JP2017173147A - 半導体検査装置及び半導体検査方法 - Google Patents

半導体検査装置及び半導体検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体試料上の複数の検査地点各々から放射されるテラヘルツ波の位相ずれを好適に補正する技術を提供する。
【解決手段】半導体検査装置100は、太陽電池9を保持する移動ステージ3と、パルス状の検査光LP11を太陽電池9の表面9Sに照射し、テラヘルツ波LT1を発生させる。半導体検査装置100は、パルス状の検出光LP12の入力に応じて、表面9S側に放射されたテラヘルツ波LT1を検出するテラヘルツ波検出器231と、検出光LP12がテラヘルツ波検出器231へ到達する時間を遅延させる遅延部24と、表面9Sのうち、前記検出光が照射される照射位置IPとは異なる測定位置MPの垂直位置を測定する測長器25を備える。制御部7は、測長器25によって測定される垂直位置に応じて、遅延部24を制御する。
【選択図】図2

Description

この発明は、半導体試料を検査する技術に関する。
パルス光を半導体試料に照射してパルス状のテラヘルツ波を放射させ、これを検出器で検出することによって、該半導体試料を検査する技術が知られている(例えば、特許文献1等)。
半導体試料の複数の地点を検査する場合、ステージ平面度や半導体試料の厚みまたは反り等の影響によって、フェムト秒レーザから半導体試料までのパルス光の光路長、及び、半導体試料から検出器までのテラヘルツ波の光路長が変動する。すると、検査地点毎に、テラヘルツ波の位相がずれて検出されてしまう。そこで、この位相ずれを補正する技術が望まれている。
ここで、特許文献2は、テラヘルツパルス光を測定対象に照射し、反射した反射光を検出する分光光学系と、レーザを用いて測定対象と分光光学系との相対位置情報を検出する位置計測装置とを備える分光計測装置を開示している。相対位置情報に基づいて、分光光学系の遅延装置が補正されることで、反射したテラヘルツ波の時間軸が補正される。
特開2013−19861号公報 特開2006−52948号公報
特許文献2は、テラヘルツパルス光を測定対象に照射するものであるから、特許文献1のパルス光を半導体試料に照射する検査技術とは相違する。しかしながら、特許文献2の位置計測装置を特許文献1に応用すれば、半導体試料から放射されたテラヘルツ波の位相ずれを補正することが可能と考えられる。
しかしながら、特許文献2の位置計測装置は、測定試料のテラヘルツパルス光が照射される部分に、位置測定用のレーザを照射するものである。すると、特許文献1の技術において、半導体試料のパルス光が照射される部分に位置計測用のレーザを照射した場合、レーザによって光励起キャリアが発生する等して半導体試料の物性が局所的に変化し、テラヘルツ波発生に影響するおそれがある。
また、レーザ照射の影響を低減させるためには、例えば、レーザ照射後、発生した光キャリアが再結合するまで時間を十分に取り、その後にパルス光を照射すること等で対処することも考えられる。しかしながら、この場合、多数の検査地点を検査する場合には、検査時間が長くなるおそれがあった。
そこで、本発明は、半導体試料上の複数の検査地点各々から放射されるテラヘルツ波の位相ずれを好適に補正する技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、第1の態様は、半導体試料を検査する半導体検査装置であって、半導体試料を保持する保持部と、パルス状の検査光を前記半導体試料に照射し、テラヘルツ波を発生させる検査光出射部と、前記保持部を前記半導体試料の表面に平行な方向へ移動させる保持部移動駆動部と、パルス状の検出光の入力に応じて、前記半導体試料の前記表面の側に放射された前記テラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出器と、前記検出光または前記テラヘルツ波が前記テラヘルツ波検出器へ到達する時間を遅延させる遅延部と、前記半導体試料の前記表面のうち、前記検出光が照射される照射位置とは異なる測定位置の垂直位置を測定する垂直位置測定部と、前記垂直位置測定部によって測定される前記垂直位置に応じて、前記遅延部を制御する遅延制御部とを備える。
また、第2の態様は、第1の半導体検査装置であって、前記保持部移動駆動部は、前記半導体試料における前記垂直位置が測定された地点に、前記照射位置が一致するように前記保持部を移動させる。
また、第3の態様は、第1または第2の半導体検査装置であって、前記遅延部が、前記検出光、前記検査光または前記テラヘルツ波を入射方向に沿って平行に折り返させる折り返しミラーを有する遅延ステージと、前記遅延ステージを前記入射方向に平行に移動させる遅延ステージ駆動部とを備える。
また、第4の態様は、第1から第3の態様のいずれか1つの半導体検査装置であって、前記遅延制御部は、前記垂直位置測定部による測定結果を平均化または平滑化することによって、前記垂直位置を特定する。
また、第5の態様は、半導体試料を検査する半導体検査方法であって、(a)半導体試料を第一位置に保持する工程と、(b)前記第一位置に配されている前記半導体試料の表面のうち、第一検査地点の垂直位置を特定する工程と、(c)前記半導体試料を前記第一位置から第二位置へ移動させる工程と、(d)前記第二位置に配された前記半導体試料の前記第一検査地点にテラヘルツ波を発生させるパルス状の検査光を照射する工程と、(e)パルス状の検出光の入力に応じて前記テラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出器によって、前記半導体試料の前記表面の側に放射された前記テラヘルツ波を検出する工程と、(f)前記(e)工程において、前記検出光または前記テラヘルツ波が前記テラヘルツ波検出器に到達する時間を、前記(b)工程で特定された前記垂直位置に応じて、遅延させる工程と、(g)前記第二位置に配された前記半導体試料の前記表面のうち前記第一検査地点とは異なる第二検査地点の前記垂直位置を特定する工程とを含む。
第1の態様の半導体検査装置によると、半導体試料の表面の垂直位置を計測することで、テラヘルツ波の光路長の変動を計測できる。この光路長の変動に応じて、検出光を遅延させることで、テラヘルツ波の位相のずれを抑制できる。これによって、半導体試料の表面の垂直位置が、複数の地点で変位したとしても、位相のずれを補正できるため、テラヘルツ波の比較を適正に行うことができる。また、半導体試料の表面のうち、検査光が照射される照射位置とは異なる地点で垂直位置を測定することで、垂直位置の測定がテラヘルツ波発生に影響を与えることを低減できる。
第2の態様の半導体検査装置によると、垂直位置を実測した地点で、検査光が照射される。このため、位相ずれを正確に補正できる。
また、第3の態様に係る半導体検査装置によると、遅延ステージを駆動することによって、検出光、検査光またはテラヘルツ波の光路長を変更できる。このため、テラヘルツ波検出器に検出光が到達する時間を、テラヘルツ波検出器にテラヘルツ波が到達する時間に対して遅延できる。
また、第4の態様の半導体検査装置によると、垂直位置の測定結果にノイズが含まれる場合に、測定結果を平均化または平滑化することによって垂直位置を好適に特定できる。
第5の態様の半導体検査方法によると、半導体試料の表面の垂直位置を計測することで、テラヘルツ波の光路長の変動を計測できる。この光路長の変動に応じて、検出光を遅延させることで、テラヘルツ波の位相のずれを抑制できる。これによって、半導体試料の表面の垂直位置が、複数の地点で変位したとしても、位相のずれを補正できるため、テラヘルツ波の比較を適正に行うことができる。また、半導体試料の表面のうち、検査光が照射される照射位置とは異なる地点で垂直位置を測定することで、垂直位置の測定がテラヘルツ波発生に影響を与えることを低減できる。
実施形態の半導体検査装置100の概略側面図である。 実施形態のテラヘルツ波測定系2の概略構成図である。 実施形態の制御部7のブロック図である。 表面9Sの垂直位置の変動による、テラヘルツ波LT1の位相ずれを示す概念図である。 太陽電池9の表面9Sの概略平面図である。 第1の検査の流れ図である。 第2の検査の流れ図である。 測長器25による表面9Sの垂直位置の測定結果を示す図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
<1. 実施形態>
図1は、実施形態の半導体検査装置100の概略側面図である。半導体検査装置100は、装置架台1、テラヘルツ波測定系2、移動ステージ3、試料台4、ルミネッセンス測定系5、カメラ6及び制御部7を備える。
図1及び以降の各図には、それらの方向関係を明確にするため、Z軸方向を鉛直方向としXY平面を水平面とする右手系のXYZ直交座標系が適宜付されている。ここでは、移動ステージ3の表面に平行な面を水平面(XY平面)とし、それに垂直な上下方向を鉛直方向(Z軸方向)としている。
<テラヘルツ波測定系2>
テラヘルツ波測定系2は、検査対象である半導体試料に対してパルス状の光ビーム(後述する検査光LP11)を照射し、該光ビームの照射に応じて放射されるテラヘルツ波を検出する。また、半導体検査装置100は、検出されたテラヘルツ波(0.1THz〜30THzの電磁波)の強度を画像化する。テラヘルツ波測定系2の構成については、後に詳述する。
半導体試料とは、半導体によりトランジスタ、集積回路(ICやLSI)、抵抗またはコンデンサ等により構成される電子デバイス(半導体デバイス)の他、フォトダイオード、CMOSセンサ若しくはCCDセンサ等のイメージセンサ、太陽電池またはLED等、半導体の光電効果を利用する電子デバイス(フォトデバイス)を含む。太陽電池9の表面は、平面状に形成されているものとするが、曲面状等に形成されていてもよい。
本実施形態では、半導体試料が太陽電池9であるものとして説明する。太陽電池9は、太陽電池セル単独のものであってもよいし、ワンセルモジュールの太陽電池(太陽電池セルをEVA等の樹脂で封止し、並板ガラスで覆ったもの)であってもよく、また製品モジュールであってもよい。なお、半導体検査装置100によれば、太陽電池ではない半導体試料も、太陽電池と同様に検査できる。
<移動ステージ3>
移動ステージ3は、移動ステージ駆動部31(保持部移動駆動部)によって、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の各方向に移動する。移動ステージ駆動部31は、移動ステージ3をX軸方向に移動させるX軸方向移動機構、移動ステージ3をY軸方向に移動するY軸方向移動機構、移動ステージ3をZ軸方向に昇降させる昇降機構を備える。さらに、移動ステージ駆動部31は、Z軸周りの回転方向(θ軸方向)に移動させる回転機構を備える。
<試料台4>
試料台4は、移動ステージ3の上面に取り付けられている。試料台4は、電圧印加テーブル41と、電極ピンユニット43を備える。
電圧印加テーブル41は、例えば銅等の電気伝導性の高い素材で構成されており、さらにその表面が金メッキされている。また、電圧印加テーブル41の表面には、複数の吸着孔が形成されている。吸着孔は吸引ポンプに接続されており、当該吸引ポンプを駆動することによって、太陽電池9の裏面が電圧印加テーブル41に吸着される。これによって、太陽電池9が試料台4に固定される。なお、電圧印加テーブル41の表面に、複数の吸着溝を設け、当該各吸着溝内に、上記複数の吸着孔を形成してもよい。この場合、複数の吸着溝に沿って太陽電池9が吸着されるため、太陽電池9を強固に固定できる。
移動ステージ3がX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動することよって、移動ステージ3上の試料台4に保持された太陽電池9が、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれに移動する。移動ステージ3、試料台4の電圧印加テーブル41は、太陽電池9をその表面9Sに平行な方向に移動可能に保持する保持部の一構成例である。
移動ステージ駆動部31は、移動ステージ3に取付けられた試料台4を、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の各々に移動させる。移動ステージ駆動部31は、ボールネジ式の電動アクチュエータ、リニアモータ式の電動アクチュエータ、またはこれらの組合せ等で構成される。
試料台4は、太陽電池9を、その表面9SがX軸方向及びY軸方向に平行となる姿勢で支持する。以下の説明では、試料台4に支持された太陽電池9の表面9Sに垂直な方向を単に「垂直方向」と称する。太陽電池9に反り等の歪みが無く、また、移動ステージ3ニトリつけられた試料台4の平面度が高い場合、太陽電池9の表面9Sは、XY平面に平行となる。この場合、垂直方向は、Z軸方向すなわち鉛直方向に一致する。また、以下の説明では、太陽電池9の垂直方向における位置を「垂直位置」と称する。移動ステージ駆動部31が移動ステージ3及び試料台4をZ軸方向に昇降させることによって、太陽電池9全体の垂直位置が変更される。
移動ステージ駆動部31が移動ステージ3及び試料台4をX軸方向またはY軸方向に移動させることによって、太陽電池9の水平方向の位置(以下、「水平位置」と称する。)が変更される。
図1が示すように、移動ステージ駆動部31のY軸方向移動機構は、移動ステージ3を位置LC1,LC2,LC3のそれぞれに移動させる。位置LC1は、太陽電池9を電圧印加テーブル41に設置するための位置である。位置LC2は、位置LC1より+Y側の位置であって、ルミネッセンス測定系5(第一検査部)において太陽電池9のEL測定またはPL測定を行う位置である。さらに、位置LC3は、位置LC2より+Y側の位置であって、太陽電池9のテラヘルツ波測定を行う位置である。
電極ピンユニット43は、導電性の複数の電極ピン431と、当該複数の電極ピン431を支持する導電性の電極バー432を備える。
電極バー432は、複数の棒状の電極ピン431を、Y軸方向に所定の間隔をあけて、かつ、各々がZ方向に沿って起立するように保持する。本実施形態では、電極バー432は、試料台4に保持された太陽電池9の表面側電極(不図示)に沿うように複数の電極ピン431を保持している。
試料台4は、電圧印加テーブル41を太陽電池9の裏面側電極(不図示)に接触させ、かつ、複数の電極ピン431を、太陽電池9の表面側電極に接触させる。電圧印加テーブル41及び電極ピンユニット43は、電気的に接続されており、太陽電池9の表面側電極及び裏面側電極の間で電圧を印加する。
<ルミネッセンス測定系5>
ルミネッセンス測定系5は、EL測定またはPL測定を行う。以下の説明では、EL測定及びPL測定のそれぞれを、特に区別しない場合には、単に「ルミネッセンス測定」と称する場合がある。ルミネッセンス測定系5では、カバー部材51によって太陽電池9が覆われ、その状態でルミネッセンス測定が行われる。
より具体的には、ルミネッセンス測定系5は、EL測定を行うためのイメージセンサ53を備える。EL測定を行う場合には、ルミネッセンス測定系5において、電圧印加テーブル41及び電極ピンユニット43を介して、太陽電池9に順方向バイアスの電圧が印加される。これによって、ルミネッセンス測定系5は、太陽電池9をEL発光させ、当該EL発光をイメージセンサ53によって検出する。このように、電圧印加テーブル41及び電極ピンユニット43は、太陽電池9からEL光(電磁波)を放射させる電磁波放射誘起部の一例である。また、イメージセンサ53は、太陽電池9から放射されたEL光の強度を検出する電磁波強度検出部の一例である。イメージセンサ53から出力された信号は、制御部7に送られ、EL光の強度を画像化したEL画像が生成される。イメージセンサ53は、例えば波長が約800nm〜1600nmの光を検出可能であることが好ましく、波長が約1000nm〜1400nmの光を検出可能であることがより好ましい。
また、ルミネッセンス測定系5は、PL光ビーム源55を備える。ルミネッセンス測定系5は、PL光ビーム源55から照射されたPL光ビームによって、太陽電池9をPL発光させ、当該PL発光をイメージセンサ53によって検出する。PL光ビーム源55は、太陽電池9にPL光(電磁波)を放射させる電磁波放射誘起部の一例である。また、イメージセンサ53は、太陽電池9から放射されたPL光の強度(電磁波強度)を検出する電磁波強度検出部の一例である。なお、PL光ビームとPL光とは、互いに波長が異なる。イメージセンサ53から出力された信号は、制御部7に送られ、PL光の強度を画像化したPL画像が生成される。
以下の説明では、EL画像及びPL画像のそれぞれを、特に区別しない場合には、単に「ルミネッセンス画像」と称する場合がある。
ルミネッセンス測定系5において、EL測定の構成及びPL測定の構成が、カバー部材51内に収納されている。ただし、カバー部材51を2つ設けて、EL測定の構成及びPL測定の構成のそれぞれを、各カバー部材51に個別に収容してもよい。また、半導体検査装置100がEL測定の構成及びPL測定の構成の双方を備えることは必須ではなく、どちらか一方のみの構成を備えていてもよい。また、半導体検査装置100がテラヘルツ波測定系2及びルミネッセンス測定系5の双方を備えることは必須ではない。さらには、半導体検査装置100は、ルミネッセンス測定系5を備えていなくてもよい。
図2は、実施形態のテラヘルツ波測定系2の概略構成図である。テラヘルツ波測定系2は、検査光出射部22、テラヘルツ波検出部23、遅延部24及び、測長器25を備える。
検査光出射部22は、フェムト秒レーザ221を備える。フェムト秒レーザ221は、例えば、360nm(ナノメートル)以上1.5μm(マイクロメートル)以下の可視光領域を含む波長のパルス状の光ビーム(パルス光LP1)を放射する。具体例としては、中心波長が800nm付近であり、周期が数kHz〜数百MHz、パルス幅が10〜150フェムト秒程度の直線偏光のパルス光が、フェムト秒レーザ221から放射される。もちろん、その他の波長領域(例えば、青色波長(450〜495nm)、緑色波長(495〜570nm)等の可視光波長)のパルス光が出射されるようにしてもよい。
フェムト秒レーザ221から出射されたパルス光LP1は、ビームスプリッタBE1により2つに分割される。分割された2つのパルス光のうち一方は、検査光LP11として、光学系222で集光され、太陽電池9に照射される。このとき、検査光出射部22は、検査光LP11の照射を、太陽光を受光する受光面である表面9S側から行う。また、検査光LP11の光軸が、太陽電池9の表面9Sに対して斜めとなるように、検査光LP11が太陽電池9に対して入射する。ここでは、検査光LP11の入射角度が45度とされているが、0度から90度の範囲内で適宜変更できる。
半導体検査装置100は、結晶シリコン系以外の太陽電池(アモルファスシリコン系等)の検査にも適用可能である。アモルファスシリコン系太陽電池の場合、一般的に、エネルギーギャップが1.75eV〜1.8eVといったように、結晶シリコン系太陽電池のエネルギーギャップ1.2eVに比べて大きい。このような場合、フェムト秒レーザ221の波長を、例えば700μm以下とすることで、アモルファスシリコン系太陽電池において、テラヘルツ波を好適に発生させることができる。同様の考え方に基づいて、他の半導体太陽電池(CIGS系、GaAS系等)にも適用可能である。
太陽電池9の内部電界が存在する部位に、禁制帯幅を超えるエネルギーを持つ検査光LP11が照射されると、光キャリア(自由電子及び正孔)が発生し、内部電界によって加速される。これにより、パルス状の電流が発生することとなり、それに応じて電磁波が発生することとなる。内部電界は、例えばpn接合部やショットキー接合部等に発生することが知られている。
マクスウェルの方程式によると、電流に変化が生じたとき、その電流の時間微分に比例した強度の電磁波が発生する。すなわち、空乏層等の光励起キャリア発生領域にパルス光が照射されることで、瞬間的に光電流の発生及び消滅が起こる。この瞬間的に発生する光電流の時間微分に比例して、電磁波パルス(テラヘルツ波LT1)が発生する。
図2が示すように、ビームスプリッタBE1によって分割された他方のパルス光は、検出光LP12として遅延部24を経由し、テラヘルツ波検出部23のテラヘルツ波検出器231に入射する。また、検査光LP11の照射に応じて発生したテラヘルツ波LT1は、放物面鏡230a,230b等によって適宜集光され、テラヘルツ波検出器231に入射する。
なお、図1が示すように、検査光LP11は、Y軸方向沿って(図1の例では、+Y側から−Y側に向けて)太陽電池9に照射される。また、Y軸方向に沿って(図1の例では、+Y側から−Y側に向けて)放射されるテラヘルツ波LT1が、テラヘルツ波検出器231によって検出される。このように、本実施形態では、検査光LP11の照射方向、及び、検出されるテラヘルツ波LT1の放射方向が、複数の電極ピン431が所定間隔をあけて配列される方向(すなわち、Y軸方向)に一致する。このため、複数の電極ピン431によって、光ビームである検査光LP11が遮られたり、あるいは、発生したテラヘルツ波LT1が複数の電極ピン431によって遮られたりすることを抑制できる。
テラヘルツ波検出器231は、電磁波検出素子として、例えば、光伝導スイッチ(光伝導アンテナ)を備える。テラヘルツ波LT1がテラヘルツ波検出器231に入射する状態で、検出光LP12がテラヘルツ波検出器231に照射されると、光伝導スイッチに瞬間的にテラヘルツ波LT1の電界強度に応じた電流が発生する。この電界強度に応じた電流は、ロックインアンプ233、ADコンバータ26を介して、デジタル量に変換され、制御部7に入力される(図3参照)。このようにして、テラヘルツ波検出部23は、検出光LP12の照射に応じて、太陽電池9を透過したテラヘルツ波LT1の電界強度を検出する。なお、光伝導スイッチとは異なる他の素子、例えばショットキーバリアダイオードまたは非線形光学結晶が、テラヘルツ波LT1の検出素子として採用されてもよい。
遅延部24は、検出光LP12のテラヘルツ波検出器231への到達時間を連続的に変更する光学装置である。遅延部24は、遅延ステージ241及び遅延ステージ駆動部242を備える。
遅延ステージ241は、検出光LP12をその入射方向に折り返させる折り返しミラー241Mを備える。折り返しミラー241Mは、入射する検出光LP12の光軸を平行にずらして反射する。
遅延ステージ駆動部242は、制御部7から送られる制御信号に基づき、遅延ステージ241を、検出光LP12の入射方向に沿って平行移動させる。これによって、検出光LP12の光路長が連続的に変更される。遅延ステージ241を距離aだけ移動させると、検出光LP12の光路長がその2倍の距離(2a)分だけ変更される。
検出光LP12の光路長を変更されると、検出光LP12がテラヘルツ波検出器231に到達する時間が遅延される。つまり遅延部24は、検出光LP12に遅延を与える。これによって、テラヘルツ波検出器231においてテラヘルツ波LT1の電界強度を検出するタイミング(検出タイミングまたはサンプリングタイミング)が遅延される。本例で発生するテラヘルツ波LT1は、パルス波である。検出光LP12に遅延を与えることによって、テラヘルツ波LT1の電界強度を異なる位相で検出できる。
本例では、検出光LP12がテラヘルツ波検出器231に到達する時間を、遅延部24が遅延させている。しかしながら、テラヘルツ波LT1がテラヘルツ波検出器231に到達する時間を遅延させてもよい。この場合、テラヘルツ波LT1の光路長を変更してもよいし、あるいは、検査光LP11の光路長を変更してもよい。
また、遅延ステージ241とは異なる構成によって、検出光LP12のテラヘルツ波検出器231への到達時間を変更することも可能である。具体的には、電気光学効果を利用することが考えられる。すなわち、印加する電圧を変化させることで屈折率が変化する電気光学素子を、遅延素子として用いてもよい。
移動ステージ駆動部31は、移動ステージ3に取り付けられた試料台4に保持されている太陽電池9を、検査光出射部22に対して、XY平面内で相対的に移動させる。つまり、半導体検査装置100は、太陽電池9の表面9Sを検査光LP11で走査可能に構成されている。したがって、本実施形態では、移動ステージ駆動部31は、走査機構を構成している。ただし、太陽電池9を移動させる代わりに、または、太陽電池9を移動させると共に、検査光出射部22及びテラヘルツ波検出部23をXY平面内で移動させる移動手段を設けてもよい。例えば、検査光出射部22及びテラヘルツ波検出部23を1つの筐体(不図示)内に収納しておき、当該筐体をXY平面内で移動させてもよい。
太陽電池9について、テラヘルツ波測定を行う場合には、試料台4の電圧印加テーブル41及び電極ピンユニット43を介して、太陽電池9に逆バイアス電圧を印加してもよい。これによって、太陽電池9から放射されるテラヘルツ波LT1の強度を高めることができる。また、電圧印加テーブル41及び電極バー432間を短絡接続して、太陽電池9の表面側電極と裏面側電極とを短絡することも考えられる。この場合においても、太陽電池9から放射されるテラヘルツ波LT1の強度を高めることができる。
測長器25は、図示を省略するが、太陽電池9の表面9Sにレーザ光を投光する投光部と、表面9Sで反射したレーザ光を受光する受光部とを備える。測長器25は、太陽電池9の表面9Sまでの距離を測定することによって、表面9Sの垂直位置を測定する。なお、測長器25は、レーザ光の代わりに、超音波を利用して表面9Sの垂直位置を測定してもよい。測長器25は、表面9Sの位置を測定する垂直位置測定部の一例である。
太陽電池9の表面9Sにおける、測長器25が垂直位置を測定する測定位置MPは、検査光LP11が照射される照射位置IPとは異なる(図2参照)。照射位置IPは、移動ステージ3に保持された太陽電池9の表面9S上における、検査光出射部22から出射された検査光LP11が投光される位置である。また、測定位置MPは、太陽電池9の表面9S上において、測長器25から出射されたレーザ光が投光される位置である。図2に示す例では、測定位置MPは照射位置IPよりも+Y側にシフトした位置とされている。
測長器25は、測定位置変更部251に取付けられている。測定位置変更部251は、測長器25の位置をXY平面と平行に移動させることで、測定位置MPをXY平面内で変更する。測定位置変更部251は、例えばボールネジ式の電動アクチュエータ、リニアモータ式の電動アクチュエータ、またはこれらの組合せ等で構成される。
図3は、実施形態の制御部7のブロック図である。制御部7のハードウェアとしての構成は、一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部7は、各種演算処理を行うCPU71、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM(不図示)、各種情報を記憶するメモリ72を備えている。メモリ72には、制御用アプリケーションまたはデータ等が格納される。また、CPU71は、メモリ72に保存されたアプリケーションソフトにしたがって動作することによって、テラヘルツ波計測モジュール711及び画像生成モジュール713等として機能する。
テラヘルツ波計測モジュール711は、半導体検査装置100で半導体試料の検査を実行する機能モジュールである。テラヘルツ波計測モジュール711は、移動ステージ駆動部31及び遅延ステージ駆動部242を制御するモータコントローラ73に制御信号を送る。モータコントローラ73は、その制御信号に基づいて、移動ステージ駆動部31及び遅延ステージ駆動部242を制御する。
制御部7は、キーボード及びマウス等で構成される入力部74及び液晶ディスプレイ等で構成される表示部75を備える。入力部74は、オペレータからの各種命令の入力を受け付ける機能を備える。制御部7は、入力部74を介した操作入力に基づき、半導体検査装置100が備える各要素の動作を制御する。表示部75は、各種画像または動画像を画面に表示する機能を備える。
図3が示すように、測長器25が出力する信号(測長信号)は、ADコンバータ26に入力される。ADコンバータ26は、入力された測長信号をデジタル信号に変更され、制御部7に入力される。
テラヘルツ波検出器231が出力する信号(検出信号)は、ロックインアンプ233によって増幅され、ADコンバータ26に入力される。ADコンバータ26は入力された検出信号をデジタル信号に変換して、制御部7に入力する。
制御部7に入力された測長信号及び検出信号は、テラヘルツ波計測モジュール711によって適宜管理される。例えば、測長信号が示す垂直位置情報については、その垂直位置情報に対応する表面9S上における水平位置情報と関連づけされてメモリ72に格納される。
図4は、表面9Sの垂直位置の変動による、テラヘルツ波LT1の位相ずれを示す概念図である。図4が示すように、太陽電池9の表面の垂直位置(Z軸方向の位置)が変位すると、検査光LP11が照射位置IPの垂直位置が変位する。表面9Sが基準となる高さHから+Z方向に変位した場合、テラヘルツ波LT1の光路長が短くなり、表面9Sが高さHから−Z方向に変位した場合、テラヘルツ波LT1の光路長が短くなる。テラヘルツ波LT1の光路長が変動すると、テラヘルツ波LT1のテラヘルツ波検出器231への到着が遅れたり早まったりする。これによって、テラヘルツ波LT1の位相がずれて検出されることとなる。すなわち、時間波形TW1に位相ずれが発生する。
図4が示すように、位相ずれを考慮して、検出光LP12に与える遅延時間の変更範囲を広げることで、各検査地点で1パルス分のテラヘルツ波LT1に相当する時間波形TW1を復元できる。この場合、位相のずれ量を容易に推定できるため、電界強度どうしを容易に比較できる。しかしながら、遅延時間の変更範囲が十分でない場合、垂直位置が変位することで、1パルス分のテラヘルツ波LT1のうち一部が検出できない場合がある。また、遅延時間を固定した場合、垂直位置が変動することで、1パルス分のテラヘルツ波LT1を、異なるタイミングで検出することになる。このように、垂直位置が変位することで、テラヘルツ波強度の比較を適正に行うことが難しい場合がある。
テラヘルツ波計測モジュール711は、後に詳述するように、検出光LP12に与える遅延を、垂直位置情報に基づいて調整する。すなわち、テラヘルツ波計測モジュール711は、表面9S上のある特定の地点を検査する際、その地点の水平位置情報から垂直位置情報を取得する。そして、テラヘルツ波計測モジュール711は、その垂直位置情報に応じて、遅延ステージ241の位置を補正する補正量を算出する。ここで、遅延ステージ241の位置を補正することは、検出光LP12に与える遅延時間を補正することと等価である。テラヘルツ波計測モジュール711は、遅延ステージ241の位置の補正量を算出し、その補正量に対応する位置に遅延ステージ241が配されるように、制御信号をモータコントローラ73に出力する。
垂直位置情報に基づき、遅延ステージ241の位置を補正することによって、垂直位置が変位した際、テラヘルツ波検出器231で検出されるテラヘルツ波LT1の位相がずれることを抑制できる。これによって、太陽電池9の表面9Sのうち、複数の地点を検査する場合に、各地点の垂直位置が変位しても、各地点で検出されたテラヘルツ波LT1の強度を適正に比較できる。
画像生成モジュール713は、テラヘルツ波計測モジュール711によって計測されたテラヘルツ波LT1の電界強度の分布を示す画像(強度分布画像)を生成する。生成された画像は、表示部75に表示される。なお、生成された画像は、表示部75でない他の出力装置(印刷装置等)で外部出力されてもよい。
検査光出射部22、テラヘルツ波検出部23及び測長器25が一つの筐体内に収納される等して、当該筐体を移動可能としてもよい。これによって、検査光出射部22、テラヘルツ波検出部23及び測長器25を、太陽電池9の表面9Sに平行に移動させてもよい。この場合においても、照射位置IPと測定位置MPとを、位置関係を維持したまま、太陽電池9の表面9S上の任意の箇所に設定できる。
<半導体試料の検査>
次に、半導体検査装置100において実施される半導体試料の検査の流れを説明する。なお、特に断らない限り、半導体試料の検査の各工程は、制御部7のテラヘルツ波計測モジュール711の制御に基づいて行われるものとする。
図5は、太陽電池9の表面9Sの概略平面図である。前提として、ここでは、図5が示すように、太陽電池9の表面9Sのうち、格子点状に並ぶ9つの検査地点P〜Pについて、テラヘルツ波計測を行うものとする。検査地点P〜P、検査地点P〜P及び検査地点P〜Pは、それぞれY軸上に等間隔(L1)をあけて並んでいるものとする。また、太陽電池9の表面9Sにおいて、検査光LP11が照射される照射位置IPと、測長器25が垂直位置を測定する測定位置MPとの間隔が、検査地点間の間隔L1に一致するものとする。
また、検査地点Pからテラヘルツ波計測が開始され、検査地点P〜P、検査地点P〜P及び検査地点P〜Pの順にテラヘルツ波計測が行われるものとする。すなわち、+Y方向の主走査が3回行われる。
<第1の検査の流れ>
図6は、第1の検査の流れ図である。第1の検査は、検査地点P〜P各々でテラヘルツ波計測を行う際、遅延部24が検出光LP12に与える遅延時間を変更することで、テラヘルツ波LT1の異なる位相の電界強度を検出する。これによって、検査地点P〜P各々で、放射されるテラヘルツ波LT1の時間波形を復元できる。この場合、復元されたテラヘルツ波LT1について、フーリエ変換が行われることで、スペクトル解析等が実行可能である。
図6が示すように、太陽電池9が移動ステージ3に保持されて、第1の検査が開始されると、モータコントローラ73が、移動ステージ3及び遅延ステージ241を所定の移動開始位置にそれぞれ移動させる(ステップS101)。具体的には、モータコントローラ73が移動ステージ3を移動させて、測長器25の測定位置MPを最初の検査地点Pに一致させる。また、モータコントローラ73が遅延ステージ241を既定の移動開始位置に移動させる。
続いて、測長器25によって、検査地点Pにおける表面9Sの高さHが測定され、メモリ72に保存される(ステップS102)。この工程は、検査地点Pにおける表面9Sの位置、すなわち、表面9Sの垂直方向の位置(垂直位置)を特定する工程に相当する。
続いて、照射位置IPが検査地点Pに一致するように、モータコントローラ73が移動ステージ3を移動させる(ステップS103)。照射位置IPと測定位置MPの間隔が、検査地点P,P1間の間隔L1に一致する場合、ステップS102で移動ステージ3を−Y方向に間隔L1分だけ移動させることによって、照射位置IPが検査地点Pに一致する。
続いて、検査地点Pで、テラヘルツ波計測が行われる(ステップS104)。検査地点Pに検査光LP11が照射され、太陽電池9の表面9S側に放射されるテラヘルツ波LT1がテラヘルツ波検出器231で検出される。また、遅延部24によって遅延が与えられた検出光LP12が、テラヘルツ波検出器231に入力されることによって、テラヘルツ波LT1の異なる位相毎の電界強度がテラヘルツ波検出器231で検出される。
なお、遅延ステージ241の移動例として、遅延ステージを既定の移動開始位置から既定の移動終了位置までの間で、移動及び停止を所要の回数繰り返すことが考えられる。この場合には、遅延ステージ241が停止しているときのテラヘルツ波LT1の電界強度が取得される。また、別の移動例として、遅延ステージ241を既定の移動開始位置から既定の移動終了位置までの間、停止させずに所要速度で移動させることも考えられる。この場合、遅延ステージ241が規定の地点を通過するタイミングで、テラヘルツ波LT1の電界強度が取得されてもよい。
続いて、測定位置MPが、テラヘルツ波を計測していない検査地点(以下、「未計測の検査地点」と称する。)に一致するかどうかが判定される(ステップS105)。
ここでは、照射位置IPが検査地点Pに一致しており、測定位置MPが未計測の検査地点Pに一致するため(ステップS105にてYES)、未計測の検査地点Pの高さHが計測される(ステップS106)。
測定位置MPが次の検査地点に一致しない場合(ステップS105にてNO)、測定位置MPが未検査の検査地点に一致するようにモータコントローラ73が移動ステージ3を移動させる。例えば、ステップS105の時点で、照射位置IPが検査地点P2に一致する場合、次の検査地点は検査地点P3である。このとき、測定位置MPは、測定位置MPは検査地点Pよりも+Y側の地点にあり、検査地点Pには一致しない。そこで、測定位置MPが次の検査地点Pに一致するように、モータコントローラ73が移動ステージ3を移動させる(ステップS107)。そして、次の検査地点P3の高さHが計測される(ステップS106)。
続いて、照射位置IPが次の検査地点に一致するように、モータコントローラ73が移動ステージ3を移動させる(ステップS108)。ステップS106で検査地点Pの高さHが計測された場合、ステップS108では、モータコントローラ73が移動ステージ3を−Y方向に間隔L1分だけ移動させる。これによって、照射位置IPが次の検査地点Pに合わせられる。
続いて、次の検査地点の高さHに基づき、遅延ステージ241の位置を補正するための位置補正量Dが算出される(ステップS109)。ステップS106で計測された次の検査地点の高さの基準高さからの相違(=H−H)に比例して、検査光LP11及びテラヘルツ波LT1の光路長が変動する(図4参照)。検査光LP11の表面9Sに対する入射角をθとおくと、光路長の変動量ΔLは、次式(1)で表される。
Figure 2017173147
遅延ステージ241を距離aだけ移動させた場合、検出光LP12の光路長は距離2a分変更できる。このため、テラヘルツ波LT1の変動量ΔLを補正するための、遅延ステージ241の位置補正量Dは、変動量ΔLを2で割った値であるため、次式(2)で表される。
Figure 2017173147
式(2)を用いることによって、検査地点の高さHから、遅延ステージ241の位置補正量Dを求めることができる。
ステップS109にて、位置補正量Dが求められると、モータコントローラ73は、遅延ステージ241を、位置補正量Dで補正された移動開始位置(DStart+D)に移動させる(ステップS110)。
続いて、ステップS108で照射位置IPに合わせられた検査地点で、テラヘルツ波計測が行われる(ステップS111)。このテラヘルツ波計測では、遅延ステージ241が補正された移動開始位置から移動することで、検出光LP12に遅延が与えられる。これによって、検査地点から放射されるテラヘルツ波LT1の異なる位相の電界強度が、テラヘルツ波検出器231によって検出される。
続いて、全ての検査地点P〜Pでテラヘルツ波計測が完了したかどうか判定される(ステップS112)。完了した場合(ステップS112にてYES)、半導体検査装置100は、動作を終了する。完了していない場合(ステップS112にてNO)、完了するまでステップS105〜ステップS112の処理が繰り返し行われる。
以上のように、半導体検査装置100では、検査地点各々の垂直位置(高さH)に応じて、遅延ステージ241の移動開始位置が補正される。このため、検査地点毎のテラヘルツ波LT1の光路長の変動に基づく位相のずれを補正することができる。したがって、検査地点毎の垂直位置の変位に関わらずに、テラヘルツ波LT1を計測できる。したがって、複数の検査地点の特性を比較するためのテラヘルツ波強度を有効に取得することができる。
半導体検査装置100では、照射位置IPと測定位置MPとを一致しないため、特定の検査地点について、垂直位置測定とテラヘルツ波計測が時間をあけて行われる。これにより、垂直位置測定がテラヘルツ波発生に影響を与えることを低減できるため、テラヘルツ波計測を好適に行うことができる。例えば、測長器25が可視光等の電磁波の反射を利用して表面の高さHを測定するように構成されている場合、その電磁波の照射がテラヘルツ波発生に影響することを抑制できる。
複数の検査地点を検査する場合に、照射位置IPと測定位置MPの間隔を、検査地点間の間隔L1に合わせることによって、太陽電池9を移動させることなく、検査地点のテラヘルツ波計測と、テラヘルツ波が未計測である検査地点の垂直位置測定と行うことができる。このため、複数の検査地点について、テラヘルツ波計測を効率的に実施できる。
<第2の検査の流れ>
図7は、第2の検査の流れ図である。第2の検査は、各検査地点でテラヘルツ波計測を行う際、遅延部24が検出光LP12に与える遅延時間を固定して行うものである。第2の検査の場合、各検査地点のテラヘルツ波から得られる情報量は、第1の検査に比べて劣るものの、第1の検査に比べてテラヘルツ波計測にかかる時間を大幅に短縮できる。
以下では、第2の検査に含まれる工程のうち、第1の検査に含まれる工程と同様の工程については同一符号を付してその説明を省略し、主に相違する工程を詳細に説明する。
図7が示すように、第2の検査のステップS104Aでは、ステップS104と同様に、遅延部24が検出光LP12に遅延を与える。したがって、検査地点Pから放射されるテラヘルツ波LT1が、互いに異なる複数の位相で検出される。そして、ステップS104Aでは、テラヘルツ波LT1のピーク(最大値)となる遅延時間に対応する遅延ステージ241の位置(以下、「検出用位置DDet」と称する。)が特定される。
図7が示すように、ステップS110Aでは、モータコントローラ73が、遅延ステージ241を補正された検出用位置へ移動させる。補正された検出用位置は、ステップS104Aで特定された検出用位置DDetが、ステップS109で算出された位置補正量Dに応じて補正された位置(DDet+D)である。
図7が示すように、ステップS111Aでは、遅延ステージ241が補正された検出用位置に固定された状態で、テラヘルツ波LT1の電界強度が計測される。
このように、本例では、遅延ステージ241が固定される検出用位置を、各検査地点の高さH(垂直位置)に応じて補正するため、テラヘルツ波LT1の光路長の変動による位相のずれを補正できる。したがって、検査地点各々のテラヘルツ波強度に基づく比較を適正に行うことができる。
また、遅延ステージ241を、テラヘルツ波強度が最大となる位相に対応した位置に固定することで、検査地点各々から放射されるテラヘルツ波強度を高強度で検出できる。したがって、太陽電池9の検査を好適に検査できる。
第2の検査では、全ての検査地点でテラヘルツ波LT1の計測が完了すると、電界強度分布画像の生成及び表示が行われる(ステップS113)。電界強度分布画像は、太陽電池9の表面9Sにおける、テラヘルツ波強度の分布を視覚的に表した画像である。電界強度分布画像は、例えば表面9Sを表す画像において、検査地点P〜Pに対応する部分に、テラヘルツ波強度に応じた色または模様が付けられた画像とされる。このような電界強度分布画像を生成し、表示部75に表示することによって、テラヘルツ波強度の分布を容易に把握することが可能となる。また、検査地点間の比較が容易となることから、例えば、欠陥等の特徴を有する箇所の特定が容易となる。
<2. 変形例>
上記実施形態では、検査地点(検査地点P〜P)に測定位置MPが一致するようにステージを移動させるため、各検査地点の垂直位置を直接測定している。しかしながら、必ずしも各検査地点で垂直位置を測定することは必須ではない。
例えば、検査地点に近接した1地点または複数地点の垂直位置から、目的の検査地点の垂直位置を特定してもよい。例えば、検査地点及びその周辺の複数地点各々の水平位置、並びに、当該複数地点各々の垂直位置から、検査地点の垂直位置を演算によって特定してもよい。
図8は、測長器25による表面9Sの垂直位置の測定結果を示す図である。実線81で示されるように、測長値にノイズ(例えば、高周波ノイズ)が含まれる場合、測長結果を平均化処理(相加平均、相乗平均)またはフィルタによる平滑処理(離散値の除去等)してもよい。例えば、平均化処理による場合は、目的の検査地点の垂直位置を特定する場合、その検査地点近辺の複数の地点での測定結果の相加平均または相乗平均を算出することが考えられる。破線82で示されるように、平均化または平滑化された垂直位置に基づいて、遅延ステージ241の位置を補正することによって、表面9Sの垂直位置の変位に影響されずにテラヘルツ波計測を行うことができる。
また、垂直位置の測定を、テラヘルツ波測定系2で行うことは必須ではない。例えば、1つまたは複数の検査地点の垂直位置を、ルミネッセンス測定系5あるいは別の装置で計測しておき、その測定結果がテラヘルツ波計測時の遅延ステージ241の位置補正に利用されてもよい。
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
100 半導体検査装置
2 テラヘルツ波測定系
22 検査光出射部
221 フェムト秒レーザ
23 テラヘルツ波検出部
231 テラヘルツ波検出器
24 遅延部
241 遅延ステージ
241M 折り返しミラー
242 遅延ステージ駆動部
25 測長器(垂直位置測定部)
251 測定位置変更部
3 移動ステージ(保持部)
31 移動ステージ駆動部(保持部移動駆動部)
7 制御部
711 テラヘルツ波計測モジュール(遅延制御部)
713 画像生成モジュール
73 モータコントローラ
75 表示部
431 電極ピン
432 電極バー
9 太陽電池(半導体試料)
9S 表面
BE1 ビームスプリッタ
IP 照射位置
LP11 検査光
LP12 検出光
MP 測定位置
〜P 検査地点

Claims (5)

  1. 半導体試料を検査する半導体検査装置であって、
    半導体試料を保持する保持部と、
    パルス状の検査光を前記半導体試料に照射し、テラヘルツ波を発生させる検査光出射部と、
    前記保持部を前記半導体試料の表面に平行な方向へ移動させる保持部移動駆動部と、
    パルス状の検出光の入力に応じて、前記半導体試料の前記表面の側に放射された前記テラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出器と、
    前記検出光または前記テラヘルツ波が前記テラヘルツ波検出器へ到達する時間を遅延させる遅延部と、
    前記半導体試料の前記表面のうち、前記検出光が照射される照射位置とは異なる測定位置の垂直位置を測定する垂直位置測定部と、
    前記垂直位置測定部によって測定される前記垂直位置に応じて、前記遅延部を制御する遅延制御部と、
    を備える、半導体検査装置。
  2. 請求項1の半導体検査装置であって、
    前記保持部移動駆動部は、前記半導体試料における前記垂直位置が測定された地点に、前記照射位置が一致するように前記保持部を移動させる、半導体検査装置。
  3. 請求項1または請求項2の半導体検査装置であって、
    前記遅延部が、
    前記検出光、前記検査光または前記テラヘルツ波を入射方向に沿って平行に折り返させる折り返しミラーを有する遅延ステージと、
    前記遅延ステージを前記入射方向に平行に移動させる遅延ステージ駆動部と、
    を備える、半導体検査装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項の半導体検査装置であって、
    前記遅延制御部は、
    前記垂直位置測定部による測定結果を平均化または平滑化することによって、前記垂直位置を特定する、半導体検査装置。
  5. 半導体試料を検査する半導体検査方法であって、
    (a) 半導体試料を第一位置に保持する工程と、
    (b) 前記第一位置に配されている前記半導体試料の表面のうち、第一検査地点の垂直位置を特定する工程と、
    (c) 前記半導体試料を前記第一位置から第二位置へ移動させる工程と、
    (d)前記第二位置に配された前記半導体試料の前記第一検査地点にテラヘルツ波を発生させるパルス状の検査光を照射する工程と、
    (e) パルス状の検出光の入力に応じて前記テラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出器によって、前記半導体試料の前記表面の側に放射された前記テラヘルツ波を検出する工程と、
    (f) 前記(e)工程において、前記検出光または前記テラヘルツ波が前記テラヘルツ波検出器に到達する時間を、前記(b)工程で特定された前記垂直位置に応じて、遅延させる工程と、
    (g) 前記第二位置に配された前記半導体試料の前記表面のうち前記第一検査地点とは異なる第二検査地点の前記垂直位置を特定する工程と、
    を含む、半導体検査方法。
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