ステップS2と同様に、検査光LP11の照射に応じて半導体試料9から放射された電磁波LT1の電界強度が、検出器31により検出される。また、検出光LP21に遅延が与えられることによって、電磁波LT1の位相毎の電界強度が取得される。時間波形復元部704は、収集された電磁波強度から、電磁波LT1から時間波形を復元する。
続いて、パッシベーション膜95の特性を評価する比較評価処理が行われる(ステップS8)。具体的には、比較評価部705が、イオン付与処理前に半導体試料9が放射する電磁波LT1の電界強度(ステップS2で測定された電界強度)、及び、イオン付与処理後、所定の時間t経過した半導体試料9が放射する電磁波LT1の電界強度が比較される。
強度を比較する際、上述したように、処理前及び処理後のピーク強度を比較するとよい。具体的には、ピーク強度の極性の符号に基づいて、パッシベーション膜95の特性を評価することが考えられる。この場合、ステップS5において、パッシベーション膜95の持つ固定電荷とは反対符号の極性であって、かつ、その固定電荷の絶対値よりも大きい量のイオンが半導体試料9に付与するとよい。仮に、パッシベーション膜95が不良であるときは、図4及び図5において説明したように、ピーク強度の符号が反転すると期待される。このため、ピーク強度の符号を判定することのみで、パッシベーション膜95の良否を適正に評価し得る。
また、ステップS5において、固定電荷とは反対符号の極性であって、かつ、その固定電荷の絶対値よりも小さい量のイオンが半導体試料9に付与してもよい。この場合、仮にパッシベーション膜95に不良があるときは、処理前に比べて処理後のピーク強度の絶対値が、付与されたイオン量に応じて小さくなると期待される。このため、ピーク強度の絶対値を比較することにより、パッシベーション膜95の良否を適正に評価し得る。
さらに、ステップS5において、固定電荷と同符号の極性のイオンを付与してもよい。この場合、仮にパッシベーション膜95に不良があるときは、処理前に比べて処理後にピーク強度が付与されたイオン量に応じて大きくなると期待される。このため、ピーク強度の大きさを比較することにより、パッシベーション膜95の良否を適正に評価し得る。
また、図6に示すように、付与するイオン量を振ることにより、イオン量毎のピーク強度を確認してもよい。この場合、イオン付与処理によるパッシベーション膜95の特性変化、及び、イオン量に依存するパッシベーション膜95の特性変化を解析できるため、パッシベーション膜95の特性を適正に評価し得る。
なお、ステップS2及びステップS7において、遅延部40を動作させることにより、位相毎の電界強度を収集して、時間波形復元部704が時間波形を復元すると説明した。しかしながら、この時間波形の復元は必須ではない。すなわち、遅延部40を動作させずに、検出器31が電磁波LT1を検出するタイミングを固定してもよい。例えば、ステップS2において復元される時間波形から、ピーク強度となるタイミングp1(位相)を特定し得る。そこで、ステップS7では、そのタイミングp1に対応する位置に遅延ステージ41を固定して、電磁波LT1の電界強度を測定するとよい。これにより、遅延部40を動作させずに、ピーク強度を測定できるため、測定にかかる時間を短縮し得る。
また、上記実施形態では、検査対象箇所が1箇所である場合について説明したが、半導体試料9上の複数の箇所を検査対象とすることも考えられる。この場合、ステージ駆動部50を動作させて、半導体試料9の複数箇所において電磁波の計測を行うとよい。このとき、例えば検出器31の検出のタイミングを上記タイミングp1に固定することにより、各検査対象箇所において電磁波LT1のピーク強度を短時間に測定し得る。
なお、複数の検査対象箇所について検査を行う場合、先に、全ての検査対象箇所について先に電磁波計測を行い、その後に、検査箇所毎にイオン付与処理と電磁波測定を交互に行うとよい。先に電磁波測定を行うことによってイオン付与の影響のない電磁波強度の分布を得ることができるため、パッシベーション膜95の複数の箇所の特性を適正に評価し得る。
図10は、イオン付与処理前及びイオン付与処理後の半導体試料9における電磁波強度分布画像WID1,WID2を示す図である。図10に示すように、電磁波強度分布画像WID1,WID2を生成することにより、箇所毎にパッシベーション膜95の特性を評価することができる。また、パッシベーション膜95が不良である箇所の特定が容易となる。
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
上記実施形態では、n型シリコン層93に形成されたパッシベーション膜95の特性を検査している。しかしながら、半導体検査装置1は、p型シリコン層に形成されたパッシベーション膜の検査にも適用し得る。また、半導体試料9は、太陽電池モジュール向けのものに限定されない。
また、上記実施形態では、イオン付与部60がコロナ放電により発生するイオンをパッシベーション膜95に付与するように構成されている。しかしながら、別の方法によりイオンを付与するようにしてもよい。例えば、電離放射線を半導体試料9に向けて放射し、半導体試料9近傍のガス分子を電離させ、イオン化させてもよい。この場合、不要な極性のイオンを、周囲に配された電極等で除去させるとよい。また、電離放射線の線量を調整することにより、付与されるイオン量を制御するとよい。
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
1 半導体検査装置
10 ステージ
20 光照射部
21 フェムト秒レーザ
30 電磁波検出部
31 検出器
40 遅延部
41 遅延ステージ
43 遅延ステージ駆動部
50 ステージ駆動部
60 イオン付与部
61 放電電極
63 電源部
70 制御部
701 イオン付与制御部
702 ステージ駆動制御部
703 遅延ステージ駆動制御部
704 時間波形復元部
705 比較評価部
706 時間設定部
707 画像生成部
72 記憶部
74 表示部
76 操作部
9 半導体試料
91 p型シリコン層
93 n型シリコン層
95 パッシベーション膜
97 pn接合部
900 太陽電池モジュール
LP1 パルス光
LP11 検査光
LP21 検出光
LT1 電磁波
TW10,TW12,TW20,TW22 時間波形
WID1,WID2 電磁波強度分布画像

Claims (11)

  1. 固定電荷を持つパッシベーション膜が表面に形成された半導体試料を検査する半導体検査装置であって、
    前記半導体試料を保持する試料保持部と、
    前記パッシベーション膜にイオンを付与する処理を行うイオン付与部と、
    前記半導体試料に電磁波を発生させる検査光を照射する光照射部と、
    前記検査光の照射に応じて前記半導体試料が放射する前記電磁波を検出する検出器と、
    前記イオン付与部による処理前、及び、イオン付与してから所定の時間t経過した処理後の前記半導体試料が放射する前記電磁波各々を比較することによって、前記パッシベーション膜の特性を評価する比較評価部と、
    を備える、半導体検査装置。
  2. 請求項1の半導体検査装置であって、
    前記光照射部から出射された検査光で前記半導体試料の表面を走査する走査機構、
    をさらに備える、半導体検査装置。
  3. 請求項2の半導体検査装置であって、
    前記イオン付与部は、
    前記イオンを付与する領域を、前記半導体試料の表面に対して相対的に変位させる付与領域変位機構、
    をさらに備える、半導体検査装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項の半導体検査装置であって、
    前記イオン付与部及び前記光照射部を制御する制御部と、
    所定の操作入力に基づき、前記時間tを設定する時間設定部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記イオン付与部が前記イオンを付与してから前記時間設定部により設定された前記時間t経過後に、前記光照射部に前記検査光を照射させる、半導体検査装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項の半導体検査装置であって、
    所定の操作入力に基づき、前記イオン付与部が付与する前記イオンの付与条件を設定する、イオン付与条件設定部、
    をさらに備える、半導体検査装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項の半導体検査装置であって、
    前記イオン付与部は、
    針状の放電電極と、
    前記放電電極が放電可能な電圧を前記放電電極に印加する電源部と
    を含む、半導体検査装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項の半導体検査装置であって、
    前記検査光が、パルス状の光であり、
    前記検出器は、検出用のパルス光の入射に応じて、前記電磁波の強度を検出する光伝導アンテナを含み、
    前記半導体検査装置は、
    前記光伝導アンテナに入射する前記電磁波に対して、前記検出用のパルス光の入力時間を遅延させる遅延部、
    をさらに備える、半導体検査装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項の半導体検査装置であって、
    前記イオン付与部は、前記固定電荷とは反対符号のイオンを付与し、
    前記比較評価部は、前記電磁波の極性の符号に基づいて、前記パッシベーション膜の特性を評価する、半導体検査装置。
  9. 請求項8の半導体検査装置であって、
    前記パッシベーション膜が窒化ケイ素を含み、
    前記イオン付与部が、−1×1013q/cm以下の電荷密度のイオンを付与可能に構成されている、半導体検査装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項の半導体検査装置であって、
    前記試料保持部における前記半導体試料に接触する部分が樹脂製である、半導体検査装置。
  11. 固定電荷を持つパッシベーション膜が表面に形成された半導体試料を検査する半導体検査方法であって、
    (a) 前記半導体試料に検査光を照射し、前記半導体試料が放射する電磁波の強度を検出する工程と、
    (b) 前記(a)工程の後、前記パッシベーション膜にイオンを付与する処理を行う工程と、
    (c) 前記(b)工程の後、前記半導体試料に前記検査光を照射し、前記半導体試料が放射する照射に応じて前記半導体試料が放射する電磁波の強度を検出する工程と、
    (d) 前記()工程及び前記()工程で検出された前記電磁波各々を比較することによって、前記半導体試料における前記パッシベーション膜の特性を評価する工程、
    を含む、半導体検査方法。
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